説明

水溶性コポリマー及びそれを配合する化粧料又は皮膚外用剤

【課題】低湿度の条件下でも保水性を維持し、高湿度の条件下でもベタつきを感じさせず、粘性がなく又はほとんどなく、他の成分の感触、官能に影響を与えることのない水溶性ポリマーを提供すること。
【解決手段】ポリマーの骨格部分として(メタ)アクリル酸を選択し、導入基としてアミド化合物を選択し、さらに水溶性のホモポリマーを与える重合性単量体をコモノマー成分として使用し、架橋剤を用いずに重合させて得られた、優れた保水性を示すと共に、粘性が非常に低く、化粧料に配合した場合に他の成分の感触・官能に影響を与えずに十分な保湿性を実感させることができる水溶性のコポリマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な水溶性コポリマー及びそれを配合した化粧料又は皮膚外用剤に関し、更に詳しくは、保水性を有する新規な水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマー及び、かかる水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーを配合した保湿性に優れる化粧料又は皮膚外用剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に皮膚の乾燥は、皮膚分泌物の量、特に皮脂分泌量の減退により、角層のバリア機能が低下し、経表皮性水分損失が大きくなったときにおこる。皮膚が乾燥状態になると皮膚のつやは低下し、小じわが目だつなどの弊害がでてくる。
従って、皮膚の水分量を維持させることは重要な課題であり、そのため皮膚水分量を維持するための保湿剤に関する様々な研究が行われている。グリセリン、1,3−ブチレングリコール等の水溶性多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ソーダ、乳酸ソーダ等の有機酸塩類、キチン等の多糖類などを用いて角層内に存在する水分との水和効果を高める方法などが見い出されているが、これらの保湿剤としての効果は一過性のものが多く、皮膚の水分量を高める作用には優れるものの、その持続性には未だ課題が残っている。
【0003】
一方、多くの化合物が、保湿剤としての役割も果たすとともに、粘性を付与する等により、使用性や外観の安定性などのレオロジーを改善するために用いられている。例えば、増粘性や曳糸性を有することを特徴とする水溶性のヒアルロン酸や、疎水基を有し油性基材にも配合できるアセチルヒアルロン酸(例えば、特許文献1参照)のほか、細胞膜の構成に注目したホスファチジルコリンの極性基と同一の構造を有する2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位とし被膜形成能に優れるといわれるポリマー物質(リピジュア)(例えば、特許文献2参照)や、水溶性アミノ酸のアミノ基とがアミド結合してなる、保湿性を有するアミノ酸修飾γ−ポリグルタミン酸(例えば、特許文献3参照)等のポリマーが提案されている。
【0004】
また、(メタ)アクリルアミド誘導体として、N−アルキル又はN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミドの単独または共重合体を、例えば、分子中に二個以上の二重結合を有する架橋性モノマーと共重合することで水に不溶化してなる、調湿用樹脂(例えば、特許文献4参照)や水溶性ゲル用樹脂(例えば、特許文献5参照)や(メタ)アクリルアミド誘導の重合体を含む水の分離保持剤(例えば、特許文献6参照)や水蒸気の吸収、放出剤(例えば、特許文献7参照)が提案されているほか、水に非混和性な液体を含む連続相と、N−置換アクリルアミド並びにエチレン性不飽和酸又は塩を含有する重合体組成物(例えば、特許文献8参照)や、アミド基の窒素原子上にアルキル基等を有するアクリルアミド系モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体、及び、炭素数1〜3の脂肪族アルコールとを含む非ヒドロゲル外用組成物(例えば、特許文献9参照)や、アクリル酸系重合体、ビニルアルコール系重合体、ビニルピロリドン系重合体、アクリルアミド系重合体、N−ビニルアセトアミド重合体、N−モノ又はジアルキルアクリルアミド系重合体から選ばれた1種以上の重合体からなる水溶性高分子粉末(例えば、特許文献10参照)が提案されている。さらに、ジアルキルアクリルアミドとイオン性アクリルアミド誘導体等の水溶性エチレン性不飽和モノマーを分散層に溶解し、分散相中にラジカル重合して得られるミクロゲルからなる増粘剤(例えば、特許文献11参照)や、水性中に分散した油性相を含む水中油型ナノエマルジョンであって、中性のアクリル酸ホモポリマーを含む組成物(例えば、特許文献12参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3557044号
【特許文献2】特許第2832119号
【特許文献3】特開2007−297559号
【特許文献4】特開昭60−250013号
【特許文献5】特開昭60−250019号
【特許文献6】特開昭60−90010号
【特許文献7】特開昭61−263639号
【特許文献8】特表2004−533520号
【特許文献9】特表2007−119428号
【特許文献10】特開2004−83618号
【特許文献11】特開2005−298831号
【特許文献12】特開2002−68935号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、高湿度下で吸湿性が高くなる保湿剤はベタつきを感じさせ、逆に低湿度下では、水分子を放出してしまい保水性が維持されないことが多く、水溶性ポリマーであっても粘性とともに曳糸性等他の望ましくない特性を付与する場合があり、さらに粘性を付与することで、化粧料の他の成分の感触、官能に影響を与えることがあった。本発明の課題は、低湿度の条件下でも保水性を維持し、高湿度の条件下でもベタつきを感じさせず、粘性がなく又はほとんどなく、他の成分の感触、官能に影響を与えることのない水溶性ポリマーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、保湿効果が高く、低湿度の条件下でも保水性を維持し、かつ高湿度下で吸湿性が低くべたつきの少ない保湿剤として提案されているテアニン(特許第3543478号)のアセトアミド部分に着目し、モノエチルアセトアミドについて保湿剤として使用できるかどうか検討したところ、揮発性を有し、保湿剤として化粧品に配合することは困難であることを確認した。しかし、モノエチルアセトアミドは水分子と相互作用することが判明したので、ポリマーの骨格部分として(メタ)アクリル酸を選択し、導入基としてアミド化合物を選択し、さらに水溶性のホモポリマーを与える重合性単量体をコモノマー成分として使用し、架橋剤を用いずに重合させたところ得られた水溶性のコポリマーは、優れた保水性を示すと共に、粘性が非常に低く、化粧料に配合した場合に他の成分の感触・官能に影響を与えずに十分な保湿性を実感させることができることを見い出した。また、本発明者らは、本発明の水溶性コポリマーをリン脂質、特にそれから形成されるリポソームと共存させることにより、リン脂質又はリポソーム単独の場合に比べて保湿効果が向上することも見い出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、[1]アクリルアミド又はメタクリルアミド重合性単量体に由来する式(1)で表される1種又は2種以上の繰返し単位:(A)
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、R1は、水素原子又はメチル基を示し、R2は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を表す)と、水溶性のホモポリマーを与える重合性単量体に由来する1種又は2種以上の繰返し単位:(B)とを含有し、A:Bのモル比が99.98:0.02〜10:90であり、温度30℃、相対湿度60%における当該ポリマーの50質量%水溶液の6時間放置後の質量減少率が25質量%未満であることを特徴とする化粧料又は皮膚外用剤用水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーや、[2]さらに、温度30℃において相対湿度を60%から40%に下げたときの当該ポリマーの50質量%水溶液の質量減少率が3質量%未満であることを特徴とする上記[1]記載の化粧料又は皮膚外用剤用水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーや、[3]さらに、温度30℃において相対湿度を40%から60%に上げたときの当該ポリマーの50質量%水溶液の質量増加率が3質量%未満であることを特徴とする上記[1]又は[2]記載の化粧料又は皮膚外用剤用水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーや、[4]水溶性のホモポリマーを与える重合性単量体に由来する1種又は2種以上の繰返し単位:(B)が、下記式(2)で表される繰返し単位であることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の化粧料又は皮膚外用剤用水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマー
【0011】
【化2】


[式中、R4は、水素原子又はメチル基、Yは、下記一般式(3)〜(6)
【0012】
【化3】

【0013】
(式中、R5は、水素原子、アルカリ金属元素、アンモニウム基、有機塩基から誘導された1価の基、−((CH)pO)qH基(但し、pは2又は3であり、pが2の場合、qは1〜10のいずれかの整数を表し、pが3の場合、qは1〜3のいずれかの整数を表す)、又は−(CHCH(OH)CHO)rH基(但し、rは1〜10のいずれかの整数を表す)を表す)、
【0014】
【化4】



【0015】
【化5】


、又は
【0016】
【化6】

【0017】
を表す。但し、Yが式(4)又は式(5)で表される場合、R4は、水素原子である。]
に関する。
【0018】
また本発明は、[5]アクリルアミド又はメタクリルアミド重合性単量体に由来する式(1)で表される1種又は2種以上の繰返し単位:(A)
【0019】
【化7】

【0020】
(式中、R1は、水素原子又はメチル基を示し、R2は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を表す)と、
下記式(2)
【0021】
【化8】


[式中、R4は、水素原子又はメチル基、Yは、下記一般式(3’)、(5)又は(6)
【0022】
【化9】


(式中、R5’は、−((CH)pO)qH基(但し、pは2又は3であり、pが2の場合、qは1〜10のいずれかの整数を表し、pが3の場合、qは1〜3のいずれかの整数を表す)、−(CHCH(OH)CHO)rH基(但し、rは1〜10のいずれかの整数を表す)を表す)、
【0023】
【化10】


又は、
【0024】
【化11】

【0025】
を表す。但し、Yが式(5)で表される場合、R4は、水素原子である。]
で表される繰返し単位:(B)とを含有し、
A:Bのモル比が99.98:0.02〜10:90
であることを特徴とする水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーに関する。
【0026】
さらに、本発明は、[6](A)上記[1]〜[5]のいずれかに記載の水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマー、及び、(B)リン脂質を含有することを特徴とするリポソーム含有水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマー組成物や、[7]さらに、(C)コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール及びフィトステロール誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする上記[6]記載のリポソーム含有水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマー組成物や、[8]さらに、(D)グリセリン及び1,3−ブチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする上記[6]又は[7]記載のリポソーム含有水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマー組成物や、[9]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーを含有する化粧料又は皮膚外用剤や、[10]上記[6]〜[8]のいずれかに記載のリポソーム含有水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマー組成物を含むことを特徴とする化粧料又は皮膚外用剤に関する。
【発明の効果】
【0027】
本発明の水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、温度30℃、相対湿度60%における当該ポリマーの50質量%水溶液の6時間放置後の質量減少率が25質量%未満であり、また、温度30℃において相対湿度を60%から40%に下げたときの当該ポリマーの50質量%水溶液の質量減少率が3質量%未満であり、さらに温度30℃において相対湿度を40%から60%に上げたときの当該ポリマーの50質量%水溶液の質量増加率が3質量%未満と、保湿性に優れている。このような特性を有する水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーを使用することにより、特開2002−68935号に記載の方法と比較して、水性相中に分散した油性相を含む水中油型のエマルジョンに配合することなく、配合した化粧料等に保湿性を付与することができ、しかも他の成分の感触、官能に影響を与えることが少ない。
【0028】
さらに、リン脂質を共存させた場合は、特に、リン脂質がリポソームを形成する場合には、本発明の水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーがリポソームの経時安定性の向上に寄与し、それにより、角質貯留性が高まり、リン脂質及び本発明の水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーの肌への経時的保湿効果を飛躍的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明品9,10、比較品8〜10についての、連用による肌水分量の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(アクリルアミド又はメタクリルアミド重合性単量体に由来する式(1)で表される1種又は2種以上の繰返し単位:(A))
式(1)中、R1は、水素原子又はメチル基を示し、R2は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、R3は炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を示す。炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基を例示することができる。また、炭素数1から3のヒドロキシアルキル基としては、−CHOH基、−CHCHOH基、−CH(OH)CH基、−CHCHCHOH基、−CHCH(OH)CH基、−CH(OH)CHCH基、−CH(OH)基、−CH(OH)CHOH基、−CHCH(OH)CHOH基、−CHC(OH)CH基、−CH(OH)CH(OH)CHOH等を例示することができる。
【0031】
上記式(1)で表される繰返し単位に対応する単量体としては、具体的には、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジn−プロピルアクリルアミド、N,N−ジイソプロピルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−3−ヒドロキシ−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−エチル−N−2−ヒドロキシエチルアクリルアミド等のアクリルアミド系重合性モノマー、又は、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N,N−シメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N−ジn−プロピルメタクリルアミド、N,N−ジイソプロピルメタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−3−ヒドロキシ−n−プロピルメタクリルアミド、N−メチル−N−エチルメタクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルメタクリルアミド、N−メチル−N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N−エチル−N−2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド等のメタクリルアミド系重合性モノマーを挙げることができる。これらは、1種又は2種以上を使用することができる。
【0032】
(水溶性のホモポリマーを与える重合性単量体に由来する繰返し単位:(B))
上記繰返し単位:(B)に対応する重合性単量体としては、それのみで水に可溶なホモポリマーとなりうる重合性単量体であれば特に制限されないが、たとえば、上記式(2)で表される繰返し単位に対応する重合性単量体を挙げることができる。好ましくは上記式(2)及び式(3)、又は、上記式(2)及び式(3’)で表される繰返し単位に対応する重合性単量体、上記式(2)及び式(4)で表される繰返し単位に対応する重合性単量体、上記式(2)及び式(5)で表される繰返し単位に対応する重合性単量体、上記式(2)及び式(6)で表される繰返し単位に対応する重合性単量体を単独で又は2種以上を組み合わせて本発明に使用した場合に本発明の効果が更に奏される。
【0033】
上記式(2)において、R4は、水素原子又はメチル基であり、Yは、上記式(3)〜(6)を表し、Yが上記式(4)又は上記式(5)で表される場合、R4は水素原子である。
【0034】
Yが上記式(3)である場合、式(3)中、R5は、水素原子、アルカリ金属元素、アンモニウム基、有機塩基から誘導された1価の基、−((CH)pO)qH基(但し、pは2又は3であり、pが2の場合、qは1〜10のいずれかの整数を表し、pが3の場合、qは1〜3のいずれかの整数を表す)、又は−(CHCH(OH)CHO)rH基(但し、rは1〜10のいずれかの整数を表す)を表す。また、Yが上記式(3’)である場合、式(3’)中、R5’は、−((CH)pO)qH基(但し、pは2又は3であり、pが2の場合、qは1〜10のいずれかの整数を表し、pが3の場合、qは1〜3のいずれかの整数を表す)、又は−(CHCH(OH)CHO)rH基(但し、rは1〜10のいずれかの整数を表す)を表す。アルカリ金属元素としては、リチウム、ナトリウム、カリウムを例示することができ、有機塩基から誘導された1価の基としては、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、フェニルアンモニウム、ピリジニウム、イミダゾリウム、キノリニウム、アルカノールアミン等の中心となるヘテロ原子が窒素原子であるオニウムや、トリメチルスルホニウム、トリドデシルスルホニウム等の中心となるヘテロ原子が硫黄原子であるオニウムや、テトラフェニルホスホニウム等の中心となるヘテロ原子がリン原子であるオニウム等を例示することができる。
【0035】
−((CH)pO−)qH基としては、例えば、−(CHOH基、−((CHO)H基、−((CHO)H基、−((CHO)H基、−((CHO)10H基、−(CHOH基、−((CHO)H基、−((CHO)H基等を挙げることができるが、プロピレングリコールの重合度が4を超えると、重合性単量体の親水度が低下し、式(1)で表されるアクリルアミド又はメタクリルアミド重合性単量体と共重合しても重合物の水溶性が低下し、共重合体の保水性が劣るため、本発明の目的とする水溶性コポリマーを得ることができない。また、−(CHCH(OH)CHO)rH基としては、例えば、−CHCH(OH)CHOH基、−(CHCH(OH)CHO)H基、−(CHCH(OH)CHO)H基、−(CHCH(OH)CHO)H基、−(CHCH(OH)CHO)H基、−(CHCH(OH)CHO)10H基等を挙げることができる。
【0036】
上記式(2)及び式(3)、又は、式(2)及び式(3’)で表される繰返し単位に対応する重合性単量体としては、アクリル酸;アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム等のアクリル酸アルカリ金属塩類;アクリル酸アンモニウム;アクリル酸テトラメチルアンモニウム塩、アクリル酸ピリジニウム塩、アクリル酸トリメチルスルホニウム塩等のアクリル酸有機塩基塩類;アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、アクリル酸ポリエチレングリコールエステル、アクリル酸ヒドロキシプロピルエステル、アクリル酸ポリプロピレングリコールエステル、アクリル酸グリセロールエステル、アクリル酸ポリグリセロールエステル等のアクリル酸の多価アルコールエステル類;メタクリル酸;メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウム等のメタクリル酸アルカリ金属塩類;メタクリル酸アンモニウム;メタクリル酸テトラメチルアンモニウム塩、メタクリル酸ピリジニウム塩、メタクリル酸トリメチルスルホニウム塩等のメタクリル酸有機塩基塩類;メタクリル酸ヒドロキシエチルエステル、メタクリル酸ポリエチレングリコールエステル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルエステル、メタクリル酸ポリプロピレングリコールエステル、メタクリル酸グリセロールエステル、メタクリル酸ポリグリセロールエステル等のメタクリル酸の多価アルコールエステル類を挙げることができる。
【0037】
式(2)と式(4)で表される繰返し単位に対応する重合性単量体としては、N−ビニルピロリドンを挙げることができる。
【0038】
式(2)と式(5)で表される繰返し単位に対応する重合性単量体としては、N−ビニルホルムアミドを挙げることができる。
【0039】
式(2)と式(6)で表される繰返し単位に対応する重合性単量体としては、2−(グルコシルオキシ)エチルアクリレート又は2−(グルコシルオキシ)エチルメタクリレートを挙げることができる。
【0040】
(任意成分)
また、本発明の水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記単量体(モノマー)成分以外の他の任意成分を構成モノマーとして含有することができる。他の任意成分としては特に限定はされないが、例えば、クロトン酸、イソクロトン酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、アクリル酸アミドメチルプロパンスルホン酸、アクリル酸アシッドホスホオキシアルキル等の重合性酸や、シリコーンマクロモノマー、ポリアクリルマクロモノマー、ポリエステルマクロモノマー、ポリアミドマクロモノマー等の重合性マクロモノマーや、重合性多糖などを挙げることができる。
【0041】
(水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマー)
本発明の水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、アクリルアミド系又はメタクリルアミド系重合性単量体に由来する式(1)で表される1種又は2種以上の繰返し単位(A)と、水溶性のホモポリマーを与える重合性単量体に由来する1種又は2種以上の繰返し単位(B)とを含有し、A:Bのモル比としては、99.98:0.02〜10:90が好ましく、99.5:0.5〜5:95がより好ましく、97.5:2.5〜10:90が最も好ましい。本発明の水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、ランダム共重合体、部分ブロック共重合体、ブロック共重合体のいずれでもよい。また、本発明の水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、架橋剤を使用しないポリマーである。
【0042】
本発明の水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーの重量平均分子量としては特に制限されないが、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、直鎖ポリスチレン標準品で作成した校正曲線及び屈折率検出器を使用する液体ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、2,000〜5,000,000の範囲であることが好ましく、5,000〜800,000の範囲であることがより好ましい。5,000,000を超えると溶解速度が低下し、溶液として利用する場合に不都合が生じる場合があったり、水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーの水性溶液の粘度が上昇し、化粧料に配合した場合に展延性に影響を与える場合がある。
【0043】
本発明の水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、水に可溶であるという特徴を有する。また、本発明の水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、温度30℃、相対湿度60%における当該ポリマーの50質量%水溶液の6時間放置後の質量減少率が25質量%未満であり、また、温度30℃において相対湿度を60%から40%に下げたときの当該ポリマーの50質量%水溶液の質量減少率が3質量%未満であり、さらに温度30℃において相対湿度を40%から60%に上げたときの当該ポリマーの50質量%水溶液の質量増加率が3質量%未満である。
【0044】
本発明において、上記質量変化率(質量増加率・質量減少率)は、次のようにして算出する。
(1)「温度30℃、相対湿度60%における当該ポリマーの50質量%水溶液の6時間放置後の質量減少率」は、本発明の水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーの50質量%水溶液からなるサンプルを調製し、質量測定後これを温度30℃、湿度60%の恒温恒湿槽に入れて6時間放置した後再び質量を測定し、質量の減少量を算出することにより求められる。
(2)「温度30℃において相対湿度を60%から40%に下げたときの当該ポリマーの50質量%水溶液の質量減少率」は、本発明の水溶性(メタ)アクリルアミドホモポリマーの50質量%水溶液からなるサンプルを調製し、これを温度30℃、湿度60%の恒温恒湿槽に入れて48時間経てから質量を測定し、次いでサンプルを温度30℃、湿度40%の恒温恒湿槽に移して、6時間後の質量を測定し、質量の増加量を算出することにより求められる。
(3)「温度30℃において相対湿度を40%から60%に上げたときの当該ポリマーの50質量%水溶液の質量増加率」は、本発明の水溶性(メタ)アクリルアミドホモポリマーの50質量%水溶液からなるサンプルを調製し、これを温度30℃、湿度60%の恒温恒湿槽に入れて48時間経た後にサンプルを温度30℃、湿度40%の恒温恒湿槽に移して、24時間後の質量を測定し、次いでサンプルを温度30℃、湿度60%の恒温恒湿槽に移し、6時間後の質量を測定し、質量の増加量を算出することにより求められる。
【0045】
[製造方法]
上記式(1)で表される繰返し単位に相当するアクリルアミド又はメタクリルアミド重合性単量体を製造する方法としては、公知の方法を含め特に制限されないが、例えば、当該のアミンをアセトニトリルに溶解し、トリエチルアミンを適宜添加後冷却し、0℃を維持しながら、アクリル酸クロライド若しくはメタクリル酸クロライドを撹拌下でゆっくり滴下し、攪拌後減圧濃縮等する方法等の化学的方法など公知の方法を含めた合成方法を挙げることができ、生成物を再結晶やカラムクロマトグラフィー等の公知の方法を含めた精製手段で精製してもよい。
【0046】
また、上記アクリルアミド又はメタクリルアミド重合性単量体を用いて本発明の水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーを製造する方法としては、上記アクリルアミド又はメタクリルアミド重合性単量体(モノマー)の1種又は2種以上と、上記水溶性のホモポリマーを与える重合性単量体、例えば、式(2)で表される重合性単量体の1種又は2種以上や他の任意成分を構成モノマーとして用い、上記特徴を有する本発明の水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーを製造することができる限り特に制限はないが、例えば、ラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法等を挙げることができ、中でも過酸化物、アゾ化合物等のラジカル発生剤を利用したラジカル重合法を好適に示すことができ、かかるラジカル発生剤の使用量は、モノマーの総量に対して、0.01〜10質量%、好ましくは、0.1〜8質量%である。また、共重合体(ポリマー)の形態は、ランダム共重合体又はブロック共重合体のいずれでもよいが、上記式(2)の重合性単量体の添加時期等を調整することにより、ランダム共重合体、部分ブロック共重合体、ブロック共重合体等の形態が選択できる。上記ラジカル重合法としては、公知の、塊重合、乳化重合、溶液重合等のいずれも可能であるが、本発明における水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーを得る製造方法においては溶液重合が好ましく、該溶液重合を行う方法としては、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下、温度を50〜100℃、好ましくは65〜75℃として重合反応を行う方法を挙げることができる。また、上記溶液重合を行う場合における有機溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素類や、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類や、ジオキサン等のエーテル類や、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類や、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類や、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素類などを例示することができる。
【0047】
また、本発明の水溶性(メタ)アクリルアミドコポリマーを製造する他の方法としては、アクリル酸及び/又はメタクリル酸と、上記式(2)で表される重合性単量体の1種又は2種以上とを共重合した後、アクリル酸又はメタクリル酸のカルボキシル基とアルキルアミンを反応させ、アミドを形成させる方法をとることもできる。
【0048】
(化粧料・皮膚外用剤)
本発明の水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、化粧料や皮膚外用剤の他、塗料、インク等の添加剤として、生理用品等の吸液性素材として、紙用添加剤、糊剤、食品用添加剤等としてなどの様々な用途に使用することができるが、化粧料や皮膚外用剤に使用することが好ましく、化粧料に配合することがより好ましい。本発明における化粧料としては、化粧水、クリーム、乳液、美容液等の基礎化粧料や、シャンプー、リンス、トリートメント等の頭髪化粧料や、リキッドファンデーション、下地乳液等のメイクアップ化粧料や、日焼け止め化粧料等の化粧料(医薬部外品を含む)を例示することができ、皮膚外用剤としては、リニメント剤、ローション剤、軟膏剤等の外用医薬品を例示することができる。
【0049】
本発明の水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーの、本発明の化粧料や皮膚外用剤への配合割合としては、本発明の効果が奏される限り特に制限されないが、通常、化粧料や皮膚外用剤全体に対して、0.01〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。
【0050】
本発明の化粧料や皮膚外用剤には、本発明の水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーとともに、化粧料や皮膚外用剤に一般に用いられる成分、例えば、以下に示す油性成分、界面活性剤、アルコール類、保湿剤、ゲル化剤、粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、抗菌剤、酸化防止剤、pH調整剤、美肌用成分、香料等の一種又は二種以上を、本発明の水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーの効果を損なわない範囲で適宜組み合わせて配合してもよい。
【0051】
上記油性成分としては、例えば炭化水素油、エステル油、グリセライド油、シリコーン油、高級アルコール、脂肪酸、ラノリン類等を挙げることができる。上記界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を挙げることができる。
【0052】
上記アルコール類としては、例えばエタノール、イソプロパノール等の低級アルコールや、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール等の多価アルコールや、ソルビトール、マルトース、キシリトール、マルチトール等の糖アルコールや、コレステロール、シトステロール、フィトステロール、ラノステロール等のステロール類などを挙げることができる。上記保湿剤としては、例えば、尿素、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ピロリドンカルボン酸塩等を挙げることができる。
【0053】
上記ゲル化剤としては、化粧料に一般に用いられる水性ゲル化剤又は油性ゲル化剤であれば特に制限されず、例えば、水性ゲル化剤としては、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、キャロブガム、グァーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード(マルメロ等由来の)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ等由来の)、アルゲコロイド、トラントガム、ローカストビーンガム等の植物系高分子や、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子や、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子や、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子や、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース系高分子や、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子や、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等のビニル系高分子や、ポリエチレングリコール、エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合体、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等の無機系ゲル化剤増粘剤などを挙げることができ、油性ゲル化剤としては、アルミニウムステアレート、マグネシウムステアレート、ジンクミリステート等の金属セッケンや、N−ラウロイル−L−グルタミン酸、α,γ−ジ−n−ブチルアミン等のアミノ酸誘導体や、デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2−エチルヘキサン酸パルミチン酸混合エステル等のデキストリンや、脂肪酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステルや、モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトールのベンジリデン誘導体や、ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー等の有機変性粘土鉱物などを挙げることができる。
【0054】
上記粉体としては、例えば、無機粉体、有機粉体、金属石鹸粉末、有色顔料、パール顔料、金属粉末、タール色素、天然色素等を挙げることができ、その粒子形状(球状、針状、板状等)や、粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)や、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わない。これらの粉体はそのまま使用してもよいが、2種以上の粉体を複合化したものを用いてもよく、油剤、シリコーン化合物、フッ素化合物等で表面処理を施してもよい。
【0055】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸等の安息香酸系紫外線吸収剤や、アントラニル酸メチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤や、サリチル酸メチル等のサリチル酸系紫外線吸収剤や、パラメトキシケイ皮酸オクチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤や、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤や、ウロカニン酸エチル等のウロカニン酸系紫外線吸収剤などを挙げることができる。防腐剤や抗菌剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、イソプロピルメチルフェノール等を挙げることができる。
【0056】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン等を挙げることができる。pH調整剤としては、例えば、乳酸、乳酸塩、クエン酸、クエン酸塩、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等を挙げることができる。
【0057】
上記美肌用成分としては、例えば、アルブチン、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤や、ロイヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体、幼牛血液抽出液等の細胞賦活剤・肌荒れ改善剤や、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等の血行促進剤や、酸化亜鉛、タンニン酸等の皮膚収斂剤や、イオウ、チアントロール等の抗脂漏剤などを挙げることができる。
【0058】
本発明の化粧料や皮膚外用剤の剤型としては特に限定されないが、水性、水中油型、油中水型等を挙げることができる。また、本発明の化粧料や皮膚外用剤の形態としては、クリーム状、ゲル状、液状等を挙げることができ、本発明の効果が最も奏されるのは、化粧水、クリーム、乳液、美容液等の基礎化粧料やシャンプー、リンス、トリートメント等の頭髪化粧料や、リキッドファンデーション、下地乳液などである。
【0059】
(リポソーム含有水溶性(メタ)アクリルアミドコポリマー組成物)
また、本発明の水溶性(メタ)アクリルアミドコポリマーは、リン脂質と併用することにより保湿効果を向上することができるが、特にリン脂質から形成されるリポソームを共存させることにより、保湿効果を一層向上させることができる。
【0060】
リン脂質の二分子膜からなる閉鎖小胞であるリポソームは生体膜モデルとして研究に用いられるとともに、古くから薬剤を内包してデリバリーするマイクロカプセルとして医薬品や化粧料に応用されてきた。特に化粧料分野においては、リポソームを皮膚に塗布したとき、リポソームが長時間角層に留まる性質を有することから高い保湿効果が得られる。
【0061】
本発明のリポソーム含有水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマー組成物は、精製水などの水系の液に、本発明の水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーと、少なくともリン脂質を含有し、好ましくは、さらに、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール及びフィトステロール誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種、及び/又は、グリセリン及び1,3−ブチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する組成物である。
【0062】
リン脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、卵黄レシチン、大豆レシチン等の天然リン脂質、ジオレオイルホスファチジルコリンなどの合成リン脂質、または天然由来のリン脂質の不飽和炭素鎖を水素により飽和とした水素添加リン脂質、その他大腸菌等の微生物から抽出されるリン脂質等が挙げられ、これらを一種又は二種以上組み合わせて使用することができる。この中で、水素添加大豆リン脂質、水素添加卵黄リン脂質、水素添加ホスファチジルコリン、水素添加ホスファチジルセリンから選ばれる一種又は二種以上が好ましい。
【0063】
コレステロール又はコレステロール誘導体としては、例えば、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、コレステロール、コレスタノール、デヒドロコレステロール、ラノリン脂肪酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、リシノール酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル等が挙げられ、これらを一種又は二種以上組み合わせて使用することができる。
【0064】
フィトステロール又はフィトステロール誘導としては、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、エルゴステロール、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル等が挙げられ、これらを一種又は二種以上組み合わせて使用することができる。
【0065】
本発明のリポソーム含有水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマー組成物は、本発明の水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーを共存させる以外は、公知のリポソーム含有水分散液の製法に従って製造することができ、例えば、バンガム法、pH勾配法、凍結融解法、逆相蒸発法、メカノケミカル法、超臨界二酸化炭素法、フィルムローディング法等、公知の方法により製造することができる(特開平8−183726号公報など参照)。
【0066】
組成物中の各成分の配合量は、用途に応じて適宜設定可能であるが、以下の範囲が好ましい。本発明の水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーは0.01〜10質量%、さらに好ましくは、0.1〜5質量%である。リン脂質は、0.005〜10質量%、さらに好ましくは0.01〜5質量%である。この範囲外であると、リポソームを形成したときの経時安定性が好ましくない。コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール又はフィトステロール誘導体は、必ずしも必要ではないが、使用する場合は、0.001〜5質量%、好ましくは、0.005〜3質量%である。グリセリン又は1,3−ブチレングリコールは、必ずしも必要ではないが、使用する場合は、1〜50質量%、好ましくは5〜40質量%である。
【0067】
以下に実施例を挙げて、本発明を説明する。なお、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0068】
(参考例1)
[N−エチルアクリルアミドの合成]
エチルアミン(NH(CHCH):45.1)15gをアセトニトリル250mLに溶解し、トリエチルアミン(N(CHCH:77.2)26gを添加し、0℃に冷却した。0℃を維持しながら、これにアクリル酸クロライド(CHCHCOCl:90.51)30gを撹拌下でゆっくり滴下した。滴下終了後、冷却を解除し、液温が室温と同じになったところで、撹拌を中止し、減圧濃縮を行った。濃縮物に精製水200mLと塩化ナトリウム20gを添加し、1N塩酸でpH6.5に調整し、酢酸エチルで分配した。酢酸エチル分配後の水層は、更に塩化ナトリウム10gを添加し、酢酸エチルで分配した。酢酸エチル分配物を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮を行い、約25.5gの粗反応物を得た。この粗反応物をカラムクロマトグラフィー(担持体:ODSシリカゲル、展開溶媒: 水:メタノール(9:1))で展開後、精製し、N−エチルアクリルアミド(CHCHCONH(CHCH):99.15)22.8g(収率約69%)を得た。得られたN−エチルアクリルアミドの元素分析値は、炭素60.58%、水素9.15%、窒素14.13%、酸素16.14%(計算残分)、(理論値:炭素60.58%、水素9.151%、窒素14.129%、酸素16.139%)、H−NMR(重クロロホルム溶液中)では、δ=6.7(1H、b)、6.2(2H、m)、5.6(1H、dd)、3.3(2H、qq)、1.1(3H、m)を示した。また、C−NMR(重クロロホルム溶液中)では、δ=165.6(166.7)、131.1(131.1)、125.7(128.9)、34.3(34.1)、14.5(15.0)であった。(括弧内数値は理論値)質量分析では、m/e=99.07(M+)のピーク(理論値:99.13)を観察した。
【0069】
(参考例2)
[N−ヒドロキシエチルメタクリルアミドの合成]
エチルアミンに代えてヒドロキシエチルアミン(NH(CHCHOH):61.1)20.4g、アクリル酸クロライドに代えてメタクリル酸クロライド(CHC(CH)COCl:104.54)34.8gを用いる以外は、参考例1と同様の処理を行い、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド(CHC(CH)CONH(CHCHOH):129.18)29.1g(収率67.6%)を得た。
【実施例1】
【0070】
[N−エチルアクリルアミドとアクリル酸の共重合体の合成]
300mLの3つ口フラスコ(反応容器)に、窒素導入管、温度計、冷却管を設置し、イソプロピルアルコール30gを入れ、雰囲気を窒素置換した。これに参考例1で得られたN−エチルアクリルアミド5.79gとアクリル酸(東京化成社製試薬)4.21gを溶解し、更に、N,N−アゾビスイソブチロニトリル(東京化成社製試薬)0.1gを添加した。反応容器を70℃に昇温し、3時間反応を行った。冷却後、反応溶液をn−ヘキサンに投入し、析出する白色固形物を分取し、イソプロピルアルコール10gに溶解させた。これを再度n−ヘキサンに投入し、析出する白色固形物を分取し、乾燥してN−エチルアクリルアミドとアクリル酸からなる共重合体9.74g(収率97.4%)を得た。得られた共重合体のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量は25,600であった。このN−エチルアクリルアミドとアクリル酸からなる共重合体は、水に透明に溶解した。
【実施例2】
【0071】
[N−エチルアクリルアミドとアクリル酸の共重合体の合成]
N,N−アゾビスイソブチロニトリル0.02gを用いる以外は、実施例1と同様の処理を行い、N−エチルアクリルアミドとアクリル酸の共重合体9.87g(収率98.7%)を得た。得られた共重合体のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量は34,600であった。このN−エチルアクリルアミドとアクリル酸の共重合体は、水に透明に溶解した。
【実施例3】
【0072】
[N,N−ジエチルアクリルアミドとアクリル酸の共重合体の合成]
N,N−ジエチルアクリルアミド(東京化成社製試薬)6.38g、アクリル酸3.62g、N,N−アゾビスイソブチロニトリル0.02gを用いる以外は、実施例1と同様の処理を行い、N,N−ジエチルアクリルアミドとアクリル酸からなる共重合体9.81g(収率98.1%)を得た。得られた共重合体のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量は29,500であった。このN,N−ジエチルアクリルアミドとアクリル酸からなる共重合体は、水に透明に溶解した。
【実施例4】
【0073】
[N−ヒドロキシエチルメタクリルアミドとアクリル酸の共重合体の合成]
参考例2で得られたN−ヒドロキシエチルメタクリルアミド6.42g、アクリル酸3.58gを用いる以外は、実施例1と同様の処理を行い、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミドとアクリル酸の共重合体7.08g(収率70.8%)を得た。得られた共重合体のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量は8,300であった。このN−ヒドロキシエチルメタクリルアミドとアクリル酸の共重合体は水に透明に溶解した。
【実施例5】
【0074】
[N−イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸の共重合体の合成]
N−イソプロピルアクリルアミド(東京化成社製試薬)6.11g、アクリル酸3.89gを用いる以外は、実施例1と同様の処理を行い、N−イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸からなる共重合体8.18g(収率81.8%)を得た。得られた共重合体のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量は148,700であった。このN−イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸からなる共重合体は、水に透明に溶解した。
【実施例6】
【0075】
[N−エチルアクリルアミドとN−ビニルピロリドンの共重合体の合成]
参考例1で得られたN−エチルアクリルアミド5.1g、N−ビニルピロリドン4.9gを用いる以外は、実施例1と同様の処理を行い、N−エチルアクリルアミドとN−ビニルピロリドンからなる共重合体7.23g(収率72.3%)を得た。得られた共重合体のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量は28,700であった。このN−エチルアクリルアミドとN−ビニルピロリドンからなる共重合体は、水に透明に溶解した。
【実施例7】
【0076】
[N−エチルアクリルアミドと2−(グルコシルオキシ)エチルメタクリレート
参考例1で得られたN−エチルアクリルアミド5.04g、2−(グルコシの共重合体の合成]ルオキシ)エチルメタクリレート(C1220:292.3 日本精化社製)4.96gを用いる以外は、実施例1と同様の処理を行い、N−エチルアクリルアミドと2−(グルコシルオキシ)エチルメタクリレートの共重合体(3:1モル比)8.48g(収率84.8%)を得た。得られた共重合体のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量は87,700であった。このN−エチルアクリルアミドと2−(グルコシルオキシ)エチルメタクリレートの共重合体は、水に透明に溶解した。
【実施例8】
【0077】
[N−エチルアクリルアミドとアクリル酸の共重合体の合成]
内容量500mLのガラスライニング耐圧反応容器に、ポリアクリル酸(和光純薬工業社製 分子量5000)7.2g、蒸留テトラヒドロフラン100mL、活性化処理を行ったモレキュラーシーブ(3A 1/8)20gを投入し、気体導入バルブを設置した。気体導入バルブよりエチルアミンガス(東京化成工業社製)を全体質量が2.25g増加するまで圧入し、密閉した。その後、反応容器自体を振とうさせながら105℃に加温し、6時間反応させた。反応後、常温に戻し、圧力を解除後、モレキュラーシーブを濾別し、約半量になるまで減圧濃縮した後、酢酸エチルを注入して沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥してN−エチルアクリルアミドとアクリル酸の共重合体7.3g(収率85.4%)を得た。得られた共重合体のGPCによるポリスチレン換算による重量平均分子量は、6,100であった。このN−エチルアクリルアミドとアクリル酸の共重合体は水に透明に溶解し、粘稠な溶液となった。
【実施例9】
【0078】
[N−エチルアクリルアミドとアクリル酸の共重合体の合成]
還流冷却器、温度計及び攪拌装置を取り付けた500mLの三つ口のセパラブルフラスコに、ポリアクリル酸(和光純薬工業社製 分子量25000)7.2g、蒸留テトラヒドロフラン150mL、活性化処理を行ったモレキュラーシーブ(3A 1/8)10gを投入し、加温してポリアクリル酸をテトラヒドロフランに溶解した後、1,3−ジエチル尿素(東京化成工業社製)2.9gを添加し、テトラヒドロフランの沸点で24時間還流した。冷後、モレキュラーシーブを濾別し、約半量になるまで減圧濃縮した後、酢酸エチルを注入して沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥してN−エチルアクリルアミドとアクリル酸の共重合体7.00g(収率79.5%)を得た。得られた共重合体のGPCによるポリスチレン換算による重量平均分子量は、30,000であった。このN−エチルアクリルアミドとアクリル酸の共重合体は水に透明に溶解し、粘稠な溶液となった。
【実施例10】
【0079】
[N−エチルアクリルアミドとN−ビニルピロリドンの共重合体の合成]
還流冷却器、温度計、窒素導入管、撹拌装置を取り付けた内容量300mLの四つ口フラスコに、アクリル酸(東京化成工業社製)14.4g、N−ビニルピロリドン(東京化成工業社製)22.2g、トルエン200mL、N,N−アゾビスイソブチロニトリル0.3gを秤量した。フラスコ内を窒素ガスで充分に置換した後、撹拌しながら昇温し、110℃で3時間反応させ。アクリル酸とN−ビニルピロリドンの共重合を行った。反応後、室温まで冷却し、全量が半分になるまでトルエンを減圧留去し、10Lのヘキサンを添加して共重合体を析出させた。析出した共重合体を分取し、メタノールに溶解し後、ヘキサンを加えて共重合体を析出させる精製工程を2回行った後、共重合体を乾燥させ、アクリル酸とN−ビニルピロリドンの共重合体30.9gを得た。この共重合体18.3gを内容量500mLのガラスライニング耐圧反応容器に秤量し、蒸留テトラヒドロフラン150mL、活性化処理を行ったモレキュラーシーブ(3A 1/8)30gを投入し、気体導入バルブを設置した。気体導入バルブよりエチルアミンガス(東京化成工業社製)を全体質量が4.7g増加するまで圧入し、密閉した。その後、反応容器自体を振とうさせながら105℃に加温し、6時間反応させた。反応後、常温に戻し、圧力を解除後、モレキュラーシーブを濾別し、約半量になるまで減圧濃縮した後、ヘキサンを注入して沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥してN−エチルアクリルアミドとN−ビニルピロリドンの共重合体19.8g(収率94.3%)を得た。得られた共重合体のGPCによるポリスチレン換算による重量平均分子量は、50,000であった。このN−エチルアクリルアミドとN−ビニルピロリドンの共重合体は水に透明に溶解し、粘稠な溶液となった。
【0080】
[保水性評価1(質量減少試験)]
上記実施例1〜4及び実施例6〜7で作製された本発明の水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーと、比較例としてグリセリン、PCAナトリウム、乳酸ナトリウム、セリン、グルタミン、各1gを、それぞれ直径25mm高さ10mmの容器中の精製水1gに添加して各50質量%水溶液サンプルを調製し、これを試験サンプルとして、温度30℃、相対湿度60%に設定した恒温恒湿槽に6時間放置して質量変化を測定することにより保水性を評価した。ここで得られた結果を表1に示す。
【0081】
[結果]
保水性が高いといわれているグリセリン、PCAナトリウム、乳酸ナトリウム、セリン、グルタミンは温度30℃、相対湿度60%の条件下では急速に水分蒸散が生じていることが示された。これに対して実施例1〜4及び実施例6〜7で作製されたポリマーは、質量変化が小さく、優れた保水性を有し、化粧料に配合した場合に保湿性を付与することができると推定される。
【0082】
[保水性評価2(湿度依存性試験)]
上記各実施例1〜4及び実施例6〜7で作製された、ポリ(N−エチルアクリルアミド−アクリル酸)、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド−アクリル酸)、ポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド−アクリル酸)、ポリ(N−ヒドロキシエチルアクリルアミド−アクリル酸)、ポリ(N−エチルアクリルアミド−2−(グルコシルオキシ)エチルメタクリレート)、ポリ(N−エチルアクリルアミド−N−ビニルピロリドン)、各1gを、それぞれ直径25mm高さ10mmの容器中の精製水1gに添加し、各ポリマーの50質量%水溶液サンプルを調製し、温度30℃、相対湿度60%の恒温恒湿槽に移し、48時間後の質量を測定した。サンプルを相対湿度40%の恒温恒湿槽に移し6時間後の質量を測定することで、相対湿度を60%から40%に変化させたときの質量変化率の評価をした。また、サンプルを温度30℃、相対湿度40%の恒温恒湿槽に移してから24時間後の質量を測定し、さらに相対湿度60%の恒温恒湿槽に移し、6時間後の質量を測定して、相対湿度を40%から60%に変化させたときの質量変化率の評価をした。それぞれの質量変化率から保水性を評価した。また、比較化合物としてグリセリン、PCAナトリウム、乳酸ナトリウム、セリン、グルタミン、また、ポジティブコントロールとしてテアニンについても、各ポリマーの50質量%水溶液サンプルを同様の方法で、保水性を評価した。
【0083】
【表1】

【0084】
[結果]
相対湿度を60%から40%に変化させたときの質量変化については、実施例1〜4及び実施例6〜7で作製したポリマーの50質量%水溶液サンプルは、多くても2.0%以下の減少で、グリセリン、PCAナトリウム、及び乳酸ナトリウムは、2%以上の減少を示した。さらに各ポリマーの50質量%水溶液サンプルを、相対湿度を40%から60%に変化させたときの、6時間後の質量変化については、実施例1〜4及び実施例6〜7で作製したポリマーの50質量%水溶液サンプルは、質量増加がなく吸湿性をしめさず、化粧料等に配合した場合でもベタつきをもたらすことがないと推察されたのに対し、グリセリン、PCAナトリウム及び乳酸ナトリウムは、いずれも質量増加を示し、特に高湿度の条件下では水分を取り込み、かかる吸湿性により化粧料等に配合した場合ベタつきを感じさせるであろうことが推察された。
【0085】
[粘性評価]
実施例1のポリ(N−エチルアクリルアミド−アクリル酸)10質量%溶液を調製し、30℃恒温槽に24時間放置したものを単一円筒回転式粘度計(芝浦システム社製)を用いて、3号ローターで1分間に6回転、1分後の粘度値の条件で測定した。
[結果]
シャバシャバで全く粘性がない状態であり測定することができなかった。
【0086】
[化粧水官能評価]
実施例1と実施例3で作製したポリマーを用いて表2に示す処方により化粧水を作製し、官能評価を行った。(アクリル酸アルキル/オクチルアクリルアミド)コポリマー、カルボキシビニルポリマーを用いること以外は上記同様に化粧水を作製し、比較のために官能評価を行った。結果を表2に示す。
【0087】
【表2】

【0088】
評価は、以下の方法により行った。
(評価方法)
本発明品1〜3、比較品1〜2について、20名による専門パネルにより使用テストを行い、サンプルを肌に塗布した時の『肌なじみのよさ』に関して下記の基準で評価を行い、その平均点で判定した。
(評価項目)
a.肌なじみのよさのなさ
(絶対評価基準)
(評点) : (評価)
6 : とても肌なじみがいい
5 : 肌なじみがいい
4 : やや肌なじみがいい
3 : 普通
2 : やや肌なじみが悪い
1 : 肌なじみが悪い
0 : 非常に肌なじみが悪い
(判定基準)
(判定) : (評点の平均点)
◎ : 5点を超える (非常に良好)
○ : 3.5点を超える5点以下(良好)
△ : 1.5点を超える3点以下(やや不良)
× : 1.5点以下 (不良)
【0089】
(評価方法)
本発明品1〜3、比較品1〜2について、20名による専門パネルにより使用テストを行い、サンプルを肌に塗布した時の『しっとり感』に関して下記の基準で評価を行い、その平均点で判定した。
(評価項目)
b.しっとり感
(絶対評価基準)
(評点) : (評価)
6 : 非常にしっとり感を感じる
5 : しっとり感を感じる
4 : ややしっとり感を感じる
3 : 普通
2 : ややしっとり感を感じない
1 : しっとり感を感じない
0 : 全然しっとり感を感じない
(判定基準)
(判定) : (評点の平均点)
◎ : 5点を超える (非常に良好)
○ : 3.5点を超える5点以下(良好)
△ : 1.5点を超える3点以下(やや不良)
× : 1.5点以下 (不良)
【0090】
評価は、以下の方法により行った。
(評価方法)
本発明品1〜3、比較品1〜2について、20名による専門パネルにより使用テストを行い、サンプルを肌に塗布した時の『べたつき感』に関して下記の基準で評価を行い、その平均点で判定した。
(評価項目)
a.べたつき感のなさ
(絶対評価基準)
(評点) : (評価)
6 : 全然べたつき感がない
5 : べたつき感がない
4 : ややべたつき感がない
3 : 普通
2 : ややべたつき感がある
1 : べたつき感がある
0 : 非常にべたつき感がある
(判定基準)
(判定) : (評点の平均点)
◎ : 5点を超える (非常に良好)
○ : 3.5点を超える5点以下(良好)
△ : 1.5点を超える3点以下(やや不良)
× : 1.5点以下 (不良)
【0091】
(評価方法)
本発明品1〜3、比較品1〜2について、20名による専門パネルにより使用テストを行い、サンプルを肌に塗布した時の『均一な伸び広がり感』に関して下記の基準で評価を行い、その平均点で判定した。
(評価項目)
c.経時での保湿感
(絶対評価基準)
(評点) : (評価)
6 : 非常に均一に伸び広がる
5 : 均一に伸び広がる
4 : やや均一に伸び広がる
3 : 普通
2 : やや均一に伸び広がらない
1 : 均一に伸び広がらない
0 : 全然均一に伸び広がらない
(判定基準)
(判定) : (評点の平均点)
◎ : 5点を超える (非常に良好)
○ : 3.5点を超える5点以下(良好)
△ : 1.5点を超える3点以下(やや不良)
× : 1.5点以下 (不良)
【0092】
(結果)
実施例1と実施例6で作製したポリマーを用いた化粧水は、肌なじみのよさ、しっとり感、べたつきのなさ、均一な伸び広がりのいずれにおいてもすぐれていたのに対し、比較例のポリマーは、いずれにおいても劣っていた。
【0093】
(処方)
[化粧水]
下記に示した成分1〜7をそれぞれの割合で常温にて撹拌しながら混合溶解し、化粧水を調製した。
(成分) (質量%)
1. エタノール 10.0
2. ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 0.1
3. 香料 適量
4. ポリ(N-エチルアクリルアミド−アクリル酸)(実施例1) 0.5
5. 1,3−ブチレングリコール 15.0
6. 防腐剤 0.1
7. 精製水 残量
上記処方により調製した化粧水はべたつきのないみずみずしい使用感を有し、保湿感にも優れていた。
【0094】
[保湿美容液−1]
下記に示した成分1〜6、成分7〜15をそれぞれの割合で撹拌混合し、80℃に加熱する。前者に後者を滴下・撹拌し乳化する。続いて、冷却し、保湿美容液を調製した。
(成分) (質量%)
1. ショ糖脂肪酸エステル 0.6
2. モノステアリン酸グリセリル 0.1
3. モノステアリン酸ポリエチレングリコール 0.1
4. バチルアルコール 0.1
5. 流動パラフィン 4.5
6. トリオクタン酸グリセリル 1.5
7. ポリ(N-エチルアクリルアミド−アクリル酸)(実施例2) 1.0
8. 1,3−ブチレングリコール 6.0
9. グリセリン 2.0
10.エタノール 13.0
11.カルボキシビニルポリマー 0.1
12.水酸化ナトリウム 0.01
13.防腐剤 0.1
14.香料 適量
15.精製水 残量
上記処方により調製した保湿美容液はべたつきのないみずみずしい使用感を有し、保湿感にも優れていた。
【0095】
[乳液]
下記に示した成分1〜4、成分5〜12をそれぞれの割合で撹拌混合し、80℃に加熱する。前者に後者を滴下・撹拌し乳化する。続いて、冷却し、乳液を調製した。
(成分) (質量%)
1. スクワラン 5.0
2. セタノール 1.0
3. ポリエキシエチレンソルビタンモノオレエート(20E.O.) 2.0
4. セスキオレイン酸ソルビタン 0.8
5. グリセリン 5.0
6. 1,3−ブチレングリコール 10.0
7. ポリ(N,N-ジエチルアクリルアミド−アクリル酸)(実施例5) 1.0
8. カルボキシビニルポリマー 0.2
9. 水酸化カリウム 0.1
10.防腐剤 0.1
11.香料 適量
12.精製水 残量
上記処方により調製した乳液はべたつきのないみずみずしい使用感を有し、保湿感にも優れていた。
【0096】
[クリームパック]
下記に示した成分1〜4、成分5〜12をそれぞれの割合で撹拌混合し、80℃に加熱する。前者に後者を滴下・撹拌し乳化する。続いて、冷却し、クリームパックを調製した。
(成分) (質量%)
1. ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル(20EO、4PO)
0.8
2. モノステアリン酸ジグリセリル 0.2
3. トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 1.0
4. メドゥホーム油 1.0
5. グリセリン 5.0
6. 1,3−ブチレングリコール 3.0
7. ポリ(N−エチルアクリルアミド−アクリル酸)(実施例1) 1.0
8. 水酸化ナトリウム 0.28
9. ヒドロキシエチルセルロース 0.3
10.アスコルビン酸2−グルコシド 2.0
11.防腐剤 0.1
12.精製水 残量
上記処方により調製したクリームパックはべたつきのないみずみずしい使用感を有し、使用後の保湿感にも優れていた。
【0097】
[含浸マスク]
下記に示した成分1〜9をそれぞれの割合で撹拌混合し水性組成物を得た。この水性組成物を、不織布(目、鼻、口部分に穴や切り込みのある略顔形)に不織布質量の10倍程度含浸させて含浸マスクを調製した。
(成分) (質量%)
1. ポリオキシエチレン(60E.O.)硬化ヒマシ油 0.1
2. 防腐剤 0.1
3. アルコール 5.0
4. ジプロピレングリコール 7.0
5. グリセリン 3.0
6. ポリ(N−エチルアクリルアミド−アクリル酸)(実施例1) 0.5
7. リン酸1水素2ナトリウム 0.1
8. リン酸2水素1ナトリウム 0.1
9. 精製水 残部
上記処方により調製した含浸マスクはべたつきのないみずみずしい使用感を有し、マスク除去後の保湿感にも優れていた。
【0098】
[おしろい]
タルク97部にN−エチルアクリルアミドホモポリマー3部、エタノールを室温で混合し、その後80℃まで加熱し、減圧下においてエタノールを回収する。冷却後、ハンマーミルにて粉砕し、N−エチルアクリルアミドホモポリマー3wt%処理タルクを得た。
下記に示した成分1〜9をそれぞれの割合で撹拌混合し、ハンマーミルにて粉砕し、おしろいを調製した。
(成分) (質量%)
1. ポリ(N-エチルアクリルアミド−N−ビニルピロリドン)(実施例9)3wt%処理タルク 70.0
2. シリコン処理セリサイト 残部
3. パーフルオロアルキルポリエーテル処理雲母チタン 5.0
4. ステアリン酸マグネシウム 2.0
5. グンジョウ 0.2
6. ベンガラ 0.1
7. 防腐剤 0.1
8. 無水珪酸 5.0
9. 香料 適量
上記処方により調製したおしろいは使用中の保湿感に優れていた。
【0099】
[パウダーファンデーション]
下記に示した成分1〜11と成分12〜16をそれぞれの割合で混合する。前者に後者を滴下・混合し、ハンマーミルにて粉砕し、型に加圧プレスして成型するしパウダーファンデーションを調製した。
(成分) (質量%)
1. 酸化チタン 10.0
2. 酸化亜鉛 5.0
3. マイカ 20.0
4. セリサイト 残部
5. タルク 20.0
6. 無水珪酸 2.0
7. ベンガラ 0.5
8. 黄酸化鉄 2.0
9. 黒酸化鉄 0.3
10.雲母チタン 5.0
11.ポリスチレン 3.0
12.防腐剤 0.1
13.ポリ(N−エチルアクリルアミド−2−(グルコシルオキシ)エチルメタクリレート)(実施例8) 1.0
14.トリオクタン酸グリセリル 1.0
15.ジメチルポリシロキサン 1.0
16.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 3.0
上記処方により調製したパウダーファンデーションは使用中の保湿感に優れていた。
【0100】
[リキッドファンデーション]
下記に示した成分1〜8、成分9〜13をそれぞれの割合で撹拌混合し、80℃に加熱する。前者に後者を添加混合する。続いて、冷却し、リキッドファンデーションを調製した。
(成分) (質量%)
1. スクワラン 10.0
2. デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0
3. ポリオキシエチレン変性ジメチルポリシロキサン 5.0
4. タルク 5.0
5. ベンガラ 0.5
6. 黄酸化鉄 1.0
7. 黒酸化鉄 0.1
8. 酸化チタン 10.0
9. プロピレングリコール 10.0
10.ポリ(N−エチルアクリルアミド−アクリル酸)(実施例1) 1.0
11.防腐剤 0.1
12.香料 適量
13.精製水 残部
上記処方により調製したリキッドファンデーションは使用中の保湿感に優れていた。
【0101】
[口紅]
下記に示した成分1〜16をそれぞれの割合で加えてローラー処理にて分散する。高温で型に流し込み、冷却し成型したものを容器に充填して口紅を調製した。
(成分) (質量%)
1. カルナウバワックス 10.0
2. 重質流動イソパラフィン 20.0
3. α−オレフィンオリゴマー 20.0
4. 流動パラフィン 25.0
5. トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
6. イソオクタン酸セチル 5.0
7. オゾケライトワックス 1.0
8. 水添ロジン酸ペンタエリトリット 1.0
9.(エチレン/プロピレン)コポリマー 0.1
10.ポリ(N−エチルアクリルアミド−2−(グルコシルオキシ)エチルメタクリレート)(実施例8) 0.5
11.赤色202号 0.3
12.黄色4号アルミニウムレーキ 0.7
13.酸化チタン 0.5
14.酸化鉄被覆雲母チタン 3.0
15.ジブチルヒドロキシトルエン 0.01
16.防腐剤 0.1
上記処方により調製した口紅は使用中の保湿感に優れていた。
【0102】
[クレンジングシート]
下記に示した成分1〜3、成分4〜8をそれぞれの割合で撹拌混合し、80℃に加熱する。前者に後者を滴下・撹拌し乳化し、その後成分9〜11を添加し、撹拌混合し、乳液組成物を得た。この乳液組成物を、不織布に不織布質量の10倍程度含浸させてクレンジングシートを調製した。
(成分) (質量%)
1. 水素添加大豆リン脂質 1.0
2. フィトステロール 0.1
3. グリセリン 5.0
4. ジプロピレングリコール 5.0
5. ポリ(N−エチルアクリルアミド−アクリル酸)(実施例1) 0.5
6. ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 2.0
7. 流動パラフィン 5.0
8. 軽質流動パラフィン 0.5
9. 防腐剤 0.1
10.エタノール 10.0
11.精製水 残量
上記処方により調製したクレンジングシートはべたつきのないみずみずしい使用感を有し、使用後の保湿感にも優れていた。
【0103】
[保湿美容液−2]
表3に示した成分を以下の処方により保湿美容液を調製した。
(発明品4〜7、比較品3〜6)
A;成分1〜4を80℃で均一に溶解する。
B;成分5〜11を80℃で均一に溶解する。
C;AにBを滴下・混合し乳化する。
【0104】
(発明品8、比較品7)<リポソーム含有組成物>
A;成分1〜4を80℃で均一に溶解する。
B;成分5〜11を80℃で均一に溶解する。
C;AにBを滴下・混合しディスパーズミルで微細乳化する。
【0105】
表3に示すとおり、微細化することで得たリポソーム組成物は塗布時のべたつき感が少なく、経時での保湿感が優れたものであった。
【0106】
【表3】

【0107】
評価は、以下の方法により行った。
(評価方法)
本発明品4〜8、比較品3〜7について、20名による専門パネルにより使用テストを行い、サンプルを肌に塗布した時の『べたつき感』に関して下記の基準で評価を行い、その平均点で判定した。
(評価項目)
a.べたつき感のなさ
(絶対評価基準)
(評点) : (評価)
6 : 全然べたつき感がない
5 : べたつき感がない
4 : ややべたつき感がない
3 : 普通
2 : ややべたつき感がある
1 : べたつき感がある
0 : 非常にべたつき感がある
(判定基準)
(判定) : (評点の平均点)
◎ : 5点を超える (非常に良好)
○ : 3.5点を超える5点以下(良好)
△ : 1.5点を超える3点以下(やや不良)
× : 1.5点以下 (不良)
【0108】
(評価方法)
本発明品4〜8、比較品3〜7について、20名による専門パネルにより使用テストを行い、サンプルを肌に塗布した時の『しっとり感』に関して下記の基準で評価を行い、その平均点で判定した。
(評価項目)
b.しっとり感
(絶対評価基準)
(評点) : (評価)
6 : 非常にしっとり感を感じる
5 : しっとり感を感じる
4 : ややしっとり感を感じる
3 : 普通
2 : ややしっとり感を感じない
1 : しっとり感を感じない
0 : 全然しっとり感を感じない
(判定基準)
(判定) : (評点の平均点)
◎ : 5点を超える (非常に良好)
○ : 3.5点を超える5点以下(良好)
△ : 1.5点を超える3点以下(やや不良)
× : 1.5点以下 (不良)
【0109】
(評価方法)
本発明品4〜8、比較品3〜7について、20名による専門パネルにより使用テストを行い、サンプルを肌に塗布し、6時間後の『経時での保湿感』に関して下記の基準で評価を行い、その平均点で判定した。
(評価項目)
c.経時での保湿感
(絶対評価基準)
(評点) : (評価)
6 : 非常に保湿感を感じる
5 : 保湿感を感じる
4 : やや保湿感を感じる
3 : 普通
2 : やや保湿感を感じない
1 : 保湿感を感じない
0 : 全然保湿感を感じない
(判定基準)
(判定) : (評点の平均点)
◎ : 5点を超える (非常に良好)
○ : 3.5点を超える5点以下(良好)
△ : 1.5点を超える3点以下(やや不良)
× : 1.5点以下 (不良)
【0110】
[保湿美容液―3]
表4に示した成分を以下の処方により保湿美容液を調製した。
(本発明品9、比較品8,9)<リポソーム含有組成物>
A;成分1〜4を80℃で均一に溶解する。
B;成分5〜6を80℃で均一に溶解する。
C;AにBを滴下・混合しディスパーズミルで微細乳化する。
D;成分7〜9を室温で均一に溶解し、Cに添加混合する。
【0111】
(本発明品10、比較品10)
A;成分7〜9を室温で均一に溶解する。
【0112】
【表4】

【0113】
(評価方法)
本発明品9,10、比較品8〜10について、連用(朝晩1日2回使用)による肌水分量の測定を行った。パネルの前腕内側を洗顔石鹸で洗浄後、湿度、温度を一定にした環境で20分馴化を行った後、近赤外分光計(Spectrum 400 PerkinElmer社製)で反射測定を行い、1900nmの水のピークの高さで水分量を検出した。使用前(0日)の肌水分量の値を100%とし、使用後の肌水分量をプロットした。結果を図1に示す。
【0114】
[結果]
本発明の水溶性ポリマーのサンプルを肌に塗布したときの保水性について、保水性効果が着目されている素材であるテアニンと同様な保水性を示した。また、本発明の水溶性ポリマーは、リポソーム含有化粧料に配合することにより、相乗的に保湿性を付与することができるものであった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリルアミド又はメタクリルアミド重合性単量体に由来する式(1)で表される1種又は2種以上の繰返し単位:(A)
【化1】


(式中、R1は、水素原子又はメチル基を示し、R2は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を表す)と、
水溶性のホモポリマーを与える重合性単量体に由来する1種又は2種以上の繰返し単位:(B)
とを含有し、
A:Bのモル比が99.98:0.02〜10:90であり、
温度30℃、相対湿度60%における当該ポリマーの50質量%水溶液の6時間放置後の質量減少率が25質量%未満であることを特徴とする化粧料又は皮膚外用剤用水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマー。
【請求項2】
さらに、温度30℃において相対湿度を60%から40%に下げたときの当該ポリマーの50質量%水溶液の質量減少率が3質量%未満であることを特徴とする請求項1記載の化粧料又は皮膚外用剤用水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマー。
【請求項3】
さらに、温度30℃において相対湿度を40%から60%に上げたときの当該ポリマーの50質量%水溶液の質量増加率が3質量%未満であることを特徴とする請求項1又は2記載の化粧料又は皮膚外用剤用水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマー。
【請求項4】
水溶性のホモポリマーを与える重合性単量体に由来する1種又は2種以上の繰返し単位:(B)が、下記式(2)で表される繰返し単位であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化粧料又は皮膚外用剤用水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマー。
【化2】


[式中、R4は、水素原子又はメチル基、Yは、下記一般式(3)〜(6)
【化3】


(式中、R5は、水素原子、アルカリ金属元素、アンモニウム基、有機塩基から誘導された1価の基、−((CH)pO)qH基(但し、pは2又は3であり、pが2の場合、qは1〜10のいずれかの整数を表し、pが3の場合、qは1〜3のいずれかの整数を表す)、又は−(CHCH(OH)CHO)rH基(但し、rは1〜10のいずれかの整数を表す)を表す)、
【化4】



【化5】


、又は
【化6】


を表す。但し、Yが式(4)又は式(5)で表される場合、R4は、水素原子である。]
【請求項5】
アクリルアミド又はメタクリルアミド重合性単量体に由来する式(1)で表される1種又は2種以上の繰返し単位:(A)
【化7】


(式中、R1は、水素原子又はメチル基を示し、R2は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を表す)と、
下記式(2)
【化8】


[式中、R4は、水素原子又はメチル基、Yは、下記一般式(3’)、(5)又は(6)
【化9】


(式中、R5’は、−((CH)pO)qH基(但し、pは2又は3であり、pが2の場合、qは1〜10のいずれかの整数を表し、pが3の場合、qは1〜3のいずれかの整数を表す)、−(CHCH(OH)CHO)rH基(但し、rは1〜10のいずれかの整数を表す)を表す)、
【化10】


又は、
【化11】


を表す。但し、Yが式(5)で表される場合、R4は、水素原子である。]
で表される繰返し単位:(B)とを含有し、
A:Bのモル比が99.98:0.02〜10:90
であることを特徴とする水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマー。
【請求項6】
(A)請求項1〜5のいずれかに記載の水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマー、及び、(B)リン脂質を含有することを特徴とするリポソーム含有水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマー組成物。
【請求項7】
さらに、(C)コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール及びフィトステロール誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項6記載のリポソーム含有水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマー組成物。
【請求項8】
さらに、(D)グリセリン及び1,3−ブチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項6又は7記載のリポソーム含有水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマー組成物。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれかに記載の水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマーを含有する化粧料又は皮膚外用剤。
【請求項10】
請求項6〜8のいずれかに記載のリポソーム含有水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマー組成物を含むことを特徴とする化粧料又は皮膚外用剤。


【図1】
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【公開番号】特開2010−254974(P2010−254974A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75741(P2010−75741)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】