説明

水相又は水吸収性ポリマー繊維、繊維マトリックスシート構造、複合体、化学製品及びそれらの使用、水相又は水吸収性ポリマー繊維の製造方法並びに水相又は水吸収性ポリマー繊維の製造装置

【解決課題】 簡便な方法で、吸収性ポリマーから繊維を製造する方法を提供すること。
【解決手段】 ポリマー(A1)と、該ポリマー(A1)の総重量に対して少なくとも10重量%の水とを含む組成物から水相または水吸収性ポリマー繊維を製造するための方法であって、該ポリマー(A1)の少なくとも2つの異なる領域を外力の作用による自由引き離しによって互いに離れるように移動させることを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水相又は水吸収性ポリマー繊維の製造方法、該繊維の製造装置、吸収性ポリマー繊維、吸収性ポリマー繊維及び装置の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子状の超吸収体と比較して、繊維状の超吸収体は大きな表面積を有するために衛生用途に有利な三次元形状を有する。吸収性ポリマー繊維からは、必要に応じて非吸収性繊維と組み合わせることによってレイド材料、メッシュ材料または不織布材料を形成することができるため、吸収性ポリマー繊維は特に有利である。また、吸収性ポリマー繊維は、粒子状の超吸収体と比較して、血液などの蛋白質を含む水相または付着性の強い液体に対する優れた吸収性を有する。
【0003】
吸収性ポリマーから簡便に繊維を製造することは不可能である。通常、吸収性ポリマーは架橋されており、紡糸ノズルによる繊維の製造では問題が発生する。
【0004】
例えば、紡糸ノズルを使用した吸収性繊維の製造では、未架橋ポリアクリル酸を軟化コモノマーとともに使用する。他の吸収性ポリマー繊維では、マレイン酸無水物とイソブテンの共重合体が基本構造を形成する。マレイン酸とイソブテンの未架橋共重合体は紡糸ノズルによって繊維状にし、次に加熱によって架橋させる。したがって、架橋剤は繊維状にする前に未架橋ポリマーに添加される。このようなプロセスは米国特許第5,151,465号(特許文献1)に記載されている。このようなプロセスの不利な点は、柔軟性の低い繊維が得られる場合が多く、繊維から形成された繊維複合体の所定の表面形状への適合性が低いために、例えばケーブルシースなどでは使用が制限されることである。繊維マトリックスシート構造として使用される場合には、シート構造の低い柔軟性が衣類の柔軟性を低下させて着用者の快適さを損なうため、そのような繊維は衣類の構成要素としては使用できない。
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,151,465号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、最新技術から生じる欠点を克服することにある。
【0007】
また、本発明の目的は、衛生用品における使用に特に適した吸収性ポリマー繊維を提供することにある。
【0008】
また、本発明の目的は、従来の吸収性ポリマー繊維と比較して特に有利な柔軟性を有する吸収性ポリマー繊維を提供することにある。
【0009】
別の目的によれば、ポリマー繊維の特定の柔軟性によって、ケーブルシースなどの繊維マトリックスシート構造の形成に繊維を使用することが可能となり、繊維の特定の柔軟性によって、繊維マトリックスシート構造を所定の表面形状に十分に適合させることができ、大きく異なる形状を有する表面全体に配置することができる。また、繊維マトリックスシート構造は、柔軟性を有するので特に衣類における使用に適している。
【0010】
また、本発明の目的は、紡糸ノズルによる吸収性ポリマー繊維の製造の欠点を軽減または克服する吸収性ポリマー繊維の製造方法を提供することにある。
【0011】
また、本発明の目的は、紡糸ノズルによる吸収性ポリマー繊維の製造に関連する欠点を生じることなく吸収性ポリマー繊維を得ることができる装置を提供することにある。
【0012】
また、本発明の目的は、紡糸ノズルによる吸収性ポリマー繊維の製造の欠点が軽減されるにもかかわらず、衛生用品における使用のために十分に優れた吸収性を有する吸収性ポリマー繊維を提供することにある。
【0013】
最後に、本発明の目的は、着用者の快適さ、液体吸収性、保持性能に負の影響をほとんど与えることなく、非繊維状である粒子状吸収性ポリマーに関連する欠点を軽減または克服する、衛生用品または衛生用品の液体吸収部を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は、カテゴリーを形成する請求項の主題(subject matter)によって達成され、従属請求項はこれらの解決手段の好ましい実施形態を構成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
上記目的は、ポリマー(A1)と、ポリマー(A1)の総重量に対して10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは30〜70重量%の水とを含む組成物から水相又は水吸収性ポリマー繊維を製造するための方法であって、組成物の少なくとも2つの異なる領域を外力の作用による自由引き離しによって互いに離れるように移動させることを特徴とする方法によって達成される。
【0016】
ポリマー(A1)としては、ポリマー繊維よりも架橋度が低いポリマー、好ましくは架橋、好ましくは軽度架橋されたポリマー及び未架橋のポリマー、好ましくは未架橋のポリマーが使用される。ポリマー(A1)は、好ましくは水以外に以下の成分を含む。
(α1)0.1〜100重量%、好ましくは20〜98.99重量%、特に好ましくは30〜98.95重量%のエチレン性不飽和酸性基含有モノマー若しくはその塩の重合物、またはプロトン化若しくは第4級化窒素含有エチレン性不飽和モノマー、若しくはそれらの混合物、好ましくは、少なくともエチレン性不飽和酸性基含有モノマーを含む混合物、特に好ましくはアクリル酸を含む混合物の重合物。
(α2)0〜70重量%、好ましくは1〜60重量%、特に好ましくは1〜40重量%の、(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマーの重合物。
(α3)0〜30重量%、好ましくは0.01〜20重量%、特に好ましくは0.05〜15重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%の1種以上の架橋剤。
(α4)0〜30重量%、好ましくは1〜20重量%、特に好ましくは5〜10重量%の水溶性ポリマー。
(α5)0〜20重量%、好ましくは0.01〜7重量%、特に好ましくは0.05〜5重量%の1種以上の添加剤。
(α1)〜(α5)の総重量は100重量%である。
【0017】
モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)は、部分的または完全に中和されていてもよく、部分的に中和されていることが好ましい。モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマーは、好ましくは20〜80モル%、特に好ましくは30〜70モル%、さらに好ましくは40〜60モル%の範囲で中和されていることが好ましい。モノマー(α1)の中和は、重合前または重合後に行われる。中和は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アンモニア、炭酸塩、重炭酸塩を使用して行われる。また、酸とともに水溶性塩を形成する塩基が使用され得る。各種塩基を使用した混合中和も考えられる。アンモニアまたはアルカリ金属水酸化物を使用した中和が好ましく、水酸化ナトリウムまたはアンモニアを使用した中和が特に好ましい。中和度に関しては、ポリマーの中和されていない酸性基と反応する架橋剤との反応によって遊離酸基の数を調べることができる。吸収性ポリマー繊維の吸収性は、好ましくは遊離酸基の数と使用される架橋剤の量によって制御される。
【0018】
ポリマー繊維またはポリマーでは、遊離酸基が多く含まれるため、吸収性ポリマー繊維は酸性領域のpHを有する。この酸性吸水性ポリマー繊維は、酸性ポリマーと比較すると塩基性である、遊離塩基、好ましくはアミノ基を有するポリマーまたはポリマー繊維またはそれらの混合物によって、少なくとも部分的に中和される。中和では、好ましくは、少なくとも1種の酸性ポリマー繊維を塩基性粒子または塩基性ポリマー繊維と組み合わせて混合物が形成される。少なくとも1種の酸性ポリマー繊維を塩基性ポリマーまたは塩基性ポリマー繊維、好ましくは塩基性ポリマーと混合することが好ましい。これらのポリマー混合物は「混合床イオン交換吸収性ポリマー(MBIEAポリマー)」として文献に記載されており、特にWO99/34843に開示されている。WO99/34843の開示内容は、この参照によって本明細書の開示の一部をなすものとする。通常、MBIEAポリマーは、アニオンを交換できる塩基性ポリマーと、塩基性ポリマーと比較すると酸性であって、カチオンを交換できるポリマーとからなる組成物である。塩基性ポリマーは塩基性基を有し、塩基性基または塩基性基に転換できる基を有するモノマーを重合することによって通常は得られる。これらのモノマーは、第1級、第2級または第3級アミン、あるいは対応するホスフィン、または上述した官能基を少なくとも2つ有するモノマーである。これらのモノマーとしては、エチレンアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、4−アミノブテン、アルキルオキシサイクリン、ビニルホルムアミド、5−アミノペンテン、カルボジイミド、ホルムアルダシン、メラミン、それらの第2級または第3級アミン誘導体等が挙げられる。
【0019】
好ましいモノエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)は、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、α−クロロアクリル酸、α−シアノアクリル酸、β−メチルアクリル酸(クロトン酸)、α−フェニルアクリル酸、β−アクリロキシプロピオン酸、ソルビン酸、α−クロロソルビン酸、2’−メチルイソクロトン酸、桂皮酸、p−クロロ桂皮酸、β−ステアリン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸、トリカルボキシエチレン、マレイン酸無水物であり、アクリル酸とメタクリル酸が特に好ましく、アクリル酸がさらに好ましい。
【0020】
これらのカルボキシレート基含有モノマー以外の好ましいモノエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)は、エチレン性不飽和スルホン酸モノマーまたはエチレン性不飽和ホスホン酸モノマーである。
【0021】
好ましいエチレン性不飽和スルホン酸モノマーとしては、アリルスルホン酸、脂肪族または芳香族ビニルスルホン酸、アクリルまたはメタクリルスルホン酸が挙げられる。好ましい脂肪族または芳香族ビニルスルホン酸は、ビニルスルホン酸、4−ビニルベンジルスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸である。好ましいアクリルまたはメタクリルスルホン酸は、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロピルスルホン酸である。(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が好ましい。
【0022】
また、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、ビニルベンジルホスホン酸、(メタ)アクリルアミドアルキルホスホン酸、アクリルアミドアルキルジホスホン酸、ホスホノメチル化ビニルアミン、(メタ)アクリルホスホン酸誘導体等のエチレン性不飽和ホスホン酸モノマーも好ましい。
【0023】
プロトン化窒素を含有する好ましいエチレン性不飽和モノマー(α1)は、プロトン化ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート塩酸塩またはジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート硫酸塩;プロトン化ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド塩酸塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド塩酸塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド硫酸塩またはジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド硫酸塩である。
【0024】
四級化窒素を含有する好ましいエチレン性不飽和モノマー(α1)は、四級化ジアルキルアンモニウムアルキル(メタ)アクリレート、例えばトリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレート−メト硫酸塩またはジメチルエチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレート−エト硫酸塩;四級化(メタ)アクリルアミドアルキルジアルキルアミン、例えば(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩酸塩、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレート塩酸塩または(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム硫酸塩である。
【0025】
本発明では、吸水性ポリマー(A1)が、成分(α1)〜(α5)の総重量に対して、カルボキシル基含有モノマーを少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも90重量%含むことが好ましい。本発明では、ポリマーは、ポリマー(A1)に含まれる酸性基に対して、好ましくは少なくとも20モル%、特に好ましくは少なくとも50モル%まで中和されたアクリル酸を、成分(α1)〜(α5)の総重量に対して、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%含むことが好ましい。本発明に係る方法の一実施形態では、ポリマー(A1)は、少なくとも20モル%、好ましくは少なくとも50モル%まで中和されたアクリル酸を、少なくとも98重量%、好ましくは100重量%含む。
【0026】
(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)としては、アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドが好ましい。
【0027】
アクリルアミド及びメタクリルアミド以外に使用できる(メタ)アクリルアミドは、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノ(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド等のアルキル置換(メタ)アクリルアミドまたは(メタ)アクリルアミドのアミノアルキル置換誘導体である。使用できるビニルアミドは、例えばN−ビニルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、ビニルピロリドンである。これらのうち、アクリルアミドが特に好ましい。
【0028】
(α1)と共重合可能な好ましいモノエチレン性不飽和モノマー(α2)としては、水分散性モノマーも挙げられる。好ましい水分散性モノマーは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル;酢酸ビニル;スチレン;イソブチレンである。
【0029】
本発明に係る好ましい架橋剤(α3)は、1分子中に少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する化合物(架橋剤I)、縮合反応によってモノマー(α1)または(α2)の官能基と反応できる官能基を少なくとも2つ有する化合物(=縮合架橋剤)や、付加反応または開環反応によってモノマー(α1)または(α2)の官能基と反応できる官能基を少なくとも2つ有する化合物(架橋剤II)、少なくとも1つのエチレン性不飽和基と、縮合反応、付加反応、または開環反応によってモノマー(α1)または(α2)の官能基と反応できる少なくとも1つの官能基とを有する化合物(架橋剤III)、または多価金属カチオン(架橋剤IV)である。架橋剤Iの化合物を使用したポリマーの架橋は、架橋剤分子のエチレン性不飽和基とモノエチレン性不飽和モノマー(α1)または(α2)とのラジカル重合によって行われる。一方、架橋剤IIの化合物及び架橋剤IVの多価金属カチオンを使用したポリマーの架橋は、モノマー(α1)または(α2)の官能基との縮合反応(架橋剤II)または多価金属カチオンとモノマー(α1)または(α2)の官能基との静電相互作用(架橋剤IV)によって行われる。架橋剤IIIの化合物を使用したポリマーの架橋は、エチレン性不飽和基のラジカル重合または架橋剤の官能基とモノマー(α1)または(α2)の官能基との縮合反応によって行われる。
【0030】
架橋剤Iの好ましい化合物はポリ(メタ)アクリル酸エステルであり、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリオール;アミノアルコール;ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミン等のポリアルキレンポリアミン;またはアルコキシ化ポリオールをアクリル酸またはメタクリル酸と反応させることによって得られる。架橋剤Iの好ましい化合物としては、ポリビニル化合物、ポリ(メタ)アリル化合物、モノビニル化合物の(メタ)アクリル酸エステル、モノ(メタ)アリル化合物の(メタ)アクリル酸エステル、好ましくはポリオールまたはアミノアルコールのモノ(メタ)アリル化合物の(メタ)アクリル酸エステルも挙げられる。これらに関しては、ドイツ特許第195 43 366号及びドイツ特許第195 43 368号を参照するものとする。これらの明細書の開示内容は、この参照によって本明細書の開示内容の一部をなすものとする。
【0031】
架橋剤Iの化合物の例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,18−オクタデカンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等のアルケニルジ(メタ)アクリレート;N−メチルジ(メタ)アクリルアミド、N,N’−3−メチルブチリデンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のアルケニルジ(メタ)アクリルアミド;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルコキシジ(メタ)アクリレート;ビスフェノールA−ジ(メタ)アクリレート;エトキシ化ビスフェノールA−ジ(メタ)アクリレート;ベンジリデンジ(メタ)アクリレート;1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパノール−2;ヒドロキノンジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンの(メタ)アクリル酸エステル、好ましくは水酸基1個に対して1〜30モルのアルキレンオキシドでアルコキシル化されたトリメチロールプロパンの(メタ)アクリル酸エステル、特に好ましくはエトキシ化トリメチロールプロパンの(メタ)アクリル酸エステル;チオエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;チオプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート;チオポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;チオポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート;1,4−ブタンジオールジビニルエーテル等のジビニルエーテル;アジピン酸ジビニル等のジビニルエステル;ブタジエン、1,6−ヘキサジエン等のアルカンジエン;ジビニルベンゼン;ジ(メタ)アリルフタラート、ジ(メタ)アリルスクシナート等のジ(メタ)アリル化合物;ジ(メタ)アリルジメチルアンモニウムクロリドのホモポリマーまたは共重合体;ジエチル(メタ)アリルアミノメチル(メタ)アクリレートアンモニウムクロリドのホモポリマーまたは共重合体;ビニル(メタ)アクリレート等のビニル(メタ)アクリル化合物;(メタ)アリル(メタ)アクリレート、水酸基1個に対して1〜30モルのエチレンオキシドでエトキシ化された(メタ)アリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アリル(メタ)アクリル化合物;ジ(メタ)アリルマレエート、ジ(メタ)アリルフマラート、ジ(メタ)アリルスクシナート、ジ(メタ)アリルテレフタラート等のポリカルボン酸のジ(メタ)アリルエステル;グリセリントリ(メタ)アクリレート等の3個以上のエチレン性不飽和ラジカル重合性基を有する化合物;グリセリンの(メタ)アクリル酸エステル、好ましくは水酸基1個に対して1〜30モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたグリセリンの(メタ)アクリル酸エステル;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリル酸エステル、好ましくは水酸基1個に対して1〜30モルのアルキレンオキシドでアルコキシル化されたトリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリル酸エステル、特に好ましくはエトキシ化トリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリル酸エステル;トリメタクリルアミド;(メタ)アリリデンジ(メタ)アクリレート;3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート;トリ(メタ)アリルシアヌレート;トリ(メタ)アリルイソシアヌレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル、好ましくは水酸基1個に対して1〜30モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート;トリビニルトリメリテート;トリ(メタ)アリルアミン;ジ(メタ)アリルメチルアミン等のジ(メタ)アリルアルキルアミン;トリ(メタ)アリルホスファート;テトラ(メタ)アリルエチレンジアミン;ポリ(メタ)アリルエステル;テトラ(メタ)アリルオキシエタン;テトラ(メタ)アリルアンモニウムハライドが挙げられる。本発明では、ビニルイソシアネート、トリビニルトリメリテート、またはトリ(メタ)アリルイソシアヌレートが架橋剤Iとして好ましく、トリビニルトリメリテートが特に好ましい。
【0032】
好ましい架橋剤IIの化合物は、モノマー(α1)または(α2)の官能基、好ましくはモノマー(α1)の酸性基と、縮合反応(=縮合架橋剤)、付加反応または開環反応によって反応することができる官能基を少なくとも2つ有する化合物である。架橋剤IIの化合物の官能基の例としては、水酸基、アミノ基、アルデヒド基、グリシド基、イソシアネート基、カーボネート基、エピクロロ基が挙げられる。
【0033】
架橋剤IIの化合物の例としては、ポリオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコールなどのポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール、ポリビニルアルコール、ソルビトール;アミノアルコール、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンまたはプロパノールアミン;ポリアミン化合物、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアアミン、テトラエチレンペンタアミン、ペンタエチレンヘキサアアミン;ポリグリシジルエーテル化合物、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエーテル;1,4−フェニレンビス(2−オキサゾリン);グリシドール;ポリイソシアネート、好ましくは2,4−トルエンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネ−トなどのジイソシアネ−ト;ポリアジリジン化合物、例えば2,2−ビスヒドキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサメチレンジエチレン尿素及びジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’ジエチレン尿素;ハロゲン化エポキシド、例えばエピクロル及びエピブロムヒドリン及びα−メチルエピクロルヒドリン;アルキレン炭酸塩、例えば1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸エチレン)、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸プロピレン)、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソラン−2−オン、ポリ−1,3−ジオキソラン−2−オン;ジメチルアミンとエピクロルヒドリンの縮合生成物などのポリ四級アミンが挙げられる。架橋剤IIの化合物としては、1,2−エチレンビスオキサゾリンなどのポリオキサゾリン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のシラン基を有する架橋剤、2−オキサゾリジノン、ビス−、ポリ−2−オキサゾリジノンなどのオキサゾリジノン、ケイ酸ジグリコールも好ましい。
【0034】
好ましい架橋剤IIIの化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基またはアミノ基を含有する(メタ)アクリル酸のエステル、水酸基またはアミノ基を含有する(メタ)アクリルアミド、ジオールのモノ(メタ)アリル化合物が挙げられる。
【0035】
架橋剤IVの多価金属カチオンは、好ましくは1価または多価カチオンから誘導され、1価カチオンはカリウム、ナトリウム、リチウムなどのアルカリ金属のカチオン、好ましくはリチウムのカチオンである。好ましい2価カチオンは、亜鉛、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属から誘導され、好ましくはマグネシウムから誘導される。本発明において使用できるより高い価数を有するカチオンは、アルミニウム、鉄、クロム、マンガン、チタニウム、ジルコニウム、その他の遷移金属、それらのカチオンの複塩、それらの塩の混合物のカチオンである。アルミニウム塩、ミョウバン、それらの水和物、例えばAlCl・6HO、NaAl(SO・12HO、KAl(SO・12HO、Al(SO・14−18HOを使用することが好ましい。
【0036】
Al(SO及びその水和物を架橋剤IVとして使用することが特に好ましい。
【0037】
好ましい架橋または軽度架橋ポリマーは、以下の架橋剤または架橋剤の組み合わせ:
Ι,II,III,IV,I II,Ι III,I IV,Ι II III,I II IV,I III IV,II III IV,II IV,III IV
を使用して架橋、好ましくは軽度架橋されたポリマーである。上記の架橋剤の組み合わせは、それぞれが架橋または軽度架橋ポリマー(A1)の架橋剤の好ましい実施形態を表す。
【0038】
本発明に係るポリマー(A1)の一実施形態では、架橋剤IIの少なくとも1種の濃度が、上述した架橋剤の他の少なくとも1種の架橋剤の濃度よりも高い。
【0039】
本発明に係るポリマー(A1)の別の実施形態では、架橋剤IIIの少なくとも1種の濃度が、上述した架橋剤の他の少なくとも1種の架橋剤の濃度よりも高い。
【0040】
本発明に係るポリマー(A1)の別の実施形態では、架橋剤IIの少なくとも1種と架橋剤IIIの少なくとも1種の混合物の濃度が、上述した架橋剤の他の少なくとも1種の架橋剤の濃度よりも高い。
【0041】
本発明に係る方法で使用される架橋または軽度架橋ポリマーの別の実施形態は、架橋剤Iによって架橋または軽度架橋されたポリマーである。特に、水溶性架橋剤が好ましい。水溶性架橋剤としては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、塩化トリアリルメチルアンモニウム、塩化テトラアリルアンモニウム、アクリル酸1モル当たり9モルのエチレンオキシドを使用して得られたアリルノナエチレングリコールアクリレートが特に好ましい。
【0042】
水溶性ポリマー(α4)としては、好ましくは、部分的または完全にケン化されたポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、ポリグリコール、ポリアクリル酸が挙げられ、好ましくはポリマー(A1)に重合されている。これらのポリマーの分子量は、ポリマーが水溶性であれば限定されない。好ましい水溶性ポリマーは、デンプン、デンプン誘導体、ポリビニルアルコールである。水溶性ポリマー、好ましくはポリビニルアルコールなどの合成ポリマーは、重合されるモノマーのグラフト基材としても働く。
【0043】
添加剤(α5)としては、懸濁化剤、消臭剤、界面活性剤、酸化防止剤を好ましく使用される。
【0044】
ポリマー(A1)は、上述したモノマーと架橋剤から各種の重合手段によって製造される。例えば、押出機等の混錬反応器内で好ましくは行われる塊状重合、ベルト重合、溶液重合、噴霧重合、逆乳化重合、逆懸濁重合が挙げられる。溶液重合は、好ましくは水を溶媒として行われる。溶液重合は、その他の重合と同様に連続的または断続的に行われる。溶液重合は連続運転のベルト重合として行われることが好ましい。従来技術においては、開始剤と反応溶液の温度、種類、量等の反応条件に関して、幅広い様々な可能性があることが示唆されている。代表的な方法は、 米国特許第4,286,082号明細書、ドイツ特許第27 06 135号明細書、米国特許第4,076,663号明細書、ドイツ特許第35 03 458号明細書、ドイツ特許第40 20 780号明細書、ドイツ特許第42 44 548号明細書、ドイツ特許第43 23 001号明細書、ドイツ特許第43 33 056号明細書、ドイツ特許第44 18 818号明細書に記載されている。これらの開示内容は、この参照によって本明細書の開示の一部をなすものとする。
【0045】
重合開始剤は、本発明に係るモノマーの溶液に溶解または分散させて使用することができる。開始剤としては、ラジカルを生成する公知の化合物を使用することができる。そのような化合物としては、過酸化物、ヒドロペルオキシド、過酸化水素、過硫酸、アゾ化合物、レドックス触媒が挙げられる。水溶性触媒を使用することが好ましい。場合によっては、異なる重合開始剤の混合物を使用することが有利である。そのような混合物のうち、過酸化水素とペルオキソ二硫酸ナトリウムまたはペルオキソ二硫酸カリウムとの混合物が好ましく、それらは、任意の混合比で使用される。好適な有機過酸化物としては、過酸化アセチルアセトン、過酸化メチルエチルケトン、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、過ピバル酸−t−アミル、過ピバル酸−t−ブチル、過ネオヘキソン酸−t−ブチル、イソ酪酸−t−ブチル、過−2−エチルヘキセン酸−t−ブチル、過イソノナノン酸−t−ブチル、過マレイン酸−t−ブチル、過安息香酸−t−ブチル、3,5,5−トリメチルヘキサノン酸−t−ブチル、過ネオデカン酸アミルが挙げられる。開始剤としては、2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)二塩酸塩、アゾビスアミジノプロパン二塩酸塩、2,2’−アゾビス(N,N−ジメチレン)イソブチルアミジン二塩酸塩、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)などのアゾ化合物が好ましい。上述の化合物は従来量で使用され、好ましくは重合するモノマーの量に対して0.01〜5モル%、より好ましくは0.1〜2モル%の範囲で使用される。
【0046】
レドックス触媒は、酸化剤成分として上述の過酸化物の少なくとも1種と、還元剤成分として好ましくはアスコルビン酸、グルコース、ソルボース、マンノース、アンモニアまたはアルカリ金属の亜硫酸水素塩、硫酸塩、チオ硫酸塩、次亜硫酸塩または硫化物、鉄(II)イオンまたは銀イオンなどの金属塩、またはヒドロキシメチルスルホキシル酸ナトリウムとを含む。レドックス触媒の還元剤成分としてアスコルビン酸またはピロ亜硫酸ナトリウムを使用することが好ましい。重合で使用するモノマーの量に基づいて、1×10−5〜1モル%のレドックス触媒の還元剤成分と1×10−5〜5モル%のレドックス触媒の酸化剤成分とを使用する。レドックス触媒の酸化剤成分の代わりに、または酸化剤成分に加えて、1種以上のアゾ化合物、好ましくは水溶性アゾ化合物を使用することができる。
【0047】
本発明によれば、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、アスコルビン酸を含むレドックス系が好ましく使用される。本発明では、開始剤としてはアゾ化合物が通常好ましく、アゾビス−アミジノプロパン二塩酸塩が特に好ましい。通常、重合は30〜90℃の温度範囲で開始剤を使用して開始させる。
【0048】
ポリマー(A1)の製造後、上述した範囲の組成の水分とするために、ポリマー溶液を必要に応じて濃縮または水で希釈する。
【0049】
本発明に係る方法で使用されるポリマー(A1)は、好ましくは以下の特性の少なくとも1つ、特に好ましくは全ての特性を有する。
(a)GPC法A.AN−LC.004によって測定した多分散性Dが、8以下、好ましくは6以下、特に好ましくは4以下、さらに好ましくは3以下である。
(b)23℃における30重量%ポリマー含有水溶液のブルックフィールド(DIN 53019)による粘度が、100〜500,000mPa・s、好ましくは1,000〜100,000mPa・s、特に好ましくは10,000〜70,000mPa・sである。
(c)60℃における30重量%ポリマー含有水溶液のブルックフィールド(DIN 53019)による粘度が、100〜100,000mPa・s、好ましくは500〜50,000mPa・s、特に好ましくは1,000〜10,000mPa・sである。
(d)GPC法A.AN−LC.004によって測定した重量平均分子量(Mw)が、50,000〜2,000,000g/モル、好ましくは100,000〜1,000,000g/モル、特に好ましくは200,000〜500,000g/モルである。
【0050】
本発明に係る方法で使用されるポリマー(A1)は、以下の特性または特性の組み合わせ:
a,b,c,d,ab,ac,ad,bc,bd,cd,abc,abd,acd,bcd,bce,abcd
を有することが好ましい。。
【0051】
本発明に係る方法で使用されるポリマー(A1)を含む組成物は、23℃におけるブルックフィールド(DIN53019)による粘度が100〜500,000mPa・s、好ましくは1,000〜100,000mPa・s、特に好ましくは10,000〜70,000mPa・sであり、60℃におけるブルックフィールド(DIN53019)による粘度が100〜100,000mPa・s、好ましくは500〜50,000mPa・s、特に好ましくは1,000〜10,000mPa・sである。
【0052】
さらに好ましくは、GPC法A.AN−LC.004によって測定した組成物の残留モノマー含有率は、10〜10,000ppmアクリル酸、好ましくは500〜5,000ppmアクリル酸、特に好ましくは1,000〜2,500ppmアクリル酸である。
【0053】
本発明に係る方法の好ましい実施形態では、ポリマー(A1)として未架橋ポリマーが使用される。本発明に係る方法の別の好ましい実施形態では、ポリマー(A1)として、架橋ポリマー、好ましくは軽度架橋ポリマーが使用される。架橋度は、ポリマー(A1)が、本発明に係る方法においてポリマー繊維に成形され得るように設定されることが好ましい。
【0054】
ポリマー(A1)は後架橋されることが好ましい。ポリマーの後架橋は、ポリマー(A1)の引き離し時またはポリマーを引き離してポリマー繊維を形成した後に行われることが好ましい。引き離し時または引き離し後の架橋は、ポリマー(A1)が、架橋剤の総重量に対して少なくとも50重量%、特に好ましくは少なくとも80重量%の架橋剤II,IVを含み、架橋剤がポリマー(A1)の他の成分とはまだ反応しておらず、したがってポリマーを架橋させておらず、引き離し時または引き離し後に、ポリマー(A1)に含まれる架橋剤がポリマーを架橋させるように条件を変化させることによって可能となる。
【0055】
後架橋剤としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン/オキシプロピレンブロック共重合体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリビニルアルコール、ソルビトール、1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸エチレン)、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸プロピレン)、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソラン−2−オン、ポリ−1,3−ジオキソラン−2−オン、これらの化合物の少なくとも2種の混合物が特に好ましく、炭素数が2〜10であって、少なくとも2つのOH基を有するアルコールが特に好ましく、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、ペンタエリスリトールまたはそれらの混合物がさらに好ましい。
【0056】
ポリマー(A1)は、架橋剤IΙまたはIVまたはそれらの混合物、好ましくは先の段落に記載した後架橋剤を、ポリマー(A1)の総重量に対して、好ましくは0.001〜20重量%、特に好ましくは0.01〜15重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%の量で含む。
【0057】
本発明に係る吸収性ポリマー繊維の別の実施の形態では、吸収性ポリマー繊維を、架橋剤を除く吸収性ポリマー繊維の総重量に対して、0.001〜20重量%、特に好ましくは0.01〜15重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%の架橋剤IΙまたはIVまたはそれらの混合物、好ましくは先の段落に記載した後架橋剤と接触させることによって、後架橋された吸収性ポリマー繊維に転換することが好ましい。
【0058】
架橋剤IΙまたはIVを含み、且つ架橋剤によって架橋されていないポリマー(A1)の製造は、架橋が発生しない条件で、上述した量の水を含むポリマー(A1)に架橋剤を添加することによって行われることが好ましい。架橋剤の添加は、好ましくは押出機内において後架橋剤の存在下でポリマー溶液を混練するか、ポリマー溶液中に後架橋剤を撹拌混合することによって行われることが好ましい。後架橋剤は、液相、好ましくは水に溶解または分散させた状態で使用される。ポリマー繊維の規則的な後架橋を達成するために、本発明では、照射によって後架橋を生じさせることが好ましい。照射による後架橋は、延伸構造の形成開始後、好ましくはポリマー繊維が所望の長さになった後に行われることが好ましい。照射の形態としては、当業者に公知であり、ポリマー繊維の架橋に適したあらゆる方法が考えられる。熱照射、可視光照射、紫外光照射、X線照射、放射線照射、α線、γ線、赤外線照射、音照射が好ましく、熱処理が特に好ましい。熱処理は、40〜250℃、好ましくは80〜220℃、特に好ましくは100〜210℃の温度範囲で行われる。
【0059】
本発明に係る方法の別の実施形態では、上述した方法で後架橋されたポリマー繊維は、ポリマー繊維の表面領域でさらに処理される。後処理としては、表面領域の後架橋、表面をコーティング剤に接触させ、エネルギーを与えること、またはこれらの組み合わせが好ましい。
【0060】
表面の後架橋によって、コアシェル構造が形成される。表面領域の後架橋は、上述したポリマー(A1)の後架橋と同様に、熱的、光化学的または化学的に行われる。化学的後架橋のための後架橋剤としては、ポリマー(A1)の後架橋のための後架橋剤として記載した化合物が好ましい。ポリマー繊維の表面領域の後架橋のために特に好ましい後架橋剤は炭酸エチレンである。後架橋は、ポリマー繊維の表面を後架橋剤に、特に好ましくは後架橋剤を含む流体相に接触させ、ポリマー繊維を30〜300℃に加熱することによって行われることが好ましい。
【0061】
本発明に係る吸収性ポリマー繊維の別の実施の形態では、吸収性ポリマー繊維を、架橋剤を除く吸収性ポリマー繊維の総重量に対して、0.001〜20重量%、特に好ましくは0.01〜15重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%の架橋剤IIまたはIVまたはそれらの混合物、好ましくは先の段落に記載した後架橋剤と接触させることによって、後架橋された吸収性ポリマー繊維に転換することが好ましい。
【0062】
本発明に係る方法の別の実施形態では、ポリマー繊維、好ましくは表面領域において後架橋されたポリマー繊維をコーティング剤と接触させる。コーティング剤は、好ましくは有機及び無機成分を有し、好ましくはコーティング剤粒子であり、粒子は本発明に係る吸収性ポリマー繊維よりも小さな直径を有することが好ましい。
【0063】
本発明に係る方法では、無機成分がケイ素化合物からなることが好ましく、ケイ酸やカオリンなどの当業者に公知のケイ素−酸素化合物が好ましく、ケイ酸が特に好ましい。
【0064】
吸収性ポリマー繊維を、吸収性ポリマー繊維に対して好ましくは0.001〜40重量%、特に好ましくは0.01〜20重量%、さらに好ましくは0.05〜5重量%の無機コーティング剤に接触させる。
【0065】
本発明に係る方法では、ポリマー(A1)の少なくとも2つの異なる領域の自由引き離しとは、延伸構造、特に本発明に係る繊の形状に固定されておらず、特に好ましくは繊維を形成する紡糸ノズルではないハウジングで行われない引き離しを好ましくは意味する。
【0066】
また、本発明に係る方法では、ポリマー(A1)の少なくとも2つの異なる領域に作用する外力は、外力がポリマーを延伸構造に成形するように選択されることが好ましい。ここで、延伸構造がポリマーから形成され、且つ延伸構造が2つの部分に分かれるほどには急速に延伸構造が形成されないように外力を選択することが有利である。また、本発明に係る方法では、ポリマー(A1)の少なくとも2つの異なる領域が引き離される速度は、延伸構造の形成に影響を与える。したがって、延伸構造の形成において構造が2つの部分に分かれないように速度を選択する。延伸構造がポリマー(A1)から形成され、繊維に引き延ばされるように外力と速度を選択する。また、ポリマーの粘度も延伸構造の形態に影響を与え得る。したがって、本発明に係る方法では、外力は、好ましくは少なくとも0.1N、特に好ましくは少なくとも0.5N、さらに好ましくは少なくとも1Nである。
【0067】
本発明に係る方法では、前記少なくとも2つの領域は、好ましくは少なくとも1cm/秒、特に好ましくは少なくとも10cm/秒、さらに好ましくは100〜10,000cm/秒の速度で引き離される。
【0068】
本発明に係る方法は、外力によってポリマー(A1)の少なくとも2つの異なる領域を自由に引き離すことができる公知の装置によって行われ、自由引き離しは好ましくは本発明に係る方法に関して記載したように定義される。
【0069】
本発明に係る方法は、好ましくは、β1)ポリマー供給部と、β2)少なくとも2つの可動面と、β3)繊維受取装置と、β4)繊維形成領域と、を含み、可動面が、ポリマー供給部から離れるように移動するとともにポリマー供給部から離れるに従って互いの間の距離が増加し、繊維形成領域を形成するように配置され、繊維受取装置が繊維形成領域の少なくとも一部または外部に配置された装置を使用して実施される。この装置も同様に本発明の主題である。
【0070】
ポリマー供給部は、供給されたポリマー(A1)から、連続した継ぎ目のないポリマー部分または断続的な個々のポリマー部分を、生成することができるように形成・配置され、少なくとも2つの領域が外力の作用によって引き離される。好ましくは、ポリマー供給部は、例えば搬送スクリューなどの搬送装置と、ノズルまたは孔板などの分割装置と、必要に応じて、個々のポリマー部分を生成するための分離装置とを含む。ポリマー供給部は、一定のサイズのポリマー部分を生成する。ポリマー部分のサイズは、ポリマー供給部の領域における可動面の部分間の距離に依存する。ポリマー部分のサイズと可動面の距離は、可動面間の距離がポリマー部分の直径以下となるように選択されることが好ましい。これは、ポリマー部分が少なくとも2つの可動面に接触するときに、ポリマー部分が少なくとも2つの領域で可動面に付着できるという利点がある。
【0071】
少なくとも2つの可動面は、ポリマー供給部を介して表面に供給されたポリマー部分が、初めは表面に付着し、表面のさらなる移動によって形成される吸収性ポリマー繊維が、繊維を破壊することなく実質的に繊維から分離されるように形成・配置されている。この点から、例えば、金属またはプラスチックからなる滑らかな表面が好ましい。疎水性ポリマーでコーティングされた表面が好ましく、シリコーンでコーティングされた表面が特に好ましい。本発明に係る方法の特に好ましい実施形態では、シリコーン紙が表面として使用され、シリコーン紙は例えばB.Laufenberg(Krefeld)から「Transferpapier NSA 1350(56 B3)40cm×250m」として入手することができる。
【0072】
本発明では、好ましくは可動面はベルトであり、ロールベルトとして設けられているベルトが特に好ましい。各ロールベルトは、端部にスタートロールとエンドロールを含むことが好ましい。ポリマー供給部の近傍に位置するスタートロールは、ポリマー供給部から供給されたポリマー部分を取り込むことができるギャップが形成されるように、実質的に平行に配置されることが好ましい。ロールベルトのエンドロールも実質的に平行に配置されることが好ましく、エンドロール間の距離は供給装置の領域におけるスタートロール間のギャップよりも大きい。ロールベルトの表面と、ポリマー供給部の領域におけるギャップと、エンドロール間の間隔とによって繊維形成領域が形成される。
【0073】
本発明に係る装置は、吸収性ポリマー繊維の形成において架橋反応を開始させるための照射装置を有することが好ましい。照射装置は、好ましくは繊維形成領域またはその後の領域、特に好ましくは繊維形成領域の後の領域において吸収性ポリマー繊維の形成時に架橋反応を開始させることができるように設けられている。
【0074】
本発明に係る装置のさらなる好ましい実施形態では、装置は可動受取面の形状の繊維受取装置を含み、繊維受取装置は、繊維形成領域において形成された吸収性ポリマー繊維が可動面と分離されるように、吸収性ポリマー繊維を取り込めるように形成・配置されている。これは、可動受取面が最初は繊維形成領域の一部に達し、吸収性ポリマー繊維の取り込みが行われた後に繊維形成領域から出るように移動することによって達成されることが好ましい。本発明に係る装置では、受取面に隣接して、エッジを含む取り込み装置が配置されていることが好ましく、取り込み装置は、受取面上に位置する吸収性ポリマー繊維を除去し、必要に応じて回収することができるように形成・配置されていることが好ましい。
【0075】
本発明に係る装置の別の好ましい実施形態では、装置は、繊維受取装置として、繊維形成領域において形成された吸収性ポリマー繊維が破壊されることなく可動面から分離・除去されるように形成・配置された吸引装置を有する。吸引装置は適当な減圧を発生させる。
【0076】
本発明に係る吸収性ポリマー繊維の製造方法は、上述した本発明に係る装置によって行われることが好ましい。
【0077】
本発明は、上述した方法の1つによって得られる吸収性ポリマー繊維にも関する。
【0078】
上述した方法の1つによって得られる吸収性ポリマー繊維は、好ましくは以下の特性の少なくとも1つ、特に好ましくはすべてを有する。
(γ1)ERT470.1−99による16時間後の水溶性部分(LA)が、吸収性ポリマー粒子の30重量%未満、好ましくは25重量%未満、特に好ましくは20重量%未満である。
(γ2)ERT470.1−99による1時間後の水溶性部分(LA)が、吸収性ポリマー繊維の30重量%未満、好ましくは24重量%未満、特に好ましくは18.2重量%未満である。
(γ3)ERT441.1−99による遠心分離保持容量(CRC)が少なくとも5g/g、好ましくは少なくとも15g/g、特に好ましくは少なくとも18g/gである。
(γ4)ERT442.1−99による負荷0.3psiでの圧力下吸収(AAP)が少なくとも10g/g、好ましくは少なくとも12g/g、特に好ましくは少なくとも14g/gである。
(γ5)ERT442.1−99による負荷0.7psiでの圧力下吸収(AAP)が少なくとも5g/g、好ましくは少なくとも7g/g、特に好ましくは少なくとも10g/gである。
【0079】
これらの詳細な特性のそれぞれは、単独または組み合わせによって、本発明に係る吸収性ポリマー繊維の実施形態を表すものである。本発明に係る吸収性ポリマー繊維のさらなる実施形態は、以下の数字と記号で表される特性の組み合わせ:
γ1,γ2,γ3,γ4,γ1γ4,γ1γ2,γ2γ3,γ3γ4,γ1γ3γ4,γ2γ3γ4,γ1γ2γ3,γ1γ2γ3γ4,γ1γ5,γ2γ5,γ3γ5,γ4γ5,γ1γ4γ5,γ1γ2γ5,γ2γ3γ5,γ3γ4γ5,γ1γ3γ4γ5,γ2γ3γ4γ5,γ1γ2γ3γ5,γ1γ2γ3γ4γ5
を有し、特に、γ1γ2γ3が好ましい。
【0080】
本発明に係る方法によって得られるポリマー繊維の別の実施形態では、本明細書に記載された方法によって測定されたポリマー繊維の柔軟度は、少なくとも3、好ましくは4である。本発明に係る方法によって得られる吸収性ポリマー繊維は、長さが、好ましくは1mm〜10m、特に好ましくは5mm〜1m、さらに好ましくは10mm〜10cm、より好ましくは20mm〜100mmであり、ポリマー繊維の平均直径が、好ましくは0.1〜10,000μm、特に好ましくは1〜1000μm、さらに好ましくは5〜500μmである。
【0081】
本発明に係る方法及び本発明に係る吸収性ポリマーの本発明に係る一実施形態によれば、本発明に係る特性値は、下限値のみを示す場合には、上限値は最も好ましい下限値の20倍、好ましくは10倍、最も好ましくは5倍である。
【0082】
本発明は、発明に係る方法によって得られる吸収性ポリマー繊維を、少なくとも2本、好ましくは少なくとも10本、特に好ましくは少なくとも1000本、さらに好ましくは少なくとも1万本、より好ましくは少なくとも100万本含む繊維マトリックスシート構造に関する。本発明に係る繊維マトリックスシート構造は、好ましくは、レイド材料、メッシュ材料、織物材料、編上材料、巻き材料または不織布材料である。
【0083】
本発明に係る繊維マトリックスシート構造の製造は、このような構造の当業者に公知の製造方法によって行われる。好ましくは、繊維マトリックスシート構造の製造は、スパンボンド法、スパンレース法、エアレイド法またはウェットレイド法によって行われる。
【0084】
本発明に係る繊維マトリックスシート構造の単位面積当たりの質量は、好ましくは1〜1000g/m、特に好ましくは5〜500g/m、より好ましくは10〜250g/m、さらに好ましくは20〜100g/mであり、繊維マトリックスシート構造の厚みは、100μm〜10cm、特に好ましくは500μm〜5cm、さらに好ましくは1〜10mmである。
【0085】
本発明によれば、繊維マトリックスシート構造は、試験法「TAPPI 4998 CM−85」に従い、Thwing Albert Handle−O−Meters,モデル211−5(カラム幅:0.64cm、繊維マトリックスシート構造のサイズ:20cm×20cm、単位面積当たりの質量:70g/m)によって測定された総グリップ(total grip)が、好ましくは1000g以下、特に好ましくは100g以下、さらに好ましくは75g以下、より好ましくは50g以下、最も好ましくは25g以下である。
【0086】
本発明に係る繊維マトリックスシート構造の一実施形態では、繊維マトリックスシート構造は、本発明に係る方法で得られる吸収性ポリマー繊維以外に、好ましくは、繊維を繊維マトリックスシート構造中に固定させることができる熱可塑性ポリマーを含む。熱可塑性ポリマーとしてはポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられ、これらのポリマーは、繊維マトリックスシート構造に、繊維マトリックスシート構造の総重量に対して、好ましくは0.1〜50重量%、特に好ましくは0.1〜20重量%、さらに好ましくは1〜10重量%の量で含まれる。
【0087】
本発明は、上述した吸収性ポリマー繊維または繊維マトリックスシート構造と、基材とを含む複合体にも関する。本発明に係る吸収性ポリマー繊維または本発明に係る繊維マトリックスシート構造と、基材とは強固に結合されていることが好ましい。好ましい基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドなどのポリマー、金属、不織布、綿毛、薄織物、織布、天然繊維、合成繊維、その他の発泡体から形成されたシートが挙げられる。
【0088】
本発明では、好ましい複合体は、シール材、ケーブル、吸収性コア、それらを含むおむつや衛生用品である。
【0089】
シール材は吸水性フィルムであることが好ましく、吸収性ポリマー繊維又は繊維マトリックスシート構造体は、基材としてのポリマーマトリックスまたは繊維マトリックスに組み込まれる。好ましくは、吸収性ポリマー繊維または繊維マトリックスシート構造を、ポリマーマトリックスまたは繊維マトリックスを形成するポリマー(Pm)と混合し、必要に応じて熱処理を行うことによって結合させる。吸収性ポリマー繊維のより糸は、基材としての別の材料の繊維と紡糸され、編むか織ることによって束ねるか、別の繊維と紡糸せずに直接束ねることによって得られる。典型的な方法は、H.Savanoら,International Wire & Cable Symposium Proceedings 40巻, 333〜338頁(1991年);M.Fukumaら,International Wire & Cable Symposium Proceedings,36巻,350〜355頁(1987年);米国特許第4,703,132号に記載されている。これらの文献の開示内容は、この参照によって本明細書の開示内容の一部をなすものとする。
【0090】
複合体がケーブルである実施形態では、吸収性ポリマー繊維は膨張性であって、引張強度を有する、より糸として使用される。ケーブルの場合、吸収性ポリマー繊維を除くケーブルの全構成要素が基材となる。構成要素は、導電体または導光体等のケーブルに組み込まれた導体、光または電気絶縁材料、ケーブルの機械的完全性を確保するケーブルの構成要素、例えばプラスチックなどの引張強度を有する材料からなる網目、巣状または編上材料、ゴムまたは他の材料からなり、ケーブルのシースの破壊を防ぐ絶縁材料のことである。
【0091】
複合材料が吸収性コアの場合には、吸収性ポリマー繊維または繊維マトリックスシート構造が基材に組み込まれる。コアの基材としては、セルロースを主成分として含む繊維材料が好ましい。吸収性コアの一実施形態では、吸収性ポリマー繊維は、コアに対して、10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、特に好ましくは40〜70重量%の量で添加される。コアは、エアレイド法またはウェットレイド法により製造され、エアレイド法により製造されたコアが好ましい。ウェットレイド法において、吸収性ポリマー繊維は、別の基材繊維及び液体とともに不織布材料に成形される。エアレイド法では、吸収性ポリマー構造体の繊維及び基材繊維を乾燥状態で不織布材料に成形する。エアレイド法に関する詳細は米国特許第5,916,670号明細書と米国特許第5,866,242号明細書に、またウェットレイド法に関する詳細は米国特許5,300,192号明細書に記載されている。これらの明細書の開示内容は、この参照によって本明細書の開示内容の一部をなすものとする。
【0092】
ウェットレイド法及びエアレイド法では、吸収性ポリマー繊維と基材繊維以外に、本発明の方法によって得られる不織布材料を強固にする、当業者に公知の他の好適な添加剤を使用することができる。
【0093】
複合体がおむつである実施形態では、吸収性ポリマー繊維または繊維マトリックスシート構造以外のおむつの構成要素が複合体の基材を構成する。好ましい実施形態では、おむつは上述したコアを含む。この場合、コア以外のおむつの構成要素が複合体の基材である。一般に、おむつとして使用される複合体は、不透水性の下層と、透水性、好ましくは疎水性の上層と、下層と上層との間に配置された吸収性ポリマー繊維を含む層と、を含む。本発明に係る吸収性ポリマー繊維または繊維マトリックスシート構造を含む層は、上述したコアであることが好ましい。下層は当業者に公知であるいかなる材料を含んでもよく、ポリエチレンまたはポリプロピレンが好ましい。上層も当業者に公知であるいかなる好適な材料を含んでもよく、ポリエステル、ポリオレフィン、ビスコース等が、上層の透液性を確保するために十分な多孔性を有する層を形成する点で好ましい。ここでは、米国特許第5,061,295号、米国再発行特許第26,151号、米国特許第3,592,194号、米国特許第3,489,148号、米国特許第3,860,003号の開示内容を参照する。これらの開示内容は、この参照によって本明細書の開示内容の一部をなすものとする。
【0094】
本発明は、本発明に係る吸収性ポリマー繊維または本発明に係る繊維マトリックスシート構造と、基材と、必要に応じて適当な添加剤とを互いに接触させる複合体の製造方法にも関する。接触は、ウェットレイド法、エアレイド法、圧縮、押出、混合によって行われることが好ましい。
【0095】
また、本発明は上記方法によって得られる複合体にも関する。
【0096】
本発明は、本発明に係るポリマー繊維、繊維マトリックスシート構造または複合体を含む発泡体、成形体、繊維、シート、フィルム、ケーブル、シール材、吸液性衛生用品、植物・菌類生育調節剤用の担体、建設材料の添加剤、包装材料、土壌添加剤にも関する。特に、本発明は、上述した繊維マトリックスシート構造を含む衛生用品、好ましくはおむつまたは生理用ナプキンに関し、繊維マトリックスシート構造は、衛生用品の総重量に対して、10〜99重量%、特に好ましくは60〜98重量%、さらに好ましくは70〜95重量%の量で含まれる。
【0097】
また、本発明は、発泡体、成形体、繊維、シート、フィルム、ケーブル、シール材、吸液性衛生用品、植物・菌類生育調節剤用の担体、建設材料用の添加剤、包装材料、活性物質の制御放出、土壌添加剤における、本発明に係る吸収性ポリマー繊維、本発明に係る繊維マトリックスシート構造または上述したコアの使用に関する。
【0098】
以下、本発明を図面と実施例によって説明するが、本発明はこれらの図面と実施例に限定されるものではない。
【0099】
図1は、吸収性ポリマー繊維を製造するための本発明に係る好ましい装置の断面図である。
【0100】
図2は、吸収性ポリマー繊維を製造するための本発明に係る装置の別の実施形態の断面図である。
【0101】
図1において、ポリマー供給部1は、ベルト6,7のスタートロール13,14の領域においてベルト6,7の表面によって形成されたギャップ16の前方に配置されている。ポリマー供給部1はポリマー部分17を放出し、ポリマー部分17はギャップ16に到達する。可動面2,3はベルト6,7のロールベルトによって形成され、ベルト6,7はスタートロール12,13とエンドロール14,15上に閉鎖ベルトとして配置されている。ベルト6,7は矢印で示す方向にロール上を移動する。表面2,3によってスタートロール12,13の領域に形成されたギャップは、ポリマー部分17が表面2,3に接触するように設計されている。好ましくは、スタートロール12,13はローラーの形状を有する。本発明に係る装置の一実施形態では、これらのローラーは、吸収性ポリマー繊維に延伸されるポリマー部分を形成するために凹部、好ましくは延びるように設計された凹部を含む。エンドロール14,15間の距離は、スタートロール12,13間の距離よりも大きい。スタートロール12とエンドロール14の間の可動面2と、スタートロール13とエンドロール15の間の可動面3と、エンドロール14とエンドロール15との間の間隔とによって形成された実質的に三角形の領域が繊維形成領域5である。繊維形成領域5には、ヒーターなどの照射装置(図示せず)を配置することができる。繊維受取装置4がエンドロール14,15に隣接して設けられている。繊維受取装置4は、好ましくは回転ドラム18上の回収面8を含む。ドラム18は、好ましくは異なる円径を有するダンベル状に形成され、回収面8によって繊維受取装置4に受け取られた吸収性ポリマー繊維19を圧縮するために、小さな円径を有するダンベルの領域はエンドロール14,15の軸に沿った表面の幅よりも幾分小さくなっている。また、繊維受取装置4はエッジ10を含む取り込み装置11を含み、エッジ10は回収面8に形成される吸収性ポリマー繊維19の膜がエッジ10によって除去される程度に回収面8の近くに配置されている。次に、吸収性ポリマー繊維19には例えば紡糸などのさらなる処理が行われ、吸収性ポリマー繊維のより糸を製造する。
【0102】
図2は図1に対応しているが、繊維受取装置として吸引装置9がエンドロール14,15に隣接して配置され、吸収性ポリマー繊維19は吸引装置9によってベルト6,7の可動面2,3から分離される。吸引装置9は好ましくはロート状であり、受け取った吸収性ポリマー繊維19を圧縮することができる。このようにして得られた吸収性ポリマー繊維19には、例えばエアレイド装置による不織布の製造などのさらなる処理が行われる。
【実施例】
【0103】
試験方法
本明細書でERT法として挙げるすべての試験は、欧州不織布協会(EDANA)が推奨する試験方法に対応する。
【0104】
<吸収性ポリマー繊維の柔軟度の測定>
吸収性ポリマー繊維の柔軟度の測定を、10人の異なる試験者が指で得られた感覚によってポリマー繊維の手触りを調べ、吸収性ポリマー繊維の柔軟性を以下の4段階でランク分けすることにより行った。
柔軟度4:羽毛のような感触、非常に柔軟でしなやか。
柔軟度3:柔軟でしなやかな感触。
柔軟度2:ざらざらして固い感触、柔軟性としなやかさが幾分損なわれている。
柔軟度1:ざらざらして固い感触、柔軟性としなやかさに欠ける。
【0105】
実施例
<重合体(A1)の製造>
(実施例1)
1,299.60gのNaOH(50%)と5,251.00gの水をすりガラスのネックを有する15Lのフラスコに入れた。次に、攪拌下で2,342.40gのアクリル酸を50℃で導入した。窒素で1時間不活性化させた後、25℃で以下の溶液を所与の順番で添加することによって重合を開始させた。
1)1.26gのメルカプトエタノール
2)60gの水に溶解した9.00gのABAH(2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩)
3)30gの水に溶解した1.20gのアスコルビン酸
4)4.50gのH(30%)
6.5分間後に100.4℃の最高温度に達した後、この温度で1時間攪拌を継続した。得られたNaポリアクリレートを回転式エバポレータ内で蒸発させることによって50%のポリマー含有量(WS)に濃縮した。
【0106】
(実施例2)
1,299.60gのNaOH(50%)と5,252.04gの水をすりガラスのネックを有する15Lのフラスコに入れた。次に、攪拌下で2,342.40gのアクリル酸を50℃で導入した。窒素で1時間不活性化した後、25℃で以下の溶液を所与の順番で添加することによって重合を開始させた。
1)1.26gのメルカプトエタノール
2)60gの水に溶解した9gのABAH(2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩)
3)30gの水に溶解した1.2gのアスコルビン酸
4)4.5gのH(30%)
3.5分間後に100.2℃の最高温度に達した後、この温度で1時間攪拌を継続した。得られたNaポリアクリレートを回転式エバポレータ内で蒸発させることによって50%のWSに濃縮した。
【0107】
実施例1及び2で得られたポリマー(A1)または組成物は以下の特性によって特徴付けられる。
【0108】
【表1】

【0109】
<架橋剤の添加>
上述したように製造したポリアクリル酸の水溶液に、激しく攪拌し且つ水溶液を30℃以下に加熱しながら、架橋剤を添加した。液体架橋剤としては、結晶ペンタエリスリトールを6%水溶液として添加した。ポリアクリル酸水溶液中での、架橋剤の均一な分散を保証するために、架橋剤または架橋剤水溶液をメチレンブルーで着色した。
【0110】
<繊維の製造>
繊維の製造では、架橋剤とポリアクリル酸を含む水溶液をペトリ皿の平坦な裏面に配置した。別のペトリ皿の裏面を、ポリマーが2つのペトリ皿の間で膜を形成するようにポリマーに押し付けた。次に、約40cmの長さを有する糸が形成されるまで、ペトリ皿をゆっくりと引き離した。形成された糸を、19cmの直径と20cmの長さを有し、毎分約80回転で回転する、表面がシリコーン(B.Laufenberg,Krefeld,「Transferpapier NSA 1350(56 B3)」,40cm×250m)でコーティングされたドラムで巻き取った。糸はペトリ皿の表面から引き離されたときに回収した。シリコーン被覆紙上に十分な量が形成された後、シリコーン被覆紙をドラムから除去し、空気循環乾燥棚で乾燥した。乾燥した糸は、繊維を長さ方向に切断することによってシリコーンでコーティングされたロール紙から分離し、シリコーン被覆面から取り除いた。このようにして、多くの繊維から形成され、織物の感触と優れた膨潤性を有する不織布を得た。反応条件と得られた吸収性ポリマー繊維の測定特性を表にまとめた。
【0111】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】吸収性ポリマー繊維を製造するための本発明に係る好ましい装置の断面図である。
【図2】吸収性ポリマー繊維を製造するための本発明に係る装置の別の実施形態の断面図である。
【符号の説明】
【0113】
1 ポリマー供給部
2 可動面
3 可動面
4 繊維受取装置
5 繊維形成領域
6 ベルト
7 ベルト
8 回収面
9 吸引装置
10 エッジ
11 取り込み装置
12 スタートロール
13 スタートロール
14 エンドロール
15 エンドロール
16 ギャップ
17 ポリマー部分
18 ドラム
19 吸収性ポリマー繊維

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー(A1)と、該ポリマー(A1)の総重量に対して少なくとも10重量%の水とを含む組成物から水相または水吸収性ポリマー繊維を製造するための方法であって、該ポリマー(A1)の少なくとも2つの異なる領域を外力の作用による自由引き離しによって互いに離れるように移動させることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1において、前記ポリマー(A1)の前記引き離しによって延伸構造が形成されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2において、前記引き離しは、前記延伸構造の形状に固定されていないハウジング内で行われることを特徴とする方法。
【請求項4】
前記請求項のいずれかにおいて、前記外力は少なくとも0.1Nであることを特徴とする方法。
【請求項5】
前記請求項のいずれかにおいて、前記ポリマー(A1)を前記引き離し時または前記引き離し後に後架橋することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5において、前記後架橋を照射によって行うことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記請求項のいずれかにおいて、前記ポリマー(A1)は、前記水以外に以下の成分:
(α1)0.1〜100重量%の、エチレン性不飽和酸性基含有モノマー若しくはその塩の重合物、またはプロトン化若しくは第4級化窒素含有エチレン性不飽和モノマー、若しくはそれらの混合物の重合物、
(α2)0〜70重量%の、(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマーの重合物、
(α3)0〜30重量%の1種以上の架橋剤、
(α4)0〜30重量%の水溶性ポリマー、
(α5)0〜20重量%の1種以上の添加剤、
((α1)〜(α5)の総重量は100重量%)を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記請求項のいずれかにおいて、前記ポリマー(A1)は、以下の特性:
a)多分散性Dが8以下、
b)23℃における30重量%ポリマー含有水溶液の粘度が100〜500,000mPa・s、
c)60℃における30重量%ポリマー含有水溶液の粘度が100〜100,000mPa・s、
d)重量平均分子量(Mw)が50000〜2,000,000g/モル、
の少なくとも1つを有することを特徴とする方法。
【請求項9】
(β1)ポリマー供給部(1)と、
(β2)少なくとも2つの可動面(2,3)と、
(β3)繊維受取装置(4)と、
(β4)繊維形成領域(5)と、
を含み、
該可動面(3,4)は、該ポリマー供給部(1)から離れるように移動するとともに該ポリマー供給部(1)から離れるに従って互いの間の距離が増加し、該繊維形成領域(5)を形成するように配置され、該繊維受取装置(4)は該繊維形成領域(5)の少なくとも一部または外部に配置されていることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項9において、前記可動面(2,3)はベルト(6,7)であることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項9または10において、前記繊維受取装置(4)は可動回収面(8)または吸引装置(9)であることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項11において、前記回収面(8)に隣接してエッジ(10)を含む取り込み装置(11)が設けられていることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれかにおいて、照射装置(12)が、前記繊維形成領域(5)の少なくとも一部、前記回収面(8)の隣、前記取り込み装置(11)の隣、またはこれらの少なくとも2カ所に設けられていることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項1〜8のいずれかにおいて、前記吸収性ポリマー繊維の製造を請求項9〜13のいずれかに記載の装置によって行うことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1〜8または14のいずれかに記載の方法によって得られる吸収性ポリマー繊維。
【請求項16】
請求項15において、以下の特性:
(γ1)ERT470.1−99による16時間後の水溶性部分が吸収性ポリマー繊維の30重量%未満
(γ2)ERT470.1−99による1時間後の水溶性部分が吸収性ポリマー繊維の30重量%未満
(γ3)ERT441.1−99による遠心分離保持容量(CRC)が少なくとも5g/g
(γ4)ERT442.1−99による負荷0.3psiでの圧力下吸収(AAP)が少なくとも10g/g
(γ5)ERT442.1−99による負荷0.7psiでの圧力下吸収(AAP)が少なくとも5g/g
の少なくとも1つを有することを特徴とする吸収性ポリマー繊維。
【請求項17】
請求項15または1のいずれかに記載の吸収性ポリマーを少なくとも2本含むことを特徴とする繊維マトリックスシート構造。
【請求項18】
請求項17において、前記シート構造は、レイド材料、メッシュ、織物材料、編上材料、巻き材料または不織布材料であることを特徴とする繊維マトリックスシート構造。
【請求項19】
請求項15若しくは16に記載の吸収性ポリマー繊維または請求項17若しくは18に記載の繊維マトリックスシート構造を含むことを特徴とする複合体。
【請求項20】
吸収性ポリマー繊維の製造のための、請求項9〜13のいずれかに記載の装置の使用。
【請求項21】
請求項15若しくは16に記載の吸収性ポリマー繊維、請求項17若しくは18に記載の繊維マトリックスシート構造、または請求項19に記載の複合体を含むことを特徴とする化学製品。
【請求項22】
化学製品における、請求項15若しくは16に記載の吸収性ポリマー繊維、請求項17若しくは18に記載の繊維マトリックスシート構造、または請求項19に記載の複合体の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー(A1)と、該ポリマー(A1)の総重量に対して少なくとも10重量%の水とを含む組成物から水相又は水吸収性ポリマー繊維を製造するための水相又は水吸収性ポリマー繊維の製造方法であって、該ポリマー(A1)の少なくとも2つの異なる領域を外力の作用による自由引き離しによって互いに離れるように移動させることを特徴とする水相又は水吸収性ポリマー繊維の製造方法。
【請求項2】
記ポリマー(A1)の前記引き離しによって延伸構造が形成されることを特徴とする請求項1記載の水相又は水吸収性ポリマー繊維の製造方法。
【請求項3】
記引き離しは、前記延伸構造の形状に固定されていないハウジング内で行われることを特徴とする請求項2記載の水相又は水吸収性ポリマー繊維の製造方法。
【請求項4】
記外力は少なくとも0.1Nであることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の水相又は水吸収性ポリマー繊維の製造方法。
【請求項5】
記ポリマー(A1)を前記引き離し時または前記引き離し後に後架橋することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の水相又は水吸収性ポリマー繊維の製造方法。
【請求項6】
記後架橋を照射によって行うことを特徴とする請求項5記載の水相又は水吸収性ポリマー繊維の製造方法。
【請求項7】
記ポリマー(A1)は、前記水以外に以下の成分:
(α1)0.1〜100重量%の、エチレン性不飽和酸性基含有モノマー若しくはその塩の重合物、またはプロトン化若しくは第4級化窒素含有エチレン性不飽和モノマー、若しくはそれらの混合物の重合物、
(α2)0〜70重量%の、(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマーの重合物、
(α3)0〜30重量%の1種以上の架橋剤、
(α4)0〜30重量%の水溶性ポリマー、
(α5)0〜20重量%の1種以上の添加剤、
((α1)〜(α5)の総重量は100重量%)を含むことを特徴とする請求項1〜7いずれか1項記載の水相又は水吸収性ポリマー繊維の製造方法。
【請求項8】
記ポリマー(A1)は、以下の特性:
a)多分散性Dが8以下、
b)23℃における30重量%ポリマー含有水溶液の粘度が100〜500,000mPa・s、
c)60℃における30重量%ポリマー含有水溶液の粘度が100〜100,000mPa・s、
d)重量平均分子量(Mw)が50000〜2,000,000g/モル、
の少なくとも1つを有することを特徴とする請求項1〜8いずれか1項記載の水相又は水吸収性ポリマー繊維の製造方法。
【請求項9】
(β1)ポリマー供給部と
(β2)少なくとも2つの可動面と
(β3)繊維受取装置と
(β4)繊維形成領域と
(β5)該繊維形成領域に配置されている照射装置と、
を含み、
該可動面は、該ポリマー供給部から離れるように移動するとともに該ポリマー供給部から離れるに従って互いの間の距離が増加し、該繊維形成領域を形成するように配置され、該繊維受取装置は該繊維形成領域の少なくとも一部または外部に配置されていることを特徴とする水相又は水吸収性ポリマー繊維の製造装置。
【請求項10】
記可動面はベルトであることを特徴とする請求項9記載の水相又は水吸収性ポリマー繊維の製造装置。
【請求項11】
記繊維受取装置は可動回収面又は吸引装置であることを特徴とする請求項9又は10いずれか1項記載の水相又は水吸収性ポリマー繊維の製造装置。
【請求項12】
記回収面に隣接してエッジを含む取り込み装置が設けられていることを特徴とする請求項11記載の水相又は水吸収性ポリマー繊維の製造装置。
【請求項13】
前記照射置が、前記繊維形成領域の少なくとも一部、前記回収面の隣、前記取り込み装置の隣、またはこれらの少なくとも2カ所に設けられていることを特徴とする請求項9〜12いずれか1項記載の水相又は水吸収性ポリマー繊維の製造装置。
【請求項14】
水相又は水吸収性ポリマー繊維の製造を請求項9〜13のいずれかに記載の水相又は水吸収性ポリマー繊維の製造装置によって行うことを特徴とする請求項1〜8いずれか1項記載の水相又は水吸収性ポリマー繊維の製造方法。
【請求項15】
請求項1〜8または14のいずれか1項に記載の水相又は水吸収性ポリマー繊維の製造方法によって得られることを特徴とする水相又は水吸収性ポリマー繊維。
【請求項16】
下の特性:
(γ1)ERT470.1−99による16時間後の水溶性部分が吸収性ポリマー繊維の30重量%未満
(γ2)ERT470.1−99による1時間後の水溶性部分が吸収性ポリマー繊維の30重量%未満
(γ3)ERT441.1−99による遠心分離保持容量(CRC)が少なくとも5g/g
(γ4)ERT442.1−99による負荷0.3psiでの圧力下吸収(AAP)が少なくとも10g/g
(γ5)ERT442.1−99による負荷0.7psiでの圧力下吸収(AAP)が少なくとも5g/g
の少なくとも1つを有することを特徴とする請求項15記載の水相又は水吸収性ポリマー繊維。
【請求項17】
請求項15または16のいずれか1項に記載の水相又は水吸収性ポリマー繊維を少なくとも2本含むことを特徴とする繊維マトリックスシート構造。
【請求項18】
繊維マトリックスシート構造は、レイド材料、メッシュ、織物材料、編上材料、巻き材料または不織布材料であることを特徴とする請求項17記載の繊維マトリックスシート構造。
【請求項19】
請求項15若しくは16に記載の水相又は水吸収性ポリマー繊維又は請求項17若しくは18に記載の繊維マトリックスシート構造を含むことを特徴とする複合体。
【請求項20】
水相又は水吸収性ポリマー繊維の製造のための、請求項9〜13のいずれかに記載の水相又は水吸収性ポリマー繊維の製造装置の使用。
【請求項21】
請求項15若しくは16に記載の水相又は水吸収性ポリマー繊維、請求項17若しくは18に記載の繊維マトリックスシート構造、または請求項19に記載の複合体を含むことを特徴とする化学製品。
【請求項22】
化学製品における、請求項15若しくは16に記載の水相又は水吸収性ポリマー繊維、請求項17若しくは18に記載の繊維マトリックスシート構造、又は請求項19に記載の複合体の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−508265(P2006−508265A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−554514(P2004−554514)
【出願日】平成15年11月28日(2003.11.28)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013396
【国際公開番号】WO2004/048648
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(504341139)ストックハウゼン ゲーエムベーハー (35)
【Fターム(参考)】