説明

水素に富むシクロシロキサンの製造方法

本発明は、タイプ(H2SiO)n[式中、nは、3又はそれ以上の整数である]の水素に富むシクロシロキサンを、a.)タイプH2SiX2[ここでX=ハロゲンである]のハロゲンシランをb.)リチウム塩、銅(II)塩又は元素の周期表の第2主族又は第2副族からの金属の塩又はこれらの塩の混合物と反応させることにより選択的に合成することに関する。環サイズは、有利にはn=3、4、5、6(特にn=4〜6)に調節可能であるので、より大きな環は形成されない。本方法の特に有利な態様において、シクロヘキサシロキサン(H2SiO)6の選択的な製造のために、反応後に溶剤が少なくとも部分的に分離され、引き続き新たに溶剤が添加される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイプ(H2SiO)nの水素に富むシクロシロキサンの選択的な合成方法に関する。これらの化合物は、例えばシーリング剤用及び硬化剤用の添加剤として又は水素化剤として、使用されることができる。
【0002】
水素に富むシクロシロキサンはこれまでとりわけ計算に基づいて研究されてきた。第一原理計算を用いて、小さい環 − (H2SiO)n[ここでn=3、4、5] − については、結晶構造データ、ひいては化合物の対称性が予測されることができた(T. Kudo, F. Hsahimoto, M. S. Gordon, Journal of Computational Chemistry 17 (1996) 1163)。
【0003】
タイプ(H2SiO)nのまず最初の水素に富むシクロシロキサンは、既にStock他による論文において1919年に挙げられており、かつ"プロシロキサン"と呼ばれていた(A. Stock, C. Somieski, Ber. Dtsch. Chem. Ges. 52 (1919) 695)。
【0004】
その後の数十年間に、おそらく非置換のシクロシロキサンの高い反応性に基づいてこの分野でごく僅かな研究があったに過ぎなかった。気相中では、ジクロロシラン及び水から形成されたH2SiOは、ゆっくりと重合するに過ぎない。液相中では、ジクロロシラン及び水から重縮合物が生じる。
【0005】
ケイ素−水素結合は、塩基に対して、しかしまた1未満のpH値での強酸に対しても不安定である(米国特許(US)第2810628号明細書参照)。このことは、シクロシロキサンの合成の際に、しばしば、T単位によるシロキサンのより高度な架橋をまねく。これを予防するために、多様な技術が使用されることができる(D. Seyferth, C. Prud'Homme, G. H. Wiseman, Inorg.Chem. 22 (1983) 2163)。
【0006】
米国特許(US)第2810628号明細書によれば、非プロトン性溶剤(例えばヘキサン又はジエチルエーテル)及び少量の水からなる混合物を使用する場合に、シロキサン環(H2SiO)n[ここでn=4〜23]を含有する複雑な生成物混合物が生じる。さらに加えて、塩化水素形成に基づいてより高度に縮合された環系及び不溶性残留物が生じる(式(1)):
【化1】

【0007】
環状四量体(H2SiO)4、五量体(H2SiO)5及び六量体(H2SiO)6は、ジクロロシランと水性溶剤との反応の際の主生成物として検出された(D. Seyferth, C. Prud'Homme, Inorg.Chem. 23 (1984) 4412)。
【0008】
Seyferth及び共同研究者は、ヘキサン中の水和水含有の塩化ニッケル(NiCl2×6H2O)でのジクロロシランの"制御された"加水分解を試験したが、しかしながら、生成物スペクトルを狭めることに関して不成功に終わっている(D. Seyferth, C. Prud'Homme, G. H. Wiseman, Inorg.Chem. 22 (1983) 2163)。
【0009】
本発明の課題は、水素に富むシクロシロキサンの改良された製造方法を示すことである。
【0010】
前記課題は、本発明によれば、タイプ
【化2】

[式中、nは、3又はそれ以上の整数である]の水素に富むシクロシロキサンを、
a.)タイプH2SiX2[ここでX=ハロゲンである]のハロゲンシランを
b.)リチウム塩、銅(II)塩又は元素の周期表の第2主族又は第2副族からの金属の塩又はこれらの塩の混合物と
反応させることにより製造する方法によって解決される。
【0011】
本発明による方法は、有利には一工程法であり、触媒の添加を必要とせず、かつ水素に富む(非置換の)シクロシロキサンを選択的にもたらす。
【0012】
環サイズは、有利にはn=3、4、5、6(特にn=4〜6)に調節可能であるので、より大きな環は形成されない。さらに、穏やかな開環重合により、定義された水素に富むポリシロキサン分子を製造する可能性が存在する。
【0013】
ハロゲンシラン加水分解を実地において開始させるためには、低い濃度のプロトンで既に十分である。専ら金属炭酸塩での加水分解制御の場合に、この金属炭酸塩は、制御された水供与剤として及び塩化水素の捕捉剤として、相応する金属塩化物の形成下に利用される、金属Li(x=2)、Ca及びZn(x=1)の好ましくは使用される炭酸塩に基づいて本方法を説明する式(2)参照:
【化3】

【0014】
金属塩での加水分解制御のために本発明により利用される影響因子は、使用される金属イオンの種類、使用されるアニオン、金属塩中の化学的及び物理的に結び付いた水の割合及び使用される有機溶剤の性質、特に極性である。
【0015】
反応のための溶剤として、好ましくは非プロトン性溶剤、特に好ましくはトルエン、n−ヘキサン、n−ペンタン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチルエステル及びグリム(Glyme)及びこれらの溶剤の混合物が使用される。副反応を回避するために、前記溶剤はできるだけ無水であり、かつ好ましくは、0.1%未満、特に好ましくは0.01%未満の最大含水量を有する。特に良好な結果は、非プロトン性で無極性の溶剤、特にn−ヘキサン、トルエン、シクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘプタンを用いて達成された。より極性の非プロトン性溶剤、例えば酢酸エチルエステル及びTHF中では、n>6を有するより大きな環の形成となる。
【0016】
金属塩のカチオンとして、リチウムイオン、銅(II)イオン及び元素の周期表の第2主族又は第2副族からの金属の金属イオン、例えばCa2+、Sr2+、Ba2+、Zn2+、Cd2+が好ましく、特に好ましくはLi+、Zn2+及びCa2+である。Mg2+はそれほど好ましくない。
【0017】
金属塩のアニオンとして、炭酸水素イオン及び炭酸イオンが好ましい。これらは、プロトンの作用の際に水及びガス状二酸化炭素に分解される。二酸化炭素が逃げることにより、前記反応の平衡は有利には生成物側にずれる。
【0018】
前記方法は、ほぼ無水の条件下で実施される。使用される金属塩、特に炭酸塩及び炭酸水素塩は、故にできるだけ無水であり(好ましくはH2O 1%未満、特に好ましくは0.1%未満)、かつできるだけ水酸化物不純物不含である。
【0019】
選択される金属塩は有利には、限られた塩基性度及び硬い金属イオンを有し、これらの金属イオンは、ジハロゲンシランの加水分解/縮合プロセスの際にテンプレート効果を発揮する。前記塩は、シロキサン環のケイ素−水素結合に比較して酸化還元安定でもある。
【0020】
無極性溶剤中では、特に炭酸カルシウム、炭酸リチウム及び炭酸亜鉛が加水分解制御のために適している。塩基性の水含有の水酸化炭酸マグネシウム(4MgCO3×Mg(OH)2×5H2O − しばしば塩基性炭酸マグネシウムと呼ぶ)及びより強塩基性の炭酸ナトリウムを使用する際に、望ましくない副反応が生じる。最後に挙げた塩の強すぎる塩基作用は、ケイ素−水素結合への望ましくない求核攻撃の原因となる。しかしながら、水酸化物不含の純粋な炭酸マグネシウムの使用は可能である。
【0021】
ジハロゲンシランとして、ジクロロシランH2SiCl2及びH2SiF2が好ましくは使用され、並びにジブロモシランH2SiBr2はまたそれほど好ましくは使用されない。ジクロロシランは、大量に半導体産業用に製造され、かつ故に有利には安価な出発製品である。
【0022】
前記ジハロゲンシランは、好ましくは、金属塩0.5〜2モル当量、特に好ましくは0.75〜1.25モル当量(ハロゲンシランを基準として)で、所望のシクロシロキサンへ加水分解される。好ましくは、H2SiCl2 20mmolが溶剤10ml〜80ml、好ましくは溶剤15ml〜25mlあたり使用される。
【0023】
本発明による方法を用いて製造される環状シロキサン(H2SiO)nは、溶液中で貯蔵安定である。
【0024】
小さい環サイズの形成は、好ましくは低い温度で進行する。冷却下での反応操作の別の理由は、ジクロロシランの低い沸点である(8.9℃)。前記合成は、好ましくは、−80〜+40℃、より好ましくは−70〜+10℃、特に好ましくは−20℃〜+5℃の温度で実施される。特に小さい環の場合(n=3〜6、特にn=3の場合)に、10℃未満、好ましくは−70〜−0℃の温度が選択される。反応は発熱であるので、反応混合物は、相応する温度に、好ましくは氷浴又はアルコール/ドライアイス混合物を用いて、冷却される。
【0025】
金属塩としての炭酸亜鉛及び溶剤としてのヘキサン又はトルエンの混合物は、最良の結果を証明した、式(3):
【化4】

【0026】
前記の反応後に、無機塩は、例えばデカンテーション又はろ過により分離される。
【0027】
本方法の特に有利な態様において、シクロヘキサシロキサン(H2SiO)6の選択的な製造のために、前記の反応後に(塩の分離後に)溶剤が少なくとも部分的に分離され、引き続き新たに溶剤が添加される。
【0028】
意外なことに、単純な濃縮及び引き続き希釈により、より小さなシクロシロキサン環(H2SiO)4及び(H2SiO)5からシクロヘキサシロキサン(H2SiO)6への転位が達成され、ひいてはシクロヘキサシロキサン(H2SiO)6の極めて選択的な合成が可能になる。
【0029】
前記溶剤の分離は、好ましくは蒸留、特に好ましくはおよそ室温(40℃未満、好ましくは25℃未満)の温度及び真空(100hPa未満、好ましくは10hPa未満の圧力)での低温蒸留(Kaeltedestillation)により行われる。
【0030】
前記溶剤の蒸留による分離後に、澄明な液体が存在し、溶剤、好ましくはn−ヘキサンの新たな添加後に、90%をはるかに上回る割合を有する主生成物シクロヘキサシロキサン(H2SiO)6が得られる。この観察は、六量体シロキサンが相対的に安定な分子でなければならないことを証明する。より小さい環同族体はこれへ転位する。これは、タイプ(H2SiO)6の環サイズのシクロシロキサンを意図的に得るための完全に新種の経路である。
【0031】
溶剤の短時間の除去の際に、前記六量体が準安定な中間生成物として生じるように思われる。これは、溶剤の不在の場合にゆっくりと高級環同族体に転位する。好ましくは、故に溶剤の分離後に直ちにもしくは少なくとも30minかけて、好ましくは5minかけて、新たに溶剤が添加される。
【0032】
溶剤の新たな添加は、転位プロセスの終息(Quenchen)をもたらす。前記溶剤が1時間よりも長い期間にわたって除去される場合には、不利にはn>6を有する高級シクロシロキサン環による不純物が生じる。
【0033】
こうして選択的に製造される生じたシクロヘキサシロキサン(H2SiO)6は、溶液中で貯蔵安定である。
【0034】
(H2SiO)6への転位のための溶剤として、好ましくは、非プロトン性で無極性の溶剤、特に好ましくはn−ヘキサン、n−ペンタン、シクロヘキサン又はトルエンが使用される。
【0035】
転位のためには、これは溶剤の分離後に好ましくは、当初に使用されたハロゲンシランmmolあたり0.25ml〜1ml、特に好ましくは0.4〜0.6ml中に溶解される。
【0036】
本発明は、以下に、実施例によってより詳細に説明される:全ての反応を、保護ガス下にシュレンク技術を用いて実施した。
【0037】
商業的に入手可能な出発物質を使用し、かつこれらを相応する実験室手順に従って乾燥させた。
【0038】
実施例1:炭酸亜鉛を用いるn−ヘキサン中でのタイプ(H2SiO)n、n=4〜6のシクロシロキサンの製造:
【化5】

【0039】
磁石撹拌子を有するシュレンク容器(100ml)中に、n−ヘキサン40ml中の炭酸亜鉛2.51g(20mmol)を氷冷下に装入する。セプタムを介してシリンジを用いて、n−ヘキサン及びジクロロシランからなる40%混合物4.23ml(ジクロロシラン20mmol)を添加する。ガス発生の終了後に、固体(主にZnCl2及び過剰のZnCO3)を、シュレンクフリットを介して溶液からろ別し、この溶液を、NMR分光法(核磁気共鳴 − Bruker社、ラインシュテッテン、独国製のDPX 400 Avance、方法DEPT 135による)により並びにGC−MS(質量選択検出器HP 5971に接続されたHP 5890シリーズII、ポリメチルポリシロキサンカラム(30m×0.25mm×0.25μm)の使用、インゼクター温度及び検出器温度180℃)を用いて調べる。前記固体を、場合により付着しているシロキサン残留物を除去するために、n−ヘキサンで何度も洗浄し、乾燥させる。
【0040】
29Si−NMRスペクトル:
δ(H2SiO)4=−46.6ppm、δ(H2SiO)5=−48.4ppm、δ(H2SiO)6=−48.7ppm、
四量体(H2SiO)4:五量体(H2SiO)5:六量体(H2SiO)6の比:
17.5%:14.0%:68.5%
1H−NMRスペクトル:
δ(2SiO)4=約4.9ppm、δ(2SiO)5=約4.8ppm;δ(2SiO)6=約4.7ppm
GC−MSキャラクタリゼーション:
183m/z (H2SiO)4;229m/z (H2SiO)5;275m/z (H2SiO)6
t=10.575minの保持時間で。
【0041】
分析結果は、合成された生成物が、極めて高い純度の、タイプ(H2SiO)n、n=4〜6の所望のシクロシロキサンであることを示している(少なくとも98%)。
【0042】
実施例2:炭酸亜鉛を用いるトルエン中でのタイプ(H2SiO)nのシクロシロキサンの製造:
磁石撹拌子を有するシュレンク容器(100ml)中に、トルエン40ml中の炭酸亜鉛2.51g(20mmol)を氷冷下に装入する。セプタムを介してシリンジを用いて、トルエン及びジクロロシランからなる40%混合物4.23ml(ジクロロシラン20mmol)を添加する。ガス発生の終了後に、固体を、シュレンクフリットを介して溶液からろ別し、この溶液を、実施例1に記載されたようにNMR分光法により調べる。
【0043】
29Si−NMRスペクトル:
δ(H2SiO)4=−47.0ppm、δ(H2SiO)5=−48.6ppm、δ(H2SiO)6=−48.8ppm、
高級同族体 δ=−48.9ppm、δ=−49.0ppm及びδ=−50.0ppmで;
分析結果は、合成された生成物が、タイプ(H2SiO)n、n=4〜6の所望のシクロシロキサンであることを示しており(≒95%)、高級環同族体の少量の不純物(4〜5%)が検出されうる。
【0044】
実施例3:炭酸カルシウムを用いる酢酸エステル中でのタイプ(H2SiO)nのシクロシロキサンの製造:
磁石撹拌子を有するシュレンク容器(100ml)中に、酢酸エステル(酢酸エチルエステル)40ml中の炭酸カルシウム2.0g(20mmol)を氷冷下に装入する。セプタムを介してシリンジを用いて、酢酸エチルエステル及びジクロロシランからなる40%混合物4.23ml(ジクロロシラン20mmol)を添加する。ガス発生の終了後に、固体を、シュレンクフリットを介して溶液からろ別し、これを、実施例1に記載されたようにNMR分光法により調べる:
【0045】
29Si−NMRスペクトル:
δ(H2SiO)4=−46.6ppm、δ(H2SiO)5=−47.9ppm、δ(H2SiO)6=−48.3ppm、
高級同族体 δ=−48.4ppm、δ=−48.5ppm及びδ=−49.5ppmで
四量体(H2SiO)4:五量体(H2SiO)5:六量体(H2SiO)6の比:
20.4%:24.0%:55.6%
分析結果は、合成された生成物が、タイプ(H2SiO)n、n=4〜6の所望のシクロシロキサンであることを示している(約85%)が、しかしこれらは高級環同族体で汚染されている(約15%)。
【0046】
実施例4:炭酸リチウムを用いる酢酸エステル中でのタイプ(H2SiO)nのシクロシロキサンの製造:
磁石撹拌子を有するシュレンク容器(100ml)中に、酢酸エステル40ml中の炭酸リチウム1.48g(20mmol)を氷冷下に装入する。セプタムを介してシリンジを用いて、酢酸エチルエステル及びジクロロシランからなる40%混合物4.23ml(ジクロロシラン20mmol)を添加する。ガス発生の終了後に、固体を、シュレンクフリットを介して溶液からろ別する。
【0047】
29Si−NMRスペクトル:
δ(H2SiO)4=−46.6ppm、δ(H2SiO)5=−48.0ppm、δ(H2SiO)6=−48.3ppm、
高級同族体 δ=−48.5ppm、δ=−49.5ppm及びδ=−49.7ppmで
四量体(H2SiO)4:五量体(H2SiO)5:六量体(H2SiO)6の比:
24.7%:53.4%:21.9%
分析結果は、合成された生成物が、所望のシクロシロキサンであることを示している(約85%)が、しかしこれらは高級環同族体で汚染されている(約15%)。
【0048】
実施例5:炭酸亜鉛を用いるn−ヘキサン中での(H2SiO)6の製造:
磁石撹拌子を有するシュレンク容器(100ml)中に、n−ヘキサン40ml中の炭酸亜鉛2.51g(20mmol)を氷冷下に装入する。セプタムを介してシリンジを用いて、n−ヘキサン及びジクロロシランからなる40%混合物4.23ml(ジクロロシラン20mmol)を添加する。ガス発生の終了後に、固体を、シュレンクフリットを介して溶液からろ別し、この溶剤を低温蒸留(液体窒素、室温及び100hPa未満の圧力での真空発生)を用いて除去する。5分後に、新しいn−ヘキサンを添加し、引き続きキャラクタリゼーションを、実施例1に記載されたようにNMR分光法を用いて行った(収率57.6%)。
【0049】
29Si−NMRスペクトル:
δ(H2SiO)6=−48.8ppm
1H−NMRスペクトル:
δ(2SiO)6=約4.7ppm
NMRデータは、所望の化合物(H2SiO)6が95%を上回る純度で存在することを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイプ
【化1】

[式中、nは、3又はそれ以上である]のシクロシロキサンの製造するにあたり、
a.)タイプH2SiX2[ここでX=ハロゲンである]のハロゲンシランを
b.)リチウム塩、銅(II)塩又は元素の周期表の第2主族又は第2副族からの金属の塩又はこれらの塩の混合物と
反応させることによって、シクロシロキサンを製造する方法。
【請求項2】
金属塩のアニオンが、炭酸塩又は炭酸水素塩である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
金属塩が、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸リチウム、炭酸銅、炭酸マグネシウムから選択されている、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
ハロゲンシランがジクロロシランである、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
反応を−80〜40℃、好ましくは−70〜+10℃の温度で、実施する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
反応を非プロトン性溶剤中で実施する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
溶剤が、n−ヘキサン、n−ペンタン、酢酸エチルエステル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、シクロヘキサン、グリム(Glyme)及びこれらの溶剤の混合物から選択される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
反応後に生成物を溶剤の少なくとも部分的な分離により濃縮し、引き続き溶剤の新たな添加により再び希釈することを特徴とする、
【化2】

を選択的に合成する請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
溶剤の分離を、40℃未満の温度及び100hPa未満の圧力での蒸留により実施する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
溶剤の分離後に30minかけて新たに溶剤を添加する、請求項8又は9記載の方法。

【公表番号】特表2009−534322(P2009−534322A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505720(P2009−505720)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際出願番号】PCT/DE2007/000723
【国際公開番号】WO2007/118473
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】