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水系分散体組成物用揺変剤
説明

水系分散体組成物用揺変剤

【課題】水系分散体組成物に配合され、優れた揺変性を発現しつつ、その分散体を十分に分散させたままで維持させることができ、面倒な中和操作を必要とせず、長期間安定で、高分子量であっても粘度を低下させず共存する被膜形成樹脂成分への相溶性に優れた揺変剤と、それが含まれている水系分散体組成物とを、提供する。
【解決手段】水系分散体組成物用の揺変剤は、下記化学式
C=(R)C−COO(C2mO)−R
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数8〜22の脂肪族炭化水素基、mは2〜4の数、nは1〜100の数。)で表されるアルコキシポリオキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートモノマーの重合物で、その数平均分子量が、3,000〜1,000,000である。水系分散体組成物は、この揺変剤と、被膜形成成分とが、含まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水系の分散体である組成物に配合されるもので、その流動性を調整して揺変性を発現させる揺変剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
顔料を含む水溶性樹脂塗料、ディスパージョン塗料、エマルション塗料等の水性塗料のような水系分散体組成物は、塗装されて塗膜を形成するのに、用いられる。
【0003】
被膜を平滑で綺麗な仕上がりにするために、この水系分散体組成物の粘性を制御することが重要である。特に、水系分散体組成物を吹付塗装する場合、吹き付け時には組成物の流動性を向上させて粘度を低く保ち、塗着直後には組成物の流動性を低下させて粘度を高く保ちその組成物で形成された塗膜を垂れ落ち難くすることが、必要である。
【0004】
このような組成物の粘度は、揺変剤の添加により、水系分散体組成物が擬塑性流動をすること、即ちせん断速度及びせん断応力の増大とともに粘度が低下することにより、調整される。水系分散体組成物が擬塑性流動をすると、塗着後にその粘度が増加しアルミ・マイカのような光輝性顔料の動きを妨げ、その配向を向上させる。このような揺変剤は、粘性改良剤、ゲル化剤、チクソトロピック剤、レオロジーコントロール剤、濃化剤などとも称され、しばしば増粘剤としても使用されている。
【0005】
揺変剤として、ベントナイト、モンモリナイト、ヘクトライトなどの無機系粘土鉱物や、グアガム、キサンタムガム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体が、知られている。無機系粘土鉱物の揺変剤が配合された水系分散体組成物は、塩類、親水性有機溶剤などが共存していると水和によるイオン化を妨げられ分散が困難になる。一方、セルロース誘導体の揺変剤が配合された水系分散体組成物は、セルロース誘導体の細菌分解が起こって劣化し易いうえ、被膜強度が低く、セルロース誘導体が高分子粒子に吸着しないため枯渇凝集を起して相分離し易いという問題がある。そのためこれらの揺変剤は、そのような副作用の所為で、遍く様々な水性分散体組成物に使用することができない。
【0006】
そのような副作用のない揺変剤として、特許文献1、特許文献2のようなカルボキシル基を含有する共重合物や、疎水基を末端に含有するポリウレタンが、知られている。カルボキシル基含有共重合物の揺変剤が配合された水系分散体組成物は、増粘特性がpHに強く依存しているためアルカリでカルボキシル基を中和するという煩雑な増粘性の調整操作を必要とする。一方、疎水基含有ポリウレタンの揺変剤が配合された水系分散体組成物は、そのポリウレタンが線状の構造であり網目状とならない所為で揺変性が不十分となるうえ、そのポリウレタンの分子量を適度に調整できないために粘度が大きなものになってしまう。
【0007】
【特許文献1】特開平8―225618
【特許文献2】特開2000−1662
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、水系分散体組成物に配合され、優れた揺変性を発現しつつ、面倒な中和操作を必要とせず、長期間安定で、共存する被膜形成樹脂成分への相溶性に優れた揺変剤と、それが含まれている水系分散体組成物とを、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するためになされた特許請求の範囲の請求項1に記載の水系分散体組成物用の揺変剤は、下記化学式(1)
C=(R)C−COO(C2mO)−R ・・・(1)
(式(1)中、Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数8〜22の脂肪族炭化水素基、mは2〜4の数、nは1〜100の数。)
で表されるアルコキシポリオキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートモノマーの重合物で、その数平均分子量が、3,000〜1,000,000であることを特徴とする。アルコキシポリオキシアルキレングリコール部分は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールである。
【0010】
請求項2に記載の水系分散体組成物用の揺変剤は、請求項1に記載されたもので、前記重合物が、少なくとも1重量部の前記アルコキシポリオキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートモノマーと、最大でも99重量部の別な不飽和基含有モノマーとの共重合物であることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の水系分散体組成物用の揺変剤は、請求項1に記載されたもので、前記アルコキシポリオキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートモノマーが、ステアリルオキシポリエチレングリコールモノメタクリレートであることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の水系分散体組成物用の揺変剤は、請求項1に記載されたもので、前記重合物のSP値が8.0〜22.0であることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の水系分散体組成物は、請求項1〜4の何れかに記載の揺変剤と、被膜形成樹脂成分とが、含まれていることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の水系分散体組成物は、請求項5に記載されたもので、顔料が、含有されていることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の水系分散体組成物は、請求項6に記載されたもので、前記顔料が、光輝性顔料であることを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の硬化被膜は、請求項5に記載の水系分散体組成物が、硬化して形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の水性分散体組成物用の揺変剤は、アルコキシポリオキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートモノマーが重合することにより強い揺変性を発現する。この揺変剤は、そのモノマーと、カルボキシル基を有していても有していなくてもよい別な不飽和基含有モノマーとが共重合することによっても強い揺変性を発現する。
【0018】
また、この揺変剤は、高分子量であっても被膜形成樹脂成分との相溶性に優れたものである。さらに、この揺変剤は、モノマー成分比を調整することにより水に不溶な重合物として得られるものであるから、耐候性・耐水性を要する被膜の形成が求められる焼付け塗料のような水性分散体組成物用に、特に有用である。
【0019】
この揺変剤を含有する水系分散体組成物は、分散すべき顔料を含んでいても含んでいなくてもよいが、長期間、揺変性が持続したものとなるものである。水系分散体組成物は、揺変剤をアルカリで中和しなくて済むので、簡素な組成であって、簡便に調製できる。
【発明を実施するための好ましい形態】
【0020】
以下、本発明の実施のための好ましい形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
【0021】
本発明の水系分散体組成物用の揺変剤の好ましい実施の一態様は、アルコキシポリオキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートモノマーとしてステアリルオキシポリエチレングリコールモノメタクリレートと、そのモノマー以外の別な不飽和基含有モノマーであるN,N−ジメチルアクリルアミドとを、共重合させて得た共重合物である。
【0022】
このような揺変剤は、モノマーが重合して形成した重合物分子中の疎水性の(メタ)アクリル主鎖から分岐した親水性のポリエーテル基であるアルコキシポリオキシアルキレングリコール基の末端にある疎水基同士が疎水性相互作用により、あたかも網目状の比較的弱い結合を形成している。そのため、静置状態でその分子間同士が結合したままで粘度が高くなるが、撹拌状態でその分子間同士が会合しなくなり粘度が低下すると考えられる。
【0023】
この揺変剤は、ウレタン系のものよりも粘度が低く、高分子量のものとなり易い。そのため、ブリードや加水分解を起こすことなく、被膜形成樹脂成分との高い相溶性を発現する。
【0024】
なお、揺変剤は、アルコキシポリオキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートモノマー1〜99重量部と、別な不飽和基含有モノマーの99〜1重量部との共重合物であれば、別な不飽和基含有モノマーの種類や、それらモノマーの比は、特に限定されない。
【0025】
揺変剤が共重合物である例を挙げたが、揺変剤は、このアルコキシポリオキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートモノマーのみが重合した重合物であってもよい。
【0026】
その重合体又は共重合物の数平均分子量は、3,000〜1,000,000である。
アルコキシポリオキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートモノマーは、ステアリルオキシポリエチレングリコールモノメタクリレートの例を挙げたが、下記化学式(1)
C=(R)C−COO(C2mO)−R ・・・(1)
(式(1)中、Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数8〜22の脂肪族炭化水素基、mは2〜4の数、nは1〜100の数。)で示されるアクリレート又はメタクリレートであれば特に限定されない。
【0027】
別な不飽和基含有モノマーは、その不飽和基を(メタ)アクリル基のみ、又はアルケニル基のみとするモノマーであってもよく、それら両モノマーの混合物であってもよい。中でも不飽和基をアクリル基とするモノマーであることが好ましい。
【0028】
この別な不飽和基含有モノマーの例として、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、カプロラクトン1〜10モルが2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートに付加された(メタ)アクリレートのような水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体;
2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、1,1−ビス(アクリロイロキシメチル)エチルイソシアネートのようなイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸誘導体;
イソシアナトアルキル (メタ)アクリレートのイソシアネート基を例えばメチルエチルケトオキシムでブロック化した化合物のようなブロック化イソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸誘導体;
グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルアクリレートのようなエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸誘導体;
(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸のようなカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸誘導体、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ノルマルプロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ノルマルオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−オクトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ラウロキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−メトキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコールエステル[例えば、エチレングリコール繰返し単位の数(r)が1〜50のもの]、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールエステル[例えば、プロピレングリコール繰返し単位の数(r)が1〜50のもの]、(メタ)アクリル酸メトキシポリ(エチレン−プロピレン)グリコールエステル[例えば、エチレングリコール繰返し単位の数とプロピレングリコール繰返し単位の数との合計(r)が2〜50のもの]、(メタ)アクリル酸メトキシポリ(エチレン−テトラメチレン)グリコールエステル[例えば、エチレングリコール繰返し単位の数とテトラメチレングリコール繰返し単位の数との合計(r)が2〜50のもの]、(メタ)アクリル酸ブトキシポリ(エチレン−プロピレン)グリコールエステル[例えば、エチレングリコール繰返し単位の数とプロピレングリコール繰返し単位の数との合計(r)が2〜50のもの]、(メタ)アクリル酸オクトキシポリ(エチレン−プロピレン)グリコールエステル[例えば、エチレングリコール繰返し単位の数とプロピレングリコール繰返し単位の数との合計(r)が2〜50のもの]、(メタ)アクリル酸ラウロキシポリエチレングリコールエステル[例えば、エチレングリコール繰返し単位の数(r)が2〜50のもの]、(メタ)アクリル酸ラウロキシポリ(エチレン−プロピレン)グリコールエステル[例えば、エチレングリコール繰返し単位の数とプロピレングリコール繰返し単位の数との合計(r)が2〜50のもの]、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,4,4,−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリレート類;
アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクロイルモルフォリンのようなアクリルアミド類;
スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエンなどのような芳香族炭化水素ビニル系化合物;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル類;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ノルマルプロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ノルマルブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ターシャリーブチルビニルエーテル、ノルマルオクチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテルのようなビニルエーテル類;
塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、フルオロオレフィンマレイミド等のようなその他のビニル系化合物が挙げられる。
【0029】
別な不飽和基含有モノマーは、これら例示したもの以外のものであってもよく、重合可能で、揺変剤の物性を損なわない限り、それの種類や組成や組成比は、特に限定されない。
【0030】
揺変剤は、揺変性を発現させるのに、カルボキシル基を有する別な不飽和基含有モノマーを用いて共重合されたアニオン系のものであってもよく、その遊離のカルボキシル基のままであってもよくそれを塩にしたものであってもよい。揺変剤は、揺変性を発現させるのに、必ずしも、カルボキシル基を有する別な不飽和基含有モノマーを用いないノニオン系のものであってもよい。
【0031】
この重合物のSP値(溶解パラメータ)、即ち液体の1mol当りの蒸発熱ΔHとモル体積Vとによりδ=(ΔH/V)1/2で定義される量が、8.0〜22.0で、より好ましくは8.0〜16.0である。
【0032】
揺変剤は、この重合物又は共重合物を如何なる方法で製造したものであってもよい。例えば、溶媒中、アルコキシポリオキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートモノマーと、別な不飽和基含有モノマーとを、ラジカル重合開始剤存在下で、必要に応じ加熱すると、得られる。
溶媒は、より具体的にはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチルブタノール、メチルイソブチルケトンが挙げられる。
【0033】
ラジカル重合開始剤は、より具体的には、アゾビスイソブチロニトリルが挙げられる。
【0034】
水系分散体組成物は、この揺変剤の0.01〜10.0重量部、アクリル樹脂、アルキッド樹脂のような被膜形成樹脂成分の0.1〜3.0重量部、必要に応じてエタノール、ブチルセロソルブのような溶媒が含まれたものである。カーボンブラック、べんがら(酸化第二鉄)、酸化チタンなどに例示される無機顔料やアゾ系、フタロシアニン系、キナクドリン系、などに例示される有機顔料もしくはアルミニウム、マイカで例示される光輝性顔料のような顔料の0.01〜1.5重量部が、含まれていてもよい。この揺変剤が顔料へ吸着し、顔料組成物を分散し易く、または分散安定化し易くするために、メタアクリル酸、無水マレイン酸のようなカルボン酸や、リン酸、スルホン酸などの酸性基含有化合物、もしくはアミノ基、イミダゾール基、ピリジニウム基などの塩基性基を含有する化合物が、含まれていてもよい。
【0035】
水系分散体組成物は、これらの成分を配合して、混練して調製したものである。
この水系分散体組成物は、コロイド溶液であって、静止しているとゲル状であるものが、例えば振とうするとゾル状になり流動性を示し、また静止するとゲルに戻るというものである。
【実施例】
【0036】
以下に本発明を適用する実施例の揺変剤及び水系分散体組成物と、本発明を適用外の比較例の揺変剤及び水系分散体組成物とを、調製した例を示す。
【0037】
(実施例1)
還流冷却器、温度計、撹拌機および滴下漏斗を備えた反応容器に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(大伸化学株式会社製)の100重量部、アルコキシポリオキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートモノマーとしてステアリルオキシポリエチレングリコールモノメタクリレートであるブレンマーPSE−1300(日本油脂株式会社製;商品名)の40重量部、別な不飽和基含有モノマーとしてジメチルアクリルアミド(株式会社興人製)の5重量部を入れて、モノマー混合溶液とした。その液温が90℃となるように加熱した。窒素雰囲気下で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの100重量部とラジカル重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルの1重量部との溶液を、約2時間かけて、モノマー混合溶液に滴下した。100℃で2時間反応させると、揺変剤としてアクリル系の共重合物の溶液が得られた。この共重合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析装置Shodex GPC system(昭和電工株式会社製;商品名)で分子量分布を分析した結果、数平均分子量が、ポリスチレンに換算した値で13,000であった。
【0038】
(実施例2)
還流冷却器、温度計、撹拌機および滴下漏斗を備えた反応容器に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(大伸化学株式会社製)の100重量部、アルコキシポリオキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートモノマーとしてブレンマーPSE−1300(日本油脂株式会社製;商品名)の10重量部、別な不飽和基含有モノマーとして2−ヒドロキシエチルメタクリレート(共栄社化学株式会社製)の50重量部、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(日本油脂株式会社製)の20重量部を入れて、モノマー混合溶液とした。その液温が90℃となるように加熱した。窒素雰囲気下で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの100重量部、ラジカル重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルの1重量部の溶液を、約2時間かけて、モノマー混合溶液に滴下した。120℃で2時間反応させると、揺変剤としてアクリル系の共重合物の溶液が得られた。この共重合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析装置Shodex GPC system(昭和電工株式会社製;商品名)で分子量分布を分析した結果、数平均分子量が、ポリスチレンに換算した値で30,000であった。
【0039】
(実施例3)
還流冷却器、温度計、撹拌機および滴下漏斗を備えた容器に、3−メトキシ−3−メチルブタノール(株式会社クラレ製)の100重量部、アルコキシポリオキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートモノマーとしてブレンマーPSE−1300(日本油脂株式会社製;商品名)を40重量部、別な不飽和基含有モノマーとしてアクロイルモルフォリン(株式会社興人製)の13重量部、メチルアクリル酸(共栄社化学株式会社製)の2重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(日本化成株式会社製)の15重量部を入れて、モノマー混合溶液とした。その液温が90℃となるように加熱した。窒素雰囲気下で、3−メトキシ−3−メチルブタノールの100重量部とラジカル重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルの1重量部との溶液を、約2時間かけて、モノマー混合溶液に滴下した。70℃で2時間反応させると、揺変剤としてアクリル系の共重合物の溶液が得られた。この共重合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析装置Shodex GPC system(昭和電工株式会社製;商品名)で分子量分布を分析した結果、数平均分子量が、ポリスチレンに換算した値で70,000であった。
【0040】
(実施例4)
還流冷却器、温度計、撹拌機および滴下漏斗を備えた反応容器にメチルイソブチルケトン(協和発酵ケミカル株式会社製)の100重量部、アルコキシポリオキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートモノマーとしてブレンマーPSE−1300(日本油脂株式会社製)の30重量部、不飽和基含有モノマーとしてジメチルアクリルアミド(株式会社興人製)の20重量部、メチルメタアクリレート(共栄社化学株式会社製)の15重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(日本化成株式会社製)の15重量部を入れて、モノマー混合溶液とした。その液温が90℃となるように加熱した。窒素雰囲気下で、3−メトキシ−3−メチルブタノールの100重量部とラジカル重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルの1重量部との溶液を、約2時間かけて、モノマー混合溶液に滴下した。70℃で2時間反応させると、揺変剤としてアクリル系の共重合物の溶液が得られた。この共重合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析装置Shodex GPC system(昭和電工株式会社製)で分子量分布を分析した結果、数平均分子量が、ポリスチレンに換算した値で50,000であった。
【0041】
(比較例1)
市販のウレタン系揺変剤であるアデカノールUH−420(アデカ社製;商品名)を、本発明を適用外の揺変剤として使用した。
【0042】
(比較例2)
市販のウレタン系揺変剤であるFX−1050(エレメンティス社製;商品名)を、本発明を適用外の揺変剤として使用した。
【0043】
(比較例3)
市販のウレアー・ウレタン系揺変剤であるBYK−425(ビックケミー社製;商品名)を、本発明を適用外の揺変剤として使用した。
【0044】
(比較例4)
市販のアクリルエマルション系揺変剤であるビスカレックスHV−30(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製;商品名)を、本発明を適用外の揺変剤として使用した。
【0045】
実施例1〜4、及び比較例1〜4の揺変剤を用いて水系分散体組成物である塗料を調製し、その揺変性性能、耐水性性能について評価した。
【0046】
(耐水性評価)
各揺変剤をガラス板に300μmアプリケーターで塗布し、100℃の乾燥機で1時間乾燥させたものを水中に浸漬した。その状態で30分間放置し、白化の有無、又は溶解の有無を確認した。その結果を表1に示す。
【0047】
【表1】

【0048】
(調製実施例及び調製比較例)
水系分散体組成物である塗料を以下のようにして、調製した。
アクリル樹脂(アクリディック)であるウォーターゾールBCD−3050(大日本インキ化学工業株式会社製;商品名)の287.3g、イオン交換水の54g、ブチルセロソルブ(協和発酵ケミカル株式会社製)54g、塗料用酸化チタンJR−600A(テイカ株式会社製;商品名)の216g、トリエチルアミンの1.1gを、900mlガラス瓶に量り取り、ガラスビーズ(直径1.5〜2.0mm)の200gを加え、ペイントシェーカーで約1時間分散し、ミルベースを得た。得られたミルベースに、メラミン樹脂であるサイメル370(三井サイテック株式会社;サイメルは登録商標)の102.5gとウォーターゾールBCD−3050(大日本インキ化学工業株式会社;商品名)の231.1gを加え、翼径4cmのディスパーで2500rpm、10分間攪拌して、アルキッドディスパージョン塗料を得た。
【0049】
このアルキッドディスパージョン塗料を225mlマヨネーズ瓶に120g量り取り、実施例1〜4及び比較例1〜4の揺変剤3gを別々に加え、ラボディスパー(直径40mm羽)を用いて2500rpmで3分間分散し、水系分散体組成物である塗料のサンプルを調製した。なお、揺変剤を用いない塗料をブランクのサンプルとした。
【0050】
(揺変付与性性能評価)
各サンプルについてB型粘度計により、6rpm及び60rpmの粘度(mPa・s)を測定した。6rpmにおける粘度を60rpmにおける粘度で除し、TI値(チクソトロピックインデックス:Thixotropic Index)を算出した。TI値は高いほど揺変性が優れていることを示す指標である。その結果を表2に示す。
【0051】
【表2】

【0052】
表1及び表2から明らかなように、本発明を適用する実施例の揺変剤及びそれを用いた水系分散体組成物である塗料は、本発明を適用外の揺変剤及びそれを用いた塗料と比べると、揺変付与性が優れていた。そのため垂直面での垂れ防止性能も優れていた。従って、調製実施例の塗料は、調製比較例の塗料に比べ、適度な凝集力を有していることに起因して、垂れ難い。また、耐水性に優れた揺変剤を作製することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の揺変剤は、建材や建築物や日用品原材を塗装したり、ペンやマーカーのインキとして充填したりする水系分散体組成物に、添加して用いられる。この揺変剤を含有する水系分散体組成物は、建材や建築物や日用品原材を、塗装、塗布、吹き付けして、その表面を保護したり、着色したり、ペン等に充填して描画したりするのに用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(1)
C=(R)C−COO(C2mO)−R ・・・(1)
(式(1)中、Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数8〜22の脂肪族炭化水素基、mは2〜4の数、nは1〜100の数。)
で表されるアルコキシポリオキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートモノマーの重合物で、その数平均分子量が、3,000〜1,000,000であることを特徴とする水系分散体組成物用の揺変剤。
【請求項2】
前記重合物が、少なくとも1重量部の前記アルコキシポリオキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートモノマーと、最大でも99重量部の別な不飽和基含有モノマーとの共重合物であることを特徴とする請求項1に記載の水系分散体組成物用の揺変剤。
【請求項3】
前記アルコキシポリオキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートモノマーが、ステアリルオキシポリエチレングリコールモノメタクリレートであることを特徴とする請求項1に記載の水系分散体組成物用の揺変剤。
【請求項4】
前記重合物のSP値が8.0〜22.0であることを特徴とする請求項1に記載の水性分散体組成物用の揺変剤。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の揺変剤と、被膜形成樹脂成分とが、含まれていることを特徴とする水系分散体組成物。
【請求項6】
顔料が、含有されていることを特徴とする請求項5に記載の水系分散体組成物。
【請求項7】
前記顔料が、光輝性顔料であることを特徴とする請求項6に記載の水系分散体組成物。
【請求項8】
請求項5に記載の水系分散体組成物が、硬化して形成されていることを特徴とする硬化被膜。

【公開番号】特開2009−91452(P2009−91452A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−263208(P2007−263208)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(000162076)共栄社化学株式会社 (67)
【Fターム(参考)】