説明

水蒸気透過性絆創膏

本発明は、水蒸気透過性裏打層および粘着剤層を備えた絆創膏であって、粘着剤層は、少なくとも10質量%のスチレンブロックコポリマーおよび少なくとも20質量%のロジンのエステルゴムを含んでなり、また少なくとも一つの抗ウイルス性物質を含み得る外相中に、10質量%の水膨潤性の親水性粒子の分散内相を含んでなる、絆創膏に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚プラスター、すなわち生体の表面領域を覆うためのプラスターであって、特許文献1のように、皮膚に粘着し得る皮膚プラスターに関する。
【0002】
本発明は、特に高い水蒸気透過性を持つ皮膚プラスターに関する。
【背景技術】
【0003】
通常、傷または圧覚点を、治療するかまたは予防するためのプラスターは、裏打層および粘着剤層を含む。この裏打層は閉塞性、すなわち水蒸気に対して非透過であり、結果としてその皮膚プラスターの下(=皮膚プラスターの適用部位領域)に望ましくない水分の増加を引き起こし、装着時間を短くさせる、皮膚の炎症を引き起こす。
【0004】
皮膚プラスターを介して皮膚の表面上で生じた水分の蒸発を可能にする、水蒸気透過性を増加させた皮膚プラスターを開発するための多くの試みがなされている。結果として、望ましくない水分の蓄積およびそれに関連する皮膚プラスターの剥離または皮膚プラスターの下の細菌レベルの増加を避けることができる。
【0005】
水蒸気透過性皮膚プラスターを開発する際の当業者にとっての問題は、皮膚に適合する感圧性粘着材を提供すると同時に、高い粘着力および高い水蒸気透過率および/または水−吸収能を有するということである。
【0006】
先行技術は、例えば、実質的に完全に水溶性ポリマーをベースにした水分含有粘着材を開示している。しかしながら、水分含有粘着材の粘着力は、不十分であると認められている。さらに、水溶性ポリマーをベースにした粘着剤層を備える皮膚プラスターは、粘着剤層が乾燥するとその粘着力が失われるために、装着後数時間のうちに剥離する。
【0007】
先行技術はまた、非閉塞性皮膚プラスターを製造するための親水コロイド粘着剤も記載している。従来の親水コロイド粘着剤は、慣例的にさらなる天然の生成物を加えた植物ゴム(vegetable gum)から製造され、概して厚い層で適用される。このような接着剤は、例えば、人工肛門用排泄袋(colostomy bag)用の端部粘着剤として用いられる。
【0008】
特に適切な親水コロイド粘着剤は、特許文献2に、具体的には、ポリイソブチレンおよび水性液体中で膨潤し得る1種またはそれ以上の親水コロイドを含む粘着剤が記載されている。
【0009】
親水コロイド粘着剤のさらなる例は、特許文献3および特許文献4より公知である。
【0010】
特許文献5は、少なくとも1種の親水コロイドが分散されている外部の連続層のベースとして、少なくとも1つの架橋エラストマーを含む、人工肛門用排泄袋のためのシール材料を開示している。このエラストマーは、スチレン−オレフィン−スチレンブロックコポリマーまたはエチレン−プロピレンブロックコポリマーであり得る。さらに、その外相は、ジシクロペンタジエン、α−ピネンまたはβ−ピネンのポリマーおよびコポリマーの群由来の粘着剤を含む。
【0011】
特許文献6は、弾性フィルムおよび弱い弾性粘着剤からなる皮膚プラスターに関する。この粘着剤は以下を含む:
(I)以下を含む連続相
(a)スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーまたはエチレン−プロピレンブロックコポリマーの形態での物理的に架橋されたエラストマー、
(b)シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、α−ピネンおよび/またはβ−ピネンのポリマーまたはコポリマーの形態での炭化水素樹脂、
(c)抗酸化剤、
(d)場合により、1種またはそれ以上の鉱油からなるエキステンダー油、および
(e)場合により、エラストマーに対して極性の可塑剤であって、例えば、ポリエチレングリコールもしくはポリプロピレングリコールのエステル、または好ましくは脂肪族アルコールを含む2塩基もしくは他塩基カルボン酸のエステル、ならびに
(II)その連続相中に分散され、1種またはそれ以上の水膨潤性親水コロイドを含む、相。
【0012】
裏打層を形成する弾性フィルムは、水不透過性であるべきであり、好ましくは弾性のある、水不透過性ポリウレタンフィルムが与えられる。
【0013】
皮膚プラスターの場合における粘着剤は、比較的薄い層の形態であって、0.25〜3mmの厚さ、好ましくは約1.1mmの厚さで存在し得る。
【0014】
より近年、水膨潤性粒子の添加を伴うかまたは伴わない、非常に薄い皮膚プラスターもまた開発されている。例えば、特許文献7は、ウイルス媒介性障害の治療用の薄く、非閉塞性の皮膚プラスターを開示している。これらの皮膚プラスターは、裏打層および親水コロイド粒子を本質的に含まない粘着剤層を含む。この皮膚プラスターは、報告によると、わずか10〜1500μmの厚さを有しており、粘着剤層が20〜200μmの厚さであり得ることが記載されている。
【0015】
特許文献8は、水蒸気透過性裏打層および皮膚親和性の親水コロイド粒子含有粘着剤層を有する皮膚プラスターを記載している。これらの皮膚プラスターの粘着剤層の厚さは少なくともその皮膚プラスターの端部領域において20〜300μmであり、皮膚プラスターの水蒸気透過率は200〜1000g/m2であり、皮膚プラスターの水分吸収率は、40〜600g/m2/6hである。
【0016】
しかしながら、このプラスターは十分に高い水蒸気透過率と組み合わせて満足のいく粘着力を有してはいないことが当業者に公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特許出願DE10 2009 032 866.1.
【特許文献2】米国特許第3,339,546号
【特許文献3】米国特許第4,231,369号
【特許文献4】米国特許第4,367,632号
【特許文献5】米国特許第4,231,369号
【特許文献6】米国特許第4,367,732号
【特許文献7】WO2006/130461 A1
【特許文献8】WO 2005/051333 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従って、本発明の目的は、高い水−上記透過性と相まって良好な粘着力を有する、皮膚プラスターを提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0019】
驚いたことに、この目的は、水蒸気透過性材料から作られる裏打層(好ましくはポリウレタンのフィルム)と、少なくとも10質量%のスチレンブロックコポリマーおよび少なくとも20質量%のロジンのエステル樹脂を含む外部相中に10質量%の親水性で水膨張性粒子の分散内相を含む粘着剤層とを含む皮膚プラスターによって達成される。
【0020】
本発明に従う皮膚プラスターの裏打層は、水蒸気透過性である。原則的に裏打層に適切な材料としては、例えばポリエチレンまたはポリプロピレンでできたポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエーテルアミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、織布、ニット、発泡体およびポリウレタンフィルムである。本発明の文脈において、用語「フィルム」は、ポリマーフィルムおよびポリマー箔の両方に用いられる。
【0021】
裏打層は、モノシリックであり得るが、水蒸気透過性を有している。しかしながら、その裏打層はまた、別の水蒸気透過性ポリマーフィルムを水蒸気透過性とするために、微孔性であるかまたは穿孔処理され得る。
【0022】
好ましくは、この裏打層は、不透水性であるが、水蒸気−透過性である。
【0023】
裏打層に好ましい材料は、低摩擦で可とう性のポリマーフィルムである。裏打層に特に好ましい材料は、水蒸気透過性ポリウレタンフィルムである。
【0024】
その裏打層は、企図される用途に応じて適切な厚さを有する。より薄い裏打層の使用により、皮膚プラスターに、より良好な可とう性および身体の表面への適合能力がもたらされる。
【0025】
好ましくは、その裏打層は30μm未満の厚さ、特に好ましくは20μm未満の厚さ、および非常に特に好ましくは18μm未満の厚さを有する。この裏打層は15μm未満の厚さ、例えば12μmの厚さを有することさえも可能である。
【0026】
この裏打層の水蒸気透過率は、少なくとも200g/24時間、好ましくは少なくとも800g/24時間である。この水蒸気透過率は、1300g/24時間まで、好ましくは6000g/24時間までである。
【0027】
本発明に従う皮膚プラスターの粘着剤層は、連続的な外相とこの外相に分散している内相を有する粘着材からなる。この連続的な外相は、少なくとも10質量%のスチレンブロックコポリマーおよび少なくとも20質量%のロジンのエステル樹脂を含む。この質量%データは、粘着材の質量を参照する。内相は、親水性水膨潤性粒子からなり、少なくとも10質量%の粘着材質量を構成している。
【0028】
本発明に従う皮膚プラスターの粘着剤層用の粘着材は、スチレンブロックコポリマーを含む。このスチレンブロックコポリマーは、好ましくはスチレン−オレフィン−スチレンブロックコポリマーの群からのエラストマーである。このオレフィンブロックは、イソプレン、ブタジエン、他の短鎖アルカジエンもしくはアルカン(例えば、エチレン、ブチレンの混合物)またはポリイソブチレンをベースにすることができ、これらの化合物の組み合わせもまた可能である。外相に特に好ましいスチレンブロックコポリマーは、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーである。
【0029】
本発明に従う皮膚プラスターの粘着剤層用の粘着材は、少なくとも1種のロジンのエステル樹脂を含む。
【0030】
ロジンは、針葉樹のバルサムから得られる天然樹脂である。それは、蒸留のできない針葉樹バルサムの固体残渣である。蒸留物は、テレビン油と呼ばれ、主要成分としてα−ピネンおよびβ−ピネンを含む。ロジンは、樹脂酸とテルペンの混合物からなる。ロジンの主要成分は、アビエチン酸およびピマール酸のような酸化が容易な樹脂酸である。ロジンの樹脂酸をペンタエリスリトール、グリセリンまたはグリコールのようなポリオールと反応させることで、ロジンのエステル樹脂とも呼ばれる、いわゆるロジンエステルが得られる。
【0031】
従って、本発明の文脈内での用語「ロジンのエステル樹脂」はまた、樹脂酸のエステル、特にアビエチン酸および/またはピマール酸のエステルを含み、明白に、ペンタエリスリトール、グリセリンまたはグリコール属とのエステルも含む。
【0032】
ロジンエステルの製造は、通常非常に高い温度(250〜300℃)で、溶融状態でのバッチプロセスによって行う。
【0033】
好ましくは、本発明に従う皮膚プラスター用のロジンのエステル樹脂は、グリセリンのエステル、ペンタエリスリトールのエステルまたはこれらのエステルの混合物である。
【0034】
本発明に従う皮膚プラスターの粘着剤層用の粘着材は、親水性水膨潤性粒子を含む。好ましくは、この親水性水膨潤性粒子は、親水コロイド粒子である。
【0035】
「親水コロイド」は、コロイドのように水に溶解し、ゲル形成について高い能力を示す、多糖類およびタンパク質の大きい群を意味すると理解される。実質的には全ての親水コロイドは天然由来である。これらは天然に存在する親水性ポリマーであるかまたはそれらの化学修飾変異体であるかのいずれかである。親水コロイドとしては、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロースのようなセルロース、キトサン、ペクチン、アラビアゴム、グアー種粉末、イナゴマメ種子粉末、寒天、カラゲナン、アルギネート、ゼラチン、カゼイネート、デキストリンおよびキサンタンが挙げられる。
【0036】
親水性水膨潤性粒子について、同一または異なるモノマーの合成ポリマーもまた適切である。適切な親水性水膨潤性粒子は、例えば、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリヒドロキシアルキルアクリレート、ポリヒドロキシアルキルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホネート、ポリビニルピロリドン、ポリグリコール、コポリマー、グラフトコポリマーおよびこれらのポリマーの混合物からなり得る。
【0037】
この親水性水膨潤性粒子は、125μm未満の平均サイズを有しており、それらは、好ましくは100μmより小さく、特に好ましくは75μmより小さく、および非常に特に好ましくは50μmより小さい。
【0038】
粘着剤層中の親水性水膨潤性粒子の含有量により、本発明に従う皮膚プラスターについて、湿潤創傷治癒のための良好な条件を達成することが可能となる。
【0039】
本発明に従う皮膚プラスターの粘着剤層は、比較的厚く、例えば1mmまで、好ましくは3mmまで、特に好ましくは5mmまでであり得る。
【0040】
しかしながら、好ましい実施態様に従って、本発明に従う皮膚プラスターの粘着剤層は、300μmより厚くなく、好ましくは200μmより厚くなく、特に好ましくは150
μmより厚くなく、および非常に特に好ましくは100μmより厚くない、比較的薄い層である。この粘着剤層の厚さに与えられ得るより低い限界値は、25μm、好ましくは30μmである。薄い粘着剤層は、得られる皮膚プラスターも薄く、従ってより可とう性であることから好ましい。
【0041】
本発明に従う皮膚プラスターの粘着剤層の厚さは、皮膚プラスターの表面全体を一定に覆うことが必須であり得る。しかしながら、好ましい実施態様において、この粘着剤層は、その皮膚プラスターの真ん中が、端部領域よりも厚い。皮膚プラスターの端部に向かって次第に細くなっている粘着剤層は、その皮膚プラスターが皮膚からめくれ上がることを避け、装着時間を延長することが可能となる。しかしながら、薄い粘着剤層の場合には、可能な装着時間が有意に損なわれることなしに、端部の領域を細くしないことも可能である。
【0042】
本発明に従う皮膚プラスターは、水蒸気透過性である。本発明に従う皮膚プラスターの水蒸気透過率は、24時間で、少なくとも50g/m2、好ましくは少なくとも80g/m2、特に好ましくは少なくとも100g/m2である。本発明に従う皮膚プラスターの水蒸気透過率は、24時間で、通常1000g/m2未満、特定の実施態様の場合には400g/m2未満、好ましくは250g/m2未満、特に好ましくは150g/m2未満である。
【0043】
粘着剤層中の親水性水膨潤性粒子のおかげで、本発明に従う皮膚プラスターは、一定量の水分を吸収することができる。
【0044】
吸収し得る水分量は、とりわけ、粘着剤層の厚さ、親水性水膨潤性粒子の材料および粘着剤層中のそれらの含有量に依存する。
【0045】
好ましい実施態様において、本発明に従う皮膚プラスターは、少なくとも40g/m2/6h、好ましくは少なくとも50g/m2/6h、特に好ましくは少なくとも60g/m2/6h、および非常に特に好ましくは70g/m2/6hの吸収能を有する。この吸収能は、250g/m2/6hまで、好ましくは300g/m2/6hまで、特に好ましくは400g/m2/6hまでおよび非常に特に好ましくは600g/m2/6hまでである。この吸収能は、生理的食塩水(0.9M NaCl溶液)中に37℃で6時間完全に皮膚プラスターを浸漬し、その後吸収した水の量を測定することにより測定される。
【0046】
本発明に従う皮膚プラスターは、水分または傷の滲出液を吸収する被覆を有し得る。この吸収性カバーは、裏打層に面する粘着剤層の表面上に位置する。吸収層は、例えば、例えば、ガーゼ、アルギネート、コラーゲン、発泡体、高吸収性物質などのような任意の望ましく適切な材料からなり得る。この種の被覆およびそれに適切な材料は、当業者に公知である。
【0047】
本発明に従う皮膚プラスターは、切創または擦り傷および傷跡、他の皮膚障害などをも被覆するのに適切である。
【0048】
特定の実施態様において、本発明に従う皮膚プラスターは、その粘着剤層中に抗ウイルス性活性成分または抗ウイルス性活性成分の混合物を含む。
【0049】
抗ウイルス性活性成分、少なくとも1つの抗ウイルス性活性成分または複数の抗ウイルス性活性成分は、好ましくは、アシクロビル、バラシクロビル、ペンシクロビル、ファムシクロビル、ブリブジン、アデニンアラビノシド、およびフォスカーネットという商品名でも知られているホスホノギ酸を含む活性成分の群より選択される。
【0050】
この抗ウイルス性活性成分、少なくとも1つの抗ウイルス性活性成分または複数の抗ウイルス性活性成分はまた、ケイ酸、n−ドコサノールおよびイドクスウリジンを含む活性成分の群からも選択され得る。これらの活性成分は主に抗ウイルス性であるとは考えられていないが、それにもかかわらず、良好な抗ウイルス性効果を有している。
【0051】
粘着剤層中の抗ウイルス性活性成分(単数または複数)含有量は、活性成分を含有する粘着剤層の質量に基づいて、少なくとも0.1質量%、好ましくは少なくとも1.0質量%である。この活性成分含有粘着剤層は、活性成分を含有する粘着剤層の質量に基づいて、20質量%までの活性成分を含み得るが、好ましくは10質量%以下の活性成分を含む。用いられる活性成分の量は、用いられる活性成分または用いられる活性成分の混合物に依存することが当業者には公知である。
【0052】
本発明に従う皮膚プラスターの実施態様は、例えば、口唇単純ヘルペス(Herpes simples labialis)に感染した場合のいわゆる「ヘルペス疱疹(herpes blisters)」のように、ウイルス感染によって引き起こされる皮膚障害を被覆するのに適している抗ウイルス性活性成分。
【0053】
本発明に従う皮膚プラスターは、裏打層に面するその表面上の粘着剤層を覆う、取り外し可能な保護層または保護フィルム(「剥離ライナー」)を有している。その粘着表面は、単一パートの保護層、またはその粘着表面を部分的に覆い得る2つまたはそれ以上の保護層によって完全に被覆され得、粘着表面全体が被覆されるのが好ましい。この保護層または保護フィルムは、皮膚に対してその皮膚プラスターを適用する前、または適用する間に取り除かれる。
【0054】
保護層用の適切な材料としては、例えば、シリコン処理した紙またはプラスチックフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレンでできている)があり、これらは、場合により汚れのつかないコーティングと共にで提供される。皮膚プラスターの粘着剤層を被覆するための保護層用の材料は、当業者に公知である。
【0055】
保護層は、皮膚プラスターと同じ大きさおよび/または形状を有する必要はない。例えば、単一の保護層または複数の通常の保護層に対して、2つまたはそれ以上の皮膚プラスターを適用することが可能である。
【0056】
特に、単一パートの保護層はまた、本発明に従う皮膚プラスター用の最初のパッケージの一環として設計され得る。
【0057】
本発明に従う皮膚プラスターは、皮膚プラスターを製造する公知の方法を用いて製造され得る。
【0058】
本発明に従う皮膚プラスターは、切創または擦り傷、傷跡、皮膚障害などの被覆として用いるのに非常に適切であり、これらは、良好な水蒸気透過性および同時に高い粘着力を有している。従って、本発明に従う皮膚プラスターは、それらとの長い装着時間によって特徴づけられ、皮膚プラスターの下に水分の望ましくない蓄積を生じることなく、湿潤創傷治癒に最適な条件を作り出すことが可能である。本発明は、以下の作業実施例によって例示される:
【実施例】
【0059】
(実施例1)
289.56gのForal 85E(脱水素ロジンのグリコールエステル)を、攪拌しながら288.01gの分留工業用揮発油(special−boiling−point spirit)80/110に加え、均一化した。その後、99.23gのKraton D 1161 NU(スチレンおよびイソプレンをベースにした直鎖ブロックコポリマー)を加えた。この混合物を均一化した。最後に、43.2gのカルボキシメチルセルロースナトリウム(CRT 60000 SPA 07)を加え、その混合物を完全に均一になるまで混合した。
【0060】
この混合物を、支持ペーパー(タイプU50、55g/m2、Smith&Nephew製)上のポリウレタンフィルムに200μmの厚さで分散させた。層にした塊を乾燥キャビネット中で、室温で40分間、その後60℃で30分間乾燥させた。この結果、単位面積当たりの重量は、100g/m2であった。それを剥離ライナー(ブランド:Silphan 100μm tspAB1、140g/m2)で被覆した。
【0061】
(実施例2)
72.4gのForal 85Eを3回に分けて、および24.8gのKraton D1161を攪拌しながら 72.0gの分留工業用揮発油(special−boiling−point spirit)80/110に加えた。 その後10.8gのカルボキシメチルセルロースナトリウムを加え、攪拌して均一化した。この泡を含まない塊をシリコン加工したPEフィルムに200μmのコーティング厚で塗布し、温度を上げながら(1℃/分)、乾燥キャビネット中で室温から60℃までもっていった。
【0062】
得られた単位面積当たりの質量が98g/m2の積層体を厚さ50μmのPUフィルムで被覆した。この積層体から、1.77cm2の面積の丸いプラスターを切り取った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水蒸気透過性裏打層と、少なくとも10質量%のスチレンブロックコポリマーおよび少なくとも20質量%のロジンのエステル樹脂を含んでなる外相中に10質量%の親水性水膨潤性粒子の分散内相とを含んでなる粘着剤層とを含んでなる、皮膚プラスター。
【請求項2】
裏打層のための材料が、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエーテルアミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、織布、ニット、発泡体およびポリウレタンフィルムを含む群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚プラスター。
【請求項3】
裏打層が、微孔性であるかまたは穿孔処理されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の皮膚プラスター。
【請求項4】
スチレンブロックコポリマーが、スチレン−オレフィン−スチレンブロックコポリマーからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の皮膚プラスター。
【請求項5】
オレフィンブロックが、イソプレン、ブタジエン、エチレン、ブチレン、ポリイソブチレンを含む群より選択される1つまたはそれ以上の化合物をベースにしていることを特徴とする、請求項4に記載の皮膚プラスター。
【請求項6】
スチレンブロックコポリマーが、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の皮膚プラスター。
【請求項7】
ロジンのエステル樹脂が、ロジンとグリセリンのエステル、ロジンとペンタエリスリトールとのエステルおよびロジンとグリコールとのエステルを含む群より選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の皮膚プラスター。
【請求項8】
ロジンのエステル樹脂が、1つまたはそれ以上の樹脂酸のエステル、特にアビエチン酸のエステルおよび/またはピマール酸のエステルであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の皮膚プラスター。
【請求項9】
親水性水膨潤性粒子が親水コロイドであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の皮膚プラスター。
【請求項10】
親水性水膨潤性粒子が、デンプン、カルボキシメチルセルロースのようなセルロース、キトサン、ペクチン、アラビアゴム、グアー種子粉末、イナゴマメ種子粉末、寒天、カラゲナン、アルギネート、ゼラチン、カゼイネート、デキストリン、キサンタン、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリヒドロキシアルキルアクリレート、ポリヒドロキシアルキルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホネート、ポリビニルピロリドン、ポリグリコール、コポリマー、グラフトコポリマーおよびこれらのポリマーの混合物からなる化合物群より選択される材料からなることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の皮膚プラスター。
【請求項11】
粘着剤層が、300μmより厚くなく、好ましくは200μmより厚くなく、特に好ましくは150μmより厚くなく、および非常に特に好ましくは100μmより厚くないことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の皮膚プラスター。
【請求項12】
24時間の水蒸気透過率が、少なくとも50g/m2、好ましくは少なくとも80g/m2、特に好ましくは少なくとも100g/m2、であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の皮膚プラスター。
【請求項13】
皮膚プラスターの吸収能が、少なくとも40g/m2/6h、好ましくは少なくとも50g/m2/6h、特に好ましくは少なくとも60g/m2/6h、および非常に特に好ましくは70g/m2/6hであることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の皮膚プラスター。
【請求項14】
さらに吸収性カバーを有することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の皮膚プラスター。
【請求項15】
裏打層に面するその表面上の粘着剤層を完全にかまたは部分的にカバーする、単一パートまたは複数パートの取り外し可能な保護層または保護フィルムをさらに有することを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の皮膚プラスター。
【請求項16】
少なくとも一つの抗ウイルス性活性成分を含んでなることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の皮膚プラスター。
【請求項17】
抗ウイルス性活性成分が、アシクロビル、バラシクロビル、ペンシクロビル、ファムシクロビル、ブリブジン、アデニンアラビノシド、ホスホノギ酸、ケイ酸、n−ドコサノールおよびイドクスウリジンを含む群より選択されることを特徴とする、請求項16に記載の皮膚プラスター。
【請求項18】
活性成分の含有量が、0.1〜20質量%、好ましくは1.0〜10質量%(各場合、前記粘着剤層の質量に基づく)であることを特徴とする、請求項16または17に記載の皮膚プラスター。

【公表番号】特表2012−532903(P2012−532903A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519909(P2012−519909)
【出願日】平成22年7月3日(2010.7.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004029
【国際公開番号】WO2011/006593
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(300005035)エルテーエス ローマン テラピー−ジステーメ アーゲー (128)
【Fターム(参考)】