説明

水酸化マグネシウムを含有するポリオレフィンから製造したハロゲンを含有しない軟質ラッピングホイル

ポリオレフィンおよび水酸化マグネシウムから製造したハロゲンを含有しないラッピングホイルを開示し、このラッピングホイルは、前記水酸化マグネシウムに場合により不規則な球形の形状を与えると同時にランプホイルの厚みを30から200μm、特に50から130μmにすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲンを含有させないでポリオレフィンおよび(不規則な)球形構造を有しかつ数μmの粒径を有する水酸化マグネシウムを用いて製造した充填材含有の軟質でハロゲンを含有しない難燃性のラッピングホイル(wrapping foil)に関し、これは例えばエアコン装置における通風ライン、ワイヤーまたはケーブルを包む目的などで使用、特に自動車の中のケーブルルーム(cable looms)または受像管用の磁場コイルで使用するに適し、これに好適には感圧接着剤で被覆することによる処理を受けさせておく。本ラッピングホイルは包むか、絶縁するか、標識を付けるか、密封するか或は保護する働きをする。本発明は、更に、本発明のフィルムを製造する方法も包含する。
【背景技術】
【0002】
ケーブル用ワインディングテープ(winding tapes)および絶縁テープは一般に可塑化PVCフィルムで構成されていて、それは一般に片面が感圧接着剤被覆による処理を受けている。そのような製品の欠点をなくそうとする要求が増大している。それらの欠点には、可塑剤の蒸発が起こることおよびハロゲン含有量が高いことが含まれる。
【0003】
加うるに、PVCは熱安定性に関して求められる今日の要求の限界に到達しようとしている。PVC製ラッピングホイルの商業的生産は現在排他的にカレンダー加工で商業的規模で行われている。本発明の新規な材料を用いると、また、押出し加工の利用も可能になり、それによって、生産工程費用をより低くすることが可能になり、層厚をより薄くすることが可能になり、かつ多層構造(共押出し加工)が可能になることで、結果としてホイルがより多角的になるであろう。ラッピングホイル以外に、また、度合は低いが、例えば織物材料で作られた他のワインディングテープも存在する。PVCを置き換える試みでは臭素置換化合物の使用が一般的ではあるが、これは、ハロゲンを完全になくそうとする要求を満足させるには程遠い。ホスフェートは非常に効果的であり、特にそれを窒素化合物と組み合わせると有効であるが、不幸なことには、それは一連の欠点を有する。商業的に通常の沈澱水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムも同様にプラスチック用難燃剤として公知である。それらはハロゲンを含有しないケーブル用絶縁体で用いられてはいるが、それの効果はある程度である。使用量を基準にした難燃性は、この上に示した難燃剤の場合に比べて顕著に劣る。水酸化アルミニウムの方が水酸化マグネシウムよりもかなり安価であるが、加工温度で水を放出する傾向があることから、限界がある。そのような水酸化物をワインディングテープおよび絶縁テープで商業的に用いることにそのような経験を生かすことはまだ成功裏には達成されていない。
【0004】
その主な理由は下記である:
・ 銅製ワイヤーが冷媒として存在せずかつ層厚をより薄く(200から500μmではなく約60から100μm)した時には同じ難燃性を達成するに要する充填材の量がかなり多い、
・ 銅製ワイヤーによる物理的支持がなくかつ層をより薄くした時には、比引張り強度をかなり高くする必要があるが、それは充填材の量を少なくすることを伴いかつ充填材およびポリオレフィンを特殊に選択する必要があること、
・ 層をより薄くすると熱可塑性プラスチック加工における流れ挙動がより正確であることが要求されること、
・ 絶縁体の中のワイヤーの太さが数mmであるのに比べて生産幅が約1500mmであることから、幅全体に渡って充分な均一さを達成する目的で熱可塑性プラスチック加工における流れ挙動がより正確であることが要求されること、
・ 溶融に関して充分な熱安定性を達成するにはポリプロピレンを重合体混合物の中に含める必要があるが、それによって水酸化アルミニウムの使用が排除させること、
・ 溶融に関して充分な熱安定性を達成するには融点を超えた時の溶融物が内部強度を達成するようにする目的でメルトインデックスをできるだけ低くする必要があるが、これがポリオレフィンに通常のフィルム押出し加工に反すること。
【0005】
加工に最適な水酸化マグネシウムは従来技術に今まで見られず、特に優れた難燃性を達成しようとして今までの量よりも有意に多い量で用いるように試みられた例は見られない。同様に、充填材量が多い重合体溶融物が示す加工特性に関する要求を満足させかつホイルに必要な機械的特性を達成するに的確なポリオレフィンも今日まで見つかっていない。また、老化安定性も今までのところ高いレベルには到達していない、と言うのは、老化抑制剤をそのような用途で用いようとする試みは今日まで存在しないか、存在するとしても僅かであるか、或は間違った老化抑制剤が試みられたからである。
【0006】
通常の絶縁テープおよびケーブル用ワインディングテープに入っている可塑剤は徐々に蒸発し、それによって健康障害がもたらされ、特に、通常用いられるDOPは好ましくない。その上、その蒸気は自動車のガラスに付着して視界を邪魔し(それによって、かなりの度合で運転の安全性が邪魔され)、これは本分野の技術者にフォギング(fogging)(DIN 75201)として知られる。例えば自動車のエンジンコンパートメントまたは絶縁テープの場合には電気装置などの温度がより高くなる結果として蒸発の度合が更に大きくなると、それに付随して可塑剤が失われることでラッピングホイルが脆くなってしまう。
【0007】
PVCに添加剤が添加されていないと可塑剤がそれの防火性能を悪化させ、それをある程度補う目的でアンチモン化合物(毒性の観点から非常に好ましくない)が添加されるか或は塩素含有もしくは燐含有可塑剤が用いられる。
【0008】
プラスチック廃棄物の焼却に関する議論、例えば自動車の再利用によるシュレッダー廃棄物などの背景に対抗して、ハロゲン含有量を低くすることでダイオキシンの生成を抑えようとする傾向にある。従って、ケーブルの絶縁の場合には壁厚が薄くなりかつラッピングで用いられるテープの場合にはPVCフィルムの厚みが薄くなってきている。ワインディングテープの場合のPVCフィルムの標準的厚みは85から200μmである。85μm未満にするとカレンダー加工作業中にかなりの問題が生じ、その結果として、PVC含有量を低くしたそのような製品は実質的に使用不能である。
【0009】
通常のワインディングテープには毒性のある重金属、通常は鉛、より稀ではあるがカドミウムまたはバリウムなどが基になった安定剤が入っている。
【0010】
リード線の一団を包むことに関する最新技術は、接着剤被膜の有り無しで可塑剤をかなりの量(30から40重量%)で混合することで柔軟にしたPVC担体材料で構成させたラッピングホイルである。通常は前記担体材料の片面をSBRゴムが基になった自己接着剤で覆うことが行われる。そのような接着性PVCワインディングテープの考慮すべき欠点は、老化安定性が低いこと、可塑剤が移行しかつ蒸発すること、ハロゲン含有量が高いこと、および火事の時に発生する煙ガスの密度が高いことにある。典型的な可塑化PVC接着テープが特許文献1、2、3および4に記述されている。そのような可塑化PVC材料が示す難燃性をより高くしようとして非常に毒性のある化合物である酸化アンチモンが通常用いられる(例えば特許文献1に記述されているように)。
【0011】
可塑化PVCフィルムの代わりに織布もしくは不織布を用いようとする試みがあるが、しかしながら、そのような試みによってもたらされた製品が実際に使用されることはほと
んどない、と言うのは、それらは相対的に高価でありかつ取り扱い(例えば手による引き裂き性、弾性ひずみエネルギー)の点および使用条件(例えば使用流体に対する耐性、電気特性)下で常用製品とは明確に異なる(以下に示すように、厚みに起因する差異が特に重要である)からである。
【0012】
布様(織布)または網状組織(web)様(不織布)担体材料を含んで成る接着性ワインディングテープが特許文献5、6および7に記述されている。そのような材料は引張り強度が非常に高いことを特徴とする。しかしながら、その結果として、そのような接着テープを加工する時にハサミかナイフを補助で用いないと手で裂くことができないと言ったことが欠点になっている。
【0013】
しわの無い柔軟なケーブルハーネスを生じさせることができるように接着性ワインディングテープに課せられる重要な要求の中の2つは伸縮性および柔軟性である。その上、そのような材料は関連した防火標準、例えばFMVSS 302などを満足させる材料でもない。特許文献8に記述されているように、防火特性の向上を実現することができるとしても、ハロゲンで置換されている難燃剤もしくは重合体を用いた時のみである。
【0014】
今日の車製造におけるケーブルハーネスは、一方において、車の中に電気消費体が多数存在しかつ車の中の情報の伝達が増している結果として益々厚くなりかつ堅くなっていると同時に、他方では、それらの絶縁空間部が更に大きく制限され、その結果として、組み立て[ケーブルを車体の中に設置する時のガイドスルー(guidethrough)]がより厄介になってきている。その結果として、フィルムテープは薄い方が有利である。その上、ケーブルハーネスを費用効果的に効率良く生じさせることができるように、ケーブル用ワインディングテープの加工が容易で迅速であると言った性質が期待される。
【0015】
自動車の中の電気リード線を巻いてケーブルハーネスを生じさせる目的で可塑化PVCフィルムが基になったワインディングテープが用いられている。初期の目的は、最初は、元々は絶縁テープとして開発されたそのようなワインディングテープを用いた時の電気絶縁を改善しようとすることにあったが、そのような種類のケーブルハーネス用テープは、今日では、さらなる機能、例えば多数の個々のケーブルを包んで永久的に固着させて安定なケーブルストランドを生じさせること、かつ個々のケーブルおよびケーブルストランド全体を機械的損傷、熱による損傷および化学的損傷に対して保護することなどの機能を満足させることが要求される。
【0016】
ベロアまたは発泡体および不織布で構成されている積層担体が特許文献9に記述されており、そこでは、それを、両面接着テープまたはホットメルト接着剤を用いて接着させている。
【0017】
スパンボンドウエブとPETニットと発泡体もしくはフェルト片を一緒に積層させることで構成させた3層保護シース(sheath)が特許文献10に記述されており、その保護シースには、追加的に、少なくとも一部に、非常に複雑な様式で、接着片およびタッチアンドクローズファスナー(touch−and−close fastener)システムが与えられている。
【0018】
穴開き綿不織布が特許文献11に記述されており、それには厚みが10から45μmのポリエチレン被膜およびまた追加的剥離被膜も備わっている。
【0019】
ステッチボンドウエブで構成されているテープ様織物担体が備わっている接着テープが特許文献12に記述されており、前記ステッチボンドウエブは、互いに平行に走る多数のステッチを縫い込むことで次々に作られている。特許文献12に提案されたウエブは秤量
が50から200g/mで厚みが150から400μmであると述べられている。
【0020】
担体の裏面をステッチボンドウエブで覆うことが基になった接着テープが特許文献13に記述されている。特許文献14は接着テープ用担体としてウエブを用いることが基になっており、前記ウエブは、前記ウエブの繊維からループを形成させることで補強させたクロスレイド繊維ウエブ(cross−laid fiber web)、即ち本分野の技術者にMalifleeceの名称で知られているウエブである。ケーブル包帯用接着テープが特許文献15に開示されているが、それはKunitまたはMultiknitウエブとして知られるウエブが基になっている。特許文献13、14および15の全部で用いられているウエブは、実施例から推測され得るように、秤量が約100g/mのウエブである。
【0021】
ケーブルハーネスを包む目的で厚みが400から600μmの不織材料担体が備わっている接着テープを用いることが特許文献16に開示されており、前記テープの片面を接着剤で覆っている。
【0022】
不織材料で作られたテープ様担体が備わっている接着テープが特許文献17に開示されており、それの少なくとも片面を接着剤が覆っていて、前記不織ウエブの厚みは100μmから3000μm、特に500から1000μmである。
【0023】
そのような種類の厚みを有するウエブを用いて生じさせたケーブルハーネスは、防音(これが有利なのは特定分野のケーブルハーネスのみである)に対しては肯定的な効果を示しはするが、通常のPVCテープよりもずっと厚くかつ柔軟でない。しかしながら、ウエブは伸縮性が不足しかつ実際に弾性を全く示さない。このことは、ケーブルハーネスの細い分岐部への巻き付けをそれを取り付けた時に緩んでぶら下がることがないように行うことができかつプラグをつかんで取り付ける前にそれを容易に位置させることができるに充分な緊張度で行う必要があることから重要である。
【0024】
織物接着テープのさらなる欠点は、絶縁をもたらすのは接着層のみであることから、破壊電圧が低く、約1kVである点にある。それとは対照的に、フィルムが基になったテープが示すそれは5kVより高く、それらは良好な電圧抵抗を示す。
【0025】
ケーブルハーネスを生じさせようとして熱可塑性ポリエステルを含んで成るラッピングホイルおよびケーブル絶縁体が試験的に用いられている。それらは柔軟性、加工品質、老化安定性またはケーブル材料との適合性の点で考慮すべき欠点を有する。しかしながら、ポリエステルの最大の欠点は加水分解にかなり敏感な点にあり、そのことから、安全性が理由で自動車では用いられない。
【0026】
ハロゲンを含有しない熱可塑性ポリエステル担体フィルムの使用が特許文献18、19、20および21に記述されている。臭素置換難燃剤を含有するポリエステル担体フィルムを含んで成る難燃性ラッピングホイルが特許文献22に記述されている。
【0027】
また、ポリオレフィンを含んで成るワインディングテープも特許文献に記述されている。それらには(不規則な)球形構造を有しそして/または数μmの粒径を有する水酸化マグネシウムが入っていない。しかしながら、それらは易燃性であるか或はハロゲン置換難燃剤を含有する。その上、エチレン共重合体から作られた材料が示す軟化点はあまりにも低く(一般的には、それらに熱老化に対する安定性に関する試験を受けさせる試みを行っている間にさえそれらは溶融し)、かつポリプロピレン重合体を使用しようとしても、そのような材料が示す柔軟性はあまりにも低い。
【0028】
ハロゲンを含有しない難燃剤として充填材を用いる試みはなかった。微細な血小板形状の(platelet shape)通常の難燃性金属水酸化物充填材(例えばマグネシウム、カルシウムまたはアルミニウムが基になった)を比較的多い量で用いると防火性能の点でかなりの改善を達成することができる。しかしながら、不幸なことに、そのような混合物をホイルに加工するのは困難であり、それらから作られた製品は非常に堅くかつPVCまたはPVC以外のハロゲン置換ラッピングホイルが示す難燃性に近い難燃性を達成することさえできない、と言うのは、それらを充分に多い量で用いることができないからである。充填材をポリオレフィン100重量部当たり3から30重量部の量で用いることは他のホイル用途、例えば硬質カップ用のホイルを熱成形する場合などでは実施可能であるが、しかしながら、注目すべきほどの防火を達成するのは不可能である。燐酸塩、例えばポリ燐酸アンモニウムまたはポリ燐酸エチレンジアミンなどがポリオレフィンに与える難燃効果の方がその記述した金属水酸化物が与える効果よりもいくらか高く、特にそれを窒素含有難燃剤と相乗的に組み合わせた時には高い。不幸なことに、それらは加水分解に敏感であることを特徴とし、このことは、例えば熱可塑性プラスチック加工中にそれをロールに付着すること、そして老化時などに電気的および機械的特性が満足されなくなることで明らかになる。関連特許に水酸化マグネシウムが示されてはいるが、関係するグレードは血小板形状の微細(沈澱合成による)グレードであり、これは以下に指摘するように(不規則な)球形の粉砕グレード、例えば天然グレードなどに比べて欠点を有する。その上、その引用した発明には、本発明に従う好適な種類の耐熱変形性ポリプロピレンと水酸化マグネシウムの組み合わせは含まれていない。
【0029】
フィルムがエチレン共重合体基材で構成されている接着性ワインディングテープが特許文献23に記述されている。その担体フィルムにはハロゲン置換難燃剤であるデカブロモジフェニルオキサイドが入っている。そのフィルムは95℃未満の温度で軟化するが、通常の使用温度はしばしば100℃を超えるか或は短時間ではあるが130℃を超え、これは、それがエンジンコンパートメントで使用される場合の通常の温度である。
【0030】
ハロゲンを含有しない接着性ワインディングテープが特許文献24に記述されており、それの担体フィルムは、低密度ポリエチレンとエチレン/酢酸ビニルもしくはエチレン/アクリレート共重合体の重合体混合物で構成されている。使用された難燃剤はBET値が4から7(推定粒径d50が1から2μmであることに相当)の水酸化アルミニウムであり、それの量は48から90phrである。そのような大きさおよび形状の水酸化アルミニウムはポリオレフィンに混合するのが困難であり、このことは、それの含有量が比較的低いことで明らかである一方、本発明の好適な態様で高い難燃性を達成する水酸化物(水酸化マグネシウム)の含有量は100phrを超える。そのような担体フィルムの考慮に入れるべき欠点は、また、エチレン/酢酸ビニルまたはエチレン/アクリレート共重合体を用いて軟化温度を低くする必要がある点にある(しかしながら、充填材の量が少ないことから、受け入れられる難燃性を達成するにはそれが必要である)。しかしながら、水酸化アルミニウムが示す分解温度は低いことから、耐熱性は高いが溶融温度がより高いポリプロピレンを用いることができない。そのような軟化問題に対抗する目的でシラン系架橋剤の使用が記述されている。そのような架橋方法は複雑であり、実際にもたらされる材料が示す架橋度合は非常に不均一であり、その結果として、製造時に安定な製造工程を実現することも均一な製品品質を実現することも不可能である。
【0031】
特許文献25および26に記述されている電気用接着テープを用いた時にも耐熱変形性が充分ではないと言った同様な問題が起こる。記述された担体フィルム材料はEPDMとEVAの混合物を難燃剤としての二燐酸エチレンジアミンと一緒にした材料である。そのような難燃剤もポリ燐酸アンモニウムと同様に加水分解に非常に敏感である。その上、EVAと組み合わせると老化時にフィルムが特にひどく脆くなる。標準的ケーブルにポリオレフィンおよび水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウムを付着させると結果として
適合性が劣る、と言うのは、そのような水酸化物は容易に水を放出することで燐酸塩が加水分解を起こして燐酸(劣化用触媒)が生じてしまうからである。その上、そのようなケーブルハーネスの防火性能も劣る、と言うのは、そのような金属水酸化物は以下に指摘するように燐酸塩と拮抗的に作用するからである。その記述された絶縁テープはケーブルハーネス用ワインディングテープとして用いるにはあまりにも厚くかつあまりにも堅い。
【0032】
軟化温度が過度に低いことと柔軟であることと難燃性であることとハロゲンを含有しないことのジレンマを解決しようとする試みが以下の特許文献に記述されている。
【0033】
LLDPEとEVAの重合体混合物をケーブル絶縁材およびフィルム材料として用いることが特許文献27に請求されている。そこに記述されている難燃剤は特定の表面積を有する血小板形状の微細な合成沈澱水酸化マグネシウムと赤燐の組み合わせを含んで成る。そのd50値は0.61から1.4μmの範囲である。そのような粒子形態および粒径が理由で混合がより困難であり、その結果としてTuftec(Asahi)が相溶剤(compatibilizer)として用いられたにも拘らず、混合可能な水酸化マグネシウムの量は63phrのみであり、そのことから、受け入れられる防火を達成するには赤燐を11phr用いる必要がある。赤燐を用いると、この上で述べたのと同様に、加工中にホスフィン臭が発生しかつ白色のホイルを生産することも着色したホイルを生産することもできない。上述した引用文献と同様に、また、比較的低い温度で軟化すると言った問題を解決することも不可能である。
【0034】
ポリオレフィンとEVAの非常に類似した組み合わせが特許文献28にも記述されている。このケースでは、LLDPEをPP重合体に置き換えている。PP重合体をLLDPEの代わりに用いている。この特許文献の中心となる概念は、PP重合体を用いることで100℃で規定の機械的特性を達成することにあり、このことは、具体的には、ポリエチレンホモ重合体とエチレン共重合体の混合物が示す耐熱変形性が不足していると言った問題を解決しようとすることを意味する。その結果として柔軟性が低下する。そのような発明の欠点はまた再加工実施例を用いた測定でも立証可能である。その混合物の3番目の成分(PP重合体および難燃剤以外)はEVAまたはEEAであり、これは、その実施例のLOI値から確かめることができるように、ポリエチレンもしくはポリプロピレンと充填材の組み合わせの柔軟性および防火を向上させる働きをする。そのようなホイルは組成が理由で堅くて柔軟性がない。その実施例を再加工して流れ方向の1%伸び時の力を試験した結果として得られた値は10N/cmより高い。実際、現在用いられているPVC製ラッピングホイルの場合、製品が約1N/cmの値を示すように確立されてきている。このことは、そのようなホイルは実際の使用にはあまりにも柔軟性がないことを明確に示している。従って、耐熱変形性が向上したとしても、前記問題を解決するものでなく、それゆえ、その発明が目的とする値は0.6から5N/cmのみである。そのように使用されたポリオレフィンが示すメルトインデックスは極めて低いことから、その記述された押出し加工方法を用いて本技術に一致する100μm以下の薄いフィルムを生産用押出し加工装置で実際に加工するのは不可能であり、記述されている血小板形状の微細な充填材を多い量で組み合わせて用いた場合には確実に不可能である。粘度を非常に高くする赤燐と組み合わせると更に加工が邪魔される。従って、日本の自動車産業の一部に大規模な要求があるにも拘らず、そのような製品は商業的地位を取得していない。驚くべきことに、通常の充填材ではなく、本発明の球形の粗い水酸化マグネシウム(好適には粉砕で製造した)を用いると、特にそれに加えて主として好適なポリオレフィンが有意により高いメルトインデックス、より低い曲げ弾性率および高い軟化点を示すようにすると、そのような問題を解決することが可能になる。
【0035】
考察下の文脈で本発明を特徴付ける重合体では、それが示すメルトインデックスを1未満にするが、押出し加工の場合には、本発明における値を1以上、好適には5から15g
/10分の範囲にする。また、考察下の文脈で実施例が示す破壊電圧および老化安定性を向上させることも価値があるが、これは、本発明の充填材の大きさおよび形態(不均一さおよび顕微鏡的穴の形成に対して積極的な影響を示す)および/または特定の老化抑制剤を添加することで達成可能である。
【0036】
試みられた解決法は両方ともが赤燐と水酸化マグネシウムが示す公知の相乗的難燃効果が基になっている。しかしながら、元素状燐の使用はかなりの欠点をはらんでいる。加工中に嫌な臭気を有する高毒性のホスフィンが放出される。火災時に非常に濃密な白色の煙が発生することからさらなる欠点が生じる。その上、製造可能な製品は褐色から黒色の製品のみであるが、カラーマーキング(color marking)用ラッピングホイルで用いられる色の範囲は幅広い。本発明は赤燐の使用を排除するものではないが、本発明に従う特定のグレードを用いることを前提として、好適には、水酸化マグネシウムを特に多量に用いることで卓越した防火性能を達成するが、その防火性能を更にカーボンブラックを特に多量に用いることで向上させることも可能である。
【0037】
反応性ポリプロピレンと40phrの水酸化マグネシウムを含んで成るワインディングテープが特許文献29に記述されている。そのように水酸化マグネシウム含有量が低い結果として難燃性はほとんど存在しない。カーボンブラックの使用も球形水酸化マグネシウムの使用も記述されていない。
【0038】
ポリウレタンを含む接着テープが特許文献30に記述されているが、そのような製品はこの上に記述した通常の用途にはあまりにも高価である。老化抑制剤の使用に関するより詳細な言及も水酸化マグネシウムの使用に関するより詳細な言及も全く成されていない。
【0039】
引用した従来技術の特許文献は示した欠点を有するにも拘らず、またさらなる要求、例えば手による引裂き性、熱安定性、ポリオレフィン製ケーブル用絶縁体との適合性または充分な巻き戻し力なども達成するフィルムは提示されていない。その上、フィルム製造工程における工程品質、高いフォギング値および破壊電圧抵抗も問題のままである。
【特許文献1】JP 10 001 583 A1
【特許文献2】JP 05 250 947 A1
【特許文献3】JP 2000 198 895 A1
【特許文献4】JP 2000 200 515 A1
【特許文献5】DE 200 22 272 U1
【特許文献6】EP 1 123 958 A1
【特許文献7】WO 99/61541 A1
【特許文献8】米国特許第4,992,331 A1号
【特許文献9】DE 199 10 730 A1
【特許文献10】EP 0 886 357 A2
【特許文献11】EP 1 000 992 A1
【特許文献12】DE−U 94 01 037
【特許文献13】DE 44 42 092 C1
【特許文献14】DE 44 42 093 C1
【特許文献15】DE 44 42 507 C1
【特許文献16】DE 195 23 494 C1
【特許文献17】DE 199 23 399 A1
【特許文献18】DE 100 02 180 A1
【特許文献19】JP 10 149 725 A1
【特許文献20】JP 09 208 906 A1
【特許文献21】JP 05 017 727 A1
【特許文献22】JP 07 150 126 A1
【特許文献23】WO 00/71634 A1
【特許文献24】WO 97/05206 A1
【特許文献25】WO 99/35202 A1
【特許文献26】米国特許第5,498,476 A1号
【特許文献27】EP 0 953 599 A1
【特許文献28】EP 1 097 976 A1
【特許文献29】WO 03/070848 A1
【特許文献30】DE 203 06 801 U
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0040】
従って、ラッピングホイルがPVC製ワインディングテープが示す難燃性、耐摩滅性、電圧抵抗および機械的特性(例えば弾性、柔軟性および手による引裂き性)と織物製ワインディングテープがハロゲンを含有しないことの利点を組み合わせて持つようにしかつ更に優れた耐熱老化性を示すようにする解決法を見つけだすと共にそのようなホイルを産業的に製造することを可能にしかつそれが特定の用途で高い破壊電圧抵抗および高いフォギング値を示すことを確保する必要性の解決法を見つけだす目的は存在したままである。
【0041】
その上、本発明の1つの目的は、従来技術の欠点が存在しないか或は少なくとも同じ度合では存在せず、ハロゲンを含有していなくて難燃性でありかつ特にワイヤーおよびケー
ブルを迅速で信頼できる様式で包むか、標識を付けるか、保護するか、絶縁するか、密封するか或は包み込むことを可能にする軟質の充填材含有ラッピングホイルを提供することにある。
【0042】
自動車の中の電子機器が益々複雑になりかつ電気を消費する装置の数が増えていることに関連して、リード線団もまたより複雑になってきている。ケーブルハーネスの断面が大きくなるにつれて誘導加熱が益々大きくなると同時に熱が取り除かれる度合が低下する。その結果として、使用される材料に要求される熱安定性の度合が増大する。ここで、接着性ワインディングテープの標準として用いられるPVC材料は限界に到達しようとしている。その上、さらなる目的は、ポリプロピレン共重合体が示す熱安定性がPVCの熱安定性に合致するばかりでなく実際にそれを超えるようにする添加剤組み合わせを見つけだすことにあった。
【課題を解決するための手段】
【0043】
主請求項に示す如きラッピングホイルを用いて本目的を達成する。従属項は本発明のラッピングホイルの有利な進展、本ラッピングホイルを難燃性の軟質接着テープで用いること、それのさらなる使用およびラッピングホイル製造方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
従って、本発明は、ポリオレフィンおよび水酸化マグネシウムを含有して成る充填材含有の軟質なハロゲンを含有しない難燃性ラッピングホイルを提供し、ここで、前記水酸化マグネシウムは(場合により不規則な)球形構造を有しかつ粒径はμmの範囲であり、好適には粉砕で製造した水酸化マグネシウムであり、特にそれを特定のポリオレフィン、例えば曲げ弾性率が低いポリプロピレン弾性重合体などと組み合わせて含有させ、本ラッピングホイルの厚みを30から200μm、特に50から130μmにする。
【0045】
以下にphrで示す量は、フィルムの全重合体成分100重量部当たりの当該成分の重量部を表す。
【0046】
被膜(例えば接着剤)を有するラッピングホイルの場合には、ポリオレフィン含有層1層または2層以上の全重合体成分の重量部のみを考慮に入れる。
【0047】
本発明に従うフィルムの表面を好適には若干艶消しにする。これは、粒径が充分に大きい充填材を用いるか或はローラーを用いること(例えばエンボス加工用ローラーをカレンダーで用いるか或は冷却用艶消し用ロールを用いるか或は押出し加工中にエンボス加工用ローラーを用いることなど)で達成可能である。本発明に従う特に粗く微細にしたグレードの水酸化マグネシウムを用いると結果として本質的に艶消しの表面がもたらされる。
【0048】
好適な変法では、巻き付け操作終了時にラッピングホイルを固定する必要がないように取り付けを簡潔にする目的でフィルムの片面もしくは両面に感圧接着剤層を与える。
【0049】
本発明のラッピングホイルには実質的にDOPまたはTOTMなどの如き揮発性可塑剤を含有させず、従って、これは優れた防火性能を示しかつ排気(可塑剤の蒸発、フォギング)量が低い。
【0050】
この種類のラッピングホイルの製造を特に難燃性の充填材とポリオレフィンを特にポリプロピレン共重合体と組み合わせて用いて行うことができることは驚くべきことでありかつ本分野の技術者にとって予想外のことであった。加うるに、注目すべきは、その熱老化安定性も高性能材料としてのPVCと比較して劣らず、その代わりに、匹敵するか或はより良好でさえある。
【0051】
本発明のラッピングホイルが流れ方向において1%伸び時に示す力は好適には0.6から5N/cm、特に好適には1から3N/cmである。それが100%伸び時に示す力は好適には2から20N/cm、特に好適には3から10N/cmである。
【0052】
1%伸び時の力はフィルムの剛性の尺度でありそして100%伸び時の力はそれを巻き付けた時に高い巻き付け張力の結果として急激な変形が起こる時の柔順性の尺度である。また、100%伸び時の力はあまりにも低くあるべきでない、と言うのは、そうでないと引張り強度が充分でなくなるからである。
【0053】
難燃機能を有する充填材として、球形の粒子形態を有する水酸化マグネシウムを用いるが、この形態は理想的である必要はなく、むしろ不規則な球形形態、例えば川の石のような形態であるが、これに関しては図3を参照のこと。このような形態を好適には粉砕で得る。
【0054】
それとは対照的に、防火用途用の通常の商業的水酸化マグネシウムは多少とも規則的な血小板構造を有し、これの調製は溶液から沈澱させることで行われる。血小板形態の水酸化マグネシウムは本発明の水酸化マグネシウムではなく、これは規則的な血小板(例えば六面体)および不規則な血小板に当てはまるが、これに関しては図1および2を参照のこと。
【0055】
本発明のラッピングホイルには、本発明の水酸化マグネシウムを難燃剤として好適には70から200phr、より好適には110から150phr含有させる。
【0056】
その防火性能はまた下記の追加的要因にも非常に依存する:
・ 接着剤の被膜
・ ポリオレフィンの種類
・ カーボンブラックの種類および量、およびまた
・ 他の添加剤の種類および量。
【0057】
従って、その特定の水酸化マグネシウムの量の選択では、本ラッピングホイルが難燃性、即ち燃焼速度が遅いか或は自己消火性であるように選択する。サンプルを水平に位置させて行うFMVSS 302に従う火炎速度は、好適には200mm/分未満、より好適には100mm/分未満であり、本ラッピングホイルの卓越した1つの態様におけるそれは、そのような試験条件下で自己消火性である。酸素指数(LOI)を好適には20%超、特に23%超、より好適には27%超にする。
【0058】
前記水酸化マグネシウムに被膜を与えておいてもよく、そのような充填材の製造工程を行うか或はコンパウンド化工程を行う場合には、また、それを後で付着させることも可能である。適切な被膜はシラン、例えば記述する如きビニルシランなど、遊離脂肪酸(またはこれらの誘導体)、例えばステアリン酸など、ケイ酸塩、ホウ酸塩、アルミニウム化合物、燐酸塩、チタン酸塩またはその他にキレート剤である。その被膜の量を好適には水酸化マグネシウムを基準にして好適には0.3から1重量%の範囲にする。特に、水酸化マグネシウムに乾式粉砕を脂肪酸、特にステアリン酸の存在下で受けさせることで製造したそれが好適である。脂肪酸の被膜を形成させると水酸化マグネシウムとポリオレフィンの混合物が示す機械的特性が向上しかつ炭酸マグネシウムのブルーミングが減少する。脂肪酸塩(例えばステアリン酸ナトリウム)の使用も同様に可能ではあるが、それを用いて生じさせたラッピングホイルでは水分下で導電性が高くなると言った欠点を有し、それは、そのラッピングホイルがまた絶縁テープの機能も果たす用途では不利である。合成的に沈澱させた水酸化マグネシウムの場合には脂肪酸の添加を常に塩の形態で行う必要がある、
と言うのは、それは水に溶解するからである。このことが、本発明のラッピングホイルでは遊離脂肪酸と一緒に粉砕した水酸化マグネシウムの方が脂肪酸塩と一緒に沈澱させた水酸化マグネシウムよりも好適である理由の1つである。
【0059】
特に、粉砕しておいた水酸化マグネシウムが好適である、と言うのは、その場合、適切な工程および出発原料が決まっている時に所望の球形構造を容易に得ることができるからである。その例は水滑石(天然鉱物である水酸化マグネシウム)、コブドルスカイト(kovdorskites)(水酸化燐酸化マグネシウム)およびヒドロマグネサイト(hydromagnesite)(マグネシウムヒドロキシカーボン)であるが、水滑石が最も好適である。他のアニオン、例えば燐酸塩または炭酸塩などの量(モル%で表す)を水酸化物の量よりも有意に低くすべきである。そのような水酸化マグネシウムの純度を好適には少なくとも90重量%にする。
【0060】
本発明のラッピングホイルでは、そのような鉱物である水酸化マグネシウム以外に、また、請求する構造を有することを条件として合成の水酸化マグネシウムを用いることも可能ではあるが、しかしながら、球形構造を有する合成の水酸化マグネシウムを商業的な量で充分に入手するのは現在のところ不可能である、と言うのは、現在の製造方法は急速沈澱方法(しかしながら、この方法でもたらされるのは微細な血小板形状の結晶である)ほどには経済的でないからである。
【0061】
炭酸マグネシウムの混合物、例えばドロマイト[CaCO・MgCO、M 184.41]、マグネサイト(MgCO)およびハンタイト(huntite)[CaCO・3MgCO、M 353.05]またはヒドロタルサイト(結晶格子の中に炭酸塩および水酸化物が存在するアルミニウム/マグネシウム混合結晶)は許容される。老化に関する限り、炭酸カルシウム(高純度の化合物としてか或はカルシウムおよびマグネシウムの炭酸塩および場合により水酸化物の混合結晶の形態として)の存在は実際有利であることが分かり、炭酸カルシウムを1から4重量%の分率で存在させるのが好ましいと考えている(カルシウムの分析含有量をここでは高純度炭酸カルシウムに変換)。水滑石の場合の天然の水酸化マグネシウムのいろいろな堆積物にはカルシウムおよび炭酸塩がチョーク、ドロマイト、ハンタイトまたはヒドロタルサイトの形態の不純物として存在するが、また、それらを故意に水酸化マグネシウムに混合することも可能である。肯定的な効果は恐らく酸の中和によりもたらされるのであろう。そのような酸は例えば塩化マグネシウム[これは一般にポリオレフィン中に触媒残渣として存在する(例えばSpheripol方法などでは)]などから生じた酸である。酸性成分が接着剤の被膜からフィルムに移行することで老化を悪化させることも同様に起こり得る。ステアリン酸カルシウムを添加することでも炭酸カルシウムの使用で達成する効果と同様な効果を得ることは可能であるが、その量は相対的に多いことから前記ワインディングテープの中の接着剤被膜の接着強度が低下し、特に、そのような接着剤層とラッピングホイルの裏面の接着力が低下する。
【0062】
特に適切な水酸化マグネシウムは、平均粒径d50が少なくとも2μm、特に少なくとも4μmの水酸化マグネシウムである。通常の湿式沈澱水酸化マグネシウムはあまりにも微細であり、平均粒径d50は一般に1μm以下である。本発明に従う水酸化マグネシウムが示すd97値は、フィルムに穴が開くことがなくかつ破壊伸びが過度に低くなることがないように、20μm以下であるべきであるが、これは例えばふるい分けなどで達成可能である。
【0063】
直径が10から25μmの粒子を存在させるとフィルムに好ましい艶消し外観と良好な手による引裂き性が与えられるが、それらは通常の微細な水酸化マグネシウムを用いたのでは得られない。ポリオレフィンフィルムは滑らかであり、従って典型的な「プラスチッ
ク光沢」を有するが、ラッピングホイルで通常用いられるPVCフィルムには粉砕チョークが充填されておりかつサンドブラストで磨かれたカレンダーロールが用いられることから、それは艶消しである。
【0064】
しかしながら、商業的に入手可能な微細な合成水酸化マグネシウムは非常に高純度であり、フィルムの中に斑点および穴をもたらす可能性がなくかつ偏向的ではあるが難燃性は大きな粒子の場合よりも良好であるはずであると考えるのが妥当であると思われていることから、それの使用は本分野の技術者に明らかなことである。驚くべきことに、比較的大きな球形粒子の水酸化マグネシウムを含有させたコンパウンドの方が小型の血小板形状粒子の水酸化マグネシウムを含有させたコンパウンドよりもカレンダー加工および押出し加工における加工がより有効であることを見いだした。微細な血小板形状の水酸化マグネシウムを用いた時にもたらされる溶融物の粘度はより粗い球形の水酸化マグネシウムを用いた時のそれよりも実質的に高く、このことは相当する加工問題と関連している。そのような問題は、例えば生産量が低いこと、そして摩擦が高い時に水酸化マグネシウムが熱で分解することで気泡および穴が生じることなどである。そのような問題は高いメルトインデックス(MFI)を示す重合体を用いて対抗しうるが、それによってその溶融物の機械的安定性が悪化する。しかしながら、これは特にブローンフィルム押出し加工およびカレンダー加工にとって重要である。好適な態様では、それぞれ、カレンダーのロールからフィルムを取り出すのがより容易になるか、或はブローンフィルム押出し加工の場合にはフィルムのバブルがより安定になる(溶融物のチューブが崩壊しない)。本発明の水酸化マグネシウムを用いると加工特性がより良好になり、その結果として、実際、そのような充填材の含有量を高くすることが可能になり、それによって、難燃性がより良好になるが、また、ポリオレフィンも相当してより柔らかであるべきであることを心に留めておくべきである。
【0065】
粗い粒状の球形水酸化マグネシウム充填材を他の難燃剤または充填材、例えば窒素含有難燃剤などと組み合わせてもよい。その例は、ジシアンジアミド、メラミンシアヌレートおよび立体障害アミン、例えばHA(L)Sの種類のアミンなどである。
【0066】
使用温度が高い影響下の用途では、天然の水酸化マグネシウムに含まれる痕跡量の重金属が老化に悪影響を与える可能性があるが、これは、以下に示す特殊な老化抑制剤組み合わせを用いることで防止可能である。従って、本発明の天然の水酸化マグネシウムを用いる時には、適切な老化抑制剤組み合わせを添加するのが好適である。
【0067】
本発明の水酸化マグネシウムが示す比表面積(BET)は好適には少なくとも5m/gである。
【0068】
水酸化マグネシウムと赤燐は相乗作用を示し、従って、また、赤燐を用いることも可能である。しかしながら、それは本発明にとってある場合には有害であると言った欠点を有する。着色した製品を製造するのは不可能であり、可能なのは黒色および褐色の製品のみであり、コンパウンド化中に付随的にホスフィンが発生することから、健康が危険にさらされないようにする目的で保護手段を設ける必要があり、かつ火災時に白色の煙が多量に発生する。従って、好適には赤燐を用いないで、その代わりに、充填材の分率を高くするか、或は酸素含有重合体を用いるか或は添加する。
【0069】
赤燐とは異なり、公知難燃剤の形態の有機および無機燐化合物、例えばトリアリールホスフェートまたはポリ燐酸塩などが基になった化合物は拮抗的に作用する。従って、好適な態様では、当該化合物が老化抑制剤効果を有する的確なホスファイトでない限り、結合した燐を用いない、即ちそれらは化学的に結合している燐の量を0.5phr以上にまで上昇させるべきではない。
【0070】
本ラッピングホイルがそのような力値を達成するようにする目的で、本ラッピングホイルにその明記する特殊な水酸化マグネシウムを含有させるばかりでなくまた好適には曲げ弾性率が好適には900MPa未満、より好適には500MPa以下、特に80MPa以下の軟質ポリオレフィンも含有させる。それは軟質のエチレンホモ重合体またはエチレンもしくはプロピレン共重合体であってもよい。そのようなポリオレフィンの単量体1種または2種以上に課せられる制限は全く存在しないが、α−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、ブテ−1−エン、イソブチレン、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン、オクテン、デセンまたはドデセンなどが好適である。3種以上の単量体が用いられた共重合体、および極性単量体、例えば酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルブチラール、アクリレートおよびメタアクリレートなどが用いられた共重合体もここに示す如き用語「ポリオレフィン」の目的で含める。
【0071】
耐熱変形性を達成する目的で、本ホイルを架橋させるか或はそれに少なくとも120℃の結晶子融点を示す少なくとも1種のポリオレフィン、特にプロピレンが基になった重合体を含有させてもよい。
【0072】
適切なポリオレフィンの例は、例えば軟質プロピレンもしくは密度が例えば0.86から0.92g/cm、好適には0.86から0.88g/cmのエチレン重合体、例えばLDPE、LLDPE、メタロセン(metallocene)−PE、EPMまたはEPDMなどである。結晶化度を低下させる、言い換えれば曲げ弾性率を低下させるに適した共重合用単量体は、α−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、ブテ−1−エン、イソブチレン、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン、オクテン、デセンまたはドデセンなどである。用いるポリオレフィンが示す結晶子融点が原則として12℃未満(これは、大部分の軟質エチレン共重合体に当てはまる)の場合、好適には、結晶子融点が高い重合体を混合するか或は化学的または放射線−化学的架橋を用いて熱安定性を上昇させる。この目的でEB(電子ビーム)、UV(光開始剤または不飽和架橋促進剤の使用)、シランによる架橋およびパーオキサイドによる架橋が適切である。EPDMの場合には、追加的に、化学的架橋剤、例えばアルキルフェノール樹脂、硫黄または硫黄含有架橋剤なども適切である。熱安定性を上昇させるに好適な混合用成分はPPホモ重合体またはPP共重合体、特にブロック共重合体、ランダム共重合体であり、この上に詳述した特に軟質のポリプロピレンが非常に特に好適である。通気管、スクリーン用コイルまたは車のケーブルに取り付ける場合には溶融の危険性があることから熱安定性が重要である。
【0073】
本発明の目的で、用語「ポリオレフィン」に、また、1種以上のシクロオレフィン、芳香族または酸素含有共重合用単量体を用いたオレフィン共重合体、例えばエチレン−アクリレート(例えばEMA、EBA、EEA、EAA、エチレン−アクリル酸およびこれの塩)、ポリエチレン−ビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル、エチレン−スチレン共重合体またはCOC(エチレンとジシクロペンタジエンから作られたシクロオレフィン共重合体)なども包含させる。本分野の技術者に良く知られているように、酸素含有共重合体はポリエチレンまたはポリプロピレンと比較して向上した防火性能を示す。従って、それらもまた他のポリオレフィンと本発明の水酸化マグネシウムの混合物に添加する添加剤として提案する。同じことがまたオレフィンを含有しない窒素含有もしくは酸素含有重合体にも相乗剤として当てはまる。それらは、例えば充分に低い軟化点を示す(ポリプロピレンの加工温度に合致する)ポリアミドおよびポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体およびポリ(メタ)アクリレートなどである。本分野の技術者は、そのような高極性材料はポリオレフィンと適合しないと考えている。驚くべきことに、特定の共重合体と難燃充填材を含有させた本発明の混合物の場合には問題が生じないことを見いだした。酢酸ビニルおよび(メタ)アクリレートのホモ重合体および共重合体が好適であり、これらをまた架橋させておいてもよい。また、
それらにコア−シェル構造を持たせてもよく、例えばアルコールの炭素原子数が2から8のポリアクリル酸エステルのコアとポリメタアクリル酸メチルのシェルの構造を持たせてもよい。詳細には、アクリレート系衝撃改質剤(PVCを改質させる目的で作られた)および酢酸ビニルが基になった分散粉末[ポリビニルアルコールのシェルを有する(例えば石膏およびセメント製品用の改質剤として用いられる如き)]が特に適切であることを確かめた、と言うのは、それらを少量でも用いると防火性能の顕著な向上がもたらされると同時に本ラッピングホイルの柔軟性が実質的に悪化せずかつそれらは極性を有するにも拘らず溶融物とカレンダーロールまたは冷却用ロールが粘着する度合を高くしないからである。さらなる可能性は、酸素をグラフト化[例えば無水マレイン酸または(メタ)アクリレート単量体などを用いた]で導入しておいたポリオレフィンの使用にある。
【0074】
好適な1つの態様では、重合体全部の総重量を基準にした酸素分率を0.7から10phr(また重量%にも相当)、特に5から8phrの範囲にする。また、難燃性を向上させる目的で窒素含有もしくは酸素含有共重合体を共押出し加工層として用いることも可能である。本ラッピングホイルを柔軟にする、即ち1%伸び時の力、特に力/伸び曲線の形状を最適な範囲にしようとする時には、エチレンまたは(非置換もしくは置換)スチレンとブタジエンまたはイソプレンから作られたランダムもしくはブロック共重合体の水添軟質品が適切である。
【0075】
しかしながら、そのようなポリオレフィンが示す結晶子融点は、EPMおよびEPDMの場合のように、120℃未満であってはならない、と言うのは、通気管、スクリーン用コイルまたは車のケーブルなどに取り付ける時に溶融する危険性があるからであるが、このことは、機械的特性を微調整する目的でそのような重合体を融点がより高いポリオレフィンと一緒に用いることを排除するものではない。
【0076】
好適なポリオレフィンは軟質のポリプロピレン共重合体である、と言うのは、一方においてそれらは軟化に関して充分な熱安定性を示しかつ他方においてそれらは多量の充填材を受け入れると言った卓越した能力を有することで特徴づけられるからである(恐らくは曲げ弾性率が低いことと結晶画分による充填材の受け入れの間に相互関係が存在する)。そのようなポリプロピレン重合体が示す結晶子融点は120℃から166℃であり、曲げ弾性率は900MPa以下、好適には500MPa以下、より好適には80MPa以下である。ポリプロピレン共重合体が示す結晶子融点は、好適には148℃未満、より好適には145℃未満である。結晶子融点が120℃以上の場合には架橋させる必要はない。特に、そのような種類のポリプロピレン共重合体を用いると充填材を多量に用いることが可能になる。それを比較的高い方のd50値を示す粉砕水酸化マグネシウムと組み合わせると、本ラッピングホイルが取り付け時にあまりにも堅くなることも柔軟でなくなることもなく、充填材の分率を特に高いレベルに設定することができる。
【0077】
そのような共重合体が有する結晶領域は、好適には、ランダム構造を有するポリプロピレン、特にエチレン含有量が6から10モル%のポリプロピレンである。修飾(例えばエチレンによる)を受けさせたポリプロピレンランダム共重合体が示す結晶子融点は、ポリプロピレンのブロック長および非晶質相の共重合用単量体含有量に応じて、200℃から145℃の範囲である(これは商品が示す範囲である)。ポリプロピレンホモ重合体が示すそれは分子量および立体規則性(tacticity)に応じて163℃から166℃の範囲である。そのようなホモ重合体が低分子量でありかつEPゴムによる修飾(例えばグラフト化、反応槽による混合)を受けていると、融点が低下することで結晶子融点は約148℃から163℃の範囲内である。従って、本発明のポリプロピレン共重合の場合の好適な結晶子融点は145℃未満であり、これを、共重合用単量体による修飾を受けさせたランダム構造のポリプロピレンを結晶相の中に存在させかつ共重合体の非晶質相を存在させることで最良に達成する。
【0078】
そのような共重合体では、結晶相と非晶質相の両方の共重合用単量体含有量とそれから生じさせるラッピングホイルが示す曲げ弾性率および1%張力値との間に関係が存在する。非晶質相中の共重合用単量体の含有量を高くすることで特に1%力値を低くすることができる。驚くべきことに、硬質結晶相中に共重合用単量体を存在させることでも同様に充填材含有ホイルが示す柔軟性に肯定的な影響が得られる。
【0079】
そのようなポリプロピレン共重合体に含めるポリプロピレンの共重合用単量体1種または2種以上に課せられる制限は全く存在しないが、α−オレフィン、例えばエチレン、1−ブチレン、イソブチレン、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセンまたはオクテンなどの使用が好適である。本発明の目的で、3種以上の共重合用単量体が用いられている共重合体も包含させる。ポリプロピレン共重合体に特に好適な単量体はプロピレンおよびエチレンである。加うるに、そのような重合体にグラフト化による修飾、例えば無水マレイン酸またはアクリレート単量体などを用いたグラフト化による修飾を例えば加工特性または機械的特性などを向上させる目的で受けさせておいてもよい。ポリプロピレン共重合体は、重合体の物理の厳格な意味の共重合体、例えばブロック共重合体などばかりでなくまた幅広い範囲の構造または特性を有する商業的に通常の熱可塑性PPゴム弾性体なども意味する。そのような種類の材料の製造は、例えばPPホモ重合体もしくはランダム共重合体を前駆体として用いてそれらを同じ反応槽内または次の反応槽内でエチレンおよびプロピレンと気相中で更に反応させることなどで実施可能である。ランダム共重合体である出発材料を用いると、生じるEPゴム相中のエチレンおよびプロピレンの単量体分布がより均一になることで機械的特性の向上がもたらされる。このことは、結晶性ランダム共重合体相を有する重合体が本発明のラッピングホイルに好適である別の理由である。それの製造では通常の方法を用いることができ、その例には気相方法、Cataloy方法、Spheripol方法、Novolen方法およびHypol方法が含まれ、それらはUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第6版、Wiely−VCH 2002に記述されている。
【0080】
そのような軟質ポリプロピレン共重合体の形態の好適なポリオレフィンに軟質共重合体、例えばSEBS、SEPS、メタロセン−ポリエチレン、EPM、EPDM、または非晶質もしくは低結晶性のEVA、EBA、EMAなどを添加して混合することで、機械的特性または加工特性に肯定的な影響を与えることも可能である。そのような混合用成分にグラフト化による修飾を受けさせておいてもよく、例えばポリオレフィンに無水マレイン酸またはアクリル酸によるグラフト化を受けさせておくと後でそれに水酸化マグネシウムを混合するのが容易になることが分かる。しかしながら、その量を多くするとコストが劇的に高くなりかつ本ホイルがカレンダーのロールに粘着してしまう。本発明の水酸化マグネシウムの場合には、通常の水酸化マグネシウムとは異なり、高い強度および良好な均一性および加工特性を達成しようとして、そのようなグラフト化重合体を用いる必要はないか或は必要であるとしてもその量は少量のみである。
【0081】
押出し加工の場合の主ポリオレフィン成分の好適なメルトインデックスは1から20g/10分、特に5から15g/10分の範囲である。メルトインデックスが5g/10分未満、特に1g/10分未満のポリオレフィンを多量の充填材と一緒に加工して配向していない薄いホイルにすることは今まで行われていなかった。驚くべきことに、特に本発明の充填材を用いるとカレンダー加工の形態でも同様にそのような種類の重合体の加工に関する解決法が得られることを見いだした。この目的の場合の主ポリオレフィン成分の好適なメルトインデックスは5g/10分未満、より好適には1g/10分未満、特に0.7g/10分未満である。そのように低いメルトインデックスを示すポリオレフィンは卓越した耐熱変形性を示す、と言うのは、その溶融物は融点以上になった時でも分子量が高いことが理由で物理的に安定である[170℃の貯蔵試験(実施例を参照)で驚くべきこと
に示されるように]からである。このようなメルトインデックスの記述では、エチレン共重合体が示すメルトインデックスは一般に190℃でありかつポリプロピレンの場合には230℃であると明記されていることを無視する。2種以上のポリオレフィンを用いる場合、それらの指定メルトインデックスの差の係数(factor)を好適には6未満、より好適には係数を3未満にする。
【0082】
本ラッピングホイルを製造する時、フィルムの場合に通常のさらなる添加剤、例えば充填材、顔料、老化抑制剤、核形成剤、衝撃改質剤または滑剤などを用いてもよい。そのような添加剤は、例えばH.Saechtling編集の「Kunststoff Taschenbuch」、Hanser Verlag、28版またはH.Zweifel編集の「Plastic Additives Handbook」、Hanser−Verlag、5版などに記述されている。以下に示す所見では、理解が困難な化学名を回避する目的で個々のCAS Reg.No.を用いる。
【0083】
本発明の主目的は、ハロゲンおよび揮発性可塑剤を存在させないことにある。述べたように、熱要求が高くなってきており、その結果として、追加的に、通常のPVCラッピングホイルに比べても試験的に用いられている非PVC製フィルムワインディングテープに比べても向上した耐熱性を達成すべきである。従って、それを以下に詳細に言及することで本発明の説明を行う。
【0084】
本発明のラッピングホイルが示す3000時間後の熱安定性は少なくとも105℃であるが、このことは、そのように貯蔵した後でも破断伸びが少なくとも100%であることを意味する。本フィルムは更にこれを136℃で20日間貯蔵(促進試験)後に少なくとも100%の破断伸びを示すべきでありそして/または170℃(30分間)の耐熱性も示すべきである。
【0085】
記述する抗酸化剤およびまた場合により金属不活性化剤も用いた1つの卓越した形態では、2000時間後に125℃または3000時間後に125℃さえ達成する。DOPが基になった通常のPVC製ラッピングホイルが示す熱安定性は85℃(パッセンジャーコンパートメント)である一方、重合体である可塑剤が基になった高性能製品が達成する熱安定性は105℃である(エンジンコンパートメント)。
【0086】
その上、本ラッピングホイルはポリオレフィンが基になったケーブル被覆材と適合すべきである、言い換えれば、ケーブル/ラッピングホイル組み立て品を貯蔵した後にラッピングホイルが脆くなることもケーブル用絶縁体が脆くなることもあってはならない。1種以上の適切な抗酸化剤を選択することで105℃、好適には125℃で適合性(2000時間、特に3000時間)を達成することができかつ140℃の短時間(168時間)熱安定性も達成することができる。
【0087】
短時間の熱安定性および耐熱性が充分であるためのさらなる必要条件はポリオレフィン部分が充分な融点(少なくとも120℃)を示すことと結晶子の融点よりいくらか高い温度の溶融部分が充分な機械的安定性を示すことにある。後者を、充填材含有量が少なくとも80phrの時のメルトインデックスが20g/10分以下であるか或は充填材含有量が少なくとも40phrの時のそれが5g/10分以下であるようにすることで確保する。しかしながら、140℃を超える耐酸化性を達成するに決定的な安定性は老化安定性であり、これを、特に、二次抗酸化剤、例えばホスファイトなどを用いて達成する。
【0088】
ラッピングホイルと他のケーブルハーネス構成要素、例えばプラグおよび溝付き管などの間の適合性も同様に望まれており、これも同様に配合を特に使用する添加剤に関して適合させることで達成可能である。挙げることができる否定的な例は、不適切なポリプロピ
レン製ラッピングホイルと銅による安定化を受けたポリアミド製溝付き管の組み合わせであり、この場合には、その溝付き管とラッピングホイルの両方が105℃で3000時間後に脆くなってしまう。
【0089】
有効な老化安定性および適合性を達成する目的で、的確な老化抑制剤の使用に特別な役割を割り当てる。これに関して、また、安定剤の総量も考慮に入れる必要がある、と言うのは、以前にそのようなワインディングテープを製造しようとする実験では老化抑制剤が全く用いられなかったか或は0.3phr(x phrは、重合体もしくは重合体混合物100部当たりのx部を表す)未満のみであったからである(一般的にまた他のフィルムを製造する場合と同様に)。
【0090】
本発明のワインディングテープには一次抗酸化剤を少なくとも4phr含有させるべきであるか或は一次抗酸化剤と二次抗酸化剤の組み合わせを好適には少なくとも0.3phr、特に少なくとも1phr含有させるべきであるが、この場合、一次抗酸化剤機能と二次抗酸化剤機能は異なる分子に存在していてもよいか或は1つの分子の中に組み合わされていてもよい。この上に示した量では、金属不活性化剤または光安定剤などの如き任意の安定剤を計算に含めない。
【0091】
1つの好適な態様では、二次抗酸化剤の分率を0.3phrより多くする。PVC製品用の安定剤をポリオレフィン用として使用するのは不可能である。二次抗酸化剤は過酸化物を分解させ、従って、ジエン弾性重合体の場合に老化抑制剤パッケージの一部として用いられる。驚くべきことに、一次抗酸化剤(例えば立体障害フェノールまたはC−ラジカル捕捉剤、例えばCAS 181314−48−7)と二次抗酸化剤(例えば硫黄化合物、ホスファイトまたは立体障害アミン)の組み合わせ(この場合も両方の機能が1つの分子の中に統合されていても構わない)がジエンを含有しないポリオレフィン、例えばポリプロピレンなどの場合に上述した目的を達成することを見いだした。特に、一次抗酸化剤、好適には分子量が500g/モル超(特に>700g/モル)の立体障害フェノールとホスファイト系二次抗酸化剤(特に分子量が>600g/モル)の組み合わせが好適である。ポリオレフィン、例えばポリプロピレン共重合体などを含んで成るラッピングホイルでは、今日まで、ホスファイトが用いられることも一次老化抑制剤と2種以上の二次老化抑制剤の組み合わせが用いられることもなかった。低揮発性のフェノール系一次抗酸化剤と硫黄化合物(好適には分子量が400g/モル超、特に>500g/モル)の種類およびホスファイトの種類の各々に属する1種類づつの二次抗酸化剤の組み合わせが適切であるが、その場合、フェノール機能と硫黄含有機能とホスファイト機能を異なる3種類の分子の中に存在させる必要はなく、その代わりに、また、2種以上の機能が1つの分子の中に統合されていても構わない。
例:
・ フェノール機能:
CAS 6683−19−8、2082−79−3、1709−70−2、36443−68−2、1709−70−2、34137−09−2、27676−62−6、40601−76−1、31851−03−3、991−84−4
・ 硫黄含有機能:
CAS 693−36−7、123−28−4、16545−54−3、2500−88−1
・ ホスファイト機能:
CAS 31570−04−4、26741−53−7、80693−00−1、140221−14−3、119345−01−6、3806−34−6、80410−33−9、14650−60−8、161717−32−4
・ フェノールと硫黄含有機能:
CAS 41484−35−9、90−66−4、110553−27−0、96−96
−5、41484
・ フェノールとアミン機能:
CAS 991−84−4、633843−89−0
・ アミン機能:
CAS 52829−07−9、411556−26−7、129757−67−1、71878−19−8、65447−77−0。
【0092】
特に、CAS 6683−19−8(例えばIrganox 1010)とチオプロピオン酸エステルCAS 693−36−7(Irganox PS 802)または123−28−4(Irganox PS 800)とCAS 31570−04−4(Irgafos 168)の組み合わせが好適である。二次抗酸化剤の分率の方が一次抗酸化剤の分率より高い組み合わせも好適である。加うるに、痕跡量の重金属(これは老化を触媒的に加速させる可能性がある)と錯体を形成させる目的で金属不活性化剤を添加することも可能である。その例はCAS 32687−78−8、70331−94−1、6629−10−3、エチレンジアミンテトラ酢酸、N,N’−ジサリシリデン−1,2−ジアミノプロパン、または商品、例えば3−(N−サリシロール)アミノ−1,2,4−トリアゾール(Palmarole ADK STAB CDA−1)、N,N’−ビス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジド(Palmarole MDA.P.10)または2,2’−オキサミドビス[3−(t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチル](Palmarole MDA.P.11)などである。
【0093】
本発明のラッピングホイルでは記述した老化抑制剤の選択が特に重要である、と言うのは、フェノール系抗酸化剤を単独または硫黄含有共安定剤と組み合わせて用いても一般に本技術に適合する製品を得るのは不可能であるからである。カレンダー加工の場合にはロール上で大気の酸素が比較的長時間に渡って入り込むことを回避することができず、その場合には、製品の一部が充分な熱老化安定性を示すようにする目的でホスファイト系安定剤の同時使用が本質的に不可避であることが分かる。押出し加工の場合でさえ製品に対して行った老化試験でホスファイトの添加が肯定的であることは明らかである。ホスファイト系安定剤の場合の量は少なくとも0.1phr、好適には少なくとも0.3phrが好適である。特に天然の水酸化マグネシウム、例えば水滑石などを用いる時には、金属不純物、例えば鉄、マンガン、クロムまたは銅などが移行する結果として老化問題が生じる可能性があるが、上述した老化抑制剤の的確な組み合わせおよび量を知ることで、それを最良に回避することができる。この上に示したように、粉砕した水滑石は沈澱で生じさせた水酸化マグネシウムに比べて数多くの技術的利点を有することで、記述する如き抗酸化剤および金属不活性化剤との組み合わせが特に実用的である。このことは、特に、高温負荷を伴う用途(例えば自動車のエンジンコンパートメント内用のケーブル用ラッピングホイルとして用いる場合、またはTVまたはPCスクリーンにおける磁気コイルに絶縁ワインディングとして用いる場合など)に当てはまる。
【0094】
本発明のラッピングホイルに好適には色を付け、特に黒色にする。着色は基礎フィルム、接着剤層または他の任意層に対して実施可能である。本ラッピングホイルに有機の顔料もしくは染料を用いることも可能ではあるが、カーボンブラックの使用が好適である。カーボンブラックの分率を好適には少なくとも5phr、特に少なくとも10phrにする、と言うのは、そのようにすると防火性能に有意な影響を与えることができることを驚くべきことに見いだしたからである。カーボンブラックを添加した時に熱老化安定性が驚くべきほど高くなるのは、それの添加をポリプロピレン重合体を老化抑制剤(抗酸化剤)と混合した後にのみ行った時である(それを例えばマスターバッチの形態で添加)。このような利点は、最初に重合体と老化抑制剤と充填材を互いに混合した後にカーボンブラックのみをマスターバッチとしてフィルム製造装置(カレンダーまたは押出し加工機)の押出
し加工機に添加することで利用可能である。追加的利点は、コンパウンダー(プランジャーコンパウンダーまたは押出し加工機、例えば2軸押出し加工機またはプラネタリーロール押出し加工機)で生産する製品を変えた時でもカーボンブラック残渣を除去する目的で費用をかけて奇麗にする(これは不便である)必要がない点にある。カーボンブラックのマスターバッチを通常ではない多量、例えば1から2phrばかりでなく15から30phrに及ぶ量で添加してもフィルム装置に問題が起こり得ないことは本分野の技術者にとって驚くべきことであろう。カーボンブラックとしてあらゆる種類のカーボンブラックを用いることができ、例えばガスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ファーネスブラックおよびランプブラック(lamp black)などを用いることができ、フィルムの着色ではファーネスブラックが通常ではあるが、ランプブラックが好適である。老化を最適にしようとする時には、pHが6から8の範囲内のカーボンブラックグレード、特にランプブラックが好適である。
【0095】
充填材を混合する時、下記の技術が好適でありかつ主張する:
− 重合体と充填材の混合をプランジャーコンパンダー(plunger compounder)を用いたバッチ操作または連続(例えばバンバリーを使用)的に行う場合、好適には、充填材の一部を既に当該重合体と一緒にして均一にしておいた時には充填材の別の部分を添加する。
− 重合体と充填材の混合を2軸押出し加工機で行う場合、充填材の一部を用いてプレコンパウンド(pre−comound)を生じさせ、次のコンパウンド段階でそれを充填材の残りと混合する。
− 重合体と充填材の混合を2軸押出し加工機で行う場合、充填材を押出し加工機に1地点ではなく、例えば側面の供給装置などを用いて、少なくとも2ゾーンに供給する。
【0096】
本ラッピングホイルの製造をカレンダーまたは押出し加工、例えばブロー加工またはキャスティング加工などで行う。そのような加工は例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第6版、Wiley−VCH 2002に記述されている。主成分または成分全部を含んで成るコンパウンドをコンパウンダーまたは混練り装置(例えばプランジャーコンパウンダー)または押出し加工機(例えば2軸もしくはプラネタリーロール押出し加工機)で製造した後に固体形態(顆粒など)に変換し、そしてそれを次にフィルム押出し加工装置または押出し加工機、コンパウンダーまたはカレンダー装置のロールミルなどで溶融させて更に加工してもよい。充填材を多い量で用いると不均一部分(欠陥部)が若干生じることで破壊電圧が激しく低下する。従って、混合操作をそのようなコンパウンドから生じさせたフィルムが少なくとも3kV/100μm、好適には少なくとも5kV/100μmの破壊電圧を達成するに充分なほど徹底的に実施するべきである。コンパウンドとフィルムを1つの工程で生じさせるのが好適である。その溶融物をコンパウンダーから押出し加工装置またはカレンダーに直接供給するが、必要に応じて、補助装置、例えばフィルター、金属検出器またはロールミルなどに通すことも可能である。良好な手による引裂き性を達成、即ち1%伸び時の力値が低くなりかつ収縮率が低くなるように、そのような製造工程の過程中にフィルムが配向する度合をできるだけ小さくする。この理由で特にカレンダー加工が好適である。
【0097】
本ラッピングホイルを熱貯蔵(それをタルク層の上に置いて125℃のオーブンに30分間入れた)後にそれが示す流れ方向の収縮率は5%未満、好適には3%未満である。
【0098】
本発明のラッピングホイルが示す機械的特性(データを測定する目的で鋭利な刃物を用いて本フィルムを適切な大きさに切断)は好適には下記の範囲内にある:
・ md(流れ方向)の破断伸びが300%から1000%、より好適には500%から800%、
・ mdの破断強度が4から15、より好適には5から8N/cmの範囲。
【0099】
好適な態様では、巻いた末端部を接着テープ、ワイヤーまたは結び目で固定する必要がないように、本ラッピングホイルの片面または両面、好適には片面にシーリングまたは感圧接着剤被膜を与える。その接着剤層の量[即ち、必要に応じて水または溶媒を除去した後の量、その数値はまたおおよその厚み(μm)にも相当する]を各場合とも10から40g/m、好適には18から28g/mにする。接着性被膜を用いる1つのケースでは、厚みおよび厚みに依存する機械的特性に関してここに示す数値は、排他的に、本ラッピングホイルのポリプロピレン含有層のそれを指し、接着剤層も接着剤層と連結させるに有利な他の層も考慮に入れない。そのような被膜は全領域を覆う必要はなく、また、部分的に覆う形態にすることも可能である。挙げることができる一例は、両端の各々に感圧接着剤片を有するラッピングホイルである。その片をおおよそ長方形のシートに切り取り、一方の接着片でそれをケーブル束に接着させた後、もう一方の接着片が本ラッピングホイルの裏面に接着し得るまで巻き付ける。この種類のホース様包み込みは、包装のスリーブ形態と同様に、その包み込みの結果としてケーブルハーネスの柔軟性が実質的に低下することはないと言った利点を有する。
【0100】
適切な接着剤には通常のあらゆる種類の接着剤が含まれ、特にゴムが基になった接着剤が含まれる。この種類のゴムは、例えばイソブチレン、1−ブテン、酢酸ビニル、エチレン、アクリル酸エステル、ブタジエンまたはイソプレンなどのホモ重合体または共重合体などであり得る。特に適切な処方は、重合体自身がアクリル酸エステル、酢酸ビニルまたはイソプレンが基になっている処方である。
【0101】
使用する自己接着剤の特性を最適にする目的で、それを1種以上の添加剤、例えば粘着付与剤(樹脂)、可塑剤、充填剤、難燃剤、顔料、紫外線吸収剤、光安定剤、老化抑制剤、光開始剤、架橋剤または架橋促進剤などと混合しておいてもよい。粘着付与剤は、ほんの少しではあるが挙げると、例えば炭化水素樹脂(例えば不飽和CもしくはC単量体が基になった重合体)、テルペン−フェノール樹脂、α−もしくはβ−ピネンなどの如き原料を用いて作られたポリテルペン樹脂など、芳香族樹脂、例えばクマロン−インデン樹脂など、またはスチレンまたはα−メチルスチレンが基になった樹脂、例えばロジンおよびこれの誘導体、不均化、二量化もしくはエステル化ロジン、例えばグリコール、グリセロールまたはペンタエリスリトールなどとの反応生成物など、およびまたさらなる樹脂[例えばUllmanns Enzylopadie der technischen Chemie、12巻、525−555頁(第4版)、Weinheimに挙げられている如き]である。容易に酸化される二重結合を持たない樹脂、例えばテルペン−フェノール樹脂、芳香族樹脂などが好適であり、特に水添で作られた樹脂、例えば水添芳香族樹脂、水添ポリシクロペンタジエン樹脂、水添ロジン誘導体または水添テルペン樹脂などが好適である。
【0102】
適切な充填剤および顔料の例には、カーボンブラック、二酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、ケイ酸塩またはシリカが含まれる。混合可能な適切な可塑剤は、例えば脂肪族、環状脂肪族および芳香族鉱油、フタル酸、トリメリット酸もしくはアジピン酸のジエステルもしくはポリエステル、液状ゴム(例えば低分子質量のニトリルゴムもしくはポリイソプレンゴム)、ブテンおよび/またはイソブテンの液状重合体、アクリル酸エステル、ポリビニルエーテル、粘着付与剤樹脂の原料が基になった液状樹脂および軟質樹脂、ラノリンおよび他の蝋、または液状シリコーンなどである。架橋剤の例には、イソシアネート、フェノール樹脂またはハロゲン化フェノール樹脂、メラミン樹脂およびホルムアルデヒド樹脂が含まれる。適切な架橋促進剤は、例えばマレイミド、アリルエステル、例えばシアヌル酸トリアリルなど、およびアクリル酸およびメタアクリル酸の多官能エステルなどである。老化抑制剤の例には、立体障害フェノール、例えば商標名Irga
nox(商標)などの下で公知のそれらが含まれる。
【0103】
架橋が有利である、と言うのは、それによってせん断強度(例えば保持力として表される)が向上することでロールの状態で貯蔵した時に変形[テレスコーピング(telescoping)または空洞部(またギャップとも呼ばれる)の形成]を起こす傾向が低下するからである。感圧接着剤の染みだしも同様に低下する。このことは、本ラッピングホイルをケーブルの回りに螺旋状に巻いた場合にロールの両端が粘着性を示さずかつ縁が粘着性を示さないことで明らかになる。保持力が好適には150分以上になるようにする。
【0104】
鋼との接着強度を1.5から3N/cmの範囲内にすべきである。
【0105】
要約として、好適な態様では、片面に無溶媒の自己接着剤を位置させ、それを共押出し加工、溶融被覆または分散被覆の結果として生じさせる。分散接着剤(dispersion adhesives)、特にポリアクリレートが基になった分散接着剤が好適である。
【0106】
本ラッピングホイルに付着させる接着剤の接着力を向上させ、それによって、本フィルムをロールから巻き戻している間に接着剤がそれの裏面に移行することがないようにする目的で、下塗り剤層を用いてこれをラッピングホイルと接着剤の間に位置させるのが有利である。
【0107】
使用可能な下塗り剤は分散液および溶媒が基になっている公知の系であり、例えばイソプレンまたはブタジエンゴムおよび/またはシクロゴムなどが基になっている系である。イソシアネートもしくはエポキシ樹脂添加剤を用いると、感圧接着剤の接着力が向上しかつある程度ではあるがまたせん断強度も向上する。物理的表面処理、例えば炎、コロナまたはプラズマ処理など、または共押出し加工層なども接着力を向上させるに同様に適する。特に、そのような方法を無溶媒接着剤層、特にアクリレートが基になった接着剤層に適用するのが好適である。
【0108】
裏面を公知の剥離剤(適宜他の重合体と混合)で被覆してもよい。その例はステアリル化合物(例えばポリビニルステアリルカルバメート、遷移金属、例えばCrまたはZrなどのステアリル化合物、およびポリエチレンイミンとイソシアン酸ステアリルから生じさせた尿素化合物)、ポリシロキサン(例えばポリウレタンとの共重合体としてか或はポリオレフィンにグラフト化させたグラフト共重合体として)および熱可塑性フルオロポリマーである。用語「ステアリル」は、同義語として、C数が少なくとも10のあらゆる直鎖もしくは分枝アルキルもしくはアルケニル、例えばオクタデシルなどを表す。
【0109】
通常の接着剤およびまた逆相(reverse−phase)の被膜および下塗り剤の記述が例えば「Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology」、D.Satas(第3版)に見られる。1つの態様では、共押出し加工を用いて、その記述した逆相の下塗り剤被膜および接着剤被膜を生じさせることができる。
【0110】
しかしながら、また、本フィルムの裏面の形態を用いて本ラッピングホイルの裏面と接着剤の接着力を高めることも可能である(例えば巻き戻し力を制御する目的)。極性接着剤、例えばアクリレート重合体などが基になった接着剤の場合には、ポリプロピレン重合体が基になったフィルムの裏面との接着力はしばしば充分ではない。巻き戻し力を向上させる目的で、裏面にコロナ処理、炎による前処理または極性のある原料を使用した被覆/共押出し加工を用いて極性のある表面を達成する態様を主張する。別法として、細長く切る前にログ製品(log product)に条件付けを受けさせておいた(熱条件下で
貯蔵しておいた)ラッピングホイルも主張する。また、両方の工程を組み合わせて用いることも可能である。
【0111】
本発明のラッピングホイルを300mm/分の巻き戻し速度で巻き戻した時の巻き戻し力が好適には1.2から6.0N/cm、非常に好適には1.6から4.0N/cm、特に1.8から2.5N/cmであるようにする。
【0112】
PVC製ワインディングテープの場合の条件付けは公知であるが、その理由は異なる。可塑化PVCフィルムは部分結晶性ポリプロピレン共重合体フィルムとは対照的に幅広い軟化範囲を示しかつ可塑剤が移行することが理由で接着剤が示すせん断強度がより低いことから、PVC製ワインディングテープはテレスコーピングを起こす傾向がある。細長く切る前の材料を比較的長時間貯蔵するか或はそれに条件付けを短時間受けさせる(熱条件下で限られた時間貯蔵する)ことで、ロールが不利な変形(中心部がロールから側面に押し出される)を起こさないようにすることができる。しかしながら、本発明の方法の場合の条件付けの目的は、極性のないポリプロピレン裏面と極性のある接着剤、例えばポリアクリレートまたはEVAなどを用いた時の材料の巻き戻し力を高めることにある、と言うのは、そのような接着剤がポリプロピレンの裏面に対して示す接着力はPVCのそれに比較して極めて低いからである。可塑化PVC製ワインディングテープを用いた時には条件付けまたは物理的表面処理で巻き戻し力を高める必要はない、と言うのは、通常用いられる接着剤は極性のあるPVC表面に対して充分に高い接着力を示すからである。ポリオレフィン製ラッピングホイルの場合には特に裏面接着力の重要さが顕著である、と言うのは、1%伸び時の力がより高い(難燃剤が存在することと通常の可塑剤が存在しないことが理由で)ことから使用時に巻き戻している時の伸長度を充分に高くする目的で裏面接着力および巻き戻し力をPVCフィルムのそれらに比べてずっと高くする必要があるからである。従って、本ラッピングホイルの好適な態様では、巻き戻し中の卓越した巻き戻し力および伸長度を達成する目的で条件付けまたは物理的表面処理を用いてそれの製造を行うことで、300mm/分で巻き戻した時の巻き戻し力をそのような手段を用いない時に比べて好適には少なくとも50%高くする。
【0113】
接着性被膜の場合には、ロールがテレスコーピングを起こす傾向を全く取得しないようにする目的で、本ラッピングホイルに被覆を受けさせる前に、それを好適にはそれに先立って少なくとも3日間、より好適には少なくとも7日間貯蔵することで後結晶化を達成する(恐らくは本フィルムが結晶化時に収縮するであろうことから)。均一にする(leveling)(ライ(lie)が平らである状態を改善する)目的で、好適には、本フィルムを被覆装置上の加熱されたロールの上に導くが、これはPVC製ラッピングホイルでは通常行われない。
【0114】
通常、ポリエチレンおよびポリプロピレンフィルムでは、それに手で切り込みを入れるのもそれを引き裂くのも不可能である。それらは部分結晶性材料として容易に引き伸ばされ、従って、それが示す破壊伸びは高く、一般に500%を充分に超え得る。
【0115】
そのようなフィルムを引き裂こうと試みる時に一般的に起こることは、裂けないで伸びてしまうことである。そのように典型的に高い裂き力に打ち勝つには必ずしも大きな力が必要であり得るとは限らない。裂けたとしても生じた裂け目の外観は良好でなく、接着で用いるのは不可能である、と言うのは、両末端に薄くて細い「尾」が形成されてしまうからである。添加剤を用いることでは、充填剤を多量に用いて破断伸びを低くしたとしても、そのような問題をなくすのは不可能である。ポリオレフィンフィルムに2軸引き伸ばしを受けさせると、破断伸びが50%を超える度合で低下し、引裂きにとって有利である。しかしながら、そのような方法を軟質のラッピングホイルに転用しようとする試みはうまくいかない、と言うのは、1%力値がかなり高くなりかつ力/伸び曲線の傾きがより急峻
になってしまったからである。その結果としてラッピングホイルの柔軟性および柔順性が劇的に悪化してしまう。その上、充填材含有量をそのように高くしたフィルムは産業的生産で裂ける回数が多いことが理由で実際に引き伸ばすのは不可能であることが分かる。
【0116】
驚くべきことに、ロールに変換を受けさせる時に細切り工程を用いることによる解決方法を見つけだした。ラッピングホイルのロールを生じさせている過程で、粗いスリットエッジ(slit edges)を生じさせるが、それを顕微鏡で見るとフィルムの中に亀裂が形成されており、その後、それが明らかに引き裂き伝播を助長する。これは、特に、回転する切れ味の悪いナイフを用いるか或は限定された鋸の刃を持たせた回転するナイフを用いてベール(bale)形態(ジャンボロール、長尺ロール)の製品を押し潰すように細く切ることを利用するか或は固定式刃または回転式ナイフを用いてログ形態(生産幅で通常の販売長のロール)の製品を分割細切り(parting slitting)することで可能である。そのような刃およびナイフを適切に研磨することで破断伸びを調整することができる。固定式丸刃を用いた分割細切りでログ製品を生産するのが好適である。細長く切る前のログロールを急速冷却することで、細長く切る作業を行っている間に生じる亀裂の形成を更に増加させることも可能である。好適な態様では、ラッピングホイルをそのように特殊に細長く切った時にそれが示す破断伸びは、それを鋭利な刃で細長く切った時のそれに比べて少なくとも30%低い。特に好適なホイルを鋭利な刃物で細切りした場合の破壊伸びは500%から800%であるが、細長く切る過程で両端に限定した損傷を受けさせた態様のホイルのそれは200%から500%の範囲である。
【0117】
巻き戻し力を高める目的で、ログ製品に前以て貯蔵を熱条件下で受けさせておいてもよい。布、ウエブまたはフィルム担体(例えばPVC)が備わっている通常のワインディングテープはせん断(2個の回転式ナイフの間)、分割(固定式もしくは回転式ナイフを当該製品の回転するログロールの中に押し込む)、刃(ウエブを鋭利な刃に通す過程でそれを分割)または圧壊(回転式ナイフとローラーの間)を用いて細長く切断される。
【0118】
細長く切る目的は、ジャンボまたはログロールから販売可能なロールを生産することにあり、手による引き裂きがより容易になるように粗いスリットエッジを生じさせる目的ではない。PVC製ラッピングホイルの場合の分割細切りは全く通常のことである、と言うのは、軟質フィルムの場合にはそのような工程が経済的であるからである。しかしながら、PVC材料の場合には手による引き裂き性を示す、と言うのは、ポリプロピレンとは異なり、PVCは非晶質であり、従って裂く時に伸びることはなく、伸びる度合はほんの僅かのみであるからである。PVCフィルムの場合には、それがあまりにも容易に裂けることがないようにする目的で、フィルム生産過程中にゲル化が適切に起こることに注意を払う必要があり、このことは、生産速度を最適にすることに反する。従って、多くの場合、K値が63から65の標準的なPVCではなく、分子量がより高い材料が用いられ、それはK値が70以上であることに相当する。従って、本発明のポリプロピレン製ラッピングホイルを用いる時に分割細切りを行う理由はPVCで作られたラッピングホイルの場合のそれとは異なる。
【0119】
本発明のラッピングホイルは、これを細長い材料、例えばエアコン装置における通気管、磁場コイルまたは車の中のケーブルルーム(looms)などに巻き付ける目的で用いるに卓越して適する、と言うのは、柔軟性が高いことでワイヤー、ケーブル、リベット、ビードおよび折り目などへの柔順性が良好であることが確保されるからである。
【0120】
ハロゲン含有原料を用いていないことから、今日の職業衛生学および環境要求に合致するはずであり、同じことがまた揮発性可塑剤にも当てはまる(フォギング値が90%より高くならないように量を少なくしたとしても)。そのようなワインディングテープを含有する廃棄物から熱を回収しようとする場合(例えば自動車の再利用に由来するプラスチッ
ク画分を焼却する場合)にはハロゲンが存在しないことが極めて重要である。本発明の製品は、原料のハロゲン含有量が極めて低いことでそれが難燃で役割を果たさない意味でハロゲンを含有しない。痕跡量のハロゲン、例えば不純物の結果としてか、工程用添加剤(フルオロエラストマー)としてか或は触媒(例えば重合体の重合で用いられる)の残渣として存在し得る如きハロゲンは無視する。そのようにハロゲンを排除すると付随して性質が易燃性になり、これは電気用途、例えば家庭電化製品または自動車などにおける安全要求には一致しない。通常のPVC代替材料、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミドまたはポリイミドなどをラッピングホイルで用いた時に柔軟性が欠乏しかつ難燃性が劣ると言った問題は、基礎を成す発明において、揮発性可塑剤およびハロゲン含有添加剤を用いないで、その代わりに、軟質のポリオレフィン(曲げ弾性率が低い)と粒径がμmの範囲の(不規則な)球形構造を有する水酸化マグネシウムの混合物を用いることで解決する。
【0121】
軟質のPVC製ラッピングホイルを他の材料に置き換えようとする今日までの試みが商業的に実施されることはなかった。達成される難燃性が充分ではないか或は通常の難燃剤、例えば沈澱で生じさせた水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウムなどを多量に用いると多大な工程問題がもたらされ、その上、材料が柔軟でなくなるか、或は充填材の量が少ない場合には難燃性が低くなってしまう。さらなる要因は、配向していないポリオレフィン製ホイルは手で引き裂くことができない点にある。従って、ポリオレフィンと粒径が数μmの(不規則な)球形構造を有する粉砕水酸化マグネシウムの混合物を用いると加工を問題なく行うことができることで水酸化マグネシウムの量を実際に通常の非常に微細な血小板形状の沈澱合成水酸化マグネシウムに比べて多くすることができるばかりでなく、結果として、加うるに、難燃性を本分野の技術者が今まで想像していたと思われる度合よりも更に向上させることができることは特に驚くべきことである。
【0122】
本発明に従って用いる水酸化マグネシウムの平均粒径d50を少なくとも2μm、好適には少なくとも4μmにし(そのようにしないと切り込みを入れるのが困難になる)かつd97値を25μm以下にする(そのようにしないとあまりにも脆くなってしまう)と追加的に最適な手による引き裂き性がもたらされる。本発明の水酸化マグネシウムを用いると、本充填剤を含有させていないホイルと比較してもまた通常の充填材を充填したホイルと比較しても破断伸びが低下する。試験片を検査した時、本ホイルを実際の使用に一致した様式で巻く操作を行った後に迅速に裂けることで可塑化PVCの場合と同様な奇麗な裂け縁が生じるが、本充填材を充填していないホイルまたは充填材の充填が悪いポリオレフィン製ホイルは先が細長い末端(tapered−in ends)を形成するのみである。驚くべきことに、球形の炭酸カルシウムが示す挙動は本発明の充填材が示す挙動に比べてずっと劣っている、言い換えれば、球形の水酸化マグネシウムがそのような特別な特性を持つ証拠はなかった。ラッピングホイルでは柔軟性が非常に重要である、と言うのは、それをワイヤーおよびケーブルに取り付けるには螺旋形に巻く必要があるばかりでなくまた分岐点、プラグまたは固定用クリップの所に湾曲した柔軟なしわの無い巻きを生じさせる必要もあるからである。その上、本ラッピングホイルをケーブルストランドと一緒に弾性的に引き伸ばすことができるのも望ましい。このような挙動はまた通気管を密封する時にも必要である。そのような機械的特性を達成することができるのは柔らかで柔軟性のあるワインディングテープを用いた時のみである。本発明に従い、適切な難燃剤および適切なポリオレフィンを選択することで柔軟性および高い充填材含有量(防火性能に必須な制御変数として)の意味の要求を達成する目的を達成した。ポリオレフィン製ワインディングテープを開発しようとする目的はPVCの場合よりも過度に困難である、と言うのは、PVCの場合には難燃剤が必要でないか或は難燃剤が必要であるとしても低濃度のみでありかつ柔軟性の設定は本質的に可塑剤を用いることによる公知様式で実施可能であるからである。軟質PVC製フィルムはポリオレフィンと対照的に原則として手で引き裂き可能である、と言うのは、それは非晶質でありかつある程度ではあるが結晶性ではないから
である。
試験方法
測定を23±1℃で相対湿度が50±5%の試験条件下で実施する。
【0123】
重合体の密度をISO 1183に従って測定しそして曲げ弾性率をISO 178に従って測定して、それぞれg/cmおよびMPaで表す。ASTM D790に従う曲げ弾性率は異なる試験片寸法が基になってはいるが、その結果は数値として匹敵する。メルトインデックスをISO 1133に従って試験して、g/10分で表す。試験条件は市場標準と同様に結晶性ポリプロピレン含有重合体の場合には230℃で2.16kgでありそして結晶性ポリエチレン含有重合体の場合には190℃で2.16kgである。結晶子の融点(Tcr)をMTM 15902(Basell方法)またはISO 3146に従ってDSCで測定する。
【0124】
充填材の平均粒径をCilas方法によるレーザー光散乱で測定したが、それの重要な数値はd50中央値である。
【0125】
充填材の比表面積(BET)をDIN 66131/66132に従って測定する。
【0126】
充填材に含まれる水酸化マグネシウムおよび炭酸カルシウムの含有量を固着固体(ICP−AES)の中の水酸化マグネシウムおよび酸化カルシウムの含有量から決定する。
【0127】
ラッピングホイルの引張り伸び挙動をDIN EN ISO 527−3/2/300に従ってタイプ2の試験片(長さが150mmで幅が可能な限り15mmの長方形試験片)を用いて試験速度を300mm/分、クランプ留め長さ(clamped length)を100mmにしそしてプレテンション力(pretensioning force)を0.3N/cmにして測定する。スリットエッジが粗い試験片の場合には、引張り試験を行う前に鋭利な刃を用いてエッジを奇麗にすべきである。1%伸び時の力または張力を測定する時に前記から逸脱する場合、モデルZ 010の引張り試験機(製造業者:Zwick)を用い、試験速度を10mm/分にしかつプレテンション力を0.5N/cmにして測定を実施する。1%値は評価プログラムの影響をいくらか受ける可能性があることから、前記試験機を指定する。特に明記しない限り、流れ方向(MD)の引張り伸び挙動を試験する。その力をN/片幅で表しそして張力をN/片断面で表し、破断伸びを%で表す。この試験の結果、特に破断伸び(破断時伸び)の結果に関しては、測定を充分な数で行うことでそれを統計学的に確かめる必要がある。
【0128】
接着強度の測定では、幅が15mm(出来る限り)の試験片を用い、AFERA 4001に従い、180゜の引きはがし角度で測定を行う。AFERA標準鋼板を試験基質として用いる(特に他の基質の指定が全くない場合)。
【0129】
ラッピングホイルの厚みをDIN 53370に従って測定する。如何なる感圧接着剤層も測定全厚から差し引く。
【0130】
保持力の測定では、PSTC 107(10/2001)に従い、荷重を20Nにし、接着領域の寸法を高さが20mmで幅が13mmの寸法にして測定を行う。
【0131】
巻き戻し力をDIN EN 1944に従って300mm/分で測定する。
【0132】
手による引き裂き性を数値で表すのは不可能であるが、破壊力、破断伸びおよび張力下の衝撃強度(全ての測定を流れ方向で行う)が実質的な影響を与える。
評価:
+++=非常に容易
++ =良好
+ =どうにか処理可能
− =処理が困難
−− =強い力をかけることのみで引き裂き可能であるが、末端部が乱雑である
−−−=処理不能
防火性能の測定では、MVSS 302に従い、サンプルを水平に位置させて測定を行う。片面に感圧接着剤被膜が存在する場合には、その面を上向きにする。さらなる方法として、酸素指数(LOI)の試験を実施する。この目的で試験をJIS K 7201の条件下で行う。
【0133】
熱安定性をISO/DIN 6722が基になった方法で測定する。オーブンをASTM D 2436−1985に従って空気を1時間当たり175回交換することで操作する。試験時間を3000時間にする。選択した試験温度は85℃(クラスA)、105℃(クラスBと同様であるが、100℃ではない)および125℃(クラスC)である。促進老化を136℃で実施し、20日間の老化後でも破断時伸びが少なくとも100%の時には試験に合格である。
【0134】
適合性試験の場合には、自動車用のポリオレフィン製絶縁体(ポリプロピレンまたは放射線で架橋させたポリエチレン)が備わっている商業的に通常のリード線(ケーブル)を用いて熱条件下の貯蔵を実施する。この目的で、断面積が3から6mmで長さが350mmのリード線を5本用いて、それをラッピングホイルで重なりが50%になるように巻くことで試験片を生じさせる。この試験片を強制空気オーブンに3000時間(熱安定性試験と同様な条件)入れることで老化させた後、そのサンプルを23℃で条件付けし、そしてISO/DIN 6722に従い、手でマンドレルの回りに巻き付ける。その巻き付けるマンドレルの直径は5mmであり、重りの質量は5kgであり、そして巻き付ける速度は1秒当たり1回転である。その後、そのラッピングホイルの中の欠陥部および前記ラッピングホイルの下に位置するワイヤー絶縁体の中の欠陥部に関して試験片を検査する。ワイヤー絶縁体の中に亀裂が見られる、特に巻き付けるマンドレル上で曲げる前でさえ亀裂が見られる場合には、試験に不合格である。ラッピングホイルに亀裂が生じたか或はオーブンの中で溶融した場合も同様に試験に不合格であると等級付けする。125℃の試験の場合、ある場合には、また、その試験片に試験をいろいろな時点でも受けさせた。試験時間は個々のケースで特に明記しない限り3000時間である。
【0135】
短時間の熱安定性の測定では、ISO 6722に記述されているように、断面積が0.5mmのTW型ワイヤーを19本含有するケーブル束を用いて測定を行う。この目的で、ラッピングホイルを前記ケーブル束に重なりが50%になるように巻いた後、そのケーブル束を直径が80mmのマンドレルの回りで曲げそして140℃の強制空気オーブンに入れて貯蔵する。168時間後に試験片をオーブンから取り出して、損傷(亀裂)に関して試験する。
【0136】
耐熱性の測定では、ラッピングホイルを170℃で30分間貯蔵し、30分かけて室温になるまで冷却した後、直径が10mmのマンドレルの回りに重なりが50%になるように少なくとも3巻き巻きつける。その後、その試験片を損傷(亀裂)に関して検査する。
【0137】
低温試験の場合、前記試験片をISO/DIN 6722が基になった方法で−40℃に4時間冷却した後、そのサンプルを手で直径が5mmのマンドレルに巻き付ける。その試験片を目で接着テープの中の欠陥部(亀裂)に関して検査する。
【0138】
破壊電圧をASTM D 1000に従って測定する。採用する数値は、当該試験片が
当該電圧に1分間耐える最大値である。この数値を100μmのサンプル厚に変換する。例:
厚みが200μmのサンプルが6kVの最大電圧に1分間耐えるとすると、計算破壊電圧は3kV/100μmになる。
【0139】
フォギング値をDIN 75201 Aに従って測定する。
【0140】
以下に示す実施例は本発明の範囲を限定することなく本発明を説明することを意図するものである。
内容:
・ 実験で用いる原料の表作成
・ 本実施例の説明
・ 本実施例の結果の表作成
・ 比較実施例の説明
・ 比較実施例の結果の表作成
実験で用いる原料の表作成(ある場合には測定条件および装置を省く;試験方法を参照)
【0141】
【表1】

【0142】
【表2】

【0143】
【表3】

【0144】
【表4】

【0145】
【表5】

【0146】
【表6】

【0147】
【表7】

【実施例1】
【0148】
担体フィルムを製造する目的で、最初に、同方向回転2軸押出し加工機を用いて、100phrの重合体A、10phrのVinnapas B 10、150phrのApymag 80、10phrのFlammruβ 101、0.5phrのIrganox
MD 1024、0.8phrのIrganox 1010、0.8phrのIrganox PS 802および0.3phrのIrgafos 168をコンパウンドにする。ゾーン1、3および5の各々にMagnifinを1/3づつ加える。
【0149】
そのコンパウンドの溶融物を押出し加工機のダイスから取り出してロールミルに送り、そこからストレーナーに通した後、コンベアベルトで「逆L字」形のカレンダーのロール間隙に送る。このカレンダーロールを用いて幅が1500mmで厚みが0.08mm(80μm)で表面が滑らかなフィルムを80m/分の速度で生じさせた後、熱固着用ロール上で後結晶化させる。そのフィルムを1週間貯蔵し、ライが平らである状態を改善する目的で、60℃のロールが備わっている被覆装置上に水平に置き、それにコロナ処理を受けさせた後、コーティングナイフを用いて水性アクリレートPSAであるPrimal PS 83 Dによる被覆を塗布率が24g/mになるように受けさせる。その接着剤層を70℃の乾燥用トンネル内で乾燥させ、その完成させたラッピングホイルを1インチ(25mm)のコアに巻くことで直線長が33mのログロールを生じさせた。あまり鋭角ではない固定式刃(真っすぐなナイフ)を用いて前記ログロールを分割して幅が29mmのロールにすることで細切りを実施する。次に示す実施例の場合のように、本発明の説明の中に挙げた理由で、分割細切りでは自動装置も同様に用いる。
【0150】
この自己接着性ラッピングホイルは充填材分率が高いにも拘らず良好な柔軟性を示す。その上、酸素含有重合体を添加していなくても非常に良好な防火特性を達成する。老化安定性そしてPPおよびPAケーブルおよびポリアミド溝付き管との適合性は卓越している。
【実施例2】
【0151】
下記の変更を伴わせて調製を実施例1に示した如く実施する:
コンパウンドを100phrの重合体A、120phrの水滑石15μ、15phrのFlammruβ 101、0.8phrのIrganox 1010、0.1phrのIrganox PS 802、0.1phrのSumilizer TPN、0.1phrのSumilizer TPL−R、0.1phrのSumilizer TP−D、0.3phrのIrgafos 168および1phrのIrganox MD 1024で構成させる。ゾーン1および5の各々に水滑石を1/2づつ加える。
【0152】
前記コンパウンドから生じさせた担体フィルムの片面に炎処理を受けさせ、10日間の貯蔵後、ロールアプリケーターを用いてAcronal DS 3458による被覆を50m/分で受けさせる。冷却した反対圧力ローラーを用いて前記担体にかかる温度負荷を低くする。塗布率は約35g/mである。巻き付けを行う前に、各々が120W/cmの中圧Hgランプが6個備わっている紫外線装置を用いた照射で適切な架橋をインラインで達成する。その照射を受けさせたウエブを1 1/4インチ(31mm)のコアに巻き付けることで直線長が33mのログロールを生じさせる。巻き戻し力を高める目的で、そのログロールを60℃のオーブンに5時間入れることで条件付けする。固定式刃(真っすぐなナイフ)を用いて前記ログロールを分割して幅が25mmのロールを生じさせることで、細切りを実施する。
【0153】
このフィルムを23℃で3カ月間貯蔵したが、それから老化抑制剤が染み出すことは全くなかった。比較として、実施例1で得たフィルムは軽い膜を有し、それを分析した結果、その膜はIrganox PS 802を含有することが分かった。
【0154】
このラッピングホイルは実施例1で得たラッピングホイルよりも柔軟性がずっと高いことを特徴とする。炎伝播速度(fire spread speed)はそのような用途にとって充分過ぎるほどである。このホイルの表面は若干つや消しである。取り付けに関して、2本の指を中心部の中に入れることができ、そのことから、取り付けは実施例1に比べて容易である。
【実施例3】
【0155】
下記の変更を伴わせて調製を実施例1に示した如く実施する:コンパウンドを80phrの重合体A、20phrのEvaflex A 702、120phrのSecuroc B 10、0.2phrの炭酸カルシウム、10phrのFlammruβ 101、0.8phrのIrganox 1010、0.8phrのIrganox PS 802および0.3phrのIrgafos 168で構成させる。
【0156】
そのフィルムにコロナによる処理をカレンダー巻き付けステーションの上流で受けさせた後、その面に接着剤であるRikidyne BDF 505を23g/mの塗布率で塗布する(Desmodur Z 4470 MPA/Xを固体含有量を基準にして計算して接着剤100重量部当たり1重量%添加した)。その接着剤を加熱用トンネル内で乾燥させたが、その間に化学的架橋が起こり、そしてその乾燥器の終点の所でそれを巻き上げてジャンボロールにし、1週間後、それの未被覆面に穏やかなコロナ処理を受けさせ、そして巻き戻す段階で直線長が25mのログロールを生じさせた。そのログロールを1
00℃のオーブンに入れて1時間貯蔵する。そのログロールを若干切れ味の悪い回転式刃(丸刃)で分割して幅が15mmのロールを生じさせることで、それの細切りを実施する。
【0157】
このラッピングホイルは特性の均衡が取れていることを特徴とし、それの表面は若干つや消しである。保持力は2000分間以上である(その時点で測定を止めた)。破断伸びはサンプルを刃で細切りした場合よりも36%低い。巻き戻し力はサンプルに条件付けを受けさせなかった場合よりも25%高い。
【実施例4】
【0158】
下記の変更を伴わせて調製を実施例1に示した如く実施する:コンパウンドを100phrの重合体A、120phrのMaglux MK、10phrのFlammruβ 101、2phrのIrganox 1010、1.0phrのIrganox PS 802および0.4phrのIrgafos 168で構成させる。
【0159】
そのフィルムを1週間貯蔵した後、片面に炎による前処理を受けさせ、そしてAirflex EAF 60による被覆を30g/mの塗布率(乾燥塗布率)で受けさせる。そのウエブを最初にIRランプで乾燥させた後、100℃のトンネル内で完全に乾燥させる。その後、そのテープを巻き上げてジャンボロール(大型ロール)にする。さらなる加工では、そのジャンボロールを巻き戻し、巻き戻し力を高める目的で、そのラッピングホイルの未被覆面に弱いコロナ処理を細切り機械内で受けさせた後、切れ味の悪い破壊切断(blunt crush cutting)で加工することで、1.5インチ(内径が37mm)のコア上に長さが33mで幅が19mmのロールを生じさせる。破断伸びはサンプルを刃で細切りした場合よりも48%低い。巻き戻し力はサンプルにコロナ処理を受けさせなかった場合よりも60%高い。取り付けに関して、2本の指を中心部の中に入れることができ、そのことから、巻き付けは実施例1に比べて容易である。
【実施例5】
【0160】
水中顆粒を伴うピン押出し加工機(Buss)を用いてカーボンブラックが入っていないコンパウンドを製造する。このコンパウンドを乾燥させた後、コンクリートミキサーを用いて、それをカーボンブラックマスターバッチと混合する。
【0161】
下記の配合を用いて、担体フィルムをブローンフィルム押出し加工ラインで製造する:重合体Bを100phr、水滑石15μを100phr、Flammruβ 101含有量が50%でポリエチレン含有量が50%のマスターバッチを20phr、Irganox 1076を0.8phr、Irganox PS 800を0.8phr、Ultranox 626を0.2phrおよびNaugard XL−1を0.6phr。
【0162】
フィルムバブルを細切りして三角形に開くことで平らなウエブを生じさせ、それを熱硬化ステーションに導き、片面にコロナ処理を受けさせた後、後結晶化を起こさせる目的で1週間貯蔵する。均一化(ライが平らである状態を改善)の目的で、前記フィルムを被覆ライン上の5本の予熱用ロール上に導き、感圧接着剤を用いる以外は実施例1と同じ方法で被覆を実施した後、そのログロールに条件付けを65℃で5時間受けさせ、そして細切りを実施例1と同様に実施する。
【0163】
そのフィルムは、熱硬化を受けさせないと、乾燥操作中に顕著な収縮を示す(幅方向に5%、長さ方向は測定しなかった)。その新しく生じさせたフィルムのライが平らである状態は良好であり、それに被覆を押出し加工直後に受けさせたが、不幸なことに、そのロールを23℃で3週間貯蔵すると、それは既に顕著なテレスコーピングを起こした。また、そのログロールに条件付け(70℃で10時間)を受けさせても、そのような問題をな
くすことはできない。
【0164】
その後、そのフィルムに被覆を受けさせる前にそれを1週間貯蔵し、その時点でロールが示したテレスコーピングはほんの僅かであったが、被覆過程中にライが平らである状態は非常に劣りかつ接着剤の塗布が非常に不規則であったことから、予熱用ロールをラインに取り付けた。
【0165】
このフィルムは耐熱性が良好であることを特徴とする、即ちそれを170℃で更に30分間貯蔵した時に溶融することも脆くなることもない。
【実施例6】
【0166】
下記の変更を伴わせて製造を実施例1に示した如く実施する:フィルムに下記を含有させる:重合体Cを80phr、Escorene UL 00119を20phr、Hydrofy GS−5を130phr、Flammruβ 101を15phr、Irganox 1010を0.8phr、Irganox PS 802を0.8phr、Irgafos 168を0.3phrおよびKeromet MD 100を1phr。
【0167】
この担体フィルムの片面にコロナ処理を受けさせた後、それを1週間貯蔵する。その前処理を受けさせておいた面を天然ゴムとシクロゴムと4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン(溶媒:トルエン)を含有する接着促進剤層で0.6g/m被覆した後、乾燥させる。コンマバー(comma bar)を用いて前記接着剤の被膜に接着促進剤層を18g/mの塗布率(固体を基準)で直接塗布する。前記接着剤は天然ゴム接着剤をn−ヘキサンに固体含有量が30重量パーセントになるように入れることで生じさせた溶液で構成されている。その固体は50部の天然ゴム、10部の酸化亜鉛、3部のロジン、6部のアルキルフェノール樹脂、17部のテルペン−フェノール樹脂、12部のポリ−β−ピネン樹脂、1部のIrganox 1076抗酸化剤および2部の鉱油で構成されている。その結果として生じた被膜を100℃の乾燥用トンネル内で乾燥させる。それの直ぐ下流で鋭利な刃を有するナイフバーが19mmの距離の所に位置することを特徴とする複合自動細切り装置で前記フィルムを細切りすることで標準的な接着テープ用コア(3インチ)上にロールを生じさせる。
【0168】
このラッピングホイルは充填材の分率が高いにも拘らず柔軟性が非常に高いことを特徴とするが、このことは1%伸び時の力値が低いことで明らかである。このラッピングホイルが示す機械的特性は可塑化PVC製ワインディングテープのそれに類似していたが、難燃性および熱安定性の点では優れている。保持力は1500分でありそして30m/分(300mm/分ではなく)の時の巻き戻し力は5.0N/cmである。フォギング値は62%である(恐らくは鉱油が接着剤に入っていた結果として)。前記ロールはロール直径が大きいことからワインディングボード(winding board)とケーブルハーネスの間を通して引き抜くことができるとしても、斜め方向であり、その結果として、巻いた物にしわが生じる可能性がある。
【実施例7】
【0169】
押出し加工機と水中顆粒装置が備わっているコンパウンダーを用いてフィルムの個々の層用のコンパウンドをカーボンブラック無しに製造する。均一になるまでの混合時間は2分間である一方、顆粒用押出し加工機の中に排出させるまでの全混練り時間は4分間である。層2および3用のコンパウンドの場合には、充填材の半分を開始時に添加しそしてもう一方の半分を1分後に添加する。そのコンパウンドの顆粒を乾燥させた後、コンクリートミキサーを用いてカーボンブラックマスターバッチと混合し、その混合物をキャスティング方法に従う3層共押出し加工ラインに供給する(ダイス幅1400mm、ダイスヘッド溶融物温度190℃、冷却用ロール温度30℃、速度30m/分)。
【0170】
前記担体フィルムの配合の構成は下記の通りである:
層1:
15μm:Evaflex P 1905を100phr、Martinit T3を40phr、Flammruβ 101含有量が50%でポリエチレン含有量が50%のマスターバッチを20phr、Irganox 1076を0.4phr、Irgafos
168を0.2phrおよびADK STAB CDA−1を1phr。
層2:
40μm:重合体Bを100phr、Martinit T3を120phr、Flammruβ 101含有量が50%でポリエチレン含有量が50%のマスターバッチを20phr、Irganox 1076を0.8phr、Irganox PS 800を0.8phr、Irgafos 168を0.2phrおよびADK STAB CDA−1を1phr。
層3:
40μm:層2と同様
層4:
15μm:Escorene UL 02133を100phr、Irganox 1076を0.4phrおよびIrgafos 168を0.2phr
層5:
20μm:Levapren 450
ブローンフィルムに問題が生じたことから、そのフィルムに熱硬化を受けさせる。そのフィルムを23℃で1週間貯蔵した後、それに被覆を実施例1と同様にして受けさせたが、この場合にはレベリングロール(leveling rolls)を用いる。そのようにして得たラッピングホイルを巻くことで直線長が20mのログロールを生じさせた後、それに条件付けを40℃で1週間受けさせる。固定式刃(真っすぐなナイフ)を用いて前記ログロールを分割することで細切りを実施する。
【0171】
予備実験では2分間の混合時間を選択し、そのフィルムは均一(充填材の斑点無し)であったが、破壊電圧は3kV/100μmのみである。従って、劣化の危険性はあるが、混合時間を長くする(ホスファイト系安定剤を用いたことから、時間をより長くしても、結果として起こる劣化の尺度としてのメルトインデックスが大きくなる度合は僅かのみである)。この材料が鋼に対して示す接着強度はゼロでありかつ裏面との接着力も劣る。その接着力は巻きが互いに移行することがないことを確保するには充分であったが、巻く作業が終了した時点で感圧接着性ラッピングホイルを用いた最終的固定を実施する必要がある。
【0172】
そのラッピングホイルに条件付けを受けさせると、結果として、その巻き戻し力はそれを若干の張力下で付着させることができるような度合にまで上昇する。この態様は無溶媒でありかつ被覆を必要としないことから調製が容易である。
【0173】
着色層1には難燃剤をほとんど含有させておらず、その結果として、そのラッピングホイルは高い伸び下で応力による白化を実質的に全く示さない。フォギング値は97%である。取り付けに関して、2本の指を中心部の中に入れることができ、そのことから、巻き付けは実施例1に比べて容易であり、実施例6に記述した問題も起こらない。
【0174】
このフィルムは、本発明の他の実施例およびポリオレフィンおよび水酸化マグネシウムが基になった比較実施例に比べて、20%以上伸ばした時に応力による白化が起こると言った証拠が全くないことを特徴とするが、これは、最外層に入れた充填材分率が僅かのみでありかつまたそれと極性のある重合体の結合が有効であることによるものである。それにも拘らず、防火性能は極性のある重合体を存在させた結果として優れており、かつポリ
プロピレンを含有させた層がフィルムの融解を防止している。
【0175】
【表8】

【0176】
【表9】

【0177】
比較実施例1
Singapore Plastic Products Pteから名称F2104Sの下で得た絶縁テープ用の通常のフィルムを用いて被覆を実施する。この製造業者によれば、前記フィルムは下記を含有する:K値が63から65の懸濁PVCを約100phr(樹脂100部当たりの部数)、DOP(フタル酸ジ−2−エチルヘキシル)を43phr、三塩基性硫酸鉛(TLB、安定剤)を5phr、粉砕チョーク(脂肪酸被膜を有するBukit Batu Murah Malyasia)を25phr、ファーネスブラックを1phr、およびステアリン酸(滑剤)を0.3phr。公称厚みは100μmでありそして表面は滑らかであるが艶消しである。
【0178】
片面にFour Pillars Enterprise(台湾)の下塗り剤Y01(分析によりアクリレート修飾SBRゴムがトルエンに入っている)を塗布した後、その上にFour Pillars Enterprise(台湾)の接着剤IV9(分析で測定可能な主成分:SBRおよび天然ゴム、テルペン樹脂およびアルキルフェノール樹脂がトルエンに入っている)を23g/m塗布する。乾燥器の直ぐ下流で鋭利な刃を有するナイフバーが25mmの距離の所に位置する複合自動スリッターを用いてフィルムを細切りしてロールにする。
【0179】
105℃で3000時間後の破断時伸びは測定不能である、と言うのは、可塑剤が蒸発した結果として試験片が小さい片に崩壊したからである。85℃で3000時間の破断伸びは150%である。
比較実施例2
EP 1 097 976 A1の実施例4を再加工する。
【0180】
コンパウンダーを用いて下記の原料をコンパウンドにし:Cataloy KS−021 Pを80phr、Evaflex P 1905を20phr、Magshizu N−3を100phr、Norvaexcel F−5を8phrおよびSeast 3Hを2phr、そしてそのコンパウンドを顆粒にしたが、混合時間を2分間にする。
【0181】
予備実験で、混合時間を4分間にするとコンパウンドのメルトインデックスが30%高くなることが分かった(これは、ホスファイト系安定剤が存在していないことが理由か或はポリプロピレン重合体が示すメルトインデックスが極めて低いことが理由で機械的劣化がより大きかったことによる可能性がある)。充填材を前以て乾燥させておきそして混練り用コンパウンダーの上部に排気装置を存在させたが、混練り中に痛烈なホスフィン臭がライン上にもたらされる。
【0182】
その後、実施例7に記述した如き押出し加工(3基の押出し加工機全部に同じコンパウンドを供給)でスロットダイスを用いかつ冷却用ロールの厚みを0.20mmにし、押出し加工機の回転速度をフィルムの速度が2m/分に到達するまで遅くして、担体フィルムの製造を行う。
【0183】
予備実験で、実施例7の場合と同様な30m/分の速度を達成するのは不可能であり、これは、圧力が過度(粘度が過度)なことが理由でラインが止まったことが理由である。さらなる予備実験で、フィルムの製造を10m/分で行い、流れ方向および横方向の物理的データは縦方向に強力に配向していることを示しており、このことは、被覆過程中に流れ方向の収縮率が20%であったことで立証される。従って、速度を更に遅くして実験を繰り返し、そのようにすると技術的な欠陥はなくなった(斑点が存在しないことを包含)が、そのようなフィルムは経済的に受け入れられるものでない。
【0184】
接着剤(この接着剤の組成は再加工する特許実施例の元々の接着剤の組成と同様である)を30g/mの塗布率で塗布する以外は実施例3と同じ様式で被覆を実施する。乾燥器の直ぐ下流で鋭利な刃を有するナイフバーを用いてフィルムを幅が25mmの片に分割しそして同じ操作で巻くことでロールにする。
【0185】
その自己接着性ワインディングテープは柔軟性が不足していることで注目される。実施例5または6と比較して、比較実施例2の剛性はそれぞれ4030%または19000%高い。
【0186】
公知のように、剛性は厚みと1%伸び時の力から容易に計算可能である(曲げ弾性率に比例)。それには赤燐が入っておりかつ厚みが比較的厚いことから、その試験片は非常に良好な防火性能を示す(注:LOI値の測定では接着剤を有する厚みが0.2mmのサンプルを用いる一方、その引用した特許に示されている30%のLOIは接着剤を伴わない厚みが3mmの試験片を用いて得られたそれであった)。
比例実施例3
WO 97/05206 A1の実施例Aを再加工する。
【0187】
そのコンパウンドの製造は記述されていない。従って、長さが50cmでL/D比が1:10の実験室用2軸押出し加工機を用いて下記の成分を混合する:9.59 phrのEvatane 2805、8.3 phrのAttane SL 4100、82.28 phrのEvatane 1005 VN4、74.3 phrのMartinal
99200−08、1.27 phrのIrganox 1010、0.71 phrのAMEO T、3.75phrのブラックマスターバッチ(MFI=50のポリエチレンを60重量%とFurnace Seast 3 Hを40重量%用いて調製)、0.6 phrのステアリン酸および0.60 phrのLuwax AL 3。
【0188】
前記コンパウンドを顆粒状にし、乾燥させた後、実験室のラインを用いてブロー加工することでフィルムバブルを生じさせ、それの両側を細く切る。実施例1に示されているようにして、そのフィルムをコロナで前処理した後に接着剤で覆う試みを行ったが、しかしながら、そのフィルムは横方向および流れ方向に過度の収縮を示し、かつ巻き戻し力が過度なことから4週間後にはロールの巻き戻しをほとんど全く行うことができなくなる。
【0189】
従って、その後、実施例6に示されているようにして、非極性ゴム接着剤を用いた被覆を行う実験を行ったが、そのフィルムは溶媒に敏感なことから、その試みは失敗である。この示した公開には接着剤による被覆は記述されていないが、接着特性が目的であることが記述されていることから、そのフィルムを対になった2個の回転式ナイフの各々の組の間でせん断をかけながら細長く切ることで幅が25mmの片を生じさせて、それを巻く。
【0190】
そのような自己接着性ワインディングテープは良好な柔軟性と難燃性を示すことを特徴とする。しかしながら、手による引き裂き性は充分でない。しかしながら、耐熱変形性が低いことから老化試験を実施した時に接着テープが溶融することが特に欠点である。その上、そのワインディングテープは結果として脆くなり、その結果として、ケーブル絶縁体の寿命をかなり短くしてしまう。そのように収縮する傾向が高いことは前記コンパウンドが示すメルトインデックスが充分でないことによる。その原料が示すメルトインデックスをより高くしたとしても、収縮率が結果としてずっと低くなるにも拘らず問題は同様である、と言うのは、この示した公開では、そのフィルムの軟化点が低いにも拘らず熱硬化が全く考えられていないからである。その製品が示す巻き戻し力は充分でないことから、それをワイヤーの束に付着させるのはほとんど不可能である。フォギング値は73%である(恐らくはパラフィンワックスが原因)。
比較実施例4
EP 0 953 599 A1の実施例1を再加工する。
【0191】
記述されているようにして、下記のコンパウンド配合物を実験室の単軸押出し加工機で混合する:85 phrのLupolex 18 E FA、6 phrのEscorene UL 00112、9 phrのTuftec M−1943、63 phrのMagnifin H 5、1.5 phrのステアリン酸マグネシウム、11 phrのNovaexcel F 5、4 phrのCarbon Black TEF、0.2
phrのIrganox 1010および0.2 phrのTinuvin 622 LD。ホスフィンの顕著な放出が生じたことはそれの臭気から明らかである。
【0192】
フィルムの製造を比較実施例3と同様に実施する。
【0193】
しかしながら、そのフィルムは充填剤の小粒を数多く有しかつ小さな穴も存在しており、そして実験中に気泡が数回裂ける。破壊電圧は0から3kV/100μに及んで幅広く多様である。従って、更に均一にする目的で、その顆粒物を再び押出し加工機で溶融させた後、顆粒状にする。その時点で得たコンパウンドが有する小粒の数は少量のみである。被覆および細長切りを実施例1と同様に行う。
【0194】
その自己接着性ワインディングテープは、赤燐が用いられていることから、難燃性が非常に良好であることを特徴とする。その製品は巻き戻し力を全く示さないことから、それをワイヤー束に付着させるのは実質的に不可能である。融点が低いことが理由で熱安定性は充分でない。
比較実施例5
ノズルコーティングを用いてAcronal DS 3458型の紫外線架橋性アクリレート系ホットメルト接着剤をMaliwattステッチボンドニットフィラメントウエブタイプの織物担体(80g/m、22デニール、黒色、厚み約0.3mm)に50m/分で塗布する。冷逆圧ロールを用いて前記担体にかかっている温度負荷を低下させる。塗布率を約65g/mにする。巻き付け工程の上流で各々が120W/cmの中圧Hgランプが6個備わっている紫外線装置を用いた照射によって適切な架橋をインラインで達成する。標準的な3インチの中心部を用いて、せん断で細長く切る(若干片寄った状態で対になった1組の回転式刃の間で)ことでロールを生じさせることで、ベールをロールに変換する。
【0195】
そのようなワインディングテープは良好な接着特性を有しかつまたいろいろなケーブル絶縁材料(PVC、PE、PP)および溝付き管に対して非常に良好な適合性を示すことを特徴とする。しかしながら、性能の観点から、非常に厚くかつ手で引き裂くことができないことが顕著な欠点である。
比較実施例6
米国特許第5,498,476 A1号の実施例1を再加工する。
【0196】
ブラベンダープラストグラフ(Branbender plastograph)を用いて下記の混合物を調製する(混合時間5分間):Elvax 470を80phr、Epsyn 7506を20phr、EDAPを50phr、A 0750を0.15phrおよびIrganox 1010を0.15phr。
【0197】
このコンパウンドを2枚のシリコン被覆ポリエステルフィルムの間に置いて加熱プレスで圧縮することで厚みが0.2mmの試験片を生じさせ、それを切断して幅が25mmで長さが25cmの片にした後、中心部に巻くことで小さいロールを生じさせた。前記明細書に従い、接着剤による被覆を実施しない。
【0198】
そのようなラッピングホイルは受け入れられる柔軟性も耐溶融性も示さない。そのような製品は巻き戻し力がゼロであることから、それをワイヤー束に付着させるのは実質的に不可能である。それを手で裂くのは困難である。破壊電圧は比較的高かったが、この引用した特許の力/伸び曲線が暗示するように、それは、前記混合物が明確に非常に均一であることとブラベンダーミキサーで混合を非常に強力に実施したこととまたアミノシランが肯定的な貢献をした可能性があることによるものであろう。
比較実施例7
WO 00/71634 A1の実施例1を再加工する。
【0199】
下記の混合物をコンパウンダーで製造する:80.8 phrのESI DE 200、19.2 phrのAdflex KS 359 P、30.4 phrの炭酸カルシウムマスターバッチSH3、4.9 phrのPetrothen PM 92049、8.8 phrの 酸化アンチモンTMSおよび17.6 phrのDE 83−R。
【0200】
実験室のキャスティングラインを用いて前記コンパウンドを加工して平らなフィルムにし、コロナで前処理し、JB 720を用いた被覆を20g/mで行い、3インチの中心部を用いて巻くことでログロールを生じさせた後、固定式刃(手で進める)を用いた分割で細長く切る。
【0201】
このようなワインディングテープはPVC様の機械的挙動を示すことを特徴とする、即ち柔軟性が高くて手による引き裂き性が良好である。臭素置換難燃剤が用いられていることが欠点である。その上、95℃以上の温度で示す耐熱変形度が低く、その結果として、そのようなフィルムは老化試験および適合性試験中に溶融する。
比較実施例8
手順はApymag 80の代わりに血小板形状のMagnifin H 5を用いる以外は実施例1と同じである。しかしながら、カレンダーの速度を低くして50m/分にした、と言うのは、そのようにしないと裂けが頻繁に生じたからである。その理由は恐らくは存在する小さな穴の数が多くなったことによるものではなく最後のカレンダーロールへの粘着が目で見て明らかに高くなったことによるものであろう。その結果として得たフィルムは実際に肯定的な特性を有し、剛性は注目すべきほど比較的高い。破壊電圧はいくらか低い。手による引き裂き性は良好ではあったが、実施例1が示す引き裂き性の方がより良好である。
【0202】
【表10】

【0203】
【表11】

【図1】

【図2】

【図3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィンおよび水酸化マグネシウムを含有して成るハロゲンを含有していないラッピングホイルであって、前記水酸化マグネシウムが場合により不規則な球形の形態を有しかつ該ラッピングホイルの厚みが30から200μm、特に50から130μmであることを特徴とするラッピングホイル。
【請求項2】
前記水酸化マグネシウムが粉砕で作られたものであることを特徴とする請求項1記載のラッピングホイル。
【請求項3】
前記水酸化マグネシウムが少なくとも2μm、特に少なくとも4μmの平均粒径d50を示しかつ好適にはふるい分けされたものであることを特徴とする請求項1または2記載のラッピングホイル。
【請求項4】
前記水酸化マグネシウムの純度が少なくとも90%であり、
これが被膜を有し、好適にはそれの粉砕を遊離脂肪酸の存在下で行うことで生じさせた被膜を有し、
これが炭酸カルシウムを1から4重量%含有し、そして/または
BET値が少なくとも5m/gである、
ことを特徴とする請求項1から3の少なくとも1項記載のラッピングホイル。
【請求項5】
前記水酸化マグネシウムが水滑石であることを特徴とする請求項1から4の少なくとも1項記載のラッピングホイル。
【請求項6】
前記水酸化マグネシウムの量が70から200phr、好適には110から150phrであることを特徴とする請求項1から5の少なくとも1項記載のラッピングホイル。
【請求項7】
前記水酸化マグネシウムの量が
酸素指数(LOI)が20%超、好適には23%超、特に27%超となるようにか、或はMVSS 302に従う火炎伝播速度が200mm/分未満、好適には100mm/分未満になるように、
選択されていることを特徴とする請求項1から6の少なくとも1項記載のラッピングホイル。
【請求項8】
該ラッピングホイルの片面または両面、好適には片面に感圧接着剤の層、好適にはポリイソプレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体および/またはポリアクリレートが基になった接着剤の層を有しかつ必要に応じてホイルと接着剤の層の間に下塗り剤の層を有し、
前記接着剤の層の量が各場合とも10から40g/m、好適には18から28g/mであり、
鋼との接着強度が1.5から3N/cmであり、
巻き戻し速度を300mm/分にした時の巻き戻し力が1.2から6.0N/cm、好適には1.6から4.0N/cm、より好適には1.8から2.5N/cmであり、そして/または
保持力が150分超である、
ことを特徴とする請求項1から7の少なくとも1項記載のラッピングホイル。
【請求項9】
該ラッピングホイルが共押出し加工、溶融被覆または分散被覆で生じさせた無溶媒感圧接着剤、好適には感圧分散接着剤、特にポリアクリレートが基になった接着剤を含んで成っていて、前記接着剤と担体フィルム表面の接合が炎またはコロナ前処理でか或は接着促進剤の層を共押出し加工または被覆で付着させることで成されていることを特徴とする請
求項1から8の少なくとも1項記載のラッピングホイル。
【請求項10】
前記ポリオレフィンが900MPa未満、好適には500MPa以下、特に80MPa以下の曲げ弾性率を示すことを特徴とする請求項1から9の少なくとも1項記載のラッピングホイル。
【請求項11】
前記ポリオレフィンがポリプロピレン共重合体であることを特徴とする請求項1から10の少なくとも1項記載のラッピングホイル。
【請求項12】
該ラッピングホイルの中に前記ポリプロピレン共重合体ばかりでなくEPMおよびEPDMの種類に属するエチレン−プロピレン共重合体が存在することを特徴とする前請求項の少なくとも1項記載のラッピングホイル。
【請求項13】
カーボンブラックの分率が少なくとも5phr、好適には少なくとも10phrであり、前記カーボンブラックが好適には6から8のpHを示すことを特徴とする請求項1から12の少なくとも1項記載のラッピングホイル。
【請求項14】
該ラッピングホイルが示す2000時間後、特に3000時間後の熱安定性が少なくとも105℃、好適には125℃であり、
該ラッピングホイルがこれを136℃で20日間貯蔵した後に少なくとも100%の破断伸びを示し、
該ラッピングホイルをポリオレフィン絶縁体を伴うケーブル上で貯蔵した時の3000時間後の適合性が少なくとも105℃であり、
該ラッピングホイルが一次抗酸化剤を少なくとも4phr含有するか或は好適には一次抗酸化剤と二次抗酸化剤の組み合わせを少なくとも0.3phr、特に少なくとも1phr含有し、
該ラッピングホイルが500g/モル超の(特に>700g/モルの)分子量を有する立体障害フェノールとホスファイト系二次抗酸化剤(特に分子量が>600g/モル)の組み合わせを含んで成り、
該ラッピングホイルが低揮発性のフェノール系一次抗酸化剤と硫黄化合物(好適には分子量が400g/モル超、特に>500g/モル)の種類およびホスファイトの種類の各々に属する二次抗酸化剤の組み合わせを含んで成り、
該ラッピングホイルをポリオレフィン絶縁体を伴うケーブル上で貯蔵した時の2000時間後、好適には3000時間後の適合性が125℃であるか或は168時間後の適合性が140℃であり、そして/または
170℃(30分間)の耐熱性を達成する、
ことを特徴とする請求項1から13の少なくとも1項記載のラッピングホイル。
【請求項15】
該ラッピングホイルが可塑剤を含有しないか或は可塑剤の含有量が非常に低いことでフォギング値が90%より高いことを特徴とする請求項1から14の少なくとも1項記載のラッピングホイル。
【請求項16】
請求項1から15の少なくとも1項記載のラッピングホイルを製造する方法であって、混練り機または押出し加工機を用いたコンパウンド化をそのコンパウンドから作られるラッピングホイルが少なくとも3kV/100μm、好適には少なくとも5kV/100μmの破壊電圧を達成するような様式で実施し、
前記コンパウンドを生じさせる時に難燃充填材の全部を一度には添加しないで、その代わりに、少なくとも2回に分けて添加し、そして/または
前記コンパウンドを固体形態の中間的段階を伴わない溶融物として押出し加工またはカレンダー加工によるフィルム生産工程に供給する、
ことを特徴とする方法。
【請求項17】
生産をカレンダー加工で実施する場合にはポリプロピレン共重合体が示すメルトインデックスを5g/10分未満、好適には1g/10分未満、特に0.7g/10分未満にし、そして/または
生産を押出し加工で実施する場合にはポリプロピレン共重合体が示すメルトインデックスを1から20g/10分、特に5から15g/10分の範囲にする、
ことを特徴とする前請求項の少なくとも1項記載のラッピングホイル製造方法。
【請求項18】
・ 該ラッピングホイルを巻いてログにした後、巻き戻し力を高める目的で、それに熱処理を受けさせ、そしてその後にそれを細切りしてロールにするが、そのようにして生じさせた材料が300mm/分の時に示す巻き戻し力がそのような手段を用いない時よりも好適には少なくとも50%高く、
・ 巻き戻し力を高める目的で、該ラッピングホイルに炎もしくはコロナ処理を受けさせるか或は極性のある共押出し加工層を与えた後、それを加工してロールにするが、そのようにして生じさせた材料が300mm/分の時に示す巻き戻し力がそのような手段を用いない時よりも好適には少なくとも50%高く、
・ 手による引裂きをより容易にする目的で、結果として粗いスリットエッジをもたらす工程で該ラッピングホイルを細切りするが、そのようにして細切りしたラッピングホイルロールが示す破断伸びが鋭利な刃で細切りした場合よりも好適には少なくとも30%低く、
・ 手による引裂きをより容易にする目的で、結果として粗いスリットエッジをもたらす工程で該ラッピングホイルを細切りするが、そのようにして細切りしたラッピングホイルロールが示す破断伸びが好適には200から500%の範囲内であり、
・ 自動スリッターを限定したナイフ進行速度で用いて該ラッピングホイルを細切りし、そして/または
・ 該ラッピングホイルを内径が30から40mmになるようにコア、好適にはボード(board)のコアに巻く、
ことを特徴とする前請求項の少なくとも1項記載のラッピングホイル製造方法。
【請求項19】
請求項1から18の少なくとも1項記載のラッピングホイルを通風管またはワイヤーまたはケーブルを包むか、保護するか、それに標識を付けるか、それを絶縁するか或は密封する目的および自動車の中のケーブルハーネスまたは受像管用の磁場コイルを覆う目的で用いる使用。

【公表番号】特表2007−513211(P2007−513211A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534738(P2006−534738)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052209
【国際公開番号】WO2005/037906
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(501237327)テサ・アクチエンゲゼルシヤフト (62)
【Fターム(参考)】