説明

水道用メータの交換工法と調整継手

【課題】既設配管中の水道用メータの交換には、新メータ両側の着接端部と既設配管着接端部の位置合わせのため既設配管の位置矯正が必要であるが、既設配管が老朽化し、外力を受けると亀裂が入る危険性がある等の理由により、設定環境の既設配管に外力を加えないメータ交換工法が必要となっている。
【解決手段】既設配管中の旧メータ取り外しにより生じる既設配管の1次側、2次側接合端2a、2bの位置のずれをそのまま固定し、新メータ接合端に既設配管の各接合端の位置に対応可能な継手管を接合してその継手管の端部接合機構により、新メータ接合端と既設配管の接合端との接合を行うように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅のパイプシャフト等の既設配管中に設定され、既設配管をそのままにして交換しなければならない水道用メータの交換工法と既設配管の状况に変化を加えないで既設配管の端部とメータ接合端とを継手するための調整継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水道用メータは計量法により所定期間ごとに交換が義務づけられているが、メータが設定されているシステム配管の耐用年数と上記メータの交換期間とは必ずしも一致しないため、設定配管をそのままにして水道用メータのみを交換しなければならないことが多い。
【0003】
ところが、最近、集合住宅の老朽化が進み、そのパイプシャフト内に配管された鋼管の露出部分が経年により腐食し、外力を受けると腐食部分より亀裂が入り水漏れが発生する危険性が大きくなってきている。そのため、設定環境の既設配管にできる限り外力を加えないでメータの交換をしなければならない必要性が生じてきている。
【0004】
最近、水道用メータの交換については、例えば特許文献1、2に記載されるように1次側、2次側の両側にメータ端部を着脱可能に着合する着脱装置を設けたベース体の設置によってメータのみの交換は簡単になっているが、それ以前に設定され老朽化した集合住宅と一体となっている既設配管中のメータ、或いはメータ着脱ベース体を用いていない既設配管中のメータについては、袋ナット等による着合形式により支承配管への着脱を行わざるを得ない。
【0005】
このようにメータと共に交換できない既設配管中に設定された水道用機器の交換については、例えば分水栓について特許文献3に記載されるように、旧機器に所定の処置を行ってその隣に新機器を設定し、そのまま埋め殺したり、止水措置を講じて旧機器を取り外し特別なアダプター装置を用いて新機器を支承配管に着合する極めて複雑な手段が用いられている。
【特許文献1】特開平05−209424号公報
【特許文献2】特開平09−280919号公報
【特許文献3】特開2003−254489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、老朽化が進んだパイプシャフト内のメータ支承配管は、前記のように外力を受けることにより腐食部分より亀裂が入り水漏れが発生する危険性があり、特に、旧メータを取り外した段階で、殆どの場合、1次側、2次側の両支承配管に復元力が働いて芯ずれが発生する。
【0007】
ところが、そこで、新メータの着合端部に支承配管の着合端を合わせるべく芯ずれを矯正する外力を加えると配管腐食部分に亀裂が入る可能性が極めて大きいことが、これまでの事例で判明しており、このような矯正力を支承配管に加えることができないという問題がある。
【0008】
また、メータ交換工事は断水を伴うため、居住者の負担軽減のため、できる限り短時間に工事を完了させなければならないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は前記した問題点に対応し、既設配管中に設定された旧メータを取り外した段階で、取り外しにより生じる1次側既設配管と2次側既設配管の接合端の位置のずれを、そのままの状態に固定し、新メータ接合端に前記各既設配管の各接合端の位置に対応可能な継手管を接合してその継手管の端部に設定した接合機構により、新メータ接合端と既設配管の接合端との接合を行って新旧メータの交換を行うように構成した。
【0010】
また、上記旧メータ取り外しによる1次側既設配管と2次側既設配管の接合端の位置のずれを、そのままの状態に固定する手段として、既設配管の端部とメータ接合端とを支承する1次側、2次側両継手を継手機構位置調整可能に結合し、旧メータの取り外しにより芯ずれを生じた1次側既設配管と2次側既設配管の接合端の位置に対応して調整固定できる調整継手を開発した。
【0011】
更に、上記継手のメータ接合端側の継手機構に、継手本体と着合機構部の間に曲折可能な柔軟構造部を介在させ、着合機構部の位置変化に自由に対応できるようにし、加えてメータ接合端側の継手機構をワンタッチ装着構造の継手機構にして継手作業をワンタッチで行えるように構成した。
【実施例】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。図2は既設配管中に設定された交換前の旧水道用メータM1の設定状態を示すもので、1次側を支承する既設配管1aと2次側を支承する既設配管1bとの間に接合機構2a、2bによって支持設定されている。
【0013】
V1は既設配管中に設定された止水栓で、本発明によるメータ交換工事を実施するにあたっては、先ず、止水栓V1を閉栓して給水本管からの通水を停止し、接合機構2a、2bによる旧水道用メータM1に対する締着を解除して旧水道用メータM1を取り外す。
【0014】
旧メータM1の取り外しにより、旧メータM1を支承していた既設配管1aと1bは締着支承による位置規制が解除され、復元力によりメータ締着支承以外の位置規制による自然位置に復元され、既設配管の接合端である接合機構2a、2bの間に軸芯の位置が一致しない所謂芯ずれが生じ、そのままでは新メータM2を着合できない状態となる。
【0015】
一方、この芯ずれ状態は既設配管1aと1bにとっては、不自然な加圧力を受けない自然位置であり、矯正力を加えずそのままの位置を維持することが経年により脆弱化している既設配管によるシステム配管の耐用年数を維持するうえで、大きな要素となるものである。本発明は次に説明する調整継手3により、既設配管の芯ずれ状態を、そのまま維持固定してその接合端部を新メータM2の接合端Ma、Mbと既設配管の接合端を連絡接合させてメータ交換を行うことを特徴とするものである。
【0016】
3は、上記既設配管の芯ずれ状態を、そのまま維持固定するための調整継手であり、既設配管1a、1bの端部と新メータM2の接合端Ma、Mbとを支承する1次側支承継手3a、2次側支承継手3bを一対として、両継手の継手機構位置の調整機構31を備えた結合アーム31a、31bにより両継手を結合して構成されている。
【0017】
各支承継手は、既設配管の端部との接合部32と新メータM2の接合端と接合する接合管4a、4bの端部との接合部33とを備え、両接合部は設定環境に対応して所定の角度に屈曲し、調整機構31によって調整された継手機構位置から新メータM2の接合端に接合管を無理なく配設できるように位置構成が行われている。なお、接合管4aには必要に応じて止水栓V2が設けられる。
【0018】
支承継手3a、3bには、それぞれ結合アーム31a、31bが一体に付設されており、その先端部は継手機構位置の調整機構31に構成されている。即ち、両アームの先端部は互いに重合する重合片部となっており、水平方向の芯ずれに対してずれ幅に対応する厚みの調整座金34を重合部に介在させてボルト5を締着して既設配管接合部32の軸心位置を対応位置に移動調整するものである。
【0019】
上下方向のずれに対しては、結合アーム31a、31b及び調整座金34の重合部に設けられている上下2段のボルト孔51a、51bの下段孔51bが図5に示すように湾曲楕円形状となっており、楕円横方向のボルト位置調整スペースにより支承継手3a、3bの角度を調整して対応できるようになっている。
【0020】
図6は芯ずれによる既設配管の接合端部の位置が、捻じれ等によって更に複雑な位置設定となる場合に対応する調整継手の他の実施例を示すもので、結合アーム31a、31bの継手側基部に支承座35を設け、先端側に対向継手との結合重合片部を備えた回動アーム36を前記基部支承座35に回動可能に内嵌しており、支承継手3a、3bが調整機構部31に対して回動して位置調整に対応することができる。
【0021】
37はリング体で、支承座35の内壁に穿設されたリング溝37aと回動アーム36の外周に穿設されたリング溝37bの合成溝孔に嵌着して、支承座35と回動アーム36を回動可能に結合しているものである。
【0022】
図7は、支承継手の新メータM2の接合端Ma、Mbに接合する接合管4a、4bの端部との接合部33を自由に位置調整できるように、継手本体3と着合機構部33aの間に曲折可能な柔軟構造部38を介在させた実施例を示すものである。
【0023】
図8は、メータ接合端側の継手機構33をワンタッチ装着構造の継手機構6aにした実施例で、本体挿入孔33aの内周面に環状弾性シール部材61を設け、シール部材の後部にストップリング62を固装し、食い込み突条を有する係止部材63を内装してキャップ64を継手挿入孔33aに螺入した継手6に、接合管4を挿入して係止部材63によって挿入接合管4の外周をスナップして係止しストップリング62によって接合管が固定継手される。
【0024】
図9は、メータ接合端側の継手機構33をワンタッチ装着構造の継手機構6bにし、挿入接合される接合管4を柔軟樹脂管とした実施例で、継手機構6bの基本構成は前記継手機構6aと同一であるが、ストップリング62の前部とキャップ64にOリング65が設定される。
【0025】
更に、素材を柔軟樹脂管とした接合管4には、継手機構6bへの挿入時にインナーコア66が嵌装され、インナーコア66と挿入接合管4の外周をスナップして樹脂管4を係止しストップリング62によって樹脂管が固定継手される。
【0026】
本発明は以上のように構成したので、既設配管の芯ずれ状態を、そのまま維持固定してメータ交換を行うことができ、既設配管によるシステム配管の耐用年数を維持と配管システムに対する工事加圧による故障を避けることができたものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による水道用メータ交換工法の実施例を示すもので、旧メータを取り外し、既設配管の芯ずれ状態をそのまま位置固定して新メータを取り付けた状態を示す全体配管構造図である。
【図2】同じく、交換工事前の既設配管中における旧メータの設定状態を示す配管構造図である。
【図3】本発明による既設配管の芯ずれ状態をそのまま位置固定する調整継手の実施例を示すもので、継手の平面図とこれに対応させて構造を示す要部を断面とした全体構造正面図である。なお、以下の図面は何れも、断面は直線的基軸に沿ったものではなく、結合アームは断面基軸とずれた基軸による外観図となっている。
【図4】同じく、図2の実施例における部材としての2次側支承継手の構造を示す平面図である。
【図5】同じく、図2の実施例における部材としての2次側支承継手の構造を示す要部を断面とした正面図である。
【図6】同じく、結合アームの構成を支承座と回動アームに構成した調整継手の実施例を示すもので、要部を断面とした継手の平面図とこれに対応させて構造を示す要部を断面とした全体構造正面図である。
【図7】同じく、継手本体と着合機構部の間に曲折可能な柔軟構造部を介在させた実施例を示すもので、要部を断面とした全体構造正面図である。
【図8】同じく、メータ接合端側の継手機構をワンタッチ装着構造の継手機構にした実施例を示すもので、要部を断面とした全体構造正面図である。
【図9】同じく、メータ接合端側の継手機構をワンタッチ装着構造の継手機構にし、挿入接合される接合管が柔軟樹脂管である場合に対応する実施例を示すもので、要部を断面とした全体構造正面図である。
【符号の説明】
【0028】
1a 1次側を支承する既設配管
1b 2次側を支承する既設配管
2a 1次側既設配管とメータ端部との接合機構
2b 2次側既設配管とメータ端部との接合機構
3 調整継手
3a 1次側支承継手
3b 2次側支承継手
31 両継手の継手機構位置調整機構
31a 1次側支承継手の結合アーム
31b 2次側支承継手の結合アーム
32 支承継手の既設配管の端部との接合部
33 支承継手の新メータ接合端と接合する接合管端部との接合部
33a 支承継手の接合管端部との着合機構部
33b 支承継手の柔軟構造部着合部
34 結合アームの重合片間に介在させる調整座金
35 結合アームの回動アーム支承座
36 結合アームの回動アーム
37 リング体
37a 支承座内壁のリング溝
37b 回動アーム外周のリング溝
38 柔軟構造部
4 既設配管と新水道用メータとの接合管
4a 既設配管と新水道用メータとの1次側接合管
4b 既設配管と新水道用メータとの2次側接合管
5 結合アームの重合片を重合締着するボルト
51a 結合アームの重合片の上段ボルト孔
51b 結合アームの重合片の下段ボルト孔
52 ワッシャー
6 ワンタッチ装着継手
6a ワンタッチ装着継手の継手機構
6b 柔軟接合管に対するワンタッチ装着継手の継手機構
61 環状弾性シール部材
62 ストップリング
63 食い込み突条を有する係止部材
64 継手機構のキャップ
65 継手機構のOリング
66 インナーコア
M1 旧水道用メータ
M2 新水道用メータ
V1 既設配管中の旧止水栓
V2 既設配管と新水道用メータとの接合管の新止水栓
Ma 新水道用メータの1次側接合端
Mb 新水道用メータの2次側接合端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設配管中に設定された旧メータを取り外した段階で、取り外しにより生じる1次側既設配管と2次側既設配管の接合端の位置のずれを、そのままの状態に固定し、新メータ接合端に前記各既設配管の各接合端の位置に対応可能な継手管を接合してその継手管の端部に設定した接合機構により、新メータ接合端と既設配管の接合端との接合を行って新旧メータの交換を行うことを特徴とする水道用メータの交換工法
【請求項2】
既設配管の端部とメータ接合端とを支承する1次側、2次側両継手を一対として、両継手の継手機構位置の調整機構を備えた結合アームにより対向する両継手を結合したことを特徴とする水道用メータ交換用調整継手
【請求項3】
対向する両継手の結合を、結合アームの先端部を対向継手のアーム先端部と互いに重合する重合片部に構成し、同重合片部にボルトの挿通締着によって両継手の位置を固定するボルト孔を上下2段に穿設すると共に、重合片部の重合に際して調整座金を介在させて重合することにより、調整座金の厚みを調節して水平方向における芯ずれに対応する接合端位置の固定と共に行うようにしたことを特徴とする請求項2記載の水道用メータ交換用調整継手
【請求項4】
ボルトの挿通締着によって両継手の位置を固定する上下2段のボルト孔を、一方を楕円に、他方を湾曲楕円にして両継手の結合角度を変化させてボルトの挿通締着を行えるようにしたことを特徴とする請求項3記載の水道用メータ交換用調整継手
【請求項5】
継手機構位置調整機構を、結合アームの継手側基部に支承座を設け、先端側に対向継手との結合固定機構を備えた回動アームを前記基部支承座に回動可能に内嵌して成る請求項2記載の水道用メータ交換用調整継手
【請求項6】
メータ接合端側の継手機構に、継手本体と着合機構部の間に曲折可能な柔軟構造部を介在させた請求項2記載の水道用メータ交換用調整継手
【請求項7】
メータ接合端側の継手機構をワンタッチ装着構造の継手機構にした請求項2又は請求項3又は請求項4又は請求項5又は請求項6記載の水道用メータ交換用調整継手
【請求項8】
メータ接合端側の継手機構を柔軟管接合用ワンタッチ装着構造の継手機構にした請求項2又は請求項3又は請求項4又は請求項5又は請求項6記載の水道用メータ交換用調整継手

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−277989(P2007−277989A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−107687(P2006−107687)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【出願人】(000201593)前澤給装工業株式会社 (78)
【Fターム(参考)】