説明

水相増粘用の水溶性ポリマーとハイドロフォビンの相乗性混合物の利用

水溶性増粘作用をもつポリマーとハイドロフォビンからなる相乗性混合物の水相の増粘のための利用とハイドロフォビンの切断による増粘作用の低下。水溶性ポリマーとハイドロフォビンと水からなる増粘組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増粘作用をもつ水溶性ポリマーと水相増粘用のハイドロフォビンとからなる相乗性混合物の利用に関し、またこのタンパク質の切断による増粘作用の低下に関する。本発明はまた、水溶性ポリマーとハイドロフォビンと水とからなる増粘組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
増粘作用をもつ水溶性ポリマーは、多くの産業分野で用いられ、例えば化粧品業界、食品業界、洗浄組成物や印刷インク、エマルジョン塗料の生産、鉱油の抽出に用いられている。
【0003】
用いられる増粘性ポリマーは、各種の化学的に異なるポリマーであり、その例としては、キサンタンやデンプン、ゼラチンなどのバイオポリマー、ヒドロキシエチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースなどの変性バイオポリマー、ポリビニルアルコールやポリアクリル酸、部分架橋ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドなどの合成ポリマーがあげられ、特に(メタ)アクリル酸と他のモノマーとのコポリマーがあげられる。
【0004】
他の種類の増粘性ポリマーは、いわゆる会合性増粘剤である。これらは、側鎖または末端に疎水性基を、例えば比較的長いアルキル鎖を持つ水溶性ポリマーである。水溶液中では、このような疎水性基は、相互にあるいは他の疎水性基をもつ物質と会合する。この結果、会合による架橋が生成して媒体が増粘される。このようなポリマーの例が、EP013836A1またはWO2006/16035に開示されている。
【0005】
ハイドロフォビンは、糸状菌に、例えばスエヒロタケ(Schizophyllum commune)に特徴的な約100〜150個のアミノ酸からなる小さなタンパク質である。これらは、一般に8個のシステイン単位を有している。これらは、水中で約3重量%までの低濃度では比較的流動性のある溶液を形成するが、より高濃縮された液は最終的にはゼラチン状となる。
【0006】
先行技術には、ハイドロフォビンのいろいろな用途での利用が提案されている。
【0007】
EP1252516には、30〜80℃の温度での、いろいろな基材のハイドロフォビン含有溶液での塗装が開示されている。また、例えば、乳化破壊剤(WO2006/103251)としての利用や、蒸発抑制剤(WO2006/128877)または汚染阻害剤(WO2006/103215)としての利用も提案されている。
【0008】
WO2006/103253には、ハイドロフォビンを含む掘穿泥水が開示されている。これらの製剤は、ハイドロフォビンに加えて、ポリマーまたはコポリマーを、例えばポリアクリルアミドを含む各種の異なる他成分を含むことができる。
【0009】
WO96/41882には、ハイドロフォビンの乳化剤や増粘剤、表面活性物質としての利用や、疎水表面の親水化、親水性基質の水安定性の改善、水中油型のエマルジョンまたは油中水型エマルジョンの製造のための利用が提案されている。軟膏やクリームの製造などの薬品用途や、皮膚保護剤やシャンプー、ヘアリンスの製造などの化粧品用途も提案されている。
【0010】
しかしながら、どの文書にも、ハイドロフォビンと増粘性の水溶性ポリマーの重量比で5:1〜1:10の混合物が相乗作用を持つことについては述べられていない。
【0011】
増粘性ポリマーのいくつかの用途では、増粘作用が逆転しうることが望ましい。この典型的な例が、鉱油生産におけるの「破砕」プロセスである。このプロセスでは、増粘性ポリマーの溶液をボーリング孔に圧入する。この圧力処理で、鉱油層に新たなひび割れができ、このひび割れを通して鉱油が層中からボーリング孔に流入する。しかしながら、この「破砕」の終了後には、このポリマー溶液ができたひび割れを封鎖しないように、ポリマー溶液の粘度をもう一度低下させる必要がある。例えばポリマーの分解のために酸化剤の使用が提案されている。多糖類などのバイオポリマーの場合には、酵素による分解も知られており、このような酵素はポリマー鎖を特定の位置で切断する。このようなプロセスは、例えばUS5,201,370に提案されている。酵素は一般的に比較的選択性が高いため、他のバイオポリマーの切断のためには他の酵素を用意しておく必要がある。合成ポリマーは、一般的には酵素でまったく切断されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】EP013836A1
【特許文献2】WO2006/16035
【特許文献3】EP1252516
【特許文献4】WO2006/103251
【特許文献5】WO2006/128877
【特許文献6】WO2006/103215
【特許文献7】WO2006/103253
【特許文献8】WO96/41882
【特許文献9】US5,201,370
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、増粘性の組成物で、その増粘作用を簡単に「切る」ことのできるものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
驚くべきことに、低濃度であってもハイドロフォビンと水溶性ポリマーが相乗的に相互作用して優れた増粘作用をもつ組成物を形成することが明らかとなった。望ましいなら、単に、例えば酵素を用いてハイドロフォビンを切断して、この増粘作用を除くことができる。増粘性ポリマー自体の切断は不必要である。
【0015】
したがって、我々は、
・少なくとも一種の増粘作用をもつ水溶性ポリマー(A)と
・少なくとも一種のハイドロフォビン(B)とからなり、重量比(A)/(B)が5:1〜1:10である水相増粘用の相乗性混合物の使用を見出した。
【0016】
さらに我々は、
・水相と、
・0.01〜2.5重量%の少なくとも一種の増粘作用をもつ水溶性ポリマー(A)と、
・0.1〜2.5重量%の少なくとも一種のハイドロフォビン(B)とからなる
相乗性の組成物を見出した。
【0017】
なお、この重量比(A)/(B)は5:1〜1:10であり、上記の量は水相の全成分の合計に対する値である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】pH9でのポリマーA1の溶液の粘度を時間との関数として示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に関して、具体的に以下のことが言える。
【0020】
増粘性ポリマー(A)
本発明によれば、少なくとも一種の水溶性増粘性ポリマー(A)が増粘のために用いられる。
【0021】
なお、「ポリマー」という用語は、2種以上のモノマーからなるコポリマーも含んでいる。好適な水溶性増粘性ポリマー(A)の数平均モル質量Mnは、通常1000〜10000000g/molであり、好ましくは10000〜1000000g/molである。
【0022】
用いるこれらのポリマー(A)は、混合性の差がなくして水と混和可能であるが、これが本発明の実施に必須というわけではない。しかしながら、これらは、少なくとも本発明の利用が可能な程度にまで水に溶解する必要がある。一般に、使用するポリマー(A)の水への溶解度は、少なくとも50g/lであり、好ましくは100g/l、より好ましくは少なくとも200g/lである。
【0023】
増粘性ポリマー分野の技術の熟練者は、増粘性ポリマーの水溶解度がpHに依存することを承知している。したがっていずれの場合も水溶解度を評価する上で参考にするのは、特定の最終用途に望ましい増粘混合物のpHである。想定される最終用途で特定のpHでの溶解度が不十分であるポリマー(A)は、他のpHでは十分な溶解度を持っているかもしれない。したがって、「水溶性」もまた、例えば、ポリマーのアルカリ可溶性エマルジョン(ASE)系のものである。
【0024】
本発明においては、「増粘性ポリマー」という用語は、原則として公知のように、比較的低濃度であっても水溶液の粘度を大きく増加させるポリマーに用いられる。
【0025】
好適な水溶性増粘性ポリマー(A)は、炭素と水素に加えて、親水性基を、ポリマー(A)が少なくとも特定のpH範囲で水溶性となる量で含んでいる。より具体的には、これらは、酸素及び/又は窒素原子を含む官能基である。これらの酸素及び/又は窒素原子は、ポリマーの主鎖の一部であってもよいし、及び/又は側鎖または末端にあってもよい。好適な官能基の例としては、カルボニル基>C=O、エーテル基−O−、特にポリエチレンオキシド基−(CH2−CH2−O−)n−(式中、nは好ましく1〜200である)、ヒドロキシル基−OH、エステル基−C(O)O−、第一級、第二級または第三級アミノ基、アミド基−C(O)−NH−、カルボキサミド基−C(O)−NH2、尿素基−NH−C(O)−NH−、ウレタン基−O−C(O)−NH−、あるいはカルボキシル基−COOH、スルホン酸基−SO3H、ホスホン酸基−PO32またはリン酸基−OP(OH)3などの酸性基があげられる。
【0026】
好ましい官能基の例としては、ヒドロキシル基−OHや、カルボキシル基−COOH、スルホン酸基−SO3H、カルボキサミド基−C(O)−NH2、ポリエチレンオキシド基−(CH2−CH2−O−)n−(式中、nは好ましくは1〜200である)があげられる。
【0027】
本発明に好適な水溶性増粘性ポリマー(A)は、通常、酸素と窒素と炭素の総原子数に対する、酸素と窒素の原子数の比(nO+nN)/(nC+nO+nN)として、0.2〜0.5の値を、好ましくは0.3〜0.46の値をとる。
【0028】
これらの増粘性ポリマーは、天然ポリマーであっても、変性した天然ポリマーまたは合成ポリマーであってもよい。
【0029】
天然増粘性ポリマーとしては、例えばゼラチンやカゼインなどのポリペプチドがあげられる。
【0030】
これらは、多糖類であっても、変性多糖類であってもよい。多糖類の例としては、デンプンやキサンタン、グルカンがあげられる。変性多糖類の例としては、ヒドロキシエチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースがあげられる。キサンタンまたはグルカンの使用が好ましい。
【0031】
合成ポリマーの例としては、ポリ(メタ)アクリル酸とその塩、ポリ(メタ)アクリル酸とその塩を含むコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールまたはポリエチレングリコールがあげられる。これらは、架橋したポリ(メタ)アクリル酸またはポリ(メタ)アクリル酸コポリマーであってもよいが、その場合は架橋の程度がポリマーの水溶解度を低下させるほど大きくないことが必要である。
【0032】
これらのポリアクリル酸は、ポリアクリル酸またはそのコポリマーの溶液であってもよく、あるいは容易に架橋することが可能なポリアクリル酸系の沈殿ポリマーであっても良い。
【0033】
他の例としては、(メタ)アクリル酸コポリマーのアルカリ可溶性エマルジョンがあげられる。このようなコポリマーは、酸性のpH領域では、比較的移動性の高い水中エマルジョンとして存在する。アルカリ性の領域ではこれらのポリマーが水相中に溶解し、その粘度を大きく増加させる。アルカリ可溶性エマルジョンは、例えば、(メタ)アクリル酸に加えて、疎水性コモノマー、特に(メタ)アクリル酸エステル、特にC1−〜C4−アルキル(メタ)アクリレート、具体的には(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルまたは(メタ)アクリル酸n−ブチルを含むコポリマーである。(メタ)アクリル酸の量は、通常10〜50重量%であり、他のコモノマーの量、特に(メタ)アクリル酸塩の量は、50〜90重量%である。
【0034】
これらはまた、疎水的に会合するポリマーである。原則的に公知のように、これらは、側鎖または末端に疎水性基を、例えば比較的長いアルキル鎖を持つ水溶性ポリマーを意味すると理解されている。水溶液中では、これらの疎水性基が相互に会合し、あるいは他の疎水性基保有物質と会合して、大きな増粘作用を引き起こすこと。
【0035】
好ましい疎水的に会合するポリマーの例としては、酸性モノマー、好ましくは(メタ)アクリル酸と、少なくとも一種の(メタ)アクリル酸エステルで、そのエステル基が少なくとも6個の炭素原子、好ましくは8〜30個の炭素原子をもつ炭化水素基R1であるものとからなるコポリマーがあげられる。これらは、好ましくは、芳香族の単位を含む線状の脂肪族炭化水素基または炭化水素基であり、特にコ−アリール−置換アルキル基であってもよい。これらの(メタ)アクリル酸エステルは、式H2C=C(R2)−COOR1(式中、R2はHまたはCH3である)で表わされる単純なエステルであってもよい。炭化水素基R1は、親水性のスペーサーを経由して(メタ)アクリル酸基に結合していることが好ましく、即ちこれは、一般式H2C=C(R2)−COO−R3−R1(式中、R3は2価の親水性基である)の(メタ)アクリル酸エステルである。R3は、好ましくはポリアルキレンオキシド基−(CH2−CH(R4)−O−)n−(式中、nは2〜100、好ましくは5〜50であり、R4は、独立してHまたはCH3であり、R4基の少なくとも50mol%、好ましくは少なくとも80mol%がHである)である。R4は、すべてHであることが好ましい。
【0036】
2C=C(R2)−COO−R3−R1モノマーの量は、通常全モノマーの総量に対して1〜20重量%である。他のモノマーが、すべて(メタ)アクリル酸であってもよい。また、他の(メタ)アクリル酸エステルが存在していても良く、特にC1−〜C4−アルキル(メタ)アクリレート、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルまたは(メタ)アクリル酸n−ブチルが存在していてもよい。例えば、これらは、ポリマー中の全モノマーに対して1〜20重量%、好ましくは5〜15重量%のH2C=C(R2)−COO−(CH2−H(R4)−O−)n−R1と、10〜80重量%、好ましくは20〜80重量%の(メタ)アクリル酸と、5〜70重量%、好ましくは10〜65重量%のC1−〜C4−(メタ)アクリル酸アルキルとを含むポリマーであってもよい。これにより、アルカリを含まない疎水性会合基を有するエマルジョンを得ることができるようになる。
【0037】
疎水的に会合するポリマーの他の例としては、疎水的に変性されたセルロースエーテル、疎水的に変性されたポリアクリルアミド、疎水的に変性されたポリエーテル、例えば末端をC6〜C30−炭化水素基で封鎖されたポリエチレングリコール、またはポリエーテルセグメントと末端疎水性基とを含む疎水的に会合するポリウレタンがあげられる。
【0038】
ハイドロフォビン(B)
本発明によれば、増粘のために少なくとも一種のハイドロフォビン(B)がさらに用いられる。
【0039】
なおここで、「ハイドロフォビン」は、一般構造式(I)のポリペプチドを意味するものとする。

n−C1−X1-50−C2−X0-5−C3−X1-100−C4−X1-100−C5−X1-50−C6−X0-5−C7−X1-50−C8−Xm (I)

式中、Xは、20種の天然アミノ酸(Phe、Leu、Ser、Tyr、Cys、Trp、Pro、His、Gin、Arg、He、Met、Thr、Asn、Lys、Val、Ala、Asp、Glu、Gly)のいずれであってもよい。
【0040】
式中で、X基は、いずれの場合も、同一であっても異なっていても良い。Xの添え字は、それぞれ特定の部分配列X中のアミノ酸の数であり、Cは、システイン、アラニン、セリン、グリシン、メチオニンまたはスレオニンであり、Cで表される基のうち少なくとも4個はシステインであり、添え字のnとmは、それぞれ独立して0〜500の自然数、好ましくは15〜300の自然数である。
【0041】
式(I)のポリペプチドはまた、室温で、ガラス表面を塗装後の水滴の接触角を、非塗装ガラス表面上での同じ大きさの水滴の接触角と比較して、少なくとも20°、好ましくは少なくとも25°より好ましくは30°増加させるという特徴を持っている。
【0042】
1〜C8で表されるアミノ酸はシステインであることが好ましい。しかしながら、これらは、同じような大きさの他のアミノ酸で置き換えられていても良く、好ましくはアラニン、セリン、スレオニン、メチオニンまたはグリシンで置き換えられていてもよい。しかしながら、C1〜C8の位置のうち少なくとも4個、好ましくは少なくとも5個、より好ましくは少なくとも6個、特に少なくとも7個がシステインからなっている必要がある。本発明のタンパク質中では、システインは、還元型で存在していても、相互にジスルフィド架橋した状態で存在していてもよい。分子内のC−C架橋の形成が特に好ましく、少なくとも一個の分子内ジスルフィド架橋の形成、好ましくは2個、より好ましくは3個、最も好ましくは4個の分子内ジスルフィド架橋の形成が好ましい。上述のようにシステインが同じような大きさのアミノ酸で置き換わっている場合には、相互に分子内ジスルフィド架橋が形成可能なように、このような位置が一対となって置換されていることが好ましい。
【0043】
Xで示される位置にシステイン、セリン、アラニン、グリシン、メチオニンまたはスレオニンが使用される場合には、上記一般式中の個々のC位置の番号が変動する。
【0044】
本発明を実施するには一般式(II)のハイドロフォビンの使用が好ましい。

n−C1−X3-25−C2−X0-2−C3−X5-50−C4−X2-35−C5−X2-15−C6−X0-2−C7−X3-35−C8−Xm (II)

式中、X、C、及びXとCの横の添え字は、それぞれ上述のとおりであり、
添え字のnとmは、それぞれ0〜350の数字、好ましくは15〜300の数字であり、これらのタンパク質は、さらに上述の接触角の変化を引き起こし、Cで示される基のうち少なくとも6個はシステインである。より好ましくは、すべてのC基がシステインである。
【0045】
一般式(III)のハイドロフォビンを使用することが特に好ましい。

n−C1−X5-9−C2−C3−X11-39−C4−X2-23−C5−X5-9−C6−C7−X6-18−C8−Xm (III)

式中、X、C、およびXとCの横の添え字は、それぞれ上述のとおりであり、添え字のnとmは、それぞれ0〜200の数字であり、これらのタンパク質は、さらに上述の接触角の変化を引き起こし、Cで示される基のうち少なくとも6個はシステインである。より好ましくは、すべてのC基がシステインである。
【0046】
n基とXm基は、自然にハイドロフォビンに結合するペプチド配列であってもよい。しかしながら、一方の基または両方の基が自然にハイドロフォビンと結合しないペプチド配列であってもよい。これは、内部でハイドロフォビン中で自然に発生するペプチド配列がハイドロフォビン中では自然に発生しないペプチド配列により延長されているXn基及び/又はXm基をも意味するものとする。
【0047】
n基及び/又はXmが自然にハイドロフォビンと結合しないペプチド配列である場合は、このような配列の長さは、一般的には少なくとも20個、好ましくは少なくとも35個のアミノ酸となる。これらは、例えば20〜500個のアミノ酸配列であり、好ましくは30〜400個、より好ましくは35〜100個のアミノ酸配列である。自然にハイドロフォビンと結合しない基を、以降、融合パートナーと呼ぶ。これは、このタンパク質が、自然には起こることのない、少なくとも一種のハイドロフォビン領域と融合パートナー領域の組み合わせからなっていることを意味する。融合パートナー領域とハイドロフォビン領域とからなる融合ハイドロフォビンが、例えばWO2006/082251やWO2006/082253、WO2006/131564に記載されている。
【0048】
この融合パートナーは、いろいろなタンパク質から選ばれる。ハイドロフォビン領域に単一の融合パートナーを結合させることができるし、あるいは、複数の融合パートナーを一つのハイドロフォビン領域に、例えばハイドロフォビン領域のアミノ末端(Xn)とカルボキシル末端(Xm)に結合させることもできる。しかしながら、例えば二個の融合パートナーを、本発明のタンパク質の一つの位置(XnまたはXm)に結合させることもできる。
【0049】
特に好適な融合パートナーは、微生物中で、特に大腸菌または枯草菌中で自然に生成するタンパク質である。このような融合パートナーの例としては、yaad(配列識別番号:16、WO2006/082251)、yaae(配列識別番号:18、WO2006/082251)などの配列や、ユビキチン、チオレドキシンがあげられる。上記の配列の一部のみを含む、例えばアミノ酸数で70〜99%、好ましくは5〜50%、より好ましくは10〜40%を含むこれらの配列のフラグメントまたは誘導体、あるいは上記の配列と比較して個々のアミノ酸またはヌクレオチドが変化したフラグメントや誘導体も極めて好ましい。
【0050】
他の好ましい実施様態においては、この融合ハイドロフォビンが、またXnまたはXm基の一つとしてあるいはこのような基の末端構成基として述べた融合パートナーが、いわゆる親和性ドメイン(親和性タグ/親和性テール)を有している。原則として明らかなように、これは、特定の相補的な基に相互作用することのできるアンカー基を持ち、タンパク質の最終処理や精製を容易にするのに役立つ。このような親和性ドメインの例としては、(His)k、(Arg)k、(Asp)k、(Phe)kまたは(Cys)k基があげられる。なお式中、kは、通常1〜10の自然数である。(His)k基が好ましく、その場合は、kは4〜6である。この場合、Xn基及び/又はXm基は、このような親和性ドメインのみからなっていてもよいし、あるいは自然にハイドロフォビンに結合されたあるいは結合されていないXn残基またはXm残基が、末端親和性ドメインで延長されていてもよい。
【0051】
本発明で用いられるハイドロフォビンは、例えばグリコシル化、アセチル化、または化学架橋、具体低にはグルタルアルデヒドによる化学架橋により、そのポリペプチド配列が変化していてもよい。
【0052】
本発明で用いられるハイドロフォビンあるいはその誘導体のもつ一つの性質は、表面がタンパク質で被覆された場合に起こる表面特性の変化である。この表面特性の変化は試験により測定可能であり、例えば表面のタンパク質での被覆前後の水滴の接触角を測定し、二つの測定値の差を求めることで決めることができる。
【0053】
接触角測定の測定方法は、原則として当業界の熟練者に公知である。測定は、室温で、5μlの水滴でガラス板を基材として用いている。接触角の測定に好適な方法の一例の詳細な試験条件が、試験欄に記載されている。上記の条件下では、本発明で用いる融合タンパク質は、非被覆ガラス表面上での同じ大きさの水滴の接触角と較べて、少なくとも20°、好ましくは少なくとも25°、特に好ましくは少なくとも30°の接触角の増加を示すという性質を持つ。
【0054】
本発明の実施のために特に好ましいハイドロフォビンは、dewA、rodA、hypA、hypB、sc3、basf1、basf2のタイプのハイドロフォビンである。配列も含めこれらのハイドロフォビンが、例えばWO2006/82251に開示されている。特に断りのない限り、以下に述べる配列は、WO2006/82251に開示されている配列によるものである。これらの配列識別番号を含む一覧表が、WO2006/82251の20頁に示されている。特に明示しない場合は、以下に記載の配列識別番号は、WO2006/82251に述べられている配列識別番号に関係する。
【0055】
本発明において特に好適なのは、括弧内に示すポリペプチド配列を有する融合タンパク質、yaad−Xa−dewA−his(配列識別番号:20)、yaad−Xa−rodA−his(配列識別番号:22)またはyaad−Xa−basf1−his(配列識別番号:24)、およびこれらを、特に配列識別番号:19と21と23に示される配列をコードする核酸配列である。yaad−Xa−dewA−his(配列識別番号:20)を用いることがより好ましい。また、配列識別番号20、22または24で示されるポリペプチド配列から始まって、少なくとも一つ、最大10個、好ましくは5個、より好ましくは全アミノ酸の5%の置換、挿入または欠失により生成するタンパク質で、出発タンパク質の生物学的性質を少なくとも50%程度保持しているものが、特に好ましい実施様態である。ここで、タンパク質の生物学的性質とは、上述の少なくとも20°の接触角の変化を意味するものである。
【0056】
本発明の実施に当たり特に好適な誘導体は、yaad−Xa−dewA−his(配列識別番号:20)、yaad−Xa−rodA−his(配列識別番号:22)またはyaad−Xa−basf1−his(配列識別番号:24)からyaad融合パートナーを切除した誘導体である。294個のアミノ酸を持つ完全なyaad融合パートナー(配列識別番号:16)に代えて、yaad残基の断片を使用することが有利であろう。しかし、この断片残基は、少なくとも20個、好ましくは少なくとも35個のアミノ酸を含んでいる必要がある。例えば、20〜293個の、好ましくは25〜250個、より好ましくは35〜150個、例えば35〜100個のアミノ酸を有する断片残基が使用可能である。このようなタンパク質の一例が、yaad40−Xa−dewA−his(配列識別番号:26、WO2007/014897)であり、これは、40個のアミノ酸に切断されたyaad残基を有している。
【0057】
ハイドロフォビンと一つ以上の融合パートナーとの間の切断位置を、(例えば、メチオニンでのBrCN切断、Xa因子切断、エンテロキナーゼ切断、トロンビン切断、TEV切断などにより)融合パートナーを切断し、誘導体化されていない純粋なハイドロフォビンの放出するために利用することができる。
【0058】
本発明で用いられるハイドロフォビンは、既知のペプチド合成法で、例えばメリフィールド固相合成法で化学合成できる。
【0059】
天然型のハイドロフォビンは、適当な方法により天然物から分離できる。例えば、Wosten et al.、Eur. J. Cell Bio. 63, 122−129(1994)あるいはWO96/41882を参照。
【0060】
タラロミセス・サーモフィルス(Talaromyces thermophilus)からの、融合パートナーを含まないハイドロフォビンの遺伝子組換え製造法が、US2006/0040349に記載されている。
【0061】
好ましくは、融合パートナーをコードする核酸配列とハイドロフォビン部分をコードする核酸配列、特にDNA配列とを結合し、結合した核酸配列の遺伝子発現の結果として所望のタンパク質を宿主生物中に発現させる遺伝子組換え法により、融合タンパク質が製造される。このような製造方法が、例えばWO2006/082251またはWO2006/082253に開示されている。これらの融合パートナーで、ハイドロフォビンの製造が非常に簡単となる。遺伝子組換え法により、融合ハイドロフォビンは、融合パートナーを持たないハイドロフォビンより明らかに良い収率で生産される。
【0062】
遺伝子組換え法により宿主生物から生産された融合ハイドロフォビンは、原則として既知の方法で最終処理し、既知のクロマトグラフ法により精製することができる。
【0063】
ある好ましい実施様態においては、WO2006/082253の11/12頁に開示されている簡単な最終処理精製方法が利用される。このために、培養細胞をまず培養培地から分離して破砕し、細胞デブリを封入体から除去する。後者は遠心分離で行うことが好ましい。最終的に封入体を、原則として既知の方法により、例えば酸、塩基及び/又は界面活性剤を用いて破砕し、融合ハイドロフォビンを放出させる。本発明で用いられる融合ハイドロフォビンを含有する封入体は、0.1MのNaOHを用いた場合でも、通常約1時間以内に完全に溶解する。
【0064】
得られる溶液は、必要なら希望のpHに調整後、精製することなく本発明の実施に用いることができる。しかし、これらの融合ハイドロフォビンを、溶液から固体として分離することもできる。WO2006/082253の12頁に記載のように、噴霧乾燥で分離することも好ましい。この簡単な最終処理精製法により得られる製品は、通常約80〜90重量%のタンパク質と残量の細胞デブリを含んでいる。融合体と発酵条件によっては、融合ハイドロフォビンの量は、一般的には全タンパク質の量に対して30〜80重量%の範囲となる。
【0065】
分離した融合ハイドロフォビンを含む製品を、固体として保存してもよいし、特定の望ましい媒体中に溶解して使用することもできる。
【0066】
本発明の実施に当たり、これらの融合ハイドロフォビンをそのまま用いることもできるし、融合パートナーの切断・除去後に「純粋な」ハイドロフォビンとして用いることでもできる。封入体の分離し溶解した後に、切断することが有益である。
【0067】
(A)と(B)の混合物の水相の増粘のための利用
本発明によれば、少なくとも一種の増粘作用をもつ水溶性ポリマー(A)と少なくとも一種のハイドロフォビン(B)との組み合わせが、水相の増粘に用いられる。もし悪影響がでないなら、複数の異なるポリマー(A)及び/又は複数の異なるハイドロフォビンの混合物を用いることもできるであろう。
【0068】
水相は、水または水系溶媒混合物を含む。水系溶媒混合物中の他の溶媒成分としては、水混和性溶媒、例えばメタノール、エタノールまたはプロパノールなどのアルコールがあげられる。溶媒混合物中の水の比率は、用いる全溶媒の総量に対して、一般的には少なくとも75重量%であり、好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%であり、最も好ましくはすべて水が使用される。
【0069】
また、水相は、その中に溶解した他の無機または有機成分を含んでいてもよい。他の成分の種類や量は、水相の種類により決まる。
【0070】
全ての増粘性ポリマー(A)の総量は、この組成物の所望粘度に応じて当業界の熟練者により決められる。これはまた、増粘される水相中に存在するポリマー(A)や他の成分の種類やモル質量にも依存する。これは、一般的には組成物の全成分の総量に対して0.01〜2.5重量%であり、好ましくは0.1〜2重量%、より好ましくは0.25〜1.5重量%、例えば0.5〜1重量%である。
【0071】
ハイドロフォビン(B)の量は、組成物の所望粘度に応じて当業界の熟練者により決められる。これはまた、増粘される水相中に存在する他の成分にも依存する。用いられるハイドロフォビン(B)の量は、一般的には水相の全成分の合計に対して0.1〜2.5重量%であり、好ましくは0.2〜2重量%、より好ましくは0.25〜1重量%である。
【0072】
本発明によれば、上記の水溶性ポリマー(A)とハイドロフォビン(B)は、重量比(A)/(B)が5:1〜1:10で用いられる。この重量比(A)/(B)は、好ましくは3:1〜1:2である。
【0073】
本発明の用途では、上記の水溶性ポリマー(A)とハイドロフォビン(B)が、増粘される水相により定まる量と比率で添加される。この点で、成分(A)と(B)をそれぞれ別々に水または水系溶媒混合物に溶解し、増粘すべき水相を激しく混合しながら別々に添加することが好ましい。成分(A)と(B)の混合により増粘効果が発生する。
【0074】
しかしながら、ポリマー(A)と増粘すべき水相の種類によっては他の方法も考えられる。特定のpH範囲でのみ増粘効果をもつポリマー(A)の場合、例えばポリマー(A)とハイドロフォビン(B)を相互に混合し、これらを水相に加え、その後pHを目標値に調整して所望粘度とすることができる。
【0075】
増粘作用を持つ水溶性ポリマー(A)とハイドロフォビン(B)の混合物により、広い種類のいろいろな水相を増粘させることができる。これらの水相は、例えば洗浄組成物などの水性の洗浄浄化組成物製剤や、予備の染み抜きなどの洗浄助剤、織物柔軟剤、化粧用製剤、薬物製剤、食品、塗装スリップ、織物製造用の製剤、捺染ペースト、印刷インク、織物用印刷ペースト、塗料、顔料スラリー、発泡用水性製剤、コンクリート混合物などの建築用の製剤、掘穿泥水などの鉱油抽出用の製剤、または酸処理または破砕処理用の製剤、または例えば飛行機用の除氷混合物であってよい。
【0076】
本発明の混合物では、水相の増粘後に必要なら増粘作用をもう一度低下させてもよい。このために、ハイドロフォビン中のペブチド結合を切断できる少なくとも一種の薬剤が水相に加えられる。組成物の種類によっては、ハイドロフォビンの切断で増粘作用が少なくとも大幅に低下するか完全に消滅する。
【0077】
この切断は、汎用の薬剤で実施可能である。例えば、BrCN切断であってもよい。ある好ましい実施様態においては、特定のペブチド結合の選択的な切断のために酵素を用いることができる。本発明の特に好ましい実施様態においては、ハイドロフォビンの切断にプロテアーゼが用いられる。
【0078】
この実施様態を、例えば鉱油抽出分野において地下の鉱油含有層の処理に使用することが好ましい。このために、上記の水溶性ポリマー(A)とハイドロフォビン(B)の溶液が、鉱油含有物中にボーリング孔に圧入される。この圧力処理で、鉱油含有層中に新たなひび割れを形成され、含有層からボーリング孔に鉱油がよりよく流れるようになる。このような処理は、「破砕」とも呼ばれている。この処理の後、ペブチド結合を切断できる薬剤を含む溶液が、好ましくはプロテアーゼ溶液がこの層に注入される。これによりハイドロフォビンが切断される。増粘した水相の粘度が再び低下する。この結果、増粘した水相が新たに形成されたひび割れを閉鎖して破砕処理を無効とすることが防止される。
【0079】
もう一つの例では、本発明により増粘された混合物を用いて、飛行機が徐氷される。徐氷後、徐氷混合物の残りが飛行機を汚染しないように、混合物の残りを、ペブチド結合を切断する薬剤、好ましくはプロテアーゼ溶液で処理することができる。
【0080】
相乗性の増粘剤組成物
他の側面においては、本発明は、少なくとも一種の水相と0.01〜2.5重量%の少なくとも一種の増粘作用を持つ水溶性ポリマー(A)と少なくとも0.1〜2.5重量%の少なくとも一種のハイドロフォビン(B)とからなる相乗性組成物で、その重量比(A)/(B)が水相の全成分の合計に対して5:1〜1:10であるものに関する。好ましいポリマー(A)、ハイドロフォビン(B)、量、好ましい他のパラメーターについては、すでに上に述べた。
【0081】
本発明により増粘された水相は、通常明らかな時間依存的な挙動を示し、例えば増粘水相にせん断力を加えるとその粘度が減少する。剪断応力を取り去ると水相の粘度が再び上昇する。増粘作用を持つポリマー(A)が時間依存的な挙動を示すとき、その時間依存的効果は、通常ハイドロフォビンの添加の結果として増加する。
【実施例】
【0082】
以下の実施例は、本発明を詳細に説明するためのものである。
【0083】
使用増粘性ポリマー(A)
試験には、以下のポリマー(A)を用いた。A1〜A3は、3種の異なる市販のアルカリ可溶性アクリレート分散液であり、A4とA5は沈澱ポリマーであり、A6はバイオポリマーである。
【0084】
ポリマーA1:水分散液を会合により増粘させるアルカリ可溶性のポリアクリレート、pH:約3、エマルジョンポリマー
ポリマーA2:アルカリ可溶性のポリアクリレート、水分散液、pH:約3、エマルジョンポリマー
ポリマーA3:アルカリ可溶性のポリアクリレート、水分散液、pH:約3、エマルジョンポリマー
ポリマーA4:市販の、軽く架橋したポリアクリル酸系増粘剤
ポリマーA5:市販の、軽く架橋したポリアクリル酸系増粘剤
ポリマーA6:キサンタン
【0085】
使用ハイドロフォビン(B)の調整
用いたハイドロフォビンは、WO2006/082253に記載の方法により調整した。完全なyaad融合パートナー(yaad−Xa−dewA−his;以下、ハイドロフォビンAと称す)をもつ融合ハイドロフォビンと、40個のアミノ酸に短縮した融合パートナーをもつ融合ハイドロフォビン、yaad40−Xa−dewA−his(ハイドロフォビンB)の両方を用いた。これらのハイドロフォビンは水溶液の形で使用した。
【0086】
増粘した水相の調整
いずれの場合も、例えばハイドロフォビン(B)の水溶液をまず加え、次いで特定のポリマー(A)の水溶液を加えた。用いる水相中の(A)と(B)の濃度は、いずれの場合も、以下の表中に示した。表に記載されている場合は、次いで水相のpHを記載数値に調整した。試験の詳細は、表1中に記載した。
【0087】
粘度の測定
水溶液の粘度は、DIN51550、DIN53018、およびDIN53019の方法により、汎用の回転粘度計(ブルックフィールド(R)RV−03粘度計)でNo.64のスピンドルを用い20℃で20rpmの速度で測定した。粘度は、まず混合直後に測定し、pH調整直後にも測定した。時間依存性の流動挙動を、粘度計を継続的に動かせながら粘度を時刻の関数として測定して決定した。
【0088】
それぞれの場合の初期値を表1に示す。
【0089】
図1は、pH9でのポリマーA1の溶液の粘度を時間の関数として示す(曲線1:1.2%のポリマーのみ;曲線2:1%のポリマーと0.5%のハイドロフォビンA;曲線3:1%のポリマーと0.5%のハイドロフォビンB)。ハイドロフォビンとポリマーA1の混合物の粘度には、明白な時間依存性が認められるが、ポリマーA1のみでは時間依存性がない。
【0090】
【表1】

【0091】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水相の増粘のために、
・少なくとも一種の増粘作用をもつ水溶性ポリマー(A)と、
・少なくとも一種のハイドロフォビン(B)とを、
重量比(A)/(B)で5:1〜1:10で含む相乗性混合物を使用する方法。
【請求項2】
上記比(A)/(B)が3:1〜1:2である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリマー(A)が、水相の全成分の合計に対して0.01〜2.5重量%の量で使用される請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ハイドロフォビン(B)が、水相の全成分の合計に対して0.1〜2.5重量%の量で使用される請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
水相が増粘した後に、水相にハイドロフォビン中のペブチド結合を切断可能な少なくとも一種の薬剤を添加することにより上記増粘作用を再び低下させる請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ハイドロフォビンの切断にプロテアーゼが用いられる請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ポリマー(A)が多糖類である請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ポリマー(A)が、少なくとも(メタ)アクリル酸単位と(メタ)アクリル酸エステル単位とを有するアルカリ可溶性ポリマーである請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ポリマー(A)が、疎水的に会合するポリマーである請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも、
・一種の水相と、
・0.01〜2.5重量%の少なくとも一種の増粘作用を持つ水溶性ポリマー(A)と、
・0.1〜2.5重量の少なくとも一種のハイドロフォビン(B)と、を有する相乗性組成物であって、
その重量比(A)/(B)が5:1〜1:10であり、これらの量が水相の全成分の合計に対するものである相乗性組成物。
【請求項11】
上記比(A)/(B)が3:1〜1:2である請求項10に記載の相乗性組成物。
【請求項12】
ポリマー(A)が多糖類である請求項10または11に記載の相乗性組成物。
【請求項13】
ポリマー(A)が、少なくとも(メタ)アクリル酸単位と(メタ)アクリル酸エステル単位とを有するアルカリ可溶性のポリマーである請求項10または11に記載の相乗性組成物。
【請求項14】
ポリマー(A)が疎水的に会合するポリマーである請求項10または11に記載の相乗性組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2012−519767(P2012−519767A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553394(P2011−553394)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052690
【国際公開番号】WO2010/102934
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】