説明

水素発生用ケイ素粉体組成物及びそれを用いた貯蔵、運搬、循環可能なエネルギーシステム

【課題】本発明が解決しようとする課題は水と接触することによって穏やかに水素を発生させられる水素発生用ケイ素粉体組成物及びその製造方法に関するものである。本発明が解決しようとするもう一つの課題は太陽エネルギーを出発エネルギーとし、ケイ素を利用して貯蔵、運搬、循環可能且つ化石燃料から二酸化炭素が排出しないエネルギーシステムを構築することである。
【解決手段】この発明は▲1▼ケイ素粉末及び▲2▼水中での溶解度が1%以下のケイ酸塩を形成しうる金属元素を含む物質及び▲3▼塩基性物質からなることを特徴とする水素発生用ケイ素粉体組成物を水と接触して水素を穏やかに発生させ、発生した水素をエネルギーに変換する水素発生用ケイ素粉体組成物に関するものである。好ましくは、太陽エネルギー由来のエネルギーにより発生させた電気エネルギーを用いて木炭、木屑等の還元剤で二酸化珪素をケイ素に転換し、得られたケイ素を水酸化ナドリウムと水酸化カルシウムと混合してからうる水素発生用ケイ素粉体組成物を水と接触させて水素を発生させ、生成した水素をエネルギーに転換することと、水素発生時で生成したナドリウムとカルシウムを含有する酸化ケイ素水和物を塩酸で中和、水洗浄によって酸化ケイ素水和物と塩化ナドリウム、塩化カルシウム水溶液に分離することと、塩化ナドリウムと塩化カルシウム水溶液を電気分解よって水酸化ナドリウム、水酸化カルシウムと塩素、水素に分離することと、塩素と水素を反応させて塩酸を生成させることからなる水素発生用ケイ素粉体組成物を利用した太陽エネルギー利用システムである(図1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
貯蔵及び循環可能なエネルギーシステム及びそれに適した水素発生用ケイ素粉体組成物
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明が解決しようとする課題は水と接触することによって穏やかに水素を発生させられる水素発生用ケイ素粉体組成物及びその製造方法に関するものである。本発明が解決しようとするもう一つの課題は太陽エネルギーを出発エネルギーとし、ケイ素を利用して貯蔵、運搬、循環可能且つ化石燃料から二酸化炭素が排出しないエネルギーシステムを構築することである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
この発明は▲1▼ケイ素粉末及び▲2▼水中での溶解度が1%以下のケイ酸塩を形成しうる金属元素を含む物質及び▲3▼塩基性物質からなることを特徴とする水素発生用ケイ素粉体組成物を水と接触して水素を穏やかに発生させ、発生した水素をエネルギーに変換する水素発生用ケイ素粉体組成物に関するものである。好ましくは、太陽エネルギー由来のエネルギーにより発生させた電気エネルギーを用いて木炭、木屑等の還元剤で二酸化珪素をケイ素に転換し、得られたケイ素を水酸化ナドリウムと水酸化カルシウムと混合してからうる水素発生用ケイ素粉体組成物を水と接触させて水素を発生させ、生成した水素をエネルギーに転換することと、水素発生時で生成したナドリウムとカルシウムを含有する酸化ケイ素水和物を塩酸で中和、水洗浄によって酸化ケイ素水和物と塩化ナドリウム、塩化カルシウム水溶液に分離することと、塩化ナドリウムと塩化カルシウム水溶液を電気分解よって水酸化ナドリウム、水酸化カルシウムと塩素、水素に分離することと、塩素と水素を反応させて塩酸を生成させることからなる水素発生用ケイ素粉体組成物を利用した太陽エネルギー利用システムである。
【0004】
本発明に用いるケイ素の製造方法は特に限定しないが、地球温暖化のことを考えると太陽エネルギーを電気エネルギー変換する方法が好ましい。太陽エネルギーを電気エネルギー変換する方法が幾つかが知られている。例えば海水の蒸発、降雨で形成された水をダムで堰きとめて水の落差を利用した水力発電、太陽電池を利用した直接発電、植物等を燃料に変換してからの熱発電等が上げられる。これらの電気エネルギーの何れも二酸化ケイ素をケイ素に転換させる時に利用できるが、地球規模のエネルギーシステムを考える時は水力発電が最も適している。
【0005】
二酸化ケイ素をケイ素に転換させる最も一般的な方法がアーク炉による還元である。この場合は電気エネルギーと共に還元剤が必要である。還元剤は一般的に石炭コークス、木材、木炭などが用いられる。化石燃料を使うと地球上の二酸化炭素が増えることから再生可能な木材、木炭を使うほうが環境にやさしいと言える。又、石炭コークス、石油コークスを使う場合はアーク炉から出る二酸化炭素を固定化する方法も二酸化炭素の排出防止に有効と考えられる。水力発電は山地にあるのは一般的で、山地の森林資源を還元剤に利用するのは最も合理的と言える。
【0006】
本発明で用いられるケイ素の形態は粉末である。ケイ素を予め粉砕してもよいが、水中での溶解度が1%以下のケイ酸塩を形成しうる金属元素を含む物質及び/又は塩基性物質と一緒に混合しながら粉砕してもよい。粉砕されたケイ素の粒子系が0.05から100μmであることが好ましい。0.05μm以下になると粉砕時間がかかり、表面酸化層の割合が増え水素発生量が下がる。一方、100μm以上になると水との反応速度が著しく遅くなる。ケイ素の純度も特に限定しないが、水素発生量の観点から50%以上の純度が好ましい。また、99.9999%以上になると製造コストが高く、好ましくない。
【0007】
ケイ素が塩基性物質、例えば水酸化ナドリウムの存在下で水と反応して水素が発生することは古くから知られている。つまりケイ素粉末と水酸化ナドリウムのような塩基性物質と混合した粉末に水を滴下すると水素を発生させることができる。しかし、反応で生成したケイ酸水和物がケイ素粒子の表面に堆積して反応が遅くなって、安定的に水素を発生できない課題がある。水酸化ナドリウム等の強塩基性物質の量を増やすと逆に初期の反応が速すぎて、ケイ素粉末に大量の水酸化ナドリウムを混ぜた粉末に水を滴下すると激しく反応が発生し発火することもあって、水素発生を目的とする応用に適しない。これらの課題を解決するために本特許の発明者は鋭意検討した結果、水中での溶解度が1%以下のケイ酸塩を形成しうる金属元素を含む物質と塩基性物質をケイ素粉末と混合してうる粉末に水を滴下すると穏やかに水素を発生させられることを突き止め、本発明を完成させた。つまり、水中での溶解度が1%以下のケイ酸塩を形成しうる金属元素を含む物質の存在下で、ケイ素表面に水に難溶のケイ酸化合物が形成され水を滴下した初期の激しい反応を抑制できる。反応と同時に生成したコロイド状のケイ酸水和物もこの水中での溶解度が1%以下のケイ酸塩を形成しうる金属元素を含む物質に吸着され、ケイ素粒子表面でのケイ素水和物の堆積が押さえられ、ケイ素と水の反応が最後まで進むことができる。水中での溶解度が1%以下のケイ酸塩を形成しうる金属元素を含む物質はアルカリ土類金属、希土類金属、アルミニウムの水酸化物、酸化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、アルミン酸塩から選ぶことができる。又、これらの物質を二種類以上混合してよい。溶解度が1%以下の物質は一般的に不溶又は難溶と言い、例えば水中での溶解度が1%以下のケイ酸塩を形成しうる金属元素を含む物質として水酸化カルシウムを使用した場合はケイ酸カルシウム、硫酸マグネシウムの場合はケイ酸マグネシウム、アルミン酸ナドリウムの場合はケイ酸アルミニウムがそれぞれ形成され、これらの水中での溶解度は何れも1%以下であり好適である。価額及び循環利用の面を考慮して水酸化カルシウムは最も好ましい。これらの物質の添加量は1%以下のケイ酸塩を形成しうる金属元素を含む物質/ケイ素粉末の重量比が100/100から10/100の範囲は好ましい。100/100以上になると水素発生量が少なくなる。又、10/100以下になると初期の激しい反応を抑制できるが、ケイ素粒子表面でのケイ素水和物の堆積が押さえきれず、ケイ素と水の反応が最後まで進むことが困難になる。
【0008】
塩基性物質はアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム、有機アミン、水酸化四級アンモニウムから選ぶことができる。価額及び循環利用の面を考慮して水酸化ナドリウムは最も好ましい。塩基性物質の添加量は塩基性物質/ケイ素粉末の重量比が100/100から1/100の範囲は好ましい。100/100以上になると水素発生量が少なくなる。又、1/100以下になると反応が遅くなり、ケイ素と水の反応が最後まで進むことが困難になる。
【0009】
▲1▼ケイ素粉末及び▲2▼水中での溶解度が1%以下のケイ酸塩を形成しうる金属元素を含む物質及び▲3▼塩基性物質を混合するだけで本発明の水素発生用ケイ素粉体組成物を得ることができる。好ましくはこれらの粉体を混合した後、吸着された水を予めケイ素粉末と反応させておく。このように製造された本発明の粉末は保存安定性がよく、水添加時の反応はより均一に進む。
【0010】
本発明の水素発生用ケイ素粉体組成物を水と接触させると水素が発生する。水との接触方法は特に限定しないが。液体の水の添加、滴下又は水蒸気を含むガスとの接触などが挙げられる。発生した水素を燃料電池等に供給し、発電に利用される。燃料電池と二次電池を組み合わせて更に便利に自動車、産業機械、日常生活の電化機器等に利用できる。
【0011】
ケイ素、水酸化ナドリウム、水酸化カルシウムからなる水素発生用ケイ素粉体組成物の場合は、水素発生と共にナドリウム、カルシウム等含有酸化ケイ素水和物がスラリー状のものとして生成される。これを塩酸などの酸性物質で中和して、酸化ケイ素を析出させて塩化ナドリウム、塩化カルシウム等の無機塩水溶液と分離できる。中和で使用する酸性物質は特に限定しないが、塩水の電気分解による循環を考えると塩酸が好ましい。塩化ナドリウム、塩化カルシウム水溶液を電気分解すると水酸化ナドリウム、水酸化カルシウムと塩素と水素に分解される。水酸化ナドリウム、水酸化カルシウムが本発明の水素発生用ケイ素粉体組成物の製造に利用できる。又、水素を塩素中に燃焼させると塩酸となる。これはナドリウム、カルシウム含有酸化ケイ素水和物がスラリー状のものの中和に使用できる。つまり、図1に示したようにエネルギーを貯蔵、運搬、循環可能なシステムにできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】水素発生用ケイ素粉体組成物及びそれを用いた貯蔵、運搬、循環可能なエネルギーシステム
【発明を実施するための形態】
【0013】
山地の水力発電等の電力を利用して石英を木炭、木屑、石炭、コークス等の還元剤で還元してケイ素を得る。ケイ素粉末及び水酸化カルシウム等の水中での溶解度が1%以下のケイ酸塩を形成しうる金属元素を含む物質及び水酸化ナドリウム等の塩基性物質を混合すると水素発生用ケイ素粉体組成物ができる。水素発生用ケイ素粉体組成物をエネルギーが必要とする場所に運搬して、混合装置を備えた容器に上記水素発生用ケイ素粉体組成物と水と接触させ水素を発生させて燃料電池の発電に供する。発生した電気エネルギーを自動車、産業機械、日常生活の電化機器等に利用できる。ナドリウム、カルシウム等含有酸化ケイ素水和物を排出して塩酸等の酸性物質で中和して酸化ケイ素水和物を塩化ナドリウム、塩化カルシウム等の無機塩水溶液に分離する。酸化ケイ素水和物が理論的には山地の水力発電を利用して石英を木炭、木屑等で還元してケイ素に戻せるが、地球上の酸化ケイ素の量から考えると直ちにそうする必要がないと判断できる。又、塩酸を用いた場合で排出した塩化ナドリウム、塩化カルシウムの水溶液も理論的に電気分解よって水酸化ナドリウム、水酸化カルシウムと塩素と水素に分解でき、塩素中に水素を燃焼さえると塩酸が得られる。このように製造した水酸化ナドリウム、水酸化カルシウムがケイ素と水に反応に利用でき、塩酸がナドリウム、カルシウム含有酸化ケイ素水和物の中和に利用できるが、地球上の海水の量と炭酸カルシウムの量から考えると直ちにそうしなければならないことがないと思われる。
【実施例】
【0014】
以下、本発明を更に具体化した実施例を説明する
【実施例1】
【0015】
中国岳西県恒力珪業製98%ケイ素を乾式粗粉砕して平均粒径20μのケイ素粉体を得た。このケイ素粉体100部と水酸化カルシウム50部と水酸化ナドリウム50部をミキサーで混合して2時間放置した。吸着水との反応による発熱がなくなるのを確認して実施例1の水素発生用粉体を得た。この粉体を容器に入れて水を滴下すると水素が発生し、最終的に白色のスラリーとなった。
【実施例2】
【0016】
中国岳西県恒力珪業製98%ケイ素を乾式粗粉砕して平均粒径20μのケイ素粉体を得た。このケイ素粉体100部と水酸化カルシウム100部と水酸化ナドリウム50部をミキサーで混合して2時間放置した。吸着水との反応による発熱がなくなるのを確認して実施例2の水素発生用粉体を得た。この粉体を容器に入れて水を滴下すると水素が発生し、最終的に白色のスラリーとなった。
【実施例3】
【0017】
中国岳西県恒力珪業製98%ケイ素を乾式粗粉砕して平均粒径20μのケイ素粉体を得た。このケイ素粉体100部と水酸化カルシウム25部と水酸化ナドリウム50部をミキサーで混合して2時間放置した。吸着水との反応による発熱がなくなるのを確認して実施例3の水素発生用粉体を得た。この粉体を容器に入れて水を滴下すると水素が発生し、最終的に白色のスラリーとなった。
【実施例4】
【0018】
中国岳西県恒力珪業製98%ケイ素を乾式粗粉砕して平均粒径20μのケイ素粉体を得た。このケイ素粉体100部と水酸化カルシウム50部と水酸化ナドリウム5部をミキサーで混合して2時間放置した。吸着水との反応による発熱がなくなるのを確認して実施例4の水素発生用粉体を得た。この粉体を容器に入れて水を滴下すると水素が発生し、最終的にわずかに灰色のスラリーとなった。
【実施例5】
【0019】
中国岳西県恒力珪業の企画外品である85%ケイ素を乾式粗粉砕して平均粒径20μのケイ素粉体を得た。このケイ素粉体100部と水酸化カルシウム50部と水酸化ナドリウム50部をミキサーで混合して2時間放置した。吸着水との反応による発熱がなくなるのを確認して実施例5の水素発生用粉体を得た。この粉体を容器に入れて水を滴下すると水素が発生し、最終的に灰色のスラリーとなった。
【実施例6】
【0020】
中国岳西県恒力珪業製98%ケイ素の塊100部と水酸化カルシウム50部と水酸化ナドリウム50部をボール未で平均粒径が20μになるように粉砕して実施例6の水素発生用粉体を得た。この粉体を容器に入れて水を滴下すると水素が発生し、最終的にわずかに灰色のスラリーとなった。
【実施例7】
【0021】
中国岳西県恒力珪業製98%ケイ素を湿式粗粉砕して平均粒径5μのケイ素粉体を得た。このケイ素粉体100部と水酸化カルシウム50部と水酸化ナドリウム50部をミキサーで混合して2時間放置した。吸着水との反応による発熱がなくなるのを確認して実施例7の水素発生用粉体を得た。この粉体を容器に入れて水を滴下すると水素が発生し、最終的に白色のスラリーとなった。
【実施例8】
【0022】
中国岳西県恒力珪業製98%ケイ素を乾式粗粉砕して平均粒径60μのケイ素粉体を得た。このケイ素粉体100部と水酸化カルシウム50部と水酸化ナドリウム50部をミキサーで混合して2時間放置した。吸着水との反応による発熱がなくなるのを確認して実施例7の水素発生用粉体を得た。この粉体を容器に入れて水を滴下すると水素が発生し、最終的に白色のスラリーとなった。
【実施例9】
【0023】
中国岳西県恒力珪業製98%ケイ素を乾式粗粉砕して平均粒径20μのケイ素粉体を得た。このケイ素粉体100部と硫酸マグネシウム50部と水酸化ナドリウム50部をミキサーで混合して2時間放置した。吸着水との反応による発熱がなくなるのを確認して実施例9の水素発生用粉体を得た。この粉体を容器に入れて水を滴下すると水素が発生し、最終的に白色のスラリーとなった。
【実施例10】
【0024】
中国岳西県恒力珪業製98%ケイ素を乾式粗粉砕して平均粒径20μのケイ素粉体を得た。このケイ素粉体100部とアルミン酸ナドリウム50部と水酸化ナドリウム50部をミキサーで混合して2時間放置した。吸着水との反応による発熱がなくなるのを確認して実施例10の水素発生用粉体を得た。この粉体を容器に入れて水を滴下すると水素が発生し、最終的に白色のスラリーとなった。
【実施例11】
【0025】
中国岳西県恒力珪業製98%ケイ素を乾式粗粉砕して平均粒径20μのケイ素粉体を得た。このケイ素粉体100部と水酸化カルシウム50部と水酸化テトラメチルアンモニウム15部をミキサーで混合して2時間放置した。吸着水との反応による発熱がなくなるのを確認して実施例11の水素発生用粉体を得た。この粉体を容器に入れて水を滴下すると水素が発生し、最終的に白色のスラリーとなった。
【実施例12】
【0026】
実施例1で得た粉末に水蒸気を接触させた。水素の発生と同時に粉末は固体のままで徐々に白色になった。
比較例1)
【0027】
中国岳西県恒力珪業製98%ケイ素を乾式粗粉砕して平均粒径20μのケイ素粉体を得た。このケイ素粉体100部と水酸化ナドリウム50部をミキサーで混合して比較例1の粉体を得た。この粉体を容器に入れて水を数滴下したところ水素が激しく発生し、着火した。
比較例2)
【0028】
中国岳西県恒力珪業製98%ケイ素を乾式粗粉砕して平均粒径20μのケイ素粉体を得た。このケイ素粉体100部と水酸化カルシウム50部をミキサーで混合して比較例2の粉体を得た。この粉体を容器に入れて水を滴下したが初期は水素の発生が殆ど観察されなかった。数時間後わずかの水素の発生があった。
【産業上の利用可能性】
【0029】
燃料電池をエネルギー源とする自動車、産業機械、冷暖房、家電などに利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と接触して水素を発生する組成物であって、▲1▼ケイ素粉末及び▲2▼水中での溶解度が1%以下のケイ酸塩を形成しうる金属元素を含む物質及び▲3▼塩基性物質からなることを特徴とする水素発生用ケイ素粉体組成物。
【請求項2】
ケイ素粉末の平均粒子径が0.05から100μmで、ケイ素含有量が50%から99.9999%であることを特徴とする請求項1の粉末組成物。
【請求項3】
水中での溶解度が1%以下のケイ酸塩を形成しうる金属元素を含む物質はアルカリ土類金属、希土類金属、アルミニウムの水酸化物、酸化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、アルミン酸塩から選ばれる少なくとも一種の物質であることを特徴とする請求項1と2の粉末組成物。
【請求項4】
塩基性物質はアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム、有機アミン、水酸化四級アンモニウムから選ばれる少なくとも一種の物質であることを特徴とする請求項1から3の粉末組成物。
【請求項5】
水中での溶解度が1%以下のケイ酸塩を形成しうる金属元素を含む物質は水酸化カルシウムであることを特徴とする請求項1、2、4の粉末組成物。
【請求項6】
塩基性物質は水酸化ナドリウムであることを特徴とする請求項1、2、3の粉末組成物。
【請求項7】
水中での溶解度が1%以下のケイ酸塩を形成しうる金属元素を含む物質/ケイ素粉末の重量比が100/100から10/100であって、塩基性物質/ケイ素粉末の重量比が100/100から1/100であることを特徴とする請求項1から6の粉末組成物。
【請求項8】
▲1▼ケイ素粉末及び▲2▼水中での溶解度が1%以下のケイ酸塩を形成しうる金属元素を含む物質及び▲3▼塩基性物質を混合した後、吸着された水を予めケイ素粉末と反応させることを特徴とする請求項1から7の粉末組成物の製造方法。
【請求項9】
請求項1から7の水素発生用ケイ素粉体組成物を水と混合して水素を発生させ、生成した水素を燃料電池に供給し電池エネルギーに転換する発電方法。
【請求項10】
太陽エネルギー由来のエネルギーにより発生させた電気エネルギーを用いて植物由来の還元剤で二酸化珪素をケイ素に転換し、得られたケイ素を請求項1から7の水素発生用ケイ素粉体組成物にした後、水と接触させて水素を発生させ、生成した水素をエネルギーに転換することと、水素発生時で生成したナドリウム及びカルシウムを含有する酸化ケイ素水和物を塩酸で中和、水洗浄によって酸化ケイ素水和物と塩化ナドリウム及び塩化カルシウム水溶液に分離することと、塩化ナドリウムと塩化カルシウム水溶液を電気分解よって水酸化ナドリウム、水酸化カルシウムと塩素、水素に分離することと、塩素と水素を反応させて塩酸を生成させることからなる太陽エネルギー利用システム。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−236107(P2011−236107A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122062(P2010−122062)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(510016689)
【Fターム(参考)】