説明

水産蛋白質性発酵調味料の製造方法、水産蛋白質性発酵調味料、麹製造方法、麹

【課題】 水産蛋白質性原料を用いた魚醤油等の発酵調味料であって、低食塩化したもとで腐敗が有効に防止され、かつ旨味も良好な発酵調味料を製造する。
【解決手段】 蒸煮した調味料原料に対して種麹の接種による製麹と乳酸生成菌の接種による乳酸発酵とを行った後、食塩と仕込んで発酵させることにより発酵調味料を製造する方法において、前記調味料原料として水産蛋白質性原料を用い、かつ特定の工程において前記種麹と前記乳酸生成菌とを増殖・活性化させるための十分量の炭水化物性資材を投入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水産蛋白質性発酵調味料の製造方法、水産蛋白質性発酵調味料、麹製造方法、及び麹に関する。
【0002】
更に詳しくは本発明は、蒸煮した調味料原料に対して種麹の接種による製麹と乳酸菌の接種による乳酸発酵とを行った後、食塩と仕込んで発酵させることにより発酵調味料を製造する方法において、前記の調味料原料としてコウナゴ、カタクチイワシ、エビ、イカ、タコ等の水産蛋白質性原料を用いる場合に生ずる特有の問題を解決した水産蛋白質性発酵調味料の製造方法と、この方法により製造される魚醤油、魚味噌等の水産蛋白質性発酵調味料と、これらの発明の実施のために有効に利用し得る麹製造方法と、この方法により製造される麹とに関する。
【背景技術】
【0003】
従来より、例えば米麹を用いた味噌等の発酵調味料の製造方法、大豆等を原料とする麹から豆味噌等を製造する発酵調味料の製造方法、魚介類を原料とする麹から魚醤油を製造する発酵調味料の製造方法等の各種発酵調味料の製造方法と、それらの方法により製造される発酵調味料とが提案されている。
【0004】
これらの発酵調味料の製造方法においては、一般的に、まず原料を蒸煮した後、これに種麹を接種して製麹し、次いで食塩と仕込んで発酵させると言うプロセスを経過する。近年、本願発明者らは、発酵調味料製造プロセスの特定の段階において乳酸菌を接種することにより、バチルス属細菌などの増殖に基づく腐敗を有効に防止する方法を提案している。
【0005】
【特許文献1】特開2001−224359号公報 上記の特許文献1には、「乳酸菌を利用した米麹の製造方法及び米味噌の製造方法」が開示されている。この方法においては、大豆抽出液に浸漬した米を蒸煮して製造した蒸し米に、(1)乳酸菌を接種して乳酸発酵させた後に製麹することにより、あるいは、(2)乳酸菌と麹菌を同時に接種して乳酸菌発酵と製麹とを同時に行うことにより、バチルス属微生物等の有害微生物による汚染を防止しようとしている。
【0006】
【特許文献2】特開平11−75754号公報 上記の特許文献2には「発酵調味料の製造法」が開示されている。この方法は豆味噌等の製造に関し、(1)蒸煮した原料大豆に乳酸菌を接種して乳酸発酵させた後に、麹菌を接種して製麹した麹を仕込むか、あるいは(2)蒸煮した原料大豆の一部に対しては種麹の接種により製麹すると共に、原料大豆の他の一部に対しては乳酸菌の接種により乳酸発酵を行い、次いでこれらをの原料大豆を混合して仕込むことにより、発酵調味料を製造する方法である。
【0007】
因みに、この特許文献2の「実施例」の欄には、「蒸煮大豆の乳酸発酵物に、香煎1.5%と種麹0.02%を加えた」旨の開示が見られる。香煎は、種麹の栄養(カロリー源)としての意味があるが、この場合の香煎の添加量1.5%は、原料が炭水化物性の(即ち、デンプン等の炭水化物が豊富な)大豆であることを考慮すれば、合理的な添加量であると考えられる。
【0008】
【特許文献3】上記の特許文献3には「発酵食品の製造方法」が開示されている。この方法は、原料魚介類を製麹して得られる魚麹を食塩水と混合して仕込み、得られた魚醤油諸味に特定の種類の乳酸菌を含有する醸造諸味を添加して魚醤油諸味を発酵させる、と言う方法である。そして、「この方法により、腐敗等の問題を生じない発酵食品が得られる」としている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のように、この種の発酵調味料の製造方法において、バチルス属微生物等の有害微生物による汚染もしくは腐敗を防止するために乳酸菌を利用することは、一般論としては公知である。
【0010】
しかし、上記の特許文献1や特許文献2に見られるように、乳酸菌を利用する従来の発酵調味料の製造方法の発明は、ほとんどが米や大豆等の炭水化物性原料を用いる製造方法に関する。
【0011】
反面、近年において多様化した各種の料理に適した種々の調味料、例えば魚醤油のように少量で旨味を向上させることができる調味料に対する需要が高まっている。それにも関わらず、通常の醤油と比較すると魚醤油の市場は未だに著しく小さい。その大きな理由は、魚醤油のような水産蛋白質性原料を用いる調味料はバチルス属微生物等に起因する腐敗の起こる危険性が高いため、高食塩化調味料となっている点にある。
【0012】
従って、水産蛋白質性原料を用いる調味料を、腐敗等の危険性を防止したもとで低食塩化することが、強く求められている。そして、この要求に応える対策として、特許文献1や特許文献2に見られるような乳酸菌の利用が着想される。
【0013】
しかしながら、本願発明者の研究によれば、特許文献1や特許文献2に開示された製造方法をそのまま魚醤油等に適用しても、製麹工程において有害微生物による腐敗等が発生し易く、又は麹における酵素活性が十分に高くならず、良好な製品を得ることができなかった。又、特許文献3に開示された発明では、魚醤油の製造工程で乳酸菌を用いているが、その乳酸菌は製麹工程完了後の諸味に接種されるものであり、論理的にも製麹工程における有害微生物による腐敗等を十分に防止できないと考えられる。
【0014】
そこで本発明は、水産蛋白質性原料を用いる発酵調味料の製造方法であって、低食塩化した系であっても、バチルス属微生物等による汚染や腐敗を有効に防止でき、かつ麹における酵素活性も十分に高くなり、従って良好な発酵調味料を製造できる技術を提供することを、解決すべき技術的課題とする。
【0015】
本願発明者は、上記課題の解決手段を追求する過程で、本質的な問題点が水産蛋白質性原料における易腐敗性の蛋白質やアミノ酸の高濃度にあるのではなく、むしろ炭水化物の低濃度にある、と言う新規な知見に到達し、本願発明を完成するに到った。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(第1発明の構成)
上記課題を解決するための本願第1発明の構成は、蒸煮した調味料原料に対して、種麹の接種による製麹と乳酸生成菌の接種による乳酸発酵とを行った後、食塩と仕込んで発酵させることにより発酵調味料を製造する方法において、前記調味料原料として水産蛋白質性原料を用い、かつ前記種麹と前記乳酸生成菌とを増殖・活性化させるための炭水化物性資材を投入する、水産蛋白質性発酵調味料の製造方法である。
【0017】
(第2発明の構成)
上記課題を解決するための本願第2発明の構成は、前記第1発明に係る蒸煮した調味料原料に対して、前記種麹の接種と乳酸生成菌の接種とを実質的に同時に行って製麹と乳酸発酵とを同時に行わせ、次いで食塩と仕込んで発酵させる、水産蛋白質性発酵調味料の製造方法である。
【0018】
(第3発明の構成)
上記課題を解決するための本願第3発明の構成は、前記第1発明に係る蒸煮した調味料原料に対して、まず前記乳酸生成菌の接種により乳酸発酵を行った後、前記種麹の接種により製麹し、次いで食塩と仕込んで発酵させる、水産蛋白質性発酵調味料の製造方法である。
【0019】
(第4発明の構成)
上記課題を解決するための本願第4発明の構成は、前記第1発明に係る蒸煮した調味料原料の一部に対して前記種麹の接種により製麹し、前記蒸煮した調味料原料の他の一部に対して乳酸生成菌の接種により乳酸発酵を行い、次いでこれらの原料を混合して食塩と仕込むことにより発酵させる、水産蛋白質性発酵調味料の製造方法である。
【0020】
(第5発明の構成)
上記課題を解決するための本願第5発明の構成は、前記第1発明〜第4発明のいずれかに係る水産蛋白質性原料が、少なくとも硬骨魚類、軟骨魚類、貝類及び水産節足動物を包含する水産動物群から任意に選ばれる1種又は2種以上の動物を原料とするものである、水産蛋白質性発酵調味料の製造方法である。
【0021】
(第6発明の構成)
上記課題を解決するための本願第6発明の構成は、前記第1発明〜第4発明のいずれかに係る水産蛋白質性原料が、コウナゴ、カタクチイワシ、エビ、イカ又はタコを原料とするものである、水産蛋白質性発酵調味料の製造方法である。
【0022】
(第7発明の構成)
上記課題を解決するための本願第7発明の構成は、前記第1発明〜第6発明のいずれかに係る炭水化物性資材が、少なくともグルコース又はガラクトースから選ばれる1種又は2種以上の単糖類であり、及び/又は、前記種麹の接種のために用いられる4.5%以上の香煎である、水産蛋白質性発酵調味料の製造方法である。
【0023】
(第8発明の構成)
上記課題を解決するための本願第8発明の構成は、前記第1発明〜第7発明のいずれかに係る乳酸生成菌が、、以下(1)〜(4)のいずれか1種又は2種以上である、水産蛋白質性発酵調味料の製造方法である。
(1)乳酸を生成すると共に、酢酸を生成しないか又は生成しても麹菌の生育を阻害しない程度である乳酸菌。
(2) Lactococcus属の抗菌性乳酸菌。
(3)ナイシン( Nisin)を包含するバクテリオシン( bacteriosin)群の1種又は2種以上を生産する乳酸菌。
(4)乳酸を生成し、かつ非耐塩性である乳酸菌。
【0024】
(第9発明の構成)
上記課題を解決するための本願第9発明の構成は、前記第1発明〜第8発明のいずれかに係る仕込みにおいて、食塩濃度を16%以下とする、水産蛋白質性発酵調味料の製造方法である。
【0025】
(第10発明の構成)
上記課題を解決するための本願第10発明の構成は、第1発明〜第9発明のいずれかに係る水産蛋白質性発酵調味料の製造方法によって製造されたものである、水産蛋白質性発酵調味料である。
【0026】
(第11発明の構成)
上記課題を解決するための本願第11発明の構成は、前記第10発明に係る水産蛋白質性発酵調味料が魚醤油又は魚味噌である、水産蛋白質性発酵調味料である。
【0027】
(第12発明の構成)
上記課題を解決するための本願第12発明の構成は、前記第10発明又は第11発明に係る水産蛋白質性発酵調味料の食塩濃度が16%以下である、水産蛋白質性発酵調味料である。
【0028】
(第13発明の構成)
上記課題を解決するための本願第13発明の構成は、蒸煮した調味料原料に対して種麹の接種による製麹と乳酸生成菌の接種による腐敗防止措置とを行って、発酵調味料の製造を目的とする麹を製造する方法において、前記調味料原料として、水産蛋白質性原料を用い、かつ以下の(1)又は(2)のいずれかの方法で前記種麹と前記乳酸生成菌とを増殖・活性化させるための炭水化物性資材を投入する、麹製造方法である。
(1)前記蒸煮した調味料原料に対して、前記種麹の接種と乳酸生成菌の接種とを実質的に同時に行って製麹と乳酸発酵とを同時に行わせる。
(2)前記蒸煮した調味料原料に対して、まず前記乳酸生成菌の接種により乳酸発酵を行った後、前記種麹の接種により製麹する。
【0029】
(第14発明の構成)
上記課題を解決するための本願第14発明の構成は、第13発明に係る麹製造方法によって製造されたものである、麹である。
【発明の効果】
【0030】
(第1発明の効果)
第1発明において、調味料原料として水産蛋白質性原料を用い、蒸煮した調味料原料に対して種麹の接種による製麹と乳酸生成菌の接種による乳酸発酵とを行った後、食塩と仕込んで発酵させる。しかしこの場合、特許文献1や特許文献2に記載の方法に準じて発酵調味料を製造しようとすると、第1に、有害微生物による汚染もしくは腐敗が起こり易く、第2に、優れた旨味のある発酵調味料の製造に不可欠な麹における酵素活性が不十分となる。
【0031】
その理由は調味料原料が水産蛋白質性原料である点に存在し、しかも本質的な問題点は、原料中の高濃度の蛋白質やアミノ酸ではなく、むしろ原料中における(乳酸生成菌や麹菌のカロリー源たるべき)デンプンや糖類等の炭水化物の不足にあることが分かった。
【0032】
即ち、上記第1の不具合に関しては、乳酸生成菌がカロリー源の不足から十分に増殖することができず、その結果、乳酸生成量が不足して有害微生物に対する抗菌作用が不足し、バチルス属微生物等の有害微生物による汚染もしくは腐敗が起こるのである。従って、本質的には水産蛋白質性原料における蛋白質やアミノ酸の高濃度が原因ではない。又、上記第2の不具合に関しても、麹菌がカロリー源の不足から十分に増殖あるいは活性化することができず、その結果、麹におけるプロテアーゼやα−アミラーゼの酵素活性が十分に高くならないため、旨味の不十分な発酵調味料が製造されてしまうのである。
【0033】
そこで、第1発明においては、種麹と乳酸生成菌とを増殖・活性化させるための炭水化物性資材を投入する。その結果、乳酸生成菌や麹菌が十分なカロリー源を得るので、乳酸生成菌の十分な増殖による抗菌効果が確保されて、バチルス属微生物等による汚染や腐敗が有効に防止され、かつ、麹菌によるプロテアーゼやα−アミラーゼの酵素活性が十分に高くなって、優れた旨味のある発酵調味料が製造されるのである。
【0034】
従って、第1発明によれば、水産蛋白質性原料を用いる発酵調味料の製造において、低食塩化した系であってもバチルス属微生物等による汚染や腐敗を有効に防止でき、かつ麹における酵素活性も十分に高くなり、従って、良好な発酵調味料を製造することができる。その結果、水産蛋白質性原料を用いる発酵調味料の(例えば、魚醤油の)、腐敗等の危険性を回避したもとでの低食塩化を実現することができる。
【0035】
第1発明のような意味での十分量の炭水化物性資材の投入技術は、前記した従来の発酵調味料の製造方法においては、開示も示唆もされていない。例えば特許文献1に記載の発明においては、その表1において、蒸し米への添加物として「グルコース 0.5%」が開示されている。しかし調味料原料がもともと炭水化物の豊富な米であることもあって、その場合の乳酸菌の増殖は「弱い」と否定的に評価されている。特許文献2に記載の発明では、その実施例において、種麹の接種に当たり、炭水化物性資材とも言える香煎を1.5%加える旨の記載がある。しかし第1発明のような技術的な狙いは開示されておらず、しかも本願発明の実施例において後述するように、水産蛋白質性原料を用いる発酵調味料の製造においては、1.5%程度の香煎の添加では麹における酵素活性は全く不十分である。
【0036】
(第2発明の効果)
前記第1発明の好ましい実施形態の一つとして、第2発明のように、蒸煮した調味料原料に対して種麹の接種と乳酸生成菌の接種とを実質的に同時に行って製麹と乳酸発酵とを同時に行わせ、次いで食塩と仕込んで発酵させる、と言う方法を挙げることができる。
【0037】
(第3発明の効果)
前記第1発明の他の好ましい実施形態として、第3発明のように、蒸煮した調味料原料に対してまず乳酸生成菌の接種により乳酸発酵を行った後、種麹の接種により製麹し、次いで食塩と仕込んで発酵させる、と言う方法も挙げることができる。
【0038】
(第4発明の効果)
前記第1発明の更に他の好ましい実施形態として、第4発明のように、蒸煮した調味料原料の一部に対しては種麹の接種により製麹し、蒸煮した調味料原料の他の一部に対しては乳酸生成菌の接種により乳酸発酵を行い、次いでこれらの原料を混合して食塩と仕込むことにより発酵させる、と言う方法も挙げられる。
【0039】
(第5発明の効果)
前記第1発明に用いる調味料原料は水産蛋白質性原料である限りにおいて特段に限定されないが、硬骨魚類、軟骨魚類、貝類、水産節足動物等から選ばれる1種又は2種以上の動物から調製した原料が、特に好ましい。
【0040】
(第6発明の効果)
前記第1発明に用いる調味料原料としては、コウナゴ、カタクチイワシ、エビ、イカ、又はタコから調製した原料が、とりわけ好ましい。
【0041】
(第7発明の効果)
炭水化物性資材としては、要するにデンプン、糖類等の炭水化物を主成分とする資材である限りにおいて特段に限定されないが、グルコース又はガラクトースから選ばれる1種又は2種以上の単糖類であり、及び/又は、種麹の接種のために用いられる4.5%以上の香煎であることが特に好ましい。とりわけ、単糖類としてはグルコースが好ましく、香煎の使用量は6%以上であることが好ましい。
【0042】
本願発明者の研究によれば、単糖類の投入は乳酸生成菌の増殖・活性化に有効であり、多量の香煎の投入は麹菌の増殖・活性化に有効である。
【0043】
(第8発明の効果)
第1発明において使用する乳酸生成菌の種類は、文字通り乳酸を生成する菌である限りにおいて特段に限定されず、例えば分類上は「乳酸菌」に属しないものも使用できる場合があるが、特に、以下(1)〜(4)のいずれか1種を使用し、又は2種以上を併用することが好ましい。
(1)乳酸を生成すると共に、酢酸を生成しないか又は生成しても麹菌の生育を阻害しない程度である乳酸菌。
(2) Lactococcus属の抗菌性乳酸菌。
(3)ナイシン( Nisin)を包含するバクテリオシン( bacteriosin)群の1種又は2種以上を生産する乳酸菌。
(4)乳酸を生成し、かつ非耐塩性である乳酸菌。
【0044】
上記の内、(1)は、乳酸生成菌を使用する場合の副作用として麹菌の生育が阻害されないことを重視した選択である。(2)や(3)を用いると、バチルス属微生物等による汚染や腐敗を特に有効に防止できる。(4)の乳酸菌は仕込み工程の食塩により死滅する。上記の(1)〜(4)は概念上の区別であり、特定の乳酸生成菌がこれらの2以上のカテゴリーに同時に該当する場合がある。
【0045】
(第9発明の効果)
前記のように、第1発明〜第8発明に係る水産蛋白質性発酵調味料の製造方法においては、低食塩化した発酵系であってもバチルス属微生物等による汚染や腐敗を有効に防止でき、かつ麹における酵素活性も十分に高くなり、その結果として良好な発酵調味料を製造することができる。
【0046】
従って、仕込みの際には、食塩濃度を16%以下として、低塩化された水産蛋白質性発酵調味料を製造することが、特に好ましい。但し、何らかの理由から、あえて意図的に高食塩化された水産蛋白質性発酵調味料を製造することも、もち論可能である。
【0047】
(第10発明の効果)
第10発明に係る水産蛋白質性発酵調味料は、第1発明〜第9発明に係る水産蛋白質性発酵調味料の製造方法によって製造されるので、低食塩化したものであっても有害微生物による汚染や腐敗がなく、しかも優れた旨味を持つ。
【0048】
(第11発明の効果)
上記の第10発明に係る水産蛋白質性発酵調味料として、例えば魚醤油や魚味噌を好ましく例示することができる。更に、接種する麹菌や乳酸生成菌の種類を適宜に選択することにより、その他の種類の水産蛋白質性発酵調味料として提供することもできる。
【0049】
(第12発明の効果)
第10発明に係る水産蛋白質性発酵調味料としては、何らかの理由からあえて意図的に高食塩化したものも包含されるが、低食塩化した水産蛋白質性発酵調味料、例えば食塩濃度が16%以下である水産蛋白質性発酵調味料が、特に好ましい。
【0050】
(第13発明の効果)
第13発明の麹製造方法においては、蒸煮した調味料原料に対して種麹の接種による製麹と乳酸生成菌の接種による腐敗防止措置とを行って、発酵調味料製造を目的とする麹を製造する。そしてその際、前記した特定の方法で、種麹と乳酸生成菌とを増殖・活性化させるための炭水化物性資材を投入する。
【0051】
従って、麹の製造工程において第1発明の場合と同様の作用・効果が確保され、低食塩化した場合でも有害微生物による汚染や腐敗がなく、しかも麹菌によるプロテアーゼやα−アミラーゼの酵素活性が十分に高い麹が製造される。その結果、この麹に基づいて良好な発酵調味料を製造することができる。
【0052】
(第14発明の効果)
第14発明の麹は上記の第13発明の麹製造方法によって製造されるので、低食塩化した麹であっても、有害微生物による汚染や腐敗がなく優れた旨味を持つ発酵調味料の製造が可能となる。但し、第14発明の麹には、何らかの理由からあえて意図的に高食塩化した麹も包含される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
次に、本願の第1発明〜第14明を実施するための形態を、その最良の形態を含めて説明する。以下において単に「本発明」と言う時は第1発明〜第14発明の内の該当する発明群を一括して指している。
【0054】
〔水産蛋白質性発酵調味料の製造〕
本発明においては、調味料原料として水産蛋白質性原料を用い、これを蒸煮した後に種麹の接種による製麹と乳酸生成菌の接種による乳酸発酵とを所定のプロセスに従って行い、次いで食塩と仕込んで発酵させることにより発酵調味料を製造する。そして上記所定のプロセスの特定の段階において種麹と乳酸生成菌とを増殖・活性化させるための炭水化物性資材を投入する点に最大の特徴がある。
【0055】
蒸煮した調味料原料に対して種麹の接種による製麹と乳酸生成菌の接種による乳酸発酵とを行い、次いで食塩と仕込んで発酵させると言う操作を行う所定のプロセスは種々に設計することが可能であるが、以下に示す(a)〜(c)の3通りのプロセス設計を代表的に例示することができる。
【0056】
(a)蒸煮した調味料原料に対して、種麹の接種と乳酸生成菌の接種とを実質的に同時に行って製麹と乳酸発酵とを同時に行わせ、次いで食塩と仕込んで発酵させる。
【0057】
(b)蒸煮した調味料原料に対して、まず乳酸生成菌の接種により乳酸発酵を行った後、種麹の接種により製麹し、次いで食塩と仕込んで発酵させる
(c)蒸煮した調味料原料の一部に対して種麹の接種により製麹し、蒸煮した調味料原料の他の一部に対して乳酸生成菌の接種により乳酸発酵を行い、次いでこれらの原料を混合して食塩と仕込むことにより発酵させる。
【0058】
上記(a)〜(c)のいずれのプロセス設計においても、少なくとも麹を食塩と仕込む際には乳酸生成菌の接種による乳酸発酵が起こるように設計されている点が肝心である。そうしなければ、有害微生物の増殖による腐敗等を招き、又は少なくともバチルス属細菌等の耐熱性芽胞が形成される恐れがある。
【0059】
例えば、仕込み後の諸味の段階で乳酸生成菌を接種しても、製麹段階や仕込みの段階における有害微生物の増殖は抑えられない。諸味の段階での乳酸生成菌の接種によって、仮に、外見上は腐敗等を防止できたように見える場合があるとしても、実際には製麹段階や仕込み段階でバチルス属細菌等の耐熱性芽胞が形成されており、完成した商品の流通・消費の時点で耐熱性芽胞に起因する腐敗を起こす恐れがある。
【0060】
本発明に係る水産蛋白質性発酵調味料の製造方法は、上記の(a)〜(c)のようなプロセス設計のもとに、種麹の接種による製麹と乳酸生成菌の接種による乳酸発酵とを組合わせる結果、麹を食塩と仕込む際の食塩濃度をかなり低く設定しても、発酵調味料の腐敗、品質劣化、バチルス属細菌等の耐熱性芽胞の形成等を有効に防止できる。即ち、麹を食塩と仕込む際の食塩濃度を16%以下、より好ましくは10%以下に設定することが可能である。その結果、魚醤油等を消費者の好みに合致するように低食塩化することができる。
【0061】
以上の水産蛋白質性発酵調味料の製造方法において、「蒸煮」とは高温の水蒸気によって加熱することを言い、通常は常圧蒸煮を行うが、加圧蒸煮や、場合によって減圧蒸煮を行うこともあり得る。蒸煮時間は限定されないが、通常は少なくとも10分以上の蒸煮、より好ましくは60分以上の蒸煮を行う。
【0062】
「麹菌」としては、製麹のために接種されることがある任意の麹菌を選択できるが、例えばアスペルギルス・オリザ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ソヤ(Aspergillus sojae )等を好ましく例示することができる。
【0063】
「水産蛋白質性原料」とは、海産動物又は淡水産動物の肉組織等を主成分とする原料を言う。好ましくは、少なくとも硬骨魚類、軟骨魚類、貝類及び水産節足動物を包含する水産動物群から任意に選ばれる1種又は2種以上の動物を原料とするものが用いられ、特に好ましくはコウナゴ、カタクチイワシ、エビ、イカ、又はタコを原料とするものが用いられる。又、このような水産蛋白質性原料に対し、一定の限度において米や小麦等の他種の副原料を混合することもできる。
【0064】
〔麹の製造〕
本発明に係る麹の製造方法は、蒸煮した調味料原料に対して種麹の接種による製麹と乳酸生成菌の接種による腐敗防止措置とを行って、発酵調味料製造を目的とする麹を製造する方法において、調味料原料として水産蛋白質性原料を用い、かつ以下の(1)又は(2)のいずれかの方法で、種麹と乳酸生成菌とを増殖・活性化させるための炭水化物性資材を投入する、と言う方法である。
【0065】
(1)前記蒸煮した調味料原料に対して、前記種麹の接種と乳酸生成菌の接種とを実質的に同時に行って製麹と乳酸発酵とを同時に行わせる。
【0066】
(2)前記蒸煮した調味料原料に対して、まず前記乳酸生成菌の接種により乳酸発酵を行った後、前記種麹の接種により製麹する。
【0067】
この方法により製造した麹は、上記(1)又は(2)のような巧妙なプロセス設計のもとに、種麹の接種による製麹と乳酸生成菌の接種による乳酸発酵とを組合わせているので、麹を食塩と仕込む際の食塩濃度をかなり低く設定しても、発酵調味料の腐敗、品質劣化、バチルス属細菌等の耐熱性芽胞の形成等を有効に防止できる。即ち、麹を食塩と仕込む際の食塩濃度を16%以下、より好ましくは10%以下に設定することが可能である。その結果、魚醤油等を消費者の好みに合致するように低食塩化することができる。
【0068】
このような麹の製造方法において、「蒸煮」、「麹菌」、及び「水産蛋白質性原料」の実施形態は、上記した「水産蛋白質性発酵調味料の製造」の項で述べた内容と同様である。
【0069】
〔炭水化物性資材〕
炭水化物性資材は、乳酸生成菌や麹菌によって有効にカロリー源として利用され得る炭水化物を主成分とする資材である限りにおいて種類を限定されないが、単糖類又は香煎が特に好ましい。単糖類と香煎とを併せ用いることが、とりわけ好ましい。
【0070】
単糖類としては、特にグルコースが好ましいが、その他にも、ガラクトース等が好ましく例示される。これらの1種だけを用いても良いし、2種以上を併せ用いても良い。単糖類の投入量は必ずしも限定されないが、例えば、原料全体に対して0.5〜2重量%程度、好ましくは1重量%程度用いる。
【0071】
香煎とは周知のように麦の煎粉等の穀物粉であって、種麹の接種の際に種麹と混合して用いられるもので、従来より製麹の際に使用されている。但し、従来の香煎の使用量は、製麹用原料の全体に対して1%程度、多くても1.5%程度である。これに対して本発明では、4.5%以上、より好ましくは6%以上の香煎を使用する。本発明の調味料原料が水産蛋白質性であることから、本発明における多量の香煎の使用は、前記したように重要な技術的意味がある。
【0072】
〔乳酸生成菌〕
乳酸生成菌としては、前記の特許文献1〜特許文献3に開示されたものも含めて、公知の各種の乳酸生成菌の内から適当なものを任意に選択して使用することができる。特に、以下の(1)〜(4)のいずれか1種又は2種以上を好ましく使用することができる。(1)乳酸を生成すると共に、酢酸を生成しないか又は生成しても麹菌の生育を阻害しない程度である乳酸菌。(2) Lactococcus属の抗菌性乳酸菌。(3)ナイシンを包含するバクテリオシン群の1種又は2種以上を生産する乳酸菌。(4)乳酸を生成し、かつ非耐塩性である乳酸菌。
【実施例】
【0073】
次に、本願発明の実施例を説明する。本願発明の技術的範囲は以下の実施例によって限定されるものではない。
【0074】
〔実施例1:コウナゴ魚醤の製造〕
愛知県・知多半島近海産の冷凍コウナゴを一定量解凍した後、蒸煮器を用いて、100°Cで60分の蒸煮を行った。蒸煮後の原料コウナゴ(魚醤原料)に対して1重量%のグルコースと乳酸菌を接種した。乳酸菌としては、ナイシン生産菌である Lactococcus lactis を用いた。この乳酸菌の接種量は、コウナゴに対して1.0×10/gとした。
【0075】
次に、この魚醤原料に対して香煎6重量%と種麹0.02重量%を添加した。種麹の麹菌としては、アスペルギルス・オリザ(Aspergillus oryzae)と、アスペルギルス・ソヤ(Aspergillus sojae )とをそれぞれ用いた。更に、バチルス属有害微生物としての Bacillus subtilisに対する生育阻止効果を評価する目的から、魚醤原料にこの B. subtilisを1.2×10/g接種した。
【0076】
上記の種麹及び B. subtilis接種後の原料を30°Cで48時間培養して乳酸発酵下に製麹し、魚麹とした。表1に出麹時の魚麹における B. subtilisと乳酸菌との菌体数の測定結果を示す。表1では上記した麹菌の種別によって欄を別けて表記している。表1中、「乳酸菌添加区」とは実施例1を意味し、「対照区」とは乳酸菌を接種しなかった点を除いては実施例1と全く同様に行った比較例1を意味する。
【0077】
【表1】

表1から分かるように、実施例1においては製麹時に接種した B. subtilisが接種後にほぼ死滅しており、以後は実質的に検出されなかった。一方、比較例1(表1の対照区)においては、製麹中に B. subtilisが10/g以上に増殖して腐敗した。
【0078】
更に、魚麹の酵素力価に対する乳酸発酵の影響を見るため、出麹時の魚麹における全プロテアーゼ活性とα−アミラーゼ活性とを測定した。その結果を表2に示す。表2においても、「( A. oryzae)」、「(A. sojae)」の表記によって麹菌の種別による区別を示す。又、「対照区」、「乳酸菌添加区」の意味は表1の場合と同様である。酵素力価の単位は、「U/g 麹」である。
【0079】
【表2】

表2から分かるように、実施例1に係る乳酸菌添加区の全プロテアーゼ活性は、乳酸菌を添加していない比較例1に比較して、遜色がなかった。α−アミラーゼ活性においても、僅かな低下が認められた程度であった。
【0080】
〔実施例2:グルコース添加効果の評価〕
炭水化物資材としてのグルコース添加の効果を評価するために、グルコースを添加しなかった点を除いては実施例1と全く同様に行った比較例aにつき、出麹時の魚麹における B. subtilisと乳酸菌との菌体数を測定した。その結果を表3に示す。表3中、「乳酸菌添加区(グルコース0%)」と表記した欄が比較例aであり、「対照区」は表1と同じ比較例1を意味し、「乳酸菌添加区(グルコース1%)」は実施例1を意味する。
【0081】
【表3】

表3から分かるように、比較例aでは、 B. subtilisの菌体数が、「対照区」よりかなり少ないとは言え、実施例1との対比において相当に増殖していることが分かる。即ち、 B. subtilisの増殖抑制には炭水化物資材としてのグルコースの添加が有効である。
【0082】
〔実施例3:香煎使用の量的評価〕
炭水化物資材としての香煎添加の量的評価のために、上記の実施例1では香煎6重量%添加したのに対し、その添加量をそれぞれ1.5%、3%及び4.5%に変更し、その他の点は実施例1と全く同様に行った各例につき、出麹時の魚麹における全プロテアーゼ活性とα−アミラーゼ活性とを酵素力価によって測定した。その結果を実施例1の場合と併せて表4に示す。表4においても、「( A.
oryzae)」、「(A. sojae)」の表記によって麹菌の種別による区別を示す。又、酵素力価の単位は「U/g 麹」である。
【0083】
【表4】

表4から、香煎の添加量が増大すると、全プロテアーゼ活性(表4では、「プロテアーゼ」と表記)、α−アミラーゼ活性が共に向上することが明瞭である。特に、香煎の添加量を4.5%以上とした場合の酵素活性の向上度合いが顕著で、かつ実用上満足できるレベルに達している。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本願発明によって、水産蛋白質性原料を用いた発酵調味料であって、低食塩化したもとで腐敗が有効に防止され、かつ旨味も良好な発酵調味料を製造する技術が提供される。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸煮した調味料原料に対して種麹の接種による製麹と乳酸生成菌の接種による乳酸発酵とを行った後、食塩と仕込んで発酵させることにより発酵調味料を製造する方法において、
前記調味料原料として水産蛋白質性原料を用い、かつ前記種麹と前記乳酸生成菌とを増殖・活性化させるための炭水化物性資材を投入することを特徴とする水産蛋白質性発酵調味料の製造方法。
【請求項2】
前記蒸煮した調味料原料に対して、前記種麹の接種と乳酸生成菌の接種とを実質的に同時に行って製麹と乳酸発酵とを同時に行わせ、次いで食塩と仕込んで発酵させることを特徴とする請求項1に記載の水産蛋白質性発酵調味料の製造方法。
【請求項3】
前記蒸煮した調味料原料に対して、まず前記乳酸生成菌の接種により乳酸発酵を行った後、前記種麹の接種により製麹し、次いで食塩と仕込んで発酵させることを特徴とする請求項1に記載の水産蛋白質性発酵調味料の製造方法。
【請求項4】
前記蒸煮した調味料原料の一部に対して前記種麹の接種により製麹し、前記蒸煮した調味料原料の他の一部に対して乳酸生成菌の接種により乳酸発酵を行い、次いでこれらの原料を混合して食塩と仕込むことにより発酵させることを特徴とする請求項1に記載の水産蛋白質性発酵調味料の製造方法。
【請求項5】
前記水産蛋白質性原料が、少なくとも硬骨魚類、軟骨魚類、貝類及び水産節足動物を包含する水産動物群から任意に選ばれる1種又は2種以上の動物を原料とするものであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の水産蛋白質性発酵調味料の製造方法。
【請求項6】
前記水産蛋白質性原料が、コウナゴ、カタクチイワシ、エビ、イカ又はタコを原料とするものであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の水産蛋白質性発酵調味料の製造方法。
【請求項7】
前記炭水化物性資材が、少なくともグルコース又はガラクトースから選ばれる1種又は2種以上の単糖類であり、及び/又は、前記種麹の接種のために用いられる4.5%以上の香煎であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の水産蛋白質性発酵調味料の製造方法。
【請求項8】
前記乳酸生成菌が、以下(1)〜(4)のいずれか1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の水産蛋白質性発酵調味料の製造方法。
(1)乳酸を生成すると共に、酢酸を生成しないか又は生成しても麹菌の生育を阻害しない程度である乳酸菌。
(2) Lactococcus属の抗菌性乳酸菌。
(3)ナイシン( Nisin)を包含するバクテリオシン( bacteriosin)群の1種又は2種以上を生産する乳酸菌。
(4)乳酸を生成し、かつ非耐塩性である乳酸菌。
【請求項9】
前記仕込みにおいて、食塩濃度を16%以下とすることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の水産蛋白質性発酵調味料の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれかに記載の水産蛋白質性発酵調味料の製造方法によって製造されたものであることを特徴とする水産蛋白質性発酵調味料。
【請求項11】
前記水産蛋白質性発酵調味料が魚醤油又は魚味噌であることを特徴とする請求項10に記載の水産蛋白質性発酵調味料。
【請求項12】
前記水産蛋白質性発酵調味料の食塩濃度が16%以下であることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の水産蛋白質性発酵調味料。
【請求項13】
蒸煮した調味料原料に対して種麹の接種による製麹と乳酸生成菌の接種による腐敗防止措置とを行って、発酵調味料製造を目的とする麹を製造する方法において、
前記調味料原料として水産蛋白質性原料を用い、かつ以下の(1)又は(2)のいずれかの方法で前記種麹と前記乳酸生成菌とを増殖・活性化させるための炭水化物性資材を投入することを特徴とする麹製造方法。
(1)前記蒸煮した調味料原料に対して、前記種麹の接種と乳酸生成菌の接種とを実質的に同時に行って製麹と乳酸発酵とを同時に行わせる。
(2)前記蒸煮した調味料原料に対して、まず前記乳酸生成菌の接種により乳酸発酵を行った後、前記種麹の接種により製麹する。
【請求項14】
請求項13に記載の麹製造方法によって製造されたものであることを特徴とする麹。




【公開番号】特開2006−254828(P2006−254828A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−78630(P2005−78630)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000116622)愛知県 (99)
【Fターム(参考)】