説明

水門の凍結防止装置

【課題】水門設備の凍結防止部に配設された被加熱部材に管体を設置し、管体を誘導加熱によって発熱させる水門の凍結防止装置において、管体の加熱が不要な部分は発熱させず、管体の加熱が必要な部分を発熱させ、消費電力の低減を図る。
【解決手段】管体2に絶縁電線3を挿通し、絶縁電線3に交流電源4を接続し、絶縁電線3に交流電流を通電して管体2に誘導電流を生起させ、管体2を発熱させる。管体2が、被加熱部材(シールリング)13から交流電源4側に延出され、交流電源13側の端部2aから被加熱部材13の手前までの部分21は誘導電流が生じ難い第1材(非磁性体)で形成され、被加熱部材13の部分22は誘導電流が生じ易い第2材(磁性体)で形成されている。第2材(磁性体)の部分22が誘導電流により発熱するので、被加熱部材13を的確に加熱でき、消費電力の低減が図れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水門設備の凍結の虞がある部分を加熱することで凍結を防止する水門の凍結防止装置に係り、特に、誘導加熱(Induction Hearting)を利用した水門の凍結防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水門設備には、水を堰き止め或いは開放するために開閉される扉体と、扉体の開閉動作に伴って扉体が摺接、押付又は離反される戸当たり金物とが備えられている。ここで、冬季や厳冬期においては、扉体及び戸当たり金物の近傍の水が凍結して扉体が戸当たり金物に氷着し、扉体が開閉不能となる場合がある。これを防止するため、扉体や戸当たり金物等の凍結の虞がある部分(凍結防止部)を加熱し、扉体の氷着を防止するようにしている。
【0003】
凍結防止部を加熱する水門の凍結防止装置として、水門設備の凍結防止部に配設された被加熱部材と、被加熱部材に装着された鋼管と、鋼管に挿通された絶縁電線と、絶縁電線に接続された交流電源とを備えたものが知られている(特許文献1〜3参照)。この凍結防止装置は、交流電源から絶縁電線に通電した交流電流の交番磁束によって鋼管に誘導電流(渦電流)を生起させ、渦電流が流れる鋼管の電気抵抗に応じたジュール熱によって鋼管を発熱(誘導加熱)させることで、鋼管が装着された被加熱部材を加熱し、凍結防止部での水の凍結を防止して扉体の氷着を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭57−40293号公報
【特許文献2】特開2009−256942号公報
【特許文献3】特開2009−287389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の水門の凍結防止装置においては、被加熱部材がコンクリート等で埋設されている場合であっても、露出部(地上部)から被加熱部材に亘って鋼管を配設し、その鋼管に絶縁電線を引き抜き可能に挿通することで、絶縁電線を保護すると共に、メンテナンス時に絶縁電線の交換を行うようにしていた。このため、地上部から被加熱部材の手前までの部分(加熱する必要がない部分)の鋼管も誘導電流によるジュール熱によって発熱してしまい、無駄に電力を消費することとなっていた。
【0006】
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、管体を被加熱部材から交流電源側に延出してその管体に絶縁電線を挿通した水門の凍結防止装置において、管体の加熱が不要な部分は発熱させず、管体の加熱が必要な部分のみを発熱させ、消費電力の低減を図った水門の凍結防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために創案された本発明に係る水門の凍結防止装置は、水門設備の凍結防止部に配設された被加熱部材と、被加熱部材に設置された管体と、管体に挿通された絶縁電線と、絶縁電線に接続された交流電源とを備え、交流電源により絶縁電線に交流電流を通電することで管体に誘導電流を生じさせ管体を発熱させるようにした水門の凍結防止装置であって、管体が、被加熱部材から交流電源側に延出されており、交流電源側の端部から被加熱部材の手前までの部分は誘導電流が生じ難い第1材で形成され、被加熱部材の部分は第1材よりも誘導電流が生じ易い第2材で形成されたことを特徴とする。
【0008】
第2材の透磁率が、第1材の透磁率よりも大きいものであってもよい。第1材が非磁性体であり、第2材が磁性体であってもよい。第1材が、オーステナイト系ステンレス材(SUS304等)又は樹脂であってもよい。
【0009】
管体の第1材で形成された部分の少なくとも一部が、コンクリートで覆われていてもよい。管体の第1材の部分と第2材の部分とが、不導体を介して接続されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る水門の凍結防止装置によれば、加熱が不要な管体の第1材の部分を殆ど又は全く発熱させることなく、加熱が必要な管体の第2材の部分を重点的に発熱させることができる。よって、管体の全体を満遍なく発熱させていた従来例と比べ、消費電力を低減することができる。
【0011】
また、絶縁電線に交流電流を通電した際、誘導電流が管体の第2材の部分に集中して生起されるので、管体の全体に満遍なく誘導電流が生起されていた従来例と比べると、第2材の部分に生起される誘導電流値が大きくなって発熱量が高まる。よって、被加熱部材を効率よく加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の前提となる、誘導加熱を利用した鋼管発熱式ヒーターの概略を表す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る水門の凍結防止装置の概略を表す斜視図である。
【図3】図2に示す凍結防止装置の側断面図である。
【図4】図1、図2に示す凍結防止装置に備えられた管体の第1材の部分と第2材の部分との接続部を表す部分断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る水門の凍結防止装置の側断面図である。
【図6】図5のVI−VI線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
(本発明の前提となる鋼管発熱式ヒーター)
図1に示すように、鋼管発熱式ヒーター1xは、発熱体となる鋼管(管体)2xと、管体2xに挿通された絶縁電線3と、絶縁電線3に接続された交流電源4とを備えており、交流電源4から絶縁電線3に通電した交流電流の交番磁束によって管体2xに誘導電流(渦電流)を生起させ、渦電流が流れる管体2xの電気抵抗に応じたジュール熱によって管体2xを発熱(誘導加熱)させるものである。
【0015】
かかる鋼管発熱式ヒーター1xにおいては、管体2xの全体に誘導電流が生起されるため、そのジュール熱によって管体2xの全体が発熱してしまう。よって、これを水門の凍結防止装置に用いた場合、既述したように加熱が不要な部分の管体2xまでも同様に発熱してしまい、無駄な電力を消費していた。これを解消するようにしたものが、以下に説明する本発明に係る水門の凍結防止装置である。
【0016】
なお、並設された管体2xの両端同士を短絡片2yで電気的に接続するようにしてもよい。短絡片2yは、管体2xの外周面に発生する誘導電流(渦電流)を相殺する機能を発揮する。これにより、誘導電流が管体2yの外周面から漏電することを回避できる。
【0017】
(水門)
先ず、図2、図3を用いて、本実施形態に係る凍結防止装置1が取り付けられる水門5について説明する。図2は凍結防止装置1が取り付けられた水門5の斜視図、図3は図2に示す凍結防止装置1及び水門5の側断面図である。この水門5は、水の放流管6がコンクリート7に埋設されており、その放流管6に、扉体8を上下スライド可能に収容するケーシング(ボンネット)9が接続されている。ボンネット9は、略直方体状に形成された中空体からなり、放流管6が接続されるボンネット9の正面9aには、放流管6の形状に合わせて入口91が開口されており、その反対側であるボンネット9の背面9bには、下流側の水路10に接続される出口92が開口されている。
【0018】
ボンネット9に収容された扉体8は、昇降装置11によって昇降される。昇降装置11は、油圧ジャッキ12からなり、ボンネット9の頂部のボンネットカバー9cに装着されたシリンダ12aと、シリンダ12a内に収容されたピストン(図示せず)と、上端がピストンに下端が扉体8に接続されたロッド12bとを有する。ピストンを図示しない油圧装置によって上昇させることで扉体8を引き上げて入口91を開放し、油圧装置によってピストンを下降させることで扉体8を押し下げて入口91を閉じる。なお、昇降装置11は、油圧ジャッキ12に限られず、扉体8をワイヤで吊り上げ又は吊り下ろすウィンチでもよい。
【0019】
扉体8によって開閉されるボンネット9の入口91には、扉体8の正面8aが接触するシールリング13が設けられている。シールリング13は、黄銅等の比較的軟らかい金属により入口91の周方向に沿って形成された断面三角形状のリング体からなり、扉体8が下降したときに扉体8の正面8aと接触して止水する。冬季や厳冬期には、下降した扉体8の正面8aとシールリング13との接触部近傍の水が凍結し、扉体8がシールリング13に氷着して開放できなくなる事態が生じ得る。よって、シールリング13の近傍を加熱して、上述の氷着を防止する必要がある。本実施形態においては、上述した扉体8とシールリング13との接触部が凍結防止部に相当し、シールリング13が被加熱部材に相当する。
【0020】
(第1実施形態:水門の凍結防止装置)
次に、シールリング(被加熱部材)13を加熱して上述した接触部(凍結防止部)近傍の水の凍結を防止することができる第1実施形態に係る水門の凍結防止装置1について説明する。図2、図3に示すように、この凍結防止装置1は、被加熱部材としてのシールリング13を加熱するための管体2を有する。
【0021】
管体2は、地上からコンクリート7に埋設されたシールリング13に向かって下方に延出され、シールリング13の周りに沿って略環状に延伸された後、再び地上に突き出るように上方に延出されている。管体2は、図2、図3においては1本となっているが、複数本配設してもよい。管体2には、絶縁電線3が引き抜き可能に挿通されており、絶縁電線3には、地上において交流電源4が接続され、交流電流が通電されるようになっている。交流電源4には、50Hz又は60Hzの商用周波数の交流電源を用いてもよいが、これに限られるものではない。
【0022】
管体2は、交流電源4側の端部2aからシールリングの手前までの部分21が、絶縁電線3に交流電流を通電したとき誘導電流が生じ難い第1材で形成され、シールリング13の部分22が、第1材よりも誘導電流が生じ易い第2材で形成されている。管体2の第2材の部分22は、溶接等によってシールリング13の周りに取り付けられ、その取付部には、伝熱セメントが打設されている。伝熱セメントは、粉末状の炭素、セラミック、珪酸ソーダ、カルシウムシリケイト等から構成されており、誘導電流によって発熱した第2材の部分22の熱を的確にシールリング13に伝導する。
【0023】
第2材の部分22の透磁率は、第1材の部分21の透磁率よりも大きい。透磁率が大きい方が誘導電流が生じ易いからである。例えば、第2材の部分22には、SS材(一般構造用圧延鋼材)、SM材(溶接構造用圧延鋼材)、SN材(建築構造用圧延鋼材)等の炭素鋼の他、コバルト、ニッケル等の磁性体が用いられ、第1材の部分21には、オーステナイト系ステンレス材(SUS304等)、アルミ、銅の他、塩化ビニル等の樹脂等の非磁性体が用いられる。本実施形態では、第2材の部分22に鋼管が用いられ、第1材の部分21にオーステナイト系ステンレス材(SUS304等)管又は塩化ビニル管が用いられている。
【0024】
このような構成によれば、絶縁電線3に交流電流を通電したとき、管体2は、加熱が不要な第1材の部分21(管体3の交流電源4側の端部2aからシールリング13の手前までの部分)が殆ど又は全く発熱することなく、加熱が必要な第2材の部分22(管体2のシールリング13の部分)が重点的に発熱することになる。よって、管体2の全体を満遍なく発熱させていた従来の鋼管発熱式ヒーター(従来例)1xと比べ、消費電力を低減することができる。すなわち、第2材の部分22にて従来例と同等の発熱量を得るのであれば、絶縁電線3に通電する交流電流値を従来例よりも小さくできる。
【0025】
なお、管体2の第1材で形成された部分21は、シールリング13から離れている上、その殆どがコンクリート7で覆われており、加熱する必要がない。また、ボンネット9が磁性体(SS材等の炭素鋼)で構成されている場合には、管体2の第1材(オーステナイト系ステンレス材等の非磁性体)で形成された部分21を、ボンネット9から所定距離を隔てて設置することで、ボンネット9での誘導電流による発熱を避けるようにする。ここで、所定距離とは、管体2の第1材で形成された部分21内の絶縁電線3を流れる交流電流によってボンネット9に生起される誘導電流が事実上無視できる程度に小さく、ボンネット9が殆ど発熱しない距離である。
【0026】
また、図2に示すように、管体2の第2材で形成された部分22の両端部同士を短絡片25によって電気的に接続してもよい。短絡片25は、管体2の第2材で形成された部分22の外周面に発生する誘導電流(渦電流)を相殺し、誘導電流が部分22の外周面から漏電することを防止する。但し、漏電が問題とならない環境であれば、短絡片25は設置しなくてもよい。短絡片25を設置しない場合、管体2の第2材で形成された部分22における発熱量が高まるため、被加熱部材であるシールリング13を効率よく加熱できる。
【0027】
なお、絶縁電線3には、耐熱絶縁電線(耐熱絶縁ケーブル)が用いられている。絶縁電線3に交流電流を通電した際、管体2の第2材の部分22が発熱するため、その熱によって絶縁電線3が熱損傷することを回避する必要があるからである。また、絶縁電線3は、絶縁性を有しているため、交流電流を通電した際に、その交流電流が管体2を介して、放流管6、シールリング13、ボンネット9等に漏電することを防止できることは勿論である。
【0028】
また、絶縁電線3は、コンクリート7に直接埋設されるのではなく、管体2に挿通されているため、水分や鋭利な突起等から防護される。加えて、絶縁電線3は、管体2に引き抜き可能に挿通されているため、数年から数十年毎に行われるメンテナンス時に、絶縁電線3の地上に露出した端部を把持して引き上げる等することで、管体2から引き抜かれる。
【0029】
ところで、管体2の第1材の部分21をオーステナイト系ステンレス管とし、第2材の部分22を鋼管とした場合、それらの接続部において、異種金属間腐食(異種金属接触腐食)が生じる可能性がある。すなわち、上述した接続部に水分が存在すると、イオン化傾向の大きな鋼管(第2材の部分22)が陽極となり、イオン化傾向の小さなオーステナイト系ステンレス管(第1材の部分21)が陰極となって、陽極となる鋼管22に腐食が生じる。
【0030】
これを回避するために、図4に示すように、管体2の第1材の部分(オーステナイト系ステンレス管)21と第2材の部分(鋼管)22とを、電気的不導体である樹脂(塩化ビニル管)23を介して接続している。具体的には、オーステナイト系ステンレス管21の端部外周面と鋼管22の端部外周面とに雄ネジ21a、22aを形成し、塩化ビニル管23の内周面に雌ネジ23aが形成し、これら雄ネジ21a、22aと雌ネジ23aとを螺合することで、オーステナイト系ステンレス管21と塩化ビニル管23と鋼管22とを物理的(機械的)に接続している。塩化ビニル管23により、オーステナイト系ステンレス管21と鋼管22とを電気的に絶縁した状態にでき、異種金属接触腐食を回避できる。なお、オーステナイト系ステンレス管21と塩化ビニル管23、塩化ビニル管23と鋼管22とは螺合後に接着される。図4の24は接着部である。
【0031】
(第2実施形態)
図5、図6に、本発明の第2実施形態に係る水門の凍結防止装置1aを示す。図5は凍結防止装置1aが取り付けられた水門5の側断面図、図6は図5のVI−VI線断面図(凍結防止装置1a及び水門5の平断面図)である。本実施形態に係る凍結防止装置1aは、図2及び図3を用いて説明した第1実施形態に係る凍結防止装置1と基本的な構成要素は同一であり、第1実施形態のように扉体8を収容するボンネット9の正面9aのシールリング13の部分を加熱するのみならず、ボンネット9の側面9d及び背面9bをも加熱するようにした点が第1実施形態と相違する。よって、第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
図5、図6に示すように、第2実施形態においては、ボンネット9の正面9aに、シールリング13の部分を囲繞するようにして複数の管体2が配設されていることに加え、ボンネット9の側面9dの部分及び背面9bの部分にも、複数の管体2が配設されている。これらの管体2は、第1実施形態と同様に、第1材から形成された部分21(例えばオーステナイト系ステンレス管、塩化ビニル管)と、第2材から形成されて部分22(例えば鋼管)とを有し、それらが図4に示すように、電気的不導体である樹脂管23(例えば塩化ビニル管)を介して接続されている。
【0033】
ボンネット9の正面9aにおける管体2の第2材の部分22は、シールリング13が装着されるように形成されたボンネット9の段差部9eの外周に接している。ボンネット9の側面9dにおける管体2の第2材の部分22は、ボンネット9の一方の側面9dに接して下方に延出され、回り込んで底面9fに接し、反対側の側面9dに接して上方に延出されている。ボンネット9の背面9cにおける管体2の第2材の部分22は、ボンネット9の出口92の外周に接している。また、各管体2には、絶縁電線3が引き抜き可能に挿通されており、絶縁電線には交流電源4が接続されている(図2参照)。
【0034】
この第2実施形態によれば、ボンネット9の正面9aのシールリング13の部分を加熱できるのみならず、ボンネット9の側面9dの部分及び背面9bの部分をも加熱できるので、冬季や厳冬期に扉体8がボンネット9の下部に下ろされて閉じた状態で氷着することを確実に防止できる。なお、この第2実施形態の基本的な作用効果は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0035】
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した各実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例又は修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、水門設備の凍結防止部に配設された被加熱部材と、被加熱部材に設置された管体と、管体に挿通された絶縁電線と、絶縁電線に接続された交流電源とを備え、交流電源により絶縁電線に交流電流を通電することで管体に誘導電流を生じさせ管体を発熱させるようにした水門の凍結防止装置に利用できる。
【符号の説明】
【0037】
1 凍結防止装置
1a 凍結防止装置
2 管体
2a 端部
21 第1材の部分
22 第2材の部分
23 不導体としての塩化ビニル管
3 絶縁電線
4 交流電源
5 水門
7 コンクリート
13 被加熱部材としてのシールリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水門設備の凍結防止部に配設された被加熱部材と、該被加熱部材に設置された管体と、該管体に挿通された絶縁電線と、該絶縁電線に接続された交流電源とを備え、該交流電源により前記絶縁電線に交流電流を通電することで前記管体に誘導電流を生じさせ前記管体を発熱させるようにした水門の凍結防止装置であって、
前記管体が、前記被加熱部材から前記交流電源側に延出されており、前記交流電源側の端部から前記被加熱部材の手前までの部分は前記誘導電流が生じ難い第1材で形成され、前記被加熱部材の部分は前記第1材よりも前記誘導電流が生じ易い第2材で形成されたことを特徴とする水門の凍結防止装置。
【請求項2】
前記第2材の透磁率が、前記第1材の透磁率よりも大きい請求項1に記載の水門の凍結防止装置。
【請求項3】
前記第1材が非磁性体であり、前記第2材が磁性体である請求項1又は2に記載の水門の凍結防止装置。
【請求項4】
前記第1材が、オーステナイト系ステンレス材又は樹脂である請求項1から3の何れか1項に記載の水門の凍結防止装置。
【請求項5】
前記管体の前記第1材で形成された部分の少なくとも一部が、コンクリートで覆われている請求項1から4の何れか1項に記載の水門の凍結防止装置。
【請求項6】
前記管体の前記第1材の部分と前記第2材の部分とが、不導体を介して接続された請求項1から5の何れか1項に記載の水門の凍結防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−87573(P2013−87573A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231440(P2011−231440)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【出願人】(509338994)株式会社IHIインフラシステム (104)
【Fターム(参考)】