説明

水素ガスセンサ

【課題】従来よりも高い感度を有する水素ガスセンサを提供すること。
【解決手段】本発明の水素ガスセンサ100は、熱電材料からなる熱電材料部2、熱電材料部2上に設けられた一対の電極4a、4b、及び一対の電極4a、4bのうちの一方の電極4a側に偏在し、且つ熱電材料部2に接するように設けられ、水素による反応を触媒する触媒部6を有するセンサ部10と、一対の電極4a、4b間に発生した電圧を測定する電圧測定部20と、を備える。触媒部6の少なくとも一部は、熱電材料部2に形成された凹部8内に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素ガスセンサ、より詳しくは、熱電式水素ガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
雰囲気中の水素を検出する水素ガスセンサとして、熱電式水素ガスセンサは、消費電力が小さく、しかも安価であることから、例えば、燃料電池等の発電システム等に効率よく適用することができると期待されている。この熱電式水素ガスセンサは、熱電素子の一部分で水素による発熱反応を生じさせ、発熱反応が生じなかった部分との温度差に基づく起電力を発生させることによって水素の検出を行うものである。
【0003】
このような熱電式水素ガスセンサとしては、例えば、非検出ガスと接触して触媒反応を起こす触媒(触媒成分)と、この反応による局部的な温度差を電圧信号に変換する熱電変換材料膜を含む構成を有するものが知られている(特許文献1、2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−156461号公報
【特許文献2】特開2006−201100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した構成を有する従来の熱電式水素ガスセンサは、触媒部における反応による発熱を利用して熱電変換材料膜に温度差を発生させ、これにより起電力を生じさせることが動作原理となる。したがって、触媒における反応によって生じた反応熱を確実に熱電変換材料膜へ伝導させなければ、熱電変換材料膜両端の温度差を発生させ難く、結果として水素ガスセンサの感度も低くなる。
【0006】
ところが、上記特許文献1、2に記載された熱電式水素ガスセンサでは、期待されるほどの感度が得られないことが少なくなかった。これは、反応熱の一部が触媒部から外気へ逃れてしまい、反応熱が熱電変換材料膜へ十分に伝導しないことが一因であると考えられる。
【0007】
そこで、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、従来よりも高い感度を有する水素ガスセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の水素ガスセンサは、熱電材料からなる熱電材料部、熱電材料部上に設けられた一対の電極、及び一対の電極のうちの一方の電極側に偏在し、且つ熱電材料部に接するように設けられ、水素による反応を触媒する触媒部を有するセンサ部と、一対の電極間に発生した電圧を測定する電圧測定部と、を備え、触媒部の少なくとも一部が、熱電材料部に形成された凹部内に配置されていることを特徴とする。すなわち、本発明の水素ガスセンサでは、触媒部の少なくとも一部が、熱電材料部に埋め込まれている。
【0009】
上記本発明の水素ガスセンサは、触媒部において水素の触媒反応を生じさせて熱を発生させることで、熱電材料部において触媒部に接触している部分とこれ以外の部分との温度差に基づく起電力を発生させ、この起電力を電圧測定部で測定することによって水素ガスを検出する熱電式水素ガスセンサである。
【0010】
この水素ガスセンサでは、触媒部の少なくとも一部が、熱電材料部に形成された凹部内に配置され、凹部の内壁によって囲まれている。そのため、上記本発明では、従来のように凹部の形成されていない平坦な熱電材料部の外表面上に触媒部が設置されている場合に比べて、反応熱が触媒部から外気へ逃げ難くなる。すなわち、上記本発明では、触媒部で発生した反応熱のうち、外気へ逃げることなく熱電材料部へ伝導する熱を従来に比べて大きくできるため、水素ガスセンサの感度を従来よりも向上させることが可能となる。
【0011】
上記本発明では、触媒部が凹部の内壁と接触していることが好ましく、触媒部が凹部の内壁全面と接触していることが更に好ましい。これにより、従来のように凹部の形成されていない熱電材料部の平坦な表面上に触媒部が設置されている場合に比べて、触媒部と熱電材料部との接触面積が大きくなり、触媒部で発生した反応熱が、より確実に熱電材料部へ伝導するため、水素ガスセンサの感度を更に向上させることが可能となる。
【0012】
上記本発明では、触媒部と熱電材料部との接触界面が凹凸状であることが好ましい。これにより、従来のように触媒部と熱電材料部との接触界面が平面状である場合に比べて、触媒部と熱電材料部との接触面積が大きくなり、触媒部で発生した反応熱が、より確実に熱電材料部へ伝導するため、水素ガスセンサの感度を更に向上させることが可能となる。
【0013】
上記本発明では、凹部の一部に、凹部とは反対側の表面まで熱電材料部を貫通する貫通部が形成されていてもよい。こうすれば、この貫通部を通じて熱電材料部の内部に侵入した水素ガスを、触媒部において反応させることができる。すなわち、凹部とは反対側から熱電材料部の内部に侵入した水素ガスも検出することが可能となる。また、貫通部に触媒部の一部が配置され、且つ貫通部の内壁と触媒部の一部とが接触する場合、触媒部と熱電材料部との接触面積を更に大きくすることができる。また、貫通部に触媒部の一部が充填されている場合、すなわち、貫通部に触媒部の一部が嵌合している場合、触媒部が熱電材料部から脱離し難くなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、従来よりも高い感度を有する水素ガスセンサを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明については省略することとする。また、図面中に示す寸法及び位置関係は図示されたものに限定されない。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る水素ガスセンサの構成を示す概略図である。図1に示すように、第1実施形態の水素ガスセンサ100は、センサ部10と、電圧測定部20とから構成される。
【0017】
図1は、センサ部10の断面構成を模式的に示している。また、図2は、センサ部10を上方からみた平面図である。図1、2に示すように、センサ部10は、熱電材料部2と、熱電材料部2上に設けられた一対の電極4a、4bと、一対の電極4a、4bのうちの一方の電極4a側に偏在し、且つ熱電材料部2に接するように設けられ、水素による反応を触媒する触媒部6と、を有する。このようなセンサ部10は、例えば、長さ10mm程度、幅7mm程度、厚さ0.2mm程度の大きさを有する。
【0018】
本実施形態では、触媒部6の全体が、熱電材料部2に形成された凹部8内に配置されており、触媒部6が凹部8の内壁全面と接触している。すなわち、触媒部6の全体が、熱電材料部2に形成された凹部8内に嵌合しており、熱電材料部2に埋め込まれている。また、触媒部6において熱電材料部2と接することなく外部に露出している面が、熱電材料部2において一対の電極4a、4bが設けられた面(以下、「熱電材料部2の電極設置面」と記す。)と一致するようになっている。
【0019】
触媒部6は、熱電材料部2の電極4a、4bが形成されているのと同じ面側に、一対の電極4a、4bのうちの一方の電極4a側に偏在して設けられている。この触媒部6は、水素ガスと空気中の酸素との反応を生じさせる触媒能を有する。触媒部6としては、例えば、触媒担持体に上記触媒能を有する触媒成分を担持させた構成を有するものが挙げられる。具体的には、触媒担持体がた孔質のアルミナからなり、これに触媒成分として白金を担持させたものが好適である。白金は、水素ガスによる反応を選択的に生じさせることができ、これが表面積の大きい多孔質の触媒担持体に担持されることで、触媒部6の表面上で効率よく反応が生じるようになる。
【0020】
触媒部6は、上述のように一方の電極4a側に偏在して設けられているが、触媒部6が形成されていない側の電極4bからはできるだけ離れていることが好ましい。触媒部6が、電極4bから離れているほど、後述するような熱電材料部2における温度勾配を大きくすることができ、より大きな起電力が得られる。ただし、触媒部6の発熱量との兼ね合いの観点から、触媒部6における反応を効率よく生じさせ、熱電材料部6に十分な温度差を与えることを可能とするために必要となる触媒部6の面積を確保した上で、触媒部6をできるだけ電極4a側に偏在させることが好ましい。
【0021】
触媒部6は、これが設けられている側の電極4aと接していてもよく、また接していなくてもよい。例えば、触媒部6を電極4aと接するように設けることで、触媒部6と電極4aとが接しない場合に比べて、触媒部6と電極4bとの距離を大きくとることができ、熱電材料部2に生じる温度勾配をより大きくし、電極4a、4b間で大きな起電力を得ることが可能となる。なお、触媒部6を電極4aと接触させるか否かは、所望とする水素ガスセンサの特性に応じて適宜選択すればよい。
【0022】
触媒部6は、電極4aを被覆しないように形成されていてもよく、電極4aを被覆するように形成されていてもよい。特に、触媒部6が電極4aを被覆しないように形成されていると、触媒部6での発熱が電極4aを介しないで熱電材料部2に直接伝わるため、後述するような熱電材料部2における温度勾配をより大きく生じさせることができる。
【0023】
熱電材料部2は、10〜500μm程度の厚みを有し、平面形状が長方形状である板状の部材である。この熱電材料部2は、局所的な温度差が生じるとゼーベック効果によって起電力が発生する性質(熱電変換能)を有する熱電材料から構成される。熱電材料としては、このような性質を十分に有しており、しかも、ガス等による抵抗や起電力の変化が少ないものが好ましい。例えば、BiTe系、PbTe系、FeSi系、SiGe系、スカッタルダイド系、ハーフホイスラー型金属間化合物系、コバルト層状化合物、金属酸化物系等の熱電材料が挙げられる。また、アルカリ金属をドープしたNiO系等も適用可能である。
【0024】
一対の電極4a、4bは、熱電材料部2の一面上に、互いに離間するように設けられており、具体的には、熱電材料部2の両端の辺に沿ってそれぞれ形成されている。これらの電極4a、4bは、熱電材料部2と外部回路等との接続を行う端子としての機能を有しており、金属等の導電性を有する材料によって構成される。
【0025】
電圧測定部20は、センサ部10が有している一対の電極4a、4bに接続されており、電極4a、4b間の電圧を測定することができる。この電圧測定部20としては、検出される電圧に応じた公知の電圧計を適用することができる。
【0026】
上記構成を有する水素ガスセンサ100による水素ガスの検出は、以下のような動作原理によって行なわれる。すなわち、まず、センサ部10において、触媒部6に水素ガスが接触すると、触媒部6上で水素ガスと空気中の酸素との反応が触媒される。この反応では、水素と酸素との反応によって水が生成するとともに熱が発生する。この熱により、熱電材料部2のうち触媒部6と接している部分が加熱される。一方、触媒部6が設けられていない部分は、上記反応が生じても加熱され難いため、反応前の温度を維持したままとなり易い。その結果、触媒部6で水素ガスの反応が生じると、熱電材料部2に温度勾配が生じることになる。熱電材料部2は、熱電変換能を有していることから、このような温度勾配によって熱電材料部2に起電力が生じる。
【0027】
熱電材料部2に生じた起電力は、熱電材料部2の両端に設けられた一対の電極4a、4b間に電圧を発生させる。電極4a、4bには、電圧測定部20が接続されているため、電圧測定部20によって電極4a、4b間の電圧が測定される。得られた電圧の値に基づいて、雰囲気中の水素ガスを検出し、更には雰囲気中の水素ガスの濃度等を定量することができる。
【0028】
上記第1実施形態では、触媒部6が、熱電材料部2に形成された凹部8内に配置され、凹部8の内壁によって囲まれているため、従来のように凹部の形成されていない平坦な熱電材料部の外表面上に触媒部が設置されている場合に比べて、反応熱が触媒部6から外気へ逃げ難くなる。すなわち、触媒部6で発生した反応熱全量が、外気へ逃げることなく熱電材料部2へ伝導し易くなるため、水素ガスセンサ100の感度を従来よりも向上させることが可能となる。
【0029】
また、上記第1実施形態では、触媒部6が凹部8の内壁全面と接触しているため、従来のように凹部の形成されていない熱電材料部の平坦な表面上に触媒部が設置されている場合に比べて、触媒部6と熱電材料部2との接触面積が大きくなり、触媒部6で発生した反応熱が、より確実に熱電材料部2へ伝導する。その結果、熱電材料部2に生じる温度勾配が大きくなり易く、電極4a、4b間に発生する起電力も大きくなり易いため、水素ガスセンサ100の感度を更に向上させることが可能となる。
【0030】
(第2実施形態)
次に、図3を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係る水素ガスセンサについて説明する。なお、以下では、上述した第1実施形態と第2実施形態とで共通する事項については説明を適宜省略する。
【0031】
図3に示すように、第2実施形態の水素ガスセンサは、第1実施形態と同様、センサ部10と、電圧測定部20とから構成され、センサ部10は、熱電材料部2と、熱電材料部2上に設けられた一対の電極4a、4bと、一対の電極4a、4bのうちの一方の電極4a側に偏在し、且つ熱電材料部2に接するように設けられ、水素による反応を触媒する触媒部6と、を有する。
【0032】
この第2実施形態では、第1実施形態と同様に、触媒部6の全体が、熱電材料部2に形成された凹部8内に埋め込まれているが、図3に示すように、触媒部6の熱電材料部2側の表面と、熱電材料部2の凹部8の底面との接触界面12が凹凸状となっている点で、この界面が平面状であった第1実施形態とは相違している。
【0033】
このように、第2実施形態では、触媒部6の熱電材料部2に対する接触面と、熱電材料部2の触媒部6に対する接触面とがそれぞれ凹凸状となっており、しかも、これらの両接触面の凹凸が噛み合った状態となっている。この接触界面の凹凸形状は特に制限されず、溝状の凹凸が並列した形状、凹凸が縦横方向に交互に繰り返された形状や、不規則に粗面化された形状等のいずれであってもよい。第2実施形態においては、例えば、この接触界面の凹凸の間隔(凸部の頂部間の距離等)が、0.01〜1mmであると好ましく、0.05〜0.5mmであるとより好ましい。こうすれば、接触界面での熱伝導性を特に良好に高めることが可能となる。
【0034】
このような構成を有する第2実施形態では、第1実施形態と同様に、触媒部6が熱電材料部2に形成された凹部8内に配置されているため、触媒部6で発生した反応熱を熱電材料部2へ伝導させ易くすることが可能となる。そして特に、第2実施形態では、触媒部6と熱電材料部2に形成された凹部8の底との接触界面12が凹凸状であることにより、第1実施形態のように触媒部6と熱電材料部2に形成された凹部8の底との接触界面が平面状である場合に比べて、触媒部6と熱電材料部2との接触面積が大きくなり、触媒部6で発生した反応熱が、より一層熱電材料部2に伝導し易くなり、その結果、水素ガスセンサ100の感度を更に向上させることが可能となる。
【0035】
(第3実施形態)
次に、図4を参照しつつ、本発明の第3実施形態に係る水素ガスセンサについて説明する。なお、以下では、上述した第1実施形態と第3実施形態とで共通する事項については説明を適宜省略する。
【0036】
第3実施形態の水素ガスセンサ100は、図4に示すように、凹部8の一部に、凹部8とは反対側へ熱電材料部を貫通する貫通部14が形成されている点において、第1実施形態の水素ガスセンサ100と相違している。すなわち、第3実施形態では、凹部8の底に、この凹部8の深さ方向に熱電材料部2を貫通する貫通部14が形成されている。
【0037】
この第3実施形態では、第1実施形態と同様に、触媒部6の全体が、熱電材料部2に形成された凹部8内に配置されており、熱電材料部2に形成された凹部8内に嵌合して熱電材料部2の内部に埋め込まれた状態となっている。また、触媒部において熱電材料部2と接することなく外部に露出している面が、熱電材料部2の電極設置面と一致するようになっている。さらに、第3実施形態では、貫通部14内にも触媒成分が充填されて触媒部6が形成されている。
【0038】
このような構成を有する第3実施形態では、第1実施形態と同様に、触媒部6が熱電材料部2に形成された凹部8内に配置されているため、触媒部6で発生した反応熱を確実に熱電材料部2へ伝導することができる。そして特に、第3実施形態では、貫通部14にも触媒部6が配置されることで、貫通部14の内壁と触媒部6の一部とが接触し、これにより触媒部6と熱電材料部2との接触面積を大きくすることもできる。また、貫通部14内にも触媒部6が形成されている、すなわち、貫通部14に触媒部6の一部が嵌合しているため、触媒部6が熱電材料部2から脱離し難くなる。
【0039】
なお、貫通部14の内径は、所望とする水素ガスセンサ100の特性に合わせて適宜設定することができ、例えば、貫通部14の内径及び形状が、凹部8と同じであってもよい。この場合は、凹部8が反対側面まで貫通したような形状を有するようになる。
【0040】
以上、第1、第2及び第3実施形態の各水素ガスセンサについて説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0041】
例えば、第1、第2及び第3実施形態では、触媒部6において熱電材料部2と接することなく外部に露出している面が、熱電材料部2の電極設置面と一致するようになっているが、触媒部6が熱電材料部2の電極設置面よりも突出してもよい。すなわち、凹部8の深さ方向における触媒部6の高さが、凹部8の底から熱電材料部2の電極設置面までの距離よりも大きくても良い。逆に、凹部8の深さ方向における触媒部6の高さが、凹部8の底から熱電材料部2の電極設置面までの距離よりも小さくてもよい。また、触媒部6が、凹部8の底においてのみ熱電材料部2と接触していてもよい。
【0042】
さらに、第2実施形態では、凹部8の底面での接触界面のみ凹凸状としたが、これに限られず、接触部分の側面(凹部8の側面での接触界面)が凹凸状であってもよい。また、凹部8の内壁は平面ではなく、曲面状であってもよい。
【0043】
さらにまた、第3実施形態では、凹部8の底面に形成された貫通部14内にまで触媒部6が形成されていたが、この貫通部14には必ずしも触媒部6が形成されていなくてもよい。この場合であっても、熱電材料部2における凹部8の形成面とは反対側の面からの水素の通気は可能となるため、水素ガスの検出が有利となる。すなわち、貫通部14を通じて、凹部8の反対側の面から熱電材料部2の内部に侵入した水素ガスを検出することが可能となる。
【0044】
また、水素ガスセンサ100における熱電材料部2は板状の形状を有するものとしたが、一対の電極4a、4b及び触媒部6を表面に配置できるものであれば、板状以外の形状を有していてもよい。また、電極4a、4bや触媒部6は、全てが熱電材料部2における同一面上に設けられていたが、例えば電極4a、4bのうち一方の電極のみが他の面に設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1実施形態に係る水素ガスセンサの構成を示す概略断面図である。
【図2】図1に示すセンサ部10を上方からみた平面図である。
【図3】第2実施形態に係る水素ガスセンサの構成を示す概略断面図である。
【図4】第3実施形態に係る水素ガスセンサの構成を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0046】
2・・・熱電材料部、4a、4b・・・電極、6・・・触媒部、8・・・凹部、10・・・センサ部、20・・・電圧測定部、100・・・水素ガスセンサ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱電材料からなる熱電材料部、前記熱電材料部上に設けられた一対の電極、及び前記一対の電極のうちの一方の電極側に偏在し、且つ前記熱電材料部に接するように設けられ、水素による反応を触媒する触媒部を有するセンサ部と、
前記一対の電極間に発生した電圧を測定する電圧測定部と、
を備え、
前記触媒部の少なくとも一部が、前記熱電材料部に形成された凹部内に配置されている、
ことを特徴とする水素ガスセンサ。
【請求項2】
前記触媒部が前記凹部の内壁の全面と接触している、ことを特徴とする請求項1に記載の水素センサ。
【請求項3】
前記触媒部と前記熱電材料部との接触界面が凹凸状である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の水素センサ。
【請求項4】
前記凹部の一部に、前記凹部とは反対側の表面まで前記熱電材料部を貫通する貫通部が形成されている、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の水素センサ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−128127(P2009−128127A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−302109(P2007−302109)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】