説明

水溶性アミンおよびその使用

本発明は式(I)または(II)の新規な化合物VBに関し、前記化合物は特にエポキシド樹脂の硬化剤として好適である。この化合物は、容易におよび迅速に作成することができる。これらは、水性硬化剤の形態において使用されることができ、特に安定した水性エマルジョンを形成する。これは主としてコーティングとしての使用のためのECC化合物の処方を容易にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水で希釈可能なアミンおよびエポキシ樹脂のための硬化剤としてのその使用の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
水性エポキシ樹脂分散体のためのアミン硬化剤は、知られている。これらは、典型的には、ポリアミンおよびポリエポキシドから形成された付加物を含み、これは、エポキシ基を含まず、第二級および場合により第一級アミノ基を含む。付加物が、美的および機械的特性、例えば透明性、光沢、表面特性、硬度ならびに靱性の点で硬化されるフィルムの質を損ない得る、炭酸塩およびカルバミン酸塩を、空気中からの二酸化炭素ガスと形成する傾向があるという不利な点があるため、しばしば、このような付加物に存在する第一級アミノ基はさらに転換される。
【0003】
欧州特許出願第0000605号は、ポリエポキシド、ポリアルキレンポリエーテルポリオールおよびポリアミンから形成される付加物の形態における、水性エポキシ樹脂分散体のための硬化組成物を開示する。付加物の第一級アミノ基は、不飽和化合物、例えばアクリロニトリルの添加によって、第二級アミノ基に転換される。これらの硬化組成物は、50℃の領域の温度において、凝固する傾向がある、つまり貯蔵安定性がないという不利な点を有している。
【0004】
欧州特許出願第0567831号は、50℃で貯蔵安定性がある、水性エポキシ樹脂分散体のための硬化組成物を開示する。記載された乳化剤および共乳化剤(coemulsifier)は、それぞれポリアミンおよびポリエポキシドから形成される付加物である。付加物の第一級アミノ基は、アルデヒドおよびギ酸によって還元的にアルキル化され、第二級アミノ基の形態になる。しかし、記載された硬化剤は、不利な点を有している。第一に、特に使用される還元プロセスの遅さによって、これらの調製は複雑であり、第二に、例えば防食コーティングとして厚い層で塗布された場合、美的に不満足な濁ったフィルムを形成する傾向にある。
【0005】
欧州特許出願第0024915号は、2パックの水性エポキシ樹脂システムを開示し、その硬化剤はポリアミン-ポリエポキシ樹脂付加物の形態で存在する。付加物の第一級アミノ基は、モノエポキシドによって転換される。モノエポキシドとの反応の結果として、記載された付加物の調製には、非常に長い時間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願第0000605号
【特許文献2】欧州特許出願第0567831号
【特許文献3】欧州特許出願第0024915号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえ、本発明の目的は、すぐに入手可能な原料物質から簡潔で迅速な方法で調製可能であり、エポキシ樹脂のための硬化剤として、特にエポキシ樹脂分散体のための水性硬化剤組成物の構成物質として使用可能であり、先行技術の不利な点を克服する、化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、この目的は、請求項1に請求された化合物によって達成されることが分かった。この化合物は、エポキシ樹脂の硬化剤として、非常に有利に使用することができる。より詳しくは、これらの化合物は低い粘度を有し、すぐに入手可能な原料物質から簡潔かつ迅速な方法で調製することができ、エポキシ樹脂の硬化剤として非常に好適であることが分かった。これらは広い温度範囲内で実質的に不変で貯蔵可能であり、エポキシ樹脂との低い加工および混合粘度を有し、迅速かつ完全にエポキシ樹脂と硬化し、基材との優れた接着を発現する。これらは、美的および機械的特性、例えば透明性、光沢、表面特性、硬度ならびに靱性の点で、硬化されるフィルムの質への高い要求を満たす。
【0009】
これらの化合物は、エポキシ樹脂のための水性硬化剤として非常に好適であることが、特に示された。より詳しくは、これらは、特に最大50℃で安定である、貯蔵安定性があり、低粘度の水性硬化剤エマルションの生成を可能にする。したがって、本発明のさらなる態様は、化合物を調製するための請求項5に請求された方法および請求項10に請求された硬化剤組成物である。
【0010】
これらの硬化剤組成物は、請求項16に請求された2パックまたは3パックのエポキシ樹脂組成物に、非常に好適であることが、さらに分かった。より詳しくは、ECC(エポキシセメントコンクリート)組成物を生成することも可能である。化合物またはそれらから形成される水性硬化剤組成物は、特にコーティングとして使用することができる、ECC組成物の構成物質として、特に好適である。
【0011】
本発明のさらなる態様は、請求項17に請求された硬化された組成物および請求項18ならびに19に請求された使用である。
【0012】
本発明の好ましい実施形態は、独立請求項の主題である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
第一の態様において、本発明は、式(I)または(II)の化合物VBに関する。
【0014】
【化1】

【0015】
ここで、R1およびR3は、それぞれ独立に、1から12個の炭素原子を有し、場合によってエーテル基またはハロゲン原子を有する、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基であり、かつ、R2は、水素原子または1から12個の炭素原子を有する、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基であり、
あるいは、
R2およびR1は一緒に、場合によって置換された、5から8個の、好ましくは5または6個の炭素原子を有する炭素環式環の一部である、二価の炭化水素基であり、かつ、R3は、1から12個の炭素原子を有し、場合によってエーテル基またはハロゲン原子を有する、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基であり;
あるいは、
R2およびR3は一緒に、場合によって置換された、5から8個の、好ましくは5または6個の炭素原子を有する炭素環式環の一部である、二価の炭化水素基であり、かつ、R1は、1から12個の炭素原子を有し、場合によってエーテル基またはハロゲン原子を含む、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基であり;
R4およびR5は、それぞれ独立に、1から12個の炭素原子を有し、場合によってエーテル基またはハロゲン原子を有する、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基であり;
Aは、(a+b)の第一級アミノ基の除去後のポリアミン-ポリエポキシド付加物の(a+b)価の基であり;
aは0から4の整数であり; かつ
bは1から4の整数である。
【0016】
以下の条件がここでは適用される:
aとbの合計は1から4の整数であり、ポリアミン-ポリエポキシド付加物の元のポリエポキシドは、ポリエポキシドE、特にジエポキシドE1であり、65から500g/eqのエポキシ等量(epoxy equivalent weight)を有する。
【0017】
本明細書において、用語「ポリアミン」は、少なくとも2つの第一級または第二級アミノ基を有する化合物を表す。
【0018】
本明細書において、「第一級」アミノ基は、有機基と結合したNH2基を表し、「第二級」アミノ基は、一緒に環の一部であってもよい2つの有機基と結合したNH基を表す。
【0019】
本明細書において、オリゴマーまたはポリマーの場合における「分子量」は、常に平均分子量Mnを意味するものと理解される。
【0020】
本明細書において、用語「ポリエポキシド」は、少なくとも2つのエポキシ基を有する化合物を表す。「ジエポキシド」は、2つのエポキシ基を有する化合物を表す。
【0021】
本明細書において、「エポキシ基」は、構造要素:
【化2】

を表す。
【0022】
本明細書中における太字の指定、例えばVB、E、E1、A1、A2、A3、A4、A11、AD、AE、K1、K2、H1、H2、HW、C1、C2、C3または同様のものは、読みやすさおよび特定をより良くするためだけの役目をする。
【0023】
式(i)のアシルエナミノ(acyl enamino)基は、式(ii)および式(iii)の互変異性体と平衡にある。それぞれの場合で明確に言及されていなくても、式(i)のアシルエナミノ基のそれぞれの言及は、同様に、式(ii)および式(iii)の互変異性体を意味する。
【0024】
【化3】

【0025】
本明細書において、式中の破線は、置換基と対応する分子の残りのと間の結合をそれぞれ表す。
【0026】
好ましくは、R1およびR3は、それぞれメチル基である。
好ましくは、R2は、水素原子である。
好ましくは、R4およびR5は、それぞれメチル基である。
好ましくは、aは0である。
好ましくは、bは1である。
【0027】
式(I)および(II)におけるAから誘導されるポリアミン-ポリエポキシド付加物は、エポキシ基を含まず、(a+b)の第一級アミノ基を有する。これは、少なくとも1つのポリアミンA1と、場合によってさらなるアミン、好ましくは少なくとも1つのさらなるアミンA2と、少なくとも1つのポリエポキシドE、特にジエポキシドE1との付加生成物である。ポリエポキシドEは、65から500g/eqのエポキシ等量を有する。ポリアミンA1は、好ましくは、2つの第一級アミノ基を有するポリアミンである。アミンA2は、好ましくは、1つのみの第一級アミノ基を有するアミンである。ポリエポキシドEは、好ましくは、ジエポキシドE1であり、より好ましくは液体のビスフェノールのジグリシジルエーテル、特にビスフェノールAである。
【0028】
本明細書における省略形「EEW」は、「エポキシ等量」を表す。
【0029】
本明細書において、「グリシジルエーテル」は、2,3-エポキシ-1-プロパノール(グリシドール)のエーテルを表す。
【0030】
式(I)の化合物VBは、好ましくは、式(Ia)または(Ib)の化合物VBである。式(II)の化合物VBは、好ましくは、式(IIa)または(IIb)の化合物VBである。
【0031】
【化4】

【0032】
式(Ia)、(Ib)、(IIa)および(IIb)において、R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ既に定義された通りであり、
R6は、場合によってエーテル基または第二級アミノ基を有する、アルキル基またはシクロアルキル基あるいはアリールアルキル基であり;
E1およびE2は、それぞれ独立に、2つのエポキシ基の除去後の、65から500g/eqのEEWを有するジエポキシドE1の残余であり;
xは0から50の整数であり;
yは0から100、好ましくは10から50の整数であり;
zは1から50の整数であり;
(x+z)は1から100、好ましくは1から10の整数であり;
pは0または1であり; かつ
qは0、1、2または3である。
【0033】
式(Ia)、(IIa)、(Ib)および(IIb)におけるR6は、好ましくは、少なくとも4個、特に4から18個の炭素原子を有し、場合によってエーテル基または第二級アミノ基を有する、アルキル基またはシクロアルキル基あるいはアリールアルキル基である。
【0034】
ジエポキシドE1は、好ましくは、156から250g/eqのエポキシ等量を有する、ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールA/Fジグリシジルエーテル、170から340g/eqのエポキシ等量を有する、N,N-ジグリシジルアニリンおよびポリグリコールジグリシジルエーテルからなる群から選択される。
【0035】
ジエポキシドE1は、より好ましくは、ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールA/Fジグリシジルエーテルである。
【0036】
したがって、式(Ia)および(IIa)中のE1ならびに式(Ib)および(IIb)中のE2は、好ましくは、それぞれ独立に、156から250g/eqのエポキシ等量を有する、ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールA/Fジグリシジルエーテル、170から340g/eqのエポキシ等量を有する、N,N-ジグリシジルアニリンおよびポリグリコールジグリシジルエーテルからなる群、特に156から250g/eqのエポキシ等量を有するビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールA/Fジグリシジルエーテルからなる群から選択される、2つのエポキシ基の除去後の、ジエポキシドE1の残余である。
【0037】
本発明は、上記で記載された式(I)または(II)の化合物VBを調製するための方法を、さらに提供する。この方法において、(α) 少なくとも2つの第一級アミノ基を含む、少なくとも1つのポリアミンA1、(β) 場合によって1つのみの第一級アミノ基を含む、少なくとも1つのアミンA2、(γ) 65から500g/eqのエポキシ等量(EEW)を有する、少なくとも1つのポリエポキシドE、および(δ)少なくとも1つの式(IV)のジケトンK1または式(V)のK2が、お互いに1以上の段階で反応する。
【0038】
【化5】

【0039】
式(IV)および(V)において、R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ既に定義された通りである。
【0040】
第一級アミノ基とエポキシ基の数の間の比は、特に1.25から2.0である。さらに、ジケトンK1またはK2は、第一級アミノ基に対する比において、エポキシ基に対して過剰量で、特に0.25から1.0等量の量で使用される。
【0041】
式(I)または(II)における数aが0とは異なる場合、第一級アミノ基に対して、エポキシ基に対して過剰量である、半化学量論比でジケトンが使用される。
【0042】
式(I)または(II)における数aが0の場合、第一級アミノ基に対して、エポキシ基に対して過剰量である、少なくとも化学量論比でジケトンが使用される。
【0043】
この方法は、以下の方法で実施することができる。第一の段階において、ポリアミンA1および場合によってアミンA2を、ポリエポキシドEと反応させ、第一級アミノ基とエポキシ基の主反応で、式(III)の付加物AEを与え、一方、第二級アミノ基およびヒドロキシル基は、既に存在し、または、そうなった場合でも、十分に低い反応性によって、不十分な部分でのみ、エポキシ基との反応の過程で形成される。
【0044】
【化6】

【0045】
式(III)において、A、aおよびbは、それぞれ既に定義された通りである。
【0046】
第二の段階において、式(III)の付加物AEは、実質的に、式(IV)または(V)のジケトンK1またはK2と反応し、式(I)または(II)の化合物VBを与え、ジケトンは第一級アミノ基と反応し、水を除去する。
【0047】
式(IV)のジケトンK1 -1,3-ジケトンとしても知られているβ-ジケトン- の場合、式(I)の化合物VBが形成され、転換されたジケトンK1の1モルあたり、1モルの水を放出する。この反応は、非常に迅速かつ事実上定量的に進む。好ましくは、20から120℃の範囲の温度で実施される。
【0048】
式(V)のジケトンK2 -1,4-ジケトンとしても知られているγ-ジケトン- の場合、式(II)の化合物VBが形成され、転換されたジケトンK2の1モルあたり、2モルの水を放出する。この反応は、「パールクノールピロール合成(Paal-Knorr pyrrole synthesis)」の名称によっても知られている。式(II)の化合物VBの形成において発生する中間体(または副生成物)は、式(II’)において示される通り、環化されていない形態である。
【0049】
【化7】

【0050】
式(II’)において、R4、R5、A、aおよびbは、それぞれ既に定義された通りである。
【0051】
ピロール基への環化(縮合反応)は、例えば高温で数時間、例えば60から120℃で反応混合物が攪拌される場合、主な部分において進む。
【0052】
さらに、式(I)または(II)の化合物VBを調製するための方法は、以下の方法で実施することができる。第一の段階において、ポリアミンA1を、水の除去とともにジケトンK1またはK2と反応させ、式(VI)または(VII)のアルキル化ポリアミンA11を形成し、この場合、ジケトンは既に記載した方法で第一級アミノ基と反応する。
【0053】
【化8】

【0054】
式(VI)および(VII)において、Qは、(b+c)の第一級アミノ基の除去後のポリアミンA1の残余であり;
cは1または2、好ましくは1であり; かつ
R1、R2、R3、R4、R5およびbは、それぞれ既に定義された通りである。
【0055】
第二の段階において、アルキル化ポリアミンA11は、続けて、場合によってアミンA2の存在下で、ポリエポキシドEと反応し、式(I)または(II)の化合物VBを与え、少なくともエポキシ基と同じ数の自由な第一級アミノ基が反応混合物中に存在する。
【0056】
記載した方法において、第一級アミノ基とエポキシ基との反応は、有利には、60から120℃の範囲の温度において実施される。
【0057】
記載した方法は、ワンポット(one-pot)反応として実施することができる。したがって、第二段階を実施する前に、中間体を精製する必要はない。ジケトンと第一級アミノ基との間の反応において形成した水は、反応混合物から除去する必要はない。しかし、所望の場合、例えば減圧の適用によって、反応混合物から除去することができる。
【0058】
式(IV)のジケトンK1の代わりに、式(IVa)のケトンを使用することによって、式(I)の化合物VBを調製することもできる。この場合、第一級アミノ基は、水の除去なしでアルキル化される。
【0059】
【化9】

【0060】
式(IVa)において、R1およびR3は、それぞれ既に定義された通りである。
【0061】
ポリアミンA1は、少なくとも2つの第一級アミノ基を有する。さらに、これは第二級および/または第三級アミノ基を有してもよい。この目的のための好適なポリアミンは、特に以下である:
- 脂肪族、シクロ脂肪族またはアリール脂肪族ジアミン、特に、エチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,2-プロパンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,3-ブタンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,3-ペンタンジアミン(DAMP)、1,5-ペンタンジアミン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(MPMD)、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン(C11-ネオジアミン)、1,6-ヘキサンジアミン、2,5-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン(TMD)、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,2-、1,3-および1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(H12-MDA)、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチル-5-メチルシクロヘキシル)メタン(M-MECA)、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(=イソホロンジアミンまたはIPDA)、2-および4-メチル-1,3-ジアミノシクロヘキサンおよびこれらの混合物、1,3-および1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,5(2,6)-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(NBDA)、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDA)、1,8-メンタンジアミン(menthanediamine)、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、および1,3-ならびに1,4-キシリレンジアミン;
- エーテル基を含む脂肪族ジアミン、特に、ビス(2-アミノエチル)エーテル、3,6-ジオキサオクタン-1,8-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-2,9-ジアミン、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、5,8-ジオキサドデカン-3,10-ジアミンおよびこれらのジアミンの高級オリゴマー、ビス(3-アミノプロピル)ポリテトラヒドロフランおよび例えば350から5200の範囲の分子量を有するポリテトラヒドロフランジアミン、ならびにポリオキシアルキレンジアミン。後者は、典型的には、ポリオキシアルキレンジオールのアミノ化からの生成物であり、例えば、Jeffamine(登録商標)の名称(Huntsmanから)で、Polyetheramineの名称(BASFから)で、またはPC Amine(登録商標)の名称(Nitroilから)で得ることができる。特に好適なポリオキシアルキレンジアミンは、Jeffamine(登録商標) D-230、Jeffamine(登録商標) D-400、Jeffamine(登録商標) D-2000、Jeffamine(登録商標) D-4000、Jeffamine(登録商標) XTJ-511、Jeffamine(登録商標) ED-600、Jeffamine(登録商標) ED-900、Jeffamine(登録商標) ED-2003、Jeffamine(登録商標) XTJ-568、Jeffamine(登録商標) XTJ-569、Jeffamine(登録商標) XTJ-523、Jeffamine(登録商標) XTJ-536、Jeffamine(登録商標) XTJ-542、Jeffamine(登録商標) XTJ-559、Jeffamine(登録商標) EDR-104、Jeffamine(登録商標) EDR-148、Jeffamine(登録商標) EDR-176; Polyetheramine D 230、Polyetheramine D 400およびPolyetheramine D 2000、PC Amine(登録商標) DA 250、PC Amine(登録商標) DA 400、PC Amine(登録商標) DA 650およびPC Amine(登録商標) DA 2000;
- 脂肪族、シクロ脂肪族またはアリール脂肪族トリアミン、特に、4-アミノメチル-1,8-オクタンジアミン、1,3,5-トリス(アミノメチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(アミノメチル)-シクロヘキサン、トリス(2-アミノエチル)アミン、トリス(2-アミノプロピル)アミン、トリス(3-アミノプロピル)アミン;
- 典型的には、ポリオキシアルキレントリオールのアミノ化からの生成物である、ポリオキシアルキレントリアミン、例えば、Jeffamine(登録商標)の名称(Huntsmanから)で、Polyetheramineの名称(BASFから)で、またはPC Amine(登録商標)の名称(Nitroilから)で得ることができるものであって、例えば、Jeffamine(登録商標) T-403、Jeffamine(登録商標) T-3000、Jeffamine(登録商標) T-5000; Polyetheramine T403、Polyetheramine T5000; およびPC Amine(登録商標) TA 403、PC Amine(登録商標) TA 5000;
- 第二級アミノ基を有するポリアミン、特に、ポリアルキレンアミンとして知られているもの、例えば、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)、および5から7個のエチレンアミン単位を有するポリエチレンポリアミン(「高級エチレンポリアミン」として知られている、HEPA)、ジプロピレントリアミン(DPTA)、ビスヘキサメチレントリアミン(BHMT)、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルアミン(N3-アミン)、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン(N4-アミン)、N3-(3-アミノペンチル)-1,3-ペンタンジアミン、N5-(3-アミノプロピル)-2-メチル-1,5-ペンタンジアミンおよびN5-(3-アミノ-1-エチルプロピル)-2-メチル-1,5-ペンタンジアミン; このようなポリアルキレンアミンは、例えば、1,2-ジクロロエタンおよびアンモニアから、または第一級ポリアミドのシアノエチル化あるいはシアノブチル化ならびに続けて水素化から調製される;
- 第三級アミノ基を有するポリアミン、特に、N,N’-ビス(アミノプロピル)ピペラジン、N,N-ビス(3-アミノプロピル)メチルアミン、N,N-ビス(3-アミノプロピル)エチルアミン、N,N-ビス(3-アミノプロピル)プロピルアミン、N,N-ビス(3-アミノプロピル)シクロヘキシルアミン、N,N-ビス(3-アミノプロピル)-2-エチルヘキシルアミン、および天然脂肪酸から誘導される脂肪アミンの二重シアノエチル化ならびに続けて還元からの生成物、例えば、N,N-ビス(3-アミノプロピル)ドデシルアミンおよびN,N-ビス(3-アミノプロピル)タロウアルキルアミン、Triameen(登録商標) Y12DおよびTriameen(登録商標) YT(Akzo Nobelから)として得られるもの。
【0062】
ポリアミンA1は、好ましくは、2つの第一級アミノ基を有する。
【0063】
特に好ましいポリアミンA1は、第一には、特に500から5000g/モルの分子量を有する、式(VIII)のエーテルを含むジアミン、好ましくはJeffamine(登録商標) ED-600、Jeffamine(登録商標) ED-900、Jeffamine(登録商標) ED-2003、および第二には、ポリアルキレンアミン、特にDETA、TETA、TEPA、PEHA、HEPA、N3-アミンおよびN4-アミンである。
【0064】
【化10】

【0065】
式(VIII)において、x、yおよびzは、それぞれ既に定義された通りである。
【0066】
場合によって式(I)または(II)の化合物VBを調製するための部分として使用されてもよい、好適なアミンA2は、1つのみの第一級アミノ基を有する。さらに、これは場合によって、第二級および/または第三級アミノ基を含んでもよい。好適な例は、以下のアミンである:
- 脂肪族、シクロ脂肪族またはアリール脂肪族モノアミン、特に、メチルアミン、エチルアミン、1-プロピルアミン、2-プロピルアミン、1-ブチルアミン、2-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、3-メチル-1-ブチルアミン、3-メチル-2-ブチルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、オクチルアミン、2-エチル-1-ヘキシルアミン、ベンジルアミン、1-または2-フェニルエチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、エイコシルアミン、ドコシルアミン、および天然脂肪酸混合物から誘導される脂肪アミン、例えばココアルキルアミン、C16〜C22-アルキルアミン、ソヤアルキルアミン(soyaalkylamine)、オレイルアミンおよびタロウアルキルアミン、例えばArmeen(登録商標)(Akzo Nobelから)またはRofamin(登録商標)(Ecogreen Oleochemicalsから)の商標名で得られるもの。特に好適な脂肪アミンは、Armeen(登録商標) 12D、Armeen(登録商標) 18D、Armeen(登録商標) CD、Armeen(登録商標) HT、Armeen(登録商標) M、Armeen(登録商標) OD、Armeen(登録商標) OVDおよびArmeen(登録商標) TD、ならびにRofamin(登録商標) KD、Rofamin(登録商標) LD、Rofamin(登録商標) STD、Rofamin(登録商標) TD、Rofamin(登録商標) RD、Rofamin(登録商標) TD40、Rofamin(登録商標) OD80、Rofamin(登録商標) OD85およびRofamin(登録商標) OD90;
- エーテル基を含む、脂肪族、シクロ脂肪族またはアリール脂肪族モノアミン、特に、2-メトキシエチルアミン、2-エトキシエチルアミン、3-メトキシプロピルアミン、3-エトキシプロピルアミン、3-(2-エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、3-(2-メトキシエトキシ)プロピルアミン、2(4)-メトキシフェニルエチルアミンおよび例えばJeffamine(登録商標)の商標名(Huntsmanから)で得られるポリオキシアルキレンモノアミン、例えば特に、Jeffamine(登録商標) M-600、Jeffamine(登録商標) M-1000、Jeffamine(登録商標) M-2005、Jeffamine(登録商標) M-2070、Jeffamine(登録商標) XTJ-435、Jeffamine(登録商標) XTJ-436;
- 1つの第一級および少なくとも1つの第二級アミノ基を有する、脂肪族、シクロ脂肪族またはアリール脂肪族アミン、特に、N-メチル-1,2-エタンジアミン、N-エチル-1,2-エタンジアミン、N-ブチル-1,2-エタンジアミン、N-ヘキシル-1,2-エタンジアミン、N-ブチル-1,6-ヘキサンジアミン、N-シクロヘキシル-1,2-エタンジアミン、4-アミノメチルピペリジン、3-(4-アミノブチル)ピペリジン、N-(2-アミノエチル)ピペラジン(N-AEP)、N-(2-アミノプロピル)ピペラジン、第一級モノアミンのシアノエチル化またはシアノブチル化および続けて水素化からのジアミン、例えば、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-エチル-1,3-プロパンジアミン、N-ブチル-1,3-プロパンジアミン、N-ヘキシル-1,3-プロパンジアミン、N-(2-エチルヘキシル)-1,3-プロパンジアミン、N-ドデシル-1,3-プロパンジアミン、N-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン、3-メチルアミノ-1-ペンチルアミン、3-エチルアミノ-1-ペンチルアミン、3-ブチルアミノ-1-ペンチルアミン、3-ヘキシルアミノ-1-ペンチルアミン、3-(2-エチルヘキシル)アミノ-1-ペンチルアミン、3-ドデシルアミノ-1-ペンチルアミン、3-シクロヘキシルアミノ-1-ペンチルアミン、および加えて、脂肪アミンのシアノエチル化ならびに続けて還元によって得られるジアミン、例えば、N-ココアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-オレイル-1,3-プロパンジアミン、N-ソヤアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-タロウアルキル-1,3-プロパンジアミンまたはN-(C16〜22-アルキル)-1,3-プロパンジアミン、例えば、Duomeen(登録商標) CD、Duomeen(登録商標) M、Duomeen(登録商標) O、Duomeen(登録商標) OVおよびDuomeen(登録商標) T(Akzo Nobel)として得られるもの、および加えて、脂肪アミンから誘導される、トリアミンおよびテトラミン、例えば、ココアルキルジプロピレントリアミン、オレイルジプロピレントリアミン、タロウアルキルジプロピレントリアミン、オレイルトリプロピレンテトラミンおよびタロウアルキルトリプロピレンテトラミン、例えば、Triameen(登録商標) C、Triameen(登録商標) OV、Triameen(登録商標) T、Tetrameen(登録商標) OVならびにTetrameen(登録商標) T(Akzo Nobel)として得られるもの;
- 1つの第一級および少なくとも1つの第三級アミノ基を有する、脂肪族、シクロ脂肪族またはアリール脂肪族アミン、特に、N,N-ジエチル-1,2-エタンジアミン、N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジエチル-1,3-プロパンジアミンおよびN,N-ジエチル-1,4-ペンタンジアミン。
【0067】
好ましいアミンA2は、少なくとも4個の炭素原子、特に4から18個の炭素原子を含み、かつ場合によってエーテル基または第二級アミノ基を有する。
【0068】
特に好ましいアミンA2は、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、エイコシルアミン、ドコシルアミン、2-エチル-1-ヘキシルアミン、ベンジルアミン、1-または2-フェニルエチルアミン、N-ヘキシル-1,2-エタンジアミン、N-(2-エチルヘキシル)-1,2-エタンジアミン、N-シクロヘキシル-1,2-エタンジアミン、N-ブチル-1,3-プロパンジアミン、N-ヘキシル-1,3-プロパンジアミン、N-(2-エチルヘキシル)-1,3-プロパンジアミン、N-ドデシル-1,3-プロパンジアミン、N-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン、ココアルキルアミン、ソヤアルキルアミン、オレイルアミン、N-ココアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-オレイル-1,3-プロパンジアミンおよびN-ソヤアルキル-1,3-プロパンジアミンからなる群から選択されるアミンである。
【0069】
ポリエポキシドEは、65から500g/eqのエポキシ等量(EEW)を有する。ポリエポキシドEは、知られている方法で、例えば、対応するオレフィンの酸化から、または対応するポリオール、ポリフェノールあるいはアミンとエピクロロヒドリンとの反応から調製することができる。
【0070】
ポリエポキシドEとして特に好適なものは、ポリエポキシド液体樹脂として知られているものであって、以下では「液体樹脂」と表す。これらは、典型的には25℃未満のガラス転移温度を有し、これは、25℃で注ぐことができるパウダーに砕かれ、25℃を超えるガラス転移温度を有する固体のポリエポキシド樹脂とは対照的である。当業者に反応性希釈剤として知られているポリエポキシドも、本明細書内において液体樹脂として表す。
【0071】
一実施形態において、ポリエポキシドEは、芳香族ポリエポキシドである。この目的のための好適な例は、式(IX)の液体樹脂である。
【0072】
【化11】

【0073】
ここで、R’およびR’’は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基であり、sは0から1の平均値を有する。好ましくは、値sが0.2未満の平均値を有する、式(IX)の液体樹脂が与えられる。
【0074】
式(IX)の液体樹脂は、ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールA/Fのジグリシジルエーテルであり、ここで、Aはアセトンを表し、Fはホルムアルデヒドを表し、これらはビスフェノールの調製のための反応物としての役目をする。したがって、式(IX)におけるR’およびR’’として、ビスフェノールA液体樹脂はメチル基を有し、ビスフェノールF液体樹脂は水素原子を有し、およびビスフェノールA/F液体樹脂はメチル基と水素原子の両方を有する。ビスフェノールFの場合、特に2,4’-および2,2’-ヒドロキシフェニルメタンから誘導される、位置異性体が存在する可能性がある。
【0075】
このような液体樹脂は、例えば、Araldite(登録商標) GY 204、Araldite(登録商標) GY 250、Araldite(登録商標) GY 260、Araldite(登録商標) GY 281、Araldite(登録商標) GY 282、Araldite(登録商標) GY 285、Araldite(登録商標) PY 304、Araldite(登録商標) PY 720(Huntsmanから); D.E.R.(登録商標) 330、D.E.R.(登録商標) 331、D.E.R.(登録商標) 332、D.E.R.(登録商標) 336、D.E.R.(登録商標) 354、D.E.R.(登録商標) 351、D.E.R.(登録商標) 352、D.E.R.(登録商標) 356(Dowから); Epikote(登録商標) 162、Epikote(登録商標) 827、Epikote(登録商標) 828、Epikote(登録商標) 158、Epikote(登録商標) 862、Epikote(登録商標) 169、Epikote(登録商標) 144、Epikote(登録商標) 238、Epikote(登録商標) 232、Epikote(登録商標) 235(Hexionから)、Epalloy(登録商標) 7190、Epalloy(登録商標) 8220、Epalloy(登録商標) 8230、Epalloy(登録商標) 7138、Epalloy(登録商標) 7170、Epalloy(登録商標) 9237-70(CVCから)、Chem Res(登録商標) E 20、Chem Res(登録商標) E 30(Cognisから)、Beckopox(登録商標) EP 116、Beckopox(登録商標) EP 140(Cytecから)として商業的に入手可能である。
【0076】
さらなる好適な芳香族ポリエポキシドEは、以下のグリシジル化生成物である:
- ジヒドロキシベンゼン誘導体、例えばレソルシノール、ヒドロキノンおよびカテコール;
- さらなるビスフェノールまたはポリフェノール、例えば、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-tert-ブチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン(ビスフェノールB)、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルブタン、2,4-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、1,4-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン(ビスフェノールP)、1,3-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン(ビスフェノールM)、4,4’-ジヒドロキシジフェニル(DOD)、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2-ヒドロキシナフト-1-イル)メタン、ビス(4-ヒドロキシナフト-1-イル)メタン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン;
- 酸性条件下で得られる、ホルムアルデヒドとフェノールの縮合生成物、例えば、フェノールノボラックまたはクレゾールノボラック;
- 芳香族アミン、例えば、アニリン、トルイジン、4-アミノフェノール、4,4’-メチレンジフェニルジアミン(MDA)、4,4’-メチレンジフェニルジ(N-メチル)アミン、4,4’-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン(ビスアニリンP)、4,4’-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン(ビスアニリンM)。
【0077】
商業的に入手可能なエポキシノボラックは、例えば、Araldite(登録商標) EPN 1179、Araldite(登録商標) GY 289、Araldite(登録商標) PY 307-1(Huntsmanから)、D.E.N.(登録商標) 425およびD.E.N.(登録商標) 431(Dowから)、Epalloy(登録商標) 8240およびErisys(登録商標) RF50(CVCから)であり; 商業的に入手可能なN,N-ジグリシジルアニリンは、例えば、Epikote(登録商標) Resin 493(Hexionから)であり; 商業的に入手可能なレソルシノールジグリシジルエーテルは、例えば、Erisys(登録商標) RDGE(CVCから)である。
【0078】
さらなる実施形態において、ポリエポキシドEは、脂肪族またはシクロ脂肪族ポリエポキシドであり、例えば以下である:
- ジグリシジルエーテル;
- 飽和または不飽和の、分岐または非分岐の、環式または開鎖のC2からC30ジオールのグリシジルエーテル、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ポリプロピレングリコール、ジメチロールシクロヘキサン、ネオペンチルグリコール;
- トリまたはテトラ官能性の、飽和または不飽和の、分岐または非分岐の、環式または開鎖のポリオールのグリシジルエーテル、例えば、ヒマシ油、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、ソルビトールまたはグリセロール、およびアルコキシ化グリセロールまたはアルコキシ化トリメチロールプロパン;
- 水素化ビスフェノールA、FまたはA/F液体樹脂、あるいは水素化ビスフェノールA、FまたはA/Fのグリシジル化生成物;
- アミドまたは複素環式窒素塩基のN-グリシジル誘導体、例えば、トリグリシジルシアヌレートおよびトリグリシジルイソシアヌレート、ならびにエピクロロヒドリンとヒダントインとの反応性生物。
【0079】
脂肪族またはシクロ脂肪族液体樹脂は、例えば、Araldite(登録商標) DY-C、Araldite(登録商標) DY-F、Araldite(登録商標) DY-H、Araldite(登録商標) DY-T、Araldite(登録商標) DY 0397、Araldite(登録商標) DY 3601(Huntsmanから)、D.E.R.(登録商標) 732、D.E.R.(登録商標) 736(Dowから); Heloxy(登録商標) BD、Heloxy(登録商標) HD、Heloxy(登録商標) TP、Epikote(登録商標) 877(Hexionから)、Beckopox(登録商標) EP 075(Cytecから)として商業的に入手可能である。
【0080】
さらなる実施形態において、ポリエポキシドEは、オレフィンの酸化から、例えば、ビニルシクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロドデカジエン、シクロドデカトリエン、イソプレン、1,5-ヘキサジエン、ブタジエン、ポリブタジエンまたはジビニルベンゼンの酸化から調製されるポリエポキシドである。
【0081】
ポリエポキシドEは、好ましくはジエポキシドE1である。
【0082】
ジエポキシドE1は、より好ましくは、156から250g/eqのエポキシ等量を有する、ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールA/Fジグリシジルエーテル、特に、Araldite(登録商標) GY 250、Araldite(登録商標) PY 304、Araldite(登録商標) GY 282(Huntsmanから); D.E.R.(登録商標) 331、D.E.R.(登録商標) 330(Dowから); Epikote(登録商標) 828、Epikote(登録商標) 862(Hexionから)、170から340g/eqのエポキシ等量を有する、N,N-ジグリシジルアニリンおよびポリグリコールジグリシジルエーテル、特に、D.E.R.(登録商標) 732、D.E.R.(登録商標) 736(Dowから)からなる群から選択される。
【0083】
式(IV)の好適なジケトンK1は、特に、2,4-ペンタジオン(=アセチルアセトン)、3-アルキル化2,4-ペンタンジオン、つまり特に3-メチル-、3-エチル-、3-プロピル-、3-イソプロピル-、3-ブチル-、3-tert-ブチル-、3-シクロヘキシル-および3-フェニル-2,4-ペンタンジオン、1,1,1-トリフルオロ-2,4-ペンタンジオン、1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロ-2,4-ペンタンジオン、3,5-ヘプタンジオン、3,5-オクタンジオン、2,4-オクタンジオン、6-メチル-3,5-ヘプタンジオン、2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン、2,2,4,6,6-ペンタメチル-3,5-ヘプタンジオン、1-フェニル-1,3-ブタンジオン、2-アセチルシクロペンタノン、2-アセチルシクロヘキサノン、2-ベンゾイルシクロペンタノンおよび2-ベンゾイルシクロヘキサノンである。
【0084】
好ましいジケトンK1は、2,4-ペンタンジオン、3-メチル-、3-エチル-、3-プロピル-、3-イソプロピル-、3-ブチル-、3-tert-ブチル-、3-シクロヘキシル-および3-フェニル-2,4-ペンタンジオン、3,5-ヘプタンジオン、6-メチル-3,5-ヘプタンジオン、2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン、2,2,4,6,6-ペンタメチル-3,5-ヘプタンジオン、2-アセチルシクロペンタノンおよび2-アセチルシクロヘキサノンからなる群から選択される。
【0085】
特に好ましいジケトンK1は、2,4-ペンタンジオンである。
【0086】
式(V)の好適なジケトンK2は、特に、2,5-ヘキサンジオン(=アセトニルアセトン)、3,4-ジメチル-2,5-ヘキサンジオン、1,2-ジベンゾイルエタン、1,4-ビス(2-フリル)-1,4-ブタンジオンおよび2-(2-オキソプロピル)シクロペンタノンからなる群から選択される。好ましいジケトンK2は、2,5-ヘキサンジオンである。
【0087】
式(I)または(II)の化合物VBを調製するための好ましい方法は、(α) 2つの第一級アミノ基を有する少なくとも1つのポリアミンA1、(β) 少なくとも1つのアミンA2、(γ) 少なくとも1つのジエポキシドE1、および(δ) 少なくとも1つの式(IV)のジケトンK1または式(V)のK2が、お互いに、1:(0.8から1.2):(0.8から1.2):(0.8から1.2)の、特に1:1:1:1のモル比で、既に記載された1つの順序、つまり式(III)の中間体を介して、または式(VI)あるいは(VII)の中間体を介して反応することを特徴とする。
【0088】
第一の特に好ましい方法において、ポリオキシアルキレンジアミンの形態の少なくとも1つのポリアミンA1と、少なくとも1つのアミンA2と、少なくとも1つのジエポキシドE1とは、1:(0.8から1.2):(0.8から1.2)の、特に1:1:1のモル比で反応し、付加物AEを与え、後者は続けて1:(0.8から1.2)の、特に1:1のモル比で、少なくとも1つの式(IV)のジケトンK1または式(V)のK2と反応し、式(Ia)または(IIa)の化合物VBを与える。
【0089】
第二の特に好ましい方法において、ポリアルキレンアミンの形態の少なくとも1つのポリアミンA1と、少なくとも1つの式(IV)のジケトンK1または式(V)のK2とは、1:(0.8から1.2)の、特に1:1のモル比で反応し、アルキル化ポリアミンA11を与え、後者は続けて1:(0.8から1.2):(0.8から1.2)の、特に1:1:1のモル比で、少なくとも1つのアミンA2および少なくとも1つのジエポキシドE1と反応し、式(Ib)または(IIb)の化合物VBを与える。
【0090】
式(Ia)または(IIa)の化合物VBを最初に満たし、その中で-効果的には溶媒中で、式(Ib)または(IIb)の化合物VBを調製することも可能である。この方法において、ワンポット方法で、式(Ia)または式(IIa)の少なくとも1つの化合物VBと式(Ib)または式(IIb)の少なくとも1つの化合物VBとの混合物を調製することが可能である。
【0091】
式(I)または(II)の化合物VBは、すぐに入手可能な原料物質から、簡潔な方法で調製することができる。これは、好ましくは、エポキシ基に対して活性である、少なくとも2つのNH水素原子および第二級アミノ基形態である、少なくともいくつかのものを有する。第二級アミノ基は、より詳しくは、エポキシ基と第一級アミノ基との反応から形成される。化合物VBまたはA基は、好ましくは、第一級アミノ基を有さない。それにもかかわらず第一級アミノ基を有する場合、その数は、好ましくは1または2個である。結果として、仮にあったとしても、これは空気からの二酸化炭素ガスとわずかにのみ反応し、結果として、少量の炭酸塩および/またはカルバミン酸塩を形成する。このような塩形成が存在しないことは、エポキシ樹脂の硬化における、任意の塩に関連する光学的および/または機械的欠陥、例えばより詳しくは「白化(blushing)」として知られているフィルムの不透明性が存在しないため、特にエポキシ樹脂の硬化剤としての化合物VBの使用の場合において、非常に有利である。化合物VBの、式(IV)のジケトンK1との反応からの式(I)のアシルエナミノ基-または式(V)のジケトンK2との反応からのピロール基は、水の存在下および高温、例えば60℃においても安定である。水蒸気の存在下でさえ、アシルエナミノ基内のエナミン窒素にも関わらず、これらはエポキシ基と十分な程度では反応しない; 後者は、エナミン窒素の水素原子が、カルボニル酸素との安定な分子間水素結合内に入ることができる、ビニル性のアミド基である。
【0092】
化合物VBは、ポリエポキシド-ポリアミン付加物として、比較的低い粘度を有する。
【0093】
式(I)または(II)の化合物VBは、NHまたはOH基と反応性のある基を有する物質のための反応物として使用することができる。NHおよびOH基と反応性のある基は、例えば、イソシアネート、イソチオシアネート、シクロカーボネート、エポキシド、エピスルフィド、アジリジン、アクリロイル、メタクリロイル、1-エチニルカルボニル、1-プロピニルカルボニル、マレイミド、シトラコンイミド、ビニル、イソプロペニルまたはアリル基である。化合物VBは、有利には、少なくとも2つの前述の反応性基を有する物質のための硬化剤として、特に、ポリイソシアネートおよびポリエポキシドのための硬化剤として使用することができる。化合物VBは、エポキシ樹脂の硬化剤として特に好適である。化合物VBは、有利には、エポキシ樹脂のための硬化剤として好適なさらなる物質を含む混合物の構成物質として使用される。
【0094】
式(I)または(II)の化合物VBは、水性エポキシ樹脂分散体のための、水で希釈可能な硬化剤の構成物質として、最も好適である。
【0095】
本発明は、上記で記載された通り、式(I)または(II)の少なくとも1つの化合物VB、好ましくは式(Ia)または(IIa)の少なくとも1つの化合物VBと、式(Ib)または(IIb)の少なくとも1つの化合物VBとを含む、硬化剤組成物をさらに提供する。
【0096】
式(Ia)または(IIa)の少なくとも1つの化合物VBと、式(Ib)または(IIb)の少なくとも1つの化合物VBとを含む硬化剤組成物は、本明細書内の以下では組成物H1として表す。
【0097】
硬化剤組成物H1は、欧州特許出願第0567831号に記載された、乳化剤と共乳化剤の混合物と類似の組成物である。欧州特許出願第0567831号に記載された乳化剤-共乳化剤混合物との違いは、第一級アミノ基が、別の方法、つまり、アルデヒドおよびギ酸による還元アルキル化の代わりに、少なくとも1つの式(IV)のジケトンK1または式(V)のジケトンK2によって、転換またはキャップされていることである。還元アルキル化による第一級アミノ基のキャッピングが第二級アミノ基を形成する一方、ジケトンK1またはK2との反応は、第一級アミノ基を、エポキシ基と反応性を有さないようにキャップする。しかし、それにもかかわらず、驚くべきことに、記載された硬化剤組成物H1は、欧州特許出願第0567831号に記載された乳化剤-共乳化剤と同様に、エポキシ樹脂における硬化剤として好適である。ジケトンK1またはK2による第一級アミノ基のキャッピングは、欧州特許出願第0567831号に記載された還元アルキル化を超える一連の利点を有する。1つは、ジケトンとの反応が実質的により迅速であることであり、これは対応する水で希釈可能な硬化剤のための生成時間を大きく短くすることを意味する。さらに、ジケトンとの反応は、欧州特許出願第0567831号における還元アルキル化の場合のように、第一級アミノ基と厄介な炭酸塩およびカルバミン酸塩を形成することができるCO2を形成しない。ジケトンK1またはK2との反応において得られる水は、水で希釈可能な硬化剤としての使用の場合において、破壊的ではない。
【0098】
硬化剤組成物、特に硬化剤組成物H1は、好ましくは、式(I)または(II)の少なくとも1つの化合物VBに加えて、以下:
(b) 第一級または第二級アミノ基の形態の少なくとも2つのアミノ基を有する、少なくとも1つのポリアミンA3と、65から500g/eqのエポキシ等量を有する、少なくとも1つのポリエポキシドEとから形成される、末端第一級および/または第二級アミノ基を有する、少なくとも1つの付加物AD、
(c) 場合によって、第一級および第二級アミノ基の形態の少なくとも2つのアミノ基を有する、少なくとも1つのポリアミンA4、および
(d) 場合によって、水
を含む。
【0099】
このような好ましい硬化剤組成物は、本明細書内の以下では、硬化剤組成物H2として表す。
【0100】
硬化剤組成物H2は、好ましくは、上記で記載された通り、式(Ia)または(IIa)の化合物VBと、式(Ib)または(IIb)の化合物VBとの混合物を含む。このような混合物は、水と混合された場合、硬化剤組成物中で自己乳化作用を示すことができる。
【0101】
式(Ia)または(IIa)の化合物VBは、有利には、式(Ib)または(IIb)の化合物VBの1質量部に基づいて、0.5から1.5質量部の量で存在する。
【0102】
さらに、付加物ADが、硬化剤組成物H2中に存在する。一実施形態において、好適な付加物ADの調製のために好適なポリアミンA3は、少なくとも2つの第一級アミノ基を有するポリアミンA1として既に上記で挙げたものと同じポリアミンである。さらなる実施形態において、好適なポリアミンA3は、1つの第一級および少なくとも1つの第二級アミノ基を有するアミンA2として既に挙げたものと同じポリアミンである。さらなる実施形態において、好適なポリアミンA3は、少なくとも2つの第二級アミノ基を有するポリアミン、特に、N,N’-ジブチルエチレンジアミン; N,N’-ジ-tert-ブチルエチレンジアミン、N,N’-ジエチル-1,6-ヘキサンジアミン、1-(1-メチルエチルアミノ)-3-(1-メチルエチルアミノメチル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(HuntsmanからのJefflink(登録商標) 754)、N4-シクロヘキシル-2-メチル-N2-(2-メチルプロピル)-2,4-ペンタンジアミン、N,N’-ジアルキル-1,3-キシリレンジアミン、ビス(4-(N-アルキルアミノ)シクロヘキシル)メタン、4,4’-トリメチレンジピペリジン、N-アルキル化ポリエーテルアミン、例えば、Jeffamine(登録商標)製品のSD-231、SD-401、SD-404およびSD-2001(Huntsmanから)である。
【0103】
付加物ADの調製のための好ましいポリアミンA3は、第一に、最大1000g/モルの分子量を有する、式(VIII)のポリオキシアルキレンジアミン、好ましくはJeffamine(登録商標) D-230、Jeffamine(登録商標) D-400、Jeffamine(登録商標) XTJ-511、Jeffamine(登録商標) EDR-104、Jeffamine(登録商標) EDR-148、Jeffamine(登録商標) EDR-176; Polyetheramine D 230、Polyetheramine D 400、PC Amine(登録商標) DA 250、PC Amine(登録商標) DA 400またはPC Amine(登録商標) DA 650、および第二に、イソホロンジアミン(IPDA)、2,2,4-ならびに2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン(TMD)、1,3-キシリレンジアミン(メタ-キシリレンジアミンまたはMXDA)、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン(C11-ネオジアミン)、N-エチル-1,3-プロパンジアミンおよびN-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミンからなる群から選択されるものである。
【0104】
好適な付加物ADの調製のために好適なおよび好ましいポリエポキシドEは、式(I)または(II)の化合物VBの調製のために既に記載されたポリエポキシド、特に挙げたジエポキシドE1と同じである。
【0105】
特に好適な付加物ADは、第一級または第二級アミノ基の形態の2つのアミノ基を有する、2モルのポリアミンA3と、1モルのジエポキシドとの付加物である。
【0106】
付加物ADは、硬化剤組成物H2中に、有利には、式(I)または(II)の化合物VBの1質量部に基づいて、0.5から1.5質量部の量で存在する。
【0107】
好適なポリアミンA4は、付加物ADの調製のためのポリアミンA3として既に挙げたものと同じポリアミンであり、さらにポリアミドアミンとして知られているものである。ポリアミドアミンは、モノ-または多塩基性カルボン酸、またはこれらのエステルあるいは無水物と、脂肪族、シクロ脂肪族または芳香族ポリアミンとの反応生成物であって、ポリアミンは化学量論的に過剰で使用される。使用される多塩基性カルボン酸は、典型的には、二量体脂肪酸として知られているものであり、使用されるポリアミンは、典型的には、ポリアルキレンアミン、例えばTETAである。商業的に入手可能なポリアミドアミンは、例えば、Versamid(登録商標) 100、125、140および150(Cognisから)、Aradur(登録商標) 223、250および848(Huntsmanから)、Euretek(登録商標) 3607、Euretek(登録商標) 530(Huntsmanから)、Beckopox(登録商標) EH 651、EH 654、EH 655、EH 661およびEH 663(Cytecから)である。
【0108】
ポリアミンA4は、付加物ADを調製するために使用されるポリアミンA3と同じポリアミン、例えば、ポリエポキシドEとの反応で使用されたポリアミンA3の過剰量が理由で、全てのエポキシ基の反応後にまだ存在する未反応のポリアミンA3であってもよい。
【0109】
好ましいポリアミンA4は、比較的疎水性のポリアミン、特に、イソホロンジアミン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、(H12-MDA)、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン(TMD)、1,3-キシリレンジアミン(メタ-キシリレンジアミンまたはMXDA)および2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン(C11-ネオジアミン)からなる群から選択される。
【0110】
ポリアミンA4は、硬化剤組成物H2中に、有利には、式(I)または(II)の化合物VBと付加物ADとの合計の1質量部に基づいて、0.01から0.5質量部の量で存在する。
【0111】
硬化剤組成物H2は、好ましくは、硬化剤組成物全体に基づいて、特に20から90質量%の量で水を含む。
【0112】
硬化剤組成物H2は、より好ましくは、式(Ia)または(IIa)の少なくとも1つの化合物VBと、式(Ib)または(IIb)の少なくとも1つの化合物VBと、少なくとも1つの付加物ADと、少なくとも1つのポリアミンA4と、水を含む。
【0113】
硬化剤組成物H2は、任意の所望の順序で調製することができる。
【0114】
好ましい調製方法、ワンポット方法において、式(I)または(II)の少なくとも1つの化合物VBを最初に満たし、付加物ADはその中で-効果的には溶媒中で調製される。付加物ADは、有利には、高温、例えば60から120℃の範囲において調製される。続けて、ポリアミンA4が反応混合物に加えられる。最後に、反応混合物は、所望の固形分、例えば10から80質量%の範囲の固形分が得られるまで、水で希釈される。
【0115】
欧州特許出願第0567831号に記載された硬化する組成物と比較すると、本明細書に記載された硬化剤組成物は、式(I)または(II)の化合物VBの調製が、欧州特許出願第0567831号に記載された乳化剤および共乳化剤の調製よりかなり迅速であるという、大きな利点を有する。
【0116】
硬化剤組成物H2は、助剤または添加剤の形態でさらなる物質を含んでもよい。
【0117】
硬化剤組成物H2は、好ましくは、水を含み、10から80質量%の範囲の固形分を有する。このような硬化剤組成物は、本明細書内の以下では水性硬化剤組成物HWとして表す。
【0118】
水性硬化剤組成物HWは、エマルションの形態である。式(I)または(II)の化合物VBは、特に式(Ia)または(IIa)の少なくとも1つの化合物VBと、式(Ib)または(IIb)の少なくとも1つの化合物VBとが存在する場合、乳化効果を有してもよい。エマルションの外観は、エマルション液滴の微細さに依存する。微細なエマルション(マイクロエマルション)は、透明またはわずかに乳白色であり、典型的には、チンダル効果(Tyndall effect)を有し、一方、粗いエマルション(マクロエマルション)は、濁った乳白色の外観を有する。マイクロエマルションは、可視光またはより小さい桁の粒子を有する。マイクロエマルションは、典型的には、100nm未満の平均粒子サイズを有する。
【0119】
水性硬化剤組成物HWは、好ましくは、広い温度範囲内、特に0から50℃の間で、マイクロエマルションとして存在する。
【0120】
水性硬化剤組成物HWは、典型的には、室温での取り扱いが容易な、比較的低い粘度を有する。
【0121】
水と同様に、式(Ia)または(IIa)の少なくとも1つの化合物VBと、式(Ib)または(IIb)の少なくとも1つの化合物VBと、少なくとも1つの付加物ADと、少なくとも1つのポリアミンA4とを含む、好ましい水性硬化剤組成物HWは、熱力学的に安定なエマルションの形態であり、透明からわずかに濁った外観を有する。このような水性硬化剤組成物HWは、水中の簡潔な攪拌によって、さらに希釈することができる。このような水性硬化剤組成物は、典型的には、最大50℃で貯蔵安定性がある。「貯蔵安定性がある」は、水性硬化剤組成物が、貯蔵中に合一しない、つまりいずれの相分離を示さず、意図した方法で使用可能なままであることを表す。最大50℃の貯蔵安定性は、先行技術による水性エポキシ硬化剤によってはめったに満たされない、重要な特性である。
【0122】
記載された硬化剤組成物のうちの1つは、有利には、エポキシ樹脂組成物の構成成分として使用され、少なくとも1つのエポキシ樹脂の硬化剤として作用する。
【0123】
したがって、本発明は、硬化剤成分C1と、樹脂成分C2と、場合によってさらなる成分C3とからなる、2パックまたは3パックのエポキシ樹脂組成物をさらに提供する。
【0124】
2パックまたは3パックのエポキシ樹脂組成物は、特に、接着剤、シーリング化合物、埋め込み用(potting)化合物、コーティング、フロアの被覆(floor covering)、ペイント、ワニス、下塗り液(primer)または下塗り剤(undercoat)、好ましくはコーティング、特にフロアコーティングとして使用することができる。
【0125】
第一の実施形態において、エポキシ樹脂組成物は、硬化剤成分C1および樹脂成分C2からなる。
【0126】
硬化剤成分C1は、上記で記載された少なくとも1つの硬化剤組成物を含む。
【0127】
樹脂成分C2は、少なくとも1つのエポキシ樹脂を含む。
【0128】
好適なエポキシ樹脂は、エポキシ化学における通常のエポキシ樹脂、例えば、以下:
- 既に上記で特定されたポリエポキシドE;
- ポリエポキシドEとして既に特定された、式(IX)の液体樹脂と類似の組成物であるが、代わりに、値sが2から12の値を有し、25℃を超えるガラス転移温度を有する、ビスフェノールA、FまたはA/Fの固体樹脂;
- 少なくとも1つのポリオキシアルキレンポリオールとの反応によって親水的に変性された、挙げたエポキシ樹脂のうちの1つ;
である。
【0129】
好ましいエポキシ樹脂は、ビスフェノールA、FまたはA/Fの固体樹脂あるいは液体樹脂であり、例えば、Dow、HuntsmanおよびHexionから商業的に入手可能である。
【0130】
エポキシ樹脂は、反応性希釈剤として知られているものを含んでもよい。好適な反応性希釈剤は、モノおよびポリエポキシド、例えば、一価または多価フェノールと、脂肪族またはシクロ脂肪族アルコールとのグリシジルエーテル、特に、脂肪族またはシクロ脂肪族ポリエポキシドEとして既に挙げた、ジまたはポリオールのポリグリシジルエーテル、さらには、特に、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、p-n-ブチルフェニルグリシジルエーテル、p-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、および天然アルコールのグリシジルエーテル、例えばC8-からC10-アルキルグリシジルエーテルまたはC12-からC14-アルキルグリシジルエーテル、Erysis(登録商標) GE-7およびErysis(登録商標) GE-8(CVCから)として商業的に入手可能なものである。エポキシ樹脂への反応性希釈剤の添加は、粘度の低下、および-エポキシ樹脂組成物の硬化された状態において-ガラス転移温度ならびに機械的な値の低下を引き起こす。
【0131】
硬化剤成分C1が水性硬化剤組成物HWを含む場合、樹脂成分C2は、好ましくは、「乳化可能なエポキシ樹脂」として知られているもの、または水性エポキシ樹脂分散体のどちらかを含む。エポキシ樹脂分散体は、好ましくは、水と同様に、上記で特定された少なくとも1つのエポキシ樹脂と、さらに少なくとも1つの乳化剤、特に非イオン性乳化剤と、例えばアルキルまたはアルキルアリールポリグリコールエーテル、特にポリアルコキシ化アルキルフェノール(例えばアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールと、例えばノニルフェノール1モルあたり最大30モルのエチレンオキシドを含む、ノニルフェノールとエチレンオキシドから形成された付加重合体(polyadduct))とを含む。
【0132】
商業的なエポキシ樹脂分散体は、例えば、Sika(登録商標) Repair/Sikafloor(登録商標) EpoCem(登録商標) Module A(Sika Schweiz AGから)、Araldite(登録商標) PZ 323、Araldite(登録商標) PZ 756/67、Araldite(登録商標) PZ 3961(Huntsmanから)、XZ 92598.00、XZ 92546.00、XZ 92533.00(Dowから)、Waterpoxy(登録商標) 1422、Waterpoxy(登録商標) 1455(Cognisから)、Beckopox(登録商標) EP 384w、Beckopox(登録商標) EP 385w、Beckopox(登録商標) EP 386w、Beckopox(登録商標) EP 2340w、Beckopox(登録商標) VEP 2381w(Cytecから)である。
【0133】
エポキシ樹脂分散体は、典型的には、40〜65質量%の範囲の固形分を有する。
【0134】
乳化可能なエポキシ樹脂は、好ましくは、エポキシ樹脂分散体の構成物質として、既に上記で挙げた少なくとも1つの乳化剤を含む。
【0135】
商業的な乳化可能なエポキシ樹脂は、例えば、Araldite(登録商標) PY 340およびAraldite(登録商標) PY 340-2(Huntsmanから)、Beckopox(登録商標) 122wおよびBeckopox(登録商標) EP 147w(Cytecから)である。
【0136】
硬化剤成分C1および樹脂成分C2の両方は、さらに助剤および添加剤を含んでもよく、例えば以下である:
- 非反応性希釈剤、溶媒またはフィルム形成性助剤、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、2-エトキシエタノール、2-エトキシエチルアセテートまたはベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、N-メチルピロリドン、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ビスフェノールおよびフェノール樹脂、ジフェニルメタン、ジイソプロピルナフタレン、鉱油画分、例えばSolvesso(登録商標)製品(Exxonから)、芳香族炭化水素樹脂、セバケート、フタレート、有機リン酸エステルおよびスルホン酸エステルならびにスルホンアミド;
- 反応性希釈剤および増量剤、例えば、既に上記で挙げたエポキシ基を含む反応性希釈剤、エポキシ化大豆油、ブチロラクトン、亜リン酸トリフェニル、およびさらにはポリアミド、カルボキシル基を有するポリマー、イソシアネート、反応性基を有するシリコーン、ポリスルフィド、ブタジエン-アクリロニトリルコポリマーおよびポリウレタン;
- ポリマー、例えば、ポリアミド、ポリスルフィド、ポリビニルホルマール(PVF)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリウレタン(PUR)、スチレン-ブタジエンコポリマー、不飽和モノマー、特に、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、イソプレン、ビニルアセテートおよびアルキル(メタ)アクリレートを含む基からのホモまたはコポリマー、特に、クロロスルホン化ポリエチレンおよびフルオロ化ポリマー、スルホンアミド変性メラミン;
- 熱可塑性ポリマー、例えば、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミドおよびビチューメン;
- 無機および有機充填剤、例えば、場合によって脂肪酸、特にステアレートでコートされていてもよい、粉末の(ground)または沈降(precipitated)炭酸カルシウム、重晶石(barite(heavy spar))、滑石、珪砂粉末(quartz flour)、珪砂(quartz sand)、ドロマイト、珪灰石、カオリン、マイカ(ケイ酸カリウムアルミニウム)、モレキュラーシーブ(molecular sieve)、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、シリカ、セメント、石こう、フライアッシュ(fly ash)、カーボンブラック、グラファイト、金属パウダー(例えばアルミニウム、銅、鉄、銀または鋼鉄)、PVCパウダーまたは中空球;
- 例えば、ポリマーまたはガラスの繊維;
- 顔料、例えば、二酸化チタンまたは酸化鉄;
- アミノ基とエポキシ基との間の反応を促進する促進剤、例えば、酸または酸への加水分解性化合物、例えば有機カルボン酸(例えば酢酸、安息香酸、サリチル酸、2-ニトロ安息香酸、酪酸)、有機スルホン酸(例えばメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸または4-ドデシルベンゼンスルホン酸)、スルホン酸エステル、他の有機または無機酸、例えばリン酸、あるいは前述の酸および酸エステルの混合物; ならびに第三級アミン、例えば、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ベンジルジメチルアミン、α-メチルベンジルジメチルアミン、2-(ジメチルアミノメチル)フェノールまたは2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、このような第三級アミンの塩、および第四級アンモニウム塩、例えばベンジルトリメチル塩化アンモニウム;
- レオロジー改質剤、例えば特に、増粘剤、例えば板状シリケート(例えばベントナイト)、ヒマシ油の誘導体、水素化ヒマシ油、ポリアミド、ポリウレタン、尿素化合物、ヒュームドシリカ、セルロースエステルおよび疎水的に変性されたポリオキシエチレン;
- 接着改良剤、例えば、オルガノアルコキシシラン、例えば3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノ-プロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノ-プロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-N’-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、3-ウレイド-プロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、またはメトキシ基の代わりにエトキシ基を有する、対応するオルガノアルコキシシラン;
- 熱、光またはUV安定化剤;
- 難燃剤物質;
- 表面活性物質、例えば、湿潤剤、レベリング剤、脱気剤(deaerating agent)または消泡剤;
- 殺生物剤、例えば、殺藻剤(algaecide)、殺真菌剤または真菌成長阻害剤。
【0137】
硬化剤成分C1および樹脂成分C2は、それぞれ好適な包装または配置、例えば、ドラム缶、ホボック(hobbock)、ポーチ、バケツ、キャニスター、カートリッジまたはチューブ内で、その特定の特性をその使用に関連する程度に変えることなく、その使用前に最大1年の数ヶ月間にわたって、およびそれより長く保存することができる。
【0138】
硬化剤成分C1と樹脂成分C2の間の混合比は、好ましくは、硬化剤成分C1中のエポキシ基との反応性基が、樹脂成分C2のエポキシ基と好適な比となるように選択される。好適には、エポキシ基等量あたり、0.7から1.5、および好ましくは0.9から1.1等量のエポキシ基に対して活性なNH水素が、硬化前に存在する。
【0139】
質量比で、硬化剤成分C1と樹脂成分C2との間の比は、典型的には、1:10から10:1の範囲である。
【0140】
適用の前または間に、2つの成分は、好適な方法によってお互いに混合される。混合は、連続的にまたはバッチ式でもたらされる。混合が適用前にもたらされる場合、欠陥、例えば固体表面との接着の遅れたまたは不完全な増強が得られてしまうため、成分の混合と適用との間に過ぎる時間は、あまり長すぎないことが確実とならなければならない。
【0141】
混合と一緒に、硬化反応が始まる。エポキシ樹脂と反応性であり、エポキシ樹脂中に存在するNH水素は、存在するエポキシ基と反応し、組成物を最終的に硬化させる。したがって、本発明は、上記で記載された、2パックまたは3パックのエポキシ樹脂組成物の成分を混合することによって得られる硬化された組成物も記載する。
【0142】
適用および硬化は、有利には、5から50℃の範囲の温度でもたらされる。
【0143】
硬化は、迅速かつ完全に進行する。硬化速度は、周囲の温度および存在する任意の促進剤に依存する。硬化速度は、Byk Gardner乾燥時間レコーダーによって決定され得る。これは、定義されたスピードでガラスストリップ(glass strip)に適用されたフィルムにわたって、ニードルを引くことを含み、フィルムの硬化の程度によって、「深い痕跡」が最初にフィルム内に描かれ、その後、ニードルがいずれの目に見える痕跡を残さなくなるフィルムが乾燥される前に、完全に「表面の痕跡」となる、「フィルムの裂け目」が存在する。「フロー」は、適用された組成物が一緒に適切に流れなくなる、つまり、深い痕跡が始まる時点を表す。「軟らかいゲル」は、フィルムが裂け始める時点を表す。「硬いゲル」は、フィルムの裂けが表面の痕跡になる時点を表し、「硬化した」は、表面の痕跡が消え、ニードルがいずれの目に見える痕跡を残さない時点を表す。
【0144】
記載されたエポキシ樹脂組成物の硬化は、典型的には、滑らかな表面および高い光沢で透明なフィルムを生じさせ、これは高い硬度および靱性ならびに広範囲の異なる基材に対する優れた接着力を有する。
【0145】
エポキシ樹脂組成物は、重要な特性が、水密性、腐食防止、化学的耐性および/または高硬度ならびに靱性などの特性であってもよい、接着剤、シーリング化合物、埋め込み用化合物、コーティング、フロアの被覆、ペイント、ワニス、下塗り液または下塗り剤として使用することができる。これらは、例えば、建設または土木工学において、工業用品または消費財の製造あるいは修理で使用される。
【0146】
さらなる実施形態において、エポキシ樹脂組成物は、硬化剤成分C1と、樹脂成分C2と、さらなる成分C3とからなる。この実施形態において、硬化剤成分C1は、好ましくは、少なくとも1つの水性硬化剤組成物HWを含み、樹脂組成物C2は、好ましくは、少なくとも1つのエポキシ樹脂分散体を含み、成分C3は、少なくとも1つの水硬性で(hydraulically)凝結する鉱物物質を含む。このようなエポキシ樹脂組成物は、ECC組成物としても表される(ECCは「エポキシセメントコンクリート(epoxy cement concrete)」を表す)。
【0147】
好適な水硬性で凝結する鉱物物質は、以下である:
- 従来水硬性バインダーとして表され、水と、水の存在下でさえも硬化可能な物質、例えば、石灰、および特にセメント;
- 添加剤の作用下で水と一緒に凝結する、潜在的な水硬性バインダー、例えば特に、フライアッシュのための高炉スラグ;
- 非水硬性バインダーとして知られている、空気の存在下でのみ水と反応する物質、例えば特に、石こう、ソレルセメント(Sorel cement)、無水石こう、マグネシアバインダーおよび漆喰(white lime)。
【0148】
したがって、本明細書において、セメントだけではなく、特に無水物の形態の硫酸カルシウム、半水和物の石こうまたは二水和物の石こう、あるいは高炉スラグは、水硬性で凝結する物質として表される。
【0149】
水硬性で凝結する物質は、好ましくは、セメント、特に欧州規格(European standard)EN 197によるセメントである。好ましいセメントは、ポートランドセメント(Portland cement)、スルホアルミネートセメントおよび高アルミナセメント、特にポートランドセメントである。セメントの混合物は、特に優れた特性を導くことができる。特に好適なものは、少なくとも1つのポートランドセメントと、少なくとも1つのスルホアルミネートセメントまたは少なくとも1つの高アルミナセメントのどちらかとの混合物である。迅速な硬化のために、セメント質の急速に凝結するバインダーが特に使用され、これは好ましくは少なくとも1つの高アルミナセメントまたは別のアルミネート供給源、例えばアルミネート供与性クリンカー(aluminate-donating clinker)、および場合によって、無水物の形態の硫酸カルシウム、半水和物または二水和物の石こう、ならびに/あるいは水酸化カルシウムを含む。
【0150】
成分C3は、場合によってさらなる物質、例えば様々な砂のタイプまたは珪砂粉末、フライアッシュ、顔料、およびセメント産業で慣習となっている助剤ならびに添加剤、例えば可塑剤または凝結促進剤あるいは消泡剤を含む。
【0151】
ECC組成物の成分C3は、典型的には、粉状の形態であり、一方、硬化剤成分C1および樹脂組成物C2は、液体の形態である。
【0152】
ECC組成物は、典型的には、高品質のコーティングまたはモルタルとして使用され、これは防湿性であり、優れた機械的特性、低い収縮量および優れた接着力を有し、特に湿った基材に、例えばフロアの被覆、湿気および水蒸気からのシーリングのためのバリア層として、スクリード、接合モルタルまたはタイル接着剤として、レベリング、スパックリング(spackling)または下塗り液化合物として、あるいは修理モルタルとして使用される。さらに、このようなECC組成物は、高い化学的耐性で注目に値する。
【0153】
記載されたエポキシ樹脂組成物は、少なくとも1つの基材に適用され、好適な基材は以下である:
- ガラス、ガラスセラミック、コンクリート、モルタル、れんが、タイル、石こうおよび天然石、例えば花崗岩または大理石;
- 金属または合金、例えば、アルミニウム、鋼鉄、鉄、非鉄金属、亜鉛めっきされた金属;
- 革、織物、紙、木材、樹脂で結合された木材ベースの物質、樹脂と織物の複合物質およびさらにポリマー複合材;
- ポリマー、例えば、ポリ塩化ビニル(剛性および柔軟性PVC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)、SMC(板状成型化合物(sheet molding compound))、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエステル、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン(PUR)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリオレフィン(PO)、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)、エチレン/プロピレンコポリマー(EPM)、およびエチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)、ならびにプラズマ、コロナまたは炎によって好ましくは表面処理されてもよいポリマー;
- コートされた基材、例えば、パウダーでコートされた金属または合金; およびペイントおよび他のコーティング物質。
【0154】
必要な場合、エポキシ樹脂組成物の適用前に、基材は前処理されてもよい。このような前処理には、特に物理的および/または化学的洗浄方法、例えば粉砕、サンドブラスト、ショットブラスト、ブラッシングまたは同様のものが含まれ、発生するほこりは、有利には、吸引、洗剤または溶媒での処理によって除去される、あるいは接着促進剤、接着促進剤溶液あるいは下塗り液の塗布が含まれる。
【実施例】
【0155】
1. 試験方法の記載
Rheotec RC30コーンプレート粘度計(コーンの直径25mm、コーンの角度1°、コーンチップとプレートの距離0.05mm、せん断速度50s-1)で、粘度を測定した。50℃および20℃で測定された粘度を、それぞれ、表1において「η50℃」として、および表2において「η20℃」として報告した。
【0156】
2. 使用した原料物質
Jeffamine(登録商標) ED-2003(Huntsman) プロポキシル化ポリエチレングリコールに基づくポリオキシアルキレンジアミン、平均分子量 = 2000g/モル
Armeen(登録商標) CD(Akzo Nobel) ココアルキルアミン(C12脂肪アミン)、平均分子量 = 200g/モル
Araldite(登録商標) GY 250(Huntsman) ビスフェノールAジグリシジルエーテル、EEW = 187g/eq、平均分子量は約375g/モル
N4-アミン(BASF) N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、分子量 = 174g/モル
テトラエチレンペンタミン(Delamine)(「TEPA」) 工業用(technical grade)、分子量 = 189g/モル
ベンジルアミン 分子量 = 107g/モル
2,5-ヘキサンジオン(Wacker) 分子量 = 114g/モル
2,4-ペンタンジオン(Wacker) 分子量 = 100g/モル
2-エチルヘキシルアミン 分子量 = 129g/モル
ジメチルアクリルアミド 分子量 = 99g/モル
酸化ブチレン 分子量 = 72g/モル
Jeffamine(登録商標) D-230(Huntsman) ポリプロピレングリコールジアミン、平均分子量 = 240g/モル
イソホロンジアミン(Evonik)(「IPDA」) 1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、分子量 = 170g/モル
メタ-キシリレンジアミン(Mitsubishi Gas Chem.)(「MXDA」) 1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼン、分子量 = 136g/モル
【0157】
3. H1タイプの硬化剤組成物の調製
実施例1
窒素雰囲気下で丸底フラスコを、90℃の温度で、最初に、200.0gのJeffamine(登録商標) ED-2003および20.0gのArmeen(登録商標) CDで満たした。十分攪拌しながら、37.5gのAraldite(登録商標) GY 250を、途中で温度が105℃を超えないことを確かめながら、ゆっくりと加え、続けて反応混合物を、90℃で、2時間にわたってさらに攪拌した。その後、11.4gの2,5-ヘキサンジオンを加え、90℃で、15分間にわたって攪拌した。その後、52.2gのN4-アミン、さらに34.2gの2,5-ヘキサンジオンを反応混合物に加え、90℃で、15分間にわたって攪拌した。その後、さらに60.0gのArmeen(登録商標) CD、さらに112.5gのAraldite(登録商標) GY 250を、途中で温度が105℃を超えないことを確かめながら、加えた。最後に、反応混合物を、90℃で、さらに2時間攪拌し、その後冷却した。
【0158】
室温で固体の、黄色っぽい、ワックス状の物質が得られた。この50℃における粘度および(計算された)NH等量を、表1に報告する。本明細書において、NH等量は、アミン窒素に結合した水素原子あたりの等量を表す。
【0159】
実施例2から7および比較例8と9
実施例2から7および比較例8を、表1の情報による成分を使用して、特定された順序で、実施例1と類似に調製した。量はグラムで報告されている。比較例8において、ジメチルアクリルアミドの添加後、さらなる追加前のそれぞれの場合において、15分の代わりに1時間の反応時間を観察した。比較例9において、さらなる追加前のそれぞれの場合において、酸化ブチレンの最初の添加後、90℃で15分間の代わりに60℃で14時間の攪拌を観察し、酸化ブチレンの第二の追加後、60℃で3時間およびその後90℃で90分間の反応時間を観察した。
【0160】
実施例1から7および比較例8と9の全ての硬化剤組成物は、室温で、黄色っぽい固体のワックス状の物質であった。融解状態において、これらはスパチュラで単純に攪拌することによって水で希釈可能であり、それぞれの場合において、ほとんど透明の液体が得られた。比較例9の調製時間は、実施例1から7の硬化組成物の調製時間より、十分に長い。
【0161】
【表1】

【0162】
4. H2またはHWタイプの硬化剤組成物の生成
実施例10
窒素雰囲気下で丸底フラスコを、最初に、126.5gのJeffamine(登録商標) D-230を加えた、200.0gの実施例1からの硬化剤組成物で満たし、攪拌しながら反応混合物を90℃に加熱した。その後、十分攪拌しながら、98.5gのAraldite(登録商標) GY 250を、途中で温度が105℃を超えないことを確かめながら、徐々に加えた。最後に、反応混合物を、90℃で、さらに90分間攪拌し、その後、75gのイソホロンジアミンおよび489.1gの水を連続して攪拌し、混合物を冷却した。
【0163】
黄色っぽい、透明な液体が得られた。20℃における粘度、(計算された)NH等量、水の含有量(形成された水も含む、質量%)、および50℃における貯蔵安定性を、表2に報告する。
【0164】
実施例11から17および比較例18と19
実施例11から17および比較例18と19を、表2の情報による成分を使用して、実施例10と類似に調製した。量はグラムで報告されている。
【0165】
比較例18と19を除いた全ての実施例において、透明な液体がそれぞれの場合に得られた。外観を視覚的に評価し、表2に報告した。
【0166】
貯蔵安定性(「貯蔵安定性50℃」)の評価のために、硬化剤組成物を、4週間にわたって50℃に加熱した。この期間に合一が発生しない場合、組成物を安定または「ok」と指定し、さもなければ不安定または「no」として指定した。
【0167】
【表2】

【0168】
5. エポキシ樹脂組成物の生成
実施例20から27および比較例28と29
実施例10から17からのH2またはHWタイプの硬化剤組成物と、比較例18および19からの硬化剤組成物とを、表3で特定された質量割合で、50質量部のエポキシ樹脂分散体Sika(登録商標) Repair/Sikafloor(登録商標) EpoCem(登録商標) Module A(EEW = 288.7g/eq、固形分 = 62質量%; Sika Schweiz AG)と一緒に混合した。それぞれの混合された組成物のために、76μmの厚みの層でフィルムをガラスプレート上で引き、さらなるガラスプレートの上に500μmの厚みの層でフィルムを引いた。
【0169】
以下の試験を行った。
【0170】
硬化速度を、BYK-Gardner乾燥時間レコーダー(Beck-Koller法)によって、ガラス上の76μmの厚みの層における、新たに塗布したフィルムで決定した: 表3において、深い痕跡の開始(「フロー」)を「tフロー」、フィルムの裂けの開始(「軟らかいゲル」)を「t軟らかいゲル」、表面の痕跡の開始(「硬いゲル」)を「t硬いゲル」、および表面の痕跡の終わり(「硬化した」)を「t硬化した」と指定した。
【0171】
硬度を、Byk-GardnerからのPIG universal instrumentによって、23℃および50%の相対湿度(r.H.)において、30日間の硬化期間後に、ガラス上に500μmの厚みの層で引かれたフィルムで、Buchholz硬度として決定した。
【0172】
接着力を、ガラス上に500μmの厚みの層で引かれたフィルム上のガラスで決定した。接着力を試験するために、フィルムを、繰り返し、ブレードでガラスプレートに切り込みを入れ、ブレードでガラスプレートからフィルムを引き離す試みを行った。これが不可能な場合、接着力は「良好」と指定した。
【0173】
外観を、それぞれ76μmおよび500μmの厚みの層のガラス上の2つのフィルムで評価し、表3に、外観(76μm)および外観(500μm)として指定した。外観を、透明(「透明」)、濁った(「濁った」)、申し分ない(「申し分ない」)および構造化(「構造化」)と指定した。申し分ないフィルムは、透明で、光沢があり、タックがなく、いかなる表面構造も有さないものと考えられる。構造化フィルムは、表面が完全に滑らかではなく、わずかに橙色のような表皮を有するものと考えられる。
【0174】
試験の結果を、表3に報告する。
【0175】
【表3】

【0176】
6. ECC組成物の調製
実施例30
7.2質量部の実施例10からの硬化剤組成物を、17.6質量部の水および0.19質量部の消泡剤(BYK(登録商標)-023、BYK-Chemie)(= 硬化剤成分)と混合した。これに10質量部のSika(登録商標) Repair/Sikafloor(登録商標) EpoCem(登録商標) Module A(EEW = 288.7g/eq、固形分 = 62質量%; Sika Schweiz AG)(= 樹脂成分)および150質量部のSikafloor(登録商標)-81 EpoCem(登録商標) component C(Sika Schweiz AG)(= セメント質パウダー)を加え、全てを完全に混合した。得られたECC組成物を、固形化時間(欧州規格 480-2)、スランプ(slump)(欧州規格 1015-3)および40×40×160mm寸法のプリズムの圧縮強度ならびに曲げ引張強度(欧州規格 13892-2)、引張接着強度(欧州規格 13892-8)および40×40×160mm寸法のプリズムの異なる期間の標準気候条件(23℃、50%相対湿度)下で貯蔵後の収縮(長さの変化)(ドイツ連邦規格 52450)を決定するために使用した。結果を表4に報告する。
【0177】
実施例31
実施例30のための記載と同じ方法で、実施例13からの硬化剤組成物を、ECCモルタルを生成するために使用し、試験した。結果を表4に報告する。
【0178】
【表4】

【0179】
実施例30および31のECC組成物は、並外れて優れた加工性を有し、非常に優れた機械的特性を有し、申し分ない表面の外観で硬化する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)または(II)の化合物VBであって、
【化1】

ここで、R1およびR3は、それぞれ独立に、1から12個の炭素原子を有し、場合によってエーテル基またはハロゲン原子を有する、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基であり、かつ、R2は、水素原子または1から12個の炭素原子を有する、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基であり、
あるいは、
R2およびR1は一緒に、場合によって置換された、5から8個の、好ましくは5または6個の炭素原子を有する炭素環式環の一部である、二価の炭化水素基であり、かつ、R3は、1から12個の炭素原子を有し、場合によってエーテル基またはハロゲン原子を有する、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基であり;
あるいは、
R2およびR3は一緒に、場合によって置換された、5から8個の、好ましくは5または6個の炭素原子を有する炭素環式環の一部である、二価の炭化水素基であり、かつ、R1は、1から12個の炭素原子を有し、場合によってエーテル基またはハロゲン原子を有する、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基であり;
R4およびR5は、それぞれ独立に、1から12個の炭素原子を有し、場合によってエーテル基またはハロゲン原子を有する、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基であり;
Aは、(a+b)の第一級アミノ基の除去後のポリアミン-ポリエポキシド付加物の(a+b)価の基であり;
aは0から4の整数であり; かつ
bは1から4の整数であり;
aとbの合計は1から4の整数であり、ポリアミン-ポリエポキシド付加物の元のポリエポキシドは、ポリエポキシドE、特にジエポキシドE1であり、65から500g/eqのエポキシ等量(EEW)を有するという条件である、化合物VB。
【請求項2】
式(Ia)または(Ib)を有することを特徴とする化合物VBであって、
【化2】

ここで、R6は、場合によってエーテル基または第二級アミノ基を有する、アルキル基またはシクロアルキル基あるいはアリールアルキル基であり;
E1およびE2は、それぞれ独立に、2つのエポキシ基の除去後の、65から500g/eqのエポキシ等量(EEW)を有するジエポキシドE1の残余であり;
xは0から50の整数であり;
yは0から100、好ましくは10から50の整数であり;
zは1から50の整数であり;
(x+z)は1から100、好ましくは1から10の整数であり;
pは0または1であり; かつ
qは0、1、2または3である、請求項1に記載の化合物VB。
【請求項3】
式(IIa)または(IIb)を有することを特徴とする化合物VBであって、
【化3】

ここで、R6は、場合によってエーテル基または第二級アミノ基を有する、アルキル基またはシクロアルキル基あるいはアリールアルキル基であり;
E1およびE2は、それぞれ独立に、2つのエポキシ基の除去後の、65から500g/eqのエポキシ等量(EEW)を有するジエポキシドE1の残余であり;
xは0から50の整数であり;
yは0から100、好ましくは10から50の整数であり;
zは1から50の整数であり;
(x+z)は1から100、好ましくは1から10の整数であり;
pは0または1であり; かつ
qは0、1、2または3である、請求項1に記載の化合物VB。
【請求項4】
前記ジエポキシドE1が、156から250g/eqのエポキシ等量を有する、ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールA/Fジグリシジルエーテル、170から340g/eqのエポキシ等量を有する、N,N-ジグリシジルアニリンおよびポリグリコールジグリシジルエーテルからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の化合物VB。
【請求項5】
(α) 少なくとも2つの第一級アミノ基を含む、少なくとも1つのポリアミンA1、
(β) 場合によって、1つのみの第一級アミノ基を含む、少なくとも1つのアミンA2、
(γ) 65から500g/eqのエポキシ等量(EEW)を有する、少なくとも1つのポリエポキシドE、および
(δ) 少なくとも1つの式(IV)のジケトンK1または式(V)のK2:
【化4】

が、お互いに1より多い段階で反応し、
ここで、第一級アミノ基とエポキシ基との数の間の比が、特に1.25から2.0であり、かつ、
ジケトンK1またはK2は、エポキシ基に対して過剰量で、特に0.25から1.0等量の量である、第一級アミノ基に対する比において使用される
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の化合物VBを調製するための方法。
【請求項6】
前記ジケトンK1が、2,4-ペンタンジオン、3-メチル-、3-エチル-、3-プロピル-、3-イソプロピル-、3-ブチル-、3-tert-ブチル-、3-シクロヘキシル-および3-フェニル-2,4-ペンタンジオン、3,5-ヘプタンジオン、6-メチル-3,5-ヘプタンジオン、2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン、2,2,4,6,6-ペンタメチル-3,5-ヘプタンジオン、2-アセチルシクロペンタノンならびに2-アセチルシクロヘキサノンからなる群から選択され、好ましくは2,4-ペンタンジオンであることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリアミンA1が、特に500から5000g/モルの分子量を有する、式(VIII)のエーテルを含むジアミン、およびポリアルキレンアミン、特に、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)、5から7個のエチレンアミン単位を有するポリエチレンポリアミン(「高級エチレンポリアミン」として知られている、HEPA)、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルアミン(N3-アミン)およびN,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン(N4-アミン)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項5または6に記載の方法。
【化5】

【請求項8】
前記アミンA2が、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、エイコシルアミン、ドコシルアミン、2-エチル-1-ヘキシルアミン、ベンジルアミン、1-または2-フェニルエチルアミン、N-ヘキシル-1,2-エタンジアミン、N-(2-エチルヘキシル)-1,2-エタンジアミン、N-シクロヘキシル-1,2-エタンジアミン、N-ブチル-1,3-プロパンジアミン、N-ヘキシル-1,3-プロパンジアミン、N-(2-エチルヘキシル)-1,3-プロパンジアミン、N-ドデシル-1,3-プロパンジアミン、N-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン、ココアルキルアミン、ソヤアルキルアミン、オレイルアミン、N-ココアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-オレイル-1,3-プロパンジアミンおよびN-ソヤアルキル-1,3-プロパンジアミンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項5から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記ポリエポキシドEが、156から250g/eqのエポキシ等量を有する、ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールA/Fジグリシジルエーテル、170から340g/eqのエポキシ等量を有する、N,N-ジグリシジルアニリンおよびポリグリコールジグリシジルエーテルからなる群から選択されるジエポキシドE1であることを特徴とする、請求項5から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
(a) 請求項1から4のいずれかに記載された、式(I)または(II)の少なくとも1つの化合物VB
を含む、硬化剤組成物。
【請求項11】
請求項2から4のいずれかに記載の式(Ia)または(IIa)の少なくとも1つの化合物VBと、請求項2から4のいずれかに記載の式(Ib)または(IIb)の少なくとも1つの化合物VBとを含むことを特徴とする、請求項10に記載の硬化剤組成物。
【請求項12】
前記硬化剤組成物が、
(b) 第一級または第二級アミノ基の形態の少なくとも2つのアミノ基を有する、少なくとも1つのポリアミンA3と、65から500g/eqのエポキシ等量(EEW)を有する、少なくとも1つのポリエポキシドEとから形成される、末端第一級および/または第二級アミノ基を有する、少なくとも1つの付加物AD、
(c) 場合によって、第一級および第二級アミノ基の形態の少なくとも2つのアミノ基を有する、少なくとも1つのポリアミンA4、および
(d) 場合によって、水
をさらに含むことを特徴とする、請求項10または11に記載の硬化剤組成物。
【請求項13】
前記ポリアミンA3が、第一に、最大1000g/モルの分子量を有する、ポリオキシアルキレンジアミン、および第二に、イソホロンジアミン(IPDA)、2,2,4-ならびに2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン(TMD)、1,3-キシリレンジアミン(メタ-キシリレンジアミンまたはMXDA)、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン(C11-ネオジアミン)、N-エチル-1,3-プロパンジアミンならびにN-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項12に記載の硬化剤組成物。
【請求項14】
前記ポリアミンA4が、イソホロンジアミン(IPDA)、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(H12-MDA)、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン(TMD)、1,3-キシリレンジアミン(メタ-キシリレンジアミンまたはMXDA)ならびに2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン(C11-ネオジアミン)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項12または13に記載の硬化剤組成物。
【請求項15】
前記組成物が、硬化剤組成物全体に基づいて、特に20から90質量%の量で水を含むことを特徴とする、請求項12から14のいずれかに記載の硬化剤組成物。
【請求項16】
硬化剤成分C1と、樹脂成分C2と、場合によってさらなる成分C3とからなる、2パックまたは3パックのエポキシ樹脂組成物であって、
ここで、
硬化剤成分C1は、請求項10から15のいずれかに記載の少なくとも1つの硬化剤組成物からなる、またはこれらを含み; かつ
樹脂成分C2は、少なくとも1つのエポキシ樹脂からなる、またはこれらを含み; かつ
成分C3は、少なくとも1つの水硬性で凝結する鉱物物質、好ましくはセメントからなる、またはこれらを含む、エポキシ樹脂組成物。
【請求項17】
請求項16に記載の2パックまたは3パックのエポキシ樹脂組成物の成分を混合することによって得られる、硬化された組成物。
【請求項18】
NHおよびOH基と反応性のある少なくとも2つの基を有し、特に、イソシアネート、イソチオシアネート、シクロカーボネート、エポキシド、エピスルフィド、アジリジン、アクリロイル、メタクリロイル、1-エチニルカルボニル、1-プロピニルカルボニル、マレイミド、シトラコンイミド、ビニル、イソプロペニルまたはアリル基からなる群から選択される物質のための硬化剤としての、請求項1から4に記載の化合物VBの使用。
【請求項19】
コーティングとしての、特にフロアコーティングとしての、請求項16に記載の2パックまたは3パックのエポキシ樹脂組成物の使用。

【公表番号】特表2011−522943(P2011−522943A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512986(P2011−512986)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【国際出願番号】PCT/EP2009/057258
【国際公開番号】WO2009/150212
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】