説明

水溶性食餌脂肪酸

食餌脂肪酸の水溶性および/またはバイオアベイラビリティを向上させるための水溶性食餌脂肪酸製剤、溶液、および方法、ならびに様々な疾患を治療するための方法が開示される。本開示は、食餌または栄養脂肪酸類の水溶性製剤を含む固有の医薬組成物に関する。具体的に、水溶性食餌脂肪酸ゲル製剤は、1wt%から75wt%の食餌脂肪酸、および25wt%から99wt%の非イオン性界面活性剤を含むことができる。さらにまた、食餌脂肪酸を被験体に送達する方法は、次に同じ量の食餌脂肪酸が単独で送達されたときに、食餌脂肪酸がよりバイオアベイラブルであるように、水溶性食餌脂肪酸ゲル製剤を被験体に投与することを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
食餌または栄養脂肪酸類は、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)のようなω3脂肪酸類、ならびにω6およびω9脂肪酸類を含む不飽和脂肪酸ファミリーである。ω3脂肪酸類の主要な供給源の1つは、魚油である。しかしながら、ω3脂肪酸類は、植物源および藻類からも得ることができる。これらの脂肪酸類は、その一般的な栄養面の利点に加えて、心血管および他の健康上の利点が知られている。ω3系脂肪酸類の健康上の利点に関する認識の高まりゆえに、魚油および亜麻油の食餌栄養補助食品が評判になり、多くの食品会社が食品および飲料製品に魚油類を添加した。
【0002】
最近まで、実質的に魚の味も臭みもない、臭気を除去した魚油類を入手することはできなかった。しかし、臭気を除去した魚油類が入手できるようになるとともに、ω3脂肪酸類または魚油を含んだ飲料を作ることが今では可能であるが、水を含んだ飲料中の油の溶解度には問題がある。それ故に、水を含んだ飲料に可溶な栄養脂肪酸製剤、あるいは飲料として消費されうる水溶性ω3脂肪酸製剤を提供することが望ましいであろう。曇りもなく不透明でもない澄んだ飲料を有することも望ましいであろう。加えて、かかる製剤を作るプロセスもしくは方法を有することも望ましいであろう。
【0003】
そのうえ、栄養または食餌脂肪酸類の消費は、多くの健康上の利点に関連付けられ、心血管、神経、免疫機能、および関節炎のような、多くの疾患に影響を与える潜在力を有することが注目されている。消化管を通して任意の治療用分子物質が効率的に輸送されて、血液に入り、最終的に体内の器官および細胞に到達するためには、この分子が腸液の水相に溶解しなければならない。容認できる量が溶解しなければ、薬物は、ほとんど胃腸管を通過することになろう。消化の一部として脂肪または油(脂質)が胃で乳化されれば、吸収を高めることができる。このプロセスは、脂質−水界面の生成と、水溶性リパーゼおよび不溶性脂質または脂肪間の相互作用とを伴う。脂質の吸収は、このプロセスによって大いに向上する。予め存在する水溶性製剤を通じて脂質−水複合体を前もって形成することによって、食餌脂肪酸類などの脂質のバイオアベイラビリティもしくは吸収を向上させることができる。問題は、ω3脂肪酸類のような栄養脂肪酸類が実質的に水に不溶なことであり、たとえ水混合物中の曇った乳濁液、懸濁液、または油として飲料に添加されても、消費者が消費するのに満足のいくものではない。
【0004】
栄養または食餌脂肪酸類の多くの望ましい特性ゆえに、水溶性がより高い、および/またはバイオアベイラビリティが向上したこれらの脂肪酸類の製剤をin vivoで使用するために提供することは、有益であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
要旨
本開示は、食餌または栄養脂肪酸類の水溶性製剤を含む固有の医薬組成物に関する。具体的に、水溶性食餌脂肪酸ゲル製剤は、1wt%から75wt%の食餌脂肪酸、および25wt%から99wt%の非イオン性界面活性剤を含むことができる。さらにまた、食餌脂肪酸を被験体に送達する方法は、次に同じ量の食餌脂肪酸が単独で送達されたときに、食餌脂肪酸がよりバイオアベイラブルであるように、水溶性食餌脂肪酸ゲル製剤を被験体に投与することを含むことができる。
【0006】
別の実施形態において、食餌脂肪酸溶液は、0.1wt%から94.9wt%の水;0.1wt%から35wt%の食餌脂肪酸;および5wt%から75wt%の非イオン性界面活性剤を含むことができる。一実施形態において、非イオン性界面活性剤は、食餌脂肪酸を水溶性にして澄んだ溶液を形成するための濃度で存在することができる。さらにまた、食餌脂肪酸を被験体に送達する方法は、次に同じ量の食餌脂肪酸が単独で送達されたときに、食餌脂肪酸がよりバイオアベイラブルであるように、食餌脂肪酸溶液を被験体に投与することを含むことができる。
【0007】
食餌脂肪酸類を水に溶解させる方法は、界面活性剤−食餌脂肪酸混合物を形成するために、食餌脂肪酸を温かい、よく混合された非イオン性界面活性剤と混ぜ合わせる工程;および食餌脂肪酸を可溶化するために、必要に応じて少なくともできるだけゆっくりと界面活性剤−食餌脂肪酸混合物を水と連続的に混合する工程を含む。
【0008】
加えて、被験体における食餌脂肪酸のバイオアベイラビリティを向上させる方法は、上記のように界面活性剤−食餌脂肪酸混合物を水に溶解させることを含むことができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
本明細書に用いられる略語は、化学および生物学分野におけるそれらの従来の意味を持つ。
【0010】
本明細書では、「食餌脂肪酸類」は、栄養脂肪酸類、魚のような天然源、チアセージもしくはSalvia hispanicaのような植物源、または亜麻の種子から得られる亜麻源に由来するか、あるいは合成により生成されるω3脂肪酸類を含む。以下は、ω3脂肪酸類のリスト(表1)であり、ω3脂肪酸類の植物抽出物のリスト(表2)がそれに続く。これらのリストは、例示的であるに過ぎず、限定的であるとは見做されない。
【0011】
表1−自然界に見られるいくつかの一般的なn−3脂肪酸類のリスト
【0012】
【表1】

表2−ω3脂肪酸類の植物抽出物の供給源
【0013】
【表2】

ω3脂肪酸類を含んだ食餌脂肪酸類は、DHAの豊富な供給源であるCrypthecodinium cohniiおよびSchizochytrium、あるいはEPAに対する褐藻類(ケルプ)のような藻類に由来することもできる。これらは、リノレン酸、リノール酸(18:2)およびγリノレン酸(GLA、18:3)のような、共役リノール酸(CLA)、ω6脂肪酸類、およびω9脂肪酸類も含むことができる。
【0014】
本明細書では、「非イオン性界面活性剤」は、中性溶液(例えば中性水溶液)中でイオン化されない(すなわち帯電しない)傾向がある界面活性剤である。
【0015】
用語「治療すること」は、症状が軽減、緩和、減少すること;障害、病状または状態において患者がより耐えやすくなること;変性または減退の速度を遅くすること;変性の最終点における衰弱をより少なくすること;あるいは患者が身体的かつ精神的に満足する状態を改善することなど、任意の客観的もしくは主観的なパラメータを含む障害、病状または状態の治療あるいは改善における成功の任意の兆候を指す。症状の治療または改善は、健康診断、神経精神医学的試験および/または精神医学的評価を含む、客観的もしくは主観的なパラメータに基づくことができる。同様に、治療することは、心臓または他の器官の健康など、身体システムの全般的な健康を促進するような予防的治療を含む。
【0016】
本明細書では、用語「癌」は、白血病、細胞腫および肉腫を含む哺乳動物に見られる癌、新生物、または悪性腫瘍のすべての種類を指す。例となる癌は、脳、乳房、子宮頸部、大腸、頭部および頸部、肝臓、腎臓、肺、非小細胞肺、黒色腫、中皮腫、卵巣、肉腫、胃、子宮および髄芽腫の癌を含む。追加的な例は、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、ユーロブラストーマ(euroblastoma)、卵巣癌、横紋筋肉腫、原発性血小板増加症、原発性マクログロブリン血症、原発性脳腫瘍、癌、悪性膵臓インスリノーマ(insulanoma)、悪性癌様体、膀胱癌、前悪性皮膚病変、精巣癌、リンパ腫、甲状腺癌、神経芽細胞腫、食道癌、尿生殖器癌、悪性過カルシウム血症、子宮内膜癌、副腎皮質癌、膵内分泌部および膵外分泌部の新生物、ならびに前立腺癌を含む。
【0017】
「患者」および「被験体」は、ヒトを含む哺乳動物の被験体を指す。
【0018】
本明細書では、用語「滴定」または「滴定する」は、化合物または溶液を混合しながらゆっくりと液体に添加することを意味する。化合物または溶液を添加する速度は、ある閾値を超えてはならず、さもなければ溶質の澄んだ特質と粘度とが失われる。ゆっくりとした添加は、したたらせるように、あるいは一滴ずつとしてすることができるが、いかなる場合にも大きい体積に等しくなってはならない。ゆっくりとした添加は、1秒当たりまたは1分当たりに添加される体積百分率として指定することができ、例えば、1秒当たり5mLが100mLの水に、あるいは1秒または1分当たり内容物の5wt%の添加物が水または水を含んだ飲料に添加される。
【0019】
本明細書では、食餌脂肪酸を含んだ溶液に関する用語「澄んだ水溶液」は、視認できる溶解されない食餌脂肪酸の粒子のない、水を含んだ溶液(例えば飲料)を意味する。いくつかの実施形態に従って、澄んだ水溶液は、分散系ではなく、しかも懸濁液でもなく、静置した状態で1時間以上にわたって澄んだままである。しばしば、微小なミセルが形成されるが視認できず、かくして溶液は澄んでいる。
【0020】
本明細書では、用語「水溶性」は、肉眼で視認できないような、溶液における食餌脂肪酸類の可溶化、あるいはごく微細な分散を指す。しばしば、本開示の製剤において、脂肪酸類は、非イオン性界面活性剤の障壁と水中でミセルを形成することができる。このミセルは、約100nm未満のサイズになることがあり、しばしば約15nmから約30nmのサイズである。それ故に、この食餌脂肪酸類が厳密に溶解されるか、あるいはそれらを中に形成する溶液が澄むように、単に微細に分散されるに過ぎないかに拘わらず、本開示の実施形態に従って、これもやはり「水溶性」であると見做される。
【0021】
水溶性製剤
非イオン性界面活性剤を使用して、適切に混ぜ合わされるときに、食餌脂肪酸類の溶解度および/またはバイオアベイラビリティは向上しうることが見出された。かくして、非イオン性界面活性剤を使用して、水溶性が高い脂肪酸ゲル製剤を形成することができる。
【0022】
一様態において、本開示は、食餌脂肪酸および非イオン性界面活性剤を含んだ水溶性製剤を提供する。いくつかの実施形態において、水溶性製剤は、水中に植物油懸濁液も視認できるマクロミセル(肉眼で視認できるミセル)も含まない。他の実施形態において、水溶性製剤は、さもなければ食餌脂肪酸の溶解度を向上させるであろうアルコールも(例えば、食餌脂肪酸が初めにアルコールに溶解されて、次に水に添加されるのではない)、他の添加物も含まない。
【0023】
これに付随して、水溶性食餌脂肪酸ゲル製剤は、1wt%から75wt%の食餌脂肪酸;および25wt%から99wt%の非イオン性界面活性剤を含むか、または本質的にそれらからなることができる。一実施形態において、ゲル製剤は、水に可溶とすることができ、1:3(ゲル対水)の重量比において澄んだ溶液を形成する。別の実施形態において、ゲル製剤は、水に可溶とすることができ、1:1の重量比において澄んだ溶液を形成する。さらに別の実施形態において、食餌脂肪酸は、5wt%から60wt%で存在することができ、非イオン性界面活性剤は、40wt%から95wt%で存在することができる。
【0024】
食餌脂肪酸溶液は、0.1wt%から94.9wt%の水;0.1wt%から35wt%の食餌脂肪酸;および5wt%から75wt%の非イオン性界面活性剤を含むか、または本質的にそれらからなることもできる。一実施形態において、水は、15wt%から75wt%で存在することができ;食餌脂肪酸は、2wt%から20wt%で存在することができて、非イオン性界面活性剤は、20wt%から50wt%で存在することができる。一実施形態において、非イオン性界面活性剤は、食餌脂肪酸を水溶性にして澄んだ溶液を形成する濃度で存在することができる。
【0025】
これらの実施形態に従って、食餌脂肪酸類は、栄養脂肪酸類、魚のような天然源、チアセージもしくはSalvia hispanicaのような植物源、または亜麻の種子から得られる亜麻源に由来するか、あるいは合成により生成されるω3脂肪酸類を含む。例となるω3脂肪酸類が表1に提示され、ω3脂肪酸類の植物抽出物のリストが表2に提示される。そのうえ、ω3脂肪酸を含んだ食餌脂肪酸類は、DHAの豊富な供給源であるCrypthecodinium cohniiおよびSchizochytrium、あるいはEPAにおいて褐藻類(ケルプ)のような藻類にも由来することができることが注目される。それらは、リノレン酸、リノール酸(18:2)およびγリノレン酸(GLA、18:3)のような、共役リノール酸(CLA)、ω6脂肪酸類、およびω9脂肪酸類も含むことができる。達成すべき所望の結果によって、本明細書に列挙されない他の食餌脂肪酸類も使用することができる。
【0026】
使用できる有用な非イオン性界面活性剤は、例えば、非イオン性水溶性モノ−、ジ−、およびトリ−グリセリド類;ポリエチレン(polyethyelene)グリコールの非イオン性水溶性モノ−、ジ−脂肪酸エステル類;非イオン性水溶性ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、SPAN 80およびTWEEN 20(ポリオキシエチレン20ソルビタンモノオレアート)のようなソルビタンモノオレアート類);ポリグリコール化されたグリセリド類;非イオン性水溶性トリブロック共重合体(例えば、ポリ(エチレンオキシド)/ポリ(プロピレンオキシド)/ポリ(エチレンオキシド)ポロキサマー406(PLURONIC F−127)のようなトリブロック共重合体、およびそれらの誘導体を含む。
【0027】
非イオン性水溶性モノ−、ジ−、およびトリ−グリセリド類の例は、プロピレングリコールジカルピラート(dicarpylate)/ジカプラート(例えば、Miglyol 840)、中鎖モノ−およびジグリセリド類(例えば、CapmulおよびImwitoR 72)、中鎖トリグリセリド類(例えば、LAVRAFAC、MIGLYOL 810または812、CRODAMOL GTCC−PN、およびSOFTISON 378のような、カプリル酸およびカプリン酸トリグリセリド類)、長鎖モノグリセリド類(例えば、PECEOLのようなグリセリルモノオレアート類、およびMAISINEのようなグリセリルモノリノレアート類)、ポリオキシルヒマシ油(例えば、マクロゴールグリセロールリシノレアート、マクロゴールグリセロールヒドロキシステアラート、マクロゴールセトステアリルエーテル)、ポリエチレングリコール660ヒドロキシステアラート、およびそれらの誘導体を含む。
【0028】
ポリエチレングリコール(polyethyeleneglycol)の非イオン性水溶性モノ−およびジ−脂肪酸エステル類は、d−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシナート(TPGS)、ポリエチレングリコール(poyethyleneglycol)660 12−ヒドロキシステアラート(SOLUTOL HS 15)、ポリオキシルオレアートおよびステアラート(例えば、PEG400モノステアラートおよびPEG1750モノステアラート)、およびそれらの誘導体を含む。
【0029】
[0001] ポリグリコール化されたグリセリド類は、ポリオキシエチル化されたオレイン酸グリセリド類、ポリオキシエチル化されたリノレン酸グリセリド類、ポリオキシエチル化されたカプリル酸/カプリン酸グリセリド類、およびそれらの誘導体を含む。具体的な例は、Labrafil M−1944CS、Labrafil M−2125CS、Labrasol、SOFTIGEN、およびGELUCIREを含む。
【0030】
いくつかの実施形態において、非イオン性界面活性剤は、グリセロール−ポリエチレングリコールオキシステアラート、またはそれらの誘導体である。これらの化合物は、ヒマシ油または水素添加ヒマシ油のいずれかを様々な量のエチレンオキシドと反応させることによって合成することができる。マクロゴールグリセロールリシノレアートは、83wt%の比較的疎水性の成分、および17wt%の比較的親水性の成分の混合物である。比較的疎水性の部分の主要成分は、グリセロールポリエチレングリコールリシノレアートであり、比較的親水性の部分の主要成分は、ポリエチレングリコール類およびグリセロールエトキシラート類である。マクロゴールグリセロールヒドロキシステアラート(グリセロール−ポリエチレングリコールオキシステアラート)は、比較的疎水性の約75%の混合物であり、その主要部分はグリセロールポリエチレングリコール12−オキシステアレートである。
【0031】
いくつかの実施形態において、水溶性製剤は、透明な水溶性製剤を形成するために、食餌脂肪酸およびグリセロール−ポリエチレングリコールオキシステアラートを含むが、これは、製剤が肉眼ではっきりと透視できるが、随意的に着色されてもよいことを意味する。澄んだ溶液を形成するために、透明な水溶性製剤を水に溶媒和させることができる。いくつかの実施形態において、透明な水溶性製剤は、肉眼で視認できる粒子(例えば、溶解されない食餌脂肪酸の粒子)を含まない。ある実施形態において、透明な水溶性製剤を通して光を拡散または散乱なしに透過することができる。かくして、いくつかの実施形態において、透明な水溶性製剤は、不透明でも曇りもなく、乳白色でもない。
【0032】
いくつかの実施形態において、水溶性製剤は、非アルコール製剤であり、これは、製剤がメチルアルコール、エタノール、プロパノールまたはブタノールを含まない(あるいは微量にしか含まない)製剤を示唆する。他の実施形態において、製剤は、エタノールを含まない(あるいは微量にしか含まない)。
【0033】
いくつかの実施形態において、製剤は、非プロトン性ではない溶媒和された製剤とすることができ、これは、水溶性非プロトン性溶媒がないか、あるいは微量にしか含まれないことを意味する。水溶性非プロトン性溶媒は、水溶性非界面活性剤溶媒であり、水素原子が酸素にも窒素にも結合されておらず、それ故に水素結合を提供することができない。
【0034】
いくつかの実施形態において、水溶性製剤は、極性非プロトン性溶媒を含まない(あるいは微量にしか含まない)。極性非プロトン性溶媒は、その分子が分子双極子モーメントを示すが、その水素原子が酸素にも窒素原子にも結合されてない非プロトン性溶媒である。極性非プロトン性溶媒の例は、アルデヒド類、ケトン類、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびジメチルホルムアミド(DMF)を含む。他の実施形態において、水溶性製剤は、ジメチルスルホキシドを含まない(あるいは微量にしか含まない)。かくして、いくつかの実施形態において、水溶性製剤は、DMSOを含まない。関連する実施形態において、水溶性製剤は、DMSOもエタノールも含まない。
【0035】
さらに他の実施形態において、水溶性製剤は、無極性非プロトン性溶媒を含まない(あるいは微量にしか含まない)。無極性非プロトン性溶媒は、その分子がおよそゼロの分子双極子を示す非プロトン性溶媒である。例としては、アルカン類、アルケン類およびアルキン類のような炭化水素を含む。
【0036】
本発明の水溶性製剤は、水に溶解された製剤(すなわち水性製剤)を含む。いくつかの実施形態において、水溶性製剤は、水に添加されたときに透明な水溶性製剤を形成する。かくして、本開示のいくつかの実施形態に従って、本明細書で調製される水溶性食餌脂肪酸ゲル製剤の特質ゆえに、本開示の食餌脂肪酸溶液を形成するために、しばしば水および随意的に少量の安定剤が使用されるに過ぎず、例えば、アルコール、非プロトン性溶媒(極性または無極性)などは食餌脂肪酸類を溶媒和させるために必要とされない。
【0037】
いくつかの実施形態において、水溶性製剤は、食餌脂肪酸および非イオン性界面活性剤から本質的になる。水溶性製剤が食餌脂肪酸および非イオン性界面活性剤「から本質的になる」場合には、製剤は、食餌脂肪酸、非イオン性界面活性剤、および製剤の基本的な溶解度に影響を与えない保存剤、味増進剤、色、緩衝剤、水など、栄養製剤に有用なことが当分野で広く知られる追加的な成分を随意的に含む、すなわち、追加的な溶媒和性有機溶媒は必要とされない。
【0038】
いくつかの実施形態において、水溶性製剤は、水に可溶化された製剤である、つまり本開示の溶液を形成するために食餌脂肪酸および非イオン性界面活性剤が水(例えば、水を含んだ液体)に混合されるが、有機溶媒(例えば、エタノールまたは他のアルコールあるいは溶媒和性溶媒)は含まれない。いくつかの実施形態において、水に可溶化された製剤、透明な水溶性製剤。
【0039】
方法
本発明の別の様態において、水溶性脂肪酸製剤を製造する方法が記載される。食餌脂肪酸類を非イオン性界面活性剤(例えば、グリセロール−ポリエチレングリコールオキシステアラートまたは他の類似の非イオン性界面活性剤)とともに単に温めて混合しても、適切に添加されない限り、澄んだ水溶性溶液は得られないであろう。むしろ、単に混合するだけでは、曇るかまたは乳濁した半固体ゲル状の高粘度溶液が得られる。このワックス状の曇った高粘度ゲルは、水もしくは飲料中に澄んだ溶液を形成するのに適しない。これは固化した乳白色の塊になる。混合しながら、温かい非イオン性界面活性剤中に食餌脂肪酸をゆっくりと滴定または添加することによって、澄んだ溶液を得ることができる。
【0040】
より具体的に、食餌脂肪酸を水に溶解させる方法は、界面活性物質−食餌脂肪酸混合物を形成するために、食餌脂肪酸を温かい、よく混合された非イオン性界面活性剤と合わせる工程、および食餌脂肪酸を可溶化するために、必要に応じて少なくともできるだけゆっくりと界面活性剤−食餌脂肪酸混合物を水と連続的に混合する工程を含むことができる。ある特定の実施形態において、温かい、よく混合された非イオン性界面活性剤は、界面活性剤が澄むまで混合しながら約90°Fから約200°Fの温度に加熱する予備工程によって調製される。別の特定の実施形態において、合わせる工程は、食餌脂肪酸を非イオン性界面活性剤にゆっくりと添加すること、および十分に混合されるまで撹拌することを含む。得られた溶液が視認できる食餌脂肪酸のミセルまたは粒子を含まないように、食餌脂肪酸を界面活性剤に十分に分散または溶解させることができる。例えば、混合する工程は、界面活性剤−食餌脂肪酸混合物を温水に、毎秒水の5vol%を超えない速度でゆっくりと添加することを含むことができる。そのうえ、水溶性非イオン性界面活性剤を加熱する工程は、加熱する工程の間に攪拌または混合する工程を含むことができる。
【0041】
食餌脂肪酸が温かい界面活性剤に添加される速度、および界面活性剤の温度は、所望の結果、例えば、澄んだ溶液の形成に向けて適切にプロセスを実行することによって支援されることができる。例えば、いくつかの実施形態において、界面活性剤は、ある温度より低くても、またはある温度より高くなってはならない。同様に、食餌脂肪酸ゲル混合物が水に早く添加され過ぎた場合には、固体ゲル状の塊が生じるであろう。非イオン性界面活性剤も、気泡(酸素)を除去するために、通常は澄むまで十分に攪拌されなければならない。食餌脂肪酸が界面活性剤に添加されると、少なくとも10分またはそれ以上、通常は約1時間にわたって攪拌される。
【0042】
さらなる詳細において、水溶性食餌脂肪酸ゲル製剤を水に添加するときに、製剤は、100mLの水の体積に対して毎秒5mLを超えない速度、あるいはそれが添加される水の体積に対して毎秒5vol%以下の速度で添加されなければならない。添加速度は、水の体積に依存する。さらにまた、食餌脂肪酸ゲルの添加物がゆっくりと添加される間に、連続的に水を攪拌することができる。溶解度を向上させるために、要望あるいは必要に応じて、溶液が加熱されてもよい。そうは言っても、加熱温度は、食餌脂肪酸および/または非イオン性界面活性剤の化学分解を回避するように通常は選択される。食餌脂肪酸ゲル(食餌脂肪酸/非イオン性界面活性剤)の温度は、通常は200°Fを超えてはならず、水温も通常は200°Fを超えてはならない。理想的には、両方の温度が100から150°Fまでに維持されなければならず、一実施形態において、食餌脂肪酸ゲル混合物をゆっくりと添加する間に、水を随意的に約100°Fに維持することができる。いくつかの実施形態において、結果として生じる溶液は、上記のように、水溶性製剤もしくは透明な水溶性製剤である。例えば、結果として生じる溶液は、肉眼で視認できる粒子のない澄みきった溶液である水溶性製剤とすることができる。
【0043】
本開示は、同じ量の食餌脂肪酸が単独で送達されたときに比べて、食餌脂肪酸がよりバイオアベイラブルであるように、本明細書に記載される製剤または溶液を被験体に投与することを含む、食餌脂肪酸を被験体に送達する方法も提供する。投与経路は、以下に詳細に記載されるであろうが、あえて言うならば、むしろ病気を治療する、あるいは健康上の利益を提供するために効果的な投与経路、例えば、経口、粘膜、眼内、非経口、または局所送達を用いることができる。
【0044】
かくして、本開示は、癌、肥満症、糖尿病、心血管疾患、脂質異常症、加齢性黄斑変性症(例えば、加齢性黄斑変性症と関連する視力喪失)、高コレステロール、網膜症(例えば、糖尿病性網膜症)、あるいはかかる治療が必要な被験体における神経疾患を治療する方法を提供することができる。本方法は、本明細書に開示される水溶性製剤の有効量を被験体に投与することを含む。これらの疾患は、共通して列挙されているが、それらに等しい疾患ではなく、本明細書では、それぞれがあたかも別々に列挙されるかのように考察されるべきであることを指摘しておく。
【0045】
別の様態において、本発明は、食餌脂肪酸のバイオアベイラビリティを向上させるための方法を提供する。本方法は、界面活性剤−食餌脂肪酸混合物を形成するために、食餌脂肪と非イオン性界面活性剤とを合わせることを含む。界面活性物質−食餌脂肪酸混合物を被験体に投与し、それによって食餌脂肪酸のバイオアベイラビリティを向上させることができる。非イオン性界面活性剤のない食餌脂肪酸のバイオアベイラビリティに比べて、バイオアベイラビリティが向上する。
【0046】
投薬量および剤形
疾患を治療する、あるいは健康上の利益を提供するのに十分な食餌脂肪酸の量は、「治療に有効な量」と定義することができる。この使用に有効な投薬スケジュールおよび量、すなわち、「投与計画」は、疾患または状態の段階、疾患または状態の重症度、患者の全般的な健康状態、患者の身体状況、年齢などを含む様々な要因に依存するであろう。患者のための投薬計画を計算するときに、投与モードも考慮される。
【0047】
投薬計画は、当分野でよく知られる薬物動態学パラメータ、すなわち、吸収速度、バイオアベイラビリティ、物質代謝、クリアランスなども考慮される(例えば、Hidalgo−Aragones(1996)J.Steroid Biochem.Mol.Biol.58:611−617;Groning(1996)Pharmazie 51:337−341;Fotherby(1996)Contraception 54:59−69;Johnson(1995)J.Pharm.Sci.84:1144−1146;Rohatagi(1995)Pharmazie 50:610−613;Brophy(1983)Eur.J.Clin.Pharmacol.24:103−108;最新のRemington、上記を参照)。最新技術は、個々の患者および治療される疾患または状態に対して、臨床医が投薬計画を決定することを可能にする。
【0048】
患者によって必要とされ、かつ許容される投薬量および頻度に依存して、食餌脂肪酸製剤の単回または複数回投与を施すことができる。製剤は、疾患状態を有効に治療するため、あるいは適切な健康上の利益を提供するために、十分な量の活性薬剤が提供されなければならない。特に、食餌脂肪酸が、経口投与とは異なって、解剖学的に隔離された部位、血流中、体腔中または器官の管腔中に投与されるときには、より低い用量を用いることができる。局所投与には、より高い用量を用いることができる。非経口的に投与することができる食餌脂肪酸製剤を調製するための実際の方法は、当業者に知られるかまたは明らかであり、上記のRemingtonなどの刊行物により詳細に記載されている。“Receptor Mediated Antisteroid Action,” Agarwal,et al.,eds.,De Gruyter,New York(1987)におけるNiemanも参照。
【0049】
いくつかの実施形態において、食餌脂肪酸は、水溶性食餌ゲル製剤中に1wt%から75wt%、または代わりに5wt%から50wt%、10wt%から35wt%、あるいは20wt%から25wt%の濃度で存在する。食餌脂肪酸は、すぐに飲める飲料製剤中の溶液としても、0.1mg/mLから10mg/mL、または代わりに0.5mg/mLから5mg/mLの濃度で存在することができる。追加的な水に添加するための濃縮物を作る場合には、濃度は、例えば、10から125mg/mLとすることができる。これらの範囲は、限定的であることは意図されず、むしろすぐに飲める製剤、ならびに濃縮物を調製するためのガイドラインを提供する。澄んだ溶液が望ましい場合に、澄みきった溶液を実現するための最高濃度がありうることが注目される。
【0050】
水溶性製剤は、医薬組成物の形態であってもよい。医薬組成物は、食餌脂肪酸、非イオン性界面活性剤、および医薬として許容される賦形剤を含むことができる。本開示の食餌脂肪酸を含んだ医薬組成物が、許容されるキャリア中に処方された後に、適切な容器中にこれを置いて、表示された状態を治療するためのラベルを付けることができる。食餌脂肪酸の投与のために、かかるラベル付けは、例えば、投与の量、頻度および方法に関するインストラクションを含むことになろう。
【0051】
本開示の水溶性製剤を投与するために、経口、非経口、粘膜、眼内、および局所剤形のような任意の適切な剤形が有用である。経口剤は、患者による摂取に適した錠剤、丸薬、粉末、糖衣錠、カプセル(例えば、軟質ゲルカプセル)、液体、トローチ剤、ゲル、シロップ、スラリー、飲料、懸濁液などを含む。液体製剤の例は、滴剤、スプレー、エアゾール、乳濁液、ローション、懸濁液、飲用溶液、うがい薬および吸入薬を含む。本開示の製剤は、注射によって、すなわち、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、十二指腸内、あるいは腹腔内に投与することもできる。同様に、本明細書に記載される製剤は、吸入によって、例えば、鼻腔内に投与することができる。加えて、本明細書の製剤は、局所的に、例えば、経皮的に投与することができる。製剤は、坐薬、ガス注入、粉末およびエアロゾル製剤を含む眼内、膣内、および直腸内の経路によって投与することもできる(ステロイド吸入薬の例について、Rohatagi,J.Clin.Pharmacol.35:1187−1193,1995;Tjwa,Ann.Allergy Asthma Immunol.75:107−111,1995を参照)。
【0052】
本開示の製剤から医薬組成物を調製するために、医薬として許容されるキャリアは、固体または液体のいずれであってもよい。固体形態の調合剤は、粉末、錠剤、丸薬、カプセル、カシェー、坐薬および分散性顆粒を含む。固体キャリアは、希釈剤、香味剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、または封入材料としての機能を果たすこともできる、1つ以上の物質とすることができる。製剤および投与に関する技術の詳細は、科学および特許文献によく記載されており、例えば、Remington’s Pharmaceutical Science,Maack Publishing Co, Easton PA(「Remington’s」)の最新版を参照。
【0053】
適切なキャリアは、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、(トウモロコシ、小麦、米、ジャガイモ、または他の植物からの)澱粉、ゼラチン、トラガカント、低融点ワックス、ココアバター、スクロース、マンニトール、ソルビトール、(メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはナトリウムカルボキシメチルセルロースのような)セルロース、および(アラビアおよびトラガントを含む)ゴム、ならびにゼラチンおよびコラーゲンのようなタンパク質を含む。必要に応じて、架橋されたポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸、またはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムのような、崩壊剤または共溶解剤が添加されてもよい。粉末では、キャリアは、微粉化された固体であり、微粉化された活性成分との混合物中に存在する。錠剤では、活性成分は、必要な結合特性を有するキャリアと適切な割合で混合されて、所望の形状およびサイズに成形される。
【0054】
糖衣錠のコアは、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポルゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適切な有機溶媒もしくは溶媒混合物を含むこともできる濃縮された糖溶液のような、適切な被膜によって提供される。製品識別のため、あるいは活性化合物量(すなわち、投薬量)の特性を示すために、染料または顔料が錠剤または糖衣錠の被膜に添加されてもよい。本発明の薬剤は、例えば、ゼラチンでできたプッシュフィット・カプセル、ならびにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールのような被膜でできたシールされたソフトカプセルを用いて、経口的に使用することもできる。プッシュフィット・カプセルは、ラクトースまたは澱粉のような充填剤または結合剤、タルクまたはステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、および随意的に安定剤と混合された食餌脂肪酸を含むことができる。ソフトカプセルでは、食餌脂肪酸は、安定剤の有無にかかわらず、脂油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコールのような適切な液体に溶解または懸濁されてもよく、または代わりに水溶性食餌脂肪酸ゲル製剤として(水の添加前に)カプセル化されてもよい。
【0055】
坐薬を調製するためには、脂肪酸グリセリド類またはココアバターの混合物のような低融点ワックスが初めに融かされて、その中に例えば撹拌によって活性成分が均一に分散される。次に融けた均質な混合物が都合の良いサイズのモールドに流し込まれて冷やされ、それによって固化される。
【0056】
液体形態の調合薬は、溶液、懸濁液、飲料、および乳濁液、例えば、水溶液または水/プロピレングリコール溶液を含む。非経口注射のために、ポリエチレングリコール水溶液または他の適切な注射用溶液に溶解させた液剤を処方することができる。
【0057】
経口用に適した水溶液および飲料は、水溶性食餌脂肪酸ゲル製剤を水に溶解させて、適切な着色剤、香味料、安定剤、および増粘剤を所望通りに添加することによって調製することができる。経口用に適した水溶液および飲料は、天然または合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガントゴムおよびアカシアゴムのような粘稠材料、および天然に存在するホスファチド(例えば、レシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンステアラート)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコール系溶剤との縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトールから得られる部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレアート)、あるいはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール無水物から得られる部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)のような分散剤または湿潤剤とともに、活性成分を水中に分散させることによって作ることができる。水性懸濁液は、エチルまたはn−プロピルp−ヒドロキシベンゾアートのような1つ以上の保存剤、1つ以上の着色剤、1つ以上の香味剤およびスクロース、アスパルテームまたはサッカリンのような1つ以上の甘味剤も含むことができる。製剤は、モル浸透圧濃度について調整することができる。
【0058】
経口投与のために、使用の少し前に液体形態の調合剤に変換することができる、固体形態の調合剤も含まれる。かかる液体形態は、溶液、懸濁液および乳濁液を形成する。これらの調合剤は、食餌脂肪酸に加えて、着色剤、香味料、安定剤、緩衝剤、人工および天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含んでもよい。
【0059】
味のよい経口剤を提供するために、グリセロール、ソルビトールまたはスクロースのような甘味剤を添加することができる。これらの製剤は、アスコルビン酸のような抗酸化剤の添加によって保存することができる。注射可能な油溶媒の例としては、Minto,J.Pharmacol.Exp.Ther.281:93−102、1997を参照。適切な乳化剤は、アカシアゴムおよびトラガントゴムのような天然に存在するゴム、大豆レシチンのような天然に存在するホスファチド、ソルビタンモノオレアートのような脂肪酸およびヘキシトール無水物から得られるエステルまたは部分エステル、およびポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートのようなこれらの部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物を含む。乳濁液は、シロップおよびエリキシルの製剤におけるように、甘味剤および香味剤も含むことができる。かかる製剤は、粘滑薬、保存剤、または着色剤も含むことができる。
【0060】
本発明の製剤は、アプリケータ・スティック、溶液、懸濁液、乳濁液、ゲル、クリーム、軟膏、ペースト、ゼリー、ペイント、粉末、およびエアロゾルとして処方されて、局所経路によって経皮的に送達することができる。
【0061】
体内に徐放するためのミクロスフェアとして、製剤を送達することもできる。例えば、皮下にゆっくりと放出される薬物含有ミクロスフェアの皮内注射によって(Rao,J.Biomater Sci.Polym.Ed.7:623−645、1995を参照;生分解可能かつ注射可能なゲル製剤として(例えば、Gao Pharm.Res.12:857−863,1995を参照);あるいは経口投与のためのミクロスフェアとして(例えば、Eyles,J.Pharm.Pharmacol.49:669−674,1997)、ミクロスフェアを投与することができる。経皮経路および皮内経路のいずれも、何週間あるいは何ヶ月にもわたって一定した送達を提供する。
【0062】
本発明の製剤は、塩として提供することができ、以下には限定されないが、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などを含む多くの酸を用いて、形成することができる。塩は、対応する遊離した塩基形態である(that)水性または他のプロトン性溶媒により溶けやすい傾向がある。他の場合に、調合剤は、pH範囲が4.5から5.5の1mM〜50mMのヒスチジン、0.1wt%から2wt%のスクロース、2wt%から7wt%のマンニトール中の凍結乾燥粉末であってもよく、使用前にこの粉末が緩衝剤と合わされる。
【0063】
別の実施形態において、本発明の製剤は、細胞膜と融合するかまたはエンドサイトーシスをうけるリポソームの使用によって、すなわち、リポソームに連結されるかまたはオリゴヌクレオチドに直接連結されて細胞の表面膜タンパク質受容体に結合し、エンドサイトーシスをもたらすリガンドを用いることによって送達することができる。特に、リポソーム表面が標的細胞に特異的なリガンドを運ぶか、さもなければ選択的に特定の器官に導かれる場合には、リポソームを用いることによって、食餌脂肪酸、食餌脂肪酸代謝物またはそのスレート(Slat)の送達をin vivoの標的細胞に集中させることができる(例えば、Al−Muhammed,J.Microencapsul.13:293−306,1996;Chonn,Curr.Opin.Biotechnol.6:698−708,1995;Ostro,Am.J.Hosp.Pharm.46:1576−1587,1989を参照)。
【0064】
製剤は、単位剤形として投与されてもよい。かかる形態では、調合剤が、適切な量の活性成分を含んだ単位用量に再分割される。単位剤形は、包装された調合剤とすることができ、この包装は、錠剤パケット、カプセル、バイアルまたはアンプル中の粉末のように、個別量の調合剤を含む。同様に、単位剤形は、それ自体がカプセル、錠剤、カシェー、またはトローチ剤とすることもでき、あるいは包装形態における然るべき数のこれらのいずれかとすることができる。
【0065】
単位用量の調合剤における活性成分の量は、特定の用途および活性成分の効能に応じて変化するか、または調整されてもよい。組成物は、必要に応じて適合する他の治療薬を含むこともできる。
【0066】
アッセイ
主題の非イオン性界面活性剤は、食餌脂肪酸を可溶化する能力に関して、任意の適切な方法を用いてアッセイすることができる。通常は、非イオン性界面活性剤が温められて食餌脂肪酸と接触し、振盪機、ボルテックス、またはソニケータデバイスを用いて機械的および/または自動的に混合される。例えば、食餌脂肪酸および/または界面活性剤が粉末形態のときには、随意的に水を加えることができる。溶解度を向上させるために、この溶液が加熱される。加熱温度は、食餌脂肪酸または非イオン性界面活性剤の化学分解を回避するように選択される。界面活性剤または食餌脂肪酸は、通常は200°Fより高く加熱されてはならず、好ましくは150°Fを超えてはならない。
【0067】
食餌脂肪酸の溶解度の度合いを測定するために、コロイド粒子について、得られた溶液を視覚的に検査することができる。代わりに、溶解度の度合いを測定するために、溶液を濾過して分析することもできる。例えば、濾過した溶液中に存在する食餌脂肪酸の濃度を測定するために、分光光度計を使用することができる。通常は、標準濃度対UV/Vis吸光度曲線を得るために、予め濾過された一連の既知量の食餌脂肪酸溶液を含んだ陽性対照と、テスト溶液とが比較される。代わりに、溶液中の食餌脂肪酸の量を測定するために、高速液体クロマトグラフィーが使用されてもよい。
【0068】
当分野では、高スループットの溶解度アッセイ法がよく知られている。典型的に、これらの方法は、様々な量の非イオン性界面活性剤類、食餌脂肪酸、および随意的に他の共溶媒を含む溶液を自動的に分注かつ混合することを含む。次に、上述のように任意の適切な方法を用いて溶解度の度合いを測定すべく、結果として生じた溶液を分析することができる。
【0069】
改良された0.4μmのトラックエッチ・ポリカーボネート・メンブレンを持つMillipore MultiScreen Solubilityフィルタプレート(登録商標)は、フィルタプレートとカバーとを含む使い捨ての96ウェル製品アセンブリである。このデバイスは、100〜300μLの体積範囲における水溶解度サンプルの処理を対象としている。真空濾過の設計は、標準的なマイクロタイタープレート用真空マニホールドに適合する。このプレートは、濾液の収集に使用される標準的な96ウェルマイクロタイター用レシーバプレートにもフィットするように設計される。MultiScreen Solubilityフィルタプレート(登録商標)が開発され、(標準的な真空を用いた)一貫した濾過フロー時間、抽出しにくい水性化合物、高いサンプル濾液回収率、および溶解度アッセイを実行するのに必要なそのサンプル・インキュベーション能力に関して、QCテストが行われた。水性媒質に溶解された有機化合物の高回収率用として、低結合性メンブレンが特に開発された。
【0070】
水溶解度アッセイでは、MultiScreen Solubilityフィルタプレートにおいて溶液を混合、インキュベートおよび濾過することによって、食餌脂肪酸の溶解度測定が可能である。真空濾過を用いて濾液が96ウェル収集プレート中に移された後、溶解度を測定するためにUV/vis分光法によって分析される。加えて、特にUV/vis吸光度が低い化合物および/または純度のより低い化合物について化合物の溶解度を測定するために、LC/MSまたはHPLCを用いることができる。水溶解度の定量化のために、水溶解度を測定する前に、各化合物について標準較正曲線を測定かつ分析することができる。
【0071】
テスト溶液は、濃縮された一定分量の所定の化合物を添加することによって調製することができる。この溶液が、カバーされた96ウェルのMultiScreen Solubilityフィルタプレート中において室温で1.5時間にわたって混合される。次に、任意の不溶性沈殿物を除去するために、溶液が、96ウェルのポリプロピレン製V底収集プレート中に真空濾過される。濾過が完了すると、160μL/ウェルが、収集プレートから96ウェルのUV分析プレートに移されて、40μL/ウェルのアセトニトリルで希釈される。テスト化合物の吸光度プロファイルを測定するために、UV/vis分析プレートが、UV/visマイクロプレート分光計を用いて260〜500nmまで走査される。
【0072】
かくして、当業者は、本開示の実施形態に従って多種多様な非イオン性界面活性剤をアッセイし、食餌脂肪酸化合物を可溶化するそれらの能力を測定することができる。
【0073】
本明細書に使用される用語および表現は、限定としてではなく記載のための用語として使用されており、かかる用語および表現の使用には、図示または記載される特徴の均等物またはその一部を排除する意図はなく、請求される本発明の範囲内において様々な変更が可能であることが認識される。そのうえ、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の任意の実施形態の任意の1つ以上の特徴が、本発明の任意の他の実施形態の任意の1つ以上の他の特徴と組み合わされてもよい。例えば、製剤の特徴は、本明細書に記載される病状を治療する方法に同じく適用可能である。本明細書に引用されるすべての刊行物、特許および特許出願は、すべての目的に対してその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0074】
以下の実施例は、本開示のいくつかの実施形態を例示することを意味し、本発明の範囲を限定することは意図されない。ルシファーイエローは、Molecular Probes(Eugene,OR)から購入されたことを指摘しておく。ハンクス緩衝液および他の化学薬品は、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)から入手された。
【0075】
(実施例1)
ω3ゲル製剤(魚油)およびそれに続くω3脂肪酸類の水溶液の調製
非イオン性界面活性剤マクロゴールグリセロールヒドロキシステアラート(グリセロール−ポリエチレングリコールオキシステアラート)を用いて、ω3脂肪酸類の水溶性組成物が処方される。初めに、非イオン性界面活性剤がおよそ115°Fに加熱され、澄んで実質的に気泡が見えなくなるまで攪拌される。室温で30wt%のω3脂肪酸を含む臭気を除去したω3脂肪酸魚油が、溶解されたω3脂肪酸類(または「ω3ゲル製剤」もしくは「脂肪酸ゲル化製剤」)を含む、わずかに粘性のある澄んだ溶液が形成されるまで、温かいマクロゴールグリセロールヒドロキシステアラート中に非常にゆっくりと添加または滴定される。ω3ゲル製剤は、かくして50gのマクロゴールグリセロールヒドロキシステアラートと、ω3脂肪酸ゲル製剤の約17%に当たる10gのω3脂肪酸類とを含む。100RPMの撹拌器により混合用ボルテックスとして維持された100mLの温水に、ω3脂肪酸ゲル製剤が、毎秒約1mLの速度でゆっくりと滴定され、澄みきった溶液が形成されるまで約110°Fの温度で保持される。添加フェーズの間およびそのすぐ後には、水が連続的に攪拌される。
【0076】
上記の例から理解されうるように、ω3脂肪酸ゲル製剤を温水に添加することによって、可溶化されたω3脂肪酸類の水溶液が実現され、それによって水溶性の飲料が作られる。より具体的に、水性ω3脂肪酸ゲル製剤は、ゲル製剤を約115°Fの温度で保持し、ゲル混合物を温水に滴定するか、または一滴ずつ添加して、ω3脂肪酸類の澄んだ水溶液(あるいは視覚的に澄んだ極く微細な分散)を形成することによって調製される。この水性ω3脂肪酸製剤は、不快な風味を持たないであろう。水性ω3脂肪酸製剤は、水(100mL)、マクロゴールグリセロールヒドロキシステアラート40(50mL)、および臭気を除去した30wt%のω3脂肪酸魚油(10mL)を含み、水性食餌脂肪酸製剤中のω3脂肪酸の濃度は、約6.6wt%(水を含んだ飲料)である。この溶液は、澄みきっており、視認できる粒子がないであろうことを目視検査で確認した。内容物を検証するために、水性ω3脂肪酸製剤がHPLCによって分析される。
【0077】
(実施例2)
pH7.4のハンクス平衡塩溶液(10mMのHEPESおよび15mMのグルコース)中のω3脂肪酸の溶解度が、ω3ゲル製剤と比較される。少なくとも1mgのω3脂肪酸油(30wt%のω3)ならびに100mgのω3ゲル製剤が、1mLの緩衝液と合わされて、それぞれ≧1mg/mLのω3油混合物および≧1mg/mLのω3ゲル製剤混合物が作られる。それぞれの混合物が、ベンチトップ・ボルテクサーを用いて2時間にわたって振盪されて、室温で一晩静置される。ボルテックス処理および一晩の静置後に、ω3油混合物は、予めサンプルで飽和させた0.45μmのナイロンシリンジフィルタ(Whatman,Cat#6789−0404)を通して濾過される。
【0078】
ω3ゲル製剤混合物は、ボルテックス処理および一晩の静置後に、14,000rpmで10分間にわたって遠心分離される。濾液もしくは上澄み液が2回続けてサンプリングされ、分析前に50:50のアッセイ緩衝液:アセトニトリル混合物中で10、100、および10,000倍に希釈される。
【0079】
50:50のアッセイ緩衝液:アセトニトリル混合物で調製された標準物質を対照として、両方の混合物が、エレクトロスプレーイオン化を用いたLC/MS/MSによってアッセイされる。標準濃度は、1.0μMから3.0nMまでの範囲であった。結果は、2つの製剤間で溶解度が著しく異なることを示唆することになろう。
【0080】
(実施例3)
Caco−2細胞単層を通しての食餌脂肪酸の透過率をテストするために、12ウェルのCostar Transwell(登録商標)プレート中のコラーゲン被覆された微孔性ポリカーボネート・メンブレン上に、コンフルエンスに達するまでCaco−2細胞単層を成長させる。
【0081】
テスト物質は、水性食餌脂肪酸製剤であり、投薬濃度は、前の実施例におけるように、アッセイ緩衝液(HBSSg)中に2μMである。単分子層が、頂端側(AからB)または基底側(BからA」で投薬されて、加湿されたインキュベータ中で5%のCOを用いて37℃でインキュベーションされる。ドナーチャンバからはサンプルが120分時点で取り出され、レシーバチャンバからのサンプルは60分および120分時点で収集される。各測定は、2回繰り返して行われる。透過率実験の間に細胞単層が損傷を受けないことを確かめるために、テスト物質に曝した後に、各単層についてルシファーイエローの透過率も測定される。食餌脂肪酸サンプルの透過率と比較するために、アテノロール、プロプラノロールおよびジゴキシン・サンプルの透過率も測定される。エレクトロスプレーイオン化を用いたLC/MS/MSによって、すべてのサンプルが、食餌脂肪酸類または対応する比較化合物についてアッセイされる。見かけの透過率(Papp)および回収率が、当分野で知られるように計算される。Caco−2細胞単層を通しての食餌脂肪酸類の透過率(10−6cm/s)および回収を報告することによって、食餌脂肪酸類の透過率の結果を提示することができる。すべての単層が実験後の完全性管理をパスし、ルシファーイエローのPapp<0.8×10−6cm/sである。
【0082】
(実施例4)
ω3ゲル製剤(亜麻仁油)およびそれに続くω3脂肪酸の水溶液の調製
澄んだゲルが形成されるまで混合することによって、5グラムの亜麻仁油が、50mLの温かいポリエチレングリコール660ヒドロキシステアラートに溶解される(「ω3ゲル製剤」)。次に連続的に混合しながら、ω3ゲル製剤が、100mLの温かい蒸留水に極めてゆっくりと添加される(例えば、吊るされた100RPMで回転するパドルを用い、滴定装置を用いてしたたらせるように、あるいは1滴ずつゆっくりと添加することによって)。液体が固体ゲルもしくは曇った白い塊に固化するのを避けるために、亜麻仁油を含んだω3ゲル製剤は、混合水に極めてゆっくりと(例えば、攪拌が続く間に10秒以上毎に1mLの速度で)添加される。視認できる粒子もミセルもない澄んだ溶液が形成される。
【0083】
(実施例5)
ω3ゲル製剤(魚油)およびそれに続くω3脂肪酸の水溶液の調製
ゲルが形成されるまで混合することによって、30グラムの魚油が、50mLの温かいマクロゴールグリセロールヒドロキシステアラート(グリセロール−ポリエチレングリコールオキシステアラート)に溶解される(「ω3ゲル製剤」)。次に連続的に混合しながら、ω3ゲル製剤が、200mLの温かい蒸留水に極めてゆっくりと添加される(例えば、吊るされた100RPMで回転するパドルを用い、滴定装置を用いてしたたらせるように、あるいは1滴ずつゆっくりと添加することによって)。液体が固体ゲルまたは曇った白い塊に固化するのを避けるために、魚油を含んだω3ゲル製剤は、混合水に極めてゆっくりと(例えば、攪拌が続く間に10秒以上毎に1mLの速度で)添加される。視認できる粒子もミセルもない澄んだ溶液が形成される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1wt%から75wt%の食餌脂肪酸;および
25wt%から99wt%の非イオン性界面活性剤
を含む、水溶性食餌脂肪酸ゲル製剤。
【請求項2】
前記ゲル製剤は、水に可溶であり、1:3の重量比で澄んだ溶液を形成する、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記ゲル製剤は、水に可溶であり、1:1の重量比で澄んだ溶液を形成する、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
前記食餌脂肪酸は、ω3脂肪酸である、請求項1に記載の製剤。
【請求項5】
前記ω3脂肪酸は、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、またはそれらの混合物である、請求項4に記載の製剤。
【請求項6】
前記食餌脂肪酸は、少なくとも20wt%の濃度で存在する請求項1に記載の製剤。
【請求項7】
前記非イオン性界面活性剤は、非イオン性水溶性モノグリセリド、ジグリセリド、またはトリグリセリド;ポリエチレン(polyethyelene)グリコールの非イオン性水溶性モノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪酸エステル;非イオン性水溶性ソルビタン脂肪酸エステル;ポリグリコール化されたグリセリド;非イオン性水溶性トリブロック共重合体;それらの誘導体;またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の製剤。
【請求項8】
前記非イオン性界面活性剤は、非イオン性水溶性モノグリセリド、ジグリセリド、またはトリグリセリドである、請求項1に記載の製剤。
【請求項9】
前記非イオン性界面活性剤は、グリセロール−ポリエチレングリコールオキシステアラートである、請求項1に記載の製剤。
【請求項10】
前記非イオン性界面活性剤は、マクロゴールグリセロールリシノレアート、マクロゴールグリセロールヒドロキシステアラート、ポリエチレングリコール660ヒドロキシステアラート、またはそれらの混合物である、請求項1に記載の製剤。
【請求項11】
前記非イオン性界面活性剤は、ポリエチレングリコール660ヒドロキシステアラートである、請求項1に記載の製剤。
【請求項12】
前記製剤は、経口製剤である、請求項1に記載の製剤。
【請求項13】
前記製剤は、粘膜製剤、非経口製剤、眼科用製剤、または局所製剤である、請求項1に記載の製剤。
【請求項14】
前記食餌脂肪酸は、5wt%から60wt%で存在し、前記非イオン性界面活性剤は、40wt%から95wt%で存在する、請求項1に記載の製剤。
【請求項15】
前記食餌脂肪酸は、魚、藻類、または野菜の供給源に由来する、請求項1に記載の製剤。
【請求項16】
医薬として許容される賦形剤または安定剤をさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項17】
前記食餌脂肪酸および前記非イオン性界面活性剤から本質的になる、請求項1に記載の製剤。
【請求項18】
食餌脂肪酸を被験体に送達する方法であって、同じ量の食餌脂肪酸が単独で送達される場合よりも該食餌脂肪酸がバイオアベイラブルであるように、請求項1の製剤を被験体に投与する工程を含む、方法。
【請求項19】
投与する前記工程は、経口送達、粘膜送達、眼科的送達、非経口送達、または局所送達による、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記投与する工程は、前記被験体が癌、肥満症、糖尿病、心血管疾患、脂質異常症、加齢性黄斑変性症、高コレステロール、網膜症、または神経疾患に対して治療される結果である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
0.1wt%から94.9wt%の水;
0.1wt%から35wt%の食餌脂肪酸;および
5wt%から75wt%の非イオン性界面活性剤
を含む、食餌脂肪酸溶液。
【請求項22】
前記水は、15wt%から75wt%で存在し;前記食餌脂肪酸は、2wt%から20wt%で存在し、かつ前記非イオン性界面活性剤は、20wt%から50wt%で存在する、請求項21に記載の溶液。
【請求項23】
前記非イオン性界面活性剤は、前記食餌脂肪酸を水溶性にして澄んだ溶液を形成させる濃度で存在する、請求項21に記載の溶液。
【請求項24】
前記食餌脂肪酸は、ω3脂肪酸である、請求項21に記載の溶液。
【請求項25】
前記ω3脂肪酸は、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、またはそれらの混合物である、請求項24に記載の溶液。
【請求項26】
前記製剤は、非アルコール製剤である、請求項21に記載の溶液。
【請求項27】
前記製剤は、非プロトン性ではない溶媒和された製剤である、請求項21に記載の溶液。
【請求項28】
前記食餌脂肪酸は、少なくとも0.1mg/mLの濃度で存在する、請求項21に記載の溶液。
【請求項29】
前記食餌脂肪酸は、少なくとも1mg/mLの濃度で存在する、請求項21に記載の溶液。
【請求項30】
前記食餌脂肪酸は、0.1mg/mLから10mg/mLの濃度で存在する、請求項21に記載の溶液。
【請求項31】
前記食餌脂肪酸は、10から125mg/mLの濃度で存在する、請求項21に記載の溶液。
【請求項32】
前記非イオン性界面活性剤は、非イオン性水溶性モノグリセリド、ジグリセリド、またはトリグリセリド;ポリエチレン(polyethyelene)グリコールの非イオン性水溶性モノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪酸エステル;非イオン性水溶性ソルビタン脂肪酸エステル;ポリグリコール化されたグリセリド;非イオン性水溶性トリブロック共重合体;それらの誘導体;またはそれらの組み合わせである、請求項21に記載の溶液。
【請求項33】
前記非イオン性界面活性剤は、非イオン性水溶性モノグリセリド、ジグリセリド、またはトリグリセリドである、請求項21に記載の溶液。
【請求項34】
前記非イオン性界面活性剤は、グリセロール−ポリエチレングリコールオキシステアラートである、請求項21に記載の溶液。
【請求項35】
前記非イオン性界面活性剤は、マクロゴールグリセロールリシノレアート、マクロゴールグリセロールヒドロキシステアラート、ポリエチレングリコール660ヒドロキシステアラート、またはそれらの混合物である、請求項21に記載の溶液。
【請求項36】
前記非イオン性界面活性剤は、ポリエチレングリコール660ヒドロキシステアラートである、請求項21に記載の溶液。
【請求項37】
前記製剤は、経口製剤である、請求項21に記載の溶液。
【請求項38】
前記経口製剤は、飲料である、請求項37に記載の溶液。
【請求項39】
前記経口製剤は、スプレーまたは錠剤である、請求項37に記載の溶液。
【請求項40】
前記経口製剤は、軟質ゲルカプセル中に存在し、含水量は、約10wt%未満である、請求項37に記載の溶液。
【請求項41】
前記製剤は、粘膜製剤、非経口製剤、眼科的製剤、または局所製剤である、請求項21に記載の溶液。
【請求項42】
前記食餌脂肪酸は、魚、藻類、または野菜の供給源に由来する、請求項21に記載の溶液。
【請求項43】
医薬として許容される賦形剤または安定剤をさらに含む、請求項21に記載の溶液。
【請求項44】
前記食餌脂肪酸、前記非イオン性界面活性剤、および前記水から本質的になる、請求項21に記載の溶液。
【請求項45】
食餌脂肪酸を被験体に送達する方法であって、同じ量の食餌脂肪酸が単独で送達される場合よりも該食餌脂肪酸がバイオアベイラブルであるように、請求項21の製剤を被験体に投与する工程を含む、方法。
【請求項46】
投与する前記工程は、経口送達、粘膜送達、眼科的送達、非経口送達、または局所送達による、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記投与する工程は、前記被験体が癌、肥満症、糖尿病、心血管疾患、脂質異常症、加齢性黄斑変性症、高コレステロール、網膜症、または神経疾患に対して治療される結果である、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
食餌脂肪酸を水に溶解させる方法であって、
食餌脂肪酸を、温かい、よく混合された非イオン性界面活性剤と合わせて、界面活性剤−食餌脂肪酸混合物を形成する工程;および
必要に応じて少なくともできるだけゆっくりと該界面活性剤−食餌脂肪酸混合物を水と連続的に混合させて、該食餌脂肪酸を可溶化する、工程
を含む、方法。
【請求項49】
前記非イオン性界面活性剤は、グリセロール−ポリエチレングリコールオキシステアラート、エトキシ化されたヒマシ油、ポリエチレングリコール660ヒドロキシステアラート(hydroxystarate)、またはそれらの混合物である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記温かい、よく混合された非イオン性界面活性剤は、該界面活性剤が澄むまで混合しながら約90°Fから約200°Fの温度に該界面活性剤を加熱する予備工程によって調製される、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記合わせる工程は、前記食餌脂肪酸を前記非イオン性界面活性剤にゆっくりと添加する工程、および1wt%から75wt%の食餌脂肪酸と25wt%から99wt%の界面活性剤とを構成するように十分に混合されるまで撹拌する工程を含み、該食餌脂肪酸は、ゲル組成物が視認できる食餌脂肪酸のミセルも粒子も含まないように、該界面活性剤中に十分に分散または溶解される、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記混合する工程は、前記界面活性剤−食餌脂肪酸混合物を温水に毎秒前記水の5vol%を超えない速度でゆっくりと添加することを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
前記水溶性非イオン性界面活性剤を加熱する工程は、前記加熱する工程の間に攪拌または混合する工程を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項54】
被験体における食餌脂肪酸のバイオアベイラビリティを向上させる方法であって、該方法は、請求項48に記載されるように界面活性剤−食餌脂肪酸混合物を水に溶解させることを含む、方法。

【公表番号】特表2012−531440(P2012−531440A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517789(P2012−517789)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/040066
【国際公開番号】WO2010/151816
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(511312551)
【Fターム(参考)】