説明

水電解システム及びその制御方法

【課題】気液分離装置の排水ラインに配設される背圧弁の故障を、簡単且つ経済的な構成及び工程で、確実に検出することを可能にする。
【解決手段】水電解システム10は、水を電気分解して酸素と前記酸素よりも高圧な高圧水素とを発生させる水電解装置12と、前記水電解装置12から前記高圧水素を排出する高圧水素配管20に配設され、前記高圧水素に含まれる水分を分離する気液分離装置22と、前記気液分離装置22から水を排出する排水ライン26とを備える。排水ライン26には、背圧弁94、減圧弁96、圧力検出センサ100及び電磁弁98が配置されるとともに、前記水電解システム10は、電解停止後に前記電磁弁98を開弁させて脱圧を行う際、前記排水ライン26の圧力を検出して前記背圧弁94の故障を検知する故障検知装置102を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を電気分解して酸素と前記酸素よりも高圧な高圧水素とを発生させる水電解装置と、前記水電解装置から前記高圧水素を排出する水素配管に配設され、前記高圧水素に含まれる水分を分離する気液分離装置と、前記気液分離装置から水が分離された前記高圧水素を導出する高圧水素導出ラインと、前記気液分離装置から水を排出する排水ラインとを備える水電解システム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、燃料電池の発電反応に使用される燃料ガスとして、水素が使用されている。この水素は、例えば、水電解装置により製造されている。水電解装置は、水を分解して水素(及び酸素)を発生させるため、固体高分子電解質膜(イオン交換膜)を用いている。固体高分子電解質膜の両面には、電極触媒層が設けられて電解質膜・電極構造体が構成されるとともに、前記電解質膜・電極構造体の両側には、給電体を配設して単位セルが構成されている。
【0003】
そこで、複数の単位セルが積層されたセルユニットには、積層方向両端に電圧が付与されるとともに、アノード側の給電体に水が供給される。このため、電解質膜・電極構造体のアノード側では、水が分解されて水素イオン(プロトン)が生成され、この水素イオンが固体高分子電解質膜を透過してカソード側に移動し、電子と結合して水素が製造される。一方、アノード側では、水素と共に生成された酸素が、余剰の水を伴ってセルユニットから排出される。
【0004】
上記の水電解装置では、水分を含んだ水素が製造されており、乾燥状態、例えば、水分量5ppm以下の水素(以下、ドライ水素ともいう)を得るために、前記水素から水分を除去する必要がある。
【0005】
その際、カソード側に酸素よりも高圧(例えば、1MPa以上)の水素が得られる高圧水素製造装置では、高圧水素から水分を除去するための気液分離装置が大型化するという問題がある。
【0006】
そこで、例えば、特許文献1に開示されている水素生成システムが知られている。この水素生成システムは、図5に示すように、水を電気分解することによって、高圧水素を製造する水電解装置1と、前記高圧水素に含まれる水分を除去する気液分離装置2とを備えている。
【0007】
気液分離装置2を構成する第1気液分離器3には、排水ライン4が接続されるとともに、前記排水ライン4には、減圧弁5、電磁弁6及び絞り7が、排水流れ方向に沿って順次配設されている。
【0008】
水電解装置1で生成された水蒸気を含む高圧水素は、水素導出路8を介して第1気液分離器3に送られている。この第1気液分離器3には、水素に含まれる水蒸気が、この水素から分離されて排水ライン4に戻される一方、前記水素は、水素ライン9に供給可能である。
【0009】
そこで、第1気液分離器3の水位が最上水位になった時、電磁弁6が開放されるため、前記気液分離器3内の水は、排水ライン4から純水供給装置に排出されている。その際、減圧弁5は、二次側圧力が大気圧に維持されるように設定されており、第1気液分離器3から高圧力で排出される水は、前記減圧弁5で常圧まで減圧されて排出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−191333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上記の水素生成システムでは、排水ライン4には、例えば、35MPaの圧力を0.5MPaまで減圧するために、減圧弁5が設けられている。従って、減圧弁5が故障すると、高圧な第1気液分離器3の圧力を安定的に保持することができないおそれがある。
【0012】
本発明は、この種の問題を解決するものであり、気液分離装置の排水ラインに配設される背圧弁の故障を、簡単且つ経済的な構成及び工程で、確実に検出することが可能な水電解システム及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、水を電気分解して酸素と前記酸素よりも高圧な高圧水素とを発生させる水電解装置と、前記水電解装置から前記高圧水素を排出する水素配管に配設され、前記高圧水素に含まれる水分を分離する気液分離装置と、前記気液分離装置から水が分離された前記高圧水素を導出する高圧水素導出ラインと、前記気液分離装置から水を排出する排水ラインとを備える水電解システム及びその制御方法に関するものである。
【0014】
この水電解システムでは、排水ラインには、背圧弁、減圧弁、圧力センサ及び電磁弁が上流から下流に順次配置されるとともに、前記水電解システムは、電解停止後に前記電磁弁を開弁させて脱圧を行う際、前記排水ラインの圧力を検出して前記背圧弁の故障を検知する故障検知装置を備えている。
【0015】
また、この水電解システムでは、故障検知装置は、脱圧後に電磁弁を閉弁させた状態で、排水ラインの圧力を検出して背圧弁の故障を検知することが好ましい。
【0016】
さらに、この制御方法は、水電解装置により高圧水素を発生させるとともに、気液分離装置により前記高圧水素に含まれる水分を分離する電解工程と、電解停止後に電磁弁を開弁させて脱圧を行う工程と、排水ラインの圧力を検出する工程と、前記排水ラインの圧力が設定時間内に降圧しない際、前記背圧弁が故障であると判断する工程とを有している。
【0017】
さらにまた、この制御方法は、排水ラインの圧力が設定時間内に降下した際、電磁弁を閉弁させる工程と、前記電磁弁の閉弁後に前記排水ラインの圧力が昇圧した際、背圧弁が故障であると判断する工程とを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電解停止後に電磁弁を開弁させて脱圧を行う際、排水ラインの圧力を検出している。その際、電磁弁が開弁されているため、背圧弁が、気液分離装置側の圧力を良好に保持していれば、前記背圧弁の下流側である排水ラインの圧力が低下していく。
【0019】
従って、排水ラインの圧力が、設定時間内に降圧しない場合には、背圧弁から排水の漏れ(圧漏れ)が惹起されていると判断され、前記背圧弁の故障が検知される。これにより、気液分離装置の排水ラインに配設される背圧弁の故障を、簡単且つ経済的な構成及び工程で、確実に検出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る水電解システムの概略構成説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る制御方法を説明するフローチャートである。
【図3】前記制御方法において、背圧弁の大量漏れ検出の説明図である。
【図4】前記制御方法において、前記背圧弁の微少漏れ検出の説明図である。
【図5】特許文献1に開示されている水素生成システムの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る水電解システム10は、水(純水)を電気分解することによって酸素及び高圧水素(常圧である酸素圧力よりも高圧、例えば、1MPa〜70MPaの水素)を製造する差圧式水電解装置(高圧水素製造装置)12と、前記水電解装置12から排出される前記酸素及び余剰の水を分離し、前記水を貯留する水貯留装置14と、前記水貯留装置14に貯留される前記水を、前記水電解装置12に循環させる水循環装置16と、前記水貯留装置14に市水から生成された純水を供給する水供給装置18と、前記水電解装置12から高圧水素配管20に導出される前記高圧水素に含まれる水分を除去する気液分離装置22と、前記気液分離装置22から水が分離された前記高圧水素を導出する高圧水素導出ライン24と、前記気液分離装置22から高圧な水を排出する排水ライン26と、コントローラ(制御装置)28とを備える。
【0022】
水電解装置12は、複数の単位セル30を積層したセルユニットを備える。単位セル30の積層方向一端には、ターミナルプレート32a、絶縁プレート34a及びエンドプレート36aが外方に向かって、順次、配設される。単位セル30の積層方向他端には、同様にターミナルプレート32b、絶縁プレート34b及びエンドプレート36bが外方に向かって、順次、配設される。エンドプレート36a、36b間は、一体的に締め付け保持される。
【0023】
ターミナルプレート32a、32bの側部には、端子部38a、38bが外方に突出して設けられる。端子部38a、38bは、配線39a、39bを介して電解電源40に電気的に接続される。
【0024】
単位セル30は、円盤状の電解質膜・電極構造体42と、この電解質膜・電極構造体42を挟持するアノード側セパレータ44及びカソード側セパレータ46とを備える。アノード側セパレータ44及びカソード側セパレータ46は、円盤状を有する。
【0025】
電解質膜・電極構造体42は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜48と、前記固体高分子電解質膜48の両面に設けられるアノード側給電体50及びカソード側給電体52とを備える。
【0026】
固体高分子電解質膜48の両面には、アノード電極触媒層50a及びカソード電極触媒層52aが形成される。アノード電極触媒層50aは、例えば、Ru(ルテニウム)系触媒を使用する一方、カソード電極触媒層52aは、例えば、白金触媒を使用する。
【0027】
単位セル30の外周縁部には、積層方向に互いに連通して、水(純水)を供給するための水供給連通孔56と、反応により生成された酸素及び未反応の水を排出するための排出連通孔58と、反応により生成された水素を流すための水素連通孔60とが設けられる。
【0028】
水循環装置16は、水電解装置12の水供給連通孔56に連通する循環配管72を備え、この循環配管72は、循環ポンプ74及びイオン交換器76を配置して水貯留装置14を構成するタンク部78の底部に接続される。
【0029】
タンク部78の上部には、戻り配管80の一端部が連通するとともに、前記戻り配管80の他端は、水電解装置12の排出連通孔58に連通する。戻り配管80の一端部は、タンク部78内に貯留される水の中で、常時、開口する位置に設定される。
【0030】
タンク部78には、水供給装置18に接続された純水供給配管84と、前記タンク部78で純水から分離された酸素を排出するための酸素排気配管86とが連結される。
【0031】
水電解装置12の水素連通孔60には、高圧水素配管20の一端が接続され、この高圧水素配管20の他端が、逆止弁87を介装して気液分離装置22に接続される。気液分離装置22で水分が除去された高圧水素は、ドライ水素として高圧水素導出ライン24に導出される。高圧水素導出ライン24には、第1設定圧力値(例えば、35MPa)に設定された第1背圧弁88が設けられる。
【0032】
気液分離装置22は、水を貯留するためのタンク部90を備える。タンク部90には、前記タンク部90内の水位WSが設定高さであるか否かを検出する水位検出部、例えば、水位検出センサ92が設けられる。水位検出センサ92の検出信号は、コントローラ28に入力される。
【0033】
気液分離装置22の下部には、排水ライン26が接続され、前記排水ライン26には、第2背圧弁94、減圧弁96及びコントローラ28からの開閉信号により開閉動作する電磁弁98が、排水流れ方向に沿って配設される。排水ライン26には、減圧弁96と電磁弁98との間に位置して圧力検出センサ100が配設される。
【0034】
第2背圧弁94は、第1背圧弁88の第1設定圧力(例えば、35MPa)よりも低圧な第2設定圧力(例えば、34MPa)に設定される。減圧弁96は、一次側圧力(例えば、34MPa)を所定の二次側圧力(例えば、1.0MPa)に減圧するように設定される。
【0035】
コントローラ28は、電解停止後に電磁弁98を開弁させて脱圧を行う際、排水ライン26の圧力を検出して第2背圧弁94の故障を検知する故障検知装置102としての機能を有する。
【0036】
このように構成される水電解システム10の動作について、本実施形態に係る制御方法との関連で、図2に示すフローチャートに沿って、以下に説明する。
【0037】
先ず、水電解システム10による電解が開始される(ステップS1)。図1に示すように、水供給装置18を介して市水から生成された純水が、水貯留装置14を構成するタンク部78に供給される。
【0038】
水循環装置16では、循環ポンプ74の作用下に、タンク部78内の水が循環配管72を介して水電解装置12の水供給連通孔56に供給される。一方、ターミナルプレート32a、32bの端子部38a、38bには、電気的に接続されている電解電源40を介して電圧が付与される。
【0039】
このため、各単位セル30では、水供給連通孔56からアノード側セパレータ44の第1流路64に水が供給され、この水がアノード側給電体50内に沿って移動する。従って、水は、アノード電極触媒層50aで電気により分解され、水素イオン、電子及び酸素が生成される。この陽極反応により生成された水素イオンは、固体高分子電解質膜48を透過してカソード電極触媒層52a側に移動し、電子と結合して水素が得られる。
【0040】
これにより、カソード側セパレータ46とカソード側給電体52との間に形成される第2流路68に沿って水素が流動する。この水素は、水供給連通孔56よりも高圧に維持されており、水素連通孔60を流れて水電解装置12の外部に取り出し可能となる。
【0041】
一方、第1流路64には、反応により生成した酸素と、未反応の水とが流動しており、これらの混合流体が排出連通孔58に沿って水循環装置16の戻り配管80に排出される。この未反応の水及び酸素は、タンク部78に導入されて分離された後、水は、循環ポンプ74を介して循環配管72からイオン交換器76を通って水供給連通孔56に導入される。水から分離された酸素は、酸素排気配管86から外部に排出される。
【0042】
水電解装置12内に生成された水素は、高圧水素配管20を介して気液分離装置22に送られる。この気液分離装置22では、水素に含まれる水蒸気(水分)が、この水素から分離されてタンク部90に貯留される一方、前記水素は、高圧水素導出ライン24に導出される(電解工程)。
【0043】
タンク部90では、前記タンク部90内の水位WSが設定高さであるか否かを検出するために、水位検出センサ92を備えている。コントローラ28は、水位検出センサ92を介して、水位WSが設定下方位置に低下したと判断した際には、タンク部90から排水ライン26への排水の停止を指示する。すなわち、電磁弁98を閉塞させる。一方、コントローラ28は、水位WSが設定上方位置に上昇したと判断した際には、電磁弁98を開放させて排水ライン26への排水を指示する。
【0044】
次いで、水電解装置12による電解運転が停止されると(ステップS2中、YES)、ステップS3に進んで、電磁弁98が開弁される。このため、タンク部90内の水は、排水ライン26を通って排水されることにより、水電解装置12の高圧側であるカソード側の圧力は、脱圧される。
【0045】
その際、コントローラ28は、排水ライン26に減圧弁96の下流に位置して配置されている圧力検出センサ100を介して、前記減圧弁96よりも下流側の排水圧力を検出している。そして、検出された圧力が、降圧せずに一定の圧力を維持していると判断されると(ステップS4中、NO)、ステップS5に進む。このステップS5では、圧力維持が所定の時間T以上継続していると判断されると(ステップS5中、YES)、ステップS6に進む。
【0046】
このステップS6では、図3に示すように、電磁弁98が開放されているにも係わらず、圧力低下が所定の時間Tにわたって惹起されていない。このため、第2背圧弁94に故障が発生していると判断され、アラームの表示が行われる。
【0047】
第2背圧弁94により気液分離装置22側の圧力が保持されていれば、この第2背圧弁94の下流側には、第2設定圧力(例えば、34MPa)の圧力で排水が送り出され、さらに減圧弁96によって、例えば、1.0MPaまで減圧されて排水される。すなわち、第2背圧弁94が正常に機能していれば、前記第2背圧弁94の下流側の圧力は、減圧弁96により34MPaから降圧し、圧力検出センサ100により検出される圧力の低下が発生する。
【0048】
従って、排水ライン26の圧力が、所定の時間T内に降圧しない場合には、第2背圧弁94から排水の漏れ(圧漏れ)が惹起されていると判断され、比較的大量の排水漏れが発生するおそれがある。このため、背圧弁故障アラームがなされた後(ステップS6)、ステップS7に進んで、電磁弁が開放に維持された状態で、システム完全停止がなされる(ステップS8)。
【0049】
なお、ステップS7において、電磁弁98が開状態に維持されるのは、第2背圧弁94から大量の排水漏れが惹起されているおそれがあり、この電磁弁98を保護する必要があるからである。
【0050】
一方、ステップS3において、電磁弁98が開放された後、排水ライン26の圧力降下が惹起されていると判断されると(ステップS4中、YES)、ステップS9に進んで、前記電磁弁98が閉塞される。さらに、システム停止が行なわれた後(ステップS10)、このシステム停止期間中に、排水ライン26の圧力上昇の有無が判断される(ステップS11)。
【0051】
図4に示すように、システム停止期間中に、排水ライン26の圧力が上昇すると(ステップS11中、YES)、第2背圧弁94から微少の排水漏れが惹起されていると判断する。従って、背圧弁故障アラームがなされた後(ステップS12)、ステップS8に進んで、システム完全停止がなされる。
【0052】
また、システム停止期間中に、圧力上昇がないと判断されると(ステップS11中、NO)、ステップS13に進んで、システム起動の指示がなされるか否かが判断される。システム起動が行われる際には(ステップS13中、YES)、ステップS1に戻って電解が開始される。一方、システム起動がなされない場合には(ステップS13中、NO)、制御処理が終了される。
【0053】
この場合、本実施形態では、電解停止後に、電磁弁98を開弁させて水電解装置12の脱圧を行う際、排水ライン26に減圧弁96の下流に位置して配置されている圧力検出センサ100を介し、前記排水ライン26の圧力が検出されている。その際、排水ライン26の圧力が、所定の時間T内に降圧しない場合には、第2背圧弁94から排水の漏れが惹起されていると判断され、前記第2背圧弁94の故障が検知されている。
【0054】
これにより、気液分離装置22の排水ライン26に配置された第2背圧弁94の故障を専用の設備を、使用することがなく、既存のデバイスを用いて確実に検出することができる。このため、簡単且つ経済的な構成及び工程で、第2背圧弁94の良否を正確に判別し得るという効果がある。
【0055】
さらに、本実施形態では、図4に示すように、電磁弁98の開弁後に、排水ライン26の圧力が降下した際、前記電磁弁98が閉弁されてシステム停止に移行されている。そして、このシステム停止期間中に、排水ライン26の圧力を検出し、前記排水ライン26の圧力が上昇した際には、第2背圧弁94が故障であると判断している。従って、第2背圧弁94からの微少の漏れを、簡単且つ経済的な構成及び工程で、確実に検知することができる。
【符号の説明】
【0056】
10…水電解システム 12…水電解装置
14…水貯留装置 16…水循環装置
18…水供給装置 20…高圧水素配管
22…気液分離装置 24…高圧水素導出ライン
26…排水ライン 28…コントローラ
30…単位セル 42…電解質膜・電極構造体
44…アノード側セパレータ 46…カソード側セパレータ
48…固体高分子電解質膜 50…アノード側給電体
52…カソード側給電体 56…水供給連通孔
58…排出連通孔 60…水素連通孔
88、94…背圧弁 90…タンク部
92…水位検出センサ 96…減圧弁
98…電磁弁 100…圧力検出センサ
102…故障検知装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を電気分解して酸素と前記酸素よりも高圧な高圧水素とを発生させる水電解装置と、
前記水電解装置から前記高圧水素を排出する水素配管に配設され、前記高圧水素に含まれる水分を分離する気液分離装置と、
前記気液分離装置から水が分離された前記高圧水素を導出する高圧水素導出ラインと、
前記気液分離装置から水を排出する排水ラインと、
を備える水電解システムであって、
前記排水ラインには、背圧弁、減圧弁、圧力センサ及び電磁弁が上流から下流に順次配置されるとともに、
前記水電解システムは、電解停止後に前記電磁弁を開弁させて脱圧を行う際、前記排水ラインの圧力を検出して前記背圧弁の故障を検知する故障検知装置を備えることを特徴とする水電解システム。
【請求項2】
請求項1記載の水電解システムにおいて、前記故障検知装置は、脱圧後に前記電磁弁を閉弁させた状態で、前記排水ラインの圧力を検出して前記背圧弁の故障を検知することを特徴とする水電解システム。
【請求項3】
水を電気分解して酸素と前記酸素よりも高圧な高圧水素とを発生させる水電解装置と、
前記水電解装置から前記高圧水素を排出する水素配管に配設され、前記高圧水素に含まれる水分を分離する気液分離装置と、
前記気液分離装置から水が分離された前記高圧水素を導出する高圧水素導出ラインと、
前記気液分離装置から水を排出する排水ラインと、
を備え、
前記排水ラインには、背圧弁、減圧弁、圧力センサ及び電磁弁が上流から下流に順次配置される水電解システムの制御方法であって、
前記水電解装置により高圧水素を発生させるとともに、前記気液分離装置により前記高圧水素に含まれる水分を分離する電解工程と、
電解停止後に前記電磁弁を開弁させて脱圧を行う工程と、
前記排水ラインの圧力を検出する工程と、
前記排水ラインの圧力が設定時間内に降圧しない際、前記背圧弁が故障であると判断する工程と、
を有することを特徴とする水電解システムの制御方法。
【請求項4】
請求項3記載の制御方法において、前記排水ラインの圧力が設定時間内に降下した際、前記電磁弁を閉弁させる工程と、
前記電磁弁の閉弁後に前記排水ラインの圧力が昇圧した際、前記背圧弁が故障であると判断する工程と、
を有することを特徴とする水電解システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−219276(P2012−219276A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82716(P2011−82716)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】