水素炎イオン化形分析計

【課題】FID計の測定値を確実に取得できると共に、できるだけ多くの試料ガスを捕集バッグ中に残し、再度の試料採取を行うことなく、除外物質の測定も行える可能性が高いFID計を提供する。
【解決手段】FID検出器1と、FID検出器1に試料ガスを供給する試料ガス供給路10と、試料ガス供給路10に設けられた三方弁SV2と、FID検出器1の出力値が安定したか否かを判別する安定判別演算器C2とを備え、
試料ガスが供給されている際のFID検出器1の出力値について、安定判別演算器C2が安定したと判断したときに、三方弁SV2により試料ガス供給路10を遮断してFID検出器1への試料ガスの供給を停止することを特徴とする水素炎イオン化形分析計。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素炎イオン化形分析計、特に揮発性有機化合物濃度を測定するのに適した水素炎イオン化形分析計に関する。
【背景技術】
【0002】
揮発性有機化合物濃度の測定法としては、触媒酸化−非分散型赤外線分析計(以下「NDIR計」という。)を用いる方法、水素炎イオン化形分析計(以下「FID計」という場合がある。)を用いる方法が知られている。
FID計の水素炎イオン化検出器(以下「FID検出器」という。)は、揮発性有機化合物の全体量を一度に検出するものであるが、FID検出器の上流側に分離カラムを配したガスクロマトグラフ装置も知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−302376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
平成18年4月1日施行の大気汚染防止法施行規則第15条の2及び第15条の3第1号に規定する揮発性有機化合物濃度は、環境省告示第61号(以下単に「告示」という。)に従って測定するものとされている。
この告示によれば、揮発性有機化合物濃度は、NDIR計又はFID計により測定した有機化合物濃度から所定の除外物質の濃度を差し引いた濃度であるが、その値が規制値を越えていない場合には、NDIR計又はFID計により測定した有機化合物濃度そのままの値であるとされている。また、除外物質については、FID検出器を用いるガスクロマトグラフ法(GC−FID)、電子捕獲検出器を用いるガスクロマトグラフ法(GC−ECD)、質量分析計を用いるガスクロマトグラフ法(GC−MS)の何れかによって測定するものと定められている。
【0004】
また、告示に基づく測定法によれば、測定対象となる試料ガスは捕集バッグに採取しなければならないとされている。そして、告示に基づく採取方法には、0.5〜5L/分の流量の制御ができる流量調整バルブを用いるように規定されており、かつ、試料採取時間は20分又は一工程とされている。
したがって、採取される試料ガスの量は100Lより多くなることはない。通常は1L/分の流量で20分間採取して20Lの試料ガスが1つの捕集バッグに採取される。
【0005】
FID計による測定値が一定値を超えた場合には、同一の試料ガスで除外物質の測定を行うことが必要なので、捕集バッグ内の試料ガスをFID計による測定で使い切ってしまわずに、できるだけ多く残しておくことが望ましい。
しかし、捕集バッグ内の試料ガスは、上述のように限られた量である。一方、FID計による試料ガスの測定値が安定するまでの時間は一定とは限らない。例えば、試料ガス中に吸着しやすい物質が多く含まれている場合には時間がかかることがわかっている。
したがって、除外物質の測定に必要な試料ガスを残そうとして、一定時間経過後に試料ガスの供給を停止して測定を終了するようにしてしまうと、FID計の測定値が安定する前に測定が打ち切られてしまう場合がある。すなわち試料ガスの正しい測定値が得られないおそれがある。この場合、FID計の測定からやり直ししなければならない事態も予想される。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、FID計の測定値を確実に取得できると共に、できるだけ多くの試料ガスを捕集バッグ中に残し、再度の試料採取を行うことなく、除外物質の測定も行える可能性が高いFID計を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を達成するために、本発明は、以下の構成を採用した。
[1]水素炎イオン化検出器と、水素炎イオン化検出器に試料ガスを供給する試料ガス供給路と、試料ガス供給路に設けられた供給弁と、水素炎イオン化検出器の出力値が安定したか否かを判別する安定判別演算器とを備え、試料ガスが供給されている際の水素炎イオン化検出器の出力値について、安定判別演算器が安定したと判断したときに、供給弁により試料ガス供給路を遮断して水素炎イオン化検出器への試料ガスの供給を停止することを特徴とする水素炎イオン化形分析計。
【0008】
[2]さらに、水素炎イオン化検出器を加温するヒーターを備え、ヒーターをオンとした後の水素炎イオン化検出器の出力値について、安定判別演算器が安定したと判断したときに、水素炎イオン化検出器への試料ガス又は校正ガスの供給を開始することを特徴とする[1]に記載の水素炎イオン化形分析計。
[3]さらに、水素炎イオン化検出器にゼロガスを供給するゼロガス供給路を備え、ゼロガスが供給されている際の水素炎イオン化検出器の出力値について、安定判別演算器が安定したと判断したときに、水素炎イオン化検出器への試料ガス又は校正ガスの供給を開始することを特徴とする[1]又は[2]に記載の水素炎イオン化形分析計。
[4]測定対象が揮発性有機化合物濃度である[1]〜[3]の何れかに記載の水素炎イオン化形分析計。
【発明の効果】
【0009】
[1]の発明によれば、水素炎イオン化検出器の出力値が安定したことを確認してから試料ガスの供給を遮断するので、FID計の測定値を確実に取得することができる。また、水素炎イオン化検出器の出力値が安定したことを確認したときに試料ガスの供給を遮断するので、可能な限り多くの試料ガスを捕集バッグ中に残すことが可能である。そのため、再度の試料採取を行うことなく、GC−FID等による除外物質の測定も行える可能性が高い。
[2]の発明によれば、暖機運転により水素炎イオン化検出器の出力値が安定したことを確認してから試料ガス又は校正ガスの供給を開始するので、試料ガス又は校正ガスを供給したときの出力値が早期に安定し、これらのガスの使用量を最小限に抑えることができる。また、水素炎イオン化検出器の出力値が安定したことを確認したときに暖機運転を終了して試料ガス等の供給を開始するので、暖機運転を必要充分な時間で終了することができる。
[3]の発明によれば、ゼロガスによって、FID計内のガスを充分にパージした後に試料ガス又は校正ガスの供給を開始するので、試料ガス又は校正ガスを供給したときの出力値が早期に安定し、これらのガスの使用量を最小限に抑えることができる。また、水素炎イオン化検出器の出力値が安定したことを確認したときにパージを終了して試料ガス等の供給を開始するので、パージを必要充分な時間で終了することができる。
[4]の発明によれば、環境省の告示に従って、揮発性有機化合物濃度を適格かつ効率良く測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係るFID計を、図1を参照しつつ説明する。
なお、図1に示した各弁はいずれも電磁弁であり、図中白の三角で示したポートはオフのときのみに開となる常開ポート、図中黒の三角で示したポートはオンのときのみに開となる常閉ポート、図中白と黒の三角で示したポートは、オンオフにかかわらず開となる共通ポートである。
【0011】
本実施形態のFID計は、試料ガス入口10aから排出口10bまでの試料ガス供給路10を備えている。この試料ガス供給路10には、試料ガス入口10a側から、ポンプP1、三方弁SV1、三方弁SV2(供給弁)、キャピラリーCP1、FID検出器1が順次設けられている。
【0012】
三方弁SV1は、共通ポートと常開ポートを用いて、三方弁SV2は、共通ポートと常閉ポートを用いて試料ガス供給路10に設けられている。
三方弁SV1の常閉ポートには、上流端が校正ガス入口20aである校正ガス導入路20が接続されている。校正ガス導入路20と、校正ガス導入路20が合流した地点より下流側の試料ガス供給路10が、校正ガス供給路となっている。
三方弁SV2の常開ポートにはゼロガス導入路31が接続されている。このゼロガス導入路31は、上流端が空気導入口30aである空気導入路30の下流側に連結している。ゼロガス導入路31と、ゼロガス導入路31が合流した地点より下流側の試料ガス供給路10が、本発明のゼロガス供給路となっている。
また、FID検出器1には、助燃ガス導入路32が接続されており、助燃ガス導入路32にはキャピラリーCP2が設けられている。この助燃ガス導入路32も空気導入路30の下流側に連結している。
【0013】
空気導入路30には、ポンプP2と空気中の有機物を取り除くための燃焼炉33が設けられている。また、上流端が水素ガス入口40aである水素ガス導入路40が、試料ガス供給路10の三方弁SV2より下流側であって、FID検出器1より上流側に接続している。水素ガス導入路40には、常閉弁である二方弁SV3とキャピラリーCP3が設けられている。
【0014】
FID検出器1は、ヒーターで内部が加温されるオーブン(図示せず)に収容され、所定温度(通常60℃±1℃)に加温されるようになっている。また、キャピラリーCP1〜CP3も同一のオーブン内に収容され、一定温度に加温されるようになっている。
FID計は、FID検出器1に試料ガス、水素ガス及び助燃ガスを一定の割合で供給して燃焼させ、試料ガス中の有機化合物の炭素がイオン化する際に流れる電流を検出するものである。したがって、安定した測定値を得るためには、常に一定量、一定割合の試料ガス、水素ガス、助燃ガスがFID検出器1に供給されるようにしなければならない。一方、気体の流量は温度の影響を受けて大きく変動する。そのため、流量を決めるためのキャピラリーCP1〜CP3とFID検出器1とは、一定の温度に保たれるようにすることが必要である。
【0015】
FID検出器1の点火、オーブンのヒーター、三方弁SV1と三方弁SV2、二方弁SV3、及びポンプP1,P2は、シーケンス駆動回路C1により、制御されるようになっている。また、FID検出器1の信号は安定判別演算器C2に供給され、安定判別演算器C2によって、安定しているか否かの判別ができるようになっている。また、安定判別演算器C2の判別結果は、シーケンス駆動回路C1に与えられるようになっている。
【0016】
本実施形態のFID計は、暖機運転を行う暖機ステップ、校正ガスによる校正ステップ、試料ガスを測定する測定ステップ、測定ステップの前後に行うパージステップ、試料ガス測定終了後の終了ステップ等の一連の動作を自動的に行うものである。本実施形態のFID計は、これら各ステップの終了時点を、各々安定判別演算器C2による安定判別の結果に基づき決定するようになっている。
以下、安定判別について説明した後、各ステップについて詳述する。
【0017】
[安定判別]
安定したか否かの判別(安定判別)は例えば以下のように行う。まず、時刻Tにおける出力値Dと、時刻Tから判別時間Tを経過した時刻Tにおける出力値Dとの差ΔDが、所定の許容範囲D内に収まっていれば安定と判断し、収まっていなければ安定していないと判断する。
また、安定判別は以下のように行うこともできる。まず、時刻Tから判別時間Tを経過した時刻Tまでの間に、n個の出力値D〜Dを取得し、この間の最大出力値Dmaxと最小出力値Dminとの差ΔD’が、所定の許容範囲D内に収まっていれば安定と判断し、収まっていなければ安定していないと判断する。
なお、安定判別の演算に用いる出力値は、FID検出器1からの出力値である電流値そのものでもよいし、これを電圧値、有機化合物濃度等に変換した値であってもよい。
安定判別演算器C2は、出力値が安定していないと判断したときは上記安定判別を繰り返し、安定したと判断したときに安定判別を終了すると共にシーケンス駆動回路C1に安定信号を送出する。
【0018】
[暖機ステップ]
まず、試料ガス入口10aに、試料ガスを採取した捕集バッグ又は捕集バッグが配置されたオートサンプラを接続し、電源ボタンを押す。
電源ボタンを押すと、暖機運転が開始される。すなわち、シーケンス駆動回路C1により、ヒーターがオン状態になりオーブン内の加温が開始される。オーブン内の温度は設定温度(60℃±1℃)に保たれるようにコントロールされる。また、三方弁SV1と三方弁SV2、及びポンプP1がオフ状態のまま、二方弁SV3とポンプP2がオン状態となる。そして、FID検出器1が点火される。
これにより、FID検出器1にゼロガスが流入すると共に、水素ガス及び助燃ガスが供給され、有機化合物濃度ゼロに対応する出力値が得られる。安定判別演算器C2は、このFID検出器1からの出力値を逐次取得し、当該出力値が安定したか否かを判別する。
安定判別演算器C2が、出力値が安定したと判断してシーケンス駆動回路C1に安定信号を送出すると、安定信号を受けたシーケンス駆動回路C1により、校正ステップへの移行が行われる。
なお、ヒーターのオン状態とFID検出器1の点火状態、及び二方弁SV3とポンプP2のオン状態は、終了ステップに移行しない限り継続されるので、校正ステップ、測定ステップ、パージステップにおけるこれらの状態の説明は省略する。
【0019】
[校正ステップ]
校正ステップでは、シーケンス駆動回路C1により、三方弁SV1及び三方弁SV2がオン状態となる。
これにより、FID検出器1に校正ガスが流入すると共に、水素ガス及び助燃ガスが供給され、校正ガス中の有機化合物濃度に応じた出力値が得られる。安定判別演算器C2は、このFID検出器1からの出力値を逐次取得し、当該出力値が安定したか否かを判別する。
安定判別演算器C2が、出力値が安定したと判断して安定判別を終了すると、安定判別終了時の出力値に基づいて、校正演算処理が行われる。ここで、校正演算処理とは、FID検出器1からの出力を有機化合物濃度に変換できるよう、FID検出器1からの出力値である電流値又はこれを電圧値等に変換した値と有機化合物濃度との関係を求めて記憶させる処理をいう。
また、安定判別演算器C2が、出力値が安定したと判断してシーケンス駆動回路C1に安定信号を送出すると、安定信号を受けたシーケンス駆動回路C1により、パージステップへの移行が行われ、校正ガス供給路が、校正ガス導入路20が合流した地点より下流側の試料ガス供給路10において三方弁SV2により遮断されて、FID検出器1への校正ガスの流入が停止される。
なお、校正ステップは、図示はしていないが校正開始ボタンを押すことによっても開始することができる。
【0020】
[パージステップ]
パージステップでは、シーケンス駆動回路C1により、三方弁SV1及び三方弁SV2がオフ状態となる。ポンプP1のオフ状態はそのまま継続する。
これにより、ゼロガス導入路31が合流する地点より下流の試料ガス供給路10内の校正ガスが(後述の測定ステップの後のパージステップでは試料ガスが)ゼロガスによりパージされる。パージが進行するにつれて、FID検出器1からの出力は徐々に低下し、充分にパージされると有機化合物濃度ゼロに対応する出力値が得られるようになる。安定判別演算器C2は、このFID検出器1からの出力値を逐次取得し、当該出力値が安定したか否かを判別する。
安定判別演算器C2が、出力値が安定したと判断してシーケンス駆動回路C1に安定信号を送出すると、安定信号を受けたシーケンス駆動回路C1により、次の測定ステップへの移行が行われる。
なお、パージステップは、図示はしていないがパージ開始ボタンを押すことによっても開始することができる。
【0021】
[測定ステップ]
測定ステップでは、シーケンス駆動回路C1により、三方弁SV1がオフ状態、三方弁SV2とポンプP1がオン状態となる。
これにより、FID検出器1に試料ガスが流入すると共に、水素ガス及び助燃ガスが供給され、試料ガス中の有機化合物濃度に応じた出力値が得られる。安定判別演算器C2は、このFID検出器1からの出力値を逐次取得し、当該出力値が安定したか否かを判別する。
安定判別演算器C2が、出力値が安定したと判断して安定判別を終了すると、安定判別終了時の出力値に基づいて、有機化合物濃度が求められる。
また、安定判別演算器C2が、出力値が安定したと判断してシーケンス駆動回路C1に安定信号を送出すると、安定信号を受けたシーケンス駆動回路C1により、パージステップ又は終了ステップへの移行が行われ、試料ガス供給路10が三方弁SV2により遮断されて、FID検出器1への試料ガスの流入が停止される。
ここで、測定ステップ終了後、さらに測定ステップを行う場合は、パージステップに移行する。完全にFID計の動作を終了する場合は、終了ステップに移行する。
なお、測定ステップは、図示はしていないが測定開始ボタンを押すことによっても開始することができる。
【0022】
測定ステップ終了後、さらに測定ステップを行う場合は、その間に行われるパージステップの間に、試料ガスの切換を行う。試料ガス入口10aにオートサンプラを接続した場合には、オートサンプラが、パージステップの間にその都度捕集バッグを切り換える。この場合、最終の捕集バッグについての測定ステップが終了した時点で、シーケンス駆動回路C1により、終了ステップへの移行が行われる。最終の捕集バッグについての測定ステップが終了したことは、予め捕集バッグの数を、安定判別演算器C2に記憶させたりFID計の操作部から入力したりすることや、新たな捕集バッグがないことを検知したオートサンプラからの測定終了信号を安定判別演算器C2が受信したりすること等によって判断することができる。
【0023】
試料ガス入口10aに捕集バッグを直接接続した場合には、接続した捕集バッグをオペレーターが手動で交換して、同様に測定を繰り返すことができる。この場合は、次の測定ステップが開始されるまでの間に捕集バッグの交換が確実に行われなければならないため、バッグの交換を促すメッセージを表示、音声(ブザー等含む)、通信(携帯電話や携帯メール)等によりオペレーターに知らせるようにし、捕集バッグの交換が行われた旨の入力がされるまでは、後述のアイドリングステップの状態として、測定ステップに移行しないようにすることが望ましい。
なお、特に指定がない場合、1回の測定が終了したら総ての測定が終了したとみなして、終了ステップに移行するようにしてもよい。
【0024】
[終了ステップ]
終了ステップでは、シーケンス駆動回路C1により、パージステップと同様に、三方弁SV1及び三方弁SV2、及びポンプP1がオフ状態となる。そして、二方弁SV3とポンプP2のオン状態は継続したまま、オーブンのヒーターがオフとされる。
これにより、ゼロガス導入路31が合流する地点より下流の試料ガス供給路10内の測定ガスがゼロガスによりパージされる。また、オーブン内の温度が徐々に低下する。パージと温度低下が進行するにつれて、FID検出器1からの出力は徐々に低下し、充分にパージと温度低下が進行すると、一般的に出力値はゼロに近づく。安定判別演算器C2は、このFID検出器1からの出力値を逐次取得し、当該出力値が安定したか否かを判別する。
安定判別演算器C2が、出力値が安定したと判断してシーケンス駆動回路C1に安定信号を送出すると、安定信号を受けたシーケンス駆動回路C1により、装置全体の電源がオフされる。または、予め設定された時間が経過した後に電源がオフされる。
これにより、二方弁SV3とポンプP2もオフとなり、FID検出器1は、ゼロガス、水素ガス、助燃ガスの総ての供給が遮断されることにより消火する。
なお、終了ステップは、図示はしていないが終了ボタンを押すことによっても開始することができる。
【0025】
[アイドリングステップ]
また、本実施形態では、終了ステップに代えて、アイドリングステップに移行することもできる。総ての測定が終了した時点で、終了ステップとアイドリングステップの何れに移行するかは、図示はしていないが操作キーで予め選択することができる。
アイドリングステップでは、シーケンス駆動回路C1により、パージステップと同様に、三方弁SV1及び三方弁SV2、及びポンプP1がオフ状態となる。そして、二方弁SV3とポンプP2のオン状態、及びオーブンのヒーターのオン状態が継続される。
これにより、ゼロガス導入路31が合流する地点より下流の試料ガス供給路10内がゼロガスでパージされる。その後は、オーブン内の温度が所定温度に保たれたまま、ゼロガス、水素ガス、及び助燃ガスが、点火状態を保ったFID検出器1に供給される状態が継続する。
終了ステップに代えてアイドリングステップに移行することにより、測定ステップや校正ステップへ直ちに移行できる状態となる。
【0026】
試料ガス入口10aに捕集バッグを直接接続し、接続した捕集バッグをオペレーターが手動で交換する場合は、パージステップが終了した段階でアイドリングステップに移行することが好ましい。そして、測定開始ボタンを押すまで測定ステップに移行しないようにすれば、捕集バッグの交換が間に合わない状態で測定ステップに移行してしまう事態を回避できる。
また、試料ガス入口10aにオートサンプラを接続した場合にも、オートサンプラに新たに捕集バッグをセットし直して測定を継続したい場合や、オートサンプラにセットした捕集バッグ以外の捕集バッグを試料ガス入口10aに直接接続して測定を行いたい場合等も、パージステップが終了した段階でアイドリングステップに移行することが好ましい。そして、捕集バッグをセットし直す等の必要な準備ができ次第、測定開始ボタンを押すことにより、直ちに測定ステップに移行して測定を再開できる。
なお、アイドリングステップは、図示はしていないがアイドリング開始ボタンを押すことによっても開始することができる。
【0027】
本実施形態によれば、出力値が安定したと判断されるまで試料ガスや校正ガスをFID検出器1に供給するので、測定や校正を確実に行うことができる。また、安定判別終了後、直ちに試料ガスや校正ガスのFID検出器への供給を停止するので、これらのガスを必要以上に使用することがない。
特に、捕集バッグに限られた量(最大20L)しか採取できない試料ガスを、捕集バッグ中にできるだけ多く残すことが可能となる。そのため、FID計による有機化合物濃度が規制値を超えた場合、残りの試料ガスを用いてGC−FID等により除外物質の測定も行える可能性が高くなる。
【0028】
なお、本実施形態において、供給弁として三方弁SV2を用いたが、供給弁は水素炎イオン化検出器への試料ガスの供給を停止するように試料ガス供給路を遮断できるものであれば特に限定はなく、例えば、二方弁や六方弁等であってもよい。なお、三方弁SV2に代えて二方弁を供給弁とする場合、ゼロガス導入路31を供給弁よりも下流側で試料ガス供給路に合流させ、ゼロガス導入路31にも二方弁を設け、試料ガスとゼロガスの一方のみが、FID検出器に供給されるように構成することが好ましい。
【0029】
また、本実施形態において、ゼロガス導入路31と助燃ガス導入路32とを、いずれも空気導入路30の下流側に連結したが、空気導入路30の下流側には助燃ガス導入路32のみを連結し、ゼロガス導入路31には、ゼロガスボンベからゼロガスを供給するようにしてもよい。
また、空気導入路30に、フィルター、除湿器等を追加的に適宜設けてもよいのはもちろんである。
【0030】
また、本実施形態では、FID検出器1とキャピラリーCP1〜CP3をオーブンに収容する校正としたが、温度変化がFID検出器1の出力に影響を与える可能性がある部分については、できるだけ同一オーブン内に収容することが好ましい。
【0031】
また、本実施形態は、電源ボタンを押した後、FID検出器1にゼロガスを流入させて安定判別をする暖機ステップを設けたが、電源ボタンを押した後、直ちに校正ステップに移行してもよい。そして、上記と同様に、安定判別演算器C2が、出力値が安定したと判断して安定判別を終了すると、安定判別終了時の出力値に基づいて、校正演算処理を行う。この場合、校正ガスをFID検出器1に流入させつつ暖機を行うことになり、FID検出器1の出力の安定により、校正演算処理ができると共に暖機の完了も確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態に係るFID計の概略構成図である。
【符号の説明】
【0033】
1…FID検出器、10…試料ガス供給路、20…校正ガス導入路、
30…空気導入路、31…ゼロガス導入路、32…助燃ガス導入路、33…燃焼炉、
40…水素ガス導入路、
SV1…三方弁、SV2…三方弁、SV3…二方弁、P1…ポンプ、P2…ポンプ、
CP1…キャピラリー、CP2…キャピラリー、CP3…キャピラリー
C1…シーケンス駆動回路、C2…安定判別演算器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素炎イオン化検出器と、水素炎イオン化検出器に試料ガスを供給する試料ガス供給路と、試料ガス供給路に設けられた供給弁と、水素炎イオン化検出器の出力値が安定したか否かを判別する安定判別演算器とを備え、
試料ガスが供給されている際の水素炎イオン化検出器の出力値について、安定判別演算器が安定したと判断したときに、供給弁により試料ガス供給路を遮断して水素炎イオン化検出器への試料ガスの供給を停止することを特徴とする水素炎イオン化形分析計。
【請求項2】
さらに、水素炎イオン化検出器を加温するヒーターを備え、ヒーターをオンとした後の水素炎イオン化検出器の出力値について、安定判別演算器が安定したと判断したときに、水素炎イオン化検出器への試料ガス又は校正ガスの供給を開始することを特徴とする請求項1に記載の水素炎イオン化形分析計。
【請求項3】
さらに、水素炎イオン化検出器にゼロガスを供給するゼロガス供給路を備え、ゼロガスが供給されている際の水素炎イオン化検出器の出力値について、安定判別演算器が安定したと判断したときに、水素炎イオン化検出器への試料ガス又は校正ガスの供給を開始することを特徴とする請求項1又は2に記載の水素炎イオン化形分析計。
【請求項4】
測定対象が揮発性有機化合物濃度である請求項1〜3の何れかに記載の水素炎イオン化形分析計。



【図1】
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【公開番号】特開2007−205968(P2007−205968A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−26771(P2006−26771)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(000219451)東亜ディーケーケー株式会社 (204)
【Fターム(参考)】