説明

水硬性結合剤をベースとする水性配合物の取扱性を改善するための薬剤としての、(メタ)アクリル櫛形コポリマーおよび会合性アクリル系増粘剤の使用

本発明は、水硬性結合剤をベースとする水性配合物の製造における、親水性基で終端する側鎖がグラフトされている(メタ)アクリル系主鎖を有する少なくとも1つの櫛形コポリマー、および少なくとも1つのASEアクリル系ポリマーの組合せの使用に関する。偏析現象を引き起こすことなく、前記配合物の取扱性の改善が達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント、コンクリート、またはモルタルなどの水硬性結合剤ベースを用いた水性配合物において、その作業性を改善するために使用される混合物の分野に関する。今日のこれらの作業性薬剤のうちで最高の性能は櫛形分枝ポリマーであり、この櫛形分枝ポリマーは、アルコキシまたはヒドロキシポリアルキレングリコール型の、親水性官能基を有するモノマーがグラフトされている(メタ)アクリル酸系の性質の骨格を有する。これらのポリマーは以下、「親水性(メタ)アクリル系櫛形分枝ポリマー」と呼ぶ。
【背景技術】
【0002】
しかし現在まで、この潜在性は最適に利用できていない:これらの混合物を過剰使用したいという要求によって配合物の機械的特性の低下が引き起こされ、偏析、即ち混合物の各種の構成要素間の物理的分離が時々観察されてきた。
【0003】
親水性官能基を有するグラフトモノマーを持つこれらのメタクリル系櫛形分枝ポリマーを、ASE(アルカリ溶解性エマルション)会合性アクリル系増粘剤と組合せることに依存する本発明によって、この欠点を好都合に是正することができる。結果として、水硬性結合剤を含む水性配合物の作業性は、偏析現象も機械的特性の喪失も一切伴わずに、3時間より長い期間にわたって維持される。
【0004】
水硬性結合剤を含有する配合物中の水の量を、ただし配合物の流動性を変化させずに、減少させることは不可欠である:このことによりこの機械的特性のドーピングが行われる。そうするために、当業者は数年間にわたって、「流動化剤」、「可塑剤」、および「超可塑剤」としても公知の「減水剤」として知られる混合物を開発してきた。
【0005】
歴史的に、この第1の減水剤はUS3,772,045に記載されたようなリグノスルホン酸塩であり、次にUS3,359,225およびUS4,258,790で例証されているように、ホルムアルデヒドとナフタレンまたはメラミンスルホナートの重縮合物が後に使用された。
【0006】
負に帯電しているこれらのポリマーは、セメント粒子の表面にいったん吸着されると、セメント粒子の分散機構にとっての推進力となる、静電反発の現象を引き起こす;これらは「Superplasticizers for extending workability」(International Conference on superplasticizers and other chemical admixtures in concrete,Sorrento Italy,October 29−November 1,2006,supplementary paper,Ed.Malhotra,American Concrete Institute,pp.263−277)で指示されているように、セメントの固体含有率に対して、固体含有率約0.4%のポリマーの用量を必要とする。
【0007】
新たなより良好な性能の一群の減水剤:アルコキシまたはヒドロキシ−ポリアルキレングリコール官能基を有する親水性側鎖がグラフトされた、一般に本来、(メタ)アクリル系である骨格を有するカルボン酸系櫛形分枝ポリマーの減水剤が次に出現した(上で引用した文書を参照)。
【0008】
この改善された減水力は、アニオン性カルボン酸基によって引き起こされた静電反発現象と組合された、側鎖の存在に関連する立体反発機構の存在によって説明される。この改善により、第1世代の製品によって得られる軟度に匹敵するために、ポリマーをより少ない量(セメントの固体含有率に対して、約0.2%の固体含有率)で使用できるようになる。
【0009】
しかし上述のような用量では、従来技術のこのような生成物のいずれによっても、当業者にとっての重大な技術上の問題:長期間にわたる、特に3時間より長い作業性の保持を解決することはできない。作業性は文書US7,232,875において、水硬性結合剤ベースを含む水性配合物をなお作用させ得る時間として定義される。この値は従来、スランプ試験を使用して測定されている:円錐型スランプに試料が添加され、この型が引上げられたときに高さが測定される。スランプが高ければ高いほど、配合剤の作業性は良好である;この性質が経時的に保持される場合、これはスランプ保持と呼ばれる。
【0010】
当業者は、この作業性が長期間続く性質を改善しようとしている。実際に、セメントまたはコンクリートを工場で製造して、後でこれが使用される作業現場に運搬することは一般的である;数時間かかり得る、この運搬の間に、配合物の作業性は変化してはならない;そうでなければ、このセメントまたはコンクリートはもはや加工することができない。または実装現場で減水剤を新たに添加することが有効でなければならない(配合物が硬化を開始した場合には、この操作は不可能である。)、もしくは輸送中に一連の注入が有効でなければならない:発生する物流および追加費用が、このような解決策の使用にとっての主な欠点である。
【0011】
これらの配合物の作業性を維持するために、当業者は本能的に、使用される減水剤、特に親水性櫛形分枝(メタ)アクリル系ポリマー減水剤を「過剰使用」しようとしてきた。この過剰使用は、この薬剤の作用時間を延長することを意味する。しかし当分野で現在周知であるように、この過剰使用によって、高すぎる初期流体化を引き起こす。
【0012】
結果として、流体化効果は分散機構に反して作用する:構成要素の分布は配合物中でもはや均一ではなく、このことはこの機械的特性に悪影響を及ぼす。幾つかの場合で、初期の流体化力は非常に顕著であるため、偏析、即ち媒体の各種の構成要素の物理的分離が引き起こされる。この問題はWO 2007/047407で詳述されている。
【0013】
従来技術の減水剤、特に親水性櫛形分枝(メタ)アクリル系ポリマーが過剰使用できないことを前提として、当業者は、偏析または機械的特性の喪失の望ましくない影響を伴わずに、満足な初期流体化力および時間に対する安定した作業性を得るために、代わりの解決策を考え出した。
【0014】
それゆえWO 2007/047407は、これ自体の問題を引き起こす硬化遅延剤を添加する、明らかな解決策を提案している:硬化遅延剤はこれ自体および単独で配合物に添加するための新たな混合物を構成し、この用量は使用する減水剤の量に基づいて最適化する必要があり、得られる作業性は2時間を超えるともはや安定でない。
【0015】
他の解決策は、従来技術の親水性櫛形分枝(メタ)アクリル系ポリマーの組成物を扱う変化からなる;しかしこれらは高い選択性の化学構造に集中するという欠点を有し、このいずれも3時間を超える作業性の持続をもたらさない。さらにこれらはすべて構造上の変化に基づいており、長期にわたって使用されるポリマーの流体化効果を拡大することを意図している。このために、上記の文書「Superplasticizers for extending workability」は、様々な長さの側鎖を(メタ)アクリル系主骨格にグラフトすることを開示している:側鎖はこの長さに応じて徐々に加水分解して、長時間にわたって分散効果を維持する(図4により最大2時間半)。
【0016】
同時に、文書「Development of new superplasticizer providing ultimate workability」(8th CANMET,Superplasticizers and other chemical admixtures in concrete,2008,Ed.Malhotra,American Concrete Institute,pp.31−49)は、2官能性カルボン酸コモノマーを主骨格に付加することによって、櫛形分枝(メタ)アクリル系ポリマーの親水性分枝の数を増加させることを提案している:このことにより、セメント粒子表面へのポリマーの吸着が良好となり、従って表5による少なくとも1時間半の安定な作業性がもたらされる。
【0017】
最後に、文書「development of slump−loss controlling agent with minimal setting retardation」(7th CANMET,Superplasticizers and other chemical admixtures in concrete,2003,Ed.Malhotra,American Concrete Institute,pp.127−141)は、この疎水性側鎖モノマーがより低速で加水分解するエステル官能基を有する櫛形分枝ポリマーについて記載している:これにより2時間半にわたる良好な作業性が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第3,772,045号明細書
【特許文献2】米国特許第3,359,225号明細書
【特許文献3】米国特許第4,258,790号明細書
【特許文献4】米国特許第7,232,875号明細書
【特許文献5】国際公開第2007/047407号
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】「Superplasticizers for extending workability」(International Conference on superplasticizers and other chemical admixtures in concrete,Sorrento Italy,October 29−November 1,2006,supplementary paper,Ed.Malhotra,American Concrete Institute,pp.263−277)
【非特許文献2】「Development of new superplasticizer providing ultimate workability」(8th CANMET,Superplasticizers and other chemical admixtures in concrete,2008,Ed.Malhotra,American Concrete Institute,pp.31−49)
【非特許文献3】文書「development of slump−loss controlling agent with minimal setting retardation」(7th CANMET,Superplasticizers and other chemical admixtures in concrete,2003,Ed.Malhotra,American Concrete Institute,pp.127−141)
【発明の概要】
【0020】
出願人は、水硬性結合剤を含む水性配合物における良好なレベルの初期流動性を維持して、同時に機械的特性を変化させたり、または偏析現象を引き起こしたりすることなく、この作業性を維持することを可能にする添加剤の研究を続け、従来技術による親水性櫛形分枝(メタ)アクリル系コポリマーおよびASE会合性アクリル系増粘剤の混合から生じる新たな混合物の使用を開発した。
【0021】
ASE(アルカリ溶解性エマルション)増粘剤は、(メタ)アクリル酸とこれらの酸のエステルとのコポリマーであるエマルションの増粘剤を指す。出願人は、(メタ)アクリル酸、これらの酸のエステル、および疎水性モノマーのコポリマーであるエマルションの増粘剤を指すこのような増粘剤がHASE(疎水性修飾アルカリ溶解性エマルション)ポリマーとは異なることを指摘する。
【0022】
これらの化学物質の作用機序は異なる。酸性状態の時の分散形態のASEポリマーのみが、中和されると溶解性となる。媒体を中和することによって、ポリマー鎖によって担持される各種のカルボン酸基の間にイオン反発機構が引き起こされる。これらのイオン化基が大量の水分子を分極すると、このことにより媒体の粘度が上昇する。上述のイオン性および分極現象に加えて、HASEポリマーは疎水性基間の相互作用を含み、これも媒体の増粘に寄与する。全く予想外なことに、これらの疎水性(メタ)アクリル系櫛形分枝コポリマーが親水性(メタ)アクリル系櫛形分枝コポリマーの存在下で水硬性結合剤ベースを含む水性配合剤に使用されるとき、結果は、従来技術に対して親水性櫛形分枝コポリマーの用量がきわめて大幅に増加して、偏析および機械的特性の変化は伴わないというものである:セメントの重量に対して親水性櫛形分枝ポリマーの0.6%固体含有率を超える量が達成される。
【0023】
このようにすることにより、配合物の作業時間は現在までのいずれの方式とも異なる方式で延長される:従来のスランプ試験を使用して測定したように、3時間より長い値が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】スランプの値を、時間(分)に対するスランプ(センチメートル)で示す。
【図2】最初の組成物を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
従って本発明の第1の目的は、水硬性結合剤ベースを含む水性配合物の作業性を改善する薬剤としての:
a)少なくとも1個のアルコキシ−またはヒドロキシ−ポリアルキレングリコール親水性基を持つ少なくとも1個の側鎖を有する、少なくとも1つの櫛形分枝(メタ)アクリル系コポリマー、
b)少なくとも1つのASEアクリル系ポリマー、
の使用からなる。
【0026】
第1の変形において、水硬性結合剤ベースを含む水性配合物の作業性を改善する薬剤としてのこの使用は、前記櫛形分枝コポリマーa)および前記アクリル系ポリマーb)が前記水性配合物に別々に添加されることをさらに特徴とする。
【0027】
第2の変形において、水硬性結合剤ベースを含む水性配合物の作業性を改善する薬剤としてのこの使用は、前記櫛形分枝コポリマーa)および前記アクリル系ポリマーb)が混合物の形態で添加されることをさらに特徴とする。
【0028】
この変形により、混合物はこの総重量の10%から50%の固体含有率を有する。
【0029】
この変形により、混合物は、この全固体の5%から95%の、さらに好ましくは10%から90%の櫛形分枝コポリマーa)の乾燥固体含有率を有する。
【0030】
この使用は、前記櫛形分枝コポリマーa)が、このモノマーそれぞれの重量によるパーセンテージで表され、これらのパーセンテージの和が100%に等しい:
a1)5%から30%の(メタ)アクリル酸、
a2)式(I)を有する、70%から95%の少なくとも1つのモノマー:
【0031】
【化1】

(式中:
m、n、pおよびqは整数であり、m、n、pは150未満であり、qは0より大きく、m、nおよびpの中で少なくとも1個の整数がゼロ以外であり;
Rは、重合性不飽和官能基を含有するラジカルであり、さらに好ましくはビニルの群ならびにアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、およびマレイン酸エステルの群、ならびに不飽和ウレタン、例えばアクリルウレタン、メタクリルウレタン、α−α’ジメチル−イソプロペニル−ベンジルウレタン、アリルウレタンの群、ならびに置換されているか否かにかかわらず、アリルエーテルもしくはビニルエーテルの群、またはエチレン性不飽和アミドもしくはイミドの群に属し、
およびRは、同じまたは異なり、水素原子またはアルキル基を表し、
R’は、水素もしくは1から40個の炭素原子を有する炭化水素化ラジカル、またはイオン性もしくはイオン化性基、例えばホスフェート、ホスホネート、サルフェート、スルホナート、カルボキシル、または1級、2級もしくは3級アミン、または4級アンモニウム、またはこの混合物も示す。)、
a3)モノマーa1)およびa2)とは異なり、さらに好ましくはエステル、アミド、エーテル、スチレン系モノマー、カチオン性モノマー、スルホン酸モノマー、リン酸モノマーであり、非常に好ましくはエチルアクリレートである、0%から50%の少なくとも1つのモノマー、
から構成されることをさらに特徴とする。
【0032】
この使用は、前記ASEアクリル系ポリマーb)が(メタ)アクリル酸およびこれらの酸のエステルから構成されることも特徴とする。
【0033】
この使用は、櫛形分枝コポリマーa)およびアクリル系ポリマーb)が、溶液、直接エマルション、もしくは逆エマルション中での、溶媒中の懸濁液もしくは沈殿中での、触媒系および連鎖移動剤の存在下でのラジカル重合によって;またはラジカル媒介重合によって、およびさらに好ましくはニトロキシド媒介重合(NMP)もしくはコバロキシム媒介重合によって、原子移動ラジカル重合(ATRP)によって、またはカルバメート、ジチオエステルもしくはトリチオカルボネート(RAFT)もしくはキサンタートから選択される硫黄誘導体によるラジカル媒介重合によって得られることをさらに特徴とする。
【0034】
この使用は、重合後に、櫛形分枝コポリマーa)およびアクリル系ポリマーb)を蒸留することをさらに特徴とする。
【0035】
この使用は、櫛形分枝コポリマーa)およびアクリル系ポリマーb)が、静的または動的分離プロセスを使用して、さらに好ましくは水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、およびこの混合物によって形成される群に属する1つ以上の極性溶媒によって複数の相に分離されることをさらに特徴とする。
【0036】
この使用は、櫛形分枝コポリマーa)およびアクリル系ポリマーb)が1価または多価カチオンを有する1つ以上の中和剤によって完全または部分中和され、前記中和剤がさらに好ましくは、水酸化アンモニウムからまたは水酸化および/もしくは酸化カルシウムもしくはマグネシウムから、または水酸化ナトリウム、カリウム、もしくはリチウムの中から、または1級、2級、および3級脂肪族および/もしくは環式アミンならびにさらに好ましくはステアリルアミン、エタノールアミン(モノ−、ジ−、トリ−エタノールアミン)、モノ−およびジエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、アミノ−メチル−プロパノール、モルホリンから選択されること;ならびにさらに好ましくは中和剤がトリエタノールアミンおよび水酸化ナトリウムから選択されることをさらに特徴とする。
【0037】
水硬性結合剤ベースを含む水性配合物の作業性を改善する薬剤としてのこの使用は、前記配合物がセメント、モルタル、コンクリート、またはグラウト、およびさらに好ましくはコンクリートであることをさらに特徴とする。
【0038】
a)少なくとも1つのアルコキシ−またはヒドロキシ−ポリアルキレングリコール親水性基を持つ少なくとも1つの鎖を有する、少なくとも1つの櫛形分枝(メタ)アクリル系コポリマー、
b)少なくとも1つのASEアクリル系ポリマー、
の、水硬性結合剤ベースを含む水性配合物の作業性を改善する薬剤としてのこの使用は
水硬性結合剤ベースを含む前記水性配合物が、水硬性結合剤の固体含有率に対して、0.1% 2%の、さらに好ましくは0.2%から1%の、および非常に好ましくは0.4%から0.8%の固体含有率の構成要素a)およびb)を含有することをさらに特徴とする。
【0039】
本発明の別の目的は、水硬性結合剤ベースを含む水性配合物であって、作業性を改善する薬剤として:
a)少なくとも1つのアルコキシ−またはヒドロキシ−ポリアルキレングリコール親水性基を持つ少なくとも1つの側鎖を有する、少なくとも1つの櫛形分枝(メタ)アクリル系コポリマー、
b)少なくとも1つのASEアクリル系ポリマー
を含有する、水性配合物からなる。
【0040】
この配合物は、前記櫛形分枝コポリマーa)が、このモノマーそれぞれの重量によるパーセンテージで表され、これらのパーセンテージの和が100%に等しい:
a1)5%から30%の(メタ)アクリル酸、
a2)式(I)を有する、70%から95%の少なくとも1つのモノマー:
【0041】
【化2】

(式中:
m、n、pおよびqは整数であり、m、n、pは150未満であり、qは0より大きく、m、nおよびpの中で少なくとも1個の整数がゼロ以外であり;
Rは、重合性不飽和官能基を含有するラジカルであり、さらに好ましくはビニルの群ならびにアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、およびマレイン酸エステルの群、ならびに不飽和ウレタン、例えばアクリルウレタン、メタクリルウレタン、α−α’ジメチル−イソプロペニル−ベンジルウレタン、アリルウレタンの群、ならびに置換されているかにかかわらず、アリルエーテルもしくはビニルエーテルの群、またはエチレン性不飽和アミドもしくはイミドの群に属し、
およびRは、同じまたは異なり、水素原子またはアルキル基を表し、
R’は、水素もしくは1から40個の炭素原子を有する炭化水素化ラジカル、またはイオン性もしくはイオン化性基、例えばホスフェート、ホスホネート、サルフェート、スルホナート、カルボキシル、または1級、2級もしくは3級アミン、または4級アンモニウム、またはこの混合物も表す。)、
a3)モノマーa1)およびa2)とは異なり、さらに好ましくはエステル、アミド、エーテル、スチレン系モノマー、カチオン性モノマー、スルホン酸モノマー、リン酸モノマーであり、非常に好ましくはエチルアクリレートである、0%から50%の少なくとも1つのモノマー、
から構成されることをさらに特徴とする。
【0042】
この配合物は、前記ASEアクリル系ポリマーb)が(メタ)アクリル酸およびこれらの酸のエステル、ならびに(メタ)アクリル酸およびこれらの酸のエステルから構成されることをさらに特徴とする。
【0043】
この配合物は、櫛形分枝コポリマーa)およびアクリル系ポリマーb)が、溶液、直接エマルション、もしくは逆エマルション中での、溶媒中の懸濁液もしくは沈殿中での、触媒系および連鎖移動剤の存在下でのラジカル重合によって、またはラジカル媒介重合によって、およびさらに好ましくはニトロキシド媒介重合(NMP)もしくはコバロキシム媒介重合によって、原子移動ラジカル重合(ATRP)によって、またはカルバメート、ジチオエステルもしくはトリチオカルボネート(RAFT)もしくはキサンタートから選択される硫黄誘導体によるラジカル媒介重合によって得られることをさらに特徴とする。
【0044】
この配合物は、重合後に、櫛形分枝コポリマーa)およびアクリル系ポリマーb)を蒸留することをさらに特徴とする。
【0045】
この配合物は、櫛形分枝コポリマーa)およびアクリル系ポリマーb)が、静的または動的分離プロセスを使用して、さらに好ましくは水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、およびこの混合物によって形成される群に属する1つ以上の極性溶媒によって複数の相に分離されることをさらに特徴とする。
【0046】
この配合物は、櫛形分枝コポリマーa)およびアクリル系コポリマーb)が1価または多価カチオンを有する1つ以上の中和剤によって完全または部分中和され、前記中和剤がさらに好ましくは、水酸化アンモニウムからまたは水酸化および/もしくは酸化カルシウムもしくはマグネシウムから、または水酸化ナトリウム、カリウム、もしくはリチウムの中から、または1級、2級、および3級脂肪族および/もしくは環式アミンならびにさらに好ましくはステアリルアミン、エタノールアミン(モノ−、ジ−、トリ−エタノールアミン)、モノ−およびジエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、アミノ−メチル−プロパノール、モルホリンから選択されること、ならびにさらに好ましくは中和剤がトリエタノールアミンおよび水酸化ナトリウムから選択されることをさらに特徴とする。
【0047】
この配合物は、この配合物がセメント、モルタル、コンクリート、またはグラウト、およびさらに好ましくはコンクリートであることをさらに特徴とする。
【0048】
この配合物は、この配合物が水硬性結合剤の固体含有率に対して、0.1%から2%の、さらに好ましくは0.2%から1%の、および非常に好ましくは0.4%から0.8%の固体含有率の構成要素a)およびb)を含有することをさらに特徴とする。
【0049】
実施例
すべての試験において、水溶液a)で使用するポリマーの分子量は、文書FR2,917,091に記載されているように、多重検出立体排除クロマトグラフィー(SEC3D)技法を使用して決定する。
【0050】
水溶液b)で使用するポリマーの質量は、文書FR 2,907,347に記載されているように、立体排除クロマトグラフィー技法を使用して決定する。
【実施例1】
【0051】
使用するポリマーは、当業者に周知の重合技法によって得る。
【0052】
すべての試験は、メーソンリー型電気セメントミキサー(容量約100リットル)に10/20骨材22kgおよび0/4砂25kgを添加することによって開始し、次にこれを30秒間混合する。
【0053】
次にCEM I 52.4 PM ESセメント6.5kgを添加する;これが開始時間に相当する。
【0054】
乾燥物質を1分間混合する。
【0055】
次に、従来技術によるまたは本発明による生成物を含有する、ある量の水溶液を添加する。
【0056】
次にブレンドの混合を7分間続ける。
【0057】
次にアブラハム円錐を用いて、AFNOR EN 12350−2規格に記載された方法を使用して、スランプを測定する。この最初の測定値が初期スランプ値に相当し、この変化を経時的に追跡する。
【0058】
スランプの値を、時間(分)に対するスランプ(センチメートル)で図1に示す。
【0059】
丸形記号の付いた点線の曲線は、従来技術による試験1に関連しており、試験1では(スランプ測定値と比較して)作業性の損失を補正するために生成物を添加する必要がある。
【0060】
正方形記号の付いた点線の曲線は、従来技術による試験2に関連しており、試験2では生成物が過剰使用されている。
【0061】
丸型記号の付いた実線の曲線は、別々に添加された2つの生成物を使用する、本発明による試験3に関連している。
【0062】
丸型記号の付いた実線の曲線は、混合物として添加された2つの生成物を使用する、本発明による試験4に関連している。
【0063】
試験番号1
この試験は、従来技術を例証して、親水性櫛形分枝コポリマーの水溶液(40重量%)0.065kgを使用し、親水性櫛形分枝コポリマーは、この重量による分子量が40,000g/モルに等しく、(重量により):
a1)10%メタクリル酸と、
a2)90%の、式(I)のモノマー(式中:
m+n+p+56、q=1
Rはメタクリル酸官能基であり、
およびRはメチル基を示し、
R’は水素を示す。)と、
から構成される。
【0064】
従って、この試験において、使用する生成物(親水性櫛形分枝ポリマー)はセメントの固体含有率に対して0.40%の固体含有率のコポリマーであり、これは当業者によって通常使用される用量に相当する。
【0065】
スランプの変化を経時的に追跡すると(図1の丸形記号の付いた破線の曲線を参照)、作業性のきわめて著しい損失を意味する、スラリの減少が見られる。
【0066】
2時間の終りに、同じコポリマーを含有する同じ水溶液0.035kgを添加することにより、この低下を改善しようとした:次にこの用量は、セメントの固体含有率に対して、コポリマーの0.62%の固体含有率に等しくなった。
【0067】
次に作業性が再度上昇するのが観察された。しかし生成物の添加は必要であった:このことは、工業規模での開発が複雑である物流管理、およびコンクリート組成の中間での(および従って望ましくない)変化の両方を表す。
【0068】
試験番号2
この試験は、従来技術を例証して、試験1で使用したのと同じ水溶液0.1kgを使用する。
【0069】
この状況では、前記溶液のすべてを試験開始時に添加する。使用する生成物(親水性櫛形分枝ポリマー)の用量は、セメントの固体含有率に対して0.62%の固体含有率に等しい:これは従来技術で時々行われるような「過剰使用」試験を例証する。
【0070】
第1に、作業性が本発明の生成物によって得られる作業性よりも低いことに注目する(図1を参照)。
【0071】
第2に、最初の瞬間の組成物を示す写真である図2に示すように、Abraham円錐を取外されると、当業者にとって望ましくない、きわめて著しい偏析現象が現れる。
【0072】
試験番号3
この試験は、本発明を例証し、
a)90重量%の、試験1で使用したものと同じ水溶液と、
b)重量による分子量が40,000g/molに等しく、重量により:
b1)55%のメタクリル酸、
b2)45%のエチルアクリレート
から構成される、10重量%の、ASEアクリル系ポリマーの水溶液(35重量%)と、を含む合計0.120kgを使用し、これらの2つの溶液a)およびb)は最初に、しかし別々に添加する。
【0073】
従ってこの試験では、セメントの固体含有率に対して固体含有率0.66%の親水性櫛形分枝コポリマーa)を使用する。
【0074】
試験番号4
この試験は、本発明を例証して:
a)90重量%の、試験1で使用した水溶液a)と、
b)10重量%の、試験3で使用した水溶液b)と、
を含有する、水溶液0.120kgを使用する。
【0075】
水溶液は、溶液a)およびb)の混合物の形態で最初に添加する。
【0076】
従ってこの試験では、セメントの固体含有率に対して固体含有率0.66%の親水性櫛形分枝コポリマーa)を使用する。
【0077】
試験3および4は、いずれの偏析現象も引き起こさない:しかし試験3および4は、使用される親水性櫛形分枝コポリマーa)の量が過剰使用となる可能性を生じる。
【0078】
さらに、全体として好都合なことに、結果は、すべての時点における作業性が、後で生成物を添加することなく、従来技術で得られた作業性より優れていることである。
【0079】
最終的に、この作業性は3時間にわたって完全に安定であり、このことは以前には不可能であった。
【実施例2】
【0080】
以下のすべての試験において、コンクリートは実施例1と同じ方法で産生する。
【0081】
次にアブラハム円錐を用いて、AFNOR EN 12350−2規格に記載された方法を使用して、スランプを測定する。この最初の測定値が初期スランプ値A(cm)に相当する。同じ測定値A180(cm)を180分後に得る。
【0082】
開始時にコンクリートを点検して偏析がないことを確認して、次にスランプ値の変化を180分後に点検する。
【0083】
以下の試験は、2つの水溶液a)およびb)の混合物を使用する;混合物は最初に、実施例1と同様に導入する。
【0084】
試験番号5
この試験は、本発明を例証して::
a)この分子量が45,000g/molに等しく(重量により):
a1)10%のメタクリル酸と、
a2)90%の、式(I)を有するモノマー(式中
m+n+p=56、q=1
Rはメタクリル酸官能基であり、
およびRはメチル基を示し、
R’は水素を示す。)と、
から構成される、90重量%の、親水性櫛形分枝コポリマーの水溶液(40重量%)と、
b)10重量%の、試験3で使用した水溶液b)と、
を含有する0.360kgの水溶液
または代わりに、セメントの固体含有率に対して2.0重量%の親水性櫛形分枝コポリマーa)を使用する。
【0085】
試験番号6
この試験は、本発明を例証して:
a)この分子量が130,000g/molに等しく(重量により):
a1)10%のメタクリル酸と、
a2)90%の、式(I)を有するモノマー(式中:
m+n+p=56、q=1
Rはメタクリル酸官能基であり、
およびRはメチル基を示し、
R’は水素を示す。)と、
から構成される、90重量%の、親水性櫛形分枝コポリマーの水溶液(40重量%)と、
b)10重量%の、試験3で使用した水溶液b)と、
を含有する0.360kgの水溶液
または代わりに、セメントの固体含有率に対して2.0重量%の親水性櫛形分枝コポリマーa)を使用する。
【0086】
試験番号7
この試験は、本発明を例証して:
a)この分子量が74,000g/molに等しく、
a1)10%のメタクリル酸と、
a2)90%の、式(I)を有するモノマー(式中:
m+n+p=56、q=1
Rはメタクリル酸官能基であり、
およびRはメチル基を示し、
R’は水素を示す。)から構成される、90重量%の、親水性櫛形分枝コポリマーの水溶液(40重量%)と、
b)10重量%の、試験3で使用した水溶液b)と、
を含有する、0.360kgの水溶液
または代わりに、セメントの固体含有率に対して2.0重量%の親水性櫛形分枝コポリマーa)を使用する。
【0087】
試験番号8
この試験は、本発明を例証して:
a)80重量%の、試験3で使用した水溶液a)と、
b)20重量%の、試験3で使用した水溶液b)と、
を含有する0.2025kgの水溶液
または代わりに、セメントの固体含有率に対して1.0重量%の親水性櫛形分枝コポリマーa)を使用する。
【0088】
試験番号9
この試験は、本発明を例証して:
a)90重量%の、試験5で使用した水溶液a)と、
b)重量により:
b1)50%のメタクリル酸と、
b2)50%のエチルアクリレートと、
から構成される、10重量%の、ASEアクリル系ポリマーの水溶液(35重量%)と、
を含有する0.180kgの水溶液
または代わりに、セメントの固体含有率に対して1.0重量%の親水性櫛形分枝コポリマーa)を使用する。
【0089】
試験番号10
この試験は、本発明を例証して:
a)90重量%の、試験5で使用した水溶液a)と、
b)重量により:
b1)50%のメタクリル酸と、
b2)50%のエチルアクリレートと、
から構成される、10重量%の、ASEアクリル系ポリマーの水溶液と、
を含有する0.240kgの水溶液
または代わりに、セメントの固体含有率に対して1.0重量%の親水性櫛形分枝コポリマーa)を使用する。
【0090】
これらの新たな試験のいずれも、偏析現象を引き起こさなかった。
【0091】
開始時A(cm)および3時間後A180(cm)のスランプ値を表1に記録し、試験2では従来技術を示し、試験3から10では本発明を示す。
【0092】
【表1】

従来技術と比較して好都合なことに、本発明は、水溶液a)の用量の増加に成功している。
【0093】
これにより、試験2のように偏析現象を伴わずに、初期作業性の実質的な改善がもたらされる。
【0094】
この作業性は、3時間後でも改善されたままであり、このことは以前には見られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1つのアルコキシ−またはヒドロキシ−ポリアルキレングリコール親水性基を持つ少なくとも1つの側鎖を有する、少なくとも1つの櫛形分枝(メタ)アクリル系コポリマー;
b)少なくとも1つのASEアクリル系ポリマー;
の、水硬性結合剤ベースを含む水性調合物の作業性を改善する薬剤としての使用。
【請求項2】
前記櫛形分枝コポリマーa)および前記アクリル系コポリマーb)が前記水性配合物中に別々に添加されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記櫛形分枝コポリマーa)および前記アクリル系コポリマーb)が混合物の形態で添加されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
混合物がこの全重量の10%から50%の乾燥固体含有率を有することを特徴とする、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
混合物がこの全固体物質の5%から95%の、およびさらに好ましくは10%から90%の乾燥固体含有率の櫛形分枝コポリマーa)を有することを特徴とする、請求項3または4の一項に記載の使用。
【請求項6】
前記櫛形分枝コポリマーa)が、このモノマーそれぞれの重量によるパーセンテージで表され、これらのパーセンテージの和が100%に等しい:
a1)5%から30%の(メタ)アクリル酸、
a2)式(I)を有する、70%から95%の少なくとも1つのモノマー:
【化1】

(式中:
m、n、pおよびqは整数であり、m、n、pは150未満であり、qは0より大きく、m、nおよびpの中で少なくとも1個の整数がゼロ以外であり;
Rは、重合性不飽和官能基を含有するラジカルであり、さらに好ましくはビニルの群ならびにアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、およびマレイン酸エステルの群、ならびに不飽和ウレタン、例えばアクリルウレタン、メタクリルウレタン、α−α’ジメチル−イソプロペニル−ベンジルウレタン、アリルウレタンの群、ならびに置換されているかにかかわらず、アリルエーテルもしくはビニルエーテルの群、またはエチレン性不飽和アミドもしくはイミドの群に属し;
およびRは、同じまたは異なり、水素原子またはアルキル基を表し、
R’は、水素もしくは1から40個の炭素原子を有する炭化水素化ラジカル、またはイオン性もしくはイオン化性基、例えばホスフェート、ホスホネート、サルフェート、スルホナート、カルボキシル、または1級、2級もしくは3級アミン、または4級アンモニウム、またはこの混合物も表す。)、
a3)モノマーa1)およびa2)とは異なり、さらに好ましくはエステル、アミド、エーテル、スチレン系モノマー、カチオン性モノマー、スルホン酸モノマー、リン酸モノマーであり、非常に好ましくはエチルアクリレートである、0%から50%の少なくとも1つのモノマー、
から構成されることを特徴とする、請求項1から5の一項に記載の使用。
【請求項7】
前記ASEアクリル系ポリマーb)が(メタ)アクリル酸およびこれらの酸のエステルから構成されることを特徴とする、請求項1から6の一項に記載の使用。
【請求項8】
アクリル系コポリマーa)およびアクリル系ポリマーb)が、溶液、直接エマルション、もしくは逆エマルション中での、溶媒中の懸濁液もしくは沈殿中での、触媒系および連鎖移動剤の存在下でのラジカル重合によって;またはラジカル媒介重合によって、およびさらに好ましくはニトロキシド媒介重合(NMP)もしくはコバロキシム媒介重合によって、原子移動ラジカル重合(ATRP)によって、カルバメート、ジチオエステルもしくはトリチオカルボネート(RAFT)もしくはキサンタートから選択される硫黄誘導体によるラジカル媒介重合によって得られることを特徴とする、請求項1から7の一項に記載の使用。
【請求項9】
重合後に、櫛形分枝コポリマーa)およびアクリル系ポリマーb)を蒸留することを特徴とする、請求項1から8の一項に記載の使用。
【請求項10】
櫛形分枝コポリマーa)およびアクリル系ポリマーb)が、静的または動的分離プロセスを使用して、さらに好ましくは水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、およびこの混合物によって形成される群に属する1つ以上の極性溶媒によって複数の相に分離されることを特徴とする、請求項1から9の一項に記載の使用。
【請求項11】
櫛形分枝コポリマーa)およびアクリル系ポリマーb)が1価または多価カチオンを有する1つ以上の中和剤によって完全または部分中和され、前記中和剤がさらに好ましくは、水酸化アンモニウムからまたは水酸化および/もしくは酸化カルシウムもしくはマグネシウムから、または水酸化ナトリウム、カリウム、もしくはリチウムの中から、または1級、2級、および3級脂肪族および/もしくは環式アミンならびにさらに好ましくはステアリルアミン、エタノールアミン(モノ−、ジ−、トリ−エタノールアミン)、モノ−およびジエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、アミノ−メチル−プロパノール、モルホリンから選択されること;ならびにさらに好ましくは中和剤がトリエタノールアミンおよび水酸化ナトリウムから選択されることを特徴とする、請求項1から10の一項に記載の使用。
【請求項12】
前記配合物がセメント、モルタル、コンクリート、またはグラウト、およびさらに好ましくはコンクリートであることを特徴とする、請求項1から11の一項に記載の使用。
【請求項13】
a)少なくとも1つのアルコキシ−またはヒドロキシ−ポリアルキレングリコール親水性基を持つ少なくとも1つの側鎖を有する、少なくとも1つの櫛形分枝(メタ)アクリル系コポリマー、
b)少なくとも1つのASEアクリル系ポリマー、
の、水硬性結合剤ベースを含む水性配合物の作業性を改善する薬剤としての、請求項1から12の一項に記載の使用であって、
水硬性結合剤ベースを含む前記水性配合物が、水硬性結合剤の固体含有率に対して、0.1% 2%の、さらに好ましくは0.2%から1%の、および非常に好ましくは0.4%から0.8%の固体含有率の構成要素a)およびb)を含有することを特徴とする使用。
【請求項14】
作業性を改善する薬剤として:
a)少なくとも1つのアルコキシ−またはヒドロキシ−ポリアルキレングリコール親水性基を持つ少なくとも1つの側鎖を有する、少なくとも1つの櫛形分枝(メタ)アクリル系コポリマー、
b)少なくとも1つのASEアクリル系ポリマー、
を含有する、水硬性結合剤ベースを含む水性配合剤。
【請求項15】
前記櫛形分枝コポリマーa)が、このモノマーそれぞれの重量によるパーセンテージで表され、これらのパーセンテージの和が100%に等しい:
a1)5%から30%の(メタ)アクリル酸、
a2)式(I)を有する、70%から95%の少なくとも1つのモノマー
【化2】

(式中:
m、n、pおよびqは整数であり、m、n、pは150未満であり、qは0より大きく、m、nおよびpの中で少なくとも1個の整数がゼロ以外であり;
Rは、重合性不飽和官能基を含有するラジカルであり、さらに好ましくはビニルの群ならびにアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、およびマレイン酸エステルの群、ならびに不飽和ウレタン、例えばアクリルウレタン、メタクリルウレタン、α−α’ジメチル−イソプロペニル−ベンジルウレタン、アリルウレタンの群、ならびに置換されているかにかかわらず、アリルエーテルもしくはビニルエーテルの群、またはエチレン性不飽和アミドもしくはイミドの群に属し;
およびRは、同じまたは異なり、水素原子またはアルキル基を表し、
R’は、水素もしくは1から40個の炭素原子を有する炭化水素化ラジカル、またはイオン性もしくはイオン化性基、例えばホスフェート、ホスホネート、サルフェート、スルホナート、カルボキシル、または1級、2級もしくは3級アミン、または4級アンモニウム、またはこの混合物も表す。)、
a3)モノマーa1)およびa2)とは異なり、さらに好ましくはエステル、アミド、エーテル、スチレン系モノマー、カチオン性モノマー、スルホン酸モノマー、リン酸モノマーであり、非常に好ましくはエチルアクリレートである、0%から50%の少なくとも1つのモノマー、
から構成されることを特徴とする、請求項14に記載の水性配合物。
【請求項16】
前記ASEアクリル系ポリマーb)が(メタ)アクリル酸およびこれらの酸のエステル、(メタ)アクリル酸およびこれらの酸のエステルから構成されることをさらに特徴とする、請求項14または15に記載の水性配合物。
【請求項17】
アクリル系ポリマーa)およびアクリル系ポリマーb)が溶液、直接エマルション、もしくは逆エマルション中での、溶媒中の懸濁液もしくは沈殿中での、触媒系および連鎖移動剤の存在下でのラジカル重合によって;またはラジカル媒介重合によって、およびさらに好ましくはニトロキシド媒介重合(NMP)もしくはコバロキシム媒介重合によって、原子移動ラジカル重合(ATRP)によって、カルバメート、ジチオエステルもしくはトリチオカルボネート(RAFT)もしくはキサンタートから選択される硫黄誘導体によるラジカル媒介重合によって得られることを特徴とする、請求項14から16の一項に記載の水性配合物。
【請求項18】
重合後に、櫛形分枝コポリマーa)およびアクリル系ポリマーb)を蒸留することを特徴とする、請求項14から17の一項に記載の水性配合物。
【請求項19】
櫛形分枝コポリマーa)およびアクリル系ポリマーb)が、静的または動的分離プロセスを使用して、さらに好ましくは水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、およびこの混合物によって形成される群に属する1つ以上の極性溶媒によって複数の相に分離されることを特徴とする、請求項14から18の一項に記載の水性配合物。
【請求項20】
櫛形分枝コポリマーa)およびアクリル系ポリマーb)が1価または多価カチオンを有する1つ以上の中和剤によって完全または部分中和され、前記中和剤がさらに好ましくは、水酸化アンモニウムからまたは水酸化および/もしくは酸化カルシウムもしくはマグネシウムから、または水酸化ナトリウム、カリウム、もしくはリチウムの中から、または1級、2級、および3級脂肪族および/もしくは環式アミンならびにさらに好ましくはステアリルアミン、エタノールアミン(モノ−、ジ−、トリ−エタノールアミン)、モノ−およびジエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、アミノ−メチル−プロパノール、モルホリンから選択されること、ならびにさらに好ましくは中和剤がトリエタノールアミンおよび水酸化ナトリウムから選択されることを特徴とする、請求項14から19の一項に記載の水性配合物。
【請求項21】
前記配合物がセメント、モルタル、コンクリート、またはグラウト、およびさらに好ましくはコンクリートであることを特徴とする、請求項14から20の一項に記載の水性配合物。
【請求項22】
水硬性結合剤の固体含有率に対して、0.1%から2%の、さらに好ましくは0.2%から1%の、および非常に好ましくは0.4%から0.8%の固体含有率の構成要素a)およびb)を含有することを特徴とする、請求項14から21の一項に記載の水性配合物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−510949(P2012−510949A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539114(P2011−539114)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【国際出願番号】PCT/IB2009/007589
【国際公開番号】WO2010/067155
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(398051154)コアテツクス・エス・アー・エス (35)
【Fターム(参考)】