説明

水素化反応によるエーテル結合の還元によるアルコールの合成方法

【課題】水素化反応によるエーテル結合の還元によるアルコールの合成方法を提供する。
【解決手段】二酸化炭素に対して0%モル以上、1000モル%以下の水を含み、圧力が、常圧(0.1MPa)以上20MPa以下で、温度が32℃以上、200℃以下の二酸化炭素を反応媒体として、パラジウム、ロジウムの少なくとも1種類以上からなるナノ粒子を担持したメソポーラスシリカを担体とする固体触媒を触媒に用いて、0.1MPa以上10MPa以下の圧力の水素を還元剤に用いて、エーテル化合物の還元反応によりアルコールを製造する方法。
【効果】水素による還元反応により、従来、非常に難しいとされていた、エーテル結合を切断して直接的にアルコールを合成することを可能とするエーテル結合の還元によるアルコール合成に関する新技術・新製品を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素化反応によるエーテル結合の還元によるアルコールの合成方法に関するものであり、更に詳しくは、二酸化炭素を反応媒体として、パラジウム及び/又はロジウムからなるナノ粒子を担持したメソポーラスシリカを担体とする固体触媒を用いて、水素を還元剤に用いたエーテル化合物の還元反応によりアルコールを製造する方法に関するものである。本発明は、従来、非常に難しいとされていた、エーテル結合を切断して直接的にアルコールを合成することを可能とするエーテル結合の還元によるアルコール合成に関する新技術・新製品を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
環状エーテルからのアルコール合成は、AdkinsやConnorら(非特許文献1)が報告している。ヒドロキシフルフラールから、クロム酸銅などの触媒を用いて、1,5−ペンタンジオールを合成する報告をしている。しかし、その収率は、30%の低収率である。ヒドロキシフルフラールから、δ−バレルアルデヒド(ペンタナール)を介して1,5−ペンタンジオールを70%で合成するルートがあるが(非特許文献2)、数段階の反応を必要として、かつ精製も必要であり、効率的でない。
【0003】
Kosoら(非特許文献3)が、Rh−ReOx/SiO固体触媒を用いて、77%の1,5−ペンタンジオールの合成に成功しているが、水素圧は、8MPaで高い。また、Reの代わりにMoを用いると、著しく反応性が改善されるなどの報告もされている(非特許文献4)。
【0004】
更に、Xuら(非特許文献5)が、パラジウムを担持したコバルト−アルミニウムの酸化物を担体とする触媒を用いることで、1〜1.5MPaの低い水素圧力で、1,5−ペンタンジオールを得ている。但し、その収率は、30%以下である。以上から、特に、ヒドロキシフルフラールなどから、水素還元により開環して、ジオールを効率的に得る技術は、一つの大きな課題であり、当技術分野においては、その解決が強く求められていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】J.Am.Chem.Soc.,1931,53,1091
【非特許文献2】J.Am.Chem.Soc.,1946,68,1646
【非特許文献3】Chem.Commun.2009,2035
【非特許文献4】J.Catal.,2009,267,89
【非特許文献5】Chem.Commun.2011,3924
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、種々の置換基を有するフルフラール化合物を水素還元により開環して、対応するアルコールを合成することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、二酸化炭素を反応媒体として、パラジウム及び/又はロジウムからなるナノ粒子を担持したメソポーラスシリカなどを担体とする固体触媒を用いて、水素を還元剤に用いることで、所期の目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明は、二酸化炭素を反応媒体として、パラジウム及び/又はロジウムからなるナノ粒子を担持したメソポーラスシリカなどを担体とする固体触媒を用いて、水素を還元剤に用いたエーテル化合物の還元反応によるアルコールの製造方法を提供することを目的とするものである。また、本発明は、担持しているナノ粒子の大きさが、1nmから10000nm(1μm)以下である固体触媒を用いた上記アルコールの製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)二酸化炭素に対して0%モル以上、1000モル%以下の水を含み、圧力が、常圧(0.1MPa)以上20MPa以下で、温度が二酸化炭素の臨界温度以上である32℃以上、200℃以下の二酸化炭素を反応媒体として、パラジウム、ロジウムの少なくとも1種類以上からなるナノ粒子を担持したメソポーラスシリカを担体とする固体触媒を触媒に用いて、0.1MPa以上10MPa以下の圧力の水素を還元剤に用いたエーテル化合物の還元反応によるアルコールの製造方法。
(2)担持しているナノ粒子の大きさが、1nmから、10000nm(1μm)以下である、前記(1)に記載の製造方法。
(3)ナノ粒子を構成する遷移金属元素として、パラジウムとロジウムの比が、パラジウム0%:ロジウム100%から、パラジウム100%:ロジウム0%の間のいずれかの比で構成される、前記(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4)パラジウムのナノ粒子、又はロジウムのナノ粒子、又はパラジウムとロジウムの合金のナノ粒子、又はパラジウムのナノ粒子とロジウムのナノ粒子が混合されたナノ粒子の担持率が、担体に対して、0.01重量%以上70重量%以下の固体触媒を用いる、前記(1)から(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)担体のメソポーラスシリカの細孔径が、2ナノメートル以上、50ナノメートル以下である、前記(1)から(4)のいずれかに記載の製造方法。
(6)担体が、メソポーラスシリカ以外の物質であり、その物質が、アルミナ、カーボン、チタニア又はこれらの複合酸化物である、前記(1)から(5)のいずれかに記載の製造方法。
(7)エーテル化合物が、環状エーテルとして、請求項に記載の化1〜化4(n=0、1、2、3、4、5、6、7の中から選ばれる0又は整数)のいずれか、で表される、又は、これらの化合物を含有する混合物である、前記(1)から(6)のいずれかに記載の製造方法。
(8)エーテル化合物が、請求項に記載の化5〜化8のいずれか、で表される、前記(1)から(7)のいずれかに記載の製造方法。
(9)MCM−41を担体として、ロジウムナノ粒子を担持した触媒を用いる、前記(1)から(8)のいずれかに記載の製造方法。
(10)エーテル化合物が、フラン化合物誘導体である、前記(1)から(9)のいずれかに記載の製造方法。
(11)環状エーテル化合物が、グルコース、フルクトース、マルトース、スクロース、でんぷん、又はセルロースを含む糖類で有る、前記(1)から(10)のいずれかに記載の製造方法。
(12)MCM−41を担体として、あるいは、アルミナ、カーボン、チタニア又はこれらの複合酸化物を担体として、パラジウム及び/又はロジウムのナノ粒子を担持して構成された、エーテル結合の還元によるアルコール合成のための固体触媒。
【0009】
次に、本発明について更に詳細に説明する
本発明は、二酸化炭素に対して、0%モル以上、1000モル%以下の範囲の水を含み、圧力が、常圧(0.1MPa)以上20MPa以下で、温度が二酸化炭素の臨界温度以上である32℃以上、200℃以下の二酸化炭素を反応媒体として、パラジウム、ロジウムの少なくとも1種類以上からなるナノ粒子を担持したメソポーラスシリカを担体とする固体触媒を触媒に用いて、0.1MPa以上10MPa以下の圧力の水素を還元剤に用いたエーテル化合物の還元反応によるアルコールの製造方法の点に特徴を有するものである。
【0010】
本発明において、固体触媒に担持しているナノ粒子の大きさは、1nmから、10000nm(1μm)以下の範囲である。また、ナノ粒子を構成する遷移金属元素として、パラジウムとロジウムの比は、パラジウム0%:ロジウム100%から、パラジウム100%:ロジウム0%の間のいずれかの比で構成される。
【0011】
上記固体触媒において、パラジウムのナノ粒子、又はロジウムのナノ粒子、又はパラジウムとロジウムの合金のナノ粒子、又はパラジウムのナノ粒子とロジウムのナノ粒子が混合されたナノ粒子の担持率は、担体に対して、0.01重量%以上70重量%以下である。また、担体のメソポーラスシリカの細孔径は、2ナノメートル以上、50ナノメートル以下であることが好ましい。
【0012】
本発明では、担体は、メソポーラスシリカが好ましいが、メソポーラスシリカ以外の物質であっても使用することができ、例えば、シリカ、アルミナ、カーボン、チタニア又はこれらの複合酸化物を、適宜使用することができる。
【0013】
本発明において、エーテル化合物は、環状エーテルとして、請求項に記載の化1〜化4のいずれかで表される化合物、又はこれらの化合物を含有する混合物が用いられ、また、エーテル化合物として、請求項に記載の化5〜化8で表される化合物が用いられる。
【0014】
本発明では、特に、フラン誘導体などから、水素還元により開環して、ジオールやアルコールを効率的に合成することが可能となる。なお、フラン誘導体の例として、図10に示す化合物などが挙げられる。また、エーテル化合物として、主にバイオマスのリグニン中に含まれる化合物などの化学変換に有効である。例えば、図11に示す骨格を有する化合物などが挙げられる。更に、環状エーテル化合物として、例えば、グルコース、フルクトース、マルトース、スクロース、でんぷん、セルロースを含む糖類を用いることも可能である。
【0015】
本発明では、上記固体触媒としては、例えば、MCM−41を担体として、あるいは、シリカ、アルミナ、カーボン、チタニア又はこれらの複合酸化物を担体として、ロジウムナノ粒子を担持した触媒を用いることが好ましい。
【0016】
これまでに、本発明者らは、アルミニウムを含有するメソポーラスシリカにパラジウムナノ粒子を担持した触媒として用い、水素を還元剤とする反応を試みたところ、フルフラール化合物から、直鎖状のアルカン類(C9−alkane)が得られるとの知見を得ている。
【0017】
そして、本発明者は、これらの技術を用いて、カルボニルの水素化や、芳香族の水素化、オレフィンの水素化は既に実現している。しかし、エーテル結合のみを選択的に切断することは大変難しく、ましてや、生成物の開環反応を介してアルコールを得ることは、本来、水素化されてアルカンまで反応してしまうことが多く、選択性良く途中で止めることは、なかなか難しいのが実情であり、特に、固体触媒を用いた場合は、選択性が低いため、実用的に使えるとは言い難い状況であった(図1参照)。
【0018】
これに対して、本発明では、超臨界二酸化炭素を、種々の置換基を有するフルフラール化合物誘導体を開環させ、対応するアルコールを得る水素化反応の溶媒として用いることで、非常に効果的にアルコールを合成できるとの知見が得られた。
【0019】
パラジウムを、パラジウム−ロジウム合金のナノ粒子又はパラジウムとロジウムのナノ粒子の混合物、又はロジウムナノ粒子を担持したメソポーラスシリカ、又は無機酸化物を担体とする触媒を用いると、水素による還元反応が触媒され、対応するアルコールが得られること、即ち、担持する金属ナノ粒子の種類を調整することで、固体触媒を用いた還元反応でありながら、特に、脂肪族系環状エーテル化合物からアルコールを得ることができることが分かった(図2参照)。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)固体触媒を用いた還元反応を用いて、担持する金属ナノ粒子の種類を調整することで、特に、脂肪族系環状エーテル化合物からアルコールを合成することができる。
(2)パラジウム及び/又はロジウム合金のナノ粒子、又はパラジウムとロジウムのナノ粒子の混合物を担持したメソポーラスシリカ又は無機酸化物を担体とする固体触媒を用いて、水素による還元反応により、対応するアルコールを製造することができる。
(3)超臨界二酸化炭素を反応媒体として使用することにより、水素化反応により種々の置換基を有するフルフラール化合物を開環させ、対応するアルコールを合成することができる。
(4)特に、フラン誘導体などから、水素還元により開環して、ジオールやアルコールを効率的に合成することが可能となる。
(5)また、エーテル化合物として、主にバイオマスのリグニン中に含まれる化合物などの化学変換に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】HMFからC8−アルカンを合成する合成経路を示す。
【図2】THFAの水素化分解の経路を示す。
【図3】Rh/MCM−41のTEM像を示す。
【図4】X線回折パターンを示す。
【図5】THFAの水素化分解の転化率及び選択率に対するCO圧力効果を示す。
【図6】H圧を一定にしたときのCO中におけるTHFAの圧力効果を示す。
【図7】Hの圧力効果を示す。
【図8】反応温度の効果を示す。
【図9】反応時間の影響を示す。
【図10】フラン誘導体の例を示す。
【図11】エーテル化合物、タンニン、バリンを基本骨格とする誘導体などの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0023】
本実施例では、触媒のスクリーニングを実施した。50mLのステンレス製オートクレーブに、触媒を0.1g、テトラフルフリルアルコールを0.4g導入し、二酸化炭素を1MPa導入した後に、80℃まで加熱した。その後、水素を4MPa分導入し、最後に、二酸化炭素を、ポンプで、トータル14MPa分を導入した(トータルの圧力は、18MPa)。
【0024】
24時間反応させた後、氷冷して、十分冷却した後、圧力を徐々に抜いて行った。最後に、オートクレーブに残った反応物をアセトンですべて洗い出してから、触媒をろ過した後、得られた生成物をガスクロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィー質量分析計で測定した。その結果を表1に示す。
【0025】
【表1】

【0026】
其々の触媒を検討した結果、エントリー1のRh/MCM−41を触媒として用いた例が、最も転化率が高く、1,5−ペンタンジオールの収率も高かった。また、Pd/MCM−41を触媒として用いた場合は、1,2−ペンタンジオールが選択的に得られることが分かった。また、反応系に水を2mL加えた場合は、転化率は減少した。しかし、その他の水和したと思われる化合物が得られており、構造の異なるアルコールが得られることが分かった。
【0027】
なお、触媒に用いたRh/MCM−41のTEM写真を撮影し、また、X線回折を行った。その結果を図3、図4に示す。Rhナノ粒子のサイズは、一部凝集した50nm程度のナノ粒子が見えるが、おおむね5nm〜10nmであった。また、触媒に担持されたロジウムの担持率は、約1%で、ロジウムは、図に示した通り、Rhの酸化物、又は還元されたRh(0)の状態であった。
【実施例2】
【0028】
本実施例では、溶媒として用いる二酸化炭素の圧力効果について、検討した。その結果を、図5に示す。これより、常圧の0.1MPaでは、転化率も10%程度で低く、1,5−ペンタンジオールの選択率も低く、その他のアルカン類が多く生成していることが分かった。一方、超臨界流体となる8MPa以上では、著しく1,5−ペンタンジオールの選択率が向上し、更に、12MPa以上では、ほぼ80%以上の転化率を誇る。しかも、1,5−ペンタンジオールの選択率は90%前後と高く、他の不純物の割合も少ない。
【0029】
この原因は、図6に示すように、約12MPaに曇り点があり、二酸化炭素に水素と基質が混合しているため、二酸化炭素の臨界圧力が大幅に上昇していることが大きな原因である。即ち、12MPa以下の場合、気液分離が起こるため、二酸化炭素に溶解している水素との反応が遅くなり、転化率が低くなったことが考えられる。また、均一相になる12MPa以上では、20MPa以下の18MPa程度までは、殆ど選択率に変化は無いものの、20MPa以上では、水酸基が一つ外れたペンタンジオールの割合が増える傾向が見られた。
【実施例3】
【0030】
本実施例では、水素圧力の効果を検討した。その結果を図7に示す。水素圧力が2MPaで有る場合は、1,5−ペンタンジオールの選択率は高いが、転化率が低い。そこで、圧力を上げていくと、8MPaでは、転化率は98%になったものの、1,5−ペンタンジオールの選択率は下がる。これは、1,5−ペンタンジオールが生成した後、更に水素により、水酸基が外れ、ペンタノールが生成していることが分かる。また、高圧側では、1,2−ペンタンジオールが得られることが分かった。
【実施例4】
【0031】
本実施例では、反応温度の効果を検討した。その結果を図8に示す。反応温度が、80℃から、転化率が上がり、100℃で96%の値を示した。更に、1,5−ペンタンジオールの選択率は、80℃の時が最も良く、収率は、100℃の時が最も良い。100℃以上になると、その他の化合物が得られることが明白で、最適な反応温度は、80℃から100℃程度で有ることが分かる。
【実施例5】
【0032】
本実施例では、反応時間について検討した。その結果を図9に示す。反応は2時間から24時間で1,5−ペンタンジオールの収率が上がる。一方で、それ以上では、1,5−プロパンジオールの収率が下がり、プロパノールの収率が上がる。よって、この場合は、24時間程度の反応が最も良く、更なる長時間の反応はあまり好適ではないことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上詳述したように、本発明は、水素化反応によるエーテル結合の還元によるアルコールの合成方法に係るものであり、本発明により、固体触媒を用いた還元反応を用いて、担持する金属ナノ粒子の種類を調整することで、特に、脂肪族系環状エーテル化合物からアルコールを合成することができる。また、本発明では、パラジウム及び/又はロジウム合金のナノ粒子、又はパラジウムとロジウムのナノ粒子の混合物を担持したメソポーラスシリカ又は無機酸化物を担体とする固体触媒を用いて、水素による還元反応により、対応するアルコールを製造することができる。また、本発明では、超臨界二酸化炭素を反応媒体として使用することにより、水素化反応により種々の置換基を有するフルフラール化合物を開環させ、対応するアルコールを合成することができ、特に、ヒドロキシフルフラールなどから、水素還元により開環して、ジオールを効率的に合成することが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素に対して0%モル以上、1000モル%以下の水を含み、圧力が、常圧(0.1MPa)以上20MPa以下で、温度が二酸化炭素の臨界温度以上である32℃以上、200℃以下の二酸化炭素を反応媒体として、パラジウム、ロジウムの少なくとも1種類以上からなるナノ粒子を担持したメソポーラスシリカを担体とする固体触媒を触媒に用いて、0.1MPa以上10MPa以下の圧力の水素を還元剤に用いたエーテル化合物の還元反応によるアルコールの製造方法。
【請求項2】
担持しているナノ粒子の大きさが、1nmから、10000nm(1μm)以下である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
ナノ粒子を構成する遷移金属元素として、パラジウムとロジウムの比が、パラジウム0%:ロジウム100%から、パラジウム100%:ロジウム0%の間のいずれかの比で構成される、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
パラジウムのナノ粒子、又はロジウムのナノ粒子、又はパラジウムとロジウムの合金のナノ粒子、又はパラジウムのナノ粒子とロジウムのナノ粒子が混合されたナノ粒子の担持率が、担体に対して、0.01重量%以上70重量%以下の固体触媒を用いる、請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
担体のメソポーラスシリカの細孔径が、2ナノメートル以上、50ナノメートル以下である、請求項1から4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
担体が、メソポーラスシリカ以外の物質であり、その物質が、アルミナ、カーボン、チタニア又はこれらの複合酸化物である、請求項1から5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
エーテル化合物が、環状エーテルとして、以下の化1〜化4(n=0、1、2、3、4、5、6、7の中から選ばれる0又は整数)のいずれか、
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

で表される、又は、これらの化合物を含有する混合物である、請求項1から6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
エーテル化合物が、以下の化5〜化8のいずれか、
【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

で表される、請求項1から7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
MCM−41を担体として、ロジウムナノ粒子を担持した触媒を用いる、請求項1から8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
エーテル化合物が、フラン化合物誘導体である、請求項1から9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
環状エーテル化合物が、グルコース、フルクトース、マルトース、スクロース、でんぷん、又はセルロースを含む糖類で有る、請求項1から10のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
MCM−41を担体として、あるいは、アルミナ、カーボン、チタニア又はこれらの複合酸化物を担体として、パラジウム及び/又はロジウムのナノ粒子を担持して構成された、エーテル結合の還元によるアルコール合成のための固体触媒。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図3】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−18760(P2013−18760A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155270(P2011−155270)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】