説明

水溶性ポリマー分散液及び水溶性ポリマー分散液の製造方法

【課題】有益な性質、例えば、低粘度、ポリマーの高活性含量、及び/又はポリマーの高分子量の組み合わせを示し得る水溶性ポリマーの水溶性分散液及び、ポリマーは疎水性モノマー又は両親媒性モノマーを使用しないで製造する方法を提供する。
【解決手段】少なくとも一種の水溶性モノマーA及び少なくとも一種の水溶性陽イオンモノマーBを水溶液中でポリマー安定剤C及び補助安定剤Dの存在下で重合することを特徴とする水溶性ポリマー分散液の製造方法。その方法は1段階(反応する上記モノマーが1工程で変換されることを意味する)で行なわれ、また無塩反応媒体中で行なわれることが好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規ポリマー分散液及びポリマー分散液の製造方法に関する。本発明はまた抄
紙方法に関する。
【背景技術】
【0002】
陽イオンポリマー、特にアクリルアミドをベースとするコポリマーは石炭及び鉱石工業
では水処理及び廃水処理中に分離方法の実施のためのプロセス助剤として商業上大規模に
使用されるが、特に紙工業では歩留りを改良し、脱水を促進するために使用される。
【0003】
商業上妥当な陽イオンモノマー、例えば、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DAD
MAC)、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド又はアクリロイルオ
キシエチルトリメチルアンモニウムクロリド(MADAM又はADAM)、メタクリロイルオキシ
エチルベンジルジメチルアンモニウムクロリド又はアクリロイルオキシエチルベンジルジ
メチルアンモニウムクロリド(MADAMBQ又はADAMBQ)、或いはトリメチルメタクリルアミ
ドプロピルアンモニウムクロリド(TMAPMA)のラジカル重合は水溶性陽イオンポリマー、所
謂陽イオン高分子電解質をもたらす。対照的に、最も広く行きわたっているノニオン水溶
性ポリマーはアクリルアミドのラジカル重合から生じる。アクリルアミドと陽イオンモノ
マーの共重合は異なる電荷密度を有するコポリマーの生成をもたらし、これは共重合に使
用される陽イオンモノマーの比率に依存し、これはポリマー鎖にとり込まれる。
【0004】
技術水準によれば、これらのポリマーの製造は均一な水溶液又は不均一相中のラジカル
重合により行なわれる。
【0005】
米国特許第5403883号はポリマー分散剤の存在下の水溶性モノマー、疎水性モノマーそ
しておそらく両親媒性モノマーの混合物の重合により生成された、水溶性ポリマーの水性
分散液の製造を記載している。
【0006】
EP 0 664 302は水溶性ポリマー分散液の製造方法を開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は有益な性質、例えば、低粘度、ポリマーの高活性含量、及び/又はポリ
マーの高分子量の組み合わせを示し得る水溶性ポリマーの水溶性分散液を提供することで
ある。また、ポリマーは疎水性モノマー又は両親媒性モノマーを使用しないで製造し得る

【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は少なくとも一種の水溶性モノマーA及び少なくとも一種の水溶性陽イオンモ
ノマーBからつくられた分散ポリマー、少なくとも一種のポリマー安定剤C、及び補助安
定剤Dとしての少なくとも一種の陽イオン高分子電解質を含むことを特徴とする水溶性ポ
リマー分散液により達成される。
【0009】
本発明の更なる目的は低粘度、ポリマーの高活性含量、ポリマーの高分子量を有する水
性ポリマー分散液の製造を可能にする方法を提供することである。同時に、その分散液は
好適にはできるだけ簡単な様式で、また好適には疎水性モノマー又は両親媒性モノマーの
不在下で製造し得るべきである。
【0010】
この目的は少なくとも一種の水溶性モノマーA及び少なくとも一種の水溶性陽イオンモ
ノマーBを水溶液中でポリマー安定剤C及び補助安定剤Dの存在下で重合することを特徴
とする水溶性ポリマー分散液の製造方法により達成される。その方法は1段階(本明細書
中、反応する上記モノマーが1工程で変換されることを意味する)で行なわれることが好
適である。その方法は無塩反応媒体中で行なわれることが好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
“活性含量”は本明細書中分散ポリマー及び安定剤(補助安定剤を含む)の合計含量を
意味する。
【0012】
水溶性ポリマー分散液は夫々ポリマーの分子量に対して、約50モル%から約99モル%ま
で、好ましくは約75モル%から約99モル%まで、最も好ましくは約85モル%から約92モル
%までの少なくとも一種の水溶性モノマーA、及び好適には約1モル%から約50モル%ま
で、好ましくは約1モル%から約25モル%まで、最も好ましくは約8モル%から約15モル
%までの少なくとも一種の水溶性陽イオンモノマーBを含むことが好適である。
【0013】
モノマーAとモノマーBのモル比は好適には約99:1から約50:50まで、好ましくは約95:
5から約75:25まで、最も好ましくは約92:8から約85:15までである。
【0014】
水溶性ポリマー分散液は分散液の合計質量に対して、好適には約0.05重量%から約10重
量%まで、好ましくは約0.1重量%から約5重量%まで、最も好ましくは約0.5重量%から
約2重量%までのポリマー安定剤Cを含む。
【0015】
水溶性ポリマー分散液は分散液の合計質量に対して、好適には約25重量%まで、好まし
くは約1重量%から約25重量%まで、最も好ましくは約3重量%から約15重量%までの補
助安定剤Dを含む。
【0016】
水溶性ポリマー分散液は分散液の合計質量に対して、好適には約1重量%から約50重量
%まで、好ましくは約5重量%から約40重量%まで、最も好ましくは約10重量%から約30
重量%までの分散ポリマーを含む。
【0017】
分散ポリマーの重量平均分子量は好適には少なくとも1,000,000g/モル、好適には約1,0
00,000〜約15,000,000g/モル、好ましくは約3,000,000〜約10,000,000g/モル、最も好ま
しくは約4,000,000〜約7,000,000g/モルである。
【0018】
分散液の合計質量は水を含む、分散液中の全ての成分の質量と定義される。
【0019】
水性ポリマー分散液中の安定剤及び補助安定剤対ポリマーの質量比(C+D)/(A+B)は好適
には1未満、また好適には約0.01から約1まで、好ましくは0.8未満、また好ましくは約0
.1から約0.8まで、最も好ましくは0.6未満、また最も好ましくは約0.3から約0.6までであ
る。
【0020】
本発明の一実施態様によれば、水溶性ポリマー分散液は夫々ポリマーの分子量に対して
約75モル%から約99モル%までの少なくとも一種の水溶性モノマーA及び約1モル%から
約25モル%までの少なくとも一種の水溶性陽イオンモノマーBからつくられた少なくとも
105g/モルの平均分子量Mwを有する分散ポリマー約1重量%から約25重量%まで、夫々分
散液の合計質量に対して、ポリマー安定剤Cとしてのブロック構造を有する少なくとも一
種のコポリマー約0.1重量%から約5重量%まで、補助安定剤Dとしての少なくとも一種
の陽イオン高分子電解質約1重量%から約25重量%まで、及び100重量%までの水の追加
の部分を含み、安定剤及び補助安定剤対ポリマーの質量比が(C+D)/(A+B)<1である。
【0021】
水溶性モノマー、A及びBはビニルモノマーを含むことが好適であり、水溶性モノマー
Aはノニオン性モノマーであり、かつ水溶性モノマーBは陽イオンモノマーであることが
好ましい。ノニオン性モノマーAは一般式I:
【0022】
【化1】

(式中、R1はH、又はメチルであり、R2はH、メチル、エチル、イソプロピル、メチロイ
ル、ヒドロキシエチル、又は2-ヒドロキシプロピルである)
の化合物であることが好ましい。好ましいモノマーAとして、アクリルアミド、メタクリ
ルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、N-t-ブチ
ルアクリルアミド、N-t-ブチルメタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、及びN-
メチロールメタクリルアミドが挙げられる。モノマーAはアクリルアミド又はメタクリル
アミドであることが最も好ましい。
【0023】
モノマーBは一般式II:
【0024】
【化2】

(式中、R1はH、又はメチルであり、R3、R4、R5は互いに独立にH、アルキル(C1-C5
、ベンジル、又はアルキルベンジルであり、AはNH、Oであり、Bはアルキル(C1-C10
又はヒドロキシアルキル(C1-C10)であり、かつX-は陰イオンの対イオン、好適には1価
の陰イオン、例えば、ハロゲンイオン、例えば、塩化物イオン、又は硫酸メチルイオンで
ある)
の化合物であることが好適である。好ましいモノマーBとして、アクリロイル-オキシエ
チル-トリメチルアンモニウムクロリド(ADAM-MQ)、アクリロイルオキシエチル-ベンジル
ジメチル-アンモニウムクロリド(ADAM-BQ)、メタクリロイルオキシエチル-トリメチルア
ンモニウムクロリド(MADAM)、メタクリロイル-オキシエチル-ベンジルジメチルアンモニ
ウムクロリド(MADAM-BQ)、アクリルアミドプロピル-トリメチルアンモニウムクロリド(TM
APAA)、アクリルアミドプロピル-ベンジル-ジメチルアンモニウムクロリド(BDMAPAA)、メ
タクリル-アミドプロピル-トリメチルアンモニウムクロリド(TMAPMA)、及びメタクリルア
ミドプロピル-ベンジルジメチルアンモニウムクロリド(BDMAPMA)が挙げられる。
【0025】
モノマーA及びBから生成された本ポリマーは疎水性モノマー及び両親媒性モノマーの
不在下で調製し得る。しかしながら、疎水性モノマー及び両親媒性モノマーはまた、勿論
、存在し得る。好適な疎水性モノマーの例として、スチレン、α-メチルスチレン、p-メ
チルスチレン、p-ビニルトルエン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン、ビニ
ルシクロオクタン、イソブテン、2-メチルブテン-1、ヘキセン-1、2-メチルヘキセン-1、
2-プロピルヘキセン-1、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレ
ート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレー
ト、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチル
メタクリレート、ペンチルアクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルアクリレー
ト、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルアクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチ
ルアクリレート、オクチルメタクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロペンチ
ルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、3,3,
5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルメタクリレ
ート、シクロオクチルアクリレート、シクロオクチルメタクリレート、フェニルアクリレ
ート、フェニルメタクリレート、4-メチルフェニルアクリレート、4-メチルフェニルメタ
クリレート、4-メトキシフェニルアクリレート、4-メトキシフェニルメタクリレートが挙
げられる。更に、エチレン、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、塩化ビニル又は重合性
二重結合を有するその他の主として(芳香族)脂肪族の化合物が使用し得る。好ましい疎
水性モノマーの例として、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリ
レート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレ
ート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチ
ルメタクリレート、ペンチルアクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルアクリレ
ート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルアクリレート、ヘプチルメタクリレート、オク
チルアクリレート、オクチルメタクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロペン
チルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、3,
3,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルメタクリ
レート、シクロオクチルアクリレート、シクロオクチルメタクリレート、フェニルアクリ
レート、フェニルメタクリレート、4-メチルフェニルアクリレート、4-メチルフェニルメ
タクリレート、4-メトキシフェニルアクリレート及び4-メトキシフェニルメタクリレート
が挙げられる。疎水性モノマーの量は分散ポリマー中好適には5モル%未満、好ましくは
1モル%未満である。
【0026】
ポリマー安定剤Cはジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ビニルピリジニ
ウムクロリド、N-ビニルイミダゾリンクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウム
クロリド又はこれらの混合物である少なくとも一種のモノマー、及び/又は一般式IIの化
合物、並びに一般式III、IV、及びVの少なくとも一つの少なくとも一種の化合物からつ
くられたコポリマーであることが好適である。本発明の一実施態様において、ポリマー安
定剤Cはランダムコポリマーであることが好適である。この場合、そのポリマー安定剤C
は一般式III又はVの少なくとも一つの化合物に由来するモノマー単位を含むことが好適
である。本発明の別の実施態様において、ポリマー安定剤Cはブロックコポリマーである
ことが好適である。この場合、そのポリマー安定剤Cは一般式IVの化合物に由来するモノ
マー単位を含むことが好適である。この場合、そのポリマー安定剤Cはまた一般式III及
び/又はVの化合物に由来するモノマー単位を含んでもよい。
【0027】
一般式IIIの化合物は一官能性アリル末端ポリエーテルである。
【0028】
【化3】

(式中、R1はH、又はメチルであり、R6は互いに独立にH、メチル、又はエチルであり、
nは1又は3であり、mは1から3までであり、xは5から50までであり、かつyは5か
ら50までである)
一般式IVの化合物はマクロ開始剤である。
【0029】
【化4】

(式中、R1はH、又はメチルであり、R6は互いに独立にH、メチル、又はエチルであり、
R7、R8は互いに独立にアルキル、シアノアルキル、又はカルボアルコキシアルキル、(C1-
C8)であり、nは1又は3であり、かつxは5から100までである)
一般式Vの化合物は一官能性ビニル末端ポリエーテルである。
【0030】
【化5】

(式中、R1はH、又はメチルであり、R6はH、メチル、又はエチルであり、nは1又は3
であり、かつxは5から50までである)
ポリマー安定剤Cはまた上記コポリマーの混合物であってもよい。
【0031】
ポリマー安定剤Cは好適には約80モル%から約99.9モル%まで、好ましくは約90モル%
から約99モル%まで、最も好ましくは約92モル%から約98.5モル%までの、陽イオンモノ
マーIIの群に属している一種以上のモノマーを含む。
【0032】
ポリマー安定剤Cは好適には約0.1モル%から約20モル%まで、好ましくは約1モル%
から約10モル%まで、最も好ましくは約1.5モル%から約8モル%までの、一般式IV、V
、及びVIに属している一種以上のモノマーを含む。
【0033】
ポリマー安定剤Cは好適には約20,000〜約3,000,000g/モル、好ましくは約100,000〜約
2,000,000g/モル、最も好ましくは約200,000〜約800,000g/モルの分子量を有する。
【0034】
補助安定剤Dは陽イオン高分子電解質又は陽イオンポリマーであることが好適である。
好適な補助安定剤Dの例はDADMAC、N-トリメチルアンモニウムプロピルアクリルアミド、
アクリロイルエチルトリメチルアンモニウムクロリド、メタクリロイルエチルトリメチル
アンモニウムクロリド、ADAM BQ、及びビニルピリジン、好ましくはDADMAC又はN-トリメ
チルアンモニウムプロピルアクリルアミド、最も好ましくはDADMACのポリマー及びコポリ
マーである。これらは必要により、アクリルアミド、メタクリルアミドの如きノニオン性
モノマーと組み合わされてもよい。好適な補助安定剤Dの更なる例はポリエチレンイミン
、及びポリアミンである。
【0035】
補助安定剤Dは好適には約1,000〜約500,000g/モル、好ましくは約2,000〜約100,000g/
モル、最も好ましくは約3,000〜約10,000g/モルの分子量を有する。補助安定剤Dはまた
上記分子量を有する異なる陽イオン高分子電解質の混合物であってもよい。
【0036】
水性ポリマー分散液は無塩分散液であることが好適である。“無塩”は実質的な量の無
機多価陰イオン塩が存在しないことを本明細書で意味する。“実質的な量”は好適には約
1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、最も好ましくは0.1重量%未満を本明細書で意
味する。
【0037】
本発明の水溶性ポリマー分散液はまた比較的高い活性含量で比較的低い粘度を示す。こ
れはポリマー分散液を取り扱い、加工する能力の実質的な改良をもたらす。水溶性ポリマ
ー分散液の25℃におけるブルックフィールド粘度は好適には約100〜約10,000mPas、好ま
しくは約500〜約5,000mPas、最も好ましくは約1,000〜約3,000mPasである。
【0038】
ポリマー安定剤C又は安定剤混合物の親水性-疎水性バランスは使用される補助安定剤
又は使用される補助安定剤混合物に関して最適化されることが好適である。
【0039】
その方法は無塩反応媒体中の重合を含むことが好適である。重合はラジカル開始剤の存
在下で行なわれることが好適である。水溶性過酸化物又は水溶性アゾ開始剤、例えば、V5
0、VA044(和光社)がラジカル開始剤として使用されることが好適である。反応混合物中
の開始剤の量は分散液の合計質量に対して好適には約10-5重量%から約1重量%まで、好
ましくは約10-4重量%から約10-1重量%までである。開始剤は重合の開始時に全部添加し
得るが、投与が重合の全経過にわたって行なわれることがまた可能である。同様に、モノ
マーA)及びB)は全部添加でき、又は重合の全経過にわたって流入物として添加し得る。重
合温度は好適には約0℃から約100℃まで、好ましくは約40℃から約80℃までである。
【0040】
その方法は保護ガス、例えば、アルゴン雰囲気下で行なわれることが好ましい。最終転
化率はモノマーA及びBに関して好適には99重量%以上、好ましくは99.9重量%以上であ
る。反応期間は約1時間から約24時間までであることが好適である。
【0041】
更に、本発明は上記方法により得られる水溶性ポリマー分散液に関する。
【0042】
水溶性ポリマー分散液は水処理及び廃水処理、石炭及び鉱石工業において分離方法の実
施のためのプロセス助剤として大規模で使用されることが好適であるが、特に紙工業にお
いて歩留りを改良し、脱水を促進するために使用されることが好適である。
【0043】
こうして、本発明は更に製紙のための歩留り助剤として、増粘剤として、かつ/又は土
壌改良剤としてのポリマー分散液の使用に関する。有機溶媒の好ましい不在は、例えば、
製紙のための歩留り向上手段としての、本発明のポリマー分散液の安全な取扱及びエコロ
ジー上安全な使用を確実にする。
【0044】
最後に、本発明は懸濁液に本発明の水溶性ポリマー分散液を添加し、その懸濁液をワイ
ヤ上で成形し、脱水することを特徴とする、セルロース繊維、及び任意のてん料を含む水
性懸濁液からの紙の製造方法を含む。好適には、一種以上の付加的な成分が懸濁液に添加
し得る。このような付加的な成分の例として、陰イオン有機粒子、例えば、シリカをベー
スとする粒子及びベントナイト、並びに陰イオンポリマー及び陽イオンポリマーが挙げら
れる。
【0045】
本発明の主題が今前記主題をこれらの実施態様の範囲に限定しないで下記の実施例に関
して更に詳しく説明されることが意図されている。
【0046】
実施例
【実施例1】
【0047】
50%のAAM水溶液142g、80%のADAM-BQ水溶液37g、ブロックコポリエーテル変性された
、安定剤ポリ-DADMAC(HLB6.9、10モル%)10g、30%のポリ-TMAPMA水溶液200g、10%のE
DTA溶液5g、グリセリン10g及び水595gを反応器中でアルゴンで脱気し、撹拌中50℃に加熱
する。次に、1%のV50水溶液1mlを添加する。6時間後、その温度を60℃に上昇させ、10
%のV50溶液3mlを添加する。その重合を更に2時間後に終了する。
【実施例2】
【0048】
50%のAAm水溶液142g、80%のADAM-BQ水溶液37g、安定剤ポリ-(DADMAC/ADAM-MQ/PEG-ア
クリレート)(45/45/10モル%)10g、30%のポリ-TMAPMA水溶液200g、10%のEDTA溶液5g
、グリセリン10g及び水595gを反応器中でアルゴンで脱気し、撹拌中50℃に加熱する。次
に、1%のV50水溶液1mlを添加する。6時間後、その温度を60℃に上昇させ、10%のV50
溶液3mlを添加する。その重合を更に2時間後に終了する。
【実施例3】
【0049】
50%のAAm水溶液142g、80%のADAM-BQ水溶液37g、ブロックコポリエーテル変性された
、安定剤ポリ-DADMAC(HLB6.9、10モル%)5g、安定剤ポリ-(DADMAC/ADAM-MQ/PEG-アクリ
レート)(45/45/10モル%)5g、30%のポリ-TMAPMA水溶液200g、10%のEDTA溶液5g、グリ
セリン10g及び水595gを反応器中でアルゴンで脱気し、撹拌中50℃に加熱する。次に、1
%のV50水溶液1mlを添加する。6時間後、その温度を60℃に上昇させ、10%のV50溶液3ml
を添加する。その重合を更に2時間後に終了する。
【実施例4】
【0050】
50%のAAm水溶液142g、80%のADAM-BQ水溶液37g、ブロックコポリエーテル変性された
、安定剤ポリ-DADMAC(HLB6.9、10モル%)10g、40%のポリ-DADMAC水溶液150g、10%のE
DTA溶液5g、グリセリン10g及び水645gを反応器中でアルゴンで脱気し、撹拌中50℃に加熱
する。次に、1%のV50水溶液1mlを添加する。6時間後、その温度を60℃に上昇させ、10
%のV50溶液3mlを添加する。その重合を更に2時間後に終了する。
【実施例5】
【0051】
50%のAAm水溶液142g、80%のADAM-BQ水溶液37g、ブロックコポリエーテル変性された
、安定剤ポリ-DADMAC(HLB6.9、10モル%)10g、40%のポリ-DADMAC水溶液150g、10%のE
DTA溶液5g、グリセリン10g及び水645gを反応器中でアルゴンで脱気し、撹拌中50℃に加熱
する。次に、1%のV50水溶液1mlを添加する。6時間後、その温度を60℃に上昇させ、10
%のV50溶液3mlを添加する。その重合を更に2時間後に終了する。
【実施例6】
【0052】
50%のAAm水溶液142g、80%のADAM-BQ水溶液37g、ブロックコポリエーテル変性された
、安定剤ポリ-DADMAC(HLB6.9、10モル%)5g、安定剤ポリ-(DADMAC/ADAM-MQ/PEG-アクリ
レート)(45/45/10モル%)5g、40%のポリ-DADMAC水溶液150g、10%のEDTA溶液5g、グリ
セリン10g及び水645gを反応器中でアルゴンで脱気し、撹拌中50℃に加熱する。次に、1
%のV50水溶液1mlを添加する。6時間後、その温度を60℃に上昇させ、10%のV50溶液3ml
を添加する。その重合を更に2時間後に終了する。
【実施例7】
【0053】
50%のAAm水溶液142g、80%のADAM-BQ水溶液37g、ブロックコポリエーテル変性された
、安定剤ポリ-DADMAC(HLB6.9、10モル%)5g、安定剤ポリ-(DADMAC/ADAM-MQ)(70/30モ
ル%)5g、40%のポリ-DADMAC水溶液150g、10%のEDTA溶液5g、グリセリン10g及び水645g
を反応器中でアルゴンで脱気し、撹拌中50℃に加熱する。次に、1%のV50水溶液1mlを添
加する。6時間後、その温度を60℃に上昇させ、10%のV50溶液3mlを添加する。その重合
を更に2時間後に終了する。
【実施例8】
【0054】
50%のAAm水溶液142g、80%のADAM-BQ水溶液37g、ブロックコポリエーテル変性された
、安定剤ポリ-DADMAC(HLB6.9、10モル%)5g、安定剤ポリ-(DADMAC/ADAM-MQ)(50/50モ
ル%)5g、40%のポリ-DADMAC水溶液150g、10%のEDTA溶液5g、グリセリン10g及び水645g
を反応器中でアルゴンで脱気し、撹拌中50℃に加熱する。次に、1%のV50水溶液1mlを添
加する。6時間後、その温度を60℃に上昇させ、10%のV50溶液3mlを添加する。その重合
を更に2時間後に終了する。
【実施例9】
【0055】
50%のAAm水溶液142g、80%のADAM-BQ水溶液37g、ブロックコポリエーテル変性された
、安定剤ポリ-DADMAC(HLB6.9、10モル%)5g、安定剤ポリ-(DADMAC/ADAM-MQ)(70/30モ
ル%)5g、30%のポリ-TMAPMA水溶液200g、10%のEDTA溶液5g、グリセリン10g及び水595g
を反応器中でアルゴンで脱気し、撹拌中50℃に加熱する。次に、1%のV50水溶液1mlを添
加する。6時間後、その温度を60℃に上昇させ、10%のV50溶液3mlを添加する。その重合
を更に2時間後に終了する。
【実施例10】
【0056】
50%のAAm水溶液142g、80%のADAM-BQ水溶液37g、ブロックコポリエーテル変性された
、安定剤ポリ-DADMAC(HLB6.9、10モル%)5g、安定剤ポリ-(DADMAC/ADAM-MQ)(50/50モ
ル%)5g、30%のポリ-TMAPMA水溶液200g、10%のEDTA溶液5g、グリセリン10g及び水695g
を反応器中でアルゴンで脱気し、撹拌中50℃に加熱する。次に、1%のV50水溶液1mlを添
加する。6時間後、その温度を60℃に上昇させ、10%のV50溶液3mlを添加する。その重合
を更に2時間後に終了する。
【実施例11】
【0057】
50%のAAm水溶液213g、80%のADAM-BQ水溶液45g、ブロックコポリエーテル変性された
、安定剤ポリ-DADMAC(HLB6.9、10モル%)5g、安定剤ポリ-(DADMAC/ADAM-MQ)(70/30モ
ル%)5g、30%のポリ-TMAPMA水溶液200g、10%のEDTA溶液5g、グリセリン10g及び水505.
5gを反応器中でアルゴンで脱気し、撹拌中50℃に加熱する。次に、1%のV50水溶液1mlを
添加する。夫々、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間後に、80%のADAM-BQ水溶液2
.1gを数回に分けて添加する。6時間後、その温度を60℃に上昇させ、10%のV50溶液3ml
を添加する。その重合を更に2時間後に終了する。
【実施例12】
【0058】
50%のAAm水溶液213g、80%のADAM-BQ水溶液45g、ブロックコポリエーテル変性された
、安定剤ポリ-DADMAC(HLB6.9、10モル%)5g、安定剤ポリ-(DADMAC/ADAM-MQ/PEG-アクリ
レート)(45/45/10モル%)5g、40%のポリ-DADMAC水溶液150g、10%のEDTA溶液5g、グリ
セリン10g及び水555.5gを反応器中でアルゴンで脱気し、撹拌中50℃に加熱する。次に、
1%のV50水溶液1mlを添加する。夫々、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間後に、
80%のADAM-BQ水溶液2.1gを数回に分けて添加する。6時間後、その温度を60℃に上昇さ
せ、10%のV50溶液3mlを添加する。その重合を更に2時間後に終了する。
【実施例13】
【0059】
50%のAAm水溶液213g、80%のADAM-BQ水溶液45g、ブロックコポリエーテル変性された
、安定剤ポリ-DADMAC(HLB6.9、10モル%)5g、安定剤ポリ-(DADMAC/ADAM-MQ/PEG-アクリ
レート)(45/45/10モル%)5g、40%のポリ-DADMAC水溶液112.5g、30%のポリ-TMAPMA水
溶液150g、10%のEDTA溶液5g、グリセリン10g及び水443gを反応器中でアルゴンで脱気し
、撹拌中50℃に加熱する。次に、1%のV50水溶液1mlを添加する。夫々、1時間、2時間
、3時間、4時間、5時間後に、80%のADAM-BQ水溶液2.1gを数回に分けて添加する。6
時間後、その温度を60℃に上昇させ、10%のV50溶液3mlを添加する。その重合を更に2時
間後に終了する。
【実施例14】
【0060】
50%のAAm水溶液213g、80%のADAM-BQ水溶液45g、ブロックコポリエーテル変性された
、安定剤ポリ-DADMAC(HLB6.9、10モル%)5g、安定剤ポリ-(DADMAC/ADAM-MQ)(70/30モ
ル%)5g、40%のポリ-DADMAC水溶液112.5g、30%のポリ-TMAPMA水溶液150g、1%のEDTA
溶液5g、グリセリン10g及び水443gを反応器中でアルゴンで脱気し、撹拌中50℃に加熱す
る。次に、1%のV50水溶液1mlを添加する。夫々、1時間、2時間、3時間、4時間、5
時間後に、80%のADAM-BQ水溶液2.1gを数回に分けて添加する。6時間後、その温度を60
℃に上昇させ、10%のV50溶液3mlを添加する。その重合を更に2時間後に終了する。
【実施例15】
【0061】
50%のAAM水溶液142g、80%のADAM-BQ水溶液37g、ブロックコポリエーテル変性された
、安定剤ポリ-DADMAC(HLB6.9、10モル%)10g、30%のポリ-TMAPMA水溶液200g、10%のE
DTA溶液5g、グリセリン10g及び水595gを反応器中でアルゴンで脱気し、撹拌中50℃に加熱
する。次に、1%のV50水溶液1mlを添加する。6時間後、その温度を60℃に上昇させ、10
%のV50溶液3mlを添加する。その重合を更に2時間後に終了する。
【実施例16】
【0062】
50%のAAm水溶液142g、80%のADAM-BQ水溶液37g、安定剤ポリ-(ADAM-MQ/ADAM-BQ)-b-PE
G10g、30%のポリ-TMAPMA水溶液200g、10%のEDTA溶液5g、グリセリン10g及び水595gを反
応器中でアルゴンで脱気し、撹拌中50℃に加熱する。次に、1%のV50水溶液1mlを添加す
る。6時間後、その温度を60℃に上昇させ、10%のV50溶液3mlを添加する。その重合を更
に2時間後に終了する。
【実施例17】
【0063】
50%のAAm水溶液142g、80%のADAM-BQ水溶液37g、ブロックコポリエーテル変性された
、安定剤ポリ-DADMAC(HLB6.9、10モル%)5g、安定剤ポリ-(ADAM-MQ/ADAM-BQ)-b-PEG5g
、30%のポリ-TMAPMA水溶液200g、10%のEDTA溶液5g、グリセリン10g及び水595gを反応器
中でアルゴンで脱気し、撹拌中50℃に加熱する。次に、1%のV50水溶液1mlを添加する。
6時間後、その温度を60℃に上昇させ、10%のV50溶液3mlを添加する。その重合を更に2
時間後に終了する。
【実施例18】
【0064】
50%のAAm水溶液142g、80%のADAM-BQ水溶液37g、ブロックコポリエーテル変性された
、安定剤ポリ-DADMAC(HLB6.9、10モル%)10g、40%のポリ-DADMAC水溶液150g、10%のE
DTA溶液5g、グリセリン10g及び水645gを反応器中でアルゴンで脱気し、撹拌中50℃に加熱
する。次に、1%のV50水溶液1mlを添加する。6時間後、その温度を60℃に上昇させ、10
%のV50溶液3mlを添加する。その重合を更に2時間後に終了する。
【実施例19】
【0065】
50%のAAm水溶液142g、80%のADAM-BQ水溶液37g、安定剤ポリ-(ADAM-MQ/ADAM-BQ)-b-PE
G10g、40%のポリ-DADMAC水溶液150g、10%のEDTA溶液5g、グリセリン10g及び水645gを反
応器中でアルゴンで脱気し、撹拌中50℃に加熱する。次に、1%のV50水溶液1mlを添加す
る。6時間後、その温度を60℃に上昇させ、10%のV50溶液3mlを添加する。その重合を更
に2時間後に終了する。
【実施例20】
【0066】
50%のAAm水溶液142g、80%のADAM-BQ水溶液37g、ブロックコポリエーテル変性された
、安定剤ポリ-DADMAC(HLB6.9、10モル%)5g、安定剤ポリ-(ADAM-MQ/ADAM-BQ)-b-PEG5g
、40%のポリ-DADMAC水溶液150g、10%のEDTA溶液5g、グリセリン10g及び水645gを反応器
中でアルゴンで脱気し、撹拌中50℃に加熱する。次に、1%のV50水溶液1mlを添加する。
6時間後、その温度を60℃に上昇させ、10%のV50溶液3mlを添加する。その重合を更に2
時間後に終了する。
【実施例21】
【0067】
50%のAAm水溶液213g、80%のADAM-BQ水溶液45g、ブロックコポリエーテル変性された
、安定剤ポリ-DADMAC(HLB6.9、10モル%)5g、安定剤ポリ-(ADAM-MQ/ADAM-BQ)-b-PEG5g
、40%のポリ-DADMAC水溶液75g、30%のポリ-TMAPMA水溶液100g、10%のEDTA溶液5g、グ
リセリン10g及び水530.5gを反応器中でアルゴンで脱気し、撹拌中50℃に加熱する。次に
、1%のV50水溶液1mlを添加する。夫々、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間後に
、80%のADAM-BQ水溶液2.1gを数回に分けて添加する。6時間後、その温度を60℃に上昇
させ、10%のV50溶液3mlを添加する。その重合を更に2時間後に終了する。
【実施例22】
【0068】
50%のAAm水溶液213g、80%のADAM-BQ水溶液45g、ブロックコポリエーテル変性された
、安定剤ポリ-DADMAC(HLB6.9、10モル%)5g、安定剤ポリ-(ADAM-MQ/ADAM-BQ)-b-PEG5g
、40%のポリ-DADMAC水溶液112.5g、30%のポリ-TMAPMA水溶液150g、10%のEDTA溶液5g、
グリセリン10g及び水443gを反応器中でアルゴンで脱気し、撹拌中50℃に加熱する。次に
、1%のV50水溶液1mlを添加する。夫々、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間後に
、80%のADAM-BQ水溶液2.1gを数回に分けて添加する。6時間後、その温度を60℃に上昇
させ、10%のV50溶液3mlを添加する。その重合を更に2時間後に終了する。
【実施例23】
【0069】
50%のAAm水溶液142g、80%のADAM-BQ水溶液37g、ブロックコポリエーテル変性された
、安定剤ポリ-DADMAC(HLB6.9、10モル%)5g、安定剤ポリ-(ADAM-MQ/ADAM-BQ)-b-PEG5g
、40%のポリ-DADMAC水溶液112.5g、30%のポリ-TMAPMA水溶液150g、10%のEDTA溶液5g、
グリセリン10g及び水353.5gを反応器中でアルゴンで脱気し、撹拌中50℃に加熱する。次
に、1%のV50水溶液1mlを添加する。5時間後に、50%のAAm水溶液142g及び80%のADAM-
BQ水溶液37gの混合物を10時間にわたって数回に分けて添加する。18時間後、その温度を6
0℃に上昇させ、10%のV50溶液3mlを添加する。その重合を更に2時間後に終了する。
【実施例24】
【0070】
(適用試験):
抄紙方法における歩留まり及び脱水に関する適用試験を行なった。7mS/cmの導電率を有
する完成紙料4g/Lに、本発明のポリマー分散液及び補助安定剤Dを含まない参考例として
の同様の市販のポリマー分散液を添加した。
【0071】
濁度(NTU)及び保持時間(秒)を異なるポリマー使用量で測定した。
【0072】
本発明の2種の異なるポリマー分散液(I)及び(II)を試験した。第一ポリマー分散液(I)
を実施例2に記載された操作に従って製造したが、ポリ-TMAPMA溶液に代えてポリ-DADMAC
水溶液を使用し、比C+D/A+Bが約0.5であるようにモノマーA及びB、並びに安定剤C及び
補助安定剤Dの量を選んだ。活性含量は32重量%であった。
【0073】
第二ポリマー分散液(II)を実施例2に記載された一般操作に従って製造したが、実施例
22に従って、比C+D/A+Bが約0.5であるようにモノマーA及びB、並びに安定剤C及び補助
安定剤Dの量を選んだ。活性含量は26重量%であった。
【0074】
歩留り/脱水試験を二つの異なる試験の場合で、こうして異なる完成紙料バッチで行な
った。
【0075】
【表1】

【0076】
【表2】

プロセス粘度は本発明の両方の分散液について3000mPasより低かった。本発明の分散剤
を使用する分散液は歩留り及び脱水において優れた結果を示すと結論される。
【実施例25】
【0077】
沈降安定性として測定される、貯蔵寿命を実施例24のポリマー分散液(I)及び(II)につ
いて試験した。分散液のサンプルを30分間にわたって3000rpmで遠心分離した。ポリマー
沈降の量を夫々のサンプルについて測定した。
【0078】
【表3】

長い貯蔵寿命を有するポリマー分散液が、また高い活性含量で、本発明により得られる
と結論される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−少なくとも一種の水溶性モノマーA及び少なくとも一種の水溶性陽イオンモノマーB
からつくられた分散ポリマー、
−少なくとも一種の安定剤C、及び
−補助安定剤Dとしての少なくとも一種の陽イオン高分子電解質
を含むことを特徴とする水溶性ポリマー分散液。
【請求項2】
夫々分散液の合計質量に対して
−約75モル%から約99モル%までの少なくとも一種の水溶性モノマーA及び
−約1モル%から約25モル%までの少なくとも一種の水溶性陽イオンモノマーB
−からつくられた少なくとも105g/モルの平均分子量Mwを有する分散ポリマー約1重量
%から約25重量%まで、
−安定剤Cとしての少なくとも一種のコポリマー約0.1重量%から約5重量%まで、
−補助安定剤Dとしての少なくとも一種の陽イオン高分子電解質約1重量%から約25重
量%まで、及び
100重量%までの水の追加の部分
を含み、ポリマーに対する安定剤及び補助安定剤の質量比が(C+D)/(A+B)<1であること
を特徴とする水溶性ポリマー分散液。
【請求項3】
少なくとも一種の水溶性モノマーA及び少なくとも一種の水溶性陽イオンモノマーBを
水溶液中でポリマー安定剤C及び補助安定剤Dの存在下で重合することを特徴とする水溶
性ポリマー分散液の製造方法。
【請求項4】
約75モル%から約99モル%までの少なくとも一種の水溶性モノマーA及び約1モル%か
ら約25モル%までの少なくとも一種の水溶性陽イオンモノマーBを含むことを特徴とする
、請求項1記載の水溶性ポリマー分散液、又は請求項3記載の方法。
【請求項5】
ポリマー安定剤Cが約0.1重量%から約5重量%までの量で存在することを特徴とする
、請求項1又は4のいずれか1項記載の水溶性ポリマー分散液、又は請求項3から4のい
ずれか1項記載の方法。
【請求項6】
補助安定剤Dが約25重量%までの量で存在することを特徴とする、請求項1又は4から
5のいずれか1項記載の水溶性ポリマー分散液、又は請求項3から5のいずれか1項記載
の方法。
【請求項7】
ポリマー分散液が約1重量%から約25重量%までの分散ポリマーを含むことを特徴とす
る、請求項1又は4から6のいずれか1項記載の水溶性ポリマー分散液又は請求項3から
6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
分散ポリマーに対する安定剤及び補助安定剤の質量比が(C+D)/(A+B)<1であることを
特徴とする、請求項1又は4から7のいずれか1項記載の水溶性ポリマー分散液、又は請
求項3から7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
モノマーAが一般式I
【化1】

(式中、
R1はH、又はメチルであり、
R2はH、メチル、エチル、イソプロピル、メチロイル、ヒドロキシエチル、又は2-ヒド
ロキシプロピルである)
の化合物であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項記載の水溶性ポリマー
分散液、又は請求項3から8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
モノマーBが一般式II
【化2】

(式中、
R1はH、又はメチルであり、
R3、R4、R5は互いに独立にH、アルキル(C1-C5)、ベンジル、又はアルキルベンジル
であり、
AはNH、Oであり、
Bはアルキル(C1-C10)又はヒドロキシアルキル(C1-C10)であり、
X-は陰イオン対イオンである)
の化合物であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項記載の水溶性ポリマー
分散液、又は請求項3から9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
ポリマーが分散液の合計質量に対して5〜20重量%の濃度で存在することを特徴とする
、請求項1から10のいずれか1項記載の水溶性ポリマー分散液、又は請求項3から10
のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
ポリマー安定剤Cが20,000〜3,000,000g/モルの分子量を有することを特徴とする、請
求項1から11のいずれか1項記載の水溶性ポリマー分散液、又は請求項3から11のい
ずれか1項記載の方法。
【請求項13】
ポリマー安定剤Cが0.5〜2重量%の濃度で存在することを特徴とする、請求項1から
12のいずれか1項記載の水溶性分散液、又は請求項3から12のいずれか1項記載の方
法。
【請求項14】
ポリマー安定剤Cがブロックコポリマーであることを特徴とする、請求項1から13の
いずれか1項記載の水溶性ポリマー分散液、又は請求項3から13のいずれか1項記載の
方法。
【請求項15】
ポリマー安定剤Cが
−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ビニルピリジニウムクロリド、N-
ビニルイミダゾリンクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド及びこれ
らの混合物からなる群から選ばれた、少なくとも一種のモノマー、及び/又は
−一般式IIの化合物、及び
−一般式III
【化3】

(式中、
R1はH、又はメチルであり、
R6は互いに独立にH、メチル、又はエチルであり、
nは1又は3であり、
xは5〜50であり、かつ
yは5〜50である)
の少なくとも一種の一官能性アリル末端ポリエーテル
を含むコポリマーであることを特徴とする、請求項1から14のいずれか1項記載の水溶
性ポリマー分散液、又は請求項3から14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
ポリマー安定剤Cが
−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ビニルピリジニウムクロリド、N-
ビニルイミダゾリンクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド及びこれ
らの混合物からなる群から選ばれた、少なくとも一種のモノマー、及び/又は
−一般式IIの化合物、及び
−一般式IV
【化4】

(式中、
R1はH、又はメチルであり、
R6は互いに独立にH、メチル、又はエチルであり、
R7、R8は互いに独立にアルキル、シアノアルキル、カルボアルコキシアルキル(C1-C6
)であり、
nは1又は3であり、かつ
xは5〜100である)
の少なくとも一種のマクロ開始剤
を含むコポリマーであることを特徴とする、請求項1から14のいずれか1項記載の水溶
性ポリマー分散液、又は請求項3から14のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
安定剤Cがランダムコポリマーであることを特徴とする、請求項1から13のいずれか
1項記載の水溶性ポリマー分散液、又は請求項3から13のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
ポリマー安定剤Cが
−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ビニルピリジニウムクロリド、N-
ビニルイミダゾリンクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド及びこれ
らの混合物からなる群から選ばれた、少なくとも一種のモノマー、及び/又は
−一般式IIの化合物、及び
−一般式V
【化5】

(式中、
R1はH、又はメチルであり、
R6はH、メチル、又はエチルであり、
nは1又は3であり、かつ
xは5〜50である)
の一官能性ビニル末端ポリエーテル
を含むコポリマーであることを特徴とする、請求項1から13又は17のいずれか1項記
載の水溶性ポリマー分散液、又は請求項3から13又は17のいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
補助安定剤Dが1,000〜500,000g/モルの分子量を有する陽イオン高分子電解質であるこ
とを特徴とする、請求項1から18のいずれか1項記載の水溶性ポリマー分散液、又は請
求項3から18のいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
ポリマー分散液が実質的に無機多価塩を含まないことを特徴とする、請求項1から19
のいずれか1項記載の水溶性ポリマー分散液、又は請求項3から19のいずれか1項記載
の方法。
【請求項21】
その方法を1段階で行なうことを特徴とする、請求項3から20のいずれか1項記載の
水溶性ポリマー分散液の製造方法。
【請求項22】
重合を無塩反応媒体中で行なうことを特徴とする、請求項3から21のいずれか1項記
載の方法。
【請求項23】
請求項3から22のいずれか1項記載の方法により得られる水溶性ポリマー分散液。
【請求項24】
紙製造のための歩留り助剤として、増粘剤として、かつ/又は土壌改良剤としての請求
項1から20又は23のいずれか1項記載の水溶性ポリマー分散液の使用。
【請求項25】
懸濁液に請求項1から20又は23のいずれか1項記載の水溶性ポリマー分散液を添加
し、その懸濁液をワイヤ上で成形し、脱水することを特徴とする、セルロース繊維、及び
任意のてん料を含む水性懸濁液からの紙の製造方法。

【公開番号】特開2011−219761(P2011−219761A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98932(P2011−98932)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【分割の表示】特願2004−506375(P2004−506375)の分割
【原出願日】平成15年5月15日(2003.5.15)
【出願人】(390009612)アクゾ ノーベル ナムローゼ フェンノートシャップ (132)
【氏名又は名称原語表記】Akzo Nobel N.V.
【Fターム(参考)】