説明

水電解システム

【課題】水分を含有する高圧な水素を良好に気液分離するとともに、十分強度を有し且つ水位を正確に測定することを可能にする。
【解決手段】水電解システムを構成する気液分離装置18は、ブロック体40を備える。ブロック体40の内部には、それぞれ上下方向に延在して気液分離用開口部54及び水位検出用開口部56が形成されるとともに、前記気液分離用開口部54及び前記水位検出用開口部56の各下端位置は、前記ブロック体40の内部で終端し且つ排水配管50に一体に連通する。水位検出用開口部56の上端位置は、ブロック体40の内部で終端し且つ気液分離用開口部54の上部側に連結される。導入孔部48は、水位検出用開口部56に設けられる上端水位用検出部58Hよりも上方に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を電気分解して酸素と該酸素よりも高圧な水素とを発生させる高圧水電解装置と、前記高圧水電解装置から排出され、水分を含有する前記水素を気液分離するとともに、前記水分が除去された前記水素を水素充填部に連なる水素配管に供給する一方、分離された水を排水配管に排出する気液分離装置とを備える水電解システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、固体高分子型燃料電池を発電させるために、燃料ガスとして水素ガスが使用されている。一般的に、水素ガスを製造する際に、水電解装置が採用されている。この水電解装置は、水を分解して水素(及び酸素)を発生させるため、固体高分子電解質膜(イオン交換膜)を用いている。固体高分子電解質膜の両面には、電極触媒層が設けられて電解質膜・電極構造体が構成されるとともに、前記電解質膜・電極構造体の両側にアノード側給電体及びカソード側給電体が配設されて、ユニットが構成されている。
【0003】
そこで、複数のユニットが積層された状態で、積層方向両端に電圧が付与されるとともに、アノード側給電体に水が供給される。このため、電解質膜・電極構造体のアノード側では、水が分解されて水素イオン(プロトン)が生成され、この水素イオンが固体高分子電解質膜を透過してカソード側に移動し、電子と結合して水素が製造される。一方、アノード側では、水素と共に生成された酸素が、余剰の水を伴ってユニットから排出される。
【0004】
上記の水電解装置では、水分を含んだ水素が製造されており、乾燥状態、例えば、5ppm以下の水素(以下、ドライ水素ともいう)を得るために、前記水素から水分を除去する必要がある。そこで、例えば、特許文献1に開示されている水電解装置の気液分離装置が知られている。
【0005】
この気液分離装置は、図7に示すように、第1気液分離タンク1aと第2気液分離タンク1bとを備えている。第1気液分離タンク1aの上部には、気体・液体導入管2aを介して水電解装置(電解セル)3の陽極室に連通されている。水電解装置3の陽極側から発生した酸素と、前記水電解装置3の陽極室供給された純水とは、混合された状態、気体・液体導入管2aを経て第1気液分離タンク1aに輸送されている。
【0006】
第1気液分離タンク1aの上部と第2気液分離タンク1bの上部との間には、酸素用の気体連通管2bが接続されており、前記第1気液分離タンク1a内で気液分離された酸素ガスが、前記第2気液分離タンク1bに流入するように構成されている。第1気液分離タンク1aの下部と第2気液分離タンク1bの下部との間には、純水用の液体連通管2cが接続されており、前記1気液分離タンク1a内で気液分離された純水が、前記第2気液分離タンク1bに流入するように構成されている。
【0007】
第2気液分離タンク1bには、第1気液分離タンク1aによって分離された液体成分の液面を制御するために、タンクの上下方向に壁面に沿って、コの字状のバイパス経路1dが設けられている。バイパス経路1dの外側には、液面制御のための光センサ4a、4bが、第2気液分離タンク1bの予め設定された液面の上限位置と下限位置に対応する位置に、1個ずつ配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−144078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、水電解装置では、カソード側に高圧(例えば、35MPa)の水素を生成する高圧水電解システムが採用されている。その際、水電解装置のカソード側に接続されている気液分離装置には、水分が含有された高圧水素が導入されている。
【0010】
しかしながら、上記の特許文献1では、常圧(〜1MPa程度)における気液分離しか想定しておらず、高圧用気液分離装置に用いることができない。特に、第2気液分離タンク1bの下部に液体連通管2cを介して高圧な水が導入されるため、前記第2気液分離タンク1bに連通するバイパス経路1dには、気泡やしぶき等が発生し易くなる。従って、光センサ4a、4bによる液面の検出精度が相当に低下するという問題がある。しかも、特許文献1では、第1気液分離タンク1a及び第2気液分離タンク1bが高圧水素による圧力に耐えることができないおそれがある。
【0011】
本発明はこの種の問題を解決するものであり、水分を含有する高圧な水素を良好に気液分離するとともに、十分な強度を有し且つ水位を正確に測定することが可能な気液分離装置を備える水電解システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、水を電気分解して酸素と該酸素よりも高圧な水素とを発生させる高圧水電解装置と、前記高圧水電解装置から排出された水分を含有する前記水素を気液分離するとともに、前記水分が除去された前記水素を水素充填部に連なる水素配管に供給する一方、分離された水を排水配管に排出する気液分離装置とを備える水電解システムに関するものである。
【0013】
この水電解システムでは、気液分離装置は、ブロック体を備え、前記ブロック体の内部には、それぞれ上下方向に延在して気液分離用開口部及び水位検出用開口部が形成されている。
【0014】
気液分離用開口部及び水位検出用開口部の各下端部位は、ブロック体の下方側側部に設けられる排水配管に一体に連通している。一方、水位検出用開口部の上端部位は、気液分離用開口部の上部側に連結されてブロック体の上部に設けられる水素配管に連通している。
【0015】
そして、ブロック体の上方側側部には、高圧水電解装置から高圧な水素が導入される導入孔部が、水位検出用開口部に設けられる上端水位用検出部よりも上方に位置して形成されている。
【0016】
また、この水電解システムでは、水位検出用開口部には、下端水位用検出部が設けられるとともに、上端水位用検出部及び前記下端水位用検出部は、ブロック体の側面に交差する両面にそれぞれ外部に開口して対向する一対の窓部を有し、各窓部を構成する窓部側壁は、少なくとも底面側に前記水位検出用開口部側に向かって外方に傾斜する傾斜面を有することが好ましい。
【0017】
さらに、この水電解システムでは、水位検出用開口部には、上端水位用検出部よりも上方に上限水位検出部が設けられるとともに、導入孔部は、前記上限水位検出部と前記上端水位用検出部との間の高さ位置に配置されることが好ましい。ここで、上端水位とは、水位が排水を開始する高さであることをいい、上限水位とは、排水が適切に行われず、限界水位に達してシステム停止が必要な高さであることをいう。
【0018】
さらにまた、この水電解システムでは、各窓部には、光透過部材を含む透過ブロックが配設されるとともに、ブロック体は、両面に前記透過ブロックを介装して一対のプレート部材間に挟持され、且つ、前記一対のプレート部材間は、複数の締め付けボルトにより締め付け固定されることが好ましい。
【0019】
また、この水電解システムでは、透過ブロックは、光透過部材である柱状のガラス体と、前記ガラス体を収容する開口部を有する金属ブロック体とを備えることが好ましい。
【0020】
さらに、この水電解システムでは、少なくとも上端水位用検出部及び下端水位用検出部には、透過型光センサが設けられることが好ましい。
【0021】
さらにまた、この水電解システムでは、水位検出用開口部には、静電容量式の水位計が配設されることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ブロック体の内部には、それぞれ上下方向に延在して気液分離用開口部及び水位検出用開口部が形成されるため、気液分離装置全体の強度及び剛性が良好に向上する。このため、高圧水素が製造される際にも、ブロック体は、前記高圧水素による圧力に十分に耐えることができる。
【0023】
しかも、高圧水電解装置から高圧な水素が導入される導入孔部は、水位検出用開口部に設けられる上端水位用検出部よりも上方に位置している。従って、通常運転時には、気液分離用開口部の水位は、導入孔部よりも低い位置に維持されている。これにより、高圧な水素が気液分離用開口部に導入される際、前記気液分離用開口部に貯留されている水中に前記水素が吹き込まれることを阻止することが可能になる。
【0024】
このため、上端水位用検出部や下端水位用検出部に水滴や気泡等が発生することを良好に抑制することができ、水分を含有する高圧な水素を良好に気液分離するとともに、十分な強度を有し且つ水位を正確に測定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る水電解システムの概略構成説明図である。
【図2】前記水電解システムを構成する気液分離装置の斜視説明図である。
【図3】前記気液分離装置の、図2中、III−III線断面図である。
【図4】前記気液分離装置の、図2中、IV−IV線断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る水電解システムを構成する気液分離装置の斜視説明図である。
【図6】前記気液分離装置の、図5中、VI−VI線断面図である。
【図7】特許文献1に開示された気液分離装置の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る水電解システム10は、純水供給装置12を介して市水から生成された純水が供給され、この純水を電気分解することによって高圧水素(酸素圧よりも高圧、例えば、1MPa〜70MPa)を製造する高圧水電解装置14を備える。
【0027】
水電解システム10は、さらに高圧水電解装置14から水素導出路16に導出される水素に含まれる水分を除去する気液分離装置18と、前記気液分離装置18から水素配管20に導出される前記水素に含まれる水分を吸着して除去する水素除湿装置(例えば、水吸着装置)22と、前記水素除湿装置22の下流に配設され、前記高圧水電解装置14で生成される前記水素を高圧に保持する背圧弁24と、システム全体の制御を行うコントローラ26とを備える。
【0028】
高圧水電解装置14は、複数の水分解セル28が積層されており、前記水分解セル28の積層方向両端には、エンドプレート30a、30bが配設される。高圧水電解装置14には、直流電源である電解電源32が接続される。
【0029】
エンドプレート30aには、配管34aが接続されるとともに、エンドプレート30bには、配管34b、34cが接続される。配管34a、34bは、循環路36を介して純水供給装置12から純水の循環が行われる一方、水素排出口である配管34cは、水素導出路16から気液分離装置18に接続される。水素導出路16には、水素排出路37が分岐形成されるとともに、前記水素排出路37には、脱圧用開閉弁38が配設される。
【0030】
図2に示すように、気液分離装置18は、例えば、SUS316等のステンレス鋼製のブロック体40を備える。ブロック体40は、略立方体状を有し、前記ブロック体40の両面(面積の大きな面)40a、40bに、それぞれ複数の透過ブロック42a、42bを介装して一対のプレート部材44a、44b間に挟持される。一対のプレート部材44a、44b間は、複数の締め付けボルト46により締め付け固定される。
【0031】
図3に示すように、ブロック体40の側面40c(両面40a、40bに交差する面積の小さな面)側の上方側側部には、高圧水電解装置14から水素導出路16を通って高圧な水素が導入される導入孔部48が形成される。ブロック体40の上部には、水素配管20が連結されるとともに、前記ブロック体40の下方側側部には、排水配管50が接続される。
【0032】
図1に示すように、排水配管50には、排水用弁52が配設される。この排水配管50は、例えば、純水供給装置12に接続されるとともに、この純水供給装置12に水を供給してもよい。
【0033】
図3に示すように、ブロック体40の内部には、それぞれ上下方向(鉛直方向)に延在して気液分離用開口部54及び水位検出用開口部56が形成される。具体的には、ブロック体40に穿孔加工が施されることにより、開口断面円形状の長尺孔部である気液分離用開口部54及び水位検出用開口部56が、前記ブロック体40に直接形成される。なお、長尺孔部には、図示しないが、必要に応じて端部閉塞処理が施される。
【0034】
気液分離用開口部54及び水位検出用開口部56は、上下方向に互いに平行して延在しているが、これに限定されるものではない。例えば、気液分離用開口部54及び水位検出用開口部56は、互いに所定の角度を有して傾斜していてもよい。
【0035】
気液分離用開口部54及び水位検出用開口部56の各下端位置は、ブロック体40の内部で終端し且つ連結通路57を介して排水配管50に一体に連通する。水位検出用開口部56の上端位置は、ブロック体40の内部で終端し且つ気液分離用開口部54の上部側に連結される。
【0036】
水位検出用開口部56には、水位WSが設定下方位置(L)であるか否かを検出する下端水位用検出部58Lと、前記水位WSが設定上方位置(H)であるか否かを検出する上端水位用検出部58Hと、前記水位WSが下限設定高さ(LL)であるか否かを検出する下限水位用検出部58LLと、前記水位WSが上限設定高さ(HH)であるか否かを検出する上限水位用検出部58HHとが設けられる。
【0037】
図4に示すように、上限水位用検出部58HHは、両面40a、40bにそれぞれ外部に開口して対向する一対の窓部60a、60bを有する。各窓部60a、60bを構成する窓部側壁は、少なくとも底面側に水位検出用開口部56側に向かって外方に傾斜する傾斜面62a、62bを有する。傾斜面62a、62bは、水平方向に対して1゜以上の傾斜角度に設定される。
【0038】
透過ブロック42a、42bは、光透過部材、例えば、略柱状のガラス体64a、64bと、前記ガラス体64a、64bを収容する開口部を66a、66b有する金属ブロック体68a、68bとを備える。ガラス体64a、64bの底部と開口部66a、66bの底部とは、傾斜部70a、70bにより互いに係合する。なお、傾斜部70a、70bに代えて、ガラス体64a、64bの外周面と開口部66a、66bの内壁面とをテーパ面により接触させてもよい。
【0039】
下端水位用検出部58L、上端水位用検出部58H及び下限水位用検出部58LLは、上記の上限水位用検出部58HHと同様に構成されており、その詳細な説明は省略する。
【0040】
図3に示すように、導入孔部48は、水位検出用開口部56に設けられる上端水位用検出部58Hよりも上方に位置している。導入孔部48は、より具体的には、上端水位用検出部58Hと上限水位用検出部58HHとの間の高さ位置に配置される。
【0041】
ブロック体40には、下端水位用検出部58L、上端水位用検出部58H、下限水位用検出部58LL、及び上限水位用検出部58HHの両側に位置し且つこれらと高さ位置を異にして複数のボルト挿入用孔部72が形成される。
【0042】
図2及び図4に示すように、プレート部材44aには、下端水位用検出部58L、上端水位用検出部58H、下限水位用検出部58LL、及び上限水位用検出部58HHを構成する各窓部60aに対向して貫通孔74aが形成される。各貫通孔74aには、透過型光センサ76を構成する投光部78aが装着される。プレート部材44aには、ボルト挿入用孔部72に対応して複数の孔部80aが設けられる。
【0043】
プレート部材44bには、下端水位用検出部58L、上端水位用検出部58H、下限水位用検出部58LL、及び上限水位用検出部58HHを構成する各窓部60bに対向して貫通孔74bが形成される。各貫通孔74bには、透過型光センサ76を構成する受光部78bが装着される。プレート部材44bには、ボルト挿入用孔部72に対応して複数のボルト孔80bが設けられる。
【0044】
ボルト46は、プレート部材44aの孔部80aからブロック体40のボルト挿入用孔部72に挿入されるとともに、プレート部材44bのボルト孔80bにねじ込まれることにより、前記プレート部材44a、44b間に締め付け荷重が付与される。
【0045】
透過型光センサ76は、投光部78aを介してガラス体64aから窓部60aにレーザを照射し、水位検出用開口部56に貯留されている水を透過した前記レーザを窓部60bからガラス体64bを透過させて受光部78bにより受光する。その際、レーザが水を透過する際の透過強度から、前記水の有無を検出することができる。
【0046】
図1に示すように、水素除湿装置22は、水素に含まれる水蒸気(水分)を物理的吸着作用で吸着するとともに、水分を外部に放出して再生される水分吸着材を充填した吸着筒(図示せず)を備える。水素除湿装置22の下流側(出口側)には、背圧弁24を介して水素配管20の一端側が接続され、前記水素配管20の他端側には、図示しない燃料電池車両の燃料タンクに接続される連結部が設けられる。
【0047】
このように構成される水電解システム10の動作について、以下に説明する。
【0048】
先ず、水電解システム10の始動時には、純水供給装置12を介して市水から生成された純水が高圧水電解装置14に供給される。この高圧水電解装置14では、電解電源32から通電されることにより、純水が電気分解されてアノード側に酸素が生成される一方、カソード側に水素が生成される。
【0049】
高圧水電解装置14内に生成された水素は、水素導出路16を介して気液分離装置18に送られる。この気液分離装置18では、図3に示すように、ブロック体40の導入孔部48から気液分離用開口部54に水素が供給され、前記水素に含まれる水蒸気は、この水素から分離されるとともに、前記気液分離用開口部54及び水位検出用開口部56に水が貯留される。
【0050】
水蒸気が除去された水素は、水素配管20に導出されて水素除湿装置22に送られる。従って、水素除湿装置22では、水素に含まれる水蒸気が吸着されて乾燥状態の水素(ドライ水素)が得られ、この水素は、背圧弁24を介して所定圧力の高圧水素に維持される。高圧水素は、図示しないが、燃料電池車両の燃料タンクに供給可能である。
【0051】
図3に示すように、気液分離装置18を構成する水位検出用開口部56には、水位WSが設定下方位置(L)であるか否かを検出する下端水位用検出部58Lと、前記水位WSが設定上方位置(H)であるか否かを検出する上端水位用検出部58Hと、前記水位WSが下限設定高さ(LL)であるか否かを検出する下限水位用検出部58LLと、前記水位WSが上限設定高さ(HH)であるか否かを検出する上限水位用検出部58HHとが設けられている。
【0052】
そして、コントローラ26は、下端水位用検出部58Lを介して水位WSが設定下方位置(L)に低下したと判断した際には、排水用弁52を閉塞させてブロック体40から排水配管50への排水を停止させる。
【0053】
一方、コントローラ26は、上端水位用検出部58Hを介して水位WSが設定上方位置(H)に上昇したと判断した際には、排水用弁52を開放させて排水配管50への排水を指示する。
【0054】
また、コントローラ26は、下限水位用検出部58LLを介して水位WSが下限設定高さ(LL)に低下したと判断した際、及び上限水位用検出部58HHを介して水位WSが上限設定高さ(HH)まで上昇したと判断した際には、システム異常として水電解システム10を停止させる。
【0055】
この場合、第1の実施形態では、ブロック体40の内部には、それぞれ上下方向に延在して気液分離用開口部54及び水位検出用開口部56が、穿孔加工により直接形成されている。このため、ブロック体40の強度が有効に向上し、高圧水素が製造される際にも、前記ブロック体40は、前記高圧水素による圧力に十分に耐えることができるという効果がある。
【0056】
しかも、ブロック体40は、両面40a、40bにそれぞれ複数の透過ブロック42a、42bを介装して一対のプレート部材44a、44b間に挟持されるとともに、前記一対のプレート部材44a、44b間は、複数の締め付けボルト46により締め付け固定されている。従って、気液分離装置18全体の強度及び剛性を良好に向上させることが可能になる。
【0057】
さらに、高圧水電解装置14から高圧な水素が導入される導入孔部48は、水位検出用開口部56に設けられる上端水位用検出部58Hよりも上方に位置している。これにより、通常運転時には、気液分離用開口部54の水位は、導入孔部48よりも低い位置に維持されている。このため、高圧な水素が気液分離用開口部54に導入される際、前記気液分離用開口部54に貯留されている水中に水素が吹き込まれることを阻止することが可能になる。
【0058】
従って、水位検出用開口部56では、上端水位用検出部58Hや下端水位用検出部58L等に、水滴や気泡等が発生することを良好に抑制することができる。これにより、気液分離装置18は、水分を含有する高圧な水素を良好に気液分離するとともに、十分強度を有し且つ水位を正確に測定することが可能になるという効果が得られる。
【0059】
さらにまた、各窓部60a、60bを構成する窓部側壁は、水位検出用開口部56側に向かって外方に傾斜する傾斜面62a、62bを有している。このため、傾斜面62a、62bの底部は、水平方向に対し水位検出用開口部56側に向かって下方に傾斜しており、前記傾斜面62a、62bに水が滞留することを可及的に阻止することができるという利点がある。
【0060】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る水電解システムを構成する気液分離装置90の斜視説明図である。
【0061】
なお、第1の実施形態に係る水電解システム10を構成する気液分離装置18と同一の構成要素には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0062】
気液分離装置90は、ブロック体92と前記ブロック体92の両面に直接配置され、複数の締め付けボルト46により締め付け固定される一対のプレート部材94a、94bとを備える。
【0063】
図5及び図6に示すように、ブロック体92の上部には、静電容量式の水位計96が取り付けされる。水位計96は、図6に示すように、水位検出用開口部56内に上下方向に延在して配置される検出部98を備える。この検出部98は、下端水位用検出部58L、上端水位用検出部58H、下限水位用検出部58LL及び上限水位用検出部58HHとしての機能を有する。
【0064】
気液分離装置90は、透過ブロック42a、42bを用いておらず、ブロック体92に窓部60a、60bを不要にするとともに、プレート部材94a、94bに貫通孔74a、74bを形成することがない。
【0065】
これにより、第2の実施形態では、特に、変動圧運転時に水が飛散しても、水滴による影響を有効に抑制して高精度な水位検出が可能になるという効果が得られる。しかも、構成が簡素化し、製造コストの削減が容易に遂行されるという利点がある。
【符号の説明】
【0066】
10…水電解システム 12…純水供給装置
14…高圧水電解装置 16…水素導出路
18、90…気液分離装置 20…水素配管
22…水素除湿装置 24…背圧弁
26…コントローラ 28…水分解セル
32…電解電源 34a〜34c…配管
40、92…ブロック体 42a、42b…透過ブロック
44a、44b、94a、94b…プレート部材
48…導入孔部 50…排水配管
54…気液分離用開口部 56…水位検出用開口部
58L…下端水位用検出部 58H…上端水位用検出部
58LL…下限水位用検出部 58HH…上限水位用検出部
60a、60b…窓部 62a、62b…傾斜面
64a、64b…ガラス体 68a、68b…金属ブロック体
72…ボルト挿入用孔部 74a、74b…貫通孔
76…透過型光センサ 78a…投光部
78b…受光部 80a…孔部
80b…ボルト孔 96…水位計
98…検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を電気分解して酸素と該酸素よりも高圧な水素とを発生させる高圧水電解装置と、
前記高圧水電解装置から排出された水分を含有する前記水素を気液分離するとともに、前記水分が除去された前記水素を水素充填部に連なる水素配管に供給する一方、分離された水を排水配管に排出する気液分離装置と、
を備える水電解システムであって、
前記気液分離装置は、ブロック体を備え、
前記ブロック体の内部には、それぞれ上下方向に延在して気液分離用開口部及び水位検出用開口部が形成されるとともに、
前記気液分離用開口部及び前記水位検出用開口部の各下端部位は、前記ブロック体の下方側側部に設けられる前記排水配管に一体に連通する一方、
前記水位検出用開口部の上端部位は、前記気液分離用開口部の上部側に連結されて前記ブロック体の上部に設けられる前記水素配管に連通し、
前記ブロック体の上方側側部には、前記高圧水電解装置から前記水素が導入される導入孔部が、前記水位検出用開口部に設けられる上端水位用検出部よりも上方に位置して形成されることを特徴とする水電解システム。
【請求項2】
請求項1記載の水電解システムにおいて、前記水位検出用開口部には、下端水位用検出部が設けられるとともに、
前記上端水位用検出部及び前記下端水位用検出部は、前記ブロック体の側面に交差する両面にそれぞれ外部に開口して対向する一対の窓部を有し、
各窓部を構成する窓部側壁は、少なくとも底面側に前記水位検出用開口部側に向かって外方に傾斜する傾斜面を有することを特徴とする水電解システム。
【請求項3】
請求項2記載の水電解システムにおいて、前記水位検出用開口部には、前記上端水位用検出部よりも上方に上限水位検出部が設けられるとともに、
前記導入孔部は、前記上限水位検出部と前記上端水位用検出部との間の高さ位置に配置されることを特徴とする水電解システム。
【請求項4】
請求項2又は3記載の水電解システムにおいて、各窓部には、光透過部材を含む透過ブロックが配設されるとともに、
前記ブロック体は、前記両面に前記透過ブロックを介装して一対のプレート部材間に挟持され、且つ、前記一対のプレート部材間は、複数の締め付けボルトにより締め付け固定されることを特徴とする水電解システム。
【請求項5】
請求項4記載の水電解システムにおいて、前記透過ブロックは、前記光透過部材である柱状のガラス体と、
前記ガラス体を収容する開口部を有する金属ブロック体と、
を備えることを特徴とする水電解システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の水電解システムにおいて、少なくとも前記上端水位用検出部及び前記下端水位用検出部には、透過型光センサが設けられることを特徴とする水電解システム。
【請求項7】
請求項1記載の水電解システムにおいて、前記水位検出用開口部には、静電容量式の水位計が配設されることを特徴とする水電解システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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