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水酸化マグネシウム粒子を核とする難燃剤組成物調製用の表面処理剤、難燃剤組成物の調製方法及び難燃剤組成物
説明

水酸化マグネシウム粒子を核とする難燃剤組成物調製用の表面処理剤、難燃剤組成物の調製方法及び難燃剤組成物

【課題】水酸化マグネシウム粒子を核とする難燃剤組成物調製用の表面処理剤であって、水酸化マグネシウム粒子の表面に均一付着し、またそれを用いて調製した難燃剤組成物を例えば合成樹脂類と混練してその混練物から製品を成形する場合に、合成樹脂類本来の特性を損なうことなく製品に充分な耐水性を有する難燃性を付与できる表面処理剤、かかる表面処理剤を用いる難燃剤組成物の調製方法及びかかる調製方法によって得られる難燃剤組成物を提供する。
【解決手段】水酸化マグネシウム粒子を核とする難燃剤組成物を調製するための表面処理剤として、置換基として炭素数14〜60のアルケニル基を有するアルケニルコハク酸無水物を用いた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水酸化マグネシウム粒子を核とする難燃剤組成物調製用の表面処理剤、難燃剤組成物の調製方法及び難燃剤組成物に関する。水酸化マグネシウム粒子を核とし、これに表面処理剤を付着させたものが、有毒ガスを発生しないクリーンな難燃剤組成物として、通信用ケーブルや電線等の被覆材に、また壁紙等の建材に使用されている。かかる難燃剤組成物は様々な形態で使用されるが、多くの場合は担体と共に、通常は合成樹脂類、例えばポリオレフィン系樹脂に混練して使用されている。水酸化マグネシウム粒子には天然品と合成品とがあり、天然品は天然に産出する水酸化マグネシウム鉱石すなわち天然ブルーサイト鉱石を乾式粉砕することにより製造されていて、近年では合成品に比べて安価な天然品が注目されているが、かかる水酸化マグネシウム粒子に付着させる表面処理剤には、水酸化マグネシウム粒子の表面にできるだけ均一に付着し、その結果として、得られる難燃剤組成物を例えば前記のように合成樹脂類と混練してその混練物から製品を成形する場合に、該製品に充分な耐水性を有する難燃性を付与でき、しかも合成樹脂類本来の特性、例えば溶融流動性、電気絶縁性、機械的強度等を損なわないものであることが要求される。本発明は、かかる要求に応える、水酸化マグネシウム粒子を核とする難燃剤組成物調製用の表面処理剤、難燃剤組成物の調製方法及び難燃剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水酸化マグネシウム粒子を核とする難燃剤組成物調製用の表面処理剤としては、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、脂肪族アルコール、アルコールリン酸エステル、シランカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、チタネートカップリング剤、ジカルボン酸モノエステル等を主成分とするものが知られている(例えば特許文献1〜5参照)。
【0003】
ところが、これら従来の表面処理剤には、概してそれを水酸化マグネシウム粒子の表面に均一付着させるのが難しく、またそれを用いて調製した難燃剤組成物を例えば合成樹脂類と混練してその混練物から製品を成形すると、難燃剤組成物の使用割合が増えるにしたがって製品の耐水性を低下させ、合成樹脂類本来の特性、例えば溶融流動性、電気絶縁性、引張強度や引張伸び等の機械的強度等を低下させるという問題がある。
【特許文献1】特開平4−45404号公報
【特許文献2】特開平7−161230号公報
【特許文献3】特開平10−226789号公報
【特許文献4】特開2003−3167号公報
【特許文献5】特開2005−179615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、水酸化マグネシウム粒子を核とする難燃剤組成物調製用の表面処理剤であって、水酸化マグネシウム粒子の表面に均一付着し、またそれを用いて調製した難燃剤組成物を例えば合成樹脂類と混練してその混練物から製品を成形する場合に、合成樹脂本来の特性を損なうことなく製品に充分な耐水性を有する難燃性を付与できる表面処理剤、かかる表面処理剤を用いる難燃剤組成物の調製方法及びかかる調製方法によって得られる難燃剤組成物を提供する処にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
しかして本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、水酸化マグネシウム粒子を核とする難燃剤組成物調製用の表面処理剤としては、特定のアルケニルコハク酸無水物から成るものが正しく好適であることを見出した。また水酸化マグネシウム粒子を核とする難燃剤組成物の調製方法としては、天然ブルーサイト鉱石を粗粉砕し、その粗粉砕物に前記の表面処理剤を所定割合となるよう加え、混合しつつ微粉砕することが正しく好適であることを見出した。更に水酸化マグネシウム粒子を核とする難燃剤組成物としては、前記の調製方法によって得られるものが正しく好適であることを見出した。
【0006】
すなわち本発明は、水酸化マグネシウム粒子を核とする難燃剤組成物調製用の表面処理剤であって、下記の化1で示されるアルケニルコハク酸無水物から成ることを特徴とする表面処理剤に係る。
【0007】
【化1】

【0008】
化1において、
R:炭素数14〜60のアルケニル基
【0009】
また本発明は、天然ブルーサイト鉱石を粗粉砕し、その粗粉砕物100質量部当たり前記の本発明に係る表面処理剤を0.1〜7質量部の割合となるよう加えて、混合しつつ微粉砕する難燃剤組成物の調製方法に係る。
【0010】
更に本発明は、前記の本発明に係る調製方法によって得られる難燃剤組成物に係る。
【0011】
先ず本発明に係る水酸化マグネシウム粒子を核とする難燃剤組成物調製用の表面処理剤(以下、単に本発明の表面処理剤という)について説明する。本発明の表面処理剤は化1で示されるアルケニルコハク酸無水物から成るものであり、このアルケニルコハク酸無水物は、化1で示される通り、置換基として炭素数14〜60のアルケニル基を有するコハク酸無水物である。同様に置換基としてアルケニル基を有するコハク酸無水物であっても、炭素数13以下のアルケニル基を有するものや炭素数61以上のアルケニル基を有するものでは、水酸化マグネシウム粒子を核とする難燃剤組成物調製用の表面処理剤として所期の効果を奏しない。所期の効果をよりよく奏するためには、炭素数16〜30のアルケニル基を有するものが好ましい。
【0012】
本発明の表面処理剤として用いる化1で示されるアルケニルコハク酸無水物は、単独物であってもよいし、混合物であってもよい。例えば、炭素数16のアルケニル基を有するコハク酸無水物の単独物や炭素数18のアルケニル基を有するコハク酸無水物の単独物であってもよいが、炭素数16のアルケニル基を有するコハク酸無水物と炭素数18のアルケニル基を有するコハク酸無水物との混合物であってもよいし、またアルケニル基の炭素数が20〜28に亘るような複数のアルケニルコハク酸無水物の混合物であってもよいのである。
【0013】
本発明の表面処理剤として用いるアルケニルコハク酸無水物それ自体は、特開昭60−115571号公報や特開昭64−79163号公報に記載されているような公知の方法により合成することができる。例えば、所定炭素数のα−オレフィンと無水マレイン酸とを、窒素ガス雰囲気中にて、約150〜200℃の加熱下で反応させることによりアルケニルコハク酸無水物を得ることができる。
【0014】
以上説明した本発明の表面処理剤は、水酸化マグネシウム粒子を核とする難燃剤組成物を調製するために用いる表面処理剤である。本発明の表面処理剤を用いる水酸化マグネシウム粒子は、天然品でも、また合成品でもよいが、なかでも天然ブルーサイト鉱石から調製されるものが好ましい。
【0015】
次に本発明に係る難燃剤組成物の調製方法(以下、単に本発明の調製方法という)について説明する。本発明の調製方法は、天然ブルーサイト鉱石を粗粉砕し、その粗粉砕物100質量部当たり本発明の表面処理剤を0.1〜7質量部の割合、好ましくは1〜3質量部の割合となるよう加えて、混合しつつ微粉砕する方法である。ここで天然ブルーサイト鉱石の粗粉砕には、公知の粗粉砕機が使用できる。これには例えば、ジョークラッシャー、ハンマークラッシャー、ジャイレトリークラッシャー、ロールクラッシャー等が挙げられる。また粗粉砕物と表面処理剤との混合及び微粉砕にも、公知の微粉砕機が使用できる。これには例えば、ジェットミル、ボールミル、高速回転ミル(衝撃的粉砕機)等が挙げられる。
【0016】
最後に本発明に係る難燃剤組成物(以下、単に本発明の難燃剤組成物という)について説明する。本発明の難燃剤組成物は、本発明の調製方法によって得られる難燃剤組成物であり、結果としては天然ブルーサイト鉱石由来の水酸化マグネシウム粒子の表面に本発明の表面処理剤が均一付着したものである。
【0017】
本発明の難燃剤組成物は、その粒子径が特に制限されるものではないが、前記したような本発明の調製方法において微粉砕したものを分級して、平均粒子径0.1〜10μmとしたものが好ましく、0.5〜7μmとしたものがより好ましい。かかる分級には公知の機械乃至装置が適用できる。これには例えば、円形振動ふるい、高精度気流分級装置、超微粉分級機等が挙げられる。
【0018】
本発明の難燃剤組成物は、その用途に特に制限はないが、合成樹脂類なかでもポリオレフィン系合成樹脂に対して効果の発現が高い。かかるポリオレフィン系合成樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/エチルアクリレート共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体等が挙げられるが、なかでもエチレン/エチルアクリレート共重合体に適用する場合が好ましい。本発明の難燃剤組成物を合成樹脂類、例えばポリオレフィン系合成樹脂に適用する場合、その使用量は通常、ポリオレフィン系合成樹脂100質量部当たり20〜150質量部の割合となるようにする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の表面処理剤は、水酸化マグネシウム粒子の表面に均一付着し、またそれを用いて調製した難燃剤組成物を例えば合成樹脂類と混練してその混練物から製品を成形する場合に、合成樹脂本来の特性を損なうことなく製品に充分な耐水性を有する難燃性を付与できる。
【0020】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
【実施例】
【0021】
試験区分1(表面処理剤の合成)
・実施例1{表面処理剤(a−1)の合成}
攪拌器を備えたガラス製反応容器に、炭素数が20〜28に亘る複数のα−オレフィンの混合物(三菱化学社製の商品名ダイヤレン208)319部、無水マレイン酸98部及びハイドロキノン0.4部を仕込み、反応系の雰囲気を窒素置換した後、温度を180℃に保って攪拌しながら20時間反応させた。この反応により得られた生成物は、室温で固状を呈する、アルケニル基の炭素数が20〜28に亘る複数のアルケニルコハク酸無水物の混合物であった。これを表面処理剤(a−1)とした。
【0022】
・実施例2〜4及び比較例1〜4{表面処理剤(a−2)〜(a−4)及び(r−1)〜(r−4)の合成}
実施例1の表面処理剤(a−1)と同様にして、実施例2〜4の表面処理剤(a−2)〜(a−4)及び比較例1〜4の表面処理剤(r−1)〜(r−4)を合成した。以上で得た各例の表面処理剤の内容を表1にまとめて示した。
【0023】
【表1】

【0024】
試験区分2(難燃剤組成物の調製)
・実施例5{難燃剤組成物(P−1)の調製}
天然ブルーサイト鉱石を粒子径10mm以下に粗粉砕し、その粗粉砕物100部と試験区分1の表面処理剤(a−1)1部とを微粉砕機に投入して、2時間かけて混合しつつ微粉砕した後、篩を用いて分級し、難燃剤組成物(P−1)を得た。この難燃剤組成物(P−1)は、水酸化マグネシウム粒子100部当たり表面処理剤(a−1)を1部の割合で含有して成るものであり、平均粒子径は4μmであって、表面処理剤(a−1)が水酸化マグネシウム粒子の表面全体に均一付着したものであった。
【0025】
前記の難燃剤組成物(P−1)について、表面処理剤の含有割合、平均粒子径及び表面処理剤の付着状態を下記の方法で測定又は評価した。
・表面処理剤の含有割合:ソックスレー抽出器を用い、抽出溶剤としてキシレンを用いて表面処理剤を抽出し、計量して含有割合を求めた。
・平均粒子径:レーザー回折式粒度分布計(堀場製作所社製のLA−920)を用いて測定した。
・表面処理剤の水酸化マグネシウム粒子表面への付着状態:走査型電子顕微鏡(日本電子社製のT−300)を用い、難燃剤組成物の同一画面における二次電子像と反射電子像とを写真撮影し、これらの写真撮影の画像から20個の粒子を任意に選定して、選定した個々の粒子について表面処理剤の付着状態を、水酸化マグネシウム粒子表面の90%以上に表面処理剤が付着している場合を3点、同様に70%以上90%未満の場合を2点、70%未満の場合を1点と評定し、その合計点で下記の基準により評価した。
◎:得点が55点以上
○:得点が50点以上54点未満
△:得点が35点以上50点未満
×:得点が35点未満
【0026】
・実施例6〜8及び比較例5〜10{難燃剤組成物(P−2)〜(P−4)及び(R−1)〜(R−6)の調製}
実施例5の難燃剤組成物(P−1)と同様にして、実施例6〜8の難燃剤組成物(P−2)〜(P−4)及び比較例5〜10の難燃剤組成物(R−1)〜(R−6)を調製した。以上で調整した各例の難燃剤組成物の内容と、測定又は評価結果とを表2にまとめて示した。
【0027】
【表2】

【0028】
表2において、
*1:ステアリン酸
*2:ステアリン酸アミド
【0029】
試験区分3(難燃剤組成物の評価)
・試料の調製
2軸のスクリュー型羽根を有する混練機(東洋精機社製のラボプラストミル)を用い、試験区分2で調製した難燃剤組成物を表3に示す添加量でエチレン/エチルアクリレート共重合体(日本ポリオレフィン社製、エチルアクリレート含有比率15%、融点100℃、MFR0.75)に加え、150℃で3分間練り混ぜて混練物とした。この混練物を150℃でプレス成形して、厚さ2mmのシートを作製した。
【0030】
・評価試験
各例における前記の混練物について溶融流動性を、また各例における前記のシートについて溶出マグネシウム、体積抵抗率、引張強度、引張伸び、酸素指数を次のようにして求め、結果を表3にまとめて示した。
・溶融流動性:JIS−K7210に準拠し、前記の混練物を温度190℃、荷重2.16kgの条件下にて溶融流動性を測定した。数値が大きいものほど溶融流動性に優れている。
・溶出マグネシウム(溶出Mg):作製したシートから縦32mm×横20mmの試験片2枚を切り出し、これらを500mlの蒸留水に浸漬して、かかる浸漬水中に炭酸ガスを23℃で3日間連続して吹き込んだ後、試験片を取り出し、耐水性試験を行なった。浸漬水のマグネシウムイオン濃度をICP発光分光分析法により測定した。マグネシウムイオン濃度が低いほど耐水性に優れている。
・体積抵抗率:JIS−K6911に準拠して、前記の耐水性試験前の試験片と耐水性試験後の試験片について体積抵抗率を測定した。耐水性試験前と後で数値の低下が小さいものほど耐水性に優れている。
・引張強度:JIS−K7113に準拠して、前記の耐水性試験前の試験片について引張強度を測定した。数値が大きいほど機械的強度に優れている。
・引張伸び:JIS−K7113に準拠し、前記の耐水性試験前の試験片について引張伸びを測定した。数値が大きいほど引張伸びに優れている。
・酸素指数:JIS−K7201−2に準拠して、前記の耐水性試験前の試験片について酸素指数を測定した。数値が大きいほど、難燃性に優れている。
【0031】
【表3】

【0032】
表3において、
*1:エチレン/エチルアクリレート共重合体100部に対する難燃剤組成物の添加部
*2:表面処理剤を添加しない平均粒子径4μmの水酸化マグネシウム粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸化マグネシウム粒子を核とする難燃剤組成物調製用の表面処理剤であって、下記の化1で示されるアルケニルコハク酸無水物から成ることを特徴とする表面処理剤。
【化1】

(化1において、
R:炭素数14〜60のアルケニル基
【請求項2】
化1で示されるアルケニルコハク酸無水物が、化1中のRが炭素数16〜30のアルケニル基である場合のものである請求項1記載の表面処理剤。
【請求項3】
天然ブルーサイト鉱石を粗粉砕し、その粗粉砕物100質量部当たり請求項1又は2記載の表面処理剤を0.1〜7質量部の割合となるよう加えて、混合しつつ微粉砕する難燃剤組成物の調製方法。
【請求項4】
請求項3記載の調製方法によって得られる難燃剤組成物。
【請求項5】
平均粒子径0.1〜10μmの微粒子である請求項4記載の難燃剤組成物。
【請求項6】
ポリオレフィン系合成樹脂用のものである請求項4又は5記載の難燃剤組成物。
【請求項7】
ポリオレフィン系合成樹脂が、エチレン/エチルアクリレート共重合体である請求項6記載の難燃剤組成物。

【公開番号】特開2008−69296(P2008−69296A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−250322(P2006−250322)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(000200301)JFEミネラル株式会社 (79)
【出願人】(000210654)竹本油脂株式会社 (138)
【Fターム(参考)】