説明

水系の難燃性を具備した木材・プラスチックス複合体の製造方法

【構成】(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−5〜20重量%と(B)水95〜80重量%とからなる水溶液100重量部に対して、(C)水溶性のポリアルキレングリコ−ル類を0.5〜1重量部、(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−と当該(D)水溶性難燃剤との比率が、1:1〜10となるように(D)水溶性難燃剤5〜50重量部、及び、(E)エ−テル類0.01〜5重量部を添加してなる水溶液に重合触媒を添加し、pHを4〜8に調整してなる木材又は木質材と当該重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−の重合による樹脂との木材・プラスチックス複合体の原系溶液を、木材又は木質材に含浸後に加熱して、当該原系溶液中の前記(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−を当該原系溶液中に含有された重合触媒により重合させる水系の難燃性を具備した木材・プラスチックス複合体の製造方法。
【効果】樹脂分を減少させ、木材中の重合体の固定率を上昇させ、乾燥時間を短くし、又、発熱温度を下げ、木材の損傷を軽減し、水溶性難燃剤の当該結晶の析出・木材外部へのしみ出しを抑制し、重合触媒の冷蔵保存安定性の問題を解消できるようになった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水系の難燃性を具備した木材・プラスチックス複合体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
木材に、難燃、寸法安定、強度強化、防腐・防虫性等を付与して、その欠点を補い、その利用を拡大しようとして各種技術が提案されている。
当該技術には、難燃性、寸法安定性、強度強化等の物性の向上及び防腐・防虫性の付与を単独主題目的としたものがある一方で、寸法安定性、強度強化等の物性の向上と難燃性とを共に具備させるようにした技術も提案されている。
当該前者の難燃性等を単独主題目的とした特許文献として、例えば、特開平1−186302号公報、特開平5−116107号公報、特開平5−77207号公報、特開平5−220712号公報、特開平8−73212号公報、特開平8−116801号公報、特開2001−303060号公報、特開2002−18812号公報、特開2003−253123号公報、特開2004−122612号公報、特開2006−110965号公報、特開2006−181752号公報、特開2007−90839号公報、特開2008−181752号公報等がある。
又、当該後者の難燃性等をも兼備させた技術を開示した特許文献として、例えば、特開平4−82704号公報、特開2000−141318号公報がある。
当該前者の難燃性等を単独主題目的とした技術も後者の難燃性等をも兼備させた技術にも、油性系と水系とがあり、油性系は、火災、溶剤の揮発などの危険を伴い、危険回避の為の装置・設備費が掛かる等の欠点があるのに対して、水系は、こうした欠点が無い等の利点がある。
前者の難燃性等を単独主題目的とした技術で、前掲した特開2003−253123号公報には、有機ケイ素化合物とホウ素を含有する化合物及び/又はリンを含有する化合物と水とを含有してなる水系の難燃処理組成物が記載されている。又、特開2006−181752号公報には、不飽和カルボン酸水溶液に重合開始剤またはさらにエステル化触媒としてリン酸塩を添加した水溶液を木材に注入し、加熱処理をすることを特徴とした木材の改質処理方法及びアクリル酸とN,N−メチレンビスアクリルアミドをモル比で10:1とした水溶液に浸せき処理する木材の改質処理方法が記載されている。
当該後者の難燃性等をも兼備させた技術の前掲した特開平4−82704号公報には、(1)アクリルアミド類と、(2)グアニジン類および尿素のうちの少なくとも1種と、(3)リン酸、リン化合物、ホウ酸、ホウ酸塩、ハロゲン化合物からなる群の中から選ばれた少なくとも1種と、(4)重合開始剤とを、水に溶解した状態で原料木材に含浸させた後、前記原料木材に対して適当な温度条件で加熱して、木材組織内に不溶性の硬化樹脂を生成・定着させる改質木材の製法が記載されている。当該改質木材の製法は、水系の難燃性と寸法安定、強度強化等の物性の向上とを具備させるようにした技術であり、水溶性のアクリルアミド類を、重合開始剤の下に、加熱重合させ、木材組織内に不溶性の硬化樹脂を生成・定着させることと、木材にグアニジン類等の難燃剤を含浸させることとを、同時に行っている技術で、即ち、水系で、難燃性と、強度強化等の物性の向上に寄与するところの木材と樹脂(プラスチックス)との複合体であるWPC(Wood Plastics Combination)とを兼備させたものである。
又、当該後者の技術の前掲した特開2000−141318号公報には、 難燃性物質及びアクリル系重合体が木質内に含浸され、硬化したアクリル系重合体により木質内で難燃性物質を包囲してなる難燃性重合体含浸木材が記載されている。当該技術は、上記の特開平4−82704号公報に記載の技術が、難燃剤とアクリルアミド類とを同時に水に溶解させて、木材内部に難燃剤とアクリルアミド類の重合体とを共に含浸させるという技術であるのに対して、難燃性物質と水とを混合した難燃性液体と、溶剤に可溶化したアクリル樹脂を含むアクリル系液体混合物と別々に作成し、別々に木材に含浸させる点で異なっており、又、製法的にも、難燃性物質と水とを混合して作った当該難燃性液体を木材中に含浸させた後に、木材中に溶剤中に可溶化したアクリル樹脂を含む当該アクリル系液体混合物を含浸するという製法が採用されており、即ち、難燃性液体の含浸後に上記のアクリル系液体混合物を含浸するという2段階の含浸工程を経るようになっていて、その点、前記の特開平4−82704号公報に記載の技術とは異なっている。
前述のように、木材の改質技術では、油性系と水系とがあり、油性系は、火災、溶剤の揮発などの危険が伴う等の欠点があるのに対して、水系は、こうした欠点が無い等の利点があるが、当該水系の場合には、その重合性モノマ−として、水に可溶の重合性モノマ−が必要であり、前記の特開平4−82704号公報では、水に可溶の重合性モノマ−としてアクリルアミド類を使用しているが、当該水系の場合での難しさは、疎水性のモノマ−を使用する場合とは異なっていて、当該水に可溶の重合性モノマ−を木材の細胞壁内部まで含浸させることが可能ではあるが、その重合温度が低い場合には、水等により木材外部にしみ出してしまうなどの欠点がある。
この場合、温度を上げ、木材成分の親水性水酸基と縮合反応を起こさせて当該水酸基を疎水化させて木材の寸法安定化を向上させることができるが、木材が膨潤し、損傷を受け、木材にひび割れなどを生じたりする。
当該木材外部へのしみ出しを抑制する為に、前記の特開2000−141318号公報では、 アクリル樹脂を使用して、当該アクリル樹脂とアクリル酸等のモノマ−との混合物として、当該木材外部へのしみ出しを抑制している。
又、前述したように、特開2006−181752号公報では、アクリル酸等の不飽和カルボン酸水溶液に、更に、N,N−メチレンビスアクリルアミドを添加して、当該木材の膨潤(ASE)などを抑制している。
本発明者は、先に、前掲した特開2002−18812号公報で、水系のWPC技術を提案した。当該水系のWPC技術によれば、水系であるので、発熱温度範囲を抑えることができ、木材の内部割れ、表面・小口割れがなく、乾燥時に反り・ねじれが生じず、含浸が均一化し、改質しても木材の自然の風合い、木材特有の匂いをそのまま残存させることができ、従来水系で困難であった針葉樹材についても改質できる等の利点を奏することができた。
しかるに、当該公報による技術は、水系のWPC技術のみを目的としたもので、難燃性を兼備してはいなかった。
そこで、当該公報による水系のWPC技術を基礎として、更に、難燃性を兼備させることを検討したのだが、難燃剤の種類によっては分離、沈降が起こったりすること、広葉樹では、難燃剤が含浸していくが、針葉樹では含浸が難しいこと、難燃剤により木材に変色が起こる場合があること、水系WPCで重合触媒と共に難燃剤を使用すると水溶液にゲル化、分離・沈降が起こり、冷蔵保存安定性に難点を包蔵すること、難燃剤として燐酸系難燃剤を使用して水に添加すると分離・ゲル化が起こり、又、難燃剤として硼素系化合物を使用して水に添加すると、木材からの溶脱が起こり雨の当たるような屋外での使用には難点を包蔵すること等の各種の問題に遭遇した。
本発明者は、当該特開2002−18812号公報による水系のWPC技術を基礎として、更に、難燃性を兼備させる技術を、先に、特願2008−128454号として提案した。
当該発明によれば、水系で、発熱温度範囲を抑えることができ、木材の内部割れ、表面・小口割れがなく、乾燥時に反り・ねじれが生じず、含浸が均一化し、改質しても木材の自然の風合い、木材特有の匂いをそのまま残存させることができ、従来水系で困難であった針葉樹材についても改質できる等の利点を奏することができ、又、難燃剤の種類によっては分離、沈降が起こったりすること、広葉樹では、難燃剤が含浸していくが、針葉樹では含浸が難しいこと、木材に変色が起こる場合があること、水系WPCで重合触媒と共に難燃剤を使用すると水溶液にゲル化、分離・沈降が起こり、冷却貯蔵保存安定性に難点を包蔵すること、難燃剤として燐酸系難燃剤を使用して水に添加すると分離・ゲル化が起こり、又、難燃剤として硼素系化合物を使用して水に添加すると、木材からの溶脱が起こり雨の当たるような屋外での使用には難点を包蔵すること等の各種の問題があったが、これら問題を解消して、難燃性をも具備させることができた。
しかるに、その後に、当該技術に関し、より一層の改良を図るべく鋭意検討したところ、当該(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−成分を当該技術では10〜40wt%が好ましいとし、それに対する水は90〜60wt%が好ましいとしたが、当該(A)成分をその半分の5〜20wt%にしたい即ち当該(A)成分を20wt%以下に抑えることが希求された。
即ち、当該(A)成分の低減は、コスト的に有利であり、又、当該(A)成分を低減してもなおその木材中の当該(A)成分の重合による重合体(樹脂分)の固定が良好になし得れば水系のWPCの難燃化技術において技術的に有利になるはずである。
更に、当該樹脂分の減少は、ポリアルキレングリコ−ル類や水溶性難燃剤等との総体的な量を減少させるので、重合時の発熱量を減少させ、重合時の発熱温度を低下させることができ、その結果、発熱に伴う木材表面の損傷を少なくすることができる。
当該(A)成分の使用量と当該木材中の重合体の固定率との関係では、当該(A)成分を増加すればする程、直ちに、その木材中の重合体の固定率が上昇し得る訳ではない。即ち、当該水系のWPC技術で、当該(A)成分の水に可溶の重合性モノマ−を使用し、当該(A)成分の水溶性の重合性モノマ−分を多くしていくと、水に可溶の重合性モノマ−であるので、木材の細胞壁内部まで含浸させることが可能ではあるが、水等により木材外部にしみ出してしまったり、重合温度で蒸発してしまったりする。その結果、樹脂分が木材表面に出てきたり、木材が膨潤し、損傷を受け、木材にひび割れなどを生じたりする。
又、樹脂分を少なくすることにより、木材の含水率の高いままで乾燥を必要とせずにそのままの状態でWPC工程に掛けれ、乾燥時間を短くすることができるなどのメリットもある。
更に、当該先行発明では、系に、(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−を重合させて木材組織中に不溶性の硬化樹脂を生成させるために、重合触媒を使用しているが、当該重合触媒の使用には、冷却が必要で、その冷蔵保存安定性が問題となり、水系のWPCでの水溶性難燃剤との併用は、水溶液にゲル化・分離・沈降を生起したり、木材に変色を生じる。これは、当該先行発明のように、pHの調整である程度は可能ではあるが、より一層当該冷蔵保存安定性の問題などを解消できる技術が求められる。
一方、当該樹脂分を低減すると、当該先行発明における当該樹脂分の(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−と(D)水溶性難燃剤との比率において、前者の(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−(樹脂分)に対する後者の(D)水溶性難燃剤の比率が1:0.5〜5であったのが、1:1〜10に増加することを意味し、当該(D)水溶性難燃剤の樹脂分に対する比率の増加は、難燃性をより一層向上させることができることを意味している。
しかし、当該水溶性難燃剤の増加は、難燃性をより一層向上させることは出来るが、得られた処理後の木材の表面に水溶性難燃剤の結晶が析出し易い。特に、水溶性難燃剤として、無機系の水溶性難燃剤が優れているので、当該無機系の水溶性難燃剤を使用したいのだが、当該無機系の水溶性難燃剤はよりその結晶の析出が起こり易い。当該先行発明では、水溶性の水溶性のグリコ−ル類の使用により、木材外部へのしみ出しを抑制しているが、当該(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−(樹脂分)に対する(D)水溶性難燃剤の比率の増加の下での当該結晶の析出・木材外部へのしみ出しをなお抑制できるようにしたい。
【0003】
【特許文献1】特開平1−186302号公報、特開平5−116107号公報、特開平5−77207号公報、特開平5−220712号公報、特開平8−73212号公報、特開平8−116801号公報、特開2001−303060号公報、特開2002−18812号公報、特開2003−253123号公報、特開2004−122612号公報、特開2006−110965号公報、特開2006−181752号公報、特開2007−90839号公報、特開2008−181752号公報、特開平4−82704号公報、特開2000−141318号公報、特願2008−128454号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記した要請に応えることの出来る技術を提供することを目的としたものである。
本発明の他の目的や新規な特徴については本件明細書及び図面の記載からも明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の特許請求の範囲は、次の通りである。
(請求項1) (A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−5〜20重量%と(B)水95〜80重量%とからなる水溶液100重量部に対して、
(C)水溶性のポリアルキレングリコ−ル類を0.5〜1重量部、
前記(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−と当該(D)水溶性難燃剤との比率が、(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−:(D)水溶性難燃剤=1:1〜10となるように(D)水溶性難燃剤5〜50重量部、
及び、
(E)エ−テル類0.01〜5重量部を添加してなる水溶液に重合触媒を添加し、pHを4〜8に調整してなる木材又は木質材と当該重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−の重合による樹脂との木材・プラスチックス複合体の原系溶液を、木材又は木質材に含浸後に加熱して、当該原系溶液中の前記(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−を当該原系溶液中に含有された重合触媒により重合させる水系の難燃性を具備した木材・プラスチックス複合体の製造方法。
(請求項2) (E)エ−テル類が、式(1)
(化1)
COO−R−O−R ・・・(1)
但し、式中、R及びRはアルキル基、Rはアルキレン基
で表されるセロソルブ系化合物であることを特徴とする、請求項1に記載された水系の難燃性を具備した木材・プラスチックス複合体の製造方法。
(請求項3) セロソルブ系化合物が、メチルセロソルブアセテ−ト、エチルセロソルブアセテ−ト又はブチルセロソルブアセテ−トであることを特徴とする、請求項2に記載された水系の難燃性を具備した木材・プラスチックス複合体の製造方法。
(請求項4) (E)エ−テル類が、式(2)
(化2)
−O−R−OH ・・・(2)
但し、式中、R及びRはアルキル基
で表されるセロソルブ系化合物であることを特徴とする、請求項1に記載された水系の難燃性を具備した木材・プラスチックス複合体の製造方法。
(請求項5) セロソルブ系化合物が、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ又はブチルセロソルブであることを特徴とする、請求項4に記載された水系の難燃性を具備した木材・プラスチックス複合体の製造方法。
(請求項6) (A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−が、親水基としてOH基を有すると共に、アクリル酸系原子団を有してなる重合性モノマ−であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載された水系の難燃性を具備した木材・プラスチックス複合体の製造方法。
(請求項7) (C)水溶性のポリアルキレングリコ−ル類が、ポリエチレングリコ−ルメタクリレ−トであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載された水系の難燃性を具備した木材・プラスチックス複合体の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、請求項1に示す構成を採用することにより、先行技術による各種の利点を受け継いで、且つ、上記要請に応えることができ、特に、(C)水溶性のポリアルキレングリコ−ルと(E)エ−テル類との併用により、それも特定量の併用により、(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−成分を低減でき、当該(A)成分の使用量を低減しても、当該(A)成分の木材外部へのしみ出や、重合温度での蒸発を抑制して、むしろ、その木材中の重合体の固定率を上昇せしめ、その結果、樹脂分が木材表面に出てきたり、木材が膨潤し、損傷を受け、木材にひび割れなどを生じたりすることを回避し、又、樹脂分を少なくすることにより、木材の含水率の高いままで乾燥を必要とせずにそのままの状態でWPC工程に掛けることができて、乾燥時間を短くすることができた。
又、当該(A)成分を重合させて木材組織中に不溶性の硬化樹脂を生成させるために使用している重合触媒の冷蔵保存安定性をより一層安定化させ、水系のWPCでの水溶性難燃剤との併用による水溶液のゲル化・分離・沈降や、木材の変色の問題などを解消できるようになった。
更に、当該樹脂分の低減により、難燃性をより一層向上させることができる。
請求項2及び請求項3に示すように、式(1)で表されるセロソルブ系化合物による(E)エ−テル類や請求項4及び請求項5に示すように、式(2)で表されるセロソルブ系化合物による(E)エ−テル類は、より一層(A)成分の木材外部へのしみ出や、重合温度での蒸発を抑制して、木材中の重合体の固定率を上昇せしめ、木材表面をより一層良好にし、木材の乾燥時間を短くすることができ、上記請求項1の水系の難燃性を具備した木材・プラスチックス複合体の製造方法に好適に使用でき、又、(C)水溶性のポリアルキレングリコ−ルとの区別にもなる。
請求項6に示す重合性モノマ−は、親水基としてOH基を有すると共に、アクリル酸系原子団を有してなる重合性モノマ−であり、水溶性である等上記請求項1の水系の難燃性を具備した木材・プラスチックス複合体の製造方法に好適に使用できる。
請求項7のポリエチレングリコ−ルメタクリレ−トは(C)水溶性のポリアルキレングリコ−ル類として、より一層(E)エ−テル類との併用による(A)成分の木材外部へのしみ出や、重合温度での蒸発を抑制して、むしろ、その木材中の重合体の固定率を上昇せしめ、その結果、樹脂分が木材表面に出てきたり、木材が膨潤し、損傷を受け、木材にひび割れなどを生じたりすることを回避し、又、樹脂分を少なくすることにより、木材の含水率の高いままで乾燥を必要とせずにそのままの状態でWPC工程に掛けることができて、乾燥時間を短くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明における(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−と(B)水とからなる水溶液においては、前記のように、当該(A)による樹脂分を低減して、木材の損傷などを回避したり、又、樹脂分を少なくすることによる木材の乾燥時間の短縮や木材の含水率の高いままでの乾燥を可能としたり、更には、強度強化等の物性の向上等の効果を落とさないで、木材(木質材)中の樹脂分を抑えることは、コスト的にも有利となること等から、当該水溶液は、(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−5〜20重量%と(B)水95〜60重量%とからなるようにする。
当該(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−が、5重量%未満では、当該樹脂分が木材外部にしみ出してしまったり、木材が膨潤し、損傷を受け、木材にひび割れなどを生じたりすることを回避し、又、樹脂分を少なくすることにより、木材の含水率の高いままで乾燥を必要とせずにそのままの状態でWPC工程に掛けたり、乾燥時間を短くすることができ、更には、強度強化等の物性の向上等の効果を落とさないで、木材(木質材)中の樹脂分を抑え、コスト的にも有利となるが、強度強化等の物性の向上や寸法安定性に寄与し難い。
一方、20重量%を超える場合には、前記要請に答えることができず、コストの低減や木材の含水率の高いままで乾燥を必要とせずにそのままの状態でWPC工程に掛けたり、乾燥時間を短くしたりすることの要請に応えられなくなる。
【0008】
本発明で使用される(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−としては、例えば、ビニル基CH=CH−又は当該=CHのH原子をアルキル基で置換したビニル基を有する次の式(3)で示されるようなアクリル酸系原子団に、親水基、例えば、OH基、SOH基、OSOH基、SOM(M:アルカリ金属又はNH)基、OSOM(M:アルカリ金属又はNH)基、NRX(R:アルキル基、X:ハロゲン)を有する重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−が挙げられ、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシブチルル(メタ)アクリレ−ト、4−ヒドロキシブチルアクリレ−ト、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、ペンタエリスリト−ルトリ(メタ)アクリレ−ト、3−アクリロイルオキシグリセリンモノ(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシ−1−(メタ)アクリロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロパン、グリセリンジ(メタ)アクリレ−ト等が挙げられ、当該親水基としては、特に、OH基が木材中への含浸の容易さ等から好ましい。
オリゴマ−又はプレポリマ−としては、例えば、平均分子量が200〜5000の上記例示した(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性オリゴマ−又はプレポリマ−が挙げられる。
【0009】
【化3】

(式中、Rは、水素原子又はアルキル基)

【0010】
本発明で使用される(C)水溶性のポリアルキレングリコ−ル類としては、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレ−ト等のアクリレ−ト化合物を開始剤とし、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド又はブチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加重合してなるものが例示できる。
当該(C)水溶性のポリアルキレングリコ−ル類の具体例としては、例えば、ポリエチレングリコ−ルモノ(メタ)アクリレ−ト、ポリエチレングリコ−ルモノアクリレ−ト、ポリプロピレングリコ−ルモノ(メタ)アクリレ−ト、ポリエチレングリコ−ルジアクリレ−ト、ポリエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ポリプロピレングリコ−ルメタクリレ−ト等が挙げられる。
又、本発明で使用される(C)水溶性のポリアルキレングリコ−ル類としては、例えば、アルコ−ル類に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド又はブチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加重合してなるものが例示できる。当該ポリアルキレングリコ−ル類には、ブロック型とランダム型の両方を包含することができる。当該アルコ−ル類には、ブタノ−ルなどの一価アルコ−ルやエチレングリコ−ルなどの多価アルコ−ルにアルキレンオキサイドを付加重合させてなるポリアルキレングリコ−ルが例示され、末端水酸基を変性したジエ−テル型ポリアルキレングリコ−ルやエステル型ポリアルキレングリコ−ル等もあり、例えば、次の式(4)のブタノ−ルなどを出発物質としたモノオ−ル型、
【0011】
(化4)
RO−(AO)n−H ・・・(4)
但し、式中、Rはアルキル基、AOはアルキレンオキサイド、nは、重合度を示す。
又、例えば、次の式(5)のエチレングリコ−ルなどを出発物質としたジオ−ル型、
【0012】
(化5)
HO−(AO)n−H ・・・(5)
但し、式中、AOはアルキレンオキサイド、nは、重合度を示す。
更に、例えば、次の式(6)のグリセリン、ペンタエリスリト−ルなどを出発物質としたトリオ−ル型、
【0013】
(化6)
R{−O−(AO)n−H} ・・・(6)
但し、式中、Rはアルキル基、AOはアルキレンオキサイド、nは、重合度を示す。
当該(C)水溶性のポリアルキレングリコ−ル類の具体例としては、例えば、ポリエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル等が挙げられる。
【0014】
当該(C)水溶性のポリアルキレングリコ−ル類は、(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−や水溶性難燃剤の蒸発を防ぎ、当該水に可溶の重合性モノマ−や水溶性難燃剤の木材外部へのしみ出しを防ぐことができる。又、木材を柔らかくし、寸法安定性を向上させることができる。更には、木材の変色を抑えることができる。
【0015】
(C)水溶性のポリアルキレングリコ−ル類を、(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−5〜20重量%と(B)水95〜60重量%とからなる水溶液100重量部に対して0.5〜1重量部配合する。
当該(C)水溶性のポリアルキレングリコ−ル類が、0.5重量部未満では、(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−や水溶性難燃剤の蒸発を防ぎ、当該水に可溶の重合性モノマ−や水溶性難燃剤の木材外部へのしみ出しを防ぐことや寸法安定性を向上させることが難しくなり、一方、1重量部を超えても当該効果が飽和するし、又、木材を柔らかくし過ぎ、寸法安定性を阻害する。
【0016】
本発明では、(D)水溶性難燃剤を、(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−5〜20重量%と(B)水95〜60重量%とからなる水溶液に添加する。
本発明によれば、難燃剤の種類によっては分離、沈降が起こったりすること、広葉樹では、難燃剤が含浸していくが、針葉樹では含浸が難しいこと、木材に変色が起こる場合があること、水系WPCで重合触媒と共に難燃剤を使用すると水溶液にゲル化、分離・沈降が起こり、冷却貯蔵保存安定性に難点を包蔵すること、難燃剤として燐酸系難燃剤を使用して水に添加すると分離・ゲル化が起こり、又、難燃剤として硼素系化合物を使用して水に添加すると、木材からの溶脱が起こり雨の当たるような屋外での使用には難点を包蔵すること等の各種の問題があったが、これら問題を解消して、本発明では、WPCに加えて難燃性をも具備させることができる。
本発明で使用される(D)水溶性難燃剤について説明する。上記のように、水溶性難燃剤を使用した場合には、耐水性が悪いために屋外では難燃性が低下する。当該水溶性難燃剤を水に添加すると、木材からの溶脱が起こり雨の当たるような屋外での使用には難点を包蔵する。特に、硼酸系難燃剤は、難燃性に優れるが、当該溶脱が起こりやすい。又、硼酸系難燃剤は、得られた処理後の木材の表面に結晶が析出し易い。
本発明では、(C)水溶性のポリアルキレングリコ−ル類の添加により、当該硼酸系難燃剤の木材からの溶脱を防止させることができるが、更に、(E)エ−テル類を添加することにより、当該硼酸系難燃剤等の無機系の水溶性難燃剤の結晶の析出を抑制することができる。
本発明では、(C)水溶性のグリコ−ル類の添加及び(E)エ−テル類の添加により、当該(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−(樹脂分)に対する(D)水溶性難燃剤の比率の増加の下でも当該結晶の析出・木材外部へのしみ出しを抑制できる。
本発明で使用される水溶性難燃剤としては、各種のものを使用できるが、各種水溶性無機系難燃剤や水溶性有機系難燃剤が使用できる。
この場合、水溶性無機系難燃剤と水溶性有機系難燃剤とを併用するとよい。又、水溶性無機系難燃剤や水溶性有機系難燃剤のみ使用する場合には、各々水溶性無機系難燃剤なら2種以上又水溶性有機系難燃剤なら2種以上とすることがよい。
特に、水溶性有機系難燃剤を使用する場合には、当該有機系難燃剤として、酸性を示す有機系難燃剤とアルカリ性を示す有機系難燃剤を併用することが好ましい。当該酸性を示す有機系難燃剤とアルカリ性を示す有機系難燃剤との併用により、上記した(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−と(B)水とからなる水溶液に難燃剤や重合触媒を添加した時に、当該水溶液を適当pHに調整でき、又、水溶液にゲル化、分離・沈降が起こったり、当該水溶液の冷却貯蔵保存安定性を向上させることができる。
酸性を示す有機系難燃剤としてグアニル尿素系難燃剤が例示でき、又、アルカリ性を示す有機系難燃剤としてグアニジン系難燃剤が例示できる。
当該グアニル尿素系難燃剤としては、例えば、燐酸グアニル尿素が挙げられる。
当該グアニジン系難燃剤としては、例えば、グアニジンとスルファミン酸と燐酸から形成される塩が挙げられ、具体例としては、スルファミン酸グアニジン、燐酸グアニジンが挙げられる。
上記水溶性無機系難燃剤として、硼酸系難燃剤は、溶剤を使用しないで済み、水溶性で、火災時に有害分解ガスを発生することなく、難燃性の他に防腐・防虫性をも付与できる。
当該硼酸系難燃剤としては、例えば、硼砂(四硼酸ナトリウム、Na7・10HO、その8水和物)、硼酸及びその塩、メタ硼酸及びその塩、ピロ硼酸及びその塩、四硼酸及びその塩、無水硼酸Na、硼酸ナトリウム、硼酸ナトリウム・5HO、八硼酸及びその塩等が挙げられる。
燐酸系難燃剤を使用して水に添加すると分離・ゲル化が起こるので、当該燐酸系難燃剤の使用量を少なくして、当該燐酸系難燃剤と上記の硼酸系難燃剤とを使用して水に添加するとよく、例えば、燐酸系難燃剤:硼酸系難燃剤=1〜3:9〜7の比率で添加するとよい。
当該燐酸系難燃剤の例としては、第一リン酸アンモニウム(NHPO)、第二リン酸アンモニウム((NHHPO )やリン酸尿素(HPO ・(NHCO)等のリン酸塩が挙げられる。
更に、硼酸系難燃剤特に硼砂(例えば、四硼酸ナトリウム、Na7・10HO、その8水和物)を使用するような場合には、当該水溶性無機系難燃剤と前記例示のグアニジン系難燃剤及びグアニル尿素系難燃剤のような水溶性有機系難燃剤と併用するとよい。当該水溶性無機系難燃剤と水溶性有機系難燃剤との併用割合は、同様に、無機系難燃剤:有機系難燃剤=1〜3:9〜7の比率で添加するとよい。
【0017】
本発明では、当該(D)水溶性難燃剤は、(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−と(D)水溶性難燃剤との比率が、(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−:(D)水溶性難燃剤=1:1〜10となるように、(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−5〜20重量%と(B)水95〜80重量%となる水溶液100重量部に対して5〜50重量部を添加する。
当該(D)水溶性難燃剤が、5重量部未満では、難燃効果を奏し難く、一方、50重量部を超えると、分離、沈降が起こったり、広葉樹では、難燃剤が含浸していくが、針葉樹ではその含浸が難しくなったり、木材に変色が起こる場合がある。
【0018】
本発明では、上記水溶液に難燃剤や重合触媒を添加すると、水溶液にゲル化、分離・沈降が起こり、冷却貯蔵保存安定性に難点を包蔵することがある。又、木材に変色が起こる場合がある。
当該水溶液のpHを4〜8に調整するとよく、当該pHが4未満では、水溶液にゲル化、分離・沈降が起こり、冷却貯蔵保存安定性に難点を包蔵し、木材に変色が起こり易い。一方、pHが8を超えると、同様に、水溶液にゲル化、分離・沈降が起こり、冷却貯蔵保存安定性に難点を包蔵し、木材に変色が起こり易い。
当該pH調整剤として、例えば、氷酢酸、NaOHが挙げられる。
【0019】
本発明では、(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−と(B)水とからなる水溶液に(E)エ−テル類を添加する。
当該(E)エ−テル類は、(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−と(B)水とからなる水溶液において、当該(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−を水に可溶化させる可溶化剤(溶媒)として機能して水溶液を均一化させ、又、(B)水溶性のグリコ−ル類を水に可溶化させる可溶化剤(溶媒)として機能させ水溶液を均一化させることができる。
又、当該(E)エ−テル類は、上記のように、樹脂分を減少させても、逆に、木材中の重合体の固定率を上昇させることができ、又、木材の損傷を軽減し、樹脂分を少なくして、木材の含水率の高いままで乾燥を必要とせずにそのままの状態でWPC工程に掛けれ、乾燥時間を短くすることができる機能を果たすと共に、当該樹脂分の低減による(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−(樹脂分)に対する(D)水溶性難燃剤の比率の増加があっても、当該(D)水溶性難燃剤の当該結晶の析出・木材外部へのしみ出しを抑制できる機能を果たす。
更には、重合触媒の冷蔵保存安定性の問題を解消し、水系のWPCでの(D)水溶性難燃剤との併用における水溶液のゲル化・分離・沈降の問題を解消し、木材の変色を防止し、pHの調整と併せてより一層当該冷蔵保存安定性の問題などを解消できるようになった。
【0020】
本発明で使用される当該(E)エ−テル類としては、構造式R−O−R’(R、R’は、アルキル基、アリ−ル基等の有機基)で示されるエ−テル結合を有する化合物であれば使用でき、例えば、IPE(イソプロピルエ−テル)、THF(テトラヒドロフラン)、1,4−ジオキサン、MTBE(メチルタ−シャリ−ブチルエ−テル)、アニソ−ル(CHOC)等も使用できるが、本発明の目的から次の式(1)の化合物が好ましい。
【0021】
(化1)
COO−R −O−R ・・・(1)
但し、式中、R及びRはアルキル基、Rはアルキレン基
で示されるセロソルブ系化合物。
当該アルキル基の例には、炭素数1〜10の例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、又、当該アルキレン基の例には、炭素数1〜10の例えばエチレン基、プロピレン基等が挙げられる。
当該(E)エ−テル類の例には、次のものがある。
メチルセロソルブアセテ−ト
エチルセロソルブアセテ−ト
ブチルセロソルブアセテ−ト
【0022】
又、本発明で使用される当該(E)エ−テル類としては、次の式(2)の化合物も同様に好ましい。
【0023】
(化2)
−O−R−OH ・・・(2)
但し、式中、R及びRはアルキル基
で示されるセロソルブ系化合物。
当該アルキル基の例には、炭素数1〜10の例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
当該(E)エ−テル類の例には、次のものがある。
エチレングリコ−ルモノメチルエ−テル(メチルセロソルブ)
エチレングリコ−ルモノエチルエ−テル(セロソルブ、エチルセロソルブ)
ブチルセロソルブ
イソプロピルセロソルブ
【0024】
当該(E)エ−テル類は、(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−5〜20重量%と(B)水95〜60重量%とからなる水溶液100重量部に対して0.01〜5重量部を添加する。
当該(E)エ−テル類の添加量が、0.01重量部未満では、上記効果を奏し得ず、木材中の重合体の固定率を上昇させたり、木材の損傷を軽減したり、樹脂分を少なくして、木材の含水率の高いままで乾燥を必要とせずにそのままの状態でWPC工程に掛けて乾燥時間を短くすることができないし、又、当該樹脂分を低減による(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−(樹脂分)に対する(D)水溶性難燃剤の比率の増加の場合の、(D)水溶性難燃剤の当該結晶の析出・木材外部へのしみ出しを抑制でき難く、更には、重合触媒の冷蔵保存安定性の問題を解消し、水系のWPCでの水溶性難燃剤との併用における水溶液のゲル化・分離・沈降の問題を解消し、木材の変色を防止し、pHの調整と併せてより一層当該冷蔵保存安定性の問題などを解消でき難くなる。一方、5重量部を超えても、効果が飽和するだけでなく、同様の問題を解消でき難くなる。
【0025】
本発明では、(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−と(B)水とからなる水溶液に、(C)水溶性のポリアルキレングリコ−ル類、(D)水溶性難燃剤及び(E)エ−テル類を添加すると共に、重合触媒を添加する。
当該重合触媒としては、例えば、ベンゾイルパ−オキサイド、クメンハイドロパ−オキサイド、パラメタンハイドロパ−オキサイド、タ−シャリ−ブチルハイドロパ−オキサイド、メチルエチルケトンパ−オキサイド、タ−シャリ−ブチルパ−オキシベンゾエ−ト等の有機過酸化物よりなる重合開始剤を使用することができるが、これらに限定されるものではなく、広くは、重合触媒として、酸化剤単独又は酸化剤と還元剤の組み合わせからなるもの、又はアゾ系誘導体が使用できるが、特に水溶性であるもののがよい。酸化剤としては、ナトリウム、カリウム、アンモニウムの過硫酸塩が望ましく、還元剤としては、ジエタノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、ジメチルアミノプロピオニトリル、ジエチルアミノエタノ−ル、ジメチルアミノプロパノ−ル、ピペラジン、モルホリン等のアミン類、第一鉄塩、亜硫酸塩、チオ尿素、エリソルビン酸ナトリウム、ロンガリット等があり、これらは二種以上併用してもよい。また、アゾ系誘導体としては、2,2’−アゾビスイソブチルニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N(ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕等がある。
重合促進剤としてのトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルパラトルイジン、メチルチオ尿素、エチレンチオ尿素、ジブチルチオ尿素、ジメチルアニリン、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、バナジルアセチルアセトン等を必要に応じて使用してもよい。
重合触媒の下に、(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−を加熱重合させて木材組織内に不溶性の硬化樹脂を生成させる。
【0026】
重合触媒の添加量は、(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−と(B)水とからなる水溶液100重量部に対して0.05〜4重量部を添加する。0.05重量部未満では重合速度が遅く、4重量部を超えると貯蔵安定性が低下するからである。
【0027】
本発明で使用される木材又は木質材としては、天然の木材の他、合板、集成材等のような木質材が使用できる。木材、木質材は、国内、国外産の針葉樹及び広葉樹の区別はなく種々の樹種が使用でき、例えば、杉、赤松、黒松、樫、楠及び桧等を挙げることができ、その形状としては、丸太、製材品、単板及び木片いずれも使用可能であり、又、パ−チクルボ−ド、ベニヤ合板等の加工木材も対象となるが、本発明では、特に、松、杉、桧、ツガ等の針葉樹にも適用できることが特徴の一つともなっている。
【0028】
本発明では、水は、水道水でも井戸水でもその種類にはこだわらずに使用できる。
【0029】
本発明では、適宜必要に応じて染料、紫外線吸収剤、防虫剤、防腐剤などを使用することができる。
【0030】
本発明の製造方法では、(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−と(B)水とからなる水溶液に(C)水溶性のグリコ−ル類と(D)水溶性難燃剤、(E)エ−テル類及び重合触媒を添加し、pHを4〜8に調整してなる原系溶液を、木材又は木質材に含浸後に、加熱して、当該原系溶液中の前記(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−又はオリゴマ−を重合させる。
真空にして当該原系溶液を木材又は木質材に注入後に、常圧に戻し含浸を行えばよい。
当該真空度(真空圧)は、1Torr〜25Torrが好ましい。真空度が、1Torr未満では、上記注入が円滑に行われないし、一方、25Torrを超えると、原系溶液中の(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−と(B)水溶性のグリコ−ル類成分の注入量が過剰となり、木材又は木質材中の重合後のこれらによる樹脂分が過剰になり過ぎる。当該真空度(真空圧)の1Torr〜25Torr範囲とすることにより、樹脂分の量の調整が可能となる。
放置後に、含浸材を乾燥させる。乾燥温度は、例えば、80℃プラスマイナス1℃で、乾燥時間100プラスマイナス1時間とすればよい。乾燥により重合反応が行われ、又、木材の含水率を下げれる。
木材中の重合樹脂から、当該乾燥により、その水分を充分除き、又、木材中の水分を十分に除くように、乾燥を行う。乾燥温度と共に、その乾燥時間を設定する。
当該乾燥時間は、上記の乾燥温度などとの関係から、100時間プラスマイナス1時間が好ましい。
本発明によれば、先行発明よりも、乾燥時間を短縮できるようになった。
【実施例】
【0031】
以下に実施例を挙げ本発明のより詳細な理解に供する。当然のことながら本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
尚、難燃性評価、曲げ試験、硬さ試験及び木材への重合体の固定率の測定及び重合時の発熱温度の測定は次の方法に準拠した。
試験方法
(1)難燃性評価方法:
JIS−A1321記載の試験を行い、難燃2級の基準を満たすもの、難燃3級の基準を満たすもの及びいずれも満たさないものの判定をした。
長さ22cm、巾2cm、厚さ1cmの木材を垂直面に対して45°に傾斜して上端を固定し、下端から45mm下にバ−ナ−を置き、外炎の長さ10〜15cm、内炎の長さ45mmに調節したバ−ナ−炎に曝し30秒間燃焼させる。炎を取り除いた後の残炎時間と残じん時間を測定した。
(2)曲げ試験
JIS.Z2113木材の曲げ試験方法に準じて行った。
(3)硬さ試験
バ−コ−ル硬度計を使用し、針入度法により、10個数の平均値から求めた。
(4)木材への重合体の固定率
[木材中の重合後ポリマ−率]を[木材中の重合前ポリマ−率]で除算して求めた。
(5)重合時の発熱温度の測定
アロメルクロメル熱電対を使用して、木材の3地点の発熱温度を測定し、その平均値を採用する。
実施例1
【0032】
2−ヒドロキシブチルル(メタ)アクリレ−ト 5重量部
水 95重量部
ポリエチレングリコ−ルモノ(メタ)アクリレ−ト 1重量部
四硼酸ナトリウム(Na7・10HO) 20重量部
エチルセロソルブアセテ−ト 3重量部
2,5−ジメチル(ベンゾイルパ−オキサイド)ヘキサン 0.05重量部
からなり、pHを氷酢酸で4に調整してなる原系溶液を含浸槽に入れ、この原系溶液に、
杉材辺材(寸法:300LmmX90WmmX25Tmm、含水率:35〜40%、高周波含水率計で測定)を完全に浸漬しタンクに挿入密閉し真空減圧を行う。真空度は水銀マノメ−タ15Torrとして、真空時間60分で真空操作を行い、注入後、常圧に戻し、常圧含浸を60分行い、含浸材を含浸液より取り出し、120分放置した。
熱風乾燥を80℃で90時間行い、恒量に達した時点を重合完結とした。
得られた改質杉材について、以下の難燃性評価、曲げ試験、硬さ試験及び木材への重合体の固定率の測定を行った。
又、アロメルクロメル熱電対を使用して、木材の3地点の発熱温度を測定し、その平均値を採用し、重合時の発熱温度の測定を行った。
難燃性テストの結果、この改質木材は「難燃3級」を満足することが分かった。
曲げ試験による曲げ強度(kgf/cm)は880、硬さ試験による硬さは78、木材への重合体の固定率(%)は98であり、重合時の杉材中心部の平均温度(℃)は60で、重合後の材の形状外観を観察すると、樹脂のシミ出しが従来よりも抑制されたや発熱温度の低下等からか表面がきれいで、反り割れが無く、変色も無かった。重合後の木材に、杉材の匂いがあり、アンモニア臭、ホルマリン臭はなかった。
実施例2
【0033】
2−ヒドロキシブチルル(メタ)アクリレ−トを10重量部、水を90重量部とした以外は、実施例1と同様に、改質杉材を作成し、難燃性評価、曲げ試験、硬さ試験及び木材への重合体の固定率の測定を行い、又、アロメルクロメル熱電対を使用して、木材の3地点の発熱温度を測定し、その平均値を採用し、重合時の発熱温度の測定を行った。熱風乾燥を80℃で95時間行い、恒量に達した時点を重合完結とした。
難燃性テストの結果、この改質木材は「難燃3級」を満足することが分かった。曲げ試験による曲げ強度、硬さ試験による硬さ、木材への重合体の固定率は、98%と実施例1とほぼ同様であった。重合時の杉材中心部の平均温度(℃)は65、重合後の材の形状外観を観察すると、表面に木目が綺麗に見え、反り割れが無く、変色も無かった。又、重合後の木材に、杉材の匂いがあり、アンモニア臭、ホルマリン臭はなかった。
実施例3
【0034】
2−ヒドロキシブチルル(メタ)アクリレ−トを20重量部、水を80重量部とした以外は、実施例1と同様に、改質杉材を作成し、難燃性評価、曲げ試験、硬さ試験及び木材への重合体の固定率の測定を行い、又、アロメルクロメル熱電対を使用して、木材の3地点の発熱温度を測定し、その平均値を採用し、重合時の発熱温度の測定を行った。熱風乾燥を80℃で100時間行い、恒量に達した時点を重合完結とした。
難燃性テストの結果、この改質木材は「難燃3級」を満足することが分かった。曲げ試験による曲げ強度、硬さ試験による硬さ、木材への重合体の固定率は、98%と実施例1とほぼ同様であった。重合時の杉材中心部の平均温度(℃)は70で、重合後の材の形状外観を観察すると、表面に木目が綺麗に見え、反り割れが無く、変色も無かった。又、重合後の木材に、杉材の匂いがあり、アンモニア臭、ホルマリン臭はなかった。
実施例4
【0035】
四硼酸ナトリウム、Na7・10HOを30重量部とした以外は、実施例1と同様に、改質杉材を作成し、難燃性評価、曲げ試験、硬さ試験及び木材への重合体の固定率の測定を行い、又、アロメルクロメル熱電対を使用して、木材の3地点の発熱温度を測定し、その平均値を採用し、重合時の発熱温度の測定を行った。
難燃性テストの結果、この改質木材は「難燃3級」を満足することが分かった。木材への重合体の固定率、曲げ試験による曲げ強度、硬さ試験による硬さは、実施例1とほぼ同様であった。重合時の杉材中心部の平均温度(℃)も同様で、重合後の材の形状外観を観察すると、反り割れが無く、変色も無かった。又、重合後の木材に、杉材の匂いがあり、アンモニア臭、ホルマリン臭はなかった。
実施例5
【0036】
エチルセロソルブアセテ−トをエチルセロソルブに代えた以外は、実施例1と同様に、改質杉材を作成し、難燃性評価、曲げ試験、硬さ試験及び木材への重合体の固定率の測定を行い、又、アロメルクロメル熱電対を使用して、木材の3地点の発熱温度を測定し、その平均値を採用し、重合時の発熱温度の測定を行った。
難燃性テストの結果、この改質木材は「難燃3級」を満足することが分かった。曲げ試験による曲げ強度、硬さ試験による硬さ、木材への重合体の固定率は、実施例1とほぼ同様であった。重合時の杉材中心部の平均温度(℃)も同様で、重合後の材の形状外観を観察すると、反り割れが無く、変色も無かった。又、重合後の木材に、杉材の匂いがあり、アンモニア臭、ホルマリン臭はなかった。
実施例6
【0037】
四硼酸ナトリウム、Na7・10HOを50重量部とした以外は、実施例1と同様に、改質杉材を作成し、難燃性評価、曲げ試験、硬さ試験及び木材への重合体の固定率の測定を行い、又、アロメルクロメル熱電対を使用して、木材の3地点の発熱温度を測定し、その平均値を採用し、重合時の発熱温度の測定を行った。
難燃性テストの結果、この改質木材は「難燃3級」を満足することが分かった。曲げ試験による曲げ強度、硬さ試験による硬さ、木材への重合体の固定率は、実施例1とほぼ同様であった。重合時の杉材中心部の平均温度(℃)も同様で、重合後の材の形状外観を観察すると、反り割れが無く、変色も無かった。又、重合後の木材に、杉材の匂いがあり、アンモニア臭、ホルマリン臭はなかった。
実施例7
【0038】
四硼酸ナトリウム、Na7・10HOに代えて
燐酸グアニル尿素 5重量部
スルファミン酸グアニジン 15重量部
とした以外は、実施例1と同様に、改質杉材を作成し、難燃性評価、曲げ試験、硬さ試験及び木材への重合体の固定率の測定を行い、又、アロメルクロメル熱電対を使用して、木材の3地点の発熱温度を測定し、その平均値を採用し、重合時の発熱温度の測定を行った。
難燃性テストの結果、この改質木材は「難燃2級」を満足することが分かった。曲げ試験による曲げ強度、硬さ試験による硬さ、木材への重合体の固定率は、実施例1とほぼ同様であった。重合時の杉材中心部の平均温度(℃)も同様で、重合後の材の形状外観を観察すると、反り割れが無く、変色も無かった。又、重合後の木材に、杉材の匂いがあり、アンモニア臭、ホルマリン臭はなかった。
実施例8
【0039】
四硼酸ナトリウム、Na7・10HOに代えて、八硼酸ナトリウム、Na13・4HOとした以外は、実施例1と同様に、改質杉材を作成し、難燃性評価、曲げ試験、硬さ試験及び木材への重合体の固定率の測定を行い、又、アロメルクロメル熱電対を使用して、木材の3地点の発熱温度を測定し、その平均値を採用し、重合時の発熱温度の測定を行った。
難燃性、曲げ試験による曲げ強度、硬さ試験による硬さ、木材への重合体の固定率は、実施例1とほぼ同様であった。重合時の杉材中心部の平均温度(℃)も同様で、重合後の材の形状外観を観察すると、反り割れが無く、変色も無かった。又、重合後の木材に、杉材の匂いがあり、アンモニア臭、ホルマリン臭はなかった。
比較例1
【0040】
エチルセロソルブアセテ−トを使用しない以外は、実施例1と同様に、改質杉材を作成し、曲げ試験、硬さ試験及び木材への重合体の固定率の測定を行い、又、アロメルクロメル熱電対を使用して、木材の3地点の発熱温度を測定し、その平均値を採用し、重合時の発熱温度の測定を行った。
その結果を表1に示す。
熱風乾燥に130時間を要した。曲げ試験による曲げ強度、硬さ試験による硬さは、実施例1とほぼ同様であった。木材への重合体の固定率は、78%であった。重合時の杉材中心部の平均温度(℃)も同様で、重合後の材の形状外観を観察すると、反り割れが無く、変色も無かった。又、重合後の木材に、杉材の匂いがあり、アンモニア臭、ホルマリン臭はなかった。
比較例2
【0041】
四硼酸ナトリウムを使用しない以外は、実施例1と同様に、改質杉材を作成し、難燃性評価、曲げ試験、硬さ試験及び木材への重合体の固定率の測定を行い、又、アロメルクロメル熱電対を使用して、木材の3地点の発熱温度を測定し、その平均値を採用し、重合時の発熱温度の測定を行った。
その結果を表1に示す。
難燃性テストの結果、この改質木材は「難燃2級」を満足し得なかった。曲げ試験による曲げ強度、硬さ試験による硬さ、木材への重合体の固定率は、実施例1とほぼ同様であった。重合時の杉材中心部の平均温度(℃)も同様で、重合後の材の形状外観を観察すると、反り割れが無く、変色も無かった。又、重合後の木材に、杉材の匂いがあり、アンモニア臭、ホルマリン臭はなかった。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の製造方法は、各種の場合に適用することができる。
本発明の製造方法により製造された改質木材、木質材は、例えば、木工品材料や、テ−ブルその他の家具材、自動車や建築物の内装材、窓枠、構造用LVL・集成材の外貼り、木製ドア、システムキッチン用装飾木材などとして利用することができ、特に、難燃性を具備した外装材としても使用できる。水系で安全性に優れる為、家具、障子などの生活用木質材にも適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−5〜20重量%と(B)水95〜80重量%とからなる水溶液100重量部に対して、
(C)水溶性のポリアルキレングリコ−ル類を0.5〜1重量部、
前記(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−と当該(D)水溶性難燃剤との比率が、(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−:(D)水溶性難燃剤=1:1〜10となるように(D)水溶性難燃剤5〜50重量部、
及び、
(E)エ−テル類0.01〜5重量部を添加してなる水溶液に重合触媒を添加し、pHを4〜8に調整してなる木材又は木質材と当該重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−の重合による樹脂との木材・プラスチックス複合体の原系溶液を、木材又は木質材に含浸後に加熱して、当該原系溶液中の前記(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−を当該原系溶液中に含有された重合触媒により重合させる水系の難燃性を具備した木材・プラスチックス複合体の製造方法。
【請求項2】
(E)エ−テル類が、式(1)
(化1)
COO−R−O−R ・・・(1)
但し、式中、R及びRはアルキル基、Rはアルキレン基
で表されるセロソルブ系化合物であることを特徴とする、請求項1に記載された水系の難燃性を具備した木材・プラスチックス複合体の製造方法。
【請求項3】
セロソルブ系化合物が、メチルセロソルブアセテ−ト、エチルセロソルブアセテ−ト又はブチルセロソルブアセテ−トであることを特徴とする、請求項2に記載された水系の難燃性を具備した木材・プラスチックス複合体の製造方法。
【請求項4】
(E)エ−テル類が、式(2)
(化2)
−O−R−OH ・・・(2)
但し、式中、R及びRはアルキル基
で表されるセロソルブ系化合物であることを特徴とする、請求項1に記載された水系の難燃性を具備した木材・プラスチックス複合体の製造方法。
【請求項5】
セロソルブ系化合物が、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ又はブチルセロソルブであることを特徴とする、請求項4に記載された水系の難燃性を具備した木材・プラスチックス複合体の製造方法。
【請求項6】
(A)ビニル基と親水基とを有する水溶性の重合性モノマ−、オリゴマ−又はプレポリマ−が、親水基としてOH基を有すると共に、アクリル酸系原子団を有してなる重合性モノマ−であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載された水系の難燃性を具備した木材・プラスチックス複合体の製造方法。
【請求項7】
(C)水溶性のポリアルキレングリコ−ル類が、ポリエチレングリコ−ルメタクリレ−トであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載された水系の難燃性を具備した木材・プラスチックス複合体の製造方法。

【公開番号】特開2011−51279(P2011−51279A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203696(P2009−203696)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(308019911)並木木材株式会社 (2)
【Fターム(参考)】