説明

水溶性ストロンチウム塩を用いる軟骨/骨症状の治療

【課題】新規なストロンチウム塩と軟骨および/または骨の症状の治療および/または予防に使用する医薬組成物の提供。
【解決手段】室温で約1g/l〜約100g/lの水溶性を有するストロンチウムの塩からなる組成物。具体的には、ストロンチウムグルタメート、ストロンチウムアスパルテート、ストロンチウムマレエート、ストロンチウムアスコルベート、ストロンチウムスレオネート、ストロンチウムラクテート、ストロンチウムピルベート、ストロンチウムアルファ−ケトグルタレートおよびストロンチウムスクシネートからなる群から選択される塩が好ましく用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
この発明は、軟骨および/または骨症状の治療および/または予防での使用の化合物と医薬組成物、およびこのような症状の治療方法に関する。この化合物は、室温で約1g/Lから約100g/Lの水溶性を有するストロンチウムの塩類、ことにストロンチウムのアミノ酸塩類とストロンチウムのジカルボン酸塩類である。新しい水溶性ストロンチウム塩類の例は、アスパラギン酸ストロンチウムとα−ケトグルタール酸ストロンチウムである。
この発明は、また、グルタミン酸のストロンチウム塩の改良製法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
骨粗鬆症は、ヒトにおける代謝性骨疾患の最もよくある形態である。この症状は、全世界の非常に多数の人々を襲う症状で、高年令の人々の数が殆どの国々で次の10年間で劇的に上昇するので、骨粗鬆症の罹患率と影響も増加するであろう。この疾患は、病理学的に、骨塊量と骨の構造的品質の絶対的減少と、臨床的には骨折し易さの増大で特徴付けられる。事実、骨粗鬆症は、後期中年と老人の婦人で、骨格の骨折について最も有意な根本的な原因である。
【0003】
一般に、骨粗鬆症には2つのタイプ、すなわち一次と二次がある。二次骨粗鬆症は、同一とみなしうる疾患過程または作用因の結果である。しかし、全骨粗鬆症の約90%は、突発性一次骨粗鬆症が原因である。このような一次骨粗鬆症には、閉経後骨粗鬆症、年齢関連骨粗鬆症(70〜80年令の大部分の個体を襲う)と中年と若い男性と女性を襲う突発性骨粗鬆症がある。
【0004】
骨粗鬆症における骨欠損の機序には、骨リモデリングの過程のアンバランスが含まれると思われる。骨リモデリングは、全生涯で起こり、骨格を再造形し、骨の強度を維持する。リモデリングは、破骨細胞と骨芽細胞と称せられた骨組織の特殊化細胞により仲介される。破骨細胞(骨溶解または吸収細胞)は、吸収過程中、骨マトリックス内の一部の骨の吸収を担う。吸収後、破骨細胞に続いて骨芽細胞(骨形成細胞)が出現し、これが新しい骨で吸収された部分を再充填する。
【0005】
骨中で2つの細胞タイプの形成とそれらの活性は通常密に組合され、骨の骨格バランスと構造的一体性を維持するためによく調節されている。しかし、骨粗鬆症のヒトでは、このリモデリングの過程の不均衡があり、骨の付着生長より速い速度での骨損失をまねく。
【0006】
骨粗鬆症の単一で最も重要な危険因子は、月経閉止期に元来起こるエストロゲン欠乏である。内因性エストロゲン産生の減少が骨組織での代謝活性の上昇をまねき、ここで破骨細胞媒介の骨吸収での増大が骨の形成でのより適度な増加をしのぎ、骨の正味の損失となる。罹患したヒトの実数は、人口増加率より大きな割合で増加するであろう。これは、人口の老令化が人口の老人区分と不均衡に増大しつつあり、一方月経閉止の開始年令は一定のままであるからである。過去10年で、骨ミネラル密度(BMD)の測定法が改良され、骨吸収と形成の新しい特異的生化学マーカーが開発され、日常の臨床用に入手可能になったことから、骨粗鬆症を予測し、モニターする能力が実質的に進展もした。また骨粗鬆症の治療および/または予防用の新しい薬剤も開発された。これらの治療の大部分は、損失した内因性エストロゲンをホルモン代替治療(HRT)または選択性エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)の形態の何れかで置換することに基づいているか、または、ビスホスホナートと称せられた一群の化合物に属する。SERMとことにHRTは癌と心臓疾患の危険の増大のような顕著な副作用を伴う。これに対して、ビスホスホナートは強い抗吸収効果に加えて、類似の程度で骨形成も減少し、ほんの少ない治療年数の後に治療効果を損なうことを意味する。かくして、骨粗鬆症の治療および/または予防に効果的である剤の必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の説明
各種のストロンチウム化合物が、正常細胞の生理学に要求されるものより高いレベルで存在するとき骨粗鬆症での骨損失を調節することが以前の研究で示されている。その効果は、前骨芽細胞分化と移動へのストロンチウムの刺激効果と、ストロンチウムによる破骨細胞の直接またはマトリックス媒介阻害によるものと思われる(Reginster, JY, Curr pharm Des 2002:8(21):1907〜16)。換言すると、ストロンチウムは、抗吸収と同化剤として共に作用する。ストロンチウムの各種塩類が従来技術で知られ、例えば、EP-B0415850に記載のストロンチウムラネレート(2-[N,N-ジ(カルボキシメチル)アミノ]-3-シアノ-4-カルボキシメチルチオフェン-5-カルボン酸のジストロンチウム塩)がある。ラネル酸から誘導されたストロンチウム化合物のラネレート部分は、軟骨または骨症状に対し何らの治療効果を本質的に有するとはみられない。他の公知のストロンチウム塩類には、例えば、ストロンチウムタルタレート、ストロンチウムホスフェート、ストロンチウムカルボネート、ストロンチウムナイトレート、ストロンチウムサルフェートとストロンチウムクロリドがある。
【0008】
カーボネート塩やサルフェート塩のような天然に存在するストロンチウム塩類は、非常に低い水溶性(室温で0.15g/L以下)である。対照的に、ストロンチウムクロリド、ストロンチウムヒドロキシド、ストロンチウムナイトレート、ストロンチウムオキシドとストロンチウムアセテートのような他のストロンチウム塩類は、水中に225〜800g/Lの範囲の非常に高い溶解性を有する。これに関して、ストロンチウム塩類は、対応するマグネシウムとカルシウム塩によく似ている。
【0009】
有機ストロンチウム塩類が知られているが、このタイプの化合物の文献報告はむしろ少類の物質に限られている。この場合に生理化学的性質は、対応するマグネシウム、カルシウムとバリウム塩類に非常に似ていると報告されている。カルボン酸は、ストロンチウムのような2価の土類金属と安定な結晶性塩を形成でき、かつことにジカルボン酸は、部分的なキレート効果を有し得るので興味がある。このようなコンプレックス化は生理系で重要であり得、ここでアルカリ土類金属、ことにカルシウムとマグネシウムは、重要な生理学的役割を演ずる(次の項参照)。ここから、2価の金属イオンは、遊離で未結合のイオン型よりむしろ、生理系の水性環境下でコンプレックス型で存在しうる。水性溶液中でのアルカリ土類金属とのコンプレックス形成恒数は、ヒドロキシカルボン酸および関連する非カルボン酸よりアミノ酸が高く、これはアミノ基がコンプレックス形成で役割を演じうることを示唆している。一般に、各種のリガンドに対する会合恒数の差は、金属の半径が増加するほど小さくなることから、ジカルボン酸とのストロンチウムコンプレックスの安定性は、カルシウムおよびマグネシウムの相当するコンプレックスの安定性より低い。
【0010】
ストロンチウムの塩の医薬応用に対し、ジカルボン酸系アミノ酸のストロンチウム塩が特に有用でありうることを意味するので非常に重要である。我々は、ストロンチウムグルタメート(グルタミン酸ストロンチウム)とストロンチウムアスパルテート(アスパラギン酸ストロンチウム)のような塩が、類似の分子の大きさの他のジカルボン酸系ストロンチウム塩より、より安定であることを見出した。このような塩の純粋な水性溶液で、ストロンチウムは部分的に複合化された型(complexed form)で存在する。しかし、哺乳動物のような動物、即ちラット、犬、猿またはヒトに投与されると、イオン性ストロンチウムならびにカルボン酸アニオンと複合したストロンチウムが、受動および能動輸送機構の双方により腸内腔から吸収されるであろう。この場合に、ストロンチウムは、コンプレックスから、入手可能なカルシウムとマグネシウムに置換され、イオン化アミノ酸とより安定なコンプレックスを形成する。ストロンチウムのようなグループII重金属で、アスパルテートとグルタメートの双方のアミノ基は、恐らく5または6員環で大きな金属の好ましからざるキレート化のため、金属複合化にあまり意義がないとみられる。従って、ストロンチウムアスパルテートとストロンチウムグルタメートのような、ストロンチウムのジアニオン性アミノ酸塩は、アミノ酸が、入手可能な遊離カルシウムと優先的に結合/複合化するのに作用でき、そのためカルシウムイオンの腸管吸収とイオンの生理学作用、特に骨転向の調節での役割の両方を促進することから、骨疾患での予防および/または治療介入に特に適しうる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
しかし、この発明は、適切な塩の上記の特定の例に限定されないのみならず、ストロンチウムの水溶性塩の一般的な応用性に関する。上記から分かるように、水溶性である公知のストロンチウム塩は、少なくとも約225〜800g/Lの水溶性を有し、他の公知のストロンチウム塩は、ごく低い(室温で0.1g/L以下)溶解性を有する。ここに例示し、適当なin vivoの性質を有する例示したストロンチウムのアミノ酸塩は、室温で、1g/L以上で約100g/Lより大きくない水溶性を有する。従って、この発明は、室温で約1g/L〜約100g/Lの水溶性を有するストロンチウム塩に関する。
【0012】
上記からわかるように、この発明は、新規なストロンチウム塩と軟骨および/または骨の症状の治療および/または予防に使用のためのそれらを含有する医薬組成物とこのような症状の治療法に関する。ストロンチウム塩の1つは前に記載された、すなわちストロンチウムグルタメートである。しかし、この発明者らは、この塩の改良した製法を見出し、その方法もこの発明の目的である。その上、この発明は、約1g/l〜約100g/lの範囲の水溶性を有するストロンチウム塩の、治療、予防および/または診断用途に関する。
【0013】
例えばヒトの女性または男性の成人、若者または子供のような哺乳動物における軟骨および/または骨代謝の異常となる軟骨および/または骨疾患および/または症状;例えば骨粗鬆症、骨関節症、大理石骨症、骨減少症とパジェット病、悪性病変の高カルシウム血症、歯周疾患、上皮小体機能亢進症、リウマチ関節炎における関節周囲浸食症、骨形成異常症、骨化性筋炎、ベクテリエフ疾患、悪性高カルシウム血症、骨転移疾患によって生じた溶骨性病変、骨転移疾患による骨痛、性ステロイドホルモン欠乏症による骨欠損、ステロイドホルモン処置による骨異常、癌治療による骨異常、骨軟化症、ベーチェット病、骨化過剰症、転移性骨疾患、固定誘因の骨減少症または骨粗鬆症、グルココルチコイド誘因の骨減少症または骨粗鬆症、骨粗鬆症偽膠腫症候群、突発性若年骨粗鬆症の治療および/または予防用;外傷性と非外傷性骨折後の骨折治癒の改善用、エネルギーレベルの維持または増大用、筋肉組織の構築または増強用、および体重増加用に、本発明者らは、ストロンチウム塩の使用が次の有利な効果:
i)ストロンチウムのバイオアベイラビリティーの改善
ii)ストロンチウムの吸収の改善
iii)副作用の減少
iv)特異疾患段階の予防および/または治療を仕立てるためストロンチウムの柔軟な投与量調節
v)一日投与量の減量の可能性
vi)患者が治療効果を達するのに使用しなければならない異なる医薬組成物の数の減少の可能性
の1以上を得ることができる予防および治療価値を有することを見出した。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、1989年Schmidbaurらによる開示の結晶形のストロンチウムL-グルタメート(6*H2O)の分子構造である。
【図2】図2は、1989年Schmidbaurらによる開示の結晶型のストロンチウムL-グルタメート(6*H2O)の拡大層構造である。
【図3】図3は、1990年Schmidbaurらによる開示の結晶形のストロンチウムL-アスパルテート(3*H2O)の分子構造である。
【図4】図4は、2つのストロンチウム塩のX線分析の回折図である。
【図5】図5は、実施例7に記載の方法で作ったストロンチウムグルタメート6水和物結晶のX線回折図である。
【図6】図6は、実施例7に記載の方法で作ったストロンチウムマロネート結晶のX線回折図である。
【図7】図7は、表9に要約したストロンチウムグルタメート合成の最適化実験の結果である。
【図8】図8(前頁)は、各パネルの上部で示されたようなストロンチウムの単独投与されたラットで測定された血清ストロンチウム濃度のプロットである。
【図9】図9は、重畳したエラー棒を用いた理論(実線)の実験データ(ダイヤ形)に対するモデル化である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明による使用またはこの発明によるストロンチウム塩との混合で使用に適するストロンチウム塩は、次のリストに見出される。しかし、少なくとも約1g/Lで最大で約100g/Lの水溶性を有する塩類のみがこの発明の目的物である。このようなストロンチウム塩は、例えば、アミノ酸塩、ストロンチウムグルタメートとストロンチウムアスパルテート;ストロンチウムマロネート、ストロンチウムピルベート、ストロンチウムα−ケトグルタレート、ストロンチウムマレエートとストロンチウムスクシネートである。
【0016】
ストロンチウム塩を作るための無機酸は、ホウ酸、亜臭素酸、塩素酸、ピロ燐酸、ピロ硫酸、ジチオン酸、亜チオン酸(dithionous acid)、雷酸、ヒドラゾ酸、臭化水素酸、弗化水素酸、沃化水素酸、硫化水素、次燐酸、次亜燐酸、沃素酸、亜沃素酸(iodous acid)、メタ硼酸、メタ燐酸、メタ亜燐酸、メタ珪酸、亜硝酸、オルト燐酸、オルト亜燐酸、オルト珪酸、燐酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、ピロ亜燐酸、セレン酸、スルホン酸、チオシアン酸とチオ硫酸からなる群から選択できる。
【0017】
有機酸は、C2H5COOH、C3H7COOH、C4H9COOH、(COOH)2、CH2(COOH)2、C2H4(COOH)2、C3H6(COOH)2、C4H8(COOH)2、C5H10(COOH)2、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、アスコルビン酸、安息香酸、サリチル酸、ピルビン酸、L-とD-アスパラギン酸、フタル酸、炭酸、ギ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、樟脳酸、グルコン酸、L-とD-グルタミン酸、トリフルオロ酢酸、ラネル酸(ranelic acid)、2,3,5,6-テトラブロム安息香酸、2,3,5,6-テトラクロロ安息香酸、2,3,6-トリブロム安息香酸、2,3,6-トリクロロ安息香酸、2,4-ジクロロ安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、2,6-ジニトロ安息香酸、3,4-ジメトキシ安息香酸、アビエチン酸、アセト酢酸、アセトンジカルボン酸、アコニット酸、アクリル酸、アジピン酸、α−ケトグルタール酸、アンスラニール酸、ベンジル酸、アラキジン酸、アゼライン酸、ベヘン酸、ベンゼンスルホン酸、β−ヒドロキシ酪酸、ブラシン酸、カプリン酸、クロロアクリル酸、桂皮酸、シトラコン酸、クロトン酸、シクロペンタン-1,2-ジカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シスタチオニン、デカン酸、エルカ酸、エチレンジアミン四酢酸、フルビン酸(fulvic acid)、フマル酸、没食子酸、グルタコン酸、グルタール酸、グロン酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、フミン酸、ヒドロキシステアリン酸、イソフタール酸、イタコン酸、ランチオニン、ラウリン酸(ドデカン酸)、レブリン酸、リノール酸(シス,シス-9,12-オクタデカン酸)、リンゴ酸、m-クロロ安息香酸、メリシン酸、メサコン酸、メタアクリル酸、モノクロロ酢酸、ミリスチン酸(テトラドデカン酸)、ノナン酸、ノルバリン、オクタン酸、オレイン酸(シス-9-オクタデカン酸)、オルニチン、オキサロ酢酸、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)、p-アミノ安息香酸、p-クロル安息香酸、ペトロゼリン酸(petroselic acid)、フェニル酢酸、p-ヒドロキシ安息香酸、ピメリン酸、プロピオル酸(propiolic acid)、プロピオン酸、p-tert-ブチル安息香酸、p-トルエンスルホン酸、ピルビン酸、ザルコシン、セバシン酸、ゼリン、ソルビン酸、ステアリン酸(オクタデカン酸)、スベリン酸、コハク酸、テレフタル酸、テトロン酸、スレオニン、スロニン、トリカルバル酸、トリクロロ酢酸、トリメリット酸、トリメシン酸、チロシン、ウルミン酸とシクロヘキサンカルボン酸からなる群より選択できる。
【0018】
FDAが経口摂取用の組成物への使用に安全とみなした全ての酸が、この発明に使用できる。適する酸の例を次の表1に挙げる。
【0019】
【表1−1】

【0020】
【表1−2】

【0021】
【表1−3】

【0022】
【表1−4】

【0023】
この発明の1つの具体例で、酸はストロンチウムの非キレート剤でもよい。さらなる具体例で、酸は一塩基酸(monoprotic acid)または二塩基酸(diprotic acid)でもよい。
この発明による使用のストロンチウム塩は、室温例えば20〜25℃の温度で測定して、例えば少なくとも5g/L、少なくとも10g/L、少なくとも20g/L、少なくとも30g/L、少なくとも40g/L、少なくとも50g/L、少なくとも60g/L、少なくとも70g/L、少なくとも80g/L、少なくとも90g/Lまたは約100g/Lのような少なくとも1g/Lの水溶解性を有する水溶性である。
【0024】
この発明により使用のストロンチウム塩の特別の例は、ストロンチウムマロネート、ストロンチウムスクシネート、ストロンチウムフマレート、ストロンチウムアスコルベート、Lと/またはD-型の何れかのストロンチウムアスパルテート、Lと/またはD型の何れかのストロンチウムグルタメート、ストロンチウムピルベート、ストロンチウムタルタレート、ストロンチウムグルタレート、ストロンチウムマレエート、ストロンチウムメタンスルホネート、ストロンチウムベンゼンスルホネートとそれらの混合物である。
【0025】
ストロンチウムL-グルタメート(6水和物)は、水酸化ストロンチウムとL-グルタミン酸とを3時間還流下に反応させ、次いで冷却と2週間ゆっくり結晶化させることにより以前に作られている。結晶は、結晶構造を明らかにするためX線結晶回折に付した(H. Schmidbaur, I. Bach, L. Wilkinson & G. Muller(1989), Chem Ber. 122;1433-1438参照)
。研究は、図1と2および表2と3に記載した性質を有するストロンチウム塩の結晶型に関していた。
【0026】
【表2】

表2:Schmidbaurら1989に記載のストロンチウムL-グルタメート6水和物の距離〔Å〕と角度〔°〕。原子ナンバリングは、図1参照。対称操作の調製のため、O1'は操作:0.5+X、0.5−X、−ZによりO1から誘導された。O2'は操作X−0.5、0.5−Y、−ZによりO2から誘導された。O3'とO4'は、操作X、Y-1、ZによりそれぞれO3とO4から誘導された。弧内は、最後の有意な形(figure)の推定単位を示す。
【0027】
【表3】

表3:Schmidbaurら1989に記載のストロンチウムL-グルタメート6水和物に対する分別原子座標と等価の等方性熱パラメータ。Ueq=U1*U2*U3(U1、U2、U3はUjiマトリックスの固有値である)。原子命名は図1参照。
【0028】
図1、2と表2と3に開示のデータから明らかなように、Schmidbaurらに記載の6水和物の形態のストロンチウムグルタメート塩は、空間群P212121に属する斜方晶系結晶形である。セルの大きさは、1308.6Å3の単位セル容量で、寸法(Å):a 3.355、b 8.772、c 20.283で定義される。記載された性質(Schmidbaur, I. Bach, L Wilkinson & G Muller(1989), Chem Ber. 122;1433-1438)を有する分離したストロンチウムグルタメート(6水和物)の溶解性は20℃で0.023g/Lと報告された。
【0029】
ストロンチウムL-アスパルテートは、L-アスパラギン酸に水酸化ストロンチウムを反応させることにより以前に作られている。反応は3時間還流下に行われ、生成する反応混合物は3日間冷却させ、結晶形成をさせる。生成するストロンチウムL-アスパルテート結晶は、結晶構造を明らかにするためX線結晶回折に付された(H. Schmidbaur, P. Mikulcik & G. Muller(1990), Chem Ber. 123;1599-1602参照)。単離のストロンチウムL-アスパルテートは、図3と表4と5に記載の性質を有し、3水和物形で形成されたことが研究により明らかになった。
【0030】
【表4】

表3:Schmidbaurら1990に記載のストロンチウムL-アスパルテートの距離〔Å〕と角度〔°〕。原子ナンバリングは図3を参照。弧内は、最後の有意な形の推定単位を示す。
【0031】
【表5】

表4:Schmidbaurら1990に記載のストロンチウムL-グルタメート6水和物の分別原子座標と等価の等方性熱パラメータ。Ueq=(U1*U2*U3)(U1、U2、U3はUjiマトリックスの固有値である)。原子命名は図3を参照。
【0032】
図3と表3と4に開示のデータから明らかなように、Schmidbaurらに記載の6水和物の形のストロンチウムグルタメートは、空間群P212121に属する斜方晶系の結晶形である。セル大きさは、857.1Å3の単位セル容量で、寸法(Å):a 7.304、b 9.914、c 11.837で定義される。単離したストロンチウムアスパルテート3水和物の溶解性は報告されていない(H. Schmidbaur, P. Mililcik & G. Muller(1990), Chem Ber. 123;1599-1602)。
【0033】
医薬組成物に使用のストロンチウム塩を作る関連する酸の他の例は、WO00/01692(ここに参照文献として挿入)に見出すことができる。
【0034】
ストロンチウム塩の合成
カルボン酸アニオンの有機ストロンチウム塩は、いくつかの異なる経路で合成できる。このような有機ストロンチウム塩の製造の常法は、有機酸と水酸化ストロンチウムの水性溶液中の反応を利用することである。例えばフマル酸と水酸化ストロンチウム塩との中和反応は、次式による。
Sr2+(aq)+2OH-(aq)+HOOCCHCHCOOH(aq)→Sr(OOCCHCHCOO)(aq)+2H2O(l)
【0035】
溶解したストロンチウムフマレート懸濁液は、次いで、水の蒸発と続く塩の濃縮で沈殿を誘因できる。結晶は溶液からゆっくり形成され沈殿するであろう。
【0036】
他のアプローチは、適当なカルボン酸アニオンのナトリウムまたはカリウム塩と塩化ストロンチウムを利用するものである。全ての有機ストロンチウム塩は、高い溶解性のクロリド塩より溶解性が少ないので、有機ストロンチウム塩は、これらの条件下で沈殿し、溶液中にNaClと過剰のSrCl2を残すであろう。下の等式は、例としてSrCl2とナトリウムフマレートと反応を用いての反応式を例示する。
Sr2+(aq)+2Cl-(aq)+2Na+(aq)+C4H2O42-(aq)→Sr(OOCCHCHCOO)(aq)+Cl-(aq)+Na+(aq)
【0037】
この発明の発明者らは、異なるストロンチウム塩は異なる合成経路を要することを見出し、いくつかのストロンチウム塩に、最適化した合成と製造手順を同定した。この発明に特に関連するものとして、ジカルボン酸系アミノ酸、アスパルテートとグルタメート(DまたはL形の何れか)のストロンチウム塩の合成は、通常の反応経路に従うと非常に困難であり、得られた結晶形について収率と純度が一般に低いことを見出した。この発明による医薬使用を行うのに、ジカルボン酸系アミノ酸の純なストロンチウム塩を大規模で製造するため、発明者らは、これらの特定のストロンチウム塩について各種の合成経路を研究した。かくして、よく規定された純粋な6水和物形のストロンチウムグルタメートの合成が、グルタメートの遊離酸の形と水酸化ストロンチウムで最も簡便に行われ、80℃以上の温度、より好ましくは100℃または120℃、また最も好ましくは130℃以上(実施例4〜7参照)のような高められた温度を要することを意外にも見出した。その上、少量のアルコールの添加が、溶解した水性の有機ストロンチウム塩の結晶形成を促進できることを見出している。この発明で、ジカルボン酸のストロンチウム塩の新しい結晶形が開示される。特にL-グルタミン酸とSrCl2からのストロンチウムL-グルタメートの合成が、図1と2、表2と3に記載の以前記載されたストロンチウムL-グルタメート6水和物と区別される新しい6水和物結晶形となることを見出している。
骨疾患の治療および/または予防に関連の有機ストロンチウム塩のこれら合成手順の例をここでの実施例で提供する。
【0038】
この発明の1つの観点で、ストロンチウムグルタメートを含むストロンチウム塩の製造法が提供される。
さらにこの発明は医薬で使用のストロンチウム塩に関する。上で挙げたように、ストロンチウム(および時に、例えばα−ケトグルタレートまたはアミノ酸のようなカウンターイオン)は、軟骨および/または骨症状および/または他の症状に効果を有すると考えられ、かくして、塩は、上記したものを含む軟骨および/または骨の症状の治療および/または予防用の医薬組成物の製造に使用できる。塩は、エネルギーレベルの維持または増加、筋肉組織の構築(building up)または増強と体重増加のための医薬組成物の製造へも使用できる。さらにその医薬組成物は、1以上の生理学的に受容な賦形剤を含んでもよい。
【0039】
哺乳動物で軟骨および/または骨代謝の異常となる軟骨および/または骨の疾患および/または症状の治療および/または予防に対し、ストロンチウムと、適切であればα−ケトグルタレートまたは例えばグルタミン酸および/またはアスパラギン酸のようなアミノ酸のそれぞれを各種の量を投与する可能性が所望されるかもしれない。
この発明による医薬組成物中のストロンチウム(および適切であれば、例えばα−ケトグルタレートまたはアミノ酸)の量は、組成物にストロンチウム含有化合物の形でのストロンチウムの付加量(および/または、適切であればα−ケトグルタレートまたはアミノ酸の付加)を添加して調節できる。ストロンチウム含有化合物は、上記の塩から選択できる。
【0040】
ある場合には、さらに1以上の活性物質をこの発明による医薬組成物に添加するのが利益となりうる。この1以上の活性物質は、上記したもののような軟骨および/または骨の疾患および/または他の症状に治療および/または予防効果を有しうる。用語“軟骨および/または骨の代謝と構造一体性に影響する疾患および症状に治療および/または予防効果を有する活性物質”は、特定の医薬結果、例えば、骨折の発生率を減少する、骨密度を増加するおよび/または骨の治癒を改善する、または関節軟骨の崩壊を減少するか停止する、新しい軟骨の形成を促進するまたは放射線の明白な(radiological evidence)関節損傷の進行を防止するか減少することを達することができる活性物質を含む。このような物質の例は、骨の抗吸収剤および/または同化剤である。しかし、上記したもの以外の他の効果を有する1以上の活性物質も、この発明の医薬組成物に含めてもよい。このような活性物質は、例えば疾患緩和抗リウマチ薬または他の抗リウマチ薬である。
【0041】
この発明による医薬組成物に使用できる活性物質の具体的な例は、カルシウムα−ケトグルタレート、カルシウムおよび/またはその塩、ビタミンD3および/またはビタミンD3の機能性均等物のようなビタミンD、グルカゴン様ペプチド-2、グルカゴン様ペプチド2放出組成物;イバンドロネート、ゾレドロネート、アレンドロネート、ライズドロネート、エチドロネート、クロドロネート、チルドロネートとパミドロネートを含むビスホスホネート類;ラロキシフェン、アルゾキシフェン、ドロオシフェン、タモキシフェン、4-ヒドロキシ-タモキシフェン、4'-ヨードタモキシフェン、トレミフェン、(デアミノヒドロキシ)-トレミフェン、クロミフェン、レボルメロキシフェン、オレメロキシフェン、クロマン誘導体、クマリン誘導体、イドキシフェン、ナホキシジン、TAT-59、LY-353381、CP-336156、MDL-103323、EM-800、ICI-182、ICI 183,780、ICI 164,384、ICI 183,780、ICI 164,384、ジエチルスチベステロール、ゲニステイン、ナホキシジン、ニトロミフェンシトレート、モクスエステロール、ジフェノールヒドロクリセン、エリスロ-MEA、アレノール酸、エクイリン-3-サルフェート、シクロフェニル、クロロトリアニセン、エタモキシトリフェトール、ラソホキシフェン、バセトキシフェン、ゲニステイン、チボロン、オスペミフェン、テスミリフェン、ドロロキシフェン、パノミフェン、チンドキシフェン、メプロキシフェンとファスロデックスを含む選択性エストロゲンレセプターモジュレーター(SERMs);カルシトニン、副甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモン関連ペプチド、グルコサミンサルフェート、グルタミン酸および/またはその塩、アスパラギン酸および/またはその塩、プロリン、グルタミンとヒドロキシプロリンである。
【0042】
上記のように、この発明の化合物と組成物は、各種の症状の治療と予防に使用できる。かくして、この発明は、上記したもののように、哺乳動物での軟骨または骨代謝の異常になる軟骨および/または骨の疾患および/または症状の治療または予防、エネルギーレベルの維持または増加、筋肉組織の構築または増強と体重増加のための方法に関し、その方法はそれを必要とする患者に、ここにクレームした範囲で水溶性を有するストロンチウム塩の治療および/または予防有効量を投与することを含む。
患者は、例えばヒト、または家畜、例えばネコ、イヌ、馬、牛または羊のような哺乳動物であることができる。
【0043】
この発明はまた、上記したもののように哺乳動物の軟骨および/または骨代謝の異常になる軟骨および/または骨の疾患および/または症状の治療および/または予防、エネルギーレベルの維持または増加、筋肉組織の構築または増強と体重増加の方法に関し、その方法は、これを必要とする患者にこの発明によるストロンチウム塩のある量を投与することを含む。
【0044】
ストロンチウムの一日投与量は、少なくとも約0.01g、例えば少なくとも約0.025g、少なくとも約0.050g、少なくとも約0.075g、少なくとも約0.1g、少なくとも約0.2g、少なくとも約0.3g、少なくとも約0.4gまたは少なくとも約0.5g、または約0.01g〜約2g、例えば約0.1g〜約2g、約0.3g〜約2gまたは約0.3g〜約1gである。
【0045】
この発明は、また上記したような医薬組成物の形態でストロンチウムが投与される方法に関する。
さらに、この発明は、投与が1日当たり、1回以上、例えば毎日1〜5回行うことができる方法に関する。
この発明は、投与が1週間当たり1回以上、例えば1週間に1〜3回を行うことができる方法にも関する。
【0046】
上記のように、1以上の活性物質は、この発明による医薬組成物に添加することができ、またストロンチウム塩の投与と同じ処理の一部として投与できる。このような活性物質の1つの例は、ビタミンDである。ビタミンDは、カルシウム吸収に主要な役割を演じ、活性化ビタミンD3(1,2,5-ジヒドロキシコールカルシフェロール)とビタミンDの他の活性型がある程度小腸からのカルシウム吸収を増加する作用をするからである。ビタミンD3は血漿膜から腸嚢胞へのカルシウムが入るのを増加さす働きをし、腎臓でのカルシウムの再吸収を増加させて、カルシウムの尿への排泄を減少しうる。ビタミンDは、カルシウム吸収について有するのと同じ効果をストロンチウム吸収について有するようである。
【0047】
ビタミンDは、例えば肝臓と腎臓で活性化される。カルシウムの高いレベルが、ビタミンDの活性化に減少効果を有し、ストロンチウムの高いレベルが、恐らくビタミンDの活性化にカルシウムと同じ効果を有するであろう。
かくして、この発明によるストロンチウム含有化合物とともに、ある量のビタミンDの投与は、ストロンチウムの摂取に有利な効果を有するであろう。
従って、この発明は、1日投与量のビタミンDを投与することをさらに含む発明の方法に関する。
【0048】
特別の具体例で、ビタミンDはビタミンD3でありうる。ビタミンD3の1日投与量は、少なくとも約1μg、例えば少なくとも約1.25μg、少なくとも約1.50μg、少なくとも約2μg、少なくとも約3μg、少なくとも約4μg、少なくとも約5μg、少なくとも約10μg、少なくとも約15μg、少なくとも約20μg、少なくとも約25μg、少なくとも約30μg、少なくとも約40μgまたは少なくとも約50μg、または約1μg〜約50μg、例えば、約1.50μg〜約40μg、約2μg〜約30μg、約3μg〜約30μg、約4μg〜約30μg、約5μg〜約30μg、約10μg〜約30μg、約10μg〜約20μg、または約15μg〜約25μgである。
より詳細には、ビタミンD3の1日投与量は、約5μg〜約30μg、例えば約10μg〜約20μgでありうる。
【0049】
この発明のさらなる方法で、ストロンチウム成分は、約0.3g〜約1gの1日投与量に相当する用量で投与してもよく、α−ケトグルタレート成分は、約2g〜約7gの1日投与量に相当する用量で投与してもよく、ビタミンD3は約10μg〜約20μgの1日投与量に相当する用量で投与してもよい。
【0050】
この発明による方法に使用されるビタミンDの他の活性型は、ビタミンD2である。ビタミンD2の1日投与量は、少なくとも1μgで、例えば、少なくとも約1.50μg、少なくとも約2μg、少なくとも約3μg、少なくとも約4μg、少なくとも約5μg、少なくとも約10μg、少なくとも約15μg、少なくとも約20μg、少なくとも約25μg、少なくとも約30μg、少なくとも約40μg、少なくとも約50μg、少なくとも約60μg、少なくとも約70μg、少なくとも約80μg、少なくとも約90μg、少なくとも約100μg、少なくとも約110μg、少なくとも約120μgまたは少なくとも約125μg、または約1μg〜約125μg、例えば約1.50μg〜120μg、約2μg〜約110μg、約3μg〜約100μg、約4μg〜約90μg、約5μg〜約80μg、約5μg〜約125μg、約10μg〜約70μg、約10μg〜約60μg、約10μg〜約50μg、約10μg〜約40μg、約10μg〜約30μg、約10μg〜約20μg、または約15μg〜約25μgである。
より詳しくは、D2の一日投与量は、約5μg〜約125μg、例えば約10μg〜約20μgである。
【0051】
アルファカルシドール、カルシトリオールまたはジヒドロタキステロールのようなビタミンD3とD2の他の官能性等価物がこの発明により投与することもできる。アルファカルシドール、すなわち、1α-ヒドロキシコールカルシフェロールは、0.2〜3μg/日、好ましくは0.25〜2μg/日の量で投与できる。カルシトリオール、すなわち1,25-ジヒドロキシコールカルシフェロールは0.1〜10μg/日、好ましくは0.125〜2μg/日で投与でき、ジヒドロタキステロール、ビタミンD2類似体は、0.1〜3mg/日、好ましくは0.2〜0.6mg/日の量で投与できる。
【0052】
他の方法として、ストロンチウム成分、もし適切ならばアルファケトグルタレートまたはアミノ酸成分、およびビタミンDの投与は同時に行うことができる。
他の方法として、ストロンチウム成分、もし適切ならばアルファケトグルタレートまたはアミノ酸成分、および/またはビタミンDの投与は逐次的に行うことができる。
【0053】
カルシウムは、ストロンチウム塩の投与と同じ治療の一部として投与しうる活性物質の他の例である。カルシウムは体内の最も豊富なミネラルで、かつリン酸カルシウムと炭酸カルシウムとして骨と歯の主成分である。またカルシウムは、また細胞内と細胞外の液体交換、血液凝固で、かつ規則的心拍の維持に必須である。また、代謝機能ならびに神経筋の開始に重要である。体内での殆どのカルシウムは骨中に貯蔵される。
かくして、カルシウムは体内の多くの過程に重要な関与物質であり、かつカルシウムの投与は、上記の疾患と症状の多くに治療および/または予防効果を有しうる。
従って、この発明は、さらにカルシウムの1日投与量を投与することを含む上記の方法に関する。
【0054】
この発明による具体的な方法で、カルシウムの1日投与量は、約0.5g〜約2g、例えば0.5〜約1.5g、0.5g〜1gおよび約1g〜約1.5gである。
この発明によるなお他の方法では、ストロンチウム成分は約0.3g〜約1gの1日投与量に相当する用量で投与され、アルファ−ケトグルタレートまたはアミノ酸成分は、約2g〜約7gの1日投与量に相当する用量で投与され、カルシウムの用量は、約0.5〜約1gの1日投与量に相当する。
ストロンチウム塩、適切ならばアルファ−ケトグルタレートまたはアミノ酸成分、およびカルシウムの投与が同時に、単回投与型か上記のような同時投与用の別々の投与型の何れかで行うことができる。
【0055】
代わりに、ストロンチウム塩、適切ならばアルファ−ケトグルタレートまたはアミノ酸成分とカルシウムを逐次投与してもよい。
ストロンチウムが、カルシウム感応レセプター(CaR)の完全な拮抗剤であることが研究で示されている。CaRの骨細胞の調節における役割は十分に研究されていないが、ストロンチウムとカルシウムは、同じレセプターを介して代謝に効果を奏しうる。
従って、ストロンチウム含有成分とカルシウムとを同時に投与しないことが有利かも知れない。
【0056】
この発明の1つの観点で、カルシウムは、ストロンチウムの投与後に投与でき、すなわち、この発明は、カルシウムがストロンチウム成分の投与後、少なくとも0.5時間、例えば少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間または少なくとも12時間に投与される方法に関する。
【0057】
他の観点で、カルシウムは、ストロンチウムの投与前に投与でき、すなわち、この発明は、カルシウムがストロンチウム成分の投与前少なくとも0.5時間、例えば少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間または少なくとも12時間に投与される方法に関する。
【0058】
なお他の観点で、ストロンチウム塩と適切ならばアルファ−ケトグルタレートまたはアミノ酸成分は同時に投与でき、カルシウムはストロンチウム塩の投与後少なくとも1時間、例えば少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間または少なくとも12時間に投与できる。
【0059】
さらなる観点で、ストロンチウム塩と適切ならばアルファ−ケトグルタレートまたはアミノ酸が同時に投与でき、かつカルシウムはストロンチウム塩の投与前少なくとも1時間、例えば少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間または12時間に投与できる。
【0060】
なおさらなる観点で、カルシウムとビタミンDは、ストロンチウム塩とビタミンDの同時投与前の少なくとも1時間、例えば少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間または少なくとも12時間に同時に投与できる。
他の観点で、カルシウムとビタミンDは朝に同時に投与でき、ストロンチウム塩とビタミンDは夕方に同時に投与できる。
【0061】
ストロンチウムの投与と同じ治療の一部として投与できる活性物質のさらなる例は、副甲状腺ホルモンである。副甲状腺ホルモンは、84アミノ酸残基からなり、細胞外カルシウムのレベルの減少に応答してインビボで放出される。副甲状腺ホルモンまたはそのフラグメントの医薬的に適する用量での投与は、骨形成を刺激し、骨ミネラル密度の強い増加を生み、かつ脊椎または非脊椎骨折の発生を実質的に減少することが知られている。副甲状腺ホルモンは、腎臓に直接作用し尿中カルシウムを減少させ、かつ骨芽細胞を含む間接機序を介して骨吸収を増加する。副甲状腺ホルモンは、また、腎臓中1α-ヒドロキシラーゼ酵素の活性を刺激することにより、ビタミンDの活性化を増大し続いてカルシウムおよび多分ストロンチウムのよりよい吸収に導く。
【0062】
市販で入手しうる副甲状腺ホルモン含有薬剤は、生理学的に活性部位と思われるヒト副甲状腺ホルモンのN-末端の34のアミノ酸領域からなる。
従って、この発明によるさらなる方法では、副甲状腺ホルモンもしくはそのフラグメントまたは類似体、または副甲状腺ホルモン関連ペプチドもしくはそのフラグメントあるいは類似体をストロンチウム塩の投与と同じ処置の一部として投与する。次に、用語「PTH」は副甲状腺ホルモン、そのフラグメント、類似体および機能性類似体ならびに副甲状腺関連ホルモン、そのフラグメント、類似体と機能性類似体を含む。PTHは、ストロンチウムと適当であればアルファ−ケトグルタレートと組合せてまたは逐次投与で使用できる。
【0063】
PTHの1日投与量は、組換えヒト副甲状腺ホルモン(1-34)として計算する場合、少なくとも1μg、例えば少なくとも約2μg、少なくとも約3μg、少なくとも約4μg、少なくとも約5μg、少なくとも約10μg、少なくとも約15μg、少なくとも約20μg、少なくとも約25μg、少なくとも約30μg、少なくとも約35μg、少なくとも約40μg、少なくとも約50μg、少なくとも約60μg、または約1μg〜約60μg、例えば約2〜50μg、約3μg〜約40μg、約4μg〜約40μg、約5μg〜約40μg、約10μg〜約40μg、約10μg〜約35μg、約10μg〜約30μg、約10μg〜約25μg、約10μg〜約20μg、約15μg〜約40μg、約20μg〜約40μgまたは約20μg〜約30μgである。
【0064】
より詳しくは、PTHの1日投与量は、組換えヒト副甲状腺ホルモン(1-34)として計算する場合、約10μg〜約40μg、例えば約10μg〜約30μg、約10μg〜約20μg、約20μg〜約40μgまたは約20μg〜約30μgである。
【0065】
この発明による薬剤治療は、約0.1mg〜60mg、例えば約0.2mg〜約30mg、約0.2mg〜約20mgまたは約0.2mg〜約10mgのビスホスホネートの1日投与量を投与することを含む。
ストロンチウム含有化合物が、1以上のSERMと組合せて与えられるこの発明の組合せ治療において、SERMは、所定のSERMの臨床研究で前もって決定された量で使用すべきである。
次に、この発明による個々の塩についてより詳細な記述をする。ことにストロンチウムアルファ−ケトグルタレートとストロンチウムのアミノ酸塩に関して、これらの塩は2つの活性成分、すなわち、ストロンチウム部分とアルファ−ケトグルタレートまたはアミノ酸部分を有する。従って、この発明のこれらの観点は、例えば個々の成分の1つの別々の用量に加えて、個々の用量調節を含む。しかし、ストロンチウムに関する全ての詳細を、この発明による全ての他のストロンチウム塩に適用する。
【0066】
その上、ストロンチウム塩について上記した詳細は、必要な変更を加えて適当なときいつでも個々のストロンチウム塩に適用し、ならびに個々のストロンチウム塩に下記する詳細は、適当なときいつでも一般のストロンチウム塩に必要な変更を加えて適用する。
【0067】
ストロンチウム/アルファ−ケトグルタレート塩と組成物
骨は、主にコラーゲンタイプIからなる有機マトリックスと燐酸カルシウムと炭酸カルシウムからなる無機相とからなる。コラーゲンタイプIのアミノ酸配列は、各第3残基毎にグリシンであり顕著に規則的である。またプロリンが、殆どの他の蛋白よりコラーゲン中により大きな程度で存在する。その上、配列グリシン-プロリン-4-ヒドロキシプロリンが多く繰り返す。アルファ−ケトグルタレート(AKG)が、骨粗鬆症と他の骨症状の治療用の骨ミネラル密度増加および骨強度増大剤であると推定される。これは、アルファ−ケトグルタレートが、プロリンすなわちコラーゲンの重要成分に変化しうるグルタメートの前駆体であるからである。またアルファ−ケトグルタレートは、プロリンの4-ヒドロキシプロリンへの変換に関与する。コラーゲン中のプロリン残基はプロリルヒドロキシラーゼによりC-4でヒドロキシ化され4-ヒドロキシプロリンを生成する。この過程でアルファ−ケトグルタレート、分子状酸素とアスコルベートが必要とされる。
【0068】
その上アルファ−ケトグルタレートは、クエン酸サイクル中の非常に重要な中間体である。クエン酸サイクルで、アセチルCoAは各種カルボン酸(AKGを含む)の相互交換を介してCO2に完全に酸化される。これは、NADとFADのNADHとFADH2への還元をもたらし、次いでその還元力がATPの合成に間接的に使用される。
【0069】
例えばヒトの女性または男性の成人、若者または子供のような哺乳動物における軟骨および/または骨代謝の異常となる軟骨および/また骨疾患および/また症状;例えば骨粗鬆症、骨関節症、大理石骨症、骨減少症とパジェット病、悪性病変の高カルシウム血症、歯周疾患、上皮小体機能亢進症、リウマチ関節炎における関節周囲浸食症、骨形成異常症、骨化性筋炎、ベクテリエフ疾患、悪性高カルシウム血症、骨転移疾患によって生じた溶骨性病変、骨転移疾患による骨痛、性ステロイドホルモン欠乏症による骨欠損、ステロイドホルモン処置による骨異常、癌治療による骨異常、骨軟化症、ベーチェット病、骨化過剰症、転移性骨疾患、固定誘因の骨減少症または骨粗鬆症、グルココルチコイド誘因の骨減少症または骨粗鬆症、骨粗鬆症偽膠腫症候群、突発性若年骨粗鬆症の治療および/または予防用;外傷性と非外傷性骨折後の骨折治癒の改善用、エネルギーレベルの維持または増大用、筋肉組織の構築または増強用、および体重増加用に、本発明者らは、α−ケトグルタレート含有化合物とともにストロンチウム含有化合物の使用が次の有利な効果:
vii)ストロンチウムおよび/またはα-ケトグルタレートのバイオアベイラビリティーの改善
viii)ストロンチウムおよび/またはα-ケトグルタレートの吸収の改善
ix)副作用の減少
x)特異疾患段階の予防および/または治療を仕立てるためストロンチウムおよび/またはα-ケトグルタレートの柔軟な投与量調節
xi)ストロンチウムおよび/またはα-ケトグルタレートの付加的およびおそらく相乗的な効果
xii)一日投与量の減量の可能性
xiii)患者が治療効果を達するのに使用しなければならない異なる医薬組成物の数の減少の可能性
の1以上を得ることができる予防および治療価値を有することを見出した。
【0070】
かくして、α−ケトグルタレートと共に投与されるストロンチウムは、ストロンチウムまたはα−ケトグルタレートの何れかを単独で投与するより、より効果的な予防および/または治療を与える。これは、2つの化合物の個々の投与と比較して、ストロンチウムとα−ケトグルタレートを共に投与するとより少ない量が使用できることを意味する。上記の症状のいくつかの治療および/または予防に必要とされるα−ケトグルタレートの一日投与量は、むしろ大きいかもしれない、すなわち治療の必要な患者は一度にα−ケトグルタレートの大量を摂取するか、用量の摂取の頻度が高いかで、共に患者に不都合である。ストロンチウムとα−ケトグルタレートの少ない用量が可能であることは、治療の必要な患者に対し、より都合がよいであろう。
【0071】
かくして、この発明は、ストロンチウム化合物を含有する1以上の第1の成分とα−ケトグルタレート化合物を含有する1以上の第2の成分の治療および/または予防有効量を、1以上の生理学的に受容な賦形剤と共に含む医薬組成物に関する。
有機または無機酸の上記ストロンチウム塩とアルファ−ケトグルタール酸の塩が上記した組成物にあることができる。塩は、水和物、無水物、溶媒和物、多形物、非晶形、結晶物、微結晶物またはポリマー形であってもよい。この発明の1つの具体例で、ストロンチウムの非放射性同位元素のみが使用される。
【0072】
以下に、アルファ−ケトグルタール酸の塩の例を示すが、これは、ストロンチウムアルファ−ケトグルタレートを含む医薬組成物中または上記のようなストロンチウム含有化合物とアルファ−ケトグルタレート化合物とを含む医薬組成物中でのアルファ−ケトグルタレートの量を調整するのに使用できる。塩は、アルカリ金属の塩、アルカリ金属の混合塩、アルカリ土類金属の塩、またはこれらの混合物である。
この発明で使用の塩の具体的な例は、ナトリウムアルファ−ケトグルタレート、カリウムアルファ−ケトグルタレート、リチウムアルファ−ケトグルタレート、マグネシウムアルファ−ケトグルタレート、カルシウムアルファ−ケトグルタレートとそれらの混合物である。
【0073】
塩は、アミンもしくはアミノ酸の塩、あるいはアンモニウム塩、またはこれらの混合物でもよい。アミンはメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミンとブチルアミンから選択でき、アミノ酸は、アルギニン、オルニチン、リジンとヒスチジンから選択できる。
【0074】
上で挙げた塩で例示されるように、ストロンチウムとアルファ−ケトグルタレート含有化合物中のカウンターイオンは、ストロンチウムとアルファ−ケトグルタレートと同じ医薬適応症を有する活性物質であってもよい。このような化合物の例は、例えばストロンチウムグルタメートとカルシウムアルファ−ケトグルタレートである。ストロンチウムとアルファ−ケトグルタレートを含有する組成物は、そのためストロンチウムグルタメートとカルシウムアルファ−ケトグルタレートを含みうる。しかし、いくつかの症状の治療には、比較的に大用量のストロンチウムとアルファ−ケトグルタレートを投与する必要があるであろう。これは、治療の必要な患者に投与しなければならないこのような組成物の全量を比較的大きくし、これは患者に多大な不都合であろう。
【0075】
この発明者らは、次式
-OOC-CH2-CH2-C(=O)-COO- Sr2+ (I)
を有し、水和物、無水物、溶媒和物、多形物、非晶形、結晶形、微結晶形またはポリマー形であってもよい新規なアルファ−ケトグルタール酸のストロンチウム塩を見出した。
【0076】
上記式の新規な塩は、2つの活性物質、すなわち、ストロンチウムの形での骨抗吸収剤と骨同化剤と次いで、アルファ−ケトグルタレートの形での骨ミネラル密度増加、骨強度と骨品質増加剤のさらなる量で構成される。ストロンチウムイオンのみが骨および/または軟骨疾患に治療および/または予防効果を有する以前に知られたストロンチウム塩、例えばストロンチウムラネレートまたは塩化ストロンチウムと比較し、新規な塩での両成分は、治療および/または予防効果を有する活性成分である。
【0077】
医薬製剤に新規な塩を使用することにより、たとえストロンチウムとアルファ−ケトグルタレートの同じ用量が、ストロンチウムとアルファ−ケトグルタレートを別々の塩とし、それぞれのカウンターイオンと共に含む製剤とのように投与しても、製剤の大きさを減少さすことが可能である。
【0078】
その上に、上記のように、新規な塩でのストロンチウムとアルファ−ケトグルタレートの組合せは、骨および/または軟骨組織での付加的あるいは相乗的な有益な効果を有しうる。さらに、新規な塩は、例えば水溶性のような物理化学的性質について適切な性質を有し、かつ新規な塩を医薬組成物に加工するのに適する技術的性質を有する。
【0079】
この発明は、また、発明による新規なストロンチウムアルファ−ケトグルタレート物質を製造する方法に関する。塩は、このような塩を作るのに当業者に知られた何れかの方法によって製造できる。この方法の1つの例は、ストロンチウムの塩と、アルファ−ケトグルタール酸またはその塩とを(そこでストロンチウムとアルファ−ケトグルタレートのモル比は1:1でありうる)反応させることを含む。さらなる具体例は、アルファ−ケトグルタール酸と水酸化ストロンチウムおよび/または酸化ストロンチウムとを(ストロンチウムとアルファ−ケトグルタレートのモル比は任意に1:1でありうる)反応さすことを含む。このような方法のさらなる例は、金属ストロンチウムとアルファ−ケトグルタール酸とを反応させることを含む。実施例4〜7で開示のようにこの発明は、100℃を超える温度での合成を含む、この発明のストロンチウム塩を作る特定の方法にも関する。
【0080】
この発明はまた、上記したもののように哺乳動物の軟骨および/または骨代謝の異常になる軟骨および/または骨の疾患および/または症状の治療および/または予防、エネルギーレベルの維持または増加、筋肉組織の構築または増強と体重増加の方法に関し、その方法は、それを必要とする患者にこの発明によるストロンチウムアルファ−ケトグルタレート塩のある量を投与することを含む。
【0081】
ストロンチウムアルファ−ケトグルタレートが投与される後者の方法で、塩は無水塩換算で一日約0.1〜約17gに対応する用量で投与できる。より詳しくは、塩は、無水塩換算で、一日約0.2〜約15g、例えば一日約0.4〜約13g、一日約0.6〜約12gまたは一日約0.7〜約11.5gに対応する用量で投与できる。
【0082】
上記のように患者の有する症状によって投与されるストロンチウムとアルファ−ケトグルタレートの量を増加および/または調節する必要がありうる。かくして、この発明はさらに、ストロンチウムアルファ−ケトグルタレートと共にストロンチウム含有化合物の付加量および/またはアルファ−ケトグルタレート含有化合物の付加量を投与することを含む方法に関する。ストロンチウム含有化合物とアルファ−ケトグルタレート含有化合物は上記の化合物から選択できる。
【0083】
ストロンチウムアルファ−ケトグルタレート塩が、任意に付加量のストロンチウムおよびアルファ−ケトグルタレートと共に投与される方法と1以上のストロンチウム含有化合物と1以上のアルファ−ケトグルタレート含有化合物が投与される方法とにおいて、ストロンチウムの全一日投与量とアルファ−ケトグルタレートの全一日投与量との重量比は、約0.01〜約4、例えば約0.01〜約4、約0.01〜約2、約0.01〜約1、約0.01〜約0.6、約0.03〜約4、約0.03〜約2、約0.03〜約1、約0.1〜約2、約0.1〜約1、約0.15〜約0.5、約0.2〜約2、約0.3〜約2または約0.4〜約2である。
【0084】
アルファ−ケトグルタレートの一日投与量は、少なくとも約0.5g、例えば少なくとも約1.0g、少なくとも約1.5g、少なくとも約2.0g、少なくとも約2.5g、少なくとも約3.0g、少なくとも約4g、少なくとも約5g、または約0.5〜約10g、約0.5〜7g、約2g〜約10gまたは約2g〜約7gである。
【0085】
この発明による方法で、ストロンチウム成分とアルファ−ケトグルタレート成分は、単一組成物で、または別々の共同投与組成物で同時に投与できる。ストロンチウムとアルファ−ケトグルタレートは、ストロンチウムアルファ−ケトグルタレートの形で、任意に付加量のストロンチウム含有化合物および/またはアルファ−ケトグルタレート含有化合物と共にあることができる。付加成分は、同じ組成物中ストロンチウムアルファ−ケトグルタレートに添加してもよく、または同時投与を意図した別々の組成物中でもよい。
【0086】
またストロンチウムとアルファ−ケトグルタレートは、1以上のストロンチウム含有化合物と、1以上のアルファ−ケトグルタレート化合物の混合物として、同一製剤中にまたは同時投与を意図した別々の形で組合されてもよい。2以上の別々の製剤が共投与されるとき各製剤、特に経口ルートで使用の製剤は、患者または医師の錯誤を避けるため、色付けしてもよく、さもなくば容易に同定できるようにラベル化してもよい。
この発明による他の方法で、ストロンチウム成分とアルファ−ケトグルタレート成分の投与は逐次的に行ってもよい。
【0087】
また、この発明は、ヒトの女性または男性の成人、若者または子供のような哺乳動物の軟骨および/または骨代謝の異常になる軟骨および/または骨の疾患および/または症状、例えば骨粗鬆症、骨関節症、大理石骨症、骨減少症とパジェット病、悪性病変の高カルシウム血症、歯周疾患、上皮小体機能亢進症、リウマチ関節炎における関節周囲浸食症、骨形成異常症、骨化性筋炎、ベクテリエフ疾患、悪性高カルシウム血症、骨転移疾患によって生じた溶骨性病変、骨転移疾患による骨痛、性ステロイドホルモン欠乏症による骨欠損、ステロイドホルモン処置による骨異常、癌治療による骨異常、骨軟化症、ベーチェット病、骨化過剰症、転移性骨疾患、固定誘因の骨減少症または骨粗鬆症、グルココルチコイド誘因の骨減少症または骨粗鬆症、骨粗鬆症偽膠腫症候群、突発性若年骨粗鬆症の治療および/または予防用;外傷性と非外傷性骨折後の骨折治癒の改善用、エネルギーレベルの維持または増大用、筋肉組織の構築または増強用、および体重増加用に使用のキットに関し、そのキットは少なくとも第1と第2成分を含み、第1成分はストロンチウムアルファ−ケトグルタレートを含み、1以上の第2成分は、i)さらなるストロンチウム含有化合物、ii)さらなるアルファ−ケトグルタレート含有化合物iii)カルシウム含有化合物、iv)ビタミンDにようなさらなる活性物質の少なくとも1つを含む。
【0088】
この発明は、また、ヒトの女性または男性の成人、若者または子供のような哺乳動物の軟骨および/または骨の異常になる軟骨および/または骨疾患および/または症状、例えば骨粗鬆症、骨関節症、大理石骨症、骨減少症とパジェット病、悪性病変の高カルシウム血症、歯周疾患、上皮小体機能亢進症、リウマチ関節炎における関節周囲浸食症、骨形成異常症、骨化性筋炎、ベクテリエフ疾患、悪性高カルシウム血症、骨転移疾患によって生じた溶骨性病変、骨転移疾患による骨痛、性ステロイドホルモン欠乏症による骨欠損、ステロイドホルモン処置による骨異常、癌治療による骨異常、骨軟化症、ベーチェット病、骨化過剰症、転移性骨疾患、固定誘因の骨減少症または骨粗鬆症、グルココルチコイド誘因の骨減少症または骨粗鬆症、骨粗鬆症偽膠腫症候群、突発性若年骨粗鬆症の治療および/または予防用;外傷性と非外傷性骨折後の骨折治癒の改善用、エネルギーレベルの維持または増大用、筋肉組織の構築または増強用、および体重増加用への使用のキットに関し、そのキットは、少なくとも第1と第2成分を含み、第1成分はi)ストロンチウムアルファ−ケトグルタレート、ii)さらなるストロンチウム含有化合物、iii)さらなるアルファ−ケトグルタレート化合物、iv)カルシウム含有化合物、v)さらなる活性物質の少なくとも1つを含み、1以上の第2成分はi)ストロンチウムアルファ−ケトグルタレート、ii)さらなるストロンチウム含有化合物、iii)さらなるアルファ−ケトグルタレート含有化合物、iv)カルシウム含有化合物、v)ビタミンDのようなさらなる活性物質の少なくとも1つを含むが、但し、第1成分と1以上の第2成分は同一でない。
キットでの使用のストロンチウム含有化合物とアルファ−ケトグルタレート含有化合物は上記の化合物から選択できる。
【0089】
ストロンチウム/グルタメート組成物
上記のように、アルファ−ケトグルタレートは、グルタミン、アルギニンとプロリン(これらはコラーゲンの重要な成分)の前駆体であるアミノ酸のグルタメートに変換できる。かくしてアミノ酸のグルタメートは、軟骨および/または骨症状の治療に重要な剤と考えられ、ストロンチウムとグルタメートをストロンチウムグルタメート塩の形で共に投与することは、ストロンチウムとアルファ−ケトグルタレートについて上記した1以上の有益な効果を得ることができる予防および/または治療価値を有すると思われる。加えて、グルタメートは、吸収性破骨細胞に存在する特異的なグルタメートレセプターに直接作用し、かつこのように、これらの細胞の代謝活性と骨吸収作用に作用する。
【0090】
かくして、この発明は、式(II)
(-OOC-C(NH3+)H-CH2-CH2-COO-)2 Sr2+ (II)
のストロンチウムグルタメート塩の医薬としての使用ならびに、ストロンチウムグルタメートの製法に関する。実施例4〜7に開示のように、この発明は、100℃を超える温度での合成を含むこの発明のストロンチウム塩の特定の製法にも関する。
【0091】
この発明は、ストロンチウムグルタメートの、前に記載したように、哺乳動物、例えばヒトの女性または男性の成人、若者または子供における軟骨および/または骨代謝の異常になる軟骨および/または骨疾患および/または症状の治療および/または予防用の医薬組成物の製造への使用に関する。
【0092】
異なる軟骨および/または骨疾患の治療および/または予防のためにストロンチウムとグルタメートの各種の量をそれぞれ投与する可能性が望まれるかもしれない。この発明による医薬組成物中のストロンチウムとグルタメートの量は、ストロンチウム含有化合物の形でのストロンチウムの付加量とグルタメート含有化合物の形でのグルタメートの付加量を、組成物に添加して調節できる。
【0093】
上記した有機酸または無機酸の全てのストロンチウム塩とグルタミン酸の塩は、ストロンチウムグルタメートを含む医薬組成物中のストロンチウムとグルタメートの量を調節するのに使用でき、上記のようにストロンチウム含有化合物とグルタメート含有化合物を含むこの発明による組成物にも使用できる。塩は、水和物、無水物、溶媒和物、多形、非晶質、結晶質、微結晶またはポリマー形でもよい。
ストロンチウム塩を作る有機酸と無機酸は、上記の群の何れかから選択できる。
【0094】
次に、ストロンチウムグルタメートおよび/またはストロンチウムアスパルテートを含む医薬組成物、または上記のごときストロンチウム含有化合物とグルタメート含有化合物を含む医薬組成物でグルタメートおよび/またはアスパルテート化合物の量を調節するのに使用できるグルタミン酸とアスパラギン酸の塩の例を示す。
塩は、アルカリ金属塩、アルカリ金属の混合塩、アルカリ土類金属の塩またはこれらの混合物であってもよい。
【0095】
この発明に従って使用の塩の特別の例は、ナトリウムグルタメート、カリウムグルタメート、リチウムグルタメート、マグネシウムグルタメート、カルシウムグルタメートである。塩は、またアミンまたはアミノ酸の塩、アンモニウム塩またはそれらの混合物でもよい。アミンは、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミンとブチルアミンから選択でき、アミノ酸はアルギニン、オルニチン、リジンとヒスチジンから選択できる。
【0096】
この発明は、上記したような、哺乳動物、例えばヒトの女性または男性の成人、若者または子供における軟骨および/または骨代謝の異常になる軟骨および/または骨の疾患および/または症状の治療および/または予防、エネルギーレベルの維持または増加、筋肉組織の構築または増強、および体重増加の方法に関し、その方法は、必要とする患者にこの発明によるストロンチウムグルタメート塩のある量を投与することを含む。
【0097】
ストロンチウムグルタメートが投与される後者の方法で、その塩は、無水塩換算で、1日当たり約0.2〜約28gに相当する用量で投与できる。より詳しくは、塩は、無水塩換算で、1日当たり約0.3〜約25g、例えば1日当たり約0.7〜約20g、1日当たり約1〜約17g、1日当たり約1.2〜約16g、1日当たり約2〜約6gに相当する量で投与できる。
【0098】
上記のように、患者が有する症状により、ストロンチウムとグルタメートの量を増加および/または調節する必要がありうる。かくして、この発明は、さらに、ストロンチウムグルタメートと共にストロンチウム含有化合物の付加量を投与することを含む方法に関する。また、この発明は、グルタメート含有化合物の付加量を投与することを含む方法に関する。ストロンチウム含有とグルタメート含有の化合物は、上記の化合物から選択できる。
【0099】
ストロンチウムグルタメート塩が、任意に、ストロンチウムおよび/またはLもしくはD-グルタメートの付加量と共に投与される方法、1以上のストロンチウム含有化合物と1以上のLまたはD-グルタメート含有化合物が投与される方法について、ストロンチウムの全一日投与量とグルタメートの全一日投与量との重量比は、約0.01〜約4で、例えば、約0.01〜約4、約0.01〜約2、約0.01〜約1、約0.01〜約0.6、約0.03〜約4、約0.03〜約2、約0.03〜約1、約0.1〜約2、約0.1〜約1、約0.15〜約0.5、約0.2〜約2、約0.3〜約2または約0.4〜約2である。
【0100】
上記のようにストロンチウムの1日投与量は、少なくとも約0.01g、例えば少なくとも約0.025g、少なくとも約0.050g、少なくとも約0.075g、少なくとも約0.1g、少なくとも約0.2g、少なくとも約0.3g、少なくとも約0.4gあるいは少なくとも約0.5g、または約0.01〜約2g、例えば約0.1g〜約2g、約0.3g〜約2gあるいは約0.3g〜約1gである。
【0101】
Lおよび/またはD-グルタメートの一日投与量は、少なくとも約0.5g、例えば少なくとも約1.0g、少なくとも約1.5g、少なくとも約2.0g、少なくとも約2.5g、少なくとも約3.0g、少なくとも約4g、少なくとも約5gまたは約0.5〜約10g、約0.5〜約7g、約2g〜約10gまたは約2g〜約7gである。
【0102】
この発明は、またストロンチウム成分とグルタメート成分が上記の医薬組成物の形で投与される方法にも関する。
この発明による方法で、ストロンチウム成分とグルタメート成分は、単一の混合処方で、または同時に別々の共投与処方で投与できる。ストロンチウムとグルタメートは、ストロンチウムグルタメートの形で、任意に、ストロンチウム含有化合物および/またはグルタメート含有化合物の付加量とであってもよい。付加成分は、同じ処方にストロンチウムグルタメートに添加でき、また、同時または逐次投与を意図した別々の処方であってもよい。
【0103】
ストロンチウムとグルタメートは、また、1以上のストロンチウム含有化合物と1以上のグルタメート含有化合物の混合物として、同じ処方にまたは同時投与を意図した別の形に組合しうる。2以上の別の処方が同時投与されるとき、各処方、特に経口経路に使用のものは、患者または医者による錯誤をさけるため着色されるかさもなくは容易に同定できるようにラベル化できる。
上記のように、1以上の活性物質を、この発明による医薬組成物に加えることができるか、またはストロンチウムとグルタメートの投与と同じ処置の一部分として投与できる。
【0104】
ストロンチウム/アスパルテート組成物
アスパルテートは、グルタメートに構造上関連したアミノ酸で、ストロンチウムとのコンプレックスで医薬的に関連の塩を形成できる。グリシンを除く全てのアミノ酸のようにアスパルテートはL-型で存在し、これは、全ての生物系で使用される生理学的に関連の形でかつD-アスパルテートとされる‘鏡像’エナンチオマーである。D-アスパルテートは、N-メチル-D-アスパルテート(NMDA)レセプターへの結合を介して、骨および/または軟骨の代謝に直接的または間接的に影響でき、これは代謝的に活性な破骨細胞に見出されかつ関節軟骨の軟骨細胞にも存在できる。
【0105】
かくして、この発明は、また、医薬としての式(III)
(-OOC-C(NH3+)H-CH2-COO-)2 Sr2+ (III)
のストロンチウムアスパルテート塩(DまたはL-型、またはそれらの混合物で)に関し、ならびにストロンチウムアスパルテートの製法に関する。
【0106】
この発明はまた、実施例4〜7に開示のように、100℃を超える温度での合成を含むこの発明のストロンチウム塩の特定の製法に関する。
この発明は、さらに、ストロンチウムアスパルテートの、例えばヒトの女性または男性の成人、若者または子供のような哺乳動物における軟骨および/または骨代謝の異常となる軟骨および/または骨疾患および/または症状;例えば骨粗鬆症、骨関節症、大理石骨症、骨減少症とパジェット病、悪性病変の高カルシウム血症、歯周疾患、上皮小体機能亢進症、リウマチ関節炎における関節周囲浸食症、骨形成異常症、骨化性筋炎、ベクテリエフ疾患、悪性高カルシウム血症、骨転移疾患によって生じた溶骨性病変、骨転移疾患による骨痛、性ステロイドホルモン欠乏症による骨欠損、ステロイドホルモン処置による骨異常、癌治療による骨異常、骨軟化症、ベーチェット病、骨化過剰症、転移性骨疾患、固定誘因の骨減少症または骨粗鬆症、グルココルチコイド誘因の骨減少症または骨粗鬆症、骨粗鬆症偽膠腫症候群、突発性若年骨粗鬆症の治療および/または予防用;外傷性と非外傷性骨折後の骨折治癒の改善用、エネルギーレベルの維持または増大用、筋肉組織の構築または増強用、および体重増加用の医薬組成物の製造への使用に関する。
この医薬組成物は、さらに、1以上の生理学的に受容な賦形剤を含有できる。
【0107】
この発明は、例えばヒトの女性または男性の成人、若者または子供のような哺乳動物における軟骨および/または骨代謝の異常となる軟骨および/または骨疾患および/または症状;例えば骨粗鬆症、骨関節症、大理石骨症、とパジェット病、悪性病変の高カルシウム血症、歯周疾患、上皮小体機能亢進症、リウマチ関節炎における関節周囲浸食症、骨形成異常症、骨化性筋炎、ベクテリエフ疾患、悪性高カルシウム血症、骨転移疾患によって生じた溶骨性病変、骨転移疾患による骨痛、性ステロイドホルモン欠乏症による骨欠損、ステロイドホルモン処置による骨異常、癌治療による骨異常、骨軟化症、ベーチェット病、骨化過剰症、転移性骨疾患、固定誘因の骨減少症または骨粗鬆症、グルココルチコイド誘因の骨減少症または骨粗鬆症、骨粗鬆症偽膠腫症候群、突発性若年骨粗鬆症の治療および/または予防用;外傷性と非外傷性骨折後の骨折治癒の改善用、エネルギーレベルの維持または増大用、筋肉組織の構築または増強用、および体重増加用に使用のキットに関し、そのキットは、少なくとも第1成分と第2成分を含み、第1成分は、ストロンチウムグルタメートを含み、1以上の第2成分は、i)さらなるストロンチウム含有化合物、ii)さらなるグルタメート含有化合物、iii)カルシウム含有化合物、iv)ビタミンD、v)副甲状腺ホルモンとvi)さらなる活性物質の少なくとも1つを含む。
【0108】
この発明は、また、例えばヒトの女性または男性の成人、若者または子供のような哺乳動物における軟骨および/または骨代謝の異常となる軟骨および/または骨疾患および/または症状;例えば骨粗鬆症、骨関節症、大理石骨症、骨減少症とパジェット病、悪性病変の高カルシウム血症、歯周疾患、上皮小体機能亢進症、リウマチ関節炎における関節周囲浸食症、骨形成異常症、骨化性筋炎、ベクテリエフ疾患、悪性高カルシウム血症、骨転移疾患によって生じた溶骨性病変、骨転移疾患による骨痛、性ステロイドホルモン欠乏症による骨欠損、ステロイドホルモン処置による骨異常、癌治療による骨異常、骨軟化症、ベーチェット病、骨化過剰症、転移性骨疾患、固定誘因の骨減少症または骨粗鬆症、グルココルチコイド誘因の骨減少症または骨粗鬆症、骨粗鬆症偽膠腫症候群、突発性若年骨粗鬆症の治療および/または予防用;外傷性と非外傷性骨折後の骨折治癒の改善用、エネルギーレベルの維持または増大用、筋肉組織の構築または増強用、および体重増加用に使用のキットに関し、そのキットは、少なくとも第1成分と第2成分を含み、第1成分は、i)ストロンチウムアルファ−ケトグルタレート、ii)さらなるストロンチウム含有化合物、iii)さらなるアルファ−ケトグルタレート含有化合物、iv)カルシウム含有化合物、v)ビタミンD、vi)副甲状腺ホルモンとvii)さらなる活性物質の少なくとも1つを含み、1以上の第2成分は、i)ストロンチウムグルタメート、ii)さらなるストロンチウム含有化合物、iii)さらなるグルタメート含有化合物、iv)カルシウム含有化合物、v)ビタミンD、vi)副甲状腺ホルモンとvii)さらなる活性物質の少なくとも1つを含むが、但し、第1成分と1以上の第2成分は同一ではない。
【0109】
医薬組成物
この発明による医薬組成物は、通常、1以上の生理学的に受容な賦形剤、すなわち治療上不活性な物質または担体と共に、特定の化合物を含む。
担体は、所望の投与形態と投与ルートにより広い多様な形態を取りうる。
医学的に受容な賦形剤は、例えば充填剤、結合剤、崩壊剤、希釈剤、滑剤、溶剤、乳化剤、懸濁剤、安定剤、エンハンサー、フレーバー、着色剤、pH調節剤、遅延剤、湿潤剤、界面活性剤、保存剤、抗酸化剤などである。詳細は、例えばRemington's Pharmaceutical ScienceまたはPharmaceutical Excipient Handbookのような医薬ハンドブックに見出しうる。
【0110】
投与される化合物の量の特定の例は上に挙げられる。しかし、実際に投与される化合物の量は、処置される症状、投与される化合物の選択、個々の患者の年令、体重と応答、患者の症状の重篤度や選択した投与ルートに照らし、医師によって決定されるであろう。この発明の化合物は、経口的に投与されるのが好ましいが、他の適当な経路でも投与できる。
【0111】
この発明の化合物を含む医薬組成物は、固形、半固形あるいは液体組成物の形態であってもよい。
固形組成物は、例えば通常の錠剤、発泡錠剤、被覆錠剤、溶融錠剤または舌下錠のような錠剤、ペレット剤、散剤、顆粒、粒状剤、微粒子状物質、固形分散液または固形溶液の形態でもよい。
【0112】
この発明の1つの具体例で、医薬組成物は、錠剤の形でありうる。この錠剤は、小腸の近部、例えば十二指腸および/または近位空腸中、錠剤中に含まれた塩の全量の少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも65重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%または少なくとも90重量%のような塩の少なくとも一部を放出できるコーチングで被覆できる。
【0113】
錠剤は、患者が嚥下を容易にかつ簡便にする形状を有してもよい。かくして、錠剤は、鋭い端のない円形または棒様の形状を有してもよい。さらに、錠剤は、2以上の部分に分割されるように設計されてもよい。
組成物の半固形状は、ペースト、ゲルまたはハイドロゲルであることができる。
組成物の液状形状は、溶液、ナノエマルジョンを含むエマルジョン、懸濁液、分散液、リポソーム組成物、噴霧剤、混合物、シロップまたはエリキシルである。
【0114】
この発明による医薬組成物の他の適する投用携帯は、カプセル剤、サシエット剤、トローチ剤、デバイスなどである。
医薬組成物は、医薬製剤の当業者に周知の方法の何れかで製造できる。
【0115】
発明の他の観点
上記のように、この発明による組成物またはキットの使用は外傷性または非外傷性骨折後に骨折の治癒の改善を導き、ここで、骨折は、例えば次の外傷性または非外傷性骨折の1つである。すなわち、コリーズ骨折またはスミス骨折のような遠位とう骨の骨折、例えば近位大腿骨のような大腿骨の骨折、例えば頸部骨折、転節骨折または転子下骨折。
【0116】
骨折治癒の改善は、患者がプラスターを必要とする時間の減少、X線で明らかにされるような治癒時間の減少、骨折安定化の時間の減少、X線でみて仮骨形成の改良、X線でみて仮骨形成の出現前の時間減少および/または完全または完全に近い運動性また物理的活動レベルを回復する時間の減少に関して定義しうる。
【0117】
発明の他の具体例は、添付のクレームにみられる。この発明による化合物および組成物に関して上記した詳細は、発明の他の観点に必要な変更を加えて適用する。
【0118】
図面の凡例
図1は、1989年Schmidbaurらによる開示の結晶形のストロンチウムL-グルタメート(6*H2O)の分子構造である。結晶は、楕円体で描いた原子で示される(オークリッジサーマルエリプソイドプロット(ORTER)プログラムに従う50%確率レベルで規定)。3つの付加の対称的に関連したアミノ酸とSr2との複合化は、共有するカルボキシ酸素原子O1、O2とO3/O4でのみ示される。
【0119】
図2は、1989年Schmidbaurらによる開示の結晶型のストロンチウムL-グルタメート(6*H2O)の拡大層構造である。ストロンチウム原子はグレーで、間入水分子は黒で示される。
図3は、1990年Schmidbaurらによる開示の結晶形のストロンチウムL-アスパルテート(3*H2O)の分子構造である。結晶は、任意半径で描いた原子で示される。Sr2+と4つの付加の対称的に関連したアミノ酸との複合化は、共有結合のカルボキシ酸素原子O3'/O3''とO4''/O4'''でのみ示される。2つの水分子の酸素原子への複合化は、O6とO7としてみることができる。
【0120】
図4は、2つのストロンチウム塩のX線分析の回折図である。上の回折図は、水酸化ストロンチウムとL-グルタミン酸とを高温でしかし実施例2に記載の反応条件を用いて合成したストロンチウムグルタメート6水和物を示す。
図5は、実施例7に記載の方法で作ったストロンチウムグルタメート6水和物結晶のX線回折図である。
【0121】
図6は、実施例7に記載の方法で作ったストロンチウムマロネート結晶のX線回折図である。ストロンチウムのマロネート塩は以前に特徴付けられておらず新しい結晶学的構造からなる。しかし、安定なベースラインとよく区画された回折ピークの間隔から、マロネート塩の結晶形は、均一で純粋であることが明らかである。
図7は、表9に要約したストロンチウムグルタメート合成の最適化実験の結果である。ストロンチウムグルタメート合成の収率への影響が、4つのパラメータを変化させて研究された(100%を超える収率は不完全な乾燥を示す)。
【0122】
図8(前頁)は、各パネルの上部で示されたようなストロンチウムの単独投与されたラットで測定された血清ストロンチウム濃度のプロットである。データポイントは、各測定ポイントに対する平均と標準偏差を示す。予備投与は賦形剤のみを投与した動物から採取した対応するサンプルを表す。
図9は、重畳したエラー棒を用いた理論(実線)の実験データ(ダイヤ形)に対するモデル化である。理論はデータに非常に適合し、曲線下の面積(AUC)はモデルで計算される。ストロンチウム含量は、60分後に常にピークになるが、代謝速度で定義された第2ピークは塩の間で変化する。この実施例で、Sr−α−ケトグルタレートは速やかに代謝され、一方Sr−グルタメートは血清中に長く残る。
さらに発明を実施例で例証するが、発明を何れかに限定する意図ではない。
【0123】
実施例
実施例1 溶解した塩化ストロンチウムと溶解した適当なカルボン酸アニオンのナトリウム塩とからの沈殿によるストロンチウムの結晶性塩の製造のための一般方法。
100ml容量のガラス製ビーカー中で、5gのカルボン酸のナトリウム塩を、少容量の水に、30〜50℃より高くない温度に僅かに加熱して溶解した。最終容量は、25〜50mlであった。他のビーカー中で、10gのSrCl2(シグマ−アルドリッチ43,966-5、SrCl26水和物)を100mlの水で溶解した。後者の溶液を、溶解したナトリウム塩の第1溶液にゆっくり傾斜した。最初のくもりが観察されるまで、移注を続け、全容量が50〜100mlになった。溶液を有機ストロンチウム塩の結晶化沈殿の有意な量が現れるまで、数日間室温(22〜24℃)で放置した。
【0124】
進行する反応は、ストロンチウムイオンとナトリウムフマレートとの反応(反応式(a)と(b))で例示する。
NaOOCCHCHCOONa(s)+H2O(l)→-OOCCHCHCOOH(aq)+2Na+(aq)+OH-(aq) (a)
-OOCCHCHCOOH(aq)+Sr2+(aq)→Sr(OOCCHCHCOO)(aq)+H+(aq) (b)
【0125】
結晶化を促進するために、5〜10容量/容量%から50〜60容量/容量%のような少量のエタノールの添加が、所望のストロンチウム塩の沈殿を有意に促進することを我々は見出した。エタノールの添加は、室温(22〜24℃)で2g/lを越える溶解性を有するストロンチウム塩の合成で特別に重要で、L-アスパルテート、L-グルタメートとラクテートのストロンチウム塩の合成に実質的な利益を与えるであろう。短い期間内で所要の生成物にするために、最初の段階から直ちに溶液中での初期段階の結晶化または初期段階のうす暗さを観察することが必須であった。
【0126】
沈殿後、溶液を吸引フラスコを用いてブフナーロートで濾過し、結晶を少量のエタノールで洗った。塩のいくつかの結晶はよく溶けたので、結晶の収率を改善するため溶液を少なくとも30〜60分のように長く放置した。繰り返しの結晶化で約50%の収率になった。L-アスパルテートのストロンチウム塩とラクテートのストロンチウム塩は、室温で水に25g/lを越える溶解性を有して、非常に溶解性であった。
ストロンチウムのラクテートとL-グルタメート塩は、過剰の塩化ストロンチウムを有する溶液から沈殿し、ラクテートの大きな結晶が溶媒をゆっくり蒸発させて得られた。
【0127】
実施例2
カルボン酸を水酸化ストロンチウムで中和して結晶性塩を製造する一般方法
適当な有機酸の少量(0.75〜3g、下の表参照)を、30℃〜50℃の温度に加熱して水に溶解した。次いで水酸化ストロンチウム(シグマアルドリッチ、Sr(OH)2*8H2O、分子量265.71、CAS番号1311-10-0、約10g/L)を徐々に添加した。次いで磁気撹拌棒を加え、懸濁液の撹拌と緩和な加熱(すなわち、30〜50℃)を始めた。しばらくして、溶液は澄明化し、全ての固形物が溶解する。加熱を維持し、加熱の3時間後に、溶液をブフナーロートで温時濾過する。ごく少量の不純物が濾紙に残った。
【0128】
次いで、濾液は、一夜室温で冷却させ、所望のストロンチウム塩の微細に粉末化した結晶の生長となった。塩のさらなる精製は、再結晶の繰り返しで行うことができる(表6)。
【0129】
【表6】

表6:アニオンの遊離酸の形と水酸化ストロンチウムを用いて一般の反応経路に従う8つの特定の有機ストロンチウム塩の合成における、有機ストロンチウム塩合成に用いた原料試薬の量と回収率。
【0130】
備考
*)回収率は、Sr(OH)2*8H2Oのストロンチウム含量の%で算出。
1)フマル酸は水に不溶性で、エタノールを完全な溶解が達せられるまで懸濁液に加える。合成は、この材料で継続する。
2)ストロンチウム-AKG塩は、僅かに茶色かかった外観と溶融温度%を有する。
3)水酸化ストロンチウムとL-アスコルベートの指示量に加えて、水に溶解させたSrCl2*6H2Oの追加量4.087gを反応混合物に加える。
【0131】
実施例3
有機ストロンチウム塩の溶解性の測定
ストロンチウム塩の合成
大多数のストロンチウム塩は、実施例Aに記載の一般合成法に従い、有機酸のナトリウム塩と塩化ストロンチウムを反応させて得ることができた。しかし、溶解性検討のためストロンチウムシトレート、ストロンチウムタルタレート、ストロンチウムスクシネートとストロンチウムα−ケトグルタレートは、実施例2に記載のようにカルボン酸の遊離酸型と水酸化ストロンチウムから合成して得た。ストロンチウムグルタメートは、実施例4に記載のように、ストロンチウムグルタメートの純粋で均質な6水和物を得る合成のため、100℃の加熱温度と、塩化ストロンチウムとL-グルタミン酸を使用して得た。実施例4に記載のように、この方法で得られたストロンチウムグルタメートは、以前に記載の結晶性ストロンチウムL-グルタメートの型と区別される。溶解性の詳細な検討は、表7に挙げたストロンチウム塩で行った。
【0132】
【表7】

表2:溶解性の検討に使用されたストロンチウム塩の概観。MWは表示量の結晶水を有する塩の均質結晶形の分子量を示し、Sr%はストロンチウムがこの結晶型を構成しているモルパーセントを示す。
【0133】
有機カルボン酸ストロンチウム塩の溶解性は、水中で測定した。これらの塩の溶解性は、温度の関数としても測定した。これは塩の飽和溶液を温度調節したインキュベーター中でインキュベートして行った。さらに、塩の溶解性は、7.5の生理pHを有する0.05M炭酸アンモニウム緩衝液ならびに純蒸留水中で行った。
【0134】
緩衝液は、室温(22〜24℃)、30℃または40℃の何れかに調節した水温の浴に浸した。テストチューブは撹拌し、次いで溶液は、24時間、恒温器中でインキュベートした。溶解性の測定に暗示の塩化ストロンチウムの影響をなくすため、全ての沈殿物はテストチューブの底に集め沈殿物上の溶液は注意して除去し、新鮮な溶液と置き換えた。溶液の置換後に、テストチューブを再び撹拌し、他の24時間放置した。この溶液から、ストロンチウム塩の溶解した部分を、特定温度で1ml容量集めた。溶液はフレーム原子吸光分析法(F-AAS)での分析前に50mlに希釈した。続いて一連のサンプリングの前に、溶液を次の温度で24時間平衡にした。
【0135】
ストロンチウムのフレーム原子吸光分析法F-AASによる分析
2つの方法を溶液中のストロンチウムの定量に使用した。すなわちフレーム原子吸光分光分析法(F-AAS)とより鋭敏な高周波誘導プラズママス分光分析法(ICP-MS)である。
大抵の研究にはF-AASが十分な感度を有した。
易溶解性のストロンチウム塩のいくつかは、F-AASによる分析の前にさらに希釈した。測定は、バックグラウンドシグナルの補正用に水素ランプを備えたパーキンエルマー2100を用いて行った。ストロンチウムは0.2nmのスリットで測定され、波長は58のエネルギーと8mAの電流で操作する460.8nmであった。
【0136】
有機ストロンチウム塩溶解性への温度とpHの影響
表2に挙げた大部分の有機ストロンチウム塩に対し、20〜40℃の間隔における温度変化は溶解性に殆ど影響がなかった(表3)。しかし、ストロンチウムL-グルタメートには、溶解性について温度の有意な影響が20℃〜40℃の間の範囲で観察された。この塩の溶解性は殆どの他の塩と対照的に、研究した間隔で3倍以上増加した。生理学的条件(37℃)下の溶解性は、物質の医薬用途に関連があり、よってストロンチウムグルタメート溶解性がより高い温度で驚くほど増加することは、大きな潜在的治療との掛り合いを有しうる。
【0137】
pH7.5の炭酸アンモニウム緩衝液中でのストロンチウム塩の溶解性は、純水中で測定した溶解性より一般に高い(表8)。しかし、ストロンチウムマレエートのようなある見るべき例外があり、これは緩衝液中で溶解性を減少した。従って、表8に示すように、ストロンチウム塩の溶解性を水中で得た値と比較することが最も適切であることを見出した。
【0138】
相対溶解性
室温と40℃での有機ストロンチウム塩の水溶性を表8に示す。L-アスパルテートとラクテートのストロンチウム塩は、使用した実験法で溶解性の正確な測定を妨げる50g/lを越える溶解性を有する。この結果は、シトレート、フマレートとタルタレートが実施例1と2に記載の製法で合成したとき直ちに沈殿した合成実験中の観察に相当する。これは、22℃と40℃の両方での他の有機ストロンチウム塩と比較して、これらの塩のより低い溶解性で明白なように、これらのストロンチウム塩の乏しい溶解性を示すものである。
【0139】
グルタメート塩は他の塩より、特に40℃の温度で高い溶解性を示した。この塩の合成中、比較的高い水溶性を示す結晶生長を開始するため、溶液にアルコールを添加することが必要であった。他の研究した塩は、室温で2〜3日の溶媒の蒸発後に沈殿したが、アルコールの添加は結晶生成と沈殿を始めさすのに必要でなかった。
【0140】
【表8】

表8:研究したストロンチウム塩の40℃と室温(22〜24℃)でpH7.5の緩衝水液中の相対溶解性、F-AASで測定
*)モノカルボン酸
**)ジカルボン酸
***)トリカルボン酸
****)クアトロ(Quattro)カルボン酸
【0141】
実施例4
100℃での合成によるストロンチウムグルタメート6水和物の製造
最初に、グルタミン酸の懸濁液(白色)を250mlのビーカー中で、100mlのミリポア水を14.703g(0.1モル)の固形L-グルタミン酸(シグマアルドリッチ、C5N9NO4、分子量187.14g/モル、CAS番号142-47-2、ロット番号426560/1、ファイリングコード4300336)に加えて作る。この懸濁液に、26.66g(0.1モル)の固形SrCl2(SrCl2 6水和物、シグマアルドリッチ43,966-5、分子量266.6)を加えた。次に、磁気撹拌棒を加え、撹拌と加熱を懸濁液の沸点まで行う。最終懸濁液も白色で、撹拌は撹拌装置の中程度の回転速度を維持して行う。炭酸ガスが溶液に入るのを防ぐため、ビーカーをカバーグラスで覆った。
【0142】
煮沸と撹拌を数分した後、溶液は澄明となり全ての固形物が溶解した。沸騰を維持し、沸騰で失われた水を補うよう必要なとき、追加の水を加えた。沸騰3時間後に、溶液をブフナーロートで熱時濾過した。ごく少量の不純物が濾紙に残った。次いで濾液を室温に冷却し、ストロンチウムグルタメート6水和物の微粉末結晶の生長をみた。最終生成物の沈殿が、1時間以内に濾液中に生長した。生成物を濾過し、オーブン中110℃で半時間、次いでデシケーター中シリカオレンジ上12時間乾燥した。X線結晶構造解析とFAASによる分析の前に塩を乳鉢中で微粉末に粉砕した。
【0143】
X線結晶構造解析(図4)で、合成したストロンチウムグルタメート塩は、図1と2、表2と3に記載した以前に知られたストロンチウムL-グルタメート・6水和物から異なったことが分かった。
【0144】
この塩と得られる回折図は、以前に知られ(H. Schmidbaur, I. Bach, L. Wilkinson&G. Muller(1989), Chem Ber. 122, 1433〜1438)かつさらに図1と2および表2と3に詳述したストロンチウムL-グルタメート6水和物に対応している。より少ない痕跡(lower trace)は、本実施例に開示の塩化ストロンチウムとL-グルタミン酸とから合成されたストロンチウムグルタメート6水和物を示す。
【0145】
ストロンチウムグルタメート6水和物の全収率は再結晶前でほぼ92%で、大部分の不純物は、試薬と炭酸ストロンチウムとみられるものからなる。この収率は、15%のみが得られた(実施例2参照)通常の条件下の合成での収率より有意に高い。かくして、この特許に開示の高温での合成法は、収率の有意な増大と合成時間の減少を与えるが、ストロンチウムグルタメートの高い純度のものを与える。その上、この合成法で得られるストロンチウムグルタメートは、以前に知られたストロンチウムL-グルタメート・6水和物(H. Schmidbaur, I. Bach, L. Wilkinson&G. Muller(1989), Chem Ber. 122, 1433〜1438)と別個であった。
【0146】
以前にSchmidbaurらの記載したストロンチウムグルタメート・6水和物は、非常に低い溶解性(0.023g/l)を有することが報告されているが、本実施例で開示の方法によって作ったストロンチウムグルタメートは2g/lを超える溶解性を有した。この後者(later)のパラメータは、本発明で記載のようにストロンチウム塩の潜在的医療用途に非常に重要である。
【0147】
合成のさらなる改良は、水または全ての水性溶液を窒素またはアルゴンで脱気することを含み、このことは炭酸ストロンチウムの不純物の形成をまねく可能性のある炭酸ガスとの接触を防止する。当業者であれば、不活性雰囲気下で行う手法を容易に採用できるであろう。
【0148】
実施例5
100℃で合成によるストロンチウムアスパルテート・3水和物の製造
始めに、アスパラギン酸の懸濁液(白色)を、250mlのビーカー中13.311g(0.1モル)の固形L-アスパラギン酸(フルカ、C5H9NO4、分子量133.11g/モル、CAS番号56-84-8、ロット番号432866/1、ファイリングコード52603495)に100mlのミリポア水を加えて作る。この懸濁液に、26.571g(0.1モル)の固形水酸化ストロンチウム(シグマアルドリッチ、Sr(OH)2*8H2O、分子量265.71、CAS番号1311-10-0)を添加した。次いで磁気撹拌棒を加え、撹拌と加熱を懸濁液の沸騰点まで行った。また最終懸濁液は白色に着色し、撹拌は、撹拌装置の中程度の回転速度を維持して持続した。炭酸ガスが溶液に入るのを防ぐため、ビーカーをカバーガラスで覆った。
【0149】
煮沸と撹拌を数分した後、溶液は澄明となり、全ての固形物質は溶解した。煮沸を維持し、煮沸で失った水に代わるものとして必要なとき追加の水を加えた。煮沸3時間後に、溶液をブフナーロートで熱時濾過した。ごく少量の不純物が濾紙上に残った。次いで、濾液を室温に冷却させ、ストロンチウムアスパルテート3水和物の微粉末化結晶の生長をみた。最終生成物の沈殿が1時間以内に濾液中に進行した。生成物を濾過し、オーブン中110℃で半時間、次いでデシケーター中シリカオレンジ上で12時間乾燥した。X線結晶構造解析とFAASによる分析前に、塩を乳鉢中で微粉末に粉砕した。
【0150】
ストロンチウムアスパルテート3水和物の全収率は再結晶前でほぼ98%であり、大部分の不純物は、試薬と炭酸ストロンチウムとみられるものからなったた。この収率は、わずか14%が得られた通常の条件の合成(実施例2参照)で得た収率より有意に高い。かくして、この特許で開示の高温合成法は、収率の有意な増大と合成時間の減少を与えるが、より高い純度のストロンチウムアスパルテートを与える。この生成物はX線結晶構造解析とデータを、ケンブリッジ結晶構造解析データベースの結果およびH. Schmidbaur, P. Mikulcik&G. Muller(1990), Chem Ber. 123, 1599〜1662)の情報(ここの図3と表4と5に表す)と比較してストロンチウムアスパルテート3水和物と明白に同定された。
【0151】
合成のさらなる改良は、水と全ての水性溶液を窒素またはアルゴンで脱気することを含み、炭酸ストロンチウムの不純物の生成になりうる炭酸ガスとの接触を防ぐ。当業者は、不活性雰囲気下で進行する手法を容易に採用できるであろう。
【0152】
実施例6
100℃での合成によるストロンチウムマロネート1水和物の製造
始めに、マロン酸の懸濁液(白色)を、250mlのビーカー中、100mlのミリポア水を10.406g(0.1モル)の固形マロン酸(フルカ、分子量104.06g/モル、CAS番号141-82-2、ロット番号、449503/1、ファイリングコード44903076)に添加して作った。この溶液に、26.571g (0.1モル)の固形水酸化ストロンチウム(シグマアルドリッチ、Sr(OH)2*8H2O、分子量265.71、CAS番号1311-10-0)を加えた。次いで、磁気撹拌棒を加え、撹拌と加熱を懸濁液の沸騰点まで行った。最終懸濁液も白色に着色し、撹拌を撹拌装置の中程度の回転速度を維持して継続した。炭酸ガスの液への侵入を防止するため、ビーカーをカバーガラスで覆った。
【0153】
何分かの煮沸と撹拌の後に溶液は澄明になり、全固形材料が溶解した。煮沸を維持し、煮沸で失われた水と置換のため必要なとき追加の水を加えた。3時間の煮沸の後、溶液をブフナーロートで熱時濾過した。ごく少量の不純物が濾紙上に残った。次いで濾液を室温に冷却するとストロンチウムマロネートの微粉末化結晶の生成をみた。最終生成物の沈殿が、濾過中に急速に進行し、生成物の大部分は濾紙(未加熱)に見出された。ごくまれに、沈殿が濾液中で進行した。生成物を濾過し、オーブン中110℃で1/2時間、次いでデシケーター中シリカオレンジ上で12時間乾燥した。X線結晶構造解析とFAASによる分析の前に、塩を微粉末に乳鉢中で粉砕した。
【0154】
ストロンチウムマロネートの全収率は再結晶前にほぼ98%であり、かつ不純物の大部分は試薬と炭酸ストロンチウムとみられるものからなった。生成物は、X線結晶構造解析とデータをケンブリッジ結晶構造解析データベースの結果と比較し、ストロンチウムマロネートと明白に同定した。
合成のさらなる改良には、水と全ての水性溶液を窒素またはアルゴンで脱気することが含まれ、炭酸ストロンチウムの不純物の生成となりうる炭酸ガスとの接触を防ぐ。当業者は、不活性ガス雰囲気中で進行する手法を容易に採用できるであろう。
【0155】
実施例7
100℃を超える温度を用いるジカルボン酸の水溶性ストロンチウム塩の製法
前に開発し、実施例2〜6に記載した方法に従い、有機ジカルボン酸のストロンチウム塩かつ特にアミノ酸のストロンチウム塩の合成は、低収率と所望の反応生成物を不純物から分離することが困難なため大規模(すなわち1kgを超える)で作ることが困難である。炭酸のストロンチウム塩が、反応を通常の値の炭酸ガスを含有する大気中で行うと不純物を形成するので特別の関心がある。
【0156】
我々はジカルボン酸のストロンチウム塩が、アニオンの遊離酸の形と水酸化ストロンチウムとから作られる時の生成物の全収率が、温度と合成の時間に依存することを実施例4〜6で記述した。反応を完結するには、適当なアミノ酸と水酸化ストロンチウムの混合物を、水中で3時間煮沸し、反応混合物中のストロンチウムを空気中の炭酸ガスと十分な時間反応させる。この実施例では、温度が密封容器中100℃を超えて上昇され、反応時間が有意に減少される最適化した反応条件を提供することにより合成をさらに改良する方法を開示する。
【0157】
この発明の実施例は、オートクレーブシステム中でストロンチウムグルタメートの合成用の条件の最適化からの代表的データを与える。ストロンチウムグルタメートは例として使用されるが、実施例に記載の最適条件は他のストロンチウム塩の合成にも適用でき、そこで正確な反応条件はこの実施例に開示のように最適化できる。反応温度は、所望のストロンチウム塩の有機アニオン部分の溶融点未満または分解温度未満に維持しなければならない。例として、マロン酸は132〜134℃で分解するので、ストロンチウムマロネートの合成は、132℃未満の温度で行わねばならない。
【0158】
ストロンチウムL-グルタメートを最適化実験のモデルストロンチウム化合物として使用した。生成物の純度は、結晶学的データと比較し、ストロンチウム含量を測定してモニターした。理論上、ストロンチウム含量は、これらの実験で生成される生成物であるストロンチウムL-グルタメート6水和物中25.7%である。他の溶融性ストロンチウム塩は、類似の方法で高い収率と純度で作りうることになる。
【0159】
実験
溶液の製造:グルタミン酸の懸濁液(白色に着色)を250mlのビーカー中で100mlのミリポア水を14.703g(0.1モル)の固形L-グルタミン酸(シグマアルドリッチ、C5N9NO4、分子量187.14g/モル、CAS番号142-47-2、ロット番号426560/1、ファイリングコード43003336)に加えて作った。この懸濁液に固形の水酸化ストロンチウム(シグマアルドリッチ、Sr(OH)2*8H2O、分子量268.71、CAS番号1311-10-0)の22.257g、26.571gまたは31.885g(0.08モル、0.1モルまたは0.12モル)を添加した。
【0160】
最適化実験
塩の製造後に、9つの最適化実験を表9の設定に従って行った。
【0161】
【表9】

表9:ストロンチウムグルタメート合成の最適化手法のパラメータと主な結果。圧はモニターされたが、最適化法には使用されなかった。ストロンチウム含量(%Sr)はFAASで測定されたが、品質パラメータとして使用されなかった。収率(%)は品質パラメータとして適用した。
【0162】
手法
1.酸の計算量を秤量し、ブルーキャップのオートクレーブのびんに移し、ミリポア水(Millipore water)を添加した。びんを封止し、微細に粒状化した懸濁液を得るため振盪した。
2.水酸化ストロンチウム8水和物の計算量を秤量し、(1)の酸溶液に添加し、びんを全ての粗い材料の塊が微粒粉末になるまで激しく震盪した。
3.びんをオートクレーブに入れ、温度を設定した。オートクレーブ中ではさらなる撹拌は行わなかった。
4.T=100℃でオートクレーブのバルブを閉じ、計時を開始した。
5.オートクレーブ中、実際の温度と圧力をモニターした。
6.オートクレーブ時間の終わりに、安全に注意して、できるだけ蒸気を排出した。
7.ほぼ110℃で、オートクレーブを開き、溶液を回収した。再び、びんを高程度の混合が得られるよう震盪した。
8.溶液をオートクレーブ後にブフナーロートで直ちに温時濾過し、濾紙上にごく少量の炭酸塩が残った。溶液を室温に冷却中に生成物は沈殿した。
9.沈殿後に、生成物を濾過し、オーブン中110℃で1/2時間乾燥した。次いで、デシケーター中シリカゲルオレンジ上乾燥した。最後に、生成物を乳鉢中微粉末に粉砕した。
10.生成物は、粉砕後に秤量し、全収率を計算した。
【0163】
発明によるストロンチウムマロネートの製造
ストロンチウムL-グルタメート以外の他のストロンチウム塩に開示の高温合成の応用性を確認するために、ストロンチウムマロネートを作った。ストロンチウムL-グルタメートの製造で見出した反応条件が基本的に使用された。
マロン酸の懸濁液(白色)を、250mlのビーカー中、ミリポア水の100mlを10.41g(0.1モル)の固形マロン酸(フルカ63295、分子量104.1)に加えて作る。この懸濁液に、固形水酸化ストロンチウム(シグマアルドリッチ、Sr(OH)2*8H2O、分子量265.71、CAS番号、1311-10-0)の22.257g、26.571gまたは31.885g(0.08モル、0.1モルまたは0.12モル)を加えた。上記の反応手法に従い、温度はマロン酸の分解を避けるため130℃未満に保ち、一方、反応時間は15分に維持した。
【0164】
ストロンチウムの含量(%Sr)
0.2gのサンプルを、ミリポア水中で作った0.1M HNO3の100mlに溶解した。この溶液はさらに1%KClの溶液で500倍に希釈し、ストロンチウムの含量は、FAASで測定した。測定はバックグランドシグナルを補正のため水素ランプを備えたパーキンエルマー2100を用いて行った。ストロンチウムは0.2nmのスリットで測定し、波長は58エネルギー8mAの電流で操作する460.8nmであった。
【0165】
X線結晶構造解析
純度の第2のチェックは、フーバーG670回折メーターを使用し、粉末X線結晶構造解析で行った。ストロンチウムグルタメートの特徴的回折図は図5に示される。この発明で開示の高温合成法によって得られたストロンチウムマロネートのX線回折図は、図6に示される。図5と図6の両方でみられる最大強度のピークの低アングル側の二重ピークは、装置の人為現象である。
【0166】
結果と討論
表9でいくつかの合成条件は、反応生成物のストロンチウムのモル%から明らかなように、比較的低い収率と低純度のストロンチウムグルタメートとなったことが観察される。実験番号8の生成物は、比較的低い収率で、X線分析でも確認してストロンチウムの予期値25.7%を含有しなかった。このアウトライアーにかかわらず、一般に最適化実験の結果は、予期生成物に近い。不完全な反応は、低すぎるストロンチウム含量の生成物を与え、一方、合成中の炭酸ストロンチウムの生成が、高すぎる値のストロンチウム含量を与える。実験1と5に使用した条件は、予期値と最もよく一致するストロンチウム含量を与えた。また、注目すべきは、実験番号6の生成物は低収率ではあるが、予期値に相当するストロンチウムの量を含有したことも明白でもあった。
【0167】
全収率に対する個々のパラメータの影響を検討すること(表9と図7)により、温度、オートクレーブ時間と塩基−酸比が合成に重要で、一方全容量はあまり重要でないことが明らかとなる。100%を超える収率が実験条件2,3,4,5,7に観察されるが、不完全な乾燥に由来し、この影響は、図7でのように平均値を考えると殆ど排除される。かくして、最大収率が、高温(133℃)、オートクレーブの短い時間(15分)と過剰の水酸化ストロンチウムを用いて得られた。従って、温度が時間より重要で、塩基−酸比への重要性に匹敵する。しかし、他のストロンチウム塩の合成での分解の温度、例えばマロネートは132〜134℃を越えないように大きな注意を要する。最適化のコントロールの10回目の実験が、最適化実験の最大収率を確かめるべく行われた。
【0168】
その上追加実験が、ストロンチウムL-グルタメート以外の他の有機ストロンチウム塩の製造用の高温合成法の適応性を評価するのに行われた。ストロンチウムマロネートが選ばれたが、この塩は、マロン酸アニオンの低い解離温度のため高温度条件下で作ることが特に難しいと考えられるからである。しかし、表6に示すように、結晶性の純でよく顕著な特長を有するストロンチウムマロネートが容易に作り得た。この化合物の結晶構造は、新しい構造で従来知られたものでないので完全に解明されていないが、データは、高温法が多くの他の有機ストロンチウム塩に適用しうることを示す。
さらなる合成の改良は、炭酸ストロンチウムの生成を少なくすべく全ての溶液に窒素ガスまたはアルゴンガスの何れかで脱気することと同様に不活性雰囲気を合成環境に導入することである。
【0169】
結論
最適化実験は、温度を100℃より高い値に上げかつオートクレーブ中短時間(15分)を使用してストロンチウムグルタメートを高収率で合成できることを示している。また、20%過剰の水酸化ストロンチウムが合成されたストロンチウム塩の純度に妥協することなく全収率も改良する。シリカゲルオレンジよりもより強い乾燥を、完全な乾燥品を得るために乾燥法に適用すべきである。より強い乾燥剤の例は、濃硫酸または酸化カルシウムであるが、通常の凍結乾燥または他の機械的処理もこの方法に適用しうる。
【0170】
実施例8
ジカルボン酸系ストロンチウム塩の薬物動態性質
この実験の目的は、ジカルボン酸系ストロンチウム塩のバイオアベイラビリティーを塩化ストロンチウムとストロンチウムラネレートと比較して評価することであった。バイオアベイラビリティーは、24時間期間の一定の間隔で血清ストロンチウム濃度を測定しAUCを算出することで評価した。HanTac:WH(GALAS)種の雌のSPFウイスターラット(デンマーク、Ejby, DK-4623Lille Skensved, Taconic M&B A/Sから)で行った。馴化期間の開始時に、ラットはほぼ200〜250g体重でほぼ9週令であった。動物は、21℃±3℃の温度で相対湿度55%+15%で濾過空気かつ1時間当たり10回の空気交換する換気系を備えた室に入れた。室は12時間採光と12時間暗所のサイクルで照明した。ラットには、完全ペレット化げっ歯用食餌“Altromin1314”(Chr. Petersen A/S, デンマーク、DK-4100 Ringsted)で餌育した。ラットは、微生物生育を防ぐため塩酸でpH2.5に酸性化した家庭用品質の飲料水を入れたびんに自由接近とした。
【0171】
ラットは、下の表に示すように、9匹の7つのグループにランダムに分けた。グループ、投与レベル、動物数は表10に示したものである。
【0172】
【表10】

表10:薬物動態実験の7処置グループ。グループに投与された投与量は、第1の欄に、塩、分子量、Sr含量は中間の欄にリストされる。1投与量は、ストロンチウムラネレート6水和物の500mg/kg(グループB)と等モルのストロンチウム投与量を与えるべく調節される。
【0173】
テスト物品(ストロンチウム塩)は、最も最近の体重データにより経口栄養として一度に与えた。コントロール群は、賦形剤のみ(0.5%カルボキシメチルセルロース(CMC))を投与した。賦形剤は、コントロールを含む全処置群に脱イオン水で作った。テスト物質(ストロンチウム塩)は、5ml/kg体重に相当の容量で溶解または懸濁した。化合物を懸濁液中に保つべく、製剤は投与前と投与中磁気撹拌器で保った。
【0174】
薬物動態用血液サンプル
処置日(第1日)に、血液サンプルを全動物から採取した。血液サンプルは、1群当たり3匹から、次の時点:処置前、処置後30分、1、1.5、2、4、8と24時間に採取し、各群から3匹は、0、1.5と6時間で、他の3匹は0.5、2と8時間で、群の残りの3匹は1.4と24時間で採取した。
ほぼ0.5〜0.6mlの血液を、各時間で眼窩静脈叢から血清用のプレーンチューブに採取した。血液は、30〜60分間と遠心分離(10分、1270G、+20℃)まで室温に保った。血清はヌンクの凍結チューブ(デンマーク、Nunc)に移し、−18℃で凍結し、次いでグラファイト炉原子吸収分光分析(GF-AAS)でストロンチウム含量の分析に付した。
【0175】
グラファイト炉原子吸収分光分析(GF-AAS)
濃HClを血清サンプルに加え、0.2%HClの最終濃度とした。次いでサンプルを、バックグランドシグナル補正用の水素ランプを備えたパーキンエルマー2100を用いる分析に付した。ストロンチウムは、0.2nmのスリットで測定し、波長は58のエネルギーで8mAの電流で操作する460.8nmであった。
【0176】
ストロンチウム塩吸収の薬物動態研究の結果
図8に、ストロンチウム塩で処置した6つの群で測定した血清濃度が化合物の投与後の時間の関数としてプロットされている。ストロンチウム塩の投与が、血清ストロンチウム濃度の速くて非常に有意な増加となることが明らかである。異なる塩の薬物動態性質と比較すると比較的に悪い溶解性のストロンチウムラネレート(実施例3参照)と同様に高い溶解性の塩化ストロンチウムが共に急速に吸収され、ほぼ2時間後に最大血清濃度に達することが明らかである。
【0177】
高い溶解度を有するジカルボン酸と、特にアミノ酸のL-アスパルテートとL-グルタメートのストロンチウム塩は、よりゆっくりした動力学的速度で最大血清濃度に達し、約8時間後に最大濃度に達した。その上、テスト物質投与後の0〜8時間間隔で血清ストロンチウム濃度は、少なくともストロンチウムのアスパルテートとマロネートのようなジカルボン酸のいくつかについてより安定とみられる。最大血清濃度の2つの明白なこのピークのパターンはストロンチウムマロネートで処置した群にも明らかである。ストロンチウムイオンが、2つの明白な吸収メカニズムで吸収されること、この発明による高度に溶解性のストロンチウム塩が、ストロンチウム吸収メカニズムの2相の性質を利用する特別のポテンシャルを持つことができ、ストロンチウムのより高いバイオアベイラビリティーとして明らかな全体の利益を証することを示しそうである。
【0178】
AUC算出が行われるとき、図8の平均値で証せられるように曲線の一般的コースが、応答/薬物動態曲線を特別に開発した数学モデルにモデル化することにより最良に記述された。当初の段階で、ストロンチウムは代謝されず、単にラットの胃/上部消化管から上皮細胞に活性な移送メカニズムによって移送されると想定される。また、代謝せずに、ストロンチウムイオンは、胃/上部消化管から移送され、ここで同時に血管に放出される。血管を通してストロンチウムの循環中のみ、ストロンチウムは分散され体組織に代謝される。この信ずべきしかし単純化した記述は図9でのt=60分とt=360分の2つのピークで同定されたストロンチウムイオンの経口投与後のイオン性ストロンチウムの吸収の2段階メカニズムを含む。ストロンチウム投与がラットになされた後に、吸収の特徴時間はt=12分であることが分かった。血清中のストロンチウムの最大含量はほぼ30分後に観察された。12分の特徴時間値はストロンチウムイオンの持続が腸管腔から活性移送メカニズムにより採取され循環に排出されると解釈される。胃と血管の間のストロンチウム移行時間は、殆ど瞬間的に始まり、一方消化管と血管との移送時間は、研究される塩のタイプにより後の段階で進行する。特にマロネートは、消化管から血管への吸収−対時間のピークはt=360分(図8参照)にある。かくして、マロネートの身体代謝時間は、他の塩のそれに比較して非常に長い。しかし全ての塩について、ストロンチウム含量はほぼ1750分(29時間)後に水平になり投与前レベルに相当の本来のレベルに近づく。
【0179】
モデル算出(示されず)は、表11に示される曲線下の面積の測定で適用された。AUC値の標準偏差は、図8の測定での一般的な不確定さに相当し、その大きさは、塩の間の有意な区別をさせない。塩のAUC値は、投与前のサンプルのAUC値より、より高い。
【0180】
【表11】

表11:モデル算出による(AUC)曲線下の面積の測定
【0181】
ジカルボン酸系有機アニオンとのストロンチウム塩で観察されたストロンチウムの遅延した吸収と長時間に持続したレベルでの血清レベルの効果は、化合物の薬物動態性質を増強できる。Cmaxの遅延した達成は骨代謝に影響する疾患と症状の治療でのストロンチウム化合物の使用の利点となりうる。これらの場合に、骨の吸収が最高の割合で起こっている夜に化合物を作用させるので、就寝前の夕方に化合物を投与する利点がよくある。その上、就寝前の投与は、ストロンチウム塩の医薬製剤が最終の食事後にとれるので、通常の食物中のカルシウムからのありそうな干渉が少なくなる。これは、日中の投与と対照的で、日中では通常の食物中のカルシウム含量がストロンチウムの吸収に干渉し減少する潜在力を有する。化合物の投与後4〜8時間に渡って血清ストロンチウム濃度が徐々に増加することは化合物の夕方投与によく合致し、骨代謝へのストロンチウム化合物の治療効果を最大にするのによく適するとみられる。
【0182】
特定の具体例で、本発明は次の項目に関する。
1.式I
-OOC-CH2-CH2-C(=O)-COO- Sr2+ (I)
のアルファ−ケトグルタール酸のストロンチウム塩。
2.水和物、無水物、溶媒和物、多形、無晶形、結晶形、微結晶形またはポリマー形である項目1による塩。
3.医薬として使用の項目1または2による塩。
【0183】
4.項目1〜3の何れかによる塩の、例えばヒトの女性または男性の成人、若者または子供のような哺乳動物における軟骨および/または骨代謝の異常となる軟骨および/また骨疾患および/また症状;例えば骨粗鬆症、骨関節症、大理石骨症、骨減少症とパジェット病、悪性病変の高カルシウム血症、歯周疾患、上皮小体機能亢進症、リウマチ関節炎における関節周囲浸食症、骨形成異常症、骨化性筋炎、ベクテリエフ疾患、悪性高カルシウム血症、骨転移疾患によって生じた溶骨性病変、骨転移疾患による骨痛、性ステロイドホルモン欠乏症による骨欠損、ステロイドホルモン処置による骨異常、癌治療による骨異常、骨軟化症、ベーチェット病、骨化過剰症、転移性骨疾患、固定誘因の骨減少症または骨粗鬆症、グルココルチコイド誘因の骨減少症または骨粗鬆症、骨粗鬆症偽膠腫症候群、突発性若年骨粗鬆症の治療および/または予防用;外傷性と非外傷性骨折後の骨折治癒の改善用、エネルギーレベルの維持または増大用、筋肉組織の構築または増強用、および体重増加用の医薬組成物の製造への使用。
【0184】
5.アルファ−ケトグルタール酸と水酸化ストロンチウムおよび/または酸化ストロンチウムを反応させることを含む項目1〜3の何れかによる塩の製法。
6.1以上の生理学的に受容な賦形剤とともに、項目1〜3の何れかの塩のある量とを含む医薬組成物。
7.ストロンチウム含有化合物の付加量をさらに含む項目6による医薬組成物。
8.1以上の生理学的に受容な賦形剤とともに、ストロンチウム化合物を含有する1以上の第1成分とアルファ−ケトグルタレート化合物を含有する1以上の第2成分の治療上および/または予防上に有効な量とを含む医薬組成物。
9.ストロンチウム含有化合物が、有機酸または無機酸のストロンチウム塩からなる群から選択される項目6〜8の何れかによる医薬組成物。
【0185】
10.無機酸が、弗化水素酸、塩化水素酸、臭化水素酸、沃化水素酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、スルホン酸、硫酸、亜硫酸、ピロ硫酸と硼酸からなる群から選択される項目9による医薬組成物。
11.有機酸が、酢酸、C2H5COOH、C3H7COOH、C4H9COOH、(COOH)2、CH2(COOH)2、C2H4(COOH)2、C3H6(COOH)2、C4H8(COOH)2、C5H10(COOH)2、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、アスコルビン酸、安息香酸、サリチル酸、フタル酸、炭酸、ギ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、樟脳酸、グルコン酸、L-グルタミン酸、D-グルタミン酸、L-アスパラギン酸、D-アスパラギン酸、トリフルオロ酢酸とラネル酸(ranelic acid)からなる群から選択される項目9による医薬組成物。
12.酸が、ストロンチウムの非キレート剤である項目9〜11の何れかによる医薬組成物。
【0186】
13.塩が、水和物、無水物、溶媒和物、多形、無晶形、結晶形、微結晶形またはポリマー形である項目9〜12の何れかによる医薬組成物。
14.塩が水溶性である項目9〜13の何れかによる医薬組成物。
15.塩が、25℃の温度で測定して、少なくとも1g/l、例えば少なくとも5g/l、少なくとも10g/l、少なくとも20g/l、少なくとも30g/l、少なくとも40g/l、少なくとも50g/l、少なくとも60g/l、少なくとも70g/l、少なくとも80g/l、少なくとも90g/lまたは少なくとも100g/lの水溶性を有する項目14による医薬組成物。
【0187】
16.塩が、塩化ストロンチウム、塩化ストロンチウム6水和物、ストロンチウムシトレート、ストロンチウムマロネート、ストロンチウムスクシネート、ストロンチウムフマレート、ストロンチウムアスコルベート、ストロンチウムL-グルタメート、ストロンチウムD-グルタメート、ストロンチウムL-アスパルテート、ストロンチウムD-アスパルテート、ストロンチウムピルベート、ストロンチウムタルタレート、ストロンチウムグルタレート、ストロンチウムマレエート、ストロンチウムメタンスルホネート、ストロンチウムベンゼンスルホネートとそれらの混合物からなる群から選択される項目9〜15の何れかによる医薬組成物。
【0188】
17.塩が、一塩基酸または二塩基酸である項目9〜16の何れかによる医薬組成物。
18.塩が、臭化ストロンチウム、臭化ストロンチウム6水和物、ストロンチウムアセテート、ストロンチウムカーボネート、ストロンチウムグルコネート、ストロンチウムラクテート、ストロンチウムラネレートおよびそれらの混合物からなる群から選択される項目9〜17の何れかによる医薬組成物。
19.アルファ−ケトグルタレート含有化合物の付加量をさらに含む項目6〜18の何れかによる医薬組成物。
【0189】
20.アルファ−ケトグルタレート含有化合物が、アルカリ金属の塩、アルカリ金属の混合塩、アルカリ土類金属の塩またはそれらの混合物である項目6〜19の何れかによる医薬組成物。
21.塩が、ナトリウムアルファ−ケトグルタレート、カリウムアルファ−ケトグルタレート、リチウムアルファ−ケトグルタレート、マグネシウムアルファ−ケトグルタレート、カルシウムアルファ−ケトグルタレートとそれらの混合物である項目20による医薬組成物。
22.アルファ−ケトグルタレート含有化合物が、アミンあるいはアミノ酸の塩、アンモニウム塩またはそれらの混合物である項目19による医薬組成物。
【0190】
23.アミンが、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミンとブチルアミンから選択される項目22による医薬組成物。
24.アミノ酸が、アルギニン、オルニチン、リジンとヒスチジンから選択される項目22による医薬組成物。
【0191】
25.組成物が1以上の活性物質をさらに含む項目6〜24の何れかによる医薬組成物。
26.1以上の活性物質が、例えばヒトの女性または男性の成人、若者または子供のような哺乳動物における軟骨および/または骨代謝の異常となる軟骨および/また骨疾患および/また症状;例えば骨粗鬆症、骨関節症、大理石骨症、骨減少症とパジェット病、悪性病変の高カルシウム血症、歯周疾患、上皮小体機能亢進症、リウマチ関節炎における関節周囲浸食症、骨形成異常症、骨化性筋炎、ベクテリエフ疾患、悪性高カルシウム血症、骨転移疾患によって生じた溶骨性病変、骨転移疾患による骨痛、性ステロイドホルモン欠乏症による骨欠損、ステロイドホルモン処置による骨異常、癌治療による骨異常、骨軟化症、ベーチェット病、骨化過剰症、転移性骨疾患、固定誘因の骨減少症または骨粗鬆症、グルココルチコイド誘因の骨減少症または骨粗鬆症、骨粗鬆症偽膠腫症候群、突発性若年骨粗鬆症;外傷性と非外傷性骨折後の骨折治癒の改善、エネルギーレベルの維持または増大、筋肉組織の構築または増強、および体重増加に治療および/または予防効果を有する項目25による医薬組成物。
【0192】
27.1以上の活性物質が、例えば抗吸収剤および/または同化剤のような骨粗鬆症および/または非骨粗鬆症の骨折の発生率を減少し、骨密度を増大しおよび/または骨の治療を改善する項目26による医薬組成物。
28.1以上の活性物質が、カルシウムアルファ−ケトグルタレート、カルシウム、カルシウム塩、例えばビタミンD3および/またはビタミンD3の機能性等価物のようなビタミンD、グルカゴン様ペプチド-2、グルカゴン様ペプチド-2放出組成物、ビスホスホネート、選択性エストロゲンレセプターモジュレーター、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモン関連ペプチド、グルコサミンサルフェート、グルタミン酸および/またはその塩、アスパルテートおよび/またはその塩、プロリン、L-スレオネート、グルタミンとヒドロキシプロリンからなる群から選択される項目26または27による医薬組成物。
【0193】
29.必要とする患者に、項目1〜3の何れかによる塩のある量を投与することを含む、例えばヒトの女性または男性の成人、若者または子供のような哺乳動物における軟骨および/または骨代謝の異常となる軟骨および/また骨疾患および/また症状;例えば骨粗鬆症、骨関節症、大理石骨症、骨減少症とパジェット病、悪性病変の高カルシウム血症、歯周疾患、上皮小体機能亢進症、リウマチ関節炎における関節周囲浸食症、骨形成異常症、骨化性筋炎、ベクテリエフ疾患、悪性高カルシウム血症、骨転移疾患によって生じた溶骨性病変、骨転移疾患による骨痛、性ステロイドホルモン欠乏症による骨欠損、ステロイドホルモン処置による骨異常、癌治療による骨異常、骨軟化症、ベーチェット病、骨化過剰症、転移性骨疾患、固定誘因の骨減少症または骨粗鬆症、グルココルチコイド誘因の骨減少症または骨粗鬆症、骨粗鬆症偽膠腫症候群、突発性若年骨粗鬆症の治療および/または予防;外傷性と非外傷性骨折後の骨折治癒の改善、エネルギーレベルの維持または増大用、筋肉組織の構築または増強、および体重増加の方法。
【0194】
30.塩が、無水塩として計算し、1日当たり約0.1〜約17gに相当する用量で投与される項目29による方法。
31.塩が、無水塩として計算し、1日当たり約0.2〜約15g、例えば1日当たり約0.4〜約13g、1日当たり約0.6〜約12g、1日当たり約0.7〜約11.5gに相当する用量で投与される項目30による方法。
32.ストロンチウム含有化合物の付加量を投与することをさらに含む項目29〜31の何れかによる方法。
33.アルファ−ケトグルタレート含有化合物の付加量を投与することをさらに含む項目29〜32の何れかによる方法。
【0195】
34.必要な患者に、ストロンチウム化合物を含有する1以上の第1成分とアルファ−ケトグルタレート化合物を含有する1以上の第2成分の組合せの治療および/または予防有効量を投与することを含む例えばヒトの女性または男性の成人、若者または子供のような哺乳動物における軟骨および/または骨代謝の異常となる軟骨および/また骨疾患および/また症状;例えば骨粗鬆症、骨関節症、大理石骨症、骨減少症とパジェット病、悪性病変の高カルシウム血症、歯周疾患、上皮小体機能亢進症、リウマチ関節炎における関節周囲浸食症、骨形成異常症、骨化性筋炎、ベクテリエフ疾患、悪性高カルシウム血症、骨転移疾患によって生じた溶骨性病変、骨転移疾患による骨痛、性ステロイドホルモン欠乏症による骨欠損、ステロイドホルモン処置による骨異常、癌治療による骨異常、骨軟化症、ベーチェット病、骨化過剰症、転移性骨疾患、固定誘因の骨減少症または骨粗鬆症、グルココルチコイド誘因の骨減少症または骨粗鬆症、骨粗鬆症偽膠腫症候群、突発性若年骨粗鬆症の治療および/または予防;外傷性と非外傷性骨折後の骨折治癒の改善、エネルギーレベルの維持または増大、筋肉組織の構築または増強、および体重増加の方法。
【0196】
35.ストロンチウムの全1日投与量とアルファ−ケトグルタレートの全1日投与量の重量比が、約0.01〜約4、例えば約0.01〜約4、約0.01〜約2、約0.01〜約1、約0.01〜約0.6、約0.03〜約4、約0.03〜約2、約0.03〜約1、約0.1〜約2、約0.1〜約1、約0.15〜約0.5、約0.2〜約2、約0.3〜約2または約0.4〜約2である項目29〜34の何れかによる方法。
36.ストロンチウムの1日投与量が、少なくとも約0.01g、例えば少なくとも約0.025g、少なくとも約0.050g、少なくとも約0.075g、少なくとも約0.1g、少なくとも約0.2g、少なくとも約0.3g、少なくとも約0.4gまたは少なくとも約0.5g、または約0.01g〜約2g、例えば約0.1g〜約2g、例えば約0.3g〜約2gあるいは約0.3g〜約1gである項目29〜35の何れかによる方法。
【0197】
37.アルファ−ケトグルタレートの1日投与量が、少なくとも約0.5g、例えば少なくとも約1.0g、少なくとも約1.5g、少なくとも約2.0g、少なくとも約2.5g、少なくとも約3.0g、少なくとも約4g、少なくとも約5g、または約0.5g〜約10g、約0.5g〜約7g、約2g〜約10g、あるいは約2g〜約7gである項目29〜36の何れかによる方法。
38.ストロンチウム成分とアルファ−ケトグルタレート成分が、項目6〜28の何れかによる医薬組成物の形で投与される項目29〜37の何れかによる方法。
【0198】
39.投与が、1日当たり1回以上行われる項目29〜38の何れかによる方法。
40.投与が、1日当たり2〜5回行われる項目39による方法。
41.ストロンチウム成分とアルファ−ケトグルタレート成分の投与が、同時に行われる項目29〜40の何れかによる方法。
42.ストロンチウム成分とアルファ−ケトグルタレート成分の投与が、逐次的に行われる項目32〜40の何れかによる方法。
【0199】
43.患者が、哺乳動物、例えば、ヒトまたは例えば猫、犬、馬、牛あるいは羊のような家畜である請求項29〜42の何れかによる方法。
44.ビタミンDの1日投与量を投与することをさらに含む項目29〜43の何れかによる方法。
45.ビタミンDがビタミンD3である項目44による方法。
46.ビタミンD3の1日投与量が、約5μg〜約30μg、例えば約10μg〜約20μgである項目45による方法。
【0200】
47.ストロンチウム成分が、約0.3g〜約1gの1日投与量に相当する用量で投与され、アルファ−ケトグルタレート成分が約2g〜約7gの1日投与量に相当する用量で投与されかつビタミンD3の用量が約10μg〜約20μgの1日投与量に相当する項目44〜46の何れかによる方法。
48.ストロンチウム成分、アルファ−ケトグルタレート成分およびビタミンDの投与が、同時に行われる項目44〜47の何れかによる方法。
49.ストロンチウム成分、アルファ−ケトグルタレート成分および/またはビタミンDの投与が、逐次的に行われる項目44〜48の何れかによる方法。
【0201】
50.カルシウムの1日投与量を投与することをさらに含む項目29〜49の何れかによる方法。
51.カルシウムの1日投与量が、約0.5g〜約2g、例えば約0.5g〜約1.5g、約0.5〜1gと約1g〜約1.5gである項目50による方法。
52.ストロンチウム成分とカルシウムの投与が、同時に行われる項目50または51による方法。
53.ストロンチウム成分とカルシウムの投与が、逐次的に行われる項目50または51による方法。
【0202】
54.カルシウムが、ストロンチウム成分の投与後、少なくとも0.5時間、例えば少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間、または少なくとも12時間で投与される項目50〜53の何れかによる方法。
55.カルシウムが、ストロンチウム成分の投与前、少なくとも0.5時間、例えば少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間、または少なくとも12時間で投与される項目50〜53の何れかによる方法。
【0203】
56.ストロンチウム成分とアルファ−ケトグルタレート成分が同時に投与され、カルシウムが、ストロンチウム成分とアルファ−ケトグルタレート成分の投与後、少なくとも1時間、例えば少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間または少なくとも12時間で投与される項目50〜54の何れかによる方法。
【0204】
57.ストロンチウム成分とアルファ−ケトグルタレート成分が同時に投与され、カルシウムが、ストロンチウム成分とアルファ−ケトグルタレート成分の投与前、少なくとも1時間、例えば少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間または少なくとも12時間で投与される項目50〜53、55の何れかによる方法。
【0205】
58.ストロンチウム成分が、約0.3g〜約1gの1日投与量に相当する用量で投与され、アルファ−ケトグルタレート成分が約2g〜約7gの1日投与量に相当する用量で投与され、カルシウムの用量が約0.5〜約1gの1日量に相当する項目56または57による方法。
59.ストロンチウム成分が、約0.3g〜約1gの1日投与量に相当する用量で投与され、アルファ−ケトグルタレート成分が約2g〜約7gの1日投与量に相当する用量で投与され、ビタミンD3が存在するときは約10μg〜約20μgの1日投与量で投与され、カルシウムの用量は約0.5〜約1gの1日投与量に相当する項目44〜58の何れかによる方法。
【0206】
60.ストロンチウム成分、アルファ−ケトグルタレート成分、ビタミンDとカルシウムが、同時に投与される項目44〜59の何れかによる方法。
61.ストロンチウム成分、アルファ−ケトグルタレート成分、ビタミンDおよび/またはカルシウムが、逐次的に投与される項目44〜59の何れかによる方法。
【0207】
62.ストロンチウム成分、アルファ−ケトグルタレート成分とビタミンDが、同時に投与され、カルシウムが、ストロンチウム成分、アルファ−ケトグルタレート成分とビタミンDの投与後、少なくとも1時間、例えば少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間または少なくとも12時間で投与される項目44〜59の何れかによる方法。
【0208】
63.ストロンチウム成分、アルファ−ケトグルタレート成分とビタミンDが、同時に投与され、カルシウムが、ストロンチウム成分、アルファ−ケトグルタレート成分とビタミンDの投与前、少なくとも1時間、例えば少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間または少なくとも12時間で投与される項目44〜59の何れかによる方法。
【0209】
64.1以上のさらなる活性物質、例えばグルカゴン様ペプチド-2、グルカゴン様ペプチド-2-放出組成物、ビスホスホネート、選択性エストロゲンレセプターモジュレーター、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモン関連ペプチド、グルコサミンサルフェート、グルタミン酸および/またはその塩、アスパルテートおよび/またはその塩、プロリン、L-スレオネート、グルコサミンサルフェート、グルタミン、アスパラギンとヒドロキシプロリンを投与することをさらに含む項目29〜63の何れかによる方法。
65.さらなる活性物質が、副甲状腺ホルモンあるいは、そのフラグメントまたは類似体、または副甲状腺ホルモン関連ペプチドあるいはそのフラグメントまたは類似体である請求項64による方法。
【0210】
66.例えばヒトの女性または男性の成人、若者または子供のような哺乳動物における軟骨および/または骨代謝の異常となる軟骨および/また骨疾患および/また症状;例えば骨粗鬆症、骨関節症、大理石骨症、とパジェット病、悪性病変の高カルシウム血症、歯周疾患、上皮小体機能亢進症、リウマチ関節炎における関節周囲浸食症、骨形成異常症、骨化性筋炎、ベクテリエフ疾患、悪性高カルシウム血症、骨転移疾患によって生じた溶骨性病変、骨転移疾患による骨痛、性ステロイドホルモン欠乏症による骨欠損、ステロイドホルモン処置による骨異常、癌治療による骨異常、骨軟化症、ベーチェット病、骨化過剰症、転移性骨疾患、固定誘因の骨減少症または骨粗鬆症、グルココルチコイド誘因の骨減少症または骨粗鬆症、骨粗鬆症偽膠腫症候群、突発性若年骨粗鬆症の治療および/または予防;外傷性と非外傷性骨折後の骨折治癒の改善、エネルギーレベルの維持または増大、筋肉組織の構築または増強、および体重増加に使用のキットで、そのキットは、少なくとも第1成分と第2成分を含み、第1成分は、ストロンチウムアルファ−ケトグルタレートを含み、1以上の第2成分は、i)さらなるストロンチウム含有化合物、ii)さらなるアルファ−ケトグルタレート含有化合物、iii)カルシウム含有化合物、iv)ビタミンD、v)副甲状腺ホルモンとvi)さらなる活性物質の少なくとも1つを含むキット。
【0211】
67.例えばヒトの女性または男性の成人、若者または子供のような哺乳動物における軟骨および/または骨代謝の異常となる軟骨および/また骨疾患および/また症状;例えば骨粗鬆症、骨関節症、大理石骨症、骨減少症とパジェット病、悪性病変の高カルシウム血症、歯周疾患、上皮小体機能亢進症、リウマチ関節炎における関節周囲浸食症、骨形成異常症、骨化性筋炎、ベクテリエフ疾患、悪性高カルシウム血症、骨転移疾患によって生じた溶骨性病変、骨転移疾患による骨痛、性ステロイドホルモン欠乏症による骨欠損、ステロイドホルモン処置による骨異常、癌治療による骨異常、骨軟化症、ベーチェット病、骨化過剰症、転移性骨疾患、固定誘因の骨減少症または骨粗鬆症、グルココルチコイド誘因の骨減少症または骨粗鬆症、骨粗鬆症偽膠腫症候群、突発性若年骨粗鬆症の治療および/または予防;外傷性と非外傷性骨折後の骨折治癒の改善、エネルギーレベルの維持または増大、筋肉組織の構築または増強、および体重増加に使用のキットで、そのキットは、少なくとも第1成分と第2成分を含み、第1成分は、i)ストロンチウムアルファ−ケトグルタレート、ii)さらなるストロンチウム含有化合物、iii)さらなるアルファ−ケトグルタレート含有化合物、iv)カルシウム含有化合物、v)ビタミンD、vi)副甲状腺ホルモン、vii)さらなる活性物質の少なくとも1つを含み、1以上の第2成分は、i)ストロンチウムアルファ−ケトグルタレート、ii)さらなるストロンチウム含有化合物、iii)さらなるアルファ−ケトグルタレート含有化合物、iv)カルシウム含有化合物、v)ビタミンD、vi)副甲状腺ホルモンとvii)さらなる活性物質の少なくとも1つを含むが、但し、第1成分と1以上の第2成分は同一ではないキット。
【0212】
68.さらに、個々の成分の使用に対する指示を含む項目66または67によるキット。
69.式II
(-OOC-C(NH3+)H-CH2-CH2-COO-)2 Sr2+ (II)
のストロンチウムグルタメート塩の医薬としての使用。
70.項目69による塩を、例えばヒトの女性または男性の成人、若者または子供のような哺乳動物における軟骨および/または骨代謝の異常となる軟骨および/また骨疾患および/また症状;例えば骨粗鬆症、骨関節症、大理石骨症、骨減少症とパジェット病、悪性病変の高カルシウム血症、歯周疾患、上皮小体機能亢進症、リウマチ関節炎における関節周囲浸食症、骨形成異常症、骨化性筋炎、ベクテリエフ疾患、悪性高カルシウム血症、骨転移疾患によって生じた溶骨性病変、骨転移疾患による骨痛、性ステロイドホルモン欠乏症による骨欠損、ステロイドホルモン処置による骨異常、癌治療による骨異常、骨軟化症、ベーチェット病、骨化過剰症、転移性骨疾患、固定誘因の骨減少症または骨粗鬆症、グルココルチコイド誘因の骨減少症または骨粗鬆症、骨粗鬆症偽膠腫症候群、突発性若年骨粗鬆症の治療および/または予防用;外傷性と非外傷性骨折後の骨折治癒の改善用、エネルギーレベルの維持または増大用、筋肉組織の構築または増強用、および体重増加用医薬組成物の製造への使用。
【0213】
71.医薬組成物が、ストロンチウムグルタメート塩のある量と、1以上の生理学的に受容な賦形剤とを含む項目69または70による塩の使用。
72.医薬組成物が、付加量のストロンチウム含有化合物をさらに含む項目69〜71の何れかによる塩の使用。
73.ストロンチウム含有化合物が、有機酸または無機酸のストロンチウム塩からなる群から選択される項目72による塩の使用。
74.無機酸が、弗化水素酸、塩化水素酸、臭化水素酸、沃化水素酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、スルホン酸、硫酸、亜硫酸、ピロ硫酸と硼酸からなる群から選択される項目73による塩の使用。
【0214】
75.有機酸が、酢酸、C2H5COOH、C3H7COOH、C4H9COOH、(COOH)2、CH2(COOH)2、C2H4(COOH)2、C3H6(COOH)2、C4H8(COOH)2、C5H10(COOH)2、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、アスコルビン酸、安息香酸、サリチル酸、フタル酸、炭酸、ギ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、樟脳酸、グルコン酸、L-スレオネート、グルコサミンサルフェート、L-グルタミン酸、D-グルタミン酸、L-アスパラギン酸、D-アスパラギン酸、トリフルオロ酢酸とラネル酸からなる群から選択される項目73による塩の使用。
【0215】
76.酸が、ストロンチウムの非キレート剤である項目73〜75の何れかによる塩の使用。77.塩が、水和物、無水物、溶媒和物、多形、無晶形、結晶形、微結晶形またはポリマー形である項目73〜76の何れかによる塩の使用。
78.塩が、水溶性である項目73〜77の何れかによる塩の使用。
79.塩が25℃の温度で測定して、少なくとも1g/l、例えば少なくとも5g/l、少なくとも10g/l、少なくとも20g/l、少なくとも30g/l、少なくとも40g/l、少なくとも50g/l、少なくとも60g/l、少なくとも70g/l、少なくとも80g/l、少なくとも90g/lまたは少なくとも100g/lの水溶性を有する項目78による塩の使用。
【0216】
80.塩が、塩化ストロンチウム、塩化ストロンチウム6水和物、ストロンチウムシトレート、ストロンチウムマロネート、ストロンチウムスクシネート、ストロンチウムフマレート、ストロンチウムアスコルベート、ストロンチウムL-グルタメート、ストロンチウムD-グルタメート、ストロンチウムL-アスパルテート、ストロンチウムD-アスパルテート、ストロンチウムピルベート、ストロンチウムタルタレート、ストロンチウムグルタレート、ストロンチウムマレエート、ストロンチウムメタンスルホネート、ストロンチウムL-スレオネート、ストロンチウムベンゼンスルホネートとそれらの混合物からなる群から選択される項目73〜79の何れかによる塩の使用。
【0217】
81.酸が、一塩基酸または二塩基酸である項目73〜80の何れかによる塩の使用。
82.塩が、臭化ストロンチウム、臭化ストロンチウム6水和物、ストロンチウムアセテート、ストロンチウムカーボネート、ストロンチウムグルコネート、ストロンチウムラクテート、ストロンチウムラネレートおよびそれらの混合物からなる群から選択される項目73〜81の何れかによる塩の使用。
83.グルタメート含有化合物の付加量をさらに含む項目69〜82の何れかによる塩の使用。
【0218】
84.グルタメート含有化合物が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩、またはその混合物である項目83による塩の使用。
85.塩が、ナトリウムグルタメート、カリウムグルタメート、リチウムグルタメート、マグネシウムグルタメート、カルシウムグルタメートおよびそれらの混合物からなる群より選択される項目84による塩の使用。
86.グルタメート含有化合物が、アミンあるいはアミノ酸の塩またはアンモニウム塩、またはそれらの混合物である項目85による塩の使用。
87.アミンが、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミンとブチルアミンから選択される項目86による塩の使用。
【0219】
88.アミノ酸が、アルギニン、オルニチン、リジンとヒスチジンから選択される項目86による塩の使用。
89.組成物が1以上の活性物質をさらに含む項目69〜88の何れかによる塩の使用。
90.1以上の活性物質が、例えばヒトの女性または男性の成人、若者または子供のような哺乳動物における軟骨および/または骨代謝の異常となる軟骨および/また骨疾患および/また症状;例えば骨粗鬆症、骨関節症、大理石骨症、骨減少症とパジェット病、悪性病変の高カルシウム血症、歯周疾患、上皮小体機能亢進症、リウマチ関節炎における関節周囲浸食症、骨形成異常症、骨化性筋炎、ベクテリエフ疾患、悪性高カルシウム血症、骨転移疾患によって生じた溶骨性病変、骨転移疾患による骨痛、性ステロイドホルモン欠乏症による骨欠損、ステロイドホルモン処置による骨異常、癌治療による骨異常、骨軟化症、ベーチェット病、骨化過剰症、転移性骨疾患、固定誘因の骨減少症または骨粗鬆症、グルココルチコイド誘因の骨減少症または骨粗鬆症、骨粗鬆症偽膠腫症候群、突発性若年骨粗鬆症;外傷性と非外傷性骨折後の骨折治癒の改善、エネルギーレベルの維持または増大、筋肉組織の構築または増強、および体重増加に治療および/または予防効果を有する項目89による塩の使用。
【0220】
91.1以上の活性物質が、例えば抗吸収剤および/または同化剤のような骨折の発生率を減少し、骨密度を増加しおよび/または骨の治癒を改善する項目90による塩の使用。
92.1以上の活性物質が、カルシウムアルファ−ケトグルタレート、カルシウム、カルシウム塩、例えばビタミンD3および/またはビタミンD3の機能性等価物のようなビタミンD、グルカゴン様ペプチド-2、グルカゴン様ペプチド-2放出組成物、ビスホスホネート、選択性エストロゲンレセプターモジュレーター、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモン関連ペプチド、グルコサミンサルフェート、グルタミン酸および/またはその塩、アスパルテートおよび/またはその塩、プロリン、L-スレオネート、グルコサミンサルフェート、グルタミン、アスパラギンとヒドロキシプロリンからなる群から選択される項目90または91による塩の使用。
【0221】
93.必要とする患者に、ストロンチウムグルタメート塩のある量を投与することを含む、例えばヒトの女性または男性の成人、若者または子供のような哺乳動物における軟骨および/または骨代謝の異常となる軟骨および/また骨疾患および/また症状;例えば骨粗鬆症、骨関節症、大理石骨症、骨減少症とパジェット病、悪性病変の高カルシウム血症、歯周疾患、上皮小体機能亢進症、リウマチ関節炎における関節周囲浸食症、骨形成異常症、骨化性筋炎、ベクテリエフ疾患、悪性高カルシウム血症、骨転移疾患によって生じた溶骨性病変、骨転移疾患による骨痛、性ステロイドホルモン欠乏症による骨欠損、ステロイドホルモン処置による骨異常、癌治療による骨異常、骨軟化症、ベーチェット病、骨化過剰症、転移性骨疾患、固定誘因の骨減少症または骨粗鬆症、グルココルチコイド誘因の骨減少症または骨粗鬆症、骨粗鬆症偽膠腫症候群、突発性若年骨粗鬆症の治療および/または予防;外傷性と非外傷性骨折後の骨折治癒の改善、エネルギーレベルの維持または増大、筋肉組織の構築または増強、および体重増加の方法。
【0222】
94.塩が、無水塩として計算して1日当たり約0.2〜約28gに相当する用量で投与される項目93による方法。
95.塩が、無水塩として計算して1日当たり約0.3〜約25g、例えば1日当たり約0.7〜約20g、1日当たり約1〜約17g、1日当たり1.2g〜16gまたは1日当たり約2g〜約6gに相当する用量で投与される項目93による方法。
96.ストロンチウム含有化合物の付加量を投与することをさらに含む項目93〜95の何れかによる方法。
【0223】
97.グルタメート含有化合物の付加量を投与することをさらに含む項目93〜96の何れかによる方法。
98.ストロンチウム化合物を含有する1以上の第1成分とグルタメート化合物を含有する1以上の第2成分の組合せの治療および/または予防有効量を必要とする患者に投与することを含む、例えばヒトの女性または男性の成人、若者または子供のような哺乳動物における軟骨および/または骨代謝の異常となる軟骨および/また骨疾患および/また症状;例えば骨粗鬆症、骨関節症、大理石骨症、骨減少症とパジェット病、悪性病変の高カルシウム血症、歯周疾患、上皮小体機能亢進症、リウマチ関節炎における関節周囲浸食症、骨形成異常症、骨化性筋炎、ベクテリエフ疾患、悪性高カルシウム血症、骨転移疾患によって生じた溶骨性病変、骨転移疾患による骨痛、性ステロイドホルモン欠乏症による骨欠損、ステロイドホルモン処置による骨異常、癌治療による骨異常、骨軟化症、ベーチェット病、骨化過剰症、転移性骨疾患、固定誘因の骨減少症または骨粗鬆症、グルココルチコイド誘因の骨減少症または骨粗鬆症、骨粗鬆症偽膠腫症候群、突発性若年骨粗鬆症の治療および/または予防;外傷性と非外傷性骨折後の骨折治癒の改善、エネルギーレベルの維持または増大、筋肉組織の構築または増強、および体重増加の方法。
【0224】
99.ストロンチウムの全1日投与量とグルタメートの全1日投与量との重量比が、約0.01〜約4、例えば約0.01〜約4、約0.01〜約2、約0.01〜約1、約0.01〜約0.6、約0.03〜約4、約0.03〜約2、約0.03〜約1、約0.1〜約2、約0.1〜約1、約0.15〜約0.5、約0.2〜約2、約0.3〜約2または約0.4〜約2である項目93〜98の何れかによる方法。
100.ストロンチウムの1日投与量が、少なくとも約0.01g、例えば少なくとも約0.025g、少なくとも約0.050g、少なくとも約0.075g、少なくとも約0.1g、少なくとも約0.2g、少なくとも約0.3g、少なくとも約0.4gまたは少なくとも約0.5g、または約0.01g〜約2g、例えば約0.1g〜約2g、例えば約0.3g〜約2gあるいは約0.3g〜約1gである項目93〜99の何れかによる方法。
【0225】
101.グルタメートの1日用量が、少なくとも約0.5g、例えば少なくとも約1.0g、少なくとも約1.5g、少なくとも約2.0g、少なくとも約2.5g、少なくとも約3.0g、少なくとも約4g、少なくとも約5gまたは約0.5〜10g、約0.5〜7g、約2〜10gまたは約2〜約7gである項目93〜100の何れかによる方法。
102.ストロンチウム成分とグルタメート成分が、医薬組成物の形で投与される項目93〜100の何れかによる方法。
【0226】
103.投与が、1日当たり1回以上行われる項目93〜101の何れかによる方法。
104.投与が、1日当たり2〜5回行われる項目103による方法。
105.ストロンチウム成分とグルタメート成分の投与が同時に行われる項目93〜104の何れかによる方法。
106.ストロンチウム成分とグルタメート成分の投与が逐次的に行われる項目96〜104の何れかによる方法。
【0227】
107.患者が、哺乳動物、例えば、ヒトまたは例えば猫、犬、馬、牛あるいは羊のような家畜である請求項96〜106の何れかによる方法。
108.ビタミンDの1日投与量を投与することをさらに含む項目93〜107の何れかによる方法。
109.ビタミンDがビタミンD3である項目108による方法。
110.ビタミンD3の1日投与量が、約5μg〜約30μg、例えば約10μg〜約20μgである項目109による方法。
【0228】
111.ストロンチウムの1日投与量が、約0.3g〜約1g、グルタメートの1日投与量が約2g〜約7g、かつビタミンD3の1日投与量が約10μg〜約20μgである項目108〜110の何れかによる方法。
112.ストロンチウム、グルタメートとビタミンDの投与が同時に行われる項目108〜110の何れかによる方法。
113.ストロンチウム、グルタメートおよび/またはビタミンDの投与が逐次的に行われる項目108〜110の何れかによる方法。
114.カルシウムの1日投与量を投与することをさらに含む項目93〜113の何れかによる方法。
【0229】
115.カルシウムの1日投与量が、約0.5g〜約2g、例えば約0.5g〜約1.5g、約0.5〜1gと約1g〜約1.5gである項目114による方法。
116.ストロンチウム成分とカルシウムの投与が、同時に行われる項目114または115による方法。
117.ストロンチウム成分とカルシウムの投与が、逐次的に行われる項目114または115による方法。
118.カルシウムが、ストロンチウム成分の投与後、少なくとも0.5時間、例えば少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間、または少なくとも12時間で投与される項目114〜117の何れかによる方法。
【0230】
119.カルシウムが、ストロンチウム成分の投与前、少なくとも0.5時間、例えば少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間、または少なくとも12時間で投与される項目114〜117の何れかによる方法。
120.ストロンチウムとグルタメートが同時に投与され、カルシウムが、ストロンチウムとグルタメートの投与後、少なくとも1時間、例えば少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間または少なくとも12時間で投与される項目114〜118の何れかによる方法。
【0231】
121.ストロンチウムとグルタメートが同時に投与され、カルシウムがストロンチウムとグルタメートの投与前、少なくとも1時間、例えば少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間または少なくとも12時間で投与される項目114〜117の何れかによる方法。
122.ストロンチウムが、約0.3g〜約1gの1日投与量に相当する用量で投与され、グルタメートが約2g〜約7gの1日投与量に相当する用量で投与され、カルシウムの用量が約0.5〜約1gの1日投与量に相当する項目120または121の何れかによる方法。
【0232】
123.ストロンチウム成分が、約0.3g〜約1gの1日投与量に相当する用量で投与され、グルタメートが約2g〜約7gの1日投与量に相当する用量で投与され、ビタミンD3が存在するときは約10μg〜約20μgの1日投与量で投与され、カルシウムの用量は約0.5g〜約1gの1日投与量に相当する項目108〜122の何れかによる方法。
124.ストロンチウム、グルタメート、ビタミンDとカルシウムが、同時に投与される項目108〜123の何れかによる方法。
125.ストロンチウム、グルタメート、ビタミンDおよび/またはカルシウムが、逐次的に投与される項目108〜123の何れかによる方法。
【0233】
126.ストロンチウム、グルタメートとビタミンDが、同時に投与され、カルシウムが、ストロンチウム、グルタメートとビタミンDの投与後、少なくとも1時間、例えば少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間または少なくとも12時間で投与される項目108〜123の何れかによる方法。
【0234】
127.ストロンチウム、グルタメートとビタミンDが同時に投与され、カルシウムが、ストロンチウム、グルタメートとビタミンDの投与前、少なくとも1時間、例えば少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間または少なくとも12時間で投与される項目108〜123の何れかによる方法。
【0235】
128.さらなる活性物質、例えばグルカゴン様ペプチド-2、グルカゴン様ペプチド-2-放出組成物、ビスホスホネート、選択性エストロゲンレセプターモジュレーターカルシトニン、副甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモン関連ペプチド、グルタミン酸および/またはその塩、プロリン、L-スレオネート、グルコサミンサルフェート、グルタミンとヒドロキシプロリンを投与することをさらに含む項目93〜126の何れかによる方法。
129.さらなる活性物質が、副甲状腺ホルモンあるいは、そのフラグメントまたは類似体、または副甲状腺ホルモン関連ペプチドあるいはそのフラグメントまたは類似体である請求項128による方法。
【0236】
130.例えばヒトの女性または男性の成人、若者または子供のような哺乳動物における軟骨および/または骨代謝の異常となる軟骨および/また骨疾患および/また症状;例えば骨粗鬆症、骨関節症、大理石骨症、とパジェット病、悪性病変の高カルシウム血症、歯周疾患、上皮小体機能亢進症、リウマチ関節炎における関節周囲浸食症、骨形成異常症、骨化性筋炎、ベクテリエフ疾患、悪性高カルシウム血症、骨転移疾患によって生じた溶骨性病変、骨転移疾患による骨痛、性ステロイドホルモン欠乏症による骨欠損、ステロイドホルモン処置による骨異常、癌治療による骨異常、骨軟化症、ベーチェット病、骨化過剰症、転移性骨疾患、固定誘因の骨減少症または骨粗鬆症、グルココルチコイド誘因の骨減少症または骨粗鬆症、骨粗鬆症偽膠腫症候群、突発性若年骨粗鬆症の治療および/または予防用;外傷性と非外傷性骨折後の骨折治癒の改善用、エネルギーレベルの維持または増大用、筋肉組織の構築または増強用、および体重増加用に使用のキットに関し、そのキットは、少なくとも第1成分と第2成分を含み、第1成分は、ストロンチウムグルタメートを含み、1以上の第2成分は、i)さらなるストロンチウム含有化合物、ii)さらなるグルタメート含有化合物、iii)カルシウム含有化合物、iv)ビタミンD、v)副甲状腺ホルモンとvi)さらなる活性物質の少なくとも1つを含むキット。
【0237】
131.例えばヒトの女性または男性の成人、若者または子供のような哺乳動物における軟骨および/または骨代謝の異常となる軟骨および/また骨疾患および/また症状;例えば骨粗鬆症、骨関節症、大理石骨症、骨減少症とパジェット病、悪性病変の高カルシウム血症、歯周疾患、上皮小体機能亢進症、リウマチ関節炎における関節周囲浸食症、骨形成異常症、骨化性筋炎、ベクテリエフ疾患、悪性高カルシウム血症、骨転移疾患によって生じた溶骨性病変、骨転移疾患による骨痛、性ステロイドホルモン欠乏症による骨欠損、ステロイドホルモン処置による骨異常、癌治療による骨異常、骨軟化症、ベーチェット病、骨化過剰症、転移性骨疾患、固定誘因の骨減少症または骨粗鬆症、グルココルチコイド誘因の骨減少症または骨粗鬆症、骨粗鬆症偽膠腫症候群、突発性若年骨粗鬆症の治療および/または予防;外傷性と非外傷性骨折後の骨折治癒の改善、エネルギーレベルの維持または増大、筋肉組織の構築または増強、および体重増加に使用のキットで、そのキットは、少なくとも第1成分と第2成分を含み、第1成分は、i)ストロンチウムアルファ−ケトグルタレート、ii)さらなるストロンチウム含有化合物、iii)さらなるアルファ−ケトグルタレート含有化合物、iv)カルシウム含有化合物、v)ビタミンD、vi)副甲状腺ホルモン、vii)さらなる活性物質の少なくとも1つを含み、1以上の第2成分は、i)ストロンチウムグルタメート、ii)さらなるストロンチウム含有化合物、iii)さらなるグルタメート含有化合物、iv)カルシウム含有化合物、v)ビタミンD、vi)副甲状腺ホルモンとvii)さらなる活性物質の少なくとも1つを含むが、但し、第1成分と1以上の第2成分は同一ではないキット。
【0238】
132.さらに、個々の成分の使用に対する指示を含む項目130または131によるキット。133.錠剤の形の項目6〜28の何れかによる医薬組成物。
134.錠剤が、塩の少なくとも一部を、小腸の近部、例えば十二指腸および/または近位空腸中、錠剤中に含まれた塩の全量の少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも65重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%または少なくとも90重量%を放出しうるコーチングで被覆されている、項目133による医薬組成物。
【0239】
135.錠剤が、患者に嚥下を容易にかつ簡便にする形状を有する項目133または項目134による医薬組成物。
136.錠剤が鋭い端のない円形または棒様の形状を有する項目135による医薬組成物。
137.錠剤が2以上の部分に分割されるよう設計されている項目133〜136の何れかによる医薬組成物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室温で水に対する溶解度が1g/l〜100g/lの範囲を有するストロンチウム塩(ストロンチウムマロネートを除く)を含む医薬組成物。
【請求項2】
ストロンチウム塩がストロンチウムと有機酸(マロン酸を除く)との間で形成される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
有機酸が、モノ、ジ、トリまたはクアトロ−カルボン酸である、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
塩が、ストロンチウムグルタメート、ストロンチウムアスパルテート、ストロンチウムマレエート、ストロンチウムアスコルベート、ストロンチウムスレオネート、ストロンチウムラクテート、ストロンチウムピルベート、ストロンチウムアルファ−ケトグルタレートおよびストロンチウムスクシネートからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項5】
塩が、ストロンチウムD-グルタメート、ストロンチウムL-グルタメート、ストロンチウムD-アスパルテート、ストロンチウムL-アスパルテート、ストロンチウムD-スレオネートおよびストロンチウムL-スレオネートからなる群から選択される、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
哺乳動物における軟骨および/または骨代謝の異常となる軟骨および/または骨疾患および/または症状;骨粗鬆症、骨関節症、大理石骨症、骨減少症とパジェット病、悪性病変の高カルシウム血症、歯周疾患、上皮小体機能亢進症、リウマチ関節炎における関節周囲浸食症、骨形成異常症、骨化性筋炎、ベクテリエフ疾患、悪性高カルシウム血症、骨転移疾患によって生じた溶骨性病変、骨転移疾患による骨痛、性ステロイドホルモン欠乏症による骨欠損、ステロイドホルモン処置による骨異常、癌治療による骨異常、骨軟化症、ベーチェット病、骨化過剰症、転移性骨疾患、固定誘因の骨減少症または骨粗鬆症、グルココルチコイド誘因の骨減少症または骨粗鬆症、骨粗鬆症偽膠腫症候群、突発性若年骨粗鬆症の治療および/または予防用;外傷性と非外傷性骨折後の骨折治癒の改善用、エネルギーレベルの維持または増大用、筋肉組織の構築または増強用、および体重増加用のいずれかに用いられる、請求項1〜5のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項7】
経口または非経口投与用に設計されている、請求項1〜6のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項8】
経口投与用の錠剤、カプセル剤、サシエット、散剤、ペレット剤、顆粒剤、粒状剤、混合物、シロップ剤、液剤、懸濁剤または乳剤の形である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
静脈内、筋肉内、関節内もしくは皮下注射用の液剤、懸濁剤または乳剤の形である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
歯または口腔粘膜への適用を意図した練り歯みがきまたは口腔洗浄剤の形である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項11】
室温で水に対する溶解度が1g/l〜100g/lの範囲を有するストロンチウム塩(但し、塩はストロンチウムマロネート、または図1〜3および表2〜5に開示した性質で定義されたストロンチウムL-アスパルテート3水和物もしくはストロンチウムL-グルタメート6水和物ではない)。
【請求項12】
塩が、ストロンチウムと有機酸(マロン酸を除く)との間で形成されている、請求項11に記載のストロンチウム塩。
【請求項13】
有機酸が、モノ、ジ、トリまたはクアトロ−カルボン酸である、請求項12に記載のストロンチウム塩。
【請求項14】
塩が、ストロンチウムグルタメート、ストロンチウムアスパルテート、ストロンチウムマレエート、ストロンチウムアスコルベート、ストロンチウムスレオネート、ストロンチウムラクテート、ストロンチウムピルベート、ストロンチウムアルファ−ケトグルタレートおよびストロンチウムスクシネートからなる群から選択される、請求項11〜13のいずれか一つに記載のストロンチウム塩。
【請求項15】
塩が、ストロンチウムD-グルタメート、ストロンチウムD-アスパルテート、ストロンチウムD-スレオネートおよびストロンチウムL-スレオネートからなる群から選択される、請求項14に記載のストロンチウム塩。
【請求項16】
実施例4に記載のようにして、塩化ストロンチウムとL-グルタミン酸とを反応させて作られ、そこで示すX線回折パターンを有するストロンチウムL-グルタメートである、請求項11〜14のいずれか一つに記載のストロンチウム塩。
【請求項17】
水酸化ストロンチウムと適当な酸(アニオン)とを、水性媒体中、100℃以上の温度で、最大60分間反応させることを含む、室温で1g/l〜100g/lの水に対する溶解度を有するストロンチウム塩の製法。
【請求項18】
水酸化ストロンチウムと有機アニオンとのモル比が少なくとも1:1である、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−167100(P2012−167100A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−95610(P2012−95610)
【出願日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【分割の表示】特願2009−153797(P2009−153797)の分割
【原出願日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(505403979)
【氏名又は名称原語表記】OSTEOLOGIX A/S
【住所又は居所原語表記】c/o Symbion Science Park,Fruebjergvej 3,DK−2100 Copenhagen O,DENMARK
【Fターム(参考)】