説明

水素吸蔵合金及びこの水素吸蔵合金を用いたニッケル水素二次電池

【課題】電池の高容量化及びサイクル寿命特性の向上の両立を図ることができる水素吸蔵合金を提供する。
【解決手段】本発明の水素吸蔵合金は、希土類−Ca−Mg−Ni系の水素吸蔵合金であって、A27相を主相として備え、主相のAサイトは、希土類元素、Ca及びMgを含み、主相のBサイトは、Niを含み、希土類元素は、Pr,Nd及びSmのうちの少なくとも1種である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素吸蔵合金及びこの水素吸蔵合金を用いたニッケル水素二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
ニッケル水素二次電池は、ニッケルカドミウム二次電池に比べて高容量で、且つ環境安全性にも優れているという点から、各種のポータブル機器やハイブリッド電気自動車等、さまざまな用途に使用されるようになっている。
【0003】
このニッケル水素二次電池の負極に用いられる水素吸蔵合金としては、例えば、AB5相を主相とする構造の希土類−Ni系水素吸蔵合金、即ち、LaNi5系水素吸蔵合金が一般的に使用されている。
しかし、この水素吸蔵合金は、水素吸蔵能力が必ずしも十分ではなく、この水素吸蔵合金を負極に用いたニッケル水素二次電池の場合、更なる高容量化が困難であった。このため、ニッケル水素二次電池の更なる高容量化を図るべく、水素吸蔵合金の水素吸蔵能力の向上が望まれている。
【0004】
ここで、水素吸蔵能力を向上させた水素吸蔵合金としては、例えば、特許文献1に示される水素吸蔵合金が知られている。この水素吸蔵合金は、希土類−Ni系水素吸蔵合金が含有する希土類元素の一部をMg及びCaで置換した希土類−Ca−Mg−Ni系水素吸蔵合金である。この希土類−Ca−Mg−Ni系水素吸蔵合金内には、原子半径が比較的大きな元素であるCaが存在するので、隣接する元素間の隙間、即ち、結晶格子中の隙間を大きく確保でき、これら隙間に水素をより多く吸蔵することができる。このため、希土類−Ca−Mg−Ni系水素吸蔵合金は、従来の希土類−Ni系水素吸蔵合金よりも多量に水素を吸蔵できるので、ニッケル水素二次電池の負極に用いた場合、その電池の高容量化に寄与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−217643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の希土類−Ca−Mg−Ni系水素吸蔵合金は、AB3相を主相としている。この主相は、水素の吸蔵時における結晶格子の膨張にともない結晶構造に歪みが生じやすい。そして、水素の吸蔵及び放出が繰り返され、前記歪みの残留量が増加すると結晶格子自体が水素を放出できない形態となってしまい、合金から水素を放出させることが困難となる。
【0007】
一方、Caによりもたらされる結晶格子中の大きな隙間は、吸蔵した水素を安定化させやすい。安定化した水素は、合金から放出させるのが困難となるため、水素の吸蔵及び放出を繰り返していくと、放出できない水素が合金中に蓄積されていき、次第に放出できる水素の量が減っていく。
【0008】
以上のように、上記の希土類−Ca−Mg−Ni系水素吸蔵合金は、水素の吸蔵量を多くできるものの、水素の吸蔵及び放出を繰り返していくと、吸蔵された水素の放出が困難となりやすい。つまり、水素の吸蔵及び放出の繰り返しによる劣化が起こりやすい。従って、この水素吸蔵合金を負極要素に用いた電池では、高容量化は図れるが、サイクル寿命が短いという問題がある。
【0009】
本発明は、希土類−Ca−Mg−Ni系水素吸蔵合金を負極要素に備えたニッケル水素二次電池における上記のような問題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、電池の高容量化及びサイクル寿命特性の向上の両立を図ることができる水素吸蔵合金及びこの水素吸蔵合金を用いたニッケル水素二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明によれば、希土類−Ca−Mg−Ni系の水素吸蔵合金であって、A27相を主相として備え、前記主相のAサイトは、希土類元素、Ca及びMgを含み、前記主相のBサイトは、Niを含み、前記希土類元素は、Pr,Nd及びSmのうちの少なくとも1種であることを特徴とする水素吸蔵合金が提供される(請求項1)。
【0011】
好ましくは、前記主相の結晶構造は、Ce2Ni7型及びGd2Co7型のうちの一方である構成とする(請求項2)。
【0012】
また、本発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の水素吸蔵合金を含む負極要素を備えることを特徴とするニッケル水素二次電池が提供される(請求項3)。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る水素吸蔵合金は、A27相を主相とし、前記主相のAサイトに希土類元素、Ca及びMgを含み、前記主相のBサイトにNiを含み、前記希土類元素がPr,Nd及びSmのうちの少なくとも1種である構成を有しており、この構成により、水素の吸蔵量を高めつつ、水素の吸蔵放出を繰り返しても水素の放出が阻害されることを抑制できる。また、この水素吸蔵合金を含む負極要素を備える本発明のニッケル水素二次電池は、高容量で、且つ、サイクル寿命特性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】開放型のニッケル水素二次電池の概略構成を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係る水素吸蔵合金は、A27相を主相とする希土類−Ca−Mg−Ni系水素吸蔵合金である。このA27相は、そのAサイトに、希土類元素、カルシウム、マグネシウムを含み、Bサイトにニッケルを含んでいる。そして、前記希土類元素としては、Pr、Nd及びSmのうちの少なくとも1種が含まれている。
【0016】
ここで、A27相は、AB2相とAB5相とがAB2:AB5=1:2の比で配列された基本ユニットが繰り返し積層されてなる積層構造をなしている。このAB2相は、水素の吸蔵量が多いものの結晶構造が歪みやすい。一方、AB5相は、結晶構造が歪みにくく、水素の吸蔵放出が安定している。本発明に係る水素吸蔵合金は、これらAB2相とAB5相とが上記した比で含まれていることから、AB2相の歪みやすさがAB5相により緩和されており、全体としてバランスのとれた歪みにくい構造となっていると考えられる。よって、本発明に係る水素吸蔵合金は、水素の吸蔵放出を繰り返しても、結晶構造が歪むことによる劣化を抑制することができる。
【0017】
また、本発明に係る水素吸蔵合金は、Ca及びMgと組み合わせる希土類元素として、Pr、Nd及びSmのうちの少なくとも1種を採用していることから、Caを添加したことにより水素の吸蔵量が高められるというメリットを得つつ、水素が安定化し過ぎて放出できなくなる不具合の発生を抑制することができる。
【0018】
ここで、Pr、Nd及びSmのうちの少なくとも1種を含有させると、吸蔵された水素が安定化し過ぎることを抑制することができるのは、以下の理由によるものと考えられる。
【0019】
水素吸蔵合金は、結晶格子を構成する元素間の距離が広がって結晶格子中に隙間が生じると、この隙間において水素が吸蔵されるが、この隙間が大きいほど水素が安定化しやすい。一方、この隙間が小さいと水素の吸蔵量の向上が図れない。希土類−Ca−Mg−Ni系水素吸蔵合金においては、Ca及びMgと組み合わされる希土類元素によって、前記隙間の大きさが決まると考えられる。Ca及びMgと組み合わされる希土類元素として、Pr、Nd及びSmからなる群から選ばれる少なくとも1種を採用すると、結晶格子の元素間の距離を制御することができ、必要以上に大きな隙間を形成することを抑制できると考えられる。つまり、Pr、Nd及びSmからなる群から選ばれる少なくとも1種を採用することにより、比較的多い水素吸蔵量を確保しつつ、水素吸蔵合金内での水素の過剰な安定化を抑制できる適当な大きさの隙間を形成できると考えられる。
【0020】
ここで、希土類元素の中でも原子半径が比較的大きなLa、Ceや逆に原子半径が比較的小さいYは、Ca及びMgと組み合わせても、適当な大きさの隙間が得られず、水素吸蔵量の向上と水素の安定化の抑制とを両立させることはできない。このため、Ca及びMgと組み合わせる希土類元素としては、Pr、Nd及びSmのうちの少なくとも1種が選ばれる。好ましくは、Pr及びNdのうちの少なくとも1種が選ばれる。また、水素吸蔵量の向上と水素の安定化の抑制とを両立させる効果をより高めるためには、希土類元素に占めるPr、Nd及びSmの割合が多いほどよく、Pr、Nd及びSm以外のLaなどの希土類元素を含まないことが好ましい。希土類元素としてのPr、Nd及びSmの含有量は、希土類元素、Ca及びMgの各原子数の総和に対して20原子%以上80原子%以下とすることが好ましい。
【0021】
本発明に係る水素吸蔵合金は、そこに含まれるCaが多すぎると腐食されやすく、逆に少なすぎるとCa添加による高容量化の効果が得られないため、Caの含有量は、希土類元素、Ca及びMgの各原子数の総和に対して10原子%以上30原子%以下とすることが好ましい。
【0022】
また、本発明に係る水素吸蔵合金は、そこに含まれるMgが多すぎても少なすぎてもA27相を得ることができない。よって、Mgの含有量は、希土類元素、Ca及びMgの各原子数の総和に対して10原子%以上30原子%以下とすることが好ましい。
【0023】
更に、本発明に係る水素吸蔵合金において、A27相を主相として得るためには、希土類元素、Ca及びMgの原子数の総和を1とした場合、Niの原子数の比は、3.2〜3.6とすることが好ましい((希土類元素+Ca+Mg):Ni=1:3.2〜3.6)。より好ましいNiの原子数の比は、3.5である((希土類元素+Ca+Mg):Ni=1:3.5)。
【0024】
また、本発明に係る水素吸蔵合金は、主相の結晶構造が、Ce2Ni7型及びGd2Co7型のうちの一方であることが好ましい。本発明に係る水素吸蔵合金としては、Ce2Ni7型又はGd2Co7型の構造が得られる範囲であれば、他の元素によってNiの一部を置換してもよい。ここで、置換元素としては、具体的には、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Mn、Fe、Co、Zn、Al、Ga、Sn、In、Cu、Si、P、Bが挙げられる。置換量は、希土類元素、Ca及びMgの原子数の総和を1とした場合、Niを置換する元素の原子数の比は0.0以上、0.3以下である((希土類+Ca+Mg):置換元素=1:0.0〜0.3)。
【0025】
次に、本発明の水素吸蔵合金は、例えば以下のようにして得られる。
まず、所定の組成となるよう金属原材料を秤量して混合し、この混合物を例えば高周波誘導溶解炉で溶解したのち冷却してインゴットにする。得られたインゴットに対し、不活性ガス雰囲気下にて900〜1200℃に加熱し5〜24時間保持する熱処理を施すことにより本発明の水素吸蔵合金が得られる。この後、前記インゴットを粉砕し、篩分けにより所望粒径に分級して、水素吸蔵合金粒子とする。
【実施例】
【0026】
(1)水素吸蔵合金電極(負極)の作製及びこの負極を用いたニッケル水素二次電池の作製
【0027】
実施例1
Pr、Ca、Mg及びNiを所定の組成となるように秤量して混合し、得られた混合物をアルゴンガス雰囲気中で高周波誘導溶解炉にて溶解し、溶湯を鋳型に流し込み、室温まで冷却して水素吸蔵合金のインゴットを得た。
そして、この水素吸蔵合金のインゴットに対し、アルゴンガス雰囲気中において1000℃に加熱し10時間保持する熱処理を施した。
【0028】
ついで、熱処理後のインゴットをアルゴンガス雰囲気下で機械的に粉砕することにより、平均粒径が60μmである希土類−Ca−Mg−Ni系の水素吸蔵合金粉末を得た。
得られた水素吸蔵合金粉末1重量部と、導電剤として平均粒径2.5μmのニッケル粉末3重量部とを混合し、得られた混合物を加圧成型して1gのペレット状の水素吸蔵合金負極14を作製した。
【0029】
次に、水素吸蔵合金の電気化学容量(合金容量)を測定するために、図1に示す開放型の液リッチなニッケル水素二次電池10を作製した。なお、このニッケル水素二次電池10は、負極容量規制である。また、図1から明らかなように、このニッケル水素二次電池10は、ポリプロピレン製の容器12を備えており、この容器12内に上記したようにして得られた水素吸蔵合金の負極14と、この負極14近傍の位置に酸化水銀電極からなる参照極16とを配置した。更に、これら負極14及び参照極16を囲むようにして筒形状をなす正極18を配置した。この正極18は、負極14に対して十分大きな容量を有する焼結式ニッケル正極からなる。そして、これら負極14、参照極16、正極18が完全に浸かるように7NのKOH溶液からなるアルカリ電解液20を容器12内に注入し、開放型のニッケル水素二次電池10を作製した。なお、図1中の参照符号22、24、26は、負極14、参照極16、正極18それぞれに接続されたリードを表し、これらリード22、24、26は、図示しない充電用電源、測定機器等に接続されている。
【0030】
実施例2
Prの代わりにNdを用いたこと以外は実施例1と同様な水素吸蔵合金負極を作製した。そして、このようにして得られた負極を用いたこと以外は、実施例1と同様にして開放型のニッケル水素二次電池10を作製した。
【0031】
実施例3
Prの代わりにSmを用いたこと以外は実施例1と同様な水素吸蔵合金負極を作製した。そして、このようにして得られた負極を用いたこと以外は、実施例1と同様にして開放型のニッケル水素二次電池10を作製した。
【0032】
比較例1
Prの代わりにLaを用いたこと以外は実施例1と同様な水素吸蔵合金負極を作製した。そして、このようにして得られた負極を用いたこと以外は、実施例1と同様にして開放型のニッケル水素二次電池10を作製した。
【0033】
比較例2
Prの代わりにCeを用いたこと以外は実施例1と同様な水素吸蔵合金負極を作製した。そして、このようにして得られた負極を用いたこと以外は、実施例1と同様にして開放型のニッケル水素二次電池10を作製した。
【0034】
比較例3
Prの代わりにYを用いたこと以外は実施例1と同様な水素吸蔵合金負極を作製した。そして、このようにして得られた負極を用いたこと以外は、実施例1と同様にして開放型のニッケル水素二次電池10を作製した。
【0035】
(2)水素吸蔵合金の評価
(i)組成分析
各実施例及び各比較例における熱処理後の水素吸蔵合金インゴットから組成分析用の試料を予め採取しておき、この試料に対し高周波プラズマ分光分析法(ICP)による組成分析を行った。その結果を水素吸蔵合金の組成として表1に示した。
【0036】
(ii)結晶構造の分析
各実施例及び各比較例の水素吸蔵合金粉末から予め結晶構造分析用の試料を採取しておき、この試料に対してX線回折測定(XRD測定)を行った。その結果、各実施例及び各比較例の水素吸蔵合金の主相の結晶構造は、全てGd2Co7型であった。
【0037】
(3)ニッケル水素二次電池の評価
(i)得られた開放型の負極容量規制のニッケル水素二次電池10に対し、温度25℃において、水素吸蔵合金1gに対して300mAの電流で210分間充電し、その後10分間休止したのち、充電時と同じ電流で参照極16(酸化水銀電極)に対する負極14の電圧が−0.7Vになるまで放電し、その後10分間休止することを1サイクルとする操作を50回繰り返し行った。そして、サイクル毎の放電容量を測定し、この測定値をサイクル容量とした。ここで、全サイクル容量のうちの最大値である最大容量を水素吸蔵合金1g当たりに換算して合金容量として表1に示した。また、50サイクル目のサイクル容量を50サイクル容量とした。そして、(I)式で示される最大容量に対する50サイクル容量の比(容量維持率)を求めた。その結果を50サイクル後の容量維持率として表1に示した。
50サイクル後の容量維持率(%)=(50サイクル容量/最大容量)×100・・・(I)
【0038】
【表1】

【0039】
(4)表1より次のことが明らかである。
(i)実施例1〜3の水素吸蔵合金は、合金容量及び50サイクル後の容量維持率がともに高い値を示している。このことから、水素吸蔵量が多く、しかも、充放電を繰り返しても容量が低下する割合が低いのでサイクル寿命が長いことがわかる。つまり、本願の水素吸蔵合金は、ニッケル水素二次電池に使用した場合、電池の高容量化及びサイクル寿命特性の向上の両立を図ることができる優れた特性を有しているといえる。
【0040】
これは、実施例1〜3の水素吸蔵合金は、Ca及びMgと組み合わされる希土類元素としてPr、Nd及びSmのうちの少なくとも1種を用いているため、結晶格子の隙間を適当な大きさに保持できたため、水素の吸蔵量を増加させつつ、水素の安定化を抑制して、サイクル数が進んでも水素の放出量を高く維持できているためと考えられる。その結果、電池の容量を高く維持でき、しかもサイクル寿命を延ばすことができたものと考えられる。
【0041】
(ii)比較例1の水素吸蔵合金は、合金容量は高い値を示しているが、50サイクル後の容量維持率は低い値を示している。
これは、希土類元素としてLaを選択すると、水素吸蔵量は増やすことができるので、合金容量を高くできるが、吸蔵した水素が安定化しやすく、サイクル数が進むにつれて水素の放出が困難になるため、容量維持率が低下したものと考えられる。
【0042】
(iii)比較例2の水素吸蔵合金は、合金容量は低い値を示しているが、50サイクル後の容量維持率は、高い値を示している。
これは、希土類元素としてCeを選択すると、吸蔵した水素の安定化を抑制することができ、サイクル数が進んでも水素の放出を容易に行えるので、容量維持率は高められるが、水素吸蔵量は増やせないため、合金容量が低い値となっていると考えられる。
【0043】
(iv)比較例3の水素吸蔵合金は、合金容量、50サイクル後の容量維持率ともに低い値を示している。
これは、希土類元素としてYを選択すると、水素吸蔵量を増加させることはできないとともに、吸蔵した水素が安定化しやすくなっているためと考えられる。
【0044】
(v)以上より、比較例1〜3のように、Pr、Nd及びSm以外の希土類元素を含む水素吸蔵合金を用いると、ニッケル水素二次電池の高容量化及びサイクル寿命特性の向上の両立を図ることはできない。
このことからも、本発明の水素吸蔵合金のように、希土類元素としてPr、Nd及びSmのうちの少なくとも1種を含む構成とすることが、ニッケル水素二次電池の高容量化及びサイクル寿命特性の向上の両立に有効であることがわかる。
【0045】
なお、本発明は、上記した実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明に係る水素吸蔵合金を含む負極要素を用いるニッケル水素二次電池としては、上記した開放型のニッケル水素二次電池に限られるものではなく、密閉型のニッケル水素二次電池に用いても構わない。
【符号の説明】
【0046】
10 開放型のニッケル水素二次電池
12 容器
14 負極
16 参照極
18 正極
20 アルカリ電解液
22、24、26 リード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
希土類−Ca−Mg−Ni系の水素吸蔵合金であって、
27相を主相として備え、
前記主相のAサイトは、希土類元素、Ca及びMgを含み、
前記主相のBサイトは、Niを含み、
前記希土類元素は、Pr,Nd及びSmのうちの少なくとも1種である
ことを特徴とする水素吸蔵合金。
【請求項2】
前記主相の結晶構造は、
Ce2Ni7型及びGd2Co7型のうちの一方である
ことを特徴とする請求項1に記載の水素吸蔵合金。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の水素吸蔵合金を含む負極要素を備えることを特徴とするニッケル水素二次電池。

【図1】
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【公開番号】特開2013−100585(P2013−100585A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245556(P2011−245556)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(510206213)FDKトワイセル株式会社 (36)
【Fターム(参考)】