説明

水浄化装置

【課題】本発明は、小型化することができ効率よく被処理水を浄化することができる水浄化装置を提供する。
【解決手段】本発明の水浄化装置は、浄化槽と、前記浄化槽内に設けられた浄化部とを備え、前記浄化部は、複数の板状光触媒部材を含み、かつ、前記浄化槽で浄化される被処理水が流通する曲折した複数の流路を有し、前記板状光触媒部材は、面発光可能な板状発光体と、前記板状発光体の少なくとも一方の面上に設けられた光触媒層を有し、前記光触媒層は、前記流路の内壁を構成することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化チタンなどの光触媒にブラックライト、水銀灯などからの紫外線を照射することにより生じる光触媒活性を利用した水浄化装置が知られている(例えば、特許文献1)。
このような光触媒活性を利用した水浄化装置では、酸化チタンなどの光触媒を担持した多孔質体や繊維布に紫外線などを照射し、この多孔質体や繊維布に被処理水を流通させることにより被処理水の浄化を行っている。このことにより、被処理水と光触媒との接触確率を高くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−93549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の水浄化装置では、光触媒を担持した多孔質体の孔中や光触媒を担持した繊維布の繊維間に被処理水を流すため、流すことができる水量が少なく、一定の水量を浄化するためには装置を大型化する必要がある。
また、従来の水浄化装置では、孔中や繊維間に被処理水を流すと、有機物や無機物が流路に詰まりやすく、使用を続けると光触媒を担持した多孔質体などを交換する必要がある。
さらに、従来の水浄化装置では、光源から遠い光触媒には紫外線が十分に照射されず、十分な光触媒活性を有さないことがあり、この部分を流通した被処理水は浄化されずに排水される場合がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、小型化することができ効率よく被処理水を浄化することができる水浄化装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、浄化槽と、前記浄化槽内に設けられた浄化部とを備え、前記浄化部は、複数の板状光触媒部材を含み、かつ、前記浄化槽で浄化される被処理水が流通する曲折した複数の流路を有し、前記板状光触媒部材は、面発光可能な板状発光体と、前記板状発光体の少なくとも一方の面上に設けられた光触媒層を有し、前記光触媒層は、前記流路の内壁を構成することを特徴とする水浄化装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、浄化部が曲折した流路を複数有し、光触媒層がこの流路の内壁を構成するため、被処理水を効率よく光触媒層に接触することができ、被処理水を効率よく浄化することができる。
本発明によれば、浄化部が複数の板状光触媒部材を含み、この板状光触媒部材の少なくとも一方の面に形成された光触媒層が浄化部の流路の内壁を構成するため、流路の断面積を適切な大きさにすることができる。このため、被処理水が光触媒層に効率よく接触することができ、かつ、流路が詰まりにくくすることができる。
本発明によれば、浄化部に含まれる板状光触媒部材が、面発光可能な板状発光体と、板状発光体の少なくとも一方の面上に設けられた光触媒層を有するため、光触媒層が板状発光体の発光を受光することができ光触媒活性を有することができる。また、板状発光体は面発光可能であるため、光触媒層は板状発光体からの光を受光することができ、浄化部に含まれる光触媒層の光触媒活性を全体的に高くすることができる。このことにより、浄化部に光触媒活性の低い光触媒層があることにより、被処理水が未浄化のまま浄化槽から排出されることを防止することができる。また、光源の発光を効率よく光触媒層に照射することができ、消費電力を節約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態の水浄化装置の構成を示す概略断面図である。
【図2】(a)は、本発明の一実施形態の水浄化装置に含まれる板状光触媒部材の概略平面図であり、(b)は(a)の点線A−Aにおける板状光触媒部材の概略断面図である。
【図3】(a)は、本発明の一実施形態の水浄化装置に含まれる板状光触媒部材の概略平面図であり、(b)は(a)の点線B−Bにおける板状光触媒部材の概略断面図である。
【図4】(a)は、本発明の一実施形態の水浄化装置に含まれる板状光触媒部材の概略平面図であり、(b)は(a)の点線C−Cにおける板状光触媒部材の概略断面図である。
【図5】(a)は、本発明の一実施形態の水浄化装置に含まれる板状光触媒部材の概略平面図であり、(b)は(a)の点線D−Dにおける板状光触媒部材の概略断面図である。
【図6】図5(b)の点線で囲んだ範囲Eにおける板状光触媒部材の概略断面図である。
【図7】図5(b)の点線で囲んだ範囲Eに対応する板状光触媒部材の概略断面図である。
【図8】本発明の一実施形態の水浄化装置に含まれる浄化部の概略斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態の水浄化装置に含まれる浄化部内の流路の説明図である。
【図10】本発明の一実施形態の水浄化装置の構成を示す概略断面図である。
【図11】(a)は本発明の一実施形態の水浄化装置に含まれる浄化ユニットの概略平面図であり、(b)は(a)の点線F−Fにおける浄化ユニットの概略断面図である。
【図12】参考実験において作製した発光素子に含まれる絶縁体層中および第1電極中のGe原子の濃度分布のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図13】参考実験において作製した発光素子の発光スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の水浄化装置は、浄化槽と、前記浄化槽内に設けられた浄化部とを備え、前記浄化部は、複数の板状光触媒部材を含み、かつ、前記浄化槽で浄化される被処理水が流通する曲折した複数の流路を有し、前記板状光触媒部材は、面発光可能な板状発光体と、前記板状発光体の少なくとも一方の面上に設けられた光触媒層を有し、前記光触媒層は、前記流路の内壁を構成することを特徴とする。
【0009】
浄化槽とは、水浄化装置で浄化する被処理水を溜めるまたは流通させる水槽である。
浄化部とは、被処理水を浄化する機能を有する部分である。
板状光触媒部材とは、光触媒を含む板状の部材である。
板状発光体とは、発光することができる板状の部材である。
【0010】
本発明の水浄化装置において、前記流路は、複数の分岐点および複数の合流点を有することが好ましい。
このような構成によれば、浄化槽で浄化する被処理水が流路の側壁の光触媒層に接触する確率を高くすることができ、効率的に被処理水を浄化することができる。
本発明の水浄化装置において、前記板状光触媒部材は、短冊形状または格子形状であることが好ましい。
このような構成によれば、板状光触媒部材を組み合わせることにより、容易に流路を有する浄化部を形成することができる。
【0011】
本発明の水浄化装置において、前記浄化部は、縦方向に並列に間隔をおいて並べられた短冊形状の前記板状光触媒部材と、横方向に並列に間隔をおいて並べられた短冊形状の前記板状光触媒部材とが交互に積重された構造を有することが好ましい。
このような構成によれば、並列に並べた板状光触媒部材の隙間を被処理水の流路とすることができ、この流路を流れた被処理水が他の板状光触媒部材にぶつかるように被処理水を流すことができ、被処理水が光触媒層に効率よく接触させることができる。
本発明の水浄化装置において、前記浄化部は、前記板状光触媒部材を積重した方向からの平面視において、前記板状光触媒部材が隙間なく配置された構造を有することが好ましい。
このような構成によれば、被処理水が流れる流路が曲折したものとなり、被処理水が光触媒層に接触する確率を高くすることができる。
本発明の水浄化装置において、前記板状光触媒部材は、1μm以上かつ並列間隔以下の隙間を空けて積重されたことが好ましい。
このような構成によれば、被処理水が流れる流路が曲折したものとなり、被処理水が光触媒層に接触する確率を高くすることができるとともに、被処理水と接触可能な光触媒層の表面積を増やすことができる。また、被処理水の水量を多くすることもできる。
【0012】
本発明の水浄化装置において、前記光触媒層は、前記板状発光体の両面上にそれぞれ設けられたことが好ましい。
このような構成によれば、浄化部に含まれる光触媒層の表面積を広くすることができ、水浄化装置の浄化能を高くすることができる。
本発明の水浄化装置において、複数の板状光触媒部材は、第1板状光触媒部材と、第1板状光触媒部材に対向するように設けられた第2板状光触媒部材とを含み、第1板状光触媒部材に含まれる光触媒層は、第2板状光触媒部材に含まれる前記板状発光体の発光を受光できるように設けられたことが好ましい。
このような構成によれば、第1板状光触媒部材に含まれる光触媒層が受光する光量を多くすることができ、光触媒活性を高くすることができる。
【0013】
本発明の水浄化装置において、前記板状発光体の側面に光を照射することができるように設けられた光源部をさらに備え、前記板状発光体は、導光板であることが好ましい。
このような構成によれば、導光板から面発光させることができ、光触媒層に光触媒活性の低い部分が発生することを抑制することができる。このことにより、被処理水が浄化されずに排水されることを抑制することができる。
本発明の水浄化装置において、前記光源部は、発光ダイオードを含むことが好ましい。
このような構成によれば、光源部を小型化、省エネ化、長寿命化することができる。
【0014】
本発明の水浄化装置において、前記板状光触媒部材は、前記板状発光体の一方の面上に設けられた第1光触媒層と、前記板状発光体の他方の面上に設けられた反射層と、前記反射層の上に設けられかつ受光可能に設けられた第2光触媒層とを備えることが好ましい。
このような構成によれば、第1光触媒層が受光する光量を多くすることができ、更に第1光触媒層が吸収しきれなかった光を第2光触媒層が受光することで投入した光を無駄なく利用でき全体として光触媒能力が向上する。更に反射層の第2光触媒層側にも反射機能を付与しておくことで、第2光触媒層で吸収しきれなかった光を反射して再度第2光触媒層、更にそれでも吸収し切れなかった光を第1光触媒層に受光させることができる。また別の使い方としては、第1光触媒層に比べて第2光触媒層が受光する光量を少なくすることができる。このことにより、多くの被処理水が接触する光触媒層の光触媒活性を高くすることができ、より少ない被処理水が接触する光触媒層の光触媒活性を低くすることができる。このことにより、浄化部の流路との関係で光触媒層の光触媒活性をコントロールすることができる。
本発明の水浄化装置において、前記反射層は、導電性を有し、第2光触媒層は、前記反射層と電気的に接続したことが好ましい。
このような構成によれば、光触媒層に含まれる光触媒が受光することにより生じる電子と正孔のうち、電子が反射層に伝導することができ、正孔が光触媒の表面においてOHラジカルなどの活性種を発生させることができる。このことにより、電子と正孔とが再結合する確率を低くすることができ、光触媒層の光触媒活性を高くすることができる。
【0015】
本発明の水浄化装置において、前記板状発光体は、導体または半導体からなる第1電極と、透光性電極と、第1電極と前記透光性電極とに挟まれた絶縁体層と、前記絶縁体層の内部に形成されGeを含む発光体とを備えることが好ましい。
このような構成によれば、第1電極と透光性電極との間に電圧を印加することにより発光体を発光させることができ、板状発光体を面発光させることができる。
本発明の水浄化装置において、前記光触媒層は、微粒子状の光触媒を有することが好ましい。
このような構成によれば、光触媒層に含まれる光触媒の表面積を広くすることができ、被処理水が光触媒に接触する確率を高くすることができる。
【0016】
本発明の水浄化装置において、前記光触媒層は、TiO2、SnO2、WO3、Fe23、ZnO、Nb25、SrTiO3、KTaO3、ZrO2、GaP、BiVO4、Bi2MoO6、Ag3PO4のうち少なくとも1つを含むことが好ましい。
このような構成によれば、光触媒層が光触媒を含むことができる。
本発明の水浄化装置において、前記光触媒層は、Pt、Pd、Ru、Rh、Au、Ag、Cu、Fe、Ni、Zn、Ga、Ge、InおよびSnのうち少なくとも1つの金属が担持された酸化チタンを含むことが好ましい。
このような構成によれば、光触媒層に含まれる光触媒が高い光触媒活性を有することができる。
【0017】
本発明の水浄化装置において、前記浄化槽および前記浄化部は、前記浄化槽の一部および前記板状光触媒部材を含む浄化ユニットが積重する構造を有することが好ましい。
このような構成によれば、水浄化装置は、構成する浄化ユニットの数を変えることができ、浄化能を変更することができる。このことにより、要求される浄化能に応じて、水浄化装置の浄化能を変更することができる。
本発明の水浄化装置において、前記浄化槽の内壁上に第3光触媒層をさらに有することが好ましい。
このような構成によれば、前記浄化槽の内壁上に第3光触媒層においても被処理水を浄化することができ、水浄化装置の浄化能を高くすることができる。
【0018】
本発明の水浄化装置において、前記浄化槽で浄化される被処理水中に酸素またはオゾンを含む気泡を供給する気泡発生部をさらに備えることが好ましい。
このような構成によれば、被処理水中の溶存酸素量を多くすることができ、光触媒の表面においてスーパーオキシドラジカルおよびOHラジカルを発生させることができ、光触媒活性を高くすることができる。
本発明の水浄化装置において、前記気泡は、マイクロ−ナノバブルであることが好ましい。
このような構成によれば、気泡が凝集し光触媒層の表面に滞留することを防止することができる。
本発明の水浄化装置において、前記浄化部に超音波を照射する超音波発生部をさらに備えることが好ましい。
このような構成によれば、光触媒表面の汚れ付着を防止することができ、また、流路の目詰まりを防止することができる。また、被処理水が光触媒近辺で滞留することを抑制することができる。
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。図面や以下の記述中で示す構成は、例示であって、本発明の範囲は、図面や以下の記述中で示すものに限定されない。
【0020】
水浄化装置の構成
図1、図10は水浄化装置の構成を示す概略断面図であり、図2、3、4、5は、水浄化装置に含まれる板状光触媒部材の概略平面図および概略断面図であり、図6、7は、板状光触媒部材の一部の概略断面図であり、図8は、水浄化装置に含まれる浄化部の概略斜視図であり、図9は、浄化部内の流路の説明図であり、図11は、水浄化装置に含まれる浄化ユニットの概略平面図および概略断面図である。
【0021】
本実施形態の水浄化装置27は、浄化槽1と、浄化槽1内に設けられた浄化部3とを備え、浄化部3は、複数の板状光触媒部材7を含み、かつ、浄化槽1で浄化される被処理水が流通する曲折した複数の流路10を有し、板状光触媒部材7は、面発光可能な板状発光体5と、板状発光体5の少なくとも一方の面上に設けられた光触媒層6を有し、光触媒層6は、流路10の内壁を構成することを特徴とする。
また、本実施形態の水浄化装置27は、気泡発生部24、超音波発生部25を備えてもよい。また、本実施形態の水浄化装置27は、浄化ユニット39が積重する構造を有してもよい。
以下、本実施形態の水浄化装置について説明する。
【0022】
1.浄化槽
浄化槽1は、被処理水を浄化するための水槽である。浄化槽1は、被処理水を溜めるまたは流すことができれば特に限定されない。浄化槽1は、例えば、金属製、樹脂製、強化プラスチック製、ガラス製、陶器製である。
浄化槽1は、その内部に浄化部3を備える。このため、浄化槽1内の被処理水を浄化部3により浄化することができる。
【0023】
浄化槽1は、その一部が透光性部材12から構成されてもよい。例えば図1のように、透光性部材12の外側に光源部14を設置すると、この光源部14の発光を光触媒層6に照射することができ、光触媒層6が光触媒活性を有することができる。また、このような構造にすると、光源部14を浄化槽1内の被処理水と分離でき、漏電を防止することができ、光源部の長寿命化を図ることができる。
【0024】
浄化槽1は、流入口17および排水口18を有することができる。このことにより、未浄化の被処理水を流入口17から浄化槽1内に流入させることができ、浄化した被処理水を排水口18から排出することができる。また、図1のように流入口17から浄化槽1内に被処理水を流入させる前に不純物を取り除けるように、フィルター22を設けてもよい。フィルター22は孔径の異なる複数の種類から成っていてもよい。例えば、MF膜やUF膜、RO膜等を使用することができる。このことにより、水浄化装置27の浄化能を向上させることができる。
【0025】
浄化槽1は、図1のようにその内壁上に光触媒層6を有することができる。この浄化槽1の内壁上に設けられた光触媒層6が板状発光体5の発光を受光し、光触媒活性を有することができ、水浄化装置27の浄化能を向上させることができる。また、浄化槽1は、その内壁上に反射層を備えることもできる。このことにより、浄化槽1の内壁に照射された光を浄化槽1の内部側に反射させることができ、板状光触媒部材7に含まれる光触媒層6の受光量を多くすることができ、水浄化装置27の浄化能を向上させることができる。
また、浄化槽1は、図10のように、図11に示したような浄化ユニット39が積重することにより形成されてもよい。この場合、隣接する2つの浄化ユニット39間にシール部材41を設けることにより、被処理水が漏れるのを防止することができる。
【0026】
2.板状光触媒部材、板状発光体、光触媒層
板状光触媒部材7は、浄化部3に含まれ、面発光可能な板状発光体5と、板状発光体5の少なくとも一方の面上に設けられた光触媒層6とを有する。このような構造を有することにより、板状発光体5が発する光を光触媒層6が受光することができ、光触媒層6が光触媒活性を有することができる。
板状光触媒部材7の形状は、特に限定されないが、例えば図2、4、5のように短冊形状であってもよく、図3のように格子形状であってよい。このような形状の板状光触媒部材7を複数組み合わせることにより、浄化部3を形成することができ、浄化部3中に流路10を形成することができる。
また、板状光触媒部材7は、図11のような浄化ユニット39を構成してもよい。
【0027】
板状発光体5は、面発光可能であれば特に限定されないが、例えば、その側面から光を入射可能に設けられた導光板である。この導光板は、側面から入射した光を面発光することができる。導光板は、例えば、反射ドットが形成されたアクリル板からなる。この場合、アクリル板の側面から入射した光は、アクリル板の表面反射を繰り返すことにより、アクリル板全体に広がることができ、反射ドットで散乱された光がアクリル板の表面から外に出て行くことができる。このように導光板は面発光することができる。また、導光板は、その一方の面から面発光するものであってもよく、両面から面発光するものであってもよい。また、このアクリル板は、紫外線透過アクリルからなってもよい。このことにより、アクリル板による紫外線吸収を抑制することができ、光触媒層6の受光量を多くすることができる。
【0028】
反射ドットは、例えば、白色インクで印刷したものであってもよく、スタンパーやインジェクションでアクリル板の表面につけた凹凸であってもよく、アクリル板を溝加工することにより形成された溝であってもよい。反射ドットは、アクリル板の一方の面にのみ形成されてもよく、両方の面に形成されてよい。
【0029】
導光板の側面に入射する光は、光源14が照射する光であってもよく、太陽光であってもよい。浄化槽1を構成する透光性部材12に太陽光が入射するように水浄化装置27を設置するように配置することにより、導光板に太陽光を入射させることができる。
また、導光板の側面に光源14からの光を入射させる場合、光源14は、光触媒活性を生じさせることができるものであれば特に限定されないが、例えば、水銀ランプ、キセノンランプ、ブラックライト、紫外線LEDなどである。また、光源14は、導光板の側面に効率よく光を入射させるために反射カバーを備えてもよい。また、光源14は、紫外光を発するものであることが好ましい。このことにより、光触媒層6が高い光触媒活性を有することができ、また、光源14の発する紫外光による殺菌効果により被処理水を浄化することができる。
また、光源14は、図1のように浄化槽1を構成する透光性部材12を介して導光板の側面に光を照射するように設けてもよく、図10のように導光板の側面に隣接して設けることもできる。また、光源14からの光を光ファイバーで導光板の側面に供給してもよい。このことにより、光源14からの光を効率よく導光板に供給することができ、また、設置する光源14の数を減らすことができる。
【0030】
また、板状発光体5は、図5、図6に示したように、基板31の少なくとも一方の面に、導体または半導体からなる第1電極32と、透光性電極34と、第1電極32と透光性電極34とに挟まれた絶縁体層33と、絶縁体層33の内部に形成されGeを含む発光体35とを備えるものであってもよい。このような構成によれば、第1電極32と透光性電極34との間に電圧を印加することにより、絶縁体層33に電流を流すことができ、この電流により発光体35を発光させることができる。また、発光体35にGeを含むものを用いることにより、発光体35から紫外線を発光させることができる。また、板状発光体5は、基板31の両面に第1電極32、絶縁体層33、透光性電極34を設けることができる。
例えば、第1電極32は不純物をドープしたシリコンとすることができ、絶縁体層33はSiO2膜とすることができ、透光性電極34はITO電極やスリット状の電極とすることができる。また、絶縁体層33中の発光体35は、例えば、SiO2膜にGeをイオン注入することにより形成することができる。
【0031】
また、板状発光体5は、基板の少なくとも一方の面に、不純物を含む導体または不純物を含む半導体からなる第1電極32と、透光性電極34と、第1電極32および透光性電極34に挟まれた絶縁体層33とを備え、第1電極32は、イオン注入された原子を有し、前記原子は、絶縁体層33と第1電極32との界面から500nm以内の第1電極32中に濃度ピークを有するものであってもよい。このような構成によれば、第1電極32と透光性電極34との間に電圧を印加することにより、板状発光体5を発光させることができる。
また、第1電極32にイオン注入された原子はGeを含むものを用いることにより、紫外線を発光させることができる。また、板状発光体5は、基板31の両面に第1電極32、絶縁体層33、透光性電極34を設けることができる。
例えば、第1電極32は不純物をドープしたシリコンとすることができ、絶縁体層33はSiO2膜とすることができ、透光性電極34はITO電極やスリット状の電極とすることができる。また、イオン注入された原子を有する第1電極32は、例えば、シリコン基板に直接または絶縁体層付きシリコン基板に、Geをイオン注入することにより形成することができる。
【0032】
光触媒層6は、光触媒を含む層であり、受光することにより光触媒活性を有する。光触媒層6に含まれる光触媒は、例えば、TiO2、SnO2、WO3、Fe23、ZnO、Nb25、SrTiO3、KTaO3、ZrO2、GaP、BiVO4、Bi2MoO6、Ag3PO4であり、また、これらの表面にPt、Pd、Ru、Rh、Au、Ag、Cu、Fe、Ni、Zn、Ga、Ge、InおよびSnのうち少なくとも1つの金属が担持されたものであってもよい。光触媒層6に含まれる光触媒は、好ましくは酸化チタンである。
光触媒層6は、光触媒を含む薄膜であってもよく厚膜であってもよい。また、光触媒を含むフィルム、光触媒が担持されたガラスや繊維体などであってもよい。光触媒層6が光触媒を含む薄膜である場合、例えば、CVD法やスパッタ法により形成することができ、光触媒層6が光触媒を含む厚膜である場合、例えば、微粒子状の光触媒を含むペースト、コーティング剤を板状発光体上に塗布、乾燥または焼成することにより形成することができる。
【0033】
光触媒層6は、板状発光体5の少なくとも一方の面上に設けられる。このことにより、光触媒層6は、板状発光体5からの光を受光することができ、光触媒活性を有することができる。光触媒層6は、板状発光体5の一方の面上のみに設けられてもよく、図2〜5のように板状発光体5の両面上に設けられてもよい。光触媒層6が板状発光体5の一方の面上のみに設けられ、板状発光体5が導光板からなる場合、他方の面上には反射層29が設けられてもよい。このことにより、反射層29からの反射光を光触媒層6が受光することができ、光触媒層6の受光量を多くすることができる。また、図4のように、板状発光体5の一方の面上に反射層29と光触媒層6とを積層してもよい。この場合、反射層29が形成されていない面上の光触媒層6の受光量を多くすることができ、反射層29の上に形成された光触媒層6が他の板状発光体5が発する光を受光することができる。このことにより、光触媒層が吸収しきれなかった光を他の光触媒層で吸収することで投入した光を無駄なく利用でき全体として光触媒能力が向上する。また、高い光触媒活性を有する部分と、低い光触媒活性を有する部分とを作ることができ、被処理水の流通に合わせてこれらの部分を形成することができる。
【0034】
また、反射層29と光触媒層6とが積層されている場合、反射層29は導電性を有し、光触媒層6と電気的に接続してもよい。このことにより、反射層29を導電板として用いることができ、光触媒層6が受光することにより生成する電子および正孔のうち、電子を反射層29に引き付け、正孔は光触媒の表面でOHラジカルなどの活性種の生成に利用することができる。このことにより、光触媒が受光することにより生成した電子および正孔の再結合を抑制することができ、光触媒の表面における活性種の生成効率を向上させることができる。
また、反射層29上に形成する光触媒層6は、光触媒が担持された透明導電膜であってもよい。このことにより、反射層29と光触媒層6との間を電荷が容易に移動することができる。
【0035】
また、光触媒層6が図5のような板状発光体5上に形成される場合、光触媒層6は、図6のように透光性電極34の上に直接形成されてもよい。このことにより、透光性電極34に印加する電圧により、光触媒層6の光触媒活性を向上させることもできる。また、光触媒層6は、図7のように透光性電極34との間に透光性絶縁層37を挟んで形成されてもよい。このことにより、光触媒層6が透光性電極34に印加する電圧の影響を受けることを抑制することができ、光触媒層6の光触媒活性を安定させることができる。また、透光性絶縁層37により、透光性電極などを保護することができる。
また、光触媒層6は、浄化部3内の流路10の内壁を構成する。このことにより、流路10を流通する被処理水を光触媒層6に接触させることができ、被処理水を浄化することができる。
【0036】
3.浄化部、流路
浄化部3は、浄化槽1の内部に設けられる。このことにより、浄化槽1内の被処理水を浄化することができる。また、浄化部3は複数の板状光触媒部材7を含み、浄化槽1で浄化される被処理水が流通する曲折した流路10を複数有し、光触媒層6がこの流路10の内壁を構成する。この流路10に被処理水を流通させることにより、被処理水を光触媒層6に効率よく接触させることができ、被処理水を浄化することができる。
【0037】
浄化部3は、例えば、図2、4、5のような短冊形状の板状光触媒部材7を組み合わせることにより形成することができる。このことにより、内壁が光触媒層6で構成される流路10を有する浄化部3を容易に形成することができ、流路10の断面積を適切な大きさに形成することができる。
浄化部3は、縦方向に並列に間隔をおいて並べられた短冊形状の板状光触媒部材7と、横方向に並列に間隔をおいて並べられた短冊形状の板状光触媒部材7とが交互に積重された構造を有することができる。このことにより、並列に並べられた隣接する2つの板状光触媒部材7の間の空間を被処理水を流通させる流路10とすることができ、縦方向に並べた板状光触媒部材7により形成される空間と横方向に並べた板状光触媒部材7により形成される空間とがつながった流路10を形成することができる。このようにして形成された流路10は、内壁が触媒層6を含み、曲折した流路を複数有し、複数の分岐点および複数の合流点を有する。また、板状光触媒部材7は、3層以上100層以下に積重することができる。
板状光触媒部材7は、浄化槽1に固定されていてもよく、固定されていなくてもよい。また、並列に並べられた短冊形状の板状光触媒部材7は、その間隔が変化しないように連結されていてもよい。また、積重された各層の板状光触媒部材7は、連結していてもよく連結していなくてもよい。
【0038】
また、浄化部3は、図3に示したような格子形状の板状光触媒部材7を積重して形成することもできる。このことにより、短冊形状の板状光触媒部材7を積重して形成した浄化部3と同様に内壁が光触媒層6で構成される流路10を有する浄化部3を容易に形成することができ、流路10の断面積を適切な大きさに形成することができる。
【0039】
また、浄化部3は、板状光触媒部材7を積重した方向からの平面視において、板状光触媒部材7が隙間なく配置された構造を有してもよい。このことにより、浄化部3内に形成される流路10を曲折したものとすることができ、流路10を流れる被処理水が流路10の内壁を構成する光触媒層6に接触しやすくなり、効率よく被処理水を浄化することができる。
【0040】
浄化部3は、例えば、図8に示した斜視図のように短冊形状の板状光触媒部材7を組み合わせることにより形成することができる。図8において、最下層(第1層45)の短冊形状の板状光触媒部材7は、x方向に並列に間隔をおいて並べられ、その上のz方向に積重された層(第2層46)の短冊形状の板状光触媒部材7は、y方向に並列に間隔をおいて並べられている。その上のz方向に積重された層(第3層47)の短冊形状の板状光触媒部材7は、x方向に並列に間隔をおいて並べられる。この第3層47の板状光触媒部材7は、第1層の板状光触媒部材7の間隔よりも広い幅を有し、z方向からの平面視において、第1層の板状光触媒部材7の隙間を埋めるように並べられる。このことにより、浄化部3内の流路10を曲折したものとすることができる。その上のz方向に積重された層(第4層48)の短冊形状の板状光触媒部材7はy方向に並列に間隔をおいて並べられている。第4層48の板状光触媒部材7は、z方向からの平面視において、第2層46の板状光触媒部材7の隙間を埋めるように並べることもできる。
第1層から第4層を繰り返し積層することにより、図8のような浄化部3を形成することができる。なお、図1、図10の断面図は、図8のx−z面の断面図に対応する。
また、浄化部3は、被処理水が図8の最下層側から浄化部3に流入し、図8の浄化部3の最上層側から流出するように設けることができる。
【0041】
図9は、浄化部3内に形成される流路10を模式的に表した説明図である。図9は、図8のx−z面の断面図に対応し、第2層46、第4層48が含まれない部分の断面図である。図9の下側から浄化部3に流入した被処理水は、第1層45の板状光触媒部材7の隙間を流れ、この流れは、第3層37の板状光触媒部材7にぶつかり分岐し、隣接する第1層45の板状光触媒部材7の隙間の流れが分岐した流れと合流し、第3層37の板状光触媒部材7の隙間を流れる。このように流路10は、分岐点と合流点を繰り返した流路とすることができ、被処理水が板状光触媒部材7に含まれる光触媒層6と接触しやすくできる。また、光触媒層6は、流路10の内壁を構成することができる。
【0042】
また、図8、図9のような浄化部3において、第1層45の板状光触媒部材7(第1板状光触媒部材)とその4層上に積層された第1層45の板状光触媒部材7(第2板状光触媒部材)とは、対向するように設けられる。このとき、第1板状光触媒部材に含まれる光触媒層6は、第2板状光触媒部材に含まれる板状発光体の発光を受光できるように設けることができる。このことにより、第1板状光触媒部材に含まれる光触媒層6が、第1板状光触媒部材に含まれる板状発光体からの発光、および第2板状光触媒部材に含まれる板状発光体からの発光の両方を受光することができ、光触媒層6の光触媒活性を高くすることができる。また、図4のように、板状発光体の一方の面上に第1光触媒層6が設けられ、他方の面上に反射層29が設けられ、反射層29の上に第2光触媒層6が設けられた板状光触媒部材7であっても、第2光触媒層6が対向して設けられた板状光触媒部材7に含まれる板状発光体5の発光を受光することができ、光触媒活性を有することができる。
【0043】
浄化部3は、図11に示したような浄化槽1の一部および板状光触媒部材7を含む浄化ユニット39を、図10のように積重することにより浄化部3を形成することができる。このことにより、積層する浄化ユニット39の数を変えることにより浄化部3の浄化能を変更することができる。つまり要求される浄化能に応じて、水処理装置27の浄化能を変えることができる。
水浄化装置27は、図8、図9に示した浄化部3と同じように板状光触媒部7が組まれるように浄化ユニット39を積重することにより形成することができる。つまり、図8に示した第1層から第4層に対応する第1浄化ユニット、第2浄化ユニット、第3浄化ユニット、第4浄化ユニットを積重することにより図9に示した流路10と同じような流路10を形成することができる。
【0044】
4.気泡発生部、超音波発生部
気泡発生部24は、浄化槽1で浄化される被処理水中に酸素またはオゾンを含む気泡を供給するように設けることができる。例えば、図1のように浄化槽1の流入口17に気泡が供給された被処理水が流れるように気泡発生部24を設けることができる。このことにより、被処理水中の溶存酸素量を多くすることができ、スーパーオキシドラジカルO2-・の生成を促し、水素H2の発生を抑制することができる。また、光触媒が受光することにより生じた電子と正孔の再結合を抑制することができ、光触媒層6の光触媒活性を高くすることができる。また、被処理水中の気泡により、板状発光体5の発光を散乱することができ、光触媒層6に影ができ光触媒活性が低下することを防止することができる。また、被処理水中に気泡が存在することにより、水流に乱流が顕著に発生し、攪拌装置なしに攪拌効果を有することができる。それにより光触媒表面に水が滞留することが抑制され、効率よく水が光触媒表面に供給されるため実効的な浄化効率(触媒効率)が向上する。また気泡の分解効果により、光触媒表面のゴミの付着、2つの板状光触媒部材7の隙間の目詰まりを抑制することができる。
また、気泡発生部24は、マイクロ−ナノバブルを発生させるものであってもよい。このことにより、気泡が凝集し光触媒層6の表面に滞留することを防止することができる。
【0045】
超音波発生部25は、浄化部3に超音波を照射することができるように設けることができる。例えば、図1のように浄化槽1の外側に超音波発生部25を設けることができる。浄化部3に超音波を照射することにより、光触媒表面の汚れ付着を防止することができ、また、流路の目詰まりを防止することができる。また、被処理水が光触媒近辺で滞留することを抑制することができる。
また、気泡発生部24と超音波発生部25の両方を設けた場合、超音波発生部25が浄化部3に超音波を照射することにより、気泡発生部24において発生させた気泡の凝集を抑制することができ、大きな気泡による水流の阻害を防止することができる。また、光触媒表面に気泡が付着、滞留することによる実効的な光触媒活性の低下を防止することができる。
【0046】
参考実験
第1電極32、絶縁体層33および透光性電極34を有する板状発光体5の発光および発光波長を確認するために発光素子作製実験を行った。
【0047】
発光素子作製実験1
以下の方法で発光素子作製実験を行った。
抵抗率が3−8Ω・cm(不純物濃度約1×1015/cm3)であり、約1.5cm角のn型シリコン基板をまず酸素雰囲気中、1000℃、40分で熱処理することにより、シリコン基板表面に絶縁体層であるSiO2膜を形成した。このSiO2膜は約50nmの厚さを有する。なお、第1電極は、n型シリコン基板となる。
次に、SiO2膜にGeイオンを220keVの加速エネルギーでイオン注入した。イオン注入量は、1.6×1016ions/cm2とした。
図12に絶縁体層中および第1電極中のイオン注入したGe原子の濃度分布のシミュレーション結果を示す。図12を見ると、イオン注入したGe原子は、透光性電極と絶縁体層との界面からの深さが約170nmの第1電極中に濃度ピークを有することがわかる。
【0048】
次に、SiO2膜上にスパッタ装置を用いて透光性電極であるITO電極を形成し、シリコン基板側にアルミニウム電極を形成し、発光素子を作製した。
【0049】
次にアルミニウム電極が正極となり、ITO電極が負極となるように直流電源を発光素子に接続し、電圧を発光素子に印加することにより、発光素子を発光させた。この発光スペクトルを図13に示す。図13を見ると、約340nm〜約650nmの波長範囲の光で波長約450nmにピークを有する発光が確認された。また、この発光のピークにおける発光強度の半値以上の発光強度を有する波長範囲は、約400nm〜約500nmであった。
また、この発光素子に電圧を印加するとITO電極の全面にわたり均一に発光することが確認された。
なお、イオン注入工程と透光性電極形成工程の間に、更に熱処理工程を加えることができる。例えば、上記イオン注入を行ったシリコン基板を電気炉に入れ、ロータリーポンプで引きながら、窒素を50ml流入させ、700℃で1時間の熱処理を行った。次に、窒素80%酸素20%のガスを10ml流入させ、1時間熱処理を行った。この工程を加える事により発光特性が安定した。この理由は明らかではないが、イオン注入の際に絶縁体層であるSiO2膜あるいは第1電極であるシリコン基板に生じた注入欠陥が熱処理よって回復することや、第1電極中に形成された発光中心が熱処理工程を経て、熱平衡状態に近づくことにより安定化することが考えられる。あるいは酸素を含むガス中で熱処理を行うことでSiO2膜に生じたSi系のダングリングボンドやSiO2膜に入り込んだGe原子を酸化し、チャージのトラップサイトになることを防ぐことが考えられる。
【0050】
発光素子作製実験2
抵抗率が0.01−0.05Ω・cm(不純物濃度約1×1017/cm3)であり、約1.5cm角のn型シリコン基板を用いて、「発光素子作製実験1」と同様の方法で、発光素子を作製した。
アルミニウム電極が正極となり、ITO電極が負極となるように直流電源を発光素子に接続し、電圧を発光素子に印加することにより、発光素子を発光させた。しかし、この発光素子は、「発光素子作製実験1」で作製した発光素子に比べ、小さい発光強度で発光することが確認された。
【0051】
発光素子作製実験3
以下の方法で発光素子作製実験を行った。
抵抗率が3−8Ω・cmであり、約1.5cm角のn型シリコン基板にGeイオンを200keVの加速エネルギーでイオン注入した。イオン注入量は、1.0×1016ions/cm2とした。
次に、このシリコン基板のイオン注入した面の上にプラズマCVDを用いてSiO2膜を50nm堆積した。
次に、このシリコン基板を電気炉に入れ、ロータリーポンプで引きながら、窒素を50ml流入させ、700℃で1時間の熱処理を行った。次に、窒素80%酸素20%のガスを10ml流入させ、1時間熱処理を行った。
次に、SiO2膜上にスパッタ装置を用いて透光性電極であるITO電極を形成し、シリコン基板側にアルミニウム電極を形成し、発光素子を作製した。
【0052】
次にアルミニウム電極が正極となり、ITO電極が負極となるように直流電源を発光素子に接続し、電圧を発光素子に印加したところ、波長約450nm付近にピークを有する発光が確認された。また、この発光のピークにおける発光強度の半値以上の発光強度を有する波長範囲は、約400nm〜約500nmであった。
また、この発光素子に電圧を印加するとITO電極の全面にわたり均一に発光することが確認された。
【符号の説明】
【0053】
1: 浄化槽 3:浄化部 5:板状発光体 6:光触媒層 7:板状光触媒部材 10:流路 12:透光性部材 14:光源 15:カバー部材 17:流入口 18:排水口 20:導水管 22:フィルター 24:気泡発生部 25:超音波発生部 27:水浄化装置 29:反射層 31:基板 32:第1電極 33:絶縁体層 34:透光性電極 35:発光体 37:透光性絶縁層 39:浄化ユニット 41:シール部材 43:接続部材 45:第1層 46:第2層 47:第3層 48:第4層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浄化槽と、前記浄化槽内に設けられた浄化部とを備え、
前記浄化部は、複数の板状光触媒部材を含み、かつ、前記浄化槽で浄化される被処理水が流通する曲折した複数の流路を有し、
前記板状光触媒部材は、面発光可能な板状発光体と、前記板状発光体の少なくとも一方の面上に設けられた光触媒層を有し、
前記光触媒層は、前記流路の内壁を構成することを特徴とする水浄化装置。
【請求項2】
前記流路は、複数の分岐点および複数の合流点を有する請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記板状光触媒部材は、短冊形状または格子形状である請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記浄化部は、縦方向に並列に間隔をおいて並べられた短冊形状の前記板状光触媒部材と、横方向に並列に間隔をおいて並べられた短冊形状の前記板状光触媒部材とが交互に積重された構造を有する請求項1〜3のいずれか1つに記載の装置。
【請求項5】
前記浄化部は、前記板状光触媒部材を積重した方向からの平面視において、前記板状光触媒部材が隙間なく配置された構造を有する請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記光触媒層は、前記板状発光体の両面上にそれぞれ設けられた請求項1〜5のいずれか1つに記載の装置。
【請求項7】
複数の板状光触媒部材は、第1板状光触媒部材と、第1板状光触媒部材に対向するように設けられた第2板状光触媒部材とを含み、
第1板状光触媒部材に含まれる光触媒層は、第2板状光触媒部材に含まれる前記板状発光体の発光を受光できるように設けられた請求項1〜6のいずれか1つに記載の装置。
【請求項8】
前記板状発光体の側面に光を照射することができるように設けられた光源部をさらに備え、
前記板状発光体は、導光板である請求項1〜7のいずれか1つに記載の装置。
【請求項9】
前記光源部は、発光ダイオードを含む請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記板状光触媒部材は、前記板状発光体の一方の面上に設けられた第1光触媒層と、前記板状発光体の他方の面上に設けられた反射層と、前記反射層の上に設けられかつ受光可能に設けられた第2光触媒層とを備える請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
前記反射層は、導電性を有し、
第2光触媒層は、前記反射層と電気的に接続した請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記板状発光体は、導体または半導体からなる第1電極と、透光性電極と、第1電極と前記透光性電極とに挟まれた絶縁体層と、前記絶縁体層の内部に形成されGeを含む発光体とを備える請求項1〜7のいずれか1つに記載の装置。
【請求項13】
前記板状発光体は、導体または半導体からなる第1電極と、透光性電極と、第1電極と前記透光性電極とに挟まれた絶縁体層とを備え、第1電極は、イオン注入された原子を有し、前記原子は、前記絶縁体層と第1電極との界面から500nm以内の第1電極中に濃度ピークを有する請求項1〜7のいずれか1つに記載の装置。
【請求項14】
前記光触媒層は、微粒子状の光触媒を有する請求項1〜13のいずれか1つに記載の装置。
【請求項15】
前記光触媒層は、TiO2、SnO2、WO3、Fe23、ZnO、Nb25、SrTiO3、KTaO3、ZrO2、GaP、BiVO4、Bi2MoO6、Ag3PO4のうち少なくとも1つを含む請求項1〜14のいずれか1つに記載の装置。
【請求項16】
前記光触媒層は、Pt、Pd、Ru、Rh、Au、Ag、Cu、Fe、Ni、Zn、Ga、Ge、InおよびSnのうち少なくとも1つの金属が担持された酸化チタンを含む請求項1〜15のいずれか1つに記載の装置。
【請求項17】
前記浄化槽および前記浄化部は、前記浄化槽の一部および前記板状光触媒部材を含む浄化ユニットが積重する構造を有する請求項1〜16のいずれか1つに記載の装置。
【請求項18】
前記浄化槽の内壁上に第3光触媒層をさらに有する請求項1〜17のいずれか1つに記載の装置。
【請求項19】
前記浄化槽で浄化される被処理水中に酸素またはオゾンを含む気泡を供給する気泡発生部をさらに備える請求項1〜18のいずれか1つに記載の装置。
【請求項20】
前記気泡は、マイクロ−ナノバブルである請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記浄化部に超音波を照射する超音波発生部をさらに備える請求項1〜20のいずれか1つに記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−223670(P2012−223670A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91169(P2011−91169)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】