説明

水田用移動型除草機

【課題】
水田用除草機において、水田内を自由に動き回ることができるようにする。また、作業時の稲苗の損傷を少なくする。
【解決手段】
上記目的を達成するために、防水性のある本体ケース7にモーター1、電源装置2が収められ、モーター1の軸の先端には除草刃4を備える除草機を提案する。除草機本体は水面に浮きながら、本体ケース7より下方に突き出た除草刃4により雑草を切断するものである。また、電力調整装置6で除草刃4の回転を調整し、推進力の強弱や方向を制御することにより、水田内を定まった方向なく適当に動き回ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除草作業の軽減を図った除草機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水田用除草機には、植付け苗条の間で作用する条間除草機構と、植付け苗条における株間に作用する株間除草機構とからなる除草装置を、乗用走行機体の後部に昇降自在に連結してなる水田除草機がある。(特許3965429)
また、小型の除草機としては、動力としてエンジンを有した船型のもので、条間の除草を行うことのできるものがある。(公開特許公報平4-169101、特開2002-34305)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上に述べた乗用型除草機では、作業部分が条間を上手に通らなければ稲苗を傷めてしまうため、作業員の高度な技術が必要であった。
小型の除草機については、専用の装置で除草機本体の方向転換をさせる必要があるなど、作業員が除草機を監視しておく必要があった。また、エンジンによる動力のため、騒音等の問題もある。
【0004】
本発明は、このような問題を解決しようとするものであり、高度な技術がなくても稲苗の損傷を少なくすることにある。また、水田内を定まった方向なく自由に動くことにより、作業員がほ場にいなくとも除草を実現させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明1に係る水田用除草機は、水面に浮いた状態で除草を行う装置であって、防水性のある本体ケースにモーター、電源装置が収められており、モーターの軸の先端には除草刃を備えている。電源装置から供給される電力によりモーターが回転し、軸の先端に配置された除草刃が水田内に発生した雑草を切断する。
【0006】
発明2に係る水田用除草機は、発明1に記載の水田用除草機において、モーターの軸の先は下方に本体ケースより突き出て延長し、その先端には軸と垂直に配置された除草刃を有する。この場合には、除草刃は水中において、水面と平行に回転し、雑草を切断する。
【0007】
発明3に係る水田用除草機は、発明1または2に記載の水田用除草機において、除草刃は線状である。この場合には、除草刃が柔軟性を有し、回転中に石などに触れても刃が傷まない。
【0008】
発明4に係る水田用除草機は、発明1または2に記載の水田用除草機において、除草刃は板状である。この場合には、除草刃が硬いため、容易に雑草を切断することができる。また、スクリュー状に刃を傾けることにより、モーターの軸が水面に対して垂直方向である場合に浮力を、モーターの軸が水面に対する垂直方向より傾いている場合は一定の推進力を生じさせることができる。
【0009】
発明5に係る水田用除草機は、発明1から4のいずれかに記載の水田用除草機において、モーターの軸を水面に対する垂直方向より傾けてある。この場合には、除草刃が回転中に土壌に触れることで一定の推進力を生じさせることができる。また、土壌に触れて水を濁らせ日光を遮断することで、雑草の発芽や生長中の雑草の光合成を阻害することができる。
【0010】
発明6に係る水田用除草機は、発明1から5のいずれかに記載の水田用除草機において、除草刃が本体ケースの下方投影方面に収められている。この場合には、除草機本体が稲苗の上に載らないかぎり、除草刃で稲苗を傷つけることは少ない。
【0011】
発明7に係る水田用除草機は、発明1から6のいずれかに記載の水田用除草機において、電源装置から供給される電力を調整し、モーターの回転を自由に制御することのできる電力調整装置をさらに備える。この場合には、一定時間ごとにモーターの回転を逆転することにより、除草刃への藻や雑草の絡まりを防ぐことができる。また、推進力の強弱や方向を制御できるので、除草機本体をより広範囲で自由に作業させることができる。除草機本体は、稲苗にぶつかりながらも稲苗の反発力により稲苗の上に載ることはなく、水田内を動きまわる。
【発明の効果】
【0012】
上述したように本発明の除草機は、稲苗を傷めることが少なく、しかも低騒音で除草できる。
【0013】
また、水田内に浮かせておくだけで除草機が適当に動き回るため、監視の必要もなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図4に基づいて説明する。
【0015】
図において、電源装置2より供給された電力は配線3を通じて電力調整装置6に送られ、時間単位で制御された電力は配線8を通じて各モーター1に伝わる。モーター1の動力は回転軸10により除草刃4に伝えられ、除草刃4が回転することにより雑草を切断あるいは水田内の水を濁らせる。なお、電源装置2は乾電池が望ましいが、太陽光発電型などの電源装置でもよい。太陽光発電型の場合、採光パネルは本体ケース7の上部あるいは側面に設置する。
【0016】
除草機は本体ケース7により防水性を持つ。本体ケース7は円筒型が望ましいが、船型や角形などでもよい。
【0017】
モーター1は支柱5によって支えられ、支柱5とケース底面との接点11部分は適切に防水が施されているため、水田内の水が支柱5の途中9付近まで上がってきても本体内に水が侵入することはない。また、モーター1は本体内に3個備えた場合が構造上安定するが、1個から複数個備えてもよい。
【0018】
除草刃4は電力調整装置6により一定時間ごとに逆回転し、刃に藻や雑草が絡まることを防ぐ。また、回転軸10を水面に対する垂直方向より傾けて設置したことで除草刃4が土壌に触れ、一定の推進力を持つ。
【0019】
除草刃4は本体ケースの下方投影方面に収められている。このことにより、除草機本体が稲苗の上に載らないかぎり、除草刃で稲苗を傷つけることは少ない。
【0020】
電力調整装置6により一定時間ごとに除草刃4の回転が制御されるため、推進力の方向は定まることはない。また、水田内の土壌の形や水深などによっても進行方向は左右される。そのことによって、稲苗の条間12だけでなく、株間13も除草することがある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態を示す水田用除草機の部分断面図
【図2】動力伝達装置について横から見た外観図
【図3】本除草機を下から見た外観図
【図4】水田内での軌跡図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水面に浮いた状態で除草を行う装置であって、防水性のある本体ケース内にモーター、電源装置が収められており、モーターの軸の先端には除草刃を備える水田用除草機。
【請求項2】
前記モーターの軸の先は下方に前記本体ケースより突き出て延長し、その先端には軸と垂直に配置された前記除草刃を有する、請求項1に記載の水田用除草機。
【請求項3】
前記除草刃は線状である、請求項1または2に記載の水田用除草機。
【請求項4】
前記除草刃は板状である、請求項1または2に記載の水田用除草機。
【請求項5】
前記モーターの軸は水面に対する垂直方向より傾けてある、請求項1〜4のいずれかに記載の水田用除草機。
【請求項6】
前記除草刃は、前記本体ケースの下方投影面内に収められている、請求項1〜5のいずれかに記載の水田用除草機。
【請求項7】
前記モーターに前記電源装置から供給される電力を調整し、前記モーターの回転を自由に制御することのできる電力調整装置をさらに備える、請求項1〜6のいずれかに記載の水田用除草機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−278967(P2009−278967A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99510(P2009−99510)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(308009174)
【Fターム(参考)】