説明

水銀入り真空放電管利用の直流発電方法及びその装置

【課題】水銀蒸気中の放電を利用した水銀イオンと電子の電離による高効率な発電方法及びその装置を提供する。
【解決手段】
直流電源と、真空放電管内に所定間隔を介して対向する一対の電極が設けられた水銀入り真空放電管とを備え、且つ直流電源の正極と前記真空放電管の負極とが接続されて閉回路が形成され、前記真空放電管の一対の電極間内で放電が惹起されたとき、前記真空放電管の正極と前記直流電源の負極との間に、前記直流電源の電圧に対して2倍の電圧が生じる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水銀入り真空放電管利用の直流発電方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光利用熱電子発電方法およびその装置としては、例えば下記特許文献1に記載
されている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-78364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前掲の特許文献1の光利用熱電子発電方法およびその装置によれば、熱電子発電でも
発電出来る。しかしながら発電効率の低さという課題がある。
【0005】
そこで、本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、水銀入り真空放電管
内に豊富に発生する紫外線を活用し発電効率の向上を図り得る水銀入り真空放電管利用の直流発電方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するために、直流電源と、真空放電管内に所定間隔を介して対向する一対の電極が設けられた水銀入り真空放電管とを備え、且つ直流電源の正極と前記真空放電管の負極とが接続されて閉回路が形成され、前記真空放電管の一対の電極間内で放電が惹起されたとき、前記真空放電管の正極と前記直流電源の負極との間に、前記直流電源の電圧に対して2倍の電圧が生じる構成とした。
【発明の効果】
【0007】
直流電源と、真空放電管内に所定間隔を介して対向する一対の電極が設けられた水
銀入り真空放電管とを備え、且つ直流電源の正極と前記真空放電管の負極とが接続されて閉回路が形成され、前記真空放電管の一対の電極間内で放電が惹起されたとき、前記真空放電管の正極と前記直流電源の負極との間に、前記直流電源の電圧に対して2倍の電圧が生じることを特徴とする直流発電装置である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る、水銀入り真空放電管利用の直流発電方法及びその装置の一例を説明する回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。まず、水銀入り真空
放電管利用の直流発電方法及びその装置に付いて説明する。
図1は本発明の実施例を示す、水銀入り真空放電管利用の直流発電方法及びその装置
の回路図である。
【実施例】
【0010】
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定さ
れるものではない。
【0011】
この図に於いて放電管1には一対の電極2a,2bが有り水銀溜4の存在する下部の電
極2bと上部のリアクトル5に繋がっている電極2aがあり、この電極の間隔は約30mmである。
【0012】
この水銀入り真空放電管はパイレックス(登録商標)ガラス製であり直径約42mm長
さ120mmで両端に直径2mmのタングステン線が電極2a、2bとして封入されてい
る。
上部のリアクトル5に繋がっている電極2aの内部には6X10mmのステンレスのボルト3が溶接されている前記のステンレスのボルトは放電管の内部抵抗を低くおさえ電極の消耗を防ぐためである。
上部のリアクトル5に繋がっている電極2aには起動回路の直流高電圧電源20の+側が接続されている。
【0013】
直流高電圧電源20は交流100Vを倍電圧整流回路を通して直流の250V、0.1Aの出力の電源である。
【0014】
水銀溜4の存在する下部の電極2bには起動回路の直流高電圧電源20の−側が押ボタンスイッチ7を通して接続されている。
直流電源10の+から放電管の下部の電極2bへ、上部の電極2aからリアクトル5を通して負荷抵抗6(200Ω 400W)から直流電源10の−へ接続して閉回路を構成しても電流は流れません。
【0015】
負荷抵抗6は100V54W(200Ω)の電球を4個直列(800Ω)にしたものを4列並列に接続されたものである。
押ボタンスイッチ7を押すことによって起動回路が接続され直流電源10の+から押ボタンスイッチ7を通り直流高電圧電源20の(250V) +が上部の電極2aからリアクトル5を通して負荷抵抗6(200Ω400W)から直流電源10の−へ回路が構成され、直流電源10の(100V)プラス直流高電圧電源20の(250V)が加算され(350V)の電圧が一瞬加わり、押ボタンスイッチ7を離した瞬間にリアクトル5の逆起電力によって放電が開始する。
【0016】
放電が開始すると放電管内の水銀蒸気は電離し再結合して水銀の共振線である紫外線を発生させる、又あるものはその紫外線によって電離し水銀イオンは直流電源10の+電荷によって反発し上部のリアクトル5に繋がる電極2aに集まり電子は直流電源10の+電荷に引かれて水銀溜4の存在する下部の電極2bに吸収される。
【0017】
この様にして放電管1の両端の電極2a、2bには直流電源10と同じ電圧が発生する。
【0018】
前記の電子は水銀溜4に吸収される時に水銀を加熱し放電に必要な水銀蒸気を供給
する。
【0019】
この放電管1は最低でも1A以上の電流が流れていないと安定した放電が継続出来
ない。
【0020】
直流電源10(100V)に電圧測定用負荷抵抗(100V100Wの電球2個を直列に接続して200Ωにした。)を直接接続した時に流れる電流は0.5Aであり直流電源10の消費電力は(100VX0.5A=50W)である。電圧測定用負荷抵抗(200Ω)の消費電力は200ΩX0.5Aで100V の電圧降下となり(100VX0.5A=50W)で直流電源10の消費電力と電圧測定用負荷抵抗(200Ω)の消費電力は同じである。
【0021】
放電管1が起動している時、負荷抵抗6(200Ω400W)に並列に電圧測定用負荷抵抗(200Ω)を接続すると1Aの電流が流れ200Vの電圧が発生していることが確認出来る。従ってこの時の直流電源10の消費電力は(100VX2A=200W)であり、負荷抵抗6(200Ω400W)の消費電力は(200ΩX1A)で200V の電圧降下となり(200VX1A=200W)である。また電圧測定用負荷抵抗(200Ω)にも1Aの電流が流れ200Vの電圧が発生しているので(200VX1A=200W)の消費電力となり負荷抵抗6の(200W)の消費電力+電圧測定用負荷抵抗(200W)の消費電力=出力側の全消費電力は400Wである。
【0022】
直流電源10が(200V)の時は放電管1の両端の電極2a、2bには200Vの電圧が発生し負荷抵抗6(400ΩX1A)には400V の電圧降下となり(400VX1A=400W)の消費電力となる。この時の直流電源10の消費電力は(200VX1A=200W)である。
【0023】
前記の負荷抵抗6は100V54W(200Ω)の電球を8個直列(1600Ω)にしたものを4列並列に接続して(400Ω)にしたものである。
【0024】
放電管1において紫外線によって電離した水銀イオンはリアクトルに繋がっている電極2aに+電荷を渡して管壁で冷却され凝縮し小さな水銀溜となり下部の水銀溜4に戻っていく。
【0025】
直流電源10に繋がつている閉回路に流せる電流は放電管とリアクトルの許容電流によって制限される。又放電管起動中は負荷抵抗(200Ω 400W及び400Ω 800W)を開放してはならない。上部の電極から高電圧が発生する可能性がある。 直流電源10の−側で開放することが望ましい。又、放電管起動中は電圧計による電圧測定をしてはならない。電圧計は内部抵抗が高いため高電圧降下により焼損するためである。電圧測定用負荷抵抗(200Ω)は放電管起動中でも接続、開放も自由である。
【0026】
水銀入り真空放電管内は1Paまで排気してから希ガス(アルゴン・クリプトン・キセノン等)を10Pa~50Pa封入すること。希ガスを封入するのは起動を容易にし放電を安定化させるためである。この放電管の作動する温度は20℃~85℃の範囲である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
かかる水銀入り真空放電管利用の発電方式は以下の利点を有している。まず小型化が可能であり可動部分ない静止機器であるために静粛性に優れ保守が容易である。また機械的なエネルギーを介さずに電気エネルギーに変換されるために発電効率が高い。これらのことから安定した分散型発電等への応用に適していると考えられる。
【符号の説明】
【0028】
図1の説明
1・・・・・・水銀入り真空放電管
2a、2b・・・・放電管に封入されている電極
3・・・・・・電極2aに溶接されているステンレスボルト
4・・・・・・電極2bに存在する水銀溜
5・・・・・・リアクトル
6・・・・・・負荷抵抗(200Ω) (400Ω)
7・・・・・・押ボタンスイッチ
10・・・・・・直流電源
20・・・・・・直流高電圧電源









【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源と、真空放電管内に所定間隔を介して対向する一対の電極が設けられた水銀入り真空放電管とを備え、且つ直流電源の正極と前記真空放電管の負極とが接続されて閉回路が形成され、前記真空放電管の一対の電極間内で放電が惹起されたとき、前記真空放電管の正極と前記直流電源の負極との間に、前記直流電源の電圧に対して2倍の電圧が生じることを特徴とする直流発電装置。

【請求項2】
前記水銀入り真空放電管が立設されており、前記真空放電管の下端部に設けられた水銀溜に前記直流電源の正極と接続される電極が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の直流発電装置。

【請求項3】
前記直流電源の負極と前記真空放電管の正極との間にリアクトルと負荷抵抗とが直列に配設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の直流発電装置。
【請求項4】
前記真空放電管内の一対の電極間で放電が惹起されるように、前記真空放電管正極と負極との間に起動回路が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の直流発電装置。

【請求項5】
前記起動回路は直流高電圧電源から押ボタンスイッチを通して前記直流電源に対して直列に接続されている、押ボタンスイッチを一瞬圧下することにより放電開始することを特徴とする請求項4に記載の直流発電装置。








【図1】
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