説明

水酸基含有アルケンの製造方法

【課題】高屈折率及び耐熱性を備えた重合体の製造に供される単量体;塗料、接着剤、洗剤ビルダー等の各種化学製品の製造原料;抗癌剤、抗ウイルス剤等の医薬品の中間体等として広範囲に用いられる水酸基含有アルケンを効率よく製造する方法を提供するものである。
【解決手段】ホルムアルデヒドと電子吸引性基を有するアルケンとから、第15族〜17族からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含む化合物を用いて水酸基含有アルケンを製造する方法であって、該製造方法は、ホルムアルデヒドに対して100モル%未満で、塩及び/又は第1〜2族からなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素を含む化合物を反応溶液中に共存させ、反応温度を40℃以上とする工程を含む水酸基含有アルケンの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水酸基含有アルケンの製造方法に関する。より詳しくは、電子吸引性基を有するアルケンにホルムアルデヒドを付加させて、水酸基を含有するアルケンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルケンは、付加反応や重合反応等の化学反応性に富んでいること等の理由から、各種用途に好適に用いられるものであるが、更に二重結合以外の官能基を有するようにするために、アルデヒド類等と電子吸引性基を有するアルケンとからアルケンを調製する方法が学術的レベルで研究されている。このようなアルケンの製造方法は有用であるが、実用化されていないのが現状である。アルケンに他の官能基を導入する場合、その官能基に起因する特性を発揮して、重合体を形成するために供される単量体;塗料、接着剤、洗剤ビルダー等の各種化学製品の製造原料;抗癌剤、抗ウイルス剤等の医薬品の中間体等として広範囲に用いることが期待されるところであり、工業的な実用化が待たれている。
【0003】
このようなアルケンの製造方法としては、例えば、α,β−不飽和カルボニル化合物等の電子吸引性基含有不飽和化合物とアルデヒドからα−ヒドロキシアルキル化されたアルケンを与える反応が、森田−Baylis−Hillman反応として広く知られている(例えば、非特許文献1又は2参照。)。この反応は、3級アミン又はリン等の化合物の存在下で行われ、高い原子効率で有用な化合物を簡便に与える特徴をもつが、一般に反応速度が非常に遅いため、工業的にはその生産性の向上が課題となっている。
【0004】
森田−Baylis−Hillman反応において、触媒としてのアミンに加えて、アルカリ金属炭酸塩等の無機塩を更に添加することが開示されている(例えば、非特許文献3〜5参照。)。しかしながら、森田−Baylis−Hillman反応においてホルムアルデヒド(HCHO)を基質に用いた場合、コストメリットのある工業的な生産条件においては、その転換率が反応途中で停止することが知られており、精製時にHCHOの除去工程が必須となっているが、これらの文献には、基質としてホルムアルデヒドを用いた例は開示されていないうえに、下記の点において工夫の余地があった。
【0005】
すなわち、非特許文献3では、反応溶液としてNaHCO水溶液を用いることが開示されている。しかしながら、反応にはアミンが基質であるアルデヒドと当量必要であり、更に、アルデヒド基質に対して加えるNaHCOの量が200〜400mol%必要であることから、アミンやNaHCOの添加量削減が求められている。
また、非特許文献4では、アミンを触媒量使用し、反応溶液としてジエチルエーテルを用い、LiClOの添加が有効であることが開示されている。しかしながら、ジエチルエーテルは爆発性の危険性が高く、LiClOもまた爆発性を有しており、反応温度も室温以下であるため、工業的見地から安全性やコストパフォーマンスを充分なものとするために、溶媒と添加塩の転換、及び、反応温度の改善が必要であった。更に、ジエチルエーテルは極性が低いため、ホルムアルデヒドのような親水性の高い基質は用いることができない。
【0006】
一方、非特許文献5では、アクリロニトリルとベンズアルデヒドを基質に用いて、森田−Baylis−Hillman反応を水中で行い、無機塩を添加すると、LiI>NaI>KI>CsIの順に反応加速効果が得られることが開示されている。しかしながら、反応温度が室温であり、また、基質に対して加える塩の量が200mol%と多いことから、反応熱やその除熱にかかるコスト、及び、廃塩処理コストに関して、例えば、室温以上の反応温度で行い、塩の添加量を削減する等、工業的に有利なものとすることが求められることになる。
【0007】
またシリカゲル(>200メッシュ)上に基質及び触媒を混ぜ込み、固相で森田−Baylis−Hillman反応を進行させる方法が開示されている(例えば、非特許文献6参照。)。この方法は、(1)基質や触媒に対し、シリカゲルが大過剰に存在する固相反応であり、(2)反応後に酢酸エチルで生成物を抽出するものである。しかしながら、過剰なシリカゲルが必要となり、抽出溶媒が別途必要となることから、生産性の観点において有利なものとする工夫の余地があった。
【0008】
また硫黄化合物やセレン化合物(第16族化合物)と、四塩化チタン(第17族化合物)等を併用することで森田−Baylis−Hillman反応を進行させることが開示されている(例えば、非特許文献7参照。)。しかしながら、基質としてホルムアルデヒドを用いた例は開示されておらず、ホルムアルデヒドを用いた場合に、効率よく水酸基含有アルケンを製造する工夫の余地があった。
【非特許文献1】シガネク(Ciganek,E.)「オーガニックリアクション(Org.React.)」、(米国)、1997年、51巻、p201.
【非特許文献2】バサバイア(Basavaiah,D.)、他2名、「ケミカルレビュー(Chem.Rev.)」、(米国)、2003年、103巻、p811.
【非特許文献3】ルオ(Luo,S.)、他2名、「ジャーナルオブオーガニックケミストリー(J.Org.Chem.)」、(米国)、2004年、69巻、p555.
【非特許文献4】カワムラ(M,Kawamura.)、他1名、「テトラヘドロンレターズ(Tetrahedron Letters)」、(英国)、1999年、40巻、p1539.
【非特許文献5】オージェ(Auge,J.)、他2名、「テトラヘドロンレターズ(Tetrahedron Letters)」、(英国)、1994年、35巻、p7947.
【非特許文献6】バサバイア(Basavaiah,D.)、他1名、「インディアン・ジャーナル・オブ・ケミストリー(Indian Journal of Chemistry.)」、(インド)、2001年、40B巻、p811.
【非特許文献7】カタオカ(Kataoka,T.)、「ケミカルコミュニケーション(Chem.Commun.)」、(英国)、1998年、p197.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、高屈折率及び耐熱性を備えた重合体の製造に供される単量体;塗料、接着剤、洗剤ビルダー等の各種化学製品の製造原料;抗癌剤、抗ウイルス剤等の医薬品の中間体等として広範囲に用いられる水酸基含有アルケンを効率よく製造する方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、水酸基含有アルケンの製造方法について種々検討したところ、森田−Baylis−Hillman反応において水系溶媒を用いる場合、Diels−Alder反応の場合と異なり、塩の添加による単純な疎水効果のみでその加速効果を系統的に説明することができず、使用溶媒や基質の種類等により効果的な塩が異なることに着目し、基質としてホルムアルデヒド(HCHO)を用いる場合に、従来よりも少ない量で反応速度を向上させる塩が存在することを見出した。森田−Baylis−Hillman反応における塩の添加効果(反応を加速させる塩の種類)は、基質・反応条件等により左右されるため、予測することが困難であり、また、ホルムアルデヒドは、従来用いられていたベンズアルデヒドに比べて、親水性が高く、重合しやすい等の物性を有することから取り扱いにくく、また反応性も低いとされているが、反応条件を特定のものとすることにより、ホルムアルデヒドを基質として用いた場合においても、反応を加速させる塩が存在することや、塩の添加量を特定値以下にできることを見いだし、反応効率の点で工業的に有利な条件で行うことができることに想到した。更に、塩以外にも、第1〜2族からなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素を含む化合物、例えば、酸化物やゼオライト(ゼオライトは一般に塩の部位も有する)が有効であることを見いだした。特にゼオライトはその効果が顕著であり、かつ、固体であるため反応後の分離回収も容易であり、生産性の観点において有利なものとすることができることを見いだした。また、このような形態とすることにより、過剰なシリカゲルを必要とせず、液相反応であることから抽出工程も不要となることを見いだし、本発明に到達したものである。
【0011】
またこのような塩及び/又は第1〜2族からなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素を含む化合物(以下、塩等とも言う。)をアミン触媒等と併用することにより、コストメリットのある工業的な生産条件においても、転換率を充分に高いものとすることができ、使用するアミン及び塩等の量を充分低減することができることを見いだした。更に、塩等を添加することにより、反応場の極性を向上させたり、基質の溶解性を高めることができる場合等には、基質としてホルムアルデヒド(HCHO)を用いる反応において、原料のパラホルムアルデヒドや、反応生成物とパラホルムアルデヒドが重合して生成するヘミホルマールの解重合反応が容易となり、また、反応中間体の溶媒和による安定化や、ホルムアルデヒドの活性化のために、転換率が反応途中で停止せず、反応速度の促進に繋がることを見いだした。また、反応場の塩基性をより高めることができる場合には、触媒として用いるアミンのアンモニウム塩との平衡反応において、アンモニウム塩ではなく反応に関与するアミン量が増加する方向に平衡が移動することから、反応速度の促進に繋がることも見いだした。更に、塩等としてゼオライトを使用した場合には、細孔内での基質濃縮効果により、高圧条件上の下で有利となる森田−Baylis−Hillman反応を促進させる効果があることも見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。そして、得られるアルケンは、水酸基が導入されたものであることから、種々の重合体の製造に供される単量体;各種化学製品の製造原料;医薬品の中間体等の各種用途に好適に用いられるものとできることを見いだし本発明に到達したものである。
【0012】
すなわち本発明は、ホルムアルデヒドと電子吸引性基を有するアルケンとから、第15族〜17族からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含む化合物を用いて水酸基含有アルケンを製造する方法であって、上記製造方法は、ホルムアルデヒドに対して100モル%未満で、塩及び/又は第1〜2族からなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素を含む化合物を反応溶液中に共存させ、反応温度を40℃以上とする工程を含む水酸基含有アルケンの製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
【0013】
本発明は、ホルムアルデヒドと電子吸引性基を有するアルケンとから、第15族〜17族からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含む化合物(以下、単に第15族〜17族の元素を含む化合物とも言う。)に、反応溶液中に塩等を共存させて水酸基含有アルケンを製造する方法である。このようなアルケンは、下記一般式(1);
【0014】
【化1】

【0015】
(式中、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は有機基を表す。EWGは、電子吸引性基を表す。)で表される反応により得ることができる。なお、EWG(electron withdrawing group)は、電子吸引性を有する基である限り特に限定されないが、エステル、ケトン、アミド、スルホナート、スルホキシド、ホスホナート、チオエステル、ニトリル等が好適である。
本発明においては、基質としてホルムアルデヒドを用いるため、上記一般式(1)により得られるアルケンが、ホルムアルデヒドが有する酸素元素を、水酸基として持つことになり、各種用途に好適に用いることができるものとすることができる。
上記ホルムアルデヒドの原料は、予め加熱分解により調製した単量体ホルムアルデヒドでもよく、パラホルムアルデヒドやトリオキサン等の多量体を用いて、反応系中でホルムアルデヒドやそのアセタール構造体を発生させてもよい。
【0016】
上記第15族〜17族の元素を含む化合物としては、3級アミン化合物等の窒素元素を含む化合物、リン化合物、酸素化合物、硫黄化合物、セレン化合物、フッ素化合物、塩素化合物、臭素化合物、ヨウ素化合物が好適である。これらの中でも、窒素元素を含む化合物がより好ましい。窒素元素を含む化合物は、比較的低価格で入手容易な上、反応液中に共存させる塩等の使用量も少量とすることができる。また、後述するように、電子吸引性基を有するアルケンとしてアクリル酸エステルを用いることが好適であり、この場合、重合副反応を抑制するために酸素を含むことが必須となるが、窒素元素を含む化合物は、酸素に対する耐酸化性も高く、好適に用いることができる。
【0017】
上記窒素元素を含む化合物としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、ヘキサメチレンテトラミン、キヌクリジン、3−ヒドロキシキヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、キナアルカロイド類や、N,N−ジメチルエチルアミン、N,N−ジメチル−n−プロピルアミン、N,N−ジメチルイソプロピルアミン、N,N−ジメチル−n−ブチルアミン、N,N−ジメチルイソブチルアミン、N,N−ジメチル−tert−ブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチル(トリメチルシリル)アミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルアミンのポリエチレンオキサイドの付加物、N,N’−ジメチルピペラジン、N,N−ジメチルアミノピリジン等のジメチルアミン類;N−メチルジエチルアミン、N−メチルジ−n−プロピルアミン、N−メチルジイソプロピルアミン、N−メチルジ−n−ブチルアミン、N−メチルジイソブチルアミン、N−メチルジ−tert−ブチルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルピペラジン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン−2−メタノール、N−メチルピロリジン−2−メタノール、N−メチルピロリジン−2−エタノール等のメチルジアルキルアミン類の1種又は2種類以上が好適である。また、アミノ基を有する高分子化合物、イオン交換樹脂、マイクロカプセル、粘土化合物、ヘテロポリ酸、ゼオライト、オキシナイトライド等の固体化合物も使用できる。これらの中でも、トリメチルアミンのような少なくとも1つ以上のメチル基を有する3級アミン、ヘキサメチレンテトラミン、キヌクリジン、3−ヒドロキシキヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、アミノ基を有する高分子化合物、イオン交換樹脂、マイクロカプセルがより好ましく、トリメチルアミン、キヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、N,N−ジメチルエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジンが更に好ましい。
【0018】
上記リン化合物、酸素化合物、硫黄化合物、セレン化合物、フッ素化合物、塩素化合物、臭素化合物、ヨウ素化合物としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、テトラフルオロホウ酸で安定化されたトリ−n−ブチルホスフィン、トリイソブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、2’−ジフェニルホスファニル−[1,1’]ビナフタレニル−2−オール、N(CHCHNMe)P、N(CHCHN(i−Pr))P、N(CHCHN(i−Bu))P、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ジメチルスルフィド、ジチアン、N(CHCHNMe)PS、N(CHCHN(i−Pr))PS、N(CHCHN(i−Bu))PS、2,6−ジフェニル−チオピラン−4−オン、2,6−ジフェニル−チオピラン−4−チオン、トリメチルシリルフェニルスルフィド、リチウムチオフェノキシド、2,6−ジフェニル−セレノピラン−4−オン、2,6−ジフェニル−セレノピラン−4−セレノン、トリメチルシリルフェニルセレニド、リチウムセレノフェノキシド、フッ化ホウ素、塩化チタン、塩化ジルコニウム、塩化ホウ素、塩化アルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、塩化エチルアルミニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化チタン、臭化ジルコニウム、臭化ホウ素、臭化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化ジエチルアルミニウム等が好ましい。これらは1種又は2種類以上で用いてもよい。場合によっては、上記化合物の一部が得られる生成物に残存する場合があるが、適切な処理によりアルケンへと導くことが可能である。
【0019】
上記第15族〜17族の元素を含む化合物は、固体状、液体状、ガス状等の種々の状態での使用が可能である。水溶液の状態として使用することにより、反応開始時及び反応時における取扱いが容易になると共に、反応終了後に該化合物を回収して再使用する場合における取扱い等も容易となる場合には、5〜80重量%水溶液として使用することも可能である。
上記第15族〜17族の元素を含む化合物の使用量としては、特に制限されるものでないが、該化合物/ホルムアルデヒド(モル比)は、0.05〜2であることが好ましい。0.05〜2のモル比とすることにより、反応速度を高く維持することができると共に、高い選択率で目的物とするアルケンを得ることができる。上記モル比が0.05未満又は2よりも大きい場合には、反応速度、及び、アルケンの選択率が低下するおそれがある。また、原料である電子吸引性基を有するアルケン、又は、生成物であるアルケンの加水分解反応が起こるおそれがあり、副反応物の生成が多くなるおそれがある。さらに、工業的に実施する場合には、第15族〜17族の元素を含む化合物の回収コストが高くなるおそれがある。上記使用量としてより好ましくは、0.05〜0.99であり、更に好ましくは、0.07〜0.9であって、ホルムアルデヒドに対して触媒量である方がより好ましい。
なお、上記第15族〜17族の元素を含む化合物の反応系への添加方法は、特に限定されるものではない。
【0020】
本発明の水酸基含有アルケンの製造方法においては、塩及び/又は第1〜2族からなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素を含む化合物(塩等)を反応溶液中に共存させることになる。上記塩等を反応溶液中に共存させることにより、一般式(1)で表されるアルケン生成反応の反応速度を向上させ、転換率を充分に高いものとすることができ、また、使用するアミン及び塩等の量を充分低減することができることから、工業的に充分生産性の高い反応とすることができる。
本発明において塩とは、それ単独では目的の森田−Baylis−Hillman反応を進行させる触媒と成り得ないものであり、1つ以上の解離し得る水素イオンを、金属イオンやアンモニウムイオン等のカチオンで置換した化合物を指し、系中において塩の形態になればよく、溶解してもよいし、溶解していなくてもよい。上記塩は、水中で中性もしくは塩基性を示すことが好ましい。また、第15〜17族の元素を含む化合物骨格に、上記塩部位を有していてもよい。上記塩は、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、ゼオライト、チタニア、ジルコニア、複合酸化物等の無機化合物上に担持されたものであってもよい。
【0021】
上記塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、スカンジウム、ランタン、チタン、ジルコニウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、又は、ハロゲンを含む化合物であることが好ましい。これらの中でも、アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含む化合物であることがより好ましい。
上記アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含む化合物としては、イオン交換樹脂、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、アルミナ担持フッ化ナトリウム、アルミナ担持フッ化カリウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化セシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化セシウム、臭化マグネシウム、臭化カルシウム、臭化バリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化バリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、燐酸リチウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸セシウム、燐酸マグネシウム、燐酸カルシウム、燐酸バリウム、アルコール類アルカリ金属塩、アルコール類アルカリ土類金属塩、フェノール類アルカリ金属塩、フェノール類アルカリ土類金属塩、ナフトール類アルカリ金属塩、ナフトール類アルカリ土類金属塩、ビナフトール類アルカリ金属塩、ドデシル硫酸ナトリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、ヘキサフルオロ燐酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウムが好適である。
【0022】
上記スカンジウム、ランタン、チタン、ジルコニウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、又は、ハロゲンを含む化合物としては、水酸化スカンジウム、炭酸スカンジウム、塩化スカンジウム、臭化スカンジウム、ヨウ化スカンジウム、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム、水酸化ランタン、炭酸ランタン、塩化ランタン、臭化ランタン、ヨウ化ランタン、燐酸ランタン、トリフルオロメタンスルホン酸ランタン、水酸化チタン、塩化チタン、臭化チタン、ヨウ化チタン、チタンテトライソプロポキシド、酸化チタン、水酸化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、臭化ジルコニウム、ヨウ化ジルコニウム、ジルコニウムテトライソプロポキシド、酸化ジルコニウム、酸化マンガン、水酸化マンガン、炭酸マンガン、マンガンアセチルアセトナート、酢酸マンガン、塩化マンガン、臭化マンガン、ヨウ化マンガン、酸化鉄、水酸化鉄、炭酸鉄、鉄アセチルアセトナート、酢酸鉄、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄、酸化銅、水酸化銅、炭酸銅、銅アセチルアセトナート、酢酸銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、トリフルオロメタンスルホン酸銅、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトナート、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、アルミニウムトリイソプロポキシド、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラヘキシルアンモニウム、塩化テトラオクチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ピリジニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラプロピルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラヘキシルアンモニウム、臭化テトラオクチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ピリジニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラヘキシルアンモニウム、ヨウ化テトラオクチルアンモニウム、ヨウ化セチルトリメチルアンモニウム、ヨウ化ピリジニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等が好適である。
上記塩としては、上記例示の化合物の1種又は2種以上を用いることができる。
【0023】
これらの中でも、アルミナ担持フッ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、燐酸マグネシウム、ヘキサフルオロ燐酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、燐酸ランタン、水酸化ランタン、水酸化チタン、チタンテトライソプロポキシド、水酸化鉄、ヨウ化鉄、水酸化銅、ヨウ化銅、水酸化亜鉛、ヨウ化亜鉛、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛、水酸化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、アルミニウムトリイソプロポキシド、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラヘキシルアンモニウム、ヨウ化テトラオクチルアンモニウム、ヨウ化セチルトリメチルアンモニウム、ヨウ化ピリジニウムが好ましい。より好ましくは、アルミナ担持フッ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、燐酸マグネシウム、ヘキサフルオロ燐酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、燐酸ランタン、水酸化ランタン、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛、水酸化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、アルミニウムトリイソプロポキシド、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラヘキシルアンモニウム、ヨウ化テトラオクチルアンモニウム、ヨウ化セチルトリメチルアンモニウム、ヨウ化ピリジニウムであり、更に好ましくは、アルミナ担持フッ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、ヘキサフルオロ燐酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウムである。上記塩の添加により、反応系中の極性が変化し、基質の溶解度や、溶媒和、ホルムアルデヒドの活性化度も変化すると共に、塩基性度の向上や、反応中間体(両性イオン)のイオン交換が起こる等により、反応速度が著しく促進されることになる。上記塩は、反応前に反応液中に加えても、反応開始時に基質と同時に加えても、反応途中に加えてもよい。
【0024】
上記第1〜2族からなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素を含む化合物は、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されず、例えば、酸化物、ゼオライト、オキシナイトライド、窒化物、硫化物が好適である。中でも、酸化物、ゼオライトが好ましい。このように、上記製造方法で用いられる第1〜2族からなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素を含む化合物は、酸化物及び/又はゼオライトである水酸基含有アルケンの製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記酸化物としては、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ルビジウム、酸化セシウム、酸化フランシウム、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、ハイドロタルサイト、モンモリロナイト、雲母、粘土鉱物、MCM−41やFSM−16に代表されるメソ多孔体、非シリカ系メソ多孔体が好適である。特に、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化セシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、ハイドロタルサイトのように、強い塩基性の酸化物が好ましい。より好ましくは、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化セシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、ハイドロタルサイトであり、更に好ましくは、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、ハイドロタルサイトである。
【0025】
上記ゼオライト(ゼオライトは一般に塩の部位も有する)としては、A型(構造コードLTA)、フェリエライト型(構造コードFER)、ZSM−5型(構造コードMFI)、ZSM−11型(構造コードMEL)、モルデナイト型(構造コードMOR)、ベータ型(構造コードBEA)、X型(構造コードFAU)、Y型(構造コードFAU)、UTD−1型、CIT−5型(構造コードCFI)、ITQ−7型(構造コードISV)、CIT−1型(構造コードCON)、ITQ−4型(構造コードIFR)、MCM−22型(構造コードMWW)、チェルトネライト型(構造コードTSC)、ALPO・SAPO・MeAPO・MeAPSOに代表されるリン酸塩系ゼオライト等が好適である。より好ましくは、A型(構造コードLTA)、ZSM−5型(構造コードMFI)、ZSM−11型(構造コードMEL)、モルデナイト型(構造コードMOR)、ベータ型(構造コード(BEA)、X型(構造コードFAU)、Y型(構造コードFAU)、CIT−5型(構造コードCFI)、ITQ−7型(構造コードISV)、ITQ−4型(構造コードIFR)、MCM−22型(構造コードMWW)、チェルトネライト型(構造コードTSC)であり、更に好ましくは、A型(構造コードLTA)、ZSM−5型(構造コードMFI)、ZSM−11型(構造コードMEL)、モルデナイト型(構造コードMOR)、ベータ型(構造コードBEA)、X型(構造コードFAU)、Y型(構造コードFAU)、MCM−22型(構造コードMWW)である。ゼオライトは一般にカチオンサイトを有するものであり、そのカチオンサイトに、第1〜2族からなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素を有することになる。このカチオンサイトは、一部他の族のカチオンで交換していてもよい。
上記塩及び/又は第1〜2族からなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素を含む化合物は、1種又は2種以上を用いることができ、反応前に反応液中に加えても、反応開始時に基質と同時に加えても、反応途中に加えてもよい。
【0026】
本発明の製造方法は、上記ホルムアルデヒドに対して100モル%以下で、塩及び/又は第1〜2族からなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素を含む化合物(塩等)を反応溶液中に共存させ、反応温度を40℃以上とする工程を含むものである。本発明では、塩等の使用量、反応温度を上記範囲とすることができ、従来のベンズアルデヒドを用いた場合の反応温度や基質の使用量等に起因する反応効率の問題点を改善し、工業的に有利な条件で行うことができる。
上記塩等の含有量は、ホルムアルデヒドのモル数に対して、塩等のモル量が100mol%未満であることが好ましい。塩等の含有量を100mol%より多くすると、コストの面で不利となり、工業的に生産性の高い製造方法とすることができないおそれがある。上記塩等のモル数としてより好ましくは、90mol%以下であり、更に好ましくは、50mol%以下であり、特に好ましくは10mol%以下である。
上記塩等の含有量は、0.0001mol%以上であることが好ましい。上記反応温度としては、40℃以上であることが好ましい。より好ましくは、50℃以上であり、更に好ましくは、55℃以上である。
【0027】
上記電子吸引性基を有するアルケンとしては、上述した電子吸引性基(EWG)、R及びRを適宜選択することにより適当なものとできる。EWGとしては、エステル、ケトン、アミド、スルホナート、スルホキシド、ホスホナート、チオエステル、ニトリル等が好適である。中でも、アミド基、ニトリル基、ケトン基、又は−COORで表されるエステル基(Rは、有機残基を表す。)である化合物であることが好ましい。より好ましくは、RもしくはRが水素原子であって、EGWが上記の基であるものである。すなわち、上記電子吸引性基を有するアルケンとしては、EWGがアミド基であるアクリルアミド等、ニトリル基であるアクリルニトリル等、ケトン基であるアルキルビニルケトンやシクロアルケノン等、エステル基であるアクリル酸エステル(アクリレート系化合物)等である。更に好ましくは、アクリル酸エステルである。すなわち、本発明の好ましい形態としては、電子吸引性基を有するアルケンは、アクリル酸エステルであり、第15族〜17族からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含む化合物は、窒素元素を含む化合物である水酸基含有アルケンの製造方法も挙げられる。
【0028】
上記Rで示される有機残基は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、アリール基、炭素数1〜12のヒドロキシアルキル基、−(CHNR基、−(CH・M基、又は、−(CO)基を表す。上記R、R及びRは、同一若しくは異なって、炭素数1〜12の直鎖状又は枝分かれ鎖状のアルキル基を表す。mは、2〜5の整数である。Mで示される陰イオンは、Cl、Br、CHCOO、HCOO、SO2−又はPO3−を表す。Rは、炭素数1〜18の直鎖状又は枝分かれ鎖状のアルキル基を表す。nは、1〜80の整数である。
【0029】
上記のアルキルビニルケトンやシクロアルケノンとしては、例えば、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、イソプロピルビニルケトン、ブチルビニルケトン、シクロヘキシルビニルケトン、フェニルビニルケトン、シクロペンテノン、シクロヘキセノン、シクロヘプテノン等の1種又は2種以上が好適である。これらアルキルビニルケトンのうち、メチルビニルケトン、及び、イソプロピルビニルケトン、シクロペンテノン、シクロヘキセノンが特に好ましい。
【0030】
上記アクリレート系化合物としては、下記(a)〜(g)のアクリレートが好適である。
(a)置換基が炭素数1〜18のアルキル基であるアクリレート。例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート等。
(b)置換基が炭素数3〜12のシクロアルキル基であるシクロアルキルアクリレート。例えば、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメチルアクリレート等。
【0031】
(c)置換基がアリールであるアリールアクリレート。例えば、フェニルアクリレート、o−メトキシフェニルアクリレート、p−メトキシフェニルアクリレート、p−ニトロフェニルアクリレート、o−メチルフェニルアクリレート、p−メチルフェニルアクリレート、p−tert−ブチルフェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、ナフチルアクリレート等。
(d)置換基が炭素数3〜12のヒドロキシアルキル基のヒドロキシアルキルアクリレート。例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、糖鎖含有アクリレート等。
(e)置換基が−(CHNR基であるアルキルアミノアクリレート。例えば、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリレート、N,N−ジメチルアミノブチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノブチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノペンチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノネオペンチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノネオペンチルアクリレート等。
【0032】
(f)置換基が−(CH・M基であるアルキルアミノアクリレートの第四級アンモニウム化合物。例えば、N,N−ジアルキルアミノアクリレートの第四級アンモニウム化合物等。
(g)置換基が−(CO)基であるアクリレート類。例えば、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、ラウリルオキシトリオキシエチルアクリレート、nが1〜80、好ましくは1〜30のメトキシポリオキシエチレンアクリレート等。
【0033】
ホルムアルデヒドと電子吸引性基を有するアルケンの使用量としては、ホルムアルデヒドに対し電子吸引性基を有するアルケン(電子吸引性基を有するアルケン/ホルムアルデヒド)が、モル比で、0.5〜10であることが好ましい。モル比が0.5未満である場合には、反応速度が遅く、また、モル比が10を越える場合には、過剰の電子吸引性基を有するアルケンの回収に多大の労力が必要となり、工業的実施においては好ましくない。より好ましくは、0.8〜5であり、更に好ましくは、1〜4である。
【0034】
本発明に用いる反応溶液としては、上記一般式(1)で表される反応を好適に進行させることができるものであれば特に限定されないが、本発明の反応速度を充分なものとし、安全性に優れたものであることが好適である。このような反応溶液としては、水を含む水系反応溶液であることが好ましい。水系反応溶液とすることで、原料のホルムアルデヒドの系中への溶解性が増すと同時に、ホルムアルデヒド重合化合物類の解重合も促進され、また、反応場の極性も向上することから、反応速度が向上することとなる。
【0035】
上記水系反応溶液は、塩基性であることが好ましい。反応溶液を塩基性とすることで、(1)反応生成物とホルムアルデヒド重合化合物が反応して生成するヘミホルマールや、原料のパラホルムアルデヒドの解重合反応が促進されるため、転換率が反応途中で停止せず、また、(2)触媒として用いるアミンのアンモニウム塩との平衡反応が、アミン量が増加する方向に平衡が移動することから、(3)アミン及び塩等の量を充分低減することができるとともに、反応速度が促進することになる。
上記反応溶液のpHとしては、7〜14が好ましい。より好ましくは、7.5〜13.5である。上記反応溶液を塩基性にする方法としては、第15〜17族の元素を含む化合物を添加するだけでよいが、適当な上記塩等を添加することにより、系中を更に好ましい塩基性度にできることとなる。
【0036】
上記反応反応溶液中に存在する水の量としては、ホルムアルデヒドと電子吸引基を有するアルケンの合計重量に対し、0.001質量%以上60質量%以下にすることが好ましい。より好ましくは、0.005質量%以上50質量%以下であり、更に好ましくは、0.01質量%以上40質量%以下である。水は反応中であればいつ添加してもよいが、基質、触媒や溶媒に含まれる水以外に積極的に水を添加する場合、その方法としては、例えば、上記基質等からなる混合物に水を混合する方法;第15〜17族からなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含む化合物に水を予め混合し、該化合物の水溶液を調製して添加する方法等の1種類又は2種類以上の方法が好適である。
上記水の使用量としては、例えば、電子吸引性基を有するアルケンとしてメチルアクリレートを用い、アルデヒドとしてホルムアルデヒドを用い、第15族〜17族の元素を含む化合物としてトリメチルアミンを用いる場合には、メチルアクリレート及びホルムアルデヒドの合計量に対する水の量が0.01質量%〜40質量%となるように、水を添加することが好ましい。
【0037】
本発明においては、必要に応じて、有機溶媒を用いることができる。上記溶媒の種類は、反応に用いる基質及び触媒を溶解し、かつ、反応に対して不活性な化合物であれば、特に限定されるものではない。このような溶媒の使用量は、特に限定されるものではなく、例えば、電子吸引基を有するアルケン、ホルムアルデヒド、触媒の種類(性質)、及び、これらの組み合わせ、使用量;得られるアルケンの性質;反応温度等の反応条件等により、適宜設定すればよい。溶媒は、1種類のみを用いてもよく、また、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。なお、電子吸引性基を有するアルケンを大過剰に使用し、該アルケン化合物を溶媒として使用することもできる。
【0038】
上記反応溶液は、極性溶媒を含むものであってもよい。この場合、使用する水の量は、添加する極性溶媒との組み合せの中で反応初期(好ましくは反応終了時においても)において均一系となる範囲とすることが好ましく、極性溶媒との組み合せ、又は、使用する電子吸引性基を有するアルケンの種類等により適宜設定することができる。
【0039】
上記極性溶媒としては、基質や触媒、及び、水を相溶化させる化合物であることが好ましく、このようなものである限り特に限定されるものでない。例えば、アセトニトリル、ピリジン、メチルピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−エチルピロリジン、N−メチルピペラジン、N−エチルピペラジン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノエタン、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノプロパン等の3級アミン化合物;ポリエチレングリコール類;イオン性液体;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のアミド化合物が好適である。これらの中でも、アセトニトリル、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンがより好ましい。なお、蒸留して容易に回収が可能な常圧において沸点が30℃〜250℃のものも好適に用いることができる。
【0040】
本発明においては、用いる電子吸引性基を有するアルケン、及び、生成物であるアルケンが、重合しやすい性質を有している場合には、共に重合し易い性質を有していることから、反応時の重合を抑制するために、反応系に重合防止剤(又は重合禁止剤)や分子状酸素を添加することが好ましい。
【0041】
前記重合防止剤としては、重合防止剤としての作用を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、tert−ブチルヒドロキノン、2,4−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,4−ジメチルヒドロキノン等のキノン類;フェノチアジン等のアミン化合物;2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、p−メトキシフェノール等のフェノール類;p−tert−ブチルカテコール等の置換カテコール類;置換レゾルシン類;テトラメチルピペリジン−N−オキシド、4−ヒドロキシ−テトラメチルピペリジン−N−オキシド等の安定遊離基含有化合物等の1種又は2種類以上を好適に用いることができる。
【0042】
上記重合防止剤の添加量は、特に限定されるものでないが、例えば、電子吸引性基を有するアルケンに対する割合が、0.0001〜5重量%の範囲内となるようにすればよい。分子状酸素としては、例えば、空気又は分子状酸素と窒素との混合ガスを用いることができる。この場合、反応溶液に分子状酸素を含有するガスを吹き込むようにすればよい。そして、上記重合を充分に抑制するために、重合防止剤と分子状酸素とを併用することが好ましい。
【0043】
本発明の反応において、反応温度は、反応が進行する範囲であれば特に限定されるものでないが、上記重合を抑制するために、40〜150℃の範囲内が好ましい。反応温度が40℃よりも低い場合には、反応速度が小さく反応時間が長くなり過ぎ、目的生成物を工業的に製造するに際しては好ましくない。また、反応温度が150℃を越える場合には、前記した重合を抑制することが困難となる。より好ましくは、60〜80℃の範囲内である。
【0044】
上記反応の反応圧力は、反応が好適に進行するものである限り特に限定されず、常圧(大気圧)、減圧、加圧のいずれであってもよい。反応時間は、他の反応条件等を考慮して適宜設定すればよく、特に限定されるものでないが、一般的には、1〜48時間程度でよい。
【0045】
本発明の反応においては、反応の更なる促進を目的として、添加剤を反応液に添加することができる。添加剤としては、反応に悪影響を及ぼさない限り特に限定されないが、例えば酸や、水酸基含有化合物、エーテル化合物等が好ましい。より好ましくは、酸としては、鉱酸類;カルボン酸類;フェノール、ナフトール、ビナフトール等の芳香環に結合した水酸基含有化合物;尿素、チオ尿素及びその誘導体;テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等の酸類;シリカゲル、アルミナ、シリカアルミナ、ゼオライト、酸性イオン交換樹脂、酸化合物担持マイクロカプセルや高分子化合物、ヘテロポリ酸等の固体酸類等であり、メタノール、エタノール、エチレングリコール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ポリエチレングリコール、トリエタノールアミン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、クラウンエーテル、ポリエチレングリコールエーテル等である。場合によっては、上記第15〜17族の元素を含む化合物及び/又は上記塩等の化合物骨格に、上記酸部位や、水酸基部位、エーテル部位が含まれていてもよい。
【0046】
反応終了後は、必要に応じて、蒸留、ろ過、抽出、遠心分離、再結晶、乾燥等の工程を経て分離・精製することにより、目的のアルケン生成物を得ることができる。このような分離・精製工程としては、反応溶液が有機相と水相とを含む場合、分液等の所定の操作を行い、反応溶液を有機相と水相とに分離し、有機相を常圧蒸留(精留)又は減圧蒸留(精留)等することにより、生成物であるアルケンを単離・精製することができ、同時に、未反応のアルケン又は溶媒を容易に分離・回収することができる。未反応のアルケン及び溶媒は、高純度で回収されるので、反応に再度使用することができる。また、第15〜17族の元素を含む化合物や塩等は、有機層や水層の蒸留や抽出を適宜行うことにより回収することができる。
【0047】
上記反応条件の下において一般式(1)で表される反応が進行することにより、アルケンが得られることになるが、このようなアルケンとしては、上記電子吸引性基を有するアルケンを適宜選択することにより好適なものを選択できることになる。
上記アルケンとしては、具体的には、メチル 2−(ヒドロキシメチル)アクリレート、エチル 2−(ヒドロキシメチル)アクリレート、n−ブチル 2−(ヒドロキシメチル)アクリレート、tert−ブチル 2−(ヒドロキシメチル)アクリレート、2−エチルヘキシル 2−(ヒドロキシメチル)アクリレート、シクロヘキシル 2−(ヒドロキシメチル)アクリレート等のアルキル 2−(ヒドロキシメチル)アクリレート類等を好適に得ることができる。中でも、メチル 2−(ヒドロキシメチル)アクリレート、エチル 2−(ヒドロキシメチル)アクリレートをより好ましく得ることができる。
【発明の効果】
【0048】
本発明の水酸基含有アルケンの製造方法は、上述の構成よりなり、高屈折率及び耐熱性を備えた重合体の製造に供される単量体;塗料、接着剤、洗剤ビルダー等の各種化学製品の製造原料;抗癌剤、抗ウイルス剤等の医薬品の中間体等として広範囲に用いられる水酸基含有アルケンを森田−Baylis−Hillman反応を用いて効率よく製造する方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、「%」は「mol%(モル%)」を意味するものとする。
【0050】
実施例1〜16
蓋付き試験管にアクリル酸メチル(20mmol)、92重量%パラホルムアルデヒド(5mmol)、第15〜17族の元素を含む化合物(触媒)として30重量%トリメチルアミン水溶液(20mol%)、及び、表1に示す塩(0.25mmol)を加え、70℃で4時間攪拌して反応させた。得られたメチル 2−(ヒドロキシメチル)アクリレートの収率(%)を表1に示した。収率は、パラホルムアルデヒドに対するメチル 2−(ヒドロキシメチル)アクリレートの収率を、ガスクロマトグラフィー測定により求めた。
なお、表1中、Ti(O−iPr)はチタンテトライソプロポキシド、Zn(OTf)はトリフルオロメタンスルホン酸亜鉛、TBAIはヨウ化テトラブチルアンモニウムを示す。
【0051】
使用ガスクロマトグラフィー;HEWLETT PACKARD HP−6890
使用カラム;TC−WAX
分析条件;カラム温度35℃で10分保持、20℃/分で昇温、200℃で10分保持
【0052】
比較例1
塩等を用いない以外は実施例1と同様にして反応させた。結果を表1に示した。
【0053】
【表1】

【0054】
NaYは、Naカチオンに持つY型ゼオライト(Si/Al=5.5)を示し、TOSOHより購入した。HYは、Hをカチオンに持つY型ゼオライト(Si/Al=5.1)を示し、Zeolystより購入した。MS3A(モレキュラーシーブ3A)は、Kをカチオンに持つA型ゼオライトを示し、キシダ化学より購入した。NaXは、Naをカチオンに持つX型ゼオライトを示し、Aldrichより購入した。Na−ZSM−5は、Naをカチオンに持つZSM−5型ゼオライトを示し、Zeolystより購入した。ハイドロタルサイトは、[MgAl(OH)16CO・4HO]を示し、富田製薬より購入した。
【0055】
KYは、Kをカチオンに持つY型ゼオライト(Si/Al=5.5)を示し、次のように調製した。KNO(10.1g)を溶かしたイオン交換水(50mL)にNaY(4.1g)を加え、6時間室温で攪拌した後、濾過した。同様の操作を3回行った後、漏斗上でイオン交換水(50mL)を用いて3回洗浄し、550℃で3時間焼成することにより、KYを得た。
CsYは、Csをカチオンに持つY型カチオン(Si/Al=5.5)を示し、次のように調製した。CsNO(4.9g)を溶かしたイオン交換水(25mL)にNaY(1.0g)を加え、6時間室温で攪拌した後、濾過した。同様の操作を3回行った後、漏斗上でイオン交換水(50mL)を用いて3回洗浄し、550℃で3時間焼成することにより、CsYを得た。
【0056】
LaYは、Laをカチオンに持つY型ゼオライト(Si/Al=5.5)を示し、次のように調製した。La(NO・7HO(10.9g)を溶かしたイオン交換水(100mL)にNaY(4.1g)を加え、72時間室温で攪拌した後、濾過した。同様の操作を3回行った後、漏斗上でイオン交換水(50mL)を用いて3回洗浄し、550℃で3時間焼成することにより、LaYを得た。KF/Alは、γ−Alに担持したKFを示し、次のように調製した。KF(0.4g)を溶かしたイオン交換水(100mL)に、γ−Al(住友化学製)(5.6g)を加え、水を減圧下留去した後、120℃で24時間乾燥することにより、KF/Alを得た。
【0057】
実施例17〜26
第15〜17族の元素を含む化合物(触媒)として1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)(20mol%)、表2に示す塩等(塩又は第1〜2族からなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素を含む化合物)0.1g、及び、溶媒としてアセトニトリル(1mL)を用いた以外は実施例1と同様にして反応させた。結果を表2に示した。
【0058】
比較例2〜4
塩等を用いないか、又は、塩等としてLaY若しくはHY(0.1g)を用いる以外は実施例17と同様にして反応させた。結果を表2に示した。
【0059】
実施例27〜41
溶媒を用いず、DABCOを20又は10mol%とする以外は実施例17と同様にして反応させた。結果を表2に示した。
比較例5及び6
塩等を用いず、DABCOを20又は10mol%とする以外は実施例27と同様にして反応させた。結果を表2に示した。
比較例7
DABCOを用いず、塩等としてNaY(0.1g)を用いる以外は実施例27と同様にして反応させた。結果を表2に示した。
【0060】
【表2】

【0061】
実施例42
第15〜17族の元素を含む化合物(触媒)としてトリフェニルホスフィン(PPh)(20mol%)、塩等としてNaY(0.1g)とする以外は実施例17と同様にして反応させた。結果を表2に示した。
比較例8
NaY(0.1g)を用いない以外は実施例42と同様にして反応させた。結果を表2に示した。
【0062】
実施例43
第15〜17族の元素を含む化合物(触媒)としてトリフェニルホスフィン(PPh)(10mol%)、塩等としてNaY(0.1g)とする以外は実施例27と同様にして反応させた。結果を表2に示した。
【0063】
比較例9
NaY(0.1g)を用いない以外は実施例43と同様にして反応させた。結果を表2に示した。
【0064】
実施例44及び比較例10(反応収率の経時変化)
1L四つ口丸底フラスコにアクリル酸メチル(4mol)、92重量%パラホルムアルデヒド(1mol)、p−メトキシフェノール(0.2g)を加え、70℃に加熱した。ここに、第15〜17族の元素を含む化合物(触媒)としてDABCO10mol%、NaY(30g(●)又は0g(◆))を加え、70℃で8時間攪拌して反応させた。得られたメチル 2−(ヒドロキシメチル)アクリレートの収率(%)の経時変化を図1に示した。収率は、パラホルムアルデヒドに対するメチル 2−(ヒドロキシメチル)アクリレートの収率を、ガスクロマトグラフィー測定により求めた。NaYゼオライトの添加により明確な反応加速効果が発現した。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明のNaYゼオライト添加(●)及び無添加(◆)時の経時変化を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホルムアルデヒドと電子吸引性基を有するアルケンとから、第15族〜17族からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含む化合物を用いて水酸基含有アルケンを製造する方法であって、
該製造方法は、ホルムアルデヒドに対して100モル%未満で、塩及び/又は第1〜2族からなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素を含む化合物を反応溶液中に共存させ、反応温度を40℃以上とする工程を含むことを特徴とする水酸基含有アルケンの製造方法。
【請求項2】
前記製造方法で用いられる第15族〜17族からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含む化合物は、窒素元素を含む化合物であることを特徴とする請求項1記載の水酸基含有アルケンの製造方法。
【請求項3】
前記製造方法で用いられる塩は、アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含む化合物であることを特徴とする請求項1又は2記載の水酸基含有アルケンの製造方法。
【請求項4】
前記製造方法で用いられる第1〜2族からなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素を含む化合物は、酸化物及び/又はゼオライトであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水酸基含有アルケンの製造方法。
【請求項5】
前記製造方法で用いられる電子吸引性基を有するアルケンは、アクリル酸エステルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水酸基含有アルケンの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2006−342151(P2006−342151A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−19568(P2006−19568)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】