説明

水系型導電性高分子分散体、その製造方法、及びこれを含む帯電防止ハードコーティング組成物、帯電防止フィルム、偏光板並びに表示装置

【課題】帯電防止性能及び透明性に優れるだけでなく、反射防止効果が非常に優れる光学積層体、及び該光学積層体を含む偏光板並びに表示装置を提供すること。
【解決手段】所定の構造を有する(メタ)アクリレートオリゴマーに水系型導電性高分子を分散させてなる水系型導電性高分子分散体を含む帯電防止ハードコーティング組成物を用いて形成された光学積層体、及び該光学積層体を含む偏光板並びに表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水系型導電性高分子分散体、その製造方法、及びこれを含む帯電防止ハードコーティング組成物、帯電防止フィルム、偏光板並びに表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、CRT(Cathod Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)などの表示装置には、表面保護材として、透明基材上に耐スクラッチ性(anti−scratch)に優れたハードコーティング層が形成されたフィルムを使用している。しかし、従来のフィルムは表面抵抗が1013Ω/sq以上であるため、周りの埃などが表面に付き易いという短所があった。
【0003】
それにより、ハードコーティング層に帯電防止性を付与した帯電防止フィルムが使用されている。ハードコーティング層に帯電防止性を付与するための方法にはいろいろな技術が知られている。ハードコーティング層に帯電防止性を付与するために一般的に使用されている方法としては、ハードコート層に導電性金属酸化物を含有させる方法、帯電防止性重合体化合物を含有させる方法、導電性高分子を含有させる方法などが知られている。
【0004】
ハードコーティング層に導電性高分子を含有させる方法は、ハードコーティング組成物に導電性高分子を添加して行うことができる。しかし、一般的に知られている導電性高分子は水系型であって、有機系溶剤を使用するハードコーティング組成物では分散が十分に行えないという短所がある。これにより、水系型導電性高分子を含む帯電防止ハードコーティング組成物の場合、組成物内で導電性高分子の分散安定性が低下されて十分な帯電防止性能を奏し難いという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題点を解決するためのものであって、水系型導電性高分子を有機系タイプのハードコーティング組成物に有用に適用することができるように、水系型導電性高分子の分散体及びその製造方法を提供することにその目的がある。
【0006】
また、本発明は、帯電防止剤として上記水系型導電性高分子の分散体を含むことにより優れた分散安定性を確保して、優れた帯電防止性能を奏することができる帯電防止ハードコーティング組成物を提供することに他の目的がある。
【0007】
また、本発明は、透過率に優れるとともに、帯電防止特性に優れた帯電防止フィルムを提供することにまた他の目的がある。
【0008】
さらに、本発明は、上記帯電防止フィルムを備えた優れた品質の偏光板及び表示装置を提供することにまた他の目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、下記式1で表される(メタ)アクリレートオリゴマーに水系型導電性高分子を添加して分散させたことを特徴とする水系型導電性高分子分散体を提供する。
【0010】
【化1】

(式中、Xは水素またはCHであり、Rは炭素数1〜20のヘテロ原子を含むか含まない脂肪族もしくは芳香族炭化水素基を示し、Yは官能基数1〜6の(メタ)アクリレート基を含む炭素数3〜80のヘテロ原子を含むか含まない脂肪族もしくは芳香族炭化水素基を示し、nは5〜100の整数である。)
【0011】
上記水系型導電性高分子はポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリp−フェニレン、ポリp−フェニレンサルファイド及びポリp−フェニレンビニレンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
【0012】
上記水系型導電性高分子は、ポリスチレンスルホン酸(PSS)をドープしたポリエチレンジオキシチオフェンであることが好ましい。
【0013】
上記分散体は、水分含量が0.5重量%以下であることが好ましい。
【0014】
本発明の他の目的を達成するために、本発明は、水系型導電性高分子を下記式1で表される(メタ)アクリレートオリゴマーに添加した後、分散する分散段階を含むことを特徴とする分散体の製造方法を提供する。
【0015】
【化2】

(式中、Xは−CH、水素、Rは炭素数1〜20のヘテロ原子を含むか含まない脂肪族もしくは芳香族炭化水素基を示し、Yは官能基数1〜6の(メタ)アクリレート基を含む炭素数2〜80のヘテロ原子を含むか含まない脂肪族もしくは芳香族炭化水素基を示し、nは5〜100の整数である。)
【0016】
上記導電性高分子は、上記式1で表される(メタ)アクリレートオリゴマー100重量部に対して1〜20重量部を添加した後、分散させることが好ましい。
【0017】
また、上記分散段階から得られた分散物に有機溶剤を投入する段階、及び吸収剤を投入する段階を更に含んでなることができる。
【0018】
上記有機溶剤は、分散体中の固形分含量が20〜90重量%になる範囲内で添加することが好ましい。
【0019】
上記吸収剤は、無水NaSOまたは無水MgSOを添加するものであることができる。
【0020】
本発明の他の目的を達成するために、本発明は、帯電防止剤として上記分散体(A)を含んでなることを特徴とする帯電防止ハードコーティング組成物を提供する。
【0021】
上記帯電防止ハードコーティング組成物は、(メタ)アクリレートモノマー(B)、光開始剤(C)及び溶剤(D)を含んでなることができる。
【0022】
上記分散体は、上記帯電防止ハードコーティング組成物全体100重量部に対して5〜90重量部含まれることが好ましい。
【0023】
上記分散体は、帯電防止ハードコーティング組成物全体100重量部に対して分散体中の水系導電性高分子が0.001〜10重量部含まれるように添加することが好ましい。
【0024】
本発明のまた他の目的を達成するために、本発明は、透明基材と、上記透明基材に上記本発明に係る帯電防止ハードコーティング組成物を塗布及び硬化して形成されたハードコーティング層とを含んでなることを特徴とする帯電防止フィルムを提供する。
【0025】
上記帯電防止フィルムは、表面抵抗が5×1011Ω/sq以下であることが好ましい。
【0026】
また、上記帯電防止フィルムは、上記ハードコーティング層の上面に形成されたものであって上記ハードコーティング層より屈折率が低い低屈折率層を更に含むことができる。
【0027】
本発明のまた他の目的を達成するために、本発明は、上記帯電防止フィルムを備えたことを特徴とする偏光板を提供する。
【0028】
本発明のまた他の目的を達成するために、本発明は、上記帯電防止フィルムを備えたことを特徴とする表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る水系型導電性高分子の分散体の製造方法によって製造される分散体は、有機系タイプのハードコーティング組成物に適用したとき優れた分散安定性を確保して、優れた帯電防止性能を奏することができる帯電防止ハードコーティング組成物が得られる。上記帯電防止ハードコーティング組成物は、帯電防止性能に優れるだけでなく、高温高湿など苛酷な環境でも帯電防止性能の持続性及び透明性に優れる。したがって、本発明の帯電防止ハードコーティング組成物は、帯電防止フィルム、偏光板及び表示装置に有用に適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明をより詳しく説明する。
水系型導電性高分子分散体
上記水系型導電性高分子分散体は、下記式1で表される(メタ)アクリレートオリゴマーに水系型導電性高分子を添加して分散させたものである。
【0031】
【化3】

(式中、Xは水素またはCHであり、Rは炭素数1〜20のヘテロ原子を含むか含まない脂肪族もしくは芳香族炭化水素基を示し、Yは官能基数1〜6の(メタ)アクリレート基を含む炭素数3〜80のヘテロ原子を含むか含まない脂肪族もしくは芳香族炭化水素基を示し、nは5〜100の整数である。)
【0032】
上記水系型導電性高分子分散体を、その製造方法を通じて詳細に説明すると次のとおりである。
【0033】
上記分散体は、水系型導電性高分子を上記式1で表される(メタ)アクリレートオリゴマーに添加した後、分散する分散段階を含んでなる製造方法によって容易に製造することができる。
【0034】
上記式1で表される化合物は、2価のポリオールと2官能性イソシアネート基を有する化合物、及びヒドロキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートを反応させて製造することができる。
【0035】
上記2価のポリオールは、分子量が300〜2500であることが好ましく、より好ましくは400〜1500であることが良い。分子量が300未満であれば分散効率が低下され、2500を超過すると、製造されるオリゴマーの粘度が高くなって作業性が低下される問題がある。
【0036】
上記2価のポリオールとしては、具体的に、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリエチレン−プロピレングリコールからなる群から選ばれたものであることができる。
【0037】
上記2官能性イソシアネート基を有する化合物は、分子中に2個のイソシアネート基を有するものであれば、制限なく適用することができる。上記2官能性イソシアネート基を有する化合物の具体例としては、4,4'−ジシクロヘキシルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、1,4−ジイソシアナトブタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,8−ジイソシアナトオクタン、1,12−ジイソシアナトデカン、1,5−ジイソシアナト−2−メチルペンタン、トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、トランス−1,4−シクロヘキセンジイソシアネート、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、テトラメチルキシレン−1,3−ジイソシアネート、1−クロロメチル−2,4−ジイソシアネート、4,4'−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルイソシアネート)、4,4'−オキシビス(フェニルイソシアネート)などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で、または2つ以上を組み合わせて使用することができる。
【0038】
上記ヒドロキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが挙げられ、これらはそれぞれ単独で、または2つ以上を組み合わせて使用することができる。
【0039】
上記水系型導電性高分子は、ポリアニリン、ポリピロール、またはポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリp−フェニレン、ポリp−フェニレンサルファイド、ポリp−フェニレンビニレンであることができるが、優れた透明度を有するポリチオフェンがより好ましい。特にポリチオフェンの中でポリエチレンオキシチオフェンが好ましく、さらに好ましくはポリエチレンジオキシチオフェン(polyethylenedioxythiopene;PEDOT)であることが良い。上記ポリエチレンジオキシチオフェンの分子量は、好ましくは150,000〜200,000の範囲であり、ドーパント(dopant)としてポリスチレンスルホン酸(PSS)をドープしたものがさらに好ましい。このようにPSSをドープしたポリエチレンジオキシチオフェンは水によく溶ける性質を持ち、耐熱性、耐湿性及びUV安定性が非常に優れるという長所を持つ。(以下、PEDOTとは、PSSをドープしたポリエチレンジオキシチオフェンを意味する)
【0040】
上記PEDOTは水溶液の形態で添加されるが、このときPEDOT水溶液は水に対する最適の溶解度を維持するように固形分濃度が1.2〜1.5重量%に調整されることが好ましい。このようなPEDOT水溶液は、水及び/またはアルコールのような誘電常数が大きい溶媒とよく混合されるので、このような溶媒で希薄することができる。
【0041】
このようなPEDOTの代表例としては、現在市販されているドイツのH.C.Starch社製のBaytron PH(Grade500、1.3〜1.5重量%水溶液)が挙げられる。
【0042】
上記導電性高分子は上記式1で表される(メタ)アクリレートオリゴマー100重量部に対して1〜20重量部を添加した後、分散させることが好ましい。導電性高分子が上記基準で1重量部未満であれば十分な帯電防止効果が奏し難く、20重量部を超過するとコーティング時の凝集などの相溶性問題を起こす。
【0043】
上記導電性高分子の分散は公知の方法を適用して実施することができ、本発明では1000Rpm以上の高速撹拌によって分散が行われるようにした。
【0044】
本発明によれば、上記分散段階で得られた分散物に有機溶剤を投入する段階、及び吸収剤を投入する段階をさらに含んでなることができる。
【0045】
上記有機溶剤と吸収剤の投入は水系導電性高分子の水分を除去するためのものである。
【0046】
上記有機溶剤は特に限定されず、ケトン係、アルコール係などが用いられる。
【0047】
このとき、上記有機溶剤は、分散体中の固形分含量が20〜90重量%になる範囲内で添加することが好ましい。即ち、本発明に係る分散体は固形分含量が20〜90重量%であることが好ましい。
【0048】
上記有機溶剤は分散体中の固形分含量が20重量%未満になるように添加する場合、コーティング時の厚さを調節しにくいという問題点があり、分散体中の固形分含量が90重量%超過になるように添加する場合、粘度上昇による作業性の低下が発生することがある。
【0049】
上記水分吸収剤としては、無水NaSO、無水MgSOを添加することができる。上記水分吸収剤は、分散体中の固形分100重量部に対しておおよそ50重量部を投入することができる。しかし、本発明はこれに限定されない。
【0050】
水分吸収剤を添加した後にフィルタリングをすると、本発明に係る分散体が得られる。
【0051】
上記分散体は水分含量が0.5重量%以下であることが好ましい。分散体内で水分含量が0.5重量%を超過するとコーティングの際に染みが発生することがある。
【0052】
本発明において固形分とは、溶剤を除いた成分を意味する。
【0053】
帯電防止ハードコーティング組成物
上記帯電防止ハードコーティング組成物は、帯電防止剤として上記の本発明に係る分散体(A)を含んでなる。上記帯電防止ハードコーティング組成物は、(メタ)アクリレートモノマー(B)、光開始剤(C)及び溶剤(D)を含んでなることができる。
【0054】
分散体(A
上記分散体は帯電防止剤として添加されるものであって、前述のとおりであるから、それに対する詳細な説明は略する。
【0055】
上記分散体は、上記帯電防止ハードコーティング組成物全体100重量部に対して5〜90重量部、特に5〜80重量部含まれることが好ましい。上記分散体が5重量部未満の場合は十分な帯電防止性能を奏し難く、90重量部を超過する場合はコーティング性が悪くなることがある。
【0056】
上記分散体は、本発明に係る帯電防止ハードコーティング組成物において前述の水系導電性高分子の含量が帯電防止ハードコーティング組成物全体100重量部に対して0.001〜10重量部になるように添加することが好ましく、より好ましくは0.1〜5重量部含まれるように添加した方が良い。上記水系導電性高分子の含量を上記基準で0.001重量部未満で使用すると、導電性フィルムの商業的に有用な最小の導電度である表面抵抗1014Ω/sqを超えることになって問題があり、10重量部を超して使用すると、導電度は優秀であるが輝度及び色合などの光学特性が低下されて導電性フィルムの製造の際に透明基材との附着性が低下し、均一なコーティング膜を得ることが困難である。
【0057】
(メタ)アクリレートモノマー(B)
上記(メタ)アクリレートモノマーは硬化層の硬度を向上するために添加される。上記(メタ)アクリレートモノマーは当該分野で公知のものを制限なく使用することができる。
【0058】
上記(メタ)アクリレートモノマーとしては、具体的に、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸エステル、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を使用することができる。
【0059】
上記(メタ)アクリレートモノマーの含量は制限されないが、帯電防止ハードコーティング組成物全体100重量部に対して0.1〜50重量部含まれることが好ましい。上記(メタ)アクリレートモノマーの含量が0.1重量部未満であればコーティング層の表面硬化に問題があり、50重量部を超過するとコーティング層のクラックが発生することがある。
【0060】
光開始剤(C
上記光開始剤は、当該分野で使用されているものを制限なく使用することができる。
【0061】
上記光開始剤としては、具体的に、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]2−モルホリンプロパン−1−オン、ジフェニルケトンベンジルジメチルケタル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、4−ヒドロキシシクロフェニルケトン、ジメトキシ−2−フェニルアテトフェノン、アントラキノン、フルオレン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロアセトフェノン、4,4−ジメトキシアセトフェノン、4,4−ジアミノベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、及びベンゾフェノンからなる群から選ばれた少なくとも1つを使用することができる。
【0062】
上記光開始剤の含量は、帯電防止ハードコーティング組成物全体100重量部に対して0.1〜10重量部含まれることが好ましい。上記光開始剤の含量が上記基準で0.1重量部未満であれば組成物の硬化速度が遅くなり、10重量部を超過すると未反応開始剤による表面染みの問題がある。
【0063】
溶剤(D
上記溶剤は、本技術分野の帯電防止ハードコーティング組成物の溶剤として公知のものであれば、制限なく使用することができる。
例えば、上記溶剤は、アルコール系(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、ケトン系(メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、シクロヘキサノンなど)、ヘキサン系(ヘキサン、ヘプタン、オクタンなど)、ベンゼン系(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)などが好ましく用いられる。上記挙げられた溶剤は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記溶剤の含量は、帯電防止ハードコーティング組成物全体100重量部に対して5〜90重量部含まれることができる。上記溶剤が上記基準で5重量部未満であれば粘度が高くて薄膜コーティングが困難であり、90重量部を超過すると硬化過程で長時間がかかり、経済性が落ちる問題がある。
本発明に係る帯電防止ハードコーティング組成物には、上記成分の他にも抗酸化剤、UV吸収剤、光安定剤、熱的高分子化禁止剤、レベリング剤 、界面活性剤、潤滑剤などを併用することができる。
【0064】
帯電防止フィルム
本発明では、透明基材と、上記透明基材に前述の本発明に係る帯電防止ハードコーティング組成物を塗布及び硬化して形成されたハードコーティング層とを含んでなる帯電防止フィルムを提供する。
【0065】
より具体的に、上記帯電防止フィルムは透明基材と、上記透明基材の一面または両面に上記帯電防止ハードコーティング組成物を用いて形成されたハードコーティング層とを含む。
【0066】
透明基材
上記透明基材としては、透明性のあるプラスチックフィルムであれば何れのフィルムでも使用可能であり、例えば、ノルボルネンや多環ノルボルネン系単量体のような、シクロオレフィンを含む単量体の単位を有するシクロオレフィン系誘導体、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、イソブチルエステルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロースまたはアセチルプロピオニルセルロースなどから選ばれるセルロース、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリアクリル、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、エポキシの中から選ばれたものを使用することができ、未延伸、1軸または2軸延伸フィルムを使用することができる。
【0067】
このうち、好ましくは透明性及び耐熱性に優れた1軸または2軸延伸ポリエステルフィルムや、透明性及び耐熱性に優れるとともにフィルムの大型化に対応することができるシクロオレフィン系誘導体フィルム、透明性及び光学的に異方性のないという点からトリアセチルセルロースフィルムが適宜に使用される。
【0068】
上記透明基材フィルムの厚さは8〜1000μmであり、好ましくは40〜100μmである。
【0069】
ハードコーティング層
上記ハードコーティング層は、上記透明基材に本発明に係る帯電防止ハードコーティング組成物を塗布及び硬化して形成される。
【0070】
上記ハードコーティング層はダイコーター、エアーナイフ、リバースロール、スプレー、ブレード、キャスティング、グラビア及びスピンコーティングなどの適当な方式で帯電防止ハードコーティング組成物を塗布して形成することができる。
【0071】
上記帯電防止ハードコーティング組成物を透明基材に塗布した後は、30〜120℃の温度で10秒〜1時間、より好ましくは30秒〜30分間、揮発物を蒸発させて乾燥させる。その後、 UV光を照射して硬化させる。UV光の照射量は約0.01〜10J/cmが好ましく、0.1〜2J/cmであることがさらに好ましい。
【0072】
このとき、上記帯電防止ハードコーティング組成物を塗布して形成された上記ハードコーティング層の厚さは0.5〜10μmであることが好ましい。上記ハードコーティング層の厚さが上記範囲内に含まれる場合は、優れた反射防止効果が得られる。
【0073】
本発明に係る帯電防止フィルムが反射防止フィルムとしての役目をする場合、上記ハードコーティング層の屈折率は反射防止フィルムを得るための光学設計から、25℃での屈折率が1.48〜2.00の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1.50〜1.90であり、とりわけ好ましくは1.50〜1.80である。本発明に係る帯電防止フィルムが反射防止フィルムとしての役目をする場合、上記ハードコーティング層上には低屈折率層が形成されるが、ハードコーティング層の屈折率が上記範囲より小さいと反射防止性が低下され、上記範囲より大きいと反射光の色が濃くなる短所がある。
【0074】
低屈折率層
上記低屈折率層は上記帯電防止ハードコーティング層上に形成されるものであって、反射防止性能のためにハードコーティング層より低い屈折率を持つ。
【0075】
上記低屈折率層の屈折率は25℃で1.20〜1.49、好ましくは1.30〜1.44の屈折率を持つ。上記低屈折率層の屈折率が上記範囲内に含まれる場合は、優れた反射防止効果が得られる。
【0076】
上記低屈折率層は、上記範囲の屈折率を満たす当該分野で一般的に使用されている低屈折率層形成用組成物を使って形成することができる。より好ましくは、上記低屈折率層はフッ素含有共重合体、空隙を有する微粒子、開始剤及び溶剤を含んでなる低屈折率層形成用組成物を上記ハードコーティング層上に塗布した後、硬化させて形成することが好ましい。
【0077】
上記フッ素含有共重合体は、当該分野で一般的に使用されているものであれば、制限なく使用することができ、好ましくはフッ素含有の割合が60〜70%であるものが良く、さらに好ましくはフッ素含有の割合が62〜70%、とりわけ好ましくはフッ素含有の割合が64〜68%であるものが良い。上記範囲内のフッ素含有の割合を持つフッ素含有重合体は、溶剤に対して良好な溶解性を持ち、多様な基材に対して優れた密着性を持つ。特に、上記範囲内のフッ素含有の割合を持つフッ素含有重合体は、高い透明性と低い屈折率を持つとともに、十分に優れた機械的強度を持つ薄膜を形成するため、薄膜が形成された表面の耐スクラッチ性などの機械的特性を十分高めることができて非常に適合である。
【0078】
上記フッ素含有共重合体は特に制限されないが、上記低屈折率層形成用組成物全体100重量部に対して10〜90重量部含まれることが好ましい。上記フッ素含有共重合体の含量が上記基準で10〜90重量部内に含まれる場合は、優れた反射防止特性を奏するため好ましい。
【0079】
上記空隙を有する微粒子は低屈折率層の強度を維持しながら屈折率を低めることを可能にする。
【0080】
上記空隙を有する微粒子とは、微粒子の内部に気体が充填された構造及び/または気体を含む多孔質構造体を形成し、微粒子本来の屈折率に比べて微粒子中の気体の占有率に反比例して屈折率が低下する微粒子を意味する。また本発明においては、微粒子の形態、構造、凝集状態、塗布膜内部での微粒子の分散状態によって、内部及び/または表面の少なくとも一部にナノポーラス構造の形成が可能な微粒子も含まれる。
【0081】
上記空隙を有する微粒子は製造が容易であり、かつその自身の硬度が高いため、低屈折率層の強度が向上され、さらに低屈折率層の屈折率を1.20〜1.49程度の範囲内に調節可能にする。
【0082】
上記空隙を有する微粒子としては、具体的に、充填用のカラム及び表面の多孔質部に各種化学物質を吸着させる除放材、触媒固定用に使用される多孔質微粒子、または断熱材や低誘電材に組み込むことを目的とする中空微粒子の分散体や凝集体が挙げられる。具体例としては、市販品として日揮触媒化学社製の商品名ELECOM中空シリカ粒子、日本シリカ工業社製の商品名NipsilやNipgelの中から多孔質シリカ微粒子の集合体、日産化学工業社製のシリカ微粒子が鎖状に繋がった構造を有するコルロイダルシリカUPシリーズ(商品名)から選ばれたものを使用することができる。
【0083】
上記空隙を有する微粒子の平均粒径は5nm〜300nmであり、好ましくは8nm〜100nmであり、さらに好ましくは40nm〜80nmである。上記空隙を有する微粒子の平均粒径が上記範囲内にある場合は、低屈折率層に優れた透明性を付与することができる。
【0084】
上記空隙を有する微粒子は、上記低屈折率層形成用組成物全体100重量部に対して0.5〜10重量部含まれることが好ましい。上記空隙を有する微粒子が上記基準で上記範囲内に含まれる場合は、低屈折率層形成用組成物の屈折率調節が可能であり、反射防止効果に優れる。
【0085】
上記溶剤及び開始剤は前述の帯電防止ハードコーティング組成物で挙げられた光重合開始剤と溶剤を使用することができる。尚、上記溶剤及び開始剤は前述の帯電防止ハードコーティング組成物で提示した光重合開始剤及び溶剤の含量範囲内で使用することができる。
【0086】
また上記低屈折率層形成用組成物は、必要によって当該分野で一般的に使用されている抗酸化剤、UV吸収剤、光安定剤、熱的高分子化禁止剤、レベリング剤 、界面活性剤、潤滑剤、防汚剤などをさらに含むことができる。
【0087】
上記の組成を有する低屈折率層形成用組成物を帯電防止ハードコーティング層上にコーティングすると低屈折率層が得られる。上記低屈折率層形成用組成物のコーティングは、ダイコーター、エアーナイフ、リバースロール、スプレー、ブレード、キャスティング、グラビア、マイクログラビア及びスピンコーティングなどの適当な方式で塗工(Coating Process)することが可能である。
【0088】
上記低屈折率層形成用組成物を透明基材に塗布した後は、30〜150℃の温度で10秒〜1時間、より好ましくは30秒〜30分間、揮発物を蒸発させて乾燥させる。その後、UV光を照射して硬化させる。UV光の照射量は約0.01〜10J/cmであることが好ましく、0.1〜2J/cmであることがさらに好ましい。
【0089】
このとき、上記低屈折率層の厚さは80〜120nmが好ましく、90〜105nmがさらに好ましい。上記低屈折率層の厚さが上記範囲内に含まれる場合は、優れた反射防止効果が得られる。
【0090】
さらに、上記低屈折率層の屈折率は25℃で1.2〜1.49であることが好ましい。上記低屈折ハードコーティング層の屈折率が上記範囲内に含まれる場合は、優れた反射防止効果が得られる。
【0091】
上記の構造を有する本発明に係る帯電防止フィルムは表面抵抗が5×1010Ω/sq以下であって、優れた帯電防止性能を持つ。のみならず、上記帯電防止フィルムが低屈折率層をさらに含んでなる場合は、反射率が1.5%以下であって非常に優れた反射防止効果を奏する。これにより、上記のように製造された本発明に係る帯電防止フィルムは、帯電防止及び反射防止を必要とする物品、特に以下に言及する偏光板や各種表示装置に用いることができる。
【0092】
偏光板
本発明に係る偏光板は、前述の本発明に係る帯電防止フィルムを少なくとも片面に積層して形成される。
【0093】
上記偏光板は特に制限されず、様々な種類が用いられる。上記偏光板としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、及びエチレン−酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムなどの親水性高分子フィルムに、ヨウ素や2色性染料などの2色性物質を吸着させて1軸延伸したフィルムや、ポリビニルアルコールの脱水処理物もしくはポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物などのポリエン系配向フィルムなどが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの2色性物質からなる偏光板が好ましい。これら偏光板の厚さは特に制限されないが、一般的には5〜80μm程度である。
【0094】
偏光板の透過率は、波長550nm の光において、30〜50%の範囲にあることが好ましく、35〜50%の範囲にあることがより好ましい。偏光度は、波長550nmの光において、90〜100%の範囲にあることが好ましく、95〜100%の範囲にあることがより好ましく、99〜100%の範囲にあることが最も好ましい。
【0095】
表示装置
本発明に係る表示装置は、前述の帯電防止フィルムを含んでなる。例えば本発明の帯電防止フィルムが積層された偏光板を表示装置に内蔵することで、帯電防止性に優れた表示装置を製造することができる。
【0096】
本発明の帯電防止フィルムは、例えば、Twisted Nematic(TN)、Super Twisted Nematic(STN)、Vertical Alignment(VA)、In−Plane Switching(IPS)またはOpically Compensated Bend Cell(OCB)などのモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に用いることができる。
【0097】
特に上記本発明に係る帯電防止フィルムは、市販中の輝度向上フィルム(偏光選択層を有する偏光分離フィルム、例えば、住友3M社製のD−BEFなど)と共に透過型または半透過型の液晶表示装置に使用される場合、表示装置はさらに大きい視認性が得られる。
【0098】
また、本発明の帯電防止フィルムがPET、PENなどの透明基材上に形成されると、PDA、携帯電話の表面保護板、タッチパネル、プラズマディスプレイパネル(PDP)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用することができる。
【0099】
本発明は下記の実施例によってより具体化されるが、下記の実施例は本発明の具体的な例示に過ぎず、本発明の保護範囲を限定したり制限しようとするものではない。
【実施例】
【0100】
(合成例1)(メタ)アクリレートオリゴマーの合成
コンデンサー、撹拌装置、温度調節装置が装着された反応器に、イソホロンジイソシアネート(TCI社製)17.7g、ポリエチレングリコール(分子量400、ハンノン化成社製)3g、ジブチルチンジラウレート(アルドリッチ社製)0.1gを添加して、50℃で2時間撹拌した後、ペンタエリスリトールトリアクリレート(M340、ミウォン商事社製)120gを添加して80℃で3時間撹拌した後、FT−IRでイソシアネートの特性ピークである2260cm−1が消滅する地点を反応の終末点にして製造した。
【0101】
(合成例2)(メタ)アクリレートオリゴマーの合成
コンデンサー、撹拌装置、温度調節装置が装着された反応器に、4,4'−ジシクロヘキシルジイソシアネート(TCI社製)23.5g、ポリエチレングリコール(分子量400、ハンノン化成社製)3g、ジブチルチンジラウレート(アルドリッチ社製)0.1gを添加して50℃で2時間撹拌した後、ペンタエリスリトールトリアクリレート(M340、ミウォン商事社製)120gを添加して80℃で3時間撹拌した後、FT−IRでイソシアネートの特性ピークである2260cm−1が消滅する地点を反応の終末点にして製造した。
【0102】
(合成例3)(メタ)アクリレートオリゴマーの合成
コンデンサー、撹拌装置、温度調節装置が装着された反応器に、イソホロンジイソシアネート(TCI社製)15.8g、ポリプロピレングリコール(分子量1000、ハンノン化成社製)8g、ジブチルチンジラウレート(アルドリッチ社製)0.1gを添加して50℃で2時間撹拌した後、ペンタエリスリトールトリアクリレート(M340、ミウォン商事社製)115gを添加して80℃で3時間撹拌した後、FT−IRでイソシアネートの特性ピークである2260cm−1が消滅する地点を反応の終末点にして製造した。
【0103】
(合成例4)(メタ)アクリレートオリゴマーの合成
コンデンサー、撹拌装置、温度調節装置が装着された反応器に、イソホロンジイソシアネート(TCI社製)16.5g、ポリエチレングリコール(分子量1500、ハンノン化成社製)12g、ジブチルチンジラウレート(アルドリッチ社製)0.1gを添加して50℃で2時間撹拌した後、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(M400、ミウォン商事社製)210gを添加して80℃で3時間撹拌した後、FT−IRでイソシアネートの特性ピークである2260cm−1が消滅する地点を反応の終末点にして製造した。
【0104】
(製造例1)分散体の製造
合成例1から製造された樹脂45gに、PSSをドープしたポリエチレンジオキシチオフェン(Baytron PH、Grade500、1.3〜1.5重量%水溶液)5g(固形分重量)を添加して3時間撹拌した後、メチルエチルケトン25g、イソプロピルアルコール25gを添加して30分間撹拌する。続いて、無水MgSO10gを添加して1時間撹拌した後、ポリプロピレン材質のフィルターを用いて固体をろ過除去して固形分50%の分散体を得た。
【0105】
(製造例2)分散体の製造
合成例2から製造された樹脂45gに、PSSをドープしたポリエチレンジオキシチオフェン(Baytron PH、Grade500、1.3〜1.5重量%水溶液)5g(固形分重量)を添加して3時間撹拌した後、メチルエチルケトン25g、イソプロピルアルコール25gを添加して30分間撹拌する。続いて、無水MgSO10gを添加して1時間撹拌した後、ポリプロピレン材質のフィルターを用いて固体をろ過除去して固形分50%の分散体を得た。
【0106】
(製造例3)分散体の製造
合成例3から製造された樹脂45gに、PSSをドープしたポリエチレンジオキシチオフェン(Baytron PH、Grade500、1.3〜1.5重量%水溶液)5g(固形分重量)を添加して3時間撹拌した後、メチルエチルケトン25g、イソプロピルアルコール25gを添加して30分間撹拌する。続いて、無水MgSO10gを添加して1時間撹拌した後、ポリプロピレン材質のフィルターを用いて固体をろ過除去して固形分50%の分散体を得た。
【0107】
(製造例4)分散体の製造
合成例4から製造された樹脂45gに、PSSをドープしたポリエチレンジオキシチオフェン(Baytron PH、Grade500、1.3〜1.5重量%水溶液)5g(固形分重量)を添加して3時間撹拌した後、メチルエチルケトン25g、イソプロピルアルコール25gを添加して30分間撹拌する。続いて、無水MgSO10gを添加して1時間撹拌した後、ポリプロピレン材質のフィルターを用いて固体をろ過除去して固形分50%の分散体を得た。
【0108】
(製造例5)低屈折率層形成用組成物の製造
市販中の低屈折率層形成用組成物であるフッ素重合体含有UVコーティング液(エディソン社製:固形分濃度20%であり、固形分中にフッ素重合体約85重量%含有、重合性モノマー、重合開始剤を含有)10重量部に、メチルエチルケトン5重量部とエチルアセテート3重量部を添加して室温で30分間撹拌した後、これを3μmサイズの孔を持つポリプロピレン材質のフィルターでろ過して屈折率1.41の低屈折率層形成用組成物を製造した。
【0109】
(実施例1)帯電防止ハードコーティング層形成用組成物の製造
製造例1から製造された分散体50重量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(M340、ミウォン商事社製)15重量部、光開始剤(イルガキュア184、BASF社製)4.5重量部、メチルエチルケトン30重量部、添加剤(BYK320、BYK社製)0.5重量部を3時間撹拌した後、ポリプロピレン材質のフィルターを用いてろ過して組成物を製造した。
【0110】
(実施例2)
製造例2から製造された分散体50重量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(M340、ミウォン商事社製)15重量部、光開始剤(イルガキュア184、BASF社製)4.5重量部、メチルエチルケトン30重量部、添加剤(BYK320、BYK社製)0.5重量部を3時間撹拌した後、ポリプロピレン材質のフィルターを用いてろ過して組成物を製造した。
【0111】
(実施例3)
製造例3から製造された分散体50重量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(M340、ミウォン商事社製)15重量部、光開始剤(イルガキュア184、BASF社製)4.5重量部、メチルエチルケトン30重量部、添加剤(BYK320、BYK社製)0.5重量部を3時間撹拌した後、ポリプロピレン材質のフィルターを用いてろ過して組成物を製造した。
【0112】
(実施例4)
製造例4から製造された分散体50重量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(M340、ミウォン商事社製)15重量部、光開始剤(イルガキュア184、BASF社製)4.5重量部、メチルエチルケトン30重量部、添加剤(BYK320、BYK社製)0.5重量部を3時間撹拌した後、ポリプロピレン材質のフィルターを用いてろ過して組成物を製造した。
【0113】
(実施例5)
製造例1から製造された分散体30重量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(M340、ミウォン商事社製)25重量部、光開始剤(イルガキュア184、BASF社製)4.5重量部、メチルエチルケトン40重量部、添加剤(BYK320、BYK社製)0.5重量部を3時間撹拌した後、ポリプロピレン材質のフィルターを用いてろ過して組成物を製造した。
【0114】
(実施例6)
製造例1から製造された分散体70重量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(M340、ミウォン商事社製)5重量部、光開始剤(イルガキュア184、BASF社製)4.5重量部、メチルエチルケトン20重量部、添加剤(BYK320、BYK社製)0.5重量部を3時間撹拌した後、ポリプロピレン材質のフィルターを用いてろ過して組成物を製造した。
【0115】
(実施例7)
製造例1から製造された分散体90重量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(M340、ミウォン商事社製)1重量部、光開始剤(イルガキュア184、BASF社製)4.5重量部、メチルエチルケトン4重量部、添加剤(BYK320、BYK社製)0.5重量部を3時間撹拌した後、ポリプロピレン材質のフィルターを用いてろ過して組成物を製造した。
【0116】
(実施例8)
製造例1から製造された分散体10重量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(M340、ミウォン商事社製)35重量部、光開始剤(イルガキュア184、BASF社製)4.5重量部、メチルエチルケトン55重量部、添加剤(BYK320、BYK社製)0.5重量部を3時間撹拌した後、ポリプロピレン材質のフィルターを用いてろ過して組成物を製造した。
【0117】
(比較例1)
帯電防止剤としてアンチモン含有酸化スズ(2−メトキシエタノール内30%含有、S−CHEMTECH社製)50重量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(M340、ミウォン商事社製)15重量部、光開始剤(イルガキュア184、BASF社製)4.5重量部、メチルエチルケトン30重量部、添加剤(BYK320、BYK社製)0.5重量部を3時間撹拌した後、ポリプロピレン材質のフィルターを用いてろ過して組成物を製造した。
【0118】
(比較例2)
帯電防止剤として四級アンモニウム塩(1−メチル−3−ブチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、C−TRI社製)5重量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(M340、ミウォン商事社製)35重量部、光開始剤(イルガキュア184、BASF社製)4.5重量部、メチルエチルケトン55重量部、添加剤(BYK320、BYK社製)0.5重量部を3時間撹拌した後、ポリプロピレン材質のフィルターを用いてろ過して組成物を製造した。
【0119】
(実験例)
厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムからなる透明基材の一方の上に、上記実施例及び比較例から製造された帯電防止ハードコーティング組成物を塗布して加熱乾燥した後、紫外線硬化により厚さ5μmのハードコーティング層を形成した。
上記ハードコーティング層上に上記製造例5から製造された低屈折率層形成用組成物を塗布して加熱乾燥した後、紫外線硬化により厚さ0.1μmの低屈折率層を形成した。
【0120】
このようにして得られた帯電防止フィルムを以下のような方法でそれぞれ物性を測定し、その結果を下表1に示した。
【0121】
(1)透過率とヘーズ
上記実施例から製造された光学積層体を分光光度計(HZ−1、日本スガ社製)を用いて全光線透過率(Total Transmittance)とヘーズ(Haze)を測定した。
【0122】
(2)表面抵抗測定
上記実施例から製造されたハードコーティング層に対してHirestaのMCP−HT450を使って電気抵抗を測定した。
【0123】
(3)表面反射率
分光光度計UV2450(島津社製)にアダプターMPC2200を取り付けて、380〜780nmの波長領域において入射角5゜での出射角5゜に対する鏡面反射率を測定して、450〜650nmの平均反射率を算出した。
【0124】
【表1】

【0125】
上記表1に示すように、本発明に係る水系導電性高分子としてPEDOTを含有する分散体を含む実施例1〜8の帯電防止ハードコーティング組成物の場合は、これを含有しない比較例1〜2の帯電防止ハードコーティング組成物に比べて帯電防止性能が良好で、かつ透過率が非常に高いだけでなく、反射防止率も優れていることが確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式1で表される(メタ)アクリレートオリゴマーに水系型導電性高分子を添加して分散させたことを特徴とする水系型導電性高分子分散体。
【化1】

(式中、Xは水素またはCHであり、Rは炭素数1〜20のヘテロ原子を含むか含まない脂肪族もしくは芳香族炭化水素基を示し、Yは官能基数1〜6の(メタ)アクリレート基を含む炭素数3〜80のヘテロ原子を含むか含まない脂肪族もしくは芳香族炭化水素基を示し、nは5〜100の整数である。)
【請求項2】
前記水系型導電性高分子は、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリp−フェニレン、ポリp−フェニレンサルファイド及びポリp−フェニレンビニレンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載の水系型導電性高分子分散体。
【請求項3】
前記水系型導電性高分子は、ポリスチレンスルホン酸(PSS)をドープしたポリエチレンジオキシチオフェンであることを特徴とする請求項1に記載の水系型導電性高分子分散体。
【請求項4】
前記分散体は、水分含量が0.5重量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水系型導電性高分子分散体。
【請求項5】
水系型導電性高分子を下記式1で表される(メタ)アクリレートオリゴマーに添加した後、分散する分散段階を含むことを特徴とする水系型導電性高分子分散体の製造方法。
【化2】

(式中、Xは−CH、水素、Rは炭素数1〜20のヘテロ原子を含むか含まない脂肪族もしくは芳香族炭化水素基を示し、Yは官能基数1〜6の(メタ)アクリレート基を含む炭素数2〜80のヘテロ原子を含むか含まない脂肪族もしくは芳香族炭化水素基を示し、nは5〜100の整数である。)
【請求項6】
前記水系型導電性高分子は、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリp−フェニレン、ポリp−フェニレンサルファイド及びポリp−フェニレンビニレンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項5に記載の水系型導電性高分子分散体の製造方法。
【請求項7】
前記水系型導電性高分子は、ポリスチレンスルホン酸(PSS)をドープしたポリエチレンジオキシチオフェンであることを特徴とする請求項5に記載の水系型導電性高分子分散体の製造方法。
【請求項8】
前記導電性高分子は、前記式1で表される(メタ)アクリレートオリゴマー100重量部に対して1〜20重量部を添加した後、分散させることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の水系型導電性高分子分散体の製造方法。
【請求項9】
前記分散段階から得られた分散物に有機溶剤を投入する段階、及び吸収剤を投入する段階をさらに含んでなることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の水系型導電性高分子分散体の製造方法。
【請求項10】
前記有機溶剤は、分散体中の固形分含量が20〜90重量%になる範囲内で添加することを特徴とする請求項9に記載の水系型導電性高分子分散体の製造方法。
【請求項11】
前記吸収剤は、無水NaSOまたは無水MgSOを添加することを特徴とする請求項9または10に記載の水系型導電性高分子分散体の製造方法。
【請求項12】
前記分散体は、水分含量が0.5重量%以下になるようにすることを特徴とする請求項11に記載の水系型導電性高分子分散体の製造方法。
【請求項13】
帯電防止剤として請求項1〜4のいずれか一項に記載の分散体を分散体(A)として含んでなることを特徴とする帯電防止ハードコーティング組成物。
【請求項14】
(メタ)アクリレートモノマー(B)、光開始剤(C)及び溶剤(D)を含んでなることを特徴とする請求項13に記載の帯電防止ハードコーティング組成物。
【請求項15】
前記分散体は、前記帯電防止ハードコーティング組成物全体100重量部に対して5〜90重量部含まれることを特徴とする請求項13または14に記載の帯電防止ハードコーティング組成物。
【請求項16】
前記分散体は、帯電防止ハードコーティング組成物全体100重量部に対して分散体中の水系導電性高分子が0.001〜10重量部含まれるように添加することを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の帯電防止ハードコーティング組成物。
【請求項17】
透明基材と、前記透明基材に請求項13〜16のいずれかに記載の帯電防止ハードコーティング組成物を塗布及び硬化して形成されたハードコーティング層とを含んでなることを特徴とする帯電防止フィルム。
【請求項18】
前記帯電防止フィルムは、表面抵抗が5×1011Ω/sq以下であることを特徴とする請求項17に記載の帯電防止フィルム。
【請求項19】
前記ハードコーティング層の上面に形成されるものであって、前記ハードコーティング層より屈折率が低い低屈折率層をさらに含むことを特徴とする請求項17または18に記載の帯電防止フィルム。
【請求項20】
請求項17〜19のいずれかに記載の帯電防止フィルムを備えたことを特徴とする偏光板。
【請求項21】
請求項17〜19のいずれかに記載の帯電防止フィルムを備えたことを特徴とする表示装置。

【公開番号】特開2012−241194(P2012−241194A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−113672(P2012−113672)
【出願日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【出願人】(503454506)東友ファインケム株式会社 (42)
【Fターム(参考)】