説明

水蒸気または蒸気を用いた基板の処理方法

【課題】基板の処理のための、特に材料の除去、特に有機材料の除去、とりわけ例えば半導体ウエハのような基板からフォトレジスト材料を除去するための代替技術を提供する。
【解決手段】a)処理チャンバー内に、その表面上に材料を有する基板を配置すること;b)液状処理組成物の流れを基板の表面に衝突させるように向けること;及びc)水蒸気の流れを基板の表面に衝突させるように及び/または液状処理組成物に衝突させるように向けること、を含む、基板の処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本明細書にその全体が参照として組み込まれる、2007年5月18日に出願された、発明の名称が「PROCESS FOR TREATMENT OF SUBSTRATES WITH WATER VAPOR OR STEAM」である、米国仮出願第60/930,720号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、水蒸気または蒸気を用いた基板の処理方法に関する。本発明の一態様では、材料(及び好ましくはフォトレジスト材料)が硫酸及び水蒸気を用いて基板から除去される。
【背景技術】
【0003】
エレクトロニクス技術の進歩は、能動部品の搭載密度をこれまで以上に増加させた、例えばシリコンウエハのような基板上に形成される集積回路をもたらす。回路の形成は、連続的な適用、加工、及び基板からの様々な成分の選択的除去によって行われる。様々な組成物が、半導体ウエハ技術において基板から特定の種類の成分を除去するために開発されてきた。例えば、一般に示されるSC−1なる組成物は、約1:1:5の体積比にて(またはいくらか高い希釈割合にて)、NH4OH(29wt%)/H22(30wt%)/水の混合物を含み、概して、粒子を除去するため、及び疎水性シリコンの表面を再酸化するために用いられる。同様に、一般に示されるSC−2なる組成物は、約1:1:5の体積比にて(またはいくらか高い希釈割合にて)、HCl(37wt%)/H22(30wt%)/水の混合物を含み、概して、金属を除去するために用いられる。さらなる組成物は、約2:1〜20:1の体積比にて、H2SO4(98wt%)/H22(30wt%)を含む一般にピランハ(Piranha)組成物と呼ばれるものであり、概して、有機物の不純物またはある種の金属層を除去するために用いられる。
【0004】
フォトレジスト材料は、多くの回路製造プロセスで用いられ、連続相の形成に役立つ。製造プロセスの各工程では、これらのフォトレジスト材料は、好ましくは基板及びその上に形成される構造に実質的な損傷を与えずに、しばしば除去される。フォトレジストは、通常は、例えばn−メチル−ピロリドン(「NMP」)、グリコールエーテル、アミン、またはジメチルスルホキシド(「DMSO」)のような有機溶媒を用いて除去される。別法として、フォトレジスト材料は、例えば硫酸及び過酸化水素のような無機化学薬品を用いて、またはフォトレジストプラズマ灰化(ashing)として一般に知られている反応性気体化学物質を用いて、除去されてきた。米国特許第5,785,875号明細書は、ウエハを無水酸に完全に沈めて湿式酸エッチングを行い、そして加熱した溶媒蒸気を送入しながらチャンバーからエッチング剤を排出することによる、フォトレジスト材料を除去する方法を開示する。該溶媒は、例えばアセトン、アルコール、または他の溶媒であるが、好ましくはイソプロピルアルコールを含んでおり、約50℃〜約100℃の間の範囲に加熱される。従来の湿式化学プロセスは、濃硫酸と、過酸化水素との混合物(Piranhaまたは「Sulfuric−Peroxide Mix」すなわちSPM)またはオゾンとの混合物(sulfuric−ozone mixすなわち「SOM」)によってフォトレジストを除去していた。別法としては、フォトレジストは、脱イオン水に溶解したオゾンを用いることによる、または高められた温度にてオゾンガスと水蒸気とを混合することによる、所定の条件下で除去し得る。
【0005】
特に難しいのは、レジストの表面の硬化をもたらすイオン注入プロセスを施されたパターニングされたフォトレジストの除去である。この注入されたフォトレジストを除去するための方法は、化学的処理の温度を高めることである。さらに、プラズマドープによって基板に適用されたドーパントの除去が、非常に困難であることがある。米国特許出願公開第20070243700号明細書は、ドーパント含有層を、洗浄水、塩素化プラズマ、またはフッ化プラズマにさらすことによって、フォトレジスト層から除去することを示す技法を記述する。
【0006】
基板の処理のための、特に材料の除去、特に有機材料の除去、とりわけ例えば半導体ウエハのような基板からフォトレジスト材料を除去するための、代替技術または組成物を特定することが望ましいと考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
基板に高温の化学物質を適用することは難しい。なぜならば、化学物質を加熱することは、安全性、化学物質の有効性、及び化学物質を収容し且つ取り扱うために用いられる装置の耐久性に関して懸念があるからである。安全性に関しては、潜在的に過酷な、腐食性、及び攻撃性の液体または気体の化学物質の取り扱いは、それだけでいくつかの懸念事項をもたらす。これらの材料を高温まで加熱することだけで懸念を一層大きくする。なぜなら、これらの材料がさらに不安定であり、より大きな量で大気中に漏れやすいからである。さらに、所定の処理化学物質は、より高温において促進される不所望または不慮の反応のために、経時で分解または効果が低下する。最後に、処理化学物質がより高温にてシステムに提供される場合、処理化学物質は、容器、管類、ポンプ等にさらに大きな悪影響を有しがちである。処理される基板に接触する時間にてまたはそれに近い時間にて、処理化学物質に、加熱に使われる高エネルギーを与えることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様において、
a)処理チャンバー内に、その表面上に材料を有する基板を配置すること;
b)液状処理組成物の流れを基板の表面に衝突させるように向けること;及び
c)水蒸気の流れを基板の表面に衝突させるように及び/または液状処理組成物に衝突させるように向けること、
を含む、基板の処理方法を提供する。好ましくは水蒸気の流れは蒸気の形態である。
【0009】
エネルギーは水蒸気の蒸気の形態で提供されるため、処理組成物を、以前は必要であった基板上に投与する前と同じ温度まで予備加熱をする必要がない。好ましい実施態様では、処理組成物は水蒸気と交わって処理活性の改良された利益をもたらす。この実施態様では、十分な水蒸気が存在して処理活性の利益の望ましい向上を達成することを期待してチャンバー内に水蒸気を単に提供するよりもむしろ、基板の表面に衝突及び/または液状処理組成物に衝突する態様で水蒸気の流れを提供することが、必要なところにさらに効果的な水蒸気の投与を提供する。
【0010】
さらに、熱及び/または水蒸気を処理組成物と作用させることは、処理される基板の表面において非常に効果的であり、基板を実際に処理するために必要な時間内で優れた効率をみることができる。特に、本明細書に記載するように改良されたSPMプロセスを用いることによって、フォトレジストの除去において、処理時間の実質的減少をみることもできる。
【0011】
本発明に用いられ得る処理組成物の例には、例えばSC−1組成物(NH4OH/過酸化物/水)、SC−2組成物(HCl/過酸化物/水)、PiranhaまたはSPM組成物(硫酸/過酸化物)、SOM(硫酸/オゾン)組成物、硫酸組成物、緩衝酸化物エッチング(HF及びフッ化アンモニウム)組成物、及びNH4OH、H3PO4、HF、HCl、またはHF/HCl組成物のような、当技術分野で常用の水洗浄系が含まれる。
【0012】
本発明の好ましい処理は、材料、特にフォトレジスト材料の除去である。上で述べたように、硫酸/過酸化物の混合物が湿式化学プロセスに用いられてきた。硫酸及び/またはその脱水種及び前駆体(例えば、三酸化硫黄(SO3))、チオ硫酸(H223)、ペルオキソ硫酸(H2SO5)、ペルオキソ二硫酸(H228)、フルオロ硫酸(HSO3F)、及びクロロ硫酸(HSO3Cl)を、浸漬浴環境内で、フォトレジストを被覆した基板に適用することは、たとえ高温であっても、厳しく処理されたフォトレジストの除去に効果的でないことが分かった。この点で、硫酸及び脱水硫酸種及び前駆体が、いくつかの有利な処理技法を用いることによって、基板の表面から、材料、特に有機材料、とりわけフォトレジスト材料を、除去することに効果的であり得ることが驚くべき事に分かった。
【0013】
本発明の一態様において、
a)処理チャンバー内に、その表面上に材料を有する少なくとも1つの基板を配置すること;
b)硫酸及び/またはその脱水種及び前駆体を含む液状硫酸組成物の流れを基板の表面に衝突させるように向けること;及び
c)水蒸気の流れを基板の表面に衝突させるように及び/または液状硫酸組成物に衝突させるように向けること、
を含む、基板からの材料の除去方法を提供する。好ましくは、液状硫酸組成物が約5:1以下の水/硫酸のモル比を有し、且つ水蒸気に曝露する前の液状硫酸組成物の温度よりも高く液状硫酸組成物の温度を上昇させるために効果的な量の水蒸気に、液状硫酸組成物を曝露する。
【0014】
記載された態様で、液状硫酸組成物の流れ及び水蒸気の流れの両者を方向付けすることによって、基板の表面において、またはその近傍にて、これらの成分の効果的な混合が達成され、驚くべき効果的な除去速度が達成される。
【0015】
本発明の他の態様において、
a)処理チャンバー内に、その表面上に材料を有する少なくとも1つの基板を配置すること;
b)硫酸及び/またはその脱水種及び前駆体を含む液状硫酸組成物を、基板の全表面よりも小さい基板の表面の一部分を処理するために効果的な量で、基板の表面の一部分上に投与すること;及び
c)水蒸気に曝露する前の液状硫酸組成物の温度よりも高く液状硫酸組成物の温度を上昇させるために効果的な量の水蒸気に、液状硫酸組成物を曝露すること、
を含む、基板から材料を除去する方法であって、
水蒸気への曝露時における液状硫酸組成物が、約5:1以下の水/硫酸のモル比を有する、方法を提供する。
【0016】
基板の全表面よりも小さい基板の表面の一部分上に液状硫酸組成物を選択的に投与することはいくつかの用途において有利であることが分かった。この態様で液状硫酸組成物の投与を制御することによって、処理をより必要とする基板の部分を選択的に処理することができる。
【0017】
本発明の実施態様において、(i)水蒸気に曝露する前の液状硫酸組成物の温度、及び(ii)水蒸気の温度、の両方の温度よりも高く、液状硫酸組成物の温度を上昇させるために効果的な量の水蒸気に、液状硫酸組成物を曝露する。好ましい実施態様において、(i)水蒸気に曝露する前の液状硫酸組成物の基板上の温度、及び(ii)水蒸気の温度、の両方の温度よりも高く基板の表面上の液状硫酸組成物の温度を上昇させるために効果的な量の水蒸気に、約5:1以下の水/硫酸のモル比を有する液状硫酸組成物を曝露する。本方法は、たとえ、フォトレジストが基板上でベークされる場合でも、またはフォトレジストが、所定のプロセス条件下で、大量にイオン注入される場合でも、フォトレジストの除去の場合に特に優れている。
【0018】
本発明の実施態様において、シリコンウエハの処理に従来から有益な酸性または塩基性処理組成物の酸化剤は、処理方法の使用のために貯蔵されまたは準備される場合に、有利には、酸性または塩基性組成物内に存在し得ないが、基板上に投与する直前に処理組成物に加えることができ、処理される基板の表面において、またはその近傍にて、水蒸気とともに導入でき、または処理される基板の表面において、またはその近傍にて、別の成分として導入できる。特に好ましい例として、SPM及びSOM組成物として知られる硫酸組成物中の過酸化物またはオゾンは、有利には、供給タンク及び投与ノズルの間の投与ライン内の硫酸組成物に加えられ得る。他の実施態様では、酸化剤は、、処理される基板の表面において、またはその近傍にて、硫酸組成物よりもむしろ、水蒸気とともに導入され得る。他の実施態様では、酸化剤は、硫酸組成物の成分及び水蒸気の成分の両方から分離した成分として投与され得る。理論に束縛はされないが、酸または塩基組成物から酸化剤成分を分離することは、安定性及び有効性の点で利点をもたらすと考えられる。
【0019】
本発明の他の態様において、
a)処理チャンバー内に、その表面上に材料を有する基板を配置すること;
b)液状処理組成物の流れを基板の表面に衝突させるように向けること;
c)水蒸気の流れを基板の表面に衝突させるように及び/または液状処理組成物に衝突させるように向けること;及び
d)水蒸気及び/または窒素ガスを処理チャンバーにさらに導入して、処理工程b)及びc)の際に、水蒸気及び/または窒素ガス環境で基板を囲むこと、
を含む、基板の処理方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】液体水または過酸化水素(30wt%)を硫酸(96wt%)に加えたときに、得られた温度上昇を示すグラフである。
【図2】溶液中の硫酸(96wt%)の割合の関数として液体水を硫酸(96wt%)/水の混合物に加えたときに、得られた温度上昇を示すグラフである。
【図3】本発明の方法の実施態様を実行することができる装置の模式図である。
【図4】本発明の方法の実施態様を実行するためのスプレーバーの断面図である。
【図5】本発明の方法の実施態様を実行することができる装置の模式図である。
【図6】本発明の方法を使用して及び使用せずに試験をした実験酸化物エッチングの結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
添付図面を併用して発明の実施態様についての次の説明を参照することによって、本発明の上記の利点及び他の利点、並びにそれらを達成する方法がより明らかになり、発明自体をより理解できるだろう。
【0022】
簡潔にするために、本明細書に記載するように液状硫酸組成物は、硫酸及び/またはその脱水硫酸種及び前駆体を含むと理解されるだろうし、これらの液体組成物に含まれる硫酸に関する議論は、同様に、硫酸及び/またはその脱水硫酸種及び前駆体を含む組成物に対応して記載されることを理解されるだろう。硫酸の脱水硫酸種及び前駆体の例には、三酸化硫黄(SO3)、チオ硫酸(H223)、ペルオキソ硫酸(H2SO5)、ペルオキソ二硫酸(H228)、フルオロ硫酸(HSO3F)、及びクロロ硫酸(HSO3Cl)が含まれる。本発明の実施態様では、硫酸の脱水種は、酸化剤と硫酸の複合体である。本発明の目的のため、水/硫酸のモル比は、脱水硫酸種及び前駆体を含む組成物について、最終混合物中の、水に対する脱水硫酸種または前駆体の存在モル数におけるモル比に基づいて計算される。
【0023】
本発明の目的のため、水蒸気はガス状の水として規定され、「ミスト」と一般によばれる水の小滴とは区別される。ミストは小滴の形態で凝縮した水であるため、ミストが表面上に定着すると、それは蒸発熱に相当するだろうが、本質的に少しも温める効果がない。本発明の目的のため、蒸気は、圧力に依存する水の沸点またはそれよりも高い温度の蒸発した水である(例えば、圧力が1気圧のときは100℃である)。蒸気が水の沸点よりも高い温度で提供される場合、それを過熱蒸気と言う。水蒸気は所望により、水に加えて、例えばオゾンのような溶存ガス、または窒素のような不活性ガスといった成分を含む組成物から提供されてもよい。水蒸気は、本質的に純粋な状態でまたは組み合わせて、100℃またはそれよりも高い温度または低い温度といった、いかなる態様でも硫酸組成物に供給され得ると考えられる。水蒸気は所望により、例えば上述のような酸化剤といった追加の成分をさらに含んでもよい。他の成分としては、例えば界面活性剤、共溶媒等が、さらに考えられる。
【0024】
本発明は、ウエハが動作しているかまたは固定されている単一ウエハ処理用途、またはバッチ用途に用いられ得る。別法として、本発明の方法は、FSI International, Inc, Chaska, MNから商業的に入手可能なMERCURY(商標)またはZETA(商標)スプレー処理装置、またはFSI International, Inc, Chaska, Minnesotaからも商業的に入手可能なMagellan(商標)システム、のようなスプレー処理ツールで処理される場合に多数のウエハが生じるのと同様に、同時に、複数のウエハ状対象物を加工するために用いられ得る。
【0025】
本発明の実施態様では、基板の表面からの材料の除去の有効性及び効率は、液状硫酸組成物が約3:1以下、または約2:1以下の水/硫酸のモル比を有する場合に、特に向上することが分かった。本発明の好ましい実施態様では、基板の表面からの材料の除去の有効性及び効率は、液状硫酸組成物が約1:2以下の水/硫酸のモル比を有する場合に、特に向上することが分かった。本発明の実施態様では、液状硫酸組成物は水を含まない。しかしながら、材料を簡単に得るために、本発明の実施態様は、液状硫酸組成物が、未加工材料中に通常、存在する水の量と少なくとも同じ水の量を含んでもよいことを意図している。本発明の他の実施態様では、液状硫酸組成物は約1:2〜約1:4の水/硫酸のモル比を有する。
【0026】
言い方を変えると、好ましくは、液状硫酸組成物は約50vol%を超える、さらに好ましくは80vol%を超える、最も好ましくは90vol%を超える体積濃度を有する。本発明の目的のため、硫酸の体積比が議論されるとき、硫酸の含有量は、96wt%の硫酸源を基準として計算されることを意図する。したがって、50vol%の含有量の硫酸を含む硫酸/水の組成物は、50vol%の96wt%の硫酸及び50vol%の水を含む。
【0027】
好ましくは、基板は、液状硫酸組成物を投与する前か、投与中か、または投与後に、少なくとも約90℃の温度に加熱される。水蒸気に曝露する前の液状処理組成物の温度よりも高く基板上の液状硫酸組成物の温度を上昇させるのに効果的な量の水蒸気に、液状硫酸組成物が曝露される。本発明の実施態様では、(i)水蒸気に曝露する前の基板上の液状硫酸組成物の温度、及び(ii)水蒸気の温度、の両方の温度よりも高く基板上の液状硫酸組成物の温度を上昇させるために効果的な量の水蒸気に、液状硫酸組成物を曝露する。上述の処理工程の後、または工程と工程の間で、好ましくは基板を洗浄する。
【0028】
基板に適用する前または適用されるときの液状硫酸組成物中に存在する水の量は、不所望の材料の除去についての有効性に重要であることが分かった。特に、多すぎる水を最初に含む液状硫酸組成物は、水蒸気に曝露されるときレジストをはぎとることができなくなることが分かった。理論に束縛はされないが、これらの希硫酸組成物は、水蒸気に曝露する前の液状処理組成物の温度よりも高く液状硫酸組成物の温度を上昇させるのに効果的な量の水蒸気を取り込むことができなくなるか、または組成物の化学的活性が水によって減少するか、またはその両方があると考えられる。
【0029】
基板が、水の沸点未満の大気中の処理温度(特に約20〜60℃の温度範囲内)にある場合の実施態様では、液状硫酸組成物の温度は、水蒸気を加えると大幅に高くなる。驚くべき事に、基板及び/または硫酸組成物が高温(例えば約90℃より高い)にあるときでさえ、特に100℃、またはそれより高い温度にあるときでさえ、液状硫酸組成物の温度が水の沸点付近またはそれより高くなるけれども、水蒸気は液状硫酸組成物に取り込まれることがさらに分かった。理論に束縛はされないが、液状硫酸組成物は脱水効果を有し、それによって水蒸気から水を液状硫酸組成物中に凝縮して、水蒸気中に貯蔵される蒸発熱におおよそ相当するエネルギーを放出させる、と考えられる。
【0030】
本発明の一実施態様では、所望により基板の表面特性を改良するように働く、例えば酸前処理、界面活性剤、または溶媒のような前処理液体で、基板を前処理する。
【0031】
上述のように、本発明の態様では、処理工程b)及びc)の際に、水蒸気及び/または所望により窒素ガス環境で基板を囲むように、処理チャンバー内に、水蒸気及び/または窒素ガスをさらに導入する。理論に束縛はされないが、水蒸気を加える場合は、この基板を囲む工程は、処理化学物質との相互作用に利用できる熱及び水の量を増加する。この態様で水蒸気を加えると、基板の端におけるエッチングを特に向上することが分かった。
【0032】
さらに、理論に束縛はされないが、窒素を加える場合は、この基板を囲む工程が処理化学物質と不利に相互作用し得る環境成分を排除すると考えられる。この態様で窒素ガスを加えると、基板の中央におけるエッチングを特に向上することが分かった。したがって、水蒸気及び窒素ガスの両方を、基板を囲むように処理チャンバー内に導入する方法は有利には、均一な処理形状をプロセスに提供することができる。本発明の態様では、処理チャンバー内に存在するガスの実質的に全てが窒素ガスである。本発明の他の態様では、処理チャンバー内に存在するガスの実質的に全てが水蒸気を含んだ窒素ガスである。
【0033】
好ましくは、基板を囲む水蒸気は、約70℃〜約160℃の水蒸気の温度にて基板に曝露されるように導入される。さらに好ましくは、基板を囲む水蒸気は、約100℃〜約150℃の水蒸気の温度にて基板に曝露されるように導入される。特に有利な実施態様では、基板を囲む水蒸気は、約120℃〜約140℃の水蒸気の温度にて基板に曝露されるように導入される。
【0034】
本発明の実施態様では、SC1組成物(1:1:10の高温SC1)は、蒸気をSC1溶液の液体流に衝突させることによって噴霧化され、処理される基板が水蒸気に同時に囲まれる。水蒸気で処理基板を囲むのと同時に蒸気を衝突させるこの組み合わせは、エッチングレートを5Å/minに増加させる(最も良く知られた商業的に利用可能な方法の約4倍の改良)。
【0035】
この実施態様の他の態様では、処理される基板が水蒸気及びN2の両方に同時に囲まれる。基板を囲むこれらの成分に組み合わせは、基板の横寸法にわたって、端から中央まで、驚くほど均一なエッチング形状を提供する。
【0036】
基板が水蒸気及び/またはN2で同時に囲まれる間に、蒸気をSC1溶液の液体流に衝突させることによって噴霧化されるSC1組成物を用いた基板の処理は、プラズマドープによって基板に適用されたドーパントの除去に特に有利である。
【0037】
図を参照すると、類似の数字は複数の図について類似の成分を表示するために用いられている。
【0038】
図1は、高速攪拌ビーカー内で、20℃の硫酸(96wt%)を、20℃の液体水または20℃の過酸化水素(30wt%)と混合したときに得られた温度を示す。領域Aでは、約100%〜57%の硫酸の体積割合にて、水の含有量が増加するにつれて、硫酸/水の混合物の温度が高くなる。領域Bでは、約56%〜36%の割合にて、水の含有量が増加するにつれて、硫酸/水の混合物の温度がゆっくり低くなる。領域Cでは、約35%〜10%の割合にて、水の含有量が増加するにつれて、混合物の温度が急激に低くなる。過酸化水素と混合した硫酸の温度プロファイルは同じ傾向を示すが、若干、最高温度が低い。約110℃の最高温度上昇(130℃の最終温度)は、約57vol%の硫酸及び43vol%の過酸化水素の混合物である硫酸/水の混合物で得られる。また、水:硫酸の混合物の硫酸に対する水のモル比を上端軸に示す。領域A及びBの間の境界は、水:硫酸が約2:1であり、領域B及びCの間の境界は、水:硫酸が約5:1である。
【0039】
図2は、図1から水添加曲線の導関数を示す。これは、溶液中の硫酸の割合の関数としての水の含有量のパーセント毎の増加に対する温度上昇を示す。100%から37%の硫酸の割合で、差分温度/差分添加水(dT/d水)がほぼ直線的に減少する。理論に束縛はされないが、溶液の温度上昇(混合熱)は、水分子が各硫酸分子の周りに適合する(coordinate around)ときの水和熱によって発生すると考えられる。本発明では、硫酸組成物の温度が水の沸点よりも高いときでも、水及び硫酸分子の間のこの強い引力が、水蒸気を大気から硫酸組成物内に取り込む脱水作用を促進する。約55vol%の硫酸にて、水和熱が、添加した水の熱負荷によって平衡状態になり、さらに添加した水は、混合物に正味の冷却効果を有する。約37vol%の硫酸にて、硫酸の水和が完了したようにみえる。図の上方のx軸に示されるように、図1及び2は水:硫酸のモル比を示す。硫酸1モルあたり約5モルの水が存在するとき水和が完了したようにみえる。
【0040】
図1と対照的に、本発明は、水蒸気を組成物内に凝縮することによって硫酸組成物に水を加える。これは、硫酸及び水の間の混合熱だけでなく、水が硫酸組成物内に凝縮するときに再び得られる水の蒸発熱による組成物の加熱をもたらす。硫酸に液体水を加えることと比較して、水蒸気の蒸発熱からの熱寄与は所定量の希釈に対してより大きな温度上昇を可能とする。
【0041】
図3は本発明を実行するための改良されたスプレー処理システム10を示す。システム10では、ウエハ13、特に例えば微小電子デバイスが、スピンモーター15によって駆動される回転可能なチャック14に支持される。システム10のこの部分は常用のスプレー処理デバイスに相当する。スプレー処理装置は一般に知られており、回転板または回転ラック上のウエハを、ウエハの軸あるいは共通軸について、スピンまたは回転させることによる遠心力で液体を除去する能力を提供する。本発明にしたがって適用するために好適な典型的なスプレー処理装置は、それらの全体が参照により本明細書に完全に組み込まれる、米国特許第6,406,551号明細書、及び同第6,488,272号に記載されている。スプレー処理型の装置はFSI International, Inc, of Chaska, MNから商業的に入手可能であり、例えばMERCURY(商標)またはZETA(商標)の1以上の商標名で販売されている。本発明にしたがって適用するために好適な単一ウエハスプレー処理システムの他の例は、SEZ AG, Villach, Austriaから入手可能であり、SEZ 323の商標名で販売されている。本発明にしたがって適用するために好適なツールシステムの他の例は、2006年3月15日に出願された、発明の名称が、BARRIER STRUCTURE AND NOZZLE DEVICE FOR USE IN TOOLS USED TO PROCESS MICROELECTRONIC WORKPIECES WITH ONE OR MORE TREATMENT FLUIDSである、米国特許出願第11/376,996号明細書; または米国特許出願公開第2005/0205115号明細書に記載されている。
【0042】
ウエハ13は、除去されるべき有機材料で被覆されている。除去することが困難な有機材料は以前の加工工程の際に熱にさらされてベークされたフォトレジストを含む。除去することが特に困難な有機材料は、以前のウエハの加工工程の際に大量にイオン注入されたものである。本発明の方法は、特に驚くべき事に、大量にイオン注入されたフォトレジスト材料の除去に効果的である。
【0043】
スプレーバー20は、液状エアロゾル小滴をウエハ13上に向けるための複数のノズルを含む。液状硫酸組成物は液体供給タンク22からライン23を通して供給され、水蒸気の蒸気が供給タンク24からライン25を通して同様に供給される。過酸化水素は、過酸化物供給タンク26からライン27を通して硫酸供給ライン23に供給される。この構成は、過酸化物が硫酸の存在下で貯蔵及び加熱されず、さらに処理方法に用いられる過酸化物の量を、特定のプロセス要求によって決定されるような硫酸の量から独立して制御できる、という利益を有しながら、硫酸組成物に過酸化物を加えることを可能にする。したがって、様々な過酸化物の濃度を、所望により処理プロセスの際に適用することができる。別法では、過酸化水素をライン25にて水蒸気の流れに供給することができる。スプレーバー20は好ましくは、液状硫酸組成物の流れを水蒸気の流れと衝突させることから得られる処理組成物のエアロゾル小滴を生成するための複数のノズルを備える。好ましい実施態様では、スプレーバー20がウエハ13の上方の位置に配置されているときにウエハの半径またはウエハの全直径に対応する位置にあるスプレーバー20内に、ノズルが約3.5mmの間隔を開けて備えられる。ノズルは所望により、ウエハの外縁におけるノズルの間隔と比較して、回転軸に近くでは異なる間隔で備えられてもよい。好ましいスプレーバーの構成は、2006年7月7日に出願された、発明の名称が、BARRIER STRUCTURE AND NOZZLE DEVICE FOR USE IN TOOLS USED TO PROCESS MICROELECTRONIC WORKPIECES WITH ONE OR MORE TREATMENT FLUIDSである,米国特許出願第60/819,133号明細書に記載されている。
【0044】
好ましくは、液状硫酸組成物は5:1以下の水/硫酸のモル比を有する。したがって、液状硫酸組成物の水の含有量は制限がある。一実施態様では、液状硫酸組成物は、本明細書により詳細に議論されるように、続いて添加される水蒸気の硫酸との協働を実質的に阻害しない溶媒を含むことができる。好ましいそのような溶媒は、例えばフッ素系液体のような、処理される基板(例えばウエハー)に対して不活性な溶媒である。そのような不活性な溶媒の例は、3M, St. Paul, MNから商業的に入手可能なFluorinert(商標)溶媒を含む。上記のモル比は水/硫酸のモル比をいうのであって、溶媒/硫酸のモル比ではないことに注意すべきである。これは、続いて添加される水蒸気の硫酸との協働を実質的に阻害しない溶媒が、本発明の実施態様のこの比率の要因ではないことを強調するものである。
【0045】
より好ましくは、液状硫酸組成物は高度に濃縮されている。好ましくは、液状硫酸組成物は、少なくとも約80vol%、さらに好ましくは少なくとも約90vol%、最も好ましくは少なくとも約94vol%の硫酸濃度で投与される。図1および2に示されるように、これらの高い硫酸濃度は、硫酸組成物中に凝縮された水蒸気単位当り最大の温度上昇をもたらす。
【0046】
本発明の実施態様において、液状硫酸組成物は過酸化水素を含む。過酸化水素は、有機種を炭酸ガス及び水へ分解することを助ける酸化剤として働く。過酸化水素は、便利に、濃硫酸と混合された水含有溶液に提供され、約5:1以下の水/硫酸のモル比を有する液状硫酸組成物を提供する。有利には、濃硫酸と水含有過酸化水素溶液との混合は発熱反応による熱を発生し、そのため、得られた過酸化水素を含む液状硫酸組成物は、該組成物を加熱するための専用熱源からのより少ないエネルギーを使用しながら、高められた温度にて提供され得る。この発熱反応は、通常、該組成物のための重要な熱源である。しかしながら、本発明においては、硫酸組成物と水蒸気との間の反応が望ましい熱を提供し、そして水系過酸化水素の過剰添加はこの硫酸−蒸気反応を阻害し得る。それ故、本明細書に記載するような濃硫酸組成物への蒸気の効果についての知識により、熟練技術者は、有機物を酸化するのに十分な反応物を供給しながら、同時に硫酸−蒸気反応によって発生する熱を最適化するように過酸化水素濃度を調整することが出来る。
【0047】
本発明の態様において、酸化剤を、液状硫酸組成物の投与前、投与中、または投与後に、処理チャンバー中に導入することができる。
【0048】
例えば、過酸化水素を、液状硫酸組成物の処理チャンバーへの導入前に、または別法として硫酸組成物の処理チャンバーへの投与中または投与後に、液状濃硫酸と混合することができる。過酸化水素と液状濃硫酸との混合は、静止混合機又は能動的混合技術の使用により達成でき、または1種の液体を他の液体と単に接触させ、単なる拡散によって達成される混合により達成できる。オゾンのような他の薬剤を、所望により、液状硫酸組成物中に同様に混合することができる。オゾンのような水を含まない酸化剤は、それらが硫酸組成物を希釈しないので、過酸化水素より優れていることもある。例えば、過酸化水素以外の酸化剤を、この独創的な硫酸−蒸気プロセスに利用してもよい。例えば、オゾン、硝酸、クロム酸イオン(Cr+6)、またはセリウムイオン(Ce+4)を、本明細書に記載されるようなプロセスに導入してもよい。特に、これらの種は硫酸中に無水物として添加され、それにより硫酸は比較的希釈されないままとなる。他の酸化剤も使用することができる。
【0049】
好ましくは、液状硫酸組成物は、少なくとも約90℃、さらに好ましくは約90℃〜約150℃の温度で投与される。他の実施態様において、液状硫酸組成物は好ましくは約95℃〜約120℃の温度で投与される。他の実施態様において、液状硫酸組成物は、水蒸気への暴露前に、少なくとも約130℃、さらに好ましくは約130℃〜約200℃の温度で投与される。
【0050】
一実施態様において、ウエハ13は、例えば約20℃〜約60℃の温度のような水の沸点より低い温度で供給される。ウエハ13は好ましくは、液状硫酸組成物の投与前、投与中、または投与後のいずれかにおいて、少なくとも約90℃の温度に加熱される。さらに好ましくは、ウエハ13は、約90℃〜約150℃に加熱される。他の実施態様では、ウエハは約95℃〜約120℃の温度に加熱される。この加熱は、例えば、輻射熱を用いたチャンバーの加熱、ウエハへの熱水または他の液状溶液の導入(ただし加熱液体は濃硫酸組成物の適用前に実質的に除去される)、チャンバーへの加熱ガスの導入等の方法により行われ得る。液体を、ウエハと直接接触させることによってウエハを加熱するために用いる場合は、十分な量の液体が濃硫酸組成物の導入前にウエハから除去され、それにより濃硫酸組成物は、水蒸気へ液状硫酸組成物を暴露する前の望ましいレベルの硫酸濃度を保持する。
【0051】
本発明の一実施態様では、1以上のウエハを、加熱した液体浴中に沈め、素早く浴の内容物を排出し(例えば「クイックダンプ」法)、そして下記のような残りの処理工程を行うことにより、ウエハを予備加熱することができる。浴の液体は、例えば、脱イオン水、硫酸を含有した脱イオン水、硫酸/過酸化水素の混合物、不活性流体(例えばフルオロカーボン)、硫酸/オゾンの混合物等であることができる。この実施態様は、より効果的にウエハを加熱することにより、処理プロセスの処理能力を高める点で実質的な利益を提供することができる。この実施態様を採用するために使用することができる特に好適なプロセスシステムの例は、FSI International, Chaska, Minnesotaから商業的に入手可能なMagellan(商標)システムである。
【0052】
好ましくは、水蒸気は、約70℃〜約160℃の水蒸気温度でウエハに暴露されるように導入される。さらに好ましくは、水蒸気は約100℃〜約150℃の水蒸気温度でウエハに暴露されるように導入される。特に有利な実施態様では、水蒸気は、約120℃〜約140℃の水蒸気温度でウエハに暴露されるように導入される。別の有利な実施態様では、水蒸気は約130℃の水蒸気温度でウエハに暴露されるように導入される。この実施態様は、常用の蒸気生成装置により、処理槽の中または外で、常用の条件下で水を沸騰させて蒸気を生成することを比較的容易にする。
【0053】
他の実施態様では、水蒸気は、水蒸気への暴露前の液状硫酸組成物の温度よりも高い温度で供給される。この実施態様は上に議論されたような液状硫酸中への水蒸気の凝縮に基づくエネルギーの移転のみならず、直接の熱移転による液状硫酸組成物の直接加熱という利益を提供する。一実施態様において、水蒸気は、この目的のために、約150℃よりも高い温度で供給される。
【0054】
任意には、水蒸気はさらに、所望により、過酸化水素、硝酸、またはオゾンのような他の薬剤を含むことができる。
【0055】
水蒸気は、液状硫酸組成物の温度を、水蒸気への暴露前の液状硫酸組成物の温度よりも高く、好ましくはさらに水蒸気の温度よりも高くさせるのに効果的な量で処理チャンバー内に導入される。本発明の一実施態様では、液状硫酸組成物は、(i)水蒸気への暴露前の基板上の液状硫酸組成物の温度、及び(ii)水蒸気の温度、の両方よりも、基板上の液状硫酸組成物の温度を上昇させるために効果的な量の水蒸気に暴露される。驚くべきことに、液状硫酸組成物の温度が水の沸点の近傍またはそれより高くても、水蒸気はさらに液状硫酸組成物の温度を高めるような態様で液状硫酸組成物と協働し、それにより液状硫酸組成物の温度上昇による有機材料の除去効果を高める。
【0056】
好ましくは、十分な液状硫酸組成物及び水蒸気が存在しそして混合されて、液状硫酸組成物の温度を少なくとも約20℃、さらに好ましくは少なくとも約40℃、そしてさらに好ましくは少なくとも約60℃上昇させる。これは、液状硫酸組成物がウエハ上に配置され、ウエハ自体がヒートシンクとして働き、液状硫酸組成物の温度に近い温度を保つように相当なエネルギーを吸収するので、極めて重要である。基板の表面上の液硫酸組成物の温度は、任意の適切な計測技術で測定され得る。
【0057】
スプレーバー30の断面図を、本発明の好ましいノズルの構成を例示して、図4に示す。この構成では、液状硫酸組成物の開口部32及び34が内側に向けられ、衝突する蒸気42及び44を提供する。水蒸気の投与開口部36が、この実施態様で示されるように、液状硫酸組成物の開口部32及び34の間に位置し、そのため、水蒸気の流れ46が液状硫酸組成物の流れ42及び44と衝突する。この衝突の結果として、噴霧化が起こり、それによって液状エアロゾル小滴48を生成する。加えて、水蒸気の投与開口部36から抜け出るときの比較的高い圧力の水蒸気の流れのために、小滴に、基板の表面に向かっての強化された方向の推進力が与えられる。したがって、このノズル組立体内の中央に位置している開口部が、有利な方向性の態様をもたらして、基板の表面からの材料の除去を助ける。別法として、これらの開口部の位置を反対にしてもよい。すなわち、液状硫酸組成物を開口部36から投与して、水蒸気を開口部32及び34から投与してもよい。本発明の目的のため、液状エアロゾル小滴の流れまたは分布を生成するために互いに衝突する流れを供給するように構成された液体開口部及びガス開口部の集団が、1つのノズルとみなされる。所望により、例えばガスのようなさらなる成分を、ノズル組立体内の1以上の開口部から投与してもよい。一実施態様では、液体投与開口部は、約0.020〜約0.030インチの直径を有する。他の実施態様では、液体投与開口部は、ウエハの中央からウエハの半径の中間に対応する位置にあるスプレーバー内に位置する場合、約0.026インチの直径を有し、そして、ウエハの半径の中間からウエハの外縁では約0.026インチの直径を有する。本発明の実施態様では、水蒸気の投与開口部は約0.010〜約0.030インチ、好ましくは約0.020インチの直径を有する。
【0058】
流れの位置、方向及び流れの相対力は、好ましくは、得られる液状エアロゾル小滴の方向流を提供するように選択され、それによって小滴が基板の表面に向けられて所望の処理を達成する。
【0059】
一実施態様では、液状エアロゾル小滴を、ウエハの表面に対して垂直角度で表面に接触させる。他の実施態様では、液状エアロゾル小滴を、ウエハの表面から約10〜90°未満の角度でウエハの表面に接触させる。他の実施態様では、液状エアロゾル小滴を、ウエハの表面から約30〜約60°の角度でウエハの表面に接触させる。好ましい実施態様では、エアロゾル小滴がウエハの表面に接触する際に、ウエハは約250〜約1000RPMの速度で回転している。ウエハへの小滴の接触の方向は、一実施態様では、ウエハの回転軸について同心円状に配列することもでき、または他の実施態様では、部分的に若しくは完全にウエハの回転軸から外れて方向付けられることもできる。システム10は好ましくは、好適な制御装置を採用し(図示せず)、1以上の流量、流圧、流体温度、これらの組み合わせ等を測定及び/または制御して、達成するべき特定のプロセスの目的を実行する上での所望のプロセスパラメータを得る。
【0060】
図5は、本発明の一態様を実行するための改良されたスプレー処理システム50の例を示す。ここでは、液状硫酸組成物を、基板の全表面よりも小さい基板の表面の一部上に投与する。システム50において、例えば特定の微小電子デバイスのようなウエハ53が、スピンモーター55によって駆動する回転チャック54上で支持される。上記のシステム10のように、システム50のこの部分は常用のスプレー処理装置に相当する。液状硫酸組成物は、液体供給タンク62からライン63を通じて、基板の全表面よりも小さい基板の表面の一部分上に液状硫酸組成物を投与するように構成された、投与開口部70に供給される。制御された投与は、ウエハ53の所望の部分の局所的な処理を可能とする。過酸化水素は、過酸化物供給タンク66からライン67を通じて硫酸供給ライン63に供給される。この構成は、過酸化物が硫酸の存在下で貯蔵及び加熱されず、さらに処理方法に用いられる過酸化物の量を、特定のプロセス要求によって決定されるような硫酸の量から独立して制御できる、という利益を有しながら、硫酸組成物に過酸化物を加えることを可能にする。したがって、様々な過酸化物の濃度を、所望により処理プロセスの際に適用することができる。水蒸気の流れは同様に、供給タンク64からライン65を通じて投与開口部72に供給される。別法では、過酸化水素を、ライン65における水蒸気の流れに供給することができる。投与開口部70及び72を、液体硫酸組成物の流れ及び水蒸気の流れが、基板の表面に衝突する前に少なくとも部分的に交わるように、所望により構成することができる。別法では、投与開口部70及び72を、液体硫酸組成物の流れ及び水蒸気の流れが基板の表面上で少なくとも部分的に交わるように、または液体硫酸組成物の流れが基板に衝突する前に水蒸気の流れが液体硫酸組成物の流れに衝突するように、所望により構成することができる。本発明の一実施態様では、基板の表面を走査する処理の際に、と投与開口部が一緒に動作する。本発明の一実施態様では、ライン65及び67が結びつけられて2つの開口部のノズル配列を形成し、基板の表面を走査するための位置決めの制御を助けることができる。
【0061】
本発明に実施態様では、システム50は、基板が回転しており、そして投与開口部70及び72が、回転している基板の回転方向に対して、水蒸気の流れが基板に衝突する位置よりも前の位置にて、液体硫酸組成物が基板に衝突するように、位置するように構成される。別法では、回転している基板の回転方向に対して、液体硫酸組成物の流れが基板に衝突する位置よりも前の位置にて、水蒸気の流れが基板に衝突するように、システム50を構成してもよい。
【0062】
液体硫酸組成物が基板の全表面よりも小さい基板の表面の一部上に投与される実施態様では、基板または液体硫酸組成物の流れに衝突する流れの中にある水蒸気を提供しない他の方法で水蒸気が発生され得る。例えば、加熱された脱イオン水は回転している回転板上に飛び散り(splash down)、それによって水蒸気が発生する。別法では、水蒸気は、例えば処理チャンバー内で水を加熱及び/または撹拌するといった、任意の適切な代わりの水蒸気発生技術によって処理チャンバーの内部で発生され得る。さらに他の実施態様では、水蒸気を、所望の水蒸気形態で、処理チャンバーの外で発生させて処理チャンバーに導入することができる。一実施態様では、水蒸気は、水(好ましくは熱水)のカラムを通してガス(例えば窒素)をバブリングすることにより生成され得る。他の実施態様では、ガスは一定量の水の表面上を通過させることができる。他の実施態様では、ガスは化学工学技術において普通に使用されているような灌液充填カラムを通過させることができる。他の実施態様では、実質的に純粋な水蒸気が、液体水を沸騰させることによって生成され得る。任意のこれらの代替法からのガス状生成物がさらに加熱され得る。他の実施態様もまた可能である。
【0063】
液状硫酸組成物の水蒸気への暴露は、有機材料を被覆した基板上で準備が整った場合、液状硫酸組成物の温度を上昇させるために有効な随意のときに、行なうことができる。1つの実施態様において、水蒸気は液状硫酸組成物の投与中に処理チャンバーに導入される。この実施態様においては、液状硫酸組成物の温度は、該組成物の基板との接触の前でも上昇し始め得ることが明らかである。この実施態様において、上に議論されたような水蒸気への暴露による液状硫酸組成物の温度上昇は、投与されたときの液状硫酸組成物の温度と水蒸気への暴露後の液状硫酸組成物の最高温度との差として捉えられ得る。
【0064】
本発明のもう1つの実施態様において、液状硫酸組成物は、連続的な流れではなく、むしろ複数回の不連続なパルスでウエハに供給される。これらのパルスは、好ましくは短く(すなわち約3〜10秒の長さ)、急速な流れ(すなわち流速約0.3〜2リットル/分)である。好ましくは、液体流れの無いパルス間に約5〜20秒の時間間隔がある。パルス液体の流れによる操作の場合、水蒸気は所望によりパルス中だけ導入され、本発明の処理の際にチャンバーから噴出する水蒸気の量を削減する。同様に、水蒸気は所望によりパルス中だけ導入されて、硫酸組成物の基板への接触前の硫酸組成物の温度上昇を高め、またはパルスとパルスの間に導入されて基板上にある該組成物の加熱を強める。別法では、複数の不連続パルスでウエハに液状硫酸組成物を提供しつつ、水蒸気をチャンバーに連続的に導入してもよい。他の実施態様では、複数の不連続パルスでウエハに水蒸気を提供しつつ、液状硫酸組成物をチャンバーに連続的に導入してもよい。
【0065】
液体硫酸組成物による基板の処理前、処理中、または処理後に、例えばメガソニックエネルギーに基板を曝露するといったさらなる操作工程もまた、記載される方法の間で期待される。
【0066】
本明細書に記載されたような方法の様々な実施態様(例えば硫酸組成物の供給における様々な態様)は、図面の特定の装置の使用に限定されるのではなく、むしろ本明細書中に記載された方法の実施に用いる適切な処理機械の全ての構成における使用に適用される。本発明の原理は、次の説明例との関連において、今ここで記載されるであろう。
【実施例】
【0067】
例1
I.実験法
A.試料の調製
水試料を、イオン注入フォトレジストの除去の有効性を評価するために、次のように調製した:
・直径200mmのシリコンウエハをShipley UV6248nm フォトレジストで被覆した。
・次いで、常用のフォトレジストパターニング技法を用いて、ウエハ上のフォトレジストの被覆をパターニングした。
・パターニングされたウエハに、40keV、5×1014または1×1015原子/cm2(5E14または1E15)の投与量で、砒素を注入した。
・いくつかの試験を行うために、試料として使用するために、パターニングされたウエハから約2×2cmの断片または「小片」を切り取った。
【0068】
B.ウエハ上の温度測定
特定の温度上昇で不可逆的に色が変わるラベル(Omega Engineering, Stamford, CT製のTL−10シリーズ)をウエハに点在させて取付けることによってウエハ上の最高温度の測定を行った。ラベルを、剥離化学品から保護するため高温エポキシを付けた0.7mmのガラス板で覆った。
【0069】
C.処理プロセス
上記の方法で調製したウエハを単一のウエハ回転スプレー処理ツールで処理した。そのツールでは、ウエハがその中心について回転し、ウエハの全表面が均一に処理されるように、ウエハ上に延伸したノズルの配列を含む水平スプレーバーから、流体がウエハ上に投与され、ウエハの全半径にわたってスプレーの放出が提供される。ウエハとスプレーバーの間隔は約1インチであり、ウエハの回転速度は300rpmである。
【0070】
例のそれぞれにおいて投与される硫酸/過酸化物の組成物は、500cc/minの硫酸と50cc/minの30%の過酸化水素との流量にて提供される。全ての処理は、室温の、30%の過酸化水素と混合する前に、150℃に硫酸を予熱する。
【0071】
特定の処理を次の条件下で行った。
【0072】
比較プロセス1−基準工程
このプロセスでは、高温の硫酸/過酸化水素の組成物を、水蒸気を同時に導入せずに、上記のスプレーバーを通じてウエハ上に投与した。
【0073】
このプロセスでは、最初に、ウエハ上に熱水を向けて30秒間、ウエハを予熱した。次いで、過剰な水をウエハから除去した。次いで、硫酸及び過酸化水素の組成物がスプレーバーに達するが、化学流を安定化させるために廃液管に迂回させた。硫酸及び過酸化水素の組成物を、硫酸の温度が上昇して150℃に安定する間、追加で180秒間、廃液管に流し続けた。この時点において、5秒〜300秒の範囲のあらかじめ定めた投与時間、化学組成物がスプレーバーを通じて、回転しているウエハ上に向けられた。化学物質の投与の後、ウエハを脱イオン水で洗浄し、回転乾燥を行った。
【0074】
比較プロセス2−容器蒸気を用いた基準工程
このプロセスでは、高温の硫酸/過酸化水素の組成物を、チャンバー容器の底に95℃の熱水を投与することによって水蒸気をチャンバーに同時に導入しつつ、上記のスプレーバーを通じてウエハに投与した。
【0075】
このプロセスでは、最初に、ウエハ上に熱水を向けて30秒間、ウエハを予熱した。次いで、過剰な水をウエハから除去した。次いで、95℃の熱水を60秒間、チャンバー容器の底に投与して水蒸気を生成した。95℃の熱水をさらに60秒間、チャンバー容器の底に投与し続け、一方で硫酸及び過酸化水素の組成物がスプレーバーに達したが、化学流を安定化させるために廃液管に迂回させた。硫酸の温度が上昇して150℃に安定する間、さらに180秒間、95℃の熱水をチャンバー容器の底に投与し続け、且つ硫酸及び過酸化水素の組成物廃液管に迂回させ続けた。この時点において、5秒〜300秒の範囲のあらかじめ定めた投与時間、化学組成物がスプレーバーを通じて、回転しているウエハ上に向けられている間、95℃の熱水をチャンバー容器の底に投与し続けた。化学物質の投与後に、ウエハを脱イオン水で洗浄して回転乾燥を行った。
【0076】
本発明のプロセス−蒸気で化学混合物を噴霧化
このプロセスでは、高温の硫酸/過酸化物の組成物を、スプレーバー内の一連の開口部を通じて蒸気を向けることによってチャンバーに水蒸気を同時に導入しつつ、上記のスプレーバーを通じてウエハに投与し、それによって、蒸気の流れを高温の硫酸/過酸化物の組成物の流れに衝突させ、それによって、高温の硫酸/過酸化物の組成物を噴霧化した。蒸気は、30psig蒸気、温度が131.2℃、蒸気の流量が160リットル/minで供給された。
【0077】
この方法では、ウエハは最初に、スプレーを通じてウエハ上に蒸気を向けて90秒間、ウエハを予熱した。次いで、硫酸及び過酸化水素の組成物がスプレーバーに達するが、化学流を安定化させるために廃液管に迂回させている間、さらに60秒間、蒸気をウエハ上に投与し続けた。硫酸の温度が上昇して150℃に安定する間、さらに300秒間、蒸気をウエハ上に投与し続け、且つ硫酸及び過酸化水素の組成物を廃液管に流し続けた。この時点において、20秒〜90秒の範囲のあらかじめ定めた投与時間、化学組成物がまたスプレーバーを通じて、回転しているウエハ上に向けられている間、蒸気を、ウエハ上にスプレーバーを通じて投与し続けた。化学物質の投与後に、ウエハを脱イオン水で洗浄して回転乾燥を行った。
【0078】
E.温度解析
以下のグラフは、同じ温度であるが、水蒸気との共投与の異なる条件下における、硫酸組成物の投与によって達成されたウエハの温度を示す。水蒸気がない共投与による対照、及び処理チャンバー内で周囲に(ambiently)投与された水蒸気を有する対照と比較して、硫酸組成物の流れを蒸気と衝突させることを有する本発明のシステムにおいて、ウエハの温度は、非常に短い処理時間で驚くほど非常に高かったことが分かった。グラフの凡例において、組成物−1が上述の比較プロセス1に対応し、組成物−2が上述の比較プロセス2に対応し、本発明が上述の本発明のプロセスに対応する。
【0079】
【表1】

【0080】
F.レジスト除去の評価
示されるように、ウエハ及びウエハの断片の処理後、レジスト及び残留物の除去を、顕微鏡検査によって評価した。全てのレジスト及び残留物を除去するために十分な化学物質の投与時間を、秒単位で、次の第1表に報告する。
【0081】
【表2】

【0082】
このデータは、水蒸気がない共投与による対照、及び処理チャンバー内で周囲に(ambiently)投与された水蒸気を有する対照と比較して、本発明のプロセスが、レジスト及び残留物の驚くほど迅速な除去を提供することを示している。
【0083】
例2
上述の処理工程の際に水蒸気及び/または窒素ガスで基板を囲む効果を立証するために、さらなる試験を行った。これらの試験では、本発明の方法を用いて及び用いないで酸化物のエッチング試験を行った。対照を除いて、70℃の投与温度にて60秒間、SC−1溶液を用いてウエハから酸化物をエッチングした。
【0084】
これらの試験の結果を図6にグラフを使って示す。
特にグラフのラインは次のことを示す。
【0085】
1)対照とは、ウエハへSC1の投与を行わない基準プロセスである。この評価は、ツールが正しく操作されており、且つ間違えて酸化物のエッチングに寄与していないことを検証するために行う。
【0086】
2)蒸気衝突、蒸気環境とは、SC−1の流れが蒸気に衝突すること、及びウエハがさらに蒸気環境で囲まれることである。このプロセスは、最良の全体的な酸化物のエッチングレートを作り出す。これは蒸気を用いないプロセスのレートのおおよそ3倍〜4倍である。
【0087】
3)蒸気環境のみとは、SC−1の流れは衝突しないが、ウエハが蒸気の環境に囲まれることである。このプロセスは、端部が早い酸化物のエッチング形状を作り出す。
【0088】
4)N2衝突、N2環境とは、SC−1の流れがN2蒸気に衝突し、ウエハがさらにN2環境に囲まれることである。このプロセスは、比較的低い酸化物のエッチングレートで均一なエッチング形状を作り出す。
【0089】
5)N2環境のみとは、SC−1の流れは衝突しないが、ウエハがN2環境に囲まれることである。このプロセスは、比較的低い酸化物のエッチングレートで均一なエッチング形状を作り出す。
【0090】
本明細書に用いられた全てのパーセント及び比率は、特に断りがなければ、体積パーセント及び体積比である。処理プロセスが異なる圧力で行われれば、プロセスに含まれる様々な成分の温度をそれにしたがって調節することができることが理解されるだろう。引用された全ての刊行物、特許及び特許公報は、参照として個々に組み込まれるように、本明細書に参照として完全に組み込まれる。この文書によって記載されるように意図される本発明の多数の特性及び利点が、前述の説明に示された。ただし、本発明の特定の形態及び実施態様が例示されたが、形状の改良、及び部品の配置等を含む様々な改良が、本発明の趣旨及び範囲から離れることなく行うことができることは言うまでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)処理チャンバー内に、その表面上に材料を有する基板を配置すること;
b)液状処理組成物の流れを該基板の表面に衝突させるように向けること;及び
c)水蒸気の流れを該基板の表面に衝突させるように及び/または該液状処理組成物に衝突させるように向けること、
を含む、基板の処理方法。
【請求項2】
該水蒸気を少なくとも約100℃の温度にて供給する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該水蒸気を約130℃の温度にて供給する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
該処理が材料を除去することであり、該液状処理組成物が、硫酸及び/またはその脱水種及び前駆体を含む液状硫酸組成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
該液状処理組成物が、SC−1組成物(NH4OH/過酸化物/水)、SC−2組成物(HCl/過酸化物/水)、SPM組成物(硫酸/過酸化物)、SOM(硫酸/オゾン)組成物、緩衝酸化物エッチング(HF及びフッ化アンモニウム)組成物、及びNH4OH、H3PO4、HF、HCl、またはHF/HCl組成物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
該液状処理組成物の流れ及び該水蒸気の流れが、該基板の該表面に衝突する前に、少なくとも部分的に交わる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
該液状処理組成物の流れ及び該水蒸気の流れが、該基板の該表面上で、少なくとも部分的に交わる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
該液状処理組成物の流れが該基板に衝突する前に、該水蒸気の流れが該液状処理組成物の流れに衝突する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
該液状処理組成物の流れ及び該水蒸気の流れが、少なくとも2つの開口部を含むノズル構造物から投与される、請求項8に記載の方法であって、
該ノズル構造物が、該液状処理組成物が該基板に衝突する前に該液状処理組成物を噴霧化する態様で、液状処理組成物の第1の流れ及び水蒸気の第2の流れを供給する、
方法。
【請求項10】
該液状処理組成物の流れ及び該水蒸気の流れが、3つの開口部を含むノズル構造物から投与される、請求項8に記載の方法であって、
該ノズル構造物が、該液状処理組成物が該基板に衝突する前に該液状処理組成物を噴霧する態様で、中央の開口部から水蒸気の第1の流れと、第2及び第3の相対する開口部から液状処理組成物の第2の流れ及び第3の流れとを供給する、
方法。
【請求項11】
該基板が回転し、該回転している基板の回転方向に対して、該水蒸気の流れが該基板に衝突する位置の前の位置にて、該液状処理組成物の流れが該基板に衝突する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
該基板が回転し、該回転している基板の回転方向に対して、該液状処理組成物の流れが該基板に衝突する位置の前の位置にて、該水蒸気の流れが該基板に衝突する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
水蒸気への曝露時における該液状処理組成物が、約5:1以下の水/硫酸のモル比を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
該水蒸気に曝露する前の該液状処理組成物及び該水蒸気の両方の温度よりも高く該液状処理組成物の該温度を上昇させるのに効果的な量の水蒸気に、該液状処理組成物が曝露される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
該水蒸気の流れが酸化剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
該酸化剤が過酸化水素である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
該酸化剤が硝酸である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
該処理工程b)及びc)の際に、水蒸気及び/または窒素ガスを該処理チャンバーに導入して、水蒸気及び/または窒素ガスで該基板を囲むことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
該処理工程b)及びc)の際に、水蒸気を該処理チャンバーに導入して、水蒸気で該基板を囲む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
該処理チャンバー内に存在する該ガスの実質的に全てが窒素ガスである、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
該処理チャンバー内に存在する該ガスの実質的に全てが、水蒸気を含有した窒素ガスである、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
約100℃〜約150℃の水蒸気の温度にて該基板に曝露されるように、該基板を囲む該水蒸気を導入する、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
a)処理チャンバー内に、その表面上に材料を有する基板を配置すること;
b)硫酸及び/またはその脱水種及び前駆体を含む液状硫酸組成物を、該基板の全表面よりも小さい該基板の表面の一部分を処理するために効果的な量で、該基板の表面の該一部分上に投与すること;及び
c)水蒸気に曝露する前の該液状硫酸組成物の温度よりも高く該液状硫酸組成物の該温度を上昇させるために効果的な量の該水蒸気に、該液状硫酸組成物を曝露すること、
を含む、基板から材料を除去する方法であって、
水蒸気への曝露時における該液状硫酸組成物が、約5:1以下の水/硫酸のモル比を有する、方法。
【請求項24】
(i)水蒸気に曝露する前の該基板上の液状硫酸組成物の温度、及び(ii)該水蒸気の温度の両方の温度よりも高く、該基板上の該液状硫酸組成物の温度を上昇させるために効果的な量の該水蒸気に、該液状硫酸組成物を曝露する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
水蒸気への曝露時における該液状硫酸組成物が、約2:1以下の水/硫酸のモル比を有する、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
該液状硫酸組成物の投与中または投与後に、酸化剤を該処理チャンバー内に導入する、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
該水蒸気に曝露する前に、約130℃〜約200℃の温度にて、該液状硫酸組成物を投与する、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
該材料がフォトレジストである、請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−58790(P2013−58790A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−255692(P2012−255692)
【出願日】平成24年11月21日(2012.11.21)
【分割の表示】特願2010−508417(P2010−508417)の分割
【原出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(508151552)ティーイーエル エフエスアイ,インコーポレイティド (13)
【Fターム(参考)】