説明

水溶性金属含有塗料組成物

【課題】 従来の金属塗装塗料および他の金属塗装方法が有している問題点を解消し、金属が有する固有の質感および色をそのまま生かす水溶性金属含有塗料組成物を提供することである。
【解決手段】 金属粉末85〜96重量%、ガラスパウダー2〜8重量%およびメラミンシアヌレート粉末2〜7重量%を含む金属塗料粉末、およびその金属塗料粉末の総重量に対して30重量%のアクリレート結合剤を含む水溶性金属含有塗料組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水溶性塗料組成物に関し、特に金属粉末、ガラスパウダー及びメラミン系難燃材(Melamine Cyanurate)粉末をアクリル系バインダーと混合して被塗布体に塗布可能な液状難燃金属を含有する塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、被塗布体に金属質感を表現する方法としては、金属ペイント(Metallic paint)を塗布したり、塗布鍍金、または蒸着するなどの方式、もしくは直に金属を溶かして被塗布体に噴射する熱スプレー(Thermo spray)方式などがある。
【0003】
金属ペイントは、油性溶剤に金属粉末を少量添加して、染料で金属の固有色を表現する方式であるが、これは被塗布体に金属固有の質感や色を表現するには十分ではない。
【0004】
鍍金や蒸着などの方式は、一般的に鍍金対象物の種類によって複雑な前処理過程を必要とし、また対象物の化学的、物理的性質によって多くの制限を受ける。
【0005】
熱スプレー方式は、金属の固有の質感表現ができるが、金属を溶融点以上に加熱した後、スプレーする方式として、高価な装備及び技術が必要であると共に、熱による被塗布体の変形及び滅失などの多くの制約を受ける。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は前記のような従来技術の問題点を解消するために創案するものである。
本発明の目的は、前記のような従来の金属塗装塗料及び他の金属塗装方法が有している問題点を解消し、金属が有する固有の質感及び色をそのまま生かす水溶性金属含有塗料組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を実現するために、本発明の水溶性金属含有塗料組成物は、 金属粉末85〜96重量%、ガラスパウダー2〜8重量%及びメラミンシアヌレート粉末2〜7重量%を含む金属塗料粉末及びその金属塗料粉末の総重量に対して30重量%のアクリレート結合剤を含む。
前記金属塗料粉末は、好ましくは、金属粉末95重量%、ガラスパウダー3重量%及びメラミンシアヌレート粉末2重量%を含有するのがよい。
前記金属は、銅、青銅、黄銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、金、銀からなる群より選ばれる少なくとも1つの金属であって、特に 銅、青銅、もしくは黄銅を用いるのが好ましい。
前記金属粉末の大きさは10〜300μmであり、ガラスパウダーの大きさは100〜300μmであり、そしてメラミンシアヌレートの大きさは10μm以下である。
前記アクリレート結合剤としては、C1−C6のアクリル酸アルキルエステルを用いるのが好ましく、特にアクリル酸メチルを用いるのがより好ましい。
本発明による水溶性金属含有塗料組成物は、スプレー、筆塗装、パター塗装などを用いることができ、その塗装方法に特別な制約を受けない。また、木材、金属、ポリビニルクロライド(PVC)、ウレタン、メラミン発砲フォームなどのある素材にも適用ができて適用対象にも制約を受けない。
また、本発明の組成物は、水溶性で油性金属含有塗料と違って揮発性有機化合物や他の有害な環境ホルモンが発生しない。
【発明の効果】
【0008】
本発明の水溶性金属含有塗料組成物は、既存の金属質感ペイントや油性金属含有塗料と違って、揮発性有機化合物や他の有害な環境ホルモンが発生せず、常温乾燥形で熱処理をする既存方式とは大きく異なる。
また、ガラスパウダーの添加により、表面の耐磨耗性が上昇して硬度が高まり、磨耗による損傷を防止する効果があり、また、メラミン系難燃材の添加によって難燃2等級に該当する難燃効果を期待することができる。
本発明の水溶性金属含有塗料組成物は、また、スプレー、筆塗装、パター塗装などの使用に対しても制約を受ず、また、木材、金属、ポリビニルクロライド(PVC)、ウレタン、メラミン発砲フォームなどのある素材にも適用ができて適用対象にも制約を受けない。このため、低価格の原資材を用いて高価格の製品を生産することができ、製品の付加価値を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、各々固有の性質を保有した金属粉末、ガラスパウダー、メラミン系難燃材及び水溶性アクリル系バインダーを混合、組成して低価な費用及び努力で高価な金属質感及び色を有する水溶性難燃金属塗料含有組成物を製造する。
本発明による液状の水溶性難燃金属含有塗料組成物は、大きさ10〜300μmの金属粉末85〜96重量%、大きさ100〜300μmのガラスパウダー2〜8重量%及び大きさ10μm以下のメラミン系難燃材粉末2〜7重量%を含有する金属塗料粉末の総重量に対してアクリル系結合剤30重量%と混合して製造する。
【0010】
本発明に適用された金属粉末は、 被塗布体に金属質感を表すために用いられたもので、銅、青銅、黄銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、金、銀などの粉末を用いることができ、特に銅を用いるのが好ましい。
前記金属粉末を85重量%以下で用いた場合、所望の金属の質感が十分現れず、また96重量%以上で用いた場合には、 被塗布体の質感が非常に厚ぼったくなったり、表面の美麗性を害してしまう。
【0011】
本発明に適用されたガラスパウダーは、遠心力法または火炎法で生産された単繊維パウダーを用いることができ、これは本発明の塗料組成物に優れた耐熱性、耐火性及び電気絶縁性を提供するためのものである。
前記ガラスパウダーを2重量%以下で用いた場合、その本来の目的である優れた耐熱性、耐火性及び電気絶縁性を提供することができず、また8重量%以上で用いた場合には、被塗布体の表面の美麗性を害してしまう。
【0012】
本発明に適用されたメラミン系難燃材としては、メラミンシアヌレート(分子式:C6993)を用いることができ、これは燃焼中に窒素ガスを放出して酸素の供給を遮断したり希釈させて燃焼の進行を抑制する作用をする。
前記メラミン系難燃材を2重量%以下で用いた場合、その本来の目的である燃焼性を得ることができず、また7重量%以上で用いた場合には、被塗布体の表面の美麗性を害してしまう。
【0013】
本発明に適用されたアクリル系結合剤は、粘度300〜500cP(25℃)であるのが好ましい。また前記アクリル系結合剤としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸へキシルなどのC1−C6のアクリル酸アルキルエステルを用いるのが好ましく、より好ましくはアクリル酸メチル(CH2=CHCOOCH3)である。
【0014】
本発明の水溶性金属含有塗料組成物は、低温、低速の一般攪拌器を用いて結合剤→メラミン系難燃材粉末→ガラスパウダー→金属粉末の順に攪拌器に混入して常温25℃で攪拌して製造する。
前記方法は水溶性、常温乾燥形に他の硬化剤やシンナーなどを添加しない。
【0015】
前記のようにして得られた本発明による水溶性金属含有塗料組成物は、各々相違な特性を有する金属粉末、ガラスパウダー及びメラミン系難燃材粉末をアクリル系結合剤と結合することによって、金属が有する特有の質感及び色を表現し、同時にガラスパウダーが有する絶縁性及び耐熱性と共に、メラミン系難燃材粉末の吸着性及び難燃性を有し、さらに被塗布体表面の美麗さを保持する耐磨耗性などを有する多機能性塗料組成物である。
【0016】
本発明による水溶性金属含有塗料組成物は、被塗布体に、一般的なスプレー、筆塗装、パター塗装などの塗装方法によって塗布することができ、塗装方法には、特に制約を受けない。
【0017】
また、本発明による水溶性金属含有塗料組成物は、木材、金属、ポリビニルクロライド(PVC)、ウレタン、メラミン発砲フォームなどのある素材にも適用することができ、適用対象にも制約を受けない。
【0018】
本発明による水溶性金属含有塗料組成物の乾燥時間は3〜5時間であって、18〜24時間後、完全に硬化される。
塗料組成物が完全に硬化した後、金属加工用サンドペーパー、ブラシ、グラインダーなどで研磨し、金属光沢剤の塗布などで仕上げ作業をする。
【実施例1】
【0019】
本発明による水溶性金属含有塗料組成物の実施例を図1および図2にを示す。
図1は、実施例1であり、PVC板の上に銅含有金属塗料(銅粉末500g、ガラスパウダー15g、メラミン系難燃材粉末10gを160gの水溶性アクリル系バインダーと混合)を筆及びスポイラーで塗布した後、腐食処理して研磨処理した製品として、銅が有する質感及び色を表したものである。
図2は、実施例2であり、木製彫刻品の上に青銅含有金属塗料(青銅粉末500g、ガラスパウダー15g、メラミン系難燃材粉末10gを160g水溶性アクリル系バインダーと混合)をスプレーで塗布した後、腐食処理して研磨処理した製品として、青銅が有する質感及び色を表したものである。
【0020】
上記実施例1、2に示す通り、本発明による水溶性金属含有塗料組成物は、木材、金属、ポリビニルクロライド(PVC)、ウレタン、メラミン発砲フォームなどのある素材にも適用ができ、スプレー、筆塗装、パター塗装など塗装方法に制約を受けないことが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明にかかる実施形態の一例を示すPVC板上に塗布した場合の表面を表す図である。
【図2】本発明にかかる実施形態の一例を示す木製品上に塗布した場合の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属粉末85〜96重量%、ガラスパウダー2〜8重量%及びメラミンシアヌレート粉末2〜7重量%を含む金属塗料粉末、及びその金属塗料粉末の総重量に対して30重量%のアクリレート結合剤を含むことを特徴とする水溶性金属含有塗料組成物。
【請求項2】
前記金属が、銅、青銅、黄銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、金、銀からなる群より選ばれる少なくとも1つの金属であることを特徴とする請求項1記載の水溶性金属含有塗料組成物。
【請求項3】
前記金属粉末の大きさが10〜300μm、ガラスパウダーの大きさが100〜300μm、及びメラミンシアヌレートの大きさが10μm以下であることを特徴とする請求項1記載の水溶性金属含有塗料組成物。
【請求項4】
前記金属塗料粉末が、金属粉末95重量%、ガラスパウダー3重量%及びメラミンシアヌレート粉末2重量%を含むことを特徴とする請求項1記載の水溶性金属含有塗料組成物。
【請求項5】
前記アクリレート結合剤が、C1−C6のアクリル酸アルキルエステルであることを特徴とする請求項1記載の水溶性金属含有塗料組成物。
【請求項6】
前記アクリレート結合剤が、アクリル酸メチルであることを特徴とする請求項5記載の水溶性金属含有塗料組成物。
【請求項7】
攪拌器に、結合剤→メラミン系難燃材粉末→ガラスパウダー→金属粉末の順に混入して常温25℃で攪拌して製造することを特徴とする水溶性金属含有塗料組成物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−257381(P2006−257381A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−244348(P2005−244348)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(505321916)
【Fターム(参考)】