説明

水溶性重合体及びその製造方法

【課題】
本発明の課題は、工業的な水溶性重合体の製造に適用可能な光重合法として、紫外領域の光量が小さく、作業環境上安全性の高い光源で重合できる方法を完成し、その手法を利用して水溶性重合体、およびその製造方法を提供することである。
【解決手段】
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、1種以上のビニル基を有する水溶性単量体、可視領域に吸収帯を有する有機色素および過酸化物を必須として含有する水性媒体からなる溶解液に、紫外領域の光量の小さい光源で可視光照射することにより、短時間でかつ残存単量体量の低減した重合体を得ることができることを見出し、本発明の完成に至った。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1種以上のビニル基を有する水溶性単量体、有機色素および過酸化物を必須として含有する水性媒体からなる溶解液に、可視光照射し製造したことを特徴とする水溶性重合体に関する。
【0002】
高分子を得るための手法として光重合法は既存技術であるが、中でも光硬化樹脂を光重合し硬化させる技術は、電気・電子市場、自動車、光学、医療分野など様々な産業において重要な手法となっている。光重合の大きな特徴は、特定の波長域の光照射により反応が迅速に起こることである。反応時間の短縮や反応制御が容易である他、安価な光源で反応開始が可能な光開始剤を選択すれば、設備の投資額が抑えられるという利点も有している。
【0003】
光重合技術は主に非水溶性単量体の重合に用いられる技術であるが、水溶性単量体の重合に適用した例もある。水処理用凝集剤の製造技術として、可動式ベルトを使用した高分子量アクリル系重合体の製法(特許文献1参照)や、水溶性ビニル単量体の連続光重合の技術が公開されている(特許文献2参照)。これらの特許文献には、水溶性単量体の重合に光重合技術を用いた場合、残存単量体の低減、連続製造による高効率反応、高分子量体の製造などが可能になることが明記されている。
【特許文献1】特開昭61−155406号公報
【特許文献2】特開昭61−221202号公報
【0004】
上記のような水溶性重合体の製造における光重合の利点を活かし、これまでに幾つかの光重合技術を用いた水溶性重合体が提案されている(特許文献3、4、5参照)。これらの中で用いられる光重合開始剤は、主にベンゾイン誘導体やアゾ化合物など紫外領域の光照射により光分解が進行し反応開始するものであった。
【特許文献3】特開平10−231309号公報
【特許文献4】特開2002−348303号公報
【特許文献5】特開2003−82596号公報
【0005】
紫外領域の光で反応開始する光重合開始剤を用いる場合、紫外線を発する光源を用いる必要がある。紫外線は皮膚における色素沈着、シワ、癌、眼球における白内障などのリスクファクターであり、紫外線を発する光源を工業的に使用することは作業環境上好ましくない。
【0006】
安全性の観点から、可視領域の光エネルギーも利用できる光重合法としてリボフラビン/蛍光光線活性連続重合系を使用する方法が検討されているが、得られる重合体の反応率は低く、満足いく製品は得られていない(特許文献6参照)。
【特許文献6】特開昭63−135403
【0007】
本発明者らは、酸化剤と還元剤から成るレドックス重合開始剤と光増感剤を併用した光重合による電気泳動用ポリアクリルアミドゲルの製造方法を提案している(特許文献7)。この発明の中では、リボフラビン、もしくはリボフラビン誘導体を光重合開始剤として用いるのではなく、光増感剤として利用している。これらの光増感剤と併用して、酸化剤と還元剤を用いることで、短時間でかつ高品位な電気泳動用ポリアクリルアミドゲルの製造を可能としている。
【特許文献7】国際公開2009−025135
【0008】
しかしながら、上記特許文献7に記載の技術は電気泳動用ポリアクリルアミドゲルのような水不溶性ゲルの製造に最適化された技術である。この技術を工業的な水溶性重合体の製造に適用すると、酸化剤と還元剤の併用によるレドックス反応が爆発的に起こり、重合反応を制御することができず目的とする分子量の重合体を得ることができない。また、重合反応初期に酸化剤や還元剤の大部分が消費されてしまい、得られる重合体中の残存単量体量を低減することができなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、工業的な水溶性重合体の製造に適用可能な光重合法として、紫外領域の光量が小さく、作業環境上安全性の高い光源で重合できる方法を完成し、その手法を利用して水溶性重合体、およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、1種以上のビニル基を有する水溶性単量体、可視領域に吸収帯を有する有機色素および過酸化物を必須として含有する水性媒体からなる溶解液に、紫外領域の光量の小さい光源で可視光照射することにより、短時間でかつ残存単量体量の低減した重合体を得ることができることを見出し、本発明の完成に至った。
【0011】
本発明を利用することで、紫外領域の光量が少なく、作業環境上安全性の高い光源を利用した光重合法による水溶性重合体の製造を可能とすることができた。また、本発明では短時間でかつ残存単量体量の低減した重合体を得ることができる特徴を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明をさらに記述する。
【0013】
本発明の水溶性重合体は、単量体水溶液に有機色素および過酸化物を水性媒体に溶解し、その後、その溶解液に可視光照射し重合を開始させる。この際、適宜溶解液のpHを調節する。重合で用いるビニル基を有する水溶性単量体は、非イオン性単量体、カチオン性単量体、アニオン性単量体、複数のビニル基を有する多官能性単量体であり、これらの水溶性単量体は、1種あるいは2種以上を用いてもよい。これら単量体を使用して重合可能な重合体は、非イオン性水溶性重合体、カチオン性水溶性重合体、アニオン性水溶性重合体および両性水溶性重合体である。また複数のビニル基を有する多官能性単量体を共存させ重合した架橋性水溶性重合体も製造することができる。
【0014】
非イオン性単量体の例としては、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ビニルピロリドン、ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド等があげられる。これらの非イオン性水溶性単量体を複数組み合わせて使用することも可能であり、重合反応の容易さからアクリルアミドを含むことが好ましい。
【0015】
カチオン性単量体のうち三級アミノ基含有カチオン性単量体の例としてはジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ−ト、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレ−ト、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドおよびこれらの塩などが挙げられる。また四級アンモニウム塩基含有カチオン性単量体の例としては(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。また、アリルアミン、ジアリルメチルアミンおよびこれらの塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド等があげられる。これらのカチオン性水溶性単量体を複数組み合わせて使用することも可能である。
【0016】
アニオン性単量体の例としては(メタ)アクリル酸、イタコン酸、2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸およびこれらの塩等があげられる。これらのアニオン性水溶性単量体を複数組み合わせて使用することも可能である。
【0017】
複数のビニル基を有する多官能性単量体の例としては、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタアクリルアミド、ジビニルベンゼン、N、N−ジアリルアミン、N、N−ジアリルアミンヒドロクロリド、N、N、N−トリアリルアミン、N、N、N−トリアリルアミンヒドロハライド、N−メチル−N、N、N−トリアンモニウムハライド、N−メチル−N、N、N−トリアリルアンモニウムハライド、N、N、N、N−テトラアリルアンモニウムハライド、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート等があげられる。これらの多官能性単量体を複数組み合わせて使用することも可能である。
【0018】
ビニル基を有する水溶性単量体の総濃度は、生産性の面からも高いほど望ましく5質量%から90質量%の範囲であり、特に好ましくは20質量%から60質量%である。
【0019】
有機色素の例として、リボフラビン、葉酸、メチレンブルー、エオシンY、ジブロモフルオレセイン、ローダミンB、ピロガロール、ジクロロフルオレセイン、エリスロシンB、フルオレシン、ウラニン、ローダミン123、フルオレセインアミンI、フルオレセインアミンII、ローズベンガル、モダントブルー29、エリオクロムシアニンR、ナフトクロムグリーン、アウリントリカルボン酸、クマリン343、プロフラビン、マーキュロクロム、メチルレッド、メチルオレンジ、メチルイエロー、ブロモクレゾールパープル、ブロモフェノールブルー、フリーベースポルフィリン、フリーベースフタロシアニン、クロリン、バクテリオクロロフィル及びこれらの誘導体等があげられるが、特にpH3から10の範囲で水あるいは水性媒体に溶解する有機色素が好ましい。これらの中でもリボフラビン、もしくはリボフラビン誘導体が好ましく、水への溶解性が高いリボフラビン−5’−リン酸エステルナトリウムが最も好ましい。有機色素の添加量は、単量体濃度に対して1ppmから500ppmの範囲であり、より好ましくは5ppmから100ppmの範囲である。有機色素の添加量が少なすぎる場合は重合反応がほとんど進行せず、有機色素の添加量が多すぎる場合は光が表面付近ですべて吸収されてしまうことや励起種同士の不均化により重合反応が開始しない場合がある。
【0020】
本発明では、重合反応を促進する目的として、有機色素と一緒に過酸化物を含有させる必要がある。過酸化物の例としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、過酸化ベンゾイル等が挙げられ、溶解性の観点から過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムが望ましい。過酸化物の添加量は、単量体濃度に対して10〜50,000ppmの範囲であり、より好ましくは500〜20,000ppmの範囲である。
【0021】
上記の原料に加え、分子量の調整等の必要に応じて連鎖移動剤等の添加物を用いることもできる。連鎖移動剤の例として、イソプロピルアルコール、メルカプトエタノー ル、グルコン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等、一般的に使用される連鎖移動性を持った化合物から任意のものを選ぶことができる。
【0022】
本実施形態の光源としては、主に可視領域の光を発するものが好ましい。このような波長の光を発することのできる光源としては、蛍光ランプ、LEDランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、水銀ランプ等が挙げられるが、安価で寿命も長く安全性の高い蛍光ランプまたはLEDランプが好ましい。蛍光ランプ及びLEDランプの場合、青色、青白色、緑色、桃色ランプなどが存在するため、用いる有機色素の吸収領域に適合したランプを選択して用いることが可能である。これらの光源は一種類、もしくは複数組み合わせて用いてもよい。
【0023】
照射する可視光の照度は、100〜500,000lxが好ましい。これ以下の照度の場合重合が充分に進行しないことがあり、強すぎる場合は反応制御が困難になり危険である。より好ましい範囲は1,000〜150,000lxである。
【0024】
本実施形態は水性媒体中にて溶解状態で行うが、反応に必要ならば水性媒体としてアルコール等水溶性有機溶媒を混在させた媒体を用いることも可能である。有機色素、過酸化物はそれぞれ水性媒体中に事前に溶解しておく。遮光下にてそれらの溶解液と前記水溶性単量体を混合し、反応液とする。
【0025】
本実施形態は、反応液をpH2〜10の範囲で行うことが望ましい。pHの調整は、必要に応じて希塩酸、希硫酸、水酸化ナトリウム水溶液等、適当なpH調整液を用いて行うことができる。
【0026】
本発明の重合方法では、空気のような酸素を含有する大気下でも重合を行なうことができるが、必要があれば前記反応液や重合反応場を窒素やアルゴンのような不活性ガスにより酸素を置換した状態で重合を行なうこともできる。
【0027】
重合容器の形状としては、反応溶液に可視光照射できる容器ならば特に制限はない。中でも得られる製品の品質管理が容易であることから、底部が平坦且つ表面積の大きな容器を用いることが好ましい。底部が平坦且つ表面積の大きな容器を用いると、反応液を薄く平らに保持できるため可視光照射を均一に行うことができる利点も有している。
【0028】
可視光照射開始時の温度は、5〜60℃の範囲が好ましい。これ以下の温度になると反応開始までに長時間かかり、高温になりすぎると重合時の発熱が加わり突沸する可能性があり、危険である。
【0029】
光重合を行う際の可視光照射時間は、10〜120分が好ましい。これ以下になると充分に反応が進行せず、これ以上になると副次反応が起こる可能性がある。
【0030】
(実施例)
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制約されるものではない。
【実施例1】
【0031】
50質量%アクリルアミド水溶液506.14g、65質量%ジアリルジメチルアンモニウムクロリド水溶液379.9g、純水88.97gを混合し希硫酸にてpHを5に調整した。その混合液に遮光下で0.2質量%リボフラビン−5’−リン酸エステルナトリウム水溶液12.5g、10質量%過硫酸アンモニウム水溶液12.5gを添加し、窒素ガスで溶存酸素を置換しつつ、液温を25℃に調整した。ポリ塩化ビニリデン樹脂でコーティングしたステンレス製容器(408mm×290mm)に上記水溶液を全量供給し、ポリ塩化ビニリデンフイルム1枚で上部を覆った。この上方に20W蛍光ランプ(東芝製 FL20SS−EDC/18PDL)を設置し、照度が20,000lxになるように調整した。可視光照射開始後すみやかに水溶液の温度が上昇し、5分後にはピーク温度に達した。30分間可視光照射して得られた重合体は透明で弾力のある含水ゲル状となっていた。得られた含水ゲルをはさみで小さく切断した後に純水で1質量%濃度となるように溶解し、25℃での粘度(B型粘度計、ロータ回転数30rpm)を測定した。残存アクリルアミド濃度は重合体成分を取り除いた後に液体クロマトグラフィーで測定した。1質量%濃度の粘度と残存アクリルアミド濃度を表1に示す。
【実施例2】
【0032】
50質量%アクリルアミド水溶液303.68g、65質量%ジアリルジメチルアンモニウムクロリド水溶液227.94g、純水453.38gを混合し、希硫酸にてpHを5に調整した。その混合液に遮光下で0.2質量%リボフラビン−5’−リン酸エステルナトリウム水溶液7.5g、10質量%過硫酸アンモニウム水溶液7.5gを添加し、窒素ガスで溶存酸素を置換しつつ、液温を25℃に調整した。ポリ塩化ビニリデン樹脂でコーティングしたステンレス製容器(408mm×290mm)に上記水溶液を全量供給し、ポリ塩化ビニリデンフイルム1枚で上部を覆った。この上方に20W蛍光ランプを設置し、照度が20,000lxになるように調整した。可視光照射開始後すみやかに水溶液の温度が上昇し、11分後にはピーク温度に達した。30分間可視光照射して得られた重合体は透明で弾力のある含水ゲル状となっていた。得られた含水ゲルをはさみで小さく切断した後に純水で1質量%濃度となるように溶解し、25℃での粘度(B型粘度計、ロータ回転数30rpm)を測定した。残存アクリルアミド濃度は高分子成分を取り除いた後に液体クロマトグラフィーで測定した。1質量%濃度の粘度と残存アクリルアミド濃度を表1に示す。
【実施例3】
【0033】
50質量%アクリルアミド水溶液300.0g、純水692.5gを混合し、希硫酸にてpHを5に調整した。その混合液に遮光下で0.2質量%リボフラビン−5’−リン酸エステルナトリウム水溶液3.75g、10質量%過硫酸アンモニウム水溶液3.75gを添加し、窒素ガスで溶存酸素を置換しつつ、液温を25℃に調整した。ポリ塩化ビニリデン樹脂でコーティングしたステンレス製容器(408mm×290mm)に上記水溶液を全量供給し、ポリ塩化ビニリデンフイルム1枚で上部を覆った。この上方に20W蛍光ランプを設置し、照度が20,000lxになるように調整した。可視光照射開始後すみやかに水溶液の温度が上昇し、6分後にはピーク温度に達した。30分間可視光照射して得られた重合体は透明で弾力のある含水ゲル状となっていた。得られた含水ゲルをはさみで小さく切断した後に純水で1質量%濃度となるように溶解し、25℃での粘度(B型粘度計、ロータ回転数30rpm)を測定した。残存アクリルアミド濃度は高分子成分を取り除いた後に液体クロマトグラフィーで測定した。1質量%濃度の粘度と残存アクリルアミド濃度を表1に示す。
【実施例4】
【0034】
実施例1の10質量%過硫酸アンモニウム水溶液の代わりに10質量%過硫酸ナトリウム水溶液12.5g添加したこと以外は実施例1と同様の方法で重合を行なった。可視光照射開始後すみやかに水溶液の温度が上昇し、8分後にはピーク温度に達した。30分間可視光照射して得られた重合体は透明で弾力のある含水ゲル状となっていた。得られた含水ゲルをはさみで小さく切断した後に純水で1質量%濃度となるように溶解し、25℃での粘度(B型粘度計、ロータ回転数30rpm)を測定した。残存アクリルアミド濃度は高分子成分を取り除いた後に液体クロマトグラフィーで測定した。1質量%濃度の粘度と残存アクリルアミド濃度を表1に示す。
【実施例5】
【0035】
実施例1の10質量%過硫酸アンモニウム水溶液の代わりに10質量%過酸化水素を12.5g添加したこと以外は実施例1と同様の方法で重合を行なった。可視光照射開始後すみやかに水溶液の温度が上昇し、18分後にはピーク温度に達した。30分間可視光照射して得られた重合体は透明で弾力のある含水ゲル状となっていた。得られた含水ゲルをはさみで小さく切断した後に純水で1質量%濃度となるように溶解し、25℃での粘度(B型粘度計、ロータ回転数30rpm)を測定した。残存アクリルアミド濃度は高分子成分を取り除いた後に液体クロマトグラフィーで測定した。1質量%濃度の粘度と残存アクリルアミド濃度を表1に示す。
【実施例6】
【0036】
実施例1の蛍光ランプをLEDランプ(株式会社東芝製 LDL20T・N/13/12)に代えたこと以外は実施例1と同様の方法で重合を行なった。可視光照射開始後すみやかに水溶液の温度が上昇し、7分後にはピーク温度に達した。30分間可視光照射して得られた重合体は透明で弾力のある含水ゲル状となっていた。得られた含水ゲルをはさみで小さく切断した後に純水で1質量%濃度となるように溶解し、25℃での粘度(B型粘度計、ロータ回転数30rpm)を測定した。残存アクリルアミド濃度は高分子成分を取り除いた後に液体クロマトグラフィーで測定した。1質量%濃度の粘度と残存アクリルアミド濃度を表1に示す。
【実施例7】
【0037】
実施例1の0.2質量%リボフラビン−5’−リン酸エステルナトリウム水溶液を0.2質量%ローズベンガル水溶液に代えたこと以外は実施例1と同様の方法で重合を行なった。可視光照射開始後すみやかに水溶液の温度が上昇し、12分後にはピーク温度に達した。30分間可視光照射して得られた重合体は透明で弾力のある含水ゲル状となっていた。得られた含水ゲルをはさみで小さく切断した後に純水で1質量%濃度となるように溶解し、25℃での粘度(B型粘度計、ロータ回転数30rpm)を測定した。残存アクリルアミド濃度は高分子成分を取り除いた後に液体クロマトグラフィーで測定した。1質量%濃度の粘度と残存アクリルアミド濃度を表1に示す。
【実施例8】
【0038】
実施例1における単量体組成と単量体濃度を表1に示すように変化させた以外は実施例1と同様の方法で重合を行なった。実施例12と実施例13は水酸化ナトリウムでpHを8.5に調整して重合を行なった。30分間可視光照射して得られた重合体はすべての実施例で透明で弾力のある含水ゲル状となっていた。得られた含水ゲルをはさみで小さく切断した後に純水で1質量%濃度となるように溶解し、25℃での粘度(B型粘度計、ロータ回転数30rpm)を測定した。残存アクリルアミド濃度は高分子成分を取り除いた後に液体クロマトグラフィーで測定した。1質量%濃度の粘度と残存アクリルアミド濃度を表1に示す。







【0039】
(表1)


AAm:アクリルアミド、DADMAC:ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、MMCQ:メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、AMCQ:アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド
ABCQ:アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド
AA:アクリル酸、AMPS:2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸、Rf:リボフラビン−5’−リン酸エステルナトリウム
Rb:ローズベンガル、APS:過硫酸アンモニウム、NPS:過硫酸ナトリウム、H:過酸化水素、
【0040】
(比較例1)
実施例1の過硫酸アンモニウムを添加しなかったこと以外は実施例1と同様の方法で重合を行なった。可視光照射を開始しても温度上昇がほとんどみられず、30分間可視光照射を行なったが重合反応はほとんど進行しなかった。結果を表2に示す。
【0041】
(比較例2)
実施例1のリボフラビン−5’−リン酸エステルナトリウムを添加しなかったこと以外は実施例1と同様の方法で重合を行なった。可視光照射を開始しても温度上昇がほとんどみられず、30分間可視光照射を行なったが重合反応はほとんど進行しなかった。結果を表2に示す。
【0042】
(表2)

【0043】
(比較例3)
実施例1のリボフラビン−5’−リン酸エステルナトリウムと過硫酸アンモニウムを添加せず、代わりに光重合開始剤として和光純薬工業株式会社製VA−086(2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロパンアミド])10質量%水溶液を12.5g添加したこと以外は実施例1と同様の方法で重合を行なった。可視光照射を開始しても温度上昇がほとんどみられず、30分間可視光照射を行なったが重合反応はほとんど進行しなかった。結果を表3に示す。
【0044】
(比較例4)
実施例1の過硫酸アンモニウムの代わりにVA−086(2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロパンアミド])10質量%水溶液を12.5g添加したこと以外は実施例1と同様の方法で重合を行なった。可視光照射を開始しても温度上昇がほとんどみられず、30分間可視光照射を行なったが重合反応はほとんど進行しなかった。結果を表3に示す。
【0045】
(表3)

VA−086 2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロパンアミド]
【0046】
比較例1では過酸化物を添加しなかったため、比較例2では有機色素を添加しなかったため、重合反応が起こらず反応液にほとんど変化がなかった。比較例3では光重合開始剤を添加したが、紫外領域の少ない光源を使用しているため、重合反応は起こらなかった。また、比較例4のように有機色素と光重合開始剤を併用しても重合反応は起こらなかった。
【0047】
一方、実施例1では有機色素と過酸化物を併用しているため、比較例1と比較例2で起こらなかった重合反応がすみやかに開始し、短時間で高い重合率の重合体を得ることができた。実施例2、実施例3では単量体の濃度を小さくし、実施例4、5では過酸化物として過硫酸ナトリウム、過酸化水素を使用し、実施例6では光源にLEDランプを使用し、実施例7では有機色素としてローズベンガルを使用したが、どの実施例においても実施例1と同様に高い重合率の重合体を得ることができた。実施例8から13では単量体組成を変更したが、どの実施例においても高い重合率の重合体を得ることができた。
【0048】
これらの結果より、本発明の重合方法を用いることによって紫外領域の光量の少ない光源を利用しても、短時間でかつ残存単量体量の低減した重合体が得られることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明を利用することで、作業環境上安全性の高い紫外領域の光量の極力少ない光源と可視領域に吸収帯を有する光増感剤を用いた光重合が可能となった。さらに、短時間且つ高濃度で高分子組成物の重合反応を行うことができ、製造効率よく高分子組成物を得ることができるため、産業への適応は極めて有効であると考えられる。















【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上のビニル基を有する水溶性単量体、有機色素および過酸化物を必須として含有する水性媒体からなる溶解液に、可視光照射し製造したことを特徴とする水溶性重合体。

【請求項2】
前記水性媒体からなる溶解液中の前記水溶性単量体濃度が、5質量%から90質量%であることを特徴とする請求項1に記載の水溶性重合体。

【請求項3】
前記有機色素が、前記水性媒体のpH3から10において可溶性であることを特徴とする請求項1に記載の水溶性重合体。

【請求項4】
前記可視光照射する光源が、蛍光ランプ、LEDランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、水銀ランプから選択された一種以上であることを特徴とする請求項1に記載の水溶性重合体。

【請求項5】
1種以上のビニル基を有する水溶性単量体、有機色素および過酸化物を必須として含有する水性媒体からなる溶解液に、可視光照射し製造することを特徴とする水溶性重合体の製造方法。




【公開番号】特開2013−107974(P2013−107974A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253776(P2011−253776)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000142148)ハイモ株式会社 (151)
【Fターム(参考)】