説明

水素検知用光ファイバ及びその製造方法、並びにこれを用いた水素検知システム

【課題】広範囲で且つ空間的に連続的な水素濃度分布を計測するのに適した水素検知用光ファイバ及びその製造方法を提供する。併せて従来技術よりも量産性及び信頼性の点で優れた効果を発揮し、更にはこの水素検知用光ファイバの特徴を最も有効に活用できる水素検知システムを提供する。
【解決手段】コア11とクラッド12とを有する石英系光ファイバ10と、石英系光ファイバ10のクラッド12表面の外周を囲むように、パラジウム微粒子を溶媒に分散してなるペーストを塗布、焼結して形成された水素感応膜としてのパラジウム含有被覆層13と、を備えた水素検知用光ファイバ1及びその製造方法、並びにこれを用いた水素検知システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔で広範囲な水素濃度計測に有利な分布型水素検知に適した水素検知用光ファイバ及びその製造方法、並びにこれを用いた水素検知システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
循環型のクリーンな次世代エネルギ源として水素が有望視されており、水素の製造・輸送・貯蔵・利用技術が盛んに研究されている。しかし、水素は着火エネルギがメタンの1/15であり、また燃焼範囲は4〜75vol.%と非常に広いうえ燃焼速度も速い。このため、安全性を確保するための水素濃度検知技術が必要不可欠である。また、最近では原子力発電所における水素爆発事故を契機に、広範囲に水素濃度を遠隔で監視する信頼性の高い水素検知システムの構築が急務となっている。
【0003】
現在既に水素センサとして、金属酸化物半導体式や電気化学式のものが実用化されているが、防爆性、電磁無誘導性を考慮すると光学的な水素センサは有利なセンシング方式と言える。更に、光ファイバを用いた水素センサは、細径で可撓性に優れ、極小空間への設置が容易であるという特長を備えている。
【0004】
光ファイバを用いた水素センサは種々提案されているが、水素に感応する物質の屈折率若しくは吸収係数の光学的変化を利用したもの、又は形状等の機械的変化を利用したものに大別できる。
【0005】
図3は、光ファイバを用いた従来の水素センサであり、光ファイバ31の端面にパラジウム(Pd)32を触媒とした酸化タングステン(WO3)33を水素感応膜34として形成したものである。水素暴露によって水素感応膜34の屈折率及び吸収係数が変化するため、反射光の強度変化から水素濃度を検出することができる。水素感応膜34の形成にはスパッタ又は蒸着法が用いられている(非特許文献1参照)。
【0006】
また図4は、光ファイバ41のコア42の外周にクラッドとして白金(Pt)を触媒とした酸化タングステン膜を水素感応膜43として形成し、クラッドにおける光の吸収量の変化により水素濃度を検出するものである。水素感応膜43の形成方法には、ゾルゲル法が用いられている(特許文献1参照)。
【0007】
これら図3及び図4の従来技術は、水素暴露による水素感応膜34,43の光学的変化を利用したものである。
【0008】
これに対し、パラジウムは水素暴露により、体積で約900倍にも及ぶ多量の水素を吸蔵することが知られており、この体積膨張を利用して水素検知する方式も提案されている。
【0009】
図5は、光ファイバ51のコア52の一部分にファイバブラッググレーティング(FBG)53を形成し、その部分の光ファイバ51のクラッド54の外周にパラジウム薄膜からなる水素感応膜55を形成し、水素吸蔵によるパラジウム膨張に起因する歪みをFBG53に加え、これによるブラッグ波長の変化から水素濃度を検出するものである。水素感応膜55の形成には蒸着法が用いられている(非特許文献2参照)。
【0010】
図6は、光ファイバ61の一部を部分的に細くして括れ部62を形成し、その側面の一部にパラジウム等による水素感応膜63を形成し、水素暴露による水素感応膜63の形状変化により光ファイバ61に曲げ損失を与えて水素濃度の検知を行うものである(特許文献2参照)。
【0011】
これら図5及び図6の従来技術は、水素暴露による水素感応膜55,63の形状変化を利用したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−351651号公報
【特許文献2】特開2009−53045号公報
【特許文献3】国際公開第2009/154216号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】R. D. Smith, P. Liu, S. H. Lee, C. E. Tracy and R. Pitts; Proceedings of the 2002 U. S. DOE Hydrogen Program Review NREL/CP-610-32405 (2002)
【非特許文献2】B. Sutapun, M. Tabib-Azar and A. Kazemi; Sensors and Actuators B, vol. 60, 27 (1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
図3の光ファイバの端面に水素暴露により光学特性が変化する水素感応膜を形成した方式では、高感度で防爆性、電磁無誘導性の光学センサを実現できる。しかしながら、光ファイバの先端の1点のみがセンサ部でありスポット計測しかできず光ファイバラインに沿った空間の濃度分布計測ができない。多点計測するためにはセンサ部の数だけ光ファイバを敷設しなければならず、広範囲な水素濃度検知には不適である。
【0015】
図4の光ファイバのコアの外周にクラッドとして水素感応膜を形成し、クラッドにおける光の吸収量の変化により水素濃度を検出する方式においては、以下のような問題点がある。一般に、通常の石英系光ファイバを使用する場合、コアの屈折率が約1.5であるのに対し、水素感応膜であるPt/WO3の屈折率は約1.9である。コアよりもクラッドの方が屈折率が高くなってしまい、導波モードとして動作せず、光はクラッドに漏洩し光損失が非常に大きくなり、水素感応膜をクラッド層材料として用いたセンサ部の長尺化は困難である。
【0016】
これを解決するため、コアの材料として屈折率が2.0以上となる酸化ビスマス系材料を用いた光ファイバが提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、コアの材料として酸化ビスマス系材料を、クラッドの材料としてPt/WO3を用いた光ファイバは、通信用として広く使用されている汎用の石英系光ファイバに比べれば光伝搬損失は非常に大きく広域又は遠隔でのセンシングには不適である。センシング部分のみコアの材料に酸化ビスマス系材料を、クラッドの材料にPt/WO3を使用し、これらの非石英系光ファイバをいくつかのセンサ部として設け、その間を光伝搬損失の小さな石英系光ファイバで接続して多点計測するシステムも考えられるが、このシステムでは、酸化ビスマス系材料からなるコアと石英系材料からなるコアの屈折率が大きく異なり、接続部からの反射が大きい。また、特許文献3に開示されているように、コアの外径が大きく異なるような光ファイバ同士を接続する場合は、特に接続損失が無視できない。この接続損失がOTDR(Optical Time Domain Reflectometry)技術を用いてセンサ部において生じる損失又は戻り光を検出する検出方式においては大きな障害となり、センサ部の設置数量を制限するからである。
【0017】
図5及び図6の方式は、共に光ファイバの一部数cm程度を加工し、この部分のみに水素感応膜を形成して、水素暴露による膨張に起因する歪み又は曲げ損失を検知するものである。センサ部毎にFBGや括れ部を一つ一つ形成しなければならず、数多くの多点計測を行う場合、製造コストが非常に高くなる。また、このようなセンサ部に形成されるパラジウム等からなる水素感応膜はスパッタ又は蒸着法によって形成されるが、センサ部における光ファイバの加工だけでなく、水素感応膜をこれらの製法で一つ一つ形成するのは量産的とは言えない。更に、水素暴露による水素感応膜の膨張に起因する歪み又は曲げ損失を検出する方式においては、水素感応膜の剥離の問題も指摘されている。
【0018】
いずれにせよ、従来技術で開示されている図3から図6の光ファイバを用いた水素センサは、センシングポイントが1点又は多点の離散的なセンサであり、構造上又はその製法上からして、広範囲で且つ連続的な水素濃度分布を計測するセンサとして不適である。
【0019】
そこで、本発明の目的は、広範囲で且つ空間的に連続的な水素濃度分布を計測するのに適した水素検知用光ファイバ及びその製造方法を提供することにある。
【0020】
また本発明の目的は、併せて従来技術よりも量産性及び信頼性の点で優れた効果を発揮し、更にはこの水素検知用光ファイバの特徴を最も有効に活用できる水素検知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この目的を達成するために創案された本発明は、コアとクラッドとを有する光ファイバと、前記光ファイバのクラッド表面の外周を囲むように、パラジウム微粒子を溶媒に分散してなるペーストを塗布、焼結して形成された水素感応膜としてのパラジウム含有被覆層と、を備えた水素検知用光ファイバである。
【0022】
前記ペーストには、更に銀、ニッケル、及びクロムのいずれかの金属微粒子が含有されることが好ましい。
【0023】
前記金属微粒子は、その平均粒子径が1μm未満のナノ粒子であることが好ましい。
【0024】
前記パラジウム含有被覆層は、その焼結後の被覆厚さが0.03μm以上3.00μm以下の範囲にあることが好ましい。
【0025】
前記パラジウム含有被覆層の更に外周を囲むように、紫外線硬化樹脂又は熱硬化樹脂からなるポリマ保護層が形成されることが好ましい。
【0026】
また本発明は、光ファイバ母材を加熱、溶融して光ファイバを線引きする工程と、前記光ファイバのクラッド表面に、パラジウム微粒子を溶媒に分散してなるペーストをダイスを用いて塗布する工程と、前記光ファイバのクラッド表面に塗布されたペーストを加熱、焼結して水素感応膜としてのパラジウム含有被覆層を形成する工程と、を備えた水素検知用光ファイバの製造方法である。
【0027】
前記ペーストには、更に銀、ニッケル、及びクロムのいずれかの金属微粒子が含有されることが好ましい。
【0028】
前記金属微粒子は、その平均粒子径が1μm未満のナノ粒子であることが好ましい。
【0029】
前記ペーストは、その粘度が0.2Pa・s以上5.0Pa・s以下の範囲にあることが好ましい。
【0030】
また本発明は、前記水素検知用光ファイバを用い、水素暴露環境下において前記パラジウム含有被覆層が水素吸蔵することによって膨張し、前記光ファイバに歪み又は曲げ損失を誘発させ、これによって変化する後方散乱光を観測することにより、水素濃度を分布的に検出する水素検知システムである。
【0031】
前記後方散乱光はブリルアン散乱光であり、前記光ファイバの一端よりパルス光を入射し、入射端におけるパルス光の入射時と後方散乱光の観測時との時間差から位置を、またブリルアン周波数スペクトルのシフト量から歪量を特定することにより、水素濃度の分布を検出することが好ましい。
【0032】
前記後方散乱光はレイリー散乱光であり、前記光ファイバの一端よりパルス光を入射し、入射端におけるパルス光の入射時と後方散乱光の観測時との時間差から位置を、またレイリー散乱光の強度変化から曲げ損失を特定することにより、水素濃度の分布を検出しても良い。
【0033】
前記光ファイバは石英材料からなる石英系光ファイバであり、前記パルス光及び前記後方散乱光の波長は、前記石英系光ファイバを構成する石英材料が水素との結合によって固有の吸収を被る波長とは一致しないことが好ましい。
【0034】
前記水素検知用光ファイバ又はこれと接近させて配置された温度計測用光ファイバにおける後方ラマン散乱光を検出することにより、前記水素検知用光ファイバ又は前記温度計測用光ファイバに沿った温度分布を計測し、これによって前記水素検知用光ファイバの温度補償を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、広範囲で且つ空間的に連続的な水素濃度分布を計測するのに適した水素検知用光ファイバ及びその製造方法を提供することができる。
【0036】
また本発明によれば、併せて従来技術よりも量産性及び信頼性の点で優れた効果を発揮し、更にはこの水素検知用光ファイバの特徴を最も有効に活用できる水素検知システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る水素検知用光ファイバを示す断面図である。
【図2】本発明に係る水素検知用光ファイバの製造装置を示す概略図である。
【図3】光ファイバの端面に水素感応膜を形成した従来の水素センサを示す図である。
【図4】光ファイバのコアの外周にクラッドとして水素感応膜を形成した従来の水素センサを示す図である。
【図5】光ファイバのコアの一部分にFBGを形成し、そのクラッドの外周に水素感応膜を形成した従来の水素センサを示す図である。
【図6】光ファイバの一部を部分的に細くして括れ部を形成し、その側面の一部に水素感応膜を形成した従来の水素センサを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0039】
図1に示すように、本実施の形態に係る水素検知用光ファイバ1は、コア11とクラッド12とを有する石英系光ファイバ10と、石英系光ファイバ10のクラッド12表面の外周を囲むように、パラジウム微粒子を溶媒に分散してなるペーストを塗布、焼結して形成された水素感応膜としてのパラジウム含有被覆層13と、を備える。
【0040】
パラジウムは水素暴露環境下において、その体積の約900倍にも及ぶ水素を吸蔵することができる。そのため、水素を吸蔵して体積が膨張するパラジウム含有被覆層13を石英系光ファイバ10のクラッド12表面の外周に直接被覆することにより、石英系光ファイバ10に引張り応力又は微視的な曲げ損失を与えることができる。
【0041】
パラジウム内に吸蔵された水素の吸出による体積の膨張縮小は可逆的な反応であるが、高濃度水素暴露に対しては、相転移により体積膨張に飽和傾向が見られ、またヒステリシス特性が現れる。
【0042】
この問題は、パラジウムに銀、ニッケル、及びクロムなどのいずれかを添加し合金化することにより解決できる。合金化により高濃度水素暴露におけるパラジウムの相変化が抑制され、飽和特性、ヒステリシス特性を抑制することができるからである。
【0043】
また、飽和特性やヒステリシス特性を抑制し、水素暴露環境下における水素濃度を高感度で検出するためには、パラジウム微粒子を溶媒に分散してなるペーストを塗布、焼結してパラジウム含有被覆層13を形成することが有効である。
【0044】
これらを勘案すると、パラジウム含有被覆層13を形成するためのペーストには、更に銀、ニッケル、及びクロムのいずれかの金属微粒子が含有されることが好ましい。
【0045】
更に、金属微粒子は、その平均粒子径が1μm未満のナノ粒子であることが好ましい。金属微粒子の平均粒子径を1μm未満のナノ粒子とすることによって、パラジウム含有被覆層13となる塗膜の均一性と焼結温度低減を実現できるからである。特に、銀、ニッケル、及びクロムなどのいずれかで合金化されたパラジウム含有被覆層13においては、パラジウムとこれを合金化する金属微粒子とについて、共に平均粒子径1μm未満の条件を満足させることにより、パラジウム含有被覆層13の均一性が向上する。
【0046】
なお、ここで言う平均粒子径とは、レーザ回折法などによって得られる粒度分布から求められる平均径で表したものを指す。
【0047】
また、パラジウム含有被覆層13は、その焼結後の被覆厚さが0.03μm以上3.00μm以下の範囲にあることが好ましい。パラジウム含有被覆層13の被覆厚さが薄すぎると水素吸蔵能力が小さく、石英系光ファイバ10に対して検出可能な歪みや曲げ損失を誘発できず、十分な感度が得られないからである。また、被覆厚さを厚くするとパラジウム含有被覆層13の剥離が発生する危険性が高まるからである。このパラジウム含有被覆層13の剥離を抑制するためには、パラジウム含有被覆層13の更に外周を囲むように、紫外線硬化樹脂又は熱硬化樹脂からなるポリマ保護層14が形成されることが好ましい。
【0048】
ポリマ保護層14を形成する紫外線硬化樹脂又は熱硬化樹脂としては、例えば、紫外線硬化樹脂ではウレタンアクリレート樹脂が、熱硬化樹脂ではポリイミド樹脂が有効であるが、それ以外にも吸水性を防止するフッ素樹脂等も有効である。しかし、パラジウム含有被覆層13の被覆厚さが3.00μmを超えると、ポリマ保護層14を形成したとしても、パラジウム含有被覆層13の剥離が発生し易くなる。
【0049】
また、パラジウム含有被覆層13では、表面外側から順次水素が吸蔵され、次第に内部にまで吸蔵が進行するが、水素の多くは表面外側に留まるため、過度に被覆厚さを厚くすることは有効でない。しかも、被覆厚さを過度に厚くすると水素暴露に対する応答速度が飽和する傾向にあり、即ち被覆厚さが厚すぎると水素の吸蔵、排出の変化に対して鈍感になるので水素検知の応答速度という観点からもパラジウム含有被覆層13の被覆厚さが3.00μmを超えるのは得策ではない。
【0050】
なお、ポリマ保護層14は、パラジウム含有被覆層13の剥離を防止するだけでなく、パラジウム含有被覆層13の水素以外の物質による化学変化を抑制する働きも兼ねる。
【0051】
このようなパラジウム含有被覆層13を備えた水素検知用光ファイバ1は、石英系光ファイバ母材を加熱、溶融して石英系光ファイバ10を線引きする工程と、石英系光ファイバ10のクラッド12表面に、パラジウム微粒子を溶媒に分散してなるペーストをダイスを用いて塗布する工程と、石英系光ファイバ10のクラッド12表面に塗布されたペーストを加熱、焼結して水素感応膜としてのパラジウム含有被覆層13を形成する工程と、を備える製造方法を用いて製造することができる。これにより、水素検知用光ファイバ1の量産化及び長尺化が可能となる。
【0052】
このときペーストに含有されるそれぞれの金属微粒子の平均粒子径は1μm以下の金属ナノ粒子であることが重要である。金属微粒子の平均粒子径がマイクロメートルのオーダーであると、ダイスにおける目詰まりが発生し、均一に塗布することができない可能性があるからである。
【0053】
また、金属微粒子の平均粒子径が小さいほど、低温、短時間で金属膜として焼成できる。そのため、石英系光ファイバ10の実用的な線引き速度を確保しながら、安定したパラジウム含有被覆層13を形成するには、金属微粒子の平均粒子径を1μm未満とすることが必須である。
【0054】
更に、焼成後のパラジウム含有被覆層13の膜質の均一性の観点からは、パラジウム又はその他の金属微粒子を添加する場合には、各々の金属微粒子の平均粒子径は共に50nm以下であることがより好ましい。この膜質の均一性は、パラジウム以外の金属元素も添加してパラジウム含有被覆層13を形成する場合には、パラジウム及びこれと合金を成す金属元素は、平均粒子径だけでなく、その添加比率もほぼ同程度が望ましい。これにより、塗膜の均一性及び水素吸蔵に起因するパラジウムの急激な相変化が抑制される。
【0055】
また、ペーストに含有される金属微粒子の平均粒子径は、焼結後のパラジウム含有被覆層13の均一性に寄与するだけでなく、ダイスコーティングの際にも影響を与える。
【0056】
ペーストは、その粘度が0.2Pa・s以上5.0Pa・s以下の範囲にあることが好ましい。ペーストの粘度が低すぎると液だれを起こし均一に塗布できないからである。また、粘度が高すぎると、ダイス詰まりが発生し易く、焼成後の被覆厚さも厚くなりすぎ均一性も低下するからである。ペーストの粘度が0.2Pa・s以上5.0Pa・s以下の範囲にあると、石英系光ファイバ10の線引き工程と同時にパラジウムを含有するペーストをダイスにより塗布し、焼結後に所望する好適な被覆厚さのパラジウム含有被覆層13を容易に形成することができる。
【0057】
また、パラジウム含有被覆層13の更に外周に被覆されるポリマ保護層14は、同じくダイスを用いることにより塗布され、紫外線硬化又は熱硬化により容易に形成される。これは金属部粒子を含有したペーストの塗布、焼結後に連続して形成することも可能である。
【0058】
図2に示すように、この製造方法を実現するための製造装置2としては、石英系光ファイバ母材21を加熱、溶融して石英系光ファイバ10を線引きする線引き炉22と、線引きした石英系光ファイバ10の外径を測定する外径測定器231と、パラジウム含有被覆層13を形成するためのペーストを塗布するダイス241と、ペーストを塗布した石英系光ファイバ10を焼成してペーストを焼結する管状焼成炉25と、パラジウム含有被覆層13の外径を測定する外径測定器232と、ポリマ保護層14を形成するためのポリマ樹脂を塗布するダイス242と、塗布したポリマ樹脂を硬化させる紫外線ランプ(又は電気炉)26と、ポリマ保護層14の外径を測定する外径測定器233と、水素検知用光ファイバ1を方向転換するターンプーリ27と、水素検知用光ファイバ1を引き取る引取機28と、水素検知用光ファイバ1を巻き取る巻取機29と、を備えたものを用いることができる。
【0059】
次に、水素検知用光ファイバ1の作用と共にこれを用いた水素検知システムについて説明する。
【0060】
本実施の形態に係る水素検知用光ファイバ1では、水素暴露環境下においてパラジウム含有被覆層13が水素吸蔵することによって膨張し、石英系光ファイバ10に歪み又は曲げ損失を発生させる。パラジウム含有被覆層13の水素吸蔵量、即ち水素濃度に依存してパラジウム含有被覆層13の膨張量が変化し、これによって石英系光ファイバ10に発生する歪み又は曲げ損失も変化する。また、石英系光ファイバ10の歪み又は曲げ損失が変化すると、石英系光ファイバ10を通過した後方散乱光が変化する。この後方散乱光を測定することにより、水素濃度を検知することができる。また、位置については、石英系光ファイバ10の一端よりパルス光を入射し、入射端におけるパルス光の入射時と後方散乱光の観測時との時間差から特定することができる。
【0061】
この水素検知用光ファイバ1を用いて水素濃度の分布を検出するようにしたものが本実施の形態に係る水素検知システムであり、本実施の形態に係る水素検知システムは、これまで説明した水素検知用光ファイバ1を用い、水素暴露環境下においてパラジウム含有被覆層13が水素吸蔵することによって膨張し、石英系光ファイバ10に歪み又は曲げ損失を誘発させ、これによって変化する後方散乱光を観測することにより、水素濃度を分布的に検出するものである。
【0062】
ここで、後方散乱光はブリルアン散乱光であり、石英系光ファイバ10の一端よりパルス光を入射し、入射端におけるパルス光の入射時と後方散乱光の観測時との時間差から位置を、またブリルアン周波数スペクトルのシフト量から歪量を特定することにより、水素濃度の分布を検出することが好ましい。ブリルアン周波数スペクトルのシフト量は、石英系光ファイバ10に印加された歪量に比例するため、これを特定することでパラジウム含有被覆層13の水素吸蔵による膨張変化、即ち水素濃度を検出することができるからである。
【0063】
また、後方散乱光はレイリー散乱光であり、石英系光ファイバ10の一端よりパルス光を入射し、入射端におけるパルス光の入射時と後方散乱光の観測時との時間差から位置を、またレイリー散乱光の強度変化から曲げ損失を特定することにより、水素濃度の分布を検出しても良い。レイリー散乱光の強度は、石英系光ファイバ10に誘発された曲げ損失に応じて変化するため、これを特定することでパラジウム含有被覆層13の水素吸蔵による膨張変化、即ち水素濃度を検出することができるからである。
【0064】
このように本実施の形態に係る水素検知用光ファイバ1を用いてその後方散乱光を観測することにより、容易に分布型の水素検知システムを構築することができる。
【0065】
なお、本実施の形態に係る水素検知用光ファイバ1では、石英系光ファイバ10を用いており、このような石英系光ファイバ10は高濃度の水素に暴露されると、石英の欠陥に水素が結合し、OH基の光吸収に由来する吸収損失の増加が波長1.38μm帯及び1.44μm帯に存在する。この吸収損失は強い結合により非可逆反応できるため、後方散乱光の検出波長に用いるのは適当ではない。
【0066】
そのため、パルス光及び後方散乱光の波長は、石英系光ファイバ10を構成する石英材料が水素との結合によって固有の吸収を被る波長とは一致しないことが好ましい。
【0067】
また、ブリルアン周波数スペクトルのシフト量は歪み量だけでなく、温度にも依存する。更にパラジウム含有被覆層13の熱膨張も考慮すると、より正確に水素濃度を特定するには温度補償が必要になる。
【0068】
そのため、水素検知用光ファイバ1又はこれと接近させて配置された温度計測用光ファイバにおける後方ラマン散乱光を検出することにより、水素検知用光ファイバ1又は温度計測用光ファイバに沿った温度分布を計測し、これによって水素検知用光ファイバ1の温度補償を行うことが好ましい。
【0069】
本実施の形態に係る水素検知用光ファイバ1は、パラジウム含有被覆層13以外は通常の通信用で用いられているコア・クラッド構造の石英系光ファイバと同一である。この石英系光ファイバを用いて後方ラマン散乱光を測定すれば、石英系光ファイバの長手の温度計測が可能である。後方ラマン散乱光を用いる温度計測は、入射パルス光を挟んで、その周波数の前後に発生するストークス光とアンチストークス光の強度比が温度に依存することを利用したものである。水素検知用光ファイバ1と温度計測用光ファイバは、測定器を切り替えることにより、同一光ファイバを利用することもできるが、水素検知用光ファイバ1に接近させて配置された別の温度計測専用の石英系光ファイバを利用しても良い。
【0070】
これまで説明したように、本発明では、石英系光ファイバ10の長手方向に長距離に渡ってパラジウム含有被覆層13を形成しており、その結果、広範囲、連続的に、また遠隔で水素濃度分布を計測できる。このパラジウム含有被覆層13は、好適な粒子の金属微粒子を好適な粘度になるように分散させたペーストを塗布、焼結して形成することにより、従来の光ファイバ線引きと同じラインの製造装置を用いて形成され、量産性だけでなく、均一性、付着力に優れている。
【0071】
また、本発明の水素検知用光ファイバ1は、通常の通信用の石英系光ファイバ10と同類であるので、市販の光ファイバ歪み計測器又は温度計測器を使用することができる。
【0072】
以上要するに、本発明によれば、広範囲で且つ空間的に連続的な水素濃度分布を計測するのに適した水素検知用光ファイバ1及びその製造方法を提供することができる。
【0073】
また、本発明によれば、併せて従来技術よりも量産性及び信頼性の点で優れた効果を発揮し、更にはこの水素検知用光ファイバ1の特徴を最も有効に活用できる水素検知システムを提供することができる。
【実施例】
【0074】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0075】
本実施例では、図1に示した構造の水素検知用光ファイバ1を製造した。
【0076】
石英系光ファイバ10としては、屈折率の高いコア11とそれよりも屈折率が低いクラッド12からなるシングルモード光ファイバを用い、クラッド12の外周には水素感応膜であるパラジウム含有被覆層13を被覆した。パラジウム含有被覆層13はパラジウム元素だけでなく、銀を添加し合金化した。このパラジウム含有被覆層13の被覆厚さは約1μmとし、またパラジウム含有被覆層13における銀の含有比率は50〜60原子%とした。パラジウムに銀を添加することにより、水素吸蔵に起因するパラジウムの急激な相変化が抑えられ、高濃度の水素まで飽和、ヒステリシス性を抑制し、良好な検出特性が得られた。また、パラジウム含有被覆層13としてのパラジウム銀合金を形成するために用いたパラジウム及び銀の焼結前の平均粒子径と含有比率をほぼ同程度にすることにより、パラジウム含有被覆層13をより均一化することができた。
【0077】
水素感応膜であるパラジウム含有被覆層13の更に外周にはポリマ保護層14を形成した。このポリマ保護層14の材料としては、通常の光ファイバの被覆材として用いられるウレタンアクリレート樹脂などの紫外線硬化樹脂やポリイミド樹脂などの熱硬化樹脂を用いることができる。このポリマ保護層14は、パラジウム含有被覆層13の化学変化を抑制し、また外傷の発生を防止するだけでなく、パラジウム含有被覆層13がクラッド12表面から剥離するのを防止する。これらの効果を得るために、ポリマ保護層14の膜厚は、紫外線硬化のウレタンアクリレート樹脂を用いる場合には50〜100μm、また熱硬化のポリイミド樹脂を用いる場合には5〜30μmが有効であることが分かった。
【0078】
本実施例に係る水素検知用光ファイバ1は、図2に示した製造装置2を用いて製造した。
【0079】
具体的には、石英系光ファイバ母材21を線引き炉22内で溶融し、外径測定器231において裸ファイバの外径を測定しながら線引き後、インラインでパラジウム−銀合金ナノ粒子ペーストをダイス241により塗布し、直下の管状焼成炉25で焼成した。パラジウム−銀合金ナノ粒子ペーストは、溶媒希釈により予め粘度を約1Pa・sに調整しておいた。また、焼成前のパラジウム−銀合金ナノ粒子の粒子径は5〜50nmの範囲とした。線引き速度は6m/minとし、焼成後のパラジウム含有被覆層13の外径は、外径測定器232によって測定した。
【0080】
パラジウム含有被覆層13の外周には更にポリマ保護層14を被覆した。このポリマ保護層14の被覆は、外径測定器232の直下にポリマ樹脂塗布用のダイス242と紫外線ランプ26を設置し、通常の光ファイバの被覆層の形成方法と同様に形成した。本実施例では、ポリマ保護層14として最も一般的な紫外線硬化型のウレタンアクリレート樹脂を用いたが、ポリマ保護層14として熱硬化型のポリイミド樹脂を用いる場合には、紫外線ランプ26の代わりに管状焼成炉25と同様な電気炉を用いると良い。
【0081】
このようにしてパラジウム含有被覆層13及びポリマ保護層14を被覆した水素検知用光ファイバ1は、ポリマ保護層14の外径を測定する外径測定器233を通り、ターンプーリ27により方向転換させ、引取機28及び巻取機29によりボビンに巻き取った。
【0082】
この水素検知用光ファイバ1は、水素暴露環境下においてパラジウム含有被覆層13が水素吸蔵することによって膨張し、これにより石英系光ファイバ10に歪み又は曲げ損失を誘発させる。これによって変化する後方散乱光を観測することにより、水素濃度を分布的に検出することができる。
【0083】
特にブリルアン散乱光は、石英系光ファイバ10の一端よりパルス光を入射し、入射端におけるパルス光の入射時と後方散乱光の観測時との時間差から位置を特定し、またブリルアン周波数スペクトルのシフト量から歪量を特定することができる。これにより水素検知用光ファイバ1の長手方向に沿った水素濃度の分布を測定することができる。
【0084】
水素検知システムの実施例として、波長1.55μmの入射パルスを用い、パルス幅を10nsとして、距離分解能1mで石英系光ファイバ10の長手方向の歪み分布から水素濃度の分布を測定した。このようなブリルアン散乱光を用いた歪み計測装置としては、例えば、横河電機株式会社製の光ファイバ歪みアナライザが使用できる。
【0085】
また、水素吸蔵することによって膨張するパラジウム含有被覆層13は、石英系光ファイバ10に微視的な曲げ損失を与える。これによって変化する後方レイリー散乱光の強度変化からも石英系光ファイバ10の長手方向に沿った水素濃度の分布を測定することができる。
【0086】
ところで、石英系光ファイバ10は石英系材料から構成されており、水素暴露により水素との結合によって固有の吸収を発生させる。この光吸収ピークの波長は、水素結合によるOH基に由来し、1.38μm及び1.44μm近傍に発生する。そのため、これらの波長と一致する光を後方散乱光の測定のために使用すると、水素暴露環境下においては徐々に光損失が増加し、長距離計測ができなくなる。
【0087】
そこで、本実施例に係る水素検知システムでは、石英系光ファイバ10の一端より入射させるパルス光及び後方散乱光の波長は、石英系光ファイバ10を構成する石英材料が、水素との結合によって固有の吸収を被る波長から0.1μm以上離れた1.55μmを使用した。
【0088】
また、本実施例に係る水素検知センサは、通常の通信用光ファイバの規格に準拠しており、後方ラマン散乱光を検出することにより、石英系光ファイバ10に沿った温度分布を計測することができる。これにより、温度によって変化する歪み計測量を補正し、より正確な水素検知が可能となる。
【0089】
温度計測用光ファイバは、水素検知用光ファイバ1を兼用し、温度と歪みの計測装置を切り替えて使用することも可能であるが、水素検知用光ファイバ1に接近させて配置した温度計測専用の石英系光ファイバを用意しても良い。このようなラマン散乱光を用いた温度計測装置としては、例えば、日立電線株式会社製のFTR温度レーダが使用できる。
【0090】
以上説明した実施例によれば、広範囲で且つ空間的に連続的な水素濃度分布を計測するのに適した水素検知用光ファイバ1が得られ、また従来技術よりも量産性及び信頼性の点で優れた効果を発揮し、更にはこの水素検知用光ファイバ1の特徴を最も有効に活用できる水素検知システムが得られた。
【符号の説明】
【0091】
1 水素検知用光ファイバ
10 石英系光ファイバ
11 コア
12 クラッド
13 パラジウム含有被覆層
14 ポリマ保護層
2 製造装置
21 石英系光ファイバ母材
22 線引き炉
231,232,233 外径測定器
241,242 ダイス
25 管状焼成炉
26 紫外線ランプ
27 ターンプーリ
28 引取機
29 巻取機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアとクラッドとを有する光ファイバと、
前記光ファイバのクラッド表面の外周を囲むように、パラジウム微粒子を溶媒に分散してなるペーストを塗布、焼結して形成された水素感応膜としてのパラジウム含有被覆層と、
を備えたことを特徴とする水素検知用光ファイバ。
【請求項2】
前記ペーストには、更に銀、ニッケル、及びクロムのいずれかの金属微粒子が含有される請求項1に記載の水素検知用光ファイバ。
【請求項3】
前記金属微粒子は、その平均粒子径が1μm未満のナノ粒子である請求項2に記載の水素検知用光ファイバ。
【請求項4】
前記パラジウム含有被覆層は、その焼結後の被覆厚さが0.03μm以上3.00μm以下の範囲にある請求項1〜3のいずれかに記載の水素検知用光ファイバ。
【請求項5】
前記パラジウム含有被覆層の更に外周を囲むように、紫外線硬化樹脂又は熱硬化樹脂からなるポリマ保護層が形成される請求項1〜4のいずれかに記載の水素検知用光ファイバ。
【請求項6】
光ファイバ母材を加熱、溶融して光ファイバを線引きする工程と、
前記光ファイバのクラッド表面に、パラジウム微粒子を溶媒に分散してなるペーストをダイスを用いて塗布する工程と、
前記光ファイバのクラッド表面に塗布されたペーストを加熱、焼結して水素感応膜としてのパラジウム含有被覆層を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする水素検知用光ファイバの製造方法。
【請求項7】
前記ペーストには、更に銀、ニッケル、及びクロムのいずれかの金属微粒子が含有される請求項6に記載の水素検知用光ファイバの製造方法。
【請求項8】
前記金属微粒子は、その平均粒子径が1μm未満のナノ粒子である請求項7に記載の水素検知用光ファイバの製造方法。
【請求項9】
前記ペーストは、その粘度が0.2Pa・s以上5.0Pa・s以下の範囲にある請求項6〜8のいずれかに記載の水素検知用光ファイバの製造方法。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれかに記載の水素検知用光ファイバを用い、水素暴露環境下において前記パラジウム含有被覆層が水素吸蔵することによって膨張し、前記光ファイバに歪み又は曲げ損失を誘発させ、これによって変化する後方散乱光を観測することにより、水素濃度を分布的に検出することを特徴とする水素検知システム。
【請求項11】
前記後方散乱光はブリルアン散乱光であり、前記光ファイバの一端よりパルス光を入射し、入射端におけるパルス光の入射時と後方散乱光の観測時との時間差から位置を、またブリルアン周波数スペクトルのシフト量から歪量を特定することにより、水素濃度の分布を検出する請求項10に記載の水素検知システム。
【請求項12】
前記後方散乱光はレイリー散乱光であり、前記光ファイバの一端よりパルス光を入射し、入射端におけるパルス光の入射時と後方散乱光の観測時との時間差から位置を、またレイリー散乱光の強度変化から曲げ損失を特定することにより、水素濃度の分布を検出する請求項10に記載の水素検知システム。
【請求項13】
前記光ファイバは石英材料からなる石英系光ファイバであり、前記パルス光及び前記後方散乱光の波長は、前記石英系光ファイバを構成する石英材料が水素との結合によって固有の吸収を被る波長とは一致しない請求項10〜12のいずれかに記載の水素検知システム。
【請求項14】
前記水素検知用光ファイバ又はこれと接近させて配置された温度計測用光ファイバにおける後方ラマン散乱光を検出することにより、前記水素検知用光ファイバ又は前記温度計測用光ファイバに沿った温度分布を計測し、これによって前記水素検知用光ファイバの温度補償を行う請求項10〜13のいずれかに記載の水素検知システム。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−76652(P2013−76652A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217215(P2011−217215)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】