説明

水系コーティング組成物及びそれを用いたコーティング方法

【課題】汚れ付着抑制効果に優れると共に光照射が不十分な環境下においても防カビ効果に優れるコーティング皮膜を形成することのできる水系コーティング組成物を提供すること。
【解決手段】水性媒体中に無機粒子と疎水性樹脂粒子とが分散されてなる水系コーティング組成物であって、該無機粒子と該疎水性樹脂粒子との合計質量に対して、水溶性有機ヨウ素化合物、水溶性イソチアゾリン化合物及び水溶性アラニン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の水溶性防カビ剤1.0質量%以上30質量%以下と、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、ピリチオン化合物、チアゾール化合物及びチオフェン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の水分散性防カビ剤粒子0.8質量%以上25質量%以下とを含むことを特徴とする水系コーティング組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水系コーティング組成物、コーティング方法に関する。詳細には、本発明は、様々な基材の表面をコーティングするのに用いられる水系コーティング組成物及びコーティング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチック等の有機物を主体とする担体に光触媒を担持させた光触媒担持構造体が知られており、光触媒による酸化分解力や表面の親水化により、汚れを分解除去したり、降雨や水洗により汚れを洗い流せることが知られている。
例えば、特許文献1には、光触媒酸化物とシリカと撥水性フッ素樹脂とを含有する表面層を基材上に設けることが開示されている。更に、特許文献2には、基材上に、有機防カビ剤を含む中間層を設け、その中間層上に、光触媒粒子と無機酸化物粒子と加水分解性シリコーンの乾燥物と銅元素と銀元素とを含む光触媒層を設けることが開示されている。
また、無機微粒子、有機微粒子等の担体に、抗菌性及び防カビ性を有する金属又はその金属化合物をスパッタリング法によりコーティングした組成物を配合した被覆剤も知られている(特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−88247号公報
【特許文献2】特開2009−136868号公報
【特許文献3】特開平8−239302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来技術で形成された層や皮膜には、汚れ付着抑制効果に優れ尚且つ光照射が不十分な環境下においても防カビ効果に優れるものはなかった。
従って、本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、汚れ付着抑制効果に優れると共に光照射が不十分な環境下においても防カビ効果に優れるコーティング皮膜を形成することのできる水系コーティング組成物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明者らは、上記のような従来の問題を解決すべく鋭意検討した結果、水性媒体中に無機粒子と疎水性樹脂粒子とが分散された水系コーティング組成物中に、特定の水溶性防カビ剤及び水分散性防カビ剤粒子を特定の割合で添加したものが上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、水性媒体中に無機粒子と疎水性樹脂粒子とが分散されてなる水系コーティング組成物であって、該無機粒子と該疎水性樹脂粒子との合計質量に対して、水溶性有機ヨウ素化合物、水溶性イソチアゾリン化合物及び水溶性アラニン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の水溶性防カビ剤1.0質量%以上30質量%以下と、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、ピリチオン化合物、チアゾール化合物及びチオフェン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の水分散性防カビ剤粒子0.8質量%以上25質量%以下とを含むことを特徴とする水系コーティング組成物である。
また、本発明は、上記水系コーティング組成物を基材に塗布して乾燥させることを特徴とするコーティング方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の水系コーティング組成物により形成されたコーティング皮膜では、親水性の微小領域と疎水性の微小領域とが相互に独立して露出しているため、親水性の汚れ及び疎水性の汚れの付着を長期間にわたって防止することができ、また、コーティング皮膜中に水溶性防カビ剤成分が存在するため、カビ胞子の付着を抑制することができ、更に、コーティング皮膜中に水分散性防カビ剤粒子が分散されているため、胞子から菌糸が発芽した際にも菌糸の発育を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の水系コーティング組成物により形成されたコーティング皮膜による作用効果を説明するための図である。
【図2】一般的な防カビコーティング皮膜における汚れの付着及びカビ発生のメカニズムを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
本発明の水系コーティング組成物は、無機粒子と、疎水性樹脂粒子と、水溶性防カビ剤と、水分散性防カビ剤粒子とを必須成分として含む。以下、各成分について詳細に説明する。
【0009】
<水溶性防カビ剤>
本発明で用いられる水溶性防カビ剤は、有機ヨウ素化合物、イソチアゾリン化合物及びアラニン化合物からなる群から選択される化合物であって、水に容易に溶解するものであればよい。このような水溶性防カビ剤を配合すると、水性媒体に防カビ剤成分が溶解し、コーティング皮膜を形成した際に防カビ剤成分が全面にわたって分散されることになる。
【0010】
水溶性有機ヨウ素化合物の具体例としては、3−ヨード−2−プロピニルビチルカーバメイト、ジヨードメチル−p−トルイルスルホン、p−クロロフェニル−3−ヨードプロパルギルフォルマール等が挙げられる。水溶性イソチアゾリン化合物の具体例としては、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、n−ブチル−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。水溶性アラニン化合物の具体例としては、N−ラウリル−β−アラニン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0011】
水溶性防カビ剤の含有量は、無機粒子と疎水性樹脂粒子との合計質量に対して、1.0質量%以上30質量%以下であり、好ましくは2.0質量%以上25質量%以下である。含有量が1.0質量%未満であると、カビを抑制する効果が十分に得られない。一方、含有量が30質量%を超えると、防汚性能が低下して汚れが付着しやすくなり、付着した汚れから菌糸が発芽することになる。
【0012】
<水分散性防カビ剤粒子>
本発明で用いられる水分散性防カビ剤粒子は、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、ピリチオン化合物、チアゾール化合物及びチオフェン化合物からなる群から選択される化合物であって、水性媒体中に分散できるものであればよい。この水分散性防カビ剤粒子は、20℃における水への溶解度が0.5mg/L以下であることが好ましい。溶解度が0.5mg/Lを超えると、水回り部品など水が多く存在する環境下において効果が限定されてしまう。また、水分散性防カビ剤粒子の平均粒径は、0.3μm以上1.0μm以下であることが好ましい。平均粒径が0.3μm未満であると、コーティング皮膜表面に付着した胞子から発芽する菌糸の発育を抑制する効果が乏しい。一方、平均粒径が1.0μmを超えると、コーティング皮膜の凹凸が大きくなりすぎて汚れが付着しやすくなり、汚れからカビの発芽が起こる。なお、本発明で用いられる水分散性防カビ剤粒子の平均粒径は、大塚電子株式会社製ELSZ−2により測定された値である。
【0013】
イミダゾール化合物の具体例としては、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、2−メトキシカルボニルアミノベンズイミダゾール、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、1−(ブチルカルバモイル)−2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、チアベンダゾール等が挙げられる。トリアゾール化合物の具体例としては、2−(4−クロロフェニル)−3−シクロプロピル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−ブタン−2−オール、4,4−ジメチル−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)ペンタン−3−オール等が挙げられる。ピリチオン化合物の具体例としては、ジンクピリチオン、ナトリウムピリチオン等が挙げられる。チアゾール化合物の具体例としては、2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール等が挙げられる。チオフェン化合物の具体例としては、3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシドなど3,3,4−トリクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
水分散性防カビ剤粒子の含有量は、無機粒子と疎水性樹脂粒子との合計質量に対して、0.8質量%以上25質量%以下であり、好ましくは1.0質量%以上15質量%以下である。含有量が0.8質量%未満であると、カビを抑制する効果が十分に得られない。一方、含有量が25質量%を超えると、コーティング皮膜の凹凸が大きくなりすぎて汚れが付着しやすくなり、汚れから菌糸の発芽が起こる。
【0015】
また、本発明の水系コーティング組成物において、水溶性防カビ剤と水分散性防カビ剤粒子とは、好ましくは50:50〜98:2の質量割合で含まれ、より好ましくは60:40〜90:10の質量割合で含まれる。この範囲内であれば、防カビ剤成分がバランスよくコーティング皮膜に配列され、優れた防カビ性能を発揮することができる。
【0016】
<無機粒子>
本発明で用いられる無機粒子としては、特に限定されるものではないが、シリカ、チタニア、アルミナ等が挙げられる。これらの中でも、シリカが好ましい。本発明の水系コーティング組成物の無機粒子としてシリカ微粒子を配合した場合、各種の利点がある。シリカは、チタニアやアルミナなどの他の無機粒子に比べて、屈折率がプラスチックやガラスに近い値である。このためコーティング皮膜を形成した時、下地との界面や表面の光反射により、白くなったり、ぎらついた状態となったりしにくい。シリカが微粒子であることにより、この効果を更に高めることができる。無機粒子の平均粒径は、光散乱法(大塚電子株式会社製ELS−Z)により測定した場合、5〜15nmの範囲内にあることが好ましい。特に、このような平均粒径を有するシリカ微粒子は、1個のシリカ微粒子について約15質量%〜30質量%に相当する表面部分が、水系コーティング組成物において、水に溶解したような状態となっている。しかし、平均粒径が15nmを超えるシリカ粒子の場合、平均粒径が大きくなるほど、水に溶解したような状態のシリカ成分の割合は少なくなる。水に溶解したような状態のシリカ成分が減ると、バインダーとしての作用が得られにくくなってくるため、形成されるコーティング皮膜が十分な強度を有さず、クラックが入りやすいなどコーティング皮膜としては好ましくない。そのため、水系コーティング組成物にバインダーを別途添加する必要が生じてくる。逆に、平均粒径が5nm未満のシリカ粒子の場合では、水系コーティング組成物において、水に溶解したような状態のシリカ成分の割合が多くなる。水に溶解したような状態のシリカ成分の割合が多くなりすぎると、水系コーティング組成物中でシリカ粒子が凝集してしまい、組成物としての安定性が得られにくくなる。また、形成されるコーティング皮膜の強度や防汚性能も所望のものが得られにくくなる。
また、シリカ微粒子の粒径は、形成されるコーティング皮膜の透明性等の外観特性にも影響を与える。平均粒径が15nm以下のシリカ微粒子であれば、コーティング皮膜により反射する光の散乱が小さくなるため、コーティング皮膜の透明性が向上し、コーティング皮膜が形成される基材の色調や風合いの変化を抑え、色調や風合いを損なわないようにすることができる。
また、平均粒径が15nm以下のシリカ微粒子を使用することで、得られるコーティング皮膜中のシリカ膜が、緻密ではありながらシリカ微粒子間に微細な空隙を有するものとなる。シリケートやゾルゲル法等で形成する微粒子を用いない従来の一般的なシリカ膜や、可溶性の有機や無機物からなるバインダーが添加されたシリカ膜と比較して、シリカ膜は、薄く形成でき、またシリカ粒子によるシリカ膜表面の凹凸を小さくして平滑に形成することができるので、汚れが引っ掛かったりせず、防汚性能が高められる。
【0017】
無機粒子の含有量は、水系コーティング組成物に対して、好ましくは0.1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以上10質量%以下である。含有量が0.1質量%未満であると、形成される無機質被膜が薄すぎたり、まばらになったりして良好な被膜とならない場合があるので好ましくない。一方、含有量が20質量%を超えると、形成される無機質被膜が厚くなりすぎ、クラック等が生じて良好な膜とならない場合があるので好ましくない。
【0018】
<疎水性樹脂粒子>
本発明で用いられる疎水性樹脂粒子は、水性媒体中に分散するものであればよいが、フッ素樹脂が好ましい。フッ素樹脂に他の樹脂を混合したものも使用することができる。フッ素樹脂の具体例としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、ETFE(エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体)、ECTFE(エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体),PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PVF(ポリフッ化ビニル)等や、これらの共重合体が挙げられる。疎水性樹脂粒子は、界面活性剤やポリマー中に含まれる親水基の効果で水性媒体中に安定分散したディスパージョンの形態を有するものが好ましい。ディスパージョンの形態を有するものであれば、水系コーティング組成物への添加・攪拌が簡便であるという利点もある。
本発明で用いられる疎水性樹脂粒子の平均粒径は、光散乱法(大塚電子株式会社製ELS−Z)により測定した場合、好ましくは50nm以上500nm以下であり、より好ましくは100nm以上250nm以下である。このような平均粒径は、コーティング皮膜の無機皮膜部分の膜厚に対して十分に大きいため、適度に疎水性樹脂粒子が分散しやすく、コーティング皮膜表面に露出しやすくなるため好ましい。平均粒径が50nm未満であると、水系コーティング組成物の安定性が得られない場合があり、また、形成されるコーティング皮膜において疎水性樹脂粒子が表面に露出しにくく安定した防汚性能が得られない場合がある。一方、平均粒径が500nmを超えると、形成されるコーティング皮膜において疎水性の領域が大きくなりすぎて疎水性の汚れが付着しやすくなったり、また、コーティング皮膜の凹凸が大きくなりすぎて汚れが引っ掛かりやすくなったりして所望の防汚性能が得られない場合がある。
【0019】
疎水性樹脂粒子の含有量は、水系コーティング組成物に対して、好ましくは0.2質量%以上5.0質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上3.0質量%以下である。含有量が0.2質量%未満であると、防汚効果が十分に得られない場合がある。一方、含有量が5.0質量%を超えると、水系コーティング組成物を作製する際に疎水性樹脂粒子が凝集する場合があるので好ましくない。
【0020】
また、本発明の水系コーティング組成物において、無機粒子と疎水性樹脂粒子とは、好ましくは20:80〜95:5の質量割合で含まれ、より好ましくは25:75〜60:40の質量割合で含まれる。この範囲内であれば、無機粒子による親水性の領域と、疎水性樹脂粒子による疎水性の領域とがバランスよく混在するコーティング皮膜が常温での乾燥により簡便に得られる。
【0021】
<酸化剤>
コーティング皮膜が形成される基材が、プラスチック、特にポリプロピレンやポリスチレン等のコーティングしにくいものである場合、水系コーティング組成物に酸化剤を添加することが好ましい。
疎水性樹脂粒子の周りに存在する界面活性剤が酸化剤により分解されて生成した親水基は、無機粒子、好ましくはシリカ粒子との結合作用を強化し、疎水性樹脂粒子の周りに存在する界面活性剤の疎水基は基材側への結合作用を強化するため、プラスチック等のコーティングしにくい基材へのコーティングも可能となる。
本発明で用いられる酸化剤は、水溶性のものが好ましく、常温で有機物分解作用があるものが好ましい。無機系酸化剤としては、過酸化水素の金属塩である無機過酸化物、オキソ酸のヒドロキシ基(−OH)をヒドロペルオキシド基(−O−OH)に置き換えた構造を持つ過酸化物、塩素のオキソ酸の一種である過塩素酸類、硫黄のオキソ酸である過硫酸類等が挙げられる。より具体的には、無機系酸化剤として、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム等の過酸化物、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム等の過塩素酸塩、塩素酸カリウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸アンモニウム等の塩素酸塩、過リン酸カルシウム、過リン酸カリウム等の過リン酸、過ヨウ素酸ナトリウム、過ヨウ素酸カリウム、過ヨウ素酸マグネシウム等の過ヨウ素酸塩等が挙げられる。有機系酸化剤としては、官能基としてペルオキシド構造(−O−O−)を有する過酸化物、官能基として過カルボン酸構造(−C(=O)−O−O−)を有する過酸化物等が挙げられる。より具体的には、有機系酸化剤として、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、ペルオキソ一炭酸塩、過酢酸ナトリウム、過酢酸カリウム、メタクロロ過安息香酸、過安息香酸tert−ブチル、過カルボン酸等が挙げられる。
【0022】
酸化剤の含有量は、疎水性樹脂粒子100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは2.0質量部以上25質量部以下である。含有量が0.1質量部未満であると、疎水性樹脂粒子の周囲に存在する分散剤、界面活性剤、安定剤等に起因する親水基を分解する効果が十分に得られない場合がある。一方、30質量部を超えると、酸化剤が多くなりすぎて、疎水性樹脂粒子及び無機微粒子を所望量添加することができず防汚機能が十分に発現できない場合がある。
【0023】
また、本発明の水系コーティング組成物には、水系コーティング組成物の基材の表面に対する濡れ性やコーティング皮膜の密着性を向上させる目的で、界面活性剤を添加してもよい。
【0024】
<水系コーティング組成物の製造方法>
本発明の水系コーティング組成物の製造方法は、特に制限されない。例えば、水性媒体に、無機粒子の分散液と、疎水性樹脂粒子の分散液と、水溶性防カビ剤と、水分散性防カビ剤粒子及び必要に応じて酸化剤を添加し、混合することによって、本発明の水系コーティング組成物を製造することができる。
本発明の水系コーティング組成物に含まれる水としては、特に制限されることはないが、無機粒子の分散安定性のため、カルシウムイオンやマグネシウムイオン等のイオン性不純物が少ないものが好ましい。2価以上のイオン性不純物が200ppm以下であることが望ましく、50ppm以下であることがより望ましい。これより2価以上のイオン性不純物が多くなると、無機粒子(特に、シリカ微粒子)が凝集して沈殿したり、形成されるコーティング皮膜の強度や透明性が低下したりする恐れがある。水系コーティング組成物には、組成物としての安定性、塗布性及び乾燥性を調整するために有機溶剤等が混合されていてもよい。
【0025】
<コーティング方法>
本発明のコーティング方法としては、特に制限されることはなく、従来公知の方法を用いて行うことが可能である。基材の表面を水系コーティング組成物の液膜で覆う浸漬法又はかけ塗り法でコーティングを行うと好ましい結果が得られやすい。このような方法では、基材の表面を無機質被膜で欠陥なく覆うことができる。ムラの少ない無機質被膜とするために、気流で余剰の水系コーティング組成物を除去することも好ましい。浸漬法の場合には、水系コーティング組成物から基材をゆっくり引き上げて、水系コーティング組成物の流れ落ちによる液膜のムラを抑制することが望ましい。浸漬法又はかけ塗り法の場合に、基材を回転させるなどして、余剰の水系コーティング組成物を遠心力で除去することも好ましい。また、噴霧によるコーティングが好ましい場合がある。噴霧法は、浸漬やかけ塗りが困難な基材に適用できるだけでなく、噴霧条件を調節することにより、無機質被膜に微小な凹凸を形成でき、薄膜による干渉色の発生を抑制することができる。より確実に、ムラをなくしたり、膜厚を厚くしたりしたい場合には、上記のコーティングを繰り返すことも可能である。
【0026】
水系コーティング組成物を塗布した後は、室温乾燥または加熱乾燥を行う。室温で乾燥する場合には、気流で乾燥を促進することも乾燥時間を短縮するためには好ましい。加熱乾燥を行う場合には、温風の吹き付けで行ってもよいし、乾燥炉中で加温してもよい。ここでの乾燥は無機造膜成分が皮膜を形成し、流動性をなくすことを目的とするものである。必要に応じて、乾燥後、加熱を行う。乾燥を兼ねて加熱を実施してもよい。この加熱は、無機造膜成分の不溶化や硬化と、耐久性向上等の目的で実施するものである。無機造膜成分が室温乾燥で不溶化する場合や、耐久性向上に長時間かかってもよい場合など、加熱は省略可能である。加熱しない場合には耐久性向上の効果が現れるのに長時間を要する。少なくとも数時間、長い場合には数週間が必要となる。
加熱は、温風、赤外線、加熱炉等を用いて行うことができる。加熱温度は、好ましくは40℃以上90℃以下であり、より好ましくは45℃以上80℃以下である。40℃未満では、寒冷な環境中において効果はあるが、一般には明確な効果が得られない。90℃を超える場合には、耐久性向上の効果が得られにくい。加熱時間は、10分以上が好ましく、30分以上がさらに好ましい。10分未満の加熱時間では、耐久性向上効果が得られにくい。
【0027】
次に、上述のコーティング方法により形成されたコーティング皮膜による作用効果を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の水系コーティング組成物により形成されたコーティング皮膜による作用効果を説明するための模式図である。本発明の水系コーティング組成物を基材4に塗布すると、基材4上に水分散性防カビ剤粒子6、無機粒子7及び疎水性樹脂粒子8が堆積されると共に、水溶性防カビ剤が溶解された水溶液5がそれらの粒子全体を覆った状態となる。特に、疎水性樹脂粒子8の表面に界面活性剤が存在する場合(水系コーティング組成物に界面活性剤が含まれる場合)には、水溶性防カビ剤が溶解された水溶液5が界面活性剤をも取り囲んだ状態となり、乾燥後も水溶性防カビ剤が界面活性剤の周囲に存在することとなるので、界面活性剤がカビ1の栄養源となることを防止することができる。塗布された水系コーティング組成物を乾燥させてコーティング皮膜を形成すると、無機粒子7による親水性の微小領域と疎水性樹脂粒子8による疎水性の微小領域とが相互に独立して露出した状態となるので、汚れ2が親水性であるか疎水性であるかに関わらず、汚れ2の付着を防止し、汚れ2からのカビ1の発生を抑制することができる。また、水分散性防カビ剤粒子6は、一定の粒径で水系コーティング組成物に分散しているため、乾燥によりコーティング皮膜を形成した際に均一に分散された状態となる。そのため、コーティング皮膜にカビ1(胞子)が付着した場合でも、その発育を抑制することができる。また、水への溶解度が0.5mg/L以下の水分散性防カビ剤粒子6を使用することで、水回り部品など水が多く存在する環境下においても、防カビ成分が水に溶出することなく長期にわたりカビの発生を抑制することができる。
【0028】
図2は、一般的な防カビ成分が配合された防カビコーティング皮膜における汚れの付着及びカビ発生のメカニズムを説明するための模式図である。図2に示すような防カビ成分が配合された防カビコーティング皮膜では、初期の防カビ性能は発揮できるが、長期に使用すると、親水性もしくは疎水性の汚れ2が付着するため、付着した汚れ2が起因となりカビ1が発生する。また、防カビコーティング皮膜の表面に界面活性剤が存在する場合には、界面活性剤がカビ1の栄養源になり、カビの発育が促進されることとなる。
【実施例】
【0029】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】
<実施例1>
脱イオン水に、無機粒子としての平均粒径20nmのコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製)、疎水性樹脂粒子としての平均粒径550nmのフッ素樹脂を含むPTFEディスパージョン(旭硝子株式会社製)、水溶性防カビ剤としての有機ヨウ素化合物(アンガスケミカルカンパニー製アミカル(登録商標)48)、水分散性防カビ剤粒子としての平均粒径0.5μmのチアベンダゾール化合物(イー・シー・シーインターナショナル製)及び酸化剤としての過酸化水素を添加した後、撹拌混合することにより、表1に示す組成を有する水系コーティング組成物を調製した。
【0031】
<実施例2>
脱イオン水に、無機粒子としての平均粒径5nmのコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製)、疎水性樹脂粒子としての平均粒径250nmのフッ素樹脂を含むPTFEディスパージョン(旭硝子株式会社製)、水溶性防カビ剤としての有機ヨウ素化合物(アンガスケミカルカンパニー製アミカル(登録商標)48)、水分散性防カビ剤粒子としての平均粒径0.5μmのチアベンダゾール化合物(イー・シー・シーインターナショナル製)及び酸化剤として過酸化水素を添加した後、撹拌混合することにより、表1に示す組成を有する水系コーティング組成物を調製した。
【0032】
<実施例3>
脱イオン水に、無機粒子としての平均粒径10nmのコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製)、疎水性樹脂粒子としての平均粒径250nmのフッ素樹脂を含むPTFEディスパージョン(旭硝子株式会社製)、水溶性防カビ剤としての有機ヨウ素化合物(アンガスケミカルカンパニー製アミカル(登録商標)48)、水分散性防カビ剤粒子としての平均粒径0.5μmのチアベンダゾール化合物(イー・シー・シーインターナショナル製)及び酸化剤として過酸化水素を添加した後、撹拌混合することにより、表1に示す組成を有する水系コーティング組成物を調製した。
【0033】
<実施例4>
脱イオン水に、無機粒子としての平均粒径20nmのコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製)、疎水性樹脂粒子としての平均粒径550nmのフッ素樹脂を含むPTFEディスパージョン(旭硝子株式会社製)、水溶性防カビ剤としての有機ヨウ素化合物(アンガスケミカルカンパニー製アミカル(登録商標)48)、水分散性防カビ剤粒子としての平均粒径1.5μmのチアベンダゾール化合物(イー・シー・シーインターナショナル製)及び酸化剤としての過酸化水素を添加した後、撹拌混合することにより、表1に示す組成を有する水系コーティング組成物を調製した。
【0034】
<実施例5>
脱イオン水に、無機粒子としての平均粒径10nmのコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製)、疎水性樹脂粒子としての平均粒径250nmのフッ素樹脂を含むPTFEディスパージョン(旭硝子株式会社製)、水溶性防カビ剤としての有機ヨウ素化合物(アンガスケミカルカンパニー製アミカル(登録商標)48)、水分散性防カビ剤粒子としての平均粒径1.5μmのチアベンダゾール化合物(イー・シー・シーインターナショナル製)及び酸化剤として過酸化水素を添加した後、撹拌混合することにより、表1に示す組成を有する水系コーティング組成物を調製した。
【0035】
<実施例6>
脱イオン水に、無機粒子としての平均粒径10nmのコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製)、疎水性樹脂粒子としての平均粒径250nmのフッ素樹脂を含むPTFEディスパージョン(旭硝子株式会社製)、水溶性防カビ剤としての有機ヨウ素化合物(アンガスケミカルカンパニー製アミカル(登録商標)48)、水分散性防カビ剤粒子としての平均粒径1.5μmのチアベンダゾール化合物(イー・シー・シーインターナショナル製)及び酸化剤として過酸化水素を添加した後、撹拌混合することにより、表1に示す組成を有する水系コーティング組成物を調製した。
【0036】
<実施例7>
脱イオン水に、無機粒子としての平均粒径10nmのコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製)、疎水性樹脂粒子としての平均粒径250nmのフッ素樹脂を含むPTFEディスパージョン(旭硝子株式会社製)、水溶性防カビ剤としての有機ヨウ素化合物(アンガスケミカルカンパニー製アミカル(登録商標)48)、水分散性防カビ剤粒子としての平均粒径0.3μmのチアベンダゾール化合物(イー・シー・シーインターナショナル製)及び酸化剤として過酸化水素を添加した後、撹拌混合することにより、表1に示す組成を有する水系コーティング組成物を調製した。
【0037】
<比較例1>
脱イオン水に、無機粒子としての平均粒径30nmのコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製)、疎水性樹脂粒子としての平均粒径500nmのフッ素樹脂を含むPTFEディスパージョン(旭硝子製)及び酸化剤としての過酸化水素を添加した後、撹拌混合することにより、表1に示す組成を有する水系コーティング組成物を調製した。
【0038】
<比較例2>
脱イオン水に、無機粒子としての平均粒径30nmのコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製)、水溶性防カビ剤としての有機ヨウ素化合物(アンガスケミカルカンパニー製アミカル(登録商標)48)、水分散性防カビ剤粒子としての平均粒径0.3μmのチアベンダゾール化合物(イー・シー・シーインターナショナル製)及び酸化剤としての過酸化水素を添加した後、撹拌混合することにより、表1に示す組成を有する水系コーティング組成物を調製した。
【0039】
<比較例3>
脱イオン水に、無機粒子としての平均粒径10nmのコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製)、疎水性樹脂粒子としての平均粒径250nmのフッ素樹脂を含むPTFEディスパージョン(旭硝子株式会社製)、水溶性防カビ剤としての有機ヨウ素化合物(アンガスケミカルカンパニー製アミカル(登録商標)48)、水分散性防カビ剤粒子としての平均粒径1.5μmのチアベンダゾール化合物(イー・シー・シーインターナショナル製)及び酸化剤としての過酸化水素を添加した後、撹拌混合することにより、表1に示す組成を有する水系コーティング組成物を調製した。
【0040】
【表1】

【0041】
実施例1〜7及び比較例1〜3の水系コーティング組成物をプラスチック基材(ポリスチレン)に塗布し、エアブローにて余剰の水系コーティング組成物を吹き飛ばす方法でコーティング皮膜を形成した。その後、コーティング皮膜の防汚性能及び防カビ性能をそれぞれ評価した。
【0042】
<防汚性能の評価>
防汚性能は、親水性汚損物質である砂塵の固着性及び疎水性汚損物質であるカーボン粉塵の固着性を評価した。
親水性汚損物質の固着性は、1〜3μmを中心粒径とするJIS関東ローム粉塵をエアーでコーティング皮膜に吹き付けた後、メンディングテープ(住友3M株式会社製)により採取し、分光光度計(株式会社島津製作所製UV−3100PC)による吸光度(波長550nm)を測定し、下記の基準に従って評価した。
1:吸光度が0.1未満のもの。
2:吸光度が0.1以上0.2未満のもの。
3:吸光度が0.2以上0.3未満のもの。
4:吸光度が0.3以上0.4未満のもの。
5:吸光度が0.4以上のもの。
【0043】
疎水性汚損物質の固着性は、油系のカーボンブラックをエアーでコーティング皮膜に吹き付けた後、メンディングテープ(住友3M株式会社製)により採取し、分光光度計(株式会社島津製作所製UV−3100PC)による吸光度(波長550nm)を測定し、下記の基準に従って評価した。
1:吸光度が0.1未満のもの。
2:吸光度が0.1以上0.2未満のもの。
3:吸光度が0.2以上0.3未満のもの。
4:吸光度が0.3以上0.4未満のもの。
5:吸光度が0.4以上のもの。
【0044】
<防カビ性能の評価>
防カビ性能は、カビ抵抗性試験により実施した。コーティング皮膜を形成したプラスチック基材をグルコース添加無機塩寒天培地に置いた。その基材上にカビ胞子液(黒カビ)計50μLを4〜5箇所に点撒きし、減菌水で湿した減菌綿棒で塗り伸ばした。また寒天培地に接している基材端面にカビ胞子液(黒カビ)を約100μLづつ置いた。これを25℃で8週間培養し、時間経過に伴うカビの発育を観測した。
【0045】
また、試験片表面に10年相当のほこりを吹き付けた後、上記と同様にカビ抵抗性試験を実施した。
この試験における評価は、下記基準に従って行った。
0:肉眼及び顕微鏡下でカビの発育は認められない。
1:肉眼ではカビの発育は認められないが、顕微鏡下では確認できる。
2:菌糸の発育はわずかで、発育部分の面積は試料の全面積の25%を超えない。
3:菌糸の発育は中程度で、発育部分の面積は試料の全面積の25%以上50%未満である。
4:菌糸はよく発育し、発育部分の面積は試料の全面積の50以上100%未満である。
5:菌糸の発育は激しく、試料全面を覆っている。
【0046】
防汚性能及び防カビ性能の評価結果を表2に示す。
【0047】
【表2】

【0048】
表2に示す実験結果から、実施例1〜7の水系コーティング組成物により形成されたコーティング皮膜は、親水性及び疎水性の両方の汚損物質に対して優れた防汚性能を示し、カビ抵抗性試験に対しても水溶性の有機ヨウ素化合物とチアベンダゾール化合物の含有量及び配合比を調整することにより、優れた防カビ性能を示した。また、10年相当の汚れ吹きつけ後のカビ抵抗性試験に対しても優れた防カビ性能を示した。特に実施例2の水系コーティング組成物により形成されたコーティング皮膜が、防汚性能及び防カビ性能において最も優れていた。これは親水性及び疎水性の両方の汚損物質に対して最も優れていることから、10年相当のホコリ汚れを吹き付けた場合でも汚れが付着しにくく、仮に汚れが付着した場合でも水溶性の有機ヨウ素化合物とチアベンダゾール化合物により胞子の付着及び菌糸の発芽が十分抑制されることになる。ただし、実施例1及び実施例4のように防汚性能が限定されてしまう場合、10年相当の汚れを吹き付けた際に、汚れ付着抑制効果が得られずカビ抑制の効果が限定されてしまう。
【0049】
一方、比較例1においては、水溶性の有機ヨウ素化合物及びチアベンダゾール化合物を配合していないためカビ抵抗性試験に対して効果がみられず、防カビ性能が著しく低下してしまう。比較例2においては、防汚性能の効果がある疎水性樹脂粒子を含有していないためホコリが付着しやすく、10年相当のホコリ汚れを吹き付けた後のカビ抵抗性試験に対して効果がかなり低下してしまう。
比較例3においては、水溶性の有機ヨウ素化合物及びチアベンダゾール化合物を過剰に配合したため、親水性及び疎水性の両方の汚損物質に対する防汚性能が限定されてしまう。これにより10年相当の汚れ吹きつけ後のカビ抵抗性試験に対して効果が劣ることになり、コーティング皮膜全体としての効果が限定されてしまう。
【符号の説明】
【0050】
1 カビ、2 汚れ、3 防カビ層、4 基材、5 水溶性防カビ剤が溶解された水溶液、6 水分散性防カビ剤粒子、7 無機粒子、8 疎水性樹脂粒子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性媒体中に無機粒子と疎水性樹脂粒子とが分散されてなる水系コーティング組成物であって、
該無機粒子と該疎水性樹脂粒子との合計質量に対して、水溶性有機ヨウ素化合物、水溶性イソチアゾリン化合物及び水溶性アラニン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の水溶性防カビ剤1.0質量%以上30質量%以下と、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、ピリチオン化合物、チアゾール化合物及びチオフェン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の水分散性防カビ剤粒子0.8質量%以上25質量%以下とを含むことを特徴とする水系コーティング組成物。
【請求項2】
前記水分散性防カビ剤粒子は、20℃における水への溶解度が0.5mg/L以下であり、かつその平均粒径が0.3μm以上1.0μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の水系コーティング組成物。
【請求項3】
前記無機粒子と前記疎水性樹脂粒子とが、20:80〜95:5の質量割合で含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の水系コーティング組成物。
【請求項4】
前記水溶性防カビ剤と前記水分散性防カビ剤粒子とが、50:50〜98:2の質量割合で含まれることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の水系コーティング組成物。
【請求項5】
前記無機粒子は、平均粒径が5nm以上15nm以下のシリカ粒子であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の水系コーティング組成物。
【請求項6】
前記疎水性樹脂粒子は、平均粒径が50nm以上500nm以下のフッ素樹脂粒子であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の水系コーティング組成物。
【請求項7】
前記疎水性樹脂粒子100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下の割合で酸化剤が添加されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の水系コーティング組成物。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載の水系コーティング組成物を基材に塗布して乾燥させることを特徴とするコーティング方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−1586(P2012−1586A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135866(P2010−135866)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】