説明

水素センサシステム

【課題】水素センサシステムの校正を精度良く行う。
【解決手段】水素センサシステムは、雰囲気中の水素濃度に応じた出力を示す水素検知素子と、水素検知素子の出力を水素濃度に対応付けるための対応データを記憶する記憶手段と、対応データに基づいて水素検知素子の出力を水素濃度に変換する制御手段とを有しており、制御手段は、水素検知素子の雰囲気が大気状態とみなし得る所定のタイミングで計測された出力に基づいて、水素濃度がゼロの場合の特性を示すゼロ点のズレを補正するゼロ点補正を行い(ステップS4)、水素検知素子の劣化度合いに関係するパラメータに基づいて、出力に対する水素濃度の比率を調整する(ステップS6)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素濃度を測定するための水素センサシステム及びその校正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば固体高分子膜型の燃料電池において、酸素極側の出口側配管に水素センサを設け、この水素センサによって燃料極側の水素が固体高分子電解質膜を通じて酸素極側に漏出したことを検知する技術が知られている(特許文献1,2参照)。
【0003】
また、特許文献1には、車両に搭載された水素センサを適宜のタイミングで校正する技術が開示されている。このようにすれば、劣化した水素センサを交換しなくても済む。水素センサは高価であり交換すると多大な費用がかかってしまうため、校正は有用な手段である。しかも、特許文献1,2に記載のような燃料電池の酸素極側の出口側配管に設置される水素センサは劣化スピードが速いため交換頻度が高く、このような場所に設置される水素センサに対して校正は特に効果的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−10545号公報
【特許文献2】特開平6−223850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、水素センサの校正のタイミングが主に述べられており、水素センサ自体の校正の仕方や校正精度については、必ずしも十分には考慮されていなかった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、水素センサシステムの校正を精度良く行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、水素濃度を測定するための水素センサシステムであって、
雰囲気中の水素濃度に応じた出力を示す水素検知素子と、前記水素検知素子の出力を水素濃度に変換する変換手段と、前記水素検知素子の雰囲気が大気状態とみなし得る所定のタイミングで計測された前記出力に基づいて、水素濃度がゼロの場合の特性を示すゼロ点のズレを補正するゼロ点補正を行い、前記水素検知素子の劣化度合いに関係するパラメータに基づいて、前記出力に対する前記水素濃度の比率を調整する校正手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、水素検知素子は、例えば長時間の使用によりゼロ点にズレが生じることに加えて感度が低下する傾向にあるが、ゼロ点補正を行うとともに、水素検知素子の劣化度合いに関係するパラメータに基づいて、出力に対する水素濃度の比率を調整するようにしたため、たとえ水素検知素子の劣化が起きた場合でも、水素濃度の検出精度を維持することができる。
すなわち、水素センサシステムの校正を精度良く行うことが可能となる。これにより、水素検知素子の交換頻度及び点検頻度を少なくすることができ、水素センサシステムが搭載される装置の維持費を低減できる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の水素センサシステムにおいて、前記水素検知素子の出力を水素濃度に対応付けるための対応データを記憶する記憶手段を有し、前記変換手段は、前記対応データに基づいて前記水素検知素子の出力を水素濃度に変換し、前記校正手段は、前記ゼロ点補正と、前記出力に対する前記水素濃度の比率を調整するための係数を補正する係数補正とを、前記対応データに対して実行することを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、請求項1に記載の発明の作用効果に加えて、より簡易な処理で水素センサシステムの校正を精度良く行うことができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の水素センサシステムにおいて、前記パラメータは時間に関係するパラメータであり、前記係数補正において、前記係数は時間の経過とともに2次関数的に増大するように補正されることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、請求項2に記載の発明の作用効果に加えて、水素検知素子は時間の経過とともに2次関数的に出力が低下していく傾向があることが確認されているが、かかる出力低下の傾向にあわせて係数が補正されるため、水素検知素子の劣化が進行したとしても、水素濃度の検出精度を確実に維持することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の水素センサシステムにおいて、前記パラメータは時間に関係するパラメータであり、前記係数補正において、前記係数は時間の経過とともに、初期段階において1次関数的に増大するように補正され、前記初期段階の後において2次関数的に増大するように補正されることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、請求項2に記載の発明の作用効果に加えて、初期段階においては、水素検知素子の表面の一部に異物が付着する等による1次関数的な出力低下の軌跡にあわせて係数が補正され、初期段階の後においては、水素検知素子の表面及び内部に対する異物の付着等による2次関数的な出力低下の軌跡にあわせて係数が補正される。これにより、水素検知素子の劣化が進行したとしても、水素濃度の検出精度を確実に維持することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の水素センサシステムにおいて、車両に搭載されることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、例えば水素を用いる動力源が搭載された車両に適用して水素センサシステムの校正を精度良く行うことができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の水素センサシステムにおいて、前記水素検知素子は、前記車両に搭載された燃料電池システムにおける酸素極側の出口側配管に設けられることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、請求項5に記載の発明の作用効果に加えて、酸素極側の出口側配管に設けられる水素検知素子は、劣化スピードが速いため通常では交換時期が早くなるが、校正を行うことにより検出精度を維持しつつ使用を継続することが可能となる。これにより、水素検知素子の交換頻度及び点検頻度を少なくして車両維持費を低減できる効果が顕著となる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は請求項6に記載の水素センサシステムにおいて、前記水素濃度の検出精度の低下を示す所定の条件が成立した場合、既知濃度の水素を前記水素検知素子に印加したときの前記水素検知素子の出力から前記変換手段により得られる水素濃度を前記既知濃度に一致させるための校正の実施を促す表示を前記車両の車室内の視認可能位置にて行うことを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、請求項5又は請求項6に記載の発明の作用効果に加えて、所定の条件下で、既知濃度の水素を用いた校正により検出精度のリセットを促すことができる。これにより、水素濃度の検出精度をより確実に維持することができる。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項5又は請求項6に記載の水素センサシステムにおいて、前記水素濃度の検出精度の低下を示す所定の条件が成立した場合、前記水素検知素子の交換を促す表示を前記車両の車室内の視認可能位置にて行うことを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、請求項5又は請求項6に記載の発明の作用効果に加えて、所定の条件下で、水素検知素子の交換により検出精度のリセットを促すことができる。これにより、水素濃度の検出精度をより確実に維持することができる。
【0023】
請求項9に記載の発明は、請求項5乃至請求項8のいずれか一項に記載の水素センサシステムにおいて、前記係数補正は、前記車両の動作を制御する制御手段により実行されることを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、請求項5乃至請求項8のいずれか一項に記載の発明の作用効果に加えて、車両の動作を制御する制御手段が係数補正を実施するため、係数補正のために水素検知素子を含むセンサ自体を特別に変更することなく校正処理を実施できるため、低コストでの校正を実現できる。
【0025】
請求項10に記載の発明は、請求項5乃至請求項8のいずれか一項に記載の水素センサシステムにおいて、前記係数補正は、前記水素検知素子に付設される制御手段により実行されることを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、請求項5乃至請求項8のいずれか一項に記載の発明の作用効果に加えて、水素検知素子に付設される制御手段が係数補正を行うため、水素検知素子の個体差を考慮した係数のセッティングが可能となる。
【0027】
請求項11に記載の発明は、水素濃度を測定するための水素センサシステムであって、
雰囲気中の水素濃度に応じた出力を示す水素検知素子と、前記水素検知素子の出力を水素濃度に変換する変換手段と、前記水素検知素子の雰囲気が大気状態とみなし得る状態で計測された前記出力に基づいて、水素濃度がゼロの場合の特性を示すゼロ点のズレを補正するゼロ点補正を行い、既知濃度の水素を前記水素検知素子に印加したときの前記水素検知素子の出力から前記変換手段により得られる水素濃度が前記既知濃度に一致するように、前記出力に対する前記水素濃度の比率を調整する校正手段と、を有することを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、水素検知素子は、例えば長時間の使用によりゼロ点のズレが生じることに加えて感度が変化する傾向にあるが、ゼロ点補正を行うとともに、既知濃度の水素を用いることにより、出力に対する水素濃度の比率を調整するようにしたため、たとえ水素検知素子の劣化が起きた場合でも、水素濃度の検出精度を維持することができる。
すなわち、水素センサシステムの校正を精度良く行うことが可能となる。これにより、水素検知素子の交換頻度及び点検頻度を少なくすることができ、水素センサシステムが搭載される装置の維持費を低減できる。
しかも、例えば水素に対して活性な物質が水素検知素子に付着するなどして、水素検知素子の出力が増大する方向に変化した場合であっても、的確に係数補正を実行することができる。これにより、水素濃度の検出精度をより確実に維持することができる。
【0029】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の水素センサシステムにおいて、前記水素検知素子の出力を水素濃度に対応付けるための対応データを記憶する記憶手段を有し、前記変換手段は、前記対応データに基づいて前記水素検知素子の出力を水素濃度に変換し、前記校正手段は、前記ゼロ点補正と、前記出力に対する前記水素濃度の比率を調整するための係数を補正する係数補正とを、前記対応データに対して実行することを特徴とする。
【0030】
この発明によれば、請求項11に記載の発明の作用効果に加えて、より簡易な処理で水素センサシステムの校正を精度良く行うことができる。
【0031】
請求項13に記載の発明は、請求項11又は請求項12に記載の水素センサシステムにおいて、車両に搭載されることを特徴とする。
【0032】
この発明によれば、例えば水素を用いる動力源が搭載された車両に適用して水素センサシステムの校正を精度良く行うことができる。
【0033】
請求項14に記載の発明は、雰囲気中の水素濃度に応じた出力を示す水素検知素子を備え、前記水素検知素子の出力を水素濃度に変換して水素濃度を測定する水素センサシステムの校正方法であって、前記水素検知素子の雰囲気が大気状態とみなし得る所定のタイミングで計測された前記出力に基づいて、水素濃度がゼロの場合の特性を示すゼロ点のズレを補正するゼロ点補正を行い、前記水素検知素子の劣化度合いに関係するパラメータに基づいて、前記出力に対する前記水素濃度の比率を調整することを特徴とする。
【0034】
この発明によれば、水素検知素子は、例えば長時間の使用によりゼロ点にズレが生じることに加えて感度が低下する傾向にあるが、ゼロ点補正を行うとともに、水素検知素子の劣化度合いに関係するパラメータに基づいて、出力に対する水素濃度の比率を調整するようにしたため、たとえ水素検知素子の劣化が起きた場合でも、水素濃度の検出精度を維持することができる。
すなわち、水素センサシステムの校正を精度良く行うことが可能となる。これにより、水素検知素子の交換頻度及び点検頻度を少なくすることができ、水素センサシステムが搭載される装置の維持費を低減できる。
【0035】
請求項15に記載の発明は、雰囲気中の水素濃度に応じた出力を示す水素検知素子を備え、前記水素検知素子の出力を水素濃度に変換して水素濃度を測定する水素センサシステムの校正方法であって、前記水素検知素子の雰囲気が大気状態とみなし得る状態で計測された前記出力に基づいて、水素濃度がゼロの場合の特性を示すゼロ点のズレを補正するゼロ点補正を行い、既知濃度の水素を前記水素検知素子に印加したときの前記水素検知素子の出力を変換して得られる水素濃度が前記既知濃度に一致するように、前記出力に対する前記水素濃度の比率を調整することを特徴とする。
【0036】
この発明によれば、水素検知素子は、例えば長時間の使用によりゼロ点のズレが生じることに加えて感度が変化する傾向にあるが、ゼロ点補正を行うとともに、既知濃度の水素を用いることにより、出力に対する水素濃度の比率を調整するようにしたため、たとえ水素検知素子の劣化が起きた場合でも、水素濃度の検出精度を維持することができる。
すなわち、水素センサシステムの校正を精度良く行うことが可能となる。これにより、水素検知素子の交換頻度及び点検頻度を少なくすることができ、水素センサシステムが搭載される装置の維持費を低減できる。
しかも、例えば水素に対して活性な物質が水素検知素子に付着するなどして、水素検知素子の出力が増大する方向に変化した場合であっても、的確に係数補正を実行することができる。これにより、水素濃度の検出精度をより確実に維持することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、水素センサシステムの校正を精度良く行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施形態に係る水素センサシステムが適用された車両の概略構成図である。
【図2】図1に示される水素センサシステムを燃料電池システムとともに示す概略構成図である。
【図3】水素センサの概略構成を示すブロック図である。
【図4】水素検知素子の出力から水素濃度への変換処理を説明するための図である。
【図5】水素検知素子が劣化した場合の水素検知素子の生出力及び増幅出力を示す図である。
【図6】第1実施形態に係る水素センサシステムの校正処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】第1実施形態に係るゼロ点補正の処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】第1実施形態に係るゼロ点補正を説明するための図である。
【図9】第1実施形態に係る係数補正の処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】第1実施形態に係る係数補正を説明するための図である。
【図11】燃料電池の発電時間と係数β2との関係を示す図である。
【図12】図11の係数演算データを得るために予め実験等により求めた感度劣化率の時間的変化を示す図である。
【図13】水素センサシステムの校正処理の実施時期について説明するための図表である。
【図14】第1実施形態において外部機器からの実施指令を水素センサが受信する様子を示す図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係る水素センサシステムが適用された車両の概略構成図である。
【図16】第2実施形態に係る水素センサシステムの校正処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】第2実施形態に係るゼロ点補正を説明するための図である。
【図18】第2実施形態に係る係数補正の処理の手順を示すフローチャートである。
【図19】第2実施形態に係る係数の算出方法を説明するための図である。
【図20】第2実施形態に係る係数補正を説明するための図である。
【図21】第2実施形態において外部機器からの実施指令を水素センサが受信する様子を示す図である。
【図22】校正専用の接続ピンを備えたコネクタのピン構造を示す概略図であり、(a)は接合面を示す図、(b)は(a)のX−X線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る水素センサシステムが適用された車両の概略構成図である。図2は、図1に示される水素センサシステムを燃料電池システムとともに示す概略構成図である。
【0040】
図1に示すように、本実施形態に係る水素センサシステム1は、水素濃度を測定するためのものであり、車両Vに搭載されている。水素センサシステム1は、水素を検出する水素センサ2と、水素センサ2と電気的に接続されるECU(Electronic Control Unit;電子制御装置)3と、ECU3と電気的に接続される表示装置4とを備えている。
【0041】
図2に示すように、水素センサ2は、車両V(図1参照)に搭載された動力源としての燃料電池システム10に組み込まれている。ここでは、車両Vは、燃料電池車両であり、燃料電池システム10による発電電力によって走行用の電動モータ(図示せず)を回転させて走行するように構成されている。
【0042】
燃料電池システム10は、燃料電池5と、燃料極(アノード)側の入口側配管6及び出口側配管8と、酸素極(カソード)側の入口側配管7及び出口側配管9とを備えている。水素センサ2は、燃料電池システム10における酸素極側の出口側配管9に設けられている。
【0043】
燃料電池5は、例えば陽イオン交換膜等からなる固体高分子電解質膜を燃料極と酸素極で挟持した膜電極接合体を、更に一対のセパレータで挟持してなる単セル(図示せず)を多数組積層して構成されたスタックからなる。
【0044】
燃料電池5においては、燃料電池5の燃料極に入口側配管6から供給された水素等の燃料ガスにより、燃料極の触媒電極上で水素がイオン化され、適度に加湿された固体高分子電解質膜を介して酸素極へと移動する、その間に生じた電子が外部回路に取り出され、直流の電気エネルギとして利用される。燃料電池5の酸素極には、例えば、酸素等の酸化剤ガスあるいは空気が入口側配管7を介して供給されているために、この酸素極において、水素イオン、電子及び酸素が反応して水が生成される。そして、燃料極側、酸素極側共に出口側配管8,9から反応済みのいわゆるオフガスが系外に排出される。
【0045】
なお、図2では図示を省略しているが、出口側配管8からの水素は入口側配管6に戻されてリサイクルされるようになっている。そして、出口側配管8から適宜のタイミングで一部の水素が出口側配管9へと排出(水素センサ2の上流側に)され、燃料電池5に供給される水素の純度を適正なものとしている。
【0046】
ECU3は、CPU及び記憶手段を有する制御手段(図示せず)を備えており、車両V(図1参照)の動作を制御する。ECU3は、車両VのIG(イグニッション;図示せず)と連動しており、IGがオンされると燃料電池システム10を起動して燃料電池5を発電させるようになっている。
【0047】
ECU3は、水素センサ2の出力に基づいて測定される水素濃度を用いて、燃料電池システム10における酸素極側の出口側配管9からの水素の流出量を監視する。ECU3は、出口側配管9を通って所定値以上の水素が流出していると判定した場合には、表示装置4にその旨の表示を行ったり、警報装置(図示せず)に警報音を発生させたり、燃料電池システム10を停止させたりすることができる。表示装置4は、車両V(図1参照)の車室内の視認可能位置に設置されており、各種の情報を表示する。表示装置4には、LCD等のディスプレイやメータ等が含まれる。
【0048】
図3は、水素センサの概略構成を示すブロック図である。図3に示すように、水素センサ2は、CPU22、及びROMやRAM等の記憶手段23を有する制御手段21と、雰囲気中の水素濃度に応じた出力を示す水素検知素子24とを備えている。水素センサ2の制御手段21は、ECU3の制御手段と通信可能である。
【0049】
本実施形態では、水素センサ2は接触燃焼式のセンサである。水素検知素子24は、オフガス中に含まれる水素を検知するための素子であり、具体的には検出素子と温度補償素子との対により構成されている。検出素子は、周知の素子であって、電気抵抗に対する温度係数が高い白金等を含む金属線のコイルが、触媒を坦持したアルミナ等の坦体で被覆されて形成されている。触媒は、水素に対して活性な貴金属等からなる。温度補償素子は、水素に対して不活性とされ、例えば検出素子と同等のコイルの表面が、アルミナ等の坦体で被覆されて形成されている。
【0050】
そして、水素が触媒に接触した際に生じる反応熱により、検出素子が高温になると、検出素子と温度補償素子の抵抗値に差が生じるので、この差に応じた電圧を検出することにより水素濃度を検出することができるようになっている。なお、雰囲気温度による電気抵抗値の変化は、温度補償素子を利用することにより相殺されるように設定されている。
【0051】
図4は、水素検知素子の出力から水素濃度への変換処理を説明するための図である。図4中の符号Aは、水素検知素子24の生出力を示しており、図4中の符号Bは、水素検知素子24の生出力Aに対して係数β1を乗じることによって得られる増幅出力を示している。生出力Aは値や変化量が小さく、これを増幅した後の増幅出力Bを用いて水素濃度への変換処理が行われる。
【0052】
図4に示すように、水素検知素子24で生じる生出力Aの具体的な値が例えば「a」であるとき、「a」に係数β1を乗じることにより、増幅出力Bの具体的な値として「b」が得られる。ここで、増幅出力Bと水素濃度との関係は、図4中に増幅出力Bとして示される相関関係データLで与えられる。なお、相関関係データLは、図4中では直線であるが、これに限定されるものではない。そして、図4に示すように、相関関係データLに基づいて、増幅出力Bの具体的な値である「b」から水素濃度「c」が得られる。
【0053】
このような水素濃度への変換処理は、制御手段(変換手段)21により実行される。具体的には、記憶手段23に保存されている所定のプログラムをCPU22が実行することによって変換処理が実行される。この変換処理において用いられ、水素検知素子24の出力を水素濃度に対応付けるための対応データDは、水素センサ2の記憶手段23に格納されている。ここで、対応データDには、係数β1、及び相関関係データLが含まれる。対応データDは、関係式(係数や定数項を含む)であってもよく、参照テーブル(マップデータ)であってもよい。
【0054】
図5は、水素検知素子が劣化した場合の水素検知素子の生出力及び増幅出力を示す図である。図5に示すように、例えば長時間の使用により水素検知素子24に対してシリコン(Si)等の異物が付着するため、想定通りに検出素子の温度が上昇しないこと等により熱的特性が変化する。
【0055】
すなわち、水素濃度がゼロ(0)の場合の特性を示すゼロ点にズレa0(ゼロ点のオフセット)が生じることに加えて、雰囲気中の水素濃度の変化に対する生出力の変化の割合を示す感度が低下する。つまり、水素検知素子24の生出力Aは劣化によりA1に変化し、係数β1を使用した場合の増幅出力Bは劣化によりB1に変化する。なお、水素検知素子24に対する異物の付着によって、水素検知素子24自体の熱マスが大きくなること等によりゼロ点のズレa0が生じ、水素検知素子24の水素との反応領域が小さくなること等により感度が低下すると考えられる。
【0056】
したがって、図5に示すように、生出力Aの具体的な値「a」は劣化により「a1」に変化し、係数β1を使用した場合の増幅出力Bの具体的な値「b」は劣化により「b1」に変化する。そして、相関関係データLに基づいて、増幅出力Bの具体的な値「b1」から水素濃度「c1」が得られるが、この値は、劣化前(初期状態)の水素濃度「c」(図4参照)よりも減少する方向に変動しており、結果的として検出精度の低下を招く。
【0057】
本実施形態では、かかる検出精度の低下を防止すべく、水素センサシステム1の校正が行われる。次に、図6〜図10を参照して、水素センサシステム1の校正処理について説明する。
【0058】
図6は、第1実施形態に係る水素センサシステムの校正処理の手順を示すフローチャートである。図7は、第1実施形態に係るゼロ点補正の処理の手順を示すフローチャートである。図8は、第1実施形態に係るゼロ点補正を説明するための図である。図9は、第1実施形態に係る係数補正の処理の手順を示すフローチャートである。図10は、第1実施形態に係る係数補正を説明するための図である。
【0059】
なお、水素センサシステム1の校正処理(ゼロ点補正及び係数補正)は、制御手段(校正手段)21により実行される。具体的には、記憶手段23に保存されている所定のプログラムをCPU22が実行することによって校正処理が実行される。
【0060】
図6に示すように、水素センサシステム1の校正処理では先ず、大気環境下で水素センサシステム1が起動する(ステップS2)。水素センサシステム1が起動した後、制御手段21は、ゼロ点補正を実行する(ステップS4)。続いて、制御手段21は、係数補正を実行して(ステップS6)、校正処理を完了する。
【0061】
このように水素センサシステム1の校正処理は、ゼロ点補正と係数補正とを含んでいる。ここで、ゼロ点補正は、水素検知素子24の雰囲気が大気状態とみなし得る所定のタイミングで計測された出力に基づいて、水素濃度がゼロの場合の特性を示すゼロ点のズレを補正する処理である。これは、水素検知素子24の雰囲気が大気状態の場合には、この大気中には水素が殆ど含まれていないことを利用したものである。所定のタイミングとは、例えば、IGのオン時等の燃料電池システム10による発電開始前や、IGのオフ後所定時間経過後である。
【0062】
また、係数補正は、水素検知素子24の劣化度合いに関係するパラメータに基づいて、出力に対する水素濃度の比率を調整するための係数を補正する処理である。ここでは、前記比率を調整するための係数は、増幅出力を得るために水素検知素子24の生出力に対して乗じられる係数β1である。
【0063】
最初に、ゼロ点補正について説明する。
図7に示すように、ゼロ点補正では先ず、制御手段21は、大気環境下での水素検知素子24の生出力を確認し(ステップS12)、ゼロ点のズレa0(図8参照)を算出する(ステップS14)。続いて、制御手段21は、ゼロ点のズレa0を補正するためのゼロ点ズレ補正値α(図8参照)を算出し(ステップS16)、このゼロ点ズレ補正値αを対応データD(図4参照)に反映する(ステップS18)。
【0064】
図8に示すように、ゼロ点のズレa0の発生は、水素検知素子24の生出力Aが劣化によりA1に変化することを示している。したがって、このゼロ点のズレa0を補正するためには、劣化後の生出力A1が示すグラフを、生出力A2が示すグラフの如く原点(出力=0、水素濃度=0)を通るように、ズレa0の絶対値量だけ生出力の増大方向に平行移動させる。図8中のゼロ点ズレ補正値αは、水素検知素子24の生出力に加算される補正量がズレa0の絶対値量であることを示すデータである。ステップS14では、このゼロ点ズレ補正値αが、対応データD(図4参照)に含められる。
【0065】
次に、係数補正について説明する。
図9に示すように、係数補正では先ず、制御手段21は、水素検知素子24の劣化度合いに関係するパラメータとしての燃料電池5の発電時間に基づいて、増幅出力B2(図10参照)を得るために水素検知素子24のゼロ点補正後の生出力A2(図10参照)に対して乗じられる係数β2(図10参照)を算出する(ステップS22)。なお、係数β2の算出方法については後記する。
【0066】
続いて、制御手段21は、算出された係数β2を対応データD(図4参照)に反映する(ステップS24)。ここでは、初期状態での係数β1(図4参照)が、ステップS24で算出された係数β2に置き換えられる。
【0067】
図10に示すように、ゼロ点補正後の生出力A2に対して、ステップS22で算出された係数β2を乗じることによって、係数補正後の増幅出力B2が得られる。ここで、係数補正後の増幅出力B2が、初期状態における増幅出力B(図4参照)に略一致するように、係数β2の算出が行われる。
【0068】
次に、係数β2の算出方法について説明する。
図11は、燃料電池の発電時間と係数β2との関係を示す図である。水素センサ2の記憶手段23には、燃料電池5の発電時間と係数β2との関係を示す係数演算データが保存されている。係数演算データは、関係式であってもよく、参照テーブル(マップデータ)であってもよい。制御手段21は、この係数演算データに基づいて係数β2を算出し、初期状態での係数β1をこの係数β2に置き換える。
【0069】
図12は、図11の係数演算データを得るために予め実験等により求めた感度劣化率の時間的変化を示す図である。ここで、感度劣化率は、感度劣化率=(現在の出力−初期状態での出力)/初期状態での出力、の式で算出される。この感度劣化率の時間的変化を示すカーブに合わせるように、係数β2が設定されるようになっている。これにより、水素検知素子24の劣化が進行したとしても、水素濃度の検出精度をより確実に維持することができる。
【0070】
また例えば、係数補正において、係数β2は時間の経過とともに2次関数的に増大するように設定されてもよい。このように構成すれば、水素検知素子24は、図12から全体として時間の経過とともに2次関数的に出力が低下していく傾向があることがわかるが、かかる出力低下の傾向にあわせて係数β2が設定されるため、水素検知素子24の劣化が進行したとしても、水素濃度の検出精度を確実に維持することができる。
【0071】
また例えば、係数補正において、係数β2は時間の経過とともに、初期段階において1次関数的に増大するように設定され、初期段階の後において2次関数的に増大するように設定されてもよい。このように構成すれば、図11及び図12に示すように、初期段階T1においては、水素検知素子24の表面の一部に異物が付着する等による1次関数的な出力低下(初期劣化)の軌跡にあわせて係数β2が設定され、初期段階の後の期間T2においては、水素検知素子24の表面及び内部に対する異物の付着等による2次関数的な出力低下(経時劣化)の軌跡にあわせて係数β2が設定される。これにより、水素検知素子24の劣化が進行したとしても、水素濃度の検出精度を確実に維持することができる。
【0072】
図11及び図12中に示す点Qは、水素検知素子24の使用限界点を示す。図12に示すように、使用限界点Qにおいて感度劣化率が所定値以下になっており、点Qは感度調整の限界点とも言える。
【0073】
本実施形態では、水素濃度の検出精度の低下を示す所定の条件として、係数β2が所定値以上となる点Pに達した場合、制御手段21は、水素検知素子24を含む水素センサ2の交換を促すメッセージや画像等の表示を車両V(図1参照)の車室内の視認可能位置に設けられた表示装置4(図1参照)にて行う。ここで、水素センサ2の交換を促す点Pは、使用限界点Qに至る以前に設定される。このようにすれば、所定の条件下で、水素センサ2の交換により検出精度のリセットを促すことができる。これにより、水素濃度の検出精度をより確実に維持することができる。
【0074】
なお、前記した係数β2の算出方法において、燃料電池5の発電時間に基づいて係数β2を算出するようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、水素センサ2の使用時間(通電時間)、車両Vの運転時間、燃料電池5の運転時間、燃料電池5の総発電量、掃気ガスの総量、燃料電池5の所定の高温運転時間、総排ガス量等の、水素検知素子24の劣化度合いに関係する他のパラメータに基づいて、係数β2を算出するようにしてもよい。
【0075】
さらには、燃料電池5の発電時間や前記他のパラメータのうちの少なくとも二つ以上を考慮して、係数β2を算出するようにしてもよい。この場合、例えば各パラメータに重みを付け、パラメータ毎に得られた係数の加重平均を取ることによって、係数β2が算出され得る。このようにすれば、水素濃度の検出精度を上げることができる。
【0076】
また、水素センサ2の交換を促す点Pは、ここでは係数β2が所定値以上となる点に設定されているが、これに限定されることなく、感度劣化率が所定値以下となる点、水素検知素子24の劣化度合いに関係する前記パラメータが所定値以上となる点、校正処理の実施回数が所定値以上となる点等に設定されてもよい。
【0077】
前記したように、ゼロ点補正(図6のステップS4)において対応データD(図4参照)にゼロ点ズレ補正値αが追加され(図7のステップS18)、係数補正(図6のステップS6)において対応データD(図4参照)の係数β1が係数β2に置き換えられる(図9のステップS24)。したがって、水素センサシステム1の校正処理後においては、水素検知素子24の出力から水素濃度への変換処理は、以下のように行われる。すなわち先ず、水素検知素子24の生出力をゼロ点ズレ補正値αに基づいて平行移動(ゼロ点補正;図8参照)させた値に対して、係数β2を乗じること(係数補正;図10参照)によって、校正後の増幅出力が取得される。そして、相関関係データLを参照することにより、取得された校正後の増幅出力から、水素濃度が得られる(図4参照)。
【0078】
図13は、水素センサシステムの校正処理の実施時期について説明するための図表である。ここでは、図13に示す実施時期(1)に従って、水素センサシステム1の校正処理が実施される。
【0079】
すなわち、ECU3は、燃料電池5の発電時間が規定発電時間を経過したと判断された時点で、IGのオン時等の燃料電池システム10による発電開始前に、水素センサ2に対して車載状態での校正処理の実施指令を送信する。あるいは、ECU3は、IGのオフ後所定時間経過後に、水素センサ2に対して車載状態での校正処理の実施指令を送信してもよい。そして、ECU3からの実施指令を受信した水素センサ2が校正処理を実施する(図6参照)。
【0080】
但し、図13に示す実施時期(2)に従って、水素センサシステム1の校正処理が実施されてもよい。図14は、第1実施形態において外部機器からの実施指令を水素センサが受信する様子を示す図である。この場合、水素センサ2内に無線受信手段(図示せず)を設けておき、図14に示すように、任意の時間の経過時点で、定期点検等の作業時に、車両Vの外部に存在する外部機器31から水素センサ2に対して車載状態での校正処理の実施指令が送信される。そして、外部機器31からの実施指令を受信した水素センサ2が校正処理を実施する(図6参照)。
【0081】
また、図13に示す実施時期(3)に従って、水素センサシステム1の校正処理が実施されてもよい。この場合、水素センサ2内に設定したタイマにより水素センサ2の通電時間が規定通電時間を経過したと判断された時点で、水素センサ2(内蔵の制御手段21)がECU3に対して校正処理の実施指令を要求する指令を送信する。水素センサ2からの指令を受信したECU3は、校正処理の実施が可能なタイミングを判断し、例えばIGのオン時等の燃料電池システム10による発電開始前に、水素センサ2に対して車載状態での校正処理の実施指令を送信する。そして、ECU3からの実施指令を受信した水素センサ2が校正処理を実施する(図6参照)。
【0082】
前記したように、本実施形態においては、水素濃度を測定するための水素センサシステム1は、雰囲気中の水素濃度に応じた出力を示す水素検知素子24と、水素検知素子24の出力を水素濃度に変換する制御手段21とを有しており、制御手段21は、水素検知素子24の雰囲気が大気状態とみなし得る所定のタイミングで計測された出力に基づいて、水素濃度がゼロの場合の特性を示すゼロ点のズレを補正するゼロ点補正を行い、水素検知素子24の劣化度合いに関係するパラメータに基づいて、出力に対する水素濃度の比率を調整する。
【0083】
したがって本実施形態によれば、水素検知素子24は、例えば長時間の使用によりゼロ点にズレが生じることに加えて感度が低下する傾向にあるが、ゼロ点補正を行うとともに、水素検知素子24の劣化度合いに関係するパラメータに基づいて、出力に対する水素濃度の比率を調整するようにしたため、たとえ水素検知素子24の劣化が起きた場合でも、水素濃度の検出精度を維持することができる。
すなわち、水素センサシステム1の校正を精度良く行うことが可能となる。これにより、水素検知素子24を含む水素センサ2の交換頻度及び点検頻度を少なくすることができ、車両維持費を低減できる。
【0084】
また、水素センサシステム1は車両に搭載されているため、本実施形態のような水素を用いる動力源が搭載された車両に適用して水素センサシステムの校正を精度良く行うことができる。
【0085】
また、水素センサ2を車両Vから取り外すことなく車載状態のままで簡単に校正処理を実施でき、作業工数の低減、及び点検効率の向上を図ることができる。
【0086】
また、水素検知素子24を含む水素センサ2は、車両Vに搭載された燃料電池システム10における酸素極側の出口側配管9に設けられるため、水素検知素子24の劣化スピードが速いため通常では交換時期が早くなるが、校正を行うことにより検出精度を維持しつつ使用を継続することが可能となる。これにより、水素検知素子24を含む水素センサ2の交換頻度及び点検頻度を少なくして車両維持費を低減できる効果が顕著となる。
【0087】
また、水素検知素子24に付設される水素センサ2の制御手段21が係数補正を行うため、水素検知素子24の個体差(素子個々の特性差)を考慮した係数β2のセッティングが可能となる。
【0088】
但し、車両Vの動作を制御する制御手段を含むECU3が、ゼロ点補正及び係数補正の少なくとも一部(例えば係数補正)を実行してもよい。この場合には、水素検知素子24を含む水素センサ2を、係数補正のために特別に変更(設定)することなく校正処理を実施できるため、低コストでの校正を実現できる。
【0089】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態と共通する部分については、第1実施形態において示した構成及び説明を援用するものとする。以下、第1実施形態と相違する部分について主に説明する。
【0090】
図15は、本発明の第2実施形態に係る水素センサシステムが適用された車両の概略構成図である。図15に示すように、第2実施形態に係る水素センサシステム1aでは、水素センサシステム1aの校正処理時に、水素センサ2に対して供給ライン41を介して基準ガス供給装置42が接続される。このように第2実施形態は、基準ガスを使用した校正処理を行う点で第1実施形態と相違している。
【0091】
次に、図16〜図21を参照して、第2実施形態に係る水素センサシステム1aの校正処理について説明する。図16は、第2実施形態に係る水素センサシステムの校正処理の手順を示すフローチャートである。図17は、第2実施形態に係るゼロ点補正を説明するための図である。図18は、第2実施形態に係る係数補正の処理の手順を示すフローチャートである。図19は、第2実施形態に係る係数の算出方法を説明するための図である。図20は、第2実施形態に係る係数補正を説明するための図である。
【0092】
なお、水素センサシステム1aの校正処理(ゼロ点補正及び係数補正)は、制御手段(校正手段)21により実行される。具体的には、記憶手段23に保存されている所定のプログラムをCPU22が実行することによって校正処理が実行される。
【0093】
図16に示すように、水素センサシステム1aの校正処理では先ず、大気環境下で水素センサシステム1aが起動する(ステップS2)。水素センサシステム1が起動した後、制御手段21は、ゼロ点補正を実行(ステップS4)する。
【0094】
ゼロ点補正(ステップS4)の処理の手順は、第1実施形態と同様であり、図7に示した通りである。但し、第2実施形態では、図17に示すように、劣化によって生出力の減少方向に生じるゼロ点のズレa0の発生により、水素検知素子24の生出力AがA1に変化する場合に加えて、生出力の増大方向に生じるゼロ点のズレa0の発生により、水素検知素子24の生出力AがA1に変化する場合をも想定している。これは、例えば水素に対して活性な物質が水素検知素子24に付着するなどして、水素検知素子24の出力が増大することもあるからである。
【0095】
生出力の減少方向に生じるゼロ点のズレa0を補正する方法は、第1実施形態に示した通りである。一方、生出力の増大方向に生じるゼロ点のズレa0を補正するためには、ズレを含む生出力A1が示すグラフを、生出力A2が示すグラフの如く原点(出力=0、水素濃度=0)を通るように、ズレa0の絶対値量だけ生出力の減少方向に平行移動させる。
【0096】
図17中のゼロ点ズレ補正値αは、水素検知素子24の生出力に加算又は減算される補正量がズレa0又はa0の絶対値量であることを示すデータである。ステップS14(図7参照)では、このゼロ点ズレ補正値αが、対応データD(図4参照)に含められる。
【0097】
ゼロ点補正(ステップS4)が終了すると、制御手段21は、既知濃度cb(図19参照;例えば1%)の水素である基準ガスの水素センサ2への供給を促すための供給指示をECU3に送信する(ステップS5)。ここで、供給指示を受信したECU3は、基準ガスの水素センサ2への供給を促す表示を表示装置4にて行う。そして、点検作業者が、水素センサ2に対して供給ライン41を介して基準ガス供給装置42を接続し、基準ガスを水素センサ2の水素検知素子24に印加する。
【0098】
基準ガスが水素センサ2に供給されると、制御手段21は、係数補正を実行する(ステップS6a)。この第2実施形態に係る係数補正については後記する。
【0099】
係数補正(ステップS6a)が終了すると、制御手段21は、基準ガスの水素センサ2への供給停止を促すための停止指示をECU3に送信する(ステップS7)。ここで、停止指示を受信したECU3は、基準ガスの水素センサ2への供給停止を促す表示を表示装置4にて行う。そして、点検作業者が、基準ガスの水素センサ2への印加を停止し、水素センサ2から供給ライン41を取り外して、基準ガス供給装置42との接続を解除する。これにより、校正処理が完了する。
【0100】
第2実施形態では、係数補正は、既知濃度cb(図19参照)の水素を水素検知素子24に印加したときの水素検知素子24の出力から対応データDを用いた変換処理により得られる水素濃度が前記既知濃度cbに一致するように、出力に対する水素濃度の比率を調整するための係数を補正する処理である。ここでは、前記比率を調整するための係数は、増幅出力を得るために水素検知素子24の生出力に対して乗じられる係数β1である。
【0101】
図18に示すように、係数補正では先ず、制御手段21は、基準ガス供給下での水素検知素子24の生出力を確認する(ステップS21)。
【0102】
続いて、制御手段21は、既知濃度cbの基準ガスを水素検知素子24に印加したときの水素検知素子24の出力から対応データDを用いた変換処理により得られる水素濃度が既知濃度cbに一致するように、増幅出力を得るために水素検知素子24のゼロ点補正後の生出力A2,A2(図19参照)に対して乗じられる係数β3(図20参照)を算出する(ステップS22a)。なお、係数β3の算出方法については後記する。
【0103】
続いて、制御手段21は、算出された係数β3を対応データD(図4参照)に反映する(ステップS24a)。ここでは、初期状態での係数β1(図4参照)が、ステップS24aで算出された係数β3に置き換えられる。
【0104】
次に、係数β3の算出方法について説明する。
図19に示すように、既知濃度cbの基準ガスを水素検知素子24に印加して、例えば生出力の減少方向に生じるゼロ点のズレを補正後の生出力A2の具体的な値「a3」が得られた場合、係数β3は以下のように算出される。すなわち、初期状態における増幅出力Bとして示される相関関係データLに基づいて、既知濃度cbから増幅出力Bの具体的な値である「ab」を取得し、係数β3は、β3=ab/a3、の式により算出される。一方、生出力の増大方向に生じるゼロ点のズレを補正後の生出力A2の具体的な値「a3」が得られた場合、係数β3は、β3=ab/a3、の式により算出される。
【0105】
そして、図20に示すように、ゼロ点補正後の生出力A2,A2に対して、ステップS22aで算出された係数β3を乗じることによって、係数補正後の増幅出力B2が得られる。ここで、係数補正後の増幅出力B2は、初期状態における増幅出力B(図19参照)に一致することになる。
【0106】
次に、第2実施形態に係る水素センサシステム1aの校正処理の実施時期について説明する。ここでは、ECU3からの実施指令に基づいて校正処理が実施される。すなわち、ECU3は、燃料電池5の発電時間が規定発電時間を経過したと判断された時点で、水素センサ2に対して車載状態での校正処理の実施指令を送信する。そして、ECU3からの実施指令を受信した水素センサ2が、基準ガスの供給指示(ステップS5)を含む校正処理を実施する(図16参照)。
【0107】
但し、外部機器からの実施指令に基づいて校正処理が実施されてもよい。この場合、例えば図21に示すように、任意の時間の経過時点で、定期点検等の作業時に、点検作業者は、水素センサ2から車両V側との接続用のコネクタを取り外し、車両Vの外部に存在する外部機器32をコネクタ33を介して水素センサ2に接続する。続いて、外部機器32から水素センサ2に対して車載状態での校正処理の実施指令が送信される。そして、外部機器32からの実施指令を受信した水素センサ2が校正処理を実施する(図16参照)。
【0108】
外部機器32を使用する場合、図16のステップS5,S7における基準ガスの供給指示や供給停止指示は外部機器32に送信され、供給指示や供給停止指示を受信した外部機器32は、基準ガスの水素センサ2への供給を促す表示を、外部機器32に備えられた図示しない表示装置にて行う。なお、ここでは、水素センサ2の制御手段21がゼロ点補正及び係数補正を行うように構成されているが、外部機器32がゼロ点補正及び係数補正の少なくとも一部(例えば係数補正)を実行してもよい。
【0109】
コネクタ33としては、例えばCAN(Controller Area Network)コネクタが使用される。この場合、校正処理時の送受信に使用される接続ピンとしては、車両V側との接続用のコネクタと同型のCANコネクタにおける通常の接続ピンが当てられる。
【0110】
但し、校正専用の接続ピンを設置したコネクタ33aが使用されてもよい。図22は、校正専用の接続ピンを備えたコネクタのピン構造を示す概略図であり、(a)は接合面を示す図、(b)は(a)のX−X線に沿う断面図である。
【0111】
図22に示すように、コネクタ33aは、車両V側との接続用のコネクタと同型のCANコネクタ内に、通常の接続ピン34に付加するように、校正専用の接続ピン35を設け、校正専用の接続ピン35を通じて校正処理に必要な信号を水素センサ2に対して送受信できる構成とされている。この場合、図22に示すように、校正専用の接続ピンをコネクタ33a内の奥部に配置することで通常の接続ピン数を増加させない構造とし、コネクタの大型化を抑制している。
【0112】
なお、外部機器32を水素センサ2に接続するためのコネクタは、車両V側との接続用のコネクタの接続箇所とは別に、校正専用のコネクタとして着脱しやすい箇所に接続する構成としてもよい。さらには、水素センサ2内に無線受信手段(図示せず)を設けて、外部機器32が水素センサ2と無線通信可能に構成されてもよく、このようにすれば校正処理時にコネクタを車両V側との接続から外部機器32側との接続へと接続し直さなくても済む。
【0113】
前記したように、第2実施形態においては、制御手段21は、水素検知素子24の雰囲気が大気状態とみなし得る状態で計測された出力に基づいて、水素濃度がゼロの場合の特性を示すゼロ点のズレを補正するゼロ点補正を行い、既知濃度cb(図19参照)の水素を水素検知素子24に印加したときの水素検知素子24の出力から対応データDを用いた変換処理により得られる水素濃度が前記既知濃度cbに一致するように、出力に対する水素濃度の比率を調整する。
【0114】
したがって第2実施形態によれば、水素検知素子24は、例えば長時間の使用によりゼロ点のズレが生じることに加えて感度が変化する傾向にあるが、ゼロ点補正を行うとともに、既知濃度の水素を用いることにより、出力に対する水素濃度の比率を調整するようにしたため、たとえ水素検知素子24の劣化が起きた場合でも、水素濃度の検出精度を維持することができる。
【0115】
すなわち、水素センサシステム1aの校正を精度良く行うことが可能となる。これにより、水素検知素子24を含む水素センサ2の交換頻度及び点検頻度を少なくすることができ、車両維持費を低減できる。
【0116】
しかも、例えば水素に対して活性な物質が水素検知素子24に付着するなどして、水素検知素子24の出力が増大する方向に変化した場合であっても、的確に係数補正を実行することができる。これにより、水素濃度の検出精度をより確実に維持することができる。
【0117】
以上、本発明について、第1及び第2実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、各実施形態に記載した構成を適宜組み合わせ乃至選択することを含め、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【0118】
例えば、第1実施形態において、水素濃度の検出精度の低下を示す所定の条件が成立した場合、制御手段21は、水素検知素子24を含む水素センサ2の交換を促す表示を車両Vの車室内の視認可能位置にて行うように構成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、前記所定の条件が成立した場合、既知濃度の水素を水素検知素子24に印加したときの水素検知素子24の出力から対応データDを用いた変換処理により得られる水素濃度を前記既知濃度に一致させるための校正の実施を促す表示を車両Vの車室内の視認可能位置にて行うように構成されてもよい。このようにすれば、所定の条件下で、既知濃度の水素を用いた校正により検出精度のリセットを促すことができる。これにより、水素濃度の検出精度をより確実に維持することができる。
【0119】
また、前記実施形態では、水素センサシステム1,1aの校正処理において、ゼロ点補正の後に係数補正が行われているが、本発明はこれに限定されるものではなく、係数補正の後にゼロ点補正が行われてもよい。
【0120】
また、前記した係数β2(β3)の算出方法において、係数β2(β3)は初期状態における係数β1と置き換えられるように設定されて係数補正が行われているが、これに限定されることなく、係数β1に対する比率として係数β2(β3)が算出されて係数補正が行われてもよい。この場合、係数β1自体にβ2(β3)を乗じることによって係数補正後に使用される係数を求めてもよく、あるいは生出力にβ1を乗じた増幅出力にβ2(β3)を乗じることによって校正後の増幅出力を求めてもよい。
【0121】
また、前記実施形態では、相関関係データLは、水素検知素子24の生出力Aに対して係数β1(補正後ではβ2又はβ3)を乗じた増幅出力と水素濃度とを関係付けるデータであるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、相関関係データLは、水素検知素子24の生出力Aと水素濃度とを直接関係付けるデータであってもよい(前記実施形態における係数β1=1の場合に相当)。
【0122】
また、前記実施形態では、出力に対する水素濃度の比率を調整する際に係数β1を補正するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、出力と水素濃度とを関係付ける参照テーブル(マップデータ)自体を修正して持ち替えるようにしてもよい。
【0123】
また、前記実施形態では、水素センサ2として接触燃焼式のセンサが使用されているが、半導体方式等の他の方式のセンサが使用されてもよい。
【0124】
また、前記実施形態では、車両Vに動力源としての燃料電池システム10が搭載されているが、これに加えて二次電池やガソリンエンジン等の他の動力源が搭載されていてもよい。また、本発明は、水素エンジンを搭載した車両にも適用可能である。
【0125】
また、前記実施形態では、水素センサ2は、燃料電池システム10における酸素極側の出口側配管9に設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、燃料電池5の周囲や車室内等の車両V内の他の場所に設けられてもよい。
【0126】
また、前記実施形態では、水素センサシステム1,1aを車両に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば燃料電池を用いた発電装置等の他の装置にも適用可能である。
【0127】
また、図6や図16に示す校正処理は、前記実施形態ではプログラムを用いたソフトウェア的な処理として説明したが、ASIC(Application Specific Integrated Circuit;特定用途向けIC)等を用いたハードウェア的な処理であってもよい。
【符号の説明】
【0128】
1,1a 水素センサシステム
2 水素センサ
3 ECU
4 表示装置
5 燃料電池
9 酸素極側の出口側配管
10 燃料電池システム
21 制御手段(変換手段、校正手段)
23 記憶手段
24 水素検知素子
31,32 外部機器
42 基準ガス供給装置
a0,a0 ズレ
cb 既知濃度
D 対応データ
T1 初期段階
T2 初期段階の後の期間
V 車両
β1,β2,β3 係数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素濃度を測定するための水素センサシステムであって、
雰囲気中の水素濃度に応じた出力を示す水素検知素子と、
前記水素検知素子の出力を水素濃度に変換する変換手段と、
前記水素検知素子の雰囲気が大気状態とみなし得る所定のタイミングで計測された前記出力に基づいて、水素濃度がゼロの場合の特性を示すゼロ点のズレを補正するゼロ点補正を行い、前記水素検知素子の劣化度合いに関係するパラメータに基づいて、前記出力に対する前記水素濃度の比率を調整する校正手段と、
を有することを特徴とする水素センサシステム。
【請求項2】
前記水素検知素子の出力を水素濃度に対応付けるための対応データを記憶する記憶手段を有し、
前記変換手段は、前記対応データに基づいて前記水素検知素子の出力を水素濃度に変換し、
前記校正手段は、前記ゼロ点補正と、前記出力に対する前記水素濃度の比率を調整するための係数を補正する係数補正とを、前記対応データに対して実行することを特徴とする請求項1に記載の水素センサシステム。
【請求項3】
前記パラメータは時間に関係するパラメータであり、
前記係数補正において、前記係数は時間の経過とともに2次関数的に増大するように補正されることを特徴とする請求項2に記載の水素センサシステム。
【請求項4】
前記パラメータは時間に関係するパラメータであり、
前記係数補正において、前記係数は時間の経過とともに、初期段階において1次関数的に増大するように補正され、前記初期段階の後において2次関数的に増大するように補正されることを特徴とする請求項2に記載の水素センサシステム。
【請求項5】
車両に搭載されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の水素センサシステム。
【請求項6】
前記水素検知素子は、前記車両に搭載された燃料電池システムにおける酸素極側の出口側配管に設けられることを特徴とする請求項5に記載の水素センサシステム。
【請求項7】
前記水素濃度の検出精度の低下を示す所定の条件が成立した場合、既知濃度の水素を前記水素検知素子に印加したときの前記水素検知素子の出力から前記変換手段により得られる水素濃度を前記既知濃度に一致させるための校正の実施を促す表示を前記車両の車室内の視認可能位置にて行うことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の水素センサシステム。
【請求項8】
前記水素濃度の検出精度の低下を示す所定の条件が成立した場合、前記水素検知素子の交換を促す表示を前記車両の車室内の視認可能位置にて行うことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の水素センサシステム。
【請求項9】
前記係数補正は、前記車両の動作を制御する制御手段により実行されることを特徴とする請求項5乃至請求項8のいずれか一項に記載の水素センサシステム。
【請求項10】
前記係数補正は、前記水素検知素子に付設される制御手段により実行されることを特徴とする請求項5乃至請求項8のいずれか一項に記載の水素センサシステム。
【請求項11】
水素濃度を測定するための水素センサシステムであって、
雰囲気中の水素濃度に応じた出力を示す水素検知素子と、
前記水素検知素子の出力を水素濃度に変換する変換手段と、
前記水素検知素子の雰囲気が大気状態とみなし得る状態で計測された前記出力に基づいて、水素濃度がゼロの場合の特性を示すゼロ点のズレを補正するゼロ点補正を行い、既知濃度の水素を前記水素検知素子に印加したときの前記水素検知素子の出力から前記変換手段により得られる水素濃度が前記既知濃度に一致するように、前記出力に対する前記水素濃度の比率を調整する校正手段と、
を有することを特徴とする水素センサシステム。
【請求項12】
前記水素検知素子の出力を水素濃度に対応付けるための対応データを記憶する記憶手段を有し、
前記変換手段は、前記対応データに基づいて前記水素検知素子の出力を水素濃度に変換し、
前記校正手段は、前記ゼロ点補正と、前記出力に対する前記水素濃度の比率を調整するための係数を補正する係数補正とを、前記対応データに対して実行することを特徴とする請求項11に記載の水素センサシステム。
【請求項13】
車両に搭載されることを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の水素センサシステム。
【請求項14】
雰囲気中の水素濃度に応じた出力を示す水素検知素子を備え、前記水素検知素子の出力を水素濃度に変換して水素濃度を測定する水素センサシステムの校正方法であって、
前記水素検知素子の雰囲気が大気状態とみなし得る所定のタイミングで計測された前記出力に基づいて、水素濃度がゼロの場合の特性を示すゼロ点のズレを補正するゼロ点補正を行い、前記水素検知素子の劣化度合いに関係するパラメータに基づいて、前記出力に対する前記水素濃度の比率を調整することを特徴とする水素センサシステムの校正方法。
【請求項15】
雰囲気中の水素濃度に応じた出力を示す水素検知素子を備え、前記水素検知素子の出力を水素濃度に変換して水素濃度を測定する水素センサシステムの校正方法であって、
前記水素検知素子の雰囲気が大気状態とみなし得る状態で計測された前記出力に基づいて、水素濃度がゼロの場合の特性を示すゼロ点のズレを補正するゼロ点補正を行い、既知濃度の水素を前記水素検知素子に印加したときの前記水素検知素子の出力を変換して得られる水素濃度が前記既知濃度に一致するように、前記出力に対する前記水素濃度の比率を調整することを特徴とする水素センサシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−177634(P2012−177634A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41146(P2011−41146)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】