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水配計画装置および配水制御方法
説明

水配計画装置および配水制御方法

【課題】 配水区域の予測される需要量より、各配水場の複数の配水ポンプによる最適な水配計画を立案する。
【解決手段】 配水区域33についての需要量予測パターンを基に、各配水場18,23,28にて配水ポンプの組合せ毎に作成されるポンプ運転特性と配水区域33の目標末端圧力パターンより、この目標末端圧力パターンを満たす配水ポンプの組合せを考慮して各配水場18,23,28の配水流量パターンを作成する。次に、その各配水場18,23,28の配水流量パターンより、各配水場の現在時間帯の配水流量値を抽出する。抽出された配水流量値を各配水場の配水ポンプの運転を制御する制御装置22,27,32に対し送信し、各配水場18,23,28の配水ポンプ21,26,31の運転を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の配水場より同一の配水区域に配水を行なう水道施設の配水を計画・制御する水配計画装置および配水制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の配水場より同一の配水区域へ配水ポンプにて直接配水する上水プラントにおいては、熟練した運転管理者が過去の経験と現状況を考慮して、各配水ポンプの手動運転を行っていた。この手動による運転は、24時間連続運転および監視が必要とされるため多大な労力を必要とする。
【0003】
上記運転管理者の負荷を軽減する方法として、対象とする配水区域の需要量を予測し、その予測需要量を基に各配水場の配水ポンプの運転計画を立案し、各配水場の配水流量および配水圧力の自動制御を実現することが知られている。この運転計画を立案する方法には、予め運転管理者が複数の配水ポンプの配分率を決定する手法、あるいは長期蓄積された上水プラント実績値をベースにした数学的手法によるものなどがある(例えば、特許文献1,2を参照。)。
【特許文献1】特開平6−2346号公報
【特許文献2】特開2001−84039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した方法では、蓄積された上水プラント実績値自身が、各配水場の配水ポンプが最適運転された結果とは言えず、また、その上水プラント実績値に基づいて立案された運転計画も、各配水場の複数配水ポンプの運転特性を考慮した最適なものとは言えなかった。
【0005】
配水区域へ配水場の配水ポンプにて直接配水する水道施設においては、配水圧力を制御する運転方式が一般的であるが、設備および地理的な制約により、複数の配水場より同一配水区域へ直接配水する場合においては、需要量の変動などによって圧力バランスが崩れ、配水場間で圧力干渉による押し合いが発生する。そのため、配水ポンプの運転が安定せず、状況によっては水道施設に障害が発生するという問題があった。また上記圧力制御の場合は、配水流量を把握することが難しいため、結果として配水場の配水池運用を安定できないという問題があった。
【0006】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、配水区域の予測される需要量より、各配水場の複数の配水ポンプによる最適な水配計画を立案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、複数の配水ポンプを有する複数配水場から対象配水区域への配水を制御するのに、配水区域についての需要量予測パターンデータを基に、各配水場にて配水ポンプの組合せ毎に作成されるポンプ運転特性データと配水区域の目標末端圧力パターンデータより、目標末端圧力パターンを満たす配水ポンプの組合せを考慮して各配水場の配水流量パターンを作成する処理と、作成された各配水場の配水流量パターンを配水流量パターン記憶部に記憶する処理と、配水流量パターン記憶部に記憶された各配水場の配水流量パターンより各配水場の現在時間帯の配水流量値を抽出し、抽出した配水流量値を各配水場の配水ポンプの運転を制御する制御装置に対し送信する処理を有することを特徴とする。
【0008】
さらに、上記配水流量パターンを作成する処理においては、各配水場のポンプ運転特性データと上記目標末端圧力パターンより、運転可能ポンプ組合せと配水流量範囲が対応付けられた所定時間帯毎のポンプ運転可能組合せテーブルを作成する。次に、所定時間帯毎のポンプ運転可能組合せテーブルから上記需要量予測パターンの予測需要量を満たす各配水場の配水ポンプの最適組合せを決定する。そして、決定された所定時間帯毎の各配水場の配水ポンプの最適組合せについて、最適運転状態における配水流量最小値および配水流量最大値から配水流量分配値を算出し、各配水場の配水流量分配値の合計と需要量予測パターンデータの予測需要量の比率を算出し、該算出された比率を前記配分流量分配値に乗算し、配水流量パターンを算出する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の配水場の配水ポンプについて、統括的に最適運転および安定運転することができる。また、配水場における配水流量の制御が可能となるため、浄水量、取水量の運転計画が容易となり、水道施設全体としての安定した運転を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下本発明を実施するための最良の形態の例を図面を参照して説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態例に係る水配計画装置の全体構成を示す図である。図1に示す水配計画装置3は、複数の配水場より同一の配水区域へ配水する水道施設の配水計画立案および制御を行なうものであり、通信制御装置16を介して、上水プラント17と通信可能に接続されている。
上水プラント17は、通常、地理的に平野部に位置し、この上水プラント17に設けられたA配水場18、B配水場23およびC配水場28から、当該上水プラント17よりも高い標高点に位置する配水区域(需要家)22に上水を供給(配水)している。A配水場18、B配水場23、C配水場27はそれぞれ同様な設備となっている。なお、配水場の数や、上水プラント17および配水区域33の標高の関係は、この例に限るものではない。
【0011】
配水場についてA配水場18を例に説明する。まず、河川および井戸等より取水した原水を浄水設備19にて浄水処理し、浄水処理した上水は配水池20に蓄えられる。そして、複数台の配水ポンプ21を駆動させて、配水池20の上水を圧送により配水区域23へ供給している。A配水場18は、水配計画装置3からの制御信号を受けて配水ポンプ21の運転を制御する制御装置22を具備し、制御装置22より配水圧力または配水流量を指示することにより配水ポンプ21から吐出される配水の配水圧力および配水流量を制御することが可能である。また配水ポンプ21の配水圧力および配水流量は、通信制御装置16を介して水配計画装置3へ出力され、運転状況実績値14データベースに蓄積される。B配水場23およびC配水場C25も同様な設備となっている。
【0012】
上記A,B,C配水場の高効率かつ安定した配水を実現するための水配計画装置3について説明する。
水配計画装置3は、需要量予測パターンメモリ4、目標末端圧力パターンメモリ5、周期タイマ6、水配計画処理部(水配計画装置)7、ポンプ運転特性データベース8、A(B,C)配水場配水流量パターンメモリ9(10,11)、周期タイマ12,制御出力処理部13,運転状況実績値データベース14、通信制御部15から構成されている。
【0013】
上記需要量予測パターンメモリ4は、需要量予測装置1にて予測された配水区域33についての需要量予測パターンを記憶する記憶手段である。需要量予測パターンの一例を、図2に示す。図2に示すように、需要量予測パターンは、縦軸が予測流量(需要量)、横軸が時間(時間帯)で表現され、例えば午前7〜8時と午後7〜8時などに需要量のピークが現れる。なお、本例では、単位時間帯を例えば15分としているが、この例に限られるものではない。
【0014】
目標末端圧力パターンメモリ5は、運転管理者が水道施設の監視および手動操作入力を行なうマンマシン装置2により設定される、配水区域33の目標末端圧力パターンを記憶する記憶手段である。マンマシン装置2にて設定された目標末端圧力パターンの一例を、図3に示す。図3に示すように、目標末端圧力パターンは、縦軸が末端圧力(本例では、圧力ヘッドで示す。)、横軸が時間帯にて表現される。各配水場から配水区域33へ目標末端圧力Psv(t)を維持して配水することにより、需要家のいる配水区域33において水道の蛇口から適度な圧力の上水が提供される。この目標末端圧力ヘッドPsv(t)は、全時間帯で一定でもよいが、本例では、図2に示された需要量予測パターンの需要量が比較的多い時間帯で目標末端圧力ヘッドを上昇させている。
【0015】
ポンプ運転特性データベース8は、各配水場に配設されている配水ポンプのポンプ運転特性(所謂Q−Hカーブ)のデータを記憶する記憶手段である。このデータベースは、各配水場の各配水ポンプのポンプ運転特性だけではなく、各配水場に配設された複数の配水ポンプによる様々な組合せのポンプ運転特性のデータも記憶している。データベース化は、マンマシン装置2を操作して行われる。
【0016】
図4は、A配水場18における配水ポンプの組合せ毎のポンプ運転特性と、それに対応するデータベースを示している。
一例として、配水ポンプが1台の場合について説明する。ポンプ運転特性は、横軸に配水流量(Q)、縦軸に全揚程(H)で表され、100%、95%、90%など、最大性能に対する複数の回転数における運転特性をデータベース化する。このとき運転特性の全揚程および配水流量の取得ポイント数を、例えばそれぞれ32点とする。また、斜線部で示される最適な出力状態(最適運転領域)の運転特性については、全揚程の上限域設定(DAH1)および下限域設定(DAL1)をデータベース化する。2台、3台と、他の配水ポンプ組合せによる運転特性のデータベース化も同様に行なわれる。
【0017】
本例では、説明の便宜上、同一配水場内の配水ポンプの仕様は同一としており、ある台数の組合せ例えば2台の配水ポンプ運転時のポンプ運転特性およびデータベースは1通りのみとしている。しかし、配水ポンプの吐出能力が異なるなど個々の配水ポンプの仕様が異なる場合には、同一台数の組合せであっても異なる配水ポンプによる組合せが考えられるので、そのそれぞれについてポンプ運転特性のデータベース化を行なう。
【0018】
運転状況実績値データベース14は、上水プラント17の各配水場から刻々と送られてくる、例えば何台の配水ポンプが運転しているか等の現在の運転状況データを記憶する記憶手段である。
【0019】
水配計画処理部3は、需要量予測パターンデータを基に、各配水場18,23,28における配水ポンプの組合せ毎に作成されるポンプ運転特性データと配水区域33の目標末端圧力パターンデータより、目標末端圧力ヘッドPsv(t)を満たす配水ポンプの組合せを考慮して各配水場の配水流量パターンを作成する。
このとき、水配計画処理部3の運転状況実績値データベース14に取り込まれた各配水場の現在ポンプ運転状況を計画開始点に置き、予測需要量に見合った各配水場の最適な配水ポンプの組合せもしくはポンプ運転台数が検索され、各配水場18,23,28の配水流量パターンが立案される。この水配計画処理部3の機能の詳細については、後に詳細に述べる。
【0020】
上記水配計画処理部3による配水流量パターンの作成は、周期タイマ6からの周期信号、またはマンマシン装置2からの任意のタイミングでの指示をトリガとして行なわれる。周期タイマ6の周期は、1回/1日とする。ただし、例えばよりきめ細かく配水流量パターンを計画立案したいような場合には周期をさらに短くするなど、マンマシン装置2より周期設定を適宜変更できるようにしてもよい。
【0021】
上記水配計画処理部3にて作成される各配水場の配水流量パターンの一例を、図5に示す。配水流量パターンは、横軸に時間帯、縦軸に配水流量(配分結果)にて表現される。図5に示したA配水場18の配水流量パターンQA(t)、B配水場23の配水流量パターンQB(t)、C配水場28の配水流量パターンQC(t)は、需要量予測パターン(図2参照)と対応して単位時間帯を15分としているが、この例に限られるものではない。
【0022】
A配水場配水流量パターンメモリ9は、水配計画処理部3で作成されたA配水場18の配水流量パターンQA(t)を記憶するものである。同様に、B配水場配水流量パターンメモリ10およびC配水場配水流量パターンメモリ11は、水配計画処理部3で作成されたB配水場23の配水流量パターンQB(t)およびC配水場28の配水流量パターンQC(t)をそれぞれ記憶するものである。
【0023】
制御出力処理部13は、周期タイマ12からの周期信号をトリガとして起動し、水配計画処理部7にて最適水配計画された、A配水場配水流量パターンメモリ9、B配水場配水流量パターンメモリ10、C配水場配水流量パターンメモリ11より現在時間帯の配水流量を取り出し、それらの配水流量値を通信制御部15に出力する。
周期タイマ12の周期は、15分とする。ただし、例えばよりきめ細かく制御したい場合には周期をさらに短くするなど、マンマシン装置2より周期設定を適宜変更できるようにしてもよい。また、周期タイマ12ではなく外部トリガを適宜入力してもよい。
【0024】
制御出力処理部13から出力された現在時間帯の配水流量値は、通信制御部15から通信制御装置16を経由し、A配水場の制御装置22、B配水場の制御装置27、C配水場の制御装置32へ入力され、各配水場の配水ポンプ21,26,31の配水流量が制御される。
上記水配計画装置3の通信制御部15と通信制御装置16、および通信制御装置16と各配水場の制御装置22,27,31は、それぞれ有線または無線により接続されており、インターネットプロトコル等を用いて通信が行なわれる。
【0025】
また、マンマシン装置2の表示画面には、計画立案された各配水場配水流量パターンメモリ9,10,11に各々記憶されている、図5に示した配水流量パターンQA(t),QB(t),QC(t)のグラフイメージおよび各時間帯が数値にて表示される。そして、例えば突発的な要因による配水流量パターン変更が必要な場合に、マンマシン装置2より手動操作による変更が可能な構成としてある。
【0026】
次に、水配計画処理部7の詳細について、図6を参照して説明する。図6は、水配計画処理部7の概略処理ブロック図である。この図6において、A配水場、B配水場、C配水場が位置する標高点をそれぞれAm、Bm、Cmとする。
【0027】
水配計画処理部7は、ポンプ運転特性データ8aおよび目標末端圧力パターン5aよりA配水場のポンプ運転可能組合せテーブルを作成するA配水場ポンプ運転可能組合せテーブル作成部41と、同じくB配水場用のB配水場ポンプ運転可能組合せテーブル作成部42と、同じくC配水場用のC配水場ポンプ運転可能組合せテーブル作成部43を備える。また、各配水場のポンプ運転可能組合せテーブル、需要量予測パターン4a、A配水場の配水ポンプ21の現在ポンプ運転状況14a、B配水場の配水ポンプ26の現在ポンプ運転状況14b、C配水場の配水ポンプ31の現在ポンプ運転状況14cより各配水場のポンプ運転組合せを決定するポンプ運転組合せ決定部44と、ポンプ運転組合せ決定部44で決定された各配水場のポンプの組合せより配水流量配分を決定する配水流量配分決定部45を備えている。
【0028】
上記配水流量配分決定部45で生成されたA配水場配水流量パターン9a、B配水場配水流量パターン10a、C配水場配水流量パターン11aは、それぞれA配水場の制御装置22、B配水場の制御装置27、C配水場の制御装置32へ入力され、それぞれA配水場の配水ポンプ21、B配水場の配水ポンプ26、C配水場の配水ポンプ31の運転が制御される。
【0029】
続いて、上記構成の水配計画処理部7の動作について説明する。図7,図8は、それぞれ水配計画処理部7による水配計画処理を示すフローチャート(1),(2)である。この図7,図8のフローチャートについて、図9〜図12を参照して説明する。
【0030】
図7において、まず水配計画処理部7は周期タイマ6からの周期信号またはマンマシン装置2からの指示を受信(ステップS1)すると、ポンプ運転可能組合せテーブル41,42,43が、ポンプ運転特性データベース8に記憶されている各配水場のポンプ運転特性データ8aおよび目標末端圧力パターンメモリ5の配水区域33の目標末端圧力パターン5aより、それぞれ各配水場のポンプ運転可能組合せテーブルを作成する(ステップS2)。
【0031】
ポンプ運転可能組合せテーブルはそれぞれA配水場、B配水場、C配水場毎に作成するが、ここではA配水場を例にとり説明する。図9,図10に、A配水場のポンプ運転可能組合せテーブルの抽出方法を示す。既に述べたように、本例では同一配水場内の配水ポンプの仕様は同一としているので、ポンプ運転特性は運転台数毎に作成される。
【0032】
まず、図9に示す1台運転特性のポンプ運転特性データより、マンマシン装置2にて設定された最適運転領域の上限域設定DAH1、下限域設定DAL1の運転特性を抽出する。そして、1台運転特性より標高点Amを基点とした目標末端圧力パターン設定の該当時間帯の目標末端圧力ヘッドPsv(t)と上限域設定DAH1、および下限域設定DAL1の交差点をそれぞれ配水流量範囲最小値QA1Minおよび配水流量範囲最大値QA1Maxとする。
【0033】
運転台数0台のときは、配水流量範囲最小値および最大値ともに配水流量範囲を0と設定する。この配水流量範囲最小値および最大値を配水ポンプの運転台数分算出し、さらにパターン時間帯(t)分算出した結果が、図10に示すポンプ運転可能組合せテーブルとなる。例えば、配水流量パターンの単位時間帯が15分である場合、A配水場について[60(分)/15(分)]×24(時間)=96(通り)のポンプ運転可能組合せテーブルが作成される。このポンプ運転可能組合せテーブルをB配水場およびC配水場についても算出する。
【0034】
なお、図11は、A配水場、B配水場、C配水場のポンプ運転可能組合せ毎(運転台数毎)の運転特性データを、配水区域33の目標圧力ヘッドPsv(t)を基準にして表示したものである。図6にて示したように、本例ではA配水場がC配水場よりも高い標高点にあるので、A配水場の配水ポンプは少ない台数であっても、要求される目標圧力ヘッドPsv(t)に対して、C配水場よりポンプ運転特性に余裕がある。
【0035】
次に、図7に戻り、現在ポンプ運転状況を計画開始点とし、需要量予測パターン4aの該当時間帯データの需要量(予測値)DQ(t)を満足する最適組合せを抽出する。図12に、予測需要量を満足するポンプ組合せの抽出方法を示す。抽出にあたっては機場(配水場)毎に優先度Pを設定する。これは、配水場毎の特性により、優先すべき運用理由があるためである。例としては自水道施設(自己水)、他水道事業施設(購入水)の差別化などが挙げられる。本優先度Pはマンマシン装置2を操作して設定変更が可能となっている。
【0036】
現在の運転状況にての全配水場、すなわちA配水場、B配水場およびC配水場の配水流量最小値、最大値の各々の合計を算出する。そして、該当時間帯における予測需要量DQ(t)が、現在運転している配水ポンプの全配水流量最小値および最大値の範囲内であるかどうかを判定し(ステップS3)、範囲内である場合には現状にて運転可能と判断してステップS11へ移行する。
【0037】
また、上記ステップS3の判断処理において、該当時間帯における予測需要量DQ(t)が、各配水場で現在運転している配水ポンプの全配水流量最小値および最大値の範囲内にない場合、予測需要量DQ(t)が、全配水流量最小値以下であるのか、あるいは全配水流量最大値以上のどちらであるかを判定し(ステップS4)、その結果に応じて全配水流量を増減する。
【0038】
上記ステップS4の判断処理において、予測需要量DQ(t)が全配水流量最小値以下の場合、優先度の最も高い配水場の現在配水流量が1段階減少するポンプ組合せを選択する(ステップS5)。例えば、図12の例において、優先度1のB配水場の現在運転台数52を1台から0台へ減少させる。これにより、B配水場の配水流量範囲は、最小値QB1Min(t)および最大値QB1max(t)から0に変化する。
【0039】
また、上記ステップS4の判断処理において、予測需要量DQ(t)が全配水流量最大値以上の場合、優先度の最も高い配水場の現在配水流量が1段階増加するポンプ組合せを選択する(ステップS6)。例えば、図12の例において、優先度1のB配水場の現在運転台数52を1台から2台へ増加させる。これにより、B配水場の配水流量範囲は、最小値QB1Min(t)および最大値QB1max(t)から、最小値QB2Min(t)および最大値QB2max(t)に変化する。
【0040】
そして、再度、予測需要量DQ(t)が、配水流量増減後の全配水流量最小値および最大値の範囲内にあるかどうかを判定する(ステップS7)。範囲内である場合には、上記増減設定にて運転可能と判断してステップS11へ移行する。
【0041】
また、上記ステップS7の判断処理において、該当時間帯における予測需要量DQ(t)が、配水流量増減後の全配水流量最小値および最大値の範囲内にない場合、予測需要量DQ(t)が、全配水流量最小値以下であるのか、あるいは全配水流量最大値以上のどちらであるかを判定し(ステップS8)、その結果に応じて全配水流量を増減する。
【0042】
上記ステップS8の判断処理において、予測需要量DQ(t)が全配水流量最小値以下の場合、次に優先度の高い配水場の現在配水流量が1段階減少するポンプ組合せを選択する(ステップS9)。例えば、図12の例において、優先度2のA配水場の現在運転台数51を2台から1台へ減少させる。
【0043】
また、上記ステップS8の判断処理において、予測需要量DQ(t)が全配水流量最大値以上の場合、次に優先度の高い配水場の現在配水流量が1段階増加するポンプ組合せを選択する(ステップS10)。例えば、図12の例において、優先度2のA配水場の現在運転台数51を2台から3台へ増加させる。
【0044】
上記ステップS9、S10の処理後、ステップS7へ移行し、再度、予測需要量DQ(t)が、配水流量増減後の全配水流量最小値および最大値の範囲内にあるかどうかを判定する。範囲内にない場合には、その次に優先度の高い配水場の現在配水流量を1段階増減させる。例えば、図12の例において、優先度3のC配水場の現在運転台数53を増減する。
【0045】
これらの処理を繰り返し行い、最終的に予測需要量DQ(t)が、全配水流量最小値および最大値の範囲内となる各配水場のポンプ運転組合せを決定する(ステップS11)。さらにこのポンプ運転組合せを、該当時間帯データ数(t)分について決定する(ステップS12)。例えば単位時間帯が15分であれば、各配水場とも1日分として96個のデータについてポンプ運転組合せを決定する。
【0046】
なお、ここで最適運転領域の設定等により、最適運転台数が抽出されない状況が発生する場合がある。この場合は、マンマシン装置の表示画面や音声等により、その旨をガイダンス(報知)するとともに、全配水流量最小値および最大値の範囲に一番近い運転台数を準最適運転台数とする。
【0047】
次に、決定された各配水場のポンプ最適運転台数の配水流量最小値QAnMin(t)、QBnMin(t)、QCnMin(t)、および配水流量最大値QAnMax(t)、QBnMax(t)、QCnMax(t)より、各時間帯の配水流量分配値QAnX(t)、QBnX(t)、QCnX(t)を算出する(ステップS13)。

QAnX(t)=(QAnMax(t)−QAnMin(t))/2+QAnMin(t)

QBnX(t)=(QBnMax(t)−QBnMin(t))/2+QBnMin(t)

QCnX(t)=(QCnMax(t)−QCnMin(t))/2+QCnMin(t)

【0048】
そして、それぞれ配水流量分配値と需要量予測データDQ(t)より、予測需要量に対するポンプ配水流量(各配水流量分配値の合計)の比率を示す配分係数kを算出する(ステップS14)。

k=DQ(t)/(QAnX(t)+QBnX(t)+QCnX(t))

【0049】
上記配分係数kを各配水場における配分流量分配値QAnX(t)、QBnX(t)、QCnX(t)に乗算し、各時間帯の配水流量パターンデータQA(t)、QB(t)、QC(t)を算出する。

QA(t)=QAnX(t)×k

QB(t)=QAnX(t)×k

QC(t)=QAnX(t)×k

【0050】
以上の計算を、需要量予測パターン時間帯数分(t)について行なうことにより、A配水場配水流量パターン、B配水場配水流量パターン、C配水場配水流量パターンを立案する(ステップS15)。これにて一連の処理が終了する。
【0051】
以上述べた構成の本発明によれば、複数の配水場より同一配水区域へ配水すべき需要量予測パターンを基に、目標末端圧力とポンプ運転特性データより、複数の配水場の配水ポンプについて、統括的に最適運転させるべき配水流量の水配計画を立案することができる。
【0052】
また、配水流量を制御することにより、複数の配水場の配水ポンプについて統括的な最適運転および安定運転が可能となるので、高効率で、安定した上水プラント運転を支援することができる。また、各配水場における配水流量の制御が可能となるため、浄水量、取水量の運転計画が容易となり、水道施設全体としての安定した運転が実現可能である。
【0053】
また、複数配水場の配水流量を制御するための配水流量計画立案手法が簡素化されるとともに、運転管理者への現在運転状況の可視性および運転管理者による保守性を備えているので、最適な水配計画を行なうことができ、上水プラントを安定に運転することができる。
【0054】
なお、本発明は、上述した各実施の形態例に限定されるものではなく、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態例に係る水配計画装置の全体構成図である。
【図2】本発明の一実施形態例に係る需要量予測パターンの一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態例に係る目標末端圧力パターンの一例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態例に係るポンプ運転特性とデータベース構成を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態例に係る配水流量計画立案結果パターンの一例を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態例に係る水配計画処理部のブロック構成を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態例に係る水配計画処理部における処理を示すフローチャート(1)である。
【図8】本発明の一実施形態例に係る水配計画処理部における処理を示すフローチャート(2)である。
【図9】本発明の一実施形態例に係るポンプ運転特性における末端圧力ヘッドと配水流量範囲との関係を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態例に係るポンプ運転可能組合せテーブルの一例である。
【図11】本発明の一実施形態例に係る各ポンプ運転特性における末端圧力ヘッドと配水流量範囲との関係を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態例における需要量(予測値)を満足するポンプ組合せ抽出方法の説明に供する図である。
【符号の説明】
【0056】
1…需要量予測装置、2…マンマシン装置、3…水配計画装置、4…需要量予測パターン、5…目標末端圧力パターンメモリ、6,12…周期タイマ、7…水配計画処理部、8…ポンプ運転特性データベース、9(10,11)…A(B,C)配水場配水流量パターンメモリ、13…制御出力処理部、14…運転状況実績値データベース、15…通信制御部、16…通信制御装置、17…上水プラント、18(23,28)…A(B,C)配水場、21,26,31…配水ポンプ、22,27,32…制御装置、41(42,43)…A(B,C)配水場ポンプ運転可能組合せテーブル作成部、44…ポンプ運転台数組合せ決定部、45…配水流量配分決定部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配水ポンプを有する複数配水場から対象配水区域への配水を計画する水配計画装置であって、
前記配水区域についての需要量予測パターンデータを基に、各配水場にて配水ポンプの組合せ毎に作成されるポンプ運転特性データと前記配水区域の目標末端圧力パターンデータより、前記目標末端圧力パターンを満たす配水ポンプの組合せを考慮して各配水場の配水流量パターンを作成する水配計画処理部と、
前記水配計画処理部にて作成された各配水場の配水流量パターンを記憶する配水流量パターン記憶部と、
前記配水流量パターン記憶部に記憶された各配水場の配水流量パターンより各配水場の現在時間帯の配水流量値を抽出し、抽出した配水流量値を各配水場の配水ポンプの運転を制御する制御装置に対し送信する制御出力部
を備えることを特徴とする水配計画装置。
【請求項2】
前記水配計画処理部は、
前記各配水場のポンプ運転特性データと前記目標末端圧力パターンより、運転可能ポンプ組合せと配水流量範囲が対応付けられた所定時間帯毎のポンプ運転可能組合せテーブルを作成するポンプ運転可能組合せ作成部と、
前記所定時間帯毎のポンプ運転可能組合せテーブルから前記需要量予測パターンの予測需要量を満たす各配水場の配水ポンプの最適組合せを決定するポンプ運転組合せ決定部と、
前記ポンプ運転組合せ決定部で決定された所定時間帯毎の各配水場の配水ポンプの最適組合せについて、最適運転状態における配水流量最小値および配水流量最大値から配水流量分配値を算出し、各配水場の配水流量分配値の合計と前記需要量予測パターンデータの予測需要量の比率を算出し、該算出された比率を前記配分流量分配値に乗算し、前記配水流量パターンを算出する配水流量配分決定部から構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の水配計画装置。
【請求項3】
前記ポンプ運転組合せ決定部は、
各配水場の現在のポンプ運転状況における配水流量最小値および配水流量最大値を各々合計した全配水流量最小値および全配水流量最大値と、前記需要量予測パターンデータの所定時間帯における予測需要量を比較し、
前記予測需要量が前記全配水流量最小値および全配水流量最大値の範囲外である場合、優先度の高い配水場の順に、前記現在のポンプ運転状況を計画開始点として、前記予測需要量が前記全配水流量最小値および全配水流量最大値の範囲内となるよう、当該配水場の前記ポンプ運転可能組合せテーブルより配水ポンプの最適組合せを決定する
ことを特徴とする請求項2に記載の水配計画装置。
【請求項4】
前記ポンプ運転組合せ決定部は、
前記予測需要量が前記全配水流量最小値より小さい場合、前記現在のポンプ運転状況における配水流量よりも配水流量が一段階減少する配水ポンプの組合せを選択し、
前記予測需要量が前記全配水流量最大値より大きい場合、前記現在のポンプ運転状況における配水流量よりも配水流量が一段階増加する配水ポンプの組合せを選択する
ことを特徴とする請求項3に記載の水配計画装置。
【請求項5】
前記予測需要量が前記全配水流量最小値および全配水流量最大値の範囲内となる配水ポンプの組合せが、前記ポンプ運転可能組合せテーブルにない場合、
前記水配計画処理部は、運転管理者による各配水場の監視・制御が行なわれる監視制御装置に対しその旨を報知するとともに、前記ポンプ運転可能組合せテーブルより前記予測需要量が前記全配水流量最小値および全配水流量最大値の範囲に最も近い配水ポンプの組合せを選択する
ことを特徴とする請求項3に記載の水配計画装置。
【請求項6】
複数の配水ポンプを有する複数配水場から対象配水区域への配水を制御する配水制御方法であって、
前記配水区域についての需要量予測パターンデータを基に、各配水場にて配水ポンプの組合せ毎に作成されるポンプ運転特性データと前記配水区域の目標末端圧力パターンデータより、前記目標末端圧力パターンを満たす配水ポンプの組合せを考慮して各配水場の配水流量パターンを作成する処理と、
作成された各配水場の配水流量パターンを配水流量パターン記憶部に記憶する処理と、
前記配水流量パターン記憶部に記憶された各配水場の配水流量パターンより各配水場の現在時間帯の配水流量値を抽出し、抽出した配水流量値を各配水場の配水ポンプの運転を制御する制御装置に対し送信する処理
を行うことを特徴とする配水制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−39918(P2007−39918A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−223065(P2005−223065)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(390023928)日立エンジニアリング株式会社 (134)
【Fターム(参考)】