説明

水系粘・接着剤用の粘着付与剤、粘着付与樹脂エマルジョン、水系粘・接着剤組成物、及び、粗面への接着方法

【目的】ウレタンフォームやポリプロピレンフォーム等の発泡体基材及びオレフィン系樹脂の表面に対して優れた接着力を有しつつ、保持力、定荷重剥離性等の粘着特性を満足し、更に、耐熱性を有する水系粘・接着剤用の粘着付与剤を提供すること。また、アクリル系重合体エマルジョンの種類が限定されず、どのようなアクリル系重合体エマルジョンでも含有することができる水系粘・接着剤用の粘着付与剤、粘着付与樹脂エマルジョン、水系粘・接着剤組成物、粗面への接着方法を提供すること。
【解決手段】軟化点が150〜185℃である重合ロジンエステル(A)と、ガラス転移温度が−60〜0℃、かつ、酸価が30〜100mgKOH/g、及び/又は、水酸基価が85〜115mgKOH/gであるロジンエステル(B)を含有する水系粘・接着剤用の粘着付与剤を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水系粘・接着剤用の粘着付与剤、粘着付与樹脂エマルジョン、水系粘・接着剤組成物、及び、粗面への接着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、食品包装や電子電気製品の外装に用いられているポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂は、官能基を持たず非極性のため、極性分子との親和性が乏しく、粘着剤との密着性や濡れ性が非常に弱く剥がれやすい。そのため、接着面にプライマーを塗布して接着表面を改質する方法が一般に用いられているが、プライマーを用いることなく、ポリオレフィン系樹脂に対する充分な接着力を有する粘・接着剤が強く求められている。
【0003】
一方、ウレタンフォームのような発泡体は、断熱材や構造材として建築用途、冷蔵庫などの家電製品や自動車などに広く使用されている。発泡体は、粘着剤層と接触する表面が凹凸を有していたり、孔を有していたりするので、実質的な接触面積が小さくなる。その結果、平滑な表面を有する基材に比べて、基材と粘着剤層との間での剥離が生じやすい傾向にある。そのため、自動車や建材の分野で用いられる粘・接着剤には、ウレタンフォームのような表面に凹凸を有する粗面への充分な接着力を有することが求められている。
【0004】
更に、近年、環境・人体の安全性に対する配慮から揮発性有機溶剤等の含有量が少ない環境負荷が低減された水系の粘・接着剤が求められるようになっている。しかしながら、有機溶剤系の粘・接着剤を水系に変更しようとすると、粗面やポリオレフィン系樹脂に対する接着力が不充分になるという問題があった。
【0005】
粗面に対しては、例えば、重合開始剤の使用量に基づき計算されるラジカル発生量を特定の範囲に制御し、分岐構造の少ない直鎖構造のアクリル系重合体にエポキシ化合物を架橋したアクリル系水性粘着剤等が提案されている(特許文献1参照)。これは、粗面に対して優れた接着力を有するが、ポリオレフィン系樹脂に対する接着力については、不十分であった。
【0006】
また、粗面に対しては、特定の高シェア粘度、低シェア粘度等とした水分散型アクリル系粘着剤も提案されている(特許文献2参照)。これは、ウレタンフォームのような表面の凸凹に従った変形が起り易く、初期接着性が良好で、耐剥がれ性や保持性に優れるとのことであるが、これについても、ポリオレフィン系樹脂に対する接着力については、充分とはいえなかった。
【0007】
一方、ポリオレフィン系樹脂に対しては、例えば、特定の酸価を有するロジン類のエステル化物であって酸価が2〜340であるもののカルボキシル基を金属化合物により金属塩化した構造の化合物を、乳化剤の存在下で乳化して得られる粘着付与樹脂エマルジョンが提案されている(特許文献3参照)。これは、耐熱性が良好で、かつポリオレフィンに対する接着性も良好であるが、ウレタンフォームのような粗面に対する接着力については、更なる改善が必要であった。
【0008】
更に、アルキル鎖の炭素数1〜14である(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)70〜99.8重量%、アルキル鎖の炭素数1〜8である(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル(b)等を含む樹脂組成物水性分散体が提案されている(特許文献4参照)。この水性分散体は、ポリオレフィン被着体に対する高い接着力を有し、タック、耐熱性、曲面接着性に優れ、かつシート状基材との良好な基材密着性を有する水性粘着剤を与えるが、粗面に対する充分な接着力があるとはいえず、またアクリルの種類が限定されてしまうというデメリットがあった。
【0009】
このように、有機溶剤系の粘・接着剤の代替品として様々な水系の粘着剤・接着剤が提案されているが、粗面とオレフィン系樹脂表面の両方に対して優れた接着力を満たしつつ、接着力、保持力、定荷重剥離性の粘着特性及び耐熱性を有し、アクリル系重合体エマルジョンの種類が限定されない水系の粘・接着剤は、未だ開発されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−217594号公報
【特許文献2】特開2008−115315号公報
【特許文献3】特開2000−309771号公報
【特許文献4】特開2008−081691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、ウレタンフォーム、ポリプロピレンフォーム、ポリエチレンフォーム等の粗面を有する基材、特に発泡体基材及びオレフィン系樹脂の表面に対して優れた接着力を満たしつつ、高い保持力、定荷重剥離性等の粘着特性及び耐熱性を有し、アクリル系重合体エマルジョンの種類が限定されない水系粘・接着剤用の粘着付与剤、粘着付与樹脂エマルジョン、水系粘・接着剤組成物、及び、粗面への接着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、軟化点が150〜185℃である重合ロジンエステル(A)と、ガラス転移温度が−60〜0℃、かつ、酸価が30〜100mgKOH/g、及び/又は、水酸基価が85〜115mgKOH/gであるロジンエステル(B)を含有する水系粘・接着剤用の粘着付与剤とすることにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0013】
すなわち、本発明1は、軟化点が150〜185℃である重合ロジンエステル(A)と、ガラス転移温度が−60〜0℃、かつ、酸価が30〜100mgKOH/g、及び/又は、水酸基価が85〜115mgKOH/gであるロジンエステル(B)を含有する水系粘・接着剤用の粘着付与剤である。
【0014】
本発明2は、本発明1において、水系粘・接着剤が難接着基材に用いられる水系粘・接着剤用の粘着付与剤である。
【0015】
本発明3は、本発明1又は2において、水系粘・接着剤用の粘着付与剤を乳化して得られる粘着付与樹脂エマルジョンである。
【0016】
本発明4は、本発明1又は2の水系粘・接着剤用の粘着付与剤に含まれる重合ロジンエステル(A)、及び、ロジンエステル(B)をそれぞれ乳化した後、混合して得られる粘着付与樹脂エマルジョンである。
【0017】
本発明5は、本発明1又は2の水系粘・接着剤用の粘着付与剤を含有する水系粘・接着剤組成物である。
【0018】
本発明6は、本発明3又は4の粘着付与樹脂エマルジョン、及び、アクリル系重合体エマルジョンを含有する水系粘・接着剤組成物である。
【0019】
本発明7は、粘・接着剤層を介して接着面と被接着面とを接着する接着方法であって、該接着面と被接着面の少なくとも一方が粗面であり、粘・接着剤層が本発明1又は2の水系粘・接着剤用の粘着付与剤を含む粗面への接着方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ウレタンフォームやポリプロピレンフォーム、ポリエチレンフォーム等の発泡体基材及びオレフィン系樹脂の表面に対して優れた接着力を有しつつ、保持力、定荷重剥離性等の粘着特性及び耐熱性を満足する水系粘・接着剤用の粘着付与剤を提供することができる。また、アクリル系重合体エマルジョンの種類が限定されず、どのようなアクリル系重合体エマルジョンでも含有することができる水系粘・接着剤用の粘着付与剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の水系粘・接着剤用の粘着付与剤は、軟化点が150〜185℃である重合ロジンエステル(A)と、ガラス転移温度が−60〜0℃、かつ、酸価が30〜100mgKOH/g、及び/又は、水酸基価が85〜115mgKOH/gであるロジンエステル(B)(以下、(B)成分という)を含有するものである。
【0022】
上記(A)成分は、特に軟化点に着目して、重合ロジンにアルコール類を加えてエステル化反応させて得られるものである。上記軟化点(環球法:JIS K 5902、以下、軟化点は全て環球法による)は、耐熱性、凝集力を向上させ、高温における保持力を向上させるため、150〜185℃であることが必要であり、好ましくは165〜175℃である。
【0023】
上記(A)成分の製造に用いる重合ロジンとは、二量化された樹脂酸を含むロジン誘導体である。重合ロジンを製造する方法としては、公知の方法を採用することができる。具体的には、例えば、原料として、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン等の原料ロジン類の樹脂酸モノマーを硫酸、フッ化水素、塩化アルミニウム、四塩化チタン等の触媒を含むトルエン、キシレン等の溶媒中、温度40〜160℃程度で、1〜5時間程度反応させる方法等が挙げられる。得られる反応生成物中に占める樹脂酸ダイマーの割合は反応温度、反応時間等により異なるが、上記反応生成物中における、樹脂酸ダイマーの含有率は60重量%以上(GPC測定による面積比より算出した値)とすることがオレフィンへの接着性、保持力、定荷重剥離性向上の点から好ましい。
【0024】
上記重合ロジンの具体例としてはトール油系重合ロジン(例えば、商品名「シルバタック140」、アリゾナケミカル社製)、ウッド系重合ロジン(例えば、商品名「ダイマレックス」、ハーキュレス社製)、ガム系重合ロジン(例えば、商品名「重合ロジンB−140」、新洲(武平)林化有限公司製)等が挙げられる。
【0025】
また、重合ロジンとしては、重合ロジンに、変性、水素化、不均化等の各種処理をしたものを用いることもできる。なお、各種処理は、単独であっても2種以上を組み合わせて行ってもよい。重合ロジンの変性方法としては、特に限定されず、公知の方法を採用することができる。具体的には、重合ロジンを不飽和カルボン酸類で変性する方法、フェノールで変性する方法が挙げられる。
【0026】
上記重合ロジンを不飽和カルボン酸で変性する場合に用いられる不飽和カルボン酸類としては、例えば、(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸、(無水)シトラコン酸、(メタ)アクリル酸などが挙げられる。重合ロジンの不飽和カルボン酸変性物の製造は特に限定されず、公知の方法を採用すればよい。具体的には、例えば、重合ロジンと不飽和カルボン酸類を150〜300℃程度で、1〜24時間程度反応させれば良い。なお、各成分の使用量としては、特に限定されないが、例えば、重合ロジン100重量部に対して、不飽和カルボン酸類0.1〜20重量部程度である。
【0027】
上記重合ロジンをフェノールで変性する場合に用いられるフェノール類としては、例えば、フェノール、アルキルフェノール等が挙げられる。フェノール変性重合ロジンは、公知の方法により製造することができる。具体的には、例えば重合ロジンとフェノール類を150〜300℃程度で、1〜24時間程度反応させれば良い。なお、各成分の使用量としては、特に限定されないが、例えば、重合ロジン100重量部に対して、フェノール類0.1〜50重量部程度である。
【0028】
上記重合ロジンの水素化は、特に限定されず、公知の方法により行えば良いが、通常、公知水素源の存在下、必要に応じて水素化触媒を用い、0.1〜30MPa程度で反応させればよい。水素源としては、水素ガスの他、リチウムアルミニウムハイドライドなどが挙げられ、水素化触媒としては、ラネーニッケル、パラジウム炭素等が挙げられる。
【0029】
上記重合ロジンの不均化は、公知の方法で行えばよく、例えば、通常、公知水素源の存在下、不均化触媒を使用し、常圧で反応させればよい。
不均化触媒としては、例えばヨウ素、硫黄、活性炭を担体としたパラジウム、白金、ニッケル触媒が挙げられる。
【0030】
上記重合ロジンにアルコール類を加えてエステル化反応させる製造方法としては、重合ロジン及びアルコール類を溶媒の存在下又は不存在下に、必要によりエステル化触媒を加え、250〜280℃程度で、1〜8時間程度加熱脱水反応させる方法によればよい。
【0031】
上記アルコール類としては、(A)成分の軟化点が150〜185℃になるものであれば、特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ステアリルアルコール等の1価のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ダイマージオール等の2価のアルコール類、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの3価のアルコール類、ペンタエリスリトール、ジグリセリンなどの4価のアルコール類、ジペンタエリスリトールなどの6価のアルコール類等が挙げられる。2つ以上の水酸基を有する多価アルコール類が好ましく、得られる粘着付与剤が、ウレタンフォームやポリプロピレンフォーム等の発泡体基材及びオレフィン系樹脂の表面に対して特に優れた接着力を有しつつ、保持力、定荷重剥離性等の粘着特性を満足する点で、特に4価のアルコールを用いるのがよい。
【0032】
なお、重合反応とエステル化反応の順番は、上記に限定されず、エステル化反応の後に、重合反応を行ってもよい。
【0033】
本発明の粘着付与剤として使用する(A)成分は、以上のようにして得られる重合ロジンエステルの軟化点が150〜185℃となるように調整したものである。
【0034】
本発明の粘着付与剤は、水系粘・接着剤用である。この水系粘・接着剤は、環境保護の観点から水に溶解可能な水溶液系の粘着剤及び接着剤、又は、水中に安定に分散された水分散系の粘着剤及び接着剤の両者を意味するものとする。
【0035】
上記(B)成分としては、各種公知のロジンエステル類のうちから、特にガラス転移温度に着目して選択される。
本発明に使用する(B)成分は、JIS K 7121に規定した示差走査熱量測定(熱流束DSC)によるガラス転移温度が−60〜0℃の範囲である。ガラス転移温度が−60〜0℃の範囲であることにより、粘・接着剤の粗面及びオレフィン系樹脂に対する接着力を維持しつつ、保持力や定荷重剥離性などの性能の両立が可能である。より好ましくは、−40〜0℃の範囲である。更に好ましくは、−20〜0℃の範囲である。
【0036】
また、本発明に使用する(B)成分は、ガラス転移温度が−60〜0℃であり、かつ、酸価が30〜100mgKOH/g、及び/又は、水酸基価が85〜115mgKOH/gであるものである。すなわち、(B)成分は、(1)ガラス転移温度が−60〜0℃で酸価が30〜100mgKOH/g、(2)ガラス転移温度が−60〜0℃で水酸基価が85〜115mgKOH/g、及び、(3)ガラス転移温度が−60〜0℃、酸価が30〜100mgKOH/g、水酸基価が85〜115mgKOH/gから選ばれる少なくとも1種以上のロジンエステルである。粘着剤自体の極性を向上させ、ウレタンフォームなど極性の高い基材への密着性向上の点から、好ましくは、(3)のロジンエステルである。
【0037】
本発明に使用する(B)成分の酸価は、JIS K 0700に準ずる電位差滴定法で測定したものである。酸価が30〜100mgKOH/gであることにより、粘着剤自体の極性を向上させ、ウレタンフォームなど極性の高い基材への密着性が向上することができるからである。好ましくは、30〜70mgKOH/gの範囲である。より好ましくは、50〜70mgKOH/gの範囲である。
【0038】
本発明に使用する(B)成分の水酸基価は、JIS K 0700に準ずる電位差滴定法で測定したものである。水酸基価が85〜115mgKOH/gであることにより、粘着剤自体の極性を向上させ、ウレタンフォームなど極性の高い基材への密着性が向上することができるからである。より好ましくは、90〜110mgKOH/gの範囲である。更に好ましくは、95〜109mgKOH/gの範囲である。
【0039】
上記(B)成分の構成成分であるロジン類としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の原料ロジン;原料ロジンの不均化物;原料ロジンを水素添加処理した水素化ロジン;原料ロジンをマレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸(なお、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」または「メタクリル」のことをいう。以下同様)等で変性した不飽和酸変性ロジン、原料ロジンのフェノール変性物等が挙げられる。これらのロジン類は1種を単独で、または2種以上を併用できる。
【0040】
上記(B)成分は、上記ロジン類のエステル化物であり、例えば、ロジン類とメタノール、エタノール、2−エチルヘキサノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコールなどの1価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ダイマージオール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの2価アルコール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコール;ペンタエリスリトール、ジグリセリンなどの4価アルコール;ジペンタエリスリトールなどの6価アルコール等の多価アルコール類をエステル化反応させたものをいう。これらの多価アルコールは1種を単独で、または2種以上を併用できる。ウレタンフォームやポリプロピレンフォーム等の発泡体基材及びオレフィン系樹脂の表面に対して特に優れた接着力を有しつつ、保持力、定荷重剥離性等の粘着特性を満足する点で2価のアルコールが好ましい。
【0041】
上記ガラス転移温度が−60〜0℃の重合ロジンエステルを調整する方法としては、上記ロジン樹脂と上記アルコールをエステル化する方法が挙げられる。エステル化の方法は、(A)成分の場合と同様にすれば行うことができる。
【0042】
本発明の水系粘・接着剤用の粘着付与剤は、上記(A)成分を50〜95重量%程度、上記(B)成分を5〜50重量%程度[(A)と(B)の合計を100重量%とする]含有することが高温での保持力などといった耐熱性に優れ、なおかつウレタンフォームなどの難接着性の粗面にも高い接着力を示す点で好ましい。より好ましくは、耐熱性と粗面への接着力の両立の点から、上記(A)成分は、60〜80重量%程度、(B)成分20〜40重量%程度である。
【0043】
上記(A)成分と(B)成分を本発明の水系粘・接着剤用の粘着付与剤に含有する方法は、特に限定されず、水に、(A)成分と(B)成分を同時に分散させても良く、別々に分散させても良い。
【0044】
本発明の水系粘・接着剤用の粘着付与剤は、水系粘・接着剤が難接着基材に用いられるものであることが好ましい。難接着基材としては、発泡体基材、オレフィン系樹脂、PET(ポリエチレンフタレート樹脂)、ナイロン等が挙げられる。本発明の水系粘・接着剤用の粘着付与剤は、難接着基材に対して優れた接着力を示す。
【0045】
上記発泡体基材としては、ポリオレフィンフォーム、ポリウレタンフォーム、塩化ビニルフォーム等の孔を有する基材であり、表面が凹凸を有する粗面である。
【0046】
上記ポリウレタンフォームとしては、例えば軟質ポリエーテル系、軟質ポリエステル系、硬質ポリエーテル系、硬質ポリエステル系が挙げられる。これらの中でも軟質ポリエーテル系、軟質ポリエステル系が好ましく、軟質ポリエーテル系が特に好ましい。
【0047】
上記軟質ポリエーテル系ウレタンフォームは、ポリイソシアネートとポリオールに発泡剤、発泡助剤、触媒、着色剤等を混合し、樹脂化しながら発泡させて得られる。空孔が連続気泡となっており、荷重に対して復元性があるものを指す。
【0048】
上記軟質ポリエステル系ウレタンフォームは、ポリイソシアネートとポリエステルジオールに発泡剤、発泡助剤、触媒、着色剤等を混合し、樹脂化しながら発泡させて得られる。空孔が連続気泡となっており、荷重に対して復元性があるものを指す。
【0049】
上記硬質ポリエーテル系ウレタンフォームは、ポリイソシアネートとポリオールに発泡剤、発泡助剤、触媒、着色剤等を混合し、樹脂化しながら発泡させて得られる。空孔が単独気泡となっており、荷重に対して復元性がないものを指す。
【0050】
上記硬質ポリエステル系ウレタンフォームは、ポリイソシアネートとポリエステルジオールに発泡剤、発泡助剤、触媒、着色剤等を混合し、樹脂化しながら発泡させて得られる。空孔が単独気泡となっており、荷重に対して復元性がないものを指す。
【0051】
上記オレフィン系樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリイソブチレン、プロピレンとエチレン及び/又は、1−ブテンとのあらゆる比率でのランダム共重合体又はブロック共重合体、エチレンとプロピレンとのあらゆる比率においてジエン成分が50重量%以下である重合体(例えば、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ポリメチルペンテン、シクロペンタジエンとエチレン及び/又はプロピレンとの共重合体などの環状ポリオレフィン、エチレン又はプロピレンと50重量%以下のビニル化合物などとのランダム共重合体、ブロック共重合体)等が挙げられる。これらの中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイソブチレンが好ましく、ポリプロピレンが特に好ましい。
【0052】
本発明はまた、上記水系粘・接着剤用の粘着付与剤を乳化して得られる粘着付与樹脂エマルジョンである。これにより、水系の粘・接着剤用の粘着付与樹脂として用いることができる。また、乳化することで、本発明の粘着付与剤を含む粘着剤には溶剤が含まれることはほとんどなく、工程に溶剤を使用しないので、溶剤が揮発することなく作業ができ、作業環境が良くなる。また、溶融させた高粘度の樹脂を取り扱わなくて済むのでハンドリング性が向上し、混合作業の効率が良くなる。
更に本発明の粘着付与樹脂エマルジョンは、上記水系粘・接着剤用の粘着付与剤に含まれる上記(A)成分と上記(B)成分をそれぞれ乳化した後、混合して得られるものでもある。この場合、本発明の粘着付与剤を含む粘着剤にはほとんど溶剤が含まれることはなく、工程に溶剤を使用しないので溶剤が揮発することなく作業ができ、作業環境が良くなる。また、溶融させた高粘度の樹脂を取り扱わなくて済むのでハンドリング性が向上し、混合作業の効率が良くなる。これに加えて、(A)成分と(B)成分とをそれぞれ乳化することで、(A)成分と(B)成分の混合比率を後から自由に変えることができる。
【0053】
上記(A)成分及び(B)成分を乳化する際には、通常乳化剤を用いる。使用する乳化剤としては、特に限定されず公知の乳化剤を用いることができる。具体的には、モノマーを重合させて得られる高分子量乳化剤、低分子量アニオン性乳化剤、低分子量ノニオン性乳化剤などが挙げられる。これらは一種を単独で用いても、数種を併用してもよい。本発明では、特に高分子量乳化剤を用いることが接着性能(特に保持力)、及び機械的安定性を向上させることができるため好ましい。
【0054】
上記高分子量乳化剤の製造に用いられるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー類、;(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸系ビニルモノマー類、;マレイン酸、無水マレイン酸等のジカルボン酸系ビニルモノマー類、;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、等のスルホン酸系ビニルモノマー類;及びこれら各種有機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機塩基類の塩、;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系モノマー類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系モノマー類;酢酸ビニル等のビニルエステル系モノマー類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー類;メチルビニルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、炭素数6〜22のα−オレフィン、ビニルピロリドン等のその他のモノマー類などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を公知の方法で重合させたものが挙げられる。
【0055】
上記重合の方法としては、溶液重合、懸濁重合、後述する高分子量乳化剤以外の反応性乳化剤、高分子量乳化剤以外の非反応性乳化剤などを用いた乳化重合などが挙げられる。
【0056】
このようにして得られた高分子量乳化剤の重量平均分子量は特に限定されないが、通常1000〜500000程度とすることが乳化能と得られる粘着付与樹脂エマルジョンの性能において好ましい。
【0057】
上記高分子量乳化剤以外の反応性乳化剤としては、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基などの親水基と、アルキル基、フェニル基などの疎水基を有する界面活性剤であって、分子中に炭素−炭素二重結合を有するものをいう。
【0058】
上記低分子量アニオン性乳化剤としては、例えばジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸エステル塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルスルホコハク酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩等が挙げられる。
【0059】
低分子量ノニオン性乳化剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0060】
高分子量乳化剤以外の乳化剤は1種を単独で又は2種以上を適宜選択して使用することができる。
【0061】
なお、乳化剤の使用量は、上記(A)成分と上記(B)成分がそれぞれ100重量部に対し、固形分換算で1〜10重量部程度、好ましくは2〜8重量部である。乳化剤の使用量を1重量部以上とすることにより、確実な乳化を行うことができ、また、10重量部以下とすることにより、高い耐水性、粘着性能を確保することができる点で好ましい。
【0062】
上記乳化方法としては、特に限定されず、高圧乳化法、転相乳化法等の公知の乳化法を採用することができる。
上記高圧乳化法は、粘着付与剤を液体状態とした上で、乳化剤と水を予備混合して、高圧乳化機を用いて微細乳化した後、必要に応じて溶剤を除去する方法である。粘着付与剤を液体状態とする方法は、加熱のみでも、溶剤に溶解してから加熱しても、可塑剤等の非揮発性物質を混合して加熱してもよいが、本発明の粘着付与樹脂を使用した粘着剤を乾燥させた後、粘着剤層に溶剤が残存する可能性があり、環境への影響・作業環境・ハンドリング性が良くなる点で溶剤を使用しない加熱のみが好ましい。なお、溶剤としては、トルエン、キシレン、メチルシクロヘキサン、酢酸エチル等の粘着付与剤成分を溶解できる有機溶剤が挙げられる。
【0063】
上記転相乳化法は、粘着付与樹脂(粘着付与剤)を加熱溶融した後、攪拌しながら乳化剤・水を加え、まずW/Oエマルジョンを形成させ、次いで、水の添加や温度変化等によりO/Wエマルジョンに転相させる方法である。
【0064】
このようにして得られた粘着付与樹脂エマルジョンの固形分濃度は特に限定されないが、通常35〜65重量%程度となるように適宜に調整して用いる。また、得られたエマルジョンの体積平均粒子径は、通常0.1〜2μm程度であり、大部分は1μm以下の粒子として均一に分散しているが、0.7μm以下とすることが、貯蔵安定性の点から好ましい。また、粘着付与樹脂エマルジョンは白色ないし乳白色の外観を呈し、pHは2〜10程度で、粘度は通常10〜1000mPa・s程度(25℃、固形分濃度50%において)ある。
【0065】
本発明はまた、少なくとも上記水系粘・接着剤用の粘着付与剤を含有する粘・接着剤組成物でもある。本発明の水系粘・接着剤組成物は、粘着付与剤とベースポリマーを混合することにより得ることができる。また、本発明の水系粘・接着剤組成物は水系粘・接着剤として使用することができる。
【0066】
上記ベースポリマーとして、アクリル系重合体エマルジョン、ゴム系ラテックス及び合成樹脂系エマルジョン等が挙げられ、またそれぞれを併用することもでき、さらに必要に応じて架橋剤、消泡剤、増粘剤、充填剤、酸化防止剤、耐水化剤、造膜助剤等を使用することもできる。また、公知の粘着付与剤を使用しても良い。これら水系粘・接着剤組成物の固形分濃度は通常40〜70重量%程度であり、好ましくは55〜70重量%である。ベースポリマーは、少なくとも1種以上用いればよいが、アクリル系重合体エマルジョンを用いることが、ウレタンフォームなど極性の高い基材に密着しやすい点で好ましい。
【0067】
上記混合方法としては、特に限定されず、粘着付与剤をエマルジョン化して混合してもよいし、粘着付与剤をベースポリマーに添加し、高せん断回転ミキサーを使用混合してもよい。
【0068】
上記アクリル系重合体エマルジョンとしては、一般に各種のアクリル系粘・接着剤に用いられているものを使用でき、(メタ)アクリル酸エステル等のモノマーの一括仕込み重合法、モノマー逐次添加重合法、乳化モノマー逐次添加重合法、シード重合法等の公知の乳化重合法により容易に製造することができる。
【0069】
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等をあげることができ、これらを単独で又は二種以上を混合して用いる。また、得られるエマルジョンに貯蔵安定性を付与するため上記(メタ)アクリル酸エステルに代えて(メタ)アクリル酸を少量使用してもよい。さらに所望により(メタ)アクリル酸エステル重合体の接着特性を損なわない程度において、たとえば、酢酸ビニル、スチレン等の共重合可能なモノマーを併用できる。なお、アクリル系重合体エマルジョンに用いられる乳化剤にはアニオン系乳化剤、部分ケン化ポリビニルアルコール等を使用でき、その使用量は重合体100重量部に対して0.1〜5重量部程度、好ましくは0.5〜3重量部である。
【0070】
上記アクリル系重合体エマルジョンと上記粘着付与樹脂エマルジョンの使用割合は、特に限定されないが、粘着付与樹脂エマルジョンによる発泡体基材及びオレフィン系樹脂への接着効果が十分に発現でき、かつ、過剰使用による保持力の低下を引き起こさない適当な使用範囲としては、アクリル系重合体エマルジョン100重量部(固形分換算)に対して、粘着付与樹脂エマルジョンを通常1〜70重量部程度(固形分換算)とするのがよい。より好ましくは、5〜20重量部程度(固形分換算)である。
【0071】
また、ゴム系ラテックスとしては、水系粘・接着剤組成物に用いられる各種公知のものを使用できる。例えば天然ゴムラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、クロロプレンラテックス等が挙げられる。
【0072】
上記ゴム系ラテックスと粘着付与樹脂エマルジョンの使用割合は、特に限定されないが、粘着付与樹脂エマルジョンによる改質の効果が十分に発現でき、かつ、過剰使用による保持力、定荷重剥離性、曲面接着性の低下を引き起こさない適当な使用範囲としては、ゴム系ラテックス100重量部(固形分換算)に対して、粘着付与樹脂エマルジョンを通常10〜150重量部程度(固形分換算)とするのがよい。
【0073】
上記合成樹脂系エマルジョンとしては、水系接着剤組成物に用いられる各種公知のものを使用でき、例えば酢酸ビニル系エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、ウレタン系エマルジョン等の合成樹脂エマルジョンがあげられる。
【0074】
上記合成樹脂系エマルジョンと上記粘着付与樹脂エマルジョンの使用割合は、特に限定されないが、粘着付与樹脂エマルジョンの改質の効果が十分に発現でき、かつ、過剰使用による保持力、定荷重剥離性、曲面接着性の低下を引き起こさない適当な使用割合としては、合成樹脂系エマルジョン100重量部(固形分換算)に対して、粘着付与樹脂エマルジョンを通常2〜40重量部程度(固形分換算)とするのがよい。
【0075】
本発明は更に、粘・接着剤層を介して接着面と被接着面とを接着する接着方法であって、上記接着面と被接着面の少なくとも一方が粗面であり、上記粘・接着剤層が本発明1〜4のいずれかに記載の水系粘・接着剤用の粘着付与剤を含む粗面への接着方法でもある。本発明の接着方法における粘・接着剤層の厚みは、5〜200μm程度であることが好ましい。この接着方法により、粘着剤層がウレタンフォームやポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム等の発泡体基材及びオレフィン系樹脂の表面に対して優れた接着力を示す。従来は粗面の空孔内に粘着剤を浸透させるために粘着剤を厚塗りする必要があったが、この方法によれば薄塗りでも良好な接着力が得られるため、厚塗りの必要がなく、歩留りが向上しコストダウンが可能となる。また、従来は接着力を向上させるため直接粗面に粘着剤を塗布する必要があったが、この方法によれば粘着剤を両面テープとし粗面に転写すればよく、作業効率が向上する。
【実施例】
【0076】
以下に本発明を実施例により更に具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また実施例中、「%」及び「部」は特に断りのない限り「重量%」、「重量部」を意味する。
【0077】
製造例1 [ベースポリマーエマルジョンの製造]
攪拌装置、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた反応容器に、窒素ガス気流下、水43.4部及びポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩(アニオン性乳化剤:商品名「ハイテノール073」、第一工業製薬(株)製)0.92部からなる水溶液を仕込み、70℃に昇温した。次いで、アクリル酸ブチル90部、アクリル酸2−エチルヘキシル7部及びアクリル酸3部からなる混合物と、過硫酸カリウム(重合開始剤)0.24部、pH調整剤(重曹)0.11部及び水8.83部からなる開始剤水溶液の1/10量を反応容器に添加し、窒素ガス気流下にて70℃、30分間予備重合反応を行った。次いで、上記混合物と上記開始剤水溶液の残りの9/10量を2時間にわたり反応容器に添加して乳化重合を行い、その後70℃で1時間保持して重合反応を完結させた。こうして得られたアクリル系重合体エマルジョンを室温まで冷却した後100メッシュ金網を用いてろ過し、固形分47.8%のアクリル系重合体エマルジョンを得た。
【0078】
製造例2[重合ロジンエステル1の製造]
攪拌装置、コンデンサー、温度計および窒素導入管・水蒸気導入管を備えた反応容器に、重合ロジン100部(樹脂酸ダイマー65%、酸価145mgKOH/g、軟化点140℃)、ペンタエリスリトール14部を仕込んだ後、窒素ガス気流下に250℃で2時間反応させた後、さらに280℃まで昇温し同温度で12時間反応させ、エステル化を完了させた。その後、0.1MPaの水蒸気を3時間吹き込み、重合ロジンエステル1を得た。得られた重合ロジンエステル1の軟化点を下記の方法により測定した。その結果を表1に示す。
【0079】
(軟化点)
JIS K 2531の環球法により測定した。
【0080】
製造例3[重合ロジンエステル2の製造]
製造例1と同様の反応装置に、重合ロジン(製造例2と同一のもの)100部、ペンタエリスリトール14部を仕込んだ後、窒素ガス気流下に250℃で2時間反応させた後、さらに280℃まで昇温し同温度で12時間反応させ、エステル化を完了させた。その後、0.1MPaの水蒸気を5時間吹き込み、重合ロジンエステル2を得た。得られた重合ロジンエステル2の軟化点を製造例2と同様に測定した。その結果を表1に示す。
【0081】
製造例4[重合ロジンエステル3の製造]
製造例1と同様の反応装置に、重合ロジン(製造例2と同一のもの)85部、ガムロジン15部(酸価160mgKOH/g、軟化点70℃)、ペンタエリスリトール13.8部を仕込んだ後、窒素ガス気流下に250℃で2時間反応させた後、さらに280℃まで昇温し同温度で12時間反応させ、エステル化を完了させた。その後、0.1MPaの水蒸気を3時間吹き込み、重合ロジンエステル3を得た。得られた重合ロジンエステルの軟化点を製造例2と同様に測定した。その結果を表1に示す。
【0082】
製造例5[重合ロジンエステル4の製造]
製造例1と同様の反応装置に、重合ロジン(製造例2と同一のもの)80部、ガムロジン20部(製造例4と同一のもの)、ペンタエリスリトール13.5部を仕込んだ後、窒素ガス気流下に250℃で2時間反応させた後、さらに280℃まで昇温し同温度で12時間反応させ、エステル化を完了させた。その後、0.1MPaの水蒸気を3時間吹き込み、重合ロジンエステル4を得た。得られた重合ロジンエステル4の軟化点を製造例2と同様に測定した。その結果を表1に示す。
【0083】
製造例6[重合ロジンエステル5の製造]
製造例1と同様の反応装置に、重合ロジン(製造例2と同一のもの)50部、ガムロジン50部(製造例4と同一のもの)、ペンタエリスリトール13部を仕込んだ後、窒素ガス気流下に250℃で2時間反応させた後、さらに280℃まで昇温し同温度で12時間反応させ、エステル化を完了させた。その後、0.1MPaの水蒸気を3時間吹き込み、重合ロジンエステル5を得た。得られた重合ロジンエステル5の軟化点を製造例2と同様に測定した。その結果を表1に示す。
【0084】
【表1】

【0085】
製造例7[ロジンエステル1の製造]
製造例2と同様の反応容器に、不均化ロジン(酸価160mgKOH/g、軟化点75℃)100部、ジエチレングリコール54部を仕込んだ後、窒素ガス気流下に250℃で2時間反応させた後、さらに280℃まで昇温し同温度で12時間反応させ、エステル化を完了させた。その後、減圧下に水分等を除去し、ロジンエステル1を得た。得られたロジンエステル1の特性(ガラス転移温度、酸価、水酸基価)を下記方法により測定した。その結果を表2に示す。
【0086】
(ガラス転移温度)
JIS K 7121に規定した示差走査熱量測定(熱流束DSC)により測定した。
DSC測定機器:理学電気(株)製 DSC8230B
【0087】
(酸価)
JIS K 0700に準ずる電位差滴定法で測定した。
【0088】
(水酸基価)
JIS K 0700に準ずる電位差滴定法で測定した。
【0089】
製造例8[ロジンエステル2の製造]
製造例2と同様の反応容器に、不均化ロジン(製造例7と同一のもの)100部、トリエチレングリコール54部仕込んだ後、窒素ガス気流下に250℃で2時間反応させた後、さらに280℃まで昇温し同温度で10時間反応させ、エステル化を完了させた。その後、減圧下に水分等を除去し、ロジンエステル2を得た。得られたロジンエステル2の特性(ガラス転移温度、酸価、水酸基価)を製造例7と同様に測定した。その結果を表2に示す。
【0090】
製造例9[ロジンエステル3の製造]
製造例2と同様の反応容器に、ガムロジン(製造例4と同一のもの)100部、ジエチレングリコール54部を仕込んだ後、窒素ガス気流下に250℃で2時間反応させた後、さらに280℃まで昇温し同温度で10時間反応させ、エステル化を完了させた。その後、減圧下に水分等を除去し、ロジンエステル3を得た。得られたロジンエステル3の特性(ガラス転移温度、酸価、水酸基価)を製造例7と同様に測定した。その結果を表2に示す。
【0091】
製造例10[ロジンエステル4の製造]
製造例2と同様の反応容器に、ガムロジン(製造例4と同一のもの)100部、トリエチレングリコール54部を仕込んだ後、窒素ガス気流下に250℃で2時間反応させた後、さらに280℃まで昇温し同温度で8時間反応させ、エステル化を完了させた。その後、減圧下に水分等を除去し、ロジンエステル4を得た。得られたロジンエステル4の特性(ガラス転移温度、酸価、水酸基価)を製造例7と同様に測定した。その結果を表2に示す。
【0092】
製造例11[ロジンエステル5の製造]
製造例2と同様の反応容器に、不均化ロジン(製造例7と同一のもの)100部、ダイマージオール44部を仕込んだ後、窒素ガス気流下に250℃で2時間反応させた後、さらに280℃まで昇温し同温度で12時間反応させ、エステル化を完了させた。その後、減圧下に水分等を除去し、ロジンエステル5を得た。得られたロジンエステル5の特性(ガラス転移温度、酸価、水酸基価)を製造例7と同様に測定した。その結果を表2に示す。
【0093】
製造例12[ロジンエステル6の製造]
製造例2と同様の反応容器に、水素化ロジン(酸価150mgKOH/g、軟化点65℃)100部、ダイマージオール22部を仕込んだ後、窒素ガス気流下に250℃で2時間反応させた後、さらに280℃まで昇温し同温度で12時間反応させ、エステル化を完了させた。その後、減圧下に水分等を除去し、ロジンエステル6を得た。得られたロジンエステル6の特性(ガラス転移温度、酸価、水酸基価)を製造例7と同様に測定した。その結果を表2に示す。
【0094】
製造例13[ロジンエステル7の製造]
製造例2と同様の反応容器に、ガムロジン(製造例4と同一のもの)100部、フマル酸20部を添加し200℃にて反応させた後、2‐エチルヘキサノール55部を仕込んだ後、窒素ガス気流下に200℃で2時間反応させた後、さらに240℃まで昇温し同温度で12時間反応させ、エステル化を完了させた。その後、減圧下に水分等を除去し、ロジンエステル7を得た。得られたロジンエステル7の特性(ガラス転移温度、酸価、水酸基価)を製造例7と同様に測定した。その結果を表2に示す。
【0095】
製造例14[ロジンエステル8の製造]
製造例2と同様の反応容器に、不均化ロジン(製造例7と同一のもの)100部、2エチルヘキサノール44部を仕込んだ後、窒素ガス気流下に200℃で2時間反応させた後、さらに240℃まで昇温し同温度で12時間反応させ、エステル化を完了させた。その後、減圧下に水分等を除去し、ロジンエステル8を得た。得られたロジンエステル8の特性(ガラス転移温度、酸価、水酸基価)を製造例7と同様に測定した。その結果を表2に示す。
【0096】
製造例15[ロジンエステル9の製造]
製造例2と同様の反応容器に、不均化ロジン(製造例7と同一のもの)100部、ダイマージオール60部を仕込んだ後、窒素ガス気流下に250℃で2時間反応させた後、さらに280℃まで昇温し同温度で12時間反応させ、エステル化を完了させた。その後、減圧下に水分等を除去し、ロジンエステル9を得た。得られたロジンエステル9の特性(ガラス転移温度、酸価、水酸基価)を製造例7と同様に測定した。その結果を表2に示す。
【0097】
製造例16[ロジンエステル10の製造]
製造例2と同様の反応容器に、ガムロジン(製造例9と同一のもの)100部、ジエチレングリコール27部を仕込んだ後、窒素ガス気流下に250℃で2時間反応させた後、さらに280℃まで昇温し同温度で12時間反応させ、エステル化を完了させた。その後、減圧下に水分等を除去し、ロジンエステル10を得た。得られたロジンエステル10の特性(ガラス転移温度、酸価、水酸基価)を製造例7と同様に測定した。その結果を表2に示す。
【0098】
製造例17[ロジンエステル11の製造]
製造例2と同様の反応容器に、水素化ロジン(製造例12と同一のもの)100部、ダイマージオール30部を仕込んだ後、窒素ガス気流下に250℃で2時間反応させた後、さらに280℃まで昇温し同温度で12時間反応させ、エステル化を完了させた。その後、減圧下に水分等を除去し、ロジンエステル11を得た。得られたロジンエステル11の特性(ガラス転移温度、酸価、水酸基価)を製造例7と同様に測定した。その結果を表2に示す。
【0099】
製造例18[ロジンエステル12の製造]
製造例2と同様の反応容器に、水素化ロジン(製造例12と同一のもの)100部、2エチルヘキサノール22部を仕込んだ後、窒素ガス気流下に250℃で2時間反応させた後、さらに280℃まで昇温し同温度で12時間反応させ、エステル化を完了させた。その後、減圧下に水分等を除去し、ロジンエステル12を得た。得られたロジンエステル12の特性(ガラス転移温度、酸価、水酸基価)を製造例7と同様に測定した。その結果を表2に示す。
【0100】
【表2】

DEG:ジエチレングリコール
TEG:トリエチレングリコール
2EH:2−エチルヘキサノール
【0101】
製造例19[粘着付与樹脂エマルジョン1の調製]
製造例2で得られた重合ロジンエステル1、100部をトルエン70部に80℃にて3時間かけて溶解させた後、アニオン性乳化剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を固形分換算で3部および水140部を添加し、1時間攪拌した。次いで、高圧乳化機(マントンガウリン社製)により30MPaの圧力で高圧乳化して乳化物を得た。次いで、70℃、2.93×10−2MPaの条件下に6時間減圧蒸留を行い、固形分50%の粘着付与樹脂エマルジョン1を得た。
【0102】
製造例20[粘着付与樹脂エマルジョン2の調製]
製造例19において、重合ロジンエステル1を製造例3の重合ロジンエステル2に代えた他は製造例19と同様に行い、粘着付与樹脂エマルジョン2を得た。
【0103】
製造例21[粘着付与樹脂エマルジョン3の調製]
製造例19において、重合ロジンエステル1を製造例4の重合ロジンエステル3に代えた他は製造例19と同様に行い、粘着付与樹脂エマルジョン3を得た。
【0104】
製造例22[粘着付与樹脂エマルジョン4の調製]
製造例19において、重合ロジンエステル1を製造例5の重合ロジンエステル4に代えた他は製造例19と同様に行い、粘着付与樹脂エマルジョン4を得た。
【0105】
製造例23[粘着付与樹脂エマルジョン5の調製]
製造例19において、重合ロジンエステル1を製造例6の重合ロジンエステル5に代えた他は製造例19と同様に行い、粘着付与樹脂エマルジョン5を得た。
【0106】
(実施例1)
(水系粘着剤組成物1の調製)
製造例19で得られた粘着付与樹脂エマルジョン1を80部と製造例7で得られたロジンエステル1を20部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、ホモディスパー(特殊機化工業社製)を用いて4000rpmにて1分間混合し、増粘剤プライマルASE−60(ロームアンドハース社製)0.5部を添加し、アンモニア水を適量加え、増粘させて水系粘着剤組成物1を得た。
【0107】
(実施例2)
(水系粘着剤組成物2の調製)
製造例19で得られた粘着付与樹脂エマルジョン1を80部と製造例8で得られたロジンエステル2を20部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物2を得た。
【0108】
(実施例3)
(水系粘着剤組成物3の調製)
製造例19で得られた粘着付与樹脂エマルジョン1を80部と製造例9で得られたロジンエステル3を20部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物3を得た。
【0109】
(実施例4)
(水系粘着剤組成物4の調製)
製造例19で得られた粘着付与樹脂エマルジョン1を80部と製造例10で得られたロジンエステル4を20部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物4を得た。
【0110】
(実施例5)
(水系粘着剤組成物5の調製)
製造例19で得られた粘着付与樹脂エマルジョン1を80部と製造例11で得られたロジンエステル5を20部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物5を得た。
【0111】
(実施例6)
(水系粘着剤組成物6の調製)
製造例19で得られた粘着付与樹脂エマルジョン1を80部と製造例12で得られたロジンエステル6を20部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物6を得た。
【0112】
(実施例7)
(水系粘着剤組成物7の調製)
製造例19で得られた粘着付与樹脂エマルジョン1を80部と製造例13で得られたロジンエステル7を20部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物7を得た。
【0113】
(実施例8)
(水系粘着剤組成物8の調製)
製造例20で得られた粘着付与樹脂エマルジョン2を80部と製造例7で得られたロジンエステル1を20部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物8を得た。
【0114】
(実施例9)
(水系粘着剤組成物9の調製)
製造例20で得られた粘着付与樹脂エマルジョン2を80部と製造例8で得られたロジンエステル2を20部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物9を得た。
【0115】
(実施例10)
(水系粘着剤組成物10の調製)
製造例20で得られた粘着付与樹脂エマルジョン2を80部と製造例10で得られたロジンエステル4を20部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物10を得た。
【0116】
(実施例11)
(水系粘着剤組成物11の調製)
製造例20で得られた粘着付与樹脂エマルジョン2を80部と製造例12で得られたロジンエステル6を20部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物11を得た。
【0117】
(実施例12)
(水系粘着剤組成物12の調製)
製造例21で得られた粘着付与樹脂エマルジョン3を80部と製造例7で得られたロジンエステル1を20部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物12を得た。
【0118】
(実施例13)
(水系粘着剤組成物13の調製)
製造例21で得られた粘着付与樹脂エマルジョン3を80部と製造例8で得られたロジンエステル2を20部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物13を得た。
【0119】
(実施例14)
(水系粘着剤組成物14の調製)
製造例21で得られた粘着付与樹脂エマルジョン3を80部と製造例10で得られたロジンエステル4を20部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物14を得た。
【0120】
(実施例15)
(水系粘着剤組成物15の調製)
製造例21で得られた粘着付与樹脂エマルジョン3を80部と製造例12で得られたロジンエステル6を20部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物15を得た。
【0121】
(実施例16)
(水系粘着剤組成物16の調製)
製造例19で得られた粘着付与樹脂エマルジョン1を60部と製造例7で得られたロジンエステル1を40部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物16を得た。
【0122】
(実施例17)
(水系粘着剤組成物17の調製)
製造例19で得られた粘着付与樹脂エマルジョン1を70部と製造例7で得られたロジンエステル1を30部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物17を得た。
【0123】
(比較例1)
(水系粘着剤組成物18の調製)
製造例19で得られた粘着付与樹脂エマルジョン1を80部と製造例14で得られたロジンエステル8を20部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物18を得た。
【0124】
(比較例2)
(水系粘着剤組成物19の調製)
製造例19で得られた粘着付与樹脂エマルジョン1を80部と製造例15で得られたロジンエステル9を20部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物19を得た。
【0125】
(比較例3)
(水系粘着剤組成物20の調製)
製造例19で得られた粘着付与樹脂エマルジョン1を80部と製造例16で得られたロジンエステル10を20部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物20を得た。
【0126】
(比較例4)
(水系粘着剤組成物21の調製)
製造例19で得られた粘着付与樹脂エマルジョン1を80部と製造例17で得られたロジンエステル11を20部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物21を得た。
【0127】
(比較例5)
(水系粘着剤組成物22の調製)
製造例19で得られた粘着付与樹脂エマルジョン1を80部と製造例18で得られたロジンエステル12を20部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物22を得た。
【0128】
(比較例6)
(水系粘着剤組成物23の調製)
製造例22で得られた粘着付与樹脂エマルジョン4を80部と製造例7で得られたロジンエステル1を20部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物23を得た。
【0129】
(比較例7)
(水系粘着剤組成物24の調製)
製造例22で得られた粘着付与樹脂エマルジョン4を80部と製造例8で得られたロジンエステル2を20部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物24を得た。
【0130】
(比較例8)
(水系粘着剤組成物25の調製)
製造例22で得られた粘着付与樹脂エマルジョン4を80部と製造例10で得られたロジンエステル4を20部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物25を得た。
【0131】
(比較例9)
(水系粘着剤組成物26の調製)
製造例22で得られた粘着付与樹脂エマルジョン4を80部と製造例12で得られたロジンエステル6を20部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物26を得た。
【0132】
(比較例10)
(水系粘着剤組成物27の調製)
製造例23で得られた粘着付与樹脂エマルジョン5を80部と製造例14で得られたロジンエステル8を20部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物27を得た。
【0133】
(比較例11)
(水系粘着剤組成物28の調製)
製造例23で得られた粘着付与樹脂エマルジョン5を80部と製造例7で得られたロジンエステル1を20部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物28を得た。
【0134】
(比較例12)
(水系粘着剤組成物29の調製)
製造例23で得られた粘着付与樹脂エマルジョン5を80部と製造例8で得られたロジンエステル2を20部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物29を得た。
【0135】
(比較例13)
(水系粘着剤組成物30の調製)
製造例23で得られた粘着付与樹脂エマルジョン5を80部と製造例9で得られたロジンエステル3を20部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物30を得た。
【0136】
(比較例14)
(水系粘着剤組成物31の調製)
製造例23で得られた粘着付与樹脂エマルジョン5を80部と製造例10で得られたロジンエステル4を20部と製造例1で得られたアクリル系重合体のエマルジョン150部(固形分換算)を、上記水系粘着剤組成物1の調製と同様に行い、水系粘着剤組成物31を得た。
【0137】
上記水系粘着剤組成物1〜31における重合ロジンエステル((A)成分)とロジンエステル((B)成分)の組合せを表3に示す。
【0138】
【表3】

【0139】
以下の評価方法により、水系粘着剤組成物1〜31について、試料フィルムを作製し、粘着特性(接着力、保持力及び定荷重剥離性)を評価した。結果を表4に示す。
【0140】
(試験サンプルの作製)
上記水系粘着剤組成物を厚さ38μmのポリエステルフィルム(商品名「S−100」、三菱化学ポリエステルフィルム(株)製)にサイコロ型アプリケーター(大佑機材(株)製)にて乾燥膜厚が60μm程度となるように塗布し、次いで105℃の循風乾燥機中で5分間乾燥させて試料テープ用フィルムを作製した。
【0141】
(接着力)
上記試料フィルムから幅25mm×長さ150mmに切り取ったものを試料テープとし、これを軟質エーテル系ウレタンフォーム又はポリプロピレン(PP)板に重ね、重量10kgロールを1往復して貼り付けた。23℃にて剥離速度300mm/分で180°剥離を行い、その時の幅25mmあたりの接着力(g/25mm)を測定した。
【0142】
(保持力)
上記試料フィルムから幅25mm×長さ25mmに切り取ったものを試料テープとし、これをステンレス板に重ね合わせ、重量2kgのローラーで1往復させて貼り合わせた。80℃で1kg荷重し、落下した時間(分)を測定した。落下するまでの時間が長い方が、保持力が強いといえる。
【0143】
(定荷重剥離)
上記試料フィルムから幅25mm×長さ100mmに切り取ったものを試料テープとし、これをPE板に重ね合わせ、重量2kgのローラーで1往復させて貼り合わせた。試料テープ末端に200gの荷重をかけ、90度剥離となるように固定し、23℃で1時間あたりの剥離距離(mm)を測定した。1時間以内に落下したものはその時間(分)を測定した。
【0144】
【表4】





【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟化点が150〜185℃である重合ロジンエステル(A)と、ガラス転移温度が−60〜0℃、かつ、酸価が30〜100mgKOH/g、及び/又は、水酸基価が85〜115mgKOH/gであるロジンエステル(B)を含有することを特徴とする水系粘・接着剤用の粘着付与剤。
【請求項2】
上記水系粘・接着剤が難接着基材に用いられることを特徴とする請求項1に記載の水系粘・接着剤用の粘着付与剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の水系粘・接着剤用の粘着付与剤を乳化して得られることを特徴とする粘着付与樹脂エマルジョン。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の水系粘・接着剤用の粘着付与剤に含まれる重合ロジンエステル(A)、及び、ロジンエステル(B)をそれぞれ乳化した後、混合して得られることを特徴とする粘着付与樹脂エマルジョン。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の水系粘・接着剤用の粘着付与剤を含有することを特徴とする水系粘・接着剤組成物。
【請求項6】
請求項3又は4に記載の粘着付与樹脂エマルジョン、及び、アクリル系重合体エマルジョンを含有することを特徴とする請求項5に記載の水系粘・接着剤組成物。
【請求項7】
粘・接着剤層を介して接着面と被接着面とを接着する接着方法であって、
接着面と被接着面の少なくとも一方が粗面であり、
粘・接着剤層が請求項1又は2に記載の水系粘・接着剤用の粘着付与剤を含むことを特徴とする粗面への接着方法。











【公開番号】特開2013−82911(P2013−82911A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−213535(P2012−213535)
【出願日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【出願人】(000168414)荒川化学工業株式会社 (301)
【Fターム(参考)】