説明

水酸基含有アセタール化合物の製造方法

【課題】医薬品用途に使用されるアルデヒド基を有するポリアルキレングリコール誘導体の原料である、分子内に水酸基を有するアセタール化合物を高純度に製造するための方法を提供する。
【解決手段】工程(A)〜(D)を順に行うことで、式[1] で示されるアセタール化合物を製造する。
【化1】
(n=0または1であり、n=0のとき、Rどうしは結合していてもよく、結合していなくてもよい。Rは、炭素数1または2のアルキル基あるいは炭素数1または2のアルキレン基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。Rは、炭素数1〜6のアルキレン基である。)(A):式[1]で示されるアセタール化合物を、式[1]の0.1質量倍以上の炭素数5〜8の炭化水素からなる溶剤に溶解させて溶液を得る。(B): (A)で得られた前記溶液に、式[1]の0.5質量倍以上のpH6〜10の緩衝液を加えることで、緩衝液に式[1]のアセタール化合物を抽出する。(C):アセタール化合物を抽出した緩衝液に対して、クロロホルムおよびジクロロメタンからなる群より選ばれた一種以上の抽出溶媒を式[1]のアセタール化合物の0.5質量倍以上の量で加えることによって、抽出溶媒中に式[1]のアセタール化合物を抽出して抽出溶液を得る。(D):(C)で得た抽出溶液を0.3kPa以下の減圧下、65℃以下で蒸留する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子内に水酸基を有するアセタール化合物の製法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、薬剤や生理活性物質の血中滞溜性の向上や標的部位へのターゲティング機能等を付加するためのドラッグデリバリー素材として、ポリアルキレングリコール誘導体が利用されている。ポリアルキレングリコールは高分子量であるほど血中滞溜性の向上が認められることから、分子量数千以上のポリアルキレングリコール誘導体が多く利用されている。また、薬物との結合に利用される官能基として、アルデヒド基は1級アミンとシッフ塩基を形成し、還元的アミノ化により安定な2級アミンを形成する、また、結合後も2級アミンを有するために等電点の変化が少ない、といった優れた特長を持つ。さらに、標的となる薬剤がタンパク質である場合、アルデヒド基は反応条件によりN末端アミノ基に結合させることができるので、結合箇所の選択性の観点においても優れている。そのため、アルデヒド基を有するポリアルキレングリコール誘導体は、アミノ基を持つ薬剤との結合に広く利用されている。アルデヒド基を有するポリアルキレングリコール誘導体の薬剤修飾の上市例としては、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)を分子量2万のポリアルキレングリコール誘導体で修飾した薬剤が挙げられ、これは市場で大きな売上を上げている。現在も後発品の開発や他の薬剤への応用等、盛んに研究が進められており、アルデヒド基を有するポリアルキレングリコール誘導体の需要はますます高まっている。
【0003】
アルデヒド基を有するポリアルキレングリコール誘導体を合成する方法としては、以下の二つの製法がある。一つ目の方法では、水酸基を有するアセタール化合物の水酸基をアルコラート化する等反応性を高めて、ポリアルキレングリコール末端に結合させた後に、アセタール基を加水分解して末端アルデヒド体を合成する。二つ目の方法では、アルカリ触媒下で水酸基を有するアセタール化合物の水酸基にアルキレンオキシドを付加重合した後に、アセタール基を加水分解する。どちらの方法においても、アルデヒド基を有するポリアルキレングリコール誘導体の原料としては、分子内にアルデヒドの保護基であるアセタール基、及び水酸基を持つ化合物が用いられる。
【0004】
アセタール化合物原料中に水酸基を有する反応性不純物が存在すると、前者ではポリアルキレングリコール誘導体に結合、後者ではアルキレンオキシドが付加重合することで、いずれも目的物以外のポリアルキレングリコール誘導体となる。このような不純物が残存すると、薬剤の純度が低下し、また不均一性や性能の阻害を引き起こす要因となり、大きな問題となる。
【0005】
この副生したポリアルキレングリコール構造を持つ不純物と、目的物であるアルデヒド基を有するポリアルキレングリコール誘導体との違いは、数千〜数万の分子量のうち末端構造がわずかに異なるだけである。そのため化学的物性が類似しており、ポリアルキレングリコール誘導体を精製することは非常に困難である。血中滞留性が向上する高分子量範囲においては、さらに目的物との物性差が少なくなるため、精製が困難になる。また、アルデヒド基という反応性置換基を有するため、精製操作によっては、かえって副反応を起こし純度を落とす可能性もある。以上の理由から、高純度のポリアルキレングリコール誘導体を製造するためには、ポリアルキレングリコール誘導体の原料であるアセタール化合物を高純度に製造することが必要である。
【0006】
原料である水酸基を有するアセタール化合物中の反応性不純物としては、ポリアセタール、アルコール、及び酸化防止剤が挙げられる。
【0007】
ポリアセタールについては、一般にアセタール基は熱により分解を受けやすいため、分子間でアセタール交換が起こることによって副生する。アルコールは、上記ポリアセタール化の際にアセタール基を形成するアルコールが脱離して副生する。酸化防止剤は、目的物の安定性改善のために添加する以外に、以下のような混入機構がある。例えば、非特許文献1(ACTA CHEMICA SCANDINAVICA 27(1973)239−250)では、エチルエステルを有するアセタール化合物を水素化リチウムアルミニウムを用いて還元し、水酸基を有するアセタール化合物を合成している。この還元反応では、一般的にはエーテル溶媒が用いられている。通常、エーテル溶媒として用いられるジエチルエーテルやテトラヒドロフラン等の脂肪族エーテルは、酸素により酸化して過酸化物となるのを防止する目的で、一般的には2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)等の酸化防止剤が添加されている。このように合成にエーテル溶媒を用いるとBHTが混入する。
【0008】
これら3種類の不純物は、これまでに報告されている水酸基を有するアセタール化合物の製法では混入してしまう。例えば水酸基を有するアセタール化合物をポリアルキレングリコール誘導体に結合させた例として、特許文献1(US2005/0176896 A1)では、3,3−ジエトキシ−1−プロパノールをトルエン中で共沸脱水後、アルコラート化し、ポリアルキレングリコール誘導体に結合させている。この方法では、トルエン以上の沸点であるポリアセタールやBHTといった水酸基を有する不純物が残存してしまう。
【0009】
また、水酸基を有するアセタール化合物にアルキレンオキシドを付加重合させた例として、非特許文献2(Macromolecules 2000、33、5841−5845)が挙げられる。同文献では、3,3−ジエトキシ−1−プロパノールを蒸留しており、昇華性物質であるBHTが昇華して目的物と混在し、末端にBHTの構造を持つポリアルキレングリコール誘導体が副生してしまう問題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「ACTA CHEMICA SCANDINAVICA」 27(1973)239−250
【非特許文献2】「Macromolecules 2000、33、5841−5845」
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】US2005/0176896 A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
水酸基を有するアセタール化合物の製造に関して、これまでに報告されている製造法ではポリアセタール、アルコール及び酸化防止剤の混入を防ぐことはできない。そのため、高純度のアルデヒド基を有するポリアルキレングリコール誘導体を合成するために、水酸基を有するアセタール化合物を高純度に製造する方法が求められていた。
【0013】
本発明の課題は、医薬品用途に使用されるアルデヒド基を有するポリアルキレングリコール誘導体の原料である、分子内に水酸基を有するアセタール化合物を高純度に製造するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、水酸基を有するアセタール化合物は、酸化防止剤を除去すると蒸留操作中等の熱によりポリアセタール化が起こり、アルコールの副生を伴って分解することを発見した。
【0015】
すなわち、酸化防止剤を除去すると、水酸基を有するアセタール化合物の安定性が著しく低下し、高純度のポリアルキレングリコール誘導体を製造する際に不純物となる、ポリアセタールやアルコールが多く副生してしまう。この知見に基づき、さらに鋭意研究を重ねた結果、酸化防止剤を除去しても65℃以下で減圧蒸留を行うことで上記不純物含量が極めて低いアセタール化合物を得、高純度のポリアルキレングリコール誘導体を製造することができた。
【0016】
すなわち、本発明は、下記工程(A)〜(D)を順に行うことを特徴とする、式[1] で示されるアセタール化合物の製造方法に係るものであり、またこの方法によって得られたアセタール化合物に係るものである。
【0017】
【化1】



(n=0または1であり、n=0のとき、Rどうしは結合していてもよく、結合していなくてもよい。Rは、炭素数1または2のアルキル基あるいは炭素数1または2のアルキレン基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。Rは、炭素数1〜6のアルキレン基である。)
【0018】
工程(A): 式[1]で示されるアセタール化合物を、式[1]の化合物の0.1質量倍以上の炭素数5〜8の炭化水素からなる溶剤に溶解させて溶液を得る工程、
工程(B): 工程(A)で得られた溶液に、式[1]の化合物の0.5質量倍以上のpH6〜10の緩衝液を加えることで、緩衝液に式[1]の化合物を抽出する工程、
工程(C): 前記アセタール化合物を抽出した緩衝液に対して、クロロホルムおよびジクロロメタンからなる群より選ばれた一種以上の抽出溶媒を式[1]の化合物の0.5質量倍以上の量で加えることによって、抽出溶媒中に式[1]の化合物を抽出して抽出溶液を得る工程、
工程(D): 工程(C)で得た抽出溶液を0.3kPa以下の減圧下、65℃以下で蒸留する工程。
【発明の効果】
【0019】
本発明の方法によれば、ポリアセタール、アルコール、及び酸化防止剤等の不純物含量の少ない水酸基含有アセタール化合物を製造することができる。本発明の方法によって得られたアセタール化合物を原料にすることで、非常に不純物含量が少ないアセタール基を末端構造にもつポリアルキレングリコール誘導体を合成することができる。さらに、アセタール基を加水分解することでアルデヒド基に変換できるので、高純度のアルデヒド基を有するポリアルキレングリコール誘導体を合成することができる。ドラッグデリバリー素材として広く用いられているアルデヒド基を有するポリアルキレングリコール誘導体を高純度化することで、薬剤の性能や均一性を高める効果が期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の詳細は、工程(A)〜(D)を順に行うことを特徴とする、式[1]で示されるアセタール化合物を製造する方法である。
【0021】
【化2】



【0022】
式[1]において、n=0または1であり、n=0のとき、Rどうしは結合してもしていなくてもよい。n=0のときには、式[1]は以下の式[1a]または[1b]のように表される。ただし、式[1a]の場合には、Rは、炭素数1または2のアルキル基となる。式[1b]の場合には、Rは、炭素数1または2のアルキレン基となる。
【0023】
【化3】

【0024】
【化4】

【0025】
また、n=1のときには、式[1]は以下のように表される。この場合、Rは、炭素数1または2のアルキレン基である。
【0026】
【化5】

【0027】
は、炭素数1または2のアルキル基あるいは炭素数1または2のアルキレン基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0028】
アセタール基の具体的な例としてはn=0、Rがメチル基であるジメトキシ基、n=0、Rがエチル基であるジエトキシ基、n=0、Rがメチレン基である1,3−ジオキソラン基、n=1、Rがメチレン基である1,3−ジオキサン基、n=0、Rがエチレン基である1,3−ジオキセパン基、n=1、Rがエチレン基である1,3−ジオキソカン基等であり、好ましくはn=0、Rがエチル基のジエトキシ基の場合である。
【0029】
は、炭素数1〜6のアルキレン基であり、途中で分岐していてもよい。好適な実施形態としてはエチレン基の場合であるが、アルデヒド基へ変換された場合の反応性を考慮した場合、1−メチルエチレン基も好適な実施形態である。
【0030】
以下、各工程を詳細に説明する。
「工程(A): 式[1]で示されるアセタール化合物を、式[1]の化合物の0.1質量倍以上の炭素数5〜8の炭化水素からなる溶剤に溶解させて溶液を得る工程」
【0031】
工程(A)は、式[1]の化合物と、その中に含まれている低極性不純物、主にBHT等の酸化防止剤とを溶解するための工程である。
炭素数5〜8の炭化水素溶剤は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン等が挙げられ、好ましくはヘキサン、ヘプタンで、より好ましくはヘキサンである。ここで高極性の溶剤を用いると、式[1]の化合物との親和性が高く、後工程での水層への回収が困難となるので、上記溶剤が好ましい。
【0032】
炭化水素溶剤の量は、式[1]の化合物量の0.1質量倍以上であり、0.1〜10質量倍が好ましく、より好ましくは1〜10質量倍であり、特に好ましくは1〜5質量倍である。0.1質量倍未満では精製効率が落ちるので、好ましくない。
【0033】
式[1]の化合物に炭化水素溶剤を加えて攪拌する工程では、十分に均一化するため攪拌は5分以上行うことが好ましい。
【0034】
「工程(B): 工程(A)で式[1]の化合物を炭化水素溶剤に溶解した溶液に0.5質量倍以上のpH6〜10の緩衝液を加え、式[1]の化合物の抽出を行う工程」
工程(B)は、工程(A)で溶解させた式[1]を炭化水素溶剤中から回収し、式[1]中に含まれている低極性不純物、主にBHT等の酸化防止剤を除去する工程である。
【0035】
緩衝液は、上記溶剤中から式[1]を回収するために用いる。緩衝液のpHは6〜10、より好ましくは7〜9であり、特に好ましくは7.5〜8.5である。
【0036】
緩衝液のpHについては、6より小さいと酸によるアセタールの分解が引き起こされ、ポリアセタール形成、及びアルコールが副生することから、pH6以上が好ましい。また強塩基では塩基成分が次工程で用いるクロロホルム、あるいはジクロロメタンと反応することから、pH10以下とすることが好ましい。通常用いられる緩衝液、例えばトリス緩衝液、塩酸緩衝液、リン酸緩衝液、炭酸緩衝液、イミダゾール緩衝液、ジエタノールアミン緩衝液、トリエタノールアミン緩衝液、HEPESやBICINE等のグッド緩衝液等を用いることができる。
【0037】
緩衝液の量は0.5質量倍以上が好ましく、より好ましい範囲は0.5〜20質量倍である。0.5質量倍未満では量が少ないため、前記溶剤中からの回収率が低下する。
【0038】
工程(B)の抽出操作では、式[1]が溶解した炭化水素溶剤と緩衝液を攪拌、静置させる。有機層から式[1]を十分に抽出するためには5分以上攪拌し、攪拌停止後は5分以上静置し、分層させてから水層を回収する。攪拌時間の上限に制限はないが、水との長時間の接触によりアセタール基が加水分解する恐れがあることから、5時間未満が好ましい。同様の理由で静置時間もできるだけ短くすることが好ましい。
【0039】
緩衝液での抽出時の温度は5〜40℃で行うのが望ましい。5℃未満では緩衝液の塩類の析出が生じる恐れがある。また、40℃より高温では熱履歴により、式[1]が分解する恐れがある。この抽出操作は回収率を上げるため、複数回繰り返し行ってもよい。
【0040】
「工程(C): 工程(B)で式[1]の化合物を抽出した緩衝液に、クロロホルムおよびジクロロメタンからなる群より選ばれた一種以上の抽出溶媒0.5質量倍以上を加えて、式[1]を抽出する工程」
工程(C)は、式[1]と水溶性不純物、主にポリアセタール体が溶解している水層から、クロロホルムあるいはジクロロメタンまたはそれらの混合物を用いて、式[1]の化合物を抽出する工程である。
【0041】
抽出に用いるクロロホルムあるいはジクロロメタン量は式[1]の化合物に対し、合計量で0.5質量倍以上であり、0.5〜20質量倍が好ましく、より好ましくは1〜20質量倍である。0.5質量倍未満では水層からの式[1]の化合物の回収が悪く、収率が悪くなる。
【0042】
工程(C)の抽出操作では、式[1]の化合物が溶解した緩衝液と、クロロホルムおよびジクロロメタンからなる群より選ばれた一種以上の溶媒とを攪拌、静置させる。水層から式[1]を十分に抽出するためには5分以上攪拌し、攪拌停止後は5分以上静置し、分層させてからクロロホルムあるいはジクロロメタンを回収する。攪拌時間の上限に制限はないが、クロロホルムあるいはジクロロメタンとの長時間の接触によって、微量に含まれている酸による分解、及びポリアセタール化する恐れがあることから、5時間未満が好ましい。同様の理由で静置時間もできるだけ短くすることが好ましい。
【0043】
抽出時の温度は5〜40℃で行うのが望ましい。5℃未満では緩衝液の塩類の析出が生じる恐れがある。また、40℃を超えるとクロロホルムあるいはジクロロメタンの気化による臭気を伴い、安全性の観点から好ましくない。また、クロロホルムあるいはジクロロメタンが分解して塩化水素が発生し、アセタール基が分解する恐れがある。
【0044】
「工程(D): 工程(C)で式[1]の化合物を抽出した抽出液を、0.3kPa以下の減圧下、65℃以下で蒸留する工程」
(D)の工程は、式[1]にわずかに含まれているアルコール及びポリアセタールと、クロロホルムあるいはジクロロメタンを除去するために、蒸留を行う工程である。アセタール基の熱劣化を抑えるため、減圧、低温で蒸留することで高純度の式[1]を得る工程である。
【0045】
クロロホルムあるいはジクロロメタンが抽出液に残存すると、これらの溶剤が分解して生じる塩化水素等の酸により、式[1]のアセタール化合物の分解が引き起こされる。これは式[1]の化合物を保存する上で非常に不利となる。また、式[1]の化合物を原料として、アルキレンオキシドを付加重合してポリアルキレングリコール誘導体を製造する際に、アルカリ触媒を用いるため、強塩基と反応するクロロホルムあるいはジクロロメタンが残存することは問題となる。
【0046】
蒸留前に、前工程で使用した溶剤や不純物アルコール等の低沸点不純物を濃縮により除去することが好ましい。濃縮時の温度は65℃以下とすることが好ましい。これが65℃より高温では式[1]のアセタール基が分解し、エタノールやポリアセタールの副生等が起こる恐れがある。この観点からは、濃縮時の温度は、60℃以下が更に好ましい。また、濃縮時の温度を20℃以上とすることによって、溶媒の留去に必要な時間を短縮できる。この観点からは、濃縮時の温度は、30℃以上とすることが更に好ましい。
【0047】
蒸留前に、水層からの抽出時に混入した水分を除去するために、脱水操作を行ってもよい。脱水方法としては、共沸脱水や乾燥剤による脱水方法がある。水と近い沸点をもつ溶剤との共沸脱水では熱履歴による劣化が問題となるため、乾燥剤を用いて行うことが好ましい。乾燥剤としては、例えばモレキュラーシーブスのようなゼオライトが挙げられる。乾燥剤として硫酸マグネシウムや塩化カルシウム等の酸性物質を使用すると、アセタールが分解し、アルコールやポリアセタールの副生等が起こる恐れがある。乾燥剤の使用量としては式[1]の1〜50質量%が好ましい。乾燥温度としては、5〜40℃で行うことが好ましい。
【0048】
蒸留工程を0.3kPa以下の減圧下、65℃以下で行うことで、式[1]で示されるアセタール化合物を純度良く、高収率で得ることができる。蒸留の際、不活性ガスを吹き込んでもよい。真空度が0.3kPaより大きい場合、アセタール化合物の蒸留温度が高くなり、アセタール基分解の恐れがある。この観点からは、真空度を0.2kPa以下とすることが更に好ましい。また、65℃よりも蒸留温度が高い場合、蒸留中にもアセタール化合物中のアセタール基が分解し、アルコールやポリアセタールの副生等が起こり、収率が悪くなる問題がある。この観点からは、蒸留温度を60℃以下とすることが更に好ましい。また、蒸留温度を20℃以上とすることによって,蒸留に必要な時間を短縮できる。この観点からは、蒸留温度を30℃以上とすることが更に好ましい。
【0049】
(A)〜(D)の各工程を順に経ることで高純度の式[1]を得ることができる。この順序を変更すると不純物を除去できなくなる。
【0050】
BHTは昇華性物質であり、(D)の蒸留工程までにBHTを除去していない場合、蒸留時に目的物である式[1]の画分に含まれてしまう恐れがある。この後(A)、(B)及び(C)工程を行っても、ポリアセタール化や、アルコール副生がわずかに起こる可能性があり、さらに抽出に用いる溶剤を十分に除去するためには再び蒸留を行わなければならない。以上の理由から工程の順番が重要である。
【0051】
以上の方法で製造することで、ポリアセタール、アルコール、及び酸化防止剤等の反応性不純物を含まない高純度の式[1]の化合物を得ることができる。また、これを原料に用いることで高純度のアルデヒド基を有するポリアルキレングリコール誘導体を製造することができる。すなわち、本発明により製造された式[1]の化合物はドラッグデリバリー素材の原料として有用である。
【実施例】
【0052】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。
水酸基を有するアセタール化合物の分析はガスクロマトグラフィー(GC)で行った。GCシステムはAgilent社製HP6890Plusを用い、下記条件にて測定を行った。
検出器: 水素炎イオン化検出器
キャピラリカラム: HP−5 Cross−Linked 5% PH ME Siloxane 30m×0.32mm×0.25μm
カラム温度: 70℃、4分 → 5℃/minで240℃まで昇温 → 240℃、12分
注入口温度: 280℃
検出器温度: 250℃
キャリアーガス: ヘリウム
流速: 23cm/sec
注入量: 0.2μl
スプリット比: 1:100
【0053】
ポリエチレングリコール誘導体の評価は液体クロマトグラフィーにより行った。液体クロマトグラフィーのシステムはWATERS社製ALLIANCEを用い、GPC及びHPLC分析を行った。それぞれの分析条件を以下に示す。
【0054】
GPC分析
検出器: RI
展開溶媒: 100mM酢酸ナトリウム、0.02%NaN緩衝液 (pH5.2)
流速: 0.5ml/min
カラム: Ultrahydrogel500+Ultrahydrogel 250
(WATERS)
カラム温度: 30℃
サンプル量: 5mg/ml 20μl
【0055】
HPLC分析
HPLCサンプルの調整
ポリエチレングリコール誘導体20mgに、0.1M酢酸緩衝液pH4.0を2ml加えて攪拌後、40mg/ml p−アミノ安息香酸メタノール溶液を68μl加えて撹拌した。次に10mg/mlシアノ水素化ホウ素ナトリウム水溶液を128μl加えて、撹拌しながら75℃で2時間反応させた。
検出器: RI
展開溶媒: 1.5mMギ酸アンモニウム緩衝液(pH8.0)
流速: 1.0ml/min
カラム: ES−502N(旭化成)
カラム温度: 30℃
サンプル量: 5mg/ml 20μl
【0056】
BHTにエチレンオキシドが付加重合した構造を持つポリエチレングリコール誘導体の検出はH−NMRを用いて行った。NMR装置はJNM−ECP400(JEOL NMR)、制御解析システムはDELTA、及びデータ解析システムはALICEを用いた。以下に分析条件を示す。
【0057】
溶媒: 重クロロホルム(0.05%TMS)
サンプル濃度: 25mg/ml
測定温度: 25℃
積算回数: 128
【0058】
[実施例1−1]
以下、用いるテトラヒドロフラン(THF)は4オングストロームのモレキュラーシーブスで一晩脱水した。5L4つ口フラスコ内を窒素ガスで置換し、THF2.2kg仕込んで、10℃以下に冷却した。次に水素化リチウムアルミニウム50gを仕込み、3,3−ジエトキシプロピオン酸エチル250gを内温が10℃を超えないように滴下した。滴下終了後、20℃に昇温して1時間反応を行った。反応後、蒸留水420gを加えて2時間攪拌した後、NO.2ろ紙でろ過後、THF1.1kgでケーキ洗浄を行った。ろ液を40℃で濃縮して粗3,3−ジエトキシ−1−プロパノール(以下33DEP)213gを得た。
【0059】
5L4つ口フラスコに粗33DEP200gを仕込み、ヘキサン1kgを添加し1時間攪拌した(工程(A))。次に0.1Mリン酸バッファー(pH7.5)1kgを添加して20分間攪拌後、5L分液ロートに移送し分層するまで静置した。水層を抜き取り後、ヘキサン層を5L4つ口フラスコに戻し、再び0.1Mリン酸バッファー(pH7.5)1kgを添加した。20分間攪拌後、再び5L分液ロートに移送して分層するまで静置し、水層を回収した。水層は5L4つ口フラスコに回収した(工程(B))。ここへクロロホルム2kg添加し、30分間攪拌した後に5L分液ロートに移送して15分静置して分層させた。クロロホルム層を回収し、水層を5L4つ口フラスコに戻し、再びクロロホルム2kgで同様の操作を行ってクロロホルム層を回収した(工程(C))。次に回収したクロロホルム層をエバポレーターを用いて40℃で濃縮し、留去が止まった後に微量の窒素によりバブリングさせながら溶剤を留去した。その後4オングストロームのモレキュラーシーブス20gで5時間攪拌後、ろ過を行って33DEP188gを得た。
【0060】
上記操作で得られた33DEP150gを300mL4つ口フラスコに仕込み、減圧下で蒸留を開始した。真空度0.4kPaで、バス温38℃、内温36℃、及び塔頂温度33℃において初留が出始めた。留出が止まってから徐々にバス温を上げていき、真空度0.2kPaで、バス温58℃、内温55℃、及び塔頂温度54℃にて主留の留出が始まった。その後塔頂温度が60℃を超えないように蒸留を行い、主留138gを得た(工程(D))。得られた主留についてGC分析を行った。結果を表1に示す。
【0061】
[実施例1−2]
実施例1−1に示す方法で粗33DEPを得た。粗33DEP300gを5L4つ口フラスコに仕込み、ヘキサン1.5kgを添加し1時間攪拌した(工程(A))。次に0.1Mリン酸バッファー(pH7.5)1.5kgを添加し、20分間攪拌後、5L分液ロートに移送し分層するまで静置した。水層を回収後、ヘキサン層を5L4つ口フラスコに戻し、再び0.1Mリン酸バッファー(pH7.5)1.5kgを加えて同様の操作を行い、水層を回収した(工程(B))。ここへジクロロメタン3kgを添加し、30分間攪拌後、5L分液ロートに移送して15分静置して分層させた。ジクロロメタン層を回収後、水層を5L4つ口フラスコに戻し、再びジクロロメタン3kgで同様の操作を行ってジクロロメタン層を回収した(工程(C))。回収したジクロロメタン層を40℃で濃縮後、さらに微量の窒素でバブリングさせながら溶剤を留去した。その後4オングストロームのモレキュラーシーブス30gで5時間攪拌し、ろ過を行って33DEP277gを得た。
【0062】
上記操作で得られた33DEP267gを500mL4つ口フラスコに仕込み、蒸留を開始した。真空度0.4kPaで、バス温35℃、内温33℃、及び塔頂温度30℃において初留が出始めた。留出が止まってから徐々にバス温を上げていき、真空度0.2kPaで、バス温58℃、内温56℃、及び塔頂温度55℃にて主留の留出が始まった。その後塔頂温度が60℃を超えないように蒸留を行い、主留244gを得た(工程(D))。得られた33DEPについてGC分析を行った。結果を表1に示す。
【0063】
[比較例1−1]
実施例1−1に示す方法で粗33DEPを得、40℃で濃縮後、33DEP103gを300mL4つ口フラスコに仕込み蒸留を行った。真空度0.4kPaで、バス温38℃、内温35℃、及び塔頂温度29℃において初留を回収し始め、留出が止まってから徐々にバス温を上げていった。次に、真空度0.2kPaで、バス温59℃、内温56℃、及び塔頂温度54℃にて主留の留出が始まった。その後留出時の塔頂温度が60℃を超えないように蒸留を行い、主留91gを得た。すなわち、実施例1−1の方法のうち、抽出工程を行わずに33DEPを製造した。得られた33DEPについてGC分析を行った。結果を表1に示す。
【0064】
[比較例1−2]
実施例1−1に示す方法で粗33DEPを得、実施例1−1と同じ抽出工程を行った。得られた33DEP110gを300mL4つ口フラスコに仕込み蒸留を行った。真空度0.4kPaで、バス温35℃、内温33℃、及び塔頂温度29℃において初留を回収し始めた。その後バス温を上げていき、真空度0.5kPaで、バス温72℃、内温70℃、及び塔頂温度70℃にて主留の回収を始めた。塔頂温度70℃で留出が止まるまで蒸留操作を行い、主留59gを得た。すなわち、実施例1−1の方法のうち、蒸留工程の塔頂温度を70℃で行って33DEPを製造した。蒸留後得られた主留についてGC分析を行った。結果を表1に示す。
【0065】
[比較例1−3]
実施例1−1の蒸留前サンプルを用いてGC分析を行った。
【0066】
【表1】

【0067】
実施例1−1の方法によりBHTを除去しても、蒸留を65℃以下で行うことで、アセタール化合物を高純度かつ高収率で得ることができた。また、実施例1−2のように、工程(c)で用いる抽出溶媒をジクロロメタンとしても、高純度かつ高収率でアセタール化合物を得ることができた。
【0068】
比較例1−1のように抽出工程を行わず、BHTを除去せずに蒸留した場合、BHTは昇華性物質であるため主留にBHTが検出された。このように比較例1−1の製法では33DEPにBHTが混入することが分かった。
【0069】
比較例1−2のように抽出工程を経た33DEPは安定性が悪く、70℃で蒸留すると、主留中のポリアセタールとエタノールが増加した。これはポリアセタール、及びエタノールを末端構造にもつポリアルキレングリコール誘導体の副生原因となる。また、70℃で主留の留出が止まるまで蒸留操作を続けたが、収率は53.6%と悪かった。この原因としては70℃で蒸留を続けることで33DEPが分解していることが挙げられ、蒸留残渣をGC分析したところ、ポリアセタール体は約80%と多く含まれており、アセタール基の分解が確認された。比較例1−2の条件では主留に水酸基を有するポリアセタールが混入し、また、主留の収率を大きく落とす要因にもなり、コスト面でも不利であることが分かった。
【0070】
比較例1−3のように抽出工程のみ行い、蒸留を行わない場合、クロロホルムの残存が認められた。クロロホルムが残存すると、クロロホルムが分解して塩化水素等の酸が生じ、アセタール基分解の恐れがある。また、アルキレンオキシドを付加重合してポリアルキレングリコール誘導体を製造する際に、アルカリ触媒を用いるため、強塩基と反応するクロロホルムの残存は問題となる。
【0071】
[実施例2]
5Lオートクレーブに1Lのメタノールを添加して還流洗浄後、メタノールを廃棄し、0.8kPa以下、120℃で5時間乾燥させた。
【0072】
5Lオートクレーブに、実施例1−1に示す方法で製造した33DEP59.2g(0.40mol)にソジウムメチラート28%メタノール溶液10.0g、脱水トルエン210gを加え、50℃、30kPa以下でメタノールをトルエンと共沸させ全量除去した。120℃まで昇温後エチレンオキシド1.89kgを加えて重合させ、得られたポリアルキレングリコール誘導体1.65kgを抜き取り後、120℃でエチレンオキシド0.95kgを重合させた。その後85%リン酸0.49gを加えて、反応を中断し、アセタール基を有するポリアルキレングリコール誘導体(HO−PEG−Acetal)を1.06kg得た。
【0073】
1L4つ口フラスコにHO−PEG−Acetal100g、トルエン400g、BHT0.1gを加えて攪拌しながら還流脱水した。40℃まで冷却後トリエチルアミン1.1g、塩化メタンスルホン酸0.9g添加し、40℃で3時間反応させた。次にソジウムメチラート28%メタノール溶液を3.7g加えて70℃、3時間反応させた。5Aのろ紙を敷いたヌッチェを用いて反応液を吸引ろ過後、トルエン100gでろ過ケーキの洗浄を行い、得られたろ液にヘキサン380gを加えて晶析した。再び吸引ろ過し、得られた結晶に酢酸エチル430gを添加して40℃で加温溶解後、30℃まで冷却してヘキサン330gを加えて晶析した。吸引ろ過後、結晶を乾燥させたところ、アセタール基を有するポリアルキレングリコール誘導体の末端水酸基をメトキシ化した化合物(MeO−PEG−Acetal)91gを得た。
【0074】
1LビーカーにMeO−PEG−Acetal 90g、蒸留水1700gを添加して室温にて攪拌、溶解させた。この水溶液に85%リン酸を加えてpH1.5に調整し、2時間加水分解を行った。400g/l水酸化ナトリウム水溶液でpH6.5に調整後、食塩270gを添加、溶解させた後に、さらに400g/l水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH7.0に調整した。クロロホルム900gで抽出後、50℃にて濃縮を行った後、酢酸エチル270gを添加した。硫酸マグネシウム4.5gを加えて25℃で30分間攪拌した後に、5Aのろ紙を敷いたヌッチェを用いて吸引ろ過を行い、得られたろ液にヘキサンを加えて晶析した。吸引ろ過して結晶を回収、乾燥させてアルデヒド基を有するポリアルキレングリコール誘導体(MeO−PEG−CHO)79gを得た。得られたMeO−PEG−CHOについてGPC、LC、及びNMR分析を行った。
【0075】
[比較例2−1]
比較例1−1で得られた33DEPを用いて実施例2と同様の操作を行い、MeO−PEG−CHOを得た。すなわち、BHTを含む33DEPを原料に用いて実施例2と同様にGPC、LC、及びNMR分析を行った。分析結果を表2に示す。
【0076】
[比較例2−2]
比較例1−2で得られた33DEPを用いて実施例2と同様の操作を行い、MeO−PEG−CHOを得た。実施例2と同様にGPC、LC、及びNMR分析を行った。分析結果を表2に示す。
【0077】
[比較例2−3]
比較例1−3で用いた33DEPを用いて実施例2と同様の操作を行った。
【0078】
【表2】

【0079】
実施例2のように、本発明により製造した33DEPを原料にすることで、BHT−PEGを副生することなく、分子量2万の高純度のアルデヒド基を有するポリアルキレングリコール誘導体を製造することができた。
【0080】
比較例2−1の結果、あらかじめBHTを除去せずに33DEPにエチレンオキシドを重合させると、BHTの水酸基にエチレンオキシドが付加した不純物(BHT−PEG)が検出された。これは薬剤の不均一性を招く恐れがある。
【0081】
比較例2−2の結果、熱劣化により純度が低下した33DEPを用いてMeO−PEG−CHOを製造すると、アルデヒド化率が低下した。これは熱劣化した33DEPがエチレンオキシド付加時の熱によって、アセタール基の分解が進み、アルデヒド化率が低下したと考えられる。
【0082】
比較例2−3について、ソジウムメチラートを加えたところで副生した食塩によって白濁し、NMRで分析したところアセタールの分解が認められた。クロロホルムが混在するとアルカリ触媒と反応するため、アルカリ触媒が消費されてしまい、MeO−PEG−CHOを合成できなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程(A)〜(D)を順に行うことを特徴とする、式[1] で示されるアセタール化合物の製造方法。
【化6】



(n=0または1であり、n=0のとき、Rどうしは結合していてもよく、結合していなくてもよい。Rは、炭素数1または2のアルキル基あるいは炭素数1または2のアルキレン基であり、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。Rは、炭素数1〜6のアルキレン基である。)

工程(A): 式[1]で示されるアセタール化合物を、前記アセタール化合物の0.1質量倍以上の炭素数5〜8の炭化水素からなる溶剤に溶解させて溶液を得る工程、
工程(B): 工程(A)で得られた前記溶液に、前記アセタール化合物の0.5質量倍以上のpH6〜10の緩衝液を加えることで、前記緩衝液に前記アセタール化合物を抽出する工程、
工程(C): 前記アセタール化合物を抽出した前記緩衝液に対して、クロロホルムおよびジクロロメタンからなる群より選ばれた一種以上の抽出溶媒を前記アセタール化合物の0.5質量倍以上の量で加えることによって、前記抽出溶媒中に前記アセタール化合物を抽出して抽出溶液を得る工程、
工程(D): 工程(C)で得た前記抽出溶液を0.3kPa以下の減圧下、65℃以下で蒸留する工程。
【請求項2】
前記アセタール化合物において、n=0であり、Rはエチル基であり、Rはエチレン基あるいは1−メチルエチレン基であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記工程(B)における前記緩衝液のpHが7〜9であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記工程(A)における前記炭化水素溶剤の量が前記アセタール化合物の量の0.1〜10質量倍であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つの請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記工程(B)における前記緩衝液の量が前記アセタール化合物の量の0.5〜20質量倍であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記工程(C)における前記抽出溶媒の量が前記アセタール化合物の量の0.5〜20質量倍であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つの請求項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つの請求項に記載の方法で製造されたことを特徴とする、 下記式[1]のアセタール化合物。
【化7】



(n=0または1であり、n=0のとき、Rどうしは結合していてもよく、結合していなくてもよい。Rは、炭素数1または2のアルキル基あるいは炭素数1または2のアルキレン基であり、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。Rは、炭素数1〜6のアルキレン基である。)

【公開番号】特開2012−214447(P2012−214447A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−66472(P2012−66472)
【出願日】平成24年3月23日(2012.3.23)
【出願人】(000004341)日油株式会社 (896)
【Fターム(参考)】