説明

水蒸気圧縮冷凍機システム

【課題】通年で高温の冷水による冷却を要する冷凍設備において、蒸発器と凝縮器との差圧を位置水頭により確保する水蒸気圧縮冷凍機システムの冷却水系の自由度を上げること。
【解決手段】水蒸気圧縮冷凍機システムにおいて、凝縮器20にシェルアンドチューブ熱交換器21を設け、凝縮器20のシェルアンドチューブ熱交換器21の出口21bに冷却水往き53管を連結し、凝縮器20のシェルアンドチューブ熱交換器21の入口21aに冷却水ポンプ52を設けた冷却水還り管51を連結する冷却水配管50を設け、凝縮器20のシェルアンドチューブ熱交換器21内を流れる冷却水を冷却水配管50を介して開放式冷却塔55に連結した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開放式冷却塔を用いる水蒸気圧縮冷凍機システムに係り、特に、年間を通じて大負荷冷房負荷/冷却負荷を有し、高温の冷水を要求する設備に適した冷凍機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、水を冷凍サイクルを形成する冷媒として使用する水蒸気圧縮冷凍機システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。そして、特許文献1では、蒸発器と凝縮器の差圧を位置水頭により確保し、もって膨張弁を排除している。
特許文献1では、蒸発器と凝縮器の差圧を位置水頭により確保し、もって膨張弁を排除している。特許文献1記載の水蒸気圧縮冷凍機システムでは、例えば、蒸発器から供給される冷水往き温度を20℃とするため、冷凍機内部で15℃の冷水を製造するのに蒸発器内圧を1.7kPa、凝縮器において、日本関東など夏期に外気湿球温度32℃程度で冷却塔利用ができるよう、水冷媒液が37℃で液化する37℃飽和蒸気圧6.3kPaに凝縮器内圧力を各々真空引きすることで、冷凍サイクルを小さな蒸発器凝縮器水位差で実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−97989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の水蒸気圧縮冷凍機システムでは、その機構上、蒸発器に空間的に連結される冷水配管内及び負荷側熱交換器水側内、凝縮器に空間的に連結される冷却水配管内も同じく水冷媒液が37℃で液化する37℃飽和蒸気圧の3.6kPa以下程度まで真空状態にしなければならない。
また、外気と熱交換する冷却塔では、冷却水配管内の冷却水も滅圧されていなければならないので、機構上チューブ内を冷却水が流れる高価な密閉型(コイルチューブ内を冷却水が流れ、チューブ外には別な冷却水が外気と共に触れてチューブ外面などで蒸発潜熱を奪いながら外気に蒸発して熱交換する)の型式でなければならない。
【0005】
さらに、特許文献1記載の水蒸気圧縮冷凍機システムでは、密閉式冷却塔内の冷却コイル内を減圧するので、強度やシール性の確保のため特別製作となり、汎用品が使えず、さらに高価となる。
しかも、寒冷地においては、冷却塔年中運転により、冷却水凍結の虞があり、不凍液(ブライン)を使いたくても、冷却水は水でなければ冷凍サイクルが成立しないという問題がある。
【0006】
本発明は斯かる従来の問題点を解決するために為されたもので、その目的は、通年で高温の冷水による冷却を要する冷凍設備において、蒸発器と凝縮器との差圧を位置水頭により確保する水蒸気圧縮冷凍機システムの冷却水系の自由度を上げることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の水蒸気圧縮冷凍機システムは、密閉式の蒸発器と、シェルアンドチューブ熱交換器を設ける密閉式の凝縮器と、蒸発器と凝縮器との冷媒液位のレベル差を確保する圧縮機と、各々が配管で接続される凝縮器、蒸発器、圧縮機及びその間を接続する配管内を30kPa以下の真空状態に保持する、凝縮器に接続される配管に設けられた真空ポンプと、を有する、水が冷凍サイクルを形成する冷媒として使用される水蒸気圧縮冷凍機を備えた水蒸気圧縮冷凍機システムであって、蒸発器の底部と凝縮器の底部とを連結し、冷媒の凝縮増加分を循環させる連通路と、冷水ポンプを設け、蒸発器の底部に連結される冷水往き管と、蒸発器の上部に連結される冷水還り管とを有する冷水配管と、冷水往き管及び冷水還り管に連結される熱交換器である負荷と、圧縮機を蒸発器と凝縮器との間に位置させて連結する連結配管と、凝縮器のシェルアンドチューブ熱交換器のチューブ側出口に連結される冷却水往き管と、冷却水ポンプを設け、凝縮器のシェルアンドチューブ熱交換器のチューブ側入口に連結される冷却水還り管とを有する冷却水配管と、冷却水配管に連結され、凝縮器のシェルアンドチューブ熱交換器のチューブ内を流れる冷却水を外気と熱交換する開放式冷却塔とを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2の水蒸気圧縮冷凍機システムは、密閉式の蒸発器と、シェルアンドチューブ熱交換器を設ける密閉式の凝縮器と、蒸発器と凝縮器との冷媒液位のレベル差を確保する圧縮機と、各々が配管で接続される凝縮器、蒸発器、圧縮機及びその間を接続する配管内を30kPa以下の真空状態に保持する、凝縮器に接続される配管に設けられた真空ポンプと、を有する、水が冷凍サイクルを形成する冷媒として使用される水蒸気圧縮冷凍機を備えた水蒸気圧縮冷凍機システムであって、蒸発器の底部と凝縮器の底部とを連結し、冷媒の凝縮増加分を循環させる連通路と、冷水ポンプを設け、蒸発器の底部に連結される冷水往き管と、蒸発器の上部に連結される冷水還り管とを有する冷水配管と、冷水往き管及び冷水還り管に連結される熱交換器である負荷と、圧縮機を蒸発器と凝縮器との間に位置させて連結する連結配管と、凝縮器のシェルアンドチューブ熱交換器のチューブ側出口に連結される冷却水往き管と、冷却水ポンプを設け、凝縮器のシェルアンドチューブ熱交換器のチューブ側入口に連結される冷却水還り管とを連結する冷却水循環路から成る冷却水配管と、冷却水循環ポンプを設ける冷却水循環路を設け、冷却水を外気と熱交換する開放式冷却塔と、冷却水配管の冷却水循環路と開放式冷却塔の冷却水循環路とを熱的に結合し、冷却水配管の冷却水循環路を流す冷却水と開放式冷却塔の冷却水循環路を流す冷却水とを間接熱交換する熱交換器とを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3の水蒸気圧縮冷凍機システムは、密閉式の蒸発器と、シェルアンドチューブ熱交換器を設ける密閉式の凝縮器と、蒸発器と凝縮器との冷媒液位のレベル差を確保する圧縮機と、各々が配管で接続される凝縮器、蒸発器、圧縮機及びその間を接続する配管内を30kPa以下の真空状態に保持する、凝縮器に接続される配管に設けられた真空ポンプと、を有する、水が冷凍サイクルを形成する冷媒として使用される水蒸気圧縮冷凍機を備えた水蒸気圧縮冷凍機システムであって、蒸発器の底部と凝縮器の底部とを連結し、冷媒の凝縮増加分を循環させる連通路と、冷水ポンプを設け、蒸発器の底部に連結される冷水往き管と、蒸発器の上部に連結される冷水還り管とを有する冷水配管と、冷水往き管及び冷水還り管に連結される熱交換器である負荷と、圧縮機を蒸発器と凝縮器との間に位置させて連結する連結配管と、凝縮器のシェルアンドチューブ熱交換器のチューブ側出口に連結される冷却水往き管と、冷却水ポンプを設け、凝縮器のシェルアンドチューブ熱交換器のチューブ側入口に連結される冷却水還り管とを連結する冷却水循環路から成る冷却水配管と、冷却水配管に連結される熱交換器を有する密閉式冷却塔とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
腐食の激しい外気との熱交換器である冷却塔部分の減圧を回避できるので、汎用開放式冷却塔が利用でき施工の手間やコストが大幅に削減できる。
寒冷地における冷却塔年中使用にも、ブラインが利用可能である。
凝縮器を流す冷却水と開放式冷却塔とをさらに熱交換器で間接接続することで、外気やスライムで汚れた水を凝縮器チューブに流さずに済み、長寿命化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態1に係る水蒸気圧縮冷凍機システムを示す構成図である。
【図2】本発明の実施形態2に係る水蒸気圧縮冷凍機システムを示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る水蒸気圧縮冷凍機システムを示す。本実施形態に係る水蒸気圧縮冷凍機システムは、水を冷凍サイクルを形成する冷媒として使用する密閉式の水冷媒冷凍機である水蒸気圧縮冷凍機10を有する。
【0013】
水蒸気圧縮冷凍機10は、密閉式の蒸発器15と、シェルアンドチューブ熱交換器21を設ける密閉式の凝縮器20と、蒸発器15と凝縮器20との相互間を接続する蒸気ダクトである連結配管26に配設したインバータで制御されるルーツ圧縮機25とを設けている。
また、凝縮器20には、配管35aを介して真空ポンプ35が接続されている。
真空ポンプ35は、凝縮器20内の空気、つまり凝縮器20に空間として繋がっている連通路30、連結配管26及び蒸発器15と、さらに凝縮器20と蒸発器15に接続されたその他の配管内の空気を排出し、それらの空間内の空気圧力を少なくとも30kPa以下の真空状態とし、例えば、水の37℃飽和蒸気圧である6.3kPa程度の圧力値として凝縮器20内を真空状態とする。
【0014】
蒸発器15は、密閉型に構成され、その内部に入れた蒸発性液体、例えば水を大気圧より低い減圧の状態で蒸発させるものである。
この蒸発器15には、冷水往き管41及び冷水還り管43を有する冷水配管40を介して負荷45が連結されている。
【0015】
冷水配管40の冷水往き管41は、冷水ポンプ42を設け、蒸発器15の底部と負荷45とに連絡している。また、冷水配管40の冷水還り管43は、負荷45と蒸発器15の上部に連絡している。
蒸発器15内下部に貯留し蒸発器35内での蒸発水分による蒸発潜熱により温度が低くなった水は、冷水ポンプ42にて汲み出されて冷水配管40の冷水往き管41を介してサーバ等の負荷45に送られた後、熱交換器である負荷45から熱を授与され、冷水配管40の冷水還り管43を介して再び蒸発器15内に噴出して戻される。
【0016】
凝縮器20は、密閉型に構成され、蒸発器15内での蒸発潜熱により周囲の熱を奪って蒸発発生した蒸気を連結配管26を介して導入し、この蒸気を、シェルアンドチューブ熱交換器21のシェル側に導入して、チューブ側を流れる冷却水と間接熱交換によって冷却しチューブ表面で凝縮するものである。また、凝縮器47には、配管を介して真空ポンプ49が接続されている。
真空ポンプ49は、凝縮器47内の空気、つまり凝縮器47に空間として繋がっている連通路48、連結配管51及び蒸発器35と、さらに凝縮器47と蒸発器35に接続されたその他の配管内の空気を排出し、それらの空間内の空気圧力を少なくとも30kPa以下の真空状態とし、例えば、水の37℃飽和蒸気圧である6.3kPa程度の圧力値として凝縮器47内を真空状態とする。
【0017】
凝縮器20のシェルアンドチューブ熱交換器21の入口21aには、冷却水配管50の冷却水還り管51が連結され、凝縮器20のシェルアンドチューブ熱交換器21の入口21bには、冷却水配管50の冷却水往き管53が連結されている。冷却水配管50の冷却水還り管51には、冷却水ポンプ52が設けられている。
冷却水配管50の冷却水還り管51は、開放式冷却塔55の下部水槽56に連絡し、冷却水配管50の冷却水往き管53は、開放方式冷却塔55の上部の散水管57に連絡している。開放式冷却塔55では、凝縮器20のシェルアンドチューブ熱交換器21内を流れる冷却水を外気と熱交換する。
【0018】
ルーツ圧縮機25は、蒸発器15と凝縮器20とを相互に連結する連結配管26に連結されている。ルーツ圧縮機25は、レベル的に併設された蒸発器15と凝縮器20との冷媒液位のレベル差△Lを確保するだけの圧力差を、真空状態において保持できるだけの能力を有している。ルーツ圧縮機25は、例えば、ルーツポンプであり、このルーツポンプはいわゆる真空用のブースタポンプであって、例えば、楕円形のシリンダ内に同形のまゆ型断面形状を有する2つのロータを互いに90°位相をずらせて隣接配置し、各ロータは互いに当速度で回転する。この2つのロータとシリンダとの間に閉じこめられた水蒸気を吸気口から排気口側つまり凝縮器20側に送流する。そして、2つのロータの回転制御はルーツポンプの軸端に接続されたタイミングギヤによって行ない、駆動軸の他端は軸封部を介して大気中に出しモータによって駆動される。そして、このルーツポンプの特徴点は、シリンダ内に摺動部がなく動力損が少なく高速回転が可能となると共に良好な排気特性が得られることにある。
【0019】
なお、本実施形態に係る水蒸気冷凍機システムは、蒸発器15の出口冷水温度は20℃程度の高温が最適ではあるが、そうでなくとも、冷凍機システムの内部真空度を高くし、蒸発器15と凝縮器20との水位差を大きく取る必要があり装置が大がかりになるができなくはない。しかし、冷却塔による年間を通した冷却水の冷却温度から、装置のコストパフォーマンス上有利なのは、例えば、負荷45の入口20℃、出口23℃である温度差3℃であれば、蒸発器15と凝縮器20との水位差ΔLが現実的な数十センチとなる。具体的には、真空ポンプ35によって、凝縮器20の凝縮圧力値6.3kPaになるように真空引きし、蒸発器15の蒸発圧力値1.7kPaになるようにルーツ圧縮機25で圧縮すると、差圧が4.6kPaで47cmの水位差ΔLで冷凍サイクルが成立する。このときに、ルーツ圧縮機25の圧縮比は、2.2あればよい。
なお、凝縮器20内の圧力値を夏外気の湿球温度から、負荷45の入口出口冷水温度は、出口冷水温度では凝縮器内圧力基準とした温度から、入口冷水温度は水位差で規定できる差圧から、それぞれ成り立つよう設計すれば、異なる温度系の冷凍機システムができるのはいうまでもない。以下には、上記の負荷入口20℃、出口23℃の冷水条件での数値を示していく。
【0020】
次に、本実施形態に係る水蒸気圧縮冷凍機システムの作用を説明する。
本実施形態に係る水蒸気圧縮冷凍機システムは、図1に示すように、膨張弁を排除しており、蒸発器15、ルーツ圧縮機25、凝縮器20及び負荷側の冷水配管40を密閉式として接続し、この内部を真空状態にし、ルーツ圧縮機25を運転することで蒸発器15内の水蒸気が蒸発し、蒸発器15内の温度を低下させる。
【0021】
次に、ルーツ圧縮機25によってその水蒸気を圧縮した後、水蒸気は高温となって凝縮器20に導かれる。凝縮器20では、冷却水ポンプ52によってシェルアンドチューブ熱交換器21内に流される開放式冷却塔55からの冷却水と間接熱交換されて凝縮され、再び水に戻る。高温水蒸気の凝縮によって昇温されたシェルアンドチューブ熱交換器21内の冷却水は、冷却水往き管53を介して開放式冷却塔55に送られ、その熱を開放式冷却塔55の散水管57から外部へ放熱する。凝縮器20内の凝縮水は、凝縮器20と蒸発器15とを連結した連通路30により蒸発器15へ戻り、両容器の圧力差に相当する水位差ΔLを維持する。
【0022】
本実施形態において、水蒸気は、蒸発器15から連結配管26内を流送し、ルーツ圧縮機25に流れ、さらに、凝縮器20に流れ込む。そして、蒸発時に蒸発器15の水を冷却し、冷水を製造する。蒸発器15の出口側は冷水温度が例えば20℃であり、冷水は冷水ポンプ42によりサーバ等の負荷45の入力側に流送される。そこで、負荷45の出口側から例えば23℃の冷水を放出し、蒸発器15内に例えば23℃の冷水として戻される。
【0023】
開放式冷却塔55の下部水槽56から冷却水ポンプ52によって汲み出される冷却水の温度は、夏期ピーク時において例えば32℃である。このとき、凝縮器20の底部に滞留する水冷媒液の温度は、例えば、37℃となっていて、約6.3kPaの飽和水蒸気圧を有し、その出口側から凝縮器20の底部に滞留する水冷媒液とほぼ同じ温度まで熱交換されたチューブ内冷却水は約37℃となって、シェルアンドチューブ熱交換器21のチューブ側出口21bから冷却水ポンプ52により開放式冷却塔55に流送される。
【0024】
本実施形態に係る水蒸気圧縮冷凍機システムは、凝縮器20に滞留している水冷媒液を、連通路30を介して蒸発器15へ流送する。本実施形態に係る水蒸気圧縮冷凍機システムでは膨張弁を排除しており、凝縮器20及び蒸発器15の圧力差を、凝縮器20内及び蒸発器15内の水位差による水頭圧で保持している。
【0025】
以上のように、本実施形態によれば、凝縮器20では、開放式冷却塔55で冷却された冷却水がシェルアンドチューブ熱交換器21内に流され、ルーツ圧縮機25から送られてくる水冷媒の水蒸気と間接熱交換によって冷却される。
このように、凝縮器20内での間接熱交換によって、冷却水系は従来の水蒸気圧縮冷凍機システムのように減圧にする必要が無くなる。
従って、高価な密閉式冷却塔に代えて開放式冷却塔を使用することができる。また、冷却水系にブラインを流すことも可能となる。
【0026】
(実施形態2)
図2は、本発明の実施形態2に係る水蒸気圧縮冷凍機システムを示す。
本実施形態に係る水蒸気圧縮冷凍機システムは、凝縮器20を流す冷却水と開放式冷却塔55を流す冷却水とを熱交換器70で間接熱交換する点で、図1に示す水蒸気圧縮冷凍機システムとは相違する。従って、その他の構成についてはその説明を省略する。
【0027】
凝縮器20のシェルアンドチューブ熱交換器21には、冷却水循環路60が繋がれている。この冷却水循環路60は、冷却水ポンプ62を設けてシェルアンドチューブ熱交換器21の入口21aに繋がる冷却水還り管61と、シェルアンドチューブ熱交換器21の出口21bに繋がる冷却水往き管63とを結合することによって構成されている。そして、冷却水循環路60には、熱交換器70が熱的に結合されている。
また、熱交換器70には、開放式冷却塔55に繋がる冷却水循環路65が熱的に結合されている。この冷却水循環路65は、冷却水ポンプ66を設けて下部水槽56に連絡する冷却水還り管67と、散水管57に連絡する冷却水往き管68とを結合することによって構成されている。
【0028】
本実施形態に係る水蒸気圧縮冷凍機システムでは、ルーツ圧縮機25によってその水蒸気を圧縮した後、凝縮器20に導かれた高温となった水蒸気を、凝縮器20においてシェルアンドチューブ熱交換器21内に流される冷却水によって冷却する際に、シェルアンドチューブ熱交換器21内に流される冷却水循環路60内の冷却水は、開放式冷却塔55から送られてくる冷却水循環路65内の冷却水と、熱交換器70において間接熱交換される。
【0029】
従って、本実施形態に係る水蒸気圧縮冷凍機システムによれば、外気やスライムで汚れた水を凝縮器20のシェルアンドチューブ熱交換器21に流さずに済み、長寿命化が図れる。
また、本実施形態に係る水蒸気圧縮冷凍機システムにおいても、実施形態1と同様の作用効果を奏することが可能となる。
【0030】
なお、上記実施形態2では、熱交換器70と冷却塔55とを別々に設けた説明したが、冷却塔55を熱交換器を備える密閉式冷却塔に置き換えれば、熱交換器70と冷却塔55とを分離して設けることが無くなる。
【符号の説明】
【0031】
10 水蒸気圧縮冷凍機
15 蒸発器
20 凝縮器
21 シェルアンドチューブ熱交換器
21a 入口
21b 出口
25 ルーツ圧縮機
26 連結配管
30 連通路
35 真空ポンプ
40 冷水配管
41 冷水往き管
42 冷水ポンプ
43 冷水還り管
45 負荷
50 冷却水配管
51、61、67 冷却水還り管
52、62、66 冷却水ポンプ
53、63、68 冷却水往き管
55 開放式冷却塔
60、65 冷却水循環路
70 熱交換器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉式の蒸発器と、シェルアンドチューブ熱交換器を設ける密閉式の凝縮器と、前記蒸発器と前記凝縮器との冷媒液位のレベル差を確保する圧縮機と、各々が配管で接続される前記凝縮器、前記蒸発器、前記圧縮機及びその間を接続する配管内を30kPa以下の真空状態に保持する、前記凝縮器に接続される配管に設けられた真空ポンプと、を有する、水が冷凍サイクルを形成する冷媒として使用される水蒸気圧縮冷凍機を備えた水蒸気圧縮冷凍機システムであって、
前記蒸発器の底部と前記凝縮器の底部とを連結し、前記冷媒の凝縮増加分を循環させる連通路と、
冷水ポンプを設け、前記蒸発器の底部に連結される冷水往き管と、前記蒸発器の上部に連結される冷水還り管とを有する冷水配管と、
前記冷水往き管及び前記冷水還り管に連結される熱交換器である負荷と、
前記圧縮機を前記蒸発器と前記凝縮器との間に位置させて連結する連結配管と、
前記凝縮器のシェルアンドチューブ熱交換器のチューブ側出口に連結される冷却水往き管と、冷却水ポンプを設け、前記凝縮器のシェルアンドチューブ熱交換器のチューブ側入口に連結される冷却水還り管とを有する冷却水配管と、
前記冷却水配管に連結され、前記凝縮器のシェルアンドチューブ熱交換器のチューブ内を流れる冷却水を外気と熱交換する開放式冷却塔と
を備えることを特徴とする水蒸気圧縮冷凍機システム。
【請求項2】
密閉式の蒸発器と、シェルアンドチューブ熱交換器を設ける密閉式の凝縮器と、前記蒸発器と前記凝縮器との冷媒液位のレベル差を確保する圧縮機と、各々が配管で接続される前記凝縮器、前記蒸発器、前記圧縮機及びその間を接続する配管内を30kPa以下の真空状態に保持する、前記凝縮器に接続される配管に設けられた真空ポンプと、を有する、水が冷凍サイクルを形成する冷媒として使用される水蒸気圧縮冷凍機を備えた水蒸気圧縮冷凍機システムであって、
前記蒸発器の底部と前記凝縮器の底部とを連結し、前記冷媒の凝縮増加分を循環させる連通路と、
冷水ポンプを設け、前記蒸発器の底部に連結される冷水往き管と、前記蒸発器の上部に連結される冷水還り管とを有する冷水配管と、
前記冷水往き管及び前記冷水還り管に連結される熱交換器である負荷と、
前記圧縮機を前記蒸発器と前記凝縮器との間に位置させて連結する連結配管と、
前記凝縮器のシェルアンドチューブ熱交換器のチューブ側出口に連結される冷却水往き管と、冷却水ポンプを設け、前記凝縮器のシェルアンドチューブ熱交換器のチューブ側入口に連結される冷却水還り管とを連結する冷却水循環路から成る冷却水配管と、
冷却水循環ポンプを設ける冷却水循環路を設け、冷却水を外気と熱交換する開放式冷却塔と、
前記冷却水配管の冷却水循環路と前記開放式冷却塔の冷却水循環路とを熱的に結合し、前記冷却水配管の冷却水循環路を流す冷却水と前記開放式冷却塔の冷却水循環路を流す冷却水とを間接熱交換する熱交換器と
を備えることを特徴とする水蒸気圧縮冷凍機システム。
【請求項3】
密閉式の蒸発器と、シェルアンドチューブ熱交換器を設ける密閉式の凝縮器と、前記蒸発器と前記凝縮器との冷媒液位のレベル差を確保する圧縮機と、各々が配管で接続される前記凝縮器、前記蒸発器、前記圧縮機及びその間を接続する配管内を30kPa以下の真空状態に保持する、前記凝縮器に接続される配管に設けられた真空ポンプと、を有する、水が冷凍サイクルを形成する冷媒として使用される水蒸気圧縮冷凍機を備えた水蒸気圧縮冷凍機システムであって、
前記蒸発器の底部と前記凝縮器の底部とを連結し、前記冷媒の凝縮増加分を循環させる連通路と、
冷水ポンプを設け、前記蒸発器の底部に連結される冷水往き管と、前記蒸発器の上部に連結される冷水還り管とを有する冷水配管と、
前記冷水往き管及び前記冷水還り管に連結される熱交換器である負荷と、
前記圧縮機を前記蒸発器と前記凝縮器との間に位置させて連結する連結配管と、
前記凝縮器のシェルアンドチューブ熱交換器のチューブ側出口に連結される冷却水往き管と、冷却水ポンプを設け、前記凝縮器のシェルアンドチューブ熱交換器のチューブ側入口に連結される冷却水還り管とを連結する冷却水循環路から成る冷却水配管と、
前記冷却水配管に連結される熱交換器を有する密閉式冷却塔と
を備えることを特徴とする水蒸気圧縮冷凍機システム。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−230267(P2010−230267A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79717(P2009−79717)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000001834)三機工業株式会社 (316)