説明

水溶性放射線硬化性生成物及びその使用方法

少なくとも1種の超分岐ポリウレタン(a)と1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)とを反応させながら又は反応させることなく混合することにより、或いは1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)の存在下に、少なくとも1種の超分岐ポリウレタン(a)を合成することにより得られる水溶性放射線硬化性生成物(A)は、インクジェット法用水性インクを製造するために使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
少なくとも1種の超分岐ポリウレタン(a)と1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)とを反応させながら又は反応させることなく混合することにより、或いは
1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)の存在下に、少なくとも1種の超分岐ポリウレタン(a)を合成することにより、
得られる水溶性放射線硬化性生成物(A)を、インクジェット法用水性インクを製造するために使用する方法に関するものである。
【0002】
また、本発明は、
少なくとも1種の超分岐ポリウレタン(a)と1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)とを反応させながら又は反応させることなく混合することにより、或いは
1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)の存在下に、少なくとも1種の超分岐ポリウレタン(a)を合成することにより、
得られる水溶性放射線硬化性生成物(A)、及び
少なくとも1種の顔料(B)
を含み、且つ23℃で測定される動的粘度が2〜80mPaの範囲にあるインクジェット法用水性インクに関するものである。
【0003】
さらに、本発明は、インクジェットインクの製造方法、インクジェット法によりシート状基材に印刷する方法、及び印刷されたシート状基材にも関するものである。
【背景技術】
【0004】
インクジェット法(例えば、サーマル(Thermal)インクジェット、圧電(Piezo)インクジェット、連続(Continuous)インクジェット、バルブ(Valve)ジェット、転写法)に使用される、記録流体、特にインクは、纏まったいくつかの要件全てを満足するものでなければならない:インクは、印刷に好適な粘度及び表面張力を有する必要があり、そして貯蔵安定性を持たなければならず(即ち、凝固、凝集はあってはならない)、また、インクはプリンタノズルの詰まりをもたらすものではあってはならない。このような詰まりは、分散インク、即ち不溶性の色材粒子が分散されたインクの場合に特に問題となる。貯蔵安定性においては、分散した色材粒子が沈殿しない記録流体、特にインクであることがさらに必要とされる。また、連続インクジェットの場合、インクは、導電性塩の添加に安定でなければならず、イオン含有量の増加に対して凝集傾向を示してはならない。さらに、得られる印刷は、カラリストの要求に応えなければならない、即ち、高い輝度、深い陰影(色調)を示し、適宜、定着等の後処理をした後における、良好な堅牢度、例えば摩擦堅牢度、光堅牢度、水堅牢度及び水存在下の摩擦堅牢度(ウエット摩擦堅牢度)、そして良好な乾燥特性を有する必要がある。
【0005】
例えば印刷基材の、摩擦堅牢度、ウエット摩擦堅牢度及び洗浄堅牢度等の堅牢度を特に良好なものにするために、印刷は放射線硬化により固定化される。放射線硬化性インクがこのために使用される。例えば、特許文献1(US5623001)及び特許文献2(EP0993459)を参照。放射線硬化性インクジェットインクは、化学線の照射により硬化し得る材料を一般に含んでいる。さらに、放射線硬化性インクジェットインクには、光開始剤も含まれ得る。
【0006】
しかしながら、場合によっては、放射線硬化の程度が印刷基材の全域において均一ではないとの問題がある。硬化は、ある場所では極めて良好であるが、他の領域で不十分である(ソフトスポットとして知られている)。不均一な硬化は一部の領域の摩擦堅牢度を劣化させている。さらに、印刷基材の風合いが低下し、特に印刷織物基材においては好ましくない。従って、特に均一な硬化が得られるインクジェット法用インクが必要とされている。
【0007】
【特許文献1】US5623001
【特許文献2】EP0993459
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、化学線の照射により特に有効に硬化され得るインクジェット法用インクを提供することである。また本発明の目的は、インクジェット法用インクを製造するために特に有用な放射線硬化性生成物を提供することである。さらに本発明の目的は、インクジェット法用インクを製造するための方法を提供することである。最後に、本発明の目的は、特に良好な風合い及び良好な堅牢度を有する印刷基材、特に印刷織物基材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記目的は、冒頭で定義された水溶性放射線硬化性生成物(A)、及び冒頭で定義されたインクジェット法用インクにより達成されることを見いだした。
【0010】
ここで使用されている「インクジェット法用インク」との表現は、「インクジェット法インク」、及び「インクジェットインク」と同じである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の使用方法は、
少なくとも1種の超分岐ポリウレタン(a)と1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)とを反応させながら又は反応させることなく混合することにより、或いは
1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)の存在下に、少なくとも1種の超分岐ポリウレタン(a)を合成することにより、
得られる水溶性放射線硬化性生成物(A)を利用する。
【0012】
以下においては、少なくとも1種の超分岐ポリウレタン(a)と1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)とを反応させながら又は反応させることなく混合する方法を、方法1とも呼ぶ。
【0013】
1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)の存在下に、少なくとも1種の超分岐ポリウレタン(a)を合成する方法を、方法2とも呼ぶ。
【0014】
本発明の超分岐ポリウレタン(a)は、ウレタン基で専ら連結されているポリマーのみを意味するのではなく、ジ−又はポリ−イソシアネートと活性水素原子を含む化合物との反応より得られるより一般的な意味のポリマーを意味すると理解するべきである。従って、本発明のポリウレタンは、ウレタン基の他に、尿素基、アロファネート基、ビューレット基、カルボジイミド基、アミド基、エステル基、エーテル基、ウレトンイミン(uretoneimine) 基、ウレトジオン(uretdion) 基、イソシアヌレート基又はオキサゾリジン基を含むことができる。一般的な参考文献の例として、Kunstsoffhandbuch/Saechtling, 第26版, Carl-Hanser-Verlag, Munich 1995, 491頁以降を挙げることができる。さらに特に、本発明のポリウレタンは尿素基を含んでいることが好ましい。
【0015】
超分岐ポリウレタン(a)は、分子及び構造的に単一ではない。このような分子の非単一性により、これらはデンドリマーから区別され、製造するコストもかなり低いものである。
【0016】
超分岐ポリウレタン(a)は、ABxモノマーから製造されることが好ましい。このようなABxモノマーは、例えばイソシアネート基のみならずイソシアネート基と反応して結合を形成することが可能な基、及び、当然ながら、イソシアネート基とイソシアネート基と反応して結合を形成することが可能な基と結合することにより形成されるスペーサ、を含むモノマーである。xは2〜8の自然数である。xは2又は3であることが好ましい。Aがイソシアネート基を含み、Bがイソシアネートと反応性の基を含むか、或いはその反対である。
【0017】
好ましいイソシアネートと反応性の基としては、OH基、NH2基、NH基、SH基又はCOOH基を挙げることができる。
【0018】
本発明に使用される超分岐ポリウレタン(a)の合成は、例えば、以下に記載するように行うことができる。
【0019】
ABxモノマーは、種々の手法を用いて従来の方法で製造される。
【0020】
ABxモノマーは、例えば、保護基の手法を用いるWO97/02304に記載の方法により合成することができる。この手法は、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)とトリメチロールプロパンとから得られるAB2モノマーに関する例を用いて示すことができる。まず、TDIのイソシアネート基の1個を、従来の方法、例えばオキシムと反応させることによりキャップをする。残った遊離のNCO基を、トリメチロールプロパンと反応させ、その3個のOH基の1個をそのイソシアネート基と反応させる。保護基を取り外し、1個のイソシアネート基と2個のOH基を有する分子が得られる。
【0021】
ABxモノマーは、DE−A19904444に記載の方法(これは保護基を必要としない)により、特に有利に合成することができる。この方法では、ジ−又はポリ−イソシアネートを少なくとも2個のイソシアネート−反応性基を有する化合物と反応させる。反応剤の少なくとも一方は、反応剤相互に反応性の異なる基を有している。両方の反応剤が、他方の反応剤と反応性の異なる基を有していることが好ましい。反応条件が選択され、これにより特定の反応基のみが相互に反応する。
【0022】
異なる反応性のNCO基を有する好ましいジ−又はポリ−イソシアネートは、特に容易に、安価で入手可能なイソシアネートであり、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’−MDI)、トリイソシアナトトルエン等の芳香族イソシアナート;又はイソホロンジイソシアネート(IPDI)、2−ブチル−2−エチルペンタメチレンジイソシアネート、2−イソシアナトプロピルシクロヘキシルイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4’−メチレンビス(シクロへキシル)ジイソシアネート及び4−メチルシクロヘキサン1,3−ジイソシアネート(H−TDI)等の脂肪族イソシアネートを挙げることができる。
【0023】
異なる反応性の基を有するイソシアネートの別の例としては、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート及び2,6−トルエンジイソシアネートを挙げることができる。NCO−反応性基を、初期反応性が同じである2個のNCO基の1個に付加させることにより、電子的効果で第2のNCO基の反応性を低下させることができる。
【0024】
上述のイソシアネートの混合物も同様に使用することができることも当然である。
【0025】
2個以上のイソシアネート−反応性基を有する有用な化合物としては、ジ−、トリ−又はテトラ−官能化化合物で、その官能基は、NCO基との反応性において異なっているものを、好ましく挙げることができる。少なくとも1個の1級のヒドロキシル基と少なくとも1個の2級のヒドロキシル基を有する化合物、少なくとも1個のヒドロキシル基と少なくとも1個のメルカプト基を有する化合物が好ましく、さらに、分子中に少なくとも1個のヒドロキシル基と少なくとも1個のアミノ基を有する化合物が好ましく、特に、アミノアルコール、アミノジオール及びアミノトリオールが好ましい。これは、アミノ基のイソシアネートとの反応性が、ヒドロキシル基の反応性より遙かに高いためである。
【0026】
反応性の異なる少なくとも2個のイソシアネート−反応性基を有する化合物の例としては、プロピレングリコール、グリセロール、メルカプトエタノール、エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、エタノールプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール又はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを挙げることができる。上記特定の化合物の混合物も同様に使用することができる。さらに、NCO基を、初期反応性が同じであるNCO−反応性OH基の1個に付加させることにより、立体的及び電子的効果で第2のNCO−反応性基及び特に第3のNCO−反応性基の反応性を低下させることができる。
【0027】
AB2モノマーの製造は、ジイソシアネートをアミノジオールに反応させる場合を例にとって説明することができる。まず、1モルのジイソシアネートを、1モルのアミノジオール(例、N,N−ジエタノールアミン)と、低温(好ましくは−10〜+30℃の範囲)で反応させる。この温度範囲において、ウレタン−形成反応は、実質的に完全に抑制され、イソシアネートのNCO基はアミノジオールのアミノ基と専ら反応する。形成されたAB2モノマーは、遊離のNCO基及び遊離の2個のOH基を有し、超分岐ポリウレタン(a)の合成に使用することができる。
【0028】
加熱又は触媒添加により、このAB2モノマーは、分子間反応して、超分岐ポリウレタン(a)を形成する。超分岐ポリウレタン(a)の製造に有用な触媒としては、例えば、スズジアセテート、スズジオクトエート、ジブチルスズジラウレートト等の有機スズ化合物;又はジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデカン、トリエチルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルジアミノエチルエーテル、または好ましくはトリエチレンジアミン又はビス(N,N−ジメチルアミノエチル)エーテル等の強塩基アミン;又は例えばイミダゾール等の弱塩基アミンを挙げることができる。少なくとも1種の有機スズ化合物及び少なくとも1種の強塩基アミンからなる混合触媒を使用することも可能である。使用される触媒の量は、イソシアネートに対して、0.01〜10質量%の範囲が好ましく、特に0.05〜5質量%の範囲が好ましい。超分岐ポリウレタン(a)の合成は、AB2モノマーを予め単離することなく、別の反応工程で、高温、好ましくは30℃と80℃の間の範囲で行うことが有利である。2個のOH基と1個のNCO基を有する特定のAB2モノマーを用いることにより、分子当たり1個のNCO基と多数のOH基(OH基の数は重合の程度に依存する)を有する超分岐ポリウレタン(a)を製造することができる。この反応は、高い変換率で行うことができ、これにより極めて大きな分子量の構造が得られる。反応は、所望の分子量に到達した時点で、適当な単官能化合物を添加することにより、或いはAB2モノマーを製造するための出発化合物の1種を添加することにより、停止することが好ましい。反応を停止するために使用される出発化合物に依存して、完全にNCO−末端である分子、或いは完全にOH末端である分子が製造される。
【0029】
別の態様では、AB2モノマーを、例えば1モルのグリセロールと2モルのTDIから製造することもでき。低温において、1級アルコール基と4位のイソシアネート基を優先的に反応させ、1個のOH基と2個のイソシアネート基を有する付加体を形成させ、上述のようにより高温で超分岐ポリウレタン(a)に転化することができる。最初の生成物は、1個の遊離OH基と平均数のNCO基(平均数は重合の程度による)を有する超分岐ポリウレタンである。
【0030】
分子当たりのNCO基の数は、一般に2〜100、好ましくは3〜30,特に好ましくは10以下である。
【0031】
本発明で使用される超分岐ポリウレタン(a)の分子量Mnは、例えば、500〜50000(g/モル)の範囲、15000(g/モル)以下が好ましく、さらに10000(g/モル)以下が好ましく、特に5000(g/モル)以下が好ましい。
【0032】
超分岐ポリウレタン(a)の製造は、一般に無溶剤で行われるが、溶液で行うことも好ましい。有用な溶剤としては、原則として液体であって、反応温度でモノマー及びポリマーに対して不活性な化合物全てである。
【0033】
超分岐ポリウレタン(a)の他の例は、合成の別の変法(バージョン)により得ることができる。ここでは、AB3モノマーについて、例を挙げて述べる。AB3モノマーは、ジイソシアネートと4個のイソシアネート−反応性基を有する化合物を反応させることにより得ることができる。トリレンジイソシアネートとトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンとの反応を例として挙げることができる。
【0034】
超分岐ポリウレタン(a)の製造を停止するために、各A基と反応することができる多官能化合物を使用することも可能である。これにより、複数の小さな超分岐分子(a)を結合させて、1個の大きな超分岐分子を形成することが可能となる。
【0035】
鎖−延長された分岐を有する超分岐ポリウレタン(a)は、例えば、ABxモノマーのみならず、追加的に、ジイソシアネートと2個のイソシアネート−反応性基を有する化合物(1:1のモル比)を重合反応のために利用することにより得ることができる。これらのAA及びBBが付加された化合物は、さらに官能基を含んでいても良いが、このような官能基は反応条件下でA又はBと反応してはならない。これにより、さらなる官能性(官能基)を超分岐ポリウレタンに導入することができる。
【0036】
超分岐ポリウレタン(a)の合成の別の変法(バージョン)は、WO02/36695、DE−A10013187及びDE−A10030869に見られる。
【0037】
超分岐ポリウレタン(a)は、1種以上の触媒を用いて製造することができる。有用な触媒としては、原則として、ポリウレタン化学において一般に使用される全ての触媒を挙げることができる。
【0038】
ポリウレタン化学で一般に使用される触媒としては、例えば、有機アミン、特に3級の、脂肪族、脂環式又は芳香族アミン、及びルイス酸有機金属化合物を挙げることができる。
【0039】
有用なルイス酸有機金属化合物の例としては、例えば、スズ化合物、例えば、有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えばスズ(II)アセテート、スズ(II)オクトエート、スズ(II)エチルヘキサノエート及びスズ(II)ラウレート;及び有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)誘導体、例えばジメチルスズジアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジブチレート、ジブチルスズビス(2−エチルヘキサノエート)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレート、ジオクチルスズジラウレート及びジオクチルスズジアセテート;を挙げることができる。金属錯体、例えば鉄のアセチルアセトネート、チタンのアセチルアセトネート、アルミニウムのアセチルアセトネート、ジルコニウムのアセチルアセトネート、マンガンのアセチルアセトネート、ニッケルのアセチルアセトネート及びコバルトのアセチルアセトネートも同様に挙げることができる。さらなる金属触媒は、Blank et al. Progress in Organic Coatings, 1999, 35, 19ffに記載されている。
【0040】
好ましいルイス酸有機金属化合物は、ジメチルスズジアセテート、ジブチルスズジブチレート、ジブチルスズビス(2−エチルヘキサノエート)、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズラウレート、ジルコニウムアセチルアセトネート及びジルコニウム2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート(heptanedionate)である。
【0041】
同様に、ビスマス及びコバルト触媒、及びセシウム塩を、疎水性触媒として使用することができる。有用なセシウム塩としては、次のアニオン:F-、Cl-、ClO-、ClO3-、ClO4-、Br-、I-、IO3-、CN-、OCN-、NO2-、NO3-、HCO3-、CO32-、S2-、SH-、HSO3-、SO32-、HSO4-、SO42-、S222-、S242-、S252-、S262-、S272-、S282-、H2PO2-、H2PO4-、HPO42-、PO43-、P274-、(OCn2n+1-、(Cn2n-12-、(Cn2n-32-、及び(Cn+12n-24-(nは1〜20の整数を表す)を用いるセシウム化合物を挙げることができる。
【0042】
アニオンが(Cn2n-12-及び(Cn+12n-24-(nは1〜20の整数を表す)であるセシウムカルボキシレートが好ましい。特に好ましいセシウム塩としては、アニオンが一般式(Cn2n-12-(nは1〜20の整数を表す)のモノカルボキシレートを挙げることができる。ホーメート(formate)、アセテート、プロピオネート、ヘキサノエート及び2−エチルヘキサノエートをここでは特に挙げなければならない。
【0043】
慣用の有機アミンとして、例えば、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルブタン−1,4−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルドデシルアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、3−メチル−6−ジメチルアミノ−3−アザペントール、ジメチルアミノプロピルアミン、1,3−ビスジメチルアミノブタン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N−エチルモルホリン、N−メチルモルホリン、N−シクロヘキシルモルホリン、2−ジメチルアミノエトキシエタノール、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ジメチルアミノ−N−メチルエタノールアミン、N−メチルイミダゾール、N−ホルミル−N,N’−ジメチルブチレンジアミン、N−ジメチルアミノエチルモルホリン、3,3’−ビスジメチルアミノ−ジ−n−プロピルアミン及び/又は2,2’−ジピパラジンジイソプロピルエーテル、ジメチルピパラジン、トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)−s−ヘキサヒドロトリアジン、イミダゾール(例、1,2−ジメチルイミダゾール、4−クロロ−2,5−ジメチル−1−(N−メチルアミノエチル)イミダゾール、2−アミノプロピル−4,5−ジメトキシ−1−メチルイミダゾール、1−アミノプロピル−2,4,5−トリブチルイミダゾール、1−アミノエチル−4−ヘキシルイミダゾール、1−アミノブチル−2,5−ジメチルイミダゾール、1−(3−アミノプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール及び/又は1−(3−アミノプロピル)−2−メチルイミダゾール)を挙げることができる。
【0044】
好ましい有機アミンは、それぞれ独立してC1〜C4アルキル基を2個、及び炭素原子数4〜20個のアルキル又はシクロアルキル基を1個有するトリアルキルアミンである。例えば、ジメチル−C4〜C15アルキルアミン(例、ジメチルドデシルアミン)、又はジメチル−C3〜C8シクロアルキルアミンを挙げることができる。同様に、適宜、別のヘテロ原子、例えば酸素又は窒素を含んでも良い二環式アミン、例えば1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンを挙げることができる。上述の化合物の2種以上の混合物も、同様に触媒として使用することができることは言うまでもない。
【0045】
上述の化合物から選択される疎水性触媒を使用することが特に好ましい。
【0046】
触媒は、イソシアネート及びイソシアネート−反応性基を有する化合物の合計量に対して、0.0001〜10質量%、さらに0.001〜5質量%の量で使用することが好ましい。
【0047】
触媒又は複数の触媒は、その触媒の構成により、固体、液体又は溶液の形態で添加することができる。好適な溶剤としては、水と非混和性の溶剤、例えば芳香族又は脂肪族炭化水素(例、トルエン、ヘキサン及びシクロヘキサン)及びカルボン酸エステル(例、酢酸エチル)を挙げることができる。固体又は液体の形態の触媒又は複数の触媒を添加することが好ましい。
【0048】
本発明の超分岐ポリウレタン(a)は、分子当たり、平均で、水溶液でイオン化可能な少なくとも1個の基を有することが有利であり、或いは超分岐ポリウレタン(a)が非イオン性親水性末端基又は末端部分が導入されていることを特徴とすることが有利である。イオン化可能な基としては、例えばCOOH基及びSO3H基、これらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩、さらに4級化アミノ基を挙げることができる。非イオン性親水性末端基又は末端部分としては、例えば、−(CH2CH2O)zOR6(zは2〜100の範囲の整数、好ましくは5〜50の範囲の整数を表し、R6はC1〜C4アルキル基、例えばtert−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、n−ブチル、イソプロピル、n−プロピル、エチル、特にメチルを表す);HO−(CH2CH2O)zH(zは上記と同義である)で表されるオリゴマー性及びポリマー性のエチレングリコールを挙げることができる。
【0049】
官能基が疎水化又はトランス官能化(transfunctionalize)された超分岐ポリウレタン(a)を使用することが特に有利である。水溶性放射線硬化性生成物(A)を製造するための特に好適な超分岐ポリウレタン(a)は、このようにして、顔料に親和性のある基を導入することにより、超分岐ポリウレタン(a)の本発明の使用方法に利用可能となる。末端NCO基を有する超分岐ポリウレタン(a)は、その反応性のために、トランス官能化の特に有力な候補である。OH−又はNH2−末端ポリウレタンは同様に適当な反応剤によってトランス官能化することができることは言うまでもない。
【0050】
適当な反応剤によって導入される顔料親和性基の例としては、−COOH、−COOR4、−CONHR4、−CONH2、−OH、−SH、−NH2、−NHR4、−N(R42、−SO3H、−SO34、−N(フタルイミド)、−NHCOOR4、−NHCONH2、−NHCONHR4、又は−CNを挙げることができる。上述の基のR4基は、分岐又は非分基のアルキル基、アラルキル基又はアリール基(これらはさらに置換されていても良い)であり、例えばC1〜C40アルキル基及びC6〜C14アリール基を挙げることができる。例として、下記の基:
1〜C40アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−へプチル、イソへプチル、ノクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、n−ヘキサデシル又はエイコシル、特に好ましくはメチル;
6〜C14アリール基、例えば、フェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、1−アントラセニル、2−アントラセニル又は9−アントラセニル;
7〜C13アラルキル基、好ましくはC7〜C12フェニルアルキル基、例えば、ベンジル、1−フェネチル、2−フェネチル、1−フェニルプロピル、2−フェニルプロピル、3−フェニルプロピル、ネオフィル(1−メチル−1−フェニルエチル)、1−フェニルブチル、2−フェニルブチル、3−フェニルブチル及び4−フェニルブチル、さらに好ましくはベンジル;
を挙げることができる。
【0051】
十分に酸性のH原子を有する基を、塩基で処理することにより対応する塩に転化することができる。有用な塩基としては、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物及び重炭酸塩、又はアルキル金属の炭酸塩を挙げることができる。有用な塩基として、さらに揮発性アミン、即ち、大気圧で180℃以下の沸点を有するアミン、例えばアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン又はN−メチルジエタノールアミンを挙げることができる。同様に塩基性基は、酸、例えばα−ヒドロキシカルボン酸又はα−アミノ酸或いはα−ヒドロキシ硫酸を用いて、対応する塩に転化することができる。結果として、特に有用な水溶性放射線硬化性生成物(A) 酸性基は、例えば、ヒドロキシカルボン酸、メルカプトカルボン酸、ヒドロキシスルホン酸、又はアミノ酸との反応により、超分岐ポリウレタン(a)に導入することができる。好適な反応剤の例としては、ヒドロキシ酢酸、ヒドロキシピバリン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、12−ヒドロキシドデカン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、メルカプト酢酸、ジメチロールプロパン酸、ジメチロールブタン酸、グリシン、β−アラニン又はタウリンを挙げることができる。
【0052】
本発明の一態様において、超分岐ポリウレタン(a)は、(a)に対して、10モル%以下の、イソシアネート−反応性基を1個のみ有する化合物(例、モノアルコール、1級又は2級のモノアミン、或いはメルカプタン)の存在下に製造することができる。
【0053】
本発明の好ましい態様において、少なくとも1種の超分岐ポリウレタン(a)は、分子当たり少なくとも1個の(好ましくは少なくとも2個の)NCO基を有する超分岐ポリウレタン(a)である。
【0054】
本発明の好適態様において、水溶性放射線硬化性生成物(A)は、分子(数平均)当たり少なくとも1個のCOOH基を有する水溶性放射線硬化性生成物(A)である。少なくとも1種の水溶性放射線硬化性生成物(A)は、超分岐ポリウレタン(a)の合成の最後に又は後に、特にある時間経過後に、ヒドロキシ酢酸、さらに好ましくはβ−アラニンを添加することによりCOOH基を導入した水溶性放射線硬化性生成物(A)を含むことが好ましい。ヒドロキシ酢酸のヒドロキシ基又は特にβ−アラニンのアミノ基と、NCO基との反応により、特に有用な水溶性放射線硬化性生成物(A)にCOOH基を導入することが可能となる。
【0055】
特定の超分岐ポリウレタン(a)の枝の末端に、COOH基が位置することが好ましい。
【0056】
完了していない(a)と(b)の反応に関連して、本発明で使用される「分子当たり」は、反応が完全に進んだ場合に、使用される超分岐ポリウレタン(a)の分子当たりを意味すると理解すべきである。が得られる。
【0057】
本発明の使用方法は、方法1に従い、少なくとも1種の超分岐ポリウレタン(a)と1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)とを反応させながら又は反応させることなく混合することにより実施することができる。
【0058】
混合している間に起こり得る超分岐ポリウレタン(a)と1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)との反応は、定量的に((b)に対して)に進むか、或いは部分的に進むかもしれない。
【0059】
本発明の一態様において、(a)と(b)は、質量比で、3:1〜10000:1の範囲、好ましくは5:1〜5000:1の範囲、最も好ましくは10:1〜1000:1の範囲で混合する。
【0060】
本発明の水溶性放射線硬化性生成物(A)は、超分岐ポリウレタン(a)に混合された1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)を含むことができる。また、1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)は、超分岐ポリウレタン(a)に共有結合することもできる。1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)が超分岐ポリウレタン(a)に共有結合している場合、超分岐ポリウレタン(a)と1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)との量比は、それぞれ出発材料(即ち、共有結合前の超分岐ポリウレタン(a)と1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b))に基づいている。
【0061】
本発明の好ましい態様は、超分岐ポリウレタン(a)の合成の開始時、又は合成中に1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)を添加する工程(方法2)、従って、1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)の存在下に超分岐ポリウレタン(a)を合成する工程を含むものである。
【0062】
(a)と(b)との混合は、所望の容器で行うことができる。1種以上の有機溶剤及び/又は水は混合のために添加することができる。好適な方法は、撹拌、振とうであるが、分散装置、例えばボールミル、特に媒体撹拌ミル又は振とう装置(例えばSkandex社製)もよい。
【0063】
1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)を、上述の超分岐ポリウレタン(a)の合成の開始時又は合成中に添加することができる。
【0064】
混合している間に起こり得る超分岐ポリウレタン(a)と1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する化合物(b)との反応は、定量的に(1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する化合物に対して)に進むか、或いは部分的に進むかもしれない。
【0065】
本発明の一態様において、超分岐ポリウレタン(a)の形成が定量的であると仮定して、(a)の合成中に、(a)に対して0.01〜25質量%、好ましくは0.1〜15質量%、特に0.2〜10質量%の(b)が添加される。
【0066】
(b)は1回又は2回以上に分けて添加される。
【0067】
本発明の一態様において、方法1と方法2の組み合わせを含んでいる、即ち、例えば、まず1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する化合物(b)の存在下に超分岐ポリウレタン(a)を合成し、その後、超分岐ポリウレタン(a)の合成中に存在した1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する化合物(b)と同じか又は異なる、別の1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する化合物(b)と混合する工程を含んでいる。
【0068】
本発明の好ましい態様は、超分岐ポリウレタン(a)の合成の開始時又は合成中に1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する化合物(b)添加する工程を含む。
【0069】
ここで、エチレン性2重結合は、オレフィン性2重結合、即ち1個以上の置換基を有していても良い炭素炭素2重結合を意味すると理解されるべきである。
【0070】
1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する化合物(b)は、特にα,β−不飽和カルボン酸の誘導体、中でも(メタ)アクリル酸又はクロトン酸の誘導体であることが好ましい。
【0071】
本発明の好ましい態様において、1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)は、下記の一般式I又は一般式IIで表される化合物から選択される:
【0072】
【化1】

【0073】
上記式Iにおいて、
1及びR2が、同一でも異なっていても良く、それぞれ独立して水素及び分岐又は非分岐のC1〜C10アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−へプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル;さらに好ましくはC1〜C4アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル;最も好ましくはメチル、から選択され、
1が、酸素及びN−R3から選択され、好ましくは酸素であり、
1が、無置換のC1〜C20アルキレン、及びC1〜C4アルキル、フェニル又はO−C1〜C4アルキルの1個以上により置換されたC1〜C20アルキレンから選択され、且つこのC1〜C20アルキレンは1個以上の非隣接のCH2基が酸素で置換されていてもよく、
従って、上記A1は、例えば、下記の基:
【0074】
【化2】

を表し{yは、それぞれ同一でも異なっていても良く、それぞれ1〜10の範囲の、好ましくは2〜8の範囲の、さらに好ましくは6以下の整数を表し;aは、2〜10の範囲の、好ましくは2〜6の範囲の、さらに好ましくは4以下の整数を表す}
を表す。
【0075】
1が複数のR3基を有する場合、R3基は同一でも異なっていても良い。
【0076】
特に好ましいA1基としては、
【0077】
【化3】

を挙げることができる。
【0078】
上記式Iにおいて、
2が、水素及びNH−R3から選択され、そして
3が、それぞれ同一でも異なっていても良く、水素、フェニル及び分岐又は非分基のC1〜C10アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−へプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル;さらに好ましくはC1〜C4アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル;最も好ましくはメチル、から選択される。
【0079】
一般式Iの特に極めて好ましい化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0080】
分子当たり少なくとも1個のエチレン性末端2重結合を有する特に有用な化合物は、一般式IIで表される化合物である:
【0081】
【化4】

【0082】
上記一般式IIにおいて、
1及びR2が、同一でも異なっていても良く、それぞれ独立して前記と同義であり;
mが0〜2の整数を表し、好ましくは1であり;
2が、mが0の時、CH2又は−CH2−CH2−又はR5−CH又はパラ−C64を表し、mが1の時、CH、C−OH、C−O−C(O)−CH=CH2又はC−O−CO−C(CH3)=CH2又はR5−C又は1,3,5−C63を表し、そしてmが2の時、炭素を表し、
5が、C1〜C4アルキル(例、n−C49、n−C37、iso−C37、好ましくはC25及びCH3)及びフェニルから選択され、
3、A4及びA5が、同一でも異なっていても良く、それぞれC1〜C20アルキレン、例えば、−CH2−、−CH(CH3)−、−CH(C25)−、−CH(C65)−、−(CH22−、−(CH23−、−(CH24−、−(CH25−、−(CH26−、−(CH27−、−(CH28−、−(CH29−、−(CH210−、−CH(CH3)−(CH22−CH(CH3)−;シス−又はトランス−C4〜C10シクロアルキレン、例えばシス−1,3−シクロペンチリデン、トランス−1,3−シクロペンチリデン、シス−1,4−シクロヘキシリデン、トランス−1,3−シクロヘキシリデン;
それぞれ非隣接の1〜7個の炭素原子が酸素で置換されているC1〜C20アルキレン、例えば、−CH2−O−CH2−、−(CH22−O−CH2−、−(CH22−O−(CH22−、−[(CH22−O]2−(CH22−、−[(CH22−O]3−(CH22−;
4個以下のヒドロキシル基で置換され且つそれぞれ非隣接の1〜7個の炭素原子が酸素で置換されているC1〜C20アルキレン、例えば、−CH2−O−CH2−CH(OH)−CH2−、−CH2−O−[CH2−CH(OH)−CH22−、−CH2−O−[CH2−CH(OH)−CH23−;
6〜C14アリーレン、例えばパラ−C64
から選択される。
【0083】
一般式IIの化合物の特に好ましい例は、トリメチロールプロパントリアクリレート、3回エトキシレート化トリメチロールプロパンのトリアクリレートである。
【0084】
分子当たり少なくとも1個のエチレン性末端2重結合を有する分子のさらに極めて有用な代表例は、エチレングリコールジアクリレートである。
【0085】
分子当たり少なくとも1個のエチレン性末端2重結合を有する分子のさらに極めて有用な代表例としては、部分的に又は完全に(メタ)アクリレート化されたポリオール、例えば、部分的に又は完全に(メタ)アクリレート化された二量化トリメチロールプロパン、部分的に又は完全に(メタ)アクリレート化された二量化トリメチロールエタン、部分的に又は完全に(メタ)アクリレート化された二量化ペンタエリスリトールを挙げることができる。
【0086】
本発明の水溶性放射線硬化性生成物(A)では、これらに、少なくとも1種のラジカル捕捉剤、例えば立体障害アミン(例、HALS又は安定化ニトロキシル遊離ラジカル(例、3−ヒドロキシ−TEMPO(式III))を添加することができる。
【0087】
式III
【0088】
【化5】

【0089】
ラジカル捕捉剤を、(a)に対して1質量%以下、さらに0.5質量%以下とすることが好ましい。
【0090】
本発明の水溶性放射線硬化性生成物(A)は、化学線、例えば200nm〜450nmの波長の化学線により硬化することができる。例えば、70mJ/cm2〜2000mJ/cm2の範囲のエネルギーを有する化学線が好適である。化学線は、例えば、連続的に又はフラッシュの形で照射されることが好ましく。
【0091】
本発明の水溶性放射線硬化性生成物(A)は、インクジェット法用インク、特にインクジェット法用水性インクの製造に特に有用である。本発明の水溶性放射線硬化性生成物(A)は、インクジェット法用水性着色インク(顔料含有水性インク)の製造に極めて有用である。
【0092】
この中では、インクジェット法用インクは、インクジェットインク又は単にインクとも呼ぶ。
【0093】
さらに、本発明は、インクジェット法用インク、特にインクジェット法用水性インクを提供するものであり、インクジェット法用水性インクは下記:
少なくとも1種の超分岐ポリウレタン(a)と1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)とを反応させながら又は反応させることなく混合することにより、或いは
1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)の存在下に少なくとも1種の超分岐ポリウレタン(a)を合成することにより、
得られる水溶性放射線硬化性生成物(A)、及び
少なくとも1種の顔料(B)
を含んでいる。
【0094】
超分岐ポリウレタン(a)及び1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)は、前述の通りである。
【0095】
本発明のインクジェット法用インクは、さらに少なくとも1種の顔料(B)を含んでいる。本発明の顔料(B)は、ドイツ標準規格DIN55944に規定されている、実質的に、不溶性の、分散された微粒子状有機又は無機の着色剤である。本発明の方法は、カーボンブラックを含む有機顔料を利用することが好ましい。特に有用な顔料の例を下記に特定する。
【0096】
有機顔料:
モノアゾ顔料:
C.I.ピグメント・ブラウン25;C.I.ピグメント・オレンジ5、13、36及び67;C.I.ピグメント・レッド1、2、3、5、8、9、12、17、22、23、31、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、52:1、52:2、53、53:1、53:3、57:1、63、112、146、170、184、210、245及び251;C.I.ピグメント・イエロー1、3、73、74、65、97、151及び183;
ジスアゾ顔料:
C.I.ピグメント・オレンジ16、34及び44;C.I.ピグメント・レッド144、166、214及び242;C.I.ピグメント・イエロー12、13、14、16、17、81、106、113、126、127、155、174、176及び188;
アンサンスロン顔料:
C.I.ピグメント・レッド168(C.I.バットオレンジ3);
アントラキノン顔料:
C.I.ピグメント・イエロー147及び177;C.I.ピグメント・バイオレット31;
アントラミリミジン顔料:
C.I.ピグメント・イエロー108(C.I.バットイエロー20);
キナクリドン顔料:
C.I.ピグメント・レッド122、202及び206;C.I.ピグメント・バイオレット19;
キノフタロン顔料:
C.I.ピグメント・イエロー138;
ジオキサジン顔料:
C.I.ピグメント・バイオレット23及び37;
フラバントロン顔料:
C.I.ピグメント・イエロー24(C.I.バットイエロー1);
インダントロン顔料:
C.I.ピグメント・ブルー60(C.I.バットブルー4)及び64(C.I.バットブルー6);
イソインドリン顔料:
C.I.ピグメント・オレンジ69;C.I.ピグメント・レッド260;C.I.ピグメント・イエロー139及び185;
イソインドリノン顔料:
C.I.ピグメント・オレンジ61;C.I.ピグメント・レッド257及び260; C.I.ピグメント・イエロー109、110、173及び185;
イソビオラントロン顔料:
C.I.ピグメント・バイオレット31(C.I.バットバイオレット1);
【0097】
金属錯体顔料:
C.I.ピグメント・イエロー117、150及び153;C.I.ピグメント・グリーン8;
ペリノン顔料:
C.I.ピグメント・オレンジ43(C.I.バットオレンジ7);C.I.ピグメント・レッド194(C.I.バットレッド15);
ペリレン顔料:
C.I.ピグメント・ブラック31及び32;C.I.ピグメント・レッド123、149、178、179(C.I.バットレッド23)、190(C.I.バットレッド29)及び224;C.I.ピグメント・バイオレット29;
フタロシアニン顔料:
C.I.ピグメント・ブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6及び16;C.I.ピグメント・グリーン7及び36;
ピラントロン顔料:
C.I.ピグメント・オレンジ51;C.I.ピグメント・レッド216(C.I.バットオレンジ4);
チオインジゴ顔料:
C.I.ピグメント・レッド88及び181(C.I.バットレッド1);C.I.ピグメント・バイオレット38(C.I.バットバイオレット3);
トリアリールカルボニウム顔料:
C.I.ピグメント・ブルー1、61及び62;C.I.ピグメント・グリーン1;C.I.ピグメント・レッド81、81:1及び169;C.I.ピグメント・バイオレット1、2、3及び27;C.I.ピグメント・ブラック1(アニリンブラック);C.I.ピグメント・イエロー101(アルダジンイエロー);C.I.ピグメント・ブラウン22。
【0098】
無機顔料:
白色顔料:
二酸化チタン(C.I.ピグメント・ホワイト6)、亜鉛白、分散された酸化亜鉛(又は酸化亜鉛ペースト);硫化亜鉛、リトポン;鉛白;
黒色顔料:
酸化鉄ブラック(C.I.ピグメント・ブラック11)、鉄−マンガンブラック、スピネルブラック(C.I.ピグメント・ブラック27);カーボンブラック(C.I.ピグメント・ブラック7);
着色顔料:
酸化クロム、酸化クロム水和物グリーン;クロムグリーン(C.I.ピグメント・グリーン48);コバルトグリーン(C.I.ピグメント・グリーン50);ウルトラマリーングリーン、コバルトブルー(C.I.ピグメント・ブルー28及び36);ウルトラマリーンブルー;鉄ブルー(C.I.ピグメント・ブルー27);マンガンブルー;ウルトラマリーンバイオレット;コバルト及びマンガンバイオレット;酸化鉄レッド(C.I.ピグメント・レッド101);カドミウムスルホセレニド(C.I.ピグメント・レッド108);モリブデートレッド(C.I.ピグメント・レッド104);ウルトラマリーンレッド;
酸化鉄ブラウン、混合ブラウン、スピネル及びコランダム相(C.I.ピグメント・ブラウン24、29及び31)、クロミウムオレンジ;
酸化鉄イエロー(C.I.ピグメント・イエロー42);ニッケルチタンイエロー(C.I.ピグメント・イエロー53;C.I.ピグメント・イエロー157及び164);クロムチタンイエロー;硫化カドミウム及び硫化カドミウム亜鉛(C.I.ピグメント・イエロー37及び35);クロムイエロー(C.I.ピグメント・イエロー34)、亜鉛イエロー、アルカリ土類金属クロメート;ナプレス(Naples) イエロー;ビスマスバナデート(C.I.ピグメント・イエロー184);
干渉顔料:
被覆金属プレートレットに基づく金属効果顔料;金属酸化物被覆マイカプレートレットに基づくパール光沢顔料;液晶顔料。
【0099】
本発明で好ましい顔料(B)は、モノアゾ顔料(特にレーキBONS顔料、ナフトールAS顔料)、ジスアゾ顔料(特に、ジアリールイエロー顔料、ビスアセトアセタニリド顔料、ジスアゾピラゾロン顔料)、キナクリドン顔料、キノフタロン顔料、ペリノン顔料、フタロシアニン顔料、トリアリールカルボニウム顔料(アルカリブルー顔料、レーキローダミン、錯体アニオンとの染料塩)、イソインドリン顔料及びカーボンブラックである。
【0100】
本発明で特に好ましい顔料(B)例としては、特に、カーボンブラック、C.I.ピグメント・イエロー138、C.I.ピグメント・レッド122及び146、C.I.ピグメント・バイオレット19、C.I.ピグメント・ブルー15:3及び15:4、C.I.ピグメント・ブラック7、C.I.ピグメント・オレンジ5、38及び43、及びC.I.ピグメント・グリーン7を挙げることができる。
【0101】
本発明のインクジェット法用インクは、顔料(B)を本発明の放射線硬化性生成物に混合することにより製造される。
【0102】
顔料(B)を添加する時点では、本発明の水溶性放射線硬化性生成物(A)は、0.1質量%未満の末端NCO基を含んでいるか、好ましくはNCO基を含んでいない(NCO基は、例えば滴定により検出可能である)。
【0103】
本発明の好適態様において、本発明のインクジェット法用インクは少なくとも1種の光開始剤(C)を含んでいる。
【0104】
好適な光開始剤(C)としては、例えば、当該技術者に公知の光開始剤を挙げることができ、例えば、“Advances in Polymer Science”, 第14巻, Springer Berlin 1974 又は K. K.Dietliker, Chemistry and Technology of UV and EBFormulation for Coatings, Inks and Paints, 第3巻; Photoinitiators for Free Radical and Cationic Polymerization, P. K. T.Oldring (Eds), SITA Technology Ltd, Londonを挙げることができる。
【0105】
有用な光開始剤として、例えばEP−A0007508、EP−A0057474、DE−A19618720、EP−A0495751及びEP−A0615980に記載のモノ−又はビス−アシルホスフィンオキシドを挙げることができる。その例としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、エチル2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネート、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ベンゾフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、フェニルグリオキシル酸及びその誘導体、これらの光開始剤の混合物を挙げることができる。例として、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アセトナフトキノン、メチルエチルケトン、バレロフェノン、ヘキサノフェノン、α−フェニルブチロフェノン、p−モルホリノプロピオフェノン、ジベンゾスベロン、4−モルホリノベンゾフェノン、4−モルホリノデオキシベンゾイン、p−ジアセチルベンゼン、4−アミノベンゾフェノン、4’−メトキシアセトフェノン、β−メチルアントラキノン、tert−ブチルアントラキノン、アントラキノンカルボン酸エステル、ベンズアルデヒド、α−テトラロン、9−アセチルフェナントレン、2−アセチルフェナントレン、10−チオキサンテノン、3−アセチルフェナントレン、3−アセチルインドール、9−フルオレノン、1−インダノン、1,3,4−トリアセチルベンゼン、チオキサンテン−9−オン、キサンテン−9−オン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジ−イソ−プロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、ベンゾイン、ベンゾインイソブチルエーテル、クロロキサンテノン、ベンゾインテトラヒドロピラニルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、7−H−ベンゾインメチルエーテル、ベンズ[de]アントラセン−7−オン、1−ナフトアルデヒド、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、1−ベンゾイルシクロへキサン−1−オル、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシアセトフェノン、アセトフェノンジメチルケタール、o−メトキシベンゾフェノン、トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、ベンズ[a]アントラセン−7,12−ジオン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルケタール(例、ベンジルジメチルケタール)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、アントラキノン(例、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン)、及び2,3−ブタンジオンを挙げることができる。
【0106】
DE−A19826712、DE−A19913353又はWO98/33761に記載されているような非黄変又は黄変の少ないフェニルグリオキサル酸系の光開始剤も適当である。
【0107】
好ましい光開始剤(C)としては、例えば、活性化時に開裂する光開始剤、いわゆるα−開裂光開始剤(例、ベンジルジメチルケタール等のベンジルジアルキルケタール系の光開始剤)を挙げることができる。有用なα−開裂光開始剤の別の例としては、ベンゾインの誘導体、イソブチルベンゾインエーテル、ホスフィンオキシド、特に、モノ−及びビス−アシルホスフィンオキシド(例、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド)、α−ヒドロキシアルキルアセトフェノン(例、2−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン(C.1):
【0108】
【化6】

【0109】
2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン(C.2):
【0110】
【化7】

【0111】
ホスフィンスルフィド、エチル4−ジメチルアミノベンゾエート、及び
【0112】
【化8】


【0113】
好ましい光開始剤(C)として、さらに、水素引き抜き光開始剤、例えば置換されていても良いアセトフェノン系、アントラキノン系、チオキサントン系、安息香酸エステル系、或いは置換されていても良いベンゾフェノン系を挙げることができる。特に好ましい例としては、イソプロピルチオキサントン、ベンゾフェノン、フェニルベンジルケトン、4−メチルベンゾフェノン、ハロメチル化ベンゾフェノン、アントロン、ミヒラーズケトン(4,4’−ビス−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン)、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、アントラキノンを挙げることができる。
【0114】
光開始剤(C)は、本発明のインクジェット法用インク中に自由に存在することができる。
【0115】
本発明の水溶性放射線硬化性生成物(A)又は本発明のインクジェット法用インクの光開始剤(C)の有効性は、所望により、少なくとも1種の相乗剤、例えば、少なくとも1種のアミン、特に少なくとも1種の3級アミンの添加により、向上させることができる。有効なアミンとしては、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノアクリレート、例えばアミン変性ポリエーテルアクリレートを挙げることができる。例えば3級アミン等のアミンは、超分岐ポリウレタン(a)の合成の触媒として使用し、合成後除去しなかった場合、触媒として使用した3級アミンを相乗剤として作用させることも可能である。さらに、酸性基(例、COOH基又はSO3H基)を中和するために使用される3級アミンは相乗剤として作用し得る。相乗剤のモル量は使用される光開始剤(C)に対して2倍まで添加することができる。
【0116】
本発明の一態様において、本発明のインクは、
本発明のインクの合計質量に対して1〜20質量%、好ましくは1.5〜15質量%の(A)、
本発明のインクの合計質量に対して0.01〜20質量%、好ましくは1〜10質量%の(B)、
本発明のインクの合計質量に対して0〜10質量%、好ましくは0.1〜6質量%の(C)
を含んでいる。
【0117】
本発明のインクジェット法用インクは、少なくとも1種のエキストラ(extra)(D)を含むことができる。
【0118】
本発明のインクジェット法用インクは、エキストラ(D)として1種以上の有機溶剤を含むことができる。低分子量ポリテトラヒドロフラン(ポリ−THF)は好ましいエキストラ(D)であり、これは、単独で使用することができるが、高沸点の水可溶性又は水混和性有機溶剤との混合物として使用することが好ましい。
【0119】
好ましい低分子量ポリテトラヒドロフランの平均分子量Mnは、典型的には、150〜500(g/モル)の範囲、好ましくは200〜300(g/モル)の範囲、さらに好ましくは約250(g/モル)(分子量分布を維持して)である。
【0120】
ポリテトラヒドロフランは、テトラヒドロフランのカチオン重合により、公知の方法で製造することができる。生成物は、直鎖状ポリテトラメチレングリコールである。
【0121】
ポリテトラヒドロフランを、別の有機溶剤との混合物で、エキストラ(D)として使用した場合、使用される別の有機溶剤は、一般に高沸点(即ち、一般に、大気圧下で100℃を超える沸点)であり、このため水は、水に溶解又は混和性の有機溶剤を保持している。
【0122】
有用な溶剤としては、多価アルコール、好ましくは炭素原子数2〜8個、特に3〜6個の、非分岐及び分岐の多価アルコール、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、グリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ペンチトール(例、アラビトール、アドニトール、及びキシリトール)、及びヘキシトール(例、ソルビトール、マンニトール及びズルシトール)を挙げることができる。
【0123】
有用な溶剤として、さらに、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールを挙げることができ、これらは、その低分子ポリマー(ジ−、トリ−及びテトラマー)及びそのモノ(特にC1〜C6、中でもC1〜C4の)アルキルエーテルを含んでいる。平均分子量が100〜1500(g/モル)、特に200〜800(g/モル)、とりわけ300〜500(g/モル)であるポリエチレン及びポリプロピレングリコールが好ましい。例として、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びテトラエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル;ジ−、トリ−及びテトラ−1,2−及び−1,3−プロピレングリコール;ジ−、トリ−及びテトラ−1,2−及び−1,3−プロピレングリコールモノメチルエーテル;ジ−、トリ−及びテトラ−1,2−及び−1,3−プロピレングリコールモノエチルエーテル;ジ−、トリ−及びテトラ−1,2−及び−1,3−プロピレングリコールモノプロピルエーテル;及びジ−、トリ−及びテトラ−1,2−及び−1,3−プロピレングリコールモノブチルエーテルを挙げることができる。
【0124】
有用な溶剤としては、さらに、ピロリドン及びN−アルキルピロリドン(アルキル鎖は好ましくは1〜4個、特に1又2個の炭素原子を含む)を挙げることができる。有用なアルキルピロリドンの例としては、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン及びN−(2−ヒドロキシエチル)ピロリドンを挙げることができる。
【0125】
特に好ましい溶剤の例としては、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、グリセロール、ソルビトール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(Mn=300〜500(g/モル))、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ピロリドン、N−メチルピロリドン及びN−(2−ヒドロキシエチル)ピロリドンを挙げることができる。
【0126】
ポリテトラヒドロフランは、1種以上の(例えば、2種、3種又は4種)の前述の溶剤と混合することもできる。
【0127】
本発明の一態様において、本発明のインクジェット法用インクは、0.1〜80質量%、好ましくは5〜60質量%、さらに好ましくは10〜50質量%、最も好ましくは10〜30質量%の非水溶剤を含むことができる。
【0128】
特定の、特に好ましい溶剤の組合せを含む、エキストラ(D)として使用される非水溶剤は、尿素(一般に着色調製物に対して0.5〜3質量%の範囲)が追加されるのが有利であり、これにより溶剤混合物の水保持効果を向上させる。
【0129】
本発明のインクジェト法用インクは、水溶性インクジェットインクにおいて、また印刷及びコーティング工業において特に慣用である、別のエキストラ(D)を含むことができる。その例としては、防腐剤、例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(Avecia Lim.社製のProxelブランドで市販されている)及びそのアルカリ金属塩、グルタルアルデヒド及び/又はテトラメチロールアセチレンジ尿素、Protectols(登録商標)、酸化防止剤、脱気剤/消泡剤、例えばアセチレンジオール及びエトキシ化アセチレンジオール(一般に、アセチレンジオール1モル当たり20〜40モルのエチレンオキシドを含み、分散効果も有することができる)、粘度調節剤、フロー剤、湿潤剤(例えば、エトキシ化又はプロポキシ化脂肪又はオキソアルコール、プロピレンオキシド−エチレンオキシドブロック共重合体、オレイン酸又はアルキルフェノールのエトキシレート、アルキルフェノールエーテルサルフェート、アルキルポリグリコシド、アルキルホスホネート、アルキルフェニルホスホネート、アルキルホスフェート、アルキルフェニルホスフェート、好ましくはポリエーテルシロキサン共重合体、特にアルコキシ化2−(3−ヒドロキシプロピル)ヘプタメチルトリシロキサン(一般に7〜20個、好ましくは7〜12個のエチレンオキシド単位のブロック及び2〜20個、好ましくは2〜10個のプロピレンオキシド単位のブロックを含み、着色調製物中に0.05〜1質量%で含むことができる))、沈殿防止剤、光沢改良剤、流動促進剤、接着改良剤、皮張り防止剤、艶消し剤、乳化剤、安定剤、疎水化剤、調光剤、風合い改良剤、帯電防止剤、pHを調整するための塩基(例、トリエタノールアミン)又は酸(特にカルボン酸、例えば乳酸又はクエン酸)を挙げることができる。これらのエキストラが、本発明のインクジェット法用インクの構成成分である場合、その合計量は本発明の着色調製物(特に、本発明のインクジェット法用インク)の質量に対して一般に2質量%、特に1質量%である。
【0130】
有用なエキストラ(D)として、さらにアルコキシ化又は非アルコキシ化アセチレンジオールを挙げることができ、これは例えば下記の一般式IVで表される:
【0131】
【化9】

【0132】
上式において、
AOが、同一でも異なっていても良いアルキレンオキシド単位、例えばプロピレンオキシド単位、ブチレンオキシド単位、特にエチレンオキシド単位を表し、
7、R8、R9及びR10が、それぞれ同一でも異なっていても良く、分岐又は非分岐のC1〜C10アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−へプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル;さらに好ましくはC1〜C4アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル;及び水素、から選択され;
bが、それぞれ同一でも異なっていても良く、0〜50の範囲の整数、好ましくは0又は1〜30の範囲の整数、さらに好ましくは3〜20の範囲の整数であり;
AOは、前記に定義したとおりである。
【0133】
本発明の好ましい態様において、R9又はR7はメチルである。
【0134】
本発明の好ましい態様において、R9及びR7はメチルであり、R8及びR10はイソブチルである。
【0135】
他の好ましいエキストラとして、下記の式Vで表されるアルコキシ化又は非アルコキシ化ケイ素化合物を挙げることができる:
[(CH33Si−O]2−Si(CH3)−O(CH2CH2O)bH V
【0136】
上式において、
bは前記と同義である。
【0137】
本発明のインクジェット法用インクは、さらに、本発明に従い本発明の放射線硬化性生成物(A)の製造に使用される光開始剤(b)以外の別の光開始剤を含むことができるが、それらは前基に規定した光開始剤から選択される。
【0138】
本発明のインクジェット法用インクにおいては、ドイツ標準規格DIN53108に従い23℃にて測定された動的粘度が、2〜80mPa・s、好ましくは3〜40mPa・s、さらに好ましくは25mPa・s以下である。
【0139】
本発明のインクジェット法用インクにおいては、ドイツ標準規格DIN53993に従い25℃にて測定された表面張力が、一般に24〜70mN/mの範囲、特に25〜60mN/mの範囲である。
【0140】
本発明のインクジェット法用インクのpHは、一般に5〜10の範囲、好ましくは7〜9の範囲である。
【0141】
本発明のインクジェット法用インクは、全体で、有利な性能特性、特に印刷動作の良好な開始、及び良好な持続的使用性能(焦げ付き(kogation))、また特に、使用される好ましい溶剤組合せにおいて、良好な乾燥性能、を有し、そして高品質(即ち、高い輝度、深い陰影(色調)、及び良好な乾燥摩擦堅牢度、光堅牢度、水堅牢度及び水存在下の摩擦堅牢度(ウエット摩擦堅牢度))の印刷画像を製造する。これらは特にコート紙及び普通紙、さらに織物(textile)基材に印刷するために有用である。
【0142】
本発明の別の側面は、本発明のインクジェット法用インクを製造する方法にある。本発明のインクジェット法用インクの製造方法は、(A)、(B)、水及び適宜(C)を相互に混合する(例えば1以上の工程で)工程を含んでいる。
【0143】
本発明の好ましい態様は、(A)及び(B)をまず混合し、その後光開始剤(C)及び水を加える工程を含む。
【0144】
本発明の好ましい態様は、(A)及び(B)をまず混合し、その後光開始剤(C)及び水及び別の(A)又は任意に別の(b)を加える工程を含む。
【0145】
有用な混合の手法としては、例えば撹拌、集中的振とう、分散、例えばボールミル、特に媒体撹拌ミルを挙げることができる。
【0146】
本発明の一態様においては、特定の形状、即ち粒子状の、1種以上の顔料(B)を使用する。
【0147】
本発明は、予備分散された顔料(B)を用いて実施することが好ましい;即ち、とりわけ、(A)及び適宜(C)と混合する前に、1種以上の顔料が、少なくとも1種の添加剤、例えば少なくとも1種の溶剤(例、水、C1〜C4アルカノール、ポリエーテルオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールテトラエチレングリコール、酢酸n−ブチル)と共に装置内で予備分散される。分散操作又は予備分散操作中において、さらに分散剤を添加することができる。有用な分散剤としては、例えば、特に以下に記載する化合物を挙げることができる。有用な添加剤として、さらに、殺生物剤、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(”BIT”)(Avecia Lim.社製のProxel(登録商標)ブランドとして市販)又はそのアルカリ金属塩を挙げることができ;他の好適な殺生物剤は2−メチル−2H−イソチアゾール−3(”MIT”)及び5−クロロ−2−メチル−2H−イソチアゾール−3−オン(”CIT”)である。
【0148】
有用な分散剤としては、例えば硫酸化又はアルキル化ポリアルキレングリコールを挙げることができる。有用な分散剤としては、さらにナフタレンスルホン酸−ホルムアルデヒド縮合生成物(これらは脂肪族長鎖カルボン酸、例えばステアリン酸又はパルミチン酸又はこれらの無水物と混合されていても良い)を挙げることができる。US4218218及びUS5186846に記載の分散剤が特に有用である。
【0149】
有用な分散剤として、さらに特に複数回アルコキシ化された脂肪アルコール、例えば3〜50回エトキシ化された非分岐C10〜C20アルカノールを挙げることができる。
【0150】
分散又は予備分散のための有用な装置としては、例えば、ボールミル、媒体撹拌ミル、超音波装置、高圧ホモジナイザー、ウルトラ−ツラックス(Ultra-Turax)撹拌器、及び振とう装置(例、Skandex社製のもの)を挙げることができる。
【0151】
分散時間又は予備分散時間は、さらに長い時間も考えられるが、例えば、30分〜48時間の範囲が適当である。分散時間又は予備分散時間は、1〜24時間の範囲が好ましい。
【0152】
予備分散時の圧力及び温度の条件は、一般に臨界的ではなく、例えば大気圧が適当である。適当な温度範囲は例えば10〜100℃の範囲である。
【0153】
(A)、(B)、適宜(C)及び適宜(D)を混合する際の添加順序はそれ自体臨界的ではない。本発明の1つの変法(バージョン)では、分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)の存在下に超分岐ポリウレタン(a)を合成して(A)を製造し、次いで顔料(B)を(A)及び(D)と共に分散させ、その後、例えば水等の溶剤及び少なくとも1種の(C)及び必要により別の(D)及び別の(b)で希釈することが可能である。
【0154】
本発明の別の変法では、超分岐ポリウレタン(a)を分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する化合物(b)の非存在下に合成し、次いで後(b)と混合し、その後(D)の存在下に(B)を分散し、そして少なくとも1種の(C)及び適宜別の(b)及び適宜別の(D)と混合する。
【0155】
また本発明の別の変法では、超分岐ポリウレタン(a)を分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する化合物(b)の非存在下に合成し、次いで後(b)と混合し、その後(B)を分散し、そして別の(b)、(D)及び適宜(C)と混合する。
【0156】
また本発明の別の変法では、超分岐ポリウレタン(a)を分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する化合物(b)の非存在下に合成し、次いで後(b)と混合し、その後(B)を分散し、そして別の(A)、(D)及び適宜(C)と混合する。
【0157】
顔料(B)の水に対する質量比は、広範囲から選択することができ、例えば1:100〜1:2の範囲とすることができる。
【0158】
慣用の粉砕(磨砕)助剤は、分散又は予備分散の間に添加することができる。
【0159】
予備分散後の顔料(B)の平均径は、一般に20nm〜1.5μmの範囲、好ましくは60〜200nmの範囲、さらに好ましくは60〜150nmの範囲であり、本発明では容量平均を一般に規定している。
【0160】
カーボンブラックを本発明に従い顔料(B)として使用する場合、その粒径は一次粒子の平均径である。
【0161】
本発明の別の側面は、本発明の少なくとも1種のインクジェット法用インクを用いるインクジェットインク法(以下本発明の印刷方法とも言う)により、シート状又は3次元構造の基材に印刷する方法である。本発明の印刷方法を実施するために、本発明の少なくとも1種のインクジェットインクを基材に印刷する。本発明の印刷方法の好ましい変法は、本発明のインクジェットインクを基材に印刷する工程、及びその後化学線で処理する工程を含んでいる。
【0162】
インクジェット法において、一般の水溶性インクは小滴として基材に直接噴射される。インクをノズルにより均一速度で押圧し、そのジェットを、印刷されるべきパターンに応じた電場により基材に向かって進ませる連続式インクジェット法、及びインクをカラードットが現れるべき場所にのみ放出する遮断又はドロップ・オン・デマンドのインクジェット法がある。後者の方法は、圧電性結晶又は加熱中空針のいずれかを用いて(バブル又はサーマルジェット法)、インクシステムに圧力を付与し、そしてインク小滴を放出する。これらの手法(技術)は、Text. Chem. Color, 第19(8)巻、23-29頁, 1987及び第21(6)巻、27-32頁, 1989に記載されている。
【0163】
本発明のインクは、バブルジェット(登録商標)法及び圧電性結晶を用いる方法に特に有用である。
【0164】
好ましい基材の材料としては:
セルロース材料、例えば、紙、ボード(board)、カード、木材及び木質材料(woodbase)(これらは、それぞれラッカー塗布又は被覆されていてもよい);
金属材料、例えば、アルミニウム、鉄、銅、銀、金、亜鉛又はこれらの合金の、フォイル、シート、又はワークピース(これらは、それぞれラッカー塗布又は被覆されていてもよい);
ケイ酸塩材料、例えばガラス、磁器及びセラミック(これらは、それぞれ被覆されていてもよい);
種々のポリマー材料、例えばポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、メラミン樹脂、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、及びブロック共重合体等の対応する共重合体、生分解性ポリマー及びゼラチン等の天然ポリマー;
革−天然と人工の両方−スムーズ革、ナパ革又はスエード革の形態;
食物及び化粧品:
【0165】
特に、
織物基材、例えば繊維、ヤーン、糸(より糸)、ニット、織物、不織布、及び衣類(これらはポリエステル、変性ポリエステル、ポリエステルブレンド布(fabric)、セルロース材料、例えば綿、綿ブレンド布、ジュート、亜麻、麻及びラミー、ビスコース、羊毛、絹、ポリアミド、ポリアミドブレンド布、ポリアクリロニトリル、アセテート、トリアセテート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステルマイクロファイバー、及びガラスファイバー布から構成される);
を挙げることができる。
【0166】
有用な化学線としては、200〜450nmの波長範囲を有する電磁波を挙げることができる。例えば、エネルギーが70〜2000mJ/cm2である化学線が有用である。化学線は、例えば、連続的に、又はフラッシュの形態で適用することが有利である。
【0167】
本発明の一態様において、印刷後、化学線処理の前に、中間乾燥(interdrying)を、例えば加熱、IR照射により行うことができる。適当な条件としては、例えば30〜120℃の温度で1分〜24時間の間、好ましくは30分以下、さらに好ましくは5分以下である。有用なIR 照射としては、例えば、800nmを超える波長領域のIR照射である。有用なIR 照射装置としては、中間熱乾燥用の真空乾燥キャビネット、及びIRランプを挙げることができる。
【0168】
同様に、化学線の照射時に含まれる熱は、中間乾燥の効果を有し得る。
【0169】
本発明は、さらに、上記に規定された本発明の印刷方法の1法により印刷されており、且つ特にメリハリのある印刷画像又は図及び優れた風合いに注目すべきである、基材、特に織物基材を提供する。さらに、本発明の印刷基材はソフトスポットがあってもほんのわずかである。
【0170】
本発明の別の態様において、2種以上の、好ましくは3種以上の異なる本発明のインクジェット法用インクを組み合わせてセットにすることができる。その場合、本発明の異なるインクは異なる色を有する異なる顔料を含んでいる。
【0171】
本発明は、さらに水溶性放射線硬化性生成物(A)を提供する。この水溶性放射線硬化性生成物(A)は、
少なくとも1種の超分岐ポリウレタン(a)と、(a)に対して0.01〜25質量%、好ましくは0.1〜15質量%、特に0.2〜10質量%の分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)とを反応させながら又は反応させることなく混合することにより、或いは
少なくとも1種の超分岐ポリウレタン(a)を、(a)に対して0.01〜25質量%、好ましくは0.1〜15質量%、特に0.2〜10質量%の分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)の存在下に合成することにより、
得られる。
【0172】
超分岐ポリウレタン(a)及び分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)は前述の通りである。
【0173】
本発明の好ましい態様において、少なくとも1種の超分岐ポリウレタン(a)は、少なくとも1個のNCO基を有する超分岐ポリウレタン(a)である。
【0174】
本発明の一態様において、分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する化合物は、下記の一般式I及び一般式IIの化合物から選択される:
【0175】
【化10】

【0176】
[但し、
1及びR2が、同一でも異なっていても良く、それぞれ独立して水素及びC1〜C10アルキルから選択され、
1が、酸素及びN−R3から選択され、
1が、無置換のC1〜C20アルキレン、及びC1〜C4アルキル、フェニル又はO−C1〜C4アルキルの1個以上により置換されたC1〜C20アルキレンから選択され、且つこのC1〜C20アルキレンは1個以上の非隣接のCH2基が酸素で置換されていてもよく;
2が、水素及びNH−R3から選択され、そして
3が、それぞれ同一でも異なっていても良く、水素、C1〜C10アルキル及びフェニルから選択される。]
【0177】
【化11】

【0178】
[但し、
1及びR2が、同一でも異なっていても良く、それぞれ独立して水素及びC1〜C10アルキルから選択され、
mが0〜2の整数を表し、
2が、mが0の時、CH2又は−CH2−CH2−又はR5−CH又はパラ−C64を表し、mが1の時、CH又はC−OH又はC−O−C(O)−CH=CH2又はC−O−CO−C(CH3)=CH2又はR5−C又は1,3,5−C63を表し、そしてmが2の時、炭素を表し、
5が、C1〜C4アルキル及びフェニルから選択され、
3、A4及びA5が、同一でも異なっていても良く、それぞれC1〜C20アルキレン、シス−又はトランス−C4〜C10シクロアルキレン、それぞれ非隣接の1〜7個の炭素原子が酸素で置換されていてもよいC1〜C20アルキレン、4個以下のヒドロキシル基で置換され且つそれぞれ非隣接の1〜7個の炭素原子が酸素で置換されていてもよいC1〜C20アルキレン、C6〜C14アリーレンから選択される。]。
【0179】
一般式IIで表される化合物の特に好ましい例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、3回エトキシ化されたトリメチロールプロパンのトリアクリレートを挙げることができる。
【0180】
分子当たり少なくとも2個の末端のエチレン性2重結合を有する分子のさらに極めて有用な例は、エチレングリコールジアクリレートである。
【0181】
本発明の一態様において、本発明の放射線硬化性生成物(A)は、少なくとも1種の光開始剤(C)を含んでいる。
【0182】
少なくとも1種の光開始剤(C)は、α−開裂光開始剤又は水素引き抜き光開始剤であることが好ましい。
【0183】
本発明の放射線硬化性生成物(A)は、インクジェット法用インクを製造するために特に有用である。
【0184】
以下の実施例により本発明を説明する。
【実施例】
【0185】
一般的準備:
NCO含有量は、それぞれドイツ標準規格DIN53185に従い滴定法で測定した。
【0186】
β−アラニン溶液Al−1は以下のように作製した:
コニカルフラスコに、49.0gのβ−アラニンを500gの蒸留水に溶解し、55.6gのトリエチルアミン及び60.0gのアセトンを添加し、そして得られた混合物を1時間還流した。室温に冷却し、β−アラニン溶液Al−1を得た。
【0187】
β−アラニン溶液Al−2は以下のように作製した:
コニカルフラスコに、128gのβ−アラニンを1000gの蒸留水に溶解し、146gのトリエチルアミン及び300gのアセトンを添加し、そして得られた混合物を30分間還流した。室温に冷却し、β−アラニン溶液Al−2を得た。
【0188】
顔料の平均粒径を、Coulter社製のCoulter LS230を用いて測定した。
【0189】
I.本発明の水溶性放射線硬化性生成物の作製
I.1 本発明の水溶性放射線硬化性生成物A.1の作製
撹拌器、還流冷却管、ガス引き入れチューブ及び滴下漏斗を備えた2L(リットル)の三ッ口フラスコに、200g(0.9モル)のイソホロンジイソシアネート(IPDI)を窒素存在下に充填した。260gの2−ブタノンと混合した60g(0.45モル)のトリメチロールプロパン(TMP)を、撹拌しながら1分間に亘って初期充填物に添加した。次いで、0.1gのジ−n−ブチルスズジラウレートを計量、添加し、得られた反応混合物を撹拌しながら60℃に加熱した。NCO含有量の低下を監視した。NCO含有量が5.5質量%に到達した時、29.4g(0.17モル)の2,4−トリレンジイソシアネートを添加し、得られた反応混合物を60℃で1時間撹拌した。その時、得られた反応混合物のNCO含有量は6.3質量%であった。その後、100mgの4−ヒドロキシ−TEMPO(式III)で安定化された31.0gの2−ヒドロキシエチルアクリレート(b.1)を添加し、さらに0.1gのジ−n−ブチルスズジラウレートを添加し、得られた反応混合物を60℃で5時間撹拌した。その時、得られた反応混合物のNCO含有量は3.7質量%であった。その後、得られた反応混合物を、464.4gの60℃で温度−制御されたβ−アラニン溶液Al−1と混合した。
【0190】
次いで、さらに60℃で30分間撹拌した。続いて、アセトンと2−ブタノンを減圧下(2ミリバール)60℃でロータリーエバポレータにおいて留去し、残さを蒸留水に溶解させ、本発明の水溶性放射線硬化性生成物(A.1)の30質量%水溶液を得た。
【0191】
I.2 本発明の水溶性放射線硬化性生成物A.2の作製
撹拌器、還流冷却管、ガス引き入れチューブ及び滴下漏斗を備えた2L(リットル)の三ッ口フラスコに、500g(2.35モル)のイソホロンジイソシアネート(IPDI)を窒素存在下に充填した。650gの2−ブタノンと混合した150g(0.45モル)のトリメチロールプロパン(TMP)を、撹拌しながら1分間に亘って初期充填物に添加した。次いで、0.3gのジ−n−ブチルスズジラウレートを計量、添加し、得られた反応混合物を撹拌しながら60℃に加熱した。NCO含有量の低下を監視した。NCO含有量が5.5質量%に到達した時、323gの2−ブタノンに溶解した323gの3量体ヘキサメチレンジイソシアネートを添加し、得られた反応混合物を60℃で1時間撹拌した。その時、得られた反応混合物のNCO含有量は6.3質量%であった。その後、100mgの4−ヒドロキシ−TEMPO(式III)で安定化された175gの2−ヒドロキシエチルアクリレート(b.1)を添加し、その後、0.5gのジ−n−ブチルスズジラウレートを添加し、得られた反応混合物を60℃で5時間撹拌した。その時、得られた反応混合物のNCO含有量は2.3質量%であった。その後、得られた反応混合物を、1574gの60℃で温度−制御されたβ−アラニン溶液Al−2と混合した。
【0192】
次いで、さらに60℃で30分間撹拌した。続いて、アセトンと2−ブタノンを減圧下(2ミリバール)60℃でロータリーエバポレータにおいて留去し、残さを蒸留水に溶解させ、本発明の水溶性放射線硬化性生成物(A.2)の30質量%水溶液を得た。
【0193】
II. 使用実施例
II. 1. 顔料磨砕(粉砕)物の作製、一般的指示
有機顔料の顔料磨砕物を、直径0.25−5mmのガラスボール60gを用いて、Skandexで作製した。その処方を表1に要約する。成分及びガラスボールをSkandexに計量導入した後、得られた混合物を、表1に示された時間、振とうした。その後、サンプルを取り出し、分散顔料の平均粒径を測定した(Coulter Counter)。pHを測定し、必要によりトリエタノールアミンで7.5に調節した。顔料磨砕物PA.2.1を得た。
【0194】
表1:顔料磨砕物PA.2.1の成分及び処方パラメータ
【0195】
【表1】

【0196】
成分の量は、特に明記しない限り、常にg単位である。
【0197】
殺生物剤1は、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンの20質量%プロピレングリコール溶液である。

【0198】
II.2 インクジェット法用の本発明のインクの処方
II.2.1 インクジェット法用の本発明のマゼンタインクT2.1の処方
下記をガラスビーカ中で撹拌器により相互に混合した:
25gのPA.2.1、
1.6gの尿素、
0.16gの下記の2−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン(C.1)光開始剤、
【0199】
【化12】

【0200】
4.8gのトリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、
9.66gの平均分子量Mn250g/モルのポリ−THF、
8gのMn=400g/モルのポリエチレングリコール、
9.66gのグリセロール、
0.8gの3−ベンズイソチアゾリノンの20質量%プロピレングリコール溶液
0.8gの式[(CH33Si−O]2−Si(CH3)−O(CH2CH2O)8Hのエトキシ化トリシロキサン
84.6gの蒸留水。
【0201】
本発明のインクT2.1は、ガラスファイバーのフィルタ(サイズ1μmを排除)でろ過することにより得られた。本発明のインクT2.1はpH6.8及び動的粘度3.0mPa・sを有するものであった。
【0202】
III. 本発明のインクジェット法用インクT2.1を用いた印刷の実施
本発明のインクT2.1をカートリッジに満たし、Epson 3000 720dpiプリンターを用いて紙に印刷した。DIN−4Aの5頁当たり、最大でも5つのノズルしか使えなくならなかった。摩擦堅牢度試験は良好な値を示した。
【0203】
さらに、本発明のインクT2.1を、Epson 3000 720dpiプリンターを用いて綿布に印刷した。DIN−4Aの5頁当たり、最大でも5つのノズルしか使えなくならなかった。摩擦堅牢度試験は良好な値を示した。
【0204】
加えて、本発明のインクT2.1を、Epson 3000 720dpiプリンターを用いて綿布に印刷した。印刷後、乾燥キャビネットにて100℃で5分間乾燥し、そして2個の異なるUVランプ(Eta Plus M-400-U2H、Eta Plus M-400-U2HC)を含むIST UV照射器を用いて化学線処理を行った。露光は、1500mJ/cm2のエネルギー入力で10秒間行った。
【0205】
表3に示された本発明の印刷された基材S2.1が得られ、摩擦堅牢度はISO−105−D02:1993に従い測定し、洗浄堅牢度はISO−105−C06:1994に従い測定した。
【0206】
表3:本発明に従い印刷された綿布の堅牢度
【0207】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の超分岐ポリウレタン(a)と1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)とを反応させながら又は反応させることなく混合することにより、或いは
1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)の存在下に、少なくとも1種の超分岐ポリウレタン(a)を合成することにより、
得られる水溶性放射線硬化性生成物(A)を、インクジェット法用水性インクを製造するために使用する方法。
【請求項2】
少なくとも1種の超分岐ポリウレタン(a)が、1分子当たり少なくとも1個のNCO基を有する超分岐ポリウレタン(a)である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
水溶性放射線硬化性生成物(A)が、1分子当たり少なくとも1個のCOOH基を有する水溶性放射線硬化性生成物(A)である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)が、一般式I:
【化1】

[但し、
1及びR2が、同一でも異なっていても良く、それぞれ独立して水素及びC1〜C10アルキルから選択され、
1が、酸素及びN−R3から選択され、
1が、無置換のC1〜C20アルキレン、及びC1〜C4アルキル、フェニル又はO−C1〜C4アルキルの1個以上により置換されたC1〜C20アルキレンから選択され、且つこのC1〜C20アルキレンは1個以上の非隣接のCH2基が酸素で置換されていてもよく;
2が、水素及びNH−R3から選択され、そして
3が、それぞれ同一でも異なっていても良く、水素、C1〜C10アルキル及びフェニルから選択される。]
で表される化合物、又は一般式II:
【化2】

[但し、
1及びR2が、同一でも異なっていても良く、それぞれ独立して水素及びC1〜C10アルキルから選択され、
mが0〜2の整数を表し、
2が、mが0の時、CH2又は−CH2−CH2−又はR5−CH又はパラ−C64を表し、mが1の時、CH又はC−OH又はC−O−C(O)−CH=CH2又はC−O−CO−C(CH3)=CH2又はR5−C又は1,3,5−C63を表し、そしてmが2の時、炭素を表し、
5が、C1〜C4アルキル及びフェニルから選択され、
3、A4及びA5が、同一でも異なっていても良く、それぞれC1〜C20アルキレン、シス−又はトランス−C4〜C10シクロアルキレン、それぞれ非隣接の1〜7個の炭素原子が酸素で置換されていてもよいC1〜C20アルキレン、4個以下のヒドロキシル基で置換され且つそれぞれ非隣接の1〜7個の炭素原子が酸素で置換されていてもよいC1〜C20アルキレン、C6〜C14アリーレンから選択される。]
で表される化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1種の超分岐ポリウレタン(a)と1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)とを反応させながら又は反応させることなく混合することにより、或いは
1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)の存在下に、少なくとも1種の超分岐ポリウレタン(a)を合成することにより、
得られる水溶性放射線硬化性生成物(A)、及び
少なくとも1種の顔料(B)
を含み、且つ23℃で測定される動的粘度が2〜80mPa・sの範囲にあるインクジェット法用水性インク。
【請求項6】
水溶性放射線硬化性生成物(A)が、1分子当たり少なくとも1個のCOOH基を有する水溶性放射線硬化性生成物(A)である請求項5に記載の水性インク。
【請求項7】
1分子当たり少なくとも1個のCOOH基を有する水溶性放射線硬化性生成物(A)が、水溶性放射線硬化性生成物(A)の合成中に、β−アラニンを添加することにより製造される請求項6に記載の水性インク。
【請求項8】
1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)が、一般式I:
【化3】

[但し、
1及びR2が、同一でも異なっていても良く、それぞれ独立して水素及びC1〜C10アルキルから選択され、
1が、酸素及びN−R3から選択され、
1が、無置換のC1〜C20アルキレン、及びC1〜C4アルキル、フェニル又はO−C1〜C4アルキルの1個以上により置換されたC1〜C20アルキレンから選択され、且つこのC1〜C20アルキレンは1個以上の非隣接のCH2基が酸素で置換されていてもよく;
2が、水素及びNH−R3から選択され、そして
3が、それぞれ同一でも異なっていても良く、水素、C1〜C10アルキル及びフェニルから選択される。]
で表される化合物、又は一般式II:
【化4】

[但し、
1及びR2が、同一でも異なっていても良く、それぞれ独立して水素及びC1〜C10アルキルから選択され、
mが0〜2の整数を表し、
2が、mが0の時、CH2又は−CH2−CH2−又はR5−CH又はパラ−C64を表し、mが1の時、CH又はC−OH又はC−O−C(O)−CH=CH2又はC−O−CO−C(CH3)=CH2又はR5−C又は1,3,5−C63を表し、そしてmが2の時、炭素を表し、
5が、C1〜C4アルキル及びフェニルから選択され、
3、A4及びA5が、同一でも異なっていても良く、それぞれC1〜C20アルキレン、シス−又はトランス−C4〜C10シクロアルキレン、それぞれ非隣接の1〜7個の炭素原子が酸素で置換されていてもよいC1〜C20アルキレン、4個以下のヒドロキシル基で置換され且つそれぞれ非隣接の1〜7個の炭素原子が酸素で置換されていてもよいC1〜C20アルキレン、C6〜C14アリーレンから選択される。]
で表される化合物である請求項5〜7のいずれか1項に記載の水性インク。
【請求項9】
さらに少なくとも1種の光開始剤(C)を含む請求項5〜8のいずれか1項に記載の水性インク。
【請求項10】
少なくとも1種の光開始剤(C)が、α−開裂光開始剤又は水素引き抜き光開始剤である請求項9に記載の水性インク。
【請求項11】
インクの合計質量に対して1〜20質量%の(A)、
インクの合計質量に対して0.01〜20質量%の(B)、
インクの合計質量に対して0〜10質量%の(C)
を含む請求項5〜10のいずれか1項に記載の水性インク。
【請求項12】
インクの合計質量に対して1.5〜15質量%の(A)、
インクの合計質量に対して1〜10質量%の(B)、
インクの合計質量に対して0.1〜6質量%の(C)
を含む請求項5〜11のいずれか1項に記載の水性インク。
【請求項13】
(A)(B)、水、及び適宜(C)を相互に混合する工程を含む請求項5〜12のいずれか1項に記載の水性インクを製造する方法。
【請求項14】
請求項5〜12のいずれか1項に記載の水性インクを用いてシート状基材に印刷する方法。
【請求項15】
請求項5〜12のいずれか1項に記載の水性インクを用いてシート状基材に印刷し、次いで化学線で処理することを特徴とする方法。
【請求項16】
少なくとも1種の超分岐ポリウレタン(a)と、(a)に対して0.01〜25質量%の1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)とを反応させながら又は反応させることなく混合することにより、或いは
少なくとも1種の超分岐ポリウレタン(a)を、(a)に対して0.01〜25質量%の1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)の存在下に合成することにより、
得られる水溶性放射線硬化性生成物(A)。
【請求項17】
少なくとも1種の超分岐ポリウレタン(a)が、少なくとも1個のNCO基を有する超分岐ポリウレタン(a)である請求項16に記載の水溶性放射線硬化性生成物。
【請求項18】
1分子当たり少なくとも1個のCOOH基を有する請求項16又は17に記載の水溶性放射線硬化性生成物。
【請求項19】
1分子当たり少なくとも1個のエチレン性2重結合を有する少なくとも1種の化合物(b)が、一般式I:
【化5】

[但し、
1及びR2が、同一でも異なっていても良く、それぞれ独立して水素及びC1〜C10アルキルから選択され、
1が、酸素及びN−R3から選択され、
1が、無置換のC1〜C20アルキレン、及びC1〜C4アルキル、フェニル又はO−C1〜C4アルキルの1個以上により置換されたC1〜C20アルキレンから選択され、且つこのC1〜C20アルキレンは1個以上の非隣接のCH2基が酸素で置換されていてもよく;
2が、水素及びNH−R3から選択され、そして
3が、それぞれ同一でも異なっていても良く、水素、C1〜C10アルキル及びフェニルから選択される。]
で表される化合物、又は
一般式II:
【化6】

[但し、
1及びR2が、同一でも異なっていても良く、それぞれ独立して水素及びC1〜C10アルキルから選択され、
mが0〜2の整数を表し、
2が、mが0の時、CH2又は−CH2−CH2−又はR5−CH又はパラ−C64を表し、mが1の時、CH又はC−OH又はC−O−C(O)−CH=CH2又はC−O−CO−C(CH3)=CH2又はR5−C又は1,3,5−C63を表し、そしてmが2の時、炭素を表し、
5が、C1〜C4アルキル及びフェニルから選択され、
3、A4及びA5が、同一でも異なっていても良く、それぞれC1〜C20アルキレン、シス−又はトランス−C4〜C10シクロアルキレン、それぞれ非隣接の1〜7個の炭素原子が酸素で置換されていてもよいC1〜C20アルキレン、4個以下のヒドロキシル基で置換され且つそれぞれ非隣接の1〜7個の炭素原子が酸素で置換されていてもよいC1〜C20アルキレン、C6〜C14アリーレンから選択される。]
で表される化合物である請求項16又は17に記載の水溶性放射線硬化性生成物。
【請求項20】
さらに少なくとも1種の光開始剤(C)を含む請求項16〜19のいずれか1項に記載の水溶性放射線硬化性生成物。
【請求項21】
少なくとも1種の光開始剤(C)が、α−開裂光開始剤又は水素引き抜き光開始剤である請求項20に記載の水溶性放射線硬化性生成物。

【公表番号】特表2008−510044(P2008−510044A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526334(P2007−526334)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【国際出願番号】PCT/EP2005/008409
【国際公開番号】WO2006/018136
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】