水素結合を確立することができる超分子化合物、および特定の油を含む化粧用組成物
本発明は、化粧品学的に許容される媒体中に、
(i)OHおよびNH2から選択される、少なくとも1個の求核反応性官能基を有する少なくとも1種の油と、
1個または複数のパートナー連結基と水素結合を確立することができる少なくとも1個の連結基であって、連結基の各対形成が少なくとも3個の水素結合を伴い、前記連結基が、油が有する反応性官能基と反応することができる少なくとも1個のイソシアネートまたはイミダゾール反応性官能基を有し、前記連結基が、式(I)または(II)の少なくとも1個の単位もまた含む連結基:
との間の反応によって得ることができる超分子化合物、
(ii)無極性の炭化水素ベースの油およびシリコーン油から選択される少なくとも1種の油、
(iii)少なくとも1つの色素、
を含む、化粧用組成物に関する。
本発明は、前記組成物の適用を含む化粧処置方法にも関する。
(i)OHおよびNH2から選択される、少なくとも1個の求核反応性官能基を有する少なくとも1種の油と、
1個または複数のパートナー連結基と水素結合を確立することができる少なくとも1個の連結基であって、連結基の各対形成が少なくとも3個の水素結合を伴い、前記連結基が、油が有する反応性官能基と反応することができる少なくとも1個のイソシアネートまたはイミダゾール反応性官能基を有し、前記連結基が、式(I)または(II)の少なくとも1個の単位もまた含む連結基:
との間の反応によって得ることができる超分子化合物、
(ii)無極性の炭化水素ベースの油およびシリコーン油から選択される少なくとも1種の油、
(iii)少なくとも1つの色素、
を含む、化粧用組成物に関する。
本発明は、前記組成物の適用を含む化粧処置方法にも関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無極性の炭化水素ベースの油およびシリコーン油から選択される油、ならびに色素と組み合わされた、パートナー連結基と水素結合を確立することができる新規な化合物A(本特許出願の状況において超分子化合物と呼ぶ)を含む、ケラチン質とりわけ皮膚または唇を特にケアおよび/またはメーキャップするための化粧用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ケラチン質に対して適用された後に、沈着した皮膜の光沢性が所望される化粧用組成物は多く存在する。例えば、口紅またはマニキュア液を挙げることができる。このような結果を得るために、特許出願EP1097699に記載する通り、特定の出発材料、特にラノリンを、ポリブテンなどの「光沢のある」油、または炭素数の多い脂肪酸もしくは脂肪アルコールのエステル;あるいは代替としてある種の植物油;あるいは代替としてヒドロキシル化した脂肪族化合物の芳香族酸との部分または完全エステル化から得られるエステルと組み合わせることが可能である。
【0003】
しかし、OHまたはNH2官能基を含む油の変性によって得られた化合物と組み合わされたこれらの油は、粘着性の問題を生じることがある。この粘着性により、これらの製剤は、グラスおよびカップなどの支持体上に跡を残す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】EP1097699
【特許文献2】US5707612
【特許文献3】WO2007/068371
【特許文献4】WO2008/155059
【特許文献5】FR0853634
【特許文献6】EP-A-0955039
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Hoferら、European Coating Journal (2000年3月)26〜37頁
【非特許文献2】Folmerら、Adv. Mater.、12巻、874〜78頁(2000年)
【非特許文献3】C.M. Hansen、「The three dimensional solubility parameters」、J. Paint Technol.、39巻、105頁(1967年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、調合者は、その沈着物が光沢および不粘着性の(または、少なくとも低粘着性の)効果によって特徴付けられる組成物を得るための出発材料および/または系を捜し求めている。
【0007】
本発明の目的は、ケラチン質上にそのような均一な沈着物を得るための化粧用組成物を提案することであり、前記沈着物は、光沢と、不粘着性(または低粘着性)でありながらの長時間の光沢残存性(とりわけ、適用後1時間)と、とりわけ着け心地のよさとを併せ持つ。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明の1つの対象は、化粧品学的に許容される媒体中に、
(i)OHおよびNH2から選択される、少なくとも1個の求核反応性官能基を有する少なくとも1種の油と、
1個または複数のパートナー連結基と水素結合を確立することができる少なくとも1個の連結基であって、連結基の各対形成が少なくとも3個の水素結合を伴い、前記連結基が、油が有する反応性官能基と反応することができる少なくとも1個のイソシアネートまたはイミダゾール反応性官能基を有し、前記連結基が、式(I)または(II)の少なくとも1個の単位もまた含む、連結基:
【0009】
【化1】
【0010】
[式中、
R1およびR3は、同一でも、または異なっていてもよく、(i)直鎖状または分枝状のC1〜C32アルキル基、(ii)C4〜C16シクロアルキル基、および(iii)C4〜C16アリール基から選択される2価の炭素ベースの基(O、N、S、F、Si、およびPから選択される1個から8個のヘテロ原子を任意選択により含み;かつ/または、エステルもしくはアミド官能基で、またはC1〜C12アルキル基で任意選択により置換されている);またはこれらの基の混合物を表し、
R2は、水素原子、または直鎖状、分枝状、または環状の、飽和または不飽和の、任意選択により芳香族の、C1〜C32炭素ベースの、特に炭化水素ベースの基を表し、これは、O、N、S、F、Si、およびPから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含んでいてもよい]と
の間の反応によって得ることができる化合物A(本特許出願の状況において超分子化合物と呼ぶ)、
(ii)無極性の炭化水素ベースの油およびシリコーン油から選択される少なくとも1種の油、
(iii)少なくとも1つの色素、
を含む、ケラチン質(特に、皮膚または唇)をメーキャップおよび/またはケアするための化粧用組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
超分子化合物
本発明にしたがって官能基化された化合物A(超分子化合物としても知られている)は固体の形態であり、このため特に不粘着性の材料を形成することが可能となり、この不粘着性の材料はケラチン質に適用された後は指上に移ることはなく、これは特にUS5707612に記載されている通り、先行技術の官能基化された化合物の場合にはなく、先行技術の化合物は程度の差はあれ粘性の液体の形態であり、ケラチン質に適用された後、指上に移る粘着性の材料を形成する。
【0012】
さらに、ウレイドピリミドン基による、4個の水素結合による架橋は、この架橋の強度を増大し、したがって所望の化粧効果の残存性、最も詳しくは沈着の残存性または光沢の残存性を改善することができる。
【0013】
さらに、本発明による化合物、または官能基化された油は、通常の化粧用媒体、特に通常の化粧用油性媒体中に移すのが容易である。
【0014】
これらは、有利には、通常化粧用組成物中に存在する油と相容性であり、顔料または充填剤を分散する良好な性質も有する。
【0015】
これらは、化粧用の油性または溶媒の媒体、特に油、脂肪アルコール、および/または脂肪エステル中に移すのが容易であり、そのため化粧分野、特に口紅におけるその使用を促進する。これらは、酢酸ブチルもしくは酢酸エチルなどの短鎖エステルであっても、または脂肪エステル、および脂肪アルコールであっても、植物油、アルカン、エステルなどの様々な化粧用油性媒体、最も詳しくは、イソドデカン、パールリーム(parleam)、イソノニル、イソノナノエート、オクチルドデカノール、および/またはC12〜C15アルキルベンゾエートを含む媒体において、許容される可溶性を示す。
【0016】
本発明による化粧用組成物は、良好な適用および良好なカバー力、支持体(爪、まつげ、皮膚、または唇に対するものであっても)に対する良好な粘着作用、皮膜の十分な柔軟性および強度、ならびに優れた光沢の持続性をさらに示す。快適性および滑らかさもまた非常に満足のいくものである。
【0017】
一般に、本特許出願の状況において、化合物Aを、便宜上、およびより明確にするために、好ましいわけではないが「超分子化合物」と呼ぶことができる。
【0018】
本発明による組成物の化合物A(または超分子化合物)は、
OHおよびNH2から選択される、少なくとも1個の求核反応性官能基を有する少なくとも1種の油と、
1個または複数のパートナー連結基と水素結合を確立することができる少なくとも1個の連結基であって、連結基の各対形成が少なくとも3個の水素結合を伴い、前記連結基が、油が有する反応性官能基と反応することができる少なくとも1個のイソシアネートまたはイミダゾール反応性官能基を有し、前記連結基が、式(I)または(II)の少なくとも1個の単位もまた含む連結基:
【0019】
【化2】
【0020】
[式中、
R1およびR3は、同一でも、または異なっていてもよく、(i)直鎖状または分枝状のC1〜C32アルキル基、(ii)C4〜C16シクロアルキル基、および(iii)C4〜C16アリール基から選択される2価の炭素ベースの基(O、N、S、F、Si、およびPから選択される1個から8個のヘテロ原子を任意選択により含み、かつ/またはエステルもしくはアミド官能基で、またはC1〜C12アルキル基で任意選択により置換されている)、またはこれらの基の混合物を表し、
R2は、水素原子、または直鎖状、分枝状、または環状の、飽和または不飽和の、任意選択により芳香族の、C1〜C32炭素ベースの、特に炭化水素ベースの基を表し、これはO、N、S、F、Si、およびPから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含んでいてもよい]
との間の反応によって得ることができる。
【0021】
結論として、本発明による組成物の超分子化合物は、したがって、油から生じる少なくとも1つの部分(HB)と、連結基から生じる少なくとも1つの部分(G)とを含み、前記部分(G)は、式(I)または(II)の少なくとも1つの単位を含む。
【0022】
とりわけ、前記(HB)および(G)部分は共有結合によって接続されており、油が有するOHおよび/またはNH2反応性官能基と、連結基が有するイソシアネート反応性官能基との間の反応の間に、あるいは代替として油が有するNH2反応性官能基と連結基が有するイソシアネートまたはイミダゾール官能基との間に形成される共有結合によって特に接続されていてよい。
【0023】
本発明による化合物の優先的な生成は、したがって、特に以下の種の間の化学反応によって図式的に表すことができる:
(HB)-(OH)m(NH2)n+(G)-(NCO)p、または
(HB)-(OH)m(NH2)n+(G)-(イミダゾール)p
m、n、およびpはゼロではない整数である。
【0024】
好ましくは(HB)-(OH)m(NH2)nとして図式的に表すことができる、本発明による化合物を調製するのに用いることができる油は、脂肪物質または脂肪物質の混合物であり、25℃で結晶ではなく、室温および大気圧(25℃、1atm)で液体であり、好ましくは無極性であり、または好ましくは水不溶性でもある。
【0025】
好ましくは、本発明による超分子化合物を調製するのに用いることができる油は、非ポリマー性である。
【0026】
「液体」の語は、化合物の粘度が、Brookfield DV-IまたはBrookfield Cap 1000+レオメータで測定して、110℃、1atmで2500センチポアズ以下であることを意味し、粘度測定に適する機械は当業者によって選択される。
【0027】
「無極性」の語は、そのHLB値(親水性/親油性バランス)が低く、特に8以下であり、好ましくは4以下であり、さらに良好には2以下である化合物を意味し、優先的に、HLB値は、吸湿性ではなく、またはあまりにも吸湿性すぎない超分子材料を得るのを可能にするように十分低くなければならない。
【0028】
「不溶性」の語は、25℃および1atmで水に溶解することができる油分画が5重量%未満であり(すなわち、水100ml中に油5g)、好ましくは3%未満であることを意味する。
【0029】
「脂肪物質」の語は、特に、しかし排他的ではなく、少なくとも6個の炭素原子を含み、酸、ヒドロキシルもしくは多価アルコール、アミン、アミド、リン酸、ホスフェート、エステル、エーテル、尿素、カーバメート、チオール、チオエーテル、またはチオエステル基などの極性基を場合によって含み、この鎖は最高100個の炭素原子を場合によって含む、1つまたは複数の、飽和または不飽和の、直鎖状、環状、または分枝状のアルキル鎖を含む炭化水素ベースの化合物を意味する。
【0030】
好ましくは、本発明による化合物を調製するのに用いることができる油は光沢のある油、すなわち、屈折率が25℃で1.46以上、とりわけ1.46と1.55との間である油である(屈折率は、25℃でナトリウムD線に対して規定される)。
【0031】
本発明による化合物を調製するのに用いることができる油が不揮発性油であるのが好ましい。「不揮発性油」の語は、室温および大気圧で少なくとも数時間ケラチン質上に残存することができ、特に10-3mmHg(0.13Pa)未満の蒸気圧を有する油を意味する。
【0032】
油が150g/molから6000g/molの間の、特に170g/molから4000g/molの間の、またはさらに180g/molから2000g/molの間の、より優先的には200g/molから1500g/molの間の、さらに良好には220g/molから800g/molの間のモル質量(Mw)を有するのが好ましい。
【0033】
本発明の状況において用いることができる油は、連結基上に有される反応性官能基と反応することができる少なくとも1個の反応性官能基を有し、特に、連結基が有するイソシアネート基またはイミダゾール基と化学反応することができ、好ましくはこの官能基はOHまたはNH2官能基である。油が、OH官能基のみ、とりわけ1個から3個のOH官能基、好ましくは一級または二級のOH官能基、さらに良好には一級官能基のみを含んでいるのが好ましい。
【0034】
本発明による油は、好ましくは炭素ベース、特に炭化水素ベースの油であり、油は、連結基と反応することができる反応性官能基の他に、酸素原子、窒素原子、イオウ原子、および/またはリン原子を含むことができる。油は、化粧品学的に許容される油から大いに優先的に選択される。
【0035】
本発明の状況において用いることができる油は、(i)6個から50個の炭素原子を含み、1つまたは複数のOHを含み、任意選択により1個または複数のNH2を含む、飽和または不飽和の、直鎖状、分枝状、または環状の脂肪アルコールから選択することができる。
【0036】
とりわけ、
飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のC6〜C50、特にC6〜C32、とりわけC8〜C28モノアルコール、特に、イソステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、イソパルミトイルアルコール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-オクチルデカノール、2-オクチルドデカノール、2-オクチルテトラデカノール、2-デシルテトラデカノール、および2-ドデシルヘキサデカノール、特に、Jarchem Industries社によってJarcolの名称の下に販売されているアルコール、例えば、Jarcol I-12、Jarcol I-16、Jarcol I-20、およびJarcol I-24、
飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のC6〜C50、特にC6〜C40、とりわけC8〜C38ジオール、特に分枝状C32〜C36ジオール、とりわけ、Uniqemaからの市販製品Pripol 2033、
飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のC6〜C50、特にC6〜C32、とりわけC8〜C28トリオール、特にフィタントリオール(phytanetriol)、
(ii)少なくとも1個の遊離のOH基を有するエステルおよびエーテル、特に多価アルコールの部分エステルおよびエーテル、ならびにヒドロキシル化されているカルボン酸エステル、
を挙げることができる。
【0037】
「多価アルコール部分エステル」の語は、多価アルコールの、置換されている、または非置換のカルボン酸とのエステル交換反応によって調製されるエステルを意味し、反応は完全ではなく、すなわち多価アルコールの遊離OHすべてに対して行われるものではなく、その結果、エステルはしたがって少なくとも1個の遊離OHを依然として含んでいる。
【0038】
カルボン酸が一酸であるのが好ましい。カルボン酸、特にモノカルボン酸の混合物も用いることができる。
【0039】
「部分多価アルコールエーテル」の語は、多価アルコールの、多価アルコールとの、または少なくとも1つの他のモノヒドロキシル化またはポリヒドロキシル化されているアルコール、好ましくはモノアルコールとのエーテル化によって調製されるエーテルを意味し、エーテル化は完全ではなく、すなわち多価アルコールの遊離OHすべてに対して行われるものではなく、その結果、エーテルは、少なくとも1個の遊離OHを依然として含んでいる。
【0040】
「ヒドロキシル化されているカルボン酸エステル」の語は、少なくとも1個の遊離OH官能基を有するカルボン酸と、1つまたは複数の(モノもしくはポリ)アルコール、好ましくはモノアルコールとの間の反応によって調製される(モノおよびポリ)エステルを意味し、反応は、完全または部分的であってもよい(すべてまたはいくつかのアルコールの遊離OH上で行われる)。
【0041】
上記のエステルまたはエーテルを調製するのに用いることができる多価アルコールの中で、プロピレングリコール、グリセロール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ポリグリセロール、特に、ポリグリセロール-2、ポリグリセロール-3、およびポリグリセロール-10;エリスリトール、ジペンタエリスリトール、ペンタエリスリトール、ビス(トリメチロールプロパン)、フィタントリオール、ショ糖、グルコース、メチルグルコース、ソルビトール、フルクトース、キシロース、マンニトール、またはグルコサミン;ならびに、特に脂肪酸ダイマー、特に分枝状脂肪族および/または脂環式C32〜C38、特にC32ジオール、例えば、文献、Hoferら、European Coating Journal (2000年3月)26〜37頁において規定されているものから得られるダイマー;ならびにこれらの混合物を挙げることができる。
【0042】
上記のエステルまたはエーテルを調製するのに用いることができるモノアルコールの中で、直鎖状または分枝状の、好ましくは分枝状の、C3〜C50アルコール、特に2-エチルヘキサノール、オクタノール、およびイソステアリルアルコール、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。
【0043】
上記のエステルまたはエーテルを調製するのに用いることができるカルボン酸の中で、直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和の、6個から50個の炭素原子を含む一酸、および3個から12個の炭素原子を含む二酸を挙げることができ、その中でも、オクチルネオデカン酸(octylneodecanoic acid)、ヘキシルデカン酸、エチルヘキサン酸、イソステアリン酸、ノナン酸、イソノナン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、シュウ酸、アジピン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、カプリン酸、ヘキサン二酸、およびデカン酸、ならびにそれらの混合物を挙げることができる。
【0044】
上記のエステルまたはエーテルを調製するために用いることができるヒドロキシル化されているカルボン酸の中で、モノヒドロキシル化酸またはポリヒドロキシル化酸、好ましくは、例えば、4個から28個の炭素原子を含むモノヒドロキシル化酸、特に12-ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、リンゴ酸、乳酸、およびクエン酸、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。
【0045】
したがって、本発明において用いることができる油は、単独でまたは混合物として、
ペンタエリスリトール部分エステル、特にアジピン酸ペンタエリスリチル、カプリン酸ペンタエリスリチル、コハク酸ペンタエリスリチル、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル、トリイソノナン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸ペンタエリスリチル、2-(テトラデシル)-テトラデカン酸ペンタエリスリチル、(テトラエチル)ヘキサン酸ペンタエリスリチル、および(テトラオクチル)-ドデカン酸ペンタエリスリチル、
ジペンタエリスリトールジエステル、トリエステル、テトラエステル、またはペンタエステル、特にペンタイソノナン酸ジペンタエリスリチル、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、およびトリス(ポリヒドロキシステアリン酸)ジペンタエリスリチル、
トリメチロールプロパンモノエステルおよびジエステル、例えば、モノイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジイソステアリン酸トリメチロールプロパン、モノ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、およびビス(2-エチルヘキサン酸)トリメチロールプロパン、
ビス(トリメチロールプロパン)モノエステル、ジエステル、およびトリエステル、例えば、ジイソステアリン酸ビス(トリメチロールプロパン)、トリイソステアリン酸ビス(トリメチロールプロパン)、およびトリエチルヘキサン酸ビス(トリメチロールプロパン)、
グリセロールの、またはポリグリセロールの部分モノエステルまたはポリエステル、特に
ジイソステアリン酸グリセリル、およびジイソノナン酸グリセリル、
例えば、イソステアリン酸、2-エチルヘキサン酸、および/またはイソノナン酸との、ポリグリセロール-2モノエステル、ジエステル、およびトリエステル、特にイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ノナン酸ポリグリセリル-2、
例えば、イソステアリン酸、2-エチルヘキサン酸、および/またはイソノナン酸のいずれかとの、ポリグリセロール-3モノエステル、ジエステル、トリエステル、またはテトラエステル、特にイソステアリン酸ポリグリセリル-3、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-3、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル-3、ノナン酸ポリグリセリル-3、
ポリグリセリル-10部分エステル、とりわけノナイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ノナン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-10、
プロピレングリコールモノエステル、例えば、モノイソステアリン酸プロピレングリコール、ネオペンタン酸プロピレングリコール、またはモノオクタン酸プロピレングリコール、
ジオールダイマーモノエステル、例えば、イソステアリルダイマージリノレート、およびオクチルドデシルダイマージリノレート、
グリセロールエーテル、例えば、ポリグリセリル-2オレイルエーテル、ポリグリセリル-3セチルエーテル、ポリグリセリル-3デシルテトラデシルエーテル、およびポリグリセリル-2ステアリルエーテル、
ヒドロキシル化モノカルボン酸、ジカルボン酸、またはトリカルボン酸とモノアルコールとのエステル、とりわけ、
12-ヒドロキシステアリン酸のエステル、特にモノエステル;例えば、ヒドロキシステアリン酸オクチル、およびヒドロキシステアリン酸2-オクチルドデシル(1から10までの重合度を特に有し、少なくとも1個の残存のOHを有する、対応するオリゴマーのポリヒドロキシステアレートを挙げることができる、
乳酸エステル、特にC4〜40乳酸アルキル、例えば、乳酸2-エチルヘキシル、乳酸ジイソステアリル、乳酸イソステアリル、乳酸イソノニル、または乳酸2-オクチルドデシル、
リンゴ酸エステル、特に、C4〜40リンゴ酸アルキル、例えば、リンゴ酸ビス(2-エチルヘキシル)、リンゴ酸ジイソステアリル、またはリンゴ酸ビス(2-オクチルドデシル)、
クエン酸エステル、特にC4〜40クエン酸アルキル、例えば、クエン酸トリイソステアリル、クエン酸トリイソセチル、およびクエン酸トリイソアラキジル、
(iii)ヒドロキシル化されている天然油、変性天然油、および植物油、特に、
1個または複数のOHを有するトリグリセリルエステル、
水素化または非水素化ヒマシ油、およびヒマシ油のエステル交換反応によって特に得られるその誘導体、例えば、Vertellusによって販売されている製品であるPolycin M-365またはPolycin 2525、
変性エポキシ化油(変性は、ジオール、特にヒドロキシル化変性ダイズ油を得るためのエポキシ官能基の開環にある)、ヒドロキシル化ダイズ油(直接的なヒドロキシル化、または予めエポキシ化されている);特に、Bio-Based Technologies, LLCによって販売されている油Agrol 2.0、Agrol 3.0およびAgrol 7.0;Urethane Soy System社からの油Soyol R2-052;Dow Chemicalによって販売されているRenuva油;Cargillによって販売されている油BioH Polyol 210および500
から選択することができる。
【0046】
第1のとりわけ好ましい実施形態によると、本発明の状況における超分子化合物を調製するのに用いることができる油は、6個から50個の炭素原子を含み、1個または複数のOHを含み、任意選択により1個または複数のNH2を含む、直鎖状、分枝状、または環状の、飽和または不飽和の脂肪アルコール、例えば、
飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のC6〜C50、特にC6〜C32、とりわけC8〜C28モノアルコール、特に、イソステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、イソパルミトイルアルコール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-オクチルドデカノール、2-オクチルドデカノール、2-オクチルテトラデカノール、2-デシルテトラデカノール、および2-ドデシルヘキサデカノール、特に、Jarchem Industries社によってJarcolの名称の下に販売されているアルコール、例えば、Jarcol I-12、Jarcol I-16、Jarcol I-20、およびJarcol I-24、
飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のC6〜C50、特にC6〜C40、とりわけC8〜C38ジオール、特に分枝状C32〜C36ジオール、とりわけ、Uniqemaからの市販製品Pripol 2033、
飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のC6〜C50、特にC6〜C32、とりわけC8〜C28トリオール、特にフィタントリオール
から選択される。
【0047】
この第1の好ましい実施形態によると、本発明の状況における超分子化合物を調製するのに用いることができる油は、直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和のC6〜C50、特にC6〜C32、とりわけC8〜C28モノアルコール、特に、イソステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、イソパルミトイルアルコール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-オクチルデカノール、2-オクチルドデカノール、2-オクチルテトラデカノール、2-デシルテトラデカノール、および2-ドデシルヘキサデカノール、特に、Jarchem Industries社によってJarcolの名称の下に販売されているアルコール、例えば、Jarcol I-12、Jarcol I-16、Jarcol I-20、およびJarcol I-24から選択されるのが好ましい。
【0048】
第2のとりわけ好ましい実施形態によると、本発明の状況における超分子化合物を調製するのに用いることができる油は、ヒドロキシル化モノ-、ジ-、またはトリカルボン酸とモノアルコールとのエステル、とりわけ、
12-ヒドロキシステアリン酸のエステル、特にモノエステル、例えば、ヒドロキシステアリン酸オクチル、およびヒドロキシステアリン酸2-オクチルドデシル(1から10の重合度を特に有し、少なくとも1個の残存OHを含む、対応するオリゴマーのポリヒドロキシステアレートも挙げることができる)、
乳酸エステル、特に、C4〜40乳酸アルキル、例えば、乳酸2-エチルヘキシル、乳酸ジイソステアリル、乳酸イソステアリル、乳酸イソノニル、および乳酸2-オクチルドデシル、
リンゴ酸エステル、特に、C4〜40リンゴ酸アルキル、例えば、リンゴ酸2-ジエチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル、およびリンゴ酸2-ジオクチルドデシル、
クエン酸エステル、特に、C4〜40クエン酸アルキル、例えば、クエン酸トリイソステアリル、クエン酸トリイソセチル、およびクエン酸トリイソアラキジル
から選択される。
【0049】
この第2の好ましい実施形態によると、本発明の状況において用いることができる油は、ヒドロキシル化ジカルボン酸とモノアルコールとのエステル、とりわけ、リンゴ酸の、特に、C4〜40リンゴ酸アルキルのエステル、例えば、リンゴ酸2-ジエチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル、およびリンゴ酸2-ジオクチルドデシルから選択されるのが好ましい。
【0050】
とりわけ、光沢のある油を用いる場合、以下の光沢のある油(25℃での屈折率をカッコ内に示す):ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3(1.472)、フィタントリオール(1.467)、ヒマシ油(1.475)、2-オクチルドデカノール(1.46)、オレイルアルコール(1.461)、ヒドロキシステアリン酸オクチル(1.46)、イソステアリン酸ポリグリセリル-2(1.468)、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2(1.464)、リンゴ酸ジイソステアリル(1.462)、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール(1.45)、2-デシルテトラデカノール(1.457)、およびこれらの混合物を用いることができる。
【0051】
好ましくは、本発明で使用することができる油は、2-オクチルドデカノール、リンゴ酸ジイソステアリル、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-デシルテトラデカノール、水素化または非水素化ヒマシ油、およびこれらの誘導体、ヒドロキシル化変性ダイズ油、およびこれらの混合物から選択される。
【0052】
連結基
本発明による組成物の超分子化合物を形成するのに用いることができる連結基は、前記油と前記連結基との間に共有結合、特にウレタン型の共有結合を形成するように、油の反応基、特にOHおよび/またはNH2と反応することができる少なくとも1個の反応基(イミダゾールに対してはNH2のみ)、特にイソシアネートまたはイミダゾールを有する。
【0053】
本発明による組成物の超分子化合物を形成するのに用いることができる連結基が、少なくとも1個の反応基、特にイソシアネートを有するのが好ましい。
【0054】
前記連結基は、同一または異なる化学的性質の1つまたは複数のパートナー連結基とH結合を確立することができ、各連結基の対形成は、少なくとも3個のH(水素)結合、好ましくは少なくとも4個のH結合、優先的には4個のH結合を有する。
【0055】
本発明の目的で、「連結基」の語は、H結合のドナーまたはアクセプタであり、同一または異なるパートナー連結基と、少なくとも3個のH結合、好ましくは少なくとも4個のH結合、優先的には4個のH結合を確立することができる基を含む任意の官能基を意味する。
【0056】
本発明の目的で、「パートナー連結基」の語は、本発明によるポリマーと同じまたは別の1個または複数の連結基とH結合を確立することができる任意の連結基を意味する。連結基の化学的性質は同じでも、または異なっていてもよい。化学的性質が同じである場合、連結基は、連結基自体の間にH結合を確立することができ、したがって自己相補的連結基と呼ばれる。連結基が異なる場合、連結基はH相互作用に関して相補的であるように選択される。
【0057】
イソシアネート基を有する前記の連結基は、したがって、(G)(NCO)pと図示することができ、pはゼロではない整数であり、好ましくは1または2に等しい。
【0058】
連結基は、以下に規定する通りの、少なくとも1個の式(1)の1価の単位、および/または少なくとも1個の式(II)の2価の単位:
【0059】
【化3】
【0060】
[式中、
R1およびR3は、同一でも、または異なっていてもよく、O、N、S、F、SiおよびPから選択される1個から8個のヘテロ原子を任意選択により含み、かつ/あるいはエステルもしくはアミド官能基で、またはC1〜C12アルキル基で任意選択により置換されている、(i)直鎖状もしくは分枝状のC1〜C32アルキル基、(ii)C4〜C16シクロアルキル基、および(iii)C4〜C16アリール基、またはこれらの基の混合物から選択される2価の炭素ベースの基を表し、
R2は、水素原子、またはO、N、S、F、SiおよびPから選択される1個または複数のヘテロ原子を含むことができる、直鎖状、分枝状、もしくは環状の、飽和もしくは不飽和の、任意選択により芳香族の、C1〜C32の炭素ベースの、特に炭化水素ベースの(アルキル)基を表す]をさらに含む。
【0061】
連結基が、式(I)の1価の単位を少なくとも1個さらに含むのが好ましい。
【0062】
R1基は、特に、
直鎖または分枝状の、2価のC2〜C12アルキレン基、特に、1,2-エチレン、1,6-ヘキシレン、1,4-ブチレン、1,6-(2,4,4-トリメチルへキシレン)、1,4-(4-メチルペンチレン)、1,5-(5-メチルヘキシレン)、1,6-(6-メチルヘプチレン)、1,5-(2,2,5-トリメチルへキシレン)、または1,7-(3,7-ジメチルオクチレン)基、
2価のC4〜C12シクロアルキレンまたはアリーレン基、特に以下の基:-イソホロン-、トリレン、2-メチル-1,3-フェニレン、4-メチル-1,3-フェニレン、4,4'-メチレンビスシクロヘキシレン、4,4-ビスフェニレンメチレン、または
【0063】
【化4】
【0064】
の構造であってよい。
【0065】
「-イソホロン-」の語は、
【0066】
【化5】
【0067】
の構造を有する2価の基を意味し、優先的には、R1は-イソホロン-、-(CH2)6-、または4,4'-メチレンビスシクロヘキシレンを表す。
【0068】
R2基は、特にH、または
C1〜C32、とりわけC1〜C16、もしくはさらにC1〜C10アルキル基、
C4〜C12シクロアルキル基、
C4〜C12アリール基、
(C4〜C12)アリール(C1〜C18)アルキル基、
C1〜C4アルコキシ基、
アリールアルコキシ基、とりわけアリール(C1〜C4)アルコキシ基、
C4〜C12複素環、
またはアミノ、エステル、および/またはヒドロキシル官能基で任意選択により置換されていてよい、これらの基の組合せ
であってよい。
【0069】
好ましくは、R2は、H、CH3、エチル、C13H27、C7H15、フェニル、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、n-プロピル、または-CH(C2H5)(C4H9)を表す。
【0070】
好ましくは、R3は、2価の基、-R'3-O-C(O)-NH-R'4-を表し、式中、R'3およびR'4は、同一でも、または異なっていてもよく、直鎖状もしくは分枝状のC1〜C32アルキル基、C4〜C16シクロアルキル基、およびC4〜C16アリール基から選択される2価の炭素ベースの基、またはこれらの混合物を表す。
【0071】
とりわけ、R'3およびR'4は、メチレン、1,2-エチレン、1,6-へキシレン、1,4-ブチレン、1,6-(2,4,4-トリメチルへキシレン)、1,4-(4-メチルペンチレン)、1,5-(5-メチルへキシレン)、1,6-(6-メチルへプチレン)、1,5-(2,2,5-トリメチルへキシレン)、1,7-(3,7-ジメチルオクチレン)、4,4'-メチレンビスシクロヘキシレン、2-メチル-1,3-フェニレン、4-メチル-1,3-フェニレン、4,4'-ビスフェニレンメチレン、1,2-トリレン、1,4-トリレン、2,4-トリレン、2,6-トリレン、1,5-ナフチレン、テトラメチルキシリレン、イソホロンを表すことができる。
【0072】
最も詳しくは、R'3は、C1〜C4アルキレン、特に1,2-エチレンを表すことができる。
【0073】
好ましくは、R'4はイソホロンに由来する2価の基を表すことができる。
【0074】
最も詳しくは、R3は、構造式:
【0075】
【化6】
【0076】
を有することができる。
【0077】
とりわけ好ましい一様式において、式(I)において以下が適用され得る。
R1=-イソホロン-、R2=メチル(これは、式:
【0078】
【化7】
【0079】
の単位をもたらす)
R1=-(CH2)6-、R2=メチル(これは、式:
【0080】
【化8】
【0081】
の単位をもたらす)
R1=-(CH2)6-、R2=イソプロピル(これは、式:
【0082】
【化9】
【0083】
の単位をもたらす)
R1=4,4'-メチレンビスシクロヘキシレン、およびR2=メチル(これは、式:
【0084】
【化10】
【0085】
の単位をもたらす)
【0086】
とりわけ好ましい一様式において、式(II)において、R1は-イソホロン-基、R2=メチル、およびR3=-(CH2)2OCO-NH-イソホロン-を表すことができ、これは、式:
【0087】
【化11】
【0088】
の2価の単位をもたらす。
【0089】
イソシアネート官能基1個のみを有する連結基は、式:
【0090】
【化12】
【0091】
[式中、
R1およびR2は、上記で定義した通りであり、とりわけ、
R1は、-イソホロン-、-(CH2)6-、-CH2CH(CH3)-CH2-C(CH3)2-CH2-CH2、4,4'-メチレンビスシクロヘキシレン、もしくは2-メチル-1,3-フェニレンを表し、かつ/または
R2は、H、CH3、エチル、C13H27、C7H15、フェニル、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、n-プロピル、もしくは-CH(C2H5)(C4H9)を表す]を有することができる。
【0092】
好ましくは、連結基を以下の群:
【0093】
【化13】
【0094】
から選択することができる。
【0095】
イソシアネート官能基2個を有する連結基は式:
【0096】
【化14】
【0097】
[式中、
R1、R2およびR3は、上記で定義した通りであり、とりわけ、
R1は、-イソホロン-、-(CH2)2-、-(CH2)6-、-CH2CH(CH3)-CH2-C(CH3)2-CH2-CH2、4,4'-メチレンビスシクロヘキシレン、もしくは2-メチル-1,3-フェニレンを表し、かつ/または
R2は、H、CH3、エチル、C13H27、C7H15、フェニル、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、n-プロピル、もしくは-CH(C2H5)(C4H9)を表し、かつ/または
R3は、2価の基、-R'3-O-C(O)-NH-R'4-を表し、式中、R'3およびR'4は、同一でも、または異なっていてもよく、直鎖状または分枝状のC1〜C30アルキル基、C4〜C12シクロアルキル基、およびC4〜C12アリール基から選択される2価の炭素ベースの基を表し、またはこれらの混合物であり、特にR'3は、C1〜C4アルキレン、特に1,2-エチレンを表し、R'4は、イソホロンに由来する2価の基を表す]を有することができる。
【0098】
とりわけ最も好ましい連結基は式:
【0099】
【化15】
【0100】
を有するものである。
【0101】
イミダゾール基を有する連結基の中で、以下の化合物:
【0102】
【化16】
【0103】
を挙げることができる。
【0104】
本発明の特定の一実施形態によると、連結基は、連結基の、イソシアネートまたはイミダゾールでの官能基化によって油に結合していてよい。
【0105】
別の一実施形態によると、油を、ジイソシアネートで予め官能基化することによって逆反応を行うことが可能である。
【0106】
上記で言及した通り(第1の様式)、本発明による化合物は、したがって、油(HB)-(OH)m(NH2)nと、連結基(G)-(NCO)pまたは(G)-(イミダゾール)pとの間の化学反応の結果生じ得る。
【0107】
好ましくは、油は、ヒドロキシル官能基のみを含み、連結基は1個または2個のイソシアネート官能基を含み、これにより以下の反応:
(HB)-(OH)m+OCN-(G)-(NCO)→(HB)-OC(O)NH-(G)-NHC(O)-(HB)
(HB)-(OH)m+(G)-NCO→(HB)-OC(O)NH-(G)
がもたらされ、mは1以上の整数である。
【0108】
好ましくは、油の遊離OHのグラフト化度は、1%から100%の間、特に20%から99%の間、さらに良好には50%から95%の間であり、特に油が最初にOH官能基を1個のみ含んでいる場合、このグラフト化度が100%(すべての遊離OHが連結基で官能基化されている)であることが好ましい。
【0109】
本発明による超分子化合物は、油の遊離OH官能基と連結基が有するイソシアネート官能基との間に、ウレタン結合を形成するための、当業者が通常用いるプロセスによって調製することができる。例示により、一般的な調製プロセスは以下:
官能基化される油が、残留の水を含まないことを確実にし、
少なくとも1個の反応性官能基、特にOHを含む油を、60℃から140℃の間であってよい温度に加熱し、
反応性官能基、特にイソシアネートを有する連結基を加え、
任意選択により、混合物を、制御されている雰囲気下、約100〜130℃の温度で、1時間から24時間撹拌し、
ピークが完全に消失したとき反応を停止するように、イソシアネートに特徴的な吸収バンド(2500cm-1と2800cm-1との間)の消失を赤外線分光法によってモニタリングし、次いで最終生成物を室温まで冷却すること
である。
【0110】
反応は、溶媒、特にメチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、トルエン、または酢酸ブチルの存在下で行うことができ、反応は溶媒なしで行うこともでき、この場合、油が溶媒として働く。
【0111】
ウレタン結合を形成するために従来の触媒を加えることも可能である。挙げることができる一例にジブチルスズジラウレートがある。
【0112】
最後に、超分子化合物を、当業者の一般的知見にしたがって、洗浄し、乾燥し、またはさらに精製してもよい。
【0113】
第2の実施形態によると、反応は以下のステップを含むことができる。
(i)以下の反応スキームによる、油のジイソシアネートでの官能基化、
(HB)-OH(1当量)+NCO-X-NCO(1当量)→(HB)-OC(O)-NH-X-NCO
次いで
(iia)6-メチルイソシトシンとのいずれかの反応:
【0114】
【化17】
【0115】
または
(iib)5-ヒドロキシエチル-6-メチルイソシトシンとの反応:
【0116】
【化18】
【0117】
このような反応の説明は、Folmerら、Adv. Mater.、12巻、874〜78頁(2000年)に述べられている。
【0118】
本発明による組成物の超分子化合物は、以下の構造に特に対応していてよい:
構造:
【0119】
【化19】
【0120】
または構造:
【0121】
【化20】
【0122】
の、ウレイドピリミドン官能基化されたオクチルドデカノール、
構造:
【0123】
【化21】
【0124】
または構造:
【0125】
【化22】
【0126】
のウレイドピリミドン官能基化されたリンゴ酸ジイソステアリル、
構造:
【0127】
【化23】
【0128】
または構造:
【0129】
【化24】
【0130】
のウレイドピリミドン官能基化されたヒマシ油、
構造:
【0131】
【化25】
【0132】
または構造:
【0133】
【化26】
【0134】
のウレイドピリミドン官能基化された2-ヘキシルドデカノール、
構造:
【0135】
【化27】
【0136】
または構造:
【0137】
【化28】
【0138】
のウレイドピリミドン官能基化された2-デシルテトラデカノール。
【0139】
本発明による化合物を使用すると、本組成物をケラチン質に適用した後、特に水素結合によって、物理的に架橋された網目構造の形態の超分子ポリマーの形成をもたらすことができ、これは一般に皮膜の形態であり、非常に良好な機械的強度を有することが見出されている。
【0140】
本発明の目的で、「超分子ポリマー」の語は、本発明による非ポリマー性化合物の、少なくとも1つの他の同一の、または異なる本発明による非ポリマー性化合物との集合体から形成されるポリマー鎖または網目構造を意味し、各集合体は、同一または異なる対形成した連結基を少なくとも1対含んでいる。
【0141】
本発明の目的で、「対形成した連結基の対」の語は、その各々を本発明による同じ化合物が任意選択により有することができる2つの連結基を意味し、この2つの基は4個のH結合によって一緒に連結されている。
【0142】
このように、超分子ポリマーは、連結基のこれらの対の間のH結合によってもたらされる物理的架橋の点を有する。物理的架橋は、化学的架橋と同様の様式で化粧効果の維持および持続を確実にし、同時に可逆性、すなわち沈着物を完全に除去する可能性を可能にする。
【0143】
好ましくは、本発明による超分子化合物は、125℃で測定して、30mPa.sから6000mPa.sの間の、特に150mPa.sから4000mPa.sの間の、またはさらに500mPa.sから3500mPa.sの間の、さらに良好には750mPa.sから3000mPa.sの間の粘度を有する。
【0144】
本発明による超分子化合物の数平均分子量(Mn)は、好ましくは180から8000の間、好ましくは200から6000、またはさらに300から4000、さらに良好には400から3000、優先的には500から1500の間である。
【0145】
本発明による超分子化合物は、通常用いられる化粧用の油性媒体中に、特に植物油、C6〜C32アルカン、C8〜C32脂肪エステル、C2〜C7短鎖エステル、C8〜C32脂肪アルコール中に、より詳しくは、少なくともイソドデカン、パーリーム、イソノナノン酸イソノニル、オクチルドデカノール、C12〜C15安息香酸アルキル、酢酸ブチル、もしくは酢酸エチルを単独で、または混合物として含む媒体中可溶性であるのが有利である。
【0146】
「可溶性」の語は、化合物が、25℃で、少なくとも50重量%の割合で、イソドデカン、パーリーム、イソノナン酸イソノニル、オクチルドデカノール、C12〜C15安息香酸アルキル、酢酸ブチル、または酢酸エチルから選択される少なくとも1つの溶媒中に、澄明な溶液を形成することを意味する。
【0147】
本発明による超分子化合物は、化粧品学的に許容される媒体(すなわち、顔または身体の皮膚、まつげ、眉毛、唇、および爪などのケラチン質と適合性である媒体)をさらに含む化粧用組成物において有利に用いることができる。
【0148】
好ましくは、本発明による組成物は、組成物の合計重量に対して、5重量%から95重量%の間の、好ましくは10重量%から95重量%の間の、さらに良好に好ましくは20重量%から90重量%の間の超分子化合物の含量を有する。
【0149】
本発明による組成物において用いることができる超分子化合物の一例として、以下の化合物を挙げることができる。
【0150】
化合物1:ウレイドピリミドン官能基化したオクチルドデカノール
【0151】
【化29】
【0152】
ウレイドピリミドンジイソシアネート70gを、アルゴン下、メチルテトラヒドロフラン中に溶解する。ジクロロメタン100ml中オクチルドデカノール80.3gをアルゴン下で加え、その後ジブチルスズジラウレート(触媒)15マイクロリットルを加える。IR分光測定において、イソシアネートのピーク(2250〜2265cm-1)が消失するまで反応混合物を還流する。
【0153】
過剰なオクチルドデカノールを、メタノールで反応媒体を連続的に洗浄することによって除去し、その後3回抽出し、MgSO4上で乾燥させる。有機相を蒸発させた後、1H NMR(構造の一致)によって特徴付けられる、淡黄色粉末103gが得られる。
【0154】
この粉末を、例えば10重量%の濃度でイソドデカン中に移してもよく、この濃度は、特にイソドデカン中で最高60重量%であってよく、これにより、次いで、粘性であるが依然として扱うことのできる溶液がもたらされる。このように、ウレイドピリミドンで官能基化することによって油は液体から固体に変化し、この固体は30%を超える濃度でイソドデカン中に移すことができることが見出されている。
【0155】
イソドデカン中50重量%の化合物を含む溶液を適用すると、溶媒を蒸発して除いた後、光沢のある透明な皮膜が得られ、この皮膜は断片化によって良好な接着性を示し、低い摩擦抵抗を示す。
【0156】
化合物2:ウレイドピリミドンで官能基化したリンゴ酸ジイソステアリル
リンゴ酸ジイソステアリル15g(0.0234mol)を4時間、80℃の減圧下で乾燥させる。メチルテトラヒドロフラン60ml中に溶解したウレイドピリミドンジイソシアネート7.21g(0.0117mol)、およびジブチルスズジラウレート触媒12μlを加える。混合物を26時間、アルゴン下95℃で加熱する(IR分光法において、イソシアネートに特徴的なバンドの消失)。メチルテトラヒドロフラン20mlを反応混合物に加え、次いで得られた混合物をセライトを通してろ過する。溶媒を蒸発して除き、減圧下で乾燥させた後、淡黄色の固体が得られる。
【0157】
化合物3:ウレイドピリミドンで官能基化したヒマシ油
ヒマシ油15g(0.016mol)を4時間、80℃の減圧下で乾燥させる。ウレイドピリミドンジイソシアネート4.9g(0.008mol)のメチルテトラヒドロフラン60ml中溶液、およびジブチルスズジラウレート触媒12μlを加える。混合物を19時間、90℃で加熱する(IR分光法においてイソシアネートに特徴的なバンドの完全な消失)。反応の終わりに、溶媒を蒸発して除き、得られた生成物を一夜、35℃の減圧下で乾燥させる。
【0158】
淡黄色固体のゴムが得られる。
【0159】
化合物4:(実施例1に対する比較):イソホロンで官能基化したオクチルドデカノール
【0160】
【化30】
【0161】
オクチルドデカノール10gを2時間、80℃の減圧下で乾燥させ、次いでイソホロンジイソシアネート3.72gおよびジブチルスズジラウレート触媒25マイクロリットルを加える。混合物をアルゴン下、95℃で加熱する。イソシアネートの消失をIR分光法によってモニタリングする(12時間加熱後、2250cm-1から2265cm-1の間のバンドの消失)。
【0162】
凝集性物質を形成しない粘性の油が得られる。
【0163】
化合物5:(実施例2に対する比較):イソホロンで官能基化したリンゴ酸ジイソステアリル
リンゴ酸ジイソステアリル10g(0.0159mol)を3時間、80℃の減圧下で乾燥させる。イソホロンジイソシアネート1.77g(0.079mol)および触媒(ジブチルスズジラウレート)2.5μlをアルゴン下で加え、反応混合物を16時間、95℃で加熱する。反応の間に反応媒体の粘度が増大する。IR分光法においてイソシアネートに特徴的なピークが消失した後、反応を停止する。
【0164】
化合物6:(実施例3に対する比較):イソホロンで官能基化したヒマシ油
ヒマシ油15g(0.016mol)を6時間、80℃の減圧下で乾燥させる。イソホロンジイソシアネート1.78g(0.008mol)およびジブチルスズジラウレート触媒12μlを加え、混合物を16時間、90℃で加熱する。IR分光法においてイソシアネートに特徴的なピークが消失した後、反応を停止する。
【0165】
(例7)
例1から6において調製した化合物を、視覚的、および感触によって観察し、結果を以下の表に要約する。
【0166】
【表1】
【0167】
「脱湿しない皮膜」の語は、沈着および溶媒の蒸発の後、連続した、均一な「本当の(real)」皮膜が得られることを意味する。
【0168】
「脱湿する皮膜」の語は、沈着および溶媒の蒸発の後、不均一で、不連続な「穴のある」皮膜が得られることを意味する。
【0169】
これらの沈着物/皮膜に対して摩擦測定試験を行う。ニトリルエラストマー上に沈着させ、その後24時間25℃で乾燥させることによって、テトラヒドロフラン中40重量%の溶液から皮膜を形成する。
【0170】
試験は、CSEM摩擦計を用い直径6mmのボールを装着して行う。このボールに0.15Nの負荷を課し、皮膜(厚さ10μmから20μm)上に繰り返しこすり付ける。ディスクの回転速度を、1秒当たり1回転の頻度に対応する6.3cm/秒に設定する。試験は、摩耗が完了したときに終了するか、または1000回の圧力回転後に停止する。
【0171】
【表2】
【0172】
このように、官能基化後に屈折率の減少がないことが見出される。油は、官能基化された場合でも光沢の性質を維持する。また、ウレイドピリミドンでの官能基化により、比較の皮膜と異なり、多少粘着性であるが、指上に移らない皮膜がもたらされることも見出される。
【0173】
さらに、および主に、イソホロンで官能基化した油の場合(比較)、皮膜は脱湿し、均一な沈着物を形成しない。これとは対照的に、本発明による化合物で得られた皮膜は脱湿せず、均一であり、粘着性である。摩擦測定の結果は、本発明の化合物で得られる粘着特性を裏付けるものである。
【0174】
ウレイドピリミドンでの官能基化により、したがって、先行技術(イソホロン)の残存性よりも優れた沈着物の残存性を確実にすることができるのに十分粘着性である(ちなみに光沢がある)材料がもたらされる。
【0175】
要約すると、光沢は維持され、沈着物の粘着性は改善され、したがって残存性が改善される。
【0176】
化合物8:ウレイドピリミドンで官能基化したリンゴ酸ジイソステアリル
調製プロトコール
超分子油の調製:ウレイドピリミドンで官能基化したリンゴ酸ジイソステアリル
発熱を制御し、不活性の雰囲気下、リンゴ酸ジイソステアリル150gを1時間20分かけて50℃で、ジブチルスズジラウレート触媒の存在下、イソホレンジイソシアネート57.4gおよびメチルイソシトシン38.18gの溶液に加えた。添加後、50℃で55分間撹拌を続け、次いで炭酸プロピレン50mlを加えた。次いで、撹拌しながら、接触時間2時間で、反応媒体の温度を140℃に上げた。次いで、反応媒体の温度を70℃に下げ、エタノール30mlを加えることによって媒体を中和し、撹拌を1時間続けた。
【0177】
酢酸エチル780mlを加えた後、媒体をセライトを通してろ過した。酢酸エチルを蒸発して除いた後、シクロヘキサン400mlを反応媒体に加え、混合物を、NaClを飽和させたH2O/EtOH(2v/1v)混合液で2回洗浄した。次いで、有機相をイソドデカンで逆抽出して、固体含量50%の所望の分子に相当する粘性の溶液とした。調合の目的で、この乾燥抽出物を、媒体にイソデカンを加えることによって任意選択により修飾してもよい。
【0178】
化合物9:ウレイドピリミドンでの2-ヘキシルデカノール官能基化
【0179】
【化31】
【0180】
2-ヘキシルデカノール126.4gを2時間、60℃の減圧下で加熱して乾燥させる。2時間後、アルゴン下で油を20℃に冷まし、次いで、50℃でイソホロンジイソシアネート116gとDBTL触媒55mgとの混合物に5時間にわたって徐々に加える。添加の終わりに、反応混合物の温度を110℃にし、次いで、炭酸プロピレン90mlおよび6-メチルイソシトシン78.4gを加えると、均一な白色の懸濁液が生成する。110℃で2時間撹拌を続け、イソシアネートの消失を赤外線分光法によってモニタリングする。2250cm-1のピークの消失が観察される。同時に、イソシトシンから生じるアミンの消失を、アミンのアッセイによってモニタリングする。反応の終わりに、イソドデカン500gを100℃で加え、わずかに濁った淡黄色の溶液が得られる。エタノール300mlを加え、撹拌を2時間続ける。セライトを通してろ過した後、アルコールおよび炭酸プロピレンを除去するために、反応混合物を80℃でイソドデカンで逆抽出する。
【0181】
最後に、イソドデカン中に移された所望の生成物が固体含量50%で得られる。生成物をHPLCおよびGPC(構造の確認)によって特に特徴付ける。
【0182】
化合物10:ウレイドピリミドンで官能基化した2-ヘキシルデカノール
【0183】
【化32】
【0184】
2-ヘキシルデカノール173.1gを2時間、60℃の減圧下で加熱して乾燥させる。2時間後、油をアルゴン下で50℃に冷まし、次いで、50℃でイソホロンジイソシアネート158.7gとDBTL触媒77mgとの混合物に、5時間にわたって徐々に加える。添加の終わりに、反応混合物の温度を110℃にし、炭酸プロピレン150mlおよび5-ヒドロキシエチル-6-メチルイソシトシン60.3gを加えると、均一な白色懸濁液が生成する。110℃で5時間撹拌を続け、イソシアネートの消失を赤外線分光法によってモニタリングする。2250cm-1のピークの消失が観察される。反応の終わりに、反応媒体の温度を100℃に下げ、イソドデカン780gを加え、淡黄色の濁った混合物が得られる。エタノール100mlを加え、2時間撹拌を続ける。セライトを通してろ過した後、アルコールおよび炭酸プロピレンを除去するために、反応混合物を80℃でイソドデカンで逆抽出する。
【0185】
最後に、イソドデカン中に移された所望の生成物が固体含量50%で得られる。生成物をHPLCおよびGPC(構造確認)によって特に特徴付ける。
【0186】
化合物11:ウレイドピリミドンで官能基化した2-デシルテトラデカノール
2-デシルテトラデカノール126gを4時間、100℃の減圧下加熱して乾燥させる。2時間後、50℃、アルゴン下で、油を、イソホロンジイソシアネート94.7mgとDBTL触媒(十分量)との混合物に4時間にわたって加える。イソシアネートのアッセイによってモニタリングすることで、反応の進行を追跡し、半当量で、炭酸プロピレン126gおよび6-メチルイソシトシン53.3gを加える。100℃で16時間撹拌および加熱を続け、イソシアネートの消失を赤外線分光法によってモニタリングする。2250cm-1のピークの消失が観察される。同時に、イソシトシンから生じるアミンの消失をアミンのアッセイによってモニタリングする。反応の終わりに、温度を50℃に冷まし、エタノール100mlを加え、5時間撹拌を続ける。セライトを通してろ過し、イソドデカンで逆抽出した後、イソドデカン中に移された所望の生成物が固体含量50%で得られる。生成物を、質量分析法と連結したGPCおよびHPLCによって特に特徴付ける。
【0187】
化合物12:ウレイドピリミドン官能基化したJarcol 24(J24)
発熱を制御し、不活性の雰囲気下、Jarcol I-24 200gを、触媒の存在下50℃でIPDI(IPDI 1.1当量)に加える。添加後、50℃で30分間撹拌を続ける。次いで、メチルイソシトシン(MIC)1.3当量を混合物に加え、その後、炭酸プロピレン100mlを加える。次いで、反応媒体の温度を140℃に上げ、接触時間は140℃で1時間である。イソシアネート官能基の消失を、赤外線分光法によってモニタリングし、次いで、媒体の温度を70℃に下げ、その後エタノール30mlを加え、1時間撹拌する。酢酸エチルを加えた後、媒体をろ紙を通してろ過する。酢酸エチルを蒸発して除いた後、シクロヘキサンを加え、その後NaCl/エタノール(2v/1v)を飽和させた水の混合液で5回洗浄する。次いで、有機相をNa2SO4上で乾燥させ、ろ過し、イソドデカンで逆抽出する。ウレイドピリミドンで官能基化した油の、固体含量50%の溶液が得られる。
【0188】
化合物13:ウレイドピリミドン官能基化したJarcol 20(J20)
発熱を制御し、不活性の雰囲気下、Jarcol I-20 180gを、50℃で触媒の存在下、IPDI(IPDI 1.1当量)に加える。
【0189】
50℃で30分間撹拌を続ける。次いで、MIC 1.3当量を反応媒体に加え、その後、炭酸プロピレン100mlを加える。
【0190】
次いで、反応媒体の温度を140℃に上げ、接触時間は140℃で1時間である。反応を赤外線分光法によってモニタリングし、イソシアネート官能基の特徴的なピークの消失をモニタリングする。次いで、温度を70℃に下げ、その後エタノール30mlを加え、1時間撹拌する。酢酸エチルを加えた後、媒体をろ紙を通してろ過する。酢酸エチルを蒸発して除いた後、シクロヘキサンを加え、その後NaCl/エタノール(2v/1v)を飽和させた水の混合液で5回洗浄する。次いで、有機相をNa2SO4上で乾燥させ、ろ過し、イソドデカンで逆抽出する。次いで、ウレイドピリミドンで官能基化した油の固体含量50%の溶液が得られる。
【0191】
本発明による組成物が、組成物の合計重量に対して、5重量%から95重量%の間、好ましくは10重量%から95重量%の間、さらに良好に好ましくは20重量%から90重量%の間の超分子化合物の含量を有するのが好ましい。
【0192】
無極性の炭化水素ベースの油およびシリコーン油から選択される油
本発明による組成物は、無極性の炭化水素ベースの油およびシリコーン油から選択される、少なくとも1種の油を含む。
【0193】
「油」の語は、室温(25℃)および大気圧(760mmHg)で液体である、水不混和性の、非水性の化合物を意味する。
【0194】
第1の実施形態によると、組成物中に存在し、無極性の炭化水素ベースの油およびシリコーン油から選択される油は揮発性である。
【0195】
第2の実施形態によると、組成物中に存在し、無極性の炭化水素ベースの油およびシリコーン油から選択される油は不揮発性である。
【0196】
「揮発性油」の語は、室温および大気圧で、皮膚と接触したときに1時間未満で揮発することができる油(または非水性媒体)を意味する。揮発性油は揮発性の化粧用油であり、室温で液体であり、特に、室温および大気圧で蒸気圧がゼロでなく、とりわけ0.13Paから40000Pa(10-3から300mmHg)の範囲、好ましくは1.3Paから13000Pa(0.01から100mmHg)の範囲、優先的には1.3Paから1300Pa(0.01から10mmHg)の範囲の蒸気圧を有する。
【0197】
「不揮発性油」の語は、室温および大気圧で、少なくとも数時間、ケラチン質上に残存し、特に蒸気圧が10-3mmHg(0.13Pa)未満である油を意味する。不揮発性油は、先に規定した条件下で30分後に蒸発する量が0.07mg/cm2未満である蒸発速度を有すると規定することもできる。
【0198】
シリコーン油
第1の実施形態によると、本発明による組成物中に存在する油はシリコーン油である。
【0199】
「シリコーン油」の語は、少なくとも1個のケイ素原子を含み、特にSi-O基を含む油を意味する。
【0200】
とりわけ、シリコーン油はフェニルシリコーン油から選択することができる。
【0201】
このような油は「フェニルシリコーン」とも呼ばれる。「フェニルシリコーン」の語は、少なくとも1個のフェニル基で置換されているオルガノポリシロキサンを意味する。
【0202】
フェニルシリコーン油が不揮発性であるのが好ましい。
【0203】
「不揮発性油」の語は、室温および大気圧で少なくとも数時間、ケラチン質上に残存し、特に蒸気圧が10-3mmHg(0.13Pa)未満である油を意味する。不揮発性油は、先に規定した条件下で、30分後に蒸発する量が0.07mg/cm2未満である蒸発速度を有すると規定することもできる。
【0204】
これらの油は、植物、鉱物、または合成起源であってよい。フェニルシリコーン油が、組成物の合計重量に対して、0.5重量%から70重量%の範囲、好ましくは3重量%から50重量%の範囲、さらに良好には5重量%から40重量%の範囲の合計含量で組成物中に存在するのが好ましい。
【0205】
フェニルシリコーン油の重量平均分子量が500g/molから10000g/molの間であるのが好ましい。
【0206】
シリコーン油は、フェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、および2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケートから選択することができる。
【0207】
シリコーン油は、式:
【0208】
【化33】
【0209】
に相当していてよく、式中、R基は、互いに独立にメチルまたはフェニルを表す。この式において、シリコーン油が少なくとも3個の、例えば、少なくとも4個、少なくとも5個、または少なくとも6個のフェニル基を含むのが好ましい。
【0210】
別の一実施形態によると、シリコーン油は、式:
【0211】
【化34】
【0212】
に相当していてよく、式中、R基は、互いに独立にメチルまたはフェニルを表す。この式において、前記オルガノポリシロキサンが少なくとも3個の、例えば、少なくとも4個、または少なくとも5個のフェニル基を含むのが好ましい。
【0213】
先に記載したフェニルオルガノポリシロキサンの混合物を用いることができる。
【0214】
挙げることができる例には、トリフェニル、テトラフェニル、またはペンタフェニルオルガノポリシロキサンの混合物が含まれる。
【0215】
別の一実施形態によると、シリコーン油は式:
【0216】
【化35】
【0217】
に相当し、式中、Meはメチルを表し、Phはフェニルを表す。このようなフェニルシリコーンは、特に、Dow Corningによって、Dow CorningのPH-1555 HRIという参照で製造されている(化学名:1,3,5-トリメチル1,1,3,5,5-ペンタフェニルトリシロキサン; INCI名:トリメチルペンタフェニルトリシロキサン)。参照Dow Cornig 554 Cosmetic Fluidも用いることができる。
【0218】
別の一実施形態によると、シリコーン油は式:
【0219】
【化36】
【0220】
に相当し、式中、Meはメチルを表し、yは1から1000の間であり、Xは-CH2-CH(CH3)(Ph)を表す。
【0221】
別の一実施形態によると、シリコーン油は式:
【0222】
【化37】
【0223】
(式中、-OR'は-O-SiMe3を表し、yは1から1000の間であり、zは1から1000の間である)に相当する。
【0224】
フェニルシリコーン油は、以下の式(VI):
【0225】
【化38】
【0226】
(式中、
R1からR10は、互いに独立に、飽和または不飽和の、直鎖状、環状、または分枝状の、C1〜C30炭化水素ベースの基であり、
m、n、p、およびqは、互いに独立に、m+n+qの合計が0以外であるという条件で、0から900の間の整数である)のフェニルシリコーンから選択することができる。
【0227】
m+n+qの合計が1から100の間であるのが好ましい。m+n+p+qの合計が1から900の間であるのが好ましく、さらに良好に1から800の間である。qが0に等しいのが好ましい。
【0228】
フェニルシリコーン油は、以下の式(VII):
【0229】
【化39】
【0230】
(式中、
R1からR6は、互いに独立に、飽和または不飽和の、直鎖状、環状、または分枝状の、C1〜C30炭化水素ベースの基であり、
m、n、およびpは、互いに独立に、n+mの合計が1から100の間であるという条件で、0から100の間の整数である)のフェニルシリコーンから選択することができる。
【0231】
R1からR6が、互いに独立に、飽和の、直鎖状または分枝状のC1〜C30、特にC1〜C12の、炭化水素ベースの基、とりわけメチル、エチル、プロピル、またはブチル基を表すのが好ましい。
【0232】
R1からR6は特に同じであってよく、さらにメチル基であってよい。
【0233】
好ましくは、式(VII)において、値m=1もしくは2もしくは3、および/またはn=0、および/またはp=1もしくは1を適用することができる。
【0234】
25℃の粘度が5mm2/sから1500mm2/s(すなわち、5cStから1500cSt)の間である、好ましくは粘度が5mm2/sから1000mm2/s (すなわち、5cStから1000cSt)の間である式(VI)のフェニルシリコーン油を用いることができる。
【0235】
式(VII)のフェニルシリコーン油として、Dow CorningからのDC556(22.5cSt)、Rhone Poulencからの油Silbione 70663V30 (28cSt)などのフェニルトリメチコーン、またはWackerからのBelsil oils、特にBelsil PDM1000 (1000cSt)、Belsil PDM 200 (200cSt)、およびBelsil PDM 20 (20cSt)などのジフェニルジメチコーンを用いることが特に可能である。カッコ内の値は25℃での粘度を表す。
【0236】
不揮発性シリコーン油は、式:
【0237】
【化40】
【0238】
(式中、
R1、R2、R5、およびR6は、一緒に、または別々に、1個から6個の炭素原子を含むアルキル基であり、
R3およびR4は、一緒に、または別々に、1個から6個の炭素原子を含むアルキル基、またはアリール基であり、
Xは、1個から6個の炭素原子を含むアルキル基、ヒドロキシル基、またはビニル基であり、
nおよびpは、200000g/mol未満、好ましくは150000g/mol未満、より好ましくは100000g/mol未満の重量平均分子質量を油にもたらすように選択される)のシリコーンから選択することができる。
【0239】
一実施形態によると、本発明による組成物において用いることができる不揮発性シリコーン油は、フェニルシリコーン油、例えば、Wacker社によってBelsil PDM 1000という参照で販売されているトリメチルシロキシフェニルジメチコーン(MW=9000g/mol)、またはDow CorningのPH-1555 HRIという参照でDow Corning社によって販売されている1,3,5-トリメチル-1,1,3,5,5-ペンタフェニルトリシロキサン(INCI名:トリメチルペンタフェニルトリシロキサン)、フェニルトリメチコーン(例えば、Dow Corningによって商品名DC 556の下に販売されているフェニルトリメチコーン)、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、およびジフェニルメチルジフェニルトリシロキサンであってよい。
【0240】
フェニルシリコーン油は不揮発性であるのが好ましい。
【0241】
フェニルシリコーン油は、25℃で50cStを超え、好ましくは100cStを超える粘度を有するのが好ましい。
【0242】
粘度を測定するためのプロトコール
粘度は、直径が2cmから6cmの間であり角度が1°から2°の間であるコーン/プレートの幾何学的配置の軸を装着した、Thermo Rheo社からのHaake RS75応力制御レオメータ(Controlled-stress rheometer)を用いて25℃±0.5℃で測定し、軸の選択は測定する粘度に依存する(油が流動性であるほど、選択されるコーンの直径は大きく、角度は小さい)。測定は、20分の持続時間、油の試料を0.2Paから1000Paの範囲のずり応力勾配の対数に適用することによって行う。次いで、せん断ε'の速度の関数としての粘度における変化を表すレオグラムをプロットする。レオグラムは、低いせん断速度値ではプラトーを示し(ニュートンのプラトー(Newtonian plateau)として知られる)、このプラトーは安定な粘度値に対応し、これがこのように測定した油の粘度である。
【0243】
注:一般に、「間の」の語は、範囲の限界値を含んでいる。
【0244】
別の一実施形態によると、シリコーン油は、非フェニルシリコーン油から選択することもできる。このような油は、引火点が40℃から150℃の範囲であり、好ましくは引火点が55℃を超え105℃以下であり、優先的には65℃から95℃の範囲であるシリコーン油から選択することができる。引火点は、とりわけISO規格3679にしたがって測定する。
【0245】
非フェニルシリコーン油は揮発性でも、または不揮発性でもよい。
【0246】
揮発性シリコーン油は、直鎖状または環状のシリコーン油、例えば、ケイ素原子3個から7個を含む直鎖状または環状のポリジメチルシロキサン(PDMS)から選択することができる。
【0247】
直鎖状PDMS(ジメチコーンとしても知られている)は、トリメチルシロキシ末端基を有する直鎖状のジメチルポリシロキサン化合物である。環状PDMSは一般にシクロメチコーンとして知られている。これは環状ジメチルポリシロキサン化合物を標的とした一般名である。
【0248】
挙げることができるこのような油の例には、オクチルトリメチコーン、ヘキシルトリメチコーン、デカメチルシクロペンタシロキサン(シクロペンタシロキサンすなわちD5)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(シクロテトラジメチルシロキサンすなわちD4)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、デカメチルテトラシロキサン(L4)、Shin-EtsuからのKF96A、例えば、Dow CorningによってDC200(1.5cSt)、DC200(5cSt)、およびDC200(3cSt)という参照で販売されているものなどのポリジメチルシロキサン、が含まれる。
【0249】
さらに挙げることができるシリコーン油の例には、ペンダントおよび/またはシリコーン鎖の末端である、アルキル基またはアルコキシ基を含むポリジメチルシロキサンが含まれ、これらの基は各々、2個から24個の炭素原子を含んでいる。
【0250】
炭化水素ベースの無極性油
第2の実施形態によると、本発明による組成物中に存在する油は無極性の炭化水素ベースの油である。
【0251】
本発明の目的では、「無極性油」の語は、25℃での溶解度パラメータであるδaが0(J/cm3)1/2に等しい油を意味する。
【0252】
ハンセンの3次元溶解度空間における溶解度パラメータにおける溶解度パラメータの定義および計算は、C.M. Hansenによる文献、「The three dimensional solubility parameters」、J. Paint Technol.、39巻、105頁(1967年)に記載されている。
【0253】
ハンセン空間によると、
δDは、分子衝撃の間に誘発される双極子の形成に由来するロンドン分散力を特徴付け、
δpは、誘発される双極子と永久的な双極子との間の、永久的な双極子とケーソム相互作用力との間のデバイ相互作用力を特徴付け、
δhは特定の相互作用力(例えば、水素結合、酸/塩基、ドナー/アクセプタなど)を特徴付け、
δaは、等式:δa=(δp2+δh)1/2によって決定される。
【0254】
パラメータδp、δh、δD、およびδaは、(J/cm3)1/2で表される。
【0255】
「無極性の炭化水素ベースの油」の語は、炭素原子および水素原子から本質的に形成され、または炭素原子および水素原子によって構成され、N、O、Si、およびPなどのヘテロ原子のない油を意味する。
【0256】
挙げることができる不揮発性で無極性の炭化水素ベースの油の例には、炭化水素ベースの油、例えば、スクアレン、直鎖状または分枝状の炭化水素、例えば、流動パラフィン、液体ワセリン、およびナフタレン油、水素化または部分的に水素化されたポリイソブテン、イソエイコサン、スクアレン、デセン/ブテン共重合体、ポリブテン/ポリイソブテン共重合体、特にIndopol L-14、およびポリデセン、例えば、Puresyn 10、およびこれらの混合物が含まれる。
【0257】
とりわけ、高モル質量の、例えば、650g/molから10000g/molの間の、不揮発性の炭化水素ベースの無極性の油を挙げることができ、例えば、
ポリブチレン、例えば、Amoco社によって販売または製造されている、Indopol H-100(モル質量すなわちMW=965g/mol)、Indopol H-300(MW=1340g/mol)、およびIndopol H-1500(MW=2160g/mol)、
水素化ポリイソブチレン、例えば、Amoco社によって販売または製造されている、Panalane H-300 E(MW=1340g/mol)、Synteal社によって販売または製造されている、Viseal 20000(MW=6000g/mol)、およびWitco社によって販売または製造されている、Rewopal PIB 1000(MW=1000g/mol)、
ポリデセンおよび水素化ポリデセン、例えば、Mobil Chemical社によって販売されている、Puresyn 150(MW-9200g/mol)、ならびに
これらの混合物
がある。
【0258】
無極性の炭化水素ベースの油は、特に40℃から102℃の範囲、好ましくは40℃から55℃の範囲、優先的には40℃から50℃の範囲の引火点を有する揮発性油であってもよい。
【0259】
挙げることができる無極性の炭化水素ベースの揮発性油には、7個から16個の炭素原子、好ましくは8個から16個の炭素原子を含んでいる炭化水素ベースの揮発性油、およびこれらの混合物、特に分枝状C8〜C16アルカン、例えば、C8〜C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られている)、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、および例えば、IsoparまたはPermethylという商品名で販売されている油、ならびにこれらの混合物が含まれる。
【0260】
一実施形態によると、本発明における使用に適する揮発性または不揮発性の無極性油は、ポリブテン、ポリイソブテン、水素化ポリイソブテン、イソドデカン、およびイソヘキサデカン、ならびにこれらの混合物から選択することができる。
【0261】
挙げることができる無極性の炭化水素ベースの揮発油には、7個から15個の炭素原子を含む炭化水素ベースの揮発性油、およびこれらの混合物、特に直鎖状C7〜C15アルカンが含まれる。
【0262】
本発明における使用に適する「揮発性直鎖状アルカン」が8個から14個の炭素原子を含むのが好ましい。
【0263】
本発明における使用に適する「揮発性直鎖状アルカン」が9個から14個の炭素原子を含むのが好ましい。
【0264】
本発明における使用に適する「揮発性直鎖状アルカン」が10個から14個の炭素原子を含むのが好ましい。
【0265】
本発明における使用に適する「揮発性直鎖状アルカン」が11個から14個の炭素原子を含むのが好ましい。
【0266】
本発明による組成物において用いることができる「揮発性直鎖状アルカン」は、室温で、とりわけゼロでない蒸気圧を有していてよく(飽和蒸気圧としても知られている)、とりわけ0.3Paから6000Paの範囲の蒸気圧を有することができる。
【0267】
本発明における使用に適する「揮発性直鎖状アルカン」が、室温(25℃)で0.3Paから2000Paの範囲の蒸気圧を有するのが好ましい。
【0268】
本発明における使用に適する「揮発性直鎖状アルカン」が、室温(25℃)で0.3Paから1000Paの範囲の蒸気圧を有するのが好ましい。
【0269】
本発明における使用に適する「揮発性直鎖状アルカン」が、室温(25℃)で0.4Paから600Paの範囲の蒸気圧を有するのがより好ましい。
【0270】
本発明における使用に適する「揮発性直鎖状アルカン」が、室温(25℃)で1Paから200Paの範囲の蒸気圧を有するのが好ましい。
【0271】
本発明における使用に適する「揮発性直鎖状アルカン」が、室温(25℃)で3Paから60Paの範囲の蒸気圧を有するのがさらにより好ましい。
【0272】
一実施形態によると、本発明における使用に適する揮発性直鎖状アルカンは、30℃から120℃、より詳しくは40℃から100℃の範囲である引火点を有していてよい。引火点は、とりわけ、ISO規格3679にしたがって測定される。
【0273】
本発明における使用に適する揮発性直鎖状アルカンは、有利には植物起源であってよい。
【0274】
本発明による組成物中に存在する揮発性直鎖状アルカンまたは揮発性直鎖状アルカンの混合物が、少なくとも1個の14C(炭素14)炭素同位元素を含むのが好ましい。とりわけ、14C同位元素は、1×10-16以上、好ましくは1×10-15以上、より好ましくは7.5×10-14以上、さらに良好には1.5×10-13以上の14C/12C比で存在することができる。14C/12C比が6×10-13から1.2×10-12の範囲であるのが好ましい。
【0275】
揮発性直鎖状アルカン、または揮発性直鎖状アルカンの混合物における14C同位元素の量は、リビー成形(Libby compacting)法、液体シンチレーション分光測定、または加速器質量分析法など、当業者に知られている方法によって決定することができる。
【0276】
このようなアルカンは、油、バター、ロウなどの植物原料から、直接的に、またはいくつかのステップにおいて得ることができる。
【0277】
本発明において用いるのに適するアルカンの一例として、Cognis社の特許WO2007/068371またはWO2008/155059(少なくとも1個の炭素が異なる、異なるアルカンの混合物)において記載されているアルカンを挙げることができる。これらのアルカンは、それ自体がココナツ油またはパーム油から得られる脂肪アルコールから得られる。
【0278】
本発明において用いるのに適する直鎖状アルカンの一例として、n-ヘプタン(C7)、n-オクタン(C8)、n-ノナン(C9)、n-デカン(C10)、n-ウンデカン(C11)、n-ドデカン(C12)、n-トリデカン(C13)、およびn-テトラデカン(C14)、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。特定の一実施形態によると、揮発性直鎖状アルカンは、n-ノナン、n-ウンデカン、n-ドデカン、n-トリデカン、およびn-テトラデカン、ならびにこれらの混合物から選択される。
【0279】
好ましい一様式によると、Cognis社の特許出願WO2008/155059の実施例1および2において得られるn-ウンデカン(C11)とn-トリデカン(C13)との混合物を挙げることができる。
【0280】
リファレンスParafol 12〜97、およびParafol 14〜97の下にSasolによって販売されている、それぞれn-ドデカン(C12)、およびn-テトラデカン(C14)、ならびにこれらの混合物も挙げることができる。
【0281】
揮発性直鎖状アルカンは、単独で用いられてもよい。
【0282】
あるいは、または優先的に、互いに炭素数nが少なくとも1個異なり、とりわけ互いに炭素数が1個または2個異なる、2つの異なる揮発性液体直鎖状アルカンの混合物が用いられてもよい。
【0283】
第1の実施形態によると、10個から14個の炭素原子を含み、互いに炭素数が少なくとも1個異なる、少なくとも2つの異なる揮発性直鎖状アルカンの混合物が用いられる。特に挙げることができる例には、C10/C11、C11/C12、またはC12/C13揮発性直鎖状アルカンの混合物が含まれる。
【0284】
別の一実施形態によると、10個から14個の炭素原子を含み、互いに炭素数が少なくとも2個異なる、少なくとも2つの異なる揮発性直鎖状アルカンの混合物が用いられる。特に挙げることができる例には、偶数の炭素数nではC10/C12またはC12/C14の揮発性直鎖状アルカンの混合物、奇数の炭素数nではC11/C13の混合物が含まれる。
【0285】
好ましい一様式によると、10個から14個の炭素原子を含み、互いに炭素数が少なくとも2個異なる、少なくとも2つの異なる揮発性直鎖状アルカンの混合物、とりわけC11/C13の揮発性直鎖状アルカンの混合物、またはC12/C14の揮発性直鎖状アルカンの混合物が用いられる。
【0286】
本発明による2つを超える揮発性直鎖状アルカンを合わせる他の混合物、例えば、7個から14個の炭素原子を含み、互いに炭素数が少なくとも1個異なる少なくとも3つの異なる揮発性直鎖状アルカンの混合物も本発明の部分を形成するが、本発明による2つの揮発性直鎖状アルカンの混合物が好ましく(2成分の混合物)、前記2つの揮発性直鎖状アルカンが、混合物中の揮発性直鎖状アルカンの合計含量の95重量%超、さらに良好には99重量%超に相当するのが好ましい。本発明の特定の一様式によると、揮発性直鎖状アルカンの混合物において、より小さい炭素数を有する揮発性直鎖状アルカンが、混合物において優勢である。
【0287】
本発明の別の一様式によると、混合物においてより大きい炭素数を有する揮発性直鎖状アルカンが優勢である揮発性直鎖状アルカンの混合物が用いられる。
【0288】
本発明において用いるのに適する混合物の例として、特に以下の混合物を挙げることができる:
前記混合物におけるアルカンの合計重量に対して、
50重量%から90重量%、好ましくは55重量%から80重量%、より優先的には60重量%から75重量%のCn液状揮発性直鎖状アルカン(nは7から14の範囲である)、
10重量%から50重量%の、好ましくは20重量%から45重量%の、好ましくは24重量%から40重量%の、Cn+x液状揮発性直鎖状アルカン(xは1以上、好ましくはx=1またはx=2であり、n+xは8から14の間である)。
【0289】
とりわけ、本発明によるアルカンの前記混合物は、混合物中に、
2重量%未満、好ましくは1重量%未満の分枝状の炭化水素、
および/または2重量%未満、好ましくは1重量%未満の芳香族炭化水素、
および/または2重量%未満、好ましくは1重量%未満、優先的には0.1重量%未満の不飽和炭化水素
を含んでいる。
【0290】
より詳しくは、本発明において用いるのに適する揮発性直鎖状アルカンは、n-ウンデカン/n-トリデカン混合物の形態において用いることができる。
【0291】
とりわけ、前記混合物におけるアルカンの合計重量に対して:
55重量%から80重量%、好ましくは60重量%から75重量%のC11液状揮発性直鎖状アルカン(n-ウンデカン)、
20重量%から45重量%、好ましくは24重量%から40重量%のC13液状直鎖状アルカン(n-トリデカン)
を含む、揮発性直鎖状アルカンの混合物が用いられる。
【0292】
特定の一実施形態によると、アルカンの混合物はn-ウンデカン/n-トリデカンの混合物である。とりわけ、このような混合物は、WO2008/155059の実施例1または実施例2にしたがって得ることができる。
【0293】
別の特定の一実施形態によると、SasolによってParafol 12-97という参照で販売されているn-ドデカンが用いられる。
【0294】
別の特定の一実施形態によると、SasolによってParafol 14-97という参照で販売されているn-テトラデカンが用いられる。
【0295】
さらに別の一実施形態によると、n-ドデカンとn-テトラデカンとの混合物が用いられる。
【0296】
本発明の組成物は、組成物の合計重量に対して、1重量%から70重量%の揮発性直鎖状アルカン、とりわけ5重量%から60重量%の揮発性直鎖状アルカン、より詳しくは5重量%から40重量%の揮発性直鎖状アルカンを含むことができる。
【0297】
特定の一実施形態によると、本発明の組成物は、組成物における揮発性油の合計含量に対して、少なくとも50重量%の揮発性直鎖状アルカンを含むことができる。とりわけ、本発明の組成物は、組成物中の揮発性油の合計含量に対して、少なくとも60%の、より詳しくは少なくとも70%の、より詳しくは少なくとも80%、少なくとも90%、または100%の揮発性直鎖状アルカンを含むことができる。
【0298】
一実施形態によると、組成物は、無極性の炭化水素ベースの油およびシリコーン油から選択される油の混合物を含むことができる(すなわち複数種の油)。
【0299】
好ましくは、本発明による組成物において、無極性の炭化水素ベースの油およびシリコーン油から選択される油の合計含量は、組成物の合計重量に対して0.5重量%から70重量%の範囲、好ましくは組成物の合計重量に対して3重量%から50重量%の範囲、さらに良好には5重量%から40重量%の範囲である。
【0300】
さらなる油
本発明による組成物は、無極性の炭化水素ベースの油およびシリコーン油から選択される油の他に、無極性の炭化水素ベースの油またはシリコーン油以外のさらなる油を少なくとも1つ含むことができる。
【0301】
とりわけ、前記さらなる油は、無極性の炭化水素ベースの油、または代替としてフッ素油から選択することができる。
【0302】
さらなる油は揮発性でも、または不揮発性でもよい。
【0303】
本発明の目的では、「極性油」の語は、25℃でのその溶解度パラメータであるδaが0(J/cm3)1/2以外である油を意味する。
【0304】
これらのさらなる油は、植物、鉱物、または合成起源であってよい。
【0305】
「極性の炭化水素ベースの油」の語は、炭素原子および水素原子、ならびに任意選択により酸素原子および窒素原子から本質的に形成され、またはこれらによって構成され、いかなるケイ素原子またはフッ素原子も含まない油を意味する。これは、アルコール、エステル、エーテル、カルボン酸、アミン、および/またはアミドの基を含むことができる。
【0306】
「フッ素油」の語は、少なくとも1個のフッ素原子を含む油を意味する。
【0307】
第1の実施形態によると、さらなる極性油は不揮発性油であってよい。とりわけ、不揮発性極性油は、以下の油のリストから選択することができ、およびこれらの混合物であってよい。
炭化水素ベースの植物油、例えば、4個から10個の炭素原子を含む脂肪酸の液状トリグリセリド、例えば、ヘプタン酸もしくはオクタン酸トリグリセリド、またはホホバ油、
式RCOOR'の炭化水素ベースのエステル(式中、RCOOは2個から30個の炭素原子を含むカルボン酸残基を表し、R'は1個から30個の炭素原子を含む炭化水素ベースの鎖を表す)、例えば、イソノナン酸イソノニル、エルカ酸オレイル、またはネオペンタン酸2-オクチルドデシル、
不飽和脂肪酸ダイマーおよび/またはトリマーとジオールとの縮合によって得られたポリエステル、例えば、特許出願FR0853634に記載されているもの、とりわけジリノール酸および1,4-ブタンジオールなど。これに関して、Viscoplast 14436Hの名称の下にBiosynthisによって販売されているポリマー(INCI名:ジリノール酸/ブタンジオール共重合体)、または多価アルコールと二酸ダイマーとの共重合体、ならびにこれらのエステル、例えば、Hailuscent ISDAを挙げることができる、
12個から26個の炭素原子を含む脂肪アルコール、例えば、オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、およびオレイルアルコール、
C12〜C22高級脂肪酸、例えば、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸、ならびにこれらの混合物、
任意選択により部分的に炭化水素ベースおよび/またはシリコーンベースであるフッ素油、
植物起源の油、例えば、ゴマ油(820.6g/mol)、
12個から26個の炭素原子を含む脂肪酸、例えば、オレイン酸、
炭酸ジアルキル(2個のアルキル鎖は同一または異なっている可能性がある)、例えば、CognisによってCetiol CC(登録商標)の名称の下に販売されている炭酸ジカプリリル、ならびに
高分子量、例えば、650g/molから10000g/molの間の不揮発性油、例えば:
i)ビニルピロリドン共重合体、例えば、ビニルピロリドン/1-ヘキサデセン共重合体、ISP社によって販売または製造されているAntaron V-216(MW=7300g/mol)、
ii)エステル、例えば:
a)合計炭素数の範囲が35個から70個である直鎖状脂肪酸エステル、例えば、テトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル(MW=697.05g/mol)、
b)ヒドロキシル化されているエステル、例えば、トリイソステアリン酸ポリグリセロール-2(MW=965.58g/mol)、
c)芳香族エステル、例えば、トリメレット酸トリデシル(MW=757.19g/mol)、
d)C24〜C28脂肪アルコールまたは分枝状脂肪酸のエステル、例えば、特許出願EP-A-0955039に記載されているもの、特に、クエン酸トリイソアラキジル(MW=1033.76g/mol)、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル(MW=697.05g/mol)、トリイソステアリン酸グリセリル(MW=891.51g/mol)、トリス(2-デシル)テトラデカン酸グリセリル(MW=1143.98g/mol)、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル(MW=1202.02g/mol)、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2(MW=1232.04g/mol)、またはテトラキス(2-デシル)テトラデカン酸ペンタエリスリチル(MW=1538.66g/mol)、
e)ジオールダイマーとモノカルボン酸またはジカルボン酸とのエステルおよびポリエステル、例えば、ジオールダイマーと脂肪酸とのエステル、およびジオールダイマーとジカルボン酸ダイマーとのエステル、
ならびにこれらの混合物。
【0308】
ジオールダイマーとモノカルボン酸とのエステルは、4個から34個の炭素原子、特に10個から32個の炭素原子を含むモノカルボン酸から得ることができ、これらの酸は直鎖状または分枝状であり、飽和または不飽和である。
【0309】
本発明において用いるのに適するモノカルボン酸の例示的な例として、特に脂肪酸を挙げることができる。
【0310】
ジオールダイマーとジカルボン酸とのエステルは、とりわけ、不飽和脂肪酸、特にC8からC34、特にC12からC22、とりわけC16からC20、より詳しくはC18の二量体化により得られるジカルボン酸ダイマーから得ることができる。
【0311】
特定の一変形形態によると、これは、より詳細には、エステル化ジオールダイマーも得られるジカルボン酸ダイマーである。
【0312】
ジオールダイマーとカルボン酸とのエステルは、先に記載した通りジカルボン酸ダイマーの触媒水素化によって生成されたジオールダイマー(例えば、水素化ジリノール酸二酸)から得ることができる。
【0313】
ジオールダイマーエステルの一例示として、特に、Nippon Fine Chemical社によってLusplan DD-DA5(登録商標)およびDD-DA7(登録商標)という商品名で販売されているジリノール酸二酸とジリノレイルジオールダイマーとのエステルを挙げることができる。
【0314】
第2の実施形態によると、さらなる極性油は揮発性油であってよい。とりわけ、揮発性極性油、およびその混合物を以下の油のリストから選択することができる:
室温で液体であるケトン、例えば、メチルエチルケトンまたはアセトン、
短鎖エステル、特に、合計3個から8個の炭素原子を含むもの、例えば、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、または酢酸n-ブチル、
室温で液体であるエーテル、例えば、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、またはジクロロジエチルエーテル、
アルコール、特に、2個から5個の炭素原子を含む直鎖状または分枝状の低級モノアルコール、例えば、エタノール、イソプロパノール、またはn-プロパノール。
【0315】
揮発性フッ素油、例えば、ノナフルオロメトキシブタン、またはパーフルオロメチルシクロペンタン、およびこれらの混合物を用いるのも可能である。
【0316】
一実施形態によると、本発明において用いるのに適するさらなる極性油は、オクチルドデシル/PPG-3ミリスチルエーテルダイマージリノレート、脂肪酸トリグリセリド、植物油、オクチルドデカノール、マレイン酸ジイソステアリル、フェニルシリコーン、およびビニルピロリドン/1-ヘキサデセン、ならびにこれらの混合物から選択することができる。
【0317】
本発明による一組成物において、前記のさらなる極性油は、組成物の合計重量に対して、0.1重量%から40重量%、特に1重量%から30重量%、より詳しくは2重量%から20重量%の範囲の含量で存在することができる。
【0318】
一実施形態によると、本発明による組成物は極性油を含んでおらず、または極性油を10%未満、または5%未満含んでいる。
【0319】
色素
本発明による組成物は、好ましくは、組成物の合計重量に対して少なくとも0.1重量%の含量で、少なくとも1種の色素を好ましくは含む。色素は、粉末状色素(特に顔料および真珠層)、および水溶性もしくは脂溶性色素から選択することができる。
【0320】
本発明の目的では、「顔料」という用語は、白色もしくは着色された、鉱物粒子または有機粒子を意味し、これらは、水溶液に不溶性であり、得られたメーキャップフィルムを着色するおよび/または不透明にすることを目的とする。顔料はまた、真珠層または真珠光沢顔料も含む。
【0321】
顔料は、化粧用組成物の合計重量に対して0.1重量%から15重量%、特に1重量%から10重量%、詳細には2重量%から8重量%の割合で存在し得る。
【0322】
本発明に用いることができる鉱物顔料として、酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウムを挙げることができ、また酸化亜鉛、酸化鉄または酸化クロム、フェリックブルー、マンガンバイオレット、群青および水酸化クロムを挙げることもできる。
【0323】
一実施形態によれば、酸化チタンおよび酸化鉄は、本発明においてより詳細に考慮される。
【0324】
一実施形態によれば、本発明に用いるのに適した顔料は、特に二酸化チタンおよび酸化鉄に基づいている。
【0325】
これは、例えば、絹雲母/褐色酸化鉄(brown iron oxide)/二酸化チタン/シリカタイプであり得る構造を有する顔料であってもよい。このような顔料は、例えば、Chemicals and Catalysts社によってCoverleaf NSもしくはJSという参照で販売されており、30付近にコントラスト比を有する。
【0326】
本発明に用いるのに適した顔料は、例えば、酸化鉄を含有するシリカミクロスフェアタイプであり得る構造を含むことができる。この構造を有する顔料の例としては、Miyoshi社によってPC Ball PC-LL-100 Pという参照で販売されている製品であり、この顔料は、黄色酸化鉄を含有するシリカミクロスフェアからなる。
【0327】
本発明に用いることができる有機顔料のうち、カーボンブラック、D&C型顔料、コチニールカルミンベースのレーキまたはバリウム、ストロンチウム、カルシウムもしくはアルミニウムベースのレーキ、あるいは代替としてEP-A-542 669、EP-A-787 730、EP-A-787 731およびWO-A-96/08537の文献中に記載のジケトピロロピロール(DPP)を挙げることができる。
【0328】
「真珠層」および「真珠光沢顔料」という用語は、任意の形態の、特に、ある種の軟体動物によってそれらの殻の中で産生され、またはそうでなければ合成される、光干渉による色彩効果を有する虹色のまたは虹色でない粒子を意味するものとして理解されるべきである。
【0329】
真珠層は、酸化鉄でコーティングされたチタン雲母、オキシ塩化ビスマスでコーティングされたチタン雲母、酸化クロムでコーティングされたチタン雲母、有機染料でコーティングされたチタン雲母などの真珠光沢顔料、またオキシ塩化ビスマスベースの真珠光沢顔料から選択することができる。真珠層はまた、その表面で金属酸化物および/または有機色素の少なくとも2つの連続的な層が重ね合わされる雲母粒子であってもよい。
【0330】
さらに挙げることができる真珠層の例としては、酸化チタンでコーティングされた天然雲母、酸化鉄でコーティングされた天然雲母、天然顔料でコーティングされた天然雲母またはオキシ塩化ビスマスでコーティングされた天然雲母が含まれる。
【0331】
市販されている真珠層の中でも、Engelhard社によって販売されている雲母ベースの真珠層Timica、FlamencoおよびDuochrome、Merck社によって販売されているTimiron真珠層、Eckart社によって販売されているPrestige雲母ベースの真珠層、およびSun Chemical社によって販売されているSunshine合成雲母ベースの真珠層を挙げることができる。
【0332】
真珠層は、より詳細には、黄色、淡紅色、赤色、青銅色、オレンジがかった色、褐色、金色および/または銅色の色彩または色調を有することができる。
【0333】
本発明と関連して用いることができる真珠層の例示として、特にEngelhard社によってBrilliant gold 212G(Timica)、Gold 222C(Cloisonne)、Sparkle gold(Timica)、Gold 4504(Chromalite)およびMonarch gold 233X(Cloisonne)という名称で販売されている金色の真珠層;特にMerck社によってBronze fine(17384)(Colorona)およびBronze(17353)(Colorona)という名称で販売されているおよびEngelhard社によってSuper bronze(Cloisonne)という名称で販売されている青銅色の真珠層;特にEngelhard社によってOrange 363C(Cloisonne)およびOrange MCR 101(Cosmica)という名称で販売されているおよびMerck社によってPassion orange(Colorona)およびMatte orange(17449)(Microna)という名称で販売されているオレンジ色の真珠層;特にEngelhard社によってNu-antique copper 340XB(Cloisonne)およびBrown CL4509(Chromalite)という名称で販売されている褐色の真珠層;特にEngelhard社によってCopper 340A(Timica)という名称で販売されている銅の色調を有する真珠層;特にMerck社によってSienna fine(17386)(Colorona)という名称で販売されている赤色の色調を有する真珠層;特にEngelhard社によってYellow(4502)(Chromalite)という名称で販売されている黄色の色調を有する真珠層;特にEngelhard社によってSunstone G012(Gemtone)という名称で販売されている金色の色調を有する赤色の真珠層;特にEngelhard社によってTan opale G005(Gemtone)という名称で販売されている淡紅色の真珠層;特にEngelhard社によってNu antique bronze 240 AB(Timica)という名称で販売されている金色の色調を有する黒色の真珠層、特にMerck社によってMatte blue(17433)(Microna)という名称で販売されている青色の真珠層、特にMerck社によってXirona Silverという名称で販売されている銀色のような色調を有する白色真珠層、および特にMerck社によってIndian summer(Xirona)という名称で販売されている金緑色の淡紅色がかったオレンジ色の真珠層、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0334】
一実施形態の変形形態によれば、本発明の組成物は、顔料として、二酸化チタン、二酸化チタンおよび酸化鉄ベースの顔料、または二酸化チタンベースの顔料、例えば、絹雲母/褐色酸化鉄/二酸化チタン/シリカ、または酸化チタンでコーティングされた天然雲母、およびそれらの混合物から選択される顔料を含むことができる。
【0335】
本発明による組成物は、上記で定義した顔料と異なる少なくとも1種の色素を含むこともできる。
【0336】
このような色素は、有機または無機の脂溶性または水溶性色素、および特異的な光学効果を有する材料、ならびにそれらの混合物から選択することができる。
【0337】
したがって、本発明による化粧用組成物は、水溶性または脂溶性染料を含むこともできる。脂溶性染料は、例えば、Sudan red、DC Red 17、DC Green 6、β-カロテン、Sudan brown、DC Yellow 11、DC Violet 2、DC Orange 5およびキノリンイエローである。水溶性染料は、例えば、ビーツの根の液汁またはメチレンブルーである。
【0338】
本発明による化粧用組成物は、特異的な光学効果を有する少なくとも1つの材料を含むこともできる。
【0339】
この効果は、従来の単純な色相効果、すなわち、標準的な色素、例えば、単色の顔料により生成されるような一様で安定化された効果とは異なる。本発明の目的では、「安定化された」という用語は、観測の角度に応じて、または代替として温度変化に応答して色のばらつきの影響がないことを意味する。
【0340】
例えば、この材料は、金属のような色調を有する粒子、ゴニオクロマチック着色剤、回折性顔料(diffracting pigment)、熱変色性薬剤(thermochromic agent)、蛍光増白剤、またおよび繊維、特に干渉繊維から選択することができる。
【0341】
本発明に用いることができる金属のような色調を有する粒子は、特に、
少なくとも1種の金属の粒子および/または少なくとも1種の金属誘導体の粒子、
少なくとも1種の金属および/または少なくとも1種の金属誘導体を含む金属のような色調を有する少なくとも1種の被膜で少なくとも部分的にコーティングされた、単一材料または複数材料の有機または鉱物基質を含む粒子、および
前記粒子の混合物から選択される。
【0342】
前記粒子中に存在することができる金属の中でも、例えば、Ag、Au、Cu、Al、Ni、Sn、Mg、Cr、Mo、Ti、Zr、Pt、Va、Rb、W、Zn、Ge、TeおよびSe、ならびにそれらの混合物または合金を挙げることができる。Ag、Au、Cu、Al、Zn、Ni、MoおよびCrならびにそれらの混合物または合金(例えば青銅および黄銅)は、好ましい金属である。
【0343】
「金属誘導体」という用語は、金属、特に酸化物、フッ化物、塩化物および硫化物に由来する化合物を意味するものとする。
【0344】
これらの粒子の例示として、Siberline社によってStarbrite 1200 EAC(登録商標)という名称で販売されているものおよびEckart社によってMetalure(登録商標)という名称で販売されているものなどのアルミニウム粒子を挙げることができる。
【0345】
Radium Bronze社によって販売されている2844という参照などの銅金属粉末または合金混合物、Eckart社からRotosafe 700という名称で販売されているものなどのアルミニウムまたは青銅などの金属顔料、Eckart社からVisionaire Bright Silverという名称で販売されているシリカでコーティングされたアルミニウム粒子および例えば、Eckart社からVisionaire Bright Natural Goldという名称で販売されているシリカでコーティングされた青銅(銅および亜鉛の合金)粉末などの金属合金粒子を挙げることもできる。
【0346】
これらはまた、日本板硝子株式会社によってMicroglass Metashineという名称で販売されているものなどのガラス基質を含む粒子であってもよい。
【0347】
ゴニオクロマチック着色剤は、例えば、多層干渉構造および液晶着色剤から選択することができる。
【0348】
本発明に従って調製される組成物に用いることができる対称性多層干渉構造の例は、例えば、以下の構造、すなわち、Al/SiO2/Al/SiO2/Al(この構造を有する顔料は、Dupont de Nemours社によって販売されている);Cr/MgF2/Al/MgF2/Cr(この構造を有する顔料は、Flex社によってChromaflairという名称で販売されている);MoS2/SiO2/Al/SiO2/MoS2;Fe2O3/SiO2/Al/SiO2/Fe2O3、およびFe2O3/SiO2/Fe2O3/SiO2/Fe2O3(これらの構造を有する顔料は、BASF社によってSicopearlという名称で販売されている);MoS2/SiO2/雲母-オキシド/SiO2/MoS2;Fe2O3/SiO2/雲母-オキシド/SiO2/Fe2O3;TiO2/SiO2/TiO2およびTiO2/Al2O3/TiO2;SnO/TiO2/SiO2/TiO2/SnO;Fe2O3/SiO2/Fe2O3;SnO/雲母/TiO2/SiO2/TiO2/雲母/SnO(これらの構造を有する顔料は、Merck(Darmstadt)社によってXironaという名称で販売されている)である。例として、これらの顔料は、Merck社によってXirona Magicという名称で販売されているシリカ/酸化チタン/酸化スズ構造の顔料、Merck社によってXirona Indian Summerという名称で販売されているシリカ/褐色酸化鉄構造の顔料およびMerck社によってXirona Caribbean Blueという名称で販売されているシリカ/酸化チタン/雲母/酸化スズ構造の顔料であってもよい。株式会社資生堂によるInfinite Colors顔料を挙げることもできる。様々な層の厚さおよび性質に応じて、異なる効果が得られる。したがって、Fe2O3/SiO2/Al/SiO2/Fe2O3構造と共に、色は、320から350nmのSiO2層の場合、緑色がかった金色(green-golden)から赤味がかった灰色に;380から400nmのSiO2層の場合、赤色から金色に;410から420nmのSiO2層の場合、紫色から緑色に;430から440nmのSiO2層の場合、銅色から赤色に変化する。
【0349】
挙げることができるポリマー多層構造を有する顔料の例としては、3M社によってColor Glitterという名称で販売されているものが含まれる。
【0350】
用いることができる液晶ゴニオクロマチック粒子の例には、Chenix社によって販売されているもの、またWacker社によってHelicone(登録商標)HCという名称で販売されている製品が含まれる。
【0351】
色素、特に、疎水剤で処理された顔料は、組成物の合計重量に対して0.1重量%から50重量%、好ましくは、0.5重量%から30重量%、優先的には1重量%から20重量%の含量で組成物中に存在し得る。
【0352】
固形脂肪物質
前述のオイルに加えて、脂肪相は、ろうおよびペースト状脂肪物質から選択される、固形脂肪物質として知られる、室温(25℃)および大気圧で液体でない、少なくとも1種の脂肪物質を含むこともできる。
【0353】
好ましくは、本発明による組成物は、ろうおよびペースト状脂肪物質、およびこの混合物から選択される少なくとも1種の固形脂肪物質を含む。
【0354】
ペースト状脂肪物質
本発明の目的では、(ペーストとしても知られる)「ペースト状脂肪物質」という用語は、固体の状態で異方性の結晶組織を示し、23℃の温度で液体画分および固体画分を含む、固体/液体の可逆的な状態変化を有する親油性脂肪族化合物を意味する。
【0355】
言い換えれば、ペースト状化合物の出発融点は、23℃未満とすることができる。23℃で測定したペースト状化合物の液体画分は、化合物9重量%から97重量%に相当し得る。23℃のこの液体画分は、好ましくは15重量%から85重量%、より好ましくは40重量%から85重量%に相当する。
【0356】
本発明の目的では、融点は、ISO規格11357-3;1999年に記載される通り熱分析(DSC)において観察された最も高い吸熱ピークの温度に対応する。ペーストまたはろうの融点は、例えば、TA Instruments社によってMDSC 2920という名称で販売されているカロリメーターなどの示差走査熱量計(DSC)で測定することができる。
【0357】
測定プロトコールは、次の通りである。
るつぼに入れたペーストまたはろう(場合に応じて)のサンプル5mgを、加熱速度10℃/分で-20℃から100℃まで変化するよう第1の温度上昇にかけ、次いで、冷却速度10℃/分で100℃から-20℃に冷却し、最後に、加熱速度5℃/分で-20℃から100℃まで変化するよう第2の温度上昇にかける。第2の温度上昇中、温度に応じて空のるつぼによって吸収されたエネルギーとろうのサンプルを含むるつぼとの差の変動を測定する。化合物の融点は、温度に応じて吸収されたエネルギーの差の変動を示す曲線のピークの頂点に対応する温度の値である。
【0358】
23℃でのペースト状化合物の重量による液体画分は、23℃で消費される融解エンタルピー対ペースト状化合物の融解エンタルピーの比に等しい。
【0359】
ペースト状化合物の融解エンタルピーは、固体状態から液体状態に変化させるために化合物によって消費されるエンタルピーである。ペースト状化合物は、その塊すべてが結晶性固体の形態であるとき、固体の状態にあると言われる。ペースト状化合物は、その塊すべてが液体形態であるとき、液体の状態にあると言われる。
【0360】
ペースト状化合物の融解エンタルピーは、ISO規格11357-3;1999年に従って、1分間当たり温度を5℃または10℃上昇させた、TA Instruments社によってMDSC 2920という名称で販売されているカロリメーターなどの示差走査熱量計(DSC)で得られたサーモグラムの曲線下面積に等しい。ペースト状化合物の融解エンタルピーは、化合物を固体状態から液体状態に変化させるために必要とするエネルギーの量である。これはJ/gで表される。
【0361】
23℃で消費される融解エンタルピーは、サンプルが固体状態から液体画分および固体画分から形成される23℃で示す状態に変化するためにサンプルによって吸収されるエネルギーの量である。
【0362】
32℃で測定されたペースト状化合物の液体画分は、好ましくは化合物の30重量%から100重量%、好ましくは50重量%から100重量%、より好ましくは化合物の60重量%から100重量%に相当する。32℃で測定されたペースト状化合物の液体画分が100%に等しい場合、ペースト状化合物の溶融範囲の終点は、32℃以下である。
【0363】
32℃で測定されたペースト状化合物の液体画分は、32℃で消費される融解エンタルピー対ペースト状化合物の融解エンタルピーの比に等しい。32℃で消費される融解エンタルピーは、23℃で消費される融解エンタルピーと同じ方法で算出される。
【0364】
ペースト状化合物は、好ましくは合成化合物および植物由来の化合物から選択される。ペースト状化合物は、植物由来の出発原料から開始する合成によって得ることができる。
【0365】
ペースト状化合物は、有利には、
ラノリンおよびそれらの誘導体、
ポリアルキレングリコールのペンタエリスリチルエーテル、糖の脂肪族アルキルエーテル、およびそれらの混合物、5オキシエチレン単位(5OE)を含むポリエチレングリコールのペンタエリスリチルエーテル(CTFA名:PEG-5ペンタエリスリチルエーテル)、5オキシプロピレン単位(5OP)を含むポリプロピレングリコールのペンタエリスリチルエーテル(CTFA名:PPG-5ペンタエリスリチルエーテル)、およびそれらの混合物、特にVevy社によってLanolideという名称で販売されている混合物PEG-5ペンタエリスリチルエーテル、PPG-5ペンタエリスリチルエーテルおよびダイズ油(その混合物中、構成物は、重量比46/46/8、すなわちPEG-5ペンタエリスリチルエーテル46%、PPG-5ペンタエリスリチルエーテル46%およびダイズ油8%となる)から選択されるポリオールエーテル,
ポリマーもしくは非ポリマーシリコーン化合物、
ポリマーもしくは非ポリマーフルオロ化合物、
ビニルポリマー、特に、
・オレフィンホモポリマーおよびコポリマー、
・水素化ジエンホモポリマーおよびコポリマー、
・C8〜C30アルキル基を好ましくは含むアルキル(メト)アクリレートの直鎖状もしくは分枝状のホモポリマーまたはコポリマーオリゴマー,
・C8〜C30アルキル基を含むビニルエステルのホモポリマーおよびコポリマーオリゴマー、
・ビニルピロリドン/エイコセンコポリマー(INCI名VP/エイコセンコポリマー)、例えば、ISP社によってGanex V220F(登録商標)という商品名で販売されている製品、
・C8〜C30アルキル基を含むビニルエーテルのホモポリマーおよびコポリマーオリゴマー、
1個または複数のC2〜C100ジオール、好ましくはC2〜C50ジオール間のポリエーテル化から生じる脂溶性ポリエーテル、
エステル、
および/またはそれらの混合物から選択される。
【0366】
ペースト状化合物は、好ましくはポリマー、特に炭化水素ベースのポリマーである。
【0367】
脂溶性ポリエーテルのうち、より好ましくはコポリマーにおけるエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド対アルキレンオキシドの重量比が5/95から70/30となるように、C6〜C30長鎖アルキレンオキシドを有するエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドのコポリマーが、特に好ましい。このファミリーにおいて、特に、長鎖アルキレンオキシドが平均分子量1000から10000を有するブロック状に配列されるようなコポリマー、例えば、Akzo Nobelによって Elfacos ST9という商品名で販売されているドデカンジオール(22mol)およびポリエチレングリコール(45OE)のエーテルなどのポリオキシエチレン/ポリドデシルグリコールブロックコポリマーを挙げることができる。
【0368】
エステルのうち、以下が、特に好ましい。
グリセロールのヒドロキシル基のいくつかが、ステアリン酸、カプリン酸、ステアリン酸およびイソステアリン酸、ならびに12-ヒドロキシステアリン酸などの脂肪酸の混合物と反応している、グリセロールオリゴマーのエステル、特に、ジグリセロールエステル、詳細には、アジピン酸およびグリセロールの縮合物、特にSasol社によってSoftisan 649という商品名で販売されている製品、
AlzoによってWaxenol 801という商品名で販売されているプロピオン酸アラキジル、
フィトステロールエステル、
脂肪酸トリグリセリドおよびそれらの誘導体、
ペンタエリスリトールエステル、
直線状または分枝状のC4〜C50ジカルボン酸またはポリカルボン酸およびC2〜C50ジオールまたはポリオールとの重縮合から生じる非架橋ポリエステル、
脂肪族ヒドロキシカルボン酸エステルの脂肪族カルボン酸とのエステル化から生じるエステルの脂肪族エステル。好ましくは、脂肪族カルボン酸は、4から30個、好ましくは8から30個の炭素原子を有する。これは、好ましくはヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘキシルデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、イソステアリン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、イソアラキジン酸、オクチルドデカン酸、ヘンエイコサン酸およびドコサン酸、ならびにそれらの混合物から選択される。脂肪族カルボン酸は、好ましくは分枝状である。脂肪族ヒドロキシカルボン酸エステルは、有利には2から40個の炭素原子、好ましくは10から34個の炭素原子、さらに良好には12から28個の炭素原子、1から20個のヒドロキシル基、好ましくは1から10個のヒドロキシル基、さらに良好には1から6個のヒドロキシル基を含むヒドロキシル化された脂肪族カルボン酸に由来する。脂肪族ヒドロキシカルボン酸エステルは
a)飽和の直鎖モノヒドロキシル化脂肪族モノカルボン酸の部分エステルまたは完全エステル;
b)不飽和のモノヒドロキシル化脂肪族モノカルボン酸の部分エステルまたは完全エステル;
c)飽和のモノヒドロキシル化脂肪族ポリカルボン酸の部分エステルまたは完全エステル;
d)飽和のポリヒドロキシル化脂肪族ポリカルボン酸の部分エステルまたは完全エステル;
e)モノヒドロキシル化もしくはポリヒドロキシル化脂肪族モノカルボン酸またはポリカルボン酸と反応しているC2〜C16脂肪族ポリオールの部分エステルまたは完全エステル、
およびそれらの混合物;
適切な場合、遊離アルコールまたは酸官能基において酸もしくはアルコール基でエステル化されている、ジオールダイマーおよび2価酸ダイマーのエステル、特にダイマージリノール酸エステル(かかるエステルは、以下のINCI名を有するエステル:ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)(Plandool G)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステリル/ステアリル/ベヘニル)(Plandool HまたはPlandool S)、およびそれらの混合物から特に選択することができる);
水素化ロジン酸のジリノレイルダイマー(Nippon Fine ChemicalによるLusplan DD-DHRまたはDD-DHR)などの水素化ロジン酸エステル;
およびそれらの混合物から選択される。
【0369】
有利には、ペースト状化合物は、好ましくは、組成物の合計重量に対して0.1重量%から80重量%、さらに良好には0.5重量%から60重量%、さらに良好には1重量%から30重量%、さらに良好には1重量%から20重量%に相当する。
【0370】
ろう
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種のろうを含む。
【0371】
本発明と関連して考慮されるろうは、一般に、室温(25℃)で固体であり、固体/液体の可逆的な状態変化を伴い、融点30℃以上であり、200℃まで、特に120℃までであり得る、親油性化合物である。
【0372】
特に、本発明に適したろうは、融点が45℃以上、特に55℃以上とすることができる。
【0373】
本発明による組成物に用いることができるろうは、室温で固体であるろう、動物由来のろう、植物由来のろう、鉱物由来のろうまたは合成由来のろう、およびそれらの混合物から選択される。
【0374】
本発明における使用に適するろうの例示として、特に炭化水素ベースのろう、例えば蜜蝋、ラノリンろうおよび支那蝋、米ぬかろう、カルナウバろう、カンデリラろう、オーリキュリー(ouricury)ろう、アルファルファろう、ベリー(berry)ろう、シェラックろう、もくろうおよびはぜろう;モンタンろう、オレンジろうおよびレモンろう、微結晶ろう、パラフィンおよびオゾケライト;ポリエチレンろう、フィッシャー・トロプシュ合成によって得られたろう、およびろう状コポリマー、またそれらのエステルを挙げることができる。
【0375】
直線状または分枝状のC8〜C32脂肪鎖との動物油または植物油の接触水素化により得られるろうを挙げることもできる。この中でも、特にDesert Whale社によってIso-Jojoba-50(登録商標)という商品参照で製造されるまたは販売されているトランス異性化した部分水素化ホホバ油などの異性化したホホバ油、水素化ヒマワリ油、硬化ヒマシ油、水素化ヤシ油、水素化ラノリン油、およびHeterene社によってHest 2T-4S(登録商標)という名称で販売されているビス(1,1,1-トリメチロールプロパン)テトラステアレートを挙げることができる。
【0376】
シリコーンろう(C30〜45アルキルジメチコーン)およびフルオロろうを挙げることもできる。
【0377】
Sophim社によってPhytowax Ricin 16L64(登録商標)および22L73(登録商標)という名称で販売されているセチルアルコールでエステル化されたヒマシ油を水素化することによって得られたろうを用いることも可能である。かかるろうは、フランス特許出願公開第A-2 792 190号に記載されている。
【0378】
単独でまたは混合物としてC20〜C40アルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート(20から40個の炭素原子を含むアルキル基)をろうとして用いることが可能である。このようなろうは、Koster Keunen社によってKester Wax K 82 P(登録商標)、Hydroxypolyester K 82 P(登録商標)およびKester Wax K 80 P(登録商標)という名称で特に販売されている。
【0379】
本発明による組成物に用いることができるマイクロワックスとして、Micro Powders社によってMicroCare 350(登録商標)という名称で販売されている製品などのカルナウバマイクロワックス、Micro Powders社によってMicroEase 114S(登録商標)という名称で販売されている製品などの合成マイクロワックス、Micro Powders社によってMicroCare 300(登録商標)および310(登録商標)という名称で販売されているものなど、カルナウバろうおよびポリエチレンろうの混合物から形成されるマイクロワックス、Micro Powders社によってMicroCare 325(登録商標)という名称で販売されている製品などのカルナウバろうおよび合成ろうの混合物から形成されるマイクロワックス、Micro Powders社によってMicropoly 200(登録商標)、220(登録商標)、220L(登録商標)および250S(登録商標)という名称で販売されているものなどのポリエチレンマイクロワックス、およびMicro Powders社によってMicroslip 519(登録商標)および519 L(登録商標)という名称で販売されているものなどのポリテトラフルオロエチレンマイクロワックスを特に挙げることができる。
【0380】
本発明による組成物は、組成物の合計重量に対して0.1重量%から30重量%、詳細には0.5重量%から20重量%、より詳細には1重量%から15重量%のろう含量を含むことができる。
【0381】
追加の皮膜形成ポリマー
前述のコポリマーの他に、組成物は、皮膜形成ポリマーなどの追加のポリマーを含むことができる。
【0382】
本発明によると、「皮膜形成ポリマー」という用語は、それ自体でまたは補助的な皮膜形成剤の存在下で、支持体、特にケラチン質において連続的な沈着物を形成することのできるポリマーを意味する。
【0383】
本発明の組成物に用いることができる皮膜形成ポリマーのうち、ラジカルタイプまたは重縮合物タイプの合成ポリマー、天然由来のポリマー、およびそれらの混合物を挙げることができる。挙げることができる皮膜形成ポリマーは、特にアクリルポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ尿素およびセルロースベースのポリマー、例えばニトロセルロースが含まれる。
【0384】
ポリマーは、1種または複数の補助的な皮膜形成剤と合わせることができる。このような皮膜形成剤は、所望の機能を満たすことのできるような当業者に公知の任意の化合物から選択することができ、可塑剤およびコアレッサから特に選択することができる。
【0385】
親油性ゲル化剤
一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種のゲル化剤を含むことができる。本発明による組成物に用いることができるゲル化剤は、有機もしくは鉱物の、ポリマーまたは分子の親油性ゲル化剤であってもよい。
【0386】
挙げることができる鉱物親油性ゲル化剤には、C10〜C22塩化アンモニウムで改質されたヘクトライト、例えば、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリドで改質されたヘクトライト、例えば、Elementis社によってBentone 38V(登録商標)という名称で販売されている製品などの改良粘土が任意選択により含まれる。
【0387】
粒径1μm未満を有する疎水性表面処理ヒュームドシリカを任意選択により挙げることもできる。特に、シリカの表面に存在するシラノール基の数の減少をもたらす化学反応によって、シリカの表面を化学的に改質することが可能である。特に、シラノール基を疎水基で置換することが可能であり、次いで、疎水性シリカが得られる。疎水基は、
ヘキサメチルジシラザンの存在下でヒュームドシリカを処理することにより特に得られる、トリメチルシロキル基[このように処理されたシリカは、CTFA(第8版、2000年)によるシリル化シリカとして知られる。これらは、例えば、Degussa社によってAerosil R812(登録商標)という参照でおよびCabot社によってCab-O-Sil TS-530(登録商標)という参照で販売されている]、
ポリジメチルシロキサンまたはジメチルジクロロシランの存在下でヒュームドシリカを処理することにより特に得られる、ジメチルシリルオキシル基またはポリジメチルシロキサン基[このように処理されたシリカは、CTFA(第8版、2000年)によるシリカジメチルシリレートとして知られる。これらは、例えば、Degussa社によってAerosil R972(登録商標)およびAerosil R974(登録商標)という参照で、およびCabot社によりCab-O-Sil TS-610(登録商標)およびCab-O-Sil TS-720(登録商標)という参照で販売されている]
であってもよい。
【0388】
本発明による組成物に用いることができる親油性ゲル化剤のうち、パルミチン酸デキストリンなどのデキストリンの脂肪酸エステル、特にChiba Flour社によってRheopearl TL(登録商標)またはRheopearl KL(登録商標)という名称で販売されているものを挙げることもできる。
【0389】
US-A-5 874 069、US-A-5 919 441、US-A-6 051 216およびUS-A-5 981 680の文献中に記載されているものなどのポリオルガノシロキサンタイプのシリコーンポリアミドを用いることも可能である。
【0390】
これらのシリコーンポリマーは、以下の2つのファミリーに属し得る。すなわち、
水素相互作用を確立することのできる少なくとも2個の基を含むポリオルガノシロキサン(これら2個の基は、ポリマー鎖に位置する)および/または
水素相互作用を確立することのできる少なくとも2個の基を含むポリオルガノシロキサン(これら2個の基は、グラフトまたは分枝上に位置する)である。
【0391】
充填剤:
本発明による組成物は、少なくとも1種の充填剤を含むことができる。
【0392】
本発明の目的では、「充填剤」という用語は、組成物の脂肪物質すべての融点までであり得る温度であっても不溶性の形態であり、組成物の媒質中で分散される、任意の形態の固体粒子を意味する。
【0393】
一般に、本発明に従って用いられる充填剤は、無色または白色、すなわち、無色素性であり、すなわち、充填剤は、これらの使用によりこのような結果を本質的にもたらし得る場合でも、本発明による組成物に特定の色または陰影を与えるために用いられない。これらの充填剤は、組成物のレオロジーまたはテクスチャーを改変するために特に役立つ。
【0394】
この点において、充填剤は、真珠層、例えば、カーボンブラック、D&C型顔料、およびコチニールカルミンベースのレーキまたはバリウム、ストロンチウム、カルシウムもしくはアルミニウムベースのレーキなどの有機色素性材料、ならびに例えば、二酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウム、また酸化鉄(黒色、黄色または赤色)、酸化クロム、マンガンバイオレット、群青、水酸化クロムおよびフェリックブルーなどの無機色素性材料と異なり、それら自体、これらを取り込む組成物に陰影および着色を与えるために用いられる。
【0395】
本発明の目的では、かかる化合物は、充填剤の定義によって包含されず、したがって、有機または無機であってもよい無色素性充填剤を包含する。
【0396】
本発明による組成物に用いられる無色素性充填剤は、層状の形態、粒状の形態または球状の形態、繊維タイプ、またはこれらの定義された形態間の任意の中間物であってもよい。
【0397】
粒子のサイズ、すなわち、これらの粒径分析は、本発明による組成物中の充填剤の良好な分散を確実にするために選択される。粒子の粒径分析は、5μmから10nm、詳細には10μmから10nmの範囲内で分布し得る。
【0398】
本発明による充填剤は、表面コーティング、特にシリコーン、アミノ酸、フルオロ誘導体または組成物中の充填剤の分散および相溶性を促進する任意の他の物質での表面処理をしていてもよく、またはしていなくてもよい。
【0399】
鉱物充填剤
本発明の目的では、「鉱物」および「無機」という用語は、同義的に用いることができる。
【0400】
本発明による組成物に用いることができる無色素性鉱物充填剤のうち、タルク、雲母、シリカ、World Minerals Europe社によってPerlite P1430、Perlite P2550またはPerlite P204という商品名で特に市販されているパーライト、カオリン、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、中空シリカミクロスフェア(MaprecosによるSilica Beads(登録商標))、およびガラスまたはセラミックマイクロカプセル、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。
【0401】
一実施形態によれば、本発明による化粧用組成物は、カオリン、タルク、シリカ、パーライトおよび粘土、ならびにこれらの混合物を含む群から選択される少なくとも1種の無色素性鉱物充填剤を含む。
【0402】
有機充填剤
挙げることができる有機充填剤のうち、ポリアミド粉末(AtochemによるOrgasol(登録商標)Nylon(登録商標))、ポリ-β-アラニン粉末およびポリエチレン粉末、ラウロイルリシン、デンプン、テトラフルオロエチレンポリマー粉末(Teflon(登録商標))、例えば、Expancel(登録商標)(Nobel Industrie)などのポリ塩化ビニリデン/アクリロニトリルのものまたはアクリル酸コポリマー(Polytrap(Dow Corning)など)のものなどの中空ポリマーミクロスフェア、アクリレートコポリマー、PMMA、12-ヒドロキシステアリン酸オリゴマーステアレートおよびシリコーン樹脂ミクロビーズ(例えば、ToshibaによるTospearls(登録商標))、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、および8個から22個の炭素原子、好ましくは12個から18個の炭素原子を含む有機カルボン酸に由来する金属石けん、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛またはミリスチン酸マグネシウム、およびそれらの混合物である。
【0403】
本発明の目的では、有機充填剤は顔料と異なる。
【0404】
これらはまた、コポリマーを含む粒子であってもよく、前記コポリマーは、トリメチロールヘキシルラクトンを含む。具体的には、これらは、ヘキサメチレンジイソシアネート/トリメチロールヘキシルラクトンコポリマーであってもよい。かかる粒子は、例えば、Toshiki社によるPlastic Powder D-400(登録商標)またはPlastic Powder D-800(登録商標)という名称で特に市販されている。
【0405】
一実施形態によれば、本発明の組成物は、タルク、シリカ、デンプン、粘土、カオリンおよびパーライト、ならびにこれらの混合物から選択される少なくとも1種の充填剤を含む。
【0406】
1種または複数の分散剤は、必要な場合、分散した充填剤または粒子を凝集またはフロキュレーションから保護するために用いることができる。これらは、固体充填剤もしくは粒子または粒子のコロイド状分散の形態に関係なく加えることができる。
【0407】
分散剤の濃度は、(フロキュレーションなしの)固体粒子の満足できる分散を得るように選択される。
【0408】
この分散剤は、分散される粒子の表面に対して強力な親和性を有する1つまたは複数の官能基を有する界面活性剤、オリゴマー、ポリマーまたはそれらのいくつかの混合物であってもよい。具体的には、ポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)エステルは、Avecia社によってSolsperse 21 000(登録商標)という名称で販売されている製品などの分子量約750g/molを有するポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)ステアレート、Henkel社によってDehymuls PGPH(登録商標)という参照で販売されているジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-2(CTFA名)(またはポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)ジグリセリル)、あるいはUniqema社によってArlacel P100の参照で販売されている製品などのポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)などのグリセロールまたはジグリセロールなどのポリオールを有するポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)のエステル、およびそれらの混合物が用いられる。
【0409】
本発明の組成物に用いることができる他の分散剤として、例えば、Avecia社によって販売されているSolsperse 17 000(登録商標)などの重縮合された脂肪酸の第四級アンモニウム誘導体およびDow Corning社によってDC2-5185およびDC2-5225 Cという参照で販売されているものなどのポリジメチルシロキサン/オキシプロピレンの混合物を挙げることができる。
【0410】
追加の一般的な化粧成分
本発明による組成物は、任意の一般的な化粧成分を含むこともでき、これらは、皮膜形成ポリマー、酸化防止剤、香料、保存剤、中和剤、界面活性剤、日焼け止め、ビタミン、保湿剤、セルフタンニング化合物、抗シワ活性剤、皮膚軟化剤、親水性もしくは親油性活性剤、フリーラジカルスカベンジャー、脱臭剤、金属イオン封鎖剤、皮膜形成剤および半結晶性のポリマー、およびそれらの混合物から特に選択することができる。
【0411】
言うまでもなく、当業者は、本発明による組成物の有利な特性が、想定される添加により望ましくない影響を受けないまたは実質的に受けないように、注意して任意選択の追加成分および/またはその量を選択するであろう。
【0412】
本発明による組成物は、化粧用組成物のための任意の一般に許容される形態とすることができる。したがって、これらは、懸濁液または分散液の形態、特にベシクルによる水中油型の形態;任意選択により増粘した、さらにはゲル状の有機もしくは油性溶液;水中油型、油中水型または複数の乳剤;ゲル剤またはムース;油性のまたは乳化したゲル剤;ベシクルの分散液、特に脂質ベシクル;2相もしくは多相のローション剤;スプレー剤;ローション剤、クリーム剤、ポマード、軟質のペースト、軟膏剤、固体のまたは特にスティックとしてもしくは皿の中に流し込んだまたはその中で成形した固形物、または圧縮された固形物の形態であってもよい。
【0413】
当業者は、適切な生薬の形態、また当業者の一般的な知識に基づいて、第1に、用いる構成物の性質、特に支持体におけるこれらの溶解性、第2に、組成物の意図される使用を考慮し、それを調製する方法を選択することができる。
【0414】
好ましくは、本発明による組成物は、組成物の合計重量に対して水3重量%未満、さらに良好には1重量%未満を含む。さらにより好ましくは、組成物は、完全に無水である。「無水」という用語は、水が好ましくは組成物に意図的に添加されないが、組成物に用いられる様々な化合物中において微量で存在し得ることを特に意味している。
【0415】
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、口紅である。
【0416】
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、25℃で液体形態であり、リップグロスなどである。
【0417】
他の実施形態によれば、組成物は、25℃で固体の形態である。好ましくは、本実施形態によれば、組成物は、好ましくは、ろうから選択される、少なくとも1種の固形脂肪物質を含む。口紅の場合では、例えば1本の口紅または皿の中に流し込んだ口紅であってもよい。
【0418】
「固体」という用語は、以下のプロトコールに従って測定された硬度が、20℃の温度および大気圧(760mmHg)で30Nm-1以上である組成物を意味する。
【0419】
硬度を測定するためのプロトコール
組成物の硬度は、以下のプロトコールに従って測定される。
【0420】
口紅のスティックを、硬度を測定する24時間前に20℃で貯蔵する。
【0421】
硬度は、直径250μmの硬質タングステンワイヤで、速度100mm/分でスティックに対してワイヤを移動させることにより、好ましくは円柱である生成物のワンドを横方向に切断するものである「チーズワイヤ(cheese wire)」法によって20℃で測定することができる。
【0422】
Nm-1で表される、本発明の組成物のサンプルの硬度を、Indelco-Chatillon社によるDFGHS2引張試験機を用いて測定する。
【0423】
測定を、3回繰り返し、次いで平均する。3つの値の平均値を、Yがグラムとして示されることに留意し、上記引張試験機を用いて読み取る。この平均値を、ニュートンに変換し、ワイヤが通過する最も長い距離を表すLで除する。円柱状のワンドの場合では、Lは、直径(メートルで)に等しい。
【0424】
硬度を、以下の式によってNm-1に変換する。
(Y×10-3×9.8)/L
【0425】
異なる温度における測定の場合、スティックは、測定前にこの新しい温度で24時間貯蔵される。
【0426】
本発明による組成物は、皮膚、まつげ、眉毛、爪または唇などのケラチン質をケアまたはメーキャップするために、より詳細には、唇、まつげおよび/または顔をメーキャップするために用いることができる。
【0427】
したがって、これらは、身体もしくは顔の皮膚、唇、まつげ、眉毛または爪のためのケアおよび/またはメーキャップ製品;日焼け止め、またはセルフタンニング製品の形態とすることができ;これらは、有利には、メーキャップ組成物、特にマスカラ、アイライナー、口紅、リップグロス、フェイスパウダー、アイシャドー、ファンデーション、マニキュア液(nail varnish)またはネイルケア製品の形態とすることができる。
【0428】
本発明の対象はまた、前もって定義された化粧用組成物のケラチン質への適用を含む、前記ケラチン質、特に、身体もしくは顔の皮膚、唇、爪、および/またはまつげを処置するための化粧方法である。
【0429】
本発明による本方法によって、特に、本発明による組成物、特に口紅、リップグロス、ネイルケア製品またはマニキュア液を適用することにより、前記ケラチン質、詳細には唇および/または爪をケアまたはメーキャップすることが可能になる。
【0430】
本発明を、以下の調製例においてより詳細に例示する。
【0431】
(実施例)
(実施例1〜4)
液状口紅
以下の液状口紅組成物を調製した。
【0432】
【表3】
【0433】
調製プロトコール
第1段階では、顔料を、三本ロール練り機において油相の一部を粉砕する。
【0434】
次いで、脂溶性成分の残りを、Rayneriブレンダーを用いて撹拌しながら(組成物中に存在する固体脂肪物質(ペーストまたはろう)の融点を超える)約50℃の温度で共に混合する。
【0435】
次いで、粉砕した材料を混合物に加え、撹拌して十分にホモジナイズする。次いで、液体を室温まで放冷し、アプリケーターを有する加熱バッグ中で調整する。
【0436】
本発明による組成物1から4について、唇に適用後、組成物1および2では非粘着性沈着物を形成し、組成物3および4では低粘着性の沈着物を形成し、組成物1から4のそれぞれについて、沈着物は、適用直後および適用の1時間後に非常に光沢がある。
【0437】
(実施例5〜8)
液状口紅
以下の液状口紅組成物を調製した。
【0438】
【表4】
【0439】
調製プロトコール
第1段階では、顔料を、三本ロール練り機において油相の一部を粉砕する。
【0440】
次いで、脂溶性成分の残りを、Rayneriブレンダーを用いて撹拌しながら(組成物中に存在する固体脂肪物質(ペーストまたはろう)の融点を超える)約50℃の温度で共に混合する。
【0441】
次いで、粉砕した材料を混合物に加え、撹拌して十分にホモジナイズする。次いで、液体を室温まで放冷し、アプリケーターを有する加熱バッグ中で調整する。
【0442】
唇に適用後、本発明による組成物5および6は、非粘着性沈着物を形成し、組成物7および8は、低粘着性の沈着物を形成し、組成物5から8のそれぞれについて、沈着物は、適用直後および適用の1時間後に非常に光沢がある。
【0443】
(比較例9〜12)
液状口紅
以下の液状口紅組成物を調製した。
【0444】
【表5】
【0445】
調製プロトコール
第1段階では、顔料を、三本ロール練り機において油相の一部を粉砕する。
【0446】
次いで、脂溶性成分の残りを、Rayneriブレンダーを用いて撹拌しながら(組成物中に存在する固体脂肪物質(ペーストまたはろう)の融点を超える)約50℃の温度で共に混合する。
【0447】
次いで、粉砕した材料を混合物に加え、撹拌して十分にホモジナイズする。次いで、液体を室温まで放冷し、アプリケーターを有する加熱バッグ中で調整する。
【0448】
唇に適用後、本発明による比較組成物9から13は、適用直後および適用の1時間後に光沢があるが粘着性の沈着物、さらには非常に粘着性の沈着物を形成する。
【0449】
実施例1から12を、組成物1から12において同じ重量で化合物12を化合物9に置き換え、2-ヘキシルデカノール油(Jarcol I-16)を用いて、前もって調製した超分子化合物9で繰り返した。化合物12で得られた結果に類似の結果を、それぞれの実施例のための超分子化合物と組み合わせて配合したそれぞれの油について得た、すなわち、極性油で得られた組成物は、シリコーン油および無極性の炭化水素ベースの油を用いて得られた組成物と違って、非常に粘着性である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無極性の炭化水素ベースの油およびシリコーン油から選択される油、ならびに色素と組み合わされた、パートナー連結基と水素結合を確立することができる新規な化合物A(本特許出願の状況において超分子化合物と呼ぶ)を含む、ケラチン質とりわけ皮膚または唇を特にケアおよび/またはメーキャップするための化粧用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ケラチン質に対して適用された後に、沈着した皮膜の光沢性が所望される化粧用組成物は多く存在する。例えば、口紅またはマニキュア液を挙げることができる。このような結果を得るために、特許出願EP1097699に記載する通り、特定の出発材料、特にラノリンを、ポリブテンなどの「光沢のある」油、または炭素数の多い脂肪酸もしくは脂肪アルコールのエステル;あるいは代替としてある種の植物油;あるいは代替としてヒドロキシル化した脂肪族化合物の芳香族酸との部分または完全エステル化から得られるエステルと組み合わせることが可能である。
【0003】
しかし、OHまたはNH2官能基を含む油の変性によって得られた化合物と組み合わされたこれらの油は、粘着性の問題を生じることがある。この粘着性により、これらの製剤は、グラスおよびカップなどの支持体上に跡を残す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】EP1097699
【特許文献2】US5707612
【特許文献3】WO2007/068371
【特許文献4】WO2008/155059
【特許文献5】FR0853634
【特許文献6】EP-A-0955039
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Hoferら、European Coating Journal (2000年3月)26〜37頁
【非特許文献2】Folmerら、Adv. Mater.、12巻、874〜78頁(2000年)
【非特許文献3】C.M. Hansen、「The three dimensional solubility parameters」、J. Paint Technol.、39巻、105頁(1967年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、調合者は、その沈着物が光沢および不粘着性の(または、少なくとも低粘着性の)効果によって特徴付けられる組成物を得るための出発材料および/または系を捜し求めている。
【0007】
本発明の目的は、ケラチン質上にそのような均一な沈着物を得るための化粧用組成物を提案することであり、前記沈着物は、光沢と、不粘着性(または低粘着性)でありながらの長時間の光沢残存性(とりわけ、適用後1時間)と、とりわけ着け心地のよさとを併せ持つ。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明の1つの対象は、化粧品学的に許容される媒体中に、
(i)OHおよびNH2から選択される、少なくとも1個の求核反応性官能基を有する少なくとも1種の油と、
1個または複数のパートナー連結基と水素結合を確立することができる少なくとも1個の連結基であって、連結基の各対形成が少なくとも3個の水素結合を伴い、前記連結基が、油が有する反応性官能基と反応することができる少なくとも1個のイソシアネートまたはイミダゾール反応性官能基を有し、前記連結基が、式(I)または(II)の少なくとも1個の単位もまた含む、連結基:
【0009】
【化1】
【0010】
[式中、
R1およびR3は、同一でも、または異なっていてもよく、(i)直鎖状または分枝状のC1〜C32アルキル基、(ii)C4〜C16シクロアルキル基、および(iii)C4〜C16アリール基から選択される2価の炭素ベースの基(O、N、S、F、Si、およびPから選択される1個から8個のヘテロ原子を任意選択により含み;かつ/または、エステルもしくはアミド官能基で、またはC1〜C12アルキル基で任意選択により置換されている);またはこれらの基の混合物を表し、
R2は、水素原子、または直鎖状、分枝状、または環状の、飽和または不飽和の、任意選択により芳香族の、C1〜C32炭素ベースの、特に炭化水素ベースの基を表し、これは、O、N、S、F、Si、およびPから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含んでいてもよい]と
の間の反応によって得ることができる化合物A(本特許出願の状況において超分子化合物と呼ぶ)、
(ii)無極性の炭化水素ベースの油およびシリコーン油から選択される少なくとも1種の油、
(iii)少なくとも1つの色素、
を含む、ケラチン質(特に、皮膚または唇)をメーキャップおよび/またはケアするための化粧用組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
超分子化合物
本発明にしたがって官能基化された化合物A(超分子化合物としても知られている)は固体の形態であり、このため特に不粘着性の材料を形成することが可能となり、この不粘着性の材料はケラチン質に適用された後は指上に移ることはなく、これは特にUS5707612に記載されている通り、先行技術の官能基化された化合物の場合にはなく、先行技術の化合物は程度の差はあれ粘性の液体の形態であり、ケラチン質に適用された後、指上に移る粘着性の材料を形成する。
【0012】
さらに、ウレイドピリミドン基による、4個の水素結合による架橋は、この架橋の強度を増大し、したがって所望の化粧効果の残存性、最も詳しくは沈着の残存性または光沢の残存性を改善することができる。
【0013】
さらに、本発明による化合物、または官能基化された油は、通常の化粧用媒体、特に通常の化粧用油性媒体中に移すのが容易である。
【0014】
これらは、有利には、通常化粧用組成物中に存在する油と相容性であり、顔料または充填剤を分散する良好な性質も有する。
【0015】
これらは、化粧用の油性または溶媒の媒体、特に油、脂肪アルコール、および/または脂肪エステル中に移すのが容易であり、そのため化粧分野、特に口紅におけるその使用を促進する。これらは、酢酸ブチルもしくは酢酸エチルなどの短鎖エステルであっても、または脂肪エステル、および脂肪アルコールであっても、植物油、アルカン、エステルなどの様々な化粧用油性媒体、最も詳しくは、イソドデカン、パールリーム(parleam)、イソノニル、イソノナノエート、オクチルドデカノール、および/またはC12〜C15アルキルベンゾエートを含む媒体において、許容される可溶性を示す。
【0016】
本発明による化粧用組成物は、良好な適用および良好なカバー力、支持体(爪、まつげ、皮膚、または唇に対するものであっても)に対する良好な粘着作用、皮膜の十分な柔軟性および強度、ならびに優れた光沢の持続性をさらに示す。快適性および滑らかさもまた非常に満足のいくものである。
【0017】
一般に、本特許出願の状況において、化合物Aを、便宜上、およびより明確にするために、好ましいわけではないが「超分子化合物」と呼ぶことができる。
【0018】
本発明による組成物の化合物A(または超分子化合物)は、
OHおよびNH2から選択される、少なくとも1個の求核反応性官能基を有する少なくとも1種の油と、
1個または複数のパートナー連結基と水素結合を確立することができる少なくとも1個の連結基であって、連結基の各対形成が少なくとも3個の水素結合を伴い、前記連結基が、油が有する反応性官能基と反応することができる少なくとも1個のイソシアネートまたはイミダゾール反応性官能基を有し、前記連結基が、式(I)または(II)の少なくとも1個の単位もまた含む連結基:
【0019】
【化2】
【0020】
[式中、
R1およびR3は、同一でも、または異なっていてもよく、(i)直鎖状または分枝状のC1〜C32アルキル基、(ii)C4〜C16シクロアルキル基、および(iii)C4〜C16アリール基から選択される2価の炭素ベースの基(O、N、S、F、Si、およびPから選択される1個から8個のヘテロ原子を任意選択により含み、かつ/またはエステルもしくはアミド官能基で、またはC1〜C12アルキル基で任意選択により置換されている)、またはこれらの基の混合物を表し、
R2は、水素原子、または直鎖状、分枝状、または環状の、飽和または不飽和の、任意選択により芳香族の、C1〜C32炭素ベースの、特に炭化水素ベースの基を表し、これはO、N、S、F、Si、およびPから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含んでいてもよい]
との間の反応によって得ることができる。
【0021】
結論として、本発明による組成物の超分子化合物は、したがって、油から生じる少なくとも1つの部分(HB)と、連結基から生じる少なくとも1つの部分(G)とを含み、前記部分(G)は、式(I)または(II)の少なくとも1つの単位を含む。
【0022】
とりわけ、前記(HB)および(G)部分は共有結合によって接続されており、油が有するOHおよび/またはNH2反応性官能基と、連結基が有するイソシアネート反応性官能基との間の反応の間に、あるいは代替として油が有するNH2反応性官能基と連結基が有するイソシアネートまたはイミダゾール官能基との間に形成される共有結合によって特に接続されていてよい。
【0023】
本発明による化合物の優先的な生成は、したがって、特に以下の種の間の化学反応によって図式的に表すことができる:
(HB)-(OH)m(NH2)n+(G)-(NCO)p、または
(HB)-(OH)m(NH2)n+(G)-(イミダゾール)p
m、n、およびpはゼロではない整数である。
【0024】
好ましくは(HB)-(OH)m(NH2)nとして図式的に表すことができる、本発明による化合物を調製するのに用いることができる油は、脂肪物質または脂肪物質の混合物であり、25℃で結晶ではなく、室温および大気圧(25℃、1atm)で液体であり、好ましくは無極性であり、または好ましくは水不溶性でもある。
【0025】
好ましくは、本発明による超分子化合物を調製するのに用いることができる油は、非ポリマー性である。
【0026】
「液体」の語は、化合物の粘度が、Brookfield DV-IまたはBrookfield Cap 1000+レオメータで測定して、110℃、1atmで2500センチポアズ以下であることを意味し、粘度測定に適する機械は当業者によって選択される。
【0027】
「無極性」の語は、そのHLB値(親水性/親油性バランス)が低く、特に8以下であり、好ましくは4以下であり、さらに良好には2以下である化合物を意味し、優先的に、HLB値は、吸湿性ではなく、またはあまりにも吸湿性すぎない超分子材料を得るのを可能にするように十分低くなければならない。
【0028】
「不溶性」の語は、25℃および1atmで水に溶解することができる油分画が5重量%未満であり(すなわち、水100ml中に油5g)、好ましくは3%未満であることを意味する。
【0029】
「脂肪物質」の語は、特に、しかし排他的ではなく、少なくとも6個の炭素原子を含み、酸、ヒドロキシルもしくは多価アルコール、アミン、アミド、リン酸、ホスフェート、エステル、エーテル、尿素、カーバメート、チオール、チオエーテル、またはチオエステル基などの極性基を場合によって含み、この鎖は最高100個の炭素原子を場合によって含む、1つまたは複数の、飽和または不飽和の、直鎖状、環状、または分枝状のアルキル鎖を含む炭化水素ベースの化合物を意味する。
【0030】
好ましくは、本発明による化合物を調製するのに用いることができる油は光沢のある油、すなわち、屈折率が25℃で1.46以上、とりわけ1.46と1.55との間である油である(屈折率は、25℃でナトリウムD線に対して規定される)。
【0031】
本発明による化合物を調製するのに用いることができる油が不揮発性油であるのが好ましい。「不揮発性油」の語は、室温および大気圧で少なくとも数時間ケラチン質上に残存することができ、特に10-3mmHg(0.13Pa)未満の蒸気圧を有する油を意味する。
【0032】
油が150g/molから6000g/molの間の、特に170g/molから4000g/molの間の、またはさらに180g/molから2000g/molの間の、より優先的には200g/molから1500g/molの間の、さらに良好には220g/molから800g/molの間のモル質量(Mw)を有するのが好ましい。
【0033】
本発明の状況において用いることができる油は、連結基上に有される反応性官能基と反応することができる少なくとも1個の反応性官能基を有し、特に、連結基が有するイソシアネート基またはイミダゾール基と化学反応することができ、好ましくはこの官能基はOHまたはNH2官能基である。油が、OH官能基のみ、とりわけ1個から3個のOH官能基、好ましくは一級または二級のOH官能基、さらに良好には一級官能基のみを含んでいるのが好ましい。
【0034】
本発明による油は、好ましくは炭素ベース、特に炭化水素ベースの油であり、油は、連結基と反応することができる反応性官能基の他に、酸素原子、窒素原子、イオウ原子、および/またはリン原子を含むことができる。油は、化粧品学的に許容される油から大いに優先的に選択される。
【0035】
本発明の状況において用いることができる油は、(i)6個から50個の炭素原子を含み、1つまたは複数のOHを含み、任意選択により1個または複数のNH2を含む、飽和または不飽和の、直鎖状、分枝状、または環状の脂肪アルコールから選択することができる。
【0036】
とりわけ、
飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のC6〜C50、特にC6〜C32、とりわけC8〜C28モノアルコール、特に、イソステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、イソパルミトイルアルコール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-オクチルデカノール、2-オクチルドデカノール、2-オクチルテトラデカノール、2-デシルテトラデカノール、および2-ドデシルヘキサデカノール、特に、Jarchem Industries社によってJarcolの名称の下に販売されているアルコール、例えば、Jarcol I-12、Jarcol I-16、Jarcol I-20、およびJarcol I-24、
飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のC6〜C50、特にC6〜C40、とりわけC8〜C38ジオール、特に分枝状C32〜C36ジオール、とりわけ、Uniqemaからの市販製品Pripol 2033、
飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のC6〜C50、特にC6〜C32、とりわけC8〜C28トリオール、特にフィタントリオール(phytanetriol)、
(ii)少なくとも1個の遊離のOH基を有するエステルおよびエーテル、特に多価アルコールの部分エステルおよびエーテル、ならびにヒドロキシル化されているカルボン酸エステル、
を挙げることができる。
【0037】
「多価アルコール部分エステル」の語は、多価アルコールの、置換されている、または非置換のカルボン酸とのエステル交換反応によって調製されるエステルを意味し、反応は完全ではなく、すなわち多価アルコールの遊離OHすべてに対して行われるものではなく、その結果、エステルはしたがって少なくとも1個の遊離OHを依然として含んでいる。
【0038】
カルボン酸が一酸であるのが好ましい。カルボン酸、特にモノカルボン酸の混合物も用いることができる。
【0039】
「部分多価アルコールエーテル」の語は、多価アルコールの、多価アルコールとの、または少なくとも1つの他のモノヒドロキシル化またはポリヒドロキシル化されているアルコール、好ましくはモノアルコールとのエーテル化によって調製されるエーテルを意味し、エーテル化は完全ではなく、すなわち多価アルコールの遊離OHすべてに対して行われるものではなく、その結果、エーテルは、少なくとも1個の遊離OHを依然として含んでいる。
【0040】
「ヒドロキシル化されているカルボン酸エステル」の語は、少なくとも1個の遊離OH官能基を有するカルボン酸と、1つまたは複数の(モノもしくはポリ)アルコール、好ましくはモノアルコールとの間の反応によって調製される(モノおよびポリ)エステルを意味し、反応は、完全または部分的であってもよい(すべてまたはいくつかのアルコールの遊離OH上で行われる)。
【0041】
上記のエステルまたはエーテルを調製するのに用いることができる多価アルコールの中で、プロピレングリコール、グリセロール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ポリグリセロール、特に、ポリグリセロール-2、ポリグリセロール-3、およびポリグリセロール-10;エリスリトール、ジペンタエリスリトール、ペンタエリスリトール、ビス(トリメチロールプロパン)、フィタントリオール、ショ糖、グルコース、メチルグルコース、ソルビトール、フルクトース、キシロース、マンニトール、またはグルコサミン;ならびに、特に脂肪酸ダイマー、特に分枝状脂肪族および/または脂環式C32〜C38、特にC32ジオール、例えば、文献、Hoferら、European Coating Journal (2000年3月)26〜37頁において規定されているものから得られるダイマー;ならびにこれらの混合物を挙げることができる。
【0042】
上記のエステルまたはエーテルを調製するのに用いることができるモノアルコールの中で、直鎖状または分枝状の、好ましくは分枝状の、C3〜C50アルコール、特に2-エチルヘキサノール、オクタノール、およびイソステアリルアルコール、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。
【0043】
上記のエステルまたはエーテルを調製するのに用いることができるカルボン酸の中で、直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和の、6個から50個の炭素原子を含む一酸、および3個から12個の炭素原子を含む二酸を挙げることができ、その中でも、オクチルネオデカン酸(octylneodecanoic acid)、ヘキシルデカン酸、エチルヘキサン酸、イソステアリン酸、ノナン酸、イソノナン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、シュウ酸、アジピン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、カプリン酸、ヘキサン二酸、およびデカン酸、ならびにそれらの混合物を挙げることができる。
【0044】
上記のエステルまたはエーテルを調製するために用いることができるヒドロキシル化されているカルボン酸の中で、モノヒドロキシル化酸またはポリヒドロキシル化酸、好ましくは、例えば、4個から28個の炭素原子を含むモノヒドロキシル化酸、特に12-ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、リンゴ酸、乳酸、およびクエン酸、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。
【0045】
したがって、本発明において用いることができる油は、単独でまたは混合物として、
ペンタエリスリトール部分エステル、特にアジピン酸ペンタエリスリチル、カプリン酸ペンタエリスリチル、コハク酸ペンタエリスリチル、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル、トリイソノナン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸ペンタエリスリチル、2-(テトラデシル)-テトラデカン酸ペンタエリスリチル、(テトラエチル)ヘキサン酸ペンタエリスリチル、および(テトラオクチル)-ドデカン酸ペンタエリスリチル、
ジペンタエリスリトールジエステル、トリエステル、テトラエステル、またはペンタエステル、特にペンタイソノナン酸ジペンタエリスリチル、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、およびトリス(ポリヒドロキシステアリン酸)ジペンタエリスリチル、
トリメチロールプロパンモノエステルおよびジエステル、例えば、モノイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジイソステアリン酸トリメチロールプロパン、モノ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、およびビス(2-エチルヘキサン酸)トリメチロールプロパン、
ビス(トリメチロールプロパン)モノエステル、ジエステル、およびトリエステル、例えば、ジイソステアリン酸ビス(トリメチロールプロパン)、トリイソステアリン酸ビス(トリメチロールプロパン)、およびトリエチルヘキサン酸ビス(トリメチロールプロパン)、
グリセロールの、またはポリグリセロールの部分モノエステルまたはポリエステル、特に
ジイソステアリン酸グリセリル、およびジイソノナン酸グリセリル、
例えば、イソステアリン酸、2-エチルヘキサン酸、および/またはイソノナン酸との、ポリグリセロール-2モノエステル、ジエステル、およびトリエステル、特にイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ノナン酸ポリグリセリル-2、
例えば、イソステアリン酸、2-エチルヘキサン酸、および/またはイソノナン酸のいずれかとの、ポリグリセロール-3モノエステル、ジエステル、トリエステル、またはテトラエステル、特にイソステアリン酸ポリグリセリル-3、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-3、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル-3、ノナン酸ポリグリセリル-3、
ポリグリセリル-10部分エステル、とりわけノナイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ノナン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-10、
プロピレングリコールモノエステル、例えば、モノイソステアリン酸プロピレングリコール、ネオペンタン酸プロピレングリコール、またはモノオクタン酸プロピレングリコール、
ジオールダイマーモノエステル、例えば、イソステアリルダイマージリノレート、およびオクチルドデシルダイマージリノレート、
グリセロールエーテル、例えば、ポリグリセリル-2オレイルエーテル、ポリグリセリル-3セチルエーテル、ポリグリセリル-3デシルテトラデシルエーテル、およびポリグリセリル-2ステアリルエーテル、
ヒドロキシル化モノカルボン酸、ジカルボン酸、またはトリカルボン酸とモノアルコールとのエステル、とりわけ、
12-ヒドロキシステアリン酸のエステル、特にモノエステル;例えば、ヒドロキシステアリン酸オクチル、およびヒドロキシステアリン酸2-オクチルドデシル(1から10までの重合度を特に有し、少なくとも1個の残存のOHを有する、対応するオリゴマーのポリヒドロキシステアレートを挙げることができる、
乳酸エステル、特にC4〜40乳酸アルキル、例えば、乳酸2-エチルヘキシル、乳酸ジイソステアリル、乳酸イソステアリル、乳酸イソノニル、または乳酸2-オクチルドデシル、
リンゴ酸エステル、特に、C4〜40リンゴ酸アルキル、例えば、リンゴ酸ビス(2-エチルヘキシル)、リンゴ酸ジイソステアリル、またはリンゴ酸ビス(2-オクチルドデシル)、
クエン酸エステル、特にC4〜40クエン酸アルキル、例えば、クエン酸トリイソステアリル、クエン酸トリイソセチル、およびクエン酸トリイソアラキジル、
(iii)ヒドロキシル化されている天然油、変性天然油、および植物油、特に、
1個または複数のOHを有するトリグリセリルエステル、
水素化または非水素化ヒマシ油、およびヒマシ油のエステル交換反応によって特に得られるその誘導体、例えば、Vertellusによって販売されている製品であるPolycin M-365またはPolycin 2525、
変性エポキシ化油(変性は、ジオール、特にヒドロキシル化変性ダイズ油を得るためのエポキシ官能基の開環にある)、ヒドロキシル化ダイズ油(直接的なヒドロキシル化、または予めエポキシ化されている);特に、Bio-Based Technologies, LLCによって販売されている油Agrol 2.0、Agrol 3.0およびAgrol 7.0;Urethane Soy System社からの油Soyol R2-052;Dow Chemicalによって販売されているRenuva油;Cargillによって販売されている油BioH Polyol 210および500
から選択することができる。
【0046】
第1のとりわけ好ましい実施形態によると、本発明の状況における超分子化合物を調製するのに用いることができる油は、6個から50個の炭素原子を含み、1個または複数のOHを含み、任意選択により1個または複数のNH2を含む、直鎖状、分枝状、または環状の、飽和または不飽和の脂肪アルコール、例えば、
飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のC6〜C50、特にC6〜C32、とりわけC8〜C28モノアルコール、特に、イソステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、イソパルミトイルアルコール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-オクチルドデカノール、2-オクチルドデカノール、2-オクチルテトラデカノール、2-デシルテトラデカノール、および2-ドデシルヘキサデカノール、特に、Jarchem Industries社によってJarcolの名称の下に販売されているアルコール、例えば、Jarcol I-12、Jarcol I-16、Jarcol I-20、およびJarcol I-24、
飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のC6〜C50、特にC6〜C40、とりわけC8〜C38ジオール、特に分枝状C32〜C36ジオール、とりわけ、Uniqemaからの市販製品Pripol 2033、
飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のC6〜C50、特にC6〜C32、とりわけC8〜C28トリオール、特にフィタントリオール
から選択される。
【0047】
この第1の好ましい実施形態によると、本発明の状況における超分子化合物を調製するのに用いることができる油は、直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和のC6〜C50、特にC6〜C32、とりわけC8〜C28モノアルコール、特に、イソステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、イソパルミトイルアルコール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-オクチルデカノール、2-オクチルドデカノール、2-オクチルテトラデカノール、2-デシルテトラデカノール、および2-ドデシルヘキサデカノール、特に、Jarchem Industries社によってJarcolの名称の下に販売されているアルコール、例えば、Jarcol I-12、Jarcol I-16、Jarcol I-20、およびJarcol I-24から選択されるのが好ましい。
【0048】
第2のとりわけ好ましい実施形態によると、本発明の状況における超分子化合物を調製するのに用いることができる油は、ヒドロキシル化モノ-、ジ-、またはトリカルボン酸とモノアルコールとのエステル、とりわけ、
12-ヒドロキシステアリン酸のエステル、特にモノエステル、例えば、ヒドロキシステアリン酸オクチル、およびヒドロキシステアリン酸2-オクチルドデシル(1から10の重合度を特に有し、少なくとも1個の残存OHを含む、対応するオリゴマーのポリヒドロキシステアレートも挙げることができる)、
乳酸エステル、特に、C4〜40乳酸アルキル、例えば、乳酸2-エチルヘキシル、乳酸ジイソステアリル、乳酸イソステアリル、乳酸イソノニル、および乳酸2-オクチルドデシル、
リンゴ酸エステル、特に、C4〜40リンゴ酸アルキル、例えば、リンゴ酸2-ジエチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル、およびリンゴ酸2-ジオクチルドデシル、
クエン酸エステル、特に、C4〜40クエン酸アルキル、例えば、クエン酸トリイソステアリル、クエン酸トリイソセチル、およびクエン酸トリイソアラキジル
から選択される。
【0049】
この第2の好ましい実施形態によると、本発明の状況において用いることができる油は、ヒドロキシル化ジカルボン酸とモノアルコールとのエステル、とりわけ、リンゴ酸の、特に、C4〜40リンゴ酸アルキルのエステル、例えば、リンゴ酸2-ジエチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル、およびリンゴ酸2-ジオクチルドデシルから選択されるのが好ましい。
【0050】
とりわけ、光沢のある油を用いる場合、以下の光沢のある油(25℃での屈折率をカッコ内に示す):ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3(1.472)、フィタントリオール(1.467)、ヒマシ油(1.475)、2-オクチルドデカノール(1.46)、オレイルアルコール(1.461)、ヒドロキシステアリン酸オクチル(1.46)、イソステアリン酸ポリグリセリル-2(1.468)、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2(1.464)、リンゴ酸ジイソステアリル(1.462)、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール(1.45)、2-デシルテトラデカノール(1.457)、およびこれらの混合物を用いることができる。
【0051】
好ましくは、本発明で使用することができる油は、2-オクチルドデカノール、リンゴ酸ジイソステアリル、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-デシルテトラデカノール、水素化または非水素化ヒマシ油、およびこれらの誘導体、ヒドロキシル化変性ダイズ油、およびこれらの混合物から選択される。
【0052】
連結基
本発明による組成物の超分子化合物を形成するのに用いることができる連結基は、前記油と前記連結基との間に共有結合、特にウレタン型の共有結合を形成するように、油の反応基、特にOHおよび/またはNH2と反応することができる少なくとも1個の反応基(イミダゾールに対してはNH2のみ)、特にイソシアネートまたはイミダゾールを有する。
【0053】
本発明による組成物の超分子化合物を形成するのに用いることができる連結基が、少なくとも1個の反応基、特にイソシアネートを有するのが好ましい。
【0054】
前記連結基は、同一または異なる化学的性質の1つまたは複数のパートナー連結基とH結合を確立することができ、各連結基の対形成は、少なくとも3個のH(水素)結合、好ましくは少なくとも4個のH結合、優先的には4個のH結合を有する。
【0055】
本発明の目的で、「連結基」の語は、H結合のドナーまたはアクセプタであり、同一または異なるパートナー連結基と、少なくとも3個のH結合、好ましくは少なくとも4個のH結合、優先的には4個のH結合を確立することができる基を含む任意の官能基を意味する。
【0056】
本発明の目的で、「パートナー連結基」の語は、本発明によるポリマーと同じまたは別の1個または複数の連結基とH結合を確立することができる任意の連結基を意味する。連結基の化学的性質は同じでも、または異なっていてもよい。化学的性質が同じである場合、連結基は、連結基自体の間にH結合を確立することができ、したがって自己相補的連結基と呼ばれる。連結基が異なる場合、連結基はH相互作用に関して相補的であるように選択される。
【0057】
イソシアネート基を有する前記の連結基は、したがって、(G)(NCO)pと図示することができ、pはゼロではない整数であり、好ましくは1または2に等しい。
【0058】
連結基は、以下に規定する通りの、少なくとも1個の式(1)の1価の単位、および/または少なくとも1個の式(II)の2価の単位:
【0059】
【化3】
【0060】
[式中、
R1およびR3は、同一でも、または異なっていてもよく、O、N、S、F、SiおよびPから選択される1個から8個のヘテロ原子を任意選択により含み、かつ/あるいはエステルもしくはアミド官能基で、またはC1〜C12アルキル基で任意選択により置換されている、(i)直鎖状もしくは分枝状のC1〜C32アルキル基、(ii)C4〜C16シクロアルキル基、および(iii)C4〜C16アリール基、またはこれらの基の混合物から選択される2価の炭素ベースの基を表し、
R2は、水素原子、またはO、N、S、F、SiおよびPから選択される1個または複数のヘテロ原子を含むことができる、直鎖状、分枝状、もしくは環状の、飽和もしくは不飽和の、任意選択により芳香族の、C1〜C32の炭素ベースの、特に炭化水素ベースの(アルキル)基を表す]をさらに含む。
【0061】
連結基が、式(I)の1価の単位を少なくとも1個さらに含むのが好ましい。
【0062】
R1基は、特に、
直鎖または分枝状の、2価のC2〜C12アルキレン基、特に、1,2-エチレン、1,6-ヘキシレン、1,4-ブチレン、1,6-(2,4,4-トリメチルへキシレン)、1,4-(4-メチルペンチレン)、1,5-(5-メチルヘキシレン)、1,6-(6-メチルヘプチレン)、1,5-(2,2,5-トリメチルへキシレン)、または1,7-(3,7-ジメチルオクチレン)基、
2価のC4〜C12シクロアルキレンまたはアリーレン基、特に以下の基:-イソホロン-、トリレン、2-メチル-1,3-フェニレン、4-メチル-1,3-フェニレン、4,4'-メチレンビスシクロヘキシレン、4,4-ビスフェニレンメチレン、または
【0063】
【化4】
【0064】
の構造であってよい。
【0065】
「-イソホロン-」の語は、
【0066】
【化5】
【0067】
の構造を有する2価の基を意味し、優先的には、R1は-イソホロン-、-(CH2)6-、または4,4'-メチレンビスシクロヘキシレンを表す。
【0068】
R2基は、特にH、または
C1〜C32、とりわけC1〜C16、もしくはさらにC1〜C10アルキル基、
C4〜C12シクロアルキル基、
C4〜C12アリール基、
(C4〜C12)アリール(C1〜C18)アルキル基、
C1〜C4アルコキシ基、
アリールアルコキシ基、とりわけアリール(C1〜C4)アルコキシ基、
C4〜C12複素環、
またはアミノ、エステル、および/またはヒドロキシル官能基で任意選択により置換されていてよい、これらの基の組合せ
であってよい。
【0069】
好ましくは、R2は、H、CH3、エチル、C13H27、C7H15、フェニル、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、n-プロピル、または-CH(C2H5)(C4H9)を表す。
【0070】
好ましくは、R3は、2価の基、-R'3-O-C(O)-NH-R'4-を表し、式中、R'3およびR'4は、同一でも、または異なっていてもよく、直鎖状もしくは分枝状のC1〜C32アルキル基、C4〜C16シクロアルキル基、およびC4〜C16アリール基から選択される2価の炭素ベースの基、またはこれらの混合物を表す。
【0071】
とりわけ、R'3およびR'4は、メチレン、1,2-エチレン、1,6-へキシレン、1,4-ブチレン、1,6-(2,4,4-トリメチルへキシレン)、1,4-(4-メチルペンチレン)、1,5-(5-メチルへキシレン)、1,6-(6-メチルへプチレン)、1,5-(2,2,5-トリメチルへキシレン)、1,7-(3,7-ジメチルオクチレン)、4,4'-メチレンビスシクロヘキシレン、2-メチル-1,3-フェニレン、4-メチル-1,3-フェニレン、4,4'-ビスフェニレンメチレン、1,2-トリレン、1,4-トリレン、2,4-トリレン、2,6-トリレン、1,5-ナフチレン、テトラメチルキシリレン、イソホロンを表すことができる。
【0072】
最も詳しくは、R'3は、C1〜C4アルキレン、特に1,2-エチレンを表すことができる。
【0073】
好ましくは、R'4はイソホロンに由来する2価の基を表すことができる。
【0074】
最も詳しくは、R3は、構造式:
【0075】
【化6】
【0076】
を有することができる。
【0077】
とりわけ好ましい一様式において、式(I)において以下が適用され得る。
R1=-イソホロン-、R2=メチル(これは、式:
【0078】
【化7】
【0079】
の単位をもたらす)
R1=-(CH2)6-、R2=メチル(これは、式:
【0080】
【化8】
【0081】
の単位をもたらす)
R1=-(CH2)6-、R2=イソプロピル(これは、式:
【0082】
【化9】
【0083】
の単位をもたらす)
R1=4,4'-メチレンビスシクロヘキシレン、およびR2=メチル(これは、式:
【0084】
【化10】
【0085】
の単位をもたらす)
【0086】
とりわけ好ましい一様式において、式(II)において、R1は-イソホロン-基、R2=メチル、およびR3=-(CH2)2OCO-NH-イソホロン-を表すことができ、これは、式:
【0087】
【化11】
【0088】
の2価の単位をもたらす。
【0089】
イソシアネート官能基1個のみを有する連結基は、式:
【0090】
【化12】
【0091】
[式中、
R1およびR2は、上記で定義した通りであり、とりわけ、
R1は、-イソホロン-、-(CH2)6-、-CH2CH(CH3)-CH2-C(CH3)2-CH2-CH2、4,4'-メチレンビスシクロヘキシレン、もしくは2-メチル-1,3-フェニレンを表し、かつ/または
R2は、H、CH3、エチル、C13H27、C7H15、フェニル、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、n-プロピル、もしくは-CH(C2H5)(C4H9)を表す]を有することができる。
【0092】
好ましくは、連結基を以下の群:
【0093】
【化13】
【0094】
から選択することができる。
【0095】
イソシアネート官能基2個を有する連結基は式:
【0096】
【化14】
【0097】
[式中、
R1、R2およびR3は、上記で定義した通りであり、とりわけ、
R1は、-イソホロン-、-(CH2)2-、-(CH2)6-、-CH2CH(CH3)-CH2-C(CH3)2-CH2-CH2、4,4'-メチレンビスシクロヘキシレン、もしくは2-メチル-1,3-フェニレンを表し、かつ/または
R2は、H、CH3、エチル、C13H27、C7H15、フェニル、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、n-プロピル、もしくは-CH(C2H5)(C4H9)を表し、かつ/または
R3は、2価の基、-R'3-O-C(O)-NH-R'4-を表し、式中、R'3およびR'4は、同一でも、または異なっていてもよく、直鎖状または分枝状のC1〜C30アルキル基、C4〜C12シクロアルキル基、およびC4〜C12アリール基から選択される2価の炭素ベースの基を表し、またはこれらの混合物であり、特にR'3は、C1〜C4アルキレン、特に1,2-エチレンを表し、R'4は、イソホロンに由来する2価の基を表す]を有することができる。
【0098】
とりわけ最も好ましい連結基は式:
【0099】
【化15】
【0100】
を有するものである。
【0101】
イミダゾール基を有する連結基の中で、以下の化合物:
【0102】
【化16】
【0103】
を挙げることができる。
【0104】
本発明の特定の一実施形態によると、連結基は、連結基の、イソシアネートまたはイミダゾールでの官能基化によって油に結合していてよい。
【0105】
別の一実施形態によると、油を、ジイソシアネートで予め官能基化することによって逆反応を行うことが可能である。
【0106】
上記で言及した通り(第1の様式)、本発明による化合物は、したがって、油(HB)-(OH)m(NH2)nと、連結基(G)-(NCO)pまたは(G)-(イミダゾール)pとの間の化学反応の結果生じ得る。
【0107】
好ましくは、油は、ヒドロキシル官能基のみを含み、連結基は1個または2個のイソシアネート官能基を含み、これにより以下の反応:
(HB)-(OH)m+OCN-(G)-(NCO)→(HB)-OC(O)NH-(G)-NHC(O)-(HB)
(HB)-(OH)m+(G)-NCO→(HB)-OC(O)NH-(G)
がもたらされ、mは1以上の整数である。
【0108】
好ましくは、油の遊離OHのグラフト化度は、1%から100%の間、特に20%から99%の間、さらに良好には50%から95%の間であり、特に油が最初にOH官能基を1個のみ含んでいる場合、このグラフト化度が100%(すべての遊離OHが連結基で官能基化されている)であることが好ましい。
【0109】
本発明による超分子化合物は、油の遊離OH官能基と連結基が有するイソシアネート官能基との間に、ウレタン結合を形成するための、当業者が通常用いるプロセスによって調製することができる。例示により、一般的な調製プロセスは以下:
官能基化される油が、残留の水を含まないことを確実にし、
少なくとも1個の反応性官能基、特にOHを含む油を、60℃から140℃の間であってよい温度に加熱し、
反応性官能基、特にイソシアネートを有する連結基を加え、
任意選択により、混合物を、制御されている雰囲気下、約100〜130℃の温度で、1時間から24時間撹拌し、
ピークが完全に消失したとき反応を停止するように、イソシアネートに特徴的な吸収バンド(2500cm-1と2800cm-1との間)の消失を赤外線分光法によってモニタリングし、次いで最終生成物を室温まで冷却すること
である。
【0110】
反応は、溶媒、特にメチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、トルエン、または酢酸ブチルの存在下で行うことができ、反応は溶媒なしで行うこともでき、この場合、油が溶媒として働く。
【0111】
ウレタン結合を形成するために従来の触媒を加えることも可能である。挙げることができる一例にジブチルスズジラウレートがある。
【0112】
最後に、超分子化合物を、当業者の一般的知見にしたがって、洗浄し、乾燥し、またはさらに精製してもよい。
【0113】
第2の実施形態によると、反応は以下のステップを含むことができる。
(i)以下の反応スキームによる、油のジイソシアネートでの官能基化、
(HB)-OH(1当量)+NCO-X-NCO(1当量)→(HB)-OC(O)-NH-X-NCO
次いで
(iia)6-メチルイソシトシンとのいずれかの反応:
【0114】
【化17】
【0115】
または
(iib)5-ヒドロキシエチル-6-メチルイソシトシンとの反応:
【0116】
【化18】
【0117】
このような反応の説明は、Folmerら、Adv. Mater.、12巻、874〜78頁(2000年)に述べられている。
【0118】
本発明による組成物の超分子化合物は、以下の構造に特に対応していてよい:
構造:
【0119】
【化19】
【0120】
または構造:
【0121】
【化20】
【0122】
の、ウレイドピリミドン官能基化されたオクチルドデカノール、
構造:
【0123】
【化21】
【0124】
または構造:
【0125】
【化22】
【0126】
のウレイドピリミドン官能基化されたリンゴ酸ジイソステアリル、
構造:
【0127】
【化23】
【0128】
または構造:
【0129】
【化24】
【0130】
のウレイドピリミドン官能基化されたヒマシ油、
構造:
【0131】
【化25】
【0132】
または構造:
【0133】
【化26】
【0134】
のウレイドピリミドン官能基化された2-ヘキシルドデカノール、
構造:
【0135】
【化27】
【0136】
または構造:
【0137】
【化28】
【0138】
のウレイドピリミドン官能基化された2-デシルテトラデカノール。
【0139】
本発明による化合物を使用すると、本組成物をケラチン質に適用した後、特に水素結合によって、物理的に架橋された網目構造の形態の超分子ポリマーの形成をもたらすことができ、これは一般に皮膜の形態であり、非常に良好な機械的強度を有することが見出されている。
【0140】
本発明の目的で、「超分子ポリマー」の語は、本発明による非ポリマー性化合物の、少なくとも1つの他の同一の、または異なる本発明による非ポリマー性化合物との集合体から形成されるポリマー鎖または網目構造を意味し、各集合体は、同一または異なる対形成した連結基を少なくとも1対含んでいる。
【0141】
本発明の目的で、「対形成した連結基の対」の語は、その各々を本発明による同じ化合物が任意選択により有することができる2つの連結基を意味し、この2つの基は4個のH結合によって一緒に連結されている。
【0142】
このように、超分子ポリマーは、連結基のこれらの対の間のH結合によってもたらされる物理的架橋の点を有する。物理的架橋は、化学的架橋と同様の様式で化粧効果の維持および持続を確実にし、同時に可逆性、すなわち沈着物を完全に除去する可能性を可能にする。
【0143】
好ましくは、本発明による超分子化合物は、125℃で測定して、30mPa.sから6000mPa.sの間の、特に150mPa.sから4000mPa.sの間の、またはさらに500mPa.sから3500mPa.sの間の、さらに良好には750mPa.sから3000mPa.sの間の粘度を有する。
【0144】
本発明による超分子化合物の数平均分子量(Mn)は、好ましくは180から8000の間、好ましくは200から6000、またはさらに300から4000、さらに良好には400から3000、優先的には500から1500の間である。
【0145】
本発明による超分子化合物は、通常用いられる化粧用の油性媒体中に、特に植物油、C6〜C32アルカン、C8〜C32脂肪エステル、C2〜C7短鎖エステル、C8〜C32脂肪アルコール中に、より詳しくは、少なくともイソドデカン、パーリーム、イソノナノン酸イソノニル、オクチルドデカノール、C12〜C15安息香酸アルキル、酢酸ブチル、もしくは酢酸エチルを単独で、または混合物として含む媒体中可溶性であるのが有利である。
【0146】
「可溶性」の語は、化合物が、25℃で、少なくとも50重量%の割合で、イソドデカン、パーリーム、イソノナン酸イソノニル、オクチルドデカノール、C12〜C15安息香酸アルキル、酢酸ブチル、または酢酸エチルから選択される少なくとも1つの溶媒中に、澄明な溶液を形成することを意味する。
【0147】
本発明による超分子化合物は、化粧品学的に許容される媒体(すなわち、顔または身体の皮膚、まつげ、眉毛、唇、および爪などのケラチン質と適合性である媒体)をさらに含む化粧用組成物において有利に用いることができる。
【0148】
好ましくは、本発明による組成物は、組成物の合計重量に対して、5重量%から95重量%の間の、好ましくは10重量%から95重量%の間の、さらに良好に好ましくは20重量%から90重量%の間の超分子化合物の含量を有する。
【0149】
本発明による組成物において用いることができる超分子化合物の一例として、以下の化合物を挙げることができる。
【0150】
化合物1:ウレイドピリミドン官能基化したオクチルドデカノール
【0151】
【化29】
【0152】
ウレイドピリミドンジイソシアネート70gを、アルゴン下、メチルテトラヒドロフラン中に溶解する。ジクロロメタン100ml中オクチルドデカノール80.3gをアルゴン下で加え、その後ジブチルスズジラウレート(触媒)15マイクロリットルを加える。IR分光測定において、イソシアネートのピーク(2250〜2265cm-1)が消失するまで反応混合物を還流する。
【0153】
過剰なオクチルドデカノールを、メタノールで反応媒体を連続的に洗浄することによって除去し、その後3回抽出し、MgSO4上で乾燥させる。有機相を蒸発させた後、1H NMR(構造の一致)によって特徴付けられる、淡黄色粉末103gが得られる。
【0154】
この粉末を、例えば10重量%の濃度でイソドデカン中に移してもよく、この濃度は、特にイソドデカン中で最高60重量%であってよく、これにより、次いで、粘性であるが依然として扱うことのできる溶液がもたらされる。このように、ウレイドピリミドンで官能基化することによって油は液体から固体に変化し、この固体は30%を超える濃度でイソドデカン中に移すことができることが見出されている。
【0155】
イソドデカン中50重量%の化合物を含む溶液を適用すると、溶媒を蒸発して除いた後、光沢のある透明な皮膜が得られ、この皮膜は断片化によって良好な接着性を示し、低い摩擦抵抗を示す。
【0156】
化合物2:ウレイドピリミドンで官能基化したリンゴ酸ジイソステアリル
リンゴ酸ジイソステアリル15g(0.0234mol)を4時間、80℃の減圧下で乾燥させる。メチルテトラヒドロフラン60ml中に溶解したウレイドピリミドンジイソシアネート7.21g(0.0117mol)、およびジブチルスズジラウレート触媒12μlを加える。混合物を26時間、アルゴン下95℃で加熱する(IR分光法において、イソシアネートに特徴的なバンドの消失)。メチルテトラヒドロフラン20mlを反応混合物に加え、次いで得られた混合物をセライトを通してろ過する。溶媒を蒸発して除き、減圧下で乾燥させた後、淡黄色の固体が得られる。
【0157】
化合物3:ウレイドピリミドンで官能基化したヒマシ油
ヒマシ油15g(0.016mol)を4時間、80℃の減圧下で乾燥させる。ウレイドピリミドンジイソシアネート4.9g(0.008mol)のメチルテトラヒドロフラン60ml中溶液、およびジブチルスズジラウレート触媒12μlを加える。混合物を19時間、90℃で加熱する(IR分光法においてイソシアネートに特徴的なバンドの完全な消失)。反応の終わりに、溶媒を蒸発して除き、得られた生成物を一夜、35℃の減圧下で乾燥させる。
【0158】
淡黄色固体のゴムが得られる。
【0159】
化合物4:(実施例1に対する比較):イソホロンで官能基化したオクチルドデカノール
【0160】
【化30】
【0161】
オクチルドデカノール10gを2時間、80℃の減圧下で乾燥させ、次いでイソホロンジイソシアネート3.72gおよびジブチルスズジラウレート触媒25マイクロリットルを加える。混合物をアルゴン下、95℃で加熱する。イソシアネートの消失をIR分光法によってモニタリングする(12時間加熱後、2250cm-1から2265cm-1の間のバンドの消失)。
【0162】
凝集性物質を形成しない粘性の油が得られる。
【0163】
化合物5:(実施例2に対する比較):イソホロンで官能基化したリンゴ酸ジイソステアリル
リンゴ酸ジイソステアリル10g(0.0159mol)を3時間、80℃の減圧下で乾燥させる。イソホロンジイソシアネート1.77g(0.079mol)および触媒(ジブチルスズジラウレート)2.5μlをアルゴン下で加え、反応混合物を16時間、95℃で加熱する。反応の間に反応媒体の粘度が増大する。IR分光法においてイソシアネートに特徴的なピークが消失した後、反応を停止する。
【0164】
化合物6:(実施例3に対する比較):イソホロンで官能基化したヒマシ油
ヒマシ油15g(0.016mol)を6時間、80℃の減圧下で乾燥させる。イソホロンジイソシアネート1.78g(0.008mol)およびジブチルスズジラウレート触媒12μlを加え、混合物を16時間、90℃で加熱する。IR分光法においてイソシアネートに特徴的なピークが消失した後、反応を停止する。
【0165】
(例7)
例1から6において調製した化合物を、視覚的、および感触によって観察し、結果を以下の表に要約する。
【0166】
【表1】
【0167】
「脱湿しない皮膜」の語は、沈着および溶媒の蒸発の後、連続した、均一な「本当の(real)」皮膜が得られることを意味する。
【0168】
「脱湿する皮膜」の語は、沈着および溶媒の蒸発の後、不均一で、不連続な「穴のある」皮膜が得られることを意味する。
【0169】
これらの沈着物/皮膜に対して摩擦測定試験を行う。ニトリルエラストマー上に沈着させ、その後24時間25℃で乾燥させることによって、テトラヒドロフラン中40重量%の溶液から皮膜を形成する。
【0170】
試験は、CSEM摩擦計を用い直径6mmのボールを装着して行う。このボールに0.15Nの負荷を課し、皮膜(厚さ10μmから20μm)上に繰り返しこすり付ける。ディスクの回転速度を、1秒当たり1回転の頻度に対応する6.3cm/秒に設定する。試験は、摩耗が完了したときに終了するか、または1000回の圧力回転後に停止する。
【0171】
【表2】
【0172】
このように、官能基化後に屈折率の減少がないことが見出される。油は、官能基化された場合でも光沢の性質を維持する。また、ウレイドピリミドンでの官能基化により、比較の皮膜と異なり、多少粘着性であるが、指上に移らない皮膜がもたらされることも見出される。
【0173】
さらに、および主に、イソホロンで官能基化した油の場合(比較)、皮膜は脱湿し、均一な沈着物を形成しない。これとは対照的に、本発明による化合物で得られた皮膜は脱湿せず、均一であり、粘着性である。摩擦測定の結果は、本発明の化合物で得られる粘着特性を裏付けるものである。
【0174】
ウレイドピリミドンでの官能基化により、したがって、先行技術(イソホロン)の残存性よりも優れた沈着物の残存性を確実にすることができるのに十分粘着性である(ちなみに光沢がある)材料がもたらされる。
【0175】
要約すると、光沢は維持され、沈着物の粘着性は改善され、したがって残存性が改善される。
【0176】
化合物8:ウレイドピリミドンで官能基化したリンゴ酸ジイソステアリル
調製プロトコール
超分子油の調製:ウレイドピリミドンで官能基化したリンゴ酸ジイソステアリル
発熱を制御し、不活性の雰囲気下、リンゴ酸ジイソステアリル150gを1時間20分かけて50℃で、ジブチルスズジラウレート触媒の存在下、イソホレンジイソシアネート57.4gおよびメチルイソシトシン38.18gの溶液に加えた。添加後、50℃で55分間撹拌を続け、次いで炭酸プロピレン50mlを加えた。次いで、撹拌しながら、接触時間2時間で、反応媒体の温度を140℃に上げた。次いで、反応媒体の温度を70℃に下げ、エタノール30mlを加えることによって媒体を中和し、撹拌を1時間続けた。
【0177】
酢酸エチル780mlを加えた後、媒体をセライトを通してろ過した。酢酸エチルを蒸発して除いた後、シクロヘキサン400mlを反応媒体に加え、混合物を、NaClを飽和させたH2O/EtOH(2v/1v)混合液で2回洗浄した。次いで、有機相をイソドデカンで逆抽出して、固体含量50%の所望の分子に相当する粘性の溶液とした。調合の目的で、この乾燥抽出物を、媒体にイソデカンを加えることによって任意選択により修飾してもよい。
【0178】
化合物9:ウレイドピリミドンでの2-ヘキシルデカノール官能基化
【0179】
【化31】
【0180】
2-ヘキシルデカノール126.4gを2時間、60℃の減圧下で加熱して乾燥させる。2時間後、アルゴン下で油を20℃に冷まし、次いで、50℃でイソホロンジイソシアネート116gとDBTL触媒55mgとの混合物に5時間にわたって徐々に加える。添加の終わりに、反応混合物の温度を110℃にし、次いで、炭酸プロピレン90mlおよび6-メチルイソシトシン78.4gを加えると、均一な白色の懸濁液が生成する。110℃で2時間撹拌を続け、イソシアネートの消失を赤外線分光法によってモニタリングする。2250cm-1のピークの消失が観察される。同時に、イソシトシンから生じるアミンの消失を、アミンのアッセイによってモニタリングする。反応の終わりに、イソドデカン500gを100℃で加え、わずかに濁った淡黄色の溶液が得られる。エタノール300mlを加え、撹拌を2時間続ける。セライトを通してろ過した後、アルコールおよび炭酸プロピレンを除去するために、反応混合物を80℃でイソドデカンで逆抽出する。
【0181】
最後に、イソドデカン中に移された所望の生成物が固体含量50%で得られる。生成物をHPLCおよびGPC(構造の確認)によって特に特徴付ける。
【0182】
化合物10:ウレイドピリミドンで官能基化した2-ヘキシルデカノール
【0183】
【化32】
【0184】
2-ヘキシルデカノール173.1gを2時間、60℃の減圧下で加熱して乾燥させる。2時間後、油をアルゴン下で50℃に冷まし、次いで、50℃でイソホロンジイソシアネート158.7gとDBTL触媒77mgとの混合物に、5時間にわたって徐々に加える。添加の終わりに、反応混合物の温度を110℃にし、炭酸プロピレン150mlおよび5-ヒドロキシエチル-6-メチルイソシトシン60.3gを加えると、均一な白色懸濁液が生成する。110℃で5時間撹拌を続け、イソシアネートの消失を赤外線分光法によってモニタリングする。2250cm-1のピークの消失が観察される。反応の終わりに、反応媒体の温度を100℃に下げ、イソドデカン780gを加え、淡黄色の濁った混合物が得られる。エタノール100mlを加え、2時間撹拌を続ける。セライトを通してろ過した後、アルコールおよび炭酸プロピレンを除去するために、反応混合物を80℃でイソドデカンで逆抽出する。
【0185】
最後に、イソドデカン中に移された所望の生成物が固体含量50%で得られる。生成物をHPLCおよびGPC(構造確認)によって特に特徴付ける。
【0186】
化合物11:ウレイドピリミドンで官能基化した2-デシルテトラデカノール
2-デシルテトラデカノール126gを4時間、100℃の減圧下加熱して乾燥させる。2時間後、50℃、アルゴン下で、油を、イソホロンジイソシアネート94.7mgとDBTL触媒(十分量)との混合物に4時間にわたって加える。イソシアネートのアッセイによってモニタリングすることで、反応の進行を追跡し、半当量で、炭酸プロピレン126gおよび6-メチルイソシトシン53.3gを加える。100℃で16時間撹拌および加熱を続け、イソシアネートの消失を赤外線分光法によってモニタリングする。2250cm-1のピークの消失が観察される。同時に、イソシトシンから生じるアミンの消失をアミンのアッセイによってモニタリングする。反応の終わりに、温度を50℃に冷まし、エタノール100mlを加え、5時間撹拌を続ける。セライトを通してろ過し、イソドデカンで逆抽出した後、イソドデカン中に移された所望の生成物が固体含量50%で得られる。生成物を、質量分析法と連結したGPCおよびHPLCによって特に特徴付ける。
【0187】
化合物12:ウレイドピリミドン官能基化したJarcol 24(J24)
発熱を制御し、不活性の雰囲気下、Jarcol I-24 200gを、触媒の存在下50℃でIPDI(IPDI 1.1当量)に加える。添加後、50℃で30分間撹拌を続ける。次いで、メチルイソシトシン(MIC)1.3当量を混合物に加え、その後、炭酸プロピレン100mlを加える。次いで、反応媒体の温度を140℃に上げ、接触時間は140℃で1時間である。イソシアネート官能基の消失を、赤外線分光法によってモニタリングし、次いで、媒体の温度を70℃に下げ、その後エタノール30mlを加え、1時間撹拌する。酢酸エチルを加えた後、媒体をろ紙を通してろ過する。酢酸エチルを蒸発して除いた後、シクロヘキサンを加え、その後NaCl/エタノール(2v/1v)を飽和させた水の混合液で5回洗浄する。次いで、有機相をNa2SO4上で乾燥させ、ろ過し、イソドデカンで逆抽出する。ウレイドピリミドンで官能基化した油の、固体含量50%の溶液が得られる。
【0188】
化合物13:ウレイドピリミドン官能基化したJarcol 20(J20)
発熱を制御し、不活性の雰囲気下、Jarcol I-20 180gを、50℃で触媒の存在下、IPDI(IPDI 1.1当量)に加える。
【0189】
50℃で30分間撹拌を続ける。次いで、MIC 1.3当量を反応媒体に加え、その後、炭酸プロピレン100mlを加える。
【0190】
次いで、反応媒体の温度を140℃に上げ、接触時間は140℃で1時間である。反応を赤外線分光法によってモニタリングし、イソシアネート官能基の特徴的なピークの消失をモニタリングする。次いで、温度を70℃に下げ、その後エタノール30mlを加え、1時間撹拌する。酢酸エチルを加えた後、媒体をろ紙を通してろ過する。酢酸エチルを蒸発して除いた後、シクロヘキサンを加え、その後NaCl/エタノール(2v/1v)を飽和させた水の混合液で5回洗浄する。次いで、有機相をNa2SO4上で乾燥させ、ろ過し、イソドデカンで逆抽出する。次いで、ウレイドピリミドンで官能基化した油の固体含量50%の溶液が得られる。
【0191】
本発明による組成物が、組成物の合計重量に対して、5重量%から95重量%の間、好ましくは10重量%から95重量%の間、さらに良好に好ましくは20重量%から90重量%の間の超分子化合物の含量を有するのが好ましい。
【0192】
無極性の炭化水素ベースの油およびシリコーン油から選択される油
本発明による組成物は、無極性の炭化水素ベースの油およびシリコーン油から選択される、少なくとも1種の油を含む。
【0193】
「油」の語は、室温(25℃)および大気圧(760mmHg)で液体である、水不混和性の、非水性の化合物を意味する。
【0194】
第1の実施形態によると、組成物中に存在し、無極性の炭化水素ベースの油およびシリコーン油から選択される油は揮発性である。
【0195】
第2の実施形態によると、組成物中に存在し、無極性の炭化水素ベースの油およびシリコーン油から選択される油は不揮発性である。
【0196】
「揮発性油」の語は、室温および大気圧で、皮膚と接触したときに1時間未満で揮発することができる油(または非水性媒体)を意味する。揮発性油は揮発性の化粧用油であり、室温で液体であり、特に、室温および大気圧で蒸気圧がゼロでなく、とりわけ0.13Paから40000Pa(10-3から300mmHg)の範囲、好ましくは1.3Paから13000Pa(0.01から100mmHg)の範囲、優先的には1.3Paから1300Pa(0.01から10mmHg)の範囲の蒸気圧を有する。
【0197】
「不揮発性油」の語は、室温および大気圧で、少なくとも数時間、ケラチン質上に残存し、特に蒸気圧が10-3mmHg(0.13Pa)未満である油を意味する。不揮発性油は、先に規定した条件下で30分後に蒸発する量が0.07mg/cm2未満である蒸発速度を有すると規定することもできる。
【0198】
シリコーン油
第1の実施形態によると、本発明による組成物中に存在する油はシリコーン油である。
【0199】
「シリコーン油」の語は、少なくとも1個のケイ素原子を含み、特にSi-O基を含む油を意味する。
【0200】
とりわけ、シリコーン油はフェニルシリコーン油から選択することができる。
【0201】
このような油は「フェニルシリコーン」とも呼ばれる。「フェニルシリコーン」の語は、少なくとも1個のフェニル基で置換されているオルガノポリシロキサンを意味する。
【0202】
フェニルシリコーン油が不揮発性であるのが好ましい。
【0203】
「不揮発性油」の語は、室温および大気圧で少なくとも数時間、ケラチン質上に残存し、特に蒸気圧が10-3mmHg(0.13Pa)未満である油を意味する。不揮発性油は、先に規定した条件下で、30分後に蒸発する量が0.07mg/cm2未満である蒸発速度を有すると規定することもできる。
【0204】
これらの油は、植物、鉱物、または合成起源であってよい。フェニルシリコーン油が、組成物の合計重量に対して、0.5重量%から70重量%の範囲、好ましくは3重量%から50重量%の範囲、さらに良好には5重量%から40重量%の範囲の合計含量で組成物中に存在するのが好ましい。
【0205】
フェニルシリコーン油の重量平均分子量が500g/molから10000g/molの間であるのが好ましい。
【0206】
シリコーン油は、フェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、および2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケートから選択することができる。
【0207】
シリコーン油は、式:
【0208】
【化33】
【0209】
に相当していてよく、式中、R基は、互いに独立にメチルまたはフェニルを表す。この式において、シリコーン油が少なくとも3個の、例えば、少なくとも4個、少なくとも5個、または少なくとも6個のフェニル基を含むのが好ましい。
【0210】
別の一実施形態によると、シリコーン油は、式:
【0211】
【化34】
【0212】
に相当していてよく、式中、R基は、互いに独立にメチルまたはフェニルを表す。この式において、前記オルガノポリシロキサンが少なくとも3個の、例えば、少なくとも4個、または少なくとも5個のフェニル基を含むのが好ましい。
【0213】
先に記載したフェニルオルガノポリシロキサンの混合物を用いることができる。
【0214】
挙げることができる例には、トリフェニル、テトラフェニル、またはペンタフェニルオルガノポリシロキサンの混合物が含まれる。
【0215】
別の一実施形態によると、シリコーン油は式:
【0216】
【化35】
【0217】
に相当し、式中、Meはメチルを表し、Phはフェニルを表す。このようなフェニルシリコーンは、特に、Dow Corningによって、Dow CorningのPH-1555 HRIという参照で製造されている(化学名:1,3,5-トリメチル1,1,3,5,5-ペンタフェニルトリシロキサン; INCI名:トリメチルペンタフェニルトリシロキサン)。参照Dow Cornig 554 Cosmetic Fluidも用いることができる。
【0218】
別の一実施形態によると、シリコーン油は式:
【0219】
【化36】
【0220】
に相当し、式中、Meはメチルを表し、yは1から1000の間であり、Xは-CH2-CH(CH3)(Ph)を表す。
【0221】
別の一実施形態によると、シリコーン油は式:
【0222】
【化37】
【0223】
(式中、-OR'は-O-SiMe3を表し、yは1から1000の間であり、zは1から1000の間である)に相当する。
【0224】
フェニルシリコーン油は、以下の式(VI):
【0225】
【化38】
【0226】
(式中、
R1からR10は、互いに独立に、飽和または不飽和の、直鎖状、環状、または分枝状の、C1〜C30炭化水素ベースの基であり、
m、n、p、およびqは、互いに独立に、m+n+qの合計が0以外であるという条件で、0から900の間の整数である)のフェニルシリコーンから選択することができる。
【0227】
m+n+qの合計が1から100の間であるのが好ましい。m+n+p+qの合計が1から900の間であるのが好ましく、さらに良好に1から800の間である。qが0に等しいのが好ましい。
【0228】
フェニルシリコーン油は、以下の式(VII):
【0229】
【化39】
【0230】
(式中、
R1からR6は、互いに独立に、飽和または不飽和の、直鎖状、環状、または分枝状の、C1〜C30炭化水素ベースの基であり、
m、n、およびpは、互いに独立に、n+mの合計が1から100の間であるという条件で、0から100の間の整数である)のフェニルシリコーンから選択することができる。
【0231】
R1からR6が、互いに独立に、飽和の、直鎖状または分枝状のC1〜C30、特にC1〜C12の、炭化水素ベースの基、とりわけメチル、エチル、プロピル、またはブチル基を表すのが好ましい。
【0232】
R1からR6は特に同じであってよく、さらにメチル基であってよい。
【0233】
好ましくは、式(VII)において、値m=1もしくは2もしくは3、および/またはn=0、および/またはp=1もしくは1を適用することができる。
【0234】
25℃の粘度が5mm2/sから1500mm2/s(すなわち、5cStから1500cSt)の間である、好ましくは粘度が5mm2/sから1000mm2/s (すなわち、5cStから1000cSt)の間である式(VI)のフェニルシリコーン油を用いることができる。
【0235】
式(VII)のフェニルシリコーン油として、Dow CorningからのDC556(22.5cSt)、Rhone Poulencからの油Silbione 70663V30 (28cSt)などのフェニルトリメチコーン、またはWackerからのBelsil oils、特にBelsil PDM1000 (1000cSt)、Belsil PDM 200 (200cSt)、およびBelsil PDM 20 (20cSt)などのジフェニルジメチコーンを用いることが特に可能である。カッコ内の値は25℃での粘度を表す。
【0236】
不揮発性シリコーン油は、式:
【0237】
【化40】
【0238】
(式中、
R1、R2、R5、およびR6は、一緒に、または別々に、1個から6個の炭素原子を含むアルキル基であり、
R3およびR4は、一緒に、または別々に、1個から6個の炭素原子を含むアルキル基、またはアリール基であり、
Xは、1個から6個の炭素原子を含むアルキル基、ヒドロキシル基、またはビニル基であり、
nおよびpは、200000g/mol未満、好ましくは150000g/mol未満、より好ましくは100000g/mol未満の重量平均分子質量を油にもたらすように選択される)のシリコーンから選択することができる。
【0239】
一実施形態によると、本発明による組成物において用いることができる不揮発性シリコーン油は、フェニルシリコーン油、例えば、Wacker社によってBelsil PDM 1000という参照で販売されているトリメチルシロキシフェニルジメチコーン(MW=9000g/mol)、またはDow CorningのPH-1555 HRIという参照でDow Corning社によって販売されている1,3,5-トリメチル-1,1,3,5,5-ペンタフェニルトリシロキサン(INCI名:トリメチルペンタフェニルトリシロキサン)、フェニルトリメチコーン(例えば、Dow Corningによって商品名DC 556の下に販売されているフェニルトリメチコーン)、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、およびジフェニルメチルジフェニルトリシロキサンであってよい。
【0240】
フェニルシリコーン油は不揮発性であるのが好ましい。
【0241】
フェニルシリコーン油は、25℃で50cStを超え、好ましくは100cStを超える粘度を有するのが好ましい。
【0242】
粘度を測定するためのプロトコール
粘度は、直径が2cmから6cmの間であり角度が1°から2°の間であるコーン/プレートの幾何学的配置の軸を装着した、Thermo Rheo社からのHaake RS75応力制御レオメータ(Controlled-stress rheometer)を用いて25℃±0.5℃で測定し、軸の選択は測定する粘度に依存する(油が流動性であるほど、選択されるコーンの直径は大きく、角度は小さい)。測定は、20分の持続時間、油の試料を0.2Paから1000Paの範囲のずり応力勾配の対数に適用することによって行う。次いで、せん断ε'の速度の関数としての粘度における変化を表すレオグラムをプロットする。レオグラムは、低いせん断速度値ではプラトーを示し(ニュートンのプラトー(Newtonian plateau)として知られる)、このプラトーは安定な粘度値に対応し、これがこのように測定した油の粘度である。
【0243】
注:一般に、「間の」の語は、範囲の限界値を含んでいる。
【0244】
別の一実施形態によると、シリコーン油は、非フェニルシリコーン油から選択することもできる。このような油は、引火点が40℃から150℃の範囲であり、好ましくは引火点が55℃を超え105℃以下であり、優先的には65℃から95℃の範囲であるシリコーン油から選択することができる。引火点は、とりわけISO規格3679にしたがって測定する。
【0245】
非フェニルシリコーン油は揮発性でも、または不揮発性でもよい。
【0246】
揮発性シリコーン油は、直鎖状または環状のシリコーン油、例えば、ケイ素原子3個から7個を含む直鎖状または環状のポリジメチルシロキサン(PDMS)から選択することができる。
【0247】
直鎖状PDMS(ジメチコーンとしても知られている)は、トリメチルシロキシ末端基を有する直鎖状のジメチルポリシロキサン化合物である。環状PDMSは一般にシクロメチコーンとして知られている。これは環状ジメチルポリシロキサン化合物を標的とした一般名である。
【0248】
挙げることができるこのような油の例には、オクチルトリメチコーン、ヘキシルトリメチコーン、デカメチルシクロペンタシロキサン(シクロペンタシロキサンすなわちD5)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(シクロテトラジメチルシロキサンすなわちD4)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、デカメチルテトラシロキサン(L4)、Shin-EtsuからのKF96A、例えば、Dow CorningによってDC200(1.5cSt)、DC200(5cSt)、およびDC200(3cSt)という参照で販売されているものなどのポリジメチルシロキサン、が含まれる。
【0249】
さらに挙げることができるシリコーン油の例には、ペンダントおよび/またはシリコーン鎖の末端である、アルキル基またはアルコキシ基を含むポリジメチルシロキサンが含まれ、これらの基は各々、2個から24個の炭素原子を含んでいる。
【0250】
炭化水素ベースの無極性油
第2の実施形態によると、本発明による組成物中に存在する油は無極性の炭化水素ベースの油である。
【0251】
本発明の目的では、「無極性油」の語は、25℃での溶解度パラメータであるδaが0(J/cm3)1/2に等しい油を意味する。
【0252】
ハンセンの3次元溶解度空間における溶解度パラメータにおける溶解度パラメータの定義および計算は、C.M. Hansenによる文献、「The three dimensional solubility parameters」、J. Paint Technol.、39巻、105頁(1967年)に記載されている。
【0253】
ハンセン空間によると、
δDは、分子衝撃の間に誘発される双極子の形成に由来するロンドン分散力を特徴付け、
δpは、誘発される双極子と永久的な双極子との間の、永久的な双極子とケーソム相互作用力との間のデバイ相互作用力を特徴付け、
δhは特定の相互作用力(例えば、水素結合、酸/塩基、ドナー/アクセプタなど)を特徴付け、
δaは、等式:δa=(δp2+δh)1/2によって決定される。
【0254】
パラメータδp、δh、δD、およびδaは、(J/cm3)1/2で表される。
【0255】
「無極性の炭化水素ベースの油」の語は、炭素原子および水素原子から本質的に形成され、または炭素原子および水素原子によって構成され、N、O、Si、およびPなどのヘテロ原子のない油を意味する。
【0256】
挙げることができる不揮発性で無極性の炭化水素ベースの油の例には、炭化水素ベースの油、例えば、スクアレン、直鎖状または分枝状の炭化水素、例えば、流動パラフィン、液体ワセリン、およびナフタレン油、水素化または部分的に水素化されたポリイソブテン、イソエイコサン、スクアレン、デセン/ブテン共重合体、ポリブテン/ポリイソブテン共重合体、特にIndopol L-14、およびポリデセン、例えば、Puresyn 10、およびこれらの混合物が含まれる。
【0257】
とりわけ、高モル質量の、例えば、650g/molから10000g/molの間の、不揮発性の炭化水素ベースの無極性の油を挙げることができ、例えば、
ポリブチレン、例えば、Amoco社によって販売または製造されている、Indopol H-100(モル質量すなわちMW=965g/mol)、Indopol H-300(MW=1340g/mol)、およびIndopol H-1500(MW=2160g/mol)、
水素化ポリイソブチレン、例えば、Amoco社によって販売または製造されている、Panalane H-300 E(MW=1340g/mol)、Synteal社によって販売または製造されている、Viseal 20000(MW=6000g/mol)、およびWitco社によって販売または製造されている、Rewopal PIB 1000(MW=1000g/mol)、
ポリデセンおよび水素化ポリデセン、例えば、Mobil Chemical社によって販売されている、Puresyn 150(MW-9200g/mol)、ならびに
これらの混合物
がある。
【0258】
無極性の炭化水素ベースの油は、特に40℃から102℃の範囲、好ましくは40℃から55℃の範囲、優先的には40℃から50℃の範囲の引火点を有する揮発性油であってもよい。
【0259】
挙げることができる無極性の炭化水素ベースの揮発性油には、7個から16個の炭素原子、好ましくは8個から16個の炭素原子を含んでいる炭化水素ベースの揮発性油、およびこれらの混合物、特に分枝状C8〜C16アルカン、例えば、C8〜C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られている)、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、および例えば、IsoparまたはPermethylという商品名で販売されている油、ならびにこれらの混合物が含まれる。
【0260】
一実施形態によると、本発明における使用に適する揮発性または不揮発性の無極性油は、ポリブテン、ポリイソブテン、水素化ポリイソブテン、イソドデカン、およびイソヘキサデカン、ならびにこれらの混合物から選択することができる。
【0261】
挙げることができる無極性の炭化水素ベースの揮発油には、7個から15個の炭素原子を含む炭化水素ベースの揮発性油、およびこれらの混合物、特に直鎖状C7〜C15アルカンが含まれる。
【0262】
本発明における使用に適する「揮発性直鎖状アルカン」が8個から14個の炭素原子を含むのが好ましい。
【0263】
本発明における使用に適する「揮発性直鎖状アルカン」が9個から14個の炭素原子を含むのが好ましい。
【0264】
本発明における使用に適する「揮発性直鎖状アルカン」が10個から14個の炭素原子を含むのが好ましい。
【0265】
本発明における使用に適する「揮発性直鎖状アルカン」が11個から14個の炭素原子を含むのが好ましい。
【0266】
本発明による組成物において用いることができる「揮発性直鎖状アルカン」は、室温で、とりわけゼロでない蒸気圧を有していてよく(飽和蒸気圧としても知られている)、とりわけ0.3Paから6000Paの範囲の蒸気圧を有することができる。
【0267】
本発明における使用に適する「揮発性直鎖状アルカン」が、室温(25℃)で0.3Paから2000Paの範囲の蒸気圧を有するのが好ましい。
【0268】
本発明における使用に適する「揮発性直鎖状アルカン」が、室温(25℃)で0.3Paから1000Paの範囲の蒸気圧を有するのが好ましい。
【0269】
本発明における使用に適する「揮発性直鎖状アルカン」が、室温(25℃)で0.4Paから600Paの範囲の蒸気圧を有するのがより好ましい。
【0270】
本発明における使用に適する「揮発性直鎖状アルカン」が、室温(25℃)で1Paから200Paの範囲の蒸気圧を有するのが好ましい。
【0271】
本発明における使用に適する「揮発性直鎖状アルカン」が、室温(25℃)で3Paから60Paの範囲の蒸気圧を有するのがさらにより好ましい。
【0272】
一実施形態によると、本発明における使用に適する揮発性直鎖状アルカンは、30℃から120℃、より詳しくは40℃から100℃の範囲である引火点を有していてよい。引火点は、とりわけ、ISO規格3679にしたがって測定される。
【0273】
本発明における使用に適する揮発性直鎖状アルカンは、有利には植物起源であってよい。
【0274】
本発明による組成物中に存在する揮発性直鎖状アルカンまたは揮発性直鎖状アルカンの混合物が、少なくとも1個の14C(炭素14)炭素同位元素を含むのが好ましい。とりわけ、14C同位元素は、1×10-16以上、好ましくは1×10-15以上、より好ましくは7.5×10-14以上、さらに良好には1.5×10-13以上の14C/12C比で存在することができる。14C/12C比が6×10-13から1.2×10-12の範囲であるのが好ましい。
【0275】
揮発性直鎖状アルカン、または揮発性直鎖状アルカンの混合物における14C同位元素の量は、リビー成形(Libby compacting)法、液体シンチレーション分光測定、または加速器質量分析法など、当業者に知られている方法によって決定することができる。
【0276】
このようなアルカンは、油、バター、ロウなどの植物原料から、直接的に、またはいくつかのステップにおいて得ることができる。
【0277】
本発明において用いるのに適するアルカンの一例として、Cognis社の特許WO2007/068371またはWO2008/155059(少なくとも1個の炭素が異なる、異なるアルカンの混合物)において記載されているアルカンを挙げることができる。これらのアルカンは、それ自体がココナツ油またはパーム油から得られる脂肪アルコールから得られる。
【0278】
本発明において用いるのに適する直鎖状アルカンの一例として、n-ヘプタン(C7)、n-オクタン(C8)、n-ノナン(C9)、n-デカン(C10)、n-ウンデカン(C11)、n-ドデカン(C12)、n-トリデカン(C13)、およびn-テトラデカン(C14)、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。特定の一実施形態によると、揮発性直鎖状アルカンは、n-ノナン、n-ウンデカン、n-ドデカン、n-トリデカン、およびn-テトラデカン、ならびにこれらの混合物から選択される。
【0279】
好ましい一様式によると、Cognis社の特許出願WO2008/155059の実施例1および2において得られるn-ウンデカン(C11)とn-トリデカン(C13)との混合物を挙げることができる。
【0280】
リファレンスParafol 12〜97、およびParafol 14〜97の下にSasolによって販売されている、それぞれn-ドデカン(C12)、およびn-テトラデカン(C14)、ならびにこれらの混合物も挙げることができる。
【0281】
揮発性直鎖状アルカンは、単独で用いられてもよい。
【0282】
あるいは、または優先的に、互いに炭素数nが少なくとも1個異なり、とりわけ互いに炭素数が1個または2個異なる、2つの異なる揮発性液体直鎖状アルカンの混合物が用いられてもよい。
【0283】
第1の実施形態によると、10個から14個の炭素原子を含み、互いに炭素数が少なくとも1個異なる、少なくとも2つの異なる揮発性直鎖状アルカンの混合物が用いられる。特に挙げることができる例には、C10/C11、C11/C12、またはC12/C13揮発性直鎖状アルカンの混合物が含まれる。
【0284】
別の一実施形態によると、10個から14個の炭素原子を含み、互いに炭素数が少なくとも2個異なる、少なくとも2つの異なる揮発性直鎖状アルカンの混合物が用いられる。特に挙げることができる例には、偶数の炭素数nではC10/C12またはC12/C14の揮発性直鎖状アルカンの混合物、奇数の炭素数nではC11/C13の混合物が含まれる。
【0285】
好ましい一様式によると、10個から14個の炭素原子を含み、互いに炭素数が少なくとも2個異なる、少なくとも2つの異なる揮発性直鎖状アルカンの混合物、とりわけC11/C13の揮発性直鎖状アルカンの混合物、またはC12/C14の揮発性直鎖状アルカンの混合物が用いられる。
【0286】
本発明による2つを超える揮発性直鎖状アルカンを合わせる他の混合物、例えば、7個から14個の炭素原子を含み、互いに炭素数が少なくとも1個異なる少なくとも3つの異なる揮発性直鎖状アルカンの混合物も本発明の部分を形成するが、本発明による2つの揮発性直鎖状アルカンの混合物が好ましく(2成分の混合物)、前記2つの揮発性直鎖状アルカンが、混合物中の揮発性直鎖状アルカンの合計含量の95重量%超、さらに良好には99重量%超に相当するのが好ましい。本発明の特定の一様式によると、揮発性直鎖状アルカンの混合物において、より小さい炭素数を有する揮発性直鎖状アルカンが、混合物において優勢である。
【0287】
本発明の別の一様式によると、混合物においてより大きい炭素数を有する揮発性直鎖状アルカンが優勢である揮発性直鎖状アルカンの混合物が用いられる。
【0288】
本発明において用いるのに適する混合物の例として、特に以下の混合物を挙げることができる:
前記混合物におけるアルカンの合計重量に対して、
50重量%から90重量%、好ましくは55重量%から80重量%、より優先的には60重量%から75重量%のCn液状揮発性直鎖状アルカン(nは7から14の範囲である)、
10重量%から50重量%の、好ましくは20重量%から45重量%の、好ましくは24重量%から40重量%の、Cn+x液状揮発性直鎖状アルカン(xは1以上、好ましくはx=1またはx=2であり、n+xは8から14の間である)。
【0289】
とりわけ、本発明によるアルカンの前記混合物は、混合物中に、
2重量%未満、好ましくは1重量%未満の分枝状の炭化水素、
および/または2重量%未満、好ましくは1重量%未満の芳香族炭化水素、
および/または2重量%未満、好ましくは1重量%未満、優先的には0.1重量%未満の不飽和炭化水素
を含んでいる。
【0290】
より詳しくは、本発明において用いるのに適する揮発性直鎖状アルカンは、n-ウンデカン/n-トリデカン混合物の形態において用いることができる。
【0291】
とりわけ、前記混合物におけるアルカンの合計重量に対して:
55重量%から80重量%、好ましくは60重量%から75重量%のC11液状揮発性直鎖状アルカン(n-ウンデカン)、
20重量%から45重量%、好ましくは24重量%から40重量%のC13液状直鎖状アルカン(n-トリデカン)
を含む、揮発性直鎖状アルカンの混合物が用いられる。
【0292】
特定の一実施形態によると、アルカンの混合物はn-ウンデカン/n-トリデカンの混合物である。とりわけ、このような混合物は、WO2008/155059の実施例1または実施例2にしたがって得ることができる。
【0293】
別の特定の一実施形態によると、SasolによってParafol 12-97という参照で販売されているn-ドデカンが用いられる。
【0294】
別の特定の一実施形態によると、SasolによってParafol 14-97という参照で販売されているn-テトラデカンが用いられる。
【0295】
さらに別の一実施形態によると、n-ドデカンとn-テトラデカンとの混合物が用いられる。
【0296】
本発明の組成物は、組成物の合計重量に対して、1重量%から70重量%の揮発性直鎖状アルカン、とりわけ5重量%から60重量%の揮発性直鎖状アルカン、より詳しくは5重量%から40重量%の揮発性直鎖状アルカンを含むことができる。
【0297】
特定の一実施形態によると、本発明の組成物は、組成物における揮発性油の合計含量に対して、少なくとも50重量%の揮発性直鎖状アルカンを含むことができる。とりわけ、本発明の組成物は、組成物中の揮発性油の合計含量に対して、少なくとも60%の、より詳しくは少なくとも70%の、より詳しくは少なくとも80%、少なくとも90%、または100%の揮発性直鎖状アルカンを含むことができる。
【0298】
一実施形態によると、組成物は、無極性の炭化水素ベースの油およびシリコーン油から選択される油の混合物を含むことができる(すなわち複数種の油)。
【0299】
好ましくは、本発明による組成物において、無極性の炭化水素ベースの油およびシリコーン油から選択される油の合計含量は、組成物の合計重量に対して0.5重量%から70重量%の範囲、好ましくは組成物の合計重量に対して3重量%から50重量%の範囲、さらに良好には5重量%から40重量%の範囲である。
【0300】
さらなる油
本発明による組成物は、無極性の炭化水素ベースの油およびシリコーン油から選択される油の他に、無極性の炭化水素ベースの油またはシリコーン油以外のさらなる油を少なくとも1つ含むことができる。
【0301】
とりわけ、前記さらなる油は、無極性の炭化水素ベースの油、または代替としてフッ素油から選択することができる。
【0302】
さらなる油は揮発性でも、または不揮発性でもよい。
【0303】
本発明の目的では、「極性油」の語は、25℃でのその溶解度パラメータであるδaが0(J/cm3)1/2以外である油を意味する。
【0304】
これらのさらなる油は、植物、鉱物、または合成起源であってよい。
【0305】
「極性の炭化水素ベースの油」の語は、炭素原子および水素原子、ならびに任意選択により酸素原子および窒素原子から本質的に形成され、またはこれらによって構成され、いかなるケイ素原子またはフッ素原子も含まない油を意味する。これは、アルコール、エステル、エーテル、カルボン酸、アミン、および/またはアミドの基を含むことができる。
【0306】
「フッ素油」の語は、少なくとも1個のフッ素原子を含む油を意味する。
【0307】
第1の実施形態によると、さらなる極性油は不揮発性油であってよい。とりわけ、不揮発性極性油は、以下の油のリストから選択することができ、およびこれらの混合物であってよい。
炭化水素ベースの植物油、例えば、4個から10個の炭素原子を含む脂肪酸の液状トリグリセリド、例えば、ヘプタン酸もしくはオクタン酸トリグリセリド、またはホホバ油、
式RCOOR'の炭化水素ベースのエステル(式中、RCOOは2個から30個の炭素原子を含むカルボン酸残基を表し、R'は1個から30個の炭素原子を含む炭化水素ベースの鎖を表す)、例えば、イソノナン酸イソノニル、エルカ酸オレイル、またはネオペンタン酸2-オクチルドデシル、
不飽和脂肪酸ダイマーおよび/またはトリマーとジオールとの縮合によって得られたポリエステル、例えば、特許出願FR0853634に記載されているもの、とりわけジリノール酸および1,4-ブタンジオールなど。これに関して、Viscoplast 14436Hの名称の下にBiosynthisによって販売されているポリマー(INCI名:ジリノール酸/ブタンジオール共重合体)、または多価アルコールと二酸ダイマーとの共重合体、ならびにこれらのエステル、例えば、Hailuscent ISDAを挙げることができる、
12個から26個の炭素原子を含む脂肪アルコール、例えば、オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、およびオレイルアルコール、
C12〜C22高級脂肪酸、例えば、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸、ならびにこれらの混合物、
任意選択により部分的に炭化水素ベースおよび/またはシリコーンベースであるフッ素油、
植物起源の油、例えば、ゴマ油(820.6g/mol)、
12個から26個の炭素原子を含む脂肪酸、例えば、オレイン酸、
炭酸ジアルキル(2個のアルキル鎖は同一または異なっている可能性がある)、例えば、CognisによってCetiol CC(登録商標)の名称の下に販売されている炭酸ジカプリリル、ならびに
高分子量、例えば、650g/molから10000g/molの間の不揮発性油、例えば:
i)ビニルピロリドン共重合体、例えば、ビニルピロリドン/1-ヘキサデセン共重合体、ISP社によって販売または製造されているAntaron V-216(MW=7300g/mol)、
ii)エステル、例えば:
a)合計炭素数の範囲が35個から70個である直鎖状脂肪酸エステル、例えば、テトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル(MW=697.05g/mol)、
b)ヒドロキシル化されているエステル、例えば、トリイソステアリン酸ポリグリセロール-2(MW=965.58g/mol)、
c)芳香族エステル、例えば、トリメレット酸トリデシル(MW=757.19g/mol)、
d)C24〜C28脂肪アルコールまたは分枝状脂肪酸のエステル、例えば、特許出願EP-A-0955039に記載されているもの、特に、クエン酸トリイソアラキジル(MW=1033.76g/mol)、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル(MW=697.05g/mol)、トリイソステアリン酸グリセリル(MW=891.51g/mol)、トリス(2-デシル)テトラデカン酸グリセリル(MW=1143.98g/mol)、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル(MW=1202.02g/mol)、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2(MW=1232.04g/mol)、またはテトラキス(2-デシル)テトラデカン酸ペンタエリスリチル(MW=1538.66g/mol)、
e)ジオールダイマーとモノカルボン酸またはジカルボン酸とのエステルおよびポリエステル、例えば、ジオールダイマーと脂肪酸とのエステル、およびジオールダイマーとジカルボン酸ダイマーとのエステル、
ならびにこれらの混合物。
【0308】
ジオールダイマーとモノカルボン酸とのエステルは、4個から34個の炭素原子、特に10個から32個の炭素原子を含むモノカルボン酸から得ることができ、これらの酸は直鎖状または分枝状であり、飽和または不飽和である。
【0309】
本発明において用いるのに適するモノカルボン酸の例示的な例として、特に脂肪酸を挙げることができる。
【0310】
ジオールダイマーとジカルボン酸とのエステルは、とりわけ、不飽和脂肪酸、特にC8からC34、特にC12からC22、とりわけC16からC20、より詳しくはC18の二量体化により得られるジカルボン酸ダイマーから得ることができる。
【0311】
特定の一変形形態によると、これは、より詳細には、エステル化ジオールダイマーも得られるジカルボン酸ダイマーである。
【0312】
ジオールダイマーとカルボン酸とのエステルは、先に記載した通りジカルボン酸ダイマーの触媒水素化によって生成されたジオールダイマー(例えば、水素化ジリノール酸二酸)から得ることができる。
【0313】
ジオールダイマーエステルの一例示として、特に、Nippon Fine Chemical社によってLusplan DD-DA5(登録商標)およびDD-DA7(登録商標)という商品名で販売されているジリノール酸二酸とジリノレイルジオールダイマーとのエステルを挙げることができる。
【0314】
第2の実施形態によると、さらなる極性油は揮発性油であってよい。とりわけ、揮発性極性油、およびその混合物を以下の油のリストから選択することができる:
室温で液体であるケトン、例えば、メチルエチルケトンまたはアセトン、
短鎖エステル、特に、合計3個から8個の炭素原子を含むもの、例えば、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、または酢酸n-ブチル、
室温で液体であるエーテル、例えば、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、またはジクロロジエチルエーテル、
アルコール、特に、2個から5個の炭素原子を含む直鎖状または分枝状の低級モノアルコール、例えば、エタノール、イソプロパノール、またはn-プロパノール。
【0315】
揮発性フッ素油、例えば、ノナフルオロメトキシブタン、またはパーフルオロメチルシクロペンタン、およびこれらの混合物を用いるのも可能である。
【0316】
一実施形態によると、本発明において用いるのに適するさらなる極性油は、オクチルドデシル/PPG-3ミリスチルエーテルダイマージリノレート、脂肪酸トリグリセリド、植物油、オクチルドデカノール、マレイン酸ジイソステアリル、フェニルシリコーン、およびビニルピロリドン/1-ヘキサデセン、ならびにこれらの混合物から選択することができる。
【0317】
本発明による一組成物において、前記のさらなる極性油は、組成物の合計重量に対して、0.1重量%から40重量%、特に1重量%から30重量%、より詳しくは2重量%から20重量%の範囲の含量で存在することができる。
【0318】
一実施形態によると、本発明による組成物は極性油を含んでおらず、または極性油を10%未満、または5%未満含んでいる。
【0319】
色素
本発明による組成物は、好ましくは、組成物の合計重量に対して少なくとも0.1重量%の含量で、少なくとも1種の色素を好ましくは含む。色素は、粉末状色素(特に顔料および真珠層)、および水溶性もしくは脂溶性色素から選択することができる。
【0320】
本発明の目的では、「顔料」という用語は、白色もしくは着色された、鉱物粒子または有機粒子を意味し、これらは、水溶液に不溶性であり、得られたメーキャップフィルムを着色するおよび/または不透明にすることを目的とする。顔料はまた、真珠層または真珠光沢顔料も含む。
【0321】
顔料は、化粧用組成物の合計重量に対して0.1重量%から15重量%、特に1重量%から10重量%、詳細には2重量%から8重量%の割合で存在し得る。
【0322】
本発明に用いることができる鉱物顔料として、酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウムを挙げることができ、また酸化亜鉛、酸化鉄または酸化クロム、フェリックブルー、マンガンバイオレット、群青および水酸化クロムを挙げることもできる。
【0323】
一実施形態によれば、酸化チタンおよび酸化鉄は、本発明においてより詳細に考慮される。
【0324】
一実施形態によれば、本発明に用いるのに適した顔料は、特に二酸化チタンおよび酸化鉄に基づいている。
【0325】
これは、例えば、絹雲母/褐色酸化鉄(brown iron oxide)/二酸化チタン/シリカタイプであり得る構造を有する顔料であってもよい。このような顔料は、例えば、Chemicals and Catalysts社によってCoverleaf NSもしくはJSという参照で販売されており、30付近にコントラスト比を有する。
【0326】
本発明に用いるのに適した顔料は、例えば、酸化鉄を含有するシリカミクロスフェアタイプであり得る構造を含むことができる。この構造を有する顔料の例としては、Miyoshi社によってPC Ball PC-LL-100 Pという参照で販売されている製品であり、この顔料は、黄色酸化鉄を含有するシリカミクロスフェアからなる。
【0327】
本発明に用いることができる有機顔料のうち、カーボンブラック、D&C型顔料、コチニールカルミンベースのレーキまたはバリウム、ストロンチウム、カルシウムもしくはアルミニウムベースのレーキ、あるいは代替としてEP-A-542 669、EP-A-787 730、EP-A-787 731およびWO-A-96/08537の文献中に記載のジケトピロロピロール(DPP)を挙げることができる。
【0328】
「真珠層」および「真珠光沢顔料」という用語は、任意の形態の、特に、ある種の軟体動物によってそれらの殻の中で産生され、またはそうでなければ合成される、光干渉による色彩効果を有する虹色のまたは虹色でない粒子を意味するものとして理解されるべきである。
【0329】
真珠層は、酸化鉄でコーティングされたチタン雲母、オキシ塩化ビスマスでコーティングされたチタン雲母、酸化クロムでコーティングされたチタン雲母、有機染料でコーティングされたチタン雲母などの真珠光沢顔料、またオキシ塩化ビスマスベースの真珠光沢顔料から選択することができる。真珠層はまた、その表面で金属酸化物および/または有機色素の少なくとも2つの連続的な層が重ね合わされる雲母粒子であってもよい。
【0330】
さらに挙げることができる真珠層の例としては、酸化チタンでコーティングされた天然雲母、酸化鉄でコーティングされた天然雲母、天然顔料でコーティングされた天然雲母またはオキシ塩化ビスマスでコーティングされた天然雲母が含まれる。
【0331】
市販されている真珠層の中でも、Engelhard社によって販売されている雲母ベースの真珠層Timica、FlamencoおよびDuochrome、Merck社によって販売されているTimiron真珠層、Eckart社によって販売されているPrestige雲母ベースの真珠層、およびSun Chemical社によって販売されているSunshine合成雲母ベースの真珠層を挙げることができる。
【0332】
真珠層は、より詳細には、黄色、淡紅色、赤色、青銅色、オレンジがかった色、褐色、金色および/または銅色の色彩または色調を有することができる。
【0333】
本発明と関連して用いることができる真珠層の例示として、特にEngelhard社によってBrilliant gold 212G(Timica)、Gold 222C(Cloisonne)、Sparkle gold(Timica)、Gold 4504(Chromalite)およびMonarch gold 233X(Cloisonne)という名称で販売されている金色の真珠層;特にMerck社によってBronze fine(17384)(Colorona)およびBronze(17353)(Colorona)という名称で販売されているおよびEngelhard社によってSuper bronze(Cloisonne)という名称で販売されている青銅色の真珠層;特にEngelhard社によってOrange 363C(Cloisonne)およびOrange MCR 101(Cosmica)という名称で販売されているおよびMerck社によってPassion orange(Colorona)およびMatte orange(17449)(Microna)という名称で販売されているオレンジ色の真珠層;特にEngelhard社によってNu-antique copper 340XB(Cloisonne)およびBrown CL4509(Chromalite)という名称で販売されている褐色の真珠層;特にEngelhard社によってCopper 340A(Timica)という名称で販売されている銅の色調を有する真珠層;特にMerck社によってSienna fine(17386)(Colorona)という名称で販売されている赤色の色調を有する真珠層;特にEngelhard社によってYellow(4502)(Chromalite)という名称で販売されている黄色の色調を有する真珠層;特にEngelhard社によってSunstone G012(Gemtone)という名称で販売されている金色の色調を有する赤色の真珠層;特にEngelhard社によってTan opale G005(Gemtone)という名称で販売されている淡紅色の真珠層;特にEngelhard社によってNu antique bronze 240 AB(Timica)という名称で販売されている金色の色調を有する黒色の真珠層、特にMerck社によってMatte blue(17433)(Microna)という名称で販売されている青色の真珠層、特にMerck社によってXirona Silverという名称で販売されている銀色のような色調を有する白色真珠層、および特にMerck社によってIndian summer(Xirona)という名称で販売されている金緑色の淡紅色がかったオレンジ色の真珠層、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0334】
一実施形態の変形形態によれば、本発明の組成物は、顔料として、二酸化チタン、二酸化チタンおよび酸化鉄ベースの顔料、または二酸化チタンベースの顔料、例えば、絹雲母/褐色酸化鉄/二酸化チタン/シリカ、または酸化チタンでコーティングされた天然雲母、およびそれらの混合物から選択される顔料を含むことができる。
【0335】
本発明による組成物は、上記で定義した顔料と異なる少なくとも1種の色素を含むこともできる。
【0336】
このような色素は、有機または無機の脂溶性または水溶性色素、および特異的な光学効果を有する材料、ならびにそれらの混合物から選択することができる。
【0337】
したがって、本発明による化粧用組成物は、水溶性または脂溶性染料を含むこともできる。脂溶性染料は、例えば、Sudan red、DC Red 17、DC Green 6、β-カロテン、Sudan brown、DC Yellow 11、DC Violet 2、DC Orange 5およびキノリンイエローである。水溶性染料は、例えば、ビーツの根の液汁またはメチレンブルーである。
【0338】
本発明による化粧用組成物は、特異的な光学効果を有する少なくとも1つの材料を含むこともできる。
【0339】
この効果は、従来の単純な色相効果、すなわち、標準的な色素、例えば、単色の顔料により生成されるような一様で安定化された効果とは異なる。本発明の目的では、「安定化された」という用語は、観測の角度に応じて、または代替として温度変化に応答して色のばらつきの影響がないことを意味する。
【0340】
例えば、この材料は、金属のような色調を有する粒子、ゴニオクロマチック着色剤、回折性顔料(diffracting pigment)、熱変色性薬剤(thermochromic agent)、蛍光増白剤、またおよび繊維、特に干渉繊維から選択することができる。
【0341】
本発明に用いることができる金属のような色調を有する粒子は、特に、
少なくとも1種の金属の粒子および/または少なくとも1種の金属誘導体の粒子、
少なくとも1種の金属および/または少なくとも1種の金属誘導体を含む金属のような色調を有する少なくとも1種の被膜で少なくとも部分的にコーティングされた、単一材料または複数材料の有機または鉱物基質を含む粒子、および
前記粒子の混合物から選択される。
【0342】
前記粒子中に存在することができる金属の中でも、例えば、Ag、Au、Cu、Al、Ni、Sn、Mg、Cr、Mo、Ti、Zr、Pt、Va、Rb、W、Zn、Ge、TeおよびSe、ならびにそれらの混合物または合金を挙げることができる。Ag、Au、Cu、Al、Zn、Ni、MoおよびCrならびにそれらの混合物または合金(例えば青銅および黄銅)は、好ましい金属である。
【0343】
「金属誘導体」という用語は、金属、特に酸化物、フッ化物、塩化物および硫化物に由来する化合物を意味するものとする。
【0344】
これらの粒子の例示として、Siberline社によってStarbrite 1200 EAC(登録商標)という名称で販売されているものおよびEckart社によってMetalure(登録商標)という名称で販売されているものなどのアルミニウム粒子を挙げることができる。
【0345】
Radium Bronze社によって販売されている2844という参照などの銅金属粉末または合金混合物、Eckart社からRotosafe 700という名称で販売されているものなどのアルミニウムまたは青銅などの金属顔料、Eckart社からVisionaire Bright Silverという名称で販売されているシリカでコーティングされたアルミニウム粒子および例えば、Eckart社からVisionaire Bright Natural Goldという名称で販売されているシリカでコーティングされた青銅(銅および亜鉛の合金)粉末などの金属合金粒子を挙げることもできる。
【0346】
これらはまた、日本板硝子株式会社によってMicroglass Metashineという名称で販売されているものなどのガラス基質を含む粒子であってもよい。
【0347】
ゴニオクロマチック着色剤は、例えば、多層干渉構造および液晶着色剤から選択することができる。
【0348】
本発明に従って調製される組成物に用いることができる対称性多層干渉構造の例は、例えば、以下の構造、すなわち、Al/SiO2/Al/SiO2/Al(この構造を有する顔料は、Dupont de Nemours社によって販売されている);Cr/MgF2/Al/MgF2/Cr(この構造を有する顔料は、Flex社によってChromaflairという名称で販売されている);MoS2/SiO2/Al/SiO2/MoS2;Fe2O3/SiO2/Al/SiO2/Fe2O3、およびFe2O3/SiO2/Fe2O3/SiO2/Fe2O3(これらの構造を有する顔料は、BASF社によってSicopearlという名称で販売されている);MoS2/SiO2/雲母-オキシド/SiO2/MoS2;Fe2O3/SiO2/雲母-オキシド/SiO2/Fe2O3;TiO2/SiO2/TiO2およびTiO2/Al2O3/TiO2;SnO/TiO2/SiO2/TiO2/SnO;Fe2O3/SiO2/Fe2O3;SnO/雲母/TiO2/SiO2/TiO2/雲母/SnO(これらの構造を有する顔料は、Merck(Darmstadt)社によってXironaという名称で販売されている)である。例として、これらの顔料は、Merck社によってXirona Magicという名称で販売されているシリカ/酸化チタン/酸化スズ構造の顔料、Merck社によってXirona Indian Summerという名称で販売されているシリカ/褐色酸化鉄構造の顔料およびMerck社によってXirona Caribbean Blueという名称で販売されているシリカ/酸化チタン/雲母/酸化スズ構造の顔料であってもよい。株式会社資生堂によるInfinite Colors顔料を挙げることもできる。様々な層の厚さおよび性質に応じて、異なる効果が得られる。したがって、Fe2O3/SiO2/Al/SiO2/Fe2O3構造と共に、色は、320から350nmのSiO2層の場合、緑色がかった金色(green-golden)から赤味がかった灰色に;380から400nmのSiO2層の場合、赤色から金色に;410から420nmのSiO2層の場合、紫色から緑色に;430から440nmのSiO2層の場合、銅色から赤色に変化する。
【0349】
挙げることができるポリマー多層構造を有する顔料の例としては、3M社によってColor Glitterという名称で販売されているものが含まれる。
【0350】
用いることができる液晶ゴニオクロマチック粒子の例には、Chenix社によって販売されているもの、またWacker社によってHelicone(登録商標)HCという名称で販売されている製品が含まれる。
【0351】
色素、特に、疎水剤で処理された顔料は、組成物の合計重量に対して0.1重量%から50重量%、好ましくは、0.5重量%から30重量%、優先的には1重量%から20重量%の含量で組成物中に存在し得る。
【0352】
固形脂肪物質
前述のオイルに加えて、脂肪相は、ろうおよびペースト状脂肪物質から選択される、固形脂肪物質として知られる、室温(25℃)および大気圧で液体でない、少なくとも1種の脂肪物質を含むこともできる。
【0353】
好ましくは、本発明による組成物は、ろうおよびペースト状脂肪物質、およびこの混合物から選択される少なくとも1種の固形脂肪物質を含む。
【0354】
ペースト状脂肪物質
本発明の目的では、(ペーストとしても知られる)「ペースト状脂肪物質」という用語は、固体の状態で異方性の結晶組織を示し、23℃の温度で液体画分および固体画分を含む、固体/液体の可逆的な状態変化を有する親油性脂肪族化合物を意味する。
【0355】
言い換えれば、ペースト状化合物の出発融点は、23℃未満とすることができる。23℃で測定したペースト状化合物の液体画分は、化合物9重量%から97重量%に相当し得る。23℃のこの液体画分は、好ましくは15重量%から85重量%、より好ましくは40重量%から85重量%に相当する。
【0356】
本発明の目的では、融点は、ISO規格11357-3;1999年に記載される通り熱分析(DSC)において観察された最も高い吸熱ピークの温度に対応する。ペーストまたはろうの融点は、例えば、TA Instruments社によってMDSC 2920という名称で販売されているカロリメーターなどの示差走査熱量計(DSC)で測定することができる。
【0357】
測定プロトコールは、次の通りである。
るつぼに入れたペーストまたはろう(場合に応じて)のサンプル5mgを、加熱速度10℃/分で-20℃から100℃まで変化するよう第1の温度上昇にかけ、次いで、冷却速度10℃/分で100℃から-20℃に冷却し、最後に、加熱速度5℃/分で-20℃から100℃まで変化するよう第2の温度上昇にかける。第2の温度上昇中、温度に応じて空のるつぼによって吸収されたエネルギーとろうのサンプルを含むるつぼとの差の変動を測定する。化合物の融点は、温度に応じて吸収されたエネルギーの差の変動を示す曲線のピークの頂点に対応する温度の値である。
【0358】
23℃でのペースト状化合物の重量による液体画分は、23℃で消費される融解エンタルピー対ペースト状化合物の融解エンタルピーの比に等しい。
【0359】
ペースト状化合物の融解エンタルピーは、固体状態から液体状態に変化させるために化合物によって消費されるエンタルピーである。ペースト状化合物は、その塊すべてが結晶性固体の形態であるとき、固体の状態にあると言われる。ペースト状化合物は、その塊すべてが液体形態であるとき、液体の状態にあると言われる。
【0360】
ペースト状化合物の融解エンタルピーは、ISO規格11357-3;1999年に従って、1分間当たり温度を5℃または10℃上昇させた、TA Instruments社によってMDSC 2920という名称で販売されているカロリメーターなどの示差走査熱量計(DSC)で得られたサーモグラムの曲線下面積に等しい。ペースト状化合物の融解エンタルピーは、化合物を固体状態から液体状態に変化させるために必要とするエネルギーの量である。これはJ/gで表される。
【0361】
23℃で消費される融解エンタルピーは、サンプルが固体状態から液体画分および固体画分から形成される23℃で示す状態に変化するためにサンプルによって吸収されるエネルギーの量である。
【0362】
32℃で測定されたペースト状化合物の液体画分は、好ましくは化合物の30重量%から100重量%、好ましくは50重量%から100重量%、より好ましくは化合物の60重量%から100重量%に相当する。32℃で測定されたペースト状化合物の液体画分が100%に等しい場合、ペースト状化合物の溶融範囲の終点は、32℃以下である。
【0363】
32℃で測定されたペースト状化合物の液体画分は、32℃で消費される融解エンタルピー対ペースト状化合物の融解エンタルピーの比に等しい。32℃で消費される融解エンタルピーは、23℃で消費される融解エンタルピーと同じ方法で算出される。
【0364】
ペースト状化合物は、好ましくは合成化合物および植物由来の化合物から選択される。ペースト状化合物は、植物由来の出発原料から開始する合成によって得ることができる。
【0365】
ペースト状化合物は、有利には、
ラノリンおよびそれらの誘導体、
ポリアルキレングリコールのペンタエリスリチルエーテル、糖の脂肪族アルキルエーテル、およびそれらの混合物、5オキシエチレン単位(5OE)を含むポリエチレングリコールのペンタエリスリチルエーテル(CTFA名:PEG-5ペンタエリスリチルエーテル)、5オキシプロピレン単位(5OP)を含むポリプロピレングリコールのペンタエリスリチルエーテル(CTFA名:PPG-5ペンタエリスリチルエーテル)、およびそれらの混合物、特にVevy社によってLanolideという名称で販売されている混合物PEG-5ペンタエリスリチルエーテル、PPG-5ペンタエリスリチルエーテルおよびダイズ油(その混合物中、構成物は、重量比46/46/8、すなわちPEG-5ペンタエリスリチルエーテル46%、PPG-5ペンタエリスリチルエーテル46%およびダイズ油8%となる)から選択されるポリオールエーテル,
ポリマーもしくは非ポリマーシリコーン化合物、
ポリマーもしくは非ポリマーフルオロ化合物、
ビニルポリマー、特に、
・オレフィンホモポリマーおよびコポリマー、
・水素化ジエンホモポリマーおよびコポリマー、
・C8〜C30アルキル基を好ましくは含むアルキル(メト)アクリレートの直鎖状もしくは分枝状のホモポリマーまたはコポリマーオリゴマー,
・C8〜C30アルキル基を含むビニルエステルのホモポリマーおよびコポリマーオリゴマー、
・ビニルピロリドン/エイコセンコポリマー(INCI名VP/エイコセンコポリマー)、例えば、ISP社によってGanex V220F(登録商標)という商品名で販売されている製品、
・C8〜C30アルキル基を含むビニルエーテルのホモポリマーおよびコポリマーオリゴマー、
1個または複数のC2〜C100ジオール、好ましくはC2〜C50ジオール間のポリエーテル化から生じる脂溶性ポリエーテル、
エステル、
および/またはそれらの混合物から選択される。
【0366】
ペースト状化合物は、好ましくはポリマー、特に炭化水素ベースのポリマーである。
【0367】
脂溶性ポリエーテルのうち、より好ましくはコポリマーにおけるエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド対アルキレンオキシドの重量比が5/95から70/30となるように、C6〜C30長鎖アルキレンオキシドを有するエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドのコポリマーが、特に好ましい。このファミリーにおいて、特に、長鎖アルキレンオキシドが平均分子量1000から10000を有するブロック状に配列されるようなコポリマー、例えば、Akzo Nobelによって Elfacos ST9という商品名で販売されているドデカンジオール(22mol)およびポリエチレングリコール(45OE)のエーテルなどのポリオキシエチレン/ポリドデシルグリコールブロックコポリマーを挙げることができる。
【0368】
エステルのうち、以下が、特に好ましい。
グリセロールのヒドロキシル基のいくつかが、ステアリン酸、カプリン酸、ステアリン酸およびイソステアリン酸、ならびに12-ヒドロキシステアリン酸などの脂肪酸の混合物と反応している、グリセロールオリゴマーのエステル、特に、ジグリセロールエステル、詳細には、アジピン酸およびグリセロールの縮合物、特にSasol社によってSoftisan 649という商品名で販売されている製品、
AlzoによってWaxenol 801という商品名で販売されているプロピオン酸アラキジル、
フィトステロールエステル、
脂肪酸トリグリセリドおよびそれらの誘導体、
ペンタエリスリトールエステル、
直線状または分枝状のC4〜C50ジカルボン酸またはポリカルボン酸およびC2〜C50ジオールまたはポリオールとの重縮合から生じる非架橋ポリエステル、
脂肪族ヒドロキシカルボン酸エステルの脂肪族カルボン酸とのエステル化から生じるエステルの脂肪族エステル。好ましくは、脂肪族カルボン酸は、4から30個、好ましくは8から30個の炭素原子を有する。これは、好ましくはヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘキシルデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、イソステアリン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、イソアラキジン酸、オクチルドデカン酸、ヘンエイコサン酸およびドコサン酸、ならびにそれらの混合物から選択される。脂肪族カルボン酸は、好ましくは分枝状である。脂肪族ヒドロキシカルボン酸エステルは、有利には2から40個の炭素原子、好ましくは10から34個の炭素原子、さらに良好には12から28個の炭素原子、1から20個のヒドロキシル基、好ましくは1から10個のヒドロキシル基、さらに良好には1から6個のヒドロキシル基を含むヒドロキシル化された脂肪族カルボン酸に由来する。脂肪族ヒドロキシカルボン酸エステルは
a)飽和の直鎖モノヒドロキシル化脂肪族モノカルボン酸の部分エステルまたは完全エステル;
b)不飽和のモノヒドロキシル化脂肪族モノカルボン酸の部分エステルまたは完全エステル;
c)飽和のモノヒドロキシル化脂肪族ポリカルボン酸の部分エステルまたは完全エステル;
d)飽和のポリヒドロキシル化脂肪族ポリカルボン酸の部分エステルまたは完全エステル;
e)モノヒドロキシル化もしくはポリヒドロキシル化脂肪族モノカルボン酸またはポリカルボン酸と反応しているC2〜C16脂肪族ポリオールの部分エステルまたは完全エステル、
およびそれらの混合物;
適切な場合、遊離アルコールまたは酸官能基において酸もしくはアルコール基でエステル化されている、ジオールダイマーおよび2価酸ダイマーのエステル、特にダイマージリノール酸エステル(かかるエステルは、以下のINCI名を有するエステル:ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)(Plandool G)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステリル/ステアリル/ベヘニル)(Plandool HまたはPlandool S)、およびそれらの混合物から特に選択することができる);
水素化ロジン酸のジリノレイルダイマー(Nippon Fine ChemicalによるLusplan DD-DHRまたはDD-DHR)などの水素化ロジン酸エステル;
およびそれらの混合物から選択される。
【0369】
有利には、ペースト状化合物は、好ましくは、組成物の合計重量に対して0.1重量%から80重量%、さらに良好には0.5重量%から60重量%、さらに良好には1重量%から30重量%、さらに良好には1重量%から20重量%に相当する。
【0370】
ろう
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種のろうを含む。
【0371】
本発明と関連して考慮されるろうは、一般に、室温(25℃)で固体であり、固体/液体の可逆的な状態変化を伴い、融点30℃以上であり、200℃まで、特に120℃までであり得る、親油性化合物である。
【0372】
特に、本発明に適したろうは、融点が45℃以上、特に55℃以上とすることができる。
【0373】
本発明による組成物に用いることができるろうは、室温で固体であるろう、動物由来のろう、植物由来のろう、鉱物由来のろうまたは合成由来のろう、およびそれらの混合物から選択される。
【0374】
本発明における使用に適するろうの例示として、特に炭化水素ベースのろう、例えば蜜蝋、ラノリンろうおよび支那蝋、米ぬかろう、カルナウバろう、カンデリラろう、オーリキュリー(ouricury)ろう、アルファルファろう、ベリー(berry)ろう、シェラックろう、もくろうおよびはぜろう;モンタンろう、オレンジろうおよびレモンろう、微結晶ろう、パラフィンおよびオゾケライト;ポリエチレンろう、フィッシャー・トロプシュ合成によって得られたろう、およびろう状コポリマー、またそれらのエステルを挙げることができる。
【0375】
直線状または分枝状のC8〜C32脂肪鎖との動物油または植物油の接触水素化により得られるろうを挙げることもできる。この中でも、特にDesert Whale社によってIso-Jojoba-50(登録商標)という商品参照で製造されるまたは販売されているトランス異性化した部分水素化ホホバ油などの異性化したホホバ油、水素化ヒマワリ油、硬化ヒマシ油、水素化ヤシ油、水素化ラノリン油、およびHeterene社によってHest 2T-4S(登録商標)という名称で販売されているビス(1,1,1-トリメチロールプロパン)テトラステアレートを挙げることができる。
【0376】
シリコーンろう(C30〜45アルキルジメチコーン)およびフルオロろうを挙げることもできる。
【0377】
Sophim社によってPhytowax Ricin 16L64(登録商標)および22L73(登録商標)という名称で販売されているセチルアルコールでエステル化されたヒマシ油を水素化することによって得られたろうを用いることも可能である。かかるろうは、フランス特許出願公開第A-2 792 190号に記載されている。
【0378】
単独でまたは混合物としてC20〜C40アルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート(20から40個の炭素原子を含むアルキル基)をろうとして用いることが可能である。このようなろうは、Koster Keunen社によってKester Wax K 82 P(登録商標)、Hydroxypolyester K 82 P(登録商標)およびKester Wax K 80 P(登録商標)という名称で特に販売されている。
【0379】
本発明による組成物に用いることができるマイクロワックスとして、Micro Powders社によってMicroCare 350(登録商標)という名称で販売されている製品などのカルナウバマイクロワックス、Micro Powders社によってMicroEase 114S(登録商標)という名称で販売されている製品などの合成マイクロワックス、Micro Powders社によってMicroCare 300(登録商標)および310(登録商標)という名称で販売されているものなど、カルナウバろうおよびポリエチレンろうの混合物から形成されるマイクロワックス、Micro Powders社によってMicroCare 325(登録商標)という名称で販売されている製品などのカルナウバろうおよび合成ろうの混合物から形成されるマイクロワックス、Micro Powders社によってMicropoly 200(登録商標)、220(登録商標)、220L(登録商標)および250S(登録商標)という名称で販売されているものなどのポリエチレンマイクロワックス、およびMicro Powders社によってMicroslip 519(登録商標)および519 L(登録商標)という名称で販売されているものなどのポリテトラフルオロエチレンマイクロワックスを特に挙げることができる。
【0380】
本発明による組成物は、組成物の合計重量に対して0.1重量%から30重量%、詳細には0.5重量%から20重量%、より詳細には1重量%から15重量%のろう含量を含むことができる。
【0381】
追加の皮膜形成ポリマー
前述のコポリマーの他に、組成物は、皮膜形成ポリマーなどの追加のポリマーを含むことができる。
【0382】
本発明によると、「皮膜形成ポリマー」という用語は、それ自体でまたは補助的な皮膜形成剤の存在下で、支持体、特にケラチン質において連続的な沈着物を形成することのできるポリマーを意味する。
【0383】
本発明の組成物に用いることができる皮膜形成ポリマーのうち、ラジカルタイプまたは重縮合物タイプの合成ポリマー、天然由来のポリマー、およびそれらの混合物を挙げることができる。挙げることができる皮膜形成ポリマーは、特にアクリルポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ尿素およびセルロースベースのポリマー、例えばニトロセルロースが含まれる。
【0384】
ポリマーは、1種または複数の補助的な皮膜形成剤と合わせることができる。このような皮膜形成剤は、所望の機能を満たすことのできるような当業者に公知の任意の化合物から選択することができ、可塑剤およびコアレッサから特に選択することができる。
【0385】
親油性ゲル化剤
一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種のゲル化剤を含むことができる。本発明による組成物に用いることができるゲル化剤は、有機もしくは鉱物の、ポリマーまたは分子の親油性ゲル化剤であってもよい。
【0386】
挙げることができる鉱物親油性ゲル化剤には、C10〜C22塩化アンモニウムで改質されたヘクトライト、例えば、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリドで改質されたヘクトライト、例えば、Elementis社によってBentone 38V(登録商標)という名称で販売されている製品などの改良粘土が任意選択により含まれる。
【0387】
粒径1μm未満を有する疎水性表面処理ヒュームドシリカを任意選択により挙げることもできる。特に、シリカの表面に存在するシラノール基の数の減少をもたらす化学反応によって、シリカの表面を化学的に改質することが可能である。特に、シラノール基を疎水基で置換することが可能であり、次いで、疎水性シリカが得られる。疎水基は、
ヘキサメチルジシラザンの存在下でヒュームドシリカを処理することにより特に得られる、トリメチルシロキル基[このように処理されたシリカは、CTFA(第8版、2000年)によるシリル化シリカとして知られる。これらは、例えば、Degussa社によってAerosil R812(登録商標)という参照でおよびCabot社によってCab-O-Sil TS-530(登録商標)という参照で販売されている]、
ポリジメチルシロキサンまたはジメチルジクロロシランの存在下でヒュームドシリカを処理することにより特に得られる、ジメチルシリルオキシル基またはポリジメチルシロキサン基[このように処理されたシリカは、CTFA(第8版、2000年)によるシリカジメチルシリレートとして知られる。これらは、例えば、Degussa社によってAerosil R972(登録商標)およびAerosil R974(登録商標)という参照で、およびCabot社によりCab-O-Sil TS-610(登録商標)およびCab-O-Sil TS-720(登録商標)という参照で販売されている]
であってもよい。
【0388】
本発明による組成物に用いることができる親油性ゲル化剤のうち、パルミチン酸デキストリンなどのデキストリンの脂肪酸エステル、特にChiba Flour社によってRheopearl TL(登録商標)またはRheopearl KL(登録商標)という名称で販売されているものを挙げることもできる。
【0389】
US-A-5 874 069、US-A-5 919 441、US-A-6 051 216およびUS-A-5 981 680の文献中に記載されているものなどのポリオルガノシロキサンタイプのシリコーンポリアミドを用いることも可能である。
【0390】
これらのシリコーンポリマーは、以下の2つのファミリーに属し得る。すなわち、
水素相互作用を確立することのできる少なくとも2個の基を含むポリオルガノシロキサン(これら2個の基は、ポリマー鎖に位置する)および/または
水素相互作用を確立することのできる少なくとも2個の基を含むポリオルガノシロキサン(これら2個の基は、グラフトまたは分枝上に位置する)である。
【0391】
充填剤:
本発明による組成物は、少なくとも1種の充填剤を含むことができる。
【0392】
本発明の目的では、「充填剤」という用語は、組成物の脂肪物質すべての融点までであり得る温度であっても不溶性の形態であり、組成物の媒質中で分散される、任意の形態の固体粒子を意味する。
【0393】
一般に、本発明に従って用いられる充填剤は、無色または白色、すなわち、無色素性であり、すなわち、充填剤は、これらの使用によりこのような結果を本質的にもたらし得る場合でも、本発明による組成物に特定の色または陰影を与えるために用いられない。これらの充填剤は、組成物のレオロジーまたはテクスチャーを改変するために特に役立つ。
【0394】
この点において、充填剤は、真珠層、例えば、カーボンブラック、D&C型顔料、およびコチニールカルミンベースのレーキまたはバリウム、ストロンチウム、カルシウムもしくはアルミニウムベースのレーキなどの有機色素性材料、ならびに例えば、二酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウム、また酸化鉄(黒色、黄色または赤色)、酸化クロム、マンガンバイオレット、群青、水酸化クロムおよびフェリックブルーなどの無機色素性材料と異なり、それら自体、これらを取り込む組成物に陰影および着色を与えるために用いられる。
【0395】
本発明の目的では、かかる化合物は、充填剤の定義によって包含されず、したがって、有機または無機であってもよい無色素性充填剤を包含する。
【0396】
本発明による組成物に用いられる無色素性充填剤は、層状の形態、粒状の形態または球状の形態、繊維タイプ、またはこれらの定義された形態間の任意の中間物であってもよい。
【0397】
粒子のサイズ、すなわち、これらの粒径分析は、本発明による組成物中の充填剤の良好な分散を確実にするために選択される。粒子の粒径分析は、5μmから10nm、詳細には10μmから10nmの範囲内で分布し得る。
【0398】
本発明による充填剤は、表面コーティング、特にシリコーン、アミノ酸、フルオロ誘導体または組成物中の充填剤の分散および相溶性を促進する任意の他の物質での表面処理をしていてもよく、またはしていなくてもよい。
【0399】
鉱物充填剤
本発明の目的では、「鉱物」および「無機」という用語は、同義的に用いることができる。
【0400】
本発明による組成物に用いることができる無色素性鉱物充填剤のうち、タルク、雲母、シリカ、World Minerals Europe社によってPerlite P1430、Perlite P2550またはPerlite P204という商品名で特に市販されているパーライト、カオリン、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、中空シリカミクロスフェア(MaprecosによるSilica Beads(登録商標))、およびガラスまたはセラミックマイクロカプセル、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。
【0401】
一実施形態によれば、本発明による化粧用組成物は、カオリン、タルク、シリカ、パーライトおよび粘土、ならびにこれらの混合物を含む群から選択される少なくとも1種の無色素性鉱物充填剤を含む。
【0402】
有機充填剤
挙げることができる有機充填剤のうち、ポリアミド粉末(AtochemによるOrgasol(登録商標)Nylon(登録商標))、ポリ-β-アラニン粉末およびポリエチレン粉末、ラウロイルリシン、デンプン、テトラフルオロエチレンポリマー粉末(Teflon(登録商標))、例えば、Expancel(登録商標)(Nobel Industrie)などのポリ塩化ビニリデン/アクリロニトリルのものまたはアクリル酸コポリマー(Polytrap(Dow Corning)など)のものなどの中空ポリマーミクロスフェア、アクリレートコポリマー、PMMA、12-ヒドロキシステアリン酸オリゴマーステアレートおよびシリコーン樹脂ミクロビーズ(例えば、ToshibaによるTospearls(登録商標))、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、および8個から22個の炭素原子、好ましくは12個から18個の炭素原子を含む有機カルボン酸に由来する金属石けん、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛またはミリスチン酸マグネシウム、およびそれらの混合物である。
【0403】
本発明の目的では、有機充填剤は顔料と異なる。
【0404】
これらはまた、コポリマーを含む粒子であってもよく、前記コポリマーは、トリメチロールヘキシルラクトンを含む。具体的には、これらは、ヘキサメチレンジイソシアネート/トリメチロールヘキシルラクトンコポリマーであってもよい。かかる粒子は、例えば、Toshiki社によるPlastic Powder D-400(登録商標)またはPlastic Powder D-800(登録商標)という名称で特に市販されている。
【0405】
一実施形態によれば、本発明の組成物は、タルク、シリカ、デンプン、粘土、カオリンおよびパーライト、ならびにこれらの混合物から選択される少なくとも1種の充填剤を含む。
【0406】
1種または複数の分散剤は、必要な場合、分散した充填剤または粒子を凝集またはフロキュレーションから保護するために用いることができる。これらは、固体充填剤もしくは粒子または粒子のコロイド状分散の形態に関係なく加えることができる。
【0407】
分散剤の濃度は、(フロキュレーションなしの)固体粒子の満足できる分散を得るように選択される。
【0408】
この分散剤は、分散される粒子の表面に対して強力な親和性を有する1つまたは複数の官能基を有する界面活性剤、オリゴマー、ポリマーまたはそれらのいくつかの混合物であってもよい。具体的には、ポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)エステルは、Avecia社によってSolsperse 21 000(登録商標)という名称で販売されている製品などの分子量約750g/molを有するポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)ステアレート、Henkel社によってDehymuls PGPH(登録商標)という参照で販売されているジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-2(CTFA名)(またはポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)ジグリセリル)、あるいはUniqema社によってArlacel P100の参照で販売されている製品などのポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)などのグリセロールまたはジグリセロールなどのポリオールを有するポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)のエステル、およびそれらの混合物が用いられる。
【0409】
本発明の組成物に用いることができる他の分散剤として、例えば、Avecia社によって販売されているSolsperse 17 000(登録商標)などの重縮合された脂肪酸の第四級アンモニウム誘導体およびDow Corning社によってDC2-5185およびDC2-5225 Cという参照で販売されているものなどのポリジメチルシロキサン/オキシプロピレンの混合物を挙げることができる。
【0410】
追加の一般的な化粧成分
本発明による組成物は、任意の一般的な化粧成分を含むこともでき、これらは、皮膜形成ポリマー、酸化防止剤、香料、保存剤、中和剤、界面活性剤、日焼け止め、ビタミン、保湿剤、セルフタンニング化合物、抗シワ活性剤、皮膚軟化剤、親水性もしくは親油性活性剤、フリーラジカルスカベンジャー、脱臭剤、金属イオン封鎖剤、皮膜形成剤および半結晶性のポリマー、およびそれらの混合物から特に選択することができる。
【0411】
言うまでもなく、当業者は、本発明による組成物の有利な特性が、想定される添加により望ましくない影響を受けないまたは実質的に受けないように、注意して任意選択の追加成分および/またはその量を選択するであろう。
【0412】
本発明による組成物は、化粧用組成物のための任意の一般に許容される形態とすることができる。したがって、これらは、懸濁液または分散液の形態、特にベシクルによる水中油型の形態;任意選択により増粘した、さらにはゲル状の有機もしくは油性溶液;水中油型、油中水型または複数の乳剤;ゲル剤またはムース;油性のまたは乳化したゲル剤;ベシクルの分散液、特に脂質ベシクル;2相もしくは多相のローション剤;スプレー剤;ローション剤、クリーム剤、ポマード、軟質のペースト、軟膏剤、固体のまたは特にスティックとしてもしくは皿の中に流し込んだまたはその中で成形した固形物、または圧縮された固形物の形態であってもよい。
【0413】
当業者は、適切な生薬の形態、また当業者の一般的な知識に基づいて、第1に、用いる構成物の性質、特に支持体におけるこれらの溶解性、第2に、組成物の意図される使用を考慮し、それを調製する方法を選択することができる。
【0414】
好ましくは、本発明による組成物は、組成物の合計重量に対して水3重量%未満、さらに良好には1重量%未満を含む。さらにより好ましくは、組成物は、完全に無水である。「無水」という用語は、水が好ましくは組成物に意図的に添加されないが、組成物に用いられる様々な化合物中において微量で存在し得ることを特に意味している。
【0415】
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、口紅である。
【0416】
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、25℃で液体形態であり、リップグロスなどである。
【0417】
他の実施形態によれば、組成物は、25℃で固体の形態である。好ましくは、本実施形態によれば、組成物は、好ましくは、ろうから選択される、少なくとも1種の固形脂肪物質を含む。口紅の場合では、例えば1本の口紅または皿の中に流し込んだ口紅であってもよい。
【0418】
「固体」という用語は、以下のプロトコールに従って測定された硬度が、20℃の温度および大気圧(760mmHg)で30Nm-1以上である組成物を意味する。
【0419】
硬度を測定するためのプロトコール
組成物の硬度は、以下のプロトコールに従って測定される。
【0420】
口紅のスティックを、硬度を測定する24時間前に20℃で貯蔵する。
【0421】
硬度は、直径250μmの硬質タングステンワイヤで、速度100mm/分でスティックに対してワイヤを移動させることにより、好ましくは円柱である生成物のワンドを横方向に切断するものである「チーズワイヤ(cheese wire)」法によって20℃で測定することができる。
【0422】
Nm-1で表される、本発明の組成物のサンプルの硬度を、Indelco-Chatillon社によるDFGHS2引張試験機を用いて測定する。
【0423】
測定を、3回繰り返し、次いで平均する。3つの値の平均値を、Yがグラムとして示されることに留意し、上記引張試験機を用いて読み取る。この平均値を、ニュートンに変換し、ワイヤが通過する最も長い距離を表すLで除する。円柱状のワンドの場合では、Lは、直径(メートルで)に等しい。
【0424】
硬度を、以下の式によってNm-1に変換する。
(Y×10-3×9.8)/L
【0425】
異なる温度における測定の場合、スティックは、測定前にこの新しい温度で24時間貯蔵される。
【0426】
本発明による組成物は、皮膚、まつげ、眉毛、爪または唇などのケラチン質をケアまたはメーキャップするために、より詳細には、唇、まつげおよび/または顔をメーキャップするために用いることができる。
【0427】
したがって、これらは、身体もしくは顔の皮膚、唇、まつげ、眉毛または爪のためのケアおよび/またはメーキャップ製品;日焼け止め、またはセルフタンニング製品の形態とすることができ;これらは、有利には、メーキャップ組成物、特にマスカラ、アイライナー、口紅、リップグロス、フェイスパウダー、アイシャドー、ファンデーション、マニキュア液(nail varnish)またはネイルケア製品の形態とすることができる。
【0428】
本発明の対象はまた、前もって定義された化粧用組成物のケラチン質への適用を含む、前記ケラチン質、特に、身体もしくは顔の皮膚、唇、爪、および/またはまつげを処置するための化粧方法である。
【0429】
本発明による本方法によって、特に、本発明による組成物、特に口紅、リップグロス、ネイルケア製品またはマニキュア液を適用することにより、前記ケラチン質、詳細には唇および/または爪をケアまたはメーキャップすることが可能になる。
【0430】
本発明を、以下の調製例においてより詳細に例示する。
【0431】
(実施例)
(実施例1〜4)
液状口紅
以下の液状口紅組成物を調製した。
【0432】
【表3】
【0433】
調製プロトコール
第1段階では、顔料を、三本ロール練り機において油相の一部を粉砕する。
【0434】
次いで、脂溶性成分の残りを、Rayneriブレンダーを用いて撹拌しながら(組成物中に存在する固体脂肪物質(ペーストまたはろう)の融点を超える)約50℃の温度で共に混合する。
【0435】
次いで、粉砕した材料を混合物に加え、撹拌して十分にホモジナイズする。次いで、液体を室温まで放冷し、アプリケーターを有する加熱バッグ中で調整する。
【0436】
本発明による組成物1から4について、唇に適用後、組成物1および2では非粘着性沈着物を形成し、組成物3および4では低粘着性の沈着物を形成し、組成物1から4のそれぞれについて、沈着物は、適用直後および適用の1時間後に非常に光沢がある。
【0437】
(実施例5〜8)
液状口紅
以下の液状口紅組成物を調製した。
【0438】
【表4】
【0439】
調製プロトコール
第1段階では、顔料を、三本ロール練り機において油相の一部を粉砕する。
【0440】
次いで、脂溶性成分の残りを、Rayneriブレンダーを用いて撹拌しながら(組成物中に存在する固体脂肪物質(ペーストまたはろう)の融点を超える)約50℃の温度で共に混合する。
【0441】
次いで、粉砕した材料を混合物に加え、撹拌して十分にホモジナイズする。次いで、液体を室温まで放冷し、アプリケーターを有する加熱バッグ中で調整する。
【0442】
唇に適用後、本発明による組成物5および6は、非粘着性沈着物を形成し、組成物7および8は、低粘着性の沈着物を形成し、組成物5から8のそれぞれについて、沈着物は、適用直後および適用の1時間後に非常に光沢がある。
【0443】
(比較例9〜12)
液状口紅
以下の液状口紅組成物を調製した。
【0444】
【表5】
【0445】
調製プロトコール
第1段階では、顔料を、三本ロール練り機において油相の一部を粉砕する。
【0446】
次いで、脂溶性成分の残りを、Rayneriブレンダーを用いて撹拌しながら(組成物中に存在する固体脂肪物質(ペーストまたはろう)の融点を超える)約50℃の温度で共に混合する。
【0447】
次いで、粉砕した材料を混合物に加え、撹拌して十分にホモジナイズする。次いで、液体を室温まで放冷し、アプリケーターを有する加熱バッグ中で調整する。
【0448】
唇に適用後、本発明による比較組成物9から13は、適用直後および適用の1時間後に光沢があるが粘着性の沈着物、さらには非常に粘着性の沈着物を形成する。
【0449】
実施例1から12を、組成物1から12において同じ重量で化合物12を化合物9に置き換え、2-ヘキシルデカノール油(Jarcol I-16)を用いて、前もって調製した超分子化合物9で繰り返した。化合物12で得られた結果に類似の結果を、それぞれの実施例のための超分子化合物と組み合わせて配合したそれぞれの油について得た、すなわち、極性油で得られた組成物は、シリコーン油および無極性の炭化水素ベースの油を用いて得られた組成物と違って、非常に粘着性である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品学的に許容される媒体中に、
(i)OHおよびNH2から選択される、少なくとも1個の求核反応性官能基を有する少なくとも1種の油と、
1個または複数のパートナー連結基と水素結合を確立することができる少なくとも1個の連結基であって、連結基の各対形成が少なくとも3個の水素結合を伴い、前記連結基が、前記油が有する前記反応性官能基と反応することができる少なくとも1個のイソシアネートまたはイミダゾール反応性官能基を有し、前記連結基が、式(I)または(II)の少なくとも1つの単位もまた含む、連結基:
【化1】
[式中、
R1およびR3は、同一でも、または異なっていてもよく、(i)直鎖状または分枝状のC1〜C32アルキル基、(ii)C4〜C16シクロアルキル基、および(iii)C4〜C16アリール基から選択される2価の炭素ベースの基(O、N、S、F、Si、およびPから選択される1個から8個のヘテロ原子を任意選択により含み;かつ/または、エステルもしくはアミド官能基で、またはC1〜C12アルキル基で任意選択により置換されている)、またはこれらの基の混合物を表し、
R2は、水素原子、または直鎖状、分枝状、もしくは環状の、飽和もしくは不飽和の、任意選択により芳香族の、C1〜C32炭素ベースの、特に炭化水素ベースの基を表し、これは、O、N、S、F、Si、およびPから選択される1個または複数のヘテロ原子を含んでいてもよい]と
の間の反応によって得ることができる超分子化合物
(ii)無極性の炭化水素ベースの油およびシリコーン油から選択される少なくとも1種の油、
(iii)少なくとも1つの色素、
を含む、ケラチン質をメーキャップおよび/またはケアするための化粧用組成物。
【請求項2】
前記反応性官能基を有する油が、単独でまたは混合物として、
(i)6個から50個の炭素原子を含み、1個または複数のOHを含み、1個または複数のNH2を任意選択により含む、直鎖状、分枝状、または環状の、飽和または不飽和の脂肪アルコール、
(ii)少なくとも1個の遊離のOH基を有するエステルおよびエーテル、特に多価アルコールの部分エステルおよびエーテル、ならびにヒドロキシル化カルボン酸エステル、
(iii)ヒドロキシル化されている天然油、変性天然油、および植物油
から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記反応性官能基を有する油が、単独でまたは混合物として、
飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のC6〜C50、特にC6〜C32、とりわけC8〜C28モノアルコール、特に、イソステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、イソパルミトイルアルコール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-オクチルデカノール、2-オクチルドデカノール、2-オクチルテトラデカノール、2-デシルテトラデカノール、および2-ドデシルヘキサデカノール、
飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のC6〜C50、特にC6〜C40、とりわけC8〜C38ジオール、特に分枝状C32〜C36ジオール、
飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のC6〜C50、特にC6〜C32、とりわけC8〜C28トリオール、特にフィタントリオール(phytanetriol)、
ペンタエリスリトール部分エステル、特にアジピン酸ペンタエリスリチル、カプリン酸ペンタエリスリチル、コハク酸ペンタエリスリチル、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル、トリイソノナン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸ペンタエリスリチル、2-(テトラデシル)-テトラデカン酸ペンタエリスリチル、(テトラエチル)ヘキサン酸ペンタエリスリチル、および(テトラオクチル)ドデカン酸ペンタエリスリチル、
ジペンタエリスリトールジエステル、トリエステル、テトラエステル、またはペンタエステル、特にペンタイソノナン酸ジペンタエリスリチル、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、およびトリス(ポリヒドロキシステアリン酸)ジペンタエリスリチル、
トリメチロールプロパンモノエステルおよびジエステル、例えば、モノイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジイソステアリン酸トリメチロールプロパン、モノ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、およびビス(2-エチルヘキサン酸)トリメチロールプロパン、
ビス(トリメチロールプロパン)モノエステル、ジエステル、およびトリエステル、例えば、ジイソステアリン酸ビス(トリメチロールプロパン)、トリイソステアリン酸ビス(トリメチロールプロパン)、およびトリエチルヘキサン酸ビス(トリメチロールプロパン)、
グリセロールの、またはポリグリセロールの部分モノエステルまたはポリエステル、特に
ジイソステアリン酸グリセリル、およびジイソノナン酸グリセリル、
例えば、イソステアリン酸、2-エチルヘキサン酸、および/またはイソノナン酸との、ポリグリセロール-2モノエステル、ジエステル、およびトリエステル、特にイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ノナン酸ポリグリセリル-2、
例えば、イソステアリン酸、2-エチルヘキサン酸、および/またはイソノナン酸のいずれかとの、ポリグリセロール-3モノエステル、ジエステル、トリエステル、またはテトラエステル、特にイソステアリン酸ポリグリセリル-3、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-3、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル-3、ノナン酸ポリグリセリル-3、
ポリグリセリル-10部分エステル、とりわけノナイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ノナン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-10、
プロピレングリコールモノエステル、例えば、モノイソステアリン酸プロピレングリコール、ネオペンタン酸プロピレングリコール、またはモノオクタン酸プロピレングリコール、
ジオールダイマーモノエステル、例えば、イソステアリルダイマージリノレート、およびオクチルドデシルダイマージリノレート、
グリセロールエーテル、例えば、ポリグリセリル-2オレイルエーテル、ポリグリセリル-3セチルエーテル、ポリグリセリル-3デシルテトラデシルエーテル、およびポリグリセリル-2ステアリルエーテル、
ヒドロキシル化モノカルボン酸、ジカルボン酸、またはトリカルボン酸とモノアルコールとのエステル、とりわけ、
12-ヒドロキシステアリン酸のエステル、特にモノエステル;例えば、ヒドロキシステアリン酸オクチル、およびヒドロキシステアリン酸2-オクチルドデシル(1から10までの重合度を特に有し、少なくとも1個の残存OHを有する、対応するオリゴマーのポリヒドロキシステアレートを挙げることができる)、
乳酸エステル、特にC4〜40乳酸アルキル、例えば、乳酸2-エチルヘキシル、乳酸ジイソステアリル、乳酸イソステアリル、乳酸イソノニル、または乳酸2-オクチルドデシル、
リンゴ酸エステル、特に、C4〜40リンゴ酸アルキル、例えば、リンゴ酸ビス(2-エチルヘキシル)、リンゴ酸ジイソステアリル、またはリンゴ酸ビス(2-オクチルドデシル)、
クエン酸エステル、特に、C4〜40クエン酸アルキル、例えば、クエン酸トリイソステアリル、クエン酸トリイソセチル、およびクエン酸トリイソアラキジル、
1個または複数のOHを有するトリグリセリルエステル、
水素化または非水素化ヒマシ油、およびさらにヒマシ油のエステル交換反応によって特に得られるその誘導体、
変性エポキシ化油(変性は、ジオールを得るためのエポキシ官能基の開環にある)、特にヒドロキシル化変性ダイズ油;ヒドロキシル化ダイズ油(直接的なヒドロキシル化、または予めエポキシ化されている)
から選択される、請求項1または2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項4】
前記油が光沢のある油、すなわち25℃で1.46以上の屈折率を有する油である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記油が、150g/molから6000g/molの間の、特に170g/molから4000g/molの間の、またはさらには180g/molから2000g/molの間の、優先的には200g/molから1500g/molの間の、さらに良好には220g/molから800g/molの間のモル質量(Mw)を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記反応性官能基を有する油が、
6個から50個の炭素原子を含み、1個または複数のOHを含み; 1個または複数のNH2を任意選択により含む、直鎖状、分枝状、または環状の、飽和または不飽和の脂肪アルコール、例えば、飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のC6〜C50、特にC6〜C32、とりわけC8〜C28モノアルコール、特に、イソステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、イソパルミトイルアルコール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-オクチルデカノール、2-オクチルドデカノール、2-オクチルテトラデカノール、2-デシルテトラデカノール、および2-ドデシルヘキサデカノール、
ヒドロキシル化ジカルボン酸の、とりわけリンゴ酸のモノアルコールとのエステル、特にC4〜C40リンゴ酸アルキル、例えば、リンゴ酸2-ジエチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル、およびリンゴ酸2-ジオクチルドデシル、
から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記連結基において、R1基が、
直鎖状または分枝状の、2価のC2〜C12アルキレン基、特に、1,2-エチレン、1,6-ヘキシレン、1,4-ブチレン、1,6-(2,4,4-トリメチルへキシレン)、1,4-(4-メチルペンチレン)、1,5-(5-メチルヘキシレン)、1,6-(6-メチルヘプチレン)、1,5-(2,2,5-トリメチルへキシレン)、または1,7-(3,7-ジメチルオクチレン)基、
特に以下の基:-イソホロン-、トリレン、2-メチル-1,3-フェニレン、4-メチル-1,3-フェニレン、4,4'-メチレンビスシクロヘキシレン、4,4-ビスフェニレンメチレンから選択される、または
【化2】
の構造の、2価のC4〜C12シクロアルキレンまたはアリーレン基
を表す、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記連結基において、R2基がH、または代替として:
C1〜C32、とりわけC1〜C16、もしくはさらにはC1〜C10アルキル基、
C4〜C12シクロアルキル基、
C4〜C12アリール基、
(C4〜C12)アリール(C1〜C18)アルキル基、
C1〜C4アルコキシ基、
アリールアルコキシ基、とりわけアリール(C1〜C4)アルコキシ基、
C4〜C12複素環、
または、アミノ、エステル、および/もしくはヒドロキシル官能基で任意選択により置換されていてもよい、これらの基の組合せ
を表す、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記連結基において、R3基が2価の基-R'3-O-C(O)-NH-R'4-(式中、R'3およびR'4は、同一でも、または異なっていてもよく、直鎖状または分枝状のC1〜C32アルキル基、C4〜C16シクロアルキル基、およびC4〜C16アリール基から選択される2価の炭素ベースの基またはその混合物を表す)を表す、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記連結基において、
(a)式(I)において、
R1=-イソホロン-、およびR2=メチル、
R1=-(CH2)6-、およびR2=メチル、
R1=-(CH2)6-、およびR2=イソプロピル、または
R1=4,4'-メチレンビスシクロヘキシレン、およびR2=メチル、
が存在し、または代替として、
(b)式(II)において、R1が、-イソホロン-基、R2=メチル、およびR3=-(CH2)2OCO-NH-イソホロン-を表す、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記連結基が、式:
【化3】
または式:
【化4】
(式中、R1、R2、およびR3は請求項1から10のいずれか一項において規定した通りである)を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記連結基が以下の群:
【化5】
から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記超分子化合物が以下の構造:
【化6−1】
【化6−2】
【化6−3】
に対応するものから選択される、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記超分子化合物の数平均分子量(Mn)が、180から8000の間、好ましくは200から6000、またはさらには300から4000まで、さらに良好には400から3000まで、優先的には500から1500までである、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物中に存在する前記超分子化合物の量が、組成物の合計重量に対して、5重量%から95重量%の間、好ましくは10重量%から95重量%の間、さらに良好に好ましくは20重量%から90重量%の間である、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記油が、
i)フェニルシリコーン油、とりわけ以下の式(VII)または(VIII)のもの:
【化7】
[式中、
R1からR6は、互いに独立に、飽和または不飽和の、直鎖状、環状、または分枝状のC1〜C30炭化水素ベースの基であり、
m、n、およびpは、互いに独立に、n+mの合計が1から100の間であるという条件で、0から100の間の整数である]
【化8】
[式中、
R基は、互いに独立に、メチルまたはフェニルを表す]、
ii)直鎖状または環状のポリジメチルシロキサン(PDMS)、
iii)ペンダントであり、および/またはシリコーン鎖の末端の、アルキル基またはアルコキシ基を含むポリジメチルシロキサン(これらの基は2個から24個の炭素原子を各々含んでいる)
から選択されるシリコーン油であることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記油が、
ポリブチレン、
水素化ポリイソブチレン、
ポリデセン、および水素化ポリデセン、
7個から16個の炭素原子を含んでいる炭化水素ベースの揮発油、およびこれらの混合物、特に7個から15個の炭素原子を含んでいる分枝状C8〜C16アルカンおよび直鎖状アルカン、およびこれらの混合物、ならびに
これらの混合物
から選択される無極性の炭化水素ベースの油であることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
無極性の炭化水素ベースの油およびシリコーン油から選択される前記油が、組成物の合計重量に対して0.5重量%から70重量%の範囲の、好ましくは、組成物の合計重量に対して3重量%から50重量%の範囲、さらに良好には5重量%から40重量%の範囲の合計含量で存在することを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
身体もしくは顔の皮膚、唇、まつげ、眉毛、または爪をケアおよび/もしくはメーキャップするための組成物;日焼け止め、またはセルフタンニング製品の形態の、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
ケラチン質、特に身体もしくは顔の皮膚、唇、爪、および/またはまつげを処置するための化粧方法であって、請求項1から19のいずれか一項に記載の化粧用組成物の前記ケラチン質への適用を含む、方法。
【請求項1】
化粧品学的に許容される媒体中に、
(i)OHおよびNH2から選択される、少なくとも1個の求核反応性官能基を有する少なくとも1種の油と、
1個または複数のパートナー連結基と水素結合を確立することができる少なくとも1個の連結基であって、連結基の各対形成が少なくとも3個の水素結合を伴い、前記連結基が、前記油が有する前記反応性官能基と反応することができる少なくとも1個のイソシアネートまたはイミダゾール反応性官能基を有し、前記連結基が、式(I)または(II)の少なくとも1つの単位もまた含む、連結基:
【化1】
[式中、
R1およびR3は、同一でも、または異なっていてもよく、(i)直鎖状または分枝状のC1〜C32アルキル基、(ii)C4〜C16シクロアルキル基、および(iii)C4〜C16アリール基から選択される2価の炭素ベースの基(O、N、S、F、Si、およびPから選択される1個から8個のヘテロ原子を任意選択により含み;かつ/または、エステルもしくはアミド官能基で、またはC1〜C12アルキル基で任意選択により置換されている)、またはこれらの基の混合物を表し、
R2は、水素原子、または直鎖状、分枝状、もしくは環状の、飽和もしくは不飽和の、任意選択により芳香族の、C1〜C32炭素ベースの、特に炭化水素ベースの基を表し、これは、O、N、S、F、Si、およびPから選択される1個または複数のヘテロ原子を含んでいてもよい]と
の間の反応によって得ることができる超分子化合物
(ii)無極性の炭化水素ベースの油およびシリコーン油から選択される少なくとも1種の油、
(iii)少なくとも1つの色素、
を含む、ケラチン質をメーキャップおよび/またはケアするための化粧用組成物。
【請求項2】
前記反応性官能基を有する油が、単独でまたは混合物として、
(i)6個から50個の炭素原子を含み、1個または複数のOHを含み、1個または複数のNH2を任意選択により含む、直鎖状、分枝状、または環状の、飽和または不飽和の脂肪アルコール、
(ii)少なくとも1個の遊離のOH基を有するエステルおよびエーテル、特に多価アルコールの部分エステルおよびエーテル、ならびにヒドロキシル化カルボン酸エステル、
(iii)ヒドロキシル化されている天然油、変性天然油、および植物油
から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記反応性官能基を有する油が、単独でまたは混合物として、
飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のC6〜C50、特にC6〜C32、とりわけC8〜C28モノアルコール、特に、イソステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、イソパルミトイルアルコール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-オクチルデカノール、2-オクチルドデカノール、2-オクチルテトラデカノール、2-デシルテトラデカノール、および2-ドデシルヘキサデカノール、
飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のC6〜C50、特にC6〜C40、とりわけC8〜C38ジオール、特に分枝状C32〜C36ジオール、
飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のC6〜C50、特にC6〜C32、とりわけC8〜C28トリオール、特にフィタントリオール(phytanetriol)、
ペンタエリスリトール部分エステル、特にアジピン酸ペンタエリスリチル、カプリン酸ペンタエリスリチル、コハク酸ペンタエリスリチル、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル、トリイソノナン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸ペンタエリスリチル、2-(テトラデシル)-テトラデカン酸ペンタエリスリチル、(テトラエチル)ヘキサン酸ペンタエリスリチル、および(テトラオクチル)ドデカン酸ペンタエリスリチル、
ジペンタエリスリトールジエステル、トリエステル、テトラエステル、またはペンタエステル、特にペンタイソノナン酸ジペンタエリスリチル、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、およびトリス(ポリヒドロキシステアリン酸)ジペンタエリスリチル、
トリメチロールプロパンモノエステルおよびジエステル、例えば、モノイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジイソステアリン酸トリメチロールプロパン、モノ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、およびビス(2-エチルヘキサン酸)トリメチロールプロパン、
ビス(トリメチロールプロパン)モノエステル、ジエステル、およびトリエステル、例えば、ジイソステアリン酸ビス(トリメチロールプロパン)、トリイソステアリン酸ビス(トリメチロールプロパン)、およびトリエチルヘキサン酸ビス(トリメチロールプロパン)、
グリセロールの、またはポリグリセロールの部分モノエステルまたはポリエステル、特に
ジイソステアリン酸グリセリル、およびジイソノナン酸グリセリル、
例えば、イソステアリン酸、2-エチルヘキサン酸、および/またはイソノナン酸との、ポリグリセロール-2モノエステル、ジエステル、およびトリエステル、特にイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ノナン酸ポリグリセリル-2、
例えば、イソステアリン酸、2-エチルヘキサン酸、および/またはイソノナン酸のいずれかとの、ポリグリセロール-3モノエステル、ジエステル、トリエステル、またはテトラエステル、特にイソステアリン酸ポリグリセリル-3、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-3、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル-3、ノナン酸ポリグリセリル-3、
ポリグリセリル-10部分エステル、とりわけノナイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ノナン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-10、
プロピレングリコールモノエステル、例えば、モノイソステアリン酸プロピレングリコール、ネオペンタン酸プロピレングリコール、またはモノオクタン酸プロピレングリコール、
ジオールダイマーモノエステル、例えば、イソステアリルダイマージリノレート、およびオクチルドデシルダイマージリノレート、
グリセロールエーテル、例えば、ポリグリセリル-2オレイルエーテル、ポリグリセリル-3セチルエーテル、ポリグリセリル-3デシルテトラデシルエーテル、およびポリグリセリル-2ステアリルエーテル、
ヒドロキシル化モノカルボン酸、ジカルボン酸、またはトリカルボン酸とモノアルコールとのエステル、とりわけ、
12-ヒドロキシステアリン酸のエステル、特にモノエステル;例えば、ヒドロキシステアリン酸オクチル、およびヒドロキシステアリン酸2-オクチルドデシル(1から10までの重合度を特に有し、少なくとも1個の残存OHを有する、対応するオリゴマーのポリヒドロキシステアレートを挙げることができる)、
乳酸エステル、特にC4〜40乳酸アルキル、例えば、乳酸2-エチルヘキシル、乳酸ジイソステアリル、乳酸イソステアリル、乳酸イソノニル、または乳酸2-オクチルドデシル、
リンゴ酸エステル、特に、C4〜40リンゴ酸アルキル、例えば、リンゴ酸ビス(2-エチルヘキシル)、リンゴ酸ジイソステアリル、またはリンゴ酸ビス(2-オクチルドデシル)、
クエン酸エステル、特に、C4〜40クエン酸アルキル、例えば、クエン酸トリイソステアリル、クエン酸トリイソセチル、およびクエン酸トリイソアラキジル、
1個または複数のOHを有するトリグリセリルエステル、
水素化または非水素化ヒマシ油、およびさらにヒマシ油のエステル交換反応によって特に得られるその誘導体、
変性エポキシ化油(変性は、ジオールを得るためのエポキシ官能基の開環にある)、特にヒドロキシル化変性ダイズ油;ヒドロキシル化ダイズ油(直接的なヒドロキシル化、または予めエポキシ化されている)
から選択される、請求項1または2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項4】
前記油が光沢のある油、すなわち25℃で1.46以上の屈折率を有する油である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記油が、150g/molから6000g/molの間の、特に170g/molから4000g/molの間の、またはさらには180g/molから2000g/molの間の、優先的には200g/molから1500g/molの間の、さらに良好には220g/molから800g/molの間のモル質量(Mw)を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記反応性官能基を有する油が、
6個から50個の炭素原子を含み、1個または複数のOHを含み; 1個または複数のNH2を任意選択により含む、直鎖状、分枝状、または環状の、飽和または不飽和の脂肪アルコール、例えば、飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のC6〜C50、特にC6〜C32、とりわけC8〜C28モノアルコール、特に、イソステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、イソパルミトイルアルコール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-オクチルデカノール、2-オクチルドデカノール、2-オクチルテトラデカノール、2-デシルテトラデカノール、および2-ドデシルヘキサデカノール、
ヒドロキシル化ジカルボン酸の、とりわけリンゴ酸のモノアルコールとのエステル、特にC4〜C40リンゴ酸アルキル、例えば、リンゴ酸2-ジエチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル、およびリンゴ酸2-ジオクチルドデシル、
から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記連結基において、R1基が、
直鎖状または分枝状の、2価のC2〜C12アルキレン基、特に、1,2-エチレン、1,6-ヘキシレン、1,4-ブチレン、1,6-(2,4,4-トリメチルへキシレン)、1,4-(4-メチルペンチレン)、1,5-(5-メチルヘキシレン)、1,6-(6-メチルヘプチレン)、1,5-(2,2,5-トリメチルへキシレン)、または1,7-(3,7-ジメチルオクチレン)基、
特に以下の基:-イソホロン-、トリレン、2-メチル-1,3-フェニレン、4-メチル-1,3-フェニレン、4,4'-メチレンビスシクロヘキシレン、4,4-ビスフェニレンメチレンから選択される、または
【化2】
の構造の、2価のC4〜C12シクロアルキレンまたはアリーレン基
を表す、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記連結基において、R2基がH、または代替として:
C1〜C32、とりわけC1〜C16、もしくはさらにはC1〜C10アルキル基、
C4〜C12シクロアルキル基、
C4〜C12アリール基、
(C4〜C12)アリール(C1〜C18)アルキル基、
C1〜C4アルコキシ基、
アリールアルコキシ基、とりわけアリール(C1〜C4)アルコキシ基、
C4〜C12複素環、
または、アミノ、エステル、および/もしくはヒドロキシル官能基で任意選択により置換されていてもよい、これらの基の組合せ
を表す、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記連結基において、R3基が2価の基-R'3-O-C(O)-NH-R'4-(式中、R'3およびR'4は、同一でも、または異なっていてもよく、直鎖状または分枝状のC1〜C32アルキル基、C4〜C16シクロアルキル基、およびC4〜C16アリール基から選択される2価の炭素ベースの基またはその混合物を表す)を表す、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記連結基において、
(a)式(I)において、
R1=-イソホロン-、およびR2=メチル、
R1=-(CH2)6-、およびR2=メチル、
R1=-(CH2)6-、およびR2=イソプロピル、または
R1=4,4'-メチレンビスシクロヘキシレン、およびR2=メチル、
が存在し、または代替として、
(b)式(II)において、R1が、-イソホロン-基、R2=メチル、およびR3=-(CH2)2OCO-NH-イソホロン-を表す、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記連結基が、式:
【化3】
または式:
【化4】
(式中、R1、R2、およびR3は請求項1から10のいずれか一項において規定した通りである)を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記連結基が以下の群:
【化5】
から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記超分子化合物が以下の構造:
【化6−1】
【化6−2】
【化6−3】
に対応するものから選択される、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記超分子化合物の数平均分子量(Mn)が、180から8000の間、好ましくは200から6000、またはさらには300から4000まで、さらに良好には400から3000まで、優先的には500から1500までである、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物中に存在する前記超分子化合物の量が、組成物の合計重量に対して、5重量%から95重量%の間、好ましくは10重量%から95重量%の間、さらに良好に好ましくは20重量%から90重量%の間である、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記油が、
i)フェニルシリコーン油、とりわけ以下の式(VII)または(VIII)のもの:
【化7】
[式中、
R1からR6は、互いに独立に、飽和または不飽和の、直鎖状、環状、または分枝状のC1〜C30炭化水素ベースの基であり、
m、n、およびpは、互いに独立に、n+mの合計が1から100の間であるという条件で、0から100の間の整数である]
【化8】
[式中、
R基は、互いに独立に、メチルまたはフェニルを表す]、
ii)直鎖状または環状のポリジメチルシロキサン(PDMS)、
iii)ペンダントであり、および/またはシリコーン鎖の末端の、アルキル基またはアルコキシ基を含むポリジメチルシロキサン(これらの基は2個から24個の炭素原子を各々含んでいる)
から選択されるシリコーン油であることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記油が、
ポリブチレン、
水素化ポリイソブチレン、
ポリデセン、および水素化ポリデセン、
7個から16個の炭素原子を含んでいる炭化水素ベースの揮発油、およびこれらの混合物、特に7個から15個の炭素原子を含んでいる分枝状C8〜C16アルカンおよび直鎖状アルカン、およびこれらの混合物、ならびに
これらの混合物
から選択される無極性の炭化水素ベースの油であることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
無極性の炭化水素ベースの油およびシリコーン油から選択される前記油が、組成物の合計重量に対して0.5重量%から70重量%の範囲の、好ましくは、組成物の合計重量に対して3重量%から50重量%の範囲、さらに良好には5重量%から40重量%の範囲の合計含量で存在することを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
身体もしくは顔の皮膚、唇、まつげ、眉毛、または爪をケアおよび/もしくはメーキャップするための組成物;日焼け止め、またはセルフタンニング製品の形態の、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
ケラチン質、特に身体もしくは顔の皮膚、唇、爪、および/またはまつげを処置するための化粧方法であって、請求項1から19のいずれか一項に記載の化粧用組成物の前記ケラチン質への適用を含む、方法。
【公表番号】特表2013−514318(P2013−514318A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543739(P2012−543739)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069841
【国際公開番号】WO2011/073295
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069841
【国際公開番号】WO2011/073295
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】
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