説明

水溶性活性成分含有シームレスカプセル

本発明は、水溶性活性成分を含有するシームレスカプセルであって、該水溶性活性成分の不安定化が防止された該シームレスカプセルおよびその製造方法を提供することを目的として、水溶性活性成分および油性物質を含有する内容物、該内容物を被覆する被膜、ならびに該内容物と該被膜との間に介在する、該水溶性活性成分を溶解または混和せず、水に溶解または混和せず、かつ10〜65℃の間の融点を有し、その製造過程において融点以下の温度では該内容物に溶解または混和しない油性物質を含有する中間層を含有するシームレスカプセル、順次増大する直径を有する3重以上のノズルを備えたシームレスカプセルの製造装置を用いる水溶性活性成分を含有するシームレスカプセルの製造方法等を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性活性成分を含有するシームレスカプセルおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬または動物薬用の活性成分を含有する固形製剤において、多くの医薬または動物薬用の活性成分は水溶性であり、これらは固形製剤の製造中に使用される水や固形製剤に含まれる水によって、不安定になることが多く報告されている。その不安定化は、活性成分と水との化学反応や、活性成分が水に溶けて他の製剤成分や外的因子からの影響を受けやすくなることによって起こるとされている。そこで、医薬または動物薬用の活性成分、とりわけ水溶性の活性成分を含有する固形製剤の製造において、活性成分が、固形製剤の製造中に使用される水や固形製剤に含まれる水によって影響を受けないようにさまざまな方法が検討されている。
【0003】
一方、シームレスカプセルは、例えば特公昭51−08875記載の方法等により製造される。特公昭51−08875記載のシームレスカプセルは、油性物質である内容物を水溶性の被膜が被覆するという構造を有しており、単核一重シームレスカプセルと呼ばれる。一方、内容物とそれを被覆する被膜、さらに内容物と被膜との間に介在する中間層とからなる多層構造を有し、単核二重シームレスカプセルと呼ばれるシームレスカプセルも知られている(特許文献1参照)。該単核二重シームレスカプセルにおいては、内容物は水溶性または非水溶性の固体を分散して含有する油性物質であり、中間層は油とゼラチン等の水溶性高分子とからなる乳化液であり、該内容物と該中間層を水溶性の被膜が被覆している。
【0004】
また、多層構造を有するシームレスカプセルの応用が報告されており(特許文献2〜5参照)、例えば水溶性物質を含有する水溶液または水懸濁液である内容物と、油性物質からなる中間層とを水溶性の被膜が被覆した構造を有するシームレスカプセルが知られている。これらの技術により、薬物、香料、動植物油等を内容物に含有するシームレスカプセルが各種用途に汎用されてきた。
【0005】
また、医薬または動物薬用の活性成分のうち、水に難溶性の物質を含有するシームレスカプセルとして、腸内有用菌を内容物とするシームレスカプセル(特許文献6参照)や、酸化されやすい油性物質を内容物とするシームレスカプセル(特許文献7参照)が知られており、これらにおいては油性物質である内容物および室温で非流動性の油性物質からなる中間層を水溶性の被膜が被覆している。
【特許文献1】特公昭53−39193号公報
【特許文献2】特許第2806564号明細書
【特許文献3】特許第2784872号明細書
【特許文献4】特開平10−313861号公報
【特許文献5】特開2001−238611号公報
【特許文献6】特公平7−61948号公報
【特許文献7】特開平7−53356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、水溶性活性成分を含有するシームレスカプセルであって、該水溶性活性成分の不安定化が防止された該シームレスカプセルおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の(1)〜(9)に関する。
(1)水溶性活性成分および油性物質を含有する内容物、該内容物を被覆する被膜、ならびに該内容物と該被膜との間に介在する、該水溶性活性成分を溶解または混和せず、水に溶解または混和せず、かつ10〜65℃の間の融点を有し、その製造過程において融点以下の温度では該内容物に溶解または混和しない油性物質を含有する中間層を含有するシームレスカプセル。
(2)中間層が、25〜37℃の間の融点を有する油性物質を含有する中間層である前記(1)記載のシームレスカプセル。
(3)中間層が、ハードファット、カカオ油、ラード、硬化油、部分硬化油、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸アシルエステルおよびパラフィンから選ばれる1以上の油類を含有する中間層である前記(1)または(2)記載のシームレスカプセル。
(4)中間層が、ハードファット、カカオ油、ラード、硬化油、部分硬化油、高融点のグリセリン脂肪酸エステル、高融点の脂肪酸アシルエステルおよびパラフィンから選ばれる1以上の油類と、植物油、低融点のグリセリン脂肪酸エステル、低融点の脂肪酸アシルエステルおよび流動パラフィンから選ばれる1以上の油類との混合物を含有する中間層である前記(1)または(2)記載のシームレスカプセル。
(5)被膜が、ゼラチンまたは寒天を含有する被膜である前記(1)〜(4)のいずれかに記載のシームレスカプセル。
(6)被膜が、さらに酸化チタン、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、タルク、酸化ケイ素、ケイ酸アルミン酸塩、銅クロロフィリンナトリウムおよびタール色素のアルミニウムレーキから選ばれる1以上の物質を含有する被膜である前記(5)記載のシームレスカプセル。
(7)水溶性活性成分がオロパタジンまたはその塩である前記(1)〜(6)のいずれかに記載のシームレスカプセル。
(8)水溶性活性成分を含有するシームレスカプセルの製造方法であって、順次増大する直径を有する3重以上のノズルを備えたシームレスカプセルの製造装置を用い、最外ノズルから被膜溶液を、最外ノズル以外のノズルのうち最内ノズル以外の少なくとも1つのノズルから、水溶性活性成分を溶解または混和せず、水に溶解または混和せず、かつ10〜65℃の間の融点を有し、シームレスカプセルの製造過程において融点以下の温度では該内容物に溶解または混和しない油性物質を含有する中間層を構成する油性物質を、該中間層を構成する油性物質を吐出するノズルより内側の少なくとも1つのノズルから、水溶性活性成分および油性物質を含有する内容物を、それぞれ連続的に冷却媒体に吐出させて多層液滴を形成させる工程、該多層液滴を液滴形成と同時にまたはその後速やかに該中間層を構成する油性物質の融点以下の温度に冷却して、該中間層を構成する油性物質を硬化またはゲル化させる工程および得られた固体を該中間層を構成する油性物質の融点以下の温度で乾燥する工程を含むことを特徴とする、シームレスカプセルの製造方法。
(9)前記(8)記載のシームレスカプセルの製造方法によって製造することができる、水溶性活性成分を含有するシームレスカプセル。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、水溶性活性成分を含有するシームレスカプセルであって、該水溶性活性成分の不安定化が防止された該シームレスカプセルおよびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のシームレスカプセルは、水溶性活性成分を含有する内容物、該内容物を被覆する被膜、および該内容物と該被膜との間に介在する中間層を含有するシームレスカプセルであって、該内容物は該水溶性活性成分および油性物質を含有し、該中間層は該水溶性活性成分を溶解または混和せず、水に溶解または混和せず、かつ10〜65℃の間の融点を有し、融点以下の温度では該内容物に溶解または混和しない油性物質を含有することを特徴とするシームレスカプセルである。
【0010】
本発明のシームレスカプセルの内容物を構成する油性物質は、従来からシームレスカプセルの内容物として用いられている油性物質であればいずれでもよい。また、従来のシームレスカプセルの内容物としては用いられていなかった水溶性の油性物質も、本発明のシームレスカプセルの内容物を構成する油性物質として使用可能である。水溶性活性成分は、水に対して不安定な場合があり、該内容物は水を含有しないことが好ましい。また、該油性物質としては、水溶性活性成分を懸濁し得るものが好ましい。また、粘性が低い油性物質は、粘性が高い油性物質と混合して用いることもできる。
【0011】
本発明のシームレスカプセルの内容物を構成する油性物質としては、例えば、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ダイズ油等の油脂、グリセリン、エタノール等のアルコール類、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の油脂由来界面活性剤、ポリソルベート、ポリエチレングリコール等の合成界面活性剤、流動パラフィン、炭素数6以上のノルマルパラフィン等の非極性炭化水素等から選ばれる1つの油性物質または2以上の油性物質の混合物等があげられる。
【0012】
本発明のシームレスカプセルに含有される水溶性活性成分は、水に僅かでも溶解するものであればいずれでもよく、例えば溶解度が0.1mg/mL以上、すなわち日本薬局方で「極めて溶けにくい」と表現されるものより高い溶解度を有するものが好ましい。また、水と油の分配に関して、僅かでも水に分配されるものであればよく、例えばオクタノール/水の分配比が1:0.01以上であるものが好ましい。より好ましくは、例えば水に対する溶解度が10mg/mL以上で、オクタノール/水の分配比が1:10以上である。また、水に対する安定性が極めて低い水溶性活性成分、例えばペプチド、抗体、DNA等や、水に接触すると特異な性状変化(例えば色変化)が生じる水溶性活性成分等は、その水への溶解度および水と油の分配比の如何に関わらず、本発明に用いることができる。
【0013】
また、本発明のシームレスカプセルに含有される水溶性活性成分は、油性物質に懸濁して内容物となるものであるのが好ましく、この場合、該油性物質に一部が溶解または混和するものであっても、その全てが溶解または混和しなければよい。
【0014】
本発明のシームレスカプセルに含有される水溶性活性成分の形態としては、固形状、粉末状、結晶状等が好ましい。また、油性物質に溶解または混和する水溶性活性成分や、凝集等を生成しやすい水溶性活性成分の場合は、シクロデキストリン等の包接化合物に包接したり、リポソームやマイクロカプセルに封入したり、シリカゲル、アルファー化デンプン等の吸着物質に吸着させることにより、内容物を構成する油性物質に懸濁しやすくした形態とすることが好ましい。
【0015】
本発明のシームレスカプセルに含有される水溶性活性成分としては、例えば医薬または動物薬用の水溶性活性成分が好ましく、より具体的には、中枢神経系用薬、末梢神経系用薬、感覚器官用薬、循環器官用薬、呼吸器官用薬、消化器官用薬、ホルモン、泌尿生殖器または肛門用薬、外皮用薬、歯科口腔用薬、ビタミン、滋養強壮薬、血液・体液用薬、人工透析用薬、肝臓疾患用薬、解毒薬、習慣性中毒用薬、痛風治療薬、酵素、糖尿病用薬、細胞賦活用薬、腫瘍用薬、放射性医薬品、アレルギー用薬、生薬、抗生物質、化学療法薬、ワクチン類、寄生動物用薬、診断用薬、麻薬・覚醒剤等からなる群から選ばれる1種また以上の生理活性成分等があげられる。
【0016】
本発明のシームレスカプセルに含有される水溶性活性成分としては、より具体的には、例えばアセチルスピラマイシン、アモキシシリン、イコサペント酸エチル、イトラコナゾール、オキサトミド、オロパタジン、グリブゾール、グルタチオン、ケトフェニルブタゾン、コバマミド、シサプリド、トドララジン、トロピセトロン、ドンペリドン、バルプロ酸、ピリドキサール、フルオロウラシル、フルナリジン、フルラゼパム、ベニジピン、ミノサイクリン、メベンダゾール、メドロキシプロゲステロン、ユビデカレノン、レボドバ、それらの塩等からなる群から選ばれる1種また以上の活性成分等があげられる。
【0017】
ここで、塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩等の有機酸塩等の酸付加塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等の金属塩、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム等のアンモニウム塩、モルホリン付加塩、ピペリジン付加塩等の有機アミン付加塩、グリシン付加塩、フェニルアラニン付加塩、リジン付加塩、アスパラギン酸付加塩、グルタミン酸付加塩等のアミノ酸付加塩等があげられる。
【0018】
本発明のシームレスカプセルの内容物に含有される水溶性活性成分と油性物質の重量比は、特に限定されないが、好ましくは20:80〜0.01:99.99、より好ましくは5:95〜0.1:99.9である。また、該油性物質に懸濁し易いように、該水溶性活性成分の粒子径は、顕微鏡法または篩い分け法で測定するときの体積平均粒子径で50μm以下であるのが好ましく、より好ましくは20μm以下である。
【0019】
本発明のシームレスカプセルの被膜は、従来からシームレスカプセルの被膜として用いられているものであればいずれでもよく、例えばゼラチン、寒天、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ペクチン等の被膜物質を含有する被膜が好ましく、ゼラチンまたは寒天を含有する被膜がより好ましい。例えば、寒天を含有する被膜の場合、該寒天は例えば80〜100℃の水に溶解可能であるのが好ましく、少なくとも沸騰水に溶解可能であるのが好ましい。
【0020】
本発明のシームレスカプセルの製造方法に用いられる被膜溶液は、例えばゼラチン、寒天、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ペクチン等の被膜物質を含有する水溶液等であり、該水溶液における被膜物質の濃度は、例えば沸騰水に溶解可能な濃度以下で、冷却媒体の温度で被膜を形成する最低濃度以上であるのが好ましい。例えば、寒天を含有する被膜を調製する場合、寒天水溶液における寒天の濃度は0.5〜10%であるのが好ましく、より好ましい濃度は1〜5%である。上記被膜物質の被膜に対する割合は、被膜100重量部に対して、5〜100重量部であるのが好ましい。
【0021】
本発明のシームレスカプセルの被膜には、可塑剤を含有させることも可能である。可塑剤としては、例えばグリセリン、糖、糖アルコール、水溶性高分子等、好ましくは24未満の炭素原子を有する糖または糖アルコール等があげられ、具体的にはソルビトール、ショ糖、乳糖、マルトース、エリスリトール、トレハロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール等があげられる。可塑剤の被膜に対する割合は、被膜100重量部に対して、0〜95重量部であるのが好ましい。
【0022】
本発明のシームレスカプセルの被膜には、甘味料、香料、着色剤、帯電防止剤、矯味剤、矯臭剤、安定化剤、崩壊剤等を含有させることもできる。安定化剤としては、例えば遮光剤等があげられ、遮光剤としては、例えば酸化チタン、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、タルク、酸化ケイ素、ケイ酸アルミン酸塩、銅クロロフィリンナトリウム、タール色素のアルミニウムレーキ等があげられる。また、崩壊剤として、例えばプルラン、ヒドロキシプロピルスターチ、可溶化デンプン、デキストリン、カルボキシメチルスターチナトリウム、アラビアゴム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カラギーナン等から選ばれる1以上の物質を含有させることが好ましい。甘味料、香料、着色剤、帯電防止剤、矯味剤、矯臭剤、安定化剤、崩壊剤等の被膜に対する割合は、被膜100重量部に対して、合計で0〜40重量部であるのが好ましい。
【0023】
本発明のシームレスカプセルは、該内容物と該被膜との間に介在する中間層を含有するが、該中間層は、前記水溶性活性成分を溶解または混和せず、水に溶解または混和せず、かつ10〜65℃の間の融点を有し、該シームレスカプセルの製造過程において融点以下の温度では該内容物に溶解または混和しない油性物質を含有する。なお、該内容物を構成する油性物質としては水溶性の油性物質を用いることも可能であるが、該中間層を構成する油性物質としては、水を透過しない油性物質を用いることが好ましい。なお、該中間層を構成する油性物質は、水溶性活性成分を溶解または混和せず、また該シームレスカプセルの製造過程において融点以下の温度では該内容物に溶解または混和しない必要があるが、該シームレスカプセルの製造過程において融点以上の温度においた場合や製造後にゆっくりと該内容物に溶解または混和することは構わない。
【0024】
さらに、本発明のシームレスカプセルの中間層を構成する油性物質は、人の一般的な体温である37℃以下の融点を有する油性物質であるのが好ましい。該中間層を構成する油性物質の融点が37℃以下であると、経口投与後に水溶性活性成分が消化管内で該シームレスカプセルから速やかに放出され易くなる。一方、例えば消化酵素や腸内細菌等により該シームレスカプセルを崩壊させることで水溶性活性成分の放出を行う場合や、該シームレスカプセルが外用剤であって擦り込んで用いる際に該シームレスカプセルを破壊することにより水溶性活性成分の放出を行う場合には、該シームレスカプセルの中間層を構成する油性物質として37℃以上の融点を有する油性物質を用いることも可能である。また、該中間層を構成する油性物質の融点が37℃以上であっても、該シームレスカプセルの製造後に室温以上、好ましくは該中間層を構成する油性物質の融点以上の温度で保存した場合に、該中間層を構成する油性物質が内容物を構成する油性物質に溶解または混和して得られる混合物の融点が37℃以下となるようにして、経口投与後に水溶性活性成分が消化管内でカプセルから速やかに放出されるようにすることもできる。
【0025】
さらに、少なくとも本発明のシームレスカプセルの製造中には、該シームレスカプセルの中間層を構成する油性物質が、水溶性活性成分を溶解または混和しないように、かつ内容物に溶解または混和しないように、製造中の温度を該中間層を構成する油性物質の融点以下の温度にする必要があるが、乾燥時の温度は乾燥効率や消費エネルギーの観点から25℃以上であるのが好ましく、そのためには該中間層を構成する油性物質は、一般的な室温である25℃以上の融点を有する油性物質であることが好ましい。
【0026】
本発明のシームレスカプセルの中間層を構成する油性物質としては、例えばハードファット、カカオ油、ラード、硬化油、部分硬化油、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸アシルエステル、パラフィン等から選ばれる1以上の油性物質が好ましく、それらのうちの10〜65℃の間、好ましくは25〜37℃の間の融点をもつものが好ましい。また、例えばハードファット、カカオ油、ラード、硬化油、部分硬化油、高融点のグリセリン脂肪酸エステル、高融点の脂肪酸アシルエステル、パラフィン等から選ばれる1以上の高融点の油類と、例えば植物油、低融点のグリセリン脂肪酸エステル、低融点の脂肪酸アシルエステル、流動パラフィン等から選ばれる1以上の低融点の油類とを、10〜65℃の間、好ましくは25〜37℃の間の融点となるように混合したものを用いることもできる。中間層を構成する油性物質としては、より好ましくはハードファットおよびカカオ油から選ばれる1以上の物質、またはハードファット、カカオ油および飽和長鎖脂肪酸トリグリセリドから選ばれる1以上の高融点の油類と、ダイズ油、ヒマシ油、ナタネ油および不飽和長鎖脂肪酸トリグリセリドから選ばれる1以上の低融点の油類とを混合して10〜65℃の間、より好ましくは25〜37℃の間の融点となるようにした混合物等があげられる。なお、高融点の油類と低融点の油類の混合物を用いる場合、高融点の油類と低融点の油類の比は、1:4〜4:1であるのが好ましく、その場合は構造が類似した油類どうしを用いることが好ましい。
【0027】
本発明のシームレスカプセルの製造は、例えば従来の単核多層シームレスカプセルの製造方法で行うことができるが、具体的には、例えば順次増大する直径を有する3重以上のノズルを備えたシームレスカプセルの製造装置を用い、最外ノズルから前記被膜溶液を、最外ノズル以外のノズルのうち最内ノズル以外の少なくとも1つのノズルから、水溶性活性成分を溶解または混和せず、水に溶解または混和せず、かつ10〜65℃の間の融点を有し、該シームレスカプセルの製造過程において融点以下の温度では該内容物に溶解または混和しない油性物質を含有する中間層を構成する油性物質を、該中間層を構成する油性物質を吐出するノズルより内側の少なくとも1つのノズルから水溶性活性成分および油性物質を含有する前記内容物を、それぞれ連続的に冷却媒体に吐出させて多層液滴を形成させる工程、該多層液滴を液滴形成と同時にまたはその後速やかに該中間層を構成する油性物質の融点以下の温度に冷却して該中間層を構成する油性物質を硬化またはゲル化させる工程および得られた固体を該中間層を構成する油性物質の融点以下の温度で乾燥する工程を含む製造法で製造することができる。
【0028】
本発明のシームレスカプセルの製造に用いられる製造装置としては、例えばシームレスミニカプセル製造装置[スフレックス;フロイント産業(株)製]等があげられる。
【0029】
本発明のシームレスカプセルの製造に用いる冷却媒体としては、例えば水と速やかには混和せず、かつ被膜に含有される寒天、ゼラチン等の物質を速やかには溶解しない液体であればいずれでもよく、また、冷蒸留水または冷緩衝液であっても温度が充分低ければよい。より好ましくは、水と界面を形成し、かつ被膜が溶けにくい油類等があげられ、例えば、中鎖脂肪酸トリグリセリド、大豆油等の油脂、酢酸エチル、イソオクタノール、シクロヘキサノン、n−アミルアルコール等の極性有機溶媒、流動パラフィン、炭素数6以上のノルマルパラフィン等の非極性炭化水素等から選ばれる1種の液または2種以上の混合液等があげられる。
【0030】
上記本発明のシームレスカプセルの製造において、前記被膜溶液は、例えばゼラチン、寒天、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ペクチン等の被膜物質等を水に加え、該被膜物質等が溶解または分散して、流動性のある液体となるまで加熱して調製することができる。該被膜溶液は、該被膜溶液から該被膜物質等が析出しないまたは該被膜溶液が固化しない温度に保温したままシームレスカプセルの製造に用いる。また、中間層を構成する油性物質も、該物質が流動性のある液体となるまで加熱し、固化しない温度に保温したままシームレスカプセルの製造に用いる。シームレスカプセルの製造中においても、前記被膜溶液および中間層を構成する油性物質は、それぞれ前記製造装置のノズルに到達するまで流動性のある液体の状態となるように、保温する必要がある。
【0031】
本発明のシームレスカプセルの製造においては、液滴形成と同時にまたはその後速やかに中間層を構成する油性物質の融点以下の温度に中間層を冷却するのが好ましい。これにより、中間層が硬化またはゲル化するので、水溶性活性成分が固体または半固体になった中間層を貫通することなく、水を含む被膜との接触が防止され、水溶性活性成分の不安定化が防止することができる。中間層を構成する油性物質が、その融点以上の温度において内容物に溶解または混和する場合には、少なくとも中間層を構成する油性物質のすべてが内容物に溶解または混和する前に、融点以下に冷却するのが好ましい。
【0032】
上記本発明のシームレスカプセルの製造において、液滴形成と同時にまたはその後速やかに中間層を構成する油性物質を硬化またはゲル化させるためには、冷却媒体は予め該中間層を構成する油性物質の融点以下の温度に冷却しておくのが好ましく、より好ましくは20℃以下、さらに好ましくは15℃以下に冷却しておく。
【0033】
前記被膜溶液および中間層を構成する油性物質の温度差、好ましくは前記被膜溶液、中間層を構成する油性物質および内容物の温度差は、30℃以内であることが好ましく、15℃以内であることがより好ましい。
【0034】
該水溶性活性成分および油性物質を含有する内容物、該中間層を構成する油性物質および該被膜溶液は、1:0.1:1〜1:10:30の速度比でノズルから吐出させることが好ましく、1:0.5:1〜1:3:10の速度比でノズルから吐出させることがより好ましい。
【0035】
本発明のシームレスカプセルの製造工程において、多層液滴を冷却して中間層を構成する油性物質を硬化またはゲル化させた直後は、得られた固体は多量の水分を含有するので、例えば回転ドラム式乾燥機等を用いて乾燥させる必要がある。該乾燥工程においても、回転運動や重力の作用によって、水溶性活性成分が中間層および被膜へと移動し得るので、中間層は固体または半固体の状態に保つ必要があり、該乾燥工程は、中間層を構成する油性物質の融点以下の温度で行うのが好ましい。ただし、被膜を十分に乾燥させる等の目的のために、被膜に含まれる水分がほとんど無くなった後に、中間層を構成する油性物質の融点以上の温度にすることは構わない。
【0036】
一方、予備乾燥として、多層液滴を冷却して中間層を構成する油性物質を硬化またはゲル化させた後、得られた固体をエタノールまたはエタノールを含有する液に浸して、予め水分を除去してもよい。この方法は、特許2784872号または特開平10−211425記載の方法等で行えばよく、例えばシームレスカプセルの被膜が、被膜物質と、エタノールに極めて溶けにくい糖、糖アルコールおよび親水性高分子のいずれか1以上の物質を含有する場合は、シームレスカプセルからエタノールによって除去されてしまう物質は僅かとなり、性能が低下することなくシームレスカプセルが得られるので有用である。
【0037】
本発明のシームレスカプセルはフルイまたはそれに準ずるもので分級することもでき、その際、フルイの目開きを調整することにより、日本薬局方記載の丸剤、顆粒剤、細粒剤および散剤をそれぞれ得ることが可能である。また、該シームレスカプセルをハードカプセル、ボトル等に充填するか、分包品として包装してもよい。さらに、該シームレスカプセルを充填または包装する前に、ハードカプセル、ボトル等に帯電防止剤、矯味剤、矯臭剤等を加えてもよい。
【0038】
また、本発明のシームレスカプセルを、打錠機によって圧縮成形して圧縮製剤を製造してもよい。該圧縮製剤としては、例えば、内服用錠、発泡錠、腸溶錠、チュアブル錠、口腔内速崩壊錠、トローチ、バッカルまたは舌下錠等の口腔用錠等があげられる。また、該圧縮製剤はマルチプルユニット型錠剤、グラジュメット、ワックスマトリックス、レジネート、スパンタプ等の機能性錠剤であってもよい。
本発明のシームレスカプセルを、打錠機によって圧縮成形する場合には、シームレスカプセルと種々の添加剤を混合し、所望により滑沢剤を混合して打錠末とし、公知の打錠機、好ましくは生産性の優れたロータリー打錠機または単発打錠機で打錠することが可能である。さらに、圧縮成形時、上記の混合粉末に滑沢剤を混合せずに、打錠機の杵臼にあらかじめ滑沢剤を塗布してから圧縮成形することもできる。
【0039】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0040】
内容物としてダイズ油3980gに塩酸オロパタジン20gを加えてよく懸濁させた。中間層を構成する油性物質として硬化油(ショートニングPW−50;横関油脂)1000gを、70℃以上に加熱して融解した。また、被膜溶液として寒天60gとショ糖700gに、精製水1240gを加えてよく混合し、水浴上で80〜100℃に加熱して溶解した。
シームレスミニカプセル製造装置[スフレックス;フロイント産業(株)製]を用い、同心円の3重のノズルを用いて、内容物、中間層を構成する油性物質および被膜溶液を、それぞれ毎分5.5mL、4.9mLおよび21.4mLの速度で、約15℃に冷却した中鎖脂肪酸トリグリセリド(花王、ココナードMT)に連続的に吐出させて約1.5mm径の単核二重シームレスカプセルを製造した。次いで、得られたシームレスカプセルを中鎖脂肪酸トリグリセリドより取り出して、回転乾燥機を用い、25℃、相対湿度30%で乾燥した。
【実施例2】
【0041】
内容物としてダイズ油3980gに塩酸オロパタジン20gを加えてよく懸濁させた。中間層を構成する油性物質としてグリセリン脂肪酸エステル(ウィテプゾルH−15;ミツバ貿易)500gをダイズ油500gに加え、50℃以上に加熱して融解した。また、被膜溶液として寒天60gとショ糖700gに、精製水1240gを加えてよく混合し、水浴上で80〜100℃に加熱して溶解した。
シームレスミニカプセル製造装置[スフレックス;フロイント産業(株)製]を用い、同心円の3重のノズルを用いて、内容物、中間層を構成する油性物質および被膜溶液を、それぞれ毎分5.5mL、4.9mLおよび21.4mLの速度で、約15℃に冷却した中鎖脂肪酸トリグリセリド(花王、ココナードMT)に連続的に吐出させて約1.5mm径の単核二重シームレスカプセルを製造した。次いで、得られたシームレスカプセルを中鎖脂肪酸トリグリセリドより取り出して、回転乾燥機を用い、25℃、相対湿度30%で乾燥した。
【実施例3】
【0042】
内容物として中鎖脂肪酸トリグリセリド(花王、ココナードMT)3960gに塩酸オロパタジン40gを加えてよく懸濁させた。中間層を構成する油性物質としてカカオ油2000gを50℃以上に加熱して融解した。また、被膜溶液として寒天60gとショ糖700gに、精製水1240gを加えてよく混合し、水浴上で80〜100℃に加熱して溶解した。
シームレスミニカプセル製造装置[スフレックス;フロイント産業(株)製]を用い、同心円の3重のノズルを用いて、内容物、中間層を構成する油性物質および被膜溶液を、それぞれ毎分5.5mL、6.0mLおよび19.7mLの速度で、約15℃に冷却した中鎖脂肪酸トリグリセリド(花王、ココナードMT)に連続的に吐出させて約1.5mm径の単核二重シームレスカプセルを製造した。次いで、得られたシームレスカプセルを中鎖脂肪酸トリグリセリドより取り出して、回転乾燥機を用い、25℃、相対湿度30%で乾燥した。
【実施例4】
【0043】
内容物として中鎖脂肪酸トリグリセリド(花王、ココナードMT)3960gに塩酸オロパタジン40gを加えてよく懸濁させた。中間層を構成する油性物質としてカカオ油2000gを50℃以上に加熱して融解した。また、被膜溶液として寒天50gとショ糖590g、酸化チタン160gに、精製水1200gを加えてよく混合し、水浴上で80〜100℃に加熱して溶解した。
シームレスミニカプセル製造装置[スフレックス;フロイント産業(株)製]を用い、同心円の3重のノズルを用いて、内容物、中間層を構成する油性物質および被膜溶液を、それぞれ毎分5.5mL、9.5mLおよび17.0mLの速度で、約15℃に冷却した中鎖脂肪酸トリグリセリド(花王、ココナードMT)に連続的に吐出させて約1.5mm径の単核二重シームレスカプセルを製造した。次いで、得られたシームレスカプセルを中鎖脂肪酸トリグリセリドより取り出して、回転乾燥機を用い、25℃、相対湿度30%で乾燥した。
【0044】
比較例1
内容物としてダイズ油3980gに塩酸オロパタジン20gを加えてよく懸濁させた。被膜溶液として寒天60gとショ糖700gに、精製水1240gを加えてよく混合し、水浴上で80〜100℃に加熱して寒天を溶解した。
シームレスミニカプセル製造装置[スフレックス;フロイント産業(株)製]を用い、同心円の2重のノズルを用いて、内容物および被膜溶液を、それぞれ毎分5.5mLおよび21.4mLの速度で、約15℃に冷却した中鎖脂肪酸トリグリセリド(花王、ココナードMT)に連続的に吐出させて約1.5mm径の単核一重シームレスカプセルを製造した。次いで、得られたシームレスカプセルを中鎖脂肪酸トリグリセリドより取り出して、回転乾燥機を用い、25℃、相対湿度30%で乾燥した。
【0045】
比較例2
内容物として中鎖脂肪酸トリグリセリド(花王、ココナードMT)3960gに塩酸オロパタジン40gを加えてよく懸濁させた。被膜溶液として寒天60gとショ糖700gに、精製水1240gを加えてよく混合し、80〜100℃に加熱して寒天を溶解した。
シームレスミニカプセル製造装置[スフレックス;フロイント産業(株)製]を用い、同心円の2重のノズルを用いて、内容物および被膜溶液を、それぞれ毎分6.2mLおよび9.9mLの速度で、約15℃に冷却した中鎖脂肪酸トリグリセリド(花王、ココナードMT)に連続的に吐出させて約1.5mm径の単核一重シームレスカプセルを製造した。次いで、得られたシームレスカプセルを中鎖脂肪酸トリグリセリドより取り出して、回転乾燥機を用い、25℃、相対湿度30%で乾燥した。
【0046】
試験例1
実施例1〜4および比較例1、2で得られた各シームレスカプセルに、それぞれ15℃、相対湿度60%で、D65灯の1000lxの光を50日間照射し、塩酸オロパタジンの幾何異性体(化合物A)の生成量を高速液体クロマトグラフィー法によって測定し、光照射開始時の塩酸オロパタジンに対する生成率を測定した。なお高速液体クロマトグラフィー法の条件は以下の通りである。
カラム:Inertsil C8 4.6mm×250mm(GL Science Inc.)
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相:[0.05mol/Lリン酸緩衝液(pH3.5):アセトニトリル=550mL:450mL]+ラウリル硫酸ナトリウム2.3g
検出方法:紫外線吸光光度法(波長299nm)
その結果、表1のように比較例1、2で得られたシームレスカプセルでは、化合物Aの生成率が高かったのに対し、実施例1〜4で得られたシームレスカプセルでは、化合物Aの生成率が低かった。
この結果から、本発明のシームレスカプセルでは内容物に含有される水溶性活性成分の不安定化が抑制されたと言える。
【0047】
【表1】

【0048】
試験例2
実施例2〜4で得られたシームレスカプセルに対し、試験液に水を用いて日本薬局方第14改訂記載の溶出試験を実施した。その結果、いずれのシームレスカプセルにおいても、30分以内に含有される塩酸オロパタジンの85%以上が溶出した。
すなわち、本発明のシームレスカプセルは、経口投与後に消化管内で水溶性活性成分が速やかに放出されるシームレスカプセルであると言える。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明により、水溶性活性成分を含有するシームレスカプセルであって、該水溶性活性成分の不安定化が防止された該シームレスカプセルおよびその製造方法を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性活性成分および油性物質を含有する内容物、該内容物を被覆する被膜、ならびに該内容物と該被膜との間に介在する、該水溶性活性成分を溶解または混和せず、水に溶解または混和せず、かつ10〜65℃の間の融点を有し、その製造過程において融点以下の温度では該内容物に溶解または混和しない油性物質を含有する中間層を含有するシームレスカプセル。
【請求項2】
中間層が、25〜37℃の間の融点を有する油性物質を含有する中間層である請求項1記載のシームレスカプセル。
【請求項3】
中間層が、ハードファット、カカオ油、ラード、硬化油、部分硬化油、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸アシルエステルおよびパラフィンから選ばれる1以上の油類を含有する中間層である請求項1または2記載のシームレスカプセル。
【請求項4】
中間層が、ハードファット、カカオ油、ラード、硬化油、部分硬化油、高融点のグリセリン脂肪酸エステル、高融点の脂肪酸アシルエステルおよびパラフィンから選ばれる1以上の油類と、植物油、低融点のグリセリン脂肪酸エステル、低融点の脂肪酸アシルエステルおよび流動パラフィンから選ばれる1以上の油類との混合物を含有する中間層である請求項1または2記載のシームレスカプセル。
【請求項5】
被膜が、ゼラチンまたは寒天を含有する被膜である請求項1〜4のいずれかに記載のシームレスカプセル。
【請求項6】
被膜が、さらに酸化チタン、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、タルク、酸化ケイ素、ケイ酸アルミン酸塩、銅クロロフィリンナトリウムおよびタール色素のアルミニウムレーキから選ばれる1以上の物質を含有する被膜である請求項5記載のシームレスカプセル。
【請求項7】
水溶性活性成分がオロパタジンまたはその塩である請求項1〜6のいずれかに記載のシームレスカプセル。
【請求項8】
水溶性活性成分を含有するシームレスカプセルの製造方法であって、順次増大する直径を有する3重以上のノズルを備えたシームレスカプセルの製造装置を用い、最外ノズルから被膜溶液を、最外ノズル以外のノズルのうち最内ノズル以外の少なくとも1つのノズルから、水溶性活性成分を溶解または混和せず、水に溶解または混和せず、かつ10〜65℃の間の融点を有し、シームレスカプセルの製造過程において融点以下の温度では該内容物に溶解または混和しない油性物質を含有する中間層を構成する油性物質を、該中間層を構成する油性物質を吐出するノズルより内側の少なくとも1つのノズルから水溶性活性成分および油性物質を含有する内容物を、それぞれ連続的に冷却媒体に吐出させて多層液滴を形成させる工程、該多層液滴を液滴形成と同時にまたはその後速やかに該中間層を構成する油性物質の融点以下の温度に冷却して、該中間層を構成する油性物質を硬化またはゲル化させる工程および得られた固体を該中間層を構成する油性物質の融点以下の温度で乾燥する工程を含むことを特徴とする、シームレスカプセルの製造方法。
【請求項9】
請求項8記載のシームレスカプセルの製造方法によって製造することができる、水溶性活性成分を含有するシームレスカプセル。

【国際公開番号】WO2005/102291
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【発行日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−512588(P2006−512588)
【国際出願番号】PCT/JP2005/007624
【国際出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【Fターム(参考)】