説明

水流管理システム及び水封式地下タンク

【課題】水封ボーリング内の水流の向きを自在に変化させることが可能な水流管理システムを提供する。
【解決手段】地下に形成されて水が充填される水封ボーリング2内の水流方向を制御する水流管理システム1である。
そして、水封ボーリングの口元に設置するパッカー3と、パッカーを貫通して水封ボーリングの内部に延設される給水管4と、パッカーを貫通して給水管の開口4aよりもパッカーに近い位置に開口5aが位置する排水管5と、排水管に接続されてその水圧を制御する水圧調整手段6とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化石油ガスなどを地下空洞に水圧によって封じ込める水封式地下タンクなどで使用される水封ボーリングの水流管理システム、及びそれを備えた水封式地下タンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、岩盤に空洞を形成し、その内部に液化石油ガスなどの流体を貯蔵する場合に、岩盤の亀裂から貯蔵物が漏出するおそれがあるため、水の圧力によって貯蔵物を空洞に封じ込める水封式地下タンクが知られている(特許文献1,2など参照)。
【0003】
ここで、地下空洞の周囲の地下水圧が高ければ、自然に貯蔵物を封じ込めることができるが、自然の地下水位だけでは変動して圧力が変化したり、貯蔵物の蒸気圧を上回る水圧が確保できなかったりして、充分に水封機能を発揮させることができないおそれがある。
【0004】
そこで、特許文献1,2に開示されているように、空洞の周囲に水封ボーリングを設け、その水封ボーリングから水を供給し続けることによって、空洞の周囲に所望される水圧が安定的に確保できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−32406号公報
【特許文献2】特開2002−147156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、水封ボーリングによる水の供給を継続した場合に、水や水封ボーリング内に混入している砂やスケールなどの介在物が、水みちとなる岩盤の亀裂の内部や入口に付着して目詰まりが発生し、空洞に向けて充分に水を送り出すことができなくなることがある。
【0007】
また、この水の流れは、水封ボーリング側から岩盤へ向けての一方向の流れであるため、送り出す水の圧力を高めても亀裂や壁面に押し付けられるだけで、一旦、付着した介在物を除去することは難しい。そして、このような介在物を取り除くには、水流の向きを変えることが効果的である。
【0008】
そこで、本発明は、水封ボーリング内の水流の向きを自在に変化させることが可能な水流管理システム、及びそれを備えた水封式地下タンクを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の水流管理システムは、地下に形成されて水が充填される水封ボーリング内の水流方向を制御する水流管理システムであって、前記水封ボーリングの口元に設置するパッカーと、前記パッカーを貫通して前記水封ボーリングの内部に延設される第1管体と、前記パッカーを貫通して前記第1管体の開口よりも前記パッカーに近い位置に開口が位置する第2管体と、前記第2管体に接続されてその水圧を制御する水圧調整手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
ここで、前記水圧調整手段は、縦穴と、その縦穴の水を排水する水中ポンプとを有し、前記縦穴に前記第2管体の端部が接続される構成とすることができる。また、前記水中ポンプが配置されている前記縦穴の区間を密閉構造にしてもよい。
【0011】
さらに、前記パッカーを貫通する箇所では、前記第2管体の内部に前記第1管体が挿入された二重管構造とすることができる。また、前記第1管体に給水ポンプを接続する構成であることが好ましい。
【0012】
そして、本発明の水封式地下タンクは、上記したような水流管理システムを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
このように構成された本発明の水流管理システムは、水封ボーリングの内部に第1管体と、それよりも短い第2管体が延設されており、水圧調整手段によって第2管体の水圧を変化させることができる。
【0014】
そして、第2管体の水圧が水封ボーリング内よりも高いときには水封ボーリングの内側から外側に向けての水の流れが生じ、反対に第2管体の水圧が水封ボーリング内よりも低いときには第2管体に水が流れ込むことによって水封ボーリングの外側から内側に向けての水の流れが生じることになる。
【0015】
このように水封ボーリング内の水流の向きを自在に変化させることができれば、水の流れが悪くなったときに逆洗浄をおこなうことで、水の流れを回復させることができる。
【0016】
また、縦穴と、その縦穴の水を排水する水中ポンプとを設けることによって、第2管体の水圧を容易に調整することが可能になる。さらに、その水中ポンプが配置される縦穴の区間を、管材、底蓋及びパッカーなどを使って密閉構造にしておくことで、水中ポンプの作動に伴って迅速に第2管体の水圧を変化させることができるようになる。
【0017】
また、第2管体の内部に第1管体が挿入される二重管構造であれば、パッカーと管体との密着箇所が一箇所になり、パッカーの止水構造を簡素化することができる。
【0018】
さらに、第1管体に給水ポンプを接続することによって、水封ボーリング内への送水と排水の両方を強制的におこなうことが可能になり、管圧を過剰に上昇させなくても流速を高めることができる。
【0019】
そして、このような水流管理システムを備えた水封式地下タンクであれば、水封ボーリングが目詰まりを起こしても容易に回復させることが可能であり、永続的に液化石油ガスなどの貯蔵を続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態の水流管理システムの構成を説明する断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の水封式地下タンクの構成を説明する斜視図である。
【図3】4通りの方法で水流管理システムを作動させたときの水の流れる方向をそれぞれ説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0022】
図2は、本実施の形態の水封式地下タンク7の構成を説明する斜視図である。
【0023】
この水封式地下タンク7は、地下の岩盤に例えば断面視馬蹄形の空洞を構築し、その中に液化石油ガスなどの貯蔵物を貯留させるものである。この水封式地下タンク7を構築する岩盤には、元々、亀裂が存在しており、その亀裂に水を供給することによって水封式地下タンク7の周囲の水圧を上昇させる。
【0024】
そして、この亀裂に水を供給するために、水封式地下タンク7の周囲に複数の水封ボーリング2,・・・を設ける。この水封ボーリング2は、水封式地下タンク7の上方に、水封式地下タンク7に平行に構築された水封トンネル21の内部から構築する。
【0025】
この水封トンネル21は、例えば断面視馬蹄形に掘削されており、その底面及び側面から複数本の水封ボーリング2,・・・が穿孔される。ここで、この水封ボーリング2,・・・の数及び長さは、水封式地下タンク7が構築される岩盤の状態や供給すべき水量に合わせて設定される。
【0026】
また、図1に示すように、水封ボーリング2の孔壁にはライニングなどが施されることはなく、水封ボーリング2の内部と岩盤の亀裂R,・・・とは連通した状態となっている。
【0027】
なお、図2では、1本の水封トンネル21とそこから下方向及び横方向に延設される複数本の水封ボーリング2,・・・が図示されているだけであるが、水封式地下タンク7の周囲にはこれ以外にも水封トンネル21及び水封ボーリング2が構築される。
【0028】
そして、この水封トンネル21を介して水流管理システム1が設置される。ここでも、説明のため水流管理システム1を1本の水封ボーリング2にのみ設置したように図示しているが、他の水封ボーリング2,・・・にも水流管理システム1は設置される。
【0029】
図1は、水流管理システム1の全体構成を説明する断面図である。
【0030】
この水流管理システム1は、水封ボーリング2の口元に設置するパッカー3と、このパッカー3を貫通して水封ボーリング2の内部に延設される第1管体としての給水管4と、パッカー3を貫通して水封ボーリング2の内部に延設される第2管体としての排水管5と、この排水管5に接続されてその水圧を制御する水圧調整手段6とを備えている。
【0031】
このパッカー3は、例えば2つの貫通穴のある袋体と、その袋体の内部に充填される充填材とによって構成される。すなわち、水やセメントミルクなどの流体状の充填材を袋体の内部に充填することで袋体を膨張させ、給水管4及び排水管5の外周面と水封ボーリング2の孔壁とに密着させて止水構造を形成する。すなわち、給水管4と排水管5は、パッカー3を貫通する箇所では並行に配管されており、それらの隙間と孔壁との間に膨張したパッカー3が介在されることになる。
【0032】
さらに、排水管5の開口5aは、パッカー3のすぐ下に位置しているが、給水管4はその開口5aから下方に向けて突出し、水封ボーリング2の底面付近に開口4aが位置するまで延設される。すなわち、排水管5の開口5aは、給水管4の開口4aよりもパッカー3に近い位置に配置されることになる。
【0033】
そして、この排水管5の開口5aの位置と給水管4の開口4aの位置との差が、双方に許容される水圧差になるため、所望する構成に合わせてこの相対的な位置関係を適宜、調整すればよい。
【0034】
また、給水管4は、水封トンネル21の内部を通って作業用トンネル又は立坑(図示せず)などから地上まで延設されて給水タンク43に接続される。また、給水タンク43と給水管4との間には、給水ポンプ41とバルブ42とが配置される。
【0035】
この給水ポンプ41は、給水タンク43の水を強制的に水封ボーリング2に向けて送り出す圧送ポンプである。また、バルブ42の開閉によって、水封ボーリング2への水の供給量又は供給停止を調整することができる。
【0036】
他方、排水管5は、水封トンネル21の内部で横方向に延設されて水圧調整手段6に接続される。
【0037】
この水圧調整手段6は、縦穴としての排水井61と、その排水井61の水位6aを調整する水中ポンプとしての排水ポンプ62とを有している。
【0038】
この排水井61は、上端が地表に開放され、下端が水封トンネル21の内部に形成されている。また、排水井61の内部には底蓋61bのあるケーシング管61aが挿入されており、排水管5を除いては外側から水が流れ込むことがない遮水構造となっている。
【0039】
さらに、排水井61の内部に配置される排水ポンプ62は、内部の圧力を小さくして水を吸い上げる吸引ポンプで、吸い込まれた水を搬送させる揚水管62aが接続されている。そして、この揚水管62aは、排水井61の内部で延設され、排水井61の上端から突出される。
【0040】
また、排水井61の下部は、接続部5bにおいて排水管5の端部に接続されている。このため、排水ポンプ62を作動させていないときは、排水井61の水位6aは排水管5の水圧がそのまま反映されることになる。
【0041】
次に、本実施の形態の水流管理システム1の作用について図3を参照しながら説明する。
【0042】
図3(a)は、水封ボーリング2によって岩盤に水を供給する通常時における水の流れを説明する図である。
【0043】
この通常時においては、給水ポンプ41は停止し、バルブ42は全開されている。このため、給水管4の開口4aには、給水タンク43の水面との差に基づく水圧が作用し、水封ボーリング2内への自然流出が起きる。
【0044】
そして、水封ボーリング2の内部に流れ込んだ水は、水封ボーリング2に繋がる亀裂R,・・・を通って岩盤の内部に流れ出すことになる。なお、亀裂R,・・・の内部の水圧が高まって水封ボーリング2の内部との水圧差が小さくなると、この流出も減少することになる。
【0045】
続いて図3(b)は、給水ポンプ41のみを作動させたときの水の流れを説明する図である。
【0046】
この場合は、給水ポンプ41によって圧力が付加された水が給水管4で送水され、開口4aから排出されるため、それに伴って水封ボーリング2の内圧も通常時より上昇することになる。
【0047】
また、亀裂R,・・・から岩盤へ流れ出す水の量も、亀裂Rに目詰まりが生じていなければ通常時に比べて増加することになる。さらに、水封ボーリング2の内部の水は、排水管5の開口5aにも流れ込み、排水井61へ送られることになる。
【0048】
そして、排水井61へ流れ込んだ水を採取して水質調査をすることで、水封ボーリング2内のバクテリアの繁殖状況やスケールの生成状況を確認することができる。
【0049】
ここで、このようにしておこなわれる水質調査の結果や、通常時の水の供給量の低下などから、図3(c)に示すように、スケールや砂利や粘土などの介在物Sが亀裂Rに堆積したり、孔壁に介在物Sが付着して亀裂Rへの入口を塞いだりして、目詰まりを起こしていると推測できる場合がある。このような場合には、亀裂Rや壁面から介在物Sを取り除く洗浄をおこなうことになる。
【0050】
この洗浄をおこなうに際しては、まず、バルブ42を閉じて給水管4からの水の供給を停止する。そして、この状態で排水ポンプ62を作動させ、排水井61の水を吸い上げる。
【0051】
すると、排水井61の水位6aが低下し、それに伴って排水管5の接続部5b周辺の水圧が低下して、排水管5の水が流速を増して排水井61の中に流れ込むことになる。そして、このようにして生成された排水管5の流れによって、水封ボーリング2内の排水管5の開口5aの水圧も低下し、図3(c)に示すように水封ボーリング2内の水が開口5aに流れ込むことになる。
【0052】
このようにして生じた通常時とは逆方向の水の流れは、水封ボーリング2の孔壁に付着した介在物Sを引き剥がす作用を有している。また、亀裂R,・・・にこの逆方向の水の流れが伝播し、その水の流れに乗って一部の介在物Sは亀裂Rから押し出されて水封ボーリング2の内部に放出されることになる。
【0053】
さらに、このようにして亀裂R,・・・から押し出された介在物Sは、開口5aから取り込まれて、排水管5を通って排水井61に排出される。
【0054】
一方、水流の速度を上げて更に介在物Sを取り除きたい場合は、図3(d)に示すように、バルブ42を開放して給水ポンプ41を作動させる。すると、水封ボーリング2の内部に供給される水量が増加し、押し出されるようにして開口5aに水封ボーリング2内の水が流れ込むことになる。
【0055】
この場合は、排水ポンプ62の吸引力に給水ポンプ41の押出力が加わるため、水封ボーリング2内の流速は最大になる。そして、この速い流れの中に放出された介在物S,・・・は、次々と開口5aに取り込まれて排水管5から排出されることになる。
【0056】
また、このように逆洗浄によって亀裂R,・・・の介在物S,・・・が取り除かれた水封ボーリング2は、再び図3(a)の状態に戻して、岩盤に水を供給する水封ボーリング2として使用される。
【0057】
このように構成された本実施の形態の水流管理システム1は、水封ボーリング2の内部に給水管4と、それよりも短い排水管5が延設されており、水圧調整手段6によって排水管5の水圧を変化させることができる。
【0058】
そして、排水管5の水圧が水封ボーリング2内よりも高いときには水封ボーリング2の内側から外側に向けての水の流れが生じ、反対に排水管5の水圧が水封ボーリング2内よりも低いときには排水管5に水が流れ込むことによって水封ボーリング2の外側から内側に向けての水の流れが生じることになる。
【0059】
このように水封ボーリング2内の水流の向きを自在に変化させることができれば、一方向の流れで亀裂Rに詰まった介在物Sを逆方向の流れで取り除くことができる。すなわち、水封ボーリング2から岩盤に供給される水量が低下して水の流れが悪くなったときに、水封ボーリング2に対して逆洗浄をおこなうことで、水の流れを回復させることができる。
【0060】
また、排水井61と、その排水井61の水を排水する排水ポンプ62とを設けることによって、排水井61の水位6aを容易に変化させることができる。そして、排水井61の水位6aが変化すれば、それに接続されている排水管5の水圧も変わることになるので、排水管5の水圧を容易に調整することができる。
【0061】
さらに、その排水ポンプ62が配置される排水井61は、周面がケーシング管61aで形成されるとともに底蓋61bを有しているため、外部から地下水などの浸入がなく、排水ポンプ62による排水を排水管5の水圧低下に直結させることができる。
【0062】
また、排水管5とそれに接続されて地上まで延設された排水井61が設けられていれば、給水管4の経路が閉塞したり、給水ポンプ41が故障したりして給水に支障が生じた場合でも、排水管5から水封ボーリング2内に給水をおこない、水の供給を継続させることができる。
【0063】
さらに、給水管4に給水ポンプ41を接続することによって、水封ボーリング2内への送水を強制的におこなうことができるようになる。また、排水ポンプ62を使った排水管5からの排水と併せて実施することで、入口と出口の両方で強制的に水流を生成することができるようになり、水封ボーリング2内の流速を高めることができる。
【0064】
特に、目詰まりが生じているにも関わらず、排水量を増加させるために給水ポンプ41の圧力だけ上げると、給水管4の管圧が上昇して損傷するおそれがあるが、水の入口側と出口側の両方にポンプ(41,62)を設けることによって、給水管4や排水管5の管圧を上昇させることなく流速を増加させることができる。
【0065】
また、水封ボーリング2の流速を高めることができれば、壁面に付着した介在物Sや亀裂Rに挟まった介在物Sだけでなく、水封ボーリング2の底に堆積した堆積物も除去することができるようになる。
【0066】
そして、このような水流管理システム1を備えた水封式地下タンク7であれば、水封ボーリング2が目詰まりを起こして水の供給量が低下しても、水流の向きを変えて逆洗浄して容易に供給量を回復させることが可能なため、永続的に水封式地下タンク7を利用することができる。
【0067】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0068】
例えば、前記実施の形態では、給水管4に給水ポンプ41を接続する構成について説明したが、これに限定されるものではなく、給水ポンプ41がない構成であってもよい。また、給水管4の上端は必ずしも地上に設ける必要はない。
【0069】
また、前記実施の形態では、排水井61は、ケーシング管61aと底蓋61bとによって遮水構造にしたが、これに加えて排水井61の途中に井戸用のパッカー(図示せず)を配置し、揚水管62aとケーシング管61aの内周面との隙間を塞ぐことによって、排水ポンプ62が配置された区間を密閉構造にすることができる。
【0070】
このような密閉構造とした区間に排水管5を接続することで、排水ポンプ62の吸込み効率が向上し、排水管5の水圧を迅速に低下させることができるようになる。また、排水ポンプ62の吸引力が高まれば、水封ボーリング2内にスワビングを起こして大量に介在物Sや堆積物を除去することもできる。
【0071】
さらに、前記実施の形態では、水圧調整手段6を排水井61と排水ポンプ62とによって構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、排水管5の端部を真空ポンプに直結させるなどして排水井61を設けない構成とすることもできる。
【0072】
また、前記実施の形態では、給水管4と排水管5とが並列した状態でパッカー3を貫通する構造となっているが、これに限定されるものではなく、パッカーを貫通する箇所では、排水管を外管とし給水管を内管とする二重管構造とすることもできる。このような二重管構造であれば、水封ボーリング2の口元で露出するのは排水管のみになり、パッカーと排水管との密着箇所も単純な円形になるため、環状のパッカー3を使用するなどして止水構造を簡素化することができる。
【0073】
そして、本発明の水流管理システム1は、前記実施の形態で説明した水封式地下タンク7に適用されるものに限定されない。例えば、取水用に設けられた水封ボーリング2にも本発明の水流管理システム1を適用することができる。なお、この場合は、通常時及び洗浄時の水流の向きが水封式地下タンク7に適用する場合とはそれぞれ逆向きになる。
【符号の説明】
【0074】
1 水流管理システム
2 水封ボーリング
3 パッカー
4 給水管(第1管体)
4a 開口
41 給水ポンプ
5 排水管(第2管体)
5a 開口
6 水圧調整手段
61 排水井(縦穴)
62 排水ポンプ(水中ポンプ)
7 水封式地下タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下に形成されて水が充填される水封ボーリング内の水流方向を制御する水流管理システムであって、
前記水封ボーリングの口元に設置するパッカーと、
前記パッカーを貫通して前記水封ボーリングの内部に延設される第1管体と、
前記パッカーを貫通して前記第1管体の開口よりも前記パッカーに近い位置に開口が位置する第2管体と、
前記第2管体に接続されてその水圧を制御する水圧調整手段とを備えたことを特徴とする水流管理システム。
【請求項2】
前記水圧調整手段は、縦穴と、その縦穴の水を排水する水中ポンプとを有し、前記縦穴に前記第2管体の端部が接続されることを特徴とする請求項1に記載の水流管理システム。
【請求項3】
前記水中ポンプが配置されている前記縦穴の区間を密閉構造にすることを特徴とする請求項2に記載の水流管理システム。
【請求項4】
前記パッカーを貫通する箇所では、前記第2管体の内部に前記第1管体が挿入された二重管構造であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水流管理システム。
【請求項5】
前記第1管体に給水ポンプを接続することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の水流管理システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の水流管理システムを備えたことを特徴とする水封式地下タンク。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−216076(P2010−216076A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60431(P2009−60431)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】