汎用およびいくつかの目的のためのバルブ
本発明の主題は、汎用およびいくつかの目的のためのバルブである。なお、このバルブは、その構成により、低圧力の場合の圧力差が小さい場合においてさえも、基本状態における、およびわずかに開放した状態における比較的高流量を確保し、さらに、このバルブの構成は、逆圧、部分的逆圧、圧力開放、部分的開放制限の機能に応じて調節され得る機能を、流れ方向に応じて提供することを確保することを可能とするものである。本発明に係るバルブは、軟質の可撓性材料から一体式に作られ、バルブは1つの端部において、断面が完全に開放された基部(2)を有し、基部(2)に接続され且つ断面が減少する中間部(3)を有し、バルブ(1)の他端において中間部(3)と接続された平坦部(4)を有する。本発明に係るバルブは、平坦部(4)が、バルブ(1)の材料において、焼結、プレス、または接着された構造であり、バルブ(1)の平坦部(4)上には、好適には焼結、プレス、または接着により平坦部(4)の縁部を気密的に固定することにより作られたプレスされたリム(7)が形成され、さらに、中間部(3)の長さ(L)が、流動中の媒体と接触するバルブ(1)の基部における周囲(K)と比較して、L=0.5〜6(K/π)であり、バルブ(1)の基部においてプレスされたリム(7)の長さ(N)が、流動中の媒体と接触する周囲(K)と比較して、N=0.1〜2(K/π)であることを特徴とするものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、汎用およびいくつかの目的のためのバルブである。なお、このバルブは、その構成により、低圧力の場合の圧力差が小さい場合においてさえも、基本状態、およびわずかに開放した状態における比較的高流量を確保するものであり、さらに、このバルブの構成は、逆圧、部分的逆圧、圧力開放、部分的圧力開放の機能に応じて調節され得る機能を、流れ方向に応じて提供することを確保することを可能とするものである。
【背景技術】
【0002】
日常生活においては、いくつかの種類のバルブが使用される。大きなグループの1つは、特定の場合において、逆流防止バルブおよび圧力開放バルブの働きにより、流動中の特定の物質が、圧力がより高い空間から圧力がより低い空間へと流され、その結果、圧力差が生じた場合に異なる圧力の2つの空間の間で物質の流れが確保される、汎用およびいくつかの目的のためのバルブである。逆止めバルブの主要な機能は、物質の流れを、ただ1つの方向のみに、すなわち、圧力がより高い空間から圧力がより低い空間へと確保し、逆流を防止することである。
【0003】
逆止めバルブの使用における問題の1つは、逆止めバルブを適切に閉止するために必要とされるいくらかの力であり、この閉止力は、特定の解決策の場合においては、流動中の逆流する媒体自体の圧力により確保される。他の解決策においては、閉止力はそれぞれ外的な効果、すなわち例えば、ばねまたは磁石の支援により増加し達成される。逆止めバルブは、主に、圧力差が大きい場合に使用され得る構造である。係る構造により、逆止めバルブの大部分は、圧力差が小さい場合の用途に必要とされる閉止速度のために、各々の逆流を迅速に防止するための迅速な閉止には適さない。
【0004】
最新技術においては、1998年12月6日に公開された特許文献1において、即時閉止バルブならびに即時閉止バルブが設けられたポンプを備える供給装置が開示されている。バルブは一方向性であり、1分以内で閉止される。バルブは、流入管、流出開口部、および互いの上に位置する2つの表面に挟まれた開閉装置を備える。2つの表面は、正確に1つの平面上にある、2つの接続ラインに沿って、互いに接続される。開閉装置は2つの端部を有する。流入管は、1つの端部の近傍において、開閉装置に連結される。開閉装置の他端は、流出側開口部を形成する。このようにして、流出側開閉装置は、2つの接続ラインの間で2つの表面が流動物質により押し離されそのようにして流路が形成されて流動物質が流出側開口部を通って供給され得る開放状態から、流入管の側から流出側開口部に向かって圧力が低下することにより2つの表面が互いに気密に接する閉止状態へと、変化することができる。開閉装置は可撓性材料製であり、完全には弾性的に変形することができない。接続ラインは、上述の平面で動くことができる。開閉装置の開放(または閉止)は、基本的に接続ラインの接近(または離脱)によるものである。
【0005】
特許文献2において、内側中空空間を包囲するゴム製のまたはゴム状のプラスチック製の外側殻体を有する浮揚性のボールが開示され、自動閉止式逆止めバルブが殻体を貫通する。逆止めバルブは軟質ゴムからキャストされたものであり、1つまたは複数の開口部を有する、互いに隣接して位置する1対の薄い縁またはリムを有する。逆止めバルブが開放されると、バルブの外側の気圧がボールの内側の気圧よりも高い場合、空気は自由にボール内へと流れ込むことができる。手動ポンプは逆止めバルブの外側開口部に嵌り込むノズルを有し、ボールはノズルを通して空気を用いて必要な圧力に達するまで脹らまされ得る。逆止めバルブの薄いリムはボール内の圧力により互いに固く閉止し、それによりバルブの開口部が閉じられて、空気の流出を防ぐことができる。圧力を失ったテニスボールは、1つの側に孔を開いて逆止めバルブを接着剤によりその側に固定し、接着剤が固まると、新しいボールの場合と同じ圧力に達するまで手動ポンプにより膨張させることにより、復活させることができる。
【0006】
特許文献3において、主に流体の噴霧に適したポンプシリンダーを有する小型ポンプが開示されている。ポンプの流入側開口部および流出側開口部は、ポンプバケツを有する逆止めバルブにより閉止される。なお、バケツ延長部分を有するポンプバケツは逆止めバルブに固定されている。両方の逆止めバルブは長さ方向に貫通され、ポンプバケツは、ばね力に抗して回転させられ得、バケツ延長部分はスプレーヘッドに埋め込まれている。両方の逆止めバルブはリップバルブであり、リップ部は互いに対して鋭角をなし、間隙を形成する。リップバルブの1つは、ポンプシリンダーの流入側開口部においてリップ部がシリンダーの内側に向かう状態で回転し、第2のリップバルブは、ワークの端面においてリップ部がバケツ延長部分のボアに向かう状態で回転する。2つのリップバルブの間に、圧縮ロックが存在する。
【0007】
2005年3月10に公開された特許文献4において、弾性の逆止めバルブが開示されている。バルブは、天然ゴム製または合成ゴム製のバルブ本体を有し、このバルブ本体は、バルブ本体に埋め込まれた、バルブ本体を補強するための金属製のコア部を備える。さらに、バルブは固定ユニットを備え、固定ユニットは、耐水性を確保する管にバルブの補強ユニットを連結する。バルブ本体は、リムを有する固定部分、弾性開口部、および閉止部分を有し、閉止部分および弾性開口部は、リムを有する固定部分の延長部分として形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】フランス国特許第2756899号明細書
【特許文献2】米国特許第4012041号
【特許文献3】ドイツ国実用新案第7711341号
【特許文献4】韓国特許第20050023666号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の実際に使用される解決策の欠点は、主に圧力差が大きい場合に適用され得るという点である。圧力差がより大きい場合において有効に動作する構造は、圧力差がより小さい場合においては、圧力損失の状況のために、効果的に適用することができない、またはまったく機能しない。さらなる欠点は、係る構造は、閉止状態においてのみ圧力開放が可能であり、わずかに開放された状態では逆止めバルブとして機能できない、すなわち逆流を防止することができない点にある。
【0010】
現在利用される吹き出し逆止めバルブの場合における最新技術において、バルブは、バルブ材料の弾力性を用いて、基本状態が閉止状態となるように意図されている。これらの解決策の場合において、バルブの開放姿勢は、いかなる水準であっても、バルブの機能を損なわせる。すなわち、逆方向の流れにおいては、バルブが閉止されない。閉止すべき空間に圧力を印加するためには、一時的に、バルブの表面を強制的に開放する構造が、例えばポンプ端部等に設置される必要があることは、事実である。われわれは、比較的大きい圧力差について言及する。体積を幾何学的に測定するために、係る解決策の場合においては、ゼロ付近の圧力差の場合においてさえ、閉止された空間を充填する要求は存在しない。したがって、逆止めバルブとして機能すべき構造が基本姿勢において開放状態にあるべきでないことは明らかである。実際に、基本姿勢における閉止状態は必要とされる。
【0011】
本発明に係る解決策を研究する際、われわれは、低圧力の場合の圧力差が小さい場合における、流量損失が低いまたはゼロに近く、高精度の反復の、比較的高流量を確保することを可能とする、汎用およびいくつかの目的のためのバルブを創造することを目指した。さらに上述の機能は、流れの方向に応じて、逆圧、部分的逆圧、圧力開放、および部分的圧力開放の機能に応じた機能が特定の場合において調整可能な方法で確保され得るよう、バルブがわずかに開放された状態から開始することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る解決策を創造する際、われわれは、念のため、軟質弾性材料製の、一体式のバルブを形成することを実現した。なお、このバルブは、1つの端部において断面が完全に開放された基部と、断面が次第に減少し且つ基部と接続された中間部とを有するものである。バルブの他端においては、中間部と接続され且つ平坦部を有するバルブが形成され、バルブの平坦部は、焼結、プレス、または接着された、バルブ材料製の構造であり、バルブの平坦部上には、好ましくは平坦部の縁部を、焼結、プレス、または接着することによって、気密的に固定することにより作られたプレスされたリムが形成され、さらに、中間部の長さLは、流動物質と接触するバルブ基部の周囲Kと比較して、L=0.5〜6(K/π)であり、バルブ基部におけるプレスされたリムの長さNは、流動中の媒体と接触するバルブ基部の周囲Kと比較して、N=0.1〜2(K/π)である。その条件下で設定目的が達成され得る。
【0013】
本発明は、汎用およびいくつかの目的のためのバルブである。このバルブは、軟質の可撓性材料から一体式で作られており、1つの端部において、断面が完全に開放された基部を有し、断面が次第に減少し且つ基部と接続された平坦部を有し、バルブの他の端部において、中間部と接続された平坦部とを有するものである。なお、このバルブは、平坦部が、焼結、プレス、または接着された、バルブ材料製の構造であり、バルブの平坦部上において、好ましくは、焼結、プレス、または接着により、平坦部の縁部を気密的に固定することにより作られたプレスされたリムが形成され、さらに、中間部の長さ(L)が、流動中の媒体と接触するバルブの基部の周囲(K)と比較して、L=0.5〜6(K/π)であり、バルブの基部におけるプレスされたリムの長さ(L)が、流動中の媒体と接触する周囲(K)と比較して、N=0.1〜2(K/π)であることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る解決策の1つの好適な実施形態においては、開放された基部の形状は、円形、楕円形、または角形であり、もしくは特定の場合では、三角形、正方形、または多角形、もしくは特定の場合では、六角形または八角形である。
【0015】
本発明に係る解決策の別の好適な実施形態においては、平坦部は、バルブの基本状態において、開放されているか、または部分的に開放されている。
【0016】
本発明に係る解決策のさらなる好適な実施形態においては、特定の場合においてバルブの閉止に影響を与えるために、磁化可能な金属板または磁気プレートをバルブの平坦部に設置すること、および/または、特定の場合に金属粉または磁性粉をバルブの材料に、キャスト、プレス、または混合することにより、平坦部の材料を磁化することができる。
【0017】
本発明に係る解決策のさらなる好適な実施形態においては、特定の場合におけるバルブの閉止に影響を与えるために、1つまたは複数の拡張された弾性繊維が、バルブの平坦部上に、対照的に、または非対称的に配置されてもよい。
【0018】
本発明に係る解決策のさらなる好適な実施形態においては、バルブの材料は、特定の場合ではシリコンゴム、繊維、紙で含浸された、またはそれらの物質で表面処理された、好ましくは天然ゴム製または合成ゴム製の、閉曲面であり、バルブの材料の厚さ(V)は、流動中の媒体と接触するバルブの基部の周囲(K)と比較して、V=0.01〜0.2(K/π)である。
【0019】
本発明に係る解決策のさらなる好適な実施形態においては、バルブの材料は、好適には繊維または紙等の多孔質材料であり、多孔率は、自由な流出と比較して、表面の2〜40%である。
【0020】
本発明に係る解決策のさらなる好適な実施形態においては、バルブの中間部には流れ間隙が設けられる。
【0021】
本発明に係る解決策のさらなる好適な実施形態においては、基本状態におけるバルブは部分的に開放されており、基本状態における平坦部の流れ断面は、基部の流れ断面の1〜66%である。
【0022】
本発明に係る解決策のさらなる好適な実施形態においては、プレスされたリムの幅(S)は、バルブの基部における流動中の媒体に接触する周囲(K)と比較してS=0.04〜0.42(K/π)である。
【0023】
本発明に係る解決策のさらなる好適な実施形態においては、バルブの流入側開口部および/または流出側開口部にフィルタが設けられている。
【0024】
本発明に係る解決策のさらなる好適な実施形態においては、バルブ閉止の調節は磁力を変化させることにより行われる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】閉止状態にある、本発明に係るバルブの実施形態の側面図である。
【図2】図1による本発明に係るバルブの実施形態の上面図である。
【図3】流出側開口部から見た、図1による本発明に係るバルブの実施形態の図である。
【図4】流入側開口部から見た、図1による本発明に係るバルブの実施形態の図である。
【図5】わずかに開放された姿勢にある、図1による本発明に係るバルブの実施形態の側面図である。
【図6】流出側開口部から見た、図5による本発明に係るバルブの実施形態の図である。
【図7】流入側開口部から見た、図5による本発明に係るバルブの実施形態の図である。
【図8】完全開放状態にある、図1による本発明に係るバルブの実施形態の側面図である。
【図9】流入側開口部から見た、図8による本発明に係るバルブの実施形態の図である。
【図10】流出側開口部から見た、図8による本発明に係るバルブの実施形態の図である。
【図11】磁気シートが平坦部上に設置された状態の、本発明に係るバルブの、別の実施形態の側面図である。
【図12】図11による本発明に係るバルブの実施形態の上面図である。
【図13】流出側開口部から見た、図11による本発明に係るバルブの実施形態の図である。
【図14】拡張された弾性繊維が平坦部上に設置されている場合の、図11による本発明に係るバルブの、さらなる実施形態の側面図である。
【図15】図14による本発明に係るバルブの実施形態の上面図である。
【図16】流出側開口部から見た、図14による本発明に係るバルブの実施形態の図である。
【図17】開放姿勢にある、図14による本発明に係るバルブの実施形態の側面図である。
【図18】流出側開口部から見た、開放姿勢にある、図14による本発明に係るバルブの実施形態の図である。
【図19】閉止姿勢にある、本発明に係るバルブのさらなる実施形態の断面図である。
【図20】開放姿勢にある、図19に示す本発明に係るバルブの実施形態の断面図である。
【図21】閉止姿勢にある、本発明に係るバルブのさらなる実施形態の断面図である。
【図22】開放姿勢にある、図21に示す本発明に係るバルブの実施形態の断面図である。
【図23】本発明に係るバルブから形成されたバルブの組合せの実施形態である。
【図24】本発明に係るバルブから形成されたバルブの組合せの別の実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に係る解決策は、以下の添付の図面によりさらに説明される。
【0027】
図1は、閉止状態にある、本発明に係るバルブの実施形態の側面図を示す。図1には、流入側開口部5を有する長さHおよび直径Dのバルブ1の基部2と、長さLの中間部3と、流出側開口部6を有する長さNの平坦部4とが示されている。流動中の媒体と接触する周囲Kも図に示されている。直径が円形であるバルブ1の基部2の場合バルブ1の場合は、K=Dπとなる。円形とは異なるプロファイルであるバルブ1の基部2の場合は、直径Dは、流動中の媒体と接触する周囲Kから計算して、仮想的に、D=K/πと見なすこととする。バルブ1の大きさは、この実際値または仮想値Dと対比して与えられる。
【0028】
図2は、図1による本発明に係るバルブの実施形態の上面図を示す。図2には、流入側開口部5を有する長さHおよび直径Dのバルブ1の基部2と、長さLの中間部3と、プレスされたリム7および流出側開口部6を有する長さNおよび幅Sの平坦部4とが示されている。
【0029】
図3は、流出側開口部から見た、図1による本発明に係るバルブの実施形態の図を示す。図3において、バルブ1の中間部3および流出側開口部6を有するバルブ1が見られ、この場合、流出側開口部6は完全閉止状態にある。バルブ1の平坦部4と、平坦部4上に形成されたプレスされたリム7も見られる。
【0030】
図4は、流入側開口部から見た、図1による本発明に係るバルブの実施形態の図を示す。図面において、バルブ1の基部2の直径Dの流入側開口部5と、流出側開口部6とが見られ、この場合、流出側開口部6は閉止されている。平坦部4も見られる。
【0031】
図5は、わずかに開放された姿勢にある、図1による本発明に係るバルブの実施形態の側面図を示す。図6は、流出側開口部から見た、図5による本発明に係るバルブの実施形態の図を示す。図7は、流入側開口部から見た、図5による本発明に係るバルブの実施形態の図を示す。これらの図面において、流入側開口部5を有する長さHおよび直径Dのバルブ1の基部2と、長さLの中間部3と、プレスされたリム7および流出側開口部6を有する長さNおよび幅Sの平坦部4とが見られる。これらの図面では、この場合においては、流出側開口部6がわずかに開放された姿勢にあることが見られる。部分的に開放された基本状態にあるバルブ1の、平坦部4の流れ断面A2および基部2の流れ断面A1が、これらの図面に示されている。
【0032】
図8は、完全開放状態にある、図1による本発明に係るバルブの実施形態の側面図を示す。図9は、流入側開口部から見た、図8による本発明に係るバルブの実施形態の図を示す。図10は、流出側開口部から見た、図8による本発明に係るバルブの実施形態の図を示す。これらの図面において、流入側開口部5を有する長さHおよび直径Dのバルブ1の基部2と、長さLの中間部3と、プレスされたリム7および流出側開口部6とともに形成された長さNおよび幅Sの平坦部4とが示されている。流出側開口部6はこの場合においては完全開放状態にあることが図面において見ることができる。
【0033】
図11は、磁気シートが平坦部上に設置された状態の、本発明に係るバルブの、別の実施形態の側面図を示す。図12は、図11による本発明に係るバルブの実施形態の上面図を示す。図13は、流出側開口部6から見た、図11による本発明に係るバルブの実施形態を示す。これらの図面において、図1に示す本発明に係るバルブ1の構成を見ることができる。この場合は、磁気プレート8の対が、バルブ1の平坦部4の対向する側の外側表面上に設置されている。平坦部4上に磁気プレート8は、磁気プレート8が平坦部4のプレスされたリム7の外側において、プレスされたリム7から距離Mの位置にあるよう、設置される。ただし、Mの値は、0<M<4Vである。磁気プレート8は、磁気プレート8間の距離がGとなるよう、1つの表面上に設置される。ただし、Gの値は、0<G<4Vである。磁気プレート8は、平坦部4の外側表面に既知の方法、例えば、付着等により、固定される。
【0034】
磁気プレート8のかわりに、所望のサイズの磁気シートまたは磁気ブロックを用いることもできる。また、平坦部4の材料に、磁化可能な材料を混合する方法を適用することもできる。平坦部4の原材料に混合される磁化可能材料の量は、最大で60重量%、好適には40重量%である。原材料に混合される磁化可能材料の量は、平坦部4をどの程度まで磁化するかの要求に依存する。原材料に混合する磁化可能材料の量を低下させ、全混合量を適切に磁化することも可能である。また、その逆、すなわち原材料に混合する磁化可能材料の量を増加させ、磁化の程度を低下させることも可能である。原材料に混合される磁化可能材料の量は、バルブ1のサイズおよびバルブ1の材料の肉厚Vに依存する。磁石粉末が混合されたシリコンシートを基部バルブ1の平坦部4上に固定する解決策も用いることができる。
【0035】
図14は、拡張された弾性繊維が平坦部上に設置されている場合の、図11による本発明に係るバルブの、さらなる実施形態の側面図を示す。図15は、図14による本発明に係るバルブの実施形態の上面図を示す。図16は、流出側開口部から見た、図14による本発明に係るバルブの実施形態を示す。図17は、開放姿勢にある、図14による本発明に係るバルブの実施形態の側面図を示す。図18は、流出側開口部から見た、開放姿勢にある、図14による本発明に係るバルブの実施形態の図を示す。この図面において、図11に示すバルブ1の構成は、引張力Fにより拡張された弾性繊維9がバルブ1の平坦部4上に配置された各磁気プレート8に1つずつ配置される形で、図11に示すバルブ1の構成の解決策の1つの改良として示されている。
【0036】
図1に示すバルブ1の構成は、耐漏洩性の閉止に達するまでに時間がかかる低速閉止プロセスを行うものである。実際に、低速閉止プロセスに要する時間は、ほとんどの場合、特定の用途により許容される閉止時間を超えるものである。バルブ1を使用すると、磁気プレート8の支援によりバルブ1の強力な閉止が確保されて、図11に示す磁気プレート8が設けられたバルブ1の支援により閉止の高速化が確保される。磁気プレート8の磁力は継続的に作用する永久的な力を及すものであり、閉止中は磁気プレート8間の距離が減少するにつれて磁気プレート8が確実に閉止力を次第に増大させるため、確実な閉止プロセスが確保される。磁力の動作機構により、この解決策は予め決定された閉止プロセスも実行する。
【0037】
バルブ1の平坦部4上に設置された弾性繊維9がバルブ1に適用された場合、バルブ1の閉止時間をこの解決策により短縮することはできるが、この閉止時間は、弾性繊維9の効果がバルブ1の閉止につれて連続的に低下して次第にゼロにもなり得るため、特定用途の場合には不適切である。これは、終了姿勢においてバルブ1の閉止プロセスが図1に示す基本的構成と同一となり、閉止プロセスにかなりの時間がかかることになるであろうことを意味し得る。
【0038】
バルブ1の平坦部4上に設置された磁気プレート8の組合せ、および磁気プレート8上に設置された弾性繊維9の組合せにより、適切な閉止時間を有し且つ強力な閉止を確保するバルブ1を作ることが可能となる。磁気プレート8および弾性繊維9の適用の組合せにより、閉止力は、バルブ1を閉止する際、弾性繊維9の張力による閉止力が磁気プレート8の永久磁力に重畳されるよう、調節され得る。そのようにして、バルブ1を閉止するとき、引張力Fにより適切に拡張させられた弾性繊維9により、磁気プレート8のプロセスが確実に加速される。すなわち、最初は、磁気プレート8が互いに離れていて互いに対してより小さい磁力を及ぼし合っているが、弾性繊維9により、磁気プレート8は互いの接近が早められ、一定の距離に達すると適切な磁力を及ぼし合うようになり、このようにして、バルブ1の閉止の高速化が確保される。
【0039】
弾性繊維9は、例えば閉止カムが弾性繊維9上に設置された、または弾性繊維9自体が異なった直径である等の、プロファイルであり得る。これらの解決策により、閉止力および伸張力の値が異なり得る。
【0040】
図19は、閉止姿勢にある、本発明に係るバルブのさらなる実施形態の断面図を示す。図20は、開放姿勢にある、図19に示す本発明に係るバルブの実施形態の断面図を示す。図面において、図1によるバルブ1の構成が見られる。この場合では、流れ間隙10がバルブ1の中間部3に形成されている。この解決策は、より高速の流出およびより低速の逆流が必要とされる場合に適用される。この解決策により、流動中の媒体が流出側開口部6を通過して特定の空間に流出するのみではなく、流れ間隙10も通過するため、より遙かに高速な流出が可能となる。同時に、バルブ1により、バルブ1の閉止姿勢においても、空気が流れ間隙10を通して少量程度まで流入および流出することが確実に可能となる。その結果、閉止された空間は、例えば、内側空間のエアリング(airing)の場合等において、流れ間隙10を通して外側空間と永久的に接触する。流れ間隙10により、2方向の流れが可能となる。同時に、圧力変化が大きいときにも、バルブは開放され、圧力のバランスも達成される。この構成の大きな利点は、それぞれの方向に対して異なるフロー値を選択し得ることである。流れ間隙10のサイズは、特定の用途に対して調節可能である。
【0041】
図21は、閉止姿勢にある、本発明に係るバルブのさらなる実施形態の断面図を示す。図22は、開放姿勢にある、図21に示す本発明に係るバルブの実施形態の断面図を示す。図面において、バルブ1の構成が示されている。なお、バルブの材料には細孔11が設けられている。バルブの材料は、例えば、高緻密性および半透過性材料の布地である。この解決策を適用する場合、適切な弾性の布地を用いてバルブ1が構成されているならば、結果は図19に示す解決策と同様となる。
【0042】
図23は、本発明に係るバルブから形成されたバルブの組合せの実施形態を示す。このバルブの組合せは、いくつかの段階にある圧力開放の組合せと1つのフィードバルブの組合せとである。図面においては、バルブ1から形成されたバルブの組合せが調節空間12に接続された状態で、調節空間12が見られる。この場合の特定のバルブの組合せは5つのバルブ1からなる。これら5つのバルブ1のうちの4つのバルブ1は、各バルブ1が異なる開放圧力に設定され、すなわち各バルブ1が異なる圧力差の効果により開放され、流出側開口部6の支援により流動中の媒体が調節空間12から確実に流出できるよう、設置されている。異なる開放圧力で動作するバルブ1の機能は、機構(傍心)の支援により設定される。係る方法により、この機構は常に使用機能にある値とされる。バルブの組合せのうちの第5のバルブ1の機能は、流動中の媒体の逆流を確実に流出させることである。このバルブの組合せの利点は、バルブを別個に調節することなしに異なる圧力状態を作り出せることである。したがって、4つの非調節可能な、異なる固定圧力状態を作ることができる。同時に、この解決策を用いて、連続的な調節は不可能である。
【0043】
図24は、本発明に係るバルブから形成されたバルブの組合せの別の実施形態を示す。図面において、調節空間12およびバルブ1が見られる。バルブ1のうちの1つは、流動中の媒体が調節空間12から流出することを確保する一方、他方のバルブ1は流動中の媒介が調節空間12へと逆流することを確保する。この解決策は、本発明に係るバルブ1の支援による、従来の3/2バルブの具体化である。なお、この場合において、流出を確保するバルブ1の開放圧力は、供給を提供する他方のバルブ1の開放圧力よりも高いことが好ましい。
【0044】
本発明に係る解決策の好適な実施形態の場合において、第1ステップとして、直径Dおよび長さHの、主にシリコン製の、軟質の弾性材料製の管道が作られる。これに続いて、管断面の1つの端部において、円弧上で所望により選択された直径Dの反対側の2つの点に印がつけられる。印をつけた両方の点から、距離S−Sが円弧上の両方の方向に計測される。管断面のこの部分は、管断面のこの端部が印をつけられた2つの点の間で直線となるよう、すなわち、2つの点によって等分された円弧の半円弧部分が直接互いに接するよう、平坦化される。これに続いて、この(今の場合は直線状となっている)互いに接する半円弧状の1区分は、円弧の長さ方向に沿って径方向距離S−Sにわたって、および管断面の長さH方向に沿って軸方向N−Nにわたって、互いに対して気密的に固定される。その結果、このようにして、プレスされたリム7と、プレスされたリム7と基部2との間に位置する中間部3とが形成され、本発明に係るバルブ1が作られる。
【0045】
バルブ1を適用した本発明に係る解決策の好適な実施形態の場合、高い流量(1〜8l/秒)が達成される。基本姿勢の場合(すなわち流れがゼロの場合)には、バルブ1が開放状態にあり、圧力差が比較的小さい(0〜5kPa)場合には、特性の整合化により、逆流の初期部分において、管の内圧および外側から壁に及ぼされるより大きな圧力により、バルブが強力に閉止され、高い緻密度を確保する閉止姿勢が保持される点が、本発明が適用される際の特徴である。
本発明に係るバルブ1の好適な実施形態の場合、通過する気流の体積に応じた断面サイズにより、空間への流出および流入を調節するための時間は十分に長いものとすることができる。バルブ1は、圧力差と流れの比率に応じて、断面積を変化させる。
【0046】
好適な構成の場合、バルブ1の機械的構造は、断面が円形の管から作られ、管の1つの端部が平坦化されたものとなっている。材料の可撓性特性により、自然に円錐形状が形成され、その形状は他の方法により影響されることがない。
【0047】
材料の可撓性特性を考慮して、管の肉厚が、崩壊しないような自己支持型の平坦化された管断面が形成されるに相応しい値となるべきであることが、寸法比率の特徴である。要求される流れ率を確保する断面は、層流を可能にするべきである。平坦部の外側表面の寸法は、逆止めバルブ機能における閉止遅延の率に著しい影響を及ぼす。逆止めバルブとして使用される場合、バルブは基本姿勢においては開放状態にあるが、閉止状態にあってもよい。しかし、閉止状態は、流入により生じる圧力差により解消されなければならない。平坦部の表面は、閉止機能を実現するための十分な大きさを有するべきである。
【0048】
本発明に係るバルブの好適な実施形態の場合、特定の様相のシリコンの重合を用いて、目的を達成するに好適な形状を達成し得る。このことにより、管は逆止めバルブの目的のために、永久的に平坦化され得、この平坦化状態は最後に作られるべきである。この解決策は、ブリードバルブの形成のためにも使用することができる。
【0049】
この解決策を圧力開放バルブとして使用する場合、基本状態における閉止姿勢は、例えば磁石、可撓性繊維、重力、またはばね力等の予備的な力により確保され得る。この予備的な力を調節することにより、確実な圧力差においてバルブが閉止することが達成され得る。開放圧力差は、これに比較してヒステリシスの率により決定される。
【0050】
本発明に係る基本構成におけるバルブは、すでに基本機能、逆止めバルブの機能を有するものであり、この基本構成は、さらなる好適な用途の要求を満足するために、特別な方法で形成または変更される。本明細書に記載の新しい構造的形状は、基本状態における基本構造が開放状態であり、しかし反対方向の流れの場合には、自動的に閉止して、適切な緻密度を有する閉止が確保されることを可能とする。
【0051】
これはすなわち、逆止めバルブにおける基本状態では、1つの方向における媒体の自由流れが存在することを意味する。前述の発明の中では、係る場合はまったく存在しなかった。本明細書においてわれわれにより説明された新しい構造的形状は、基本状態における基本構造が閉止状態にあり、しかし反対方向の流れの場合にはバルブが自動的に閉止し、適切な緻密度を有する閉止が確保されることを可能とする。
【0052】
バルブ1が基本姿勢において機械的に開放されている場合、入力および出力の圧力差は、両方向におけるフロー値が極めて低く、損失なしに、均衡が保たれる。このようにして、流体が供給されるまたは調節される空間のエアリングが解決され得る。同時に、反対方向の流れの場合、バルブ1は極めて低い流れの場合でさえも、適切に閉止する。流れ断面、材料の特性、厚さ、および材料成分がこのように選択されているために、このことが実現される。
【0053】
本発明に係る解決策の特徴および応用分野は、以下の通りである。すなわち、本発明に係る解決策は、安価であり、簡素であり、製作が容易であり、寿命が長く、基本構造が可動部分を含まず、バルブ自体が閉止機能を確保し、反復の正確度が高く、耐漏洩性閉止が確保される。本発明に係るバルブは、1つの部品から製作可能で、既知の工業技術および材料を用いて製作することができる。
【0054】
本発明に係るバルブは、開放方向においては比較的確実に高い気流を確保する一方、閉止方向においては、低いヒステリシスの閉止を確保し、その他に、圧力差が小さい場合でさえも、緻密度の高い閉止を可能とする。
【0055】
本発明に係るバルブは、基本姿勢における圧力差が小さいため、低いフロー値の均衡を保つことが可能であるが、しかし圧力が急激に変化する場合は、または高速流の影響においては、閉止する。
【0056】
応用分野
−発泡体が充填された、エアベッド、エアクッション、快適クッション用。
−閉止空間の加圧防止用、またはこの加圧状態保持用。
−ガス、流体媒体の1方向流の確保。
−1方向における広い流れ断面積を実現し、他方向における流れ断面積を制限する用途。
【符号の説明】
【0057】
1 バルブ
2 基部
3 中間部
4 平坦部
5 流入側開口部
6 流出側開口部
7 プレスされたリム
8 磁気プレート
9 弾性繊維
10 流れ間隙
11 細孔
12 調節空間
D 管直径
V 壁部肉厚
H 管長さ
N 平坦部の長さ
L 狭小化部分の長さ
S 平坦部の幅
G 距離
K 周囲
M 距離
A1 流れ断面(基部)
A2 流れ断面(平坦部)
F 引張力
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、汎用およびいくつかの目的のためのバルブである。なお、このバルブは、その構成により、低圧力の場合の圧力差が小さい場合においてさえも、基本状態、およびわずかに開放した状態における比較的高流量を確保するものであり、さらに、このバルブの構成は、逆圧、部分的逆圧、圧力開放、部分的圧力開放の機能に応じて調節され得る機能を、流れ方向に応じて提供することを確保することを可能とするものである。
【背景技術】
【0002】
日常生活においては、いくつかの種類のバルブが使用される。大きなグループの1つは、特定の場合において、逆流防止バルブおよび圧力開放バルブの働きにより、流動中の特定の物質が、圧力がより高い空間から圧力がより低い空間へと流され、その結果、圧力差が生じた場合に異なる圧力の2つの空間の間で物質の流れが確保される、汎用およびいくつかの目的のためのバルブである。逆止めバルブの主要な機能は、物質の流れを、ただ1つの方向のみに、すなわち、圧力がより高い空間から圧力がより低い空間へと確保し、逆流を防止することである。
【0003】
逆止めバルブの使用における問題の1つは、逆止めバルブを適切に閉止するために必要とされるいくらかの力であり、この閉止力は、特定の解決策の場合においては、流動中の逆流する媒体自体の圧力により確保される。他の解決策においては、閉止力はそれぞれ外的な効果、すなわち例えば、ばねまたは磁石の支援により増加し達成される。逆止めバルブは、主に、圧力差が大きい場合に使用され得る構造である。係る構造により、逆止めバルブの大部分は、圧力差が小さい場合の用途に必要とされる閉止速度のために、各々の逆流を迅速に防止するための迅速な閉止には適さない。
【0004】
最新技術においては、1998年12月6日に公開された特許文献1において、即時閉止バルブならびに即時閉止バルブが設けられたポンプを備える供給装置が開示されている。バルブは一方向性であり、1分以内で閉止される。バルブは、流入管、流出開口部、および互いの上に位置する2つの表面に挟まれた開閉装置を備える。2つの表面は、正確に1つの平面上にある、2つの接続ラインに沿って、互いに接続される。開閉装置は2つの端部を有する。流入管は、1つの端部の近傍において、開閉装置に連結される。開閉装置の他端は、流出側開口部を形成する。このようにして、流出側開閉装置は、2つの接続ラインの間で2つの表面が流動物質により押し離されそのようにして流路が形成されて流動物質が流出側開口部を通って供給され得る開放状態から、流入管の側から流出側開口部に向かって圧力が低下することにより2つの表面が互いに気密に接する閉止状態へと、変化することができる。開閉装置は可撓性材料製であり、完全には弾性的に変形することができない。接続ラインは、上述の平面で動くことができる。開閉装置の開放(または閉止)は、基本的に接続ラインの接近(または離脱)によるものである。
【0005】
特許文献2において、内側中空空間を包囲するゴム製のまたはゴム状のプラスチック製の外側殻体を有する浮揚性のボールが開示され、自動閉止式逆止めバルブが殻体を貫通する。逆止めバルブは軟質ゴムからキャストされたものであり、1つまたは複数の開口部を有する、互いに隣接して位置する1対の薄い縁またはリムを有する。逆止めバルブが開放されると、バルブの外側の気圧がボールの内側の気圧よりも高い場合、空気は自由にボール内へと流れ込むことができる。手動ポンプは逆止めバルブの外側開口部に嵌り込むノズルを有し、ボールはノズルを通して空気を用いて必要な圧力に達するまで脹らまされ得る。逆止めバルブの薄いリムはボール内の圧力により互いに固く閉止し、それによりバルブの開口部が閉じられて、空気の流出を防ぐことができる。圧力を失ったテニスボールは、1つの側に孔を開いて逆止めバルブを接着剤によりその側に固定し、接着剤が固まると、新しいボールの場合と同じ圧力に達するまで手動ポンプにより膨張させることにより、復活させることができる。
【0006】
特許文献3において、主に流体の噴霧に適したポンプシリンダーを有する小型ポンプが開示されている。ポンプの流入側開口部および流出側開口部は、ポンプバケツを有する逆止めバルブにより閉止される。なお、バケツ延長部分を有するポンプバケツは逆止めバルブに固定されている。両方の逆止めバルブは長さ方向に貫通され、ポンプバケツは、ばね力に抗して回転させられ得、バケツ延長部分はスプレーヘッドに埋め込まれている。両方の逆止めバルブはリップバルブであり、リップ部は互いに対して鋭角をなし、間隙を形成する。リップバルブの1つは、ポンプシリンダーの流入側開口部においてリップ部がシリンダーの内側に向かう状態で回転し、第2のリップバルブは、ワークの端面においてリップ部がバケツ延長部分のボアに向かう状態で回転する。2つのリップバルブの間に、圧縮ロックが存在する。
【0007】
2005年3月10に公開された特許文献4において、弾性の逆止めバルブが開示されている。バルブは、天然ゴム製または合成ゴム製のバルブ本体を有し、このバルブ本体は、バルブ本体に埋め込まれた、バルブ本体を補強するための金属製のコア部を備える。さらに、バルブは固定ユニットを備え、固定ユニットは、耐水性を確保する管にバルブの補強ユニットを連結する。バルブ本体は、リムを有する固定部分、弾性開口部、および閉止部分を有し、閉止部分および弾性開口部は、リムを有する固定部分の延長部分として形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】フランス国特許第2756899号明細書
【特許文献2】米国特許第4012041号
【特許文献3】ドイツ国実用新案第7711341号
【特許文献4】韓国特許第20050023666号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の実際に使用される解決策の欠点は、主に圧力差が大きい場合に適用され得るという点である。圧力差がより大きい場合において有効に動作する構造は、圧力差がより小さい場合においては、圧力損失の状況のために、効果的に適用することができない、またはまったく機能しない。さらなる欠点は、係る構造は、閉止状態においてのみ圧力開放が可能であり、わずかに開放された状態では逆止めバルブとして機能できない、すなわち逆流を防止することができない点にある。
【0010】
現在利用される吹き出し逆止めバルブの場合における最新技術において、バルブは、バルブ材料の弾力性を用いて、基本状態が閉止状態となるように意図されている。これらの解決策の場合において、バルブの開放姿勢は、いかなる水準であっても、バルブの機能を損なわせる。すなわち、逆方向の流れにおいては、バルブが閉止されない。閉止すべき空間に圧力を印加するためには、一時的に、バルブの表面を強制的に開放する構造が、例えばポンプ端部等に設置される必要があることは、事実である。われわれは、比較的大きい圧力差について言及する。体積を幾何学的に測定するために、係る解決策の場合においては、ゼロ付近の圧力差の場合においてさえ、閉止された空間を充填する要求は存在しない。したがって、逆止めバルブとして機能すべき構造が基本姿勢において開放状態にあるべきでないことは明らかである。実際に、基本姿勢における閉止状態は必要とされる。
【0011】
本発明に係る解決策を研究する際、われわれは、低圧力の場合の圧力差が小さい場合における、流量損失が低いまたはゼロに近く、高精度の反復の、比較的高流量を確保することを可能とする、汎用およびいくつかの目的のためのバルブを創造することを目指した。さらに上述の機能は、流れの方向に応じて、逆圧、部分的逆圧、圧力開放、および部分的圧力開放の機能に応じた機能が特定の場合において調整可能な方法で確保され得るよう、バルブがわずかに開放された状態から開始することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る解決策を創造する際、われわれは、念のため、軟質弾性材料製の、一体式のバルブを形成することを実現した。なお、このバルブは、1つの端部において断面が完全に開放された基部と、断面が次第に減少し且つ基部と接続された中間部とを有するものである。バルブの他端においては、中間部と接続され且つ平坦部を有するバルブが形成され、バルブの平坦部は、焼結、プレス、または接着された、バルブ材料製の構造であり、バルブの平坦部上には、好ましくは平坦部の縁部を、焼結、プレス、または接着することによって、気密的に固定することにより作られたプレスされたリムが形成され、さらに、中間部の長さLは、流動物質と接触するバルブ基部の周囲Kと比較して、L=0.5〜6(K/π)であり、バルブ基部におけるプレスされたリムの長さNは、流動中の媒体と接触するバルブ基部の周囲Kと比較して、N=0.1〜2(K/π)である。その条件下で設定目的が達成され得る。
【0013】
本発明は、汎用およびいくつかの目的のためのバルブである。このバルブは、軟質の可撓性材料から一体式で作られており、1つの端部において、断面が完全に開放された基部を有し、断面が次第に減少し且つ基部と接続された平坦部を有し、バルブの他の端部において、中間部と接続された平坦部とを有するものである。なお、このバルブは、平坦部が、焼結、プレス、または接着された、バルブ材料製の構造であり、バルブの平坦部上において、好ましくは、焼結、プレス、または接着により、平坦部の縁部を気密的に固定することにより作られたプレスされたリムが形成され、さらに、中間部の長さ(L)が、流動中の媒体と接触するバルブの基部の周囲(K)と比較して、L=0.5〜6(K/π)であり、バルブの基部におけるプレスされたリムの長さ(L)が、流動中の媒体と接触する周囲(K)と比較して、N=0.1〜2(K/π)であることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る解決策の1つの好適な実施形態においては、開放された基部の形状は、円形、楕円形、または角形であり、もしくは特定の場合では、三角形、正方形、または多角形、もしくは特定の場合では、六角形または八角形である。
【0015】
本発明に係る解決策の別の好適な実施形態においては、平坦部は、バルブの基本状態において、開放されているか、または部分的に開放されている。
【0016】
本発明に係る解決策のさらなる好適な実施形態においては、特定の場合においてバルブの閉止に影響を与えるために、磁化可能な金属板または磁気プレートをバルブの平坦部に設置すること、および/または、特定の場合に金属粉または磁性粉をバルブの材料に、キャスト、プレス、または混合することにより、平坦部の材料を磁化することができる。
【0017】
本発明に係る解決策のさらなる好適な実施形態においては、特定の場合におけるバルブの閉止に影響を与えるために、1つまたは複数の拡張された弾性繊維が、バルブの平坦部上に、対照的に、または非対称的に配置されてもよい。
【0018】
本発明に係る解決策のさらなる好適な実施形態においては、バルブの材料は、特定の場合ではシリコンゴム、繊維、紙で含浸された、またはそれらの物質で表面処理された、好ましくは天然ゴム製または合成ゴム製の、閉曲面であり、バルブの材料の厚さ(V)は、流動中の媒体と接触するバルブの基部の周囲(K)と比較して、V=0.01〜0.2(K/π)である。
【0019】
本発明に係る解決策のさらなる好適な実施形態においては、バルブの材料は、好適には繊維または紙等の多孔質材料であり、多孔率は、自由な流出と比較して、表面の2〜40%である。
【0020】
本発明に係る解決策のさらなる好適な実施形態においては、バルブの中間部には流れ間隙が設けられる。
【0021】
本発明に係る解決策のさらなる好適な実施形態においては、基本状態におけるバルブは部分的に開放されており、基本状態における平坦部の流れ断面は、基部の流れ断面の1〜66%である。
【0022】
本発明に係る解決策のさらなる好適な実施形態においては、プレスされたリムの幅(S)は、バルブの基部における流動中の媒体に接触する周囲(K)と比較してS=0.04〜0.42(K/π)である。
【0023】
本発明に係る解決策のさらなる好適な実施形態においては、バルブの流入側開口部および/または流出側開口部にフィルタが設けられている。
【0024】
本発明に係る解決策のさらなる好適な実施形態においては、バルブ閉止の調節は磁力を変化させることにより行われる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】閉止状態にある、本発明に係るバルブの実施形態の側面図である。
【図2】図1による本発明に係るバルブの実施形態の上面図である。
【図3】流出側開口部から見た、図1による本発明に係るバルブの実施形態の図である。
【図4】流入側開口部から見た、図1による本発明に係るバルブの実施形態の図である。
【図5】わずかに開放された姿勢にある、図1による本発明に係るバルブの実施形態の側面図である。
【図6】流出側開口部から見た、図5による本発明に係るバルブの実施形態の図である。
【図7】流入側開口部から見た、図5による本発明に係るバルブの実施形態の図である。
【図8】完全開放状態にある、図1による本発明に係るバルブの実施形態の側面図である。
【図9】流入側開口部から見た、図8による本発明に係るバルブの実施形態の図である。
【図10】流出側開口部から見た、図8による本発明に係るバルブの実施形態の図である。
【図11】磁気シートが平坦部上に設置された状態の、本発明に係るバルブの、別の実施形態の側面図である。
【図12】図11による本発明に係るバルブの実施形態の上面図である。
【図13】流出側開口部から見た、図11による本発明に係るバルブの実施形態の図である。
【図14】拡張された弾性繊維が平坦部上に設置されている場合の、図11による本発明に係るバルブの、さらなる実施形態の側面図である。
【図15】図14による本発明に係るバルブの実施形態の上面図である。
【図16】流出側開口部から見た、図14による本発明に係るバルブの実施形態の図である。
【図17】開放姿勢にある、図14による本発明に係るバルブの実施形態の側面図である。
【図18】流出側開口部から見た、開放姿勢にある、図14による本発明に係るバルブの実施形態の図である。
【図19】閉止姿勢にある、本発明に係るバルブのさらなる実施形態の断面図である。
【図20】開放姿勢にある、図19に示す本発明に係るバルブの実施形態の断面図である。
【図21】閉止姿勢にある、本発明に係るバルブのさらなる実施形態の断面図である。
【図22】開放姿勢にある、図21に示す本発明に係るバルブの実施形態の断面図である。
【図23】本発明に係るバルブから形成されたバルブの組合せの実施形態である。
【図24】本発明に係るバルブから形成されたバルブの組合せの別の実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に係る解決策は、以下の添付の図面によりさらに説明される。
【0027】
図1は、閉止状態にある、本発明に係るバルブの実施形態の側面図を示す。図1には、流入側開口部5を有する長さHおよび直径Dのバルブ1の基部2と、長さLの中間部3と、流出側開口部6を有する長さNの平坦部4とが示されている。流動中の媒体と接触する周囲Kも図に示されている。直径が円形であるバルブ1の基部2の場合バルブ1の場合は、K=Dπとなる。円形とは異なるプロファイルであるバルブ1の基部2の場合は、直径Dは、流動中の媒体と接触する周囲Kから計算して、仮想的に、D=K/πと見なすこととする。バルブ1の大きさは、この実際値または仮想値Dと対比して与えられる。
【0028】
図2は、図1による本発明に係るバルブの実施形態の上面図を示す。図2には、流入側開口部5を有する長さHおよび直径Dのバルブ1の基部2と、長さLの中間部3と、プレスされたリム7および流出側開口部6を有する長さNおよび幅Sの平坦部4とが示されている。
【0029】
図3は、流出側開口部から見た、図1による本発明に係るバルブの実施形態の図を示す。図3において、バルブ1の中間部3および流出側開口部6を有するバルブ1が見られ、この場合、流出側開口部6は完全閉止状態にある。バルブ1の平坦部4と、平坦部4上に形成されたプレスされたリム7も見られる。
【0030】
図4は、流入側開口部から見た、図1による本発明に係るバルブの実施形態の図を示す。図面において、バルブ1の基部2の直径Dの流入側開口部5と、流出側開口部6とが見られ、この場合、流出側開口部6は閉止されている。平坦部4も見られる。
【0031】
図5は、わずかに開放された姿勢にある、図1による本発明に係るバルブの実施形態の側面図を示す。図6は、流出側開口部から見た、図5による本発明に係るバルブの実施形態の図を示す。図7は、流入側開口部から見た、図5による本発明に係るバルブの実施形態の図を示す。これらの図面において、流入側開口部5を有する長さHおよび直径Dのバルブ1の基部2と、長さLの中間部3と、プレスされたリム7および流出側開口部6を有する長さNおよび幅Sの平坦部4とが見られる。これらの図面では、この場合においては、流出側開口部6がわずかに開放された姿勢にあることが見られる。部分的に開放された基本状態にあるバルブ1の、平坦部4の流れ断面A2および基部2の流れ断面A1が、これらの図面に示されている。
【0032】
図8は、完全開放状態にある、図1による本発明に係るバルブの実施形態の側面図を示す。図9は、流入側開口部から見た、図8による本発明に係るバルブの実施形態の図を示す。図10は、流出側開口部から見た、図8による本発明に係るバルブの実施形態の図を示す。これらの図面において、流入側開口部5を有する長さHおよび直径Dのバルブ1の基部2と、長さLの中間部3と、プレスされたリム7および流出側開口部6とともに形成された長さNおよび幅Sの平坦部4とが示されている。流出側開口部6はこの場合においては完全開放状態にあることが図面において見ることができる。
【0033】
図11は、磁気シートが平坦部上に設置された状態の、本発明に係るバルブの、別の実施形態の側面図を示す。図12は、図11による本発明に係るバルブの実施形態の上面図を示す。図13は、流出側開口部6から見た、図11による本発明に係るバルブの実施形態を示す。これらの図面において、図1に示す本発明に係るバルブ1の構成を見ることができる。この場合は、磁気プレート8の対が、バルブ1の平坦部4の対向する側の外側表面上に設置されている。平坦部4上に磁気プレート8は、磁気プレート8が平坦部4のプレスされたリム7の外側において、プレスされたリム7から距離Mの位置にあるよう、設置される。ただし、Mの値は、0<M<4Vである。磁気プレート8は、磁気プレート8間の距離がGとなるよう、1つの表面上に設置される。ただし、Gの値は、0<G<4Vである。磁気プレート8は、平坦部4の外側表面に既知の方法、例えば、付着等により、固定される。
【0034】
磁気プレート8のかわりに、所望のサイズの磁気シートまたは磁気ブロックを用いることもできる。また、平坦部4の材料に、磁化可能な材料を混合する方法を適用することもできる。平坦部4の原材料に混合される磁化可能材料の量は、最大で60重量%、好適には40重量%である。原材料に混合される磁化可能材料の量は、平坦部4をどの程度まで磁化するかの要求に依存する。原材料に混合する磁化可能材料の量を低下させ、全混合量を適切に磁化することも可能である。また、その逆、すなわち原材料に混合する磁化可能材料の量を増加させ、磁化の程度を低下させることも可能である。原材料に混合される磁化可能材料の量は、バルブ1のサイズおよびバルブ1の材料の肉厚Vに依存する。磁石粉末が混合されたシリコンシートを基部バルブ1の平坦部4上に固定する解決策も用いることができる。
【0035】
図14は、拡張された弾性繊維が平坦部上に設置されている場合の、図11による本発明に係るバルブの、さらなる実施形態の側面図を示す。図15は、図14による本発明に係るバルブの実施形態の上面図を示す。図16は、流出側開口部から見た、図14による本発明に係るバルブの実施形態を示す。図17は、開放姿勢にある、図14による本発明に係るバルブの実施形態の側面図を示す。図18は、流出側開口部から見た、開放姿勢にある、図14による本発明に係るバルブの実施形態の図を示す。この図面において、図11に示すバルブ1の構成は、引張力Fにより拡張された弾性繊維9がバルブ1の平坦部4上に配置された各磁気プレート8に1つずつ配置される形で、図11に示すバルブ1の構成の解決策の1つの改良として示されている。
【0036】
図1に示すバルブ1の構成は、耐漏洩性の閉止に達するまでに時間がかかる低速閉止プロセスを行うものである。実際に、低速閉止プロセスに要する時間は、ほとんどの場合、特定の用途により許容される閉止時間を超えるものである。バルブ1を使用すると、磁気プレート8の支援によりバルブ1の強力な閉止が確保されて、図11に示す磁気プレート8が設けられたバルブ1の支援により閉止の高速化が確保される。磁気プレート8の磁力は継続的に作用する永久的な力を及すものであり、閉止中は磁気プレート8間の距離が減少するにつれて磁気プレート8が確実に閉止力を次第に増大させるため、確実な閉止プロセスが確保される。磁力の動作機構により、この解決策は予め決定された閉止プロセスも実行する。
【0037】
バルブ1の平坦部4上に設置された弾性繊維9がバルブ1に適用された場合、バルブ1の閉止時間をこの解決策により短縮することはできるが、この閉止時間は、弾性繊維9の効果がバルブ1の閉止につれて連続的に低下して次第にゼロにもなり得るため、特定用途の場合には不適切である。これは、終了姿勢においてバルブ1の閉止プロセスが図1に示す基本的構成と同一となり、閉止プロセスにかなりの時間がかかることになるであろうことを意味し得る。
【0038】
バルブ1の平坦部4上に設置された磁気プレート8の組合せ、および磁気プレート8上に設置された弾性繊維9の組合せにより、適切な閉止時間を有し且つ強力な閉止を確保するバルブ1を作ることが可能となる。磁気プレート8および弾性繊維9の適用の組合せにより、閉止力は、バルブ1を閉止する際、弾性繊維9の張力による閉止力が磁気プレート8の永久磁力に重畳されるよう、調節され得る。そのようにして、バルブ1を閉止するとき、引張力Fにより適切に拡張させられた弾性繊維9により、磁気プレート8のプロセスが確実に加速される。すなわち、最初は、磁気プレート8が互いに離れていて互いに対してより小さい磁力を及ぼし合っているが、弾性繊維9により、磁気プレート8は互いの接近が早められ、一定の距離に達すると適切な磁力を及ぼし合うようになり、このようにして、バルブ1の閉止の高速化が確保される。
【0039】
弾性繊維9は、例えば閉止カムが弾性繊維9上に設置された、または弾性繊維9自体が異なった直径である等の、プロファイルであり得る。これらの解決策により、閉止力および伸張力の値が異なり得る。
【0040】
図19は、閉止姿勢にある、本発明に係るバルブのさらなる実施形態の断面図を示す。図20は、開放姿勢にある、図19に示す本発明に係るバルブの実施形態の断面図を示す。図面において、図1によるバルブ1の構成が見られる。この場合では、流れ間隙10がバルブ1の中間部3に形成されている。この解決策は、より高速の流出およびより低速の逆流が必要とされる場合に適用される。この解決策により、流動中の媒体が流出側開口部6を通過して特定の空間に流出するのみではなく、流れ間隙10も通過するため、より遙かに高速な流出が可能となる。同時に、バルブ1により、バルブ1の閉止姿勢においても、空気が流れ間隙10を通して少量程度まで流入および流出することが確実に可能となる。その結果、閉止された空間は、例えば、内側空間のエアリング(airing)の場合等において、流れ間隙10を通して外側空間と永久的に接触する。流れ間隙10により、2方向の流れが可能となる。同時に、圧力変化が大きいときにも、バルブは開放され、圧力のバランスも達成される。この構成の大きな利点は、それぞれの方向に対して異なるフロー値を選択し得ることである。流れ間隙10のサイズは、特定の用途に対して調節可能である。
【0041】
図21は、閉止姿勢にある、本発明に係るバルブのさらなる実施形態の断面図を示す。図22は、開放姿勢にある、図21に示す本発明に係るバルブの実施形態の断面図を示す。図面において、バルブ1の構成が示されている。なお、バルブの材料には細孔11が設けられている。バルブの材料は、例えば、高緻密性および半透過性材料の布地である。この解決策を適用する場合、適切な弾性の布地を用いてバルブ1が構成されているならば、結果は図19に示す解決策と同様となる。
【0042】
図23は、本発明に係るバルブから形成されたバルブの組合せの実施形態を示す。このバルブの組合せは、いくつかの段階にある圧力開放の組合せと1つのフィードバルブの組合せとである。図面においては、バルブ1から形成されたバルブの組合せが調節空間12に接続された状態で、調節空間12が見られる。この場合の特定のバルブの組合せは5つのバルブ1からなる。これら5つのバルブ1のうちの4つのバルブ1は、各バルブ1が異なる開放圧力に設定され、すなわち各バルブ1が異なる圧力差の効果により開放され、流出側開口部6の支援により流動中の媒体が調節空間12から確実に流出できるよう、設置されている。異なる開放圧力で動作するバルブ1の機能は、機構(傍心)の支援により設定される。係る方法により、この機構は常に使用機能にある値とされる。バルブの組合せのうちの第5のバルブ1の機能は、流動中の媒体の逆流を確実に流出させることである。このバルブの組合せの利点は、バルブを別個に調節することなしに異なる圧力状態を作り出せることである。したがって、4つの非調節可能な、異なる固定圧力状態を作ることができる。同時に、この解決策を用いて、連続的な調節は不可能である。
【0043】
図24は、本発明に係るバルブから形成されたバルブの組合せの別の実施形態を示す。図面において、調節空間12およびバルブ1が見られる。バルブ1のうちの1つは、流動中の媒体が調節空間12から流出することを確保する一方、他方のバルブ1は流動中の媒介が調節空間12へと逆流することを確保する。この解決策は、本発明に係るバルブ1の支援による、従来の3/2バルブの具体化である。なお、この場合において、流出を確保するバルブ1の開放圧力は、供給を提供する他方のバルブ1の開放圧力よりも高いことが好ましい。
【0044】
本発明に係る解決策の好適な実施形態の場合において、第1ステップとして、直径Dおよび長さHの、主にシリコン製の、軟質の弾性材料製の管道が作られる。これに続いて、管断面の1つの端部において、円弧上で所望により選択された直径Dの反対側の2つの点に印がつけられる。印をつけた両方の点から、距離S−Sが円弧上の両方の方向に計測される。管断面のこの部分は、管断面のこの端部が印をつけられた2つの点の間で直線となるよう、すなわち、2つの点によって等分された円弧の半円弧部分が直接互いに接するよう、平坦化される。これに続いて、この(今の場合は直線状となっている)互いに接する半円弧状の1区分は、円弧の長さ方向に沿って径方向距離S−Sにわたって、および管断面の長さH方向に沿って軸方向N−Nにわたって、互いに対して気密的に固定される。その結果、このようにして、プレスされたリム7と、プレスされたリム7と基部2との間に位置する中間部3とが形成され、本発明に係るバルブ1が作られる。
【0045】
バルブ1を適用した本発明に係る解決策の好適な実施形態の場合、高い流量(1〜8l/秒)が達成される。基本姿勢の場合(すなわち流れがゼロの場合)には、バルブ1が開放状態にあり、圧力差が比較的小さい(0〜5kPa)場合には、特性の整合化により、逆流の初期部分において、管の内圧および外側から壁に及ぼされるより大きな圧力により、バルブが強力に閉止され、高い緻密度を確保する閉止姿勢が保持される点が、本発明が適用される際の特徴である。
本発明に係るバルブ1の好適な実施形態の場合、通過する気流の体積に応じた断面サイズにより、空間への流出および流入を調節するための時間は十分に長いものとすることができる。バルブ1は、圧力差と流れの比率に応じて、断面積を変化させる。
【0046】
好適な構成の場合、バルブ1の機械的構造は、断面が円形の管から作られ、管の1つの端部が平坦化されたものとなっている。材料の可撓性特性により、自然に円錐形状が形成され、その形状は他の方法により影響されることがない。
【0047】
材料の可撓性特性を考慮して、管の肉厚が、崩壊しないような自己支持型の平坦化された管断面が形成されるに相応しい値となるべきであることが、寸法比率の特徴である。要求される流れ率を確保する断面は、層流を可能にするべきである。平坦部の外側表面の寸法は、逆止めバルブ機能における閉止遅延の率に著しい影響を及ぼす。逆止めバルブとして使用される場合、バルブは基本姿勢においては開放状態にあるが、閉止状態にあってもよい。しかし、閉止状態は、流入により生じる圧力差により解消されなければならない。平坦部の表面は、閉止機能を実現するための十分な大きさを有するべきである。
【0048】
本発明に係るバルブの好適な実施形態の場合、特定の様相のシリコンの重合を用いて、目的を達成するに好適な形状を達成し得る。このことにより、管は逆止めバルブの目的のために、永久的に平坦化され得、この平坦化状態は最後に作られるべきである。この解決策は、ブリードバルブの形成のためにも使用することができる。
【0049】
この解決策を圧力開放バルブとして使用する場合、基本状態における閉止姿勢は、例えば磁石、可撓性繊維、重力、またはばね力等の予備的な力により確保され得る。この予備的な力を調節することにより、確実な圧力差においてバルブが閉止することが達成され得る。開放圧力差は、これに比較してヒステリシスの率により決定される。
【0050】
本発明に係る基本構成におけるバルブは、すでに基本機能、逆止めバルブの機能を有するものであり、この基本構成は、さらなる好適な用途の要求を満足するために、特別な方法で形成または変更される。本明細書に記載の新しい構造的形状は、基本状態における基本構造が開放状態であり、しかし反対方向の流れの場合には、自動的に閉止して、適切な緻密度を有する閉止が確保されることを可能とする。
【0051】
これはすなわち、逆止めバルブにおける基本状態では、1つの方向における媒体の自由流れが存在することを意味する。前述の発明の中では、係る場合はまったく存在しなかった。本明細書においてわれわれにより説明された新しい構造的形状は、基本状態における基本構造が閉止状態にあり、しかし反対方向の流れの場合にはバルブが自動的に閉止し、適切な緻密度を有する閉止が確保されることを可能とする。
【0052】
バルブ1が基本姿勢において機械的に開放されている場合、入力および出力の圧力差は、両方向におけるフロー値が極めて低く、損失なしに、均衡が保たれる。このようにして、流体が供給されるまたは調節される空間のエアリングが解決され得る。同時に、反対方向の流れの場合、バルブ1は極めて低い流れの場合でさえも、適切に閉止する。流れ断面、材料の特性、厚さ、および材料成分がこのように選択されているために、このことが実現される。
【0053】
本発明に係る解決策の特徴および応用分野は、以下の通りである。すなわち、本発明に係る解決策は、安価であり、簡素であり、製作が容易であり、寿命が長く、基本構造が可動部分を含まず、バルブ自体が閉止機能を確保し、反復の正確度が高く、耐漏洩性閉止が確保される。本発明に係るバルブは、1つの部品から製作可能で、既知の工業技術および材料を用いて製作することができる。
【0054】
本発明に係るバルブは、開放方向においては比較的確実に高い気流を確保する一方、閉止方向においては、低いヒステリシスの閉止を確保し、その他に、圧力差が小さい場合でさえも、緻密度の高い閉止を可能とする。
【0055】
本発明に係るバルブは、基本姿勢における圧力差が小さいため、低いフロー値の均衡を保つことが可能であるが、しかし圧力が急激に変化する場合は、または高速流の影響においては、閉止する。
【0056】
応用分野
−発泡体が充填された、エアベッド、エアクッション、快適クッション用。
−閉止空間の加圧防止用、またはこの加圧状態保持用。
−ガス、流体媒体の1方向流の確保。
−1方向における広い流れ断面積を実現し、他方向における流れ断面積を制限する用途。
【符号の説明】
【0057】
1 バルブ
2 基部
3 中間部
4 平坦部
5 流入側開口部
6 流出側開口部
7 プレスされたリム
8 磁気プレート
9 弾性繊維
10 流れ間隙
11 細孔
12 調節空間
D 管直径
V 壁部肉厚
H 管長さ
N 平坦部の長さ
L 狭小化部分の長さ
S 平坦部の幅
G 距離
K 周囲
M 距離
A1 流れ断面(基部)
A2 流れ断面(平坦部)
F 引張力
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ(1)が、軟質の可撓性材料から一体式に作られ、一端部に断面が完全に開放された基部(2)を有し、前記基部(2)に接続される断面がしだいに狭くなる中間部(3)を有し、前記バルブ(1)の他端において前記中間部(3)と接続された平坦部(4)を有する、汎用およびいくつかの目的のためのバルブであって、
前記平坦部(4)が、前記バルブ(1)の前記材料において、焼結、プレス、または接着された構造であり、
前記バルブ(1)の前記平坦部(4)上に、好適には、焼結、プレス、または接着により、前記平坦部(4)の縁部を気密的に固定することにより作られたプレスされたリム(7)が形成され、
さらに、前記中間部(3)の長さ(L)が、流動中の媒体と接触する前記バルブ(1)の前記基部における周囲(K)と比較して、L=0.5〜6(K/π)であり、
前記バルブ(1)の前記基部における前記プレスされたリム(7)の長さ(N)が、流動中の前記媒体と接触する周囲(K)と比較して、N=0.1〜2(K/π)であることを特徴とする、バルブ。
【請求項2】
前記バルブ(1)の前記開放された基部(2)の形状が、円形、楕円形、または角形であり、特定の場合には三角形、四角形、または多角形であり、特定の場合には、六角形または八角形であることを特徴とする、請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記平坦部(4)が、前記バルブ(1)の基本状態において、閉止されている、または部分的に開放されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のバルブ。
【請求項4】
特定の場合において前記バルブ(1)の閉止に影響を与えるために、磁化可能金属板または磁気プレート(8)が前記バルブ(1)の前記平坦部(4)上に設置され、および/または、前記平坦部(4)の前記材料が、特定の場合において金属粉または磁石粉が前記材料にキャスト、プレス、または混合されていることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載のバルブ。
【請求項5】
特定の場合において前記バルブ(1)の閉止に影響を与えるために、1つまたは複数の拡張された弾性繊維(9)が、対照的にまたは非対称的に、前記バルブ(1)の前記平坦部(4)上に設置されていることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれかに記載のバルブ。
【請求項6】
前記バルブ(1)の前記材料が、特定の場合ではシリコンゴム、繊維、紙で含浸された、またはそれらの物質で表面処理された、好ましくは天然ゴム製または合成ゴム製の閉曲面であり、前記バルブ(1)の前記材料の厚さ(V)は、流動中の前記媒体と接触する前記バルブ(1)の前記基部における前記周囲(K)と比較して、V=0.01〜0.2(K/π)であることを特徴とする、請求項1から請求項5に記載のバルブ。
【請求項7】
前記バルブ(1)の前記材料が、多孔質物質、好ましくは繊維または紙であり、その多孔率は、自由な流出と比較して、表面の2〜40%であることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれかに記載のバルブ。
【請求項8】
前記バルブ(1)の前記中間部(3)が流れ間隙(10)を備えていることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれかに記載のバルブ。
【請求項9】
基本状態における前記バルブ(1)が部分的に開放されており、基本状態における前記平坦部(4)の流れ断面(A2)が、前記基部(2)の流れ断面(A1)の1〜66%であることを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれかに記載のバルブ。
【請求項10】
前記プレスされたリム(7)の幅(S)が、前記バルブ(1)の前記基部(2)において流動中の前記媒体と接触する前記周囲(K)と比較して、S=0.04〜0.42(K/π)であることを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれかに記載のバルブ。
【請求項11】
前記バルブ(1)が、その流入側開口部(5)および/またはその流出側開口部(6)において、フィルタを備えていることを特徴とする、請求項1から請求項10のいずれかに記載のバルブ。
【請求項12】
前記バルブ(1)の前記閉止を調節することが、磁力を変化させることにより行われることを特徴とする、請求項1から請求項11のいずれかに記載のバルブ。
【請求項1】
バルブ(1)が、軟質の可撓性材料から一体式に作られ、一端部に断面が完全に開放された基部(2)を有し、前記基部(2)に接続される断面がしだいに狭くなる中間部(3)を有し、前記バルブ(1)の他端において前記中間部(3)と接続された平坦部(4)を有する、汎用およびいくつかの目的のためのバルブであって、
前記平坦部(4)が、前記バルブ(1)の前記材料において、焼結、プレス、または接着された構造であり、
前記バルブ(1)の前記平坦部(4)上に、好適には、焼結、プレス、または接着により、前記平坦部(4)の縁部を気密的に固定することにより作られたプレスされたリム(7)が形成され、
さらに、前記中間部(3)の長さ(L)が、流動中の媒体と接触する前記バルブ(1)の前記基部における周囲(K)と比較して、L=0.5〜6(K/π)であり、
前記バルブ(1)の前記基部における前記プレスされたリム(7)の長さ(N)が、流動中の前記媒体と接触する周囲(K)と比較して、N=0.1〜2(K/π)であることを特徴とする、バルブ。
【請求項2】
前記バルブ(1)の前記開放された基部(2)の形状が、円形、楕円形、または角形であり、特定の場合には三角形、四角形、または多角形であり、特定の場合には、六角形または八角形であることを特徴とする、請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記平坦部(4)が、前記バルブ(1)の基本状態において、閉止されている、または部分的に開放されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のバルブ。
【請求項4】
特定の場合において前記バルブ(1)の閉止に影響を与えるために、磁化可能金属板または磁気プレート(8)が前記バルブ(1)の前記平坦部(4)上に設置され、および/または、前記平坦部(4)の前記材料が、特定の場合において金属粉または磁石粉が前記材料にキャスト、プレス、または混合されていることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載のバルブ。
【請求項5】
特定の場合において前記バルブ(1)の閉止に影響を与えるために、1つまたは複数の拡張された弾性繊維(9)が、対照的にまたは非対称的に、前記バルブ(1)の前記平坦部(4)上に設置されていることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれかに記載のバルブ。
【請求項6】
前記バルブ(1)の前記材料が、特定の場合ではシリコンゴム、繊維、紙で含浸された、またはそれらの物質で表面処理された、好ましくは天然ゴム製または合成ゴム製の閉曲面であり、前記バルブ(1)の前記材料の厚さ(V)は、流動中の前記媒体と接触する前記バルブ(1)の前記基部における前記周囲(K)と比較して、V=0.01〜0.2(K/π)であることを特徴とする、請求項1から請求項5に記載のバルブ。
【請求項7】
前記バルブ(1)の前記材料が、多孔質物質、好ましくは繊維または紙であり、その多孔率は、自由な流出と比較して、表面の2〜40%であることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれかに記載のバルブ。
【請求項8】
前記バルブ(1)の前記中間部(3)が流れ間隙(10)を備えていることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれかに記載のバルブ。
【請求項9】
基本状態における前記バルブ(1)が部分的に開放されており、基本状態における前記平坦部(4)の流れ断面(A2)が、前記基部(2)の流れ断面(A1)の1〜66%であることを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれかに記載のバルブ。
【請求項10】
前記プレスされたリム(7)の幅(S)が、前記バルブ(1)の前記基部(2)において流動中の前記媒体と接触する前記周囲(K)と比較して、S=0.04〜0.42(K/π)であることを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれかに記載のバルブ。
【請求項11】
前記バルブ(1)が、その流入側開口部(5)および/またはその流出側開口部(6)において、フィルタを備えていることを特徴とする、請求項1から請求項10のいずれかに記載のバルブ。
【請求項12】
前記バルブ(1)の前記閉止を調節することが、磁力を変化させることにより行われることを特徴とする、請求項1から請求項11のいずれかに記載のバルブ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公表番号】特表2012−507669(P2012−507669A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533837(P2011−533837)
【出願日】平成21年11月3日(2009.11.3)
【国際出願番号】PCT/HU2009/000089
【国際公開番号】WO2010/052511
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(511103775)
【出願人】(511103786)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月3日(2009.11.3)
【国際出願番号】PCT/HU2009/000089
【国際公開番号】WO2010/052511
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(511103775)
【出願人】(511103786)
【Fターム(参考)】
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