説明

水系塗料組成物

【課題】
本発明は、樹脂ビーズの保持性に優れた塗膜を得ることができる水系塗料組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明の水系塗料組成物は、平均粒子径2〜15μmの樹脂ビーズ(A)、
粒子径が前記樹脂ビーズの平均粒子径の0.06〜0.15倍であるエマルション粒子(B)、及び粒子径が前記樹脂ビーズの平均粒子径の0.01〜0.03倍であるエマルション粒子(C)を含有する。なお、前記(B)と(C)の含有割合は、エマルション粒子(B)とエマルション粒子(C)との含有割合が、エマルション粒子(B)100質量部に対してエマルション粒子(C)10〜100質量部であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物、土木構造物などに塗装される塗料であって、樹脂ビーズを含有する水系塗料に関する。
【0002】
この水系塗料は、建築物の内外装材(屋根材)や土木構造物などの仕上げ塗料として好適であるが、家具、木工やその他の被塗装物の仕上げ塗料として用いることもできる。
【背景技術】
【0003】
従来、塗料組成物によって得られる塗膜の耐摩耗性や耐傷つき性や耐汚染性を向上させる効果、或いは、塗膜の艶を消す効果を得ること等を目的として、塗料組成物に樹脂ビーズを含有させることがある。
【0004】
このような塗料の例として、塗膜の耐摩耗性や耐傷つき性を向上させることを目的として樹脂ビーズを含有させた塗料(特許文献1)、塗膜の耐傷つき性や耐汚染性を向上させることを目的として樹脂ビーズを含有させた塗料(特許文献2)、塗膜の艶を消すことを目的として樹脂ビーズを含有させた塗料(特許文献3)などがある。
【0005】
これらの樹脂ビーズを含有する塗料は、塗料によって得られる塗膜の樹脂ビーズ保持性を向上させることで、より優れた効果を発揮する。特に、耐摩耗性や耐傷つき性や耐汚染性は、塗膜表面に樹脂ビーズが存在することによって効果が発揮されるので、塗膜表面の樹脂ビーズが塗膜から脱落し難くすることで耐摩耗性や耐傷つき性や耐汚染性は向上する。
【0006】
塗膜の樹脂ビーズ保持性を向上させる方法としては、例えば、特許文献1には、樹脂ビーズ(特許文献1では、「真球樹脂粒子」と記載)の保持性を確保するために、樹脂ビーズの平均粒径や塗料のマトリックス成分の含量を調整することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−294149号公報
【特許文献2】特開2006−045510号公報
【特許文献3】特開2005−187701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者は、塗膜表面の樹脂ビーズが塗膜から脱落し難くするために、樹脂ビーズ保持性に優れた塗膜を形成することができる水系塗料組成物を得る方法を鋭意検討し、本発明に至った。
【0009】
本発明は、樹脂ビーズの保持性に優れた塗膜を得ることができる水系塗料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決する方法として、請求項1に記載の発明は、
平均粒子径2〜15μmの樹脂ビーズ(A)、粒子径が前記樹脂ビーズの平均粒子径の0.06〜0.15倍であるエマルション粒子(B)、及び、粒子径が前記樹脂ビーズの平均粒子径の0.01〜0.03倍であるエマルション粒子(C)を含有することを特徴とする水系塗料組成物である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の水系塗料組成物において、エマルション粒子(B)とエマルション粒子(C)との含有割合が、エマルション粒子(B)100質量部に対してエマルション粒子(C)10〜100質量部であることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の水系塗料組成物において、エマルション粒子(B)とエマルション粒子(C)との合計量が水系塗料組成物に含有されるエマルション粒子の70質量%以上を占め、且つ水系塗料組成物に含有されるエマルション粒子100質量部に対して樹脂ビーズ(A)5〜100質量部を含有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1〜3に記載の水系塗料組成物を用いれば、樹脂ビーズの保持性に優れた塗膜を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、平均粒子径2〜15μmの樹脂ビーズ(A)を水系塗料に含有させる際に、その塗料の皮膜形成成分として、粒子径が前記樹脂ビーズの平均粒子径の0.06〜0.15倍のエマルション粒子(B)と、粒子径が前記樹脂ビーズの平均粒子径の0.01〜0.03倍のエマルション粒子(C)を含有する合成樹脂エマルションを用いる。
【0015】
なお、本明細書における樹脂ビーズの平均粒子径は、動的光散乱法又はレーザー回析散乱法により求めた値である。
【0016】
前記動的光散乱法とは、粒子にレーザーを照射した際に生じる揺らぎを検出し、測定されたデータから光子相関法にて自己相関関数を求め、例えばキュムラント法、CONTIN法、ヒストグラム法等による解析によって、合成樹脂エマルション中の合成樹脂微粒子の平均粒子径や粒子径分布を算出するものである。
このような測定が可能な装置としては、例えば、濃厚系粒径アナライザー FPAR−1000、ダイナミック光散乱光度計DLS−8000(いずれも大塚電子株式会社製)などがある。
【0017】
前記レーザー回析散乱法とは、粒子にレーザーを照射した際に生じる揺らぎを検出することにより粒子の計数と平均径を測定するものである。
このような測定が可能な装置としては、日機装株式会社製の「マイクロトラック」シリーズ、株式会社島津製作所製のSALDシリーズなどがある。
【0018】
また、本明細書における合成樹脂エマルションの粒子径、平均粒子径は、動的光散乱法により求めた値である。
【0019】
以下に、前記水系塗料組成物の主成分である樹脂ビーズ(A)、エマルション粒子(B)、及びエマルション粒子(C)の詳細について説明する。
【0020】
<樹脂ビーズ(A)>
前記樹脂ビーズ(A)とは、樹脂製の略球形の粉粒体である。
前記水系塗料組成物に樹脂ビーズ(A)を含有させることで、水系塗料組成物が乾燥硬化することによって得られる塗膜の耐摩耗性、耐傷つき性、又は耐汚染性等を向上させる効果、或いは、塗膜の艶を消す効果などが得られる。またこれらの中の複数の効果を同時に得ることもできる。
【0021】
樹脂ビーズ(A)を形成する合成樹脂は特に限定されない。例えば、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、アミノ樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂などを用いることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0022】
これらの合成樹脂の中でも、樹脂ビーズ(A)にはアクリル樹脂又はシリコーン樹脂、或いはこれらの共重合体を用いることが好ましい。これらの樹脂を用いることによって、耐久性や耐候性に優れる樹脂ビーズ(A)が得られる。
【0023】
なお、前記水系塗料組成物には、平均粒子径2〜15μmの樹脂ビーズ(A)を用いることが好ましい。平均粒子径が2μm未満であると、塗膜の耐摩耗性、耐傷つき性、又は耐汚染性等を向上させる効果、或いは、塗膜の艶を消す効果が得られにくくなる。逆に、平均粒子径が15μmを超えると、樹脂ビーズ(A)が塗膜から脱落しやすくなってしまう。樹脂ビーズ(A)の平均粒子径2〜15μmであれば、前記の効果が得られ、且つ樹脂ビーズ(A)が塗膜から脱落し難くなる。
【0024】
また、前記樹脂ビーズ(A)の真比重は、0.95〜1.5であることが好ましく、1.0〜1.3であることが特に好ましい。真比重がこの範囲のものは水系塗料組成物の溶媒である水や合成樹脂エマルションと比重が近いため、水や合成樹脂エマルションへの分散が容易で、また、水系塗料組成物中で分離し難いため貯蔵安定性に優れた水系塗料組成物を得ることができる。
【0025】
なお、樹脂ビーズ(A)の含有量は、後述する合成樹脂エマルションの樹脂成分(合成樹脂エマルション中の全てのエマルション粒子の合計質量)100質量部に対して、5〜100質量部であることが好ましく、15〜70質量部であることがよりに好ましく、25〜50質量部であることが特に好ましい。このとき、前記水系塗料組成物の塗膜による樹脂ビーズ(A)の保持性が特に良好である。
樹脂ビーズ(A)の含有量が少ない場合は、エマルション粒子(B)及びエマルション粒子(C)を含まない合成樹脂エマルションを用いたとしても、塗膜が樹脂ビーズ(A)を保持できるため、本発明の効果が十分に発揮されない。逆に、樹脂ビーズ(A)の含有量が多すぎる場合は、エマルション粒子(B)及びエマルション粒子(C)を含む合成樹脂エマルションを用いたとしても、樹脂ビーズ(A)が塗膜から脱落しやすくなり、本発明の効果が十分に発揮されない。
【0026】
<エマルション粒子(B)及びエマルション粒子(C)>
エマルション粒子は、乾燥硬化することによって皮膜を形成する皮膜形成成分として水系塗料組成物が含有する合成樹脂エマルション中の合成樹脂微粒子である。
【0027】
前記エマルション粒子(B)は、合成樹脂エマルション中の合成樹脂微粒子のうち粒子径が前記樹脂ビーズの平均粒子径の0.06〜0.15倍である合成樹脂微粒子である。
【0028】
そして、前記エマルション粒子(C)は、合成樹脂エマルション中の合成樹脂微粒子のうち粒子径が前記樹脂ビーズの平均粒子径の0.01〜0.03倍である合成樹脂微粒子である。
【0029】
これらの粒子径のエマルション粒子含有する合成樹脂エマルションを皮膜形成成分として用いた水系塗料組成物によって、樹脂ビーズの保持性に優れた塗膜を得ることができる。
【0030】
樹脂ビーズの保持性に優れた塗膜が得られる理由は定かではないが、水系塗料組成物が乾燥して塗膜を形成する際に、樹脂ビーズとエマルション粒子(B)の大きい粒子径の合成樹脂粒子との隙間にエマルション粒子(C)の小さい粒子径の合成樹脂粒子が入り込むことによって、樹脂ビーズ周囲の合成樹脂(合成樹脂エマルションが硬化した合成樹脂)がより密になるからではないかと推測される。
【0031】
前記合成樹脂エマルションの樹脂組成は特に限定されるものではなく、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂などの合成樹脂を単独又は共重合したものを水に分散させた合成樹脂エマルションを用いればよい。また、2種類以上の合成樹脂エマルションを混合して用いてもよい。
【0032】
また、合成樹脂エマルションの樹脂がその樹脂組成中にもつ官能基によって、特殊な効果を発揮するものであってもよい。例えば、樹脂組成中にヒドラジド基を有する合成樹脂エマルションを用いれば、水系塗料組成物によって形成された塗膜が空気中の有害物質、例えばホルムアルデヒドを吸着除去することができるといった効果が得られる。
【0033】
なお、前記のエマルション粒子(B)とエマルション粒子(C)とを含有する合成樹脂エマルションは、エマルション粒子径の異なる2種類以上の合成樹脂エマルションを混合して得ることができる。例えば、エマルション粒子(B)含む合成樹脂エマルションと、エマルション粒子(C)を含む合成樹脂エマルションとを混合すればよい。
【0034】
また、乳化重合によって合成樹脂エマルションを製造する際にエマルション粒子径を調整することによって、エマルション粒子(B)とエマルション粒子(C)とを含有する合成樹脂エマルションを得ることもできる。
【0035】
なお、エマルション粒子(B)とエマルション粒子(C)との割合は、エマルション粒子(B)100質量部に対してエマルション粒子(C)10〜100質量部であることが好ましく、20〜80質量部であることがより好ましい。
エマルション粒子(B)とエマルション粒子(C)がこの割合で含有されているときには、塗膜の樹脂ビーズの保持性が特に良好である。
【0036】
また、水系塗料組成物に含有されるエマルション粒子に占めるエマルション粒子(B)とエマルション粒子(C)との割合は、エマルション粒子(B)とエマルション粒子(C)との合計量で70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが特に好ましい。
エマルション粒子(B)とエマルション粒子(C)が合計量で70質量%以上含有されているときには、塗膜の樹脂ビーズの保持性が特に良好である。
【0037】
前記水系塗料組成物には、樹脂ビーズ(A)、エマルション粒子(B)、およびエマルション粒子(C)以外にも添加剤、顔料等を含有させることができる。
【0038】
添加剤としては、通常の塗料に用いられるものを添加でき、例えば、増粘剤等の粘性調整剤、分散剤、消泡剤、造膜助剤、湿潤剤、凍結防止剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、レベリング剤、シランカップリング剤等が挙げられる。
【0039】
また、顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、黄鉛、亜鉛華、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムエロー、酸化クロム、プルシアンブルー、コバルトブルー等の無機系着色顔料、アゾ顔料、ジケトピロロピロール顔料、ベンズイミダゾロン顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジオキサン系顔料等の有機系着色顔料、タルク、クレー、炭酸カルシウム等の体質顔料などを用いることができる。
【0040】
また、前記水系塗料組成物を施工する場合には、ローラー、ハケ、エアスプレー、エアガン、エアレススプレー、エアレスガン等の一般に用いられる塗装器具や塗装機を使って塗布すればよい。
【実施例】
【0041】
以下に、本発明の実施例と比較例を示す。なお本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、前記した本発明の範囲において実施することができる。
【0042】
実施例及び比較例では、樹脂ビーズ(A)として、アクリル樹脂(MMA)製の平均粒子径4μmの樹脂ビーズ(以下、樹脂ビーズaという)と、アクリル樹脂(MMA)製の平均粒子径10μmの樹脂ビーズ(以下、樹脂ビーズbという)を用いた。
【0043】
また、樹脂ビーズaの平均粒子径の0.06〜0.15倍の粒子径(0.24〜0.6μm)のエマルション粒子(B)及び/又は樹脂ビーズaの平均粒子径の0.01〜0.03倍の粒子径(0.04〜0.12μm)のエマルション粒子(C)を含有する合成樹脂エマルションとして、表1に示すアクリル樹脂系合成樹脂エマルションを用いた。なお、表1に示す合成樹脂エマルションの樹脂固形分(エマルション粒子の全質量/合成樹脂エマルションの質量)は50質量%であり、表1には、各合成樹脂エマルションが含有するエマルション粒子の全量に占めるエマルション粒子(B)とエマルション粒子(C)の量を質量%で示す。
【0044】
【表1】

【0045】
また、樹脂ビーズbの平均粒子径の0.06〜0.15倍の粒子径(0.6〜1.5μm)のエマルション粒子(B)及び/又は樹脂ビーズbの平均粒子径の0.01〜0.03倍の粒子径(0.1〜0.3μm)のエマルション粒子(C)を含有する合成樹脂エマルションとして、表2に示すアクリル樹脂系合成樹脂エマルションを用いた。なお、表2に示す合成樹脂エマルションの樹脂固形分は50質量%であり、表2には、各合成樹脂エマルションが含有するエマルション粒子の全量に占めるエマルション粒子(B)とエマルション粒子(C)の量を質量%で示す。
【0046】
【表2】

【0047】
上記以外の原材料として、顔料として酸化チタン及び炭酸カルシウム粉を、添加剤として造膜助剤、分散剤、消泡剤、増粘剤、及びpH調整剤などを用いた。
【0048】
これらの原材料を表3に示す配合で実施例及び比較例となる水系塗料組成物を製造した。なお、表3は、各材料の配合を質量部で表記している。
【0049】
【表3】

【0050】
このようにして得た水系塗料組成物を用いて、JIS A6909−2003に準じて耐摩耗性試験を行なった。
【0051】
なお、水系塗料組成物の塗布量は、80g/mとした。
【0052】
試験の直前に試験体の質量を測定し、試験の直後にも試験体の質量を測定した。試験前と試験後の試験体の質量を比較すると以下の傾向があった。
【0053】
比較例1〜2の試験前後の試験体の質量の差は、実施例1〜2の試験前後の試験体の質量の差より大きかった。
理由としては、比較例1〜2の水系塗料組成物による塗膜は樹脂ビーズの保持力は、実施例1〜2の水系塗料組成物による塗膜の樹脂ビーズの保持力より小さく、磨耗によって樹脂ビーズが塗膜から脱落してしまうことで、塗膜がより磨耗されたことが考えられる。また、塗膜の樹脂ビーズの保持力には、エマルション粒子の粒子径が影響していると考えられる。
【0054】
比較例3の試験前後の試験体の質量の差は、実施例3の試験前後の試験体の質量の差より大きかった。
【0055】
比較例4の試験前後の試験体の質量の差は、実施例4の試験前後の試験体の質量の差より大きかった。
【0056】
比較例5の試験前後の試験体の質量の差は、実施例5の試験前後の試験体の質量の差より大きかった。
【0057】
比較例6の試験前後の試験体の質量の差は、実施例6の試験前後の試験体の質量の差より大きかった。
【0058】
比較例9の試験前後の試験体の質量の差は、実施例7の試験前後の試験体の質量の差より大きかった。
【0059】
以上の実施例3〜6,7と比較例3〜6,9の結果は、実施例1〜2と比較例1〜2の結果の理由と同様に、塗膜の樹脂ビーズ保持力の違いによるものであると考えられる。また、塗膜の樹脂ビーズの保持力には、エマルション粒子の粒子径が影響していると考えられる。
【0060】
比較例7と比較例8の結果には大きな差はなかった。また、比較例7,8は他の実施例及び比較例と比べて、試験前後の試験体の質量の差が特に大きかった。
【0061】
よって、エマルション粒子の粒子径の違いは、樹脂ビーズを含有しない塗膜においては、塗膜の耐摩耗性に大きな影響はないと考えられる。また、塗膜が樹脂ビーズを含有することで、耐摩耗性は向上するといえる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径2〜15μmの樹脂ビーズ(A)、粒子径が前記樹脂ビーズの平均粒子径の0.06〜0.15倍であるエマルション粒子(B)、及び、粒子径が前記樹脂ビーズの平均粒子径の0.01〜0.03倍であるエマルション粒子(C)を含有することを特徴とする水系塗料組成物。
【請求項2】
エマルション粒子(B)とエマルション粒子(C)との含有割合が、エマルション粒子(B)100質量部に対してエマルション粒子(C)10〜100質量部であることを特徴とする請求項1に記載の水系塗料組成物。
【請求項3】
エマルション粒子(B)とエマルション粒子(C)との合計量が水系塗料組成物に含有されるエマルション粒子の70質量%以上を占め、且つ水系塗料組成物に含有されるエマルション粒子100質量部に対して樹脂ビーズ(A)5〜100質量部を含有していることを特徴とする請求項2に記載の水系塗料組成物。

【公開番号】特開2011−162665(P2011−162665A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27114(P2010−27114)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000159032)菊水化学工業株式会社 (121)
【Fターム(参考)】