説明

水素含有水の製造方法

【課題】自然放置しても水中の水素が散逸して経時的に水素濃度が低下しにくい水素含有水を提供する。
【解決手段】水素含有水の製造方法。(1)ヒドロキシアパタイトの酸性水溶液を製造する工程、(2)工程(1)で製造した酸性水溶液とアルカリ水溶液を混合して、pHが5〜8の範囲である分散液を製造する工程、(3)工程(2)で製造した分散液において水の電気分解を行うことで水素含有水を得る工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素含有水の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素を多量に含む水が、癌その他の各種の病気の原因とされる活性酸素の消去に有効であるという発表がなされ、注目されている。活性水素を含む水、すなわち活性水素含有水は、活性酸素を消去する能力を有し、活性酸素による動物や植物への生理的悪影響を抑制することに起因する。
【0003】
活性水素含有水の製造方法としては、種々の方法が知られている(例えば、特許文献1〜4)。
【0004】
特許文献1に記載の方法は、浸水性の多孔質のセラミック製のケースに、飲料水と反応して水素ガスを発生するマグネシウム粒と銀粒を充填して水素豊富水生成器を構成する。この水素豊富水生成器を飲料水とともに容器に入れ、容器内で飲料水とマグネシウム粒とセラミックと銀粒を反応させ水素ガスを発生させ、容器内の飲料水を銀粒の作用で浄化するとともに水素を豊富に含み且つ抗菌作用を有する水素豊富水に変えるものである。
【0005】
特許文献2に記載の方法は、磁化処理した酸化マンガン−活性炭複合体又はその貴金属触媒添加物に原料水を接触させることにより活性水素含有水を製造するものである。
【0006】
特許文献3に記載の方法は、原料水を、疎水性材料からなるガス透過膜により原料水流通部と水素ガス流通部とに区画された水素ガス溶解モジュールの前記原料水流通部に供給すると共に、前記水素ガス溶解モジュールの前記水素ガス流通部に加圧した水素ガスを供給して、前記原料水に水素を溶解させ、その後、前記水素ガス溶解モジュールの前記原料水流通部から吐出される水素ガスが溶解した原料水を容器に充填して密封し、殺菌処理するものである。
【0007】
特許文献4に記載の方法は、セラミック材料で形成されたセラミック基材の内部に、粉末状の金属マグネシウムが閉じ込められた状態で焼結されている金属マグネシウム含有セラミック焼結体を用いる。セラミック基材は、多孔質構造になっており、金属マグネシウム含有セラミック焼結体を水中へ投入すると、金属マグネシウム含有セラミック焼結体の内部へ浸透した水が金属マグネシウムと反応して水素が発生するので、この水素によって水素含有水を生成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】2005−161209号公報
【特許文献2】2006−239480号公報
【特許文献3】2009−125654号公報
【特許文献4】2009−173532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記いずれの方法で製造された水素含有水も、自然放置することで、水中の水素が散逸して経時的に水素濃度が低下するものである。例えば、従来は、水素含有水をペットボトルで保存すると、水素が容器から容易に散逸し、ペットボトルでの保存は不可能と言われていた。
【0010】
本発明の目的は、自然放置しても水中の水素が散逸して経時的に水素濃度が低下しにくい水素含有水を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は以下の通りである。
[1]
(1)カルシウムおよびマグネシウムの少なくもと一方のリン酸塩の酸性水溶液を製造する工程、
(2)工程(1)で製造した酸性水溶液とアルカリ水溶液を混合して、pHが5〜8の範囲である分散液を製造する工程、
(3)工程(2)で製造した分散液において水の電気分解を行うことで水素含有水を得る工程、
を含む水素含有水の製造方法。
[2]
工程(1)におけるリン酸塩の酸性水溶液は、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム及び酸化マグネシウムの少なくもと1種の水分散液とリン酸水溶液を混合し、得られた水分散液に有機酸を混合して得られる[1]に記載の製造方法。
[3]
工程(2)において製造される分散液は、pHが6.5〜8の範囲である[1または2に記載の製造方法。
[4]
工程(2)において製造される分散液は、カルシウム含有量が0〜5g/リットルの範囲、マグネシウム含有量が0〜5g/リットルの範囲、カルシウムとマグネシウムの合計含有量が0.1〜5g/リットルの範囲である[2または3に記載の製造方法。
[5]
工程(3)における電気分解は、工程(2)で製造した分散液に陰極及び陽極を浸漬して行う[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]
工程(3)における電気分解は、陰極の酸化還元電位が-500mV以下になるまで行う[5]に記載の製造方法。
[7]
水素含有水は、分散物に水素分子(H2)が吸着したコロイド状物を含有した物である[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]
分散物は、コロイド状ヒドロキシアパタイトである[7]に記載の製造方法。
[9]
水素含有水の水素含有量は0.1〜1mg/リットルの範囲である[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法。
[10]
工程(3)で得られた水素含有水を10〜1000倍に希釈して、水素含有量が0.05〜0.3mg/リットルの範囲である飲用の水素含有水を得る[1]〜[9]のいずれかに記載の製造方法。
[11]
工程(3)において製造された分散液を10〜1000倍に希釈した後に、再度、水の電気分解を行い、水素含有量が0.05〜0.3mg/リットルの範囲である飲用の水素含有水を得る[1]〜[9]のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、例えば、ペットボトルで保存しても、水中の水素が散逸し時的に水素濃度が低下しにくい水素含有水を提供することができる。また、その製造方法で得られる水素含有水は、煮沸殺菌しても水素濃度が低下しにくいという効果も奏する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、水素含有水の製造方法に関する。本発明の製造方法は、以下の工程(1)〜(3)を含む。
(1)カルシウムおよびマグネシウムの少なくもと一方のリン酸塩の酸性水溶液を製造する工程、
(2)工程(1)で製造した酸性水溶液とアルカリ水溶液を混合して、pHが5〜8の範囲である分散液を製造する工程、
(3)工程(2)で製造した分散液において水の電気分解を行うことで水素含有水を得る工程
【0014】
工程(1)
工程(1)では、カルシウムおよびマグネシウムの少なくもと一方のリン酸塩の酸性水溶液を製造する。カルシウムのリン酸塩は、例えば、ヒドロキシアパタイトの酸性水溶液であることができ、例えば、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、炭酸カルシウム(CaCO3)及び酸化マグネシウム(MgO)の水分散液とリン酸(H3PO4)水溶液を混合し、得られた水分散液に有機酸を混合して得られる。水酸化カルシウム、炭酸カルシウム及び酸化マグネシウムの混合比(質量比)は、例えば、0〜5:0〜1:0〜5の範囲であることができる。但し、水酸化カルシウム及び炭酸カルシウムの合計に対する酸化マグネシウムの混合比(質量比)は、例えば、1〜6:0〜5の範囲であることができる。また、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム及び酸化マグネシウムの水分散液(リン酸との混合前)の固形分濃度は、例えば、10〜250g/Lの範囲とすることができ、好ましくは50〜200g/Lの範囲とすることができる。
【0015】
リン酸水溶液(カルシウム等との混合前)は、リン酸濃度が50〜500g/Lの範囲とすることができ、好ましくは100〜500g/Lの範囲とする。水酸化カルシウム、炭酸カルシウム及び酸化マグネシウムの水分散液とリン酸水溶液との混合比は、ヒドロキシアパタイトがCa10(PO4)6(OH)2の組成を有することを考慮するとカルシウムとリン酸のモル比が10:6の近傍になるように設定することが適当である。但し、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、炭酸カルシウム(CaCO3)に加えて、酸化マグネシウム(MgO)を併用する場合は、ヒドロキシアパタイトに加えて、マグネシウムのリン酸塩も生成し、共存している場合がある。
【0016】
また、上記リン酸塩はマグネシウムのリン酸塩であることもでき、その場合は、酸化マグネシウム(MgO)の水分散液とリン酸(H3PO4)水溶液を混合し、得られた水分散液に有機酸を混合して得られる。酸化マグネシウムの水分散液(リン酸との混合前)の固形分濃度は、例えば、10〜200g/Lの範囲とすることができ、好ましくは50〜150g/Lの範囲とする。リン酸水溶液(マグネシウム等との混合前)は、リン酸濃度が50〜500g/Lの範囲とすることができ、好ましくは100〜500g/Lの範囲とする。
【0017】
有機酸は水溶液として添加することが適当である。有機酸水溶液の濃度は、5〜20質量%の範囲であることができる。有機酸としては、例えば、クエン酸、乳酸等及びそれらの水溶性の塩(例えば、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩)などから選択することができる。有機酸水溶液は、有機酸が上記水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、炭酸カルシウム(CaCO3)及び/又は酸化マグネシウム(MgO)に対して、例えば、質量比(有機酸/塩)が、例えば、5〜20:1の範囲になるように調整する。
【0018】
上記水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、炭酸カルシウム(CaCO3)及び/又は酸化マグネシウム(MgO)の水分散液にリン酸(H3PO4)水溶液を混合し、さらに有機酸水溶液を添加してカルシウムおよびマグネシウムの少なくもと一方のリン酸塩の酸性水溶液を製造する。工程(1)で得られる酸性水溶液の各成分の濃度は、例えば、カルシウム及びマグネシウムの濃度が、0.2〜10g/Lの範囲、リン酸濃度が10〜50g/Lの範囲、有機酸濃度が10〜100g/Lの範囲であることができる。
【0019】
工程(2)
工程(2)では、工程(1)で製造した酸性水溶液とアルカリ水溶液を混合して、pHが5〜8の範囲である分散液を製造する。分散液のpHは、pH試験紙で測定することが、共存イオンの影響を排除して正確なpHを測定できるという観点から適当である。この溶液系では、pHメーターでは測定不能であることがあり、pH試験紙での測定が適当である。工程(2)において製造される分散液は、pHが6.5〜8の範囲であることが、飲料として提供するという観点から適当である。
【0020】
工程(2)において製造される分散液は、例えば、カルシウム含有量が0〜5g/Lの範囲であり、マグネシウム含有量が0〜5g/Lの範囲、カルシウムとマグネシウムの合計含有量が0.1〜5g/Lの範囲であるように、工程(1)で製造した酸性水溶液とアルカリ水溶液の濃度を適宜調整する。
【0021】
工程(3)
工程(3)では、工程(2)で製造した分散液において水の電気分解を行うことで水素含有水を得る。工程(3)における電気分解は、工程(2)で製造した分散液に陰極及び陽極を浸漬して行う。陰極及び陽極は、不活性な電極を用いれば良く、例えば、白金や炭素電極を用いることかできる。陰極及び陽極の電圧は、水の電気分解に適した値に設定すれば良い。電流は、電極の面積や溶液量等を考慮して適宜設定できる。電解時間は、溶液量および溶液中の成分量、電解後の水素含有量等を考慮して適宜設定できる。例えば、1〜200分程度である。
【0022】
工程(3)における電気分解は、陰極の酸化還元電位が-500mV以下になるまで行う。陰極の酸化還元電位が-500mV以下になるまで行うことで、所望量の水素含有量を含む水溶液が得られる。本発明の製造方法で得られる水素含有水は、分散物に水素分子(H2)が吸着したコロイド状物を含有した物であり、分散物は、例えば、コロイド状ヒドロキシアパタイトやコロイド状のマグネシウムのリン酸塩であると推察される。
【0023】
本発明の製造方法によれば、例えば、0.1〜1mg/リットルの範囲の水素含有量の水素含有水を製造することができる。尚、製造した水素含有水の水素含有量(濃度)の測定は、実施例でも示すように、共栄電子研究所製KM2100DH(電極は隔膜式ポーラロ方式、溶存水素を定量的に測定する)を用いて測定することができる。
【0024】
上記水素含有水は、比較的高濃度の水素含有量であるため、飲用とするためには、例えば、10〜1000倍に希釈して、水素含有量が0.05〜0.3mg/リットルの範囲である飲用の水素含有水を得ることもできる。
【0025】
また、工程(3)において製造された分散液を10〜1000倍に希釈した後に、再度、水の電気分解を行い、水素含有量が0.05〜0.3mg/リットルの範囲である飲用の水素含有水を得ることもできる。再度の水の電気分解は、電圧および電流値の条件は、工程(3)における電気分解と同様にすることができるが、時間は短時間で良く、例えば、1〜10分間とすることができる。また、飲用とするために、上記希釈後に衛生法で定められた煮沸殺菌(例えば、85℃、40分間)をすることもでき、煮沸殺菌の前または後に、上記再度の水の電気分解を行うことができる。本発明の製造方法で得られる水素含有水は上記の煮沸殺菌を行っても、水素含有量が大きく低下することがないという特徴も有する。
【実施例】
【0026】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
【0027】
実施例1
水素含有水の製造方法
以下の操作は全て室温で行った。
【0028】
工程(1)
以下に(A)で示す成分からなる白濁分散液を調製した。この分散液に(B)で示す成分からなるH3PO4水溶液を混合し、反応させた。混合すると溶液は一時的に透明になるが、最終的に白濁状態になり、極めて細かな粒子の分散状態が得られ、ヒドロキシアパタイトの分散液を得た(1000g)。さらに、(C)で示す成分からなるクエン酸水溶液を上記(A)と(B)の混合液であるヒドロキシアパタイトの分散液に添加すると、白濁液は透明なコロイド液になった。コロイド液(ヒドロキシアパタイトの酸性水溶液)(1)の総計は5000gであった。
【0029】
(A)白濁分散液
CaCO3 8.5 g
Ca(OH)2 40.0 g
MgO 8.5 g
精製水 443.0 g
小計 500 g
【0030】
(B)H3PO4水溶液
3PO4 220.0 g
精製水 280.0 g
小計 500 g
【0031】
(C)クエン酸水溶液
クエン酸 390.0 g
精製水 3610.0 g
小計 4000 g
【0032】
工程(2)
(D)で示す成分からなるアルカリ水溶液に上記(1)液を少量添加すると白濁の分散液になり直ちに透明液になる。続けて添加して6.5pH(試験紙)になるまで添加をした。結果的に、(1)液を5000g添加したところで、6.5pH(試験紙)になった。得られた水溶液(2)の総合計は、10000gであった。
【0033】
(D)アルカリ水溶液
KOH 200.0 g
NaOH 180.0 g
精製水 4620.0 g
小計 5000 g
【0034】
工程(3)
次いで、上記水溶液(2)に5〜15Vで10Aの直流を流して水の電気分解を100分間行った。
【0035】
この電解では、陰極から発生したH2は、溶液中に存在するコロイド粒子に吸着して、粒子全体を覆っているものと推察される。更に陽極から発生したプロトン(H+)が吸着して、コロイド粒子全体がプラスの荷電を持つので、クエン酸のマイナス基が付着して、所謂電気二重層を形成しているものと推察される。分散媒は水酸イオン(OH-)であり、コロイド粒子は電気二重層による効果で、陰極で発生したマイナスイオンで覆われるものと推察される。従って、沈殿も無く透明性のある水素含有水溶液ができたのである。但し、本発明者は理論に拘泥する意図はなく、本発明は、事実として安定な水素含有水が提供できることを示すものである。
【0036】
上記水溶液(2)の水素含有量および電解後の溶液中の水素含有量を共栄電子研究所製KM2100DH(電極は隔膜式ポーラロ方式、溶存水素を定量的に測定する)を用いて測定した。測定結果は以下の表1に示す。尚、通電時間100分で水素含有量はほぼ飽和状態であった。
【0037】
【表1】

【0038】
希釈試験
上記水溶液(2)(電解後) (溶存水素量0.6mg/L)を水で100倍希釈した。得られた100倍希釈液(溶存水素量0.006mg/L)に対して5〜15V、10Aの通電を5分間行ったところ、溶存水素量は0.1mg/Lであった。
【0039】
上記水溶液(2)(電解後)(溶存水素量0.6mg/L)を水で100倍希釈した。得られた100倍希釈液(溶存水素量0.006mg/L)を85℃、40分煮沸した後に、5〜15V、10Aの通電を5分間行ったところ、溶存水素量は0.1mg/Lであった。
【0040】
保存安定性試験
上記水溶液(溶存水素量0.1mg/L)500mLを500mLのペットボトルに充填して、室内に自然放置した。その結果、6ケ月後でも残存水素量は0.09mg/Lであった。
【0041】
実施例2
水素含有水の製造方法
実施例1と同様にして以下の(A)〜(D)の分散液または水溶液を用いて水溶液(2)を調製した。
【0042】
(A)白濁分散液
MgO 36.0 g
精製水 464.0 g
小計 500 g
【0043】
(B)H3PO4水溶液
3PO4 200.0 g
精製水 300.0 g
小計 500 g
【0044】
(C)クエン酸水溶液
クエン酸 360.0 g
精製水 3640.0 g
小計 4000 g
【0045】
(D)アルカリ水溶液
KOH 170.0 g
NaOH 130.0 g
精製水 4700.0 g
小計 5000 g
【0046】
工程(3)において、上記水溶液(2)に5〜15Vで10Aの直流を流して水の電気分解を100分間行った。上記水溶液(2)の水素含有量および電解後の溶液中の水素含有量を、実施例1と同様に測定し、結果は以下の表2に示す。
【0047】
【表2】

【0048】
希釈試験
上記水溶液(2)(電解後)(溶存水素量0.56mg/L)を水で100倍希釈した。得られた100倍希釈液(溶存水素量0.0056mg/L)に対して5〜15V、10Aの通電を5分間行ったところ、溶存水素量は0.1mg/Lであった。
【0049】
上記水溶液(2)(電解後)(溶存水素量0.56mg/L)を水で100倍希釈した。得られた100倍希釈液(溶存水素量0.0056mg/L)を85℃、40分煮沸した後に、5〜15V、10Aの通電を5分間行ったところ、溶存水素量は0.1mg/Lであった。
【0050】
保存安定性試験
上記水溶液(溶存水素量0.1mg/L)500mLを500mLのペットボトルに充填して、室内に自然放置した。その結果、6ケ月後でも残存水素量は0.09mg/Lであった。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の方法で得られる溶存水素水は、健康飲料として飲用でき、食用から飲用可能な飲料ができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)カルシウムおよびマグネシウムの少なくもと一方のリン酸塩の酸性水溶液を製造する工程、
(2)工程(1)で製造した酸性水溶液とアルカリ水溶液を混合して、pHが5〜8の範囲である分散液を製造する工程、
(3)工程(2)で製造した分散液において水の電気分解を行うことで水素含有水を得る工程、
を含む水素含有水の製造方法。
【請求項2】
工程(1)におけるリン酸塩の酸性水溶液は、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム及び酸化マグネシウムの少なくもと1種の水分散液とリン酸水溶液を混合し、得られた水分散液に有機酸を混合して得られる請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
工程(2)において製造される分散液は、pHが6.5〜8の範囲である請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
工程(2)において製造される分散液は、カルシウム含有量が0〜5g/リットルの範囲、マグネシウム含有量が0〜5g/リットルの範囲、カルシウムとマグネシウムの合計含有量が0.1〜5g/リットルの範囲である請求項2または3に記載の製造方法。
【請求項5】
工程(3)における電気分解は、工程(2)で製造した分散液に陰極及び陽極を浸漬して行う請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
工程(3)における電気分解は、陰極の酸化還元電位が-500mV以下になるまで行う請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
水素含有水は、分散物に水素分子(H2)が吸着したコロイド状物を含有した物である請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
分散物は、コロイド状ヒドロキシアパタイトである請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
水素含有水の水素含有量は0.1〜1mg/リットルの範囲である請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
工程(3)で得られた水素含有水を10〜1000倍に希釈して、水素含有量が0.05〜0.3mg/リットルの範囲である飲用の水素含有水を得る請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
工程(3)において製造された分散液を10〜1000倍に希釈した後に、再度、水の電気分解を行い、水素含有量が0.05〜0.3mg/リットルの範囲である飲用の水素含有水を得る請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。

【公開番号】特開2012−61418(P2012−61418A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207416(P2010−207416)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【特許番号】特許第4696178号(P4696178)
【特許公報発行日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(505001306)
【Fターム(参考)】