説明

水系ポリウレタン‐ポリエチレン系組成物

本発明はスルホン酸残基を有するポリウレタン・ポリマーとポリエチレン・ポリマー(第二のポリマー)をその組成物として含む水系分散ポリウレタンー・ポリエチレン組成物(ないしは分散組成物)を提供するものである。ここで言うポリウレタン・ポリマーはポリイソシアネートとスルホン化ポリオールとの間の反応生成物として得られるものである。

【発明の詳細な説明】
【関連した特許出願】
【0001】
本件特許出願については、2003年8月13日に出願されたシリアル番号60/494,667の米国特許仮出願に基づいて優先権を請求する。なおこの米国特許仮出願の存在をここに記すことにより、同仮出願を本願書面における発明の開示の一部とみなすものとする。
【技術分野】
【0002】
本発明はポリウレタン・ポリマー類に関するものであり、具体的には常温硬化型水系ポリウレタン‐ポリエチレン系ポリマー組成物類、より具体的には例えば床用塗装材のような塗装材として好適な常温硬化型水系ポリウレタン‐ポリエチレン系ポリマー分散組成物類に関するものである。
【背景技術】
【0003】
塗装材料の業界において、ポリウレタン(PU)ポリマー類は、それが耐摩耗性、耐薬品性、並びに耐溶剤性に優れることからポリマー系塗装材の構成成分として有用であることが良く知られている。ポリウレタン・ポリマー類にあっては、その設計次第でそれが高い柔軟性と高い耐久性との双方を同時に充たすようにすることができる。市販されている油脂変性ポリウレタン・ポリマー類のそれぞれは脂肪族炭化水素のような溶剤を使用し調製されたもので、透明ないしは顔料入りの不透明な塗装材として使用されている。塗装後に当該溶剤は蒸発し、塗膜は気中酸素によるポリウレタンの骨格中のエチレン型官能基部分の酸化反応が進行することによりクロス・リンキング(架橋形成)が起こり硬化する。この様なタイプの種々塗装材は主に木製床の透明な塗装材として使用されるものである。塗装材組成物の固形物含量が高くなるとそれから放出する炭化水素溶剤の量は少なくなり、したがって蒸発性有機化合物(VOC)含量がより高いものよりそれが低いものの方が炭化水素溶剤の放出量はすくなくなる。
【0004】
製造に関わる技術者たちは、そのサービス特性を犠牲にすることなく、放出される種々のVOC成分を少なくする目的で水系分散が可能な種々のポリウレタンを使用している。この種のものには、例えば水系分散陰イオン安定化ポリウレタン・ポリマー類があり、これらの各々はポリオール類化合物と二箇所に水酸基を有するカルボン酸類化合物との双方を過剰量のジイソシアネート化合物の存在下で反応させることで、カルボキシル官能基を有したタイプのNCO残基保有型プレポリマーとして生成できる。この結果複数個所に存在することになった酸残基は3級アミンで中和され同部分に塩が形成される。この様にして中和されることで同プレポリマーは水に分散することが可能なものとなる。前記したNCO残基は水のそれよりも大きい活性を示す水素基を有するタイプの化合物とは反応し、同反応が完結することでポリウレタン・ポリマーが形成される。一般にこの様なプレポリマーはその生産の効率性をあげるために溶剤の存在下で生成され、同溶剤は同プレポリマーの分散後もその系内に放置されるか、同生産工程の最後尾部分で除去し低溶剤ないし無溶剤型の製品にされるかすることになる。アセトンやメチルエチルケトン等の低沸点溶剤を使用するとその除去が簡単になる。水への分散性を向上させる目的で前記陰イオン残基による分散安定化機能部を陽イオン型分散安定化機能部あるいは非イオン型安定化機能部に変更されることもある。ここで対象としているポリマー類のそれぞれは一般的に線形のポリマーであり、それが形成する塗膜の性状は堅く柔軟性に乏しいもの、柔らかいもの、非常に高い柔軟性をもつものと様々なものになる。この様な水系ウレタン・ポリマー類の用途としてはコンクリート、金属、木材、準硬質から軟質タイプまでのプラスチック類、ゴム、皮革のそれぞれを塗装対象とする透明あるいは顔料入りで不透明な各種塗材、ガラス・ファイバーのサイジング剤、印刷インク、および接着剤の調製が挙げられる。
【0005】
水系ポリウレタン・ポリマー類は一般的にいって線状ポリマーであり、それらによって形成される塗膜は2液性の有機溶剤型ウレタン・システムによって形成される高密度に架橋された構造の塗膜に比べると耐薬品性に劣ることになる。ポリウレタン塗装材組成物であって同組成物の一成分である水系ポリウレタン・ポリマーが予備架橋されているタイプのものを調製することはプレポリマーの段階において3箇所以上に反応性官能基を有するタイプのモノマー化合物を大量に同プレポリマーに導入しておくことで可能である。しかし、この様にすると当該プレポリマー組成物は非常に高粘度となり水に分散するのが困難なものになってしまう。一方、分散の段階で反応性を有する官能基を3箇所以上に有する構造の分子鎖延長剤を用いて、当該プレポリマーの予備架橋密度を上げるタイプのプレポリマーを使用した組成物製品においては当該ポリマーがゲル化する問題が発生する。
【0006】
環境保護のために、塗料に関しては揮発性有機物含量(VOC)規制が益々厳しいものになってきており、塗装関連の業界にあっては低溶剤ないしは無溶剤型のポリマー・システムが切実に求められている。それに加えて、室温で短時間の内に乾燥し、その後は放置しておくだけで耐摩耗性、耐薬品性ならびに耐汚染性を有する架橋型の塗膜を形成する性質を有し、かつ分散安定性に優れた自然硬化型のポリウレタン‐ポリエチレン系組成物が求められている。
【0007】
また、安定な一液性であって、室温において短時間に乾燥するものであって、放置しておくだけで自然に架橋反応が進行する様にエチレン型官能基を有するポリウレタン‐ポリエチレン系組成物が求められてもいる。
【発明の開示】
【0008】
本発明は水分散系のポリウレタン‐ポリエチレン系組成物(ないしは分散組成物)を提供するもので、同組成物はスルホン化ポリウレタン・ポリマーとポリエチレン・ポリマー(第二のポリマー)の双方を含んでなるものである。ここで言うポリウレタン・ポリマーは多価シアネートとスルホン化ポリオールとの間の反応により生成されるものである。同ポリウレタン・ポリマーは、上記の外に活性な水素を有する構造の何らかの分子鎖延長剤を含んでなるものである場合もある。本発明において採用できるタイプのスルホン化ポリウレタンポリマー類の各々にはエチレン型の官能基が当該分子鎖に一定部分に含まれている。一方、ここで言うポリエチレンポリマーは複数のビニル・モノマー分子が結合して形成されるものである。
【0009】
本発明は、上記に加えて、スルホン化ポリウレタン・ポリマーの一種とポリエチレン・ポリマーの一種の双方をその組成とする水分散系のポリウレタン‐ポリエチレン系組成物(ないしは分散組成物)の調製方法を提供するものでもある。スルホン酸残基を有する二価カルボン酸モノマーまたはその塩、例えば5-(ソジオスルホ)イソフタル酸(SSIPA)、5-(リチオスルホ)イソフタル酸(LSIPA)などの分子をウレタン結合で生成されるタイプのポリマーの骨格の複数箇所に配置挿入することで、アミン系中和剤成分を添加することを要しないで、したがってアミンがVOCの増大化に貢献することを避ける形で、種々のポリウレタン樹脂の水系分散組成物を調製することができ、また、このような組成物中に何らかのアミン系中和剤を少量添加することも可能である。本発明は有機溶剤に替えてエチレン型不飽和結合部を有するモノマー化合物を反応性希釈剤として採用し、同反応性希釈剤中でポリウレタン重合反応を進行させるプロセスを提供するものである。エチレン型不飽和結合部を有するモノマー化合物を採用するとそれが反応型溶剤として機能することから、低VOC、例えばVOCがゼロとなるような種々のポリウレタン系分散組成物、例えば様々な脂肪酸変性並びに/または油脂変性ポリウレタンの分散組成物を調製する方法が実現されるものである。
【0010】
本発明は、以上に加えて、その揮発性有機物含量(VOC)が低いか実質的にゼロである種々のポリウレタン・ポリマー組成物を提供するものである。これら組成物のVOCは当該組成物全体重量の約5%程度以下にとどまるものである。好適な組成物例にあっては同VOCが当該組成物の全重量の約3%以下にとどまるものであり、より好適な組成物の例にあっては同VOCが当該組成物の全重量の約1%以下にとどまるものである。最も好適な組成物の場合には同VOCが実質的に当該組成物の全重量の約0%になる。本発明になる組成物のそれぞれは放置されている間に自然に架橋反応が進行する型の油脂変性並びに/あるいは脂肪酸変性のポリウレタン‐ポリエチレン系組成物であって、自然に硬化し、室温において短時間で乾燥し、また耐摩耗性、耐薬品性ならびに耐汚染性を有する塗膜を形成するような特性を有する組成物である。
【0011】
本発明がもたらす効果については上記されたと否とを問わず、以下の本発明の詳細な記述ならびに本発明の実施例による説明を読むことによってより一層明確になるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の一実施例にあっては、本発明は水系分散ポリウレタン‐ポリエチレン系ポリマー組成物に関わるものであり、同組成物は(a)多価イソシアネートとスルホン化ポリオールとの相互反応の結果得られる反応生成物を含んでなるスルホン化ポリウレタン・ポリマーと(b)複数のビニル・モノマー分子から生成される第二のポリマーの双方を含有する。ただし、ここで言うスルホン化ポリウレタン・ポリマーはエチレン型官能基を保有するものである。また同ポリウレタン・ポリマーは必要によっては活性な水素原子を有する分子構造の分子鎖延長剤をも含むことがある。
【0013】
本発明は短時間で乾燥するタイプの低VOCないしはゼロVOCのポリウレタン組成物類を提供するものであり、同組成物類の各々は、スルホン酸残基を有する二価カルボン酸モノマー化合物がその複数個所に配置挿入された構造の官能基保有型ポリウレタン樹脂、並びに反応性希釈剤として機能するエチレン型不飽和結合を持つモノマーから生成されたポリマーの双方を含んでなるものである。このようにして構成される種々の組成物システムの優れた点は実質的にゼロVOCの組成物を開発し得たことにあり、この結果、同組成物はその乾燥段階において既存の溶剤タイプの技術ではもたらされない重要な利益をもたらすことになる。複数の実験結果から本発明になる各種組成物は最新の技術による溶剤型システムのそれらより4〜5倍速いタック・フリーまでの乾燥速度を達成することが判る。本発明になるSSIPA/LSIPA官能基保有型ポリウレタン類は、優れた耐用性、耐薬品性ならびに耐水性が求められる木製床用の一液型塗装材組成物を構成する原料として好適である。
【0014】
特に記載がない限り、各種表現は次の通りの意味で使用されるものとする。アルキル基は直鎖型ならびに分岐型のそれを含めて意味するものとする。しかし、例えば「プロピル基」などのごとくラジカル基を個々に指定する名称が使用される場合にあっては該当する直鎖型のラジカルを意味し、同ラジカルの分岐型の異性体には、例えば「イソプロピル基」のごとく、それを個々に区別できる名称を使用するものとする。
【0015】
以下の記載において、種々のラジカル基や置換基並びに様々に定義される範囲に該当するものとして具体的な値あるいは好適な値として値や範囲値を提示する場合にあってはそれらが具体的な例に関するものに過ぎず、当該ラジカル基や置換基に関して別途記載された定義範囲から、それが具体的な例として提示した値に該当しない値や同提示した範囲値に該当しない範囲を除外するものではない。 (C1-C10)アルキル基は、具体的にいうとメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、2級ブチル基、3級ブチル基、ペンチル基、3-ペンチル基、メチルペンチル基、ヘキシル基、2-ヘキシル基、ヘプチル基、2-へプチル基、3-へプチル基、オクチル基、ノニル基、またはデシル基である。
【0016】
「活性な水素原子」という表現は化合物が同化合物から分離されやすい水素原子をその複数箇所に保有している場合においてその化合物に関して用いられるものである。活性な水素原子には、酸素、窒素または硫黄に結合して存在する様々なタイプの水素原子が含まれ、本発明の実施にあって採用されるのは、-OH基、-SH基および-NH-基の内から自由に選ばれる組み合わせの官能基群に関わる活性な水素原子を少なくとも2箇所に有する構造の化合物である。この様な活性な水素を有する官能基は脂肪族、芳香族、環状脂肪族のいずれの化合物に保持されていて良いものであり、あるいは同活性な水素を有する官能基それぞれが互いに異なるこれらの族に属する複数の部分に保持されていても良いものである。
【0017】
本願文書において「(メタ)アクリル」なる表現はアクリル類とメタクリル類の双方を含む化合物を意味するものとする。すなわち、同表現はそれがアクリル酸類あるいはメタクリル酸類のどちらをも意味するものとなる。「(メタ)アクリレート類」なる表現はアクリレート類とメタクリレート類の双方の化合物を意味し、これには種々のアクリル酸エステルや種々のメタクリル酸エステルが含まれることになる。本願文書において「ポリ(メタ)アクリレート・ポリマー」なる表現は種々のアクリル・ポリマー、メタクリル・ポリマーならびにアクリレートとメタクリレートが混在するポリマーを意味するものとする。
【0018】
本願文書において「反応性希釈剤」は、アクリル酸類、メタクリル酸類などをその例とする酸化合物、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリリル酸エチル、メタクリリル酸プロピル、メタクリリル酸ブチル、メタクリリル酸2-エチルヘキシル、メタクリリル酸2-(アセトアセトキシ)エチルなどをその例とするエステル化合物、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリリル酸ヒドロキシエチルなどをその例とする水酸基を保有するタイプのアクリル酸エステル化合物、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、アクリル酸ジアセトンアミドなどを例とするアミド類化合物、スチレン、a-メチルスチレン、ビニルトルエンなどをその例とするビニル類モノマー化合物、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどをその例とするビニル・エステル類化合物あるいはこれらのいずれかの混合物を指すものとする。
【0019】
本願文書において「イソシアネート」なる表現は少なくとも2箇所に-NCO基を保持する構造の様々な有機化合物を指すものとする。ここでいう-NCO基は活性な水素原子を有する化合物と反応する性質を示す。イソシアネートなる表現はジイソシアネート類、トリイソシアネート類、これらの以外の様々な多価イソシアネート類の化合物をも指すものとする。
【0020】
本願文書において「顔料」なる表現は有機あるいは無機の物質であってそれとは異なる物質でなる材料ないしは材料の混合物に色をつける物質を指す。「着色剤」はそれとは異なる材料ないしはそれとは異なる材料の混合物に色をつけるための材料を指し、一般的には顔料の外、様々な添加剤を指すものとなる。「ティンティング剤」も顔料や着色剤に類似したもので色を付与するための材料を意味する。
【0021】
本発明になる水系分散ポリウレタン‐ポリエチレン系ポリマー組成物(分散組成物)類のそれぞれはその乾燥時間が短くなる様に工夫されている。これら組成物類のそれぞれは反応性希釈剤の役目を果たすエチレン型不飽和結合を有するモノマー化合物を使用して調製される。また同組成物各々は高いガラス転移温度を有するポリマー量のポリマーを生成する様に調製することが可能である。同分散組成物は、優れたタック・フリー・タイムを持つ、すなわち短い時間内に高速でタック・フリーの状態に至るとともに早急に硬化する。複数の実験結果は本発明の分散組成物の各々が最新技術レベルに基づく有機溶剤型システムのそれより4〜5倍の速さで乾燥する(タック・フリー状態に至る)ことを示している。本発明になる種々のポリウレタン系分散配合物は優れた耐久性、耐薬品性、耐水性ならびに高い乾燥速度が要求されるような木製床材の一液型塗装材として特に好適なものである。
【0022】
水系分散ポリウレタン‐ポリエチレン系ポリマー組成物(分散組成物)類のそれぞれは水酸基を残基として含むアルキッド類化合物の反応生成物をその構成成分として含むものである。ここで言う水酸基を残基として含むアルキッド類化合物は当該分野の技術者には良く知られた処方のいずれかに従うことで生成できるものであり、また既知の同技術の範囲において同分子中にスルホン酸残基を含むタイプと含まないタイプのいずれであっても生成できる。アルキッド樹脂を生成する処方の一例にあっては、油脂化合物とポリオール間にアルコリシス反応を起こし、その後、同反応の生成物に多塩基酸化合物を反応させるもので、このとき必要によっては更にポリオールを追加的に投入し反応させることも可能である。更には、例えば多塩基酸化合物と脂肪族有機酸化合物の双方を適正な混合比率になるよう計量したポリオールと、すなわち水酸残基が過剰に存在するような混合比率となる量の同ポリオールと反応させることでこの様なアルキッド樹脂を生成することも可能である。モノグリセライド類とジグリセライド類はそのいずれの化合物であっても水酸残基を保有するタイプの前記アルキッド樹脂の替わりとして採用することが可能である。これらモノグリセライド類ならびにジグリセライド類に属する好適な化合物は既知の処方のいずれかを採用することにより簡単に生成することが出来る。また、本発明の実施にあっては水酸基を保有する前記アルキッド樹脂に替えて少なくとも一種類の脂肪酸化合物をポリオールと反応させることで合成したポリオールのエステル類を使用することも可能である。
【0023】
本発明を実施するのに使用できるタイプのスルホン酸残基を有するジカルボン酸モノマー類の化合物にはリチウム、ナトリウムあるいはカリウムをその例とするアルカリ金属の塩として存在するスルホン酸残基を保有するものが該当する。同スルホン酸残基については、これら以外にアンモニウム、3級アミン類、銅あるいは鉄との間で塩を形成していても良いものである。好適なスルホン酸残基を有するモノマーの例としては、これらに限定する意味ではなく、5-(ソジオスルホ)イソフタル酸(SSIPA)、5-(リチオスルホ)イソフタル酸(LSIPA)などが挙げられる。
【0024】
油脂類ならびに/あるいはそれらの油脂類から得られる有機酸であって本発明の実施に使用できるものとしては、例えばアマニ油、サフラワー油、トール油、綿実油、ピーナツ・オイル、桐油、ウッド・オイル、リシネン油のような化合物があり、本発明の実施において使用するのにより好適なものの例としてひまわり油、大豆油、カスター・オイル、脱水カスター・オイル、などがある。この様な油脂あるいは脂肪族有機酸類は各々単独であるいはそれらの内の幾種類かを混合して用いることができる。好適な脂肪族有機酸としては大豆油脂肪酸、脱水カスター脂肪酸、リノレン酸、リシノール酸、ならびにリノール酸が挙げられる。
【0025】
ポリオール類であって本発明の実施に使用できるものとしては、例えば非芳香族炭素あるいは芳香族炭素につながる形で1〜6箇所、より好ましくは1〜4箇所に水酸残基を有する脂肪族アルコール類、脂環族アルコール類ないしはアルアリファチックなアルコール類の化合物が挙げられる。使用可能なポリオール類化合物の例としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチルプロパンジオール、2-ブチル-2-エチルプロパンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、1,3-ネオペンチルグリコール、2,2-ジメチル-1,3-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ならびに1,4-シクロヘキサンジオール、ビスフェノールA、1,2-並びに1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、アジピン酸ビス-(エチレングリコールエステル)、ジエチレングリコールやトリエチレングリコールのようなアルコールエーテル、ジプロピレングリコール、ペルヒドロ化ビスフェノール類、1,2,4-ブタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールヘキサン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、マニトールおよびソルビトールがあり、1〜8個の炭素原子を有するタイプのモノアルコール類化合物であってポリマー鎖の終焉用として使用可能なものには、例えばプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ヒドロキシピバリン酸およびこれら選んだモノアルコール類化合物の混合体がある。より好適なものとして使用されるポリオール類化合物にグリセロール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコールならびにペンタエリスリトールがある。
【0026】
本発明の実施に使用できる多塩基酸類化合物には脂肪族、飽和環状脂肪族、不飽和感情脂肪族、および/または芳香族の多塩基性のカルボン酸類化合物があり、これら多塩基カルボン酸類の具体的な例として、ジカルボキシル型、トリカルボキシル型、並びにテトラカルボキシル型の酸類がある。ここに列挙する化合物はそれぞれ単独で使用することもこれら多塩基性の酸から選んだいくつかでなる混合体として使用することもできる。本発明の実施において使用できる多塩基性の酸類化合物の例としてはフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、コハク酸、グルタール酸、セバシン酸、アゼライン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、フマル酸、マレイン酸など、あるいはこれらの内のいくつかの混合体がある。より好適な多塩基性の酸としてはイソフタル酸とアジピン酸、あるいはこれらの混合体を挙げることができる。
【0027】
本願文書において「多塩基性の酸」とは広い意味で用いられるもので、多塩基性の酸無水物、例えばマレイン酸無水物、フタル酸無水物、コハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、あるいはこれらの内のいくつかの混合体をも含めて指すものとする。ここに示した化合物はそれぞれ単独で使用することも多塩基性の酸の内のいくつかでなる混合体として使用することもできる。
【0028】
本発明の一実施例にあっては、ポリウレタン・ポリマー類の生成に用いるポリオールを、分子中に少なくともその一箇所にスルホン酸残基を有し、更に脂肪族または芳香族いずれかの2塩基酸類化合物を有するがエチレン型官能基を持たないタイプのポリオールとしている。一方、別の一実施例にあっては、ポリウレタン・ポリマー類の生成に用いるポリオールを、分子中に少なくともその一箇所にスルホン酸残基を有し、更に脂肪族または芳香族いずれかの2塩基性酸類化合物を有すると共にエチレン型官能基をも有するタイプのポリオールとしている。
【0029】
本発明の実施に使用するに好適なイソシアネート類化合物は一分子当たり4ないし25個の炭素原子、2ないし4個のイソシアネート官能基を有するタイプのものである。好適なイソシアネート類化合物は脂肪族、環状脂肪族、アルアリファティックあるいは芳香族のジイソシアネート類のものがあり、同ジイソシアネート類に含まれる化合物の例としては1,2-エチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1-12-ドデカンジイソシアネート、シクロブタン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ビス(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタン(Des W)、1-メチルシクロヘキサン-2,2-ジイソシアネート、1-メチルシクロヘキサン-2,6-ジイソシアネート、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチル-シクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、2,5-ビス(イソシアナトメチル)-8-メチル-1,4-メタノ-デカヒドロナフタレン、3,5-ビス(イソシアナトメチル)-8-メチル-1,4-メタノ-デカヒドロナフタレン、2,6-ビス(イソシアナト)- 4,7-メタノ-ヘキサヒドロインダン、ジシクロヘキシル-2,4’-ジイソシアネート、ジシクロヘキシル-4,4’-ジイソシアネート、2,6-ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、2,6-ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、ペルヒドロ-2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ペルヒドロ-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ビフェニルジイソシアネート、4,4’-ジイソシアネート-3,3’-ジメトキシビフェニル、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルビフェニル、3,3’-ジペニルビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネートや2,6-トルエンジイソシアネートをその具体例とするトルエンジイソシアネート(TDI)、N-N’-(4,4’-ジメチル-3,3’-ジイソシアナト-ジフェニル)ウレトジオン、m-キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどがあり、脂肪族、環状脂肪族、アルアリファティックあるいは芳香族のトリシアネート類があり、同トリシアネート類に含まれる化合物の例としては2,4,4’-トリイソシアナトジフェニルエーテル、4,4’,4’’-トリイソシアナトトリフェニルメタン、トリス(4-イソシアナトフェニル)チオリン酸などがあり、更には1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートから導かれる多価イソシアネート(イソシアヌル酸)類があり、この類に含まれる化合物の例としては1,3,5-トリス-(6-イソシアナト-ヘキシル)-[1,3,5]トリアジナン-2、4,6-トリオン(Desmodur N-3300)や1,3-ビス(6-イソシアナト-ヘキシル)-1-[(6-イソシアナト-ヘキシルアミノ)-オキソメチル]-尿素(Desmodur N-75)があり、更にはこれらジイソシアネート類、トリイソシアネート類ならびに多価イソシアネート類の化合物の内のいくつかからなる混合体がある。より好適なイソシアネートとしては2,4-トルエンジイソシアネートや2,6-トルエンジイソシアネートなどを含むトルエンジイソシアネート類化合物、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4’-ジイソシアナト-ジフェニルメタン、4,4’-ジイソシアナト-ジフェニルメタン、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、3-イソシナナトメチル-3,5,5-トリメチル-シクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、ビス(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタン(Des W)、ジシクロヘキシル-2,4’-ジイソシアネート、ジシクロヘキシル-4,4’-ジイソシアネートもしくはこれらのいくつかの混合体が挙げられる。最も好適なジイソシアネート化合物には2,4-トルエンジイソシアネートと2,6-トルエンジイソシアネートの混合体、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4’-ジイソシアナト-ジフェニルメタン、4,4’-ジイソシアナト-ジフェニルメタン、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、3-イソシナナトメチル-3,5,5-トリメチル-シクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、ビス(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタン(Des W)やこれら化合物の内のいずれかの混合体がある。
【0030】
前記したポリエチレンポリマー(第二のポリマー)は炭素間に二重結合を有するいわゆる不飽和な酸類、エステル類、水酸残基を有するアクリル酸エステル類、アミド類、ビニル系モノマー類、ビニル・エステル類、あるいはこのような化合物のいくつかからなる混合体であるモノマー化合物から生成されるものである。ここでアクリル酸、メタクリル酸などが酸類化合物の例であり、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸(アセトアセトキシ)エチルなどがエステル類化合物の例であり、アクリル酸水酸化エチル、メタクリル酸水酸化エチルなどが水酸残基を有するタイプのアクリル・エステル類の例であり、アクリル酸アミド、メチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどがアミド類化合物の例であり、スチレン、a-メチルスチレン、ビニルトルエンなどがビニル・モノマー類化合物の例であり、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどがビニル・エステル類化合物の例である。ここで生成されるポリエチレン・ポリマーはいずれにしろ具体的にはポリアクリレート・ポリマーあるいはポリメタクリレート・ポリマーに属するものである。必要によってはこれら様々のモノマー化合物のすべてあるいはその一部の種類の化合物を適宜選択し、これらを事前に重合反応させることなく前記したポリウレタン分散組成物の構成成分とすることができる。これらのポリエチレン型ポリマー生成原料となるモノマー化合物は前記分散組成物中に同モノマー化合物間にフリー・ラジカル重合反応が始まる直前あるいは同重合反応が進行しつつある時点において投入することができるものである。
【0031】
前記した第二のポリマーを生成するために採用される具体的な化合物グループにはアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル。アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸アミド、メチルアクリルアミド、スチレン、a-メチルスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルならびにこれらの内のいくつかの化合物の混合体で構成される各種のビニル・モノマー類化合物の群から選ばれた化合物が含まれる。
【0032】
本発明の実施において使用することができるスルホン酸残基を有するタイプのポリオール類化合物は、ここでポリオール類化合物とはアルキッド化合物がその一種といえるものであるが、分子が段階的に成長するタイプの重合工程をへて生成されるもので、当該分野の技術者には良く知られたものである。本発明の実施において使用するスルホン酸残基を有するアルキッド化合物の典型的なものは水酸基価が201であるような、SSIPA/リノレン酸/IPA/NPG/TMPからなる組成物の反応により生成される化合物である。こうして生成されたアルキッド化合物は次に、エチレン型不飽和結合を有するモノマー化合物の存在下で、単量体のまたはポリマー化したイソシアネート化合物、あるいはこれらの混合体と反応させられる。スルホン酸残基を有する二塩基酸類の単量体化合物の当該PUポリマー中含量に関して、本発明の実施に使用できる典型例といえる値は同ポリウレタン・ポリマーの全重量の3ないし10重量%の範囲に収まるものである。より好適なスルホン酸残基を有する二塩基酸類の単量体化合物の含量値は、同ポリウレタン・ポリマーの全重量の4ないし8重量%である。最も好適なスルホン酸残基を有する二塩基酸類の単量体化合物の含量値は、同ポリウレタン・ポリマー全重量の約5.5ないし約7.5重量%となる。
【0033】
SSIPAならびにLSIPAが反応性を発揮するタイプのポリオール類化合物の各々はしかるべき形の多塩基酸類化合物をアミン残基を有する化合物と反応せしめることによっても生成できるものであって、この場合はアミド残基をもつポリエステルないしアルキッド化合物が生成される。本発明に係る種々のPUを生成する原料となるアミン残基を有する類の化合物(アミン類化合物)として典型的なものはエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、メラミン、1,2-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノプロパンなどのポリアミン類、あるいは2-アミノープロパン-1-オール、3-アミノープロパン-1-オール、ジメチルイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、またはジメチルエタノールアミンなどをその例とするアミノアルコール類の化合物である。これらのアミド残基を有するタイプのポリマーは同残基に加えてアミン残基ならびに/または水酸残基をも併せ持つ様に設計することができる。
【0034】
本発明になる水系分散ポリウレタン‐ポリエチレン・ポリマー組成物群のいずれかを調製する場合であって、芳香族系イソシアネートの化合物を使用する場合にあっては、スルホン酸残基を保持するタイプのモノマー化合物を採用すると優れた効果が発揮される。芳香族系イソシアネートは一般に高い反応性を有している。このタイプのイソシアネート基は反応系温度が60℃を越えると系内のいずれかのタイプのカルボキシル基と反応する可能性がでてくる。この種の反応が進行すると水系分散の安定性が低くなりあるいは同反応系がゲル化することもありえる。もし同組成物に採用されたカルボキシル残基を有するタイプの水系ポリウレタンの大部分がジメチロールプロピオン酸(DMPA)を使用して生成されているものである場合には同生成反応を60℃以下で進行させるためにDMPAを溶解することが必要でそのために一般には有機溶剤が必要となる。その結果当該芳香族系ポリウレタン分散組成物のVOCが高いものになってしまう。これに加えて、当該ポリウレタン・プレポリマーの分子鎖を延長する工程に関する次のような問題を伴うことにもなる。分子鎖の延長反応が開始される前の段階においては、このポリウレタン・プレポリマーは水中に分散されているあるいは何らかの形でこのポリウレタンに水が加えられている状態に保たれている必要がある。しかし、塩基を用いてカルボキシル残基を塩にする処方が採用される場合にあっては当該塩基がカルボキシル基とイソシアネート基の間の反応の触媒として機能することになる。カルボキシル基とイソシアネート基の間の反応に対する塩基の触媒作用の存在の所為でその実施には特許などにより保護され、かつその実施が簡便とはいえない技術の採用が必要になる。しかし、本発明になる組成物の一種である芳香族系シソシアネートを有するタイプのスルホン酸残基保有型ポリウレタン分散組成物を採用することでこのような実施が難しく特許などにより保護された技術の採用が不要になる。
【0035】
水系ポリウレタン‐ポリエチレン系ポリマー組成物(分散組成物)は過剰量のイソシアネート基または過剰量の水酸基が同組成物に含まれることになるいずれの混合率でも調製することができる。過剰量の水酸基が含まれる場合には、これら官能基の間の反応の結果、未反応のイソシアネート基の割合が0.3%以下にまで低下する。このようにして生成されたポリウレタン(PU)ポリマーはこの時点で水に分散し、エチレン型の不飽和結合を有するモノマー類化合物の重合がフリー・ラジカル発生剤を使用して惹起する。水酸残基を有するタイプのPUポリマーを生成しようとする場合にあっては、当該プレポリマーとして過剰量の水酸基を含むタイプのものとすれば良く、OH/NCO当量比を1:1ないし4:1とするのが一般的であり、このOH/NCO当量比を1:1ないしは2:1とするのがより好適である。
【0036】
過剰量の水酸残基を含むタイプのものとすることで、分子鎖延長剤を使用せず、従って分子鎖非延長型の油脂および/または脂肪酸変性ポリウレタン分散組成物とすることで分子鎖延長型ポリウレタン分散組成物と同等の性能特性を示すポリウレタン分散組成物群調整することができる。この様に構成した組成物にあってはエチレン型不飽和結合を有するモノマー化合物との重合反応が進む結果、相互に侵入し合い結合し合うネットワークが形成され同ネットワークが高いガラス転移温度(Tg)ならびに大きな分子量を実現することになる。このような利点は水系の油脂ならびに/または脂肪酸変性ウレタン類化合物を含むような配合にみられるものである。
【0037】
ここに記した水酸残基を有するタイプのPUポリマー群は、一般的には0ないし150の水酸基価を示すものである。
これに替わって、当該水系分散ポリウレタン‐ポリエチレン系ポリマー組成物(分散組成物)を分子鎖延長型で過剰量のイソシアネート基を有する組成物とすることも可能である。分子鎖延長型の様々なポリウレタン分散組成物はそれぞれエチレン型不飽和結合を有するモノマー化合物に混合されたウレタン・プレポリマーとプレポリマーとを過剰量のイソシアネート基を含有する配合で用いることで調製される。ここでNCO/OH当量比は一般に約1.05:1ないし約3:1であり、好ましくは約1.6:1ないし約2.2:1の範囲内である。
【0038】
当該ポリウレタン・プレポリマーはつぎに水に分散され、その後、必要によっては活性な水素を有する多価の、望ましくは2ないし3価の、反応性化合物によって同プレポリマーの分子鎖が延長されることになる。この分子鎖延長過程は多価アミンによって進行させるのが望ましいものである。同分子鎖の延長過程の後にフリー・ラジカル開始剤によってエチレン型の不飽和結合を有するモノマー型化合物の重合反応が惹起される。
【0039】
本発明の実施において使用可能な分子鎖延長剤の例にはアルキルアミノアルコール類、シクロアルキルアミノアルコール類、ヘテロ環アミノアルコール類、ポリアミン類、ヒドラジン、置換型ヒドラジン類、ヒドラジド、アミド類、水ならびにこれらの内から選ばれたいくつかの化合物からなる混合体が挙げられる。
【0040】
使用可能なポリアミンの例にはエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、メラミンなどがある。
前記ポリアミン型の分子鎖延長剤で一つだけ特定するとすればエチレンジアミンが挙げられる。
【0041】
これら以外であってここに特定できる分子鎖延長剤組成物としては、酸化ポリアルケン類化合物のような酸化ポリアルケンを含有する組成物、ある種の水酸残基を有するラテックスあるいはアミン残基を有するラテックスが挙げられる。
【0042】
本発明になる水系分散ポリウレタン‐ポリエチレン系ポリマー組成物(分散組成物)はエチレン型不飽和結合を有するモノマー化合物が重合することで形成される骨格にペンダント型に官能基を有するものであることが可能である。このようなペンダント型に接合するもので使用可能な官能基群にはアセトアセテート基、ジアセトンアクリルアミド基、アセチル基、ベンゾイル基などが含まれる。このようにして接合する官能基は前記ポリウレタン分子のアルキド該当部分にある不飽和結合を利用して、または前記ウレタン・ポリマーにあるアミン残基との間で前記ポリエチレン・ポリマーを架橋する役目をはたす。
【0043】
本発明になる水系分散ポリウレタン‐ポリエチレン系ポリマー組成物(分散組成物)それぞれに含有されるエチレン型不飽和結合を有するモノマー分子の重合反応はフリー・ラジカルの発生源となりえる化合物を使用することで惹起できる。ここで使用した「フリー・ラジカルの発生源」なる表現は過硫酸、過燐酸、過ホウ酸、過炭酸各々のナトリウム、カリウムまたはアンモニウム塩、ならびに過酸化水素、三級ブチル過酸化水素、三級ブチル過酸化オクトアートおよび同三級ブチル過酸化オクトアートと類似した過酸化カルボン酸えすてるなどの過酸化物類化合物、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、1-1’-アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル(AICN)、4-4’-アゾビス(4-シアノバレリック酸)(AICA)などを指すものである。同フリー・ラジカルの使用量は当該モノマー化合物重量の約0.1ないし約3重量%とする。より好ましくは同フリー・ラジカルの使用量を当該モノマー化合物重量の約0.1ないし約2重量%とする。
【0044】
本発明になる水系分散ポリウレタン‐ポリエチレン系ポリマー組成物(分散組成物)それぞれには乾燥助剤を含めることができる。乾燥助剤は当該水系ポリウレタン分散組成物の調製前あるいは調整後において添加される。使用される乾燥助剤の典型的なものにはコバルト、マンガン、鉛、ジルコニウム、カルシウム、セリウム、ランタン、ネオジミウムからなる各種金属の塩のいずれか一種または複数種の組み合わせがある。使用可能な金属塩型乾燥剤の具体例については本分野の技術者には広く知られたものであり、例えば、Wicks, Z. W., Jones, F. N.:, and Papas, S. P.: “Organic Coating Science and Technology”. Vol. II, 1994, New York, John Wiley & Sons, Inc. に記載がある。水系分散型ポリウレタン‐ポリエチレン系組成物のそれぞれは、1,10-フェナンスロリンやビピリジンなどの化合物を含むものであっても良いもので、このような化合物は前記金属塩型乾燥助剤と組み合わされることで乾燥促進剤として機能する。好ましくは、乾燥助剤の量を当該金属部重量基準で全ポリウレタン・ポリマー重量の約50ないし約1000 ppmとする。より好ましくは乾燥助剤の量を当該金属部重量基準で全ポリウレタン・ポリマー重量の約50ないし約300 ppmとする。
【0045】
本発明になる水系分散ポリウレタン‐ポリエチレン系ポリマー組成物(分散組成物)それぞれには上記した以外に、可塑剤類、顔料類、着色剤類、染料類、界面活性剤類、増粘剤類、熱安定性改良剤類、レベリング助剤、クレーター防止剤、充填剤、沈降防止剤、紫外線吸収剤などを添加し当該組成物の性状を調整することが可能である。熱安定性改良剤類、紫外線吸収剤などの添加剤にあっては反応中の混合物中に添加し当該ウレタン・ポリマーの分子に結合され保持されるようにすることも可能である。これに替えて、これら添加剤を当該水系分散ポリウレタン‐ポリエチレン系ポリマー組成物(分散組成物)が調製された後で添加することも可能である。このようにして調製された水系分散ポリウレタン‐ポリエチレン系ポリマー組成物(分散組成物)はそれぞれが低VOCのあるいはゼロVOCであって、物理的な被害、傷を与える外部からの作用に対する耐性において改善された特性を有し、放置乾燥ができ、かつ耐摩耗性、耐薬品、耐汚染性を持つ高い硬度の塗膜を形成する組成物となる。本発明で使用できる顔料は当該技術分野の技術者には既知のものである。使用可能な類の顔料には、酸化チタン白、カーボン・ブラック、ランプ・ブラック、黒色酸化鉄、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、茶色酸化鉄(赤色と黄色の酸化鉄の混合体に何らかの黒色顔料を加えたもの)、フタロシアニン・グリーン、フタロシアニン・ブルー、有機レッド類の顔料(ナフトール・レッド、キナクリドン・レッドやトウリジン・レッドなど)、キナクリドン・マジェンタ、キナクリドン・バイオレット、DNAオレンジ、および/あるいは種々の有機イエロー(ハンザ・イエローがその一例)がある。
【0046】
本文書においてはつぎの省略表記を用いることにする。
IPA:イソフタル酸
AA:アジピン酸
SSIPA:5-(ソジオスルホ)イソフタル酸
LSIPA:5-(リチオスルホ)イソフタル酸
TMP:トリメチロールプロパン
NPG:ネオペンチルグリコール
DEG:ジエチレングリコール
DBTDL:ジブチル錫ジラウリン酸
本発明になる水系分散ポリウレタン‐ポリエチレン系組成物類(または分散組成物類)の利点については、以下に事例を用いて沿った形で更なる説明を加えることにする。ここで示す量についてはすべて重量ベースの割合(重量部)を示すものとする。

〔例1〕
〔SSIPA官能型アルキッドの調製〕
〔ステップA〕
反応容器に11.8重量部のSSIPA、20.7重量部のネオペンチルグリコールおよび950ppmのFascat 4100(錫触媒、エルフ・アトケム社製)を投入した。同反応系混合物を約4時間に渡って加熱攪拌し水分を除去した。同混合物の加熱を継続し逐次それから採取したサンプルのテストを繰り返し、同サンプルの酸価が2 mg KOH/グラムになるまで同加熱を継続した。67.5重量部のリノール酸を同混合物に加え同反応混合物を放置し室温まで温度を低下せしめた。
〔ステップB〕
ステップAで生成した反応生成物の52重量部を16重量部のトリメチロールプロパン、11.2重量部のイソフタル酸、ならびに333 ppmのFascat 4100(錫触媒、エルフ・アトケム社製)と混合した。同混合物を約3.5時間に渡って加熱攪拌し同混合物の酸価を5 mg KOH/グラム以下にまで低下させた。
【0047】
SSIPA官能型アルキッドの物理的性状は次の通りとなった。
MW(分子量)= 537、 OH価 = 201、 AV(酸価)< 4.0

〔例2〕
〔SSIPA官能型水系分散ポリウレタン‐ポリエチレン系ポリマーの調製〕
例1において生成したSSIPA官能型アルキッドの1,272グラムと54グラムのトルエンジイソシアネートとを80.3グラムのメタクリル酸メチル(MMA)、ならびに75 ppmの2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールの存在下で同反応混合物内に空気吹き込みによる攪拌を加えながら反応させた。同反応混合物についてはその未反応イソシアネートの量が塩酸滴定において0.3%以下に低下するまで60℃に加熱・維持すると共に攪拌を継続した。
【0048】
本ポリウレタン・ポリマー混合物に365グラムの脱イオン水を加えて同混合物の水分散物とした。一方、MMAのフリー・ラジカル型重合をレドックス開始システムによって進行させた。同レドックスシステムは200グラムの脱イオン水中に溶解した1.2グラムの三級ブチルハイドロパーオキサイド(70%濃度の水溶液として供給されたもの)と20グラムの脱イオン水中に溶解した0.8グラムのイソアスコルビン酸で構成したものであった。同アスコルビン酸溶液はアンモニア水によってpH7〜8の範囲内に収まる様に中和された後で当該ポリウレタン分散液に投入された。同三級ブチルハイドロパーオキサイドの溶液は窒素雰囲気中においた前記分散液中に3時間かけて滴下することで徐々に添加した。滴下時の同分散液の温度は40℃とした。前記イソアスコルビン酸溶液の添加の開始直前においてHamp-ol 4.5% 鉄触媒(Hampshire社製)をその触媒活性が発揮されるレベルになる量だけ同分散液に添加した。
【0049】
同分散液の性状特性の概要は次表に示す通りであった。
【0050】
【表1】

〔例3〕
〔LSIPA官能型アルキッドの調製〕
反応容器に135重量部のLSIPA、397.5重量部のDEG、157.5重量部のTMPおよび1,500 ppmのFascat 4100(錫触媒、エルフ・アトケム社製)を投入した。同混合反応系を約4時間に渡って加熱攪拌し水分を除去した。同混合物の加熱を継続し逐次それから採取したサンプルのテストを繰り返し、同サンプルの酸価が2 mg KOH/グラムになるまで同加熱を継続した。300重量部の大豆油脂肪酸と510重量部のAAを同混合物に加え、その後、同反応混合物の酸価が5 mg KOH/グラム以下に低下するまで約4時間加熱攪拌した。
【0051】
LSIPA官能型アルキッドの物理的性状は次の通りとなった。
MW(分子量)= 1343、 OH価 = 83、 AV(酸価)< 4.0
〔例4〕
〔LSIPA官能型水系分散ポリウレタン‐ポリエチレン系ポリマーの調製〕
例3において生成したLSIPA官能型アルキッドの243グラムとIPDIの82グラムとを81グラムのメタクリル酸メチル(MMA)、ならびに200 ppmの2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールの存在下で同反応混合物内に空気吹き込みによる攪拌を加えながら反応させた。同反応混合物についてはそれに200 ppmのDBTDLを添加し、同反応混合物中のイソシアネートのレベルが9.2%以下に低下するまで80℃に加熱すると共に攪拌を継続した。同ウレタン・プレポリマーはその後65℃まで冷却させたあと、40℃の脱イオン水632グラムに分散させ、そこに8.5グラムのエチレンジアミンの24グラムの脱イオン水への希釈液を混合し分子鎖延長反応を惹起した。一方、MMAのフリー・ラジカル型重合をレドックス開始システムによって進行させた。同レドックスシステムは90グラムの脱イオン水中に溶解した2.25グラムの三級ブチルハイドロパーオキサイド(70%濃度の水溶液として供給されたもの)と10グラムの脱イオン水中に溶解した1.75グラムのイソアスコルビン酸で構成したものであった。同アスコルビン酸溶液はアンモニア水によってpH7〜8の範囲内に収まる様に中和された後で当該ポリウレタン分散液に投入した。同三級ブチルハイドロパーオキサイドの溶液は窒素雰囲気中においた前記分散液中に3時間かけて滴下することで徐々に添加した。滴下時の同分散液の温度は40℃とした。前記イソアスコルビン酸溶液の添加の開始直前においてHamp-ol 4.5% 鉄触媒(Hampshire社製)をその触媒活性が発揮されるレベルになる量だけ同分散液に添加した。当該分散組成物はその後脱イオン水によって固形物含量が35%となる様に調整を加えた。
【0052】
同分散液の性状特性の概要は次表に示す通りであった。
【0053】
【表2】

〔例5〕
〔調製した混合物の特性〕
例4の通りにして調製したLSIPA官能型水系分散ポリウレタン‐ポリエチレン系ポリマー組成物の厚さ3milの湿潤フイルムをレネタ試験チャートに塗工し室温にて乾燥させた。
【0054】
【表3】

光沢度試験(グロス試験)はASTM試験法D-523に基づくと共にマイクロ-TRI-グロスユニットを使用した。
【0055】
以上までに開示した発明の詳細、例、ならびに収集した試験結果は本発明になる組成物の調製方法ならびに使用方法のすべてを開示するものである。本発明の基本概念や発明の範囲を離れることなく様々な様態において本発明を実施することができるものであり、したがって本発明は別途記載する特許請求の範囲としての記載によって定義されるものとする。
【0056】
本願明細書において言及した特許文書、特許出願文書、更にはその他の文献についてはそれらに記載された内容のすべてを本願の一部を構成するものと理解する。もしこれらの内容に関して相互矛盾がある場合にあっては同相互矛盾がなんらかの定義に関わるものである場合も含めて本願文書に記載の事項が優先するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)i)多価イソシアネート化合物と ii)スルホン化ポリオールとの反応生成物を含んでなるスルホン化ポリウレタン・ポリマー、
b)ビニル・モノマーから生成された第二のポリマー、ならびに
c)水、
を含んでなる組成物であって、前記スルホン化ポリウレタン・ポリマーがエチレン型官能基を有すること、ならびに当該組成物のVOC値が同組成物の全重量の約5%未満であることを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記ポリウレタン・ポリマーが、エチレン型官能基を保有しないスルホン化ポリオールを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリウレタン・ポリマーが、エチレン型官能基を保有するスルホン化ポリオールを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記スルホン化ポリオールが、少なくとも1つのスルホン酸残基を保有する、2塩基脂肪酸又は2塩基芳香族酸を含んでいることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記スルホン化2塩基酸が、前記ポリウレタン・ポリマーの全重量の約3ないし約10重量パーセントを占めることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記スルホン化2塩基酸が、前記ポリウレタン・ポリマーの全重量の約4ないし約8重量パーセントを占めることを特徴とする請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記スルホン化2塩基酸が、前記ポリウレタン・ポリマーの全重量の約5.5ないし約7.5重量パーセントを占めることを特徴とする請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記第二のポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2-エチルへキシル、アクリル酸水酸化エチル、メタクリル酸水酸化エチル、メタクリル酸(アセトアセトキシ)エチル、アクリル酸アミド、アクリル酸メチルアミド、アクリル酸ジアセトンアミド、スチレン、a-メチルスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及びこれらの混合物からなるグループから選ばれたビニル・モノマーを含んでなることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記第二のポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2-エチルへキシル、アクリル酸水酸化エチル、メタクリル酸水酸化エチル、アクリル酸アミド、アクリル酸メチルアミド、アクリル酸ジアセトンアミド、スチレン、a-メチルスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及びこれらの混合物からなるグループから選ばれたビニル・モノマーを含んでなることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
前記第二のポリマーが、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、スチレン、酢酸ビニル、又はそれらの混合物を含んでなることを特徴のする請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記第二のポリマーが、ポリ(メタ)アクリル酸ポリマーであることを特徴とする請求項8ないし10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
前記ポリ(メタ)アクリル酸ポリマーが、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、アクリル酸、メタクリル酸、又はこれらの混合物の共重合体を含んでなることを特徴とする請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記ポリ(メタ)アクリル酸ポリマーが、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、及びこれらの混合物からなるグループから選ばれたビニル・モノマーを含んでなることを特徴とする請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記ポリ(メタ)アクリル酸ポリマーが、メタクリル酸メチル、酢酸ブチル、又はそれらの混合物を含んでなることを特徴とする請求項8ないし13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
前記第二のポリマーが、スチレン、酢酸メチル、またはそれらの混合物を更に含んでなることを特徴とする請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記第二のポリマーが、フリー・ラジカル反応触媒を用いた重合反応で生成されたものであることを特徴とする請求項1ないし15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
前記多価イソシアネートが、1,2-エチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチレン-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1-12-ドデカンジイソシアネート、シクロブタン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ビス(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1-メチルシクロヘキサン-2,2-ジイソシアネート、1-メチルシクロヘキサン-2,6-ジイソシアネート、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチル-シクロヘキシルイソシアネート、2,5-ビス(イソシアナトメチル)-8-メチル-1,4-メタノ-デカヒドロナフタレン、3,5-ビス(イソシアナトメチル)-8-メチル-1,4-メタノ-デカヒドロナフタレン、2,6-ビス(イソシアナト)-4,7-メタノ-ヘキサヒドロインダン、ジシクロヘキシル-2,4’-ジイソシアネート、ジシクロヘキシル-4,4’-ジイソシアネート、2,6-ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、パーヒドロ-2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、パーヒドロ-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ビフェニルジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメトキシビフェニル、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルビフェニル、3,3’-ジペニルビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、N-N’-(4,4’-ジメチル-3,3’-ジイソシアナト-ジフェニル)ウレトジオン、m-キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,4,4’-トリイソシアナトジフェニルエーテル、4,4’,4’’-トリイソシアナトトリフェニルメタン、トリス(4-イソシアナトフェニル)チオリン酸、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1ないし16のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
前記多価イソシアネートが2価イソシアネートであることを特徴とする請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記2価イソシアネートが、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、ビス(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ジシクロヘキシル-2,4、-ジイソシアネート、ジシクロヘキシル-4-4’-ジイソシアネート、又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記スルホン化ポリオールが、ポリエステル、アルキッド、又はそれらの混合物であることを特徴とする請求項1ないし19のいずれかに記載の組成物。
【請求項21】
前記スルホン酸残基は、アンモニウム塩、3級アミン塩、カルシウム塩、銅塩または鉄塩の形で存在することを特徴とする請求項4ないし20のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
前記スルホン酸残基は、アルカリ金属の塩の形で存在することを特徴とする請求項4ないし20のいずれかに記載の組成物。
【請求項23】
前記アルカリ金属塩がリチウム、ナトリウムまたはカリウムであることを特徴とする請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記スルホン化ポリマーが5-スルホイソフタル酸から生成されるものであることを特徴とする請求項1ないし23のいずれかに記載の組成物。
【請求項25】
前記ポリウレタン・ポリマーが分子鎖延長剤を更に含んでなることを特徴とする請求項1ないし24のいずれかに記載の組成物。
【請求項26】
前記分子鎖延長剤が、アルキルアミノアルコール、シクロアルキルアミノアルコール、ヘテロ環アミノアルコール、多価アミン、ヒドラジン、置換型ヒドラジン類化合物、ヒドラジド、アミド、水、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記分子鎖延長剤が、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、メラミン、またはこれらの混合物を含んでなることを特徴とする請求項25に記載の組成物。
【請求項28】
前記前記分子鎖延長剤がエチレンジアミンを含んでなることを特徴とする請求項25に記載の組成物。
【請求項29】
前記前記分子鎖延長剤が、多価アルキレンのオキシド、水酸残基を有する分子のラテックス、またはアミン残基を有する分子のラテックスを含んでなることを特徴とする請求項25に記載の組成物。
【請求項30】
前記組成物のVOC値が同組成物全重量の約3%未満であることを特徴とする請求項1ないし29のいずれかに記載の組成物。
【請求項31】
前記VOC値が前記組成物全重量の約1%未満であることを特徴とする請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記VOC値が実質的に前記組成物全重量の0%であることを特徴とする請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
請求項1ないし32のいずれかに記載の水系分散ポリウレタン−ポリエチレン系ポリマー組成物を調製する方法であって、
a)イソシアネート残基に対して不活性であるビニル・モノマー化合物類に属する一種類または複数種類の化合物をポリウレタン・プレポリマーに投入し混合すること、
b)前記プレポリマーと前記ビニル・モノマー化合物の混合物を水中に投入混合すること、
c)活性な水素を含む化合物により、前記プレポリマーに保持されたイソシアネート残基の分子鎖の延長はかることで、該分子鎖の延長されたポリウレタン・プレポリマーが、i) 少なくとも一種類のスルホン酸残基と少なくとも一種類の硬化反応に参加できるタイプのエチレン性不飽和結合の双方を保有し、かつii) イソシアネート残基のみまたはイソシアネート残基とビニル残基の双方を有するようにすること、および
d)前記ビニル・モノマー化合物にフリー・ラジカル型の重合反応を惹起させること
を備えることを特徴とする方法。

【公表番号】特表2007−502350(P2007−502350A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523364(P2006−523364)
【出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/026133
【国際公開番号】WO2005/016999
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(506305757)ヴァルスパー ソーシング,インク. (1)
【Fターム(参考)】