説明

水素化分解のためのタングステンをベースとする空隙ケギンタイプのヘテロポリアニオン

本発明は、式Nix+y/2AW11−y39−5/2y,zHO(式中、Niは、ニッケルであり、Aは、リン、ケイ素およびホウ素から選ばれ、Wは、タングステンであり、Oは、酸素であり、y=0または2であり、Aがリンであるならばx=3.5であり、Aがケイ素であるならばx=4であり、Aがホウ素であるならばx=4.5であり、残りの場合にはx=m/2+2であり、zは、0〜36の間の整数である)の、タングステンを構造中に含む空隙ケギンタイプのヘテロポリアニオンのニッケル塩からなるヘテロポリ化合物であって、前記ヘテロポリ化合物は、その構造中にタングステン原子の代わりとしてニッケル原子を有しておらず、前記ニッケル原子は、前記化合物の構造中のカウンターイオンの位置に置かれている、ヘテロポリ化合物を記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タングステンを構造中に含む空隙ケギン(lacunary Keggin)タイプのヘテロポリアニオンのニッケル塩によって構成されるヘテロポリ化合物であって、式:
Nix+y/2AW11−y39−5/2y,zH
(式中、Niはニッケルであり;
Aは、リン、ケイ素およびホウ素から選択され;
Wはタングステンであり;
Oは酸素であり;
y=0または2であり;
Aがリンであるならばx=3.5であり;
Aがケイ素であるならばx=4であり;
Aがホウ素であるならばx=4.5であり;
他の場合にはx=m/2+2であり;
zは、0〜36の範囲の数であり、mは、Aがリンであるならば3に等しく、mは、Aがケイ素であるならば4に等しく、mは、Aがホウ素であるならば5に等しい)
を有し、前記ヘテロポリ化合物は、その構造中にタングステン原子の代わりにニッケル原子を有しておらず、ニッケル原子は、前記化合物の構造中のカウンターイオンの位置に置かれる、ものを記載する。
【0002】
本発明はまた、タングステンを構造中に含む空隙ケギンタイプのヘテロポリアニオンのニッケル塩によって構成される前記ヘテロポリ化合物を調製する方法を記載する。
【0003】
本発明はまた、前記ヘテロポリ化合物を含む触媒、および前記触媒を採用する水素化分解、水素化転化および/または水素化処理方法に関する。
【0004】
特に、本発明は、炭化水素供給原料であって、例えば、芳香族化合物および/またはオレフィン化合物および/またはナフテン化合物および/またはパラフィン化合物を含有するもの、例えば、フィッシャー−トロプシュ方法に由来し、場合によっては、金属および/または窒素および/または酸素および/または硫黄を含有する供給原料を含むものの水素化分解に関する。
【0005】
水素化分解方法の目的は、本質的に、中間留分、すなわち、少なくとも150℃の初留点および残渣の初留点の直前までの終留点、例えば340℃以下、さらには370℃以下を有する留分の製造にある。
【0006】
本発明はまた、炭化水素供給原料、例えば、石油留分、石炭に由来する留分または天然ガスから製造された炭化水素の水素化処理に関する。このような炭化水素供給原料は、窒素および/または硫黄および/または芳香族化合物および/またはオレフィン化合物および/またはナフテン化合物および/またはパラフィン化合物を含み、前記供給原料は、場合によっては、金属および/または酸素および/または硫黄を含有する。用語「水素化処理」は、水素化、水素化脱硫、水素化脱窒、水素化脱酸素、水素化脱芳香族および水素化脱金属反応を意味する。
【背景技術】
【0007】
重質石油供給原料の水素化分解は、品質向上が困難である過剰の重質供給原料からガソリン、ジェット燃料および軽質軽油等のより軽質なフラクションが製造されることを可能にする非常に重要な精製方法であり、より軽質なフラクションは、精製業者によって、製造が需要に適合させられることを可能にすることが必要とされる。いくつかの水素化分解方法はまた、オイルのための優れたベースを構成することができる高度に精製された残渣を製造することができる。接触分解を上回る接触水素化分解の利点は、それが非常に良好な品質の中間留分、ジェット燃料および軽油を提供することができることにある。対照的に、製造されたガソリンは、接触分解に由来するオクタン価よりはるかに低いオクタン価を有する。
【0008】
水素化分解は、3つの主要な要素からその柔軟性を引き出す方法であり、その3つの主要な要素は、用いられる操作条件、採用される触媒のタイプおよび炭化水素供給原料の水素化分解は1または2工程で行われるという事実である。
【0009】
水素化分解方法において用いられる水素化分解触媒は全て、二機能性であり、これは、酸機能と水素化脱水素機能とを組み合わせている。酸機能は、一般的には150〜800m/gの範囲でありかつ表面上の酸性度を有する表面積を有する担体、例えば、ハロゲン化アルミナ(特に、フッ素化または塩素化アルミナ)、ホウ素およびアルミニウムの酸化物の組合せ、無定形メソ細孔アルミノケイ酸塩およびゼオライトによって供給される。水素化脱水素機能は、周期律表の第VIB族からの1種以上の金属によって、または周期律表の第VIB族からの少なくとも1種の金属と第VIII族金属からの少なくとも1種の金属との組合せいずれかによって供給される。
【0010】
酸機能および水素化脱水素機能の2つの機能の間の平衡は、触媒の活性および選択性を支配するパラメータの1つである。弱い酸機能と強い水素化脱水素機能は、低活性の触媒を生じさせ、この触媒は、一般的に、高い温度(390〜400℃またはそれ以上)および低い供給空間速度(HSV、毎時の触媒の単位体積当たりの処理されるべき供給原料の体積として表され、一般的には2以下である)で操作するが、中間留分に対して非常に良好な選択性を有する。対照的に、強い酸機能と弱い水素化脱水素機能は、非常に活性な触媒を生じさせるが、中間留分に対する選択性は非常に乏しい。
【0011】
1つの従来の水素化分解触媒のタイプは、中程度に酸性の無定形担体、例えば、アルミノケイ酸塩をベースとする。これらの系は、良好な品質の中間留分および場合によってはベースオイルを製造するために用いられる。これらの触媒は、例えば、二工程方法において用いられる。
【0012】
当業者が抱える問題は、水素化分解方法において、特に、中間留分の活性および選択性に関して高い触媒性能を得ながら、満足な工業的用途を保証することである。それ故に、触媒およびそれらを担持するそれらの細孔性マトリクスのテクスチャ(textural)特徴を向上させることによって良好な性能が得られ得るが、前記触媒の性能はまた、水素化相の性質と関連している。水素化活性は、それ故に、水素化脱窒(hydrodenitrogenation:HDN)、水素化脱芳香族(hydrodearomatization:HAD)、水素化脱硫(hydrodesulphurization:HDS)反応においておよび触媒の安定性に関して非常に重要な役割を果たすことになる。
【0013】
NiWの対形成は、芳香族化合物の水素化並びに水素化脱窒(水素化分解の鍵となる機能)について、第VIB族および第VIII族からの金属の最適な対形成として認識される。「従来の」方法において通常の前駆体(メタタングステン酸アンモニウムおよび硝酸ニッケル)を用いて担体上に沈着させられた多量のNiWに拘わらず、および、調製工程に関するパラメータスタディに拘わらず、1)分散を制御すること、および2)シートの形態を制御することおよびそのような担体上のそれらの促進度を最適にすることに成功していない:これらは、活性相の水素化力を実質的に強化することおよびそれ故に水素化分解方法における中間留分の収率を増加させることにおいて鍵となる本質的要素である。最近の数年にわたる科学的挑戦の一つは、水素化分解のために種々の触媒担体上に沈着させられた水素化相を最適にすることからなっている。
【0014】
これらの問題を克服することを望む際に、本出願人は、予期せぬ方法で、タングステンを中程度に酸性の無定形担体、例えばアルミノケイ酸塩タイプの担体上に沈着させられて含む空隙ケギンタイプのヘテロポリアニオンのニッケル塩からNiWタイプの酸化物を調製すれば、水素化力に関して利点があることを実証した:それにより調製された触媒は、水素化分解方法において触媒性能を向上させた。本出願人は、それ故に、驚くべき方法で、上記のような式NiX+y/2AW11−y39−5/2y,zHOを有するヘテロポリ化合物の使用、より特定的には、式NiSiW1139および式NiSiW34を有するヘテロポリ化合物の使用は、水素化/水素化転化および水素化処理において予想外の触媒性能を生じさせることを発見した。より正確には、本発明は、Wを含む空隙ケギンタイプのヘテロポリアニオンの前記Ni塩の調製方法および触媒の調製の間のそれらの使用に関する。これらのヘテロポリアニオンは、種々の物理化学的技術によって決定される。
【0015】
タングステン化学の豊富さは、多少の置換度および沈着させられるべき元素の化合物を有するヘテロポリタングステン種が調製され得ることを意味する。それ故に、それは、タングステン八面体の縮合度が制御され、かつ、ニッケルが最初に構造に結合される化学ユニットを含む。シリカ−アルミナ担体の含浸のための溶液の調製において用いられるこれらの新規な材料は、上記に言及された3つのロックに対するキーを構成する。これらのヘテロポリアニオンのニッケル塩の使用は、アンモニウムイオンの存在(高い金属含有量を有する種の良好な分散に対する制限の原因にあると認識される)が回避され得ることを意味する。担体上に沈着させられた前記塩の使用並びに調製工程の間に行われる後処理は、酸化物状態にある金属および硫化物状態にある金属およびそれ故にジスルフィドシートの形態の金属の分散のより良好な制御が得られ得ることを意味する。さらに、ヘテロポリタングステンの使用は、金属−プロモータの相互作用を、それらを同じ分子実体(entity)内に置くことによって促し得、これは、硫化触媒の促進の度合いが制御され得ることを意味し、それ故に、活性部位の数は増加させられ得る。
【0016】
ニッケルおよびタングステンを含む重縮合ユニットが知られている:本発明者らは、[PNiW11(HO)O39n−(非特許文献1)を均一相酸化触媒作用におけるその適用について、または、[SiNiW1139m−(非特許文献2)を引用し得る。
【0017】
ヘテロポリアニオンの重要性は既に従来技術において言及されている。例えば、特許文献1は、第VIII族からの金属のヘテロポリ酸塩、例えば、リンモリブデン酸またはケイ素モリブデン酸のコバルト塩またはニッケル塩の有益な使用に言及する。当該特許では、ヘテロポリ酸は常に、リンまたはケイ素を含み、後者の元素は、構造の中心の原子である。前記化合物は、制限された(第VIII族元素/第VI族元素)の原子比をもたらすという不利な点を有する。例えば、リンモリブデン酸のコバルト塩についての式のCo/Mo比は0.125である。
【0018】
特許文献2には、式MAB1240(式中、Mはコバルトまたはニッケルであり、Aはリン、ケイ素またはホウ素であり、Bはモリブデンまたはタングステンであり、xは、Aがリンであるならば2以上の値をとり、Aがケイ素であるならば2.5以上の値をとり、Aがホウ素であるならば3以上の値をとる)を有するヘテロポリアニオンの重要性が記載されている。前記構造は、より高い(第VIII族元素/第VI族元素)の原子比を達成し、それ故に、より良好な性能を示す触媒を生じさせるという、特許文献1に開示された構造を上回る利点を有する。比におけるこの増大は、例えば、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイモリブデン酸またはケイタングステン酸の組成中で得られるようなその正常な値6よりも低い原子価を有するモリブデンまたはタングステンの少なくとも一部の存在によって得られる。
【0019】
特許文献3には、式MAB1140M’C(Z−2x)(式中、Mはコバルトまたはニッケルであり、Aはリン、ケイ素またはホウ素であり、Bはモリブデンまたはタングステンであり、M’はコバルト、鉄、ニッケル、銅または亜鉛であり、CはHイオンまたはアルキルアンモニウムカチオンであり、xは0〜4.5の値をとり、zは7〜9の値をとる)を有するヘテロポリアニオンの合成および使用が記載されている。従って、この式は、特許文献2に特許請求される式に相当するが、ここでは1つの原子M’は、1つの原子Bで置換されている。この後者の式は、0.5に達し得る第VIII族元素と第VI族元素との間の原子比を生じさせるという利点を有する。しかし、当該場合に(第VIII族元素/第VI族元素)の比が高いけれども、特許文献3に記載された調製方法は、2回、さらには3回の交換、それ故に2回、さらには3回のろ過を必要とし、収率は、各ろ過工程について80%を超えることはない。最終的に、M原子の一部が置換されており、かつカウンターイオンとしてではないという事実によって、同数のBおよびM+M’原子を含有するが、原子の全部がカウンターイオンであり、かつ、八面体環境において6個の水分子によって取り囲まれるだろう本発明のヘテロポリ化合物と比較して特許文献3における発明の化合物の溶解は制限される。特許文献3に記載される化合物は全て、それ故に、Bの原子およびMの原子の含有量が同じである本発明のヘテロポリ化合物より溶解度が低い。同じ担体について化合物の溶解度が低いならば、特許文献3の化合物を含浸させる単一回の工程で、本発明の化合物と同量の前駆体を沈着させることは可能ではない。水素化活性は、直接、沈着した活性相の量と関連する。
【0020】
本発明の一つの利点は、前記の新規なヘテロポリ化合物の合成およびそれらの製造態様の独創性にあり、これは、これらの化合物は、高いNi/W比により、80%超の収率で得られ得ることを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許第2547380号明細書
【特許文献2】仏国特許出願公開第2749778号明細書
【特許文献3】仏国特許出願公開第2764211号明細書
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】サントス・アイ・シー・エム・エス(Santos I C M S)ら著、「アソシエーション・オブ・ケギン−タイプ・アニオンズ・ウィズ・カチオニック・メソ・サブスティテューテッド・ポルフィリンズ:シンテシス・キャラクタリゼーション・アンド・オキシダティブ・キャタリスティック・スタディーズ(Association of Keggin-type anions with cationic meso-substituted porphyrins: synthesis,characterization and oxidative catalytic studies)」、ジャーナル・オブ・モレュラー・キャタリシス(Journal of Molecular Catalysis)、2005年、第231巻、p.35−45
【非特許文献2】ニウ・ジェイ・ワイ(Niu J Y)、ワン・ゼット・エル(Wang Z L)、ワン・ジェイ・ピー(Wang J P)、「ツー・ワン・ディメンジョナル・モノサブスティテューテッド・ヘテロポリタングステーツ・ベースド・オン・ケギン・アニオン・ユニッツ(Two one-dimensional monosubstituted heteropolytungstates based on Keggin anion units)」、ジャーナル・オブ・ソリッド・ステート・ケミストリー(Journal of Solid State Chemistry)、2004年、第177巻、第10号、p.3411
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0023】
(発明の説明)
本発明は、式:
Nix+y/2AW11−y39−5/2y,zHO(I)
(式中、Niはニッケルであり;
Aは、リン、ケイ素およびホウ素から選択され;
Wは、タングステンであり;
Oは、酸素であり;
y=0または2であり;
Aがリンであるならばx=3.5であり;
Aがケイ素であるならばx=4であり;
Aがホウ素であるならばx=4.5であり;および
その他の場合x=m/2+2であり;
zは、0〜36の範囲の数であり、Aがリンであるならば、mは3に等しく、Aがケイ素であるならば、mは4に等しく、Aがホウ素であるならば、mは5に等しい)
を有する、タングステンを構造中に含む空隙ケギンタイプのヘテロポリアニオンのニッケル塩によって構成されるヘテロポリ化合物であって、前記ヘテロポリ化合物は、タングステン原子の代わりにその構造中にニッケル原子を有しておらず、前記ニッケル原子は、前記化合物のその構造中のカウンターイオンの位置に置かれる、ヘテロポリ化合物を記載する。
【0024】
本発明によると、前記ヘテロポリ化合物は、タングステン原子の代わりにニッケル原子を有しない。ニッケル原子は、構造中のカウンター−イオンの位置に体系的に置かれる;有利には、これは、調製の態様に起因する。
【0025】
好ましい実施形態によると、タングステンを構造中に含む空隙ケギンタイプのヘテロポリアニオンのニッケル塩によって構成されるヘテロポリ化合物は、以下の式:
NiAW1139,zH
(式中、Niはニッケルであり;
Aは、リン、ケイ素およびホウ素から選択され;
Wはタングステンであり;
Oは酸素であり;
xは、Aがリンであるならば3.5に等しく、Aがケイ素であるならば4に等しく、またはAがホウ素であるならば4.5に等しい数であり;
かつzは、0〜36の範囲の数である)
を有し、前記ヘテロポリ化合物は、タングステンの代わりにニッケル原子をその構造中に有しておらず、前記ニッケル原子は、前記化合物の構造中のカウンターイオンの位置に置かれる。
【0026】
極めて好ましくは、前記ヘテロポリ化合物は、式NiSiW1139を有する化合物である。
【0027】
別の好ましい実施形態によると、タングステンを構造中に含む空隙ケギンタイプのヘテロポリアニオンのニッケル塩によって構成されるヘテロポリ化合物は、以下の式:
Nix+1AW34,zH
式中、Niは、ニッケルであり;
Aは、リン、ケイ素およびホウ素から選択される群であり;
Wは、タングステンであり;
Oは、酸素であり;
xは、Aがリンであるならば3.5に等しく、Aがケイ素であるならば4に等しく、またはAがホウ素であるならば4.5に等しい数であり;zは、0〜36の範囲の数である)
を有し、前記ヘテロポリ化合物は、タングステン原子の代わりにニッケルをその構造中に有しておらず、前記ニッケル原子は、前記化合物の構造中のカウンターイオンの位置に置かれている。
【0028】
極めて好ましくは、前記ヘテロポリ化合物は、式:NiSiW34を有する化合物である。
【0029】
本発明の前記ヘテロポリ化合物は、有利には、水性媒体に可溶である。それらは、有利には、単離されかつ分析される。
【0030】
式(I)を有するヘテロポリアニオンは、有利には、固体の形態または溶液中で分析され得る。式(I)を有するヘテロポリ化合物の31P NMR(P核磁気共鳴)、29Si NMR(Si核磁気共鳴)、および11B NMR(B核磁気共鳴)による分析は、300〜600ppmの間になんらの遷移も明らかにしない。このような化学置換における遷移は、タングステン原子の代わりにニッケル(常磁性である)が構造に入ったというサインであり、これは、本発明のヘテロポリ化合物を有する場合ではない。
【0031】
酸性細孔性担体、好ましくは酸性細孔性鉱物マトリクス、より好ましくはアルミナ中に希釈されたアルミノケイ酸塩タイプのマトリクスに含浸させるための前記ヘテロポリ化合物の水溶液の使用により、有利には、水素化活性が増大した水素化分解触媒がもたらされた。
【0032】
従って、本発明はまた、前記ヘテロポリ化合物および場合による少なくとも1種の酸性細孔性マトリクスを含む触媒に関する。
【0033】
本発明の触媒の本質的な特徴の一つは、本発明によるヘテロポリ化合物の形態で前記ニッケルおよびタングステン元素が少なくとも一部において存在することである。
【0034】
好ましい一実施形態において、触媒は、バルク形態である。この場合、有利には、乾燥状態において、それは、全触媒質量に対する重量%として、0.01〜100%、好ましくは0.05〜100%、より好ましくは0.1〜100%の、少なくともニッケルと少なくともタングステンとを含みかつ上記構造(I)を有する本発明の少なくとも前記ヘテロポリ化合物を有する。
【0035】
第2の好ましい実施形態によると、前記触媒は、担持型触媒であり、担体は、シリカ−アルミナ、アルミノケイ酸塩(結晶性またはその他、メソ構造化されているかその他)、非ゼオライト結晶性モレキュラーシーブのカテゴリーによって形成される群から選択されるドーピングされた(B、F、P)アルミナから選択される少なくとも1種の酸性細孔性マトリクス(好ましくは、無定形または低結晶性)によって形成され、例えば、メソ細孔シリカ、ケイ酸塩、シリコアルミノリン酸塩、アルミノリン酸塩、フェロシリカート、シリコアルミン酸チタン、ホウケイ酸塩、クロモケイ酸塩およびアルミノリン酸の遷移金属塩(コバルトを含む)である。
【0036】
上記に挙げられる化合物の少なくとも1つに加えて、酸性細孔性鉱物マトリクスはまた、有利には、2:1の2八面体フィロケイ酸塩または3:1の3八面体フィロケイ酸塩タイプの少なくとも1種の単純な合成または天然の粘土を含み得、例えば、カオリナイト、アンチゴライト、クリソタイル、モンモリロナイト、バイデライト、バーミキュライト、タルク、ヘクトライト、サポナイトまたはラポナイトである。これらの粘土は、場合によっては、脱層状化させられ得る。有利には、シリカ−アルミナと粘土の混合物を用いることも可能である。
【0037】
上記に挙げられた化合物の少なくとも1種に加えて、マトリクスはまた、有利には、結晶アルミノケイ酸塩タイプの合成および天然ゼオライトのモレキュラーシーブのカテゴリーによって形成される群から選択される少なくとも1種の化合物、例えば、Yゼオライト、フッ素化Yゼオライト、希土類を含むYゼオライト、10Xゼオライト、Lゼオライト、小細孔モルデナイト、大細孔モルデナイト、オメガ、NU−10、ZSM−5、ZSM−48、ZSM−22、ZSM−23、ZBM−30、EU−1、EU−2、EU−11、βゼオライトタイプまたはA、NU−87、NU−88、NU−86、NU−85、IM−5、IM−12、IZM−2およびフェリエライトゼオライトタイプを含む。
【0038】
好適にかつ通常使用されるゼオライトは、骨格のケイ素/アルミニウム(Si/Al)の比が約3:1を超えるゼオライトを含む。
【0039】
有利には、フォージャサイト構造を有するゼオライトが用いられ、特に、安定化および超安定化Yゼオライト(USY)であり、金属カチオン、例えば、アルカリ土類金属のカチオンおよび/または原子番号57〜71(包含的)を有する希土類のカチオンにより少なくとも部分的に交換された形態または水素型のいずれかである(“Zeolite Molecular Sieves: Structure, Chemistry and Uses”, D W BRECK, J Wiley and Sons, 1973)。
【0040】
好ましくは、担持型触媒は、全触媒質量に対して0.01〜25重量%、好ましくは0.1〜10重量%のNiOおよび全触媒質量に対して4.99〜50重量%、好ましくは9.99〜40重量%のWOおよび25〜95重量%、好ましくは50〜90重量%の少なくとも1種の酸性細孔性鉱物マトリクスを含む。
【0041】
前記触媒は、有利には、IR、NMRおよびラマン分光法によって、ならびに蛍光X線元素分析によって分析される。
【0042】
(技術および特徴付け)
式(I)を有するヘテロポリ化合物の構造の本質的な特徴、すなわち前記ヘテロポリ化合物におけるニッケル原子のカウンター−イオンの位置および縮合の程度、すなわち、前記ヘテロポリ化合物における八面体のWまたは構造中のタングステン八面体の量は、31P、29Si、11Bによって、ならびにラマンおよび蛍光X線分光法(FX)によって測定され得る。
【0043】
核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance:NMR)は、ノンゼロスピンを有する核を含む分子の構造分析のための分光学的技術である。標的核の共鳴周波数は、その化学的環境によって直接的に影響されることになり、この理由のため、スペクトルから始めて、構造を構築すること、または、構造に関する部分的な情報を少なくとも得ることが可能である。最も広範に用いられる核は、H、13C、14Nであるが、NMR分析はまた、核31P、29Si、11B、さらには183Wに適用され得る。
【0044】
ラマン分光法は分子構造を決定すること、ならびに無定形のまたは結晶の系を研究することを可能にする非破壊的な分析技術であり、特に小構造に鋭敏であって、従ってヘテロポリアニオンの特徴付けに完全に適合する。
【0045】
水素化相を構成する元素の分布および局在化は、キャスタン・マイクロプローブ(Castaing microprobe)(種々の元素の分布プロファイル)、触媒の成分のX線分析を併用する透過型電子顕微鏡法(EDX)等の技術を用いて、または、電子顕微鏡法により触媒中に存在する元素の分布マップを確立することによって測定され得る。これらの技術は、本発明の触媒を構成するケイ素を含む階層的で組織化された多孔度を有する無定形材料の合成後に加えられたこれらの外因性の元素の存在をはっきり見えるようにすることができる。タングステン、ニッケル、ならびに元素P、BおよびSiによって構成される群の分布および局在化は、これらの技術を用いて測定され得る。
【0046】
本発明の触媒の全体的な組成は、触媒の酸攻撃(acid attack)後、粉末状の触媒の蛍光X線(X ray fluorescence:XF)によって、または原子吸光(atomic absorption:AA)によって測定され得る。
【0047】
別の局面では、本発明は、タングステンを構造中に含む空隙ケギンタイプのヘテロポリアニオンのニッケル塩によって構成される前記ヘテロポリ化合物の調製方法であって、
1) 式:Bax+y/2AW11−y39−5/2y,zHO(I’)
(式中、Baはバリウムであり、Aは、リン、ケイ素およびホウ素から選択され、Wはタングステンであり、Oは酸素であり、y=0または2であり、xは、Aがリンであるならば3.5に等しい数、Aがケイ素であるならば4に等しい数、Aがホウ素であるならば4.5に等しい数であり、残りの場合にはx=m/2+2であり、zは、0〜36の範囲の数である)
を有するタングステンを含有するケギンヘテロポリアニオンを合成する工程であって、ヘテロポリタングステン酸HAW1240(式中、Aは、リン、ケイ素およびホウ素から選択され、Hは水素であり、Wはタングステンであり、Oは酸素であり、mは、Aがリンであるならば3に等しく、mは、Aがケイ素であるならば4に等しく、mは、Aがホウ素であるならば5に等しい)に(x+y/2)当量の水酸化バリウム(Ba(OH))を加えたものを、式:
【0048】
【化1】

【0049】
に従って反応させることにより、式Bax+y/2AW11−y39−5/2y,zHO(I’)を有する化合物を形成する、工程と、
2) 陽イオン交換樹脂によるイオン交換によってBa2+カチオンをNi2+カチオンと置換することによって、工程1)に由来するタングステン含有ケギンヘテロポリアニオンから式Nix+y/2AW11−y39−5/2y,zHO(I)を有するタングステン含有ケギンヘテロポリアニオンのニッケル塩を形成する工程であって、前記カチオン交換樹脂は、Ni2+カチオンにより事前に交換されたものである、工程と
を含む、方法に関する。
【0050】
調製方法の好ましい実施形態によると、工程1)において調製されるタングステン含有ケギンヘテロポリアニオンは、式:BaAW1139,zHOを有するヘテロポリアニオンであり、タングステン含有ケギンヘテロポリアニオンのニッケル塩は、式:NiAW1139,zHOを有する化合物である。
【0051】
調製方法の好ましい実施形態によると、工程1)において調製されるタングステン含有ケギンヘテロポリアニオンは、式:Bax+1AW34,zHOを有するヘテロポリアニオンであり、タングステン含有ヘテロポリアニオンのニッケル塩は、式:Nix+1AW34,zHOを有する化合物である。
【0052】
本発明の前記ヘテロポリ化合物の調製方法の工程1)において、上記定義のヘテロポリタングステン酸HAW1240は、有利には、水と接触すると瞬時に溶解する。
【0053】
水酸化バリウム(塩基性化合物)の導入は、有利には、溶液を低酸性にし、初期のヘテロポリタングステン酸のタングステン八面体は、脱凝縮して、AW11392x−またはAW342(x+1)−化合物を形成する。ここで、それぞれ、初期ヘテロポリタングステン酸がHPW1240である場合には、Aは、リンであり、初期ヘテロポリタングステン酸がHSiW1240である場合には、Aは、ケイ素であり、初期ヘテロポリタングステン酸がHBW1240である場合には、Aは、ホウ素である。次いで、ヘテロポリアニオン構造は、有利には、Ba2+イオンを取り囲み、陰電荷を補償する。式(I’)を有する化合物は、有利には、瞬時に、または溶液の濃度に応じないで、沈殿する。次いで、溶液は、有利には、ろ過され、式(I’)を有する化合物は、有利には、単離される。
【0054】
本発明の前記ヘテロポリ化合物の調製方法の工程2)は、全てのBa2+カチオンをNi2+カチオンと置換して、化合物(I’)から式(I)を有する化合物を得る工程に関する。式(I’)を有する化合物は、有利には、所望の濃度で溶液に溶解する。
【0055】
第2工程におけるイオン交換は、溶液中の式(I’)および(II’)を有する化合物におけるカウンターイオンの位置のBa2+イオンが、有利には、イオン交換樹脂上への吸着によって前記溶液から除去され、前記樹脂によって放出される同じ電荷を有する等価量の他のイオン(この場合、Ni2+カチオン)によって置換される過程である。反対の電荷を有するイオン、この場合、式AW11392x−またはAW342(x+1)−を有するアニオン(式中、Aは、リン、ケイ素またはホウ素である)は影響されず、前記空隙ケギンタイプのアニオン構造は、一体として保存されたままである。
【0056】
交換を促進するために、イオン交換樹脂は、有利には、微細に分割されて、溶液との最大の接触面を提示するようにする:イオン交換樹脂は、それ故に、非常に微細な粒子の形態で用いられる。
【0057】
好ましくは、用いられる陽イオン交換樹脂は、酸性の陽イオン交換樹脂であり、その官能基は、有利には、スルホナート−SO;カルボキシラート−CO、アミノジアセタート−N(CHCO、ホスホナート−PO2−またはホスフィナート>POタイプのアニオン等である。
【0058】
好ましくは、高度に酸性のスルホン酸型陽イオン交換樹脂が用いられる。従って、樹脂は、有利には、この場合、ジビニルベンゼンによって架橋されたポリスチレンスルホナートの形態である。これらの樹脂は、有利には、種々のカチオンの間の親和性におけるそれらの相違(H<Na<Ni2+<Ba2+の順序である)のために選択される。一般に、観察されることは、同一タイプの樹脂に対して、複数のイオンの間の親和性の相違を増加させることを望む場合、樹脂の架橋処理を増加させることが必要であるということである。
【0059】
前記調製方法の工程2)によると、前記陽イオン交換樹脂は、Ni2+カチオンにより事前交換される。
【0060】
実際、一般的にはプロトン型(H)またはNa型で供給される市販の樹脂を、濃食塩水を用いて導入されるNi2+イオンにより交換することが必要である。一般に、陽イオンに対する親和性は、その電荷により自然に増大し、それ故に、樹脂は、以下の親和性の順序を有する:H<Ni2+およびNa<Ni2+。上記に挙げられた交換は、それ故に容易である。工程2(式(I’)および(II’)を有する化合物のBa2+イオンの交換)は、実際には、樹脂がNi2+イオンにより完全に交換されている場合にのみ行われる。
【0061】
第1の交換反応(工程2の反応のための樹脂を調製することになる)は、有利には、
【0062】
【化2】

【0063】
として記述される。ここで、Rは、例えばスルホナートサイトSOを示す。
【0064】
第2工程の間に行われる交換反応は、それ故に、有利には、
【0065】
【化3】

【0066】
として記述される。ここで、Rは、例えばスルホナートサイトSOを示す。
【0067】
次いで、イオン交換樹脂を出る溶液は、有利には、少なくとも1種の酸性細孔性鉱物マトリクスによって形成された少なくとも1種の担体に直接的に含浸させるために用いられ得るか、または、場合によっては、溶液を濃縮するための蒸発を経得る。
【0068】
次いで、本発明の担持型触媒は、乾燥状態の触媒中のニッケルの位置およびタングステン八面体の縮合度に関する必須の特徴が得られる限り、当業者に知られるあらゆる方法を用いて調製され得る。
【0069】
本発明によると、本発明の担持型触媒は、二工程で調製される。第1の工程は、上記に規定されたタングステンを構造中に含む空隙ケギンタイプのヘテロポリアニオンを有するニッケル塩によって構成される前記ヘテロポリ化合物の調製方法を用いて、式(I)を有する意図されたヘテロポリアニオンに相当する塩を調製することからなり、第2工程は、担体上に含浸させることからなる。
【0070】
従って、担持型触媒を得るための担体上へのヘテロポリアニオンの導入は、有利には、担体を成形する前、最中または後に、当業者に知られるあらゆる技術を用いる従来の方法で行われ得る。好ましくは、ヘテロポリアニオンは、乾式含浸の周知技術を用いて担体上に導入される。乾式含浸において、a)担体、例えば、市販のアルミノケイ酸塩は、有利には、所望量のヘテロポリアニオンと、場合による、別の形態で導入されたモリブデンおよび/またはタングステンと、場合による、別の形態で導入された第VIII族からの別の元素を含有する水溶液を含浸させられ、b)湿潤固体は、有利には、10〜80℃の範囲の温度で湿潤雰囲気中に置かれたままに放置され、c)工程b)において得られた固体は、有利には、減圧下に、または、50〜300℃の温度で乾燥させられ、d)工程c)において得られた固体は、300〜1000℃の範囲、より正確には300〜550℃の温度で、1〜24時間の期間にわたって、好ましくは2〜6時間の期間にわたって、酸化雰囲気(例えば空気または酸素)、中性の雰囲気(例えば窒素またはアルゴン)または還元雰囲気(例えば水素)下に焼成される。
【0071】
最終触媒中のニッケルおよびタングステンの含有量を増大させるために、複数回の含浸を行うことが可能である。この場合、第1の回に触媒に含浸させる前に、触媒は、有利には、上記に記載されたと同じ条件下に乾燥させられ、場合によっては、上記に記載されたのと同じ条件下に焼成される。次いで、それは、有利には、第2の回に、式(I)を有するヘテロポリアニオンを含有する水溶液を含浸させられる。必要に応じて複数回の含浸が繰り返され得る。
【0072】
本発明の触媒は、有利には、粉末、粉砕ふるい分け圧縮粉末(crushed screened compacted powder)、ペレット、細粒、錠剤、環、ビーズ、車輪、球または押出物の形態で製造されかつ用いられ得るが、好ましくは、ふるい分け粉砕圧縮粉末、球または押出物の形態である。しかしながら、触媒は、0.5〜5mmの範囲、より特定的には0.7〜2.5mmの範囲の径を有する押出物の形態であることが有利である。形状は、円筒形(それらは中空であってもなくてもよい)、捻れた円筒形、多葉状(例えば2、3、4または5葉)またはリング状である。円筒形の形状が好適に用いられるが、任意の他の形状が採用され得る。
【0073】
本発明はまた、水素化分解、水素化転化および/または水素化処理方法におけるこのヘテロポリ化合物を含む前記触媒の使用に関する。
【0074】
水素化分解の分野において用いられる触媒は、酸機能(担体によって提供される)および水素化脱水素機能(金属硫化物によって提供される)を組み合わせる二機能性の触媒である。酸機能は、異性化および分解反応に関与する一方で、水素化脱水素機能は、適切な水素化処理反応、すなわち、HDN、HDSおよびHAD(hydrodearomatization:水素化脱芳香族)に関与することになる。
【0075】
全ての水素化分解反応は、金属の水素化脱水素部位に作用する水素化反応または水素化脱水素反応を用いる工程により始まる。
【0076】
パラフィンを分解する際の第1の工程は、それ故に、脱水素反応を介してパラフィンからオレフィンを発生させることによって始まる。
【0077】
芳香環を分解する際の第1の工程は、芳香環の水素化によって始まる。ベンゼン環は、水素化される場合同じ環より分解し難いからである。
【0078】
真空留出液(vacuum distillate:VD)の水素化分解は、優れた品質の中間留分(軽油および灯油)を選択的にもたらす鍵となる方法である。
【0079】
酸部位の強度および数と、水素化機能の質との間のバランスの選択は、触媒の選択性を決定するものである。従って、弱い分解機能と強い水素化機能は、連続的な分解を妨げることになり、かつ中間留分へのより高い選択性を可能にすることになる。比較して、強い分解機能と弱い水素化機能は、連続的な分解軽質留分、さらにはガスの生成に有利である。
【0080】
最終的に、中間留出液留分の質は、水素化脱水素機能および芳香環を水素化しH/Cを高くするその能力に大きく依存する。灯油の発煙点(SP>25mm)は、20%を超えない限られた量の芳香族化合物によって特に設定される。軽油のセタン指数(CI≧51)も、低芳香族化合物含有量によって設定され、さもないと規格は達成されない。
【0081】
これらの理由の全てについて、水素化分解触媒の設計の間、当業者は、可及的に強い水素化脱水素機能を生じさせようとすることになる。
【0082】
(本発明による炭化水素供給原料の処理方法)
本発明の触媒は、有利には、炭化水素留分の処理のために、一般には水素の存在下に、200℃超の温度、1MPa超の圧力で用いられ、毎時空間速度は、0.1〜20h−1の範囲であり、導入される水素の量は、炭化水素の体積(リットル)/炭化水素の体積(リットル)の体積比が80〜5000L/Lの範囲であるようにされる。
【0083】
本発明の触媒は、有利には、炭化水素留分の水素化分解および/または水素化転化に用いられる。
【0084】
本発明の触媒は、炭化水素供給原料の水素化処理のために用いられてもよく、単独でまたは水素化分解/水素化変換方法の上流で用いられてもよい。
【0085】
(触媒の硫化)
供給原料の注入の前に、本発明の触媒(乾燥状態または焼成状態のいずれか)は、好ましくは、硫化処理を受けて、硫化物タイプの触媒が得られ、この硫化処理によって、金属種の硫化物への少なくとも部分的な変換が可能になり、その後それらは処理されるべき供給原料と接触させられる。この硫化活性化処理は当業者に周知であり、文献中に記載される任意の方法を用いて、その場(in situ)で、すなわち、反応器中でまたは現場外(ex situ)で行われ得る。硫黄源は、有利には、元素イオウ、炭素硫化物、硫化水素、硫黄含有炭化水素、例えば、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、チオール(mercaptan)、チオフェン化合物、チオール、ポリスルフィド、例えば、ジ−tert−ノニルポリスルフィド(tertiononylpolysulphide)またはATOFINAからのTPS-37、硫黄を豊富に含むオイルカット、例えば、ガソリン、灯油または軽油であってよく、単独でまたは上記に挙げられた硫黄含有化合物との混合物として用いられる。好ましい硫黄源は、硫化水素または硫黄含有炭化水素、例えばジメチルジスルフィドである。一つの従来の周知の方法は、硫化水素(高純度または例えば水素/硫化水素の混合物の流れ中)の存在下に、150〜800℃の範囲、好ましくは250〜600℃の範囲の温度に、一般的には横断床(treversed bed)反応帯域において触媒を加熱することからなる。
【0086】
(供給原料)
広範な種々の供給原料が、有利には、上記の本発明の方法を用いて処理され得る;一般的には、それらは、340℃超で沸騰する化合物を少なくとも20体積%、しばしば少なくとも80体積%含有する。
【0087】
供給原料は、有利には、LCO(light cycle oil(接触分解単位装置に由来する軽質軽油))、常圧留出液、真空留出液、例えば、直留蒸留または転化単位装置、例えばFCC、コーキングまたはビスブレーキングに由来する軽油、並びに、潤滑ベースオイルからの芳香族化合物の抽出のための単位装置(unit)に由来する供給原料または溶媒脱ろう潤滑ベースオイルに由来する供給原料または、AR(atmospheric residue:常圧残渣)および/またはVR(vacuum residue:真空残渣)および/または脱アスファルト油の脱硫または水素化転化のための固定床または沸騰床法に由来する留出液からの供給原料であり得、または、供給原料は、脱アスファルト油であり得、供給原料は、有利には、フィッシャー−トロプシュ法に由来するパラフィンによって構成されるか、または、植物油、または上記に挙げられた供給原料の任意の混合物によって構成され得る。上記リストは限定的ではない。一般に、供給原料の沸点T5は、340℃超、好ましくは370℃超であり、すなわち、供給原料中に存在する化合物の95%は、340℃超、より好ましくは370℃超の沸点を有している。
【0088】
本発明の方法において処理される供給原料の窒素含有量は、通常500重量ppm超、好ましくは500〜10000重量ppmの範囲、より好ましくは700〜4000重量ppmの範囲、一層より好ましくは1000〜4000重量ppmの範囲である。本発明の方法において処理される供給原料の硫黄含有量は、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.2〜4重量%、より好ましくは0.5〜3重量%の範囲である。
【0089】
有利には、供給原料は、場合によっては、金属を含んでもよい。本発明の方法において処理される供給原料の累積的なニッケルおよびナバジウムの含有量は、好ましくは1重量ppm未満である。
【0090】
アスファルテン含有量は、一般には3000ppm未満、好ましくは1000ppm未満、より好ましくは200ppm未満である。
【0091】
(保護床(Guard bed))
供給原料が樹脂および/またはアスファルテンタイプの化合物を含む場合、
最初に、水素化分解または水素化処理触媒とは異なる触媒または吸着剤の床上に供給原料を通過させることが有利である。
【0092】
本発明において用いられる触媒または保護床は、球または押出物の形状を有する。しかし、触媒は、0.5〜5mmの範囲、より特定的には0.7〜2.5mmの範囲の径を有する押出物の形態であることが有利である。形状は、円筒形(それらは中空であってもなくてもよい)、捻れた円筒形、多葉状(例えば2、3、4または5葉)またはリング状である。円筒形の形状が好適に用いられるが、任意の他の形状が採用され得る。
【0093】
供給原料中の夾雑物および/または毒物の存在を相殺するために、別の好ましい実施形態では、保護触媒は、それらのボイド率を増加させるためにより特定の幾何学的形状を有し得る。これらの触媒のボイド率は、0.2〜0.75の範囲である。それらの外径は、1〜35mmの範囲であり得、言及され得る可能な特定の限定されない形状は:中空円筒形、中空リング状、ラシヒ(Raschig)リング状、中空歯車型リング状(hollow toothed ring)、中空円錐型リング状(hollow crenellated ring)、ペンタリング車輪状(pentaring cartwheel)、多孔円筒状(multi-holed cylinder)等である。
【0094】
これらの触媒は、活性な相を含浸していても含浸していなくてもよい。好ましくは、触媒は、水素化脱水素相を含浸させられる。より好ましくは、CoMoまたはNiMo相が用いられる。
【0095】
これらの触媒はマクロ細孔を有し得る。保護床は、Norton-Saint-Gobainによって販売されているものであってよく、例えば、MacroTrap(登録商標)保護床である。保護床は、Axensによって販売されているACTカテゴリーからのものであってもよい:ACT077、ACT935、ACT961、またはHMC841、HMC845、HMC941またはHMC945。
【0096】
異なる高さを有する少なくとも2つの床においてこれらの触媒を重ね合わせることが特に有利であり得る。第1の触媒床(単数または複数)における触媒反応器への入口に最も高いボイド率を有する触媒が好ましくは用いられる。これらの触媒のために少なくとも2つの異なる反応器を用いることも有利であり得る。
【0097】
本発明における使用のための好ましい保護床は、HMC類およびACT961である。
【0098】
(操作条件)
操作条件、例えば、温度、圧力、水素再循環比、または毎時空間速度は、供給原料の性質、所望の生成物の品質および精製業者に利用可能な設備に応じて変動し得る。水素化分解/水素化転化または水素化処理の触媒は、有利には、一般的に、水素の存在下に、上記の供給原料と、200℃超、しばしば250〜480℃の範囲、有利には320〜450℃の範囲、好ましくは330〜435℃の温度、1MPa超、しばしば2〜25MPaの範囲、好ましくは3〜20MPaの範囲の圧力で接触させられ、毎時空間速度は、0.1〜20h−1、好ましくは0.1〜6h−1、好ましくは0.2〜3h−1であり、導入される水素の量は、水素の体積(リットル)/炭化水素の体積(リットル)の体積比が80〜5000L/L、通常は100〜2000L/Lであるようにされる。
【0099】
本発明の方法において用いられるこれらの操作条件は、一般に、340℃未満、好ましくは370℃未満の沸点を有する生成物への通過当たりの転化率15%超、より好ましくは20〜95%の範囲に達し得る。
【0100】
(実施形態)
本発明の触媒を使用する水素化分解および/または水素化転化の方法は、穏やかな水素化分解から高圧の水素化分解までの圧力および転化率の領域をカバーする。「穏やかな水素化分解(mild hydrocracking)」という用語は、中程度の転化率、一般的には40%未満をもたらし、低圧、一般的には2〜6MPaの範囲で操作する水素化分解を意味する。
【0101】
本発明の触媒は、有利には、単独で、単一のまたは複数の固定触媒床において、1以上の反応器で、いわゆる「ワンススルー(once-through)」水素化分解のレイアウトにおいて、未転化フラクションの液体再循環を伴ってまたは伴わないで、場合によっては、本発明の触媒の上流に位置する水素化精製触媒と組み合わせて、用いられ得る。
【0102】
本発明の触媒は、有利には、単独で、1以上の沸騰床反応器において、いわゆる「ワンススルー」水素化分解のレイアウトで、未転化フラクションの液体再循環を伴ってまたは伴わないで、場合によっては、本発明の触媒の上流に位置する固定床または沸騰床反応器内に位置する水素化精製触媒との組合せで用いられ得る。
【0103】
沸騰床は、触媒の活性を安定に維持するために、使用済み触媒の毎日の除去および新鮮な触媒の添加により操作される。
【0104】
いわゆる「二工程」水素化分解のレイアウトでは、2つの反応帯域の間に中間分離を伴って、所与の工程において、本発明の触媒は、一方または両方の反応器において、本発明の触媒の上流に位置する水素化精製触媒との組合せまたは他の方法で用いられ得る。
【0105】
(ワンススルー法)
最初の事例において「ワンススルー」と呼ばれる水素化分解は、一般に、供給原料の激しい水素化脱窒および脱硫を行うことを目的とした激しい水素化精製を含み、その後に、適正な水素化分解触媒に送られ、特に、前記触媒がゼオライトを含む場合である。供給原料の激しい水素化精製は、供給原料のより軽質のフラクションへの制限された転化のみを引き起こり、これは、依然として不十分であり、したがって、より活性な水素化分解触媒上で完了されなければならない。しかし、2つの触媒タイプの間に分離は含まれないことが留意されるべきである。反応器出口からの全ての流出物は、適切な水素化分解触媒上に注入され、生じた生成物は、後で分離されるだけである。このバージョンの水素化分解であるワンススルー水素化分解は、未転化フラクションが供給原料のより激しい転化のために反応器に再循環させられるバリエーションを有する。
【0106】
(固定床ワンススルー方法)
低シリカ含有量の触媒では、触媒の組成物中の担体のシリカの重量含有量は、5〜30%の範囲、好ましくは5〜20%の範囲である。
【0107】
高シリカ含量の触媒では、触媒の組成物中の担体のシリカの重量含有量は20〜80%の範囲、好ましくは30〜60%の範囲である。
【0108】
本発明の触媒が、ゼオライト水素化分解触媒、例えば、Yゼオライトをベースとするものの上流で用いられる場合、上記に規定されたような重量によるケイ素含有量が低い触媒が有利には用いられる。それはまた、有利には、水素化精製触媒との組合せで用いられ得、このものは、本発明の触媒の上流に位置する。
【0109】
本発明の触媒が、有利には、アルミナ−シリカまたはゼオライトをベースとする水素化分解触媒の上流で用いられる場合、同じ反応器中の相異なる触媒床または相異なる反応器において、転化率は、一般的に(または好ましくは)50重量%未満、より好ましくは40重量%未満である。
【0110】
本発明の触媒は、有利には、ゼオライト触媒の上流または下流で用いられ得る。ゼオライト触媒の下流で、それは、多芳香族炭化水素、特には、M Dekker Incにより出版されたJ Scherzerによる“Hydrocracking Science and Technology”(1996)に記載されるもの等を分解し得る。
【0111】
(沸騰床ワンススルー方法)
本発明の触媒は、有利には、単独でまたは1つ以上の反応器において用いられ得る。
【0112】
このような方法との関連で、複数の反応器は、有利には、連続して用いられ得、本発明の触媒を含有する沸騰床反応器(単数または複数)は、少なくとも1種の固定床または沸騰床の水素化精製触媒を含有する1つ以上の反応器により先行される。
【0113】
本発明の触媒が水素化精製触媒の下流で用いられる場合、前記水素化精製触媒によって生じた供給原料のフラクションの転化率は、一般には(または好ましくは)30重量%未満、好ましくは25%未満である。
【0114】
(中間分離を伴う固定床ワンススルー方法)
本発明の触媒はまた、水素化精製帯域と、アンモニアの部分的除去帯域、例えば、ホットフラッシュと、水素化分解触媒を含む帯域とを含むワンススルー水素化分解方法において用いられ得る。中間留分および場合によるベースオイルの製造のための炭化水素のワンススルー水素化分解のこの方法は、水素化精製を含む少なくとも1つの第1の反応帯域と、少なくとも1つの第2の反応帯域とを含み、該第2の反応帯域において、第1の反応帯域からの流出物の少なくとも一部の水素化分解が行われる。この方法はまた、第1の帯域を出る流出物からのアンモニアの不完全な分離を含む。この分離は、有利には、中間ホットフラッシュを用いて行われる。第2の反応帯域において行われる水素化分解は、アンモニアの存在下に、供給原料中に存在する量より少ない量、好ましくは窒素の重量で1500ppm未満、より好ましくは1000重量ppm未満、一層より好ましくは800重量ppm未満で行われる。本発明の触媒は、好ましくは、水素化分解反応帯域において、本発明の触媒の下流に位置する水素化精製触媒との組合せでないしは別の方法で用いられる。本発明の触媒は、ゼオライト触媒の上流または下流で用いられ得る。ゼオライト触媒の下流で、それは、特に、多芳香族化合物炭化水素または多芳香族炭化水素前駆体を転化するために用いられ得る。
【0115】
本発明の触媒は、有利には、予備処理転化のための第1の反応帯域において単独で、または、本発明の触媒の上流に位置する従来の水素化精製触媒との組合せで、1つ以上の触媒床において、1つ以上の反応器で用いられ得る。
【0116】
(弱い酸性触媒上での予備的水素化精製を伴うワンススルー水素化分解方法)
本発明の触媒は、有利には、
・第1の水素化精製反応帯域:この帯域において、供給原料は、標準活性試験におけるシクロヘキサン転化率10重量%未満を有する少なくとも1種の水素化精製触媒と接触させられる;および
・第2の水素化分解反応帯域:この帯域で、水素化精製工程に由来する流出物の少なくとも一部は、標準活性試験におけるシクロヘキサン転化率10重量%超を有する少なくとも1種のゼオライト水素化分解触媒と接触させられる;
を含み、本発明の触媒は、2つの反応帯域の少なくとも一方中に存在する、水素化分解方法において用いられ得る。
【0117】
水素化精製触媒の触媒体積の割合は、一般的に、総触媒体積の20〜45%を示す。
【0118】
第1の反応帯域に由来する流出物の少なくとも一部、好ましくは全部が、前記方法の第2の反応帯域に導入される。ガスの中間分離が上記のようにして行われ得る。
【0119】
第2の反応帯域を出る流出物は、「最終」分離と称される分離(例えば、常圧蒸留と場合によってはこれに続く、真空蒸留による)を経て、ガスが分離される。少なくとも1つの残留液体フラクションが得られ、このものは、本質的に、一般的には340℃超の沸点を有する生成物を含有し、少なくとも一部、本発明の方法の第2反応帯域の上流に、好ましくは、アルミナ−シリカをベースとする水素化分解触媒の上流に再循環させられ得るが、その目的は、中間留分を生じさせることである。
【0120】
340℃未満または370℃未満の沸点を有する生成物への転化率は、少なくとも50重量%である。
【0121】
(二工程方法)
二工程水素化分解は、第1の工程を含み、これは、ワンススルー方法におけるのと同様に、供給原料の水素化精製を行うことを目的とするが、さらに、一般に40〜60%程度のその転化を達成する。次いで、第1工程に由来する流出物は、分離(蒸留)を経、これは、慣用的に、中間分離と称され、未転化フラクションから転化生成物を分離することを目的とする。二工程水素化分解方法の第2の工程では、第1工程の間に転化されていない供給原料のフラクションのみが処理される。この分離は、二工程水素化分解方法が、中間留分(灯油+ディーゼル)に対してワンススルー方法より選択的であり得ることを意味する。実際に、転化生成物の中間分離により、水素化分解触媒上の第2工程におけるナフサおよびガスへの「過剰クラッキング」が回避される。さらに、第2工程において処理される供給原料の未転化フラクションは、一般的に、非常に低い量のNH並びに窒素含有有機化合物を一般的には20重量ppm未満、さらには10重量ppm未満で含有することが留意されるべきである。
【0122】
単独でまたは従来の水素化精製触媒との組合せで触媒が用いられているかどうかに拘わらず、固定床または沸騰床の触媒床の同じ構成が、二工程レイアウトの第1工程において用いられ得る。本発明の触媒は、ゼオライト触媒の上流または下流で用いられ得る。ゼオライト触媒の下流で、それは、特に、多芳香族炭化水素または多芳香族炭化水素前駆体を転化し得る。
【0123】
(6.実施例)
以下の実施例は、本発明の範囲を限定することなく、本発明を例証する。
【0124】
(実施例1:Ni/W原子比が約0.36であり、Si/W原子比0.09である担持型NiSiW触媒(比較))
モリブデンおよびコバルトを、水性媒体中で、共ゲル(co-gel)法(380m/g)によって合成された市販のシリカ−アルミナタイプの担体上に共乾式含浸させた。タングステン前駆体塩は、メタタングステン酸アンモニウム(NH1240,4HOであった;ニッケル前駆体塩は、硝酸ニッケルNi(NO,6HOであった。ケイ素前駆体はロドルシルの形態で供給された。ニッケルの量は、Ni/Wモル比0.36原子/原子に適合するように調節され、ケイ素の量は、Si/Wモル比0.09原子/原子に適合するように調節され、担体に由来するケイ素原子は、この計算に明らかに考慮に入れられていない。12時間にわたって熟成させた後、押出物を120℃で終夜乾燥させ、次いで、空気中450℃で2時間にわたり焼成した。この非硫化NiW/SiAl触媒について、酸化タングステン含有量は16.8%であり、酸化ニッケル含有量は2.1%であり、これは、真のNi/W比0.39原子/原子に相当する。この触媒Aは、本発明に合致していなかった。
【0125】
(実施例2:Ni/W原子比が約0.32であり、P/W原子比が0.09である担持型NiWP触媒(比較))
モリブデンおよびコバルトを、水性媒体中で、共ゲル法(380m/g)によって合成された市販のシリカ−アルミナタイプの担体上に乾式共含浸させた。タングステン前駆体塩は、メタタングステン酸アンモニウム(NH1240,4HOであった;ニッケル前駆体塩は、硝酸ニッケルNi(NO,6HOであった;P前駆体はHPOであった。ニッケルの量は、Ni/Wモル比0.32原子/原子に適合するように調節され、HPOの量は、P/Wモル比0.09原子/原子に適合するように調節された。12時間にわたって熟成させた後、押出物を120℃で終夜乾燥させ、次いで空気中450℃で2時間にわたって焼成した。この非硫化NiWP/SiA1触媒について、酸化タングステン含有量は16.7%であり、酸化ニッケル含有量は、1.7%であり、Pの量は0.5%であり、これは真のNi/W比0.32原子/原子およびP/W比0.1に相当する。この触媒Bは工業的な触媒の代表であり、本発明に合致していなかった。
【0126】
(実施例3:NiW原子比が約0.36であり、Si/W原子比が0.09である担持型NiSiW触媒(本発明に合致する))
4当量の水酸化バリウム(Ba(OH),8HO25.75gの形で導入されたBa(OH)13.98g,pH=6.25)を、ケイタングステン酸の0.1mol/L溶液(水200mL中のHSiW124058.76g(HSiW1240,13HO63.86gの形で導入される),pH=0.6)に加えた。ヘテロポリアニオンのバリウム塩が沈殿した。これを回収して、空気の流れ中、フリット上で乾燥させた。得られた生成物BaSiW1139の質量は、55.92gであり、すなわち収率85%であった。生成物BaSiW113955.92gを採取し、脱イオン水の溶液170mLに入れた。溶液を45℃にわずかに加熱して、ヘテロポリアニオンのバリウム塩を溶解させた。溶解した塩の濃度は0.1mol/Lであった。
【0127】
次いで、調製された溶液を、陽イオン交換樹脂中に通過させた。溶液は、滴下により加えた。この樹脂は約585μmの均一な粒度分析分布の高度に酸性の市販の樹脂:Dowex Marathon Cであった。骨格は、DVBによって架橋されたスチレンゲルによって形成された。官能基はスルホナートSOであった。これはそのNa型で受容された。Ni2+によるBa2+の交換の前に、飽和NiSO溶液を用いてNi2+型に樹脂を置いた。樹脂がそのNi2+型に置かれた時点で、92mLの樹脂を、10mmの内部半径を有するステンレス鋼カラム中に置いた。その時、床の高さは、450mmであった。このカラムを、45℃に加熱されたオーブン中に置き、交換工程の間に塩を溶解させた。45℃に加熱された溶液170mLを、カラム中に通過させた。デッドボリュームに相当する溶液の最初の49ミリリットルが通過した時点で、NiSiW1139を0.1mol/Lの濃度で含有する溶液160mLを回収した。BaSiW1139種は、痕跡量でのみ存在した。次いで、溶液の一部を蒸発させ濃縮した。溶液中のNiSiW1139の最終濃度は0.16mol/Lであった。次いで、得られたこれらの溶液100mLを、共ゲル法によって合成された市販のシリカ−アルミナタイプの担体上に含浸させた(380m/g)。12時間にわたって熟成させた後、押出物を、120℃で終夜乾燥させ、次いで、空気中450℃で2時間にわたって焼成した。
【0128】
この非硫化NiW/SiAl触媒について、酸化タングステン含有量は17.1%であり、酸化ニッケル含有量は1.9%であり、これは真のNi/W比0.36原子/原子に相当する。この触媒T1は、本発明に合致している。
【0129】
(実施例4:NiW原子比が約0.32であり、P/W原子比が0.09である担持型NiPW触媒(本発明に合致する))
3.5当量の水酸化バリウム(Ba(OH),8HO23.06gの形で導入されたBa(OH)12.52g,pH=4.96)を、リンタングステン酸の0.1mol/L溶液(水180mL中HPW124052.7g(HPW1240,13HO56.9gの形で導入される),pH=0.5)に加えた。ヘテロポリアニオンのバリウム塩が沈殿した。これを回収して、空気流れ中、フリット上で乾燥させた。得られた生成物Ba7/2PW1139の質量は、50.4g、すなわち収率88%であった。生成物Ba7/2PW113950.4gを採取し、脱イオン水溶液160mLに入れ、45℃にわずかに加熱し、ヘテロポリアニオンのバリウム塩を溶解させた。溶解した塩の濃度は、その時、0.1mol/Lであった。
【0130】
次いで、調製された溶液を、陽イオン交換樹脂中に通過させた。溶液は滴下により加えられた。この樹脂は、約585μmの均一な粒度分析分布を有する高度に酸性の市販の樹脂:Dowex Marathon Cであった。骨格は、DVBによって架橋されたスチレンゲルによって形成された。官能基はスルホナートSOであった。それは、そのNa型で受容された。Ni2+によるBa2+の交換の前に、その樹脂を、NiSOの飽和溶液を用いてそのNi2+型に置いた。樹脂がそのNi2+型に置かれた時点で、樹脂75mLを、10mmの内部半径を有するステンレス鋼カラムに置いた。床の高さは、その時、369mmであった。このカラムを、45℃に加熱されたオーブン中に置き、交換工程の間に塩を溶解させた。45℃に加熱された溶液160mLを、カラム中に通過させた。溶液の最初の41ミリリットル(デッドボリュームに相当する)を通過させ、Ni7/2PW1139を0.1mol/Lの濃度で含有する溶液150mLを回収した。Ba7/2PW1139種は痕跡量でのみ存在した。次いで、溶液の一部を蒸発させて濃縮した。溶液の最終濃度は0.16mol/Lであった。次いで、得られたこれらの溶液100mLを、共ゲル法によって合成された市販のシリカ・アルミナタイプの担体上に含浸させた(380m/g)。12時間にわたり熟成させた後、押出物を120℃で終夜乾燥させ、次いで、空気中450℃で2時間にわたって焼成した。
【0131】
この非硫化NiW/SiAl触媒について、酸化タングステン含有量は16.9%であり、酸化ニッケル含有量は1.8%であり、P含有量は0.5%であり、これは真のNi/W比0.32原子/原子およびP/W比0.1原子/原子に相当する。この触媒T2は、本発明に合致していた。
【0132】
(実施例5:本発明による実施例についての含浸溶液および乾燥状態の触媒の分析)
実施例3および4において調製されたNiSiW1139およびNi7/2PW1139をそれぞれ含有する含浸溶液を、実施例3の場合には29Si NMRによって、実施例4の場合には31P NMRによって分析した。スペクトルは、それぞれ、図1および2に示される。
【0133】
図1は、NiSiW1139を含む溶液の29Si NMRスペクトルを示す。
【0134】
図2は、Ni7/2PW1139を含む溶液の31P NMRスペクトルを示す。
【0135】
両方の場合において、300〜600ppmの間のシグナルが可視でないことが確認された。これは、NiがW原子と置換された種が調製されたことを示していた。他方、Niが構造に入ったならば、29Si NMRにおいて−85.0ppmおよび31P NMRにおいて−11.48ppmに観察されるシグナルは存在しないだろう。
【0136】
最終的に、実施例3および4において調製された触媒は、乾燥状態において、ラマン分光法によって特徴付けられた。表1は、ヘテロポリアニオンの末端W−O結合の主なバンドおよび特徴を示す。1000cm−1未満の波数を有するこれらのバンドは空隙ヘテロポリ化合物の特徴である。実施例3および4のWをベースとする空隙ケギンタイプのHRAのNi塩の始点におけるケイタングステン酸(HSiW1240,ケギンタイプHPC)およびリンタングステン酸(HPW1240,ケギンタイプHPC)の波数は、1011cm−1および1000cm−1の波数をそれぞれ有していた。
【0137】
【表1】

【0138】
(実施例6:アニリン存在下でのトルエン(モデル芳香族化合物分子)の水素化試験)
アニリン存在下でのトルエンの水素化試験は、HSの存在下および水素圧での、バルクまたは担持型の硫化触媒の水素化活性を評価することを目的とする。触媒の酸機能を特徴付ける異性化は、低温度でのアニリンの存在によって、および/またはより高温でのNH(アニリンの分解に由来する)の存在によって阻害される。アニリンおよび/またはNHは、酸−塩基反応を介して担体の酸性部位と反応することになる。その結果、担体の酸性度の特徴的な異性化反応は存在しなくなる。
【0139】
本発明者らは、結果を置き換え得る異なる触媒性試験ツールを用いることによって比較を改ざんしないために、同じ触媒試験単位装置において4つの触媒の比較を行うように気を付けた。
【0140】
触媒試験は、固定した横断床反応器において気相中で行われた。試験は、2つの別個の段階である硫化および触媒性試験に分けられ得る。試験は、60バールで行われた。
【0141】
(硫化)
触媒は、Catatestタイプの横断固定床管式反応器(Vinci Technologiesにより構築)パイロット単位装置において現場(in situ)で動的に硫化され、流体は頂部から底部に移動する。水素化活性測定は、圧力下での硫化直後に、空気に対して開口することなく、触媒を硫化する働きをする炭化水素供給原料を用いて行われた。硫化供給原料は、試験の供給原料と同じものであった。
【0142】
(触媒試験)
試験供給原料は、ジメチルジスルフィド(dimethyldisulphide:DMDS)、トルエン、シクロヘキサンおよびアニリンからなっていた。
【0143】
安定化した触媒活性は、等容積の触媒(4cm)について、かつ350℃の温度で測定された。
【0144】
試験の操作条件は、以下のとおりであった(完全な気化および理想気体の法則を仮定する):
(Ptot=60バールおよびT=350℃について)
PpH=36.62バール;
PpNH=0.09バール;
PpHS=2.16バール
Ppトルエン=3.75バール;
Ppシクロヘキサン=15.22バール;
HSV=1L/L/h;
/供給原料=450。
【0145】
流出物のサンプルは、ガスクロマトグラフィーによって分析された。本発明者らは、トルエンの転化率(これは、本発明者らが用いた条件下に一次反応である)を、「水素化活性(hydrogenating activity:HA)」によって表した。このトルエン転化率によって、触媒の水素化機能が特徴付けられる。
【0146】
【数1】

【0147】
式中、%HYDトルエンは、転化されたトルエンの割合に対応する。
【0148】
触媒性能は、表2に示される。それらは、相対的な活性として表され、触媒Bが100に等しいとして設定する。
【0149】
【表2】

【0150】
表2により、本発明のヘテロポリ化合物NiSiW1139およびNi7/2PW1139から調製された触媒(それぞれ触媒T1およびT2)について得られた水素化力における、配合組成に関してそれらの同族体であるが、従来技術を用い、空隙ケギンタイプのW含有ヘテロポリアニオンのNi塩を用いない調製された触媒と比較した大きな増大が示される。
【0151】
(実施例7:高圧で水素化処理されている真空留出液の水素化分解における触媒C1、C2、C3およびC4の評価)
触媒A、B、T1およびT2(その調製は実施例1、2、3および4に記載される)を、高圧の真空留出液水素化分解条件下に用いた(14MPa)。用いられた供給原料は、水素化処理された供給原料であった。水素化処理触媒が触媒A、B、T1およびT2と連続したレイアウトをシミュレートした。
【0152】
事前に水素化処理された供給原料の主な特徴を表3に示す。
【0153】
【表3】

【0154】
触媒試験単位装置は、上向き流れ様式の固定床反応器からなっていた。本発明の触媒(A、B、T1、T2)40mLを反応器に導入した。触媒は、反応の前に現場で硫化工程を受けた。触媒の硫化は、14MPa、350℃で、2重量%のDMDSを補給した直留軽油を用いてなされた。硫化が完了した時点で、上記の供給原料は、変換され得る。
【0155】
触媒試験を以下の条件下に行った:
全圧:14Mpa;
水素流量:注入された供給原料の体積(リットル)当たりガス状水素1000リットル;
毎時空間速度(hourly space velocity:HSV)は0.75h−1に等しい;
温度:反応器出口で60%の正味の転化率に達するのに必要な温度。
【0156】
370℃未満の沸点を有する生成物への正味の転化率(NC370℃と示される)を、以下に等しくなるようにとった:
NC370℃=[(370℃流出液の%)−(370℃供給原料の%)]/[100−(370℃供給原料の%)]
式中、370℃の%=370℃未満の沸点を有する化合物の重量含有量である。
【0157】
中間留分(150〜370℃の留分)の全体の選択性(GS MDと示される)を、以下に等しくなるようにとった:
GS MD=[(150−370流出物のフラクション)]/[(370℃流出物の%)]
触媒の性能は、370℃未満の沸点を有する生成物への正味の転化率60%を達成するのに必要な温度として、および中間留分(150〜370℃の留分)の全体的選択性によって表された。転化率および選択性は、模擬蒸留の結果を用いて表された。
【0158】
下の表4では、本発明者らは、370℃への正味の転化率60%を得るのに必要な反応温度、および本発明の触媒についての全体的選択性を記録している。
【0159】
【表4】

【0160】
したがって、上記実施例により、炭化水素供給原料の水素化分解を行うために本発明の触媒(T1、T2)を用いる重要性が示される。本発明の触媒は、中間留分の選択性の損失なしに供給原料のはるかにより高い転化率を生じさせ得る。活性相の改善された水素化力は、新規な構造、いわゆる、空隙ケギンタイプのW含有ヘテロポリアニオンのNi塩の使用のおかげであり、このことは、より多くの芳香環が水素化され得、従ってより多く分解可能であり、かつ分解された分子が生成し得、それによって転化率が改善することを意味する。さらに、所与の転化について、水素化機能が強力であるほど、分子の過剰分解が減り、生じるガソリンおよびガスが減り、したがって、中間留分の選択性が増大する。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】図1は、NiSiW1139を含む溶液の29Si NMRスペクトルを示す。
【図2】図2は、Ni7/2PW1139を含む溶液の31P NMRスペクトルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タングステンを構造中に含む空隙ケギンタイプのヘテロポリアニオンのニッケル塩によって構成され、式:
Nix+y/2AW11−y39−5/2y,zH
(式中、Niは、ニッケルであり;
Aは、リン、ケイ素およびホウ素から選択され;
Wは、タングステンであり;
Oは、酸素であり;
y=0または2であり;
Aがリンであるならばx=3.5であり;
Aがケイ素であるならばx=4であり;
Aがホウ素であるならばx=4.5であり;
その他の場合にはx=m/2+2であり;
zは0〜36の範囲の数であり、mはAがリンであるならば3に等しく、mはAがケイ素であるならば4に等しく、mはAがホウ素であるならば5に等しい)
を有するヘテロポリ化合物であって、
前記ヘテロポリ化合物は、タングステン原子の代わりにニッケル原子を有しておらず、前記ニッケル原子は、前記化合物の構造中のカウンターイオンの位置に置かれている、ヘテロポリ化合物。
【請求項2】
前記ヘテロポリ化合物は、以下の式:
NiAW1139,zHO(I)
(式中、Niは、ニッケルであり;
Aは、リン、ケイ素およびホウ素から選択され;
Wは、タングステンであり;
Oは、酸素であり;
xは、Aがリンであるならば3.5に等しく、Aがケイ素であるならば4に等しく、またはAがホウ素であるならば4.5に等しい数であり;
zが0〜36の範囲の数である)
を有する、請求項1に記載のヘテロポリ化合物。
【請求項3】
前記ヘテロポリ化合物は、式:NiSiW1139を有する化合物である、請求項2に記載のヘテロポリ化合物。
【請求項4】
前記ヘテロポリ化合物は、以下の式:
Nix+1AW34,zHO(II)
(式中、Niは、ニッケルであり;
Aは、リン、ケイ素およびホウ素から選択され;
Wは、タングステンであり;
Oは、酸素であり;
xは、Aがリンであるならば3.5に等しく、Aがケイ素であるならば4に等しく、またはAがホウ素であるならば4.5に等しい数であり;
zは0〜36の範囲の数である)
を有する、請求項1に記載のヘテロポリ化合物。
【請求項5】
前記ヘテロポリ化合物は、式:NiSiW34を有する化合物である、請求項4に記載のヘテロポリ化合物。
【請求項6】
請求項1〜5のうちの1つに記載の前記ヘテロポリ化合物と、必要に応じて少なくとも1種の酸性細孔性鉱物マトリクスとを含む触媒。
【請求項7】
前記触媒は、バルク触媒の形態である、請求項6に記載の触媒。
【請求項8】
前記触媒は、担持型触媒であり、担体は、シリカ−アルミナ、アルミノケイ酸塩、結晶性その他の、メソ構造化その他の、ドーピングされたアルミナ、および非ゼオライト結晶性モレキュラーシーブのカテゴリーによって形成された群から選択される少なくとも1種の酸性細孔性鉱物マトリクスによって形成される、請求項6に記載の触媒。
【請求項9】
請求項1〜5のうちの1つに記載のタングステンを構造中に含む空隙ケギンタイプのヘテロポリアニオンのニッケル塩によって構成される、前記ヘテロポリ化合物の調製方法であって、
1) 式:
Bax+y/2AW11−y39−5/2y,zHO(I’)
(式中、Baは、バリウムであり、Aは、リン、ケイ素およびホウ素から選択され、Wは、タングステンであり、Oは酸素であり、y=0または2であり、xは、Aがリンであるならば3.5、Aがケイ素であるならば4、Aがホウ素であるならば4.5に等しい数であり、残りの場合にはx=m/2+2であり、zは、0〜30の範囲の数である)
を有するタングステンを含有するケギンヘテロポリアニオンを合成する工程であって、ヘテロポリタングステン酸HAW1240(式中、Aは、リン、ケイ素およびホウ素から選択され、Hは、水素であり、Wは、タングステンであり、Oは、酸素であり、mは、Aがリンであるならば3に等しく、mは、Aがケイ素であるならば4に等しく、mは、Aがホウ素であるならば5に等しい)に、(x+y/2)当量の水酸化バリウム(Ba(OH))を加えたものを式:
【化1】

に従って反応させることにより、式Bax+y/2AW11−y39−5/2y,zHO(I’)を有する化合物を形成する、工程と、
2) 工程1)に由来するタングステンを含有するケギンヘテロポリアニオンから、式:Nix+y/2AW11−y39−5/2y,zHO(I)を有するタングステンを含有するケギンヘテロポリアニオンのニッケル塩を、陽イオン交換樹脂上でのイオン交換によりBa2+カチオンをNi2+カチオンで置換することにより形成する工程であって、前記陽イオン交換樹脂は、予め、Ni2+イオンで交換されている、工程と
を含む、方法。
【請求項10】
工程1)で調製されるタングステンを含有するケギンヘテロポリアニオンは、式BaAW1139,zHOを有するヘテロポリアニオンであり、タングステンを含有するヘテロポリアニオンのニッケル塩は、式NiAW1139,zHOを有する化合物である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
工程1)で調製されるタングステンを含有するケギンヘテロポリアニオンは、式Bax+1AW34,zHOを有するヘテロポリアニオンであり、タングステンを含有する該ヘテロポリアニオンのニッケル塩は、式Nix+1AW34,zHOを有する化合物である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
水素化分解、水素化転化および/または水素化処理方法における、前記ヘテロポリ化合物を含む請求項6〜8のうちの1つに記載の触媒の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−500174(P2012−500174A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523433(P2011−523433)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【国際出願番号】PCT/FR2009/000941
【国際公開番号】WO2010/020714
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(591007826)イエフペ エネルジ ヌヴェル (261)
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
【Fターム(参考)】