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水硬性組成物の製造方法
説明

水硬性組成物の製造方法

【課題】粉砕助剤の安全性が確保でき、初期材齢に高い強度を発現することができる水硬性組成物が得られる水硬性組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】所定量のグリセリンと所定量の水及び/又は炭素数1〜4の1価アルコールとの存在下で水硬性化合物を粉砕して得られる水硬性粉体と、一般式(1)で表される特定の単量体由来の構成単位1と一般式(2)で表される特定の単量体由来の構成単位2とを有する重合体と、水とを混合して、前記水硬性粉体と前記重合体とを含有する水硬性組成物を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水硬性組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水硬性化合物、例えばポルトランドセメントクリンカー、高炉スラグ等を粉砕して種々の水硬性粉体が製造されている。例えば、ポルトランドセメントは、石灰石、粘土、鉄さい等の原料を焼成して得られたクリンカーに適量の石膏を加え、粉砕して製造される。その際、粉砕効率を上げるために、ジエチレングリコールやトリエタノールアミンなどの粉砕助剤が用いられている。粉砕工程においては水硬性化合物をできるだけ能率良く所望の粒径にすることが望ましい。このため、従来、粉砕工程において粉砕助剤を使用することが行われている。
【0003】
粉砕助剤としては、プロピレングリコールやジエチレングリコールなどの低級アルキレングリコールのオリゴマー、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン類等が知られている。また、例えば、特許文献1では、球形炭酸カルシウムを粉砕する際に添加する粉砕助剤としてグリセリンを用いることが開示されている。特許文献2ではセメントクリンカーの粉砕助剤としてリグニンスルホン酸塩とグリセリンを併用することが開示されている。さらに特許文献2には、グリセリン単独では粉砕助剤として効果が小さく実用されていないことも述べられている。特許文献3には、アルカリ金属塩を含有する未処理グリセリンをクリンカーの粉砕工程に添加することが開示されている。
【0004】
コンクリート製品は、セメント、骨材、水、及び分散剤(減水剤)等の材料を混練し、様々な型枠に打設し、養生(硬化)工程を経て製品化される。コンクリート製品では、養生工程後の脱型時の製品表面に気泡、充填不足等が原因と思われる窪みが生じたり、その他種々要因により表面美観の低下が生じると、その商品価値を下げることになる。表面美観が低下したコンクリート製品については、脱型後に手作業による補修をおこなっているのが現状である。しかし、この作業には多くの人手と時間を要する為、製造コスト上昇原因の一つに挙げられている。
【0005】
コンクリート製品の表面美観への影響因子として様々なものが知られているが、中でも(1)混練時に発生する気泡の量や質、(2)脱型時のコンクリート強度、(3)コンクリート粘性が重要な因子といわれている。
【0006】
コンクリート製品の製造にあたっては、未硬化状態での流動性が良好で、硬化体強度に優れることが望まれる。特許文献4には、セメント組成物の流動性低下が少なく、初期材齢に高い強度を発現することができる、グリセリン又はグリセリン誘導体とポリオキシアルキレン化合物を側鎖に有するポリカルボン酸系共重合体とを含有するセメント用強度向上剤が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開平11−60298号公報
【特許文献2】特開昭57−100952号公報
【特許文献3】特表2008−519752号公報
【特許文献4】特開2006−282414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
水硬性化合物の粉砕助剤として広く使用されているジエチレングリコールは、安全面や健康面への影響に配慮しながら使用する必要があり、使用上の制約が大きい物質である。また、トリエタノールアミンも、化学兵器禁止法の第二種指定物質該当品目に指定されていることから、今後、使用制限を受ける可能性があり、代替できる物質を見出すことが望まれる。
【0009】
本発明の課題は、安全性の高い製造工程を有し、初期材齢に高い強度を発現することができる水硬性組成物を与える水硬性組成物の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、グリセリンと水及び/又は炭素数1〜4の1価アルコールとの存在下で水硬性化合物を粉砕して得られる水硬性粉体と、
下記の一般式(1)で表される単量体由来の構成単位1と下記の一般式(2)で表される単量体由来の構成単位2とを有する重合体と、
水と、
を混合して、水硬性組成物を得る、水硬性組成物の製造方法であり、
前記水硬性化合物の粉砕の際の、グリセリンの存在量が、水硬性化合物100重量部に対して、0.001〜0.2重量部であり、水及び/又は炭素数1〜4の1価アルコールの存在量が、水硬性化合物100重量部に対して、0.001〜0.2重量部である、水硬性組成物の製造方法に関する。
【0011】
【化3】

【0012】
〔式中、R1、R2は、それぞれ水素原子又はメチル基、R3は水素原子又は-(CH2)q(CO)pO(AO)r4、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基又はオキシスチレン基、pは0又は1の数、qは0〜2の数、rはAOの平均付加モル数であり、3〜300の数、R4は水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基を表す。〕
【0013】
【化4】

【0014】
〔式中、R5〜R7は、それぞれ水素原子、メチル基又は(CH2)sCOOM2であり、(CH2)sCOOM2はCOOM1又は他の(CH2)sCOOM2と無水物を形成していてもよく、その場合、それらの基のM1、M2は存在しない。sは0〜2の数を表す。M1、M2は、それぞれ水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、置換アルキルアンモニウム基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はアルケニル基を表す。〕
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、安全性の高い製造工程により、初期材齢に高い強度を発現することができる水硬性組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明では、水硬性粉体の製造の際にグリセリンと水及び/又は炭素数1〜4の1価アルコールとを水硬性化合物に対する粉砕助剤として用いる。
【0017】
粉砕助剤としてグリセリンと水及び/又は炭素数1〜4の1価アルコールとを用いて得られた水硬性粉体に対し、ポリアルキレンオキサイドのグラフト鎖を有する特定のポリカルボン酸系重合体を分散剤として用いる場合、粉砕助剤としてジエチレングリコールを用いたときよりも初期材齢が高い水硬性組成物が得られる。この理由の詳細は不明であるが、グリセリンと水及び/又は炭素数1〜4の1価アルコールとを用いることで、得られた水硬性化合物(水硬性粉体)上に存在するグリセリンと、特定のポリカルボン酸系重合体との複合効果により適度なカルシウムキレート力が得られるために、水和反応が進行し、初期材齢強度が高くなると推定される。このカルシウムキレート力が強すぎる場合は、水硬性化合物(水硬性粉体)の水和反応が阻害され、硬化遅延を生じて初期材齢強度が低下する。逆にカルシウムキレート力が弱すぎる場合は、水和反応の向上効果がなく初期材齢強度も向上しないと推定される。また、水硬性化合物の粉砕の際に水を併用してもグリセリンの保水効果により、水硬性化合物(水硬性粉体)の水和反応は進行せず、かつグリセリンの粘度を低下でき、グリセリンと水の併用で粉砕助剤として好適に使用できる。そして、水硬性化合物の粉砕の際に炭素数1〜4の1価アルコールを併用した場合も、グリセリンの粘度を低下でき、グリセリンと該アルコールの併用で粉砕助剤として好適に使用できると推定される。
【0018】
本発明では、グリセリンと、水及び/又は炭素数1〜4の1価アルコール(以下、グリセリン系粉砕助剤と称する)との存在下で水硬性化合物を粉砕して得られる水硬性粉体が用いられる。グリセリンは、塩析によるグリセリン水溶液の保存安定性の面から、アルカリ金属塩が除去された精製グリセリンであることが好ましく、グリセリン中のアルカリ金属塩の含有量が1重量%未満であることがより好ましく、0.1重量%以下がさらに好ましく、実質的に含まないことがよりさらに好ましい。
【0019】
通常、ポルトランドセメントは、石灰石、粘土、鉄さい等の原料を焼成して得られた水硬性化合物であるクリンカー(セメントクリンカーともいい、石膏が入っている場合もある。通常、粒径1cm程度。)を最大3mm程度に粉砕し(予備粉砕)、適量の石膏を加え、さらに十数μmまで粉砕して(仕上粉砕)、ブレーン値2500cm2/g以上の比表面積を有する粉体として製造される。本発明に係るグリセリン系粉砕助剤は、前記粉砕の際の粉砕助剤として、好適には仕上粉砕での粉砕助剤として用いられる。
【0020】
本発明に係るグリセリン系粉砕助剤のうちグリセリンは、初期強度発現の観点から、水硬性化合物100重量部、なかでもセメントクリンカー100重量部に対して、0.001〜0.2重量部、好ましくは0.01〜0.1重量部、さらに好ましくは0.02〜0.05重量部用いられる。
【0021】
また、本発明に係るグリセリン系粉砕助剤のうち水及び/又は炭素数1〜4の1価アルコールは、水硬性化合物への添加しやすさを向上する観点から、水硬性化合物100重量部、なかでもセメントクリンカー100重量部に対して、0.001〜0.2重量部、好ましくは0.005〜0.1重量部、さらに好ましくは0.02〜0.05重量部用いられる。
【0022】
グリセリンと、水及び/又は炭素数1〜4の1価アルコールとの重量比は、水硬性化合物への添加しやすさと水硬性組成物の初期強度発現の観点から、グリセリン/(水及び/又は炭素数1〜4の1価アルコール)で90/10〜50/50、さらに85/15〜50/50、よりさらに75/25〜50/50であることが好ましい。
【0023】
また、水硬性化合物の粉砕の際の、グリセリンと水及び/又は炭素数1〜4の1価アルコールとの合計の存在量は、水硬性化合物100重量部、なかでもクリンカー100重量部に対して、0.001〜0.2重量部、さらに0.005〜0.1重量部であることが好ましい。
【0024】
水硬性化合物の粉砕、なかでも仕上粉砕は、水硬性化合物、なかでもクリンカーを含む原料に粉砕助剤を添加して行うことが好ましい。添加する方法としては、粉砕助剤の液状物、もしくは粉砕助剤と他の成分とを含む液状混合物を、滴下、噴霧等により水硬性化合物に供給する方法が挙げられる。
【0025】
本発明に係るグリセリン系粉砕助剤は、取扱い性、及び水硬性粉体の風化(空気中の水分との反応や炭酸化)による強度低下を抑制する観点から、低粘度の液状物が好ましい。具体的には、20℃における粘度が250mPa・s以下の液状物が好ましい。本発明に係るグリセリン系粉砕助剤は、取扱いを容易にし、水硬性粉体の風化による水硬性組成物の硬化後の強度低下を抑制する観点から、グリセリンの水溶液が好ましく、グリセリン水溶液におけるグリセリンの濃度は50〜90重量%以下が好ましい。
【0026】
本発明では、原料、用途等により、適当な粒径の粉体が得られるよう、粉砕の条件を調整すればよい。一般に、比表面積、ブレーン値が好ましくは2500〜5000cm2/g、より好ましくは2800〜4600cm2/gの粉体となるまで、水硬性化合物、なかでもクリンカーの粉砕を行うことが好ましい。
【0027】
本発明において、水硬性化合物、なかでもクリンカーの粉砕、なかでも仕上粉砕に使用される粉砕装置は、特に限定されないが、例えばセメントなどの粉砕で汎用されているボールミルを挙げることができる。該装置の粉砕媒体(粉砕ボール)の材質は、被粉砕物(例えばセメントクリンカーの場合、カルシウムアルミネート)と同等又はそれ以上の硬度を有するものが望ましく、一般に入用可能な市販品では、例えば鋼、アルミナ、ジルコニア、チタニア、タングステンカーバイド等を挙げることができる。
【0028】
グリセリンと水及び/又は炭素数1〜4の1価アルコール化合物とを含む組成物、なかでもグリセリンと水とを含む組成物は、水硬性化合物、なかでもクリンカーに対する粉砕助剤として好適である。すなわち、水硬性化合物、なかでもクリンカーを粉砕、なかでも仕上げ粉砕する際に、粉砕助剤として、グリセリンと、水及び/又は炭素数1〜4の1価アルコールとを用いる水硬性化合物、なかでもクリンカーの粉砕方法が提供される。その場合、水硬性化合物100重量部、なかでもクリンカー100重量部に対して、グリセリンと、水及び/又は炭素数1〜4の1価アルコールの合計量で0.001〜0.2重量部、さらに0.005〜0.1重量部用い、グリセリンは0.001〜0.2重量部、さらに0.01〜0.1重量部用いることが好ましい。
【0029】
本発明に係るグリセリン系粉砕助剤は、グリセリンに加え、水と炭素数1〜4の1価アルコールを併用してもよく、また、炭素数1〜4の1価アルコールは2種以上を併用してもよい。さらに、その他の粉砕助剤を併用して使用することができる。例えば、その他の粉砕助剤は、粉砕助剤全体の好ましくは40重量%以下、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下の量を配合して用いることができる。その他の粉砕助剤は、本発明に係るグリセリン系粉砕助剤より低粘度の化合物であることが取り扱い性の観点から好ましい。少量で低粘度化効果のあるジエチレングリコールやトリエタノールアミンを配合しても良い。
【0030】
本発明に係るグリセリン系粉砕助剤を用いて得られる水硬性粉体としては、ポルトランドセメント、高炉スラグ、アルミナセメント、フライアッシュ、石灰石、石膏等が挙げられ、粉砕に供する水硬性化合物は、これら水硬性粉体の原料である。
【0031】
本発明では、グリセリンと、水及び/又は炭素数1〜4の1価アルコールとを含有する粉砕助剤の存在下で水硬性化合物を粉砕する水硬性粉体の製造方法が提供され、この方法では、粉砕助剤は、水硬性化合物への添加しやすさと水硬性組成物の初期強度発現の観点から、グリセリンと水及び/又は炭素数1〜4の1価アルコールとを、グリセリン/(水及び/又は炭素数1〜4の1価アルコール)が90/10〜50/50の重量比で含有するものが好ましい。また、この方法では、粉砕助剤は、グリセリンと水及び/又は炭素数1〜4の1価アルコールとの合計の存在量が、水硬性化合物100重量部に対して、0.001〜0.2重量部であることが好ましい。
【0032】
本発明では、下記の一般式(1)で表される単量体(以下、単量体1という)由来の構成単位1と下記の一般式(2)で表される単量体(以下、単量体2という)由来の構成単位2とを有する重合体(以下、重合体Aという)が用いられる。
【0033】
【化5】

【0034】
〔式中、R1、R2は、それぞれ水素原子又はメチル基、R3は水素原子又は-(CH2)q(CO)pO(AO)r4、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基又はオキシスチレン基、pは0又は1の数、qは0〜2の数、rはAOの平均付加モル数であり、3〜300の数、R4は水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基を表す。〕
【0035】
【化6】

【0036】
〔式中、R5〜R7は、それぞれ水素原子、メチル基又は(CH2)sCOOM2であり、(CH2)sCOOM2はCOOM1又は他の(CH2)sCOOM2と無水物を形成していてもよく、その場合、それらの基のM1、M2は存在しない。sは0〜2の数を表す。M1、M2は、それぞれ水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、置換アルキルアンモニウム基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はアルケニル基を表す。〕
【0037】
[単量体1]
単量体1において、一般式(1)中のR1、R2は、それぞれ水素原子又はメチル基である。R3は水素原子又は-(CH2)q(CO)pO(AO)r4であり、水素原子が好ましい。一般式(1)のアルケニル〔(R1)(R3)C=C(R2)−(CH2)q−〕として、ビニル基、アリル基、メタリル基等が挙げられる。pが0の場合はAOは(CH2)qとエーテル結合、pが1の場合はエステル結合をする。qは0〜2であり、好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基又はオキシスチレン基であり、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基が好ましく、エチレンオキシ基を含むことがより好ましく、EO基が70モル%以上、さらに80モル%以上、さらに90モル%以上、よりさらに全AOがEO基であることが好ましい。rはAOの平均付加モル数であり、3〜300の数であり、水硬性組成物の初期強度発現の観点から、好ましくは50〜300、より好ましくは110〜300である。また、平均r個の繰り返し単位中にAOが異なるもので、ランダム付加又はブロック付加又はこれらの混在を含むものであっても良い。例えばAOは、EO基以外にもプロピレンオキシ基等を含むこともできる。単量体1は、p=1でq=0の化合物が好ましい。また、p=0のとき、q=1が好ましい。
【0038】
重合体Aは、水硬性組成物の初期強度と流動性を高いレベルで実現するために、単量体1の一般式(1)中のrは50〜300が好ましく、110〜300がより好ましい。重合性からrは好ましくは200以下、より好ましくは150以下、さらに好ましくは130以下である。したがって、総合的な観点から、rは50〜200が好ましく、110〜150がより好ましく、110〜130がさらに好ましい。
【0039】
4は水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基であり、さらに1〜12、さらに1〜4、さらに1、2のアルキル基が好ましく、中でもメチル基が好ましい。
【0040】
単量体1としては、メトキシポリエチレングリコール、メトキシポリプロピレングリコール、メトキシポリブチレングリコール、メトキシポリスチレングリコール、エトキシポリエチレンポリプロピレングリコール等の片末端アルキル封鎖ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸、マレイン酸との(ハーフ)エステル化物や、(メタ)アリルアルコールとのエーテル化物、及び(メタ)アクリル酸、マレイン酸、(メタ)アリルアルコールへの炭素数2〜4のアルキレンオキシド付加物付加物が好ましく用いられる。
【0041】
より好ましくはアルコキシ、中でもメトキシポリエチレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物である。具体的には、ω−メトキシポリオキシアルキレンメタクリル酸エステル、ω−メトキシポリオキシアルキレンアクリル酸エステル等を挙げることができ、ω−メトキシポリオキシアルキレンメタクリル酸エステルがより好ましい。
【0042】
重合体Aが、rの異なる複数の単量体1を用いて得られる場合は、rは重合体全体の平均値を表す。例えば、重合体Aがr=r1である単量体をx1モル%、r=r2である単量体をx2モル%用いて得られる場合、rは、r=(r11+r22)/(x1+x2
により求められる。
【0043】
[単量体2]
単量体2において、一般式(2)中のR5〜R7は、それぞれ水素原子、メチル基又は(CH2)sCOOM2であり、(CH2)sCOOM2はCOOM1又は他の(CH2)sCOOM2と無水物を形成していてもよい。その場合、それらの基のM1、M2は存在しない。sは0〜2の数を表す。R5は水素原子が好ましく、R6はメチル基が好ましい。R7は水素原子又は(CH2)sCOOM2が好ましい。
【0044】
1、M2は、それぞれ水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、置換アルキルアンモニウム基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はアルケニル基である。M1、M2は、それぞれ水素原子、アルカリ金属が好ましい。
【0045】
具体的には、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸系単量体、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等のジカルボン酸系単量体、又はこれらの無水物もしくは塩(例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、水酸基が置換されていてもよいモノ、ジ、トリアルキル(炭素数2〜8)アンモニウム塩)もしくはエステルが挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸又はこれらのアルカリ金属塩である。なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸の意味である(以下同様)。
【0046】
重合体Aは、例えば反応容器に水を仕込み昇温し、その中で単量体1と単量体2とを連鎖移動剤等の存在下、モル比及び重量比を一定として反応させ、熟成することにより製造することができる。必要により熟成後中和する。
【0047】
重合体Aの製造に用いる単量体1と単量体2の重量比(単量体1/単量体2)は97/3〜3/97が好ましく、95/5〜50/50がより好ましく、90/10〜70/30がさらに好ましい。
【0048】
重合体Aにおいて、該重合体を製造するために用いられる単量体2の全単量体に対する平均重量比(YI)が5〜50(重量%)、さらに10〜30(重量%)であることが好ましい。平均重量比は、〔単量体2の合計量/重合体A’の合成に用いた全単量体の合計量〕×100(重量%)で表される。重合体Aの汎用性をより広くするには、該重合体Aの平均重量比とは異なる平均重量比(YII)により製造された重合体A’を併用することが好ましい。
【0049】
重合体A及びA’は、平均重量比(YI)と(YII)とが2以上異なるように選択することが好ましい。なお、重合体A及びA’とで、製造に用いる単量体1及び2の種類が異なっていても同一であってもよいが、同一の種類のものを用いることが好ましい。
【0050】
また、本発明では、重合体Aとして、単量体1の少なくとも1種と単量体2の少なくとも1種とを共重合させて得られ、且つ前記単量体1と単量体2のモル比[単量体1]/[単量体2]が反応途中において少なくとも1回変化されている共重合体混合物〔以下、共重合体混合物(A)ともいう〕を用いることもできる。このような共重合体混合物(A)は、反応系に添加する単量体1と単量体2のモル比[単量体1]/[単量体2]を反応途中において少なくとも1回変化することにより製造することができる。その際、モル比[単量体1]/[単量体2]の最大値と最小値の差が少なくとも0.05以上、さらに0.05〜2.5の範囲にあることが好ましい。
【0051】
共重合体混合物(A)は、上記単量体1及び2とを、好ましくは[単量体1]/[単量体2]=0.02〜4の範囲のモル比で反応させて得られるが、これらのモル比[単量体1]/[単量体2]は反応途中において少なくとも1回変化されることが好ましい。そして、本発明では、共重合体混合物(A)を製造するための全単量体に対する単量体2の平均重量比(YI)と異なる平均重量比(YII)により得られた共重合体混合物(A')を併用することが好ましい。すなわち、共重合体混合物(A')は、上記単量体1及び2とを、好ましくは[単量体1]/[単量体2]=0.02〜4の範囲のモル比で反応させて得られた共重合体混合物であって、これらのモル比[単量体1]/[単量体2]は反応途中において少なくとも1回変化されており、該共重合体混合物(A')を製造するための全単量体に対する単量体(A2)の平均重量比(YII)が、共重合体混合物(A)における平均重量比(YI)とは異なるものである。平均重量比は、〔単量体(A2)の合計量/全単量体量〕×100(重量%)で表され、それぞれ10〜50(重量%)の範囲にあることが好ましい。なお、以下この平均重量比を「(A2)’平均重量比」という場合もある。また、この平均重量比(YI)、(YII)の差は、好ましくは0.1(重量%)以上、より好ましくは0.5(重量%)以上、さらに好ましくは1.0(重量%)以上相違することが好ましい。なお、共重合体混合物(A)と(A')とで、製造に用いる単量体1及び2の種類が異なっていても、本発明では平均重量比(YI)、(YII)が異なっていればよいが、単量体1及び2として同一の種類のものを用いるのが好ましい。
【0052】
また、本発明では、重合体Aに用いる単量体2として一般式(2)中のM1、M2がアルキル基(好ましくは炭素数1〜3)、ヒドロキシアルキル基(好ましくは炭素数2〜5)、又はアルケニル基(好ましくは炭素数2〜5)である化合物を用いた重合体(以下、重合体A''という)を用いることができる。
【0053】
この場合、重合体A''の製造に用いる単量体1の好ましい構造、種類は前記したものと同じである。
【0054】
重合体Aの製造においては、上記単量体1及び2の他に、1種以上の共重合可能なその他の単量体を用いることもできる。共重合可能な他の単量体としては、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スルホエチルメタクリレートこれら何れかのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、又はアミン塩。(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−(メタ)アクリルアミド−2−メタスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−エタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−プロパンスルホン酸、スチレン、スチレンスルホン酸などが挙げられる。さらに、特許第3336456号公報に記載の如くポリアルキレンポリアミンと二塩基酸または二塩基酸と炭素原子数1ないし4の低級アルコールとのエステルと、アクリル酸もしくはメタクリル酸またはアクリル酸もしくはメタクリル酸と炭素原子数1ないし4の低級アルコールとのエステルを縮合させて得られたポリアマイドポリアミンのアミノ残基に対して炭素原子数2ないし4のアルキレンオキサイドを付加して成るポリアマイドポリアミン系単量体、特開2004−2174号公報に記載の如くポリアルキレンポリアミンと二塩基酸及び/又は二塩基酸と炭素数1〜4のアルコールとのエステル、並びに(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸と炭素数1〜4のアルコールとのエステルを反応させて得られる不飽和結合を有するポリアミドポリアミンのアミノ残基及びイミノ基に対して炭素数2〜4のアルキレンオキシドを付加して成るポリアミドポリアミン系単量体、特開2003−335563号公報に記載の如くアミンアルキレンオキシド付加物単量体、特開2004−342050号公報に記載の如くポリアルキレンイミンアルキレンオキシド付加物単量体、特開2004−67934号公報に記載の如くポリ(ポリオキシアルキレン)系不飽和単量体等が挙げられる。単量体1及び2の合計の割合は、全単量体中30〜100モル%が好ましく、50〜100モル%がより好ましく、75〜100モル%がより好ましく、90〜100モル%がより好ましい。
【0055】
重合体Aは市販品を用いることもでき、具体的には以下のものが例示される。これらを二種以上併用しても良い。
【0056】
花王(株)製のマイテイ3000S、マイテイ3000H、マイテイ3000R、マイテイ21LV、マイテイ21VS、マイテイ21HF、マイテイ21HP、(株)日本触媒製のアクアロックFC600S、FC900アクアロック、日本油脂(株)製のマリアリムAKM-60F、マリアリムEKM-60K、マリアリムY-40、Degussa社製のレオビルドSPシリーズ(8LS,8LSR,8N,8S,8R, 8SE, 8RE, 8SB-S, 8SB-M, 8SB-L, 8SB-LL, 8HE, 8HR, 8SV, 8RV)、レオビルド8000S、8000E, 8000H、Glenium series (3030NS, 3400NV, 3000NS, 3200HES, 27, 51, 206, C301, C323, C315, ACE28,ACE30, ACE32, ACE38, ACE40, ACE48, ACE68, ACE327, ACE329, ACE338, SKY501, SKY503, SKY505, SKY528, SKY591, SKY592, SKY593, SKY910+, SP-8CR, SP-8CN, SP-8N, 8000,SP-8L)、Melflux1641, 2453, 2424,2500、Sika社製のシーカメント1200N,1100NT,1100NTR,1100NT-PWR,1100NT-PSK,2300、Sikament686, Sika Viscocrete2100, Sika Viscocrete4100, Sika Viscocrete6100, Sika Viscocrete 20HE, Sikament 5370, Sika Viscocrete3010, Sika Viscocrete5-500, Sika Viscocrete5-300, Sika Viscocrete5, Sika Viscocrete20SL、竹本油脂(株)製のチューポールHP-8、チューポールHP-11、チューポールHP-8R、チューポールHP-11R、チューポールHP-11X、チューポールSSP-104、チューポールSSP-116、チューポールHP70、チューポールNV-G1、チューポールNV-G5、(株)フローリック製のフローリックSF500S、フローリックSF500SB、フローリックSF500H、フローリックSF500R、フローリックSF500RB、GRACE社製のADVA CAST 570, ADVA Flow 340, ADVA Flow 341, ADVA Flow 355, ADVA Flow 356, ADVA Flow 400、ADVA 100 Superplasticizer, ADVA 140, ADVA 170, ADVA 360, ADVA 370, ADVA Cast 500, ADVA Cast 530, ADVA Cast 540, ADVA Cast 555、BASF社製のSokalan series (HP80, 5009X, 5010X, DS3557, R401)、Kyunggi社製のPowerflow series (WR, HWR, SR)、Mapei社製のDynamon series, Mapeifluid series (Mapei)、Fosroc社製のStrucuro series等が挙げられる。
【0057】
本発明では、上記本発明に係るグリセリン系粉砕助剤の存在下で水硬性化合物を粉砕して得られる水硬性粉体と、上記重合体Aと、水を混合して、前記水硬性粉体と前記重合体とを含有する水硬性組成物を製造する。重合体Aは、水硬性粉体100重量部に対して、0.005〜0.5重量部用いることが好ましく、0.01〜0.3重量部がより好ましく、0.05〜0.25重量部がさらに好ましい。水は後述する水/水硬性粉体比となるように用いることが好ましい。これらの混合は、通常の水硬性組成物の製造に用いられる装置、条件等を採用して行うことができる。
【0058】
水硬性粉体に、水、化学混和剤、砂等の細骨材及び砂利等の粗骨材の骨材が添加されて最終的に得られる水硬性組成物が、一般にそれぞれモルタル、コンクリートなどと呼ばれている。本発明はこのような水硬性組成物の製造に用いられ、具体的には、生コンクリート、コンクリート振動製品用、セルフレベリング用、耐火物用、プラスター用、石膏スラリー用、軽量又は重量コンクリート用、AE用、補修用、プレパックド用、トレーミー用、グラウト用、地盤改良用、寒中用等の種々の分野に用いられる水硬性組成物が対象となる。
【0059】
本発明により製造された水硬性組成物は、水/水硬性粉体比(W/P)は、65重量%以下、さらに10〜60重量%、さらに12〜57重量%、さらに15〜55重量%、よりさらに20〜55重量%であることが好ましい。W/Pは、水硬性組成物中の水(W)と水硬性粉体(P)の重量百分率(重量%)、すなわち、(W/P)×100で算出されるものである。なお、水硬性粉体は、セメント等の水硬性無機粉末が代表例であるが、水硬性組成物の調製に用いた無機粉末のうち、水硬性粉末に該当する粉末、例えば、シリカフューム、高炉スラグ、フライアッシュ、石灰石微粉末等の混和材料も、それらの重量をPの重量に算入するものとする。なお、水硬性粉体とは、水と反応して硬化する性質をもつ粉体、及び単一物質では硬化性を有しないが、2種以上を組み合わせると水を介して相互作用により水和物を形成し硬化する粉体のことである。
【0060】
さらに、本発明により製造された水硬性組成物は、初期強度が高いために、型枠にコンクリートが付着することなく容易に脱型することが可能となり、表面美観の改善に効果がある。例えば、本発明により製造された水硬性組成物は、該水硬性組成物を型枠に充填し成形した後、適宜養生した後、脱型を行うコンクリート製品の製造方法に供することができる。その際、型枠内に水硬性組成物を十分に充填する観点から型枠に充填後、振動機による締め固めを行うことが好ましい。この方法に使用される水硬性組成物(生コンクリート)の流動性は、スランプ値(JIS A 1101)は1cm〜23cm、スランプフロー値(JIS A 1150)は30cm〜75cmであることが好ましい。モルタルフロー値では150〜300mmであることが好ましい。
【実施例】
【0061】
〔製造例A−1〕(重合体A−1の製造)
攪拌機付きガラス製反応容器(四つ口フラスコ)に水114gを仕込み、撹拌しながら窒素置換をし、窒素雰囲気中で80℃まで昇温した。60重量%のω−メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数120:エステル純度100%)水溶液300g、メタクリル酸(試薬:和光純薬工業(株))11.5g、及びメルカプトプロピオン酸0.98gを混合溶解した溶液と、過硫酸アンモニウム1.9gを水45gに溶解した溶液の2者を、それぞれ1.5時間かけて上記反応容器中に滴下した。その後、1時間熟成し、さらに過硫酸アンモニウム0.8gを水15gに溶解した溶液を30分かけて滴下し、引き続き1.5時間熟成した。この一連の間の反応系の温度は80℃に保たれた。熟成終了後に40℃以下に冷却した後、48重量%水酸化ナトリウム溶液9.6gで中和し、重量平均分子量54000の重合体A−1を得た。その後、イオン交換水を用いて固形分20重量%に調整した。
【0062】
〔製造例A−2〕(重合体A−2の製造)
攪拌機付きガラス製反応容器(四つ口フラスコ)に水687gを仕込み、撹拌しながら窒素置換をし、窒素雰囲気中で80℃まで昇温した。ω−メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数9:新中村化学製NKエステルM90G)87.4g、60重量%のω−メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数120:エステル純度97%)水溶液1052g、メタクリル酸(試薬:和光純薬工業(株))25.3g、及びメルカプトプロピオン酸1.5gを混合溶解した溶液と、過硫酸アンモニウム1.34gを水12gに溶解した溶液の2者を、それぞれ1.5時間かけて上記反応容器中に滴下した。その後、1時間熟成し、さらに過硫酸アンモニウム0.7gを水6gに溶解した溶液を30分かけて滴下し、引き続き1.5時間熟成した。この一連の間の反応系の温度は80℃に保たれた。熟成終了後に40℃以下に冷却した後、48重量%水酸化ナトリウム溶液14.4gで中和し、重量平均分子量53000の重合体A−2を得た。その後、イオン交換水を用いて固形分20重量%に調整した。
【0063】
〔製造例A−3〕(重合体A−3の製造)
撹拌機付きガラス製反応容器(四つ口フラスコ)に水1053.1g仕込み、撹拌しながら窒素置換をし、窒素雰囲気中で78℃まで昇温した。ω-メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレンオキサイドの付加モル数120)884.5gとメタクリル酸28.1g、アクリル酸メチル98.5gと2-メルカプトエタノール5.11gを水526.5gに溶解したものと過硫酸アンモニウム11.18gを水63.4gに溶解したものの二者をそれぞれ1.5時間かけて滴下した。引き続き、過硫酸アンモニウム3.73gを水21.1gに溶解したものを30分かけて滴下し、その後1時間同温度(78℃)で熟成した。熟成終了後に20重量%水酸化ナトリウム69.4gで中和し、重合体A−3を得た(重量平均分子量81000)。その後、イオン交換水を用いて固形分20重量%に調整した。
【0064】
〔製造例A−4〕(重合体A−4の製造)
攪拌機付きガラス製反応容器(四つ口フラスコ)に水333gを仕込み、撹拌しながら窒素置換をし、窒素雰囲気中で80℃まで昇温した。ω−メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数23:新中村化学製NKエステルM230G)300g、メタクリル酸(試薬:和光純薬工業(株))69.7g、及びメルカプトプロピオン酸6.3gを水200gに混合溶解した溶液と、過硫酸アンモニウム12.3gを水45gに溶解した溶液の2者を、それぞれ1.5時間かけて上記反応容器中に滴下した。その後、1時間熟成し、さらに過硫酸アンモニウム4.9gを水15gに溶解した溶液を30分かけて滴下し、引き続き1.5時間熟成した。この一連の間の反応系の温度は80℃に保たれた。熟成終了後に40℃以下に冷却した後、48重量%水酸化ナトリウム溶液50.2gで中和し、重量平均分子量43000の重合体A−4を得た。その後、イオン交換水を用いて固形分20重量%に調整した。
【0065】
〔製造例A−5〕(重合体A−5の製造)
攪拌機付きガラス製反応容器(四つ口フラスコ)に水198gを仕込み、撹拌しながら窒素置換をし、窒素雰囲気中で80℃まで昇温した。ω−メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数23:新中村化学製NKエステルM230G)300g、アクリル酸(試薬:和光純薬工業(株)純度:98%)59.5g、及びメルカプトプロピオン酸6.3gを水200gに混合溶解した溶液と、過硫酸アンモニウム12.3gを水45gに溶解した溶液の2者を、それぞれ1.5時間かけて上記反応容器中に滴下した。その後、1時間熟成し、さらに過硫酸アンモニウム4.9gを水15gに溶解した溶液を30分かけて滴下し、引き続き1.5時間熟成した。この一連の間の反応系の温度は80℃に保たれた。熟成終了後に40℃以下に冷却した後、48重量%水酸化ナトリウム溶液50.2gで中和し、重量平均分子量46000の重合体A−5を得た。その後、イオン交換水を用いて固形分20重量%に調整した。
【0066】
〔製造例A−6〕(重合体A−6の製造)
攪拌機付きガラス製反応容器(四つ口フラスコ)に水225g、及びポリオキシエチレン(エチレンオキシドの平均付加モル数30)アリルエーテル300gを仕込み、撹拌しながら窒素置換をし、窒素雰囲気中で80℃まで昇温した。マレイン酸(試薬:和光純薬工業(株)純度:99%)47.4g、及びメルカプトプロピオン酸3.7gを水137gに混合溶解した溶液と、過硫酸アンモニウム7.1gを水90gに溶解した溶液の2者を、それぞれ2.5時間かけて上記反応容器中に滴下した。その後、2時間熟成し、さらに過硫酸アンモニウム2.8gを水45gに溶解した溶液を60分かけて滴下し、引き続き2時間熟成した。この一連の間の反応系の温度は80℃に保たれた。熟成終了後に40℃以下に冷却した後、48重量%水酸化ナトリウム溶液26.6gで中和し、重量平均分子量31000の重合体A−6を得た。その後、イオン交換水を用いて固形分20重量%に調整した。
【0067】
これらの重合体の組成及び重量平均分子量(Mw)を表1にまとめた。
【0068】
【表1】

【0069】
表中の記号は以下のものである。表中、( )内の数字はEO平均付加モル数である
・Mw:重量平均分子量
【0070】
〔試験例1〕
以下の使用材料を以下の配合量で用いて、一括仕込みし、ボールミルにより粉砕してセメントを得た。得られたセメントを用いて調製した表2の配合(1)のモルタルについて、モルタルフロー及び強度を以下のように評価した。結果を表3に示す。
【0071】
(1−1)使用材料
・クリンカー:石灰石、粘土、けい石、酸化鉄原料等を組み合わせて焼成したものを、クラッシャー及びグラインダーにより粗粉砕し、普通ポルトランドセメント用クリンカー(目開き3.5mmふるい通過品)を得た。成分は、CaO:65%、SiO2:22%、Al23:5%、Fe23:3%、MgO他:3%(重量基準)であった。
・二水石膏:二水石膏(SO3量44.13%)
・粉砕助剤:表3参照
【0072】
(1−2)配合量
・クリンカー:1000g(粗粉砕後の目開き3.5mmふるい通過品)
・二水石膏:38.5g、添加SO3量を1.7%とした(1000g×1.7%/44.13%=38.5g)
・粉砕助剤:表3の化合物を、水硬性化合物(クリンカー)100重量部に対して、0.08重量部(各成分の合計量として)使用した。なお、表3の比率で水に溶解する化合物は水溶液として用い、水に溶解しない化合物は、当該化合物と水とを別々に表3の比率で合計量が上記使用量となるように添加した。
【0073】
(1−3)水硬性化合物の粉砕
株式会社セイワ技研製AXB−15を用い、ステンレスポット容量は18リットル(外径300mm)とし、30mmφ(呼び1・3/16)70個、20mmφ(呼び3/4)70個の合計140個のステンレスボールを使用し、ボールミルの回転数は、45rpmとした。また粉砕途中で粉砕物を排出する時間を1分間と設定した。75〜100分の粉砕時間で、3300±100cm2/gのブレーン値を有するセメントを得た。
【0074】
(1−4)モルタルフロー及び強度試験
モルタルフローは、セメントの物理試験方法(JIS R 5201)フロー試験に従った。また、強度は、セメントの物理試験方法(JIS R 5201)附属書2(セメントの試験方法−強さの測定)に従った。なお、モルタルの配合は、下記表1の配合(1)とした。
【0075】
【表2】

【0076】
・W:水道水
・C:前記(1−3)で得られたブレーン値3300±100cm2/gのセメント
・S:セメントの物理試験方法(JIS R 5201)附属書2(セメントの試験方法−強さの測定)に従った標準砂
【0077】
【表3】

【0078】
〔実施例1〕
表5の粉砕助剤を用いて試験例1と同様に水硬性化合物を粉砕してセメントを得た。ただし、比較例1−1は粉砕助剤としてジエチレングリコールのみを用い、また、比較例1−18は粉砕助剤を使用せずに、それぞれ水硬性化合物の粉砕を行った。得られたセメント及び上記重合体を用いて調製した表4の配合(2)のモルタルについて、モルタルフロー200±20mmを目標に重合体の添加量を調整し、モルタルフロー及び強度を試験例1と同様に評価した。結果を表5に示す。
【0079】
【表4】

【0080】
・W:水道水
・C:試験例1の(1−3)と同様の方法で得られたブレーン値3300±100cm2/gのセメント
・S:城陽産山砂(目開き3.5mmふるい通過品)
【0081】
【表5】

【0082】
表中、重合体の添加量は、セメントに対する有効分の重量%である。
【0083】
試験例1の配合1は流動性を有しており、モルタルの製造の際に分散剤を必要としない配合である。一方、実施例1の配合2は分散剤なしでは流動性の乏しい配合である。グリセリンと水とを粉砕助剤とした水硬性粉体の使用に関して、試験例1(試験例1−13)では、7日強度が一般に用いられるジエチレングリコールと水とを粉砕助剤とした場合(試験例1−2)よりも1N/mm2劣っている。しかし、モルタルの製造の際に分散剤として一般式(1)で表される重合体を使用する実施例1では(実施例1−1〜1−4)、いずれもジエチレングリコール(比較例1−1〜1−5)よりも7日強度に優れ、グリセリンと水とを粉砕助剤とした水硬性粉体と一般式(1)で表される重合体の併用の効果があることがわかる。しかも、グリセリンをモルタル調製時に添加した比較例1−18では7日強度が低いことから、グリセリンと水(グリセリン系粉砕助剤)は実施例のように粉砕時に用いる必要があり、添加時期が重要であることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリセリンと水及び/又は炭素数1〜4の1価アルコールとの存在下で水硬性化合物を粉砕して得られる水硬性粉体と、
下記の一般式(1)で表される単量体由来の構成単位1と下記の一般式(2)で表される単量体由来の構成単位2とを有する重合体と、
水と、
を混合して水硬性組成物を得る、水硬性組成物の製造方法であり、
前記水硬性化合物の粉砕の際の、グリセリンの存在量が、水硬性化合物100重量部に対して、0.001〜0.2重量部であり、水及び/又は炭素数1〜4の1価アルコールの存在量が、水硬性化合物100重量部に対して、0.001〜0.2重量部である、水硬性組成物の製造方法。
【化1】


〔式中、R1、R2は、それぞれ水素原子又はメチル基、R3は水素原子又は-(CH2)q(CO)pO(AO)r4、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基又はオキシスチレン基、pは0又は1の数、qは0〜2の数、rはAOの平均付加モル数であり、3〜300の数、R4は水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基を表す。〕
【化2】


〔式中、R5〜R7は、それぞれ水素原子、メチル基又は(CH2)sCOOM2であり、(CH2)sCOOM2はCOOM1又は他の(CH2)sCOOM2と無水物を形成していてもよく、その場合、それらの基のM1、M2は存在しない。sは0〜2の数を表す。M1、M2は、それぞれ水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、置換アルキルアンモニウム基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はアルケニル基を表す。〕
【請求項2】
水硬性化合物が、セメントクリンカーである請求項1記載の水硬性組成物の製造方法。
【請求項3】
前記水硬性化合物の粉砕の際の、グリセリンと水及び/又は炭素数1〜4の1価アルコールとの重量比〔グリセリン/(水及び/又は炭素数1〜4の1価アルコール)〕が90/10〜50/50である請求項1記載の水硬性組成物の製造方法。
【請求項4】
前記重合体の構成単位1となる一般式(1)で表される単量体の一般式(1)中のrが50〜300である請求項1〜3いずれか記載の水硬性組成物の製造方法。

【公開番号】特開2010−89972(P2010−89972A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−258778(P2008−258778)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】