説明

水銀を含む焼却灰の水銀除去方法とその装置及び水銀を含む排ガスの処理装置

【課題】廃棄物中に水銀を含む場合であっても、水銀を効果的に除去することができ、且つ複数の焼却炉から得られた焼却灰の集約処理に適した水銀を含む焼却灰の水銀除去方法とその装置及び水銀を含む排ガスの処理装置を提供する。
【解決手段】水銀を含む焼却灰を100℃以上に加熱して、水銀を乾燥排ガス中に揮散させる灰乾燥機11と、前記揮散されたHgを含む排ガスを処理する第1の排ガス処理ラインと、Cl系の塩を含む灰を溶融する灰溶融炉13の排ガスを処理する第2の排ガス処理ラインとを備え、前記第2の排ガス処理ラインでは二次燃焼後の排ガス中のCl系の塩を含む固形粒子を捕集する第1のバグフィルタ16と、消石灰と活性炭が投入されている第2のバグフィルタ17とを直列に接続するとともに、前記Hgを含む排ガスを処理する第1のガス処理ラインを第1のバグフィルタと第2のバグフィルタの間に合流させる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理装置から排出される灰及び排ガス中の水銀の除去技術に係り、特にごみ焼却施設から排出された水銀を含む焼却灰の水銀除去方法とその装置及び水銀を含む排ガスの処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、都市ごみ焼却施設に運び込まれる廃棄物は、正しく分別されずに電池や蛍光灯などが混入されていることがある。この電池や蛍光灯などが混入された廃棄物をそのまま焼却すると、そこに含まれる水銀が気化し、燃焼ガスとともに煙道を通って煙突から大気開放されてしまう。気化された水銀は神経系に作用する毒物であり、人が高濃度の水銀蒸気に曝されると、慢性的な水銀中毒に陥り、発育段階に重大な影響を及ぼし、また震えやどもり、構音障害などを引き起こす。さらに、水銀が一旦水に入り込むと、無機水銀から有機水銀に変化し、魚介類に蓄積され、この魚介類を食する人々にまでも害をもたらすため、水銀の汚染は広範囲に及ぶ。このため、水銀に対しては、他の微量元素に先んじて、特に厳しい規制が課せられようとしている。
【0003】
この水銀は、主に0価である金属形態と2価である酸化形態が存在しており、これらのうち、酸化形態の水銀である塩化第二水銀は、可溶性であり、活性炭や灰中や脱硫装置の吸収液中に容易に固定化されるため、比較的簡単に回収・除去することができ、従来からごみ焼却炉で活性炭噴霧バグフィルタや洗煙塔で一般的に処理されてきた。
一方、金属形態の水銀である金属水銀は、煤煙及び他の粒子には固着せず、大気温度に近い温度であっても、気相中に残留する。800℃程度の高温下HClが共存する場合には、塩化第二水銀に移行するが200℃程度の低温では気相中に移行しない。よって、金属水銀を従来の電気集塵装置やバグフィルタなどの除塵装置で除去することは困難である。今回新たな知見として、水銀を含む物質が混入した焼却灰を乾燥した場合には排ガス中に金属水銀が多く含まれることが分かった。この金属水銀を効果的に除去する技術が必要である。
【0004】
灰の処理方法として、特許文献1(特許第特許第3343328号公報)が開示されている。特許文献1では、溶融炉からの高温排ガスを熱源とする乾燥機により湿灰を乾燥させたあと、乾燥機からの乾燥灰を溶融炉により溶融すると共に、溶融炉からの高温排ガス内へ還元性ガスを吹き込んで高温排ガスを還元雰囲気にし、還元雰囲気にした高温排ガスと乾燥機からの排ガスとを二次燃焼装置で再燃焼させて、乾燥機からの排ガスに含まれるダイオキシン類を熱分解させる。また、乾燥機からの排ガスの一部を、乾燥機の熱源用に溶融炉から引き出した高温排ガス内へ混入し、約600℃近傍の温度とした加熱用排ガスを乾燥機へ供給し、新たな燃料を使用することなしに、湿灰を乾燥させることができる。
【0005】
また、特許文献2(特許第3285692号公報)には、飛灰の焼却処理について開示されている。詳しくは、焼却炉からの排ガスを活性炭と助剤を添加してバグフィルタに導入した後、湿式洗煙装置に送給し、焼却炉からの主灰及びバグフィルタにて捕集された飛灰を灰溶融炉で溶融処理し、灰溶融炉からの排ガスを灰溶融炉側の集塵機で集塵した後に、湿式洗煙装置に送給する構成が開示されている。また、別の構成として、焼却炉からの排ガスを電機集塵機で集塵した後に活性炭及び助剤を投入してダイオキシン捕集バグフィルタに導入し、活性炭に吸着させたダイオキシン類とともに回収した飛灰を灰溶融炉にて溶融する構成が開示されている。
【0006】
また、特許文献3(特開平11−151429号公報)には、電気溶融炉から排ガスを直接吸引する直引系排気路に第1段目バグハウスと第2段目バグハウスを直列に設けるとともに、直引系排気路の両バグハウスの間に微粉状の活性炭を吹き込む活性炭投入装置を設け、かつ直引系排気路には活性炭投入装置および第2段目バグハウスを迂回して排ガスを排出させるバイパス路を設けて、活性炭投入装置より直引系排気路に活性炭を吹き込むことにより、排ガス中に高濃度に含まれるダイオキシンを活性炭に吸着させる。また、別の構成として、電気溶融炉の建家の天井フードから排ガスを間接的に吸引している建家系排気路に設けられた建家系バグハウスを通して大気中に排出し、その建家系排ガスを第2段目バグハウスからの排ガスと合流させることにより、温度を60℃程度まで大幅に下げ、ダイオキシン等の有害物質の固体化を促し、建家系バグハウス18にて確実に捕集させる。
【0007】
【特許文献1】特許第3343328号公報
【特許文献2】特許第3285692号公報
【特許文献3】特開平11−151429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された発明では、灰乾燥排ガスを溶融排ガスとともに二次燃焼装置で再燃焼しており、そのためダイオキシン発生防止の観点から二次燃焼室では800℃以上の高温に保持する必要があり、別途熱源が必要となる。それに伴い、溶融炉の排ガス量が増大し、ガス冷却室やバグフィルタなどの設備容量が増大する。また、溶融炉からの溶融排ガスはNOxが多く含まれているため、この溶融排ガスを乾燥機に循環させて使用すると、二次燃焼室にNOxが送り込まれることになる。さらに、そのNOxを除去する触媒反応塔のようなNOx除去手段がないという問題点などが挙げられる。
また、特許文献2に開示された発明では、焼却炉が必須であり、焼却ごみがないと成立しないので、設備容量が増大する。さらに、熱処理装置から排出された排ガスを各自処理しなければならず効率的ではない。
さらにまた、特許文献3に開示された発明では、灰を乾燥する乾燥機がないため、複数の焼却炉から得られた焼却灰を収集し、粉塵防止を図った湿灰の形で搬送してきても乾燥処理を行なうことができない。また灰処理した場合でもNOxを除去する触媒反応塔のようなNOx除去手段がない。
【0009】
従って、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、廃棄物分別が適正になされていない等の理由により廃棄物中に水銀を含む場合であっても、水銀を効果的に除去することができ、且つ複数の焼却炉から得られた焼却灰の集約処理に適した水銀を含む焼却灰の水銀除去方法とその装置及び水銀を含む排ガスの処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明はかかる課題を解決するために、水銀を含む焼却灰を100℃以上に加熱して、水銀を乾燥排ガス中に揮散させた後、該水銀含有排ガスをHCl含有低温排ガスラインに投入し、水銀を活性炭が投入された集塵機若しくは吸着器で捕集することを特徴とする。ここで、HCl含有低温排ガスラインの「低温」とは、100〜277℃(水の沸点から塩化第二水銀の融点)である。
【0011】
本発明によれば、加熱により焼却灰中の水銀を揮散して除去させるとともに、乾燥排ガス中に多く含まれる金属水銀をHCl存在下活性炭で酸化し吸着しやすい塩化物の形態で吸着させることで乾燥排ガス中の水銀を効果的に除去することが可能となる。また、低温排ガスのまま処理することができるので、温度を上げるための燃料が不要になる。
【0012】
また、水銀を含む焼却灰を100℃以上に加熱して、水銀を乾燥排ガス中に揮散させた後、該水銀含有排ガスにHCl若しくはHCl含有ガスを合流させ、水銀を活性炭が投入された集塵機若しくは吸着器で捕集することを特徴とする。
【0013】
さらに、水銀を含む焼却灰を100℃以上に加熱して、水銀を乾燥排ガス中に揮散させた後、該水銀を含む排ガスを減温塔の冷却ガスとして用い、水銀を活性炭が投入された集塵機若しくは吸着器で捕集することを特徴とする。
【0014】
また、装置の発明として、水銀を含む焼却灰を水銀の100℃以上に加熱して水銀を乾燥排ガス中に揮散させる灰乾燥手段と、該水銀含有排ガスを水の蒸発点から塩化第二水銀の融点の温度範囲に設定したHCl含有低温排ガスラインに投入し水銀を活性炭が投入された集塵機若しくは吸着器で捕集する水銀捕集手段とよりなることを特徴とする。
さらに、前記水銀捕集手段が、灰乾燥機の排ガスライン若しくは灰溶融炉から排出される溶融排ガスを減温してなるHCl含有低温排ガスラインの後流側に設けられた活性炭含有集塵機若しくは吸着器であることを特徴とする。
このように、水銀捕集手段をHCl含有低温排ガスラインの後流側に設けることにより、HCl存在下金属水銀を活性炭上で酸化させ、吸着しやすい塩化物の形態で活性炭に吸着させ効率的に水銀を除去することができる。
【0015】
また別の構成として、水銀を含む焼却灰を100℃以上に加熱して、水銀を乾燥排ガス中に揮散させる手段と、該水銀含有排ガスを水の蒸発点から塩化第二水銀の融点の温度範囲となる領域にHCl若しくはHCl含有ガスを合流させる手段と、水銀を活性炭が投入された集塵機若しくは吸着器で捕集する手段を供えたことを特徴とする。
また、前記HCl含有ガスが、灰溶融炉から排出される溶融排ガスを減温してなるHCl含有低温排ガスであることを特徴とする。
【0016】
さらに、水銀を含む焼却灰を100℃以上に加熱して、水銀を乾燥排ガス中に揮散させる手段と、該水銀を含む排ガスを減温塔の冷却ガスとして用い、水銀を活性炭が投入された集塵機若しくは吸着器で捕集する手段とを備えたことを特徴とする。
また、前記減温塔が、灰溶融炉から排出される溶融排ガスを減温するための手段であることを特徴とする。なお、上述した「水の蒸発点から塩化第二水銀の融点の温度範囲となる領域」の温度範囲とは、100〜277℃である。
【0017】
また、前記灰溶融炉は二次燃焼室が付設され、還元性雰囲気で灰溶融して得られた熱分解ガスを二次燃焼室で二次燃焼してCl含有排ガスを排出する灰溶融炉であることを特徴とする。
Cl含有排ガスを排出する溶融炉により、焼却炉を付設することなく溶融炉単独で運転することが可能となり、設備容量が大型にならない。
【0018】
また、金属水銀を含む排ガスの処理装置として、水銀を含む焼却灰を100℃以上に加熱して、水銀を乾燥排ガス中に揮散させる灰乾燥部と、前記揮散されたHgを含む排ガスを処理する第1の排ガス処理ラインと、Cl系の塩を含む灰を溶融する灰溶融炉の排ガスを処理する第2の排ガス処理ラインとを備え、
前記第2の排ガス処理ラインでは二次燃焼後の排ガス中のCl系の塩を含む固形粒子を捕集する第1の集塵部と、消石灰と活性炭及び集塵部を保護する助剤が投入されている第2の集塵部とを直列に接続するとともに、前記Hgを含む排ガスを処理する第1のガス処理ラインを第1の集塵部と第2の集塵部の間に合流させたことを特徴とする。
これにより、廃棄物分別が適正になされていない等の理由により廃棄物中に水銀を含む場合であっても、水銀を効果的に除去することが可能となる。また、第1の集塵部までの排ガス処理設備の容量が小さいままで第2の集塵部以降の排ガス処理設備での排ガス処理容量を上昇させることで、排ガス中の水銀を処理することができる。更に第2の集塵部では活性炭によりダイオキシン等の有害物質を除去できる。また、SOxや水銀以外の重金属類も除去できる。
なお、前記Hgを含む排ガスを処理する第1のガス処理ラインは、一部を分割して減温塔や二次燃焼炉に導入させることもできる。
また、第1の集塵部若しくは第2の集塵部の本発明を構成する集塵部には、全て集塵部を保護する助剤が投入されている。また、以下に述べる集塵部については説明を省略する。
【0019】
また、前記第2の集塵部の後流側に、洗煙塔が設けられていることを特徴とする。
さらに、その洗煙塔の下流に排ガスを加熱する再加熱器が設けられ、更にその後段にNH供給設備とその後段に触媒脱硝塔が設けられていることを特徴とする。
これにより、第2の集塵部で捕集できずに流れてしまった塩化第二水銀も除去することが可能となる。さらに金属水銀を除去するため第2の集塵部出口で存在させるHClを除去できる。洗煙塔の後段には、上流側より排ガスを昇温する再加熱器、NH供給設備、触媒脱硝塔が設けられ、排ガスを200℃程度まで加熱した後NOxを除去することができる。ここでの触媒ではダイオキシンも除去することができる。
【0020】
さらに、前記第1の集塵部に消石灰を投入若しくは添加したことを特徴とする。これにより、灰溶融炉から排出された排ガス中に含まれるNaClやKClの塩類、及び過剰なHClを除去することができる。
【0021】
さらにまた、前記第1の集塵部をバイパスするバイパスラインを設け、前記灰溶融炉より排出された排ガスの少なくとも一部を、前記バイパスラインを介して前記第2の集塵部入口側に導入させたことを特徴とする。
このように、バイパスラインを設けて灰溶融炉より排出された排ガスの少なくとも一部を第2の集塵部入口側に導入させることにより、第2の集塵部入口側における排ガス中のCl量を一定量確保することが可能となる。よって、金属水銀を塩化第二水銀へと反応させることができHgを含む排ガスを処理することができる。
【0022】
また、前記合流位置の上流側に位置する前記Hgを含む排ガスを処理する第1の排ガス処理ライン上に、前記Hgを含む排ガス中にHCl含有ガスを添加する手段を設けたことを特徴とする。このように、Hgを含む排ガス中にHClを添加する手段を設けることにより、積極的にHCl存在下金属水銀を活性炭上で酸化させ、吸着しやすい塩化物の形態で活性炭に吸着させ、水銀が除去される。
【発明の効果】
【0023】
以上記載のごとく本発明によれば、焼却灰中の水銀を揮散して除去させるとともに、乾燥排ガス中に多く含まれる金属水銀を活性炭の物理吸着能が高くなる塩化第二水銀に変えることにより、焼却灰中及び乾燥排ガス中の水銀を効果的に除去することが可能となる。また、低温排ガスのまま処理することができるので、温度を上げるための燃料が不要になる。
また、Cl含有排ガスが溶融炉に投入される飛灰由来であるので、焼却炉を付設することなく溶融炉単独で運転することが可能となり、設備容量が大型にならない。
さらに、廃棄物分別が適正になされていない等の理由により廃棄物中に水銀を含む場合であっても、水銀を効果的に除去することが可能となる。また、溶融炉単独で運転することができるので、複数の焼却炉から得られた焼却灰の集約処理を行なうことができる。
また、第1の集塵部までの排ガス処理設備の容量が小さいままで第2の集塵部以降の排ガス処理設備での排ガス処理容量を上昇させることで、排ガス中の金属水銀を処理することができる。
さらにまた、前記第2の集塵部の後流側に、洗煙塔を設けることにより、第2の集塵部で捕集できずに流れてしまった塩化第二水銀も除去することが可能となる。
また、Hgを含む排ガス中にHClを添加する手段を設けることにより、積極的にHCl存在下金属水銀を活性炭上で酸化させ、吸着しやすい塩化物の形態で活性炭に吸着させることで、水銀が除去される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は実施例1に係る水銀除去方法を示すフロー図、図2は実施例2に係る水銀を含む排ガスの処理装置を示す全体構成図、図3は実施例3に係る水銀を含む排ガスの処理装置を示す全体構成図、図4は実施例4に係る水銀を含む排ガスの処理装置を示す全体構成図、図5は灰乾燥機に投入された灰の水銀揮発状態を示す図、図6は金属水銀の除去試験の結果を示す図、図7は実施例5に係る水銀を含む排ガスの処理装置を示す全体構成図である。
なお、本発明で用いる焼却灰として、主灰と飛灰の両方を用いることが可能であるが、ここでは主灰のみを用いる。この灰は、各ごみ焼却施設から収集されたものであるので、必然的に水分を含有して粉塵防止を図った湿灰の形で搬入される。
また、灰溶融炉に供給する灰は、上記灰乾燥機を用いて乾燥させた主灰と飛灰を混合した混合灰を用いた。
【0025】
最初に、図5を用いて、灰乾燥機に投入された灰の水銀揮発状態について説明する。図5は、主灰を30分間加熱し、主灰1kgに対して揮発した水銀量及びその水銀中に含まれる金属水銀の割合について示したものである。
図5に示すように、主灰1kgに対して揮発した水銀量は、80℃では0.005mgであるのに対し、200℃では1.0mg、400℃では1.5mgであり、200℃以上になると揮発水銀量が増大する。また、揮発した水銀中に含まれる金属水銀の割合は、80℃では63%であるのに対し、200℃では99%であった。
よって、灰乾燥機から排出される排ガス中への水銀の揮散は100℃以上で起こり、水銀の形態は、金属水銀が多いことがわかった。
【0026】
また、HCl存在下における金属水銀の除去について図6に示した。図6は、灰乾燥機排ガス中の金属水銀の水銀除去率がHClによってどのように変化しているかを経時変化で示した。HClの注入量は200ppmとした。HCl非存在下(活性炭のみ)では、水銀除去率が10〜20%であるのに対し、HCl存在下(活性炭+HCl)では、水銀除去率が100%となり水銀が高効率で捕集されることがわかる。また、HCl非存在下では、金属水銀は活性炭に捕集されにくいことがわかる。
以上のことから、灰乾燥機から多く排出される金属水銀を、HCl存在下で活性炭に捕集させて除去する方法及び装置を、以下に述べる実施例に示した。
なお、以下に述べる本発明を構成する集塵機(バグフィルタ)には、全て集塵機を保護する助剤が投入されているが説明を省略する。
【実施例1】
【0027】
まず、図1を用いて実施例1の水銀除去方法について説明する。図1において、3は焼却灰であり、上述したように各ごみ焼却施設から収集され、水分を含有して粉塵防止を図った湿灰の形で搬入されたものを用いる。焼却灰3は、灰乾燥機1で100℃以上に加熱し、焼却灰中に含まれるHgを乾燥排ガス中に揮散させる(Hg含有排ガス6)。
図5より、ここで排出されるHgは金属水銀が主である。このHg含有排ガス6を、100℃(水の沸点)〜277℃(塩化第二水銀の融点)の温度範囲に設定したHCl含有低温排ガス4の処理ラインに投入し、Hg含有排ガス6中に含まれたHgをHCl存在下噴霧された活性炭上で酸化させ吸着しやすい塩化物の形態で活性炭に吸着させ、Hg含有排ガス6とHCl含有低温排ガス4の合流部よりも後流側に備えられた集塵機2によって捕集される。なお、図示しないが、水銀捕集手段として吸着器を用いても好適に行なわれる。
【実施例2】
【0028】
また、実施例1のHCl含有低温排ガス4として、灰溶融炉から排出される溶融排ガスを用いた水銀を含む排ガス処理について、図2を用いて説明する。
図2に示した水銀を含む排ガスの処理装置は、Hgを含む乾燥排ガスラインと、Cl系の塩を含む灰を溶融する灰溶融炉の排ガスラインとで構成されている。Hgを含む乾燥排ガスラインは、灰乾燥機11と、灰乾燥機の後流側に設けられたバグフィルタ12と、誘引ファン22よりなる。また、灰溶融炉の排ガスラインは、主灰および飛灰を混合して投入する灰溶融炉13と、灰溶融炉13に付設された二次燃焼室14と、減温塔15と、バグフィルタ16よりなる。主灰はごみ焼却炉で発生する燃え殻、飛灰はごみ焼却炉の排ガス処理で捕集された塩類を多く含む灰である。その他の構成として、バグフィルタ16の後流に備えられたバグフィルタ17と、誘引ファン23と、洗煙塔18と、排ガス再加熱器19と、NH注入設備と、触媒反応塔20と、煙突21とで構成されている。実線矢印は、排ガスの流れを示している。
なお、灰乾燥機11の熱源は別系統であり、化石燃料やバーナとする。
【0029】
実施例2において、各ごみ焼却施設から収集され、水分を含有して粉塵防止を図った湿灰の形で搬入された主灰31は、灰乾燥機11で加熱して乾燥され、主灰31中に含まれるHgを乾燥排ガス中に揮散させる。Hg含有排ガス36は、バグフィルタ12へ送り込まれ、活性炭33が噴霧され除塵される。バグフィルタ12では、活性炭33を噴霧してHgをある程度除去することはできるが、図7に示すように、金属水銀は除去効率が悪いので、除塵され金属水銀を含んだ排ガスは誘引ファン22によって灰溶融炉の排ガスラインへ送り込まれる。
なお、湿灰を乾燥させることによって発生するおそれがあるダイオキシンは、活性炭33を噴霧してバグフィルタ12で除去することができる。
【0030】
一方、灰溶融炉13には乾燥機で乾燥された主灰および飛灰を混合した混合灰(主灰+飛灰)32が投入され、還元性雰囲気で灰溶融して得られた熱分解ガスを二次燃焼室14で二次燃焼し、Cl系の塩を含む排ガスが排出される。この排ガスは減温塔15で空気および水で減温塔された後、バグフィルタ16へ送り込まれて消石灰34が噴霧され、排ガス中に含まれるNaClやKClの塩類、HClが除去される。バグフィルタ16では、灰溶融炉13から排出された排ガス中に多く含まれるNaClやKClの塩類を除去して煤塵負荷を低減しているとともに、排ガス中のHClが一定量残存するように消石灰34の量を調節している。このとき、HClの残存量は、バグフィルタ16の出口側にHCl濃度をモニタリングする計測器(図示しない)を設け、金属水銀と十分に反応できる過剰量である数十ppm以上、好ましくは200ppmとなるように消石灰34の量を調節している。
【0031】
バグフィルタ16で除塵された灰溶融炉13からの排ガスは、Hg含有排ガス36が導入されてバグフィルタ17へ送りこまれる。Hg含有排ガス36とHCl含有低温排ガス4の合流部よりも後流側で消石灰+活性炭35が噴霧され、Hg含有排ガス36中に含まれたHgはHCl存在下活性炭上で酸化され吸着しやすい塩化物の形態で活性炭に吸着されバグフィルタ17で捕集される。ここで、消石灰は水銀と塩酸の反応に必要な濃度のHClを確保するだけは噴霧し、活性炭はHCl存在下活性炭上で酸化され吸着しやすい塩化物の形態となった水銀を除去する。バグフィルタ17では、除去効率が悪い金属水銀を、HCl存在下活性炭上で酸化させ吸着しやすい塩化物の形態で活性炭に吸着させ捕集することにより効率的に水銀を除去することができる。
また、ここでは活性炭により、バグフィルタ12で除去しきれないダイオキシン等の有害物質についても除去することができる。
なおHg含有排ガス36は、一部を減温塔や二次燃焼炉に分割して導入することもできる。
【0032】
バグフィルタ17を経た排ガスは、洗煙塔18に送り込まれ、排ガス再加熱器19、触媒反応塔20、煙突21と順次送られて処理される。これにより、バグフィルタ17で捕集できずに流れてしまった可溶性の塩化第二水銀も洗煙塔18で除去することができる。また、排ガスはNH注入後、触媒反応塔20を通過するので、NOx処理も可能となる。
なお、洗煙塔18は、スクラバ(排気ガス洗浄装置)を含む。
【実施例3】
【0033】
次に、図3を用いて、実施例3の金属水銀を含む排ガスの処理装置について説明する。実施例3において、上記した実施例2と同様の構成については、その詳細な説明を省略する。
図3に示した金属水銀を含む排ガスの処理装置は、実施例2と同様に、Hgを含む乾燥排ガスラインと、Cl系の塩を含む灰を溶融する灰溶融炉の排ガスラインとで構成されている。Hgを含む乾燥排ガスラインは、灰乾燥機11と、灰乾燥機の後流側に設けられたバグフィルタ12と、誘引ファン22よりなる。また、灰溶融炉の排ガスラインは、灰溶融炉13と、灰溶融炉13に付設された二次燃焼室14と、減温塔15と、バグフィルタ16よりなる。その他の構成として、バグフィルタ16の後流に備えられたバグフィルタ17と、誘引ファン23と、洗煙塔18と、排ガス再加熱器19と、NH注入設備と、触媒反応塔20と、煙突21とで構成されている。実線矢印は、排ガスの流れを示している。
【0034】
また、上記した構成の他に実施例2と異なる構成として、バグフィルタ16をバイパスするバイパス24を設けている。バイパス24では、灰溶融炉13から排出された排ガスの少なくとも一部をバグフィルタ16の上流側からバイパスさせて、バグフィルタ17の入口側に導入している。
【0035】
実施例2と同様に、主灰31は灰乾燥機11で加熱して乾燥され、主灰31中に含まれるHgを乾燥排ガス中に揮散させる。Hg含有排ガス36は、バグフィルタ12へ送り込まれ、活性炭33が噴霧され除塵される。バグフィルタ12では、活性炭33を噴霧してHgをある程度除去することはできるが、金属水銀は除去効率が悪いので、除塵され金属水銀を含んだ排ガスは誘引ファン22によって灰溶融炉の排ガスラインへ送り込まれる。
なお、湿灰を乾燥させることによって発生するおそれがあるダイオキシンは、活性炭33を噴霧してバグフィルタ12で除去することができる。更に除去しきれないダイオキシンについてはバグフィルタ17でも除去できる。
【0036】
一方、灰溶融炉13には飛灰32が投入され、還元性雰囲気で灰溶融して得られた熱分解ガスを二次燃焼室14で二次燃焼し、Cl系の塩を含む排ガスが排出される。この排ガスは減温塔15で減温塔された後、バグフィルタ16へ送り込まれて消石灰34が噴霧され、排ガス中に含まれるNaClやKClの塩類、HClが除去される。バグフィルタ16では、灰溶融炉13から排出された排ガス中に多く含まれるNaClやKClの塩類を除去して煤塵負荷を低減しているとともに、排ガス中のHClが一定量残存するように、バグフィルタ16の出口側にHCl濃度をモニタリングする計測器(図示しない)を設けて消石灰34の量を調節している。ここでいう排ガス中のHClの一定量とは、金属水銀と十分に反応できる過剰量である数十ppm以上であり、好ましくは200ppmとする。
【0037】
また、消石灰34の量を調節する他に、排ガス中のHCl量を一定量残存させる方法として、灰溶融炉13から排出された排ガスの少なくとも一部を、バイパス24を介してバグフィルタ17の入口側に導入し、消石灰34によってHClが除去されても一定量のHCl量を確保することが可能となる。
なお、バイパス24を介して導入される排ガスは、バグフィルタ16で除塵されないので煤塵ごと導入されてしまうが、バグフィルタ17で除塵されるので煤塵による悪影響を考慮しなくて良い。
【0038】
バグフィルタ16で除塵され、一定量のHCl量を含む灰溶融炉13からの排ガスは、Hg含有排ガス6が導入されてバグフィルタ17へ送りこまれる。Hg含有排ガス6とHCl含有低温排ガス4の合流部よりも後流側で消石灰+活性炭35が噴霧され、Hg含有排ガス6中に含まれたHgはHCl存在下活性炭上で酸化され吸着しやすい塩化物の形態で活性炭に吸着されバグフィルタ17で捕集される。バグフィルタ17では、除去効率が悪い金属水銀を、HCl存在下活性炭上で酸化させ吸着しやすい塩化物の形態で活性炭に吸着させ捕集することにより効率的に水銀を除去することができる。また、バグフィルタ17では、水銀と反応後の残存したHClも除去できる。更に残存するダイオキシン等の有害物質についても除去することができる。
なおHg含有排ガス36は、一部を減温塔や二次燃焼炉に分割して導入することもできる。
【0039】
バグフィルタ17を経た排ガスは、洗煙塔18に送り込まれ、排ガス再加熱器19、NH3注入設備、触媒反応塔20、煙突21と順次送られて処理される。これにより、バグフィルタ17で捕集できずに流れてしまった塩化第二水銀も洗煙塔18で除去することができる。また金属水銀をHCl共存下活性炭で吸着させるため残存させるHClについても除去できる。また、排ガスはNH注入後触媒反応塔20を通過するので、NOx処理も可能となる。
【実施例4】
【0040】
また、図4を用いて、実施例4の金属水銀を含む排ガスの処理装置について説明する。実施例4において、上記した実施例2,3と同様の構成については、その詳細な説明を省略する。
図4に示した金属水銀を含む排ガスの処理装置は、実施例2と同様に、Hgを含む乾燥排ガスラインと、Cl系の塩を含む灰を溶融する灰溶融炉の排ガスラインとで構成されている。Hgを含む乾燥排ガスラインは、灰乾燥機11と、灰乾燥機の後流側に設けられたバグフィルタ12と、誘引ファン22よりなる。また、灰溶融炉の排ガスラインは、灰溶融炉13と、灰溶融炉13に付設された二次燃焼室14と、減温塔15と、バグフィルタ16よりなる。その他の構成として、バグフィルタ16の後流に備えられたバグフィルタ17と、誘引ファン23と、洗煙塔18と、排ガス再加熱器19と、NH注入設備と、触媒反応塔20と、煙突21とで構成されている。実線矢印は、排ガスの流れを示している。
実施例2,3と異なる構成は、バグフィルタ16で消石灰34が噴霧されないことである。
【0041】
実施例2,3と同様に、主灰31は灰乾燥機11で加熱して乾燥され、主灰31中に含まれるHgを乾燥排ガス中に揮散させる。Hg含有排ガス36は、バグフィルタ12へ送り込まれ、活性炭33が噴霧され除塵される。バグフィルタ12では、活性炭33を噴霧してHgをある程度除去することはできるが、金属水銀は除去効率が悪いので、除塵され金属水銀を含んだ排ガスは誘引ファン22によって灰溶融炉の排ガスラインへ送り込まれる。
なお、湿灰を乾燥させることによって発生するおそれがあるダイオキシンは、活性炭33を噴霧してバグフィルタ12で除去することができる。除去しきれないダイオキシンについてはバグフィルタ17でも除去できる。
【0042】
一方、灰溶融炉13には飛灰32が投入され、還元性雰囲気で灰溶融して得られた熱分解ガスを二次燃焼室14で二次燃焼し、Cl系の塩を含む排ガスが排出される。この排ガスは減温塔15で減温塔された後、バグフィルタ16へ送り込まれる。
ここで、実施例4ではバグフィルタ16で消石灰を噴霧せずに処理している。バグフィルタ16では、消石灰を噴霧しなくても集塵能力が劣ることはない。
また、バグフィルタ16から排出される排ガスは、金属水銀と十分に反応できる過剰量のHClが含まれていればいいので、消石灰でHClを除去してHCl量を調節するという操作を省略することができ装置を簡略化できる。なお、図示しないが、実施例3のバイパス24を設けた金属水銀を含む排ガスの処理装置でも、同様に消石灰34の噴霧を省略することができる。
以下、その後の排ガス処理は、実施例2,3と同様であるので省略する。実施例4においても、排ガス中の金属水銀を除去できるとともに、NOx処理、ダイオキシン除去も可能となる。
【実施例5】
【0043】
最後に、図7を用いて、実施例5の金属水銀を含む排ガスの処理装置について説明する。実施例5において、上記した実施例2〜4と同様の構成については、その詳細な説明を省略する。
図7に示した金属水銀を含む排ガスの処理装置は、実施例2と同様に、Hgを含む乾燥排ガスラインと、Cl系の塩を含む灰を溶融する灰溶融炉の排ガスラインとで構成されている。Hgを含む乾燥排ガスラインは、灰乾燥機11と、灰乾燥機の後流側に設けられたバグフィルタ12と、誘引ファン22よりなる。また、灰溶融炉の排ガスラインは、灰溶融炉13と、灰溶融炉13に付設された二次燃焼室14と、減温塔15と、バグフィルタ16よりなる。その他の構成として、バグフィルタ16の後流に備えられたバグフィルタ17と、誘引ファン23と、洗煙塔18と、排ガス再加熱器19と、NH注入設備と、触媒反応塔20と、煙突21とで構成されている。実線矢印は、排ガスの流れを示している。
実施例2〜4と異なる構成は、Hgを含む乾燥排ガスラインを減温塔15に接続し、冷却ガスとして用いることで、HCl含有ガスと水銀を300℃以上の高温下で合流することでガス中での塩化第二水銀化反応を促進し、さらに活性炭が投入された集塵機若しくは吸着器で捕集することで水銀の除去効率を向上している。
図7には、図2でのHgを含む乾燥排ガスラインを減温塔15に接続し、冷却ガスとして用いた例を示したが、同様に図3、4でも冷却ガスとして用いることが可能である。
【0044】
なお、図示しないが、図2〜図4及び図7の金属水銀を含む排ガスの処理装置において、Hgを含む乾燥排ガスライン上に、Hg含有排ガス6中にHCl含有ガスを添加する手段を設けて、積極的に金属水銀を塩化第二水銀の形態にしてもよい。また、水銀捕集手段として吸着器を用いても好適に行なわれる。
また、図示しないが、図2〜図4及び図7の金属水銀を含む排ガスの処理装置において、Hg含有排ガス36は、一部減温塔や二次燃焼炉に分割して導入することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によれば、廃棄物分別が適正になされていない等の理由により廃棄物中に水銀を含む場合であっても、金属水銀を効果的に除去することができ、また灰のみで溶融炉に受け入れることが可能であるので、複数の焼却炉から得られた焼却灰の集約処理に適した金属水銀を含む焼却灰の水銀除去方法とその装置及び金属水銀を含む排ガスの処理装置として有益である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施例1に係る水銀除去方法を示すフロー図である。
【図2】実施例2に係る水銀を含む排ガスの処理装置を示す全体構成図である。
【図3】実施例3に係る水銀を含む排ガスの処理装置を示す全体構成図である。
【図4】実施例4に係る水銀を含む排ガスの処理装置を示す全体構成図である。
【図5】灰乾燥機に投入された灰の水銀揮発状態を示す図である。
【図6】金属水銀の除去試験の結果を示す図である。
【図7】実施例5に係る水銀を含む排ガスの処理装置を示す全体構成図である。
【符号の説明】
【0047】
1、11 灰乾燥機
2 集塵機
3 焼却灰
4 HCl含有低温排ガス
6、36 Hg含有排ガス
12 バグフィルタ(灰乾燥機側バグフィルタ)
13 灰溶融炉
16、17 バグフィルタ(灰溶融炉側バグフィルタ)
18 洗煙塔
20 触媒反応塔
21 煙突

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水銀を含む焼却灰を100℃以上に加熱して、水銀を乾燥排ガス中に揮散させた後、該水銀含有排ガスをHCl含有低温排ガスラインに投入し、水銀を活性炭が投入された集塵機若しくは吸着器で捕集することを特徴とする水銀を含む焼却灰の水銀除去方法。
【請求項2】
水銀を含む焼却灰を100℃以上に加熱して、水銀を乾燥排ガス中に揮散させた後、該水銀含有排ガスにHCl若しくはHCl含有ガスを合流させ、水銀を活性炭が投入された集塵機若しくは吸着器で捕集することを特徴とする水銀を含む焼却灰の水銀除去方法。
【請求項3】
水銀を含む焼却灰を100℃以上に加熱して、水銀を乾燥排ガス中に揮散させた後、該水銀を含む排ガスを減温塔の冷却ガスとして用い、水銀を活性炭が投入された集塵機若しくは吸着器で捕集することを特徴とする水銀を含む焼却灰の水銀除去方法。
【請求項4】
水銀を含む焼却灰を水銀の100℃以上に加熱して水銀を乾燥排ガス中に揮散させる灰乾燥手段と、該水銀含有排ガスを水の蒸発点から塩化第二水銀の融点の温度範囲に設定したHCl含有低温排ガスラインに投入し水銀を活性炭が投入された集塵機若しくは吸着器で捕集する水銀捕集手段とよりなることを特徴とする水銀を含む焼却灰の水銀除去装置。
【請求項5】
前記水銀捕集手段が、灰乾燥機の排ガスライン若しくは灰溶融炉から排出される溶融排ガスを減温してなるHCl含有低温排ガスラインの後流側に設けられた活性炭含有集塵機若しくは吸着器であることを特徴とする請求項4記載の水銀を含む焼却灰の水銀除去装置。
【請求項6】
水銀を含む焼却灰を100℃以上に加熱して、水銀を乾燥排ガス中に揮散させる手段と、該水銀含有排ガスを水の蒸発点から塩化第二水銀の融点の温度範囲となる領域にHCl若しくはHCl含有ガスを合流させる手段と、水銀を活性炭が投入された集塵機若しくは吸着器で捕集する手段を供えたことを特徴とする水銀を含む焼却灰の水銀除去装置。
【請求項7】
前記HCl含有ガスが、灰溶融炉から排出される溶融排ガスを減温してなるHCl含有低温排ガスであることを特徴とする請求項6記載の水銀を含む焼却灰の水銀除去装置。
【請求項8】
水銀を含む焼却灰を100℃以上に加熱して、水銀を乾燥排ガス中に揮散させる手段と、該水銀を含む排ガスを減温塔の冷却ガスとして用い、水銀を活性炭が投入された集塵機若しくは吸着器で捕集する手段とを備えたことを特徴とする水銀を含む焼却灰の水銀除去装置。
【請求項9】
前記減温塔が、灰溶融炉から排出される溶融排ガスを減温するための手段であることを特徴とする請求項8記載の水銀を含む焼却灰の水銀除去装置。
【請求項10】
前記灰溶融炉は二次燃焼室が付設され、還元性雰囲気で灰溶融して得られた熱分解ガスを二次燃焼室で二次燃焼してCl含有排ガスを排出する灰溶融炉であることを特徴とする請求項4乃至9のいずれか1記載の水銀を含む焼却灰の水銀除去装置。
【請求項11】
水銀を含む焼却灰を100℃以上に加熱して、水銀を乾燥排ガス中に揮散させる灰乾燥部と、前記揮散されたHgを含む排ガスを処理する第1の排ガス処理ラインと、Cl系の塩を含む灰を溶融する灰溶融炉の排ガスを処理する第2の排ガス処理ラインとを備え、
前記第2の排ガス処理ラインでは二次燃焼後の排ガス中のCl系の塩を含む固形粒子を捕集する第1の集塵部と、消石灰と活性炭及び集塵部を保護する助剤が投入されている第2の集塵部とを直列に接続するとともに、前記Hgを含む排ガスを処理する第1のガス処理ラインを第1の集塵部と第2の集塵部の間に合流させたことを特徴とする金属水銀を含む排ガスの処理装置。
【請求項12】
前記第2の集塵部の後流側に、洗煙塔が設けられていることを特徴とする請求項11記載の水銀を含む排ガスの処理装置。
【請求項13】
前記洗煙塔の下流に排ガスを加熱する再加熱器が設けられ、更にその後段にNH供給設備とその後段に触媒脱硝塔が設けられていることを特徴とする請求項12記載の水銀を含む排ガスの処理装置。
【請求項14】
前記第1の集塵部に消石灰を投入若しくは添加したことを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1記載の水銀を含む排ガスの処理装置。
【請求項15】
前記第1の集塵部をバイパスするバイパスラインを設け、前記灰溶融炉より排出された排ガスの少なくとも一部を、前記バイパスラインを介して前記第2の集塵部入口側に導入させたことを特徴とする請求項11乃至14のいずれか1記載の水銀を含む排ガスの処理装置。
【請求項16】
前記合流位置の上流側に位置する前記Hgを含む排ガスを処理する第1の排ガス処理ライン上に、前記Hgを含む排ガス中にHCl含有ガスを添加する手段を設けたことを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1記載の水銀を含む排ガスの処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−112910(P2009−112910A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286785(P2007−286785)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(501370370)三菱重工環境エンジニアリング株式会社 (175)
【Fターム(参考)】